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浮 遊 式 海 洋構 造 物 の設 計 シス テ ムに つ い て
浮 遊 式 海 洋構 造 物 の設 計 シス テ ムに つ い て
(昭和53年5月 日本 造 船 学 会 春 季 講 演 会 に お い て講 演)
浮 遊 式 海 洋 構 造 物 の 設 計 シ ス テ ムに つ い て
正員 秋 田 好 雄* 正員 岸 康 太 郎**
正員 田 代 新 吉* 正員 杉 村 泰**
正員 吉 識 恒 夫**
Summary
Various types of offshore structures including drilling rigs , platforms, etc. have been built.
These days, they are requested to have better working performance in severer state of sea
and weather, and as a recent trend, they are becoming larger in size and more complex .
However, they appeared just several decades ago, and the data to design them is not ac-
cumulated so much as general ships. These structures are to be designed under the rational
and synthetic estimation of behaviors in sea, and the safety is also to be confirmed experi-
mentally or analytically.
For that purpose, the authors have developed the total system of computer program for
design and analysis for floating offshore structures. The system made it possible to realize
the rational and consistent evaluation on the behaviors and the safety of them .
This system consists of an integrated group of individual programs which includes hydro-
static calculation, tank capacity calculation, trim and stability calculation for intact and da-
maged condition, analysis on the oscilating motion of the structures among regular waves
and wave force calculation, the statistical analysis on each response of the structures among
irregular waves, etc.
Furthermore, this system can be used individually or successively according to the needs
in every stage of design or analysis.
In this paper, outline of this system is presented with examples of calculation using this
system for the existing semi-submersible catamaran drilling rig , from which the reasonable
results were gained.
解 析 を行 な う必 要 が あ る。
1 緒 言
この よ うな 背景 の も とに,浮 遊 式 海 洋構 造 物 の波 浪 中
従 来,石 油 掘 削 リグに 代 表 され る数 多 くの 浮遊 式 海 洋 に お け る運 動 お よび 強 度 解 析 を 行 な う設 計 シ ス テ ムが,
構 造 物 が 建 造 され て きた が,近 年,こ れ らの操 業 海 域 は, これ ま でい くつ か 発 表 され て い るが1)∼6),著者 ら は,浮
水 深 が 一段 と深 く,海 象 条 件 も厳 しい海 域 へ と移 行 しつ 遊 式 海 洋 構 造 物 の様 式 の 多 様 性 を 考 え,こ れ ら構 造 物 の
っ あ り,こ れ に 伴 い 構 造 物 の様 式 は ます ます 大 型 化,複 安 全 性 を 含 め た 総 合 的 な 評 価 の 可 能 な 設 計 シ ス テ ムを 目
雑 化 の傾 向に あ る。 的 と して,任 意 の 形 状 を 有 す る浮 遊 構 造 物 の 安 定 性 能,
この よ うな 海 洋構 造物 の設 計 に おい て は,従 来 の 船 舶 運 動 お よび 強 度 計 算 を 一 貫 して 行 え る プ ロ グ ラ ム シ ス テ
に見 られ る よ うな厖 大 な 実績 の蓄 積 が ない た め,実 験 ま ムの 開発 を 進 め て きた 。 最近,そ の 大 要 が 完 成 し,計 算
た は理 論 に よ り,上 述 の よ うな厳 しい 環 境 条 件 に お け る 結 果 の 妥 当 性 の 検 討 も行 な っ た の で,二,三 の計算例 と
構 造物 の挙 動 を解 明 し,そ の結 果 に つ い て,総 合 的 な 評 と もに,以 下 に 報 告 す る。
価 に基 づ い て設 計 を行 ない,ま た,安 全 性 確 認 の た め の
* (財)日 本 海 事協 会 2 シ ステ ム の概 要
** 三 井 造 船(株)
本 シス テ ムは,Fig.1に 示 す よ うに,大 別 して 次 の4
276 日本 造 船 学 会 論 文 集 第143号
が,ま た上 述 の よ うに必 要 な デ ー タを デ ータ フ ァイ ルを
介 して 受 け 渡す こ とに よ り,一 貫 して 使 用 す る こ と も可
能 で あ る。
次 に,各 モ ジ ュー ルに つ い て,そ の 概 要 を述 べ る。
海 洋 構 造 物 の構 造 様式 は,多 種 多 様 で あ り,今 後 どの
よ うな 様式 の 構 造 物 が 出現 す るか 予 測 で きな い の で,こ
の モ ジ ュー ル で は,対 象 とす る構 造 物 を で きる だ け広 い
範 囲 の もの を 含 め る よ うにす るた め,構 造 物 をロ ワ ーハ
ル,カ ラ ム,ブ レー シ ング な ど の構 造 要 素 に 分解 し,お
の お の に つ い て排 水 量,浮 心,水 線 面 積 な どを 求 め て合
計 す る方 法 を 採 っ て い る。 しか し,構 造 物 は 必 ず し も上
記 の よ うに 分解 す る必 要 は な く,ユ ーザ ーが 任 意 に入 力
Fig. 1 浮 遊 式 海 洋 構 造 物 設 計 シ ス テ ム構 成 図 で き,ま た,そ の 横 断面 形 状 も任 意 に 入 力 で きる の で,
つ の モ ジ ュー ル か ら構 成 さ れ て い る。 半 没 水 型 の 海 洋構 造 物 は も ち ろ ん,そ れ 以 外 の構 造物,
浪 外 力 を 計 算 す る部 分 で,こ の モ ジ ュー ルへ の イ ン プ ッ 分 解 され た 各 構 造 要 素 の
数 は,あ らか じめ こ の モ ジ ュー ル 内 に 内 蔵 さ れ て い る 表 わ して い る。 もち ろん,
が,モ デ ル テ ス トな ど に よ り求 め た 流 体 力 係数 を直 接 イ 入 力を す べ て マ ップデ ー タ
ン プ ッ トす る こ とも で き る。 とし て 入 力 す る の で は な
意 形 状 の海 洋 梅 造物 の静 水 中 お よび規 則 波 中 に お け る強 ま ま半 径,幅 等 を入 力 し,
ュ ー ル 五 よ りア ウ トプ ッ トさ れ る 波 浪 外 力 を荷 重 条 件 と セ ッ トで も入 力す る こ とが
し て計 算 す る こ とが で き る が,ま た 単独 に イ ンプ ッ トさ で き るが,ゼ ネ レー タ ーに
れ る波 浪,潮 流,風,重 量 デ ー タ を用 い て 独 自に 荷重 を よ りマ ップ デ ー タ に変 換 し
ジ ェネ レー トす る こ とも で き る 。 て お り,計 算 はす べ て この
モ ジ ュー ルIV1は,海 洋 波 中 に お け る応 答 の 統 計 予 測 を マ ップ デ ー タ を用 い て行 な
行 な う部 分 で,モ ジ ュー ル 】1また は モ ジ ュ ール 皿で 計 算 っ て い る。
さ れ る各種 の 応 答 に つ い て,短 期 また は 長 期 の 予 測 計 算 この よ うに して マ ップ で
を 行 な うこ とが で き る。 表 わ さ れ た 任 意 図形 の 面
これ らの 各 モ ジ ュ ー ル は,単 独 の 使 用 も可 能 で あ る 積,図 心 な どを,面 積 分 の Fig. 2 フロ ー チ ャ ー ト
浮遊 式 海 洋 構 造 物 の設 計 シ ス テ ム につ い て 277
こ とに よっ て求 め てい る。 わ され た 一 つ の平 面 と し て定 義 し て お り,い か な る傾 斜
な お,風 圧 モ ー メ ン トに つ い て も,任 意 の 姿勢 に お け
(6)
る風 圧 モ ー メ ン トを 計 算 で き る よ うに 計 画 中 で あ る。
弧 また は 二 次 曲線 の いず れ で あ るか に よ り,積 分 区 間 を っ て不 規 則 波 中 の応 答 を 推 定 す る,い わ ゆ る線 形 応 答 解
分 け て 積 分 を行 な う。 析 の手 法 が 広 く用 い られ て い る が8),海 洋 構造 物 の 運 動
こ の よ うに して,分 解 され た 構 造 要 素 の 各 横断 面 の水 に関 す る最 近 の研 究 に よ る と7),9)∼12),同
様 の 手 法 は,海
そ の ま ま,入 力 され た 横 断面 につ い て 積 分 した の で は, 造物 の運 動 を取 り扱 っ て い る。
る。 (c) 係 留 力 は 線 形 な ば ね で 近 似 で き る もの とす る.
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運 動 方 程 式(9)式 の各 流 体 力 係 数
を求 め るた め に,本 モ ジ ュー ルで は,
いわ ゆ る ス トリッ プ法 を用 い てい る。
す な わ ち,構 造 物 を 構成 す る 各 部 材
を,そ の軸 方 向 に ス ト リップ分 割 し,
各 ス トリ ップに 働 く2次 元流 体 力を 求
め,こ れ を 部 材 の 長 さ方 向 に積 分 し,
さ らに 構 造 物 の重 心 に つ い て の力 また
はモ ー メ ン トに変 換す る こ とに よ って
三 次 元 流 体 力 と して近 似 す る。 なお,
答計算におけ 体 力 は計 算 で きな い の で,本 プ ロ グ ラ
る部 材 座 標 系 ム で は,こ れ を 別 途 計 算 して い る。
い ま,構 造物 が波 浪 中 で6自 由 度 の 運 動 を して い る と
き,部 材 に働 く流 体 力を 考 え る。 簡 単 の た め構 造 物 の前
進 速 度 は0と す る。Fig.4の よ うな 部 材 を 取 り出 し,部
材 座 標 系o'-x'y'z'を 図 の よ うに と る と,部 材 の任 意 断
面 に 働 く流体 力 は,V',2,軸 方 向 の 力 と,x'軸 まわ り
の モ ー メ ン トに分 け られ る。v,方 向 に 働 く流体 力Fy'
は,
Fig. 3 運 動 応 答 計 算 に お け る座 標 系
(d) 流 体 力 は 次 の もの を 考 え る。
(i) 線形流体力 運 動 の 加 速 度,速 度 に 比 例 す る力 (10)
(radiation force),入 射 波 に も とず く力(Froude- と表 わ す こ とが で き る。 こ こで α,bは 断 面 の 付加 質 量 お
Kriloff force),入 射 波 の 反 射 に よ る力(diffrac- よび 造波 減 衰 係 数,v,,ψ,は 断 面 のv'方 向 変 位 お よびx
tion force),静 的復原力 軸 ま わ りの 回転 で あ り,π は断 面 代 表 点 に お け る波 粒 子
る。 表わす。
(10)式 は,任 意 の 部 材 断 面 に 働 く流 体 力 の 一般 的 な
表 現 で あ るが,実 際 に は部 材 の形 状,寸 法 に よ り(10)
(9) 式 の い くつ か の 成 分 は 無 視 し うる オ ー ダ ーの 力 とな る場
こ こ で,Xj は 構 造 物 重 心 の 各 方 向 変 位 で,j=1,2,…
合 が あ る。 そ こで 本 モ ジ ュー ル で は,ロ ワ ーハ ル の よ う
6は そ れ ぞ れx(surge),V(sway),z(heave),ρ(roll) に 大 き な断 面 を 有 す る部 材 と,カ ラ ム,ブ レー シ ング の
θ(pitch),ψ(yaw)に 対 応 す る 。 以 下,
よ うに 比 較 的 小 さな 断面 を有 す る部 材 とを 区 別 し,適 宜
Mj: 構 造 物 の 質 量,慣 性 モーメン ト
(10)式 の 簡 略 化 を 行 な って い る。 ロ ワ ー ハ ル の場 合,
Ajk:付 加 質 量,付 加慣性モ ーメン ト (10)式 の流 体 力 成 分 す べ て を考 慮 し,付 加 質 量,造 波
βjk:造 波減衰係数 減 衰 係 数 に つ い て は,断 面 の形 状,没 水 深 度(浮 上 し て
Cjk:係 留 力 を 含 む 復 原 力,モ ーメン ト い る場 合 も含 む),動 揺 周期 な ど の パ ラ メ ー タ の 値 を用
Djk:粘 性減衰係数 い て,プ ロ グ ラ ム内 蔵 の 流体 力係 数 テ ー ブル か らの補 間
Fj:各 方 向 の 粘 性 を 考 え な い 波 強 制 力,モ ー メン ト に よ り求 め て い る。 この 流体 力係 数 テ ーブ ル は,あ らか
Vj:各 方 向 の 粘 性 に 基 づ く波 強 制 力,モ ー メ ン トで じめ 上 記 パ ラ メ ー タの 広 い範 囲 にわ た って,特 異 点分 布
あ る 。Djk お よ びVjは,後 述 の よ うに く り返 し 計 算 に 法 に よ る プ ロ グ ラ ム14)を用 い て作 成 され た もの で あ る。
よっ て近 似 され る。 カ ラ ム,ブ レー シ ン グの場 合,造 波 減 衰 力 を 無 視 す る
浮 遊 式 海 洋 構 造 物 の 設 計 シ ステ ムに つ い て 279
と ともに,断 面 の 回転 運 動 との 連 成 を 無視 して,
(11)
の形 で 流 体 力 を計 算 す る。.fy'とayyuは 同位 相 か逆 位
相 の関 係 に な る の で,ま とめ て
(11つ
の よ うに 書 く こ とも で き る。(11,)式 の右 辺 第2項,第
3項 は,土 木工 学 に お け るMorisonの 式 の 質 量 力 項,
抗 力項 に そ れ ぞ れ 相 当す る。
さ て,(10)式 ま た は(11),(11')式 の粘 性 減 衰 力 の
項 は非 線 形 な の で,こ れ を 文 献13)お よび15)に 示 され
て い る 田才 の 方 法 に 従 って 次 の よ うに等 価 線 形 化 す る。
す なわ ち
(12)
と お い て,
(13)
(13)式 右 辺 の第1項 は 波 強 制 力 と し て,第2項 は粘
Fig. 5 運 動 応 答 計 算(モ ジ ュ ー ル 皿)フ ロー
性減 衰 力 と して,そ れ ぞ れ 運 動 方 程式(9)式 の右 辺 お
チ ヤー ト
よび左 辺 に 付 加 され る。こ こでUは 未知 数 で あ る運 動
よ り近 似 され る。 る。
に示 す 。 本 モ ジ ュー ル の主 要 な イ ン プ ッ ト項 目は,平 衡 に 不 適 当 で あ る こ と と,全 体 の 大 まか な 挙 動 を 把 握 す る
数 テ ーブ ル よ り補 間 され た 各 部材 断面 の流 体 力 係 数,6 り節 点 数 を 節 約 で き る よ うに し て い る。 また,連 立 方 程
部 材 剛 性 の コ ピー,荷 重 条 件 の 重 ね 合 せ 等 の機 能 を もた
せ,ア ウ トプッ トは,な るべ く見 や す い よ うに,プ ロ ッ
タ に よる 図化 を はか り,全 体 構 造 チ ェ ッ ク用 透 視 図,任
種 類 あ る うち の任 意 の もの を 選 択 し,線 の種 類,色 で 区
別 が で き る よ うに した。ま た,予 測 計 算 に用 い る応 力 の
応 答 関 数 は,任 意 部 材 の任 意 断 面 に つ い て 出 力す る こ と
が で きる。
短 期 予 測 計 算 で は,ISSC(1964)波 浪 スペ ク トラムを
用 い,線 形 重 ね 合 せ に よ り応 答 ス ペ ク トラ ムを 計 算 す る
と と もに,応 答 の 極 大 値 の 確 率 分 布 をRayleigh分 布 と
仮 定 し て,期 待 値 の 計算 を行 な う。
長 期 予 測 計 算 で は,波 浪 統 計 資 料 と し てWaldenの
北 大 西 洋 デ ー タを 標 準 デ ー タ とし て用 い るが,構 造 物 の
Fig. 6 構 造 解 析 プ ロ グ ラ ム(モ ジ ュ ー ルIII) 操 業 海 域 の波 浪 統 計 資 料 が 存 在す れ ば,そ れ を イ ンプ ッ
フ ロー チ ャー ト トし て用 い る こ と も可 能 と して い る。
また,設 計 あ る い は解 析 で の,実 際 の利 用 の 仕方 を考
3 本 シス テ ム に よる 計算 例
慮 し て,本 モ ジ ュー ル で は,次 の2通 りの使 い方 を可 能
とし た。 本 シス テ ム をFig.7に 示 す 半 没 水式 双胴 型 石 油 掘 削
リグ(三 井 造 船 建 造 のAKER-H3)に 適 用 し て,安 定
す なわ ち,設 計 の初 期 の段 階 で は,最 適 な形 状,構 造
方 式 を求 め る た め に,く り返 し計 算 あ る い は シ リー ズ計
算 を行 な う こ とが 多 い こ とを 考慮 し,モ ジ ュー ル 皿単 独
の使 用 も 可能 と した 。 一方,あ る程 度設 計 が進 み,構 造
方 式 が定 ま っ た の ち,先 行 の モ ジュ ー ル IIよ り得 られ
る,運 動 を 考慮 した 動 的 荷 重 デ ータ を使 用 して,応 力 の
応 答 関 数 を 計 算 す る こ と も可 能 と した 。
本 モ ジ ュ ール を 単 独 に 使 用 す る場 合 の 主 な イ ン プ ッ ト
デ ー タは,節 点 座 標,支 持 条 件,部 材 を 構 成 す る節 点 番
号,部 材 の 形 状,寸 法 あ るい は 部 材 剛 性,部 材 の 風 圧 面
積,浮 力 面 積 そ の 他 の 構 造 デ ー タ と,自 重,潮 流 の 方 向
お よび 流 速 分 布,波 の 出 会 角,波 高,波 頂 位 置,風 の 方
向 お よび 風 速 分 布 そ の 他 の荷 重 デ ー タ とに 大 別 され る。
波 力,潮 流 力 な どは 上 記 の イ ン プ ッ トに よ り,Morison
の 式 を 用 い て プロ グ ラ ム 内 で ジ ェ ネ レー トす る。波 の理
論 式 と し て は,微 小 振 幅 波,Stokes3次 波,同 じ く5
次 波 のい ず れ か を 選 択 で き る。
モ ジ ュー ルIIで 計 算 され た動 的 荷 重 を用 い て計 算 す る
Table 1 排 水 量 等 計算 テ ー ブル
性 能,運 動 応 答 お よび 静水 中に お け る応 力 分 布 等 を計 算 Table 2 平 衡 状態 計 算 テ ー ブル
て,モ ジ ュー ル1で 計 算 した 結果 を 以下 に示 す 。
Table1は,排 水 量 等 の テ ー ブ ル で,各 喫 水 ご とに 排
水 量,浮 心 位 置,メ タセ ンタ ー半 径 な どが 出 力 され る。
この ほ か に 浸水 面 積,水 線 面 積,浮 面 心 位 置 や 入 力 され
た 仮 定重 心 に つ い て 毎 セ ンチ トリム/ヒ ー ル モ ー メ ン ト
な ど も出 力 され る。
Fig.8は,ク ロ スカ ーブ の 出 力結 果 を 図化 した も ので
あ る。
Table2は,ト リム計 算 に おい て求 ま った 平 衡 状 態 に
お け る水 面 の位 置,浮 心 位 置 やGOMな どで あ る。
Fig.9は2、1節 で 説 明 した よ うに水 面 を種 々変 化 させ
た 場合 の浮 心 と重 心 の 鉛 直 距離 か ら求 め た位 置 エ ネ ルギ
ー を 図示 した も ので,こ の 曲面 の底 に な る水 面 が平 衡 状
態 で あ る。
3.2 運 動 応答 計算 例
3.2.1 模 型 実 験 との比 較
文 献 の に 掲 載 され た半 没水 式 双胴 模 型 に つ い て,本
モ ジ ュー ル に よる計 算 結 果 と文 献7)の 実験 結 果 を 比 較
し た。実 験 お よび計 算 の対 象 と した 模型 は,Fig.10に
示 す よ うな,2ロ ワー ハ ル,8カ ラ ム を有 す る 半 没水 式
双 胴 型 で,ブ レー ジ ング は 有 して い な い。
比 較 結 果 をFig.11∼14に 示 す が,本 モ ジ ュー ル に よ
る計 算 値 は,実 験 値 と全 般 的 に 良好 な 一 致 を 示 し て い
Fig. 8 ク ロ ス カ ー ブ る.
282 日本 造 船 学 会 論 文 集 第143号
Fig. 12 半 潜 水 式 双 胴模 型 の左 右 揺 応 答(横 波)
Fig. 9 ポ テ ン シ ャ ル マ ッ プ
Fig. 13 半 潜 水 式 双 胴模 型 の上 下 揺 応 答(横 波)
Fig. 10 半没水式双胴型模型
Fig. 14 半 潜 水 式 双 胴 模 型 の縦 揺 応 答(縦 波)
お け る運 動 応 答 を計 算 した 。 必 要 な イ ン プッ トデ ー タ
は,モ ジ ュー ル1に て計 算 され た もの を使 用 し,慣 動 半
径 は,与 え られ た 重 量 分 布 か ら プロ グ ラ ム内 で計 算 した
も の を用 い た。 減 衰 力 と して は,ロ ワー ハ ル の造 波 減 衰
Fig. 11 半 潜 水 式 双 胴 模 型 の 横揺 応 答(横 波) お よび各 部 材 の 粘 性 減 衰(抗 力 係 数CD=1.0と 仮 定)
浮 遊 式 海 洋 構 造 物 の設 計 シ ス テ ムに つ い て 283
を 考慮 し,構 造 物 は 係 留 され て い な い も の と して運 動 応
答 を計 算 し た。 そ の結 果 をFig.15∼20に 示す。
計 算 結 果 か らheave の 固有 周期 を推 定 す る と約25秒
とな るが,こ れ は,文 献1)の 計 算結 果 とほ ぼ一 致す る 。
同 調点 近 傍 の応 答 振 幅 は 粘 性 減 衰 力(CD係 数)の 与 え
方 に よっ て大 き く変 わ る もの で,同 調 点近 傍 に お け る構
造 物 の挙 動 を 正確 に 把 握 す る た め に は,CD係 数 の正 確
な推 定 が 必 要 で あ る。
3.3 構造強度計算例
モ ジ ュー ルI,IIと 同 様 にFig.7に 示 した半 没 水式
双 胴 型 石 油 掘 削 リグ の 完成 時 に行 な っ た 静 水 中 に お け る
応 力 計測 結 果 とモ ジ ュー ルIIIによる 計 算結 果 を 以 下 に示
す 。 計 測 は,昭 和51年7月 に三 井 造 船玉 野工 場 に て行 Fig. 23 Aker-H3横 断面 (column, vertical bra-
なわ れ た も の で あ り,両 舷 のロ ー ワー ハ ル にFig.21に cing お よび horizontal bracing)に おけ
る 応 答 計 測 値 と計 算 値 と の 比 較 例
示 す ご と くパ ラス ト水 を濃 排 水 す る こ とに よ り負 荷 し,
比 較 的 良 く一 致 して い る。Fig.22,23に お け る応 力値
は,Fig.21に お け る荷 重 状 態BとAの 差 を 示 して い る。
4 結 論
本 シ ステ ムの 完成 に よ り浮 遊 式 海 洋 構 造物 の安 全 性 の
確 認 お よび 各種 解 析 が容 易 と な り,い わ ゆ る直 接 設 計 が
容 易 に 行 な え る よ うに な った 。 さ らに,本 シス テ ム は,
固 定 式 プ ラッ トフ ォー ム,双 胴 船,在 来 型 の 一 般船 舶 な
どに つ い て も適 用す る こ とが で き る。 また,海 洋構 造 物
の 操 業 中 の挙 動 ば か りで な く,建 造 途 中,ま た は操 業 地
まで の 曳 航 中 の 状態 に対 し て も解 析 が 可 能 で あ る。
Fig. 21 Aker-H3 実 機 歪 計 測 時 の負 荷 状 態 本 論 文 に示 した 計算 例 にみ られ る よ うに,本 シス テ ムに
よる 計 算 結果 は,実 験 値 と良 く一 致 して お り,そ の妥 当
性 が確 認 さ れ た。 今 後 は,本 シ ステ ムを 各 種 の計 算 例 に
つ い て適 用 し,使 いや す い シ ス テ ム とす る よ う努 め たい
と考 え て い る。
す。
参 考 文 献