You are on page 1of 10

千葉商大紀要 第 57 巻 第 3 号(2020 年 3 月)pp.

233-242

〔研究ノート〕

日本人の eスポーツに対する意識調査

 鎌 田 光 宣  岩 永 直 樹

1 はじめに

 現在,世界の eスポーツ競技人口は 1 億人以上であり,トッププロゲーマーになると賞


金,契約金などで数千万円の収入があるとされる。世界大会も数多く開催され,また教育
の世界にも拡大している。ところが,日本では eスポーツの認知度が低く,プロゲーマー
に対する社会的な理解も十分とは言えない[1]。本研究では,日本における eスポーツの現
状を把握するため,インターネットを用いたアンケート調査を行った。テレビゲーム大国
のひとつである日本において eスポーツが普及していない理由と,今後あるべき方向性に
ついて述べる。

2 eスポーツ

2.1 eスポーツの定義
 eスポーツ(e-Sports)は Electronic Sports の略である。主に,コンピューターゲーム
(ビデオゲーム)における対戦型ゲームを用いてプロゲーマー同士が勝負を行う。一般的
に,反射神経および高度な戦略を必要とするビデオゲームが用いられる。eスポーツの大
まかな位置づけを図 1 に示す。一般的に,将棋やチェスを含め,野球やサッカー,陸上競
技などはスポーツ・競技に分類される。これらの一部,およびコンピューターゲーム(ビ
デオゲーム)の一部が,eスポーツとして定義されている[2]。

図 1 eスポーツの位置づけ

― 233 ―
千葉商大紀要 第 57 巻 第 3 号(2020 年 3 月)

2.2 市場規模
 現在,世界の eスポーツ競技人口は 1 億人以上であり,その市場規模は 2016 年には 4
億 6300 万ドル(およそ 523 億円)に達するとみられ,2019 年までには 11 億ドル(およ
そ 1243 億円)規模に成長すると予想されている[3]。
 欧米では賞金のかかった大規模なゲームのイベントが開催され,プロチームとプロリーグ
があり,トッププロゲーマーになると賞金,契約金などで数千万円の収入があるという。大
会によっては,賞金総額が約 22 億円というものや,優勝賞金が約 8 億円というものもある。

2.3 歴史
 日本ではかつてゲームとは,トランプ,囲碁,将棋,ボードゲーム等を指していた。日
本 に お い て こ れ ら は 娯 楽 と し て 親 し み が 深 い。 現 在 は ニ ン テ ン ド ー switch や
PlayStation4,スマホゲーム,パーソナルコンピュータ(PC)によるオンラインゲームと
いったように電子機器を用いたものを指している。
 一方,海外においてはゲームは競技を指す場合がある。競い合う勝負ごとであれば,ス
ポーツもゲームに含まれる。日本のコンピューターゲームといった電子機器を用いたゲー
ムは,英語圏では昔からビデオゲームと呼称されていた。海外初のビデオゲームとしては
コンピューター上にチェスの盤面を表示して戦うもので,この時からスポーツとしての認
識もあった。
 日本は 1978 年にアーケードゲーム市場が拡大していき,1983 年に任天堂のファミリー
コンピュータ(ファミコン)が世界でヒットし,さらに 1994 年にはソニーが PlayStation
でゲーム業界に参入と瞬く間にコンシューマゲーム市場までも拡大した。海外と比べ電子
機器によるコンシューマ,アーケードゲーム市場の進歩は日本が圧倒的に進んでいたのが
特徴である。
 一方,海外では,1985 年にコンシューマゲームとして米国版ファミリーコンピュータ
(Nintendo Entertainment System: NES)が成功をおさめると同時に,コンピューター
ゲーム市場が発展していった。IBM 製 PC/AT 互換機の低価格・高機能化が進み,また
インターネットの普及に伴い,グラフィックに力をいれたオンラインゲームを中心に発展
していった。
 1990 年代に,FPS(First Person Shooter)と呼ばれるジャンルのゲームが盛り上がり
を見せた。これは,主人公の本人視点でゲーム中の世界・空間を任意で移動し,武器もし
くは素手などを用いて戦うアクションゲームの一種である。中でも,「Quake」シリーズ
を用いた大会が多く開催された。
 韓国では数年前より RTS(Real-Time Strategy)と呼ばれるジャンルのゲーム,特に
「StarCraft」が大流行している。韓国のプロゲーマーは世界的に見てもレベルが高く,
大会がテレビ中継されるなど注目度も高い。韓国では,小学生が将来なりたい職業の上位
にプロゲーマーが入るなど,eスポーツの認知度が高い。
 近年は,MOBA(Multiplayer Online Battle Arena)と呼ばれるジャンルのビデオゲー
ムが世界的に流行している。プレイヤーが 2 つのチームに分かれ,味方プレイヤーと協力
しながら敵チームの本拠地を破壊して勝利を目指すスタイルのゲームのことである。中で
も「LoL(LEAGUE of LEGENDS)」と「Dota2」はプレイヤー数,大会賞金ともに増え

― 234 ―
鎌田光宣・岩永直樹:日本人の eスポーツに対する意識調査

続けている。
 他にも,規模はあまり大きくないが,格闘ゲームの「Street Fighter」シリーズを用い
るカプコンカップが開催されている。
 最近では,ドイツやイングランドのサッカーリーグが,続々と傘下に eスポーツチーム
を発足している。イベント開催などを通じ,サッカーファンとゲームファンの交流を促進
し,また若年層をスポーツ業界に取り込む狙いもある。アメリカのプロバスケットボール
協会 NBA も,2018 年より公式 eスポーツリーグを発足させている。
 日本は海外と比べても電子機器のゲーム市場においては群を抜いて進んでいたのにも関
わらず eスポーツに関しては海外に大きな遅れをとっている。

2.4 プロゲーマーの収益
 プロゲーマー,プロゲーミングチームの収益となるものは,主に大会の賞金,スポンサー
料,イベント出演料,そして動画配信ビジネスの 4 つである。特にネットの動画配信につ
いては,毎日試合の様子を配信し,ネットを通じてユーザーとの直接コミュニケーション
をとっていくことで安定した収益を確保している。eスポーツの動画配信サービスでは,
ゲームビデオのストリーミングに特化した米アマゾン傘下の「Twitch」と,「YouTube
Gaming」を開設した YouTube の 2 つが有名である。日本では「OPENREC.tv」が徐々
に認知度が高まりつつある。
 YouTube のサービスを例として紹介する。投稿者は自身の動画にインストリーム広告,
オーバーレイ広告,サイドバー広告などを設定することができ,広告先のページが開かれ
たり,広告が決められた秒数以上視聴された場合に広告収入が得られる仕組みである。た
だし,1 か月の収入が 8,000 円(2019 年 9 月現在,日本において)を超えなければ支払わ
れない。“スーパーチャット” は主に生配信の時に,視聴者がコメントにお金を乗せて投
稿 で き る シ ス テ ム で あ る。“YouTube チ ャ ン ネ ル メ ン バ ー シ ッ プ” を 利 用 す る と,
YouTube の利用者は月額料金を払うことで,開設しているチャンネルからバッジや絵文
字といった様々な特典を得ることができる。70%がチャンネル開設者の収益になり,30%
が YouTube の収入となる。ただし,YouTube チャンネルメンバーシップは,チャンネ
ル登録者数が 3 万人以上(2019 年 9 月現在)いなければ利用することができない。

3 日本における eスポーツ

3.1 アンケート調査の概要
(1)
 インターネットによるアンケート調査を実施した 。対象は全国に居住する 18 歳から
69 歳の男女 212 名(男性 105 名,女性 107 名)である。回答者の年齢構成は図 2 の通り
である。

(1) 調査対象 全国に居住する 18 歳から 69 歳の男女 212 名


実施期間 2018 年 3 月 2 日から 3 月 5 日
調査方法 インターネットリサーチ
利用調査機関 株式会社マクロミル

― 235 ―
千葉商大紀要 第 57 巻 第 3 号(2020 年 3 月)

12才~19才
3.8%

12才未満 20才~24才
0.0% 5.2%
25才~29才
9.9%
60才以上
21.7%
30才~34才
55才~59才 9.9%
8.0%

35才~39才
50才~54才
9.0%
10.8%
40才~44才
45才~49才
12.3%
9.4%
図 2 アンケート調査対象の年齢構成

3.2 日本における eスポーツの認知度
 eスポーツの認知度を図 3 に示す。eスポーツに用いられるゲームの名前も知っている人
は約 3.8% と非常に少ないものであった。eスポーツのことを全く知らない人は約 7 割とい
う結果となり,日本における eスポーツの認知度はまだまだ低いと言える。

図 3 eスポーツの認知度

― 236 ―
鎌田光宣・岩永直樹:日本人の eスポーツに対する意識調査

 eスポーツでは,緻密な戦略や俊敏な操作が要求される FPS や RTS などの人気が高い。


しかし,これらのジャンルのゲームは日本では全く人気がなく,ゲームを知らない人が大
半である(図 4)。日本で人気の高いアドベンチャーゲームや RPG などは,試合をして勝
敗を決めるような内容ではなく,eスポーツのゲームとして相応しくない。

n= (%)

全体 (212)

Q パズル&ドラゴンズ 65.6 66
8
ウイニングイレブンシリーズ 26.4 26

下 Tetrisシリーズ 20.8 21

ゲ ぷよぷよシリーズ 64.6 65

ム CS(カウンターストライクシリーズ) 2.8 3

OW(オーバーウォッチ) 2.8 3

ト COD(コール オブ デューティシリー
5.7 6
ル ズ)
選の PUBG(PLAYERUNKNOWN'S
3.3 3
びう BATTLEGROUNDS)
く ち LoL(League of Legends) 2.4 2


さあ ストリートファイターシリーズ 45.8 46
いな

た 鉄拳シリーズ 34.4 34
が 大乱闘スマッシュブラザーズシリー
知 28.3 28

て FIFAシリーズ 16.5 17

Gran Turismoシリーズ 11.3 11

も PROJECT CARS 1.4 1

を ハースストーン 4.7 5

べ Shadowverse(シャドウバース) 17.5 17

お この中に知っているものはない 19.3 19

図 4 知っているゲームタイトル(複数選択可)
(網掛けのタイトルが一般的に eスポーツで用いられるもの)

3.3 日本と海外の「スポーツ」の認識の違い
 日本ではスポーツというと野球,サッカーなど体を使う運動というイメージがあるが,
欧米ではスポーツといえば「競技」を意味する。例えばチェス,ビリヤード,ダーツなど,
日本ではゲームといわれるものもすべて競技,すなわちスポーツなのである。IOC(国際
オリンピック委員会)がチェスやビリヤード,囲碁などをスポーツとして認可しており,
コンピューターゲームもスポーツとして認められている国もある。

― 237 ―
千葉商大紀要 第 57 巻 第 3 号(2020 年 3 月)

 日本では,最近になり eスポーツがメディアに報道されるようにはなったが,未だにゲー
ムは遊びといった考えからは離れていない。図 5 は,eスポーツをスポーツと言えるか,
という設問の結果であるが,体を動かさないから,又は娯楽だからスポーツと言えないと
答える割合がどの世代でも多い。
 テレビゲームに対する印象を訪ねた結果を図 6 に示す。日本ではテレビゲームは「娯楽」
という認識が強く,健康等に与える悪影響のマイナスイメージも多い。そのため,プロゲー
マーがマスコミに取り上げられることも少なく,スポンサーになろうとする企業もほとん

はい
いいえ(体を動かさないから)
いいえ(娯楽だから)
いいえ(その他の理由:具体的に【 】)
n= (%)
全体 (212) 17.9 49.5 29.7 2.8

12才未満 (0)

12才~19才 (8) 50.0 37.5 12.5

20才~24才 (11) 18.2 45.5 27.3 9.1

25才~29才 (21) 33.3 38.1 28.6

30才~34才 (21) 14.3 47.6 38.1



35才~39才 (19) 26.3 36.8 36.8

40才~44才 (26) 19.2 30.8 50.0

45才~49才 (20) 25.0 65.0 10.0

50才~54才 (23) 21.7 52.2 21.7 4.3

55才~59才 (17) 5.9 52.9 41.2

60才以上 (46)2.2 65.2 23.9 8.7

図 5 eスポーツをスポーツと言えるか(年代別集計)

(n=212) -10% 10% 30% 50%

面白い 32.5

つまらない 17.5

娯楽 47.6

趣味 23.6

競技 1.4

子供(教育、成長)に好影響 1.4

子供(教育、成長)に悪影響 11.3

目が悪くなる 42.5

頭が悪くなる 6.1

老化防止になる 19.3

大人がやるものではない 7.5

お金がかかる 15.6

時間の無駄 18.9

引きこもり 13.7

交流が広がる 1.9

その他【 】 2.4

図 6 テレビゲームに対する印象

― 238 ―
鎌田光宣・岩永直樹:日本人の eスポーツに対する意識調査

ど出てこない。結果,日本では,プロゲーマーは職業としてほぼ成立していない[4]。対し
て,海外はゲームを競技として捉えており,プロゲーマーによるパフォーマンスをテレビ
や動画配信サイトで取り上げ,マスコミから企業,一般の人までが注目し,経済が動くこ
とでプロゲーマーが職業として認識されている。

3.4 多額の賞金を出せない
 2016 年より日本 eスポーツ選手権大会も開催されているが,世界と比べるとまだその規
模は小さい。また,日本で開催される大会では賞金が出ない,あるいは少額であることが
多い。背景の一つに法制度上の問題がある。現在主流となっているゲーム会社主催の大会
賞金はソフトの販売促進とみなされ,景品表示法により取引価額が 5000 円未満なら価額
の 20 倍,5000 円以上なら 10 万円が最高額となる。ただし,これは業界に自主規制が広まっ
たものであり,2018 年になって消費者庁が多額の賞金を出せるという見解を公表したた
め,これまでとは状況が変わる可能性がある。また,これとは別に,参加料を徴収して賞
金制の大会を開くことは賭博とみなされる可能性もあるため,高額賞金がかかったゲーム
の大会の開催が難しい原因のひとつとなっている。

4 日本における eスポーツの展望

 日本ではこれまで eスポーツのプレイヤーが少なく,国内に競争相手がいないためにレ
ベルが上がりにくいという難点があった。しかしながら,いくつものプロチームができた
り,プロリーグが立ちあがったりしており,世界に通用するようなプロゲーマーも徐々に
生まれている。
 図 7 は,eスポーツ大会の観戦チケット(入場料)はどの程度が適当と考えるかについて,

無料 1000円未満
1000円~3000円未満 3000円~1万円未満
1万円~10万円未満 10万円以上
n= (%)
全体 (212) 67.9 15.1 14.6 2.4

12才未満 (0)

12才~19才 (8) 62.5 12.5 25.0

20才~24才 (11) 63.6 9.1 27.3

25才~29才 (21) 52.4 23.8 23.8

30才~34才 (21) 52.4 14.3 28.6 4.8



35才~39才 (19) 63.2 21.1 10.5 5.3

40才~44才 (26) 65.4 19.2 15.4

45才~49才 (20) 70.0 5.0 20.0 5.0

50才~54才 (23) 78.3 17.4 4.3

55才~59才 (17) 70.6 23.5 5.9

60才以上 (46) 80.4 8.7 6.5 4.3

図 7 eスポーツ大会の観戦チケット(入場料)はどの程度が適当と考えるか(年代別集計)

― 239 ―
千葉商大紀要 第 57 巻 第 3 号(2020 年 3 月)

年代別に集計したものである。20 代後半から 30 代前半にかけて,お金を比較的自由に使


える世代では有料と無料が半々であるが,それ以外の世代では無料が適当であると答えた
割合が多い。このことから,賞金や運営費をチケット代で賄うことは難しく,スポンサー
等による第三者提供が望ましいだろう。そもそも,碁や将棋などは,参加費が無料で,第
三者から賞金が拠出される仕組みで成り立っている。eスポーツもこのような仕組みを取
り入れるべきである。
 図 8 は,eスポーツ大会の優勝賞金に適している金額はいくらかを訪ねた質問に対する
回答である。スポーツではない,あるいは娯楽であるというイメージが強いためか,多額
の賞金をかける必要はないという人が多い。賞金は必要ないとの回答が半数近くを占める
が,100 万円以上という回答もそれなりにあり,世間での eスポーツへの理解が進むこと
で変わっていくものと思われる。

図 8 eスポーツ大会の優勝賞金に適している金額はいくらか

 図 9 は,eスポーツがスポーツと言えるか否かと,ゲーム関連の動画配信等を見る頻度
との関係をクロス集計で表したものである。これを見ると,eスポーツをスポーツと言え
るかで「はい」と回答した人は,ゲーム関連の動画を多くの割合の人が見ており,特に,
ほぼ毎日,週に 4~5 日程度と回答した人の割合が高いことが分かる。現在は個人のゲー
ム実況者による動画が主流であるが,テレビ局とゲーム会社が協力した,完成度の高い映
像コンテンツの登場を期待したい。初めて観戦する人の敷居を低くし,観客が広がれば,
スポンサーがつき,さらに市場全体が拡大していくであろう。

― 240 ―
鎌田光宣・岩永直樹:日本人の eスポーツに対する意識調査

ほぼ毎日 週に4~5日程度
週に2~3日程度 週に1日以下の頻度
普段ゲームの動画は見ていない
n= (%)
全体 (212) 9.9 5.2 9.4 10.8 64.6
ス はい (38) 23.7 10.5 5.3 18.4 42.1

いいえ(体を動かさないから) (105) 7.6 5.7 10.5 10.5 65.7





と いいえ(娯楽だから) (63) 6.31.6 9.5 7.9 74.6
言 いいえ(その他の理由:具体的に【
え (6) 16.7 83.3
】)

図 9 
「eスポーツがスポーツと言えるか否か」と「ゲーム関連の動画配信等を見る頻度」との関係

〔参考文献〕

[1]筧誠一郎,【特集】eスポーツの可能性について, CUC view & vision, No. 43, pp. 16-20,


2017
[2]日本 eスポーツ連合, https://jesu.or.jp/, 2019 年 12 月 15 日閲覧
[3]経済産業省 , 平成 28 年度コンテンツ産業強化対策支援事業(オンラインゲームの海
外 展 開 強 化 等 に 向 け た 調 査 事 業) 報 告書, http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/
H28FY/000848.pdf
[4]eSports Yearbook, http://esportsyearbook.com/, 2019 年 12 月 15 日閲覧
[5]神部勝之, e-Sports で日本が立ち遅れている現状, 映像情報メディア学会誌, Vol. 66,
No. 2, pp. 106-109, 2012
[6]アンディ・ミア著,田総恵子訳『Sport 2.0 ―進化する eスポーツ,変容するオリンピッ
ク』 , NTT 出版株式会社,2018
[7]筧誠一郎『eスポーツ論 ゲームが体育競技になる日』,ゴマブックス株式会社,2018

 (2019.12.28 受稿,2020.2.5 受理)

― 241 ―
千葉商大紀要 第 57 巻 第 3 号(2020 年 3 月)

〔抄 録〕

 本研究では,日本における eスポーツの現状を把握するため,インターネットを用いた
アンケート調査を行った。欧米ではスポーツといえば「競技」を意味する。IOC(国際オ
リンピック委員会)がチェスやビリヤード,囲碁などをスポーツとして認可しており,コ
ンピューターゲームもスポーツとして認められている国もある。日本では最近になり eス
ポーツがメディアに報道されるようにはなったが,未だにゲームは「娯楽」といった考え
からは離れていない。体を動かさないから,又は娯楽だからスポーツと言えないと答える
割合がどの世代でも多い。また,健康等に与える悪影響のマイナスイメージも多いため,
プロゲーマーがマスコミに取り上げられることも少なく,スポンサーになろうとする企業
もほとんど出てこない。結果,日本では,プロゲーマーは職業としてほぼ成立していない。
現在は個人のゲーム実況者による動画が主流であるが,テレビ局とゲーム会社が協力した,
完成度の高い映像コンテンツの登場を期待したい。初めて観戦する人の敷居を低くし,観
客が広がれば,スポンサーがつき,さらに市場全体が拡大していくであろう。

― 242 ―

You might also like