You are on page 1of 6

㧔␠㧕ᣣᧄㇺᏒ⸘↹ቇળㇺᏒ⸘↹⺰ᢥ㓸0Qᐕ᦬

Journal of the City Planning Institute of Japan No. 41-3, October, 2006

 !"#$%&'#()*+,-./0!12+34$56'78
A Study on the Action Condition of Area Promotion and Artist's Roles in Traditional Craft Places
方 宏康*・野嶋慎二**
Koukou HO and Shinji NOJIMA

This paper aims to clarify the action condition of area promotion and artist's roles in traditional craft place.The
acquired knowledge are as follows.
1. The artist is very important in not only the making of craft object but also promoting the visit experience at
the production spot, making local education and the community which utilized traditional craft and so on.
2. The artist roles are conveying technology, performing the guidance of experience, doing dispatch, making
suggestion about a design of a new product and bearing interchange.
Keywords:Traditional craft, Artist,Area promotion,Local City,City planning
     伝統工芸、芸術家、地域振興、地方都市、まちづくり

 K  !"#$%  本研究の目的は、全国の伝統工芸産地を対象として、生
 全国の伝統工芸産地は現在、経済不況の影響を受け事業 産体制・販売体制などの産地の社会構造の変化及びそこで
所数・従業員数・出荷額ともに減少し、街全体の活力が低 行われている産地の振興施策の現状を明らかにすること。
下している。しかし、伝統工芸産地は単に事業所が集積し さらに、それらにおいて、芸術家がどのような役割を担っ
ている工業団地ではなく、古くから伝統工芸を生業とした ているか明らかにすることで、社会構造が刻々と変化して
固有の生活文化が形成されており、これらを継承し街とし いる中で伝統工芸産地における地域振興施策に対して基礎
ての活力を持続させていくことは、歴史的にも地域資源の 的な知見を得るものである。
活用という面からも重要であると考える。  本研究に関する既存研究では、伝統的工芸品の観光的活
 このため2つの課題に着目する。第一に、産地の社会構造 用手法についての研究 1) や、伝統産業を地域資源とした地
の変化に対応し、多様な地域振興の施策を行っていくこと 方都市における観光化の手法に関する研究2)、 地場産業を対
である。すなわち伝統工芸は産地として古い体制の中で生 3)
象としたツーリズムに関する研究 また芸術家の居住立地
産・販売が行われ、これまでは産地の発展に大きな役割を 特性に関する研究 4) は見られる。しかし、伝統工芸産地の
担ってきた。しかし諸外国における安価な製品の出現や 地域振興施策における担い手としての芸術家の役割を明ら
ユーザーの嗜好性の変化により、その嗜好性をいち早く把 かにした論文は見られない。研究方法は下記の通りである。
握し生産することが重要になってきた。旧来の厳格な問屋 第一に、全国の伝統工芸産地のアンケート調査から、産地
制では、個々の事業所がその嗜好性を把握し生産すること の社会構造として、販売体制と生産体制に着目し、業種ご
は困難であり、分業体制では素材からデザインまでの総合 とにその変遷について分析する。さらに地域振興施策とし
的に質の高い作品をつくることは困難である。販売体制や て、ものづくり、まちづくり、くらしづくりに分類し(2)、多
生産体制など旧来の社会構造の変化が余儀なくされている。 様な取り組みの現状を業種ごとに明らかにする。
この中で、ものづくりだけでなく、まちづくりやくらしづ 第二に、産地における芸術家の重要度や生産・販売体制の
くりなどの地域全体の活力を得る振興施策も行っていくこ 変化と芸術家の増加などとの関係を分析する。さらに、芸
(1)
とが必要とされている 。 術家が増加した産地に対して増加要因を分析し、芸術家が
 第二に、ものづくりの担い手が高齢化し、産地に新規に 増加するための知見を得る。
流入せずに閉塞化していく中で、産地に活力を与える担い 第三に、芸術家が産地にとって重要であると回答した産地
手を育てていくことである。本研究では、産地に活力を与 を対象に、地域振興施策の取り組みに対する芸術家の関わ
える担い手として芸術家に着目していく。近年全国でアー り方を詳細に分析することで芸術家の役割を明らかにする。
トによるまちづくりが数多く行われ、芸術家はその中で大
きな役割を担ってきた。伝統工芸という地域文化と直接関 OK  !
係して産地のまちづくりの担い手になるという意味で、伝 N !"#$%&
統工芸産地における芸術家の役割は大きいと考える。  調査研究の対象とする伝統的工芸品としては、経済産業
*   
正会員 ギャレックス(株)(GALAX)
**
正会員 福井大学大学院工学研究科(U.of Fukui)

- 815 -
㧔␠㧕ᣣᧄㇺᏒ⸘↹ቇળㇺᏒ⸘↹⺰ᢥ㓸0Qᐕ᦬
Journal of the City Planning Institute of Japan No. 41-3, October, 2006

ণǕdzǑȘ ࠻ǤণǕdzǑȘ Ǐȋȗ೅ȜȖǷǑ ৫௶Ǚ੾ாࣱýý ੾ாࣱǙৃǑ ৫௶Ǚ͔ҳऀ‫ܬ‬ýý ͔ҳऀ‫ܬ‬ǙৃǑ


੾ாඔϔǻสೱý ඔϔࣱǙৃǑý ͔ҳಠդǻสೱý ಠդऀ‫ܬ‬ǙৃǑý
࠻ǤؒǰdzǑȘ ؒǰdzǑȘý
৫௶Ǚඔϔࣱ ৫௶Ǚಠդऀ‫ܬ‬
/
lĽ/.0
ऀ‫ܬ‬ѝ 3 5 03 42

1 0.உॖ 02 // 0. 03 03 0.உॖ 25 /. // /4 01

ऀ‫ܬ‬৒ࣱ
ఆா৒ࣱ
7 1/ 36 lĽ/.2
߬դࣞ͟
1

07 // 16 // /4 ؕ۳ 26 /0 // /1 01
lĽ/.3 ؕ۳
‫ݨ‬դ࠘ࣞ 2 /3 12 26
2

.# 0.# 2.# 4.# 6.# /..# .# 0.# 2.# 4.# 6.# /..# .# 0.# 2.# 4.# 6.# /..#

(n=105, グラフ内数字は産地数を示す) (n=107, グラフ内数字は産地数を示す)


 NK= ! ! !
========OM  !"  OK= ! OM  !"  PK= ! OM  !"

NK= !"#$%&'()*+ 03

ؐ࡫ ऻൊ ௓ࠣջ ࠻ջ ૫ึ‫܋ت ܋‬ഌ ൉૓ ༸ࠄ ൘‫ع‬ ॣ٧ ࣎‫ٽ݉ ڃ܋‬ 0. /

NJțǙÀǰౡഝ‫ڕ‬ঊ            /3 6 /
/ 0
NJțǙÀǰӃࡹ‫ڕ‬ঊ            / 2 1
/. 0
4
NJțǙÀǰӃࡹເ            0 /
5 1 /
0 1
ǺNJȒ 3 3 1 / / / 0
઀कߘ૝            / 0 1 0
țǘ‫ڕ‬ 0 3 /
4 1 2 2 / 1
0 0 0
ঊ Ӄ௄ƌƔߘ૝            . /
࢏ಞ ଧ‫ݷ‬ӏ ‫ޏ‬ӏ ਿඊٟ վٟ ಝਧ ຌ‫ݘ‬ ಬ֍ ࢷֻ ٟࠢ‫ח‬ౠ

省の「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法) 」に ৫௶Ǚ੾ாࣱý ੾ாࣱǙৃǑ ੾ாඔϔสೱ


ඔϔࣱǙৃǑ ৫௶Ǚඔϔࣱ Ǫǻূ
よって指定されている工芸品(15 区分、207 品目)とする。
このうち伝統的工芸品の産地組合がある163市町村を調査対
 QK= !"#$%
象産地と設定する(3)。また本研究では、工芸品の業種 15 区 03

分を 10 区分として分析した(4)。
0.
O ! 7
/3 / 0
・全国の伝統工芸産地の社会構造の変遷、地域振興施策の取 /
0 1 1
/. 2
組、芸術家数と重要度の変化の状況については、163産地の 0
1 /2 / 0
0 0
3 0 3 / / 1
自治体の産業振興の担当部署にアンケート調査(5) を行い 4
/.
/ 0
0
0
/
1 2 1 2
0 0 0
データを得た。アンケートは平成 17 年 11 月に行い、107 地 .
࢏ಞ ଧ‫ݷ‬ӏ ‫ޏ‬ӏ ਿඊٟ վٟ ಝਧ ຌ‫ݘ‬ ಬ֍ ࢷֻ ٟࠢ‫ח‬ౠ

区から有効回答を得た(表 1) 。回収率をみると、どの業種 ৫௶Ǚ͔ҳऀ‫ܬ‬ ͔ҳऀ‫ܬ‬ǙৃǑ ͔ҳಠդǻสೱ


とも同程度である。 ಠդऀ‫ܬ‬ǙৃǑ ৫௶Ǚಠդऀ‫ܬ‬

・地域振興施策の取組項目を抽出するため、中部5県(岐阜
 RK= !"#$%
県、愛知県、三重県、石川県、福井県)からデータ収集可能
な 5 つの伝統工芸産地(常滑焼き、美濃焼、伊賀焼、美濃和 システムを「直売制」とし、販売経路に産地問屋、消費地問
紙、飛騨春慶)の自治体担当者への訪問ヒアリング(平成17 屋が媒体として介入している販売システムを「問屋制」とす
る。生産体制は、製品化されるまで一事業所で一貫して生産
年 6 月∼ 7 月)を行い、また 6 つの産地(常滑焼き、美濃焼、
輪島塗、山中漆器、越前漆器、備前焼)の総合計画、産業振 されるものを「一貫生産」とし、製品化されるまでに複数の
事業所が関わるものを「分業生産」とする。
興基本計画などの資料 7)~12) の整理及び分析を行った(6)。
・地域振興施策の取組状況および芸術家の役割については、  販売体制についてみると(図 2)、20 年前は「問屋制が多
い」24%、
平成 18 年 1 月と 4 月に、芸術家が産地にとって重要である 「大半が問屋制」24%と最も多かったが、現在は
と回答した産地の担当者に電話によるヒアリングを行い、 「直売と問屋制の両方」が 36%、
49 「大半が直売」が 28%と多
箇所から有効回答を得た(表 1) 。 (7)
くなり、問屋制から直売への変化が見られる。
 生産体制については(図 3)、販売体制ほど変化は見られ
PK  !"#$%&'()*+",-./ ないが、20 年前と比較して「大半が一貫生産」1 産地、「一
N OM  !"#$ ! !"# 貫生産が多い」が 2 産地多くなっている。
 アンケートにより 20 年間の事業所数・従業員数・生産 また現在の業種別販売体制について見ると(図4) 、陶磁器・
額の変遷を聞いたことろ(図 1) 、事業所数については「増 仏壇で直売制が多くなっているが、他はすべての業種で、産
えている」 「少し増えている」と回答した産地は計 8 箇所 地ごとに直売と問屋制の状況は異なっている。
と少なく、 「減っている」「少し減っている」と回答した産  生産体制においては(図 5)、陶磁器、木・竹工、和紙に
地は 82 箇所と大半を占める。従業員数・生産額について ついては大半が一貫生産、 あるいは一貫生産が多い業種であ
も同様の傾向にあり、大半の産地は事業所数・従業員数・ る。仏壇については大半が分業生産であり、他の業種は、産
生産額共に減少する厳しい状況にある。 地によって一貫生産と分業生産の状況は異なっている。
O !"#$  以上より陶磁器は直売制・一貫生産ともに多くなっている
 販売体制は、 販売経路に組合以外に媒体が存在しない販売 特徴が見られる。

- 816 -
㧔␠㧕ᣣᧄㇺᏒ⸘↹ቇળㇺᏒ⸘↹⺰ᢥ㓸0Qᐕ᦬
Journal of the City Planning Institute of Japan No. 41-3, October, 2006

P !"#$%& OK= !"#$%&'()*+,ZNMT


ࢠՙ޸८ǻಠ์ ‫ܬ‬਱Зଘࣞ
 表2の地域振興取組の項目は、6産地の自治体担当者への /,‫׊‬Ί৒‫ޑ‬ǻՋϡĂऀ‫ܬ‬ӟ஗ǻ‫૷ژ‬ϡ 25
ȏ 64
ヒアリング及び総合計画など計画書の分析により抽出し、 ǻ 0,‫ޤ׋ؽ‬Ăࢷ۴ࣶ͑
1,ӹ߿Ă࠲ౠǻ‫׾‬ԤЭ௧ 6.
Dz
「ものづくり」 「まちづくり」 「くらしづくり」に分類したも ǜ
2,߅௧࢘ӟ஗ǻՋϡ 37
3,ఆா঩ࢴǻՋϡ 60
のである。アンケート調査から、項目ごとに取り組んでいる ȗ
4,૟ଛ‫ܬ‬դࢠՙ԰૞Dzǜȗ 3.
5,ੈ݆࢞л਱ǻȋǮDzǜȗ
産地数を示している。 &/'ੈ݆࢞л਱ѪࣵϡӐമ‫ב‬Ќǻ‫܊‬પ 5.
 ものづくりに関してはどの項目も多く取り組まれている &0'ੈ݆࢞л਱Ѫࣵϡ࣎ࢴ८࢏ǻधต 35
&1'݆л਱ЗළҤՉ&ଷ๳‫ݎ‬धଗ'ǻࣸయ 24
が、 「2 後継者・人材育成」が 86 産地、 「5. 販売促進の強化」 &2'૟ଛ‫ܬ‬դȟѪෟǤǬ࠲૗лൕ฻ǻۚऀ 01
6,శǤǜ‫ࣵ؜‬ǏȘ૟ଛ‫ܬ‬դ಍ׄDzǜȗ
が 82 産地、 「3 技術・商品の研究開発」が 80 産地と多い。 &3'૟ଛ‫ܬ‬դ಍ׄࣸయ‫ב‬Ќǻ‫܊‬પ 6
&4'૟ଛ‫ܬ‬դ಍ׄDzǜȗ࣎ࢴ८࢏ǻधต 2
 まちづくりに関しては、 「9. 伝統産業観光まちづくり」の &5'૟ଛ‫ܬ‬դׄұ೑়ࡾ๏ĂՄપǻࣱપ 4
&6'਱͐ߩൡǸׄұֻࣶĂͅ‫ށ̽ݯ‬ǻֶ௧ 04

(16)伝統産業の製造現場で見学・体験」が 89 産地と多く、 ȋ &7'૟ଛ‫ܬ‬դǻ‫״‬ಞĂٟࡸଗǻ೑়ȟઌǥǬ಍ׄDzǜȗ 5
&/.'૟ଛٟ‫ח‬ౠȟෟǑǬଷ๳ࣸయĂ‫״‬ಞǻТߒଗǸѪෟǤǬ಍ׄDzǜȗ 03

(19)観光客誘致の強化」が 71 産地と多い。くらしづくり Ǯ
&//'૗೒Ă‫ݨ‬դ࠘ɇȶȤɳǻ݊ଯȑ‫݋‬έ /.
Dz
については「12.地域の教育の場に伝統工芸を活かしていく」 ǜ 7,૟ଛ‫ܬ‬դұُǻȋǮDzǜȗ
&/0'૟ଛ‫ܬ‬դұُ‫ב‬Ќǻ‫܊‬પ 7
ȗ
の中の「 (26)小中学校・高校生による伝統産業の体験」が &/1'૟ଛ‫ܬ‬դұُ࣎ࢴ८࢏ǻधต 7
&/2'૟ଛ‫ܬ‬դұُǻ԰૞‫ݎ‬धǻࣸయ 23
98産地と多く、 「(27)地元学校での伝統工芸授業の開設」が &/3'૟ଛ‫ܬ‬դұُ‫ܨ‬ೖ๳ǻधપԘȀࣸయ 0.
&/4'૟ଛ‫ܬ‬դǻअনؕࡸǴ‫؃‬њĂ৒؋ 67
66 産地と多い。 &/5'٣͐Ǹূ‫ܬ‬਱ǵ๬ׂǤǬұُ࣎ࢴ 1.
&/6'ȋǮǷǘԘȀߎ೉ǸǏȘূǻұُ‫ؓݣ‬ǵ๬ׂǤǬұُǻ࣎ࢴ 31
 また、まちづくりとくらしづくりについて、業種ごとに1 &/7'ұُԐහਹǻՋϡ 5/
/.,૟ଛ‫ܬ‬դȟ‫݋‬ǕȘԭߩҤՉDzǜȗ
産地当たりの平均取組項目数について分析する(表3、図6) 。 &0.'࢐ߩՂ়ȋǮDzǜȗǻ࣎ࢴ 7
&0/'శǤǜีٛǷԭߩҤՉǻࣸయý /1
陶磁器はまちづくりが全22項目中8.7項目、くらしづくりは &00'޳Ǒ‫ޤ׋ؽ‬Ăٟ‫߿חח‬ϬǸԭߩ‫݋‬έ /0
//,૟ଛٟ‫ח‬ǵ൙तǸ‫ץ‬ȀDZǑǬ਱͐ߩൡǻǜȖǤDzǜȗ
全18項目中7.8項目と多く、漆器、金工、和紙が多く取り組 &01'਱͐ߩൡǻ૟ଛٟ‫ח‬ౠǻܺෟ঩ࢴ 15
んでいる。まちづくりとくらしづくりは比例しており、取り &02'਱͐ߩൡǻ૟ଛ‫ܬ‬դȟ৒؋ǦȘǜȖǤǻ࣎ࢴ 17
&03'૟ଛ‫ܬ‬դǻࢠՙȟ‫݋‬έǦȘ݆ൡѪବǻ࣎ࢴ 01
組んでいる産地はどちらも取り組んでいる傾向がみれる。 /0,਱͐ǻՑ͑ǻࡸǸ૟ଛٟ‫ח‬ȟѪǘǤdzǑǜ
&04'࠺ੈњऀĂ‫ऀٱژ‬ǸȕȘ૟ଛ‫ܬ‬դǻ৒؋ 76
 以上の分析より、ものづくりに関する施策は多いが、 「伝 &05'਱‫؍‬њ‫ٱ‬Ǵ૟ଛٟ‫߈ח‬դ&‫'ۖڌ‬ǻЭध 44
&06'૟ଛٟ‫ח‬ౠȟ਱‫؍‬њ‫ٱ‬Ǵܺෟ 15
統工芸産業観光まちづくり」を中心としたまちづくりや、 &07'૟ଛٟ‫ח‬ǸҸǦȘ݆ൡ‫ۖڌ‬Ăऀињߚ 27
ǜ
/1,ಕ‫ݕ‬ǻੈǸ૟ଛٟ‫ח‬ȟѪǘǤdzǑǜ
「地域の教育の場に伝統工芸を活かしていく」などのくらし Ȗ
&1.'‫ژ‬๜‫ޤ‬ȑ࡯д‫ٖޤ‬Ǟǻ૟ଛٟ‫ח‬ǻ݊ଯԘȀՑ‫ތ‬ǻЭध /0
Ǥ
06
づくりなど、 ものづくりだけでなく多様な側面から産地全体 Dz
&1/'‫ژ‬๜‫ޤ‬ǻٟ‫ࢷ࢐ח‬ǻਰֽǵӹ߿ǵ‫׊‬؋ǻѪෟ
5
&10'૟ଛٟ‫ח‬ȟෟǑǬಕ‫ݕ‬ෟ࠲ౠǻ‫׾‬ԤЭ௧
ǜ
の活力を上げていく取組が行われていることが分かる。 ȗ
&11'‫ژ‬๜‫ޤ‬ǻٟ‫ࢷ࢐ח‬ǬǮǸ৔ǦȘ‫݋‬έ 6
/2,૟ଛٟ‫ח‬ȟəĘȹǵǤǬ਱͐ߩൡȳɟɥɋɆȣǻ঩ࢴ
Q   &12'૟ଛٟ‫ח‬ȟəĘȹǵǤǬ਱͐ߩൡǻ‫ي‬บȟ঩ࢴǦȘ८࢏ǻधต 7
&13'਱ք‫ݨڊ‬ȅǻ૟ଛٟ‫ח‬ಬϡǻଯ୺ 20
 事業所や販売額の縮小という産業として活力が低下し、 一 &14'૟ଛٟ‫ח‬ȟəĘȹǵǤǬ਱͐ߩൡ‫ي‬บѪବ 03
&15'਱͐ߩൡ‫ي‬บ԰૞‫ݎ‬धǻࣸయ 00
貫生産や直売に社会構造が変化している。この状況の中で、 /3,૟ଛٟ‫ח‬ȟəĘȹǵǤǬ਱͐ҶĂЦв‫ي‬บ঩ࢴ
&16'૟ଛٟ‫ח‬ȟəĘȹǵǤǬ‫ي‬บ८࢏ǻधต 0/
産業風景づくりや製造現場での見学・体験を促進するなどま &17'૟ଛٟ‫ח‬ȟෟǑǬ਱͐Ҷǻ‫ي‬บѪବ 20
&2.'૟ଛٟ‫ח‬ȟෟǑǬв‫ࢷڧ‬ǵǻ‫ي‬บѪବ 1/
ちの魅力を高めて来訪者の増加を目指している。 また伝統工
芸を活用した教育やコミュニティづくりをおこなうなど地域  P ! N  !"#$%&"'()*+
住民のくらしづくりを行い、 地域としての総合力を高めてい (注:ものづくり全 6 項目、まちづくり全 22項目、ものづくり全18 項目)
くことを行っている。業種ごとにその差異は見られ、一貫生  ग़դ޿ ࢏ಞ ଧ‫ݷ‬ӏ ‫ޏ‬ӏ ਿඊٟ վٟ ಝਧ ຌ‫ ݘ‬ಬ֍ ࢷֻ ٟࠢ‫ח‬
&/.5' &0/' &/3' &/0' &/4' Ħ5ħ Ħ5ħ Ħ3ħ Ħ5ħ Ħ3ħ Ħ/0ħ

産・直売が多い陶磁器がその傾向が強いことがわかった。 ȏǻDzǜȗ 1,6 2,. 2,/ 2,0 2,. 2,7 0,5 1,4 1,2 1,. 0,6

  ȋǮDzǜȗ 4,. 3,3 6,5 5,3 3,2 4,7 0,7 5,0 3,4 4,. 1,7

Q==K  !"# ! !"#$%"&' ǜȖǤDzǜȗ 3,4 3,1 5,6 4,5 3,6 3,7 /,7 4,. 3,2 3,4 1,6

N !"# ‫בڝ‬ /3,1 /2,7 0.,3 /6,1 /3,/ /5,4 5,2 /4,6 /2,2 /2,4 /.,4

 芸術家についての要件として「貴産地において芸術家と 7,.
ଧ‫ݷ‬ӏ
6,.
はどのような人を想定していますか」という質問をヒア 5,. ‫ޏ‬ӏ
ਿඊٟ ࢷֻ
リング調査で行い 45 産地(49 産地中)の回答があった。こ ǜ
4,. ຌ‫ݘ‬
ಬ֍ վٟ
の結果、個性・芸術性がある作品のデザイン・開発などに Ȗ 3,.
Ǥ ٟࠢ‫ח‬ ࢏ಞ
2,.
Dz
活躍している作家としたものが 21 地区、国や県の認定資 ǜ 1,.

ȗ 0,.
格である伝統工芸士の称号を取得している方としたものが ಝਧ
/,.
20 地区、伝統工芸品を素材として使用する作家としたも .,.

のが2地区、その他としたものが4地区であった(  .,. 0,. 2,. 4,. 6,. /.,.

複数回答が 1 箇所づつあり、これを含んでいる) 。 ȋǮDzǜȗ

O !"#$%&'!()  S !"# N  !"#$%&'


芸術家数の変遷(図 7)より、92 産地中、過去 20 年間  (注 まちづくり全 22 項目、くらしづくり全 18 項目)

- 817 -
㧔␠㧕ᣣᧄㇺᏒ⸘↹ቇળㇺᏒ⸘↹⺰ᢥ㓸0Qᐕ᦬
Journal of the City Planning Institute of Japan No. 41-3, October, 2006


で芸術家が「増えている」と回答した産地が 7 産地、 「少
6 / 1 3 0 1 / 1 0 ࢏ಞ
し増えている」が 10 産地で、実際増加していると回答し ؒǰdzǑȘý
ଧ‫ݷ‬ӏ
2 0 0 / 1 0
た産地は少ない。図 1 で事業所数が増加している 8 産地 ࠻ǤؒǰdzǑȘ
2 / 1 0 ‫ޏ‬ӏ
ਿඊٟ
中 6 産地は芸術家数が増加しており、事業所数が増加し 2 2 1 1 1 / / 2
վٟ
,Ǐȋȗ೅ȜȖǷǑ /
ている産地では芸術家数は増加傾向であると言える。 ಝਧ
0 3 / / /
ຌ‫ݘ‬
業種ごとには陶磁器、竹木工などが増加している。 ࠻ǤণǕdzǑȘ
ಬ֍
 しかし芸術家の重要度と変遷(表4)をみると、現在「重 ণǕdzǑȘ
/ 0 1 /
ࢷֻ
ٟࠢ‫ח‬ౠ
要である」と回答した産地は 100 産地中 60 産地(60%)と
. 3 /. /3 0. 03 1.
多く、 「やや重要である」16産地と合わせると大半の産地で
 TW !"#$=EåZVOF
芸術家が重要であると考えている。これを業種ごとに「重
要である」と回答した比率を見ると、竹木工は 92%と極め  QK= !"#$%&'  !"
 !"#$%
て高いが他の業種についてはほぼ平均60%と同程度である。 ‫߿ח‬Ϭǻ߳෥૷
࢏ಞ ଧ‫ݷ‬ӏ ‫ޏ‬ӏ ਿඊٟ վٟ ಝਧ ຌ‫ ݘ‬ಬ֍ ࢷֻ ٟࠢ‫ח‬ ‫בڝ‬
ؕ۳ 0.உॖ
 また20年前の重要度との変化を見ると、20年間で芸術家 /,߳෥ǴǏȘ 7 2 4 7 2 2 0 2 0 2 26
の重要度が上がった産地は合計 23 産地(23%)であり、特 /,߳෥
0,ȑȑ߳෥ǴǏȘ / / / /
1,౷ઌ 0 0 / / 4.
ǴǏȘ /0
に陶磁器が 14 産地中 6 産地(43%)の産地が重要性が増加 2,ȑȑ߳෥ǴǼǷǑ /
3,߳෥ǴǼǷǑ /
している。 /,߳෥ǴǏȘ / /
0,ȑȑ
P ! !"#$%&'("&)* ߳෥Ǵ
0,ȑȑ߳෥ǴǏȘ / 1 / 0 / / 7
/4
1,౷ઌ / / / /
ǏȘ 4
 芸術家数の増加と生産体制との関係を表 5 に示す。芸術 3,߳෥ǴǼǷǑ / /
0,ȑȑ߳෥ǴǏȘ / /
家が増加している産地を見ると、 76%が一貫生産である。こ 1,౷ઌ 1 / / / 0 / 2 /1
1,౷ઌ /4
2,ȑȑ߳෥ǴǼǷǑ
れは芸術家が減少している産地において58%が一貫生産で 3,߳෥ǴǼǷǑ
/
0
/
あることと比較すると、一貫生産の割合が高い。 2,ȑȑ 1,౷ઌ / /
߳෥Ǵ 2,ȑȑ߳෥ǴǼǷǑ / / 3
 芸術家数の増加と販売体制と関係を表 6 に示すが、芸術 ǼǷǑ 3,߳෥ǴǼǷǑ / / / 1
3,߳෥
家が増加していることと、 販売体制との関係は見られない。 ǴǼǷ
3,߳෥ǴǼǷǑ / / / 1 1

‫בڝ‬ /7 /2 /0 /1 5 5 3 4 3 /0 /.. /..


 次に芸術家が増加した産地(17 産地)への電話ヒアリン ߳෥ǵЗଘǤǬ‫ܬ‬਱ǻѦ‫ڝ‬ 36# 35# 36# 70# 35# 35# 4.# 45# 2.# 20# /..#
グにより、芸術家の増加と生産・販売体制との関係を聞き、
 RK  !"#$%&  SK  !"#$%&'
15 産地からの回答を得た(表 7) 。この結果、9 産地は関係  !"#$  !"#
がないと回答したが6産地は次のような関係性を指摘した。 ऀ‫ܬ‬৒ࣱ
‫בڝ‬
ఆா৒ࣱ
‫בڝ‬
͔ҳ ͔ҳಠդ ಠդ ੾ா ੾ாඔϔ ඔϔ
 芸術家の増加が生産・販売体制に与える影響として、 「作 ণϧǤdz /1 . 2 /5 ণϧǤdz 5 5 1 /5
‫ח‬ ǑȘ 54# .# 02# /..# ‫ח‬ ǑȘ 2/# 2/# /6# /..#
品の独自性・芸術性を求めて一貫生産を行うため」とした ߿
೅ϡǷǤ
// 1 3 /7 ߿
೅ϡǷǤ
5 5 3 /7
Ϭ 36# /4# 04# /..# Ϭ 15# 15# 04# /..#
産地は 2 産地、」「消費者の声を直接聞くため、個展などで ࣞ ؒ࠻Ǥdz 07
36#
2
6#
/5
12#
3.
/..#
ࣞ ؒ࠻Ǥdz /7 0/ /. 3.
ǑȘ ǑȘ 16# 20# 0.# /..#
直売するため」と回答した産地は 1 産地見られた。 ‫בڝ‬
31
40#
5
6#
04
1.#
64
/..#
‫בڝ‬
11
16#
13
2/#
/6
0/#
64
/..#
 また生産販売体制が芸術家の増加につながっているとし
 TK  !"#$%&'()*+%",-.
たものは、 「直売により展示発表する機会が増えることで職
‫߿ח‬Ϭǻণϧǵऀ‫ܬ‬ఆா৒ࣱǵǻ͠ϰҸֲ Ҹֲ৒ࣱ ‫ܬ‬਱‫ܬ ࣞ؜‬਱൮
人や若い後継者の創作意欲を高め、芸術家の増加につなが
૴ಊࡒ
‫߿ח‬ϬŤऀ‫߿ח ܬ‬ϬǼ‫܂‬ౠǻୄ‫ࣵݻ‬Ă‫ࣵ߿ח‬ȟԟȎȘǬȎ͔ҳ ͔ҳऀ‫ܬ‬ 0
る」 「一貫生産・直売は個人で行うことが出来、ものづくり ఆா৒ࣱǻণ
ऀ‫ܬ‬ǦȘÿ శகࡒ
ೀ౲݆
に魅力を感じている人が芸術家になる」という回答が 1 産 ϧ ‫߿ח‬ϬǼ੾Ǹࡏ఩‫ޤ‬ǻऄǙಭǞþ࠲ౠǻɇȶȤɳ
ࣵǷǶȟٖࡱǢǨȘǬȎþ‫؜‬૖ǷǶǴ੾ாǦȘÿ
੾ா /
ਿۭٟ
地ずつ見られた。これらは陶磁器であり、直売・一貫生産 ੾ாǸȕȘٟ‫ח‬ౠȟ૖‫ݸ‬௧౓ǦȘӟЕǙৃǜǷ
੾ா / घ‫ࡒ؃‬
ȗþ࢐ࢷȑ޳Ǒ‫ޤ׋ؽ‬ǻॵ‫̽܂‬෭Ǚ‫ژ‬ȎdzǤdzǑ
ȘǻǴþ‫߿ח‬ϬǻণϧǸරฆǴǏȘÿ
が芸術家の増加につながったとしている。また、分業生産
ऀ‫ܬ‬ఆா৒ࣱ ͔ҳऀ‫ܬ‬Ă੾ா৒ࣱǸǗǑdzǼþٟ‫ח‬ౠǻࣱ‫܂‬ǘ
͔ҳऀ
が芸術家(伝統工芸士)の増加につながったとする意見も Ť‫߿ח‬Ϭǻণ ȖþఆாȋǴ‫ࢷ؜‬Ǵ‫ڊ‬ǓǠǵǙǴǚȘǬȎþȏǻ
Dzǜȗǻൕ฻ȟҖǥdzǑȘǘȖ‫߿ח‬Ϭȑ࢐ࢷǸǷ ‫ܬ‬Ă੾ா
/ Ρॖࡒ
ϧ ȗǬǑೱǙণǕdzǑȘÿ
存在している。
૟ଛٟ‫݀ח‬Ǽþऀ‫ܬ‬ٟસǻшಊ඗ǡǵǸ஁પǙǷ
ಠդऀ‫ܬ‬ / թऀ࢏
 以上より、一貫生産は「作品の独自性・芸術性を求める」 、 ǢșdzǑȘǠǵǘȖþಠդऀ‫ܬ‬৒ࣱǵ‫߿ח‬Ϭǻࢷ
ࣞণϧǸǼҸֲǙǏȘÿ

「ものづくりに魅力を感じる」 という芸術家の志向性と合致 ҸֲǷǤ 7

して、芸術家の増加と関係があると考えられる。 地)をきっかけとしている。また美濃焼のように著名な作家
Q !"#!$%&'()* が多く、それにあこがれて二世作家が多くなる場合もある。
 表 8 より、芸術家の増加の仕方と要因について分析する  地元の主婦など一般人から伝統工芸士になる産地もあり、
(8)
。既存の職人が作家や伝統工芸士になる型が 14 産地中 5 豊岡市豊岡杞柳細工は、後継者教室の授業を受け、伝統工芸
産地と最も多く、これは国の伝統工芸に指定されたのを 士の資格を得ることで、芸術家が増えている。
きっかけとしているものが 4 産地と多い。  家業の分家・分業で芸術家が増加している型は、伊賀
 次に後継者が作家や伝統工芸士になるものが 4 産地と多 焼がある。趣味をかねて焼き物を作りたい人が増加し弟
く、後継者育成事業(2 産地)や国の伝統工芸の指定(1 産 子ができると、兄弟が別れて家業を分家したり、子が親

- 818 -
㧔␠㧕ᣣᧄㇺᏒ⸘↹ቇળㇺᏒ⸘↹⺰ᢥ㓸0Qᐕ᦬
Journal of the City Planning Institute of Japan No. 41-3, October, 2006


から独立し分業することにより、それぞれが芸術家とな いる割合ともに高い。
るため芸術家が増加している。 O !"#
 他地域から流入して増加している型は、越前焼きで、後継  また図8の下図は、これらの取組項目ごとに芸術家の取組
者育成制度をきっかけに、産地に流入している。 方を聞き、芸術家の役割として分類したものである。「技術
 また工芸品の作成ではなく、工芸品を使う作家が増加して を伝承し教える」「展示・発信・発表する」
「新商品のデザイ
いる産地があり、美濃和紙では和紙が手に入りやすいという ン提案」
「体験指導を担う」「交流を担う」などの多様な役割
理由で作家が増加している。 を担っている。これらの役割は、くらしづくりにおいて多い
 以上のように既存の職人から芸術家になる産地が多いもの こともわかる。
の、著名な作家へのあこがれ、一般人や他地域からの流入、  さらに産地にとって芸術家が重要である理由を聞いたとこ
工芸品を使用する芸術家の出現なども見られる。また芸術家  UK= !"#$%&'!"()*+
までいかなくても趣味で行う人が多くなれば、弟子が多くな (注 彦根仏壇と美濃和紙は複数回答)
ণϧǚǰǘǞþ؎͠
り人材の底上げとなって芸術家の増加につながる。産地全体 ‫ܬ‬
ণϧ์ֹ ય݄&߁ ؎۴อǙ ౓ࡀ ਗ਼൮Ƿ ିǸǷ ਱
‫ڧ ͑ޤ׋ؽ‬ǻ݊પ
の魅力づくりや生活に工芸を取り入れるなど、工芸に関わる ൓‫'ޤ‬ǻ ޺Ǹ୺ȗ ࣱ૷ ‫܂‬ϬǙ Ǥ
ণϧ
ࣶ‫ݨ‬դ
ȑǦǜǷ ৃǑ

/ 2 Ș /
人材の底上げが必要である。また後継者育成制度や国の指定 ೀ౲݆ਿ ‫إٴ‬ඊඌ‫ڴ‬ ఽ‫ۀ‬
ӛ়࢐ࢷŤ ۭٟ ࢷֻ*թऀ ಝਧ 3
や表彰制度は芸術家の増加に一定の役割を果たしている。 ‫܂‬ϬĂ૟ଛٟ‫݀ח‬ ࢏*घ‫*ࡒ؃‬
ఽ‫ۀ‬ಝਧ
0 / /
‫ޤ׋ؽ‬Ť ผԣᙦ* ૴ಊࡒ శகࡒ
RK  !"#$%&'()*+",- ‫܂‬ϬĂ૟ଛٟ‫ ݀ח‬ςЕઅೈ
2
Ȍ८ۭٟ
ENF !"#$%&'()*+, ͔ఄǻೱĦ޷౮
/
೿ϐዀඨ /
ଗħŤ૟ଛٟ‫ۭ ݀ח‬ٟ
 図 8 は、芸術家が重要であると回答した全 60 産地(回答
/ Ƒ
̳Аࡒ ਒஢ต 0
は 49 産地)について、まちづくり、くらしづくりのそれぞ ϬդǻಠϬĂಠդ
ٰࡒ
れの取組ごと(表2の小項目)に、取り組んでいる産地数の /
ূ਱͐ǘȖǻบ୺ Ρॖࡒ /

割合と、 そのうち芸術家が関わっている産地数の割合を示し ٟ‫ח‬ౠĦຌ‫ݘ‬ଗħ


/ /
శகຌ శகຌ‫ݘ‬ /
ȟܺǓ‫܂‬Ϭǻণϧ ‫ݘ‬
たものである。
‫בڝ‬ 3 3 0 / / / /2
 全体の傾向として芸術家が関わっている割合がまちづくり
 V== !"#$%&'(
よりもくらしづくりの方が高い。 「(26)小中学校・高校生に
‫߿ח‬ϬǻජѦ ‫ܐ‬ਕǜֻߣϐƽߗ෉ǘƳǼ෯ඥ ‫ܬ‬਱ࣞ
よる伝統産業の体験」 (83%)、
「(27)地元学校で伝統工芸授 ֥ࢫƣ‫࣭ׄٷ‬ƨ‫܂‬झLJॴǀƈƝƁ࢟ຑ 
ӹ߿ȟ૟ࡁǤՑ ‫ࢫڃ‬ҘƣॣঊƁ‫ھ‬ƘƛŹǀƀƾ¦ূƀƾƣ֥ࢫLJƙƟŹƜŹƄƔƶ࢟ຑ
業の開設」 (61%)は、取組産地数の割合も高いが芸術家が ǕȘ ƠƟƘƛŹǀ

ߘ૝ƣ۩‫ࡐٷ‬ƣϽঢƹߘ૝ԖডҍƠ઀ƌƛગৎƜŷǀ 
関わっている割合も高い。また「 (39)伝統工芸を用いた地 ૖‫ݸ‬Ă௧࢘Ă ‫ࢫڃ‬Ҙƣಓ೿ƎǀƈƝƟƞƠƽƿ¦ߘ૝ƣ24LJƌƛŹƄƈƝƁҔృƜŷ

௧౓ǦȘ ǀ
域間の交流活動」 (69%)「(34)伝統工芸をベースとした地 ‫ࢫڃ‬ҘƤߘ૝ƣ௫๧ƣƷƣLJࡥƿ¦ޮഌƣ‫ࢫڃ‬ডª௰ࠧডƷ೿‫ہ‬ƜƂǀ 
ࢡ࠲ౠǻɇȶȤ
஋ே‫ڃ܋‬ഌƣবߘƠƤ‫ۈ‬൬ƣdzÀǢƠ݉DŽƐƛޮƘƛŹƄƔƶ¦‫ڃ܋‬ഌ
域住民交流活動」 (60%)は、取組の産地の割合はさほど高 ɳĂળ̮
ƣǯǞnjțডƁ࢟ຑƜŷǀ

৒؋݊ଯȟਖǓ ࣦ૴Ԇ‫ܝ‬ƣ੾‫ڷ‬ƟƞLJସƌƛ‫׽‬ŽƛŹƄƔƶ࢟ຑƜŷǀ 
くないが芸術家が関わっている割合は高い。 ‫ࢫڃ‬ҘƣԖ௘Ơƽƿ¦ଚƣഀґƁझƁƿ¦‫ࢫڃ‬ƣƳƖƝƌƛ૜ƾǁǀƽ

‫ي‬บȟਖǓ ŻƠƟƘƔƣƜ࢟ຑƜŷǀ
 また、まちづくりでは、 「
(16)伝統工芸産業の製造現場で ‫ࢫڃ‬ҘƠƽǀߘ૝ƣբƣ۶ໆƁ࢟ຑƜŷǀ 
‫ࢫڃ‬ҘƣޮഌƠǾȑțDZบƹޮҘบƁƙŹƛ¦ഗғґ૛LJ࠾‫ہ‬ƜƂǀƔ 
見学・体験」 (78%)取組産地数の割合、芸術家が関わって Ǫǻূ ‫ࢫڃ‬ҘƤ૝ϼƣ‫ߘޢ‬ƝƟƿ¦૝ϼƣۜƿƝƟǀƔƶ 
‫ࢫڃ‬ҘƤ૝ϼ࢕ญƣবԖƠණƀƊƝŻǀſŹLJ๹ŽǀƔƶ 

޸ȗ८ȠǴǑȘ‫ܬ‬਱ࣞǻѦ‫ڝ‬ ‫߿ח‬ϬǙҸȜǰdzǑȘ‫ܬ‬਱ࣞǻѦ‫ڝ‬
/..# 71#
64#

6.# 61#
47#
56# 43# 43# 4.#
4.# 35#
3.# 3.# 32#
4.# 27# 3/# 3.# 3.#
25# 25# 22# 20#
2.# 2.# 20# 4/#
2.# 16# 16# 14# 14#
2.# 11# 11# 11# 14# 15#
03# 05# 03# 03# 1.# 25# 06# 11#
03# 0.# /5# 2.# 15# 0/#
/0# /6# /7# /7# 0.# /4# 0.#
13# 06# 13# 04# /0# 06#
0.# /.# /0# 04#
7# /7# 7# 7# 5#
3# 3# 5# 5# /0#
/2# /0# /5# /0#
//#
.#









































਱͐ࢠՙǻ޸८‫ږ‬ඌ
ȋǮDzǜȗ ǜȖǤDzǜȗ
֥ࢫLJ஋࣭ƌ‫׽‬
Ř Ř Ř Ř
‫ח‬ Žǀ
ஂࠤªಓॄªಓ
߿ Ř Ř Ř Ř
೿Ǝǀ
Ϭ ्ࣞഌƣǯǞnj
ǻ Ř Ř Ř Ř
țªୟϚ
ජ ੾‫߶ڷ‬௛LJૂŻ Ř Ř Ř Ř Ř
Ѧ ۶ໆLJૂŻ Ř Ř Ř Ř Ř Ř Ř Ř
ƒƣ੮ Ř Ř Ř Ř Ř Ř Ř Ř Ř Ř

 U !"#$%&'()*'+,-.&()*'/0
(注)1. 地域振興の取組項目の番号は表 2 のまちづくり、くらしづくりの取組の小項目の番号を示している
2.芸術家の役割は地域振興の取組項目ごとに芸術家がどのように関わっているか聞き●で示した。●がない欄は聞き取れなかった項目。

- 819 -
㧔␠㧕ᣣᧄㇺᏒ⸘↹ቇળㇺᏒ⸘↹⺰ᢥ㓸0Qᐕ᦬
Journal of the City Planning Institute of Japan No. 41-3, October, 2006

ろ(表9)
、「技術の継承及び向上を図ることが重要」は15産 し伝える」など多様で重要な役割を果たしている。またこの
地と最も多くなっており、 「技術を伝承し教える」役割に対 ような産地の魅力や人材の底上げを行うことは芸術家の増加
する重要性が指摘された。 また芸術家による取組で多かった にもつながっており、
「芸術家による多様な地域振興の取組」
「体験指導を担う」 (1 産地)「交流を担う」
(3 産地)を指摘 「産地の総合力を高め人材の底上げをする」「芸術家の増加」
する産地は少なかった。その他の役割として、 「芸術家は地 の3つが互いに共振するまちづくりを行っていくことが重要
域の財産となり、誇りとなる」 「芸術家は地域住民の生活に である。現在陶磁器などの一貫生産・直売制の業種は「作品
豊かさとうるおいを与える」など、具体的な活動でないが存 の独自性・芸術性を求め」、
「ものづくりに魅力を感じる」と
在自体に地域貢献の役割を担っているという意見があった。 いう芸術家の志向性と合致し良い関係を築く可能性がある。

SK  
(1)参考文献 6)参照
本研究では全国の伝統工芸産地を研究対象とし、芸術家 (2)この3 つに着目した理由は、国土交通省(旧国土庁)の「MONOま
ちづくり」において都市と産業の発展を関係づけているように、本研
の増加とその要因、生産体制・販売体制の変化、地域振興の 究でも都市と産業は互いに育みあいながら発展するという前提に立っ
取組、 およびその取組における芸術家の役割についての実態 ているからである。特に都市の施策については「まちづくり」 「くらし
づくり」に区別し下記の通りとした。
把握と、それぞれの関係を分析した。得られた知見は以下の 「ものづくり」は就業の場として産業活動を発展させる産業振興を示
通りである。 す。 「まちづくり」は、住む場・訪れる場として美しく活力のあるまち
の形成や環境づくりを示す。 「くらしづくり」は、住む場として、歴史
(1)販売体制は、20 年間で問屋制から直売制が多くなって や産業で培われた地域文化を活かした豊かなくらしの構築を示す。
(3)伝産法の指定を受けている工芸品を対象とした理由は、指定を受
いると多くの産地で回答している。また現在「陶磁器」は直 けた産地では振興計画を作成し、それに基づいて事業を行うのに必
売制・一貫生産ともに多い。 要な経費の一部を国、都道府県等から助成を受け、産地全体で振興
を図ろうとしており、産地の地域振興施策に着目する本研究の目的
(2)地域振興の取組を見ると、ものづくりに関する施策は と合致しているからである。また市町村を調査対象としているのは、
多いが、それだけでなく「伝統工芸産業観光まちづくりを中 都市と産業を含む地域全体の振興施策を対象としているためである。
さらに 1 つの工芸品で生産地が複数の市町村にあるものは 153 品目あ
心としたまちづくり」や「地域の教育の場に伝統工芸を活か り、産地組合がある市町村は事業所が多く集まる産業の中心と考え、
これを調査対象産地と設定した。
していく」などのくらしづくりなど、多様な側面から産地全 (4)伝統工芸品の業種の区分は伝産法にしたがって品目を 15 区分した
体の活力を上げていく取組が行われていることが分かる。 陶 上で、 「織物」、「染色品」、「その他繊維製品」はまとめて「繊維」と
し、 「竹工品」 、「木工品」はまとめて「竹木工品」とした。また「そ
磁器が特にその傾向が強い。 の他工芸品」 、
「工芸用具・材料」 、「石工品・貴石細工」はまとめて
「諸工芸品」とし、全体で 10 業種の区分とした。
(3)芸術家が増加している産地は少ないが、芸術家が重要 (5)アンケート調査項目は次の通りである。 !" !"#
であると回答した産地は多い。 また近年陶磁器の産地では芸  !"#$%&'()*+, !" !"#$%
 !"#$%&'()*+$,-.!"#/012345!6
術家の重要度が増していると回答している。一貫生産は「作  !"#
品の独自性・芸術性を求める」 、「ものづくりに魅力を感じ (6)本来ならば、全国からデータを収集すべきであるが、本研究は中
部 5 県の中でデータ収集可能な産地に絞って収集した。本研究の研究
る」という芸術家の志向性と合致して、芸術家の増加と関係 結果はこの条件から得られる範囲とする。また備前市は中部圏では
ないが参考にした。
があると考えられる。 (7)この調査での「芸術家」についてはアンケート及びヒアリング回
(4)芸術家の増加は、既存の職人や後継者だけでなく一般 答者が考える芸術家を「芸術家」と設定し回答を得た。ヒアリング
回答者が考える芸術家については 4 章(1)芸術家の要件で分析した。
人や他地域からの流入、 工芸品を使用する芸術家の出現など  !"Q N !"#$ !"#$%
(8)  !
も見られる。 また趣味で行う人が多くなり弟子が多くなるな  !"#$ !"#$%&'()* !"#
 !"#$%&'  !"#$ !"#$%&'()*+
ど人材の底上げとなって芸術家が増加することもあることか  !"#$%&'()*+,-.+/  ! !"#$%
 !"#$ !"#$%"&'()*+,-./0'
ら、芸術家の増加には、産地全体の魅力づくりや生活に工芸  !"# !$
を取り入れるなど工芸に関わる人材の底上げが必要である。
 !
(5)地域振興の取組において、芸術家は技術を伝える、体 1)戸田和宏・渡辺貴介・村田尚生:伝統的工芸品の観光的活用手法に
験指導を行う、展示・発信・発表をする、新商品のデザイン 関する研究 日本都市計画学会 p271―p276,1996 年
2)玉井明子・久隆治:地場産業都市における観光活動設計とまちづく
提案をする、交流を担うという役割を果たしており、そのこ りに関する研究 日本都市計画学会 ,pp355 ∼ pp690,2000
3)佐久間康富・後藤春彦: 「ファクトリーツーリズム」の可能性と限
とによってものづくりだけでなく、まちづくり,特にくらし 界 - 墨田区におけるニット産業を事例として - 日本都市計画学会
づくりの地域振興の取組に多様に貢献している。また、特に pp355~pp690,2000
4)栫 恵利香・吉武 哲信・出口 近士:芸術家の居住地選択および
「技術を伝承し伝える」役割の重要性が指摘されている。 居住環境評価に関する基礎研究 、日本都市計画学会論文集 38-3、14、
pp79-84 ,2003
以上得られた知見をまとめると、事業所や販売額の縮小 5)小森宗泰・野嶋慎二:愛知県常滑市における旧工場の活用に関する
により産業として活力が低下し、 販売体制が直売になるなど 研究、日本建築学会計画系論文集、597,pp85~pp91 、2005
6)藤原肇:ものづくり都市の再生、ぎょうせい、2005 年
社会構造が変化している。この状況の中で、産業風景づくり 7)鯖江ファッションタウン計画2000:鯖江ファッションタウン推進協
議会、2000 年
や製造現場での見学・体験を促進するなどまちの魅力を高め 8)第四次土岐市総合計画:土岐市 ,1995 年
て来訪者の増加を目指し、 また伝統工芸を活用した教育やコ 9)輪島総合計画:輪島市 ,2001 年
10)とこなめ 21 世紀計画:常滑市 ,1996 年
ミュニティづくりをおこなうなど地域住民のくらしづくりを 11)山中町中心市街地活性化基本計画:山中町 ,2001 年
行い、 地域としての総合力を高めていこうとしている産地も 12)備前かえる計画:備前市 ,2003 年
13)クリエイティブ・ジャパン:クリエイティブ・ジャパン実行委員会
見られる。このような取組において芸術家は、 「技術を伝承 ,2005 年

- 820 
-

You might also like