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2401 Aj
2401 Aj
目 的
落石のハードおよびソフト対策の検討では、斜面上の落石の跳躍高さや到達域を的確に予測する必
要があります。そこで、これらの検討に際して数値シミュレーション技術を適用し、対策工の計画・
設計に役立てています。
内 容
落石の形状効果や斜面との衝突機構などをモデル化できる数値シミュレーション技術の1つである
個別要素法(DEM)を用いて、落石の軌跡、跳躍高さ、速度および到達域を予測します。
技術ポイント
【落石や斜面形状をモデル化できます】
『落石対策便覧』では、簡易な経験値や式などを用いて跳躍高さや速度を算定しています。個別要
素法では、これらの式では考慮されていない落石と斜面の形状や硬さを取り扱うことができます。
落石は任意の多角形として取り扱い、また現地の斜面形状をそのままモデル化します。これにより
現場の条件に即した解析結果が得られます。
斜面法線方向ばね(Kn) 90
ダッシュポット 落石
正方形
80 8角形
モールクーロン
のスライダー せん断方向ばね(KS) 70 長方形
ダッシュポット 落石対策便覧
60
標高(m)
斜面 50
40
個別要素法での斜面と落石の接触モデル
30
質点系→球でモデル化 非質点系→多角形でモデル化 20
跳躍しない 10
0
0 10 20 30 40
多角形でモデル化した例 線速度(m/sec)
図-1 DEMによる落石のモデル化のイメージ図(左図)と出力例(右図)
【落石の到達域が検討できます】
落石による到達域を把握することは、危険区域を想定する上で必要な情報ですが、『落石対策
便覧』などでは想定する方法はありません。
DEMでは、落石の発生し停止するまでの範囲が予測できます。また、DEM では落石だけで
なく岩盤斜面の崩壊現象のシミュレーションを行い、到達域を予測することができます。
図-2 落石の形状効果と到達域の結果(左図)と岩盤斜面の崩壊過程と到達域の解析結果(右図)
【落石対策工の規模が検討できます】
落石の跳躍高さは経験的に 2m を超えないと
仮定しますが、落石や斜面の形状などによっ
ては、実際には 2m を越える場合もあります。
個別要素では実際の落石、斜面形状に基づい
た落石の斜面上での跳躍量、速度を計算する
ことで、対策工に要する高さ、衝撃力などを 確率的に跳躍や速度の
予測し、対策工の計画に役立てることができ 低い位置
ます。
図-3 落石対策工の規模検討の流れ
事業の流れ[当社実施範囲]
当社では道路や住宅に隣接した斜面や急
傾斜地の調査から対策までの一貫したコン 調 査 解析・設計 施工・維持管理
サルティングサービスを行います。 数値解析の活用
維
分 布 状 況 把 握
発 生 源 の
危 険 度 判 定
選 定
対策対象区間の
規 模 の 分 析
落石の運動機構や
策 定
落石対策計画の
設 定 ・ 施 工
対
対策が必要か?
その中で、落石対策や岩盤崩落対策の重要
持
策
度の高い場合や、対策工費が大きくなる場
管
工
合、住民に対する説明責任など区域設定が Yes
理
の
問題となる場合などには、数値シミュレー
ション技術を適用させ、より有効な対策工 No
の計画・設計を提案します。