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クトゥルフ神話 TRPG オリジナルシナリオ

あ ん さ つ け い か く

「ニコラ・テスラ暗殺計画」 作成者:博士の助手

▼シナリオ概要
シナリオ:ニコラ・テスラ暗殺計画(にこら・てすら あんさつけいかく)
傾向 :
【ガスライト】
【探索型】
【シティシナリオ】
舞台 :19 世紀ロンドン
参加人数:2~4人
推奨技能:超重要技能…《目星》、《オカルト》
誰か1人は持っていて欲しい技能…《図書館》、《交渉系技能》、《電気修理》
所要時間:5~6 時間
設定 :とふを使用する場合、付属画像のマップ設定は縦15、横20としてください。
注意 :本シナリオは【ガスライト】のシナリオとなります。
探索者は【社会階級(上流・中流・下層)】がかぶらないよう作成してください。
(※4人プレイの場合はかぶっても問題ありません)

▼用語について

■KP:キーパー(進行役) ■PL:プレイヤー ■PC:探索者 ■HO:ハンドアウト(事前情報)

■RP:ロールプレイ ■SANc:SAN チェック ■ルルブ:クトゥルフ神話 TRPG 基本ルールブック


■マレモン:マレウス・モンストロルム ■ガスライト:クトゥルフバイガスライト ■キャラシ:キャラクターシート

■キパコン:キーパーコンパニオン

▼あらすじ
偉大な電気技師にして発明家、ニコラ・テスラ…!
ニコラ・テスラは【交流電流】や【ラジオ】、
【電気モーター】、
【X線】などを発明し、今日に至るまで多く
の人々の生活を支えてきた、人類の文明になくてはならない存在だ。
しかし今、彼の身に危険が迫っている…。
あなたがたはニコラ・テスラが生きていた時代=19 世紀、そしてロンドンを舞台にこの闇に蠢く脅威と立
ち向かわねばならない…!そこに何が待ち受けていようとも…

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▼はじめるまえに
シナリオを始める前に以下の内容を読みながら全員の認識を共有させてください。
【1】シナリオについて
このシナリオはガスライトシナリオとなります。19 世紀のロンドンが舞台となりますので、普段のクトゥ
ルフ TRPG と一風変わった世界観を是非ともお楽しみください。また当時の出来事や地名について分からな
いことがあれば KP 許可の元、ネットで調べながらシナリオを進行して構いません。描写の中で分からない単
語などが出てきた場合は遠慮なく質問していただき、参加者全員で認識を共有しながら遊んでいきましょう。
他時代舞台のクトゥルフ TRPG の良いところは、遊びながら当時の歴史をリアル知識として得られるとこ
ろにあります。本シナリオを通して 19 世紀ロンドンの雰囲気を味わっていただければ幸いです。
【2】プレイヤーについて
プレイヤー(PL)と探索者(PC)は似て非なる存在です。
このシナリオでは時代が異なることによって、プレイヤー自身は内容を理解していても、探索者が知りえな
い情報が溢れてきます。探索者が知りえない情報はダイスロールか NPC との情報共有でしかゲーム内の知識
として得ることができません。セッション中、プレイヤー=探索者となってしまわないよう、十分注意してく
ださい。KP は逐一探索者の行動を見ながら進行しておりますので、プレイヤーと探索者が混同し、結果重要
な情報が抜けたまま進んでしまった場合は相応のエンディングに向かうこととなります。
【3】探索者について
今回探索者は社会階級がそれぞれ異なる PC を作成していただきました。19 世紀ロンドンではこの社会階
級が重要視されます。基本的に下層・中流は上流階級の人に逆らえません。事と次第によっては逮捕される可
能性もあります。とはいえ、階級を使って好き勝手に行動すると NPC から制裁を受けますので注意が必要で
す。逆に下層や中流は人口割合が多いためいろいろと情報収集が有利になる可能性があります。
階級についてはシナリオのどこかで使いどころが明らかになりますので、情報が開示され次第、階級をうま
く使ってシナリオを進めていきましょう。

社会階級について >

【1】互いの PC の社会階級を事前に確認しておいてください。

上流>中流>下層 となっていますので相手によって RP が変わってくるかもしれません。

【2】社会階級のそれぞれの収入

ガスライト P10 を基に各自の収入を決めてください。

認識の共有は以上となります。それでは早速セッションを始めていきましょう。

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▼シナリオ
※ニコラ・テスラ目線のプロローグが始まる
1887 年某日――。蒸気船の汽笛が艦内に響き渡る。…どうやらもうすぐ港に到着するようだ。
水夫たちは忙しそうに甲板を行き来し、港に船を着ける準備を始めている。そんな彼らを横目に、私は緩や
かな潮風と朝日を浴びつつ、頭上高くを飛行する海鳥を観察していた。海鳥は1時間ほど前からこの蒸気船の
上に現れ、同じ方角を飛んでいる。たまたま行き先が同じなのか、それとも人からもらえる餌が目当てだろう
か?…であれば試してみるかと私は自分のポケットを探ってみたが、あいにく今の私の所持品に海鳥が興味を
示すようなものは1つもなかった。
実験ができないことに少しばかり落胆した私が改めて空を見上げると、海鳥は蒸気船を離れ、どこか遠くへ
と飛び去っていく。その道行く先にはくっきりとした美しい虹が架かっていた。絵になるような神秘的な光景
を目の当たりにした私は、見入るようにその光景をしばらく眺めていた。
その時だ。何かが私の身体を駆け巡った。まるで電流が走ったかのような刺激的な感覚に包まれた私は、無
意識のうちに手帳と万年筆を構え、この時生まれた【ある1つの閃き】を無我夢中で書き連ねるのだった…!
これは今目にしているこの光景から生み出された新たな可能性の始まりに違いない。
人類の未来をより良くするための原石が今、私の中で煌めいている…!
私の名はニコラ・テスラ。未来の安寧を願う、一人の発明家だ―――。
クトゥルフ神話TRPG-クトゥルフバイガスライト-【ニコラ・テスラ暗殺計画】これより開幕です。

【(10:00)冒頭:秘密喫茶 天上蓮】------------------------------------------------------------------
※ここから PL の冒頭シーンに入る
19 世紀ロンドン、ウェストミンスターのとある路地裏にその店は存在していた。蓮の看板が目印の【秘密
喫茶:天上蓮】である。喫茶店にはめずらしい会員制のシステムを取り入れている、この怪しい店の中にあな
たがたはいた。そう、あなたがたはこの秘密喫茶:天上蓮の会員なのである!
さて、この喫茶店には少々風変わりな決まりがある。それはこの店の入口にいつも掲げられているため、店
に入る際、あなたがたは毎度見ることになるだろう…。
秘密喫茶:天上蓮のルール>

【1】当店のご利用は会員のみとなっています。⇒会員をご希望の方はオーナーの【ドニー・サング】まで。
【2】当店では身分の境がなくなります。(コレ大事!)

【3】お困り事と面白い事はなんでも大歓迎!

※当店のルールを守れない方は今すぐお帰りいただくことが賢明です。命の保証はできません。

この喫茶店にどのくらいの会員が存在しているのか、あなたがたは把握していない。それらを知っているの
はオーナーの【ドニー・サング】だけだ。しかし、この場にドニー・サングの姿はない。今いるのは(PC 数)
人。互いに初めて見る顔である。ではここから軽く自己紹介をしつつ RP を初めて欲しい。
●《ダイスロールなし》 ドニー・サングについて
ドニー・サングは東洋人である。歳はおそらく 50 代。短髪の黒髪で地味な色の中国服を身に纏っている。
店のルール上、身分を口に出すことはないがウェストミンスターに店を構えているのだからおそらく中流~上
流層の人間だろう。温和な人柄で会員からも周囲の住人からも信頼されており【ドニーさん】と呼ばれている。

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●《知識/2》 ドニー・サングについて
あなたはここの会員になる際にいろいろ身辺調査をしていたようで、他にもドニー・サングに関する知識を
持っていた。どうも、ドニー・サングは香港マフィア【瑞凰会(ずいおうかい)】の欧州幹部らしい。危ない
組織の人間だが、この店に関しては彼の道楽で始めたもののようで彼の本来の仕事とは全く無縁のもののよう
だ。
(※本シナリオでは香港マフィアは特に物語に絡んで来ないため、ただの設定として流して聞いて欲しい)
⇒店の様子
秘密喫茶:天上蓮は、中華風の家具で統一されたこじんまりとした空間である。カウンターが6席、テーブ
ル席が 3 組あり、どの机にも蓮の花が飾られていた。店のメニューはコーヒーや紅茶などの一般的なものか
ら、ポットの中で花を咲かせる中国の工芸茶など変わり種もいくつか存在している。

【(11:00)秘密喫茶を訪れた客人】------------------------------------------------------------------
※店の奥にいたドニー・サングが依頼人【アレン・バトラー】を連れてやってくる。
あなたがたが雑談をしていると店の奥の扉が開き、ドニー・サングが現れる。彼はいつもどおりのにこやか
な表情であなたがたを見渡し、手を顔の前に組んで挨拶をするだろう。
ドニー「ニーハオ。やぁ、みなさんごきげんよう」
※ドニー・サングは若干ニュアンスのおかしい英語で PC と会話をする。また彼は PC から「ドニーさん」と
呼ばれることを好むため、PC がそれ以外の名前で彼の名を呼んだ場合、いちいち訂正するだろう。

ドニー「あー、店に人がいて良かったよ。ちょうどいいよね、君たち。えっとじゃあ、君たちにお願いしよう
かな?ここにいる、いうことは…今君たち暇なんだよね?」
ドニー「どうぞーこっち入ってきてー」
※ドニー・サングは PL の返答も聞かずに依頼人を対面させようとする。
ドニー・サングが背後の扉に声をかけると扉の奥から1人の男性が現れるだろう。シワのないジャケットに
光沢感のある藍色のネクタイを締めた30代くらいの男性である。肌は色白で寝不足なのか目元に隈ができて
いる。不健康そうだ。気になる社会階級だが、男の佇まいから察するにおそらく中流~上流階級の人間だろう。
ドニー「こちら【アレン・バトラー】さん。舞台の脚本家をしてらっしゃる。どうか彼の話を聞いてあげてほ
しい」
アレン・バトラーと呼ばれる男はあなたがたの前で優雅に深々とお辞儀をすると、改めて自己紹介をする。
アレン「ご紹介に預かり光栄です。はじめまして、アレン・バトラーと申します…。【劇団ミステリウム】で
舞台脚本を書いております。……脚本家と致しましては、まだまだ未熟者ですが他の大手劇団に負けず劣らず
のエンターテイメントを提供しておりますのでどうか【劇団ミステリウム】…この名前、是非とも覚えていた
だければと存じます…」
●《芸術》
《知識/2》 劇団ミステリウム
劇団ミステリウムはロンドンの数ある劇団の中でも比較的新しく結成された劇団である。才能のある若手が
多く、将来的に大手と並ぶような劇団となるのではと密かに期待もされている。とはいえ、認知度がまだまだ
低いので観劇に興味のある人間ぐらいしかこの劇団の名前を知らないだろう…。

⇒劇団ミステリウムの名前を知る PL がいた場合。

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アレン「あぁ、なんと!我が劇団を知っておいでですか…!素晴らしい、やはりここを訪ねて良かった…!さ
すがはドニー・サングの店、他の店とは格が違いますなぁ…」

⇒本題に入る
アレン「あぁ、失礼…。舞い上がってしまいましたね…本来ならばこのまま我が劇団の PR をさせていただき
たいところなのですが、この度は違うのです。実はこの店の会員であるあなたがたにお願いがあって参りまし
た…」
アレンは肩に下げている鞄から丸められた紙を取り出し、それをあなたがたの前で開いてみせる。どうやら
それは劇団のポスターのようで一人の騎士の絵と以下の内容が書かれていた。
ポスターの内容 >

劇団【ミステリウム】が贈る、次なる舞台の演目は【シュヴァリエ・デオン】

生涯の前半を男性、後半を女性として生きた麗しきシュヴァリエの生涯を描く…!

主演は当劇団の期待の新星【オリヴィア・ブラッドバーン】、そして脚本は【アレン・バトラー】がお送りします。

どうぞご期待下さい!
※現在、劇団のパトロンを広く募集しております。

●《知識/2》
《歴史》 シュヴァリエ・デオンについて(PC の出身がフランスであればダイスロール不要)
歴史に詳しいあなたはシュヴァリエ・デオンについての知識を持っている。
シュヴァリエ・デオンについて >

【シュヴァリエ・デオン】は 18 世紀にフランス王家に仕えた外交官である。ルイ 15 世の私的スパイ機関に属し、秘

密裏に任務をこなしてきた。数々の諜報活動と竜騎兵の隊長として七年戦争を戦い抜いたデオンは聖ルイ十字勲章を授

けられ【シュバリエ(騎士)】の称号を得ている。そんな勇ましいデオンだが、「本当は女ではないか?」という噂が

後を断たなかった。デオンの性別についてはその後自らが「自分は身体的に女である」と主張し、政府にこれを認めさ

せ、以降のデオンは女性としての人生を歩んでいる。

(なおデオンの死後、検死した外科医によれば解剖学上、デオンは男性であることが明らかになっている)

※ダイスロールに失敗した場合はアレンが代わりに説明する。

アレン「【シュヴァリエ・デオン】…今年の我が劇団の舞台演目です。脚本はこの私。去年1年間、私はフラ
ンスへ赴き、このストーリーを書き上げました。自分で自負するのもなんですが、この脚本は今までにない最
高傑作です。…しかし今、この舞台の開催が危ぶまれています」

▼アレンの依頼
※KP はアレンが持つ以下の情報をすべて PL に開示すること。
①開催が危ぶまれる理由
アレン「主役の【オリヴィア・ブラッドバーン】が行方不明となってしまったのです。私の思い違いであれば
と思っていたのですが…かれこれもう3日も稽古場に来ておりません…。稽古場にも宿舎にも彼女の姿はなく、
舞台公演まで残り1週間をきってしまいました…」
②警察や探偵に相談したのか?

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アレン「いいえ…。いや、もちろん捜索の依頼をしようとも思ったのですが踏み切れず…」
⇒さらに理由を効く場合はダイスロールが必要になる
●《説得》
《言いくるめ》 踏み切れなかった理由
アレン「今年は我が劇団にとって挑戦すべき年となるよう、このようなポスターなども作り、大々的に広告を
出していたのです。パトロンもそれなりに集まっています…。ここで中止を宣言すれば今後我が劇団が大きく
なることはないでしょう。同様に彼女の捜索を警察や探偵に依頼すればどこからか噂が広まって結局は公演も
劇団も一巻の終わり…そんなことが四六時中脳内をかき乱し、気が付けばこんな事態になっていたのです」
③アレンの依頼
アレン「どうか、彼女の捜索にご協力願いたい…!ここは会員制の特別な喫茶店ということで…その…身分の
境がないとお聞きしました。彼女が今どこで何をやっているのか、全階級の情報網から探し出したいのです」
⇒報酬は…?
アレン「大変申し上げにくいのですが、パトロンに資金を出していただいている身ですので、前金をお出しす
ることはできません…。しかし彼女が見つかり舞台ができれば報酬は如何様にでも…」
④オリヴィア・ブラッドバーンについて
アレン「柔らかな微笑みと麗しい声を持つ娘です。ポスターは彼女をモデルに描いてもらったものなのでその
騎士こそが彼女です…。歌手を目指して、我が劇団に入りました。1作前の舞台で彼女に酒場で歌を披露する
娘をやらせたのですが、その時の彼女の演技に胸を打たれまして…次回作は彼女を主役にと、この【シュヴァ
リエ・デオン】を書き下ろしたのです」
⑤行方不明になる付近のオリヴィア・ブラッドバーンについて
アレン「思えば行方不明になる前から少しばかりオリヴィアはおかしな様子でした。いつもは誰よりも早く稽
古場に来ていた彼女でしたが、いなくなる1週間前から頻繁に遅刻をしていたのです。顔色が少し青白かった
ので体調が悪いのかと心配し、1日休みを取らせましたがそれっきり行方不明に…」
アレン「あぁそういえば…休みを取らせる前、彼女に【シュヴァリエ・デオン】の公演チケットが欲しいと頼
まれ2枚ほどチケットを彼女に渡しました。あの時の顔…何やら深刻そうな顔をしていたのが気になります」

※ここでアレンから入手した情報まとめを開示する
オリヴィア・ブラッドバーンについて >

劇団ミステリウムの劇団員。【シュヴァリエ・デオン】の主役。現在行方不明。

▼アレン情報

行方不明になる1週間前から遅刻が多発。休みを取らせてから3日間稽古場に来ていない。

宿舎にもいなかったためアレンは行方不明になったとみている。

また体調不良で休む前、オリヴィアの頼みでアレンは公演チケットを2枚彼女に渡している。

⇒依頼を受ける
アレン「あぁ、ありがとうございます。私はこれから稽古場に戻る予定ですが、よければみなさんもいかがで
すか…。私が彼女について知るのは【稽古場】と【宿舎】くらいですが、他の劇団員ならもっと彼女について
知っているかもしれません。彼らもそろそろ彼女が行方不明になったと感づく頃合いだと思います…」
⇒劇団員にも彼女の話をしていないのか?

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アレン「はい…。何があっても私は彼女を信じたかったのです。ちなみに他の団員には、彼女は私とマンツー
マンで練習をしているからここにはいないと嘘をついておりました」

※次のシーンではアレンと共に【稽古場】である劇場に向かうことになるが、
【宿舎】を先に行っても良いし、
二手に分かれてもいい。ただし、アレンは団員に真実を話さなければならないので必ず【稽古場】に向かうこ
ととなる。

【(13:00)劇場_アルハンブラ・ミュージック・ホール】-------------------------------------------------
あなたがたはアレンと共に稽古場を訪れた。公演が近いこともあり、現在の稽古は公演会場となっている【ア
ルハンブラ・ミュージック・ホール】という劇場で行われている。ウェストミンスターにある大衆的な演芸場
だ。アレンはホールの中へあなたがたを案内すると、練習中の団員たちを全員集めてオリヴィアが行方不明と
なったことを告げた。団員たちの中には驚いてショックを受ける者、公演中止を気にする者、今まで黙ってい
たアレンを責める者などさまざまだ…。
アレンは一通りの話を終えた後、男の中で一番小柄な団員を呼びつけて事務所の方へ歩いて行く…。といっ
たところであなたがたの探索を再開しよう。

⇒団員の様子
あなたがたは、ショックを受けている数名の女性団員たちを見つける。
女性団員 A「アレンが何を隠してるかと思ったら…オリヴィアが行方不明だなんて」
女性団員 B「やっぱり彼女にこの役は難しすぎたのよ…!」
女性団員 C「思いつめてる感じあったものね…」
と口々に彼女たちは話している。
⇒団員に話を聞く
※団員はあなたがたの素性を聞いてくるが、特に注視はしない。今はオリヴィアの方が問題であり、みな誰か
と話をして不安な気持ちを紛らわせたいと思っている。
▼女性団員たちの話
※KP は女性団員たちが持つ以下の情報をすべて PL に開示すること。
①オリヴィア・ブラッドバーンはどんな人?
女性団員 A「とってもやさしくて真面目でいい子よ。いつも一番に稽古場に来ては1人せっせと掃除をしてる
んだから…。おまけに歌の才能もあって素敵な子なの。だけど今回の舞台だけは、やっぱり彼女を主役にする
べきじゃなかったと思うわ…」
②一度は主役を断ったオリヴィア
女性団員 B「オリヴィアは最初、アレンから【シュヴァリエ・デオン】の主役を言い渡されたとき、断ったの
よ。自分ではデオンに成りきれないからって…。でもアレンがどうしてもって必死に懇願するものだから結局
断りきれなくてオリヴィアはしぶしぶ承諾したの。だから彼女は無理やりデオンを演じていたってわけ…」
③デオンに成りきれない理由
女性団員 C「オリヴィアがデオンに成りきれない理由…実は彼女には秘密があるの。あの子【男性恐怖症】な
のよ。詳しくは私たちも知らないけど、昔にいろいろあったみたい。【シュヴァリエ・デオン】って人生の半

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分は男であり、女だったって人でしょ?今のオリヴィアに男の気持ちなんてこれっぽっちも理解できないんだ
から、彼女自身もそれを理解して主役を断ったってワケ。ただ、結局やらざるを得なくなっちゃって…あの子、
気持ちが爆発しちゃったんじゃないかしら?」
女性団員 C「アレンも、女が主役の演目作っていればこんなことにはならなかったと思うんだけどねー」
※オリヴィアの男性恐怖症は男性との会話に弊害があるというものだが、その男性恐怖症の者が勇敢なる男性
を演じるのはどうしても難しいと女性団員たちは語っている。
④行方不明になる前のオリヴィア
女性団員 A「あ、でも…体調不良で休む前のオリヴィアはなんかちょっと感じが違ったんだよね」
女性団員 A「なんていうか…あの時の演技、彼女にしてはだいぶ男らしかったんだよね~七年戦争のシーンな
んか勇ましくって剣術もだいぶ様になってたし。まぁ、アレンに振り付けが違うってすっごい怒られてたけど。
それでもあの子なりに頑張ってデオンを演じようとしていたのは事実よ」
⑤宿舎について
女性団員 B「一緒の宿舎に住んでるけど私たちとあの子はちょうど階違いでね。静かな性格だから、いつも部
屋にいるんだかいないんだかよくわからないの。一応、彼女が休んだ日に部屋に行ったんだけど「大丈夫!」
って怒鳴られちゃって、結局部屋の中には入らなかったわ」

⇒女性団員たちとの会話が一通り済んだところで。
ホールの裏手から、先ほどアレンに呼び出されていた小柄な男性がとぼとぼ歩いてくるのが見える。顔は俯
き、肩をがっくりと落としている。
⇒小柄な男性に声をかける
※この男の社会階級は下層であり、上流・中流階級の PC がいると極度に緊張して話すことができない。彼と
話ができるのは同じ下層の PC だけである。
(該当階級がいない場合は交渉技能ダイスロールで代用してほしい)
小柄な男性「あ、君たちは…さっきアレンさんと来ていた…パトロンの人?」
小柄な男性「実は…このままオリヴィアが見つからなければ僕が【代役】をと言われまして…もうあと1週間
もないのにひどい話ですよ…」
小柄な男性は深々とため息をついている。
小柄な男性「とはいえ…僕もプロなのでやるしかないですが…オリヴィアみたいに舞台映えするような美人じ
ゃないからなぁ…後半のシーンがどうにも難しいよ」
などとブツブツ独り言のようにつぶやいている。
※この男から得られる情報は特にない。

※【宿舎】へはアレンか女性団員たちから場所を聞くことができる。

【(15:00)オリヴィアの宿舎】
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あなたがたはクラーケンウェルにある宿舎にやってきた。この宿舎は劇団員以外にも周辺の中小企業で働く
人々が住んでいる。宿舎の管理人に事情を話すとオリヴィアの部屋の鍵を開けてくれるだろう。ちなみに管理
人はオリヴィアが行方不明になっていることに気がつかなかったらしい。オリヴィアについてはトラブルは起

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こさないし家賃も3日前にきちんと払う真面目な子と話してくれる。
⇒オリヴィアの部屋に入る
オリヴィアの部屋は話に聞くオリヴィアの性格と不釣り合いでたいそう散らかっていた。何か行方不明の糸
口が掴めそうなものの搜索には時間がかかりそうである…

オリヴィアの部屋 >

【本棚】《目星》《図書館》

【床に散らばる紙】《目星》《アイデア》

【机】《目星》

【ベッド】《目星》《幸運》

【本棚】
●《目星》
《図書館》 本棚
本棚にはさまざまな戯曲の台本が収められていた。使い込まれたような本はどれも劇団ミステリウムの台本
でもちろん【シュヴァリエ・デオン】の戯曲も収められている。
⇒【シュヴァリエ・デオン】の台本を開く
台本のところどころに女性らしい綺麗な筆跡でデオンに関するメモが書かれている。各シーンでの感情やテ
ンポ、立ち位置などがまとめられていた。
●《アイデア》 気がついたこと
パラパラと台本を捲ってみると、ある違和感を感じるだろう。おそらくこの台本はオリヴィアのものだろう
が、なぜか筆跡の異なるメモも書かれているのである。メモの内容事態におかしなところはないが、非常に雑
で読みにくい筆跡だ。誰かがオリヴィアの代わりにメモを書き記したとでもいうのだろうか…。
【床に散らばる紙】
●《目星》
《アイデア》 床に散らばる紙
床に散らばる紙は誰かに宛てた書き損じの紙であることが分かる。各紙に断片的に文章が記されていたが、
すべての紙に一通り目を通すことであなたは手紙の内容を理解することができるだろう。

手紙の内容 >

ニコラ・テスラ様

聡明なあなた様のお噂はここロンドンでも聞き及んでおります。
と言いますのもわたくしはエドガー・ケイシーからあなた様が成し遂げてきた偉大なる功績のお話を聞きまして、

あなた様に興味を抱きました。ぜひ一度、ロンドンへお越しになってわたくしと神智学について語らいませんか?

近い日にロンドンの演劇場で【シュヴァリエ・デオン】の舞台がございます。

観劇チケットを同封いたしましたので、もしもわたくしのわがままを聞いて下さるのならこちらも是非ご一緒に…。

誠に勝手ではございますが、わたくしは●月●日 18:00 にセント・ポール大聖堂にてあなた様を待っております。

ヘレナ・P・ブラヴァツキー

(※●月●日とはつまり、今日の日付である…!)

●《知識/2》
《電気修理》
《物理学》
《オカルト》 ニコラ・テスラについて

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聡明なあなたはその名を聞いただけでニコラ・テスラがどんな人物であるかの知識を有している。
※このダイスロールに成功した場合、2つの情報が開示される。1つは PL に開示されるニコラ・テスラの紹
介、もう1つは PC に開示される現状のニコラ・テスラの情報だ。両方を一度に開示してしまうと時系列で PL
を混乱させてしまう可能性があるため、PL 情報は口伝いのみ、PC 情報は文字としての情報公開というかたち
で開示方法を分けて欲しい。

現代人が知るニコラ・テスラについて(※PL 開示情報)>

ニコラ・テスラは 19 世紀から 20 世紀を生きた、電気技師にして発明家である。

彼の発明には交流電流やラジオ、電気モーター、X線など、今日の我々の生活を支えているものを数多く生み出してい

る。電灯の事業化を成功させたエジソンとはライバルであり、互いの提唱する送電方法について電流戦争を続けていた。

ニコラ・テスラの人柄としては幼い頃から努力家の秀才で、発明以外にも語学・哲学・音楽などにも優れていた。

(本シナリオをプレイした後、彼について興味が湧いたのであれば是非ともいろいろ調べてみてほしい)

ニコラ・テスラについて >

オーストリア帝国(現在のクロアチア西部)生まれの電気技師にして発明家。

エジソン電灯で働いていたが、送電方法においてエジソンと対立したため、独立しテスラ電灯社を設立。その後、交流
電源の特許申請や学会でのデモンストレーションによる資金調達を行い、さまざまな発明品を作り出している。
ちなみにテスラ電灯社もテスラの居住国もアメリカ合衆国である。(ロンドンに住んでいるわけではない)

●《オカルト》 エドガー・ケイシー
あなたはエドガー・ケイシーなる人物を知っていた。
エドガー・ケイシーについて >

エドガー・ケイシーはアメリカの超能力者である。彼は催眠状態のまま人々の質問に応え、病気の診断やアドバイスを

行うことができるという。彼の思想は神智学の影響が強く、ニコラ・テスラとは宇宙人との交信について交流を深めて

いた。

●《オカルト》
《知識》 神智学について
神智学(しんちがく)について >

神智学とは、神秘的な直感、瞑想、啓示などを通じ、神と結びつく神聖な知識を得ようとするものである。

今日ではヘレナ・P・ブラヴァッキーなる夫人が【近代神智学】を創唱している。
●《オカルト》
《知識/2》 ヘレナ・P・ブラヴァッキー

ヘレナ・P・ブラヴァッキーについて >

神智学協会設立のメンバーの一人であり、【近代神智学】を創唱した人物。

幼い頃から精霊や賢者の存在を信じており、月日流れて姓がブラヴァッキーとなってからは世界中を旅して秘教を学ん

だり、降霊会を開いたりなど特殊な人生を歩んでいる。しかし実際のところ彼女自身の日記や人々の証言の中には矛盾

があることから彼女の生活は大半が謎に包まれているようだ。

⇒台本の筆跡と手紙の筆跡を見比べた場合…
手紙は丁寧さを心がけて書かれているように思えるが、その筆跡は【シュヴァリエ・デオン】の台本にあっ
た雑で読みにくい筆跡と酷似している。
【机】

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机の上には新聞の束が置かれている。どの新聞にも日付に丸印がつけられている。
●《目星》 新聞
日付の他にもいくつかの記事に丸印や下線が引かれていることが分かる。特に大きな政治的出来事や犯罪事
件について印がつけられていた。また新聞をよく見ると他国の新聞が混じっていることが分かる。どうやらそ
れはアメリカの新聞の一部…つまりスクラップというやつでそこには【ニコラ・テスラ】なる人物の記事がま
とめられていた。
⇒ニコラ・テスラの記事
ニコラ・テスラがテスラ電灯社を設立したという記事だ。交流電流による電気事業を推進していくと記事に
は書かれている。
●《目星》 机の中身
机の中を開くと女性用の化粧品や髪留めなどが入っていることが分かる。
さらに中身を漁ってみると、彼女の日記帳を見つけることができるだろう。最近の日記には以下のような内
容が書かれていた。

オリヴィアの日記 >

■月●日

アレンに【シュヴァリエ・デオン】の主役をやるべきだと言われた。光栄な話だけれど、私のような者がこの役に成り

きることはできない。とても嬉しい話だけど…明日、主役を断ろう。

■月▲日

結局断れなかった…。やるからには最善を尽くさなければならないけれど、やはり私にはデオンの前半生をうまく演じ

ることができない。どうすれば…どうすれば男性を理解できるのだろうか…。

●月×日

街を出歩いていたら神智学協会の人々が演説を行っているのを目にした。彼らの心霊主義的な思想はもしかすると今の

私を救ってくれるかも知れない。神智学協会のブラヴァッキー夫人は私の悩みに対して「助けられる手立てがあるかも

しれない」と言ってくれた。3日後、忘れずに神智学協会に行かなくては…。

●月■日

結局ダメだった。夫人もいろいろと私のために試してくれたけれど、特に何も起こらずに終わった…。

やはり、自分のことは自分が解決しなくてはならないのね…。

月 日(日付が書かれていない)
最近、記憶が途切れることがある。街中を歩いていたはずなのに、気が付けば路地裏にいたり…間の記憶が全くない。

お気に入りだったメモ帳もなくしてしまった。

稽古がうまくいかないから…疲れているのかしら…。

月 日(日付が書かれていない)

夢を見た・・・ 鉄の箱の中にいる 人々の悲鳴 おぞましき… 怪物。

「「「お前は誰だ?」」」

これを読んだあなたは最後の【お前は誰だ?】という一文に目を奪われることだろう。一際大きく書かれた
それは自身に問い掛けるかのごとく何度もなぞられており、強い筆圧によって一部穴があいていた。書き手の
不安定な心理状態に当てられて少なからず恐怖を感じるかも知れない…。

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■SANc 1/2 (成功/失敗)
【ベッド】
●《目星》
《幸運》 ベッド
ベッドの裏に小さなメモ帳が挟まっている。まるで隠してあるかのようだ。
⇒メモ帳の中身を見る
メモ帳にはびっしりと文字が書かれていた。ここに書かれている内容を理解するには別途ダイスロールが必
要となる。
●《図書館》 メモの内容を整理する
さまざまな文字を読み解いていくとこのようなことが分かる。
メモの内容 >

▼PC が気になったワードは以下のとおり

【1943 年 10 月 28 日】【神智学】【レインボープロジェクト】【フィラデルフィア実験】

【ヘレナ・P・ブラヴァッキー】【エルドリッジ艦】【第二次世界大戦】【時間】【ニコラ・テスラ暗殺】

※なおメモ帳の最後のページには【シュヴァリエ・デオン】のチケットが1枚挟まっていた。

※ちなみに現在の年号は冒頭で語られていたように 1887 年となる。

※赤字で書かれている内容は未来の出来事について記載されている。よってこれらのワードについて PL が追
加で情報を得ることはできない。PL にリアル知識があったとしても現段階では PC がそれを知覚することはで
きないため、【神智学協会】にたどり着くまでリアル知識は他の PL に開示しないよう忠告しておくこと。

※一通りの情報を共有したところでオリヴィアがニコラ・テスラの暗殺を企てているのでは?という考えに至
ったのであれば SAN チェックが入る。
メモに書かれている【ニコラ・テスラ暗殺】というワード。そしてあなたがたが知り得たオリヴィアの情報
の数々から、これらが恐るべき計画の痕跡であることが分かるだろう。
これは単なる行方不明事件ではない…これからのあなたがたの行動次第で殺人事件に発展する。
集約された情報を名付けるならばこれは【ニコラ・テスラ暗殺計画】…!
今それが、あなたがたの面前で予告されているのである!!
■SANc 1/1D3 (成功/失敗)

※宿舎では「オリヴィアに誰か(未來の人間)が取り付いているのではないか…?」というところと「ニコラ・
テスラの命が危ない」ということが分かれば良い。さらに、【神智学】から【ブラヴァッキー夫人】と【降霊
会】を結びつけて考えた PL がいたのであればエクセレントである。オリヴィアは降霊会に参加してからおか
しくなり、やがて行方不明になったというのがシナリオの背景である。

●《知識》
《オカルト》《ナビゲート》 神智学協会の場所
あなたがたは神智学協会の場所を知ることができる。どうやら神智学協会のロンドン支部はセントポール大
聖堂の近くにあるようだ。
⇒現在時刻について尋ねられたら移動している頃には 18:00 付近になるだろうと告げること。
探索の流れとしては【セント・ポール大聖堂】⇒【神智学協会】が好ましい。

12
【(18:00)セント・ポール大聖堂へ…】---------------------------------------------------------------
あなたがたはセント・ポール大聖堂へ向かった。すでに日も暮れつつあり、このあたりの人通りは少ない。
さて、あなたがたが手紙の待ち合わせ時間である 18:00 より手前にセント・ポール大聖堂の前にたどり着く
と、門の前に口の開いたカバンが置かれていることに気がつくだろう。
⇒カバンの中身を見る
カバンは広げられたハンカチの上に置かれている。カバンの中には一番手前に手紙が入っており、うっすら
と【シュヴァリエ・デオン】のチケットが見える。
※手紙をしっかりと確認すると宿舎で見かけた手紙と同様のものであることが判明する。

●《目星》
《聞き耳》 ニコラ・テスラを探す
あなたがカバンの持ち主であろうニコラ・テスラの姿を探していると、少し離れたところに複数の人影を発
見する。耳をすませば「危ないことはお止めになってくださいっ…!」と叫ぶ女性の声も聞こえてくるだろう。
⇒人影の方に向かう
門の外周りを囲んでいる庭のあたりに人影はいた。近づいてみると、人影が2人のシスターであることが分
かる。なぜか彼女たちは薄暗い空を心配そうに見上げていた。
⇒シスターに声をかける
シスター「あぁ…どうかあの御方をお止めになってください…><」
そのようにシスターが言葉を返した瞬間、眩い閃光があなたがたの視界を奪う。思わず目を瞑り、顔を背け
ると頭上から男の高笑いが聞こえてくるだろう。
???「素晴らしいッ…!暗がりでもこの華やかなロンドンの街並みを照らし出す、天使降臨の絵画の如き、
美しい輝きだ…!」
恐る恐る声のする方を見上げると、電灯に登っている1人の男の姿を見る。歳は30代、長身でなかなかに
顔立ちの良い男だ。ワイシャツベスト姿で電灯に登る彼は、手にしている工具を腰に巻かれたベルトに差込み、
軽々と電灯を降りる。そしてシスターの1人が抱えていたジャケットを受け取り、礼を言う。
???「心配をかけたようですまなかった。私は電灯社に勤めている者なのだよ。最も、ここは管轄外だがね。
配線が切れていたが、修理したので当分は問題ないだろう」
男の言葉にシスターはありがとうございますと深々と頭を下げている。
???「おっと時間が…。それではシスター、私はこの辺で失礼しますよ。待ち合わせをしているものでね…」
男は軽く礼をしてセント・ポール大聖堂の門の方へ歩き出す…。

⇒呼び止めて男と会話をする
※電灯に登る男【ニコラ・テスラ】は紳士的であるため、あなたがたを無下にするようなことはしないが、待
ち合わせ(急ぎの用)があるために丁重にお断りをして立ち去ろうとする。PL はニコラ・テスラが思わず足
を止めてしまいそうな言葉を言わなければならない。

13
▼ニコラ・テスラについて
①あなたがニコラ・テスラか?
テスラ「いかにも。私がニコラ・テスラだ。はて…どこかで会いましたかな?」
②あなたの命が危ない/殺される…等。
テスラ「ハハハッ…何を言うかと思えば…。突然そう言われて、信じる人などおりますまい。あなたがたは預
言者か何かかな?」
③手紙の話をする
テスラ「うむ…その手紙の内容を知っているということは、まんざら冗談でもなさそうだ。しかし、ブラヴァ
ッキー夫人が私のようなただの電気技師にそのような回りくどいことをさせるとは思えんのだがな」
④オリヴィアが行方不明でニコラ・テスラを暗殺しようとしてる件について
テスラ「オリヴィア…それはオリヴィア・ブラッドバーンのことか?【シュヴァリエ・デオン】が私の命を狙
っているということはこれまた光栄の至りだね。諜報のプロがいったい私の何を危惧して命を狙っているのや
ら…実に気になるところだよ!(興味津々)

⑤神智学のブラヴァッキー夫人について
テスラ「あぁ、彼女から手紙が来た時はそれはもう心が躍ったね。一度お会いして、マハトマ(偉大な魂)に
よる古の智慧(ちえ)について語り合いたいと思っていたのだ。…そうだ君たち、もし良ければ神智学協会ま
で私と同行してはくれないかね?君たちと行動を共にしていればおそらく君たちの言う者も簡単に手は出せ
まい。そして、この一件…私はなんとしてでもブラヴァッキー夫人と面会したくなってきた…!」
⑥ニコラ・テスラ自身について
⇒歳は?
テスラ「今年で31になるね」
⇒生まれは?
テスラ「生まれはオーストリア帝国(現クロアチア)、現在はアメリカのニューヨークに住んでいる」
⇒ライバルと言われているエジソンについて
テスラ「うむ…そうだな…。私は元々彼の会社で働いていたのだが、交流電流はお気に召さなかったようで仲
違いをしたよ。まぁ今の時代は彼らのものかもしれないが、未来は私のものになる。交流電流が世のため人の
ためになれるよう私は尽力するだけさ」
⇒ハンカチの上にカバンを置いた経緯
テスラ「…?あぁ、私はどうやらいわゆる潔癖症というやつでね。あまり気にしないで欲しい」

⇒以降、ニコラ・テスラが PL と同行する。
ニコラ・テスラは門の前に置いていたカバンを回収し、あなたがたと共に神智学協会へと向かうだろう。

【(19:00)神智学協会_ロンドン支部】---------------------------------------------------------------
あなたがたは神智学協会ロンドン支部に訪れた。ドアノブを叩けば、初老の男性が要件を聞いてくる。
※夜の来訪のため、よほどのことでない限り、初老の男性はブラヴァッキー夫人へ話を通してくれない。ここ
では上流階級の PC が中心となって会話をする必要がある。他の階級の者が話しかけた場合、初老の男性は冷
たい態度で接する。(該当階級がいない場合は交渉技能ダイスロールで代用してほしい)

14
初老の男性「夜の来訪のご予定はないと聞いておりますが、どちらさまですか?」
⇒該当階級の PC またはダイスロールで要件を伝える。
初老の男性「はぁ…かしこまりました。少々お待ちください」
そういって初老の男性は一度玄関を閉めて、協会の中の者に話を伝えに行く。5分ほど経ってから再び玄関
が開かれるとあなたがたは神智学協会の中へ案内されることだろう。
初老の男性「ブラヴァッキー様のお部屋へご案内いたします、…今夜だけは特例ですからね」
初老の男性はするすると廊下を移動し、やがて一つの扉の前で留まる。
初老の男性「こちらがブラヴァッキー様のお部屋でございます」
そう言って一礼すると初老の男性はどこかへ歩き去ってしまう。

⇒部屋に入る(※PL が一声かけてからセリフを言うこと)
ヘレナ「…どうぞ、お入りください」
扉を開くとそこには書庫のような空間が広がっていた。部屋の中央には大きなデスクがあり、そこに座る一
人の女性が事典のように分厚い本からあなたがたに目を移して話しかける。女性は化粧のせいか年齢不詳な顔
つきをしているが、落ち着きのある声はそこそこ年長らしい風格がある。
⇒あなたがブラヴァッキー夫人?
ヘレナ「わたくしがヘレナ・P(ペトロヴナ)
・ブラヴァッキーです」
ヘレナ「まぁこんなに大勢でいらして…。どうぞこちらにおすわりになってくださいな」
ヘレナ「さて…まずはお話の前にあなたがたがどなたか自己紹介してくださるかしら?」
⇒PC の自己紹介を行う
ニコラ・テスラもあなたがたと同様、一礼して自己紹介をする。
テスラ「はじめまして。ニコラ・テスラと申します。アメリカから遥々あなたに会いに参りました」
ニコラ・テスラの言葉にヘレナは少し驚いた表情を見せる。なんとなく彼女の頭に疑問符が上がっているよ
うだ…。
※ヘレナはニコラ・テスラのことを知らないため会いに来たという言葉の意味を理解していない。

▼ヘレナから得られる情報
※KP はヘレナが持つ以下の情報をすべて PL に開示すること。
①手紙の話をする
ヘレナ「…それ、見せていただけるかしら?」
⇒手紙を見せる
ニコラ・テスラが所持していた手紙を受け取ったヘレナは静かに読み始める。しばしの沈黙のあとでヘレナ
は封筒に手紙を戻しながら次のようなことを言うだろう。
ヘレナ「結論から言って、これはわたくしが書いたものではありませんわ」
ヘレナは自分の机に戻り、書き途中の文書をあなたがたに差し出してみせた。
文書と手紙の筆跡は見比べる必要がないほどに異なっている…。
※《心理学》を行ってもこの事実に嘘偽りはない
ヘレナ「いったい誰がこの手紙を書いたのかしら?」

15
②オリヴィアの話題を出す
ヘレナ「オリヴィア…オリヴィアね…。その名前…どこかで聞いた覚えがありますわ」
⇒オリヴィアがヘレナと会っていたという日記の話をする
ヘレナ「思い出した、オリヴィア・ブラッドバーン。街頭演説で知り合った彼女だわ」
⇒オリヴィアとヘレナの関係についてくわしく聞く
ヘレナ「わたくしは彼女のある悩みを解消するため、彼女に降霊術を行いましたの。結果は失敗に終わってし
まったけれど…。どうやら彼女の身に何かが起きているようですね。もっと彼女のことを詳しく聞かせてくれ
ないかしら?」
③オリヴィアの日記を見せる
ヘレナ「これは…たいへん興味深いですわね。後半の日記の変わりよう…もしかするとわたくしの降霊術は失
敗などしていなかった…?誰かが彼女にとり憑いたということなのかしら…?」
ヘレナは【お前は誰だ】と書かれた一文をなぞりながら呟くように言った。
⇒降霊術の内容について
ヘレナ「あなたがたは彼女が男性恐怖症であることは知っていて…?」
ヘレナ「わたくしはその件で彼女に相談をされたのです。神智学によってこの問題を克服できないかと。その
時、わたくしはうまくいくかは分からないけれど降霊術という方法があるということを彼女に伝えました。降
霊術によって男性の霊を憑依させれば、克服に繋がるかもしれないと…」

ヘレナの降霊術 >

目的:オリヴィアの男性恐怖症の克服

方法:オリヴィアに男性の霊を憑依させる。

降霊術の成功率を上げるため、オリヴィアに憑依させる霊はその肉体に馴染むよう、血縁者を降霊することとした。

つまりは他界した親族や先祖(の男性)を呼ぶということである。また霊をあの世から引き寄せるための道具として、

オリヴィアの家に代々受け継がれている【銀の懐中時計】を媒介とした。

ヘレナはオリヴィアに降霊術を行ったが、何も憑依することなくオリヴィアにも変化がなかったため、失敗に終わった

という。

④ベッドに隠されていたメモを見せる
ヘレナ「これはどういうこと…?1943 年 10 月 28 日…今から、56 年後の年号じゃない。それと良く分か
らない言葉が並んでいるわ…どれも聞いたこともないものばかり。もしかして…いやありえない、ありえない
わ…彼女にいったい【何が】とり憑いたとでもいうの…?」
ヘレナは自分の思いつきを否定しながら酷く困惑した表情を見せる。
⇒ヘレナの思いつきについて尋ねる
ヘレナ「あなたがたこのメモに書かれていることが理解できて…?」
⇒PL の反応を待つ
あなたがたと同様にメモの内容を眺めていたニコラ・テスラがある1つの言葉を見つけて突如眼を丸くする。
テスラ「なんとこれは…。私のひらめきの一節がここに書かれているではないか」
テスラ「見たまえ。これはロンドンの港に着いた際にひらめいたアイディアをまとめたものだ」
ニコラ・テスラは胸ポケットから手帳を取り出してあなたがたにあるページを開いて見せる。そこには難し

16
い図式と発明品らしき船のスケッチが細かく記載されていた。そしてそのページのトップには【レインボープ
ロジェクト】という言葉が書かれていたのである…!
ヘレナ「やはり…そういうこと…。あなたたちも分かってしまったのではないかしら…わたくしが彼女に降霊
させたとんでもないものの正体…」
※ここは PL への問いかけであり、ちょっとした推理パートである。PL は現状の情報を整理してオリヴィアに
とり憑いている者が【未来人】であることに気がつかなければならない。もしも気がつかなければ、ヘレナが
代わりに代弁(下記に記載)することとなる…が、主人公はあくまで PC(PL)なので推理内容の RP は PL を
優先させて欲しい。
⇒ヘレナの代弁
ヘレナ「おそらくわたくしは…本来ありえない者を降霊させたの。具体的に誰なのか特定はできないけれど、
はっきりと分かることがある。わたくしたちが知らないことをその人物は知っている。ミスター・テスラが港
で閃いたというアイディアですら、その人物は把握していた。そして 1943 年 10 月 28 日、もしこの日付
と他の言葉が紐づいていたら…?その人物はわたくしたちよりも【未来】に生きていることになる!つまり、
彼女にとり憑いている者は未来人ということになるわッ…!」
⇒未来人がとり憑いていることに PL が気がついて発言する
ヘレナ「よく気がついたわね。わたくしの推測もずばりその通りよ。彼女の身体には今、未来人の霊体がとり
憑いている…。その可能性が大いに考えられるわ」

【未来人の幽霊】など果たして想像できようか…!?
おおよそ見当もつかないこの事態にあなたがたは妙な不安と今までに感じたことのない種の恐怖感を感じ
ることとなる。
■SANc 1/1D3 (成功/失敗)

ヘレナ「自分で言いながらゾッとするような話なのだけれど、その推測に至ることで気になることも出てきた」
⇒気になることって?
ヘレナ「気がつかないのね、ここに書いてある、【ニコラ・テスラ暗殺】って文字よ。いいわ、わたくしの方
から聞いてあげる、ミスター・テスラ…、あなた一体、未来で何をしでかすの?」
ヘレナのするどい目つきがニコラ・テスラに突き刺さる。
ニコラ・テスラは少しこわばった表情になり、冷や汗をかきながら手帳とヘレナを交互に見てひとこと「分
からない」と言った。

⇒ニコラ・テスラのアイディア(レインボープロジェクト)について尋ねる
テスラ「…現段階ではパッと思いついた程度のアイディアにすぎない。よってその思い付きが必ずも成功する
とは限らないが…未来に私が危害を加えるなどと…」
ニコラ・テスラはヘレナの言葉を聞いて動揺しているようだった。そしてどことなくショックを受けている
ようにも感じる。彼を落ち着かせるか、状況を整理して話してもらう必要がありそうだ…
●《精神分析》
《説得》《電気修理》 ニコラ・テスラを落ち着かせる
テスラ「すまない…取り乱してしまったようだ。私のアイディアだが…私は【磁気を消滅させるシステム】を

17
思いついたのだよ。これは噂で聞いたことに過ぎない話なのだが、ドイツの物理学者が電磁波を人工的に発生
させ、検出する実験を行っているという話を聞いた。もしも電磁波を検出できたということになれば、それら
を発している主に機械系の設備のある場所が容易く特定できてしまうということだ。もしもの未来、この実験
が戦争に利用されることとなれば、我々は今のような暮らしが望めなくなるだろう。現代において人類が空を
飛べる技術は気球しかないが、おそらく数年も経てば車のように小回りが利き、気球の何倍もの強度を持つ飛
行技術が誕生するはずだ。されば【モノ】は使いよう…空からいとも容易く我々の生活を破壊できる【モノ】
も同時に生まれてくる。私のアイディアはそんな行く末の妄想から、先取りで阻止するための閃きだった…そ
れが【レインボープロジェクト】だ」
ニコラ・テスラの閃き >

小難しい話を述べるニコラ・テスラは【磁気を消滅させるシステム】についてのアイディアを閃いたようだった。

それは現時点では特に意味のないモノのように感じるが、将来的に近代化が進み便利な道具が戦争に使われた場合の

【対策(レインボープロジェクト)】になるはずだとニコラ・テスラは提唱している。
しかし、その対策も今はただの閃きにすぎないためニコラ・テスラ自身もそれ以上の考えにまだ至っていない。

ヘレナ「あなたがたはミスター・テスラの話…どう受け取るかしら?信じる?それとも…」
ヘレナはまだ疑いの目でテスラを凝視している。
⇒PL の返答を聞く
ヘレナ「いいわ。それじゃあこの不可思議な実態が一体どこへ収束するのか…マハトマの智慧をお借りするこ
とといたしましょう、書斎へついていらっしゃい…」
ヘレナが椅子をたったその時だ。
部屋の外から何かが割れる音と初老の男性性の叫び声が聞こえてくる。その音に咄嗟に飛び出したのは扉付
近に立っていたニコラ・テスラだ。扉を勢いよく開け、部屋を飛び出していく…。
⇒後を追う

【(20:00)神智学協会_とり憑かれたオリヴィア】-----------------------------------------------------
⇒ヘレナを含めて全員が神智学協会のエントランスに集合する
あなたがたがニコラ・テスラの後を追い、狭い廊下を走る中、一発の銃声が響き渡った。協会のエントラン
スにたどり着くとあなたがたの前にニコラ・テスラが背を向けた状態で立ちすくんでいた。
刹那、彼の背はじわりじわりと赤い鮮血に染まっていき、膝から崩れ落ちるようにして倒れるだろう。あな
たがたの視界からニコラ・テスラが消えたとき、その目先には黒いローブに身を包んだ一人の女が銃を片手に
立っていた…。
あなたがたはひと目でこの女を理解する。目の前の女こそ、探していた【オリヴィア・ブラッドバーン】そ
の人だ。美しいブロンド髪の美女は騎士のような鋭い眼光を放ち、まるで【シュヴァリエ・デオン】のような
佇まいであなたがたの前に立ちはだかっている。
※オリヴィアの身体には未来の血族である【ベネディクト・ブラットバーン】が乗り移っている。
⇒オリヴィアに声をかける
???「彼女に語りかけても無駄なことだ、彼女はお前たちの呼びかけには応じない」
⇒お前は誰だ?

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???「俺は、何者でもない者。この世界にはおおよそ存在しえない者だ」
⇒未来人なのか…?
あなたのその一言に目の前の人物は眉をひそめる。
それと同時に、床に倒れ込んでいたニコラ・テスラが息苦しそうに咳き込みながら息を吹き返す。撃たれた
ものの急所からは少し外れていたようだ。血だまりを作りながらもニコラ・テスラは上体を起こし、自分を撃
った者を目に焼き付けようとしている。
???「急所を外したか…。今度こそ息の根を止めてやる」
…と、その者は再び銃をニコラ・テスラに向けた。
※次の一撃でニコラ・テスラは死に至る。PL はニコラ・テスラの前に立ち、この殺人を止めなければならな
い。もしもここでニコラ・テスラが死んだ場合は、その者は逃げ、ロンドン上空に光の船が降臨しロンドン中
が緑の霧に包まれ大災害が起こる。そして現在 PL が生きている平和な未来が書き変わることだろう。=
BADEND だが、おそらくここで終わることはないだろうから詳細な END 描写は省く。
⇒ニコラ・テスラを庇う
???「どけ!!!!!何も知らぬ、愚かな過去に生きる者たちよ。俺は、俺にはそこのニコラ・テスラを殺
して変えなければならない未来がある!!!!」
???「それでも邪魔をするというのであれば、貴様らもテスラ同様消え失せろ!!!!」

【(20:00)神智学協会_戦闘フェーズ】---------------------------------------------------------------
⇒オリヴィアにとり憑いた者との戦闘となる。
戦闘終了条件は相手の無力化である。なお、生きたまま無力化させる必要がある。戦闘中、もしも相手をオ
ーバーキルしてしまった場合でも PL に殺害する気がなければ気絶というかたちで処理して欲しい。
もしも PL の意志の下、相手を殺害した場合は、すぐさまロンドン上空に光の船が降臨しロンドン中が緑の
霧に包まれ大災害が起こる。そして現在 PL が生きている平和な未来が書き変わることだろう。=BADEND だ
が、おそらくここで終わることはないだろうから詳細な END 描写は省く。
とり憑かれたオリヴィア・ブラッドバーン (※非公開情報)>

STR CON POW DEX APP SIZ INT EDU SAN HP MP

15 13 5 15 17 10 17 17 25 12 5

ダメージボーナス⇒ なし / 装甲⇒ なし

《回避》40% 《こぶし》80% 《キック》70% 《拳銃》80% 1D6(5 発)

※敵は1人だけなので戦闘の進め方としては PC を気絶させる勢いで攻めて構わない。
(PC が死にかけても後の描写で

必ず回復する)技能の強さに恐れてもらった方がいかに早く相手を無力化させるべきかの議論が PL 内でしやすいだろ

う。なお、とり憑いているベネディクトは軍人なので戦闘系ステータスとなっている。
あなたの一撃でその者はうめき声を上げながらがくりとその場に倒れることだろう。
ヘレナはすぐさま玄関の戸締りをし、エントランスの片隅で腰を抜かしていた初老の男性を立たせると何か
を命令して無理やり彼を頷かせた後、あなたがたの方へ歩み寄る。
ヘレナ「ひとまず、わたくしがミスター・テスラの応急手当をいたしましょう。その間、あなたがたはそこの
者を拘束しなさい。絶対に逃してはダメよ」
ヘレナの隣から初老の男性が声をかける。

19
初老の男性「みなさん、集会場を開けました。そこの不法侵入者をこちらに運んでくださいませ…」
※PL は基本全員、集会場に向かうこととなるが、一部ヘレナの下に残っていても良い。その場合、描写が分
断される。
(戦闘で重体になった PC もヘレナが介抱することとなるがこの場合は特に描写は挟まない。そして
PC の HP は 2D6 回復する)

【(21:00)神智学協会_ヘレナの魔術】---------------------------------------------------------------
※集会場に向かわず、エントランスでヘレナとニコラ・テスラを見守った場合、このイベントが入る。
エントランスにはあなたとヘレナ、そして息も絶え絶えな状態のニコラ・テスラだけが残されている。
ヘレナ「あなたも、集会場へ行けって言ったでしょう?なぜここにいるの?」
⇒PL の理由を聞く
ヘレナ「まぁ、いいわ。それじゃあ今の状況を正直に言ってあげる。ミスター・テスラはもう時期死ぬわ。弾
丸は急所を外れてはいるけれど彼自身が無理に動いたせいで血が失われすぎている…」
ヘレナ「大丈夫、こんな面白いところで死なせたりしないわ…。オリヴィアにとり憑いた者があなたを必要と
しなくても、あなたはまだわたくしに必要とされているのよ。PC さん、あなたもそうよね?」
ヘレナ「なら、あなたにも手伝ってもらうわよ…」
⇒PL の返答を聞く
ヘレナは黙って頷くと、右手を掲げて提唱する。
ヘレナ「真理の探求、マハトマよ。その魂に刻まれた智慧で我に力を与え給え」
そうヘレナが唱えると、天井から光が差し込み、そこから1冊の本が姿を表した。触れたら壊れてしまいそ
うなほどに古びている本は仰向けで倒れているニコラ・テスラの前までゆっくりと下りてくると、無造作にバ
ラバラとページをめくり始める。誰も触れられず、独りでに…宙に浮きながら…
ヘレナ「いいこと、あの本の中身は見てはダメ。あなたの頭では理解できないものばかりで目にしたら最後、
脳神経が焼き切れるわ。廃人になりたくなければ黙ってわたくしの手を握りなさい」
そう言ってヘレナはあなたに手を差し伸べる。
※ヘレナは【呪文:治癒(HEALING)
】でニコラ・テスラを救おうとしている。また PC と手をつなぐことで
呪文の代償を分担しようとしているのである。
ヘレナ「智慧の書に記されし第 272 ページの一節を解放。対象はニコラ・テスラ、代償はヘレナ・P・ブラ
ヴァッキーと PC。彼の者に神々の癒しの光を…」
ヘレナがそうつぶやくと、ニコラ・テスラの身体が淡い光に包まれる。それは暖かなエネルギーを纏ってい
るかのようだった。光が消えると、本も消え去りヘレナは額の汗を拭う。彼女は疲れたような表情をあなたに
向け、儀式が終わったことを告げる。…と同時にあなたも身体の全身に疲れを感じることとなるだろう。
■SAN 減少 -1
■MP 減少 -6
またこのような現実にはありえない、魔術の世界に足を踏み入れてしまったあなたは SAN チェックとなる。
■SANc 1/1D3 (成功/失敗)

ヘレナ「助かりましたわ。わたくし一人でもミスターテスラは救えていたけれど、ヘタしたら気絶することに
なっていた…。あなたがいてくれて良かったわ、ありがとう」

20
⇒あの力は一体…?
ヘレナ「わたくしがたどり着いた境地よ。これが近代神智学。どう…?興味を持ってくれたかしら?それとも
恐ろしかった…?」

あなたがたが話をしているとニコラ・テスラがうっすらと目を開ける。彼はゆっくりと片腕で自らの身体を
弄り傷が塞がっていることに驚いているようだった。
ヘレナ「わたくしの探求に感謝することね、ミスター・テスラ。さぁ、集会場へ参りましょうか」

あなたはヘレナとともにニコラ・テスラを支えながら集会場へと向かう…。

【(21:00)神智学協会_集会場】
---------------------------------------------------------------------
※集会場へと向かう。その間、ヘレナはニコラ・テスラに【呪文:治癒(HEALING)】を施しているため、後
で合流することとなる。
集会場はあなたがたが想像しているものはかなりかけ離れていた。広い部屋の中央には祭壇があり、頑丈そ
うな鉄の椅子が置かれている。そしてその周りをぐるりと見物者用の椅子が取り囲んでいるといった部屋だっ
た。まるで何かの儀式を行うようなそんな印象を受ける。
初老の男性「ひとまず、あの鉄の椅子にくくりつけましょう。ロープはこちらに…」
そう言って初老の男性はロープをあなたがたに手渡した。
⇒この部屋は?
初老の男性「えぇ我が協会の集会場です。主にヘレナ様がここで降霊術を定期的に行っております」
※詳しいことを聞かれてもこの執事には分からないので答えることができない。

⇒オリヴィアの身体を鉄の椅子に括りつけたところで、ヘレナたちと合流する。
あなたがたがオリヴィアの身体をしっかりと鉄の椅子に括りつけたところで、ヘレナとニコラ・テスラが集
会場に現れる。ニコラ・テスラはヘレナに支えられてはいるものの顔色は先ほどとは異なり、笑顔を見せるほ
どに回復していた。あれほどの血を流したというのにこの男の回復力は計り知れない…。
ヘレナ「これで、キャストは揃ったわね。まったく…わたくしもとんでもない霊を呼び出してしまったようだ
わ。そこの何者でもない者が起きたらさっそく尋問いたしましょう」

そうしてあなたがたは再びその者が目を覚ます時を待つのだった…。

【(22:00)神智学協会_私の名はベネディクト・ブラッドバーン】----------------------------------------
夜中の 22 時、ふとその者は目を覚ます。
ゆっくりと顔を見上げた時、その者の視界に生きたニコラ・テスラが映った時、その者は激しく暴れだす。
???「なぜだ!なぜ生きているニコラ・テスラ…!なぜお前たちは邪魔をする…!!!」
その者は乱暴に喚き散らし、鉄の椅子で身動きの取れない状態のまま暴れる。暴れる度にロープが肌を締め
つけ、腕や太ももに血がにじんでいた…。

21
▼その者から得られる情報
※KP はその者が持つ以下の情報をすべて PL に開示すること。
①お前は誰だ?
???「それを聞いて、今更何になる…!?」
⇒未来から来たのではという推測やニコラ・テスラ暗殺について知るために名前が必要だということを伝える。
ベネディクト「どうせ誰も信じないだろうが、言ってやる…!!!!俺の名は【ベネディクト・ブラッドバー
ン】
。この身体は【オリヴィア・ブラッドバーン】の身体であり、彼女は俺の先祖だ!」
⇒本当に未来から来たのか?
ベネディクト「そうだ。生まれは 1915 年、そして 1943 年 10 月 28 日に俺は死んだのだ!そこにいる悪
しきニコラ・テスラの実験のせいでな!!!」
②ニコラ・テスラの実験とは?
ベネディクト「実験は【レインボープロジェクト】と名付けられていた。それは第二次世界大戦における軍事
計画の一環だった。俺が配属していたエルドリッチ艦にテスラコイルを搭載し、敵のレーダーを不可視化させ
るといった実験だった…」
⇒第二次世界大戦?
ベネディクト「未来に大きな戦争が起こるということだ。詳しく言うつもりはない」
⇒エルドリッチ艦?
ベネディクト「軍が所有する駆逐艦だ。この時代にはまだない技術になる。…未来ではさらに重厚な船が大量
に製造されているのだ」
⇒レーダー?
ベネディクト「敵国はレーダーを搭載した軍用機を飛ばしてやってくる。レーダーは特徴のある磁気を感知す
るもののようで、空からピンポイントで船が狙われる。そのレーダーを回避するため、実験は行われた」
⇒軍用機?
ベネディクト「飛行機のことだ。そういえばまだここにはなかったな…。いずれ鉄の塊も翼を備えて空を飛ぶ
ということだ」
※PL の質問がだいたい済んだら実験の結果について話し始める
ベネディクト「実験は 1943 年 10 月 28 日、ペンシルベニア州フィラデルフィアの海上で行われた。当時
の俺たちはテスラコイルが自在に電圧を変えられる、人体には無害なものと伝えられていたため、各々がいつ
もどおり持ち場で作業をしていた。俺も司令官と共に【操舵室】で実験の準備を進めていたんだ」
ベネディクト「そして実験が始まった。テスラコイルの力は凄まじく、実験を開始して数分も経たないうちに
外部からエルドリッチ艦がレーダーから消えたという連絡が届いた。実験成功に俺たちは喜んだが、それもす
ぐさま恐怖に変わった。海面から緑の怪しげな光が湧き出し、船を覆ったのだ。この異変を受けて直ちに実験
を中止しようとしたがテスラコイルは止まらなかった。そして、あろうことか船は浮き上がり、辺りの景色は
歪み、俺たちの船はフィラデルフィアの海上から消えていた…」
ベネディクト「俺たちにも恐ろしいことが起こった。ある者は突如身体が燃え上がってのたうち回り、またあ
る者は船の外壁に半身が取り込まれ、苦痛にもがきながら船と融合していた。俺もそうだ。溶け込むように舵
と融合し、動けなくなってしまった…。これで俺は死ぬのだと悟った時、気づけば俺はこの時代にいた。先祖
の身体に乗り移ってな…」

22
ベネディクト・ブラッドバーンの供述 >

ベネディクト・ブラッドバーンは未来人であり、【オリヴィア】は自分の先祖であることを訴えた。

生前の彼は 1943 年 10 月 28 日フィラデルフィア(アメリカ)におり、操舵室で司令官の補佐を勤めながらテスラ

コイルによる実験を行っていた。実験は成功したかと思いきや、失敗。突如謎の緑の光に包まれ、彼の乗るエルドリッ

チ艦は海上から姿を消したという。そこで彼は恐ろしい苦痛を味わい、気が付けばこの時代にタイムスリップしていた。

この時代にニコラ・テスラが生きていることを知った彼は、未来で起きる凄惨な実験を回避するため、ニコラ・テスラ

の暗殺を企てる。とり憑いた【オリヴィア】の資産ではアメリカまでたどり着けないことを知った彼は、未来の知識を
活かし、ニコラ・テスラが興味を示す神智学の名を使ってここロンドンに呼びつけたのであった。

③オリヴィアはどこ?
ベネディクト「おそらく船の中だ。俺たちの意識はこのロンドンと、船を行き来している。最初の頃、俺は数
分しか身体を借りられなかったが、徐々にスパンが延びてきている。オリヴィアの精神が弱まってきているの
かもしれない…」

※船が現在どういう状況にあるのか PL が質問した場合、
「それは…」と言いかけて、間髪入れずに次のイベン
トシーンが入り込む。

【(23:00)ロンドン上空に現れたもの】--------------------------------------------------------------
あなたがたがベネディクトを尋問していると、初老の男性が慌てふためきながら集会場に入ってくる。
初老の男性「ヘレナ様、ヘレナ様ーーー!大変です、そ、空が…!!!!!」
息を切らしながら初老の男性はその場にかがみ込んで頭上に指を刺した。外で何か異変が起きているらしい。
そして、突如ベネディクトも激しく苦しみだす。椅子に縛り付けられながらガタガタと身体を震わせ痙攣を
起こしているようだ。
⇒何が起こったのか?
初老の男性「わ、分かりませんっ…!と、とにかく空を…ロンドン上空をご覧になってくださいっ…!!」
※ここでは初老の男性がベネディクトを見張り、PL は基本外の様子を見てきてもらいたい。
(なお無理強いは
しない)

⇒外に出る
道行く人々は皆立ち止まり、こぞって空を見上げていた。
彼らの視線はロンドン市街の上空、ちょうどビック・ベンの方を向いている。そちらを見れば、あなたがた
は皆、心のどこかで感じていたある種の不安が爆発したかのような衝撃を受けることとなる。
星々が輝く夜空の中、ビック・ベンの上空にとてつもなく巨大な何かのシルエットが浮かび上がっていた。
それは夜空の星々を纏っているかのように背景に溶け込んでいるが、輪郭だけは雨に濡れた蜘蛛糸のように淡
い光を放ち、そこに存在していることをはっきりと人々の目に焼き付けている。
「あぁぁ怪物が、悍しき怪物が船に…!!!このままでは…渦に飲み込まれる…!!止まらない…!あの怪
物は…、船をこの時代に……!!!!!!!」
部屋の奥からベネディクトが絶望を叫ぶ声が聞こえた。そしてその声が予言するかのように、シルエットは

23
徐々に緑の光を放出していく。それはまるでじわりじわりと具現化しながら、これが巨大な船であることをあ
なたがたに知らしめるのだった。
■SANc 1D3/1D6 (成功/失敗)

テスラ「まさか…!こんなことがありえるのかッ…!未来人だけではなく彼の乗る船までこの時代にやってき
たというのか…!」
ニコラ・テスラは空中に浮遊する船の姿に目を奪われながら取り乱している。
ヘレナ「大変だわ、大変だわ…!あんなのものが堕ちてきたらロンドンの街は大災害が起こってしまう!」
ヘレナも同様に取り乱してはいるが、それでも彼女は冷静に思考を張り巡らせ、何を思ったのか再び集会場
の方に走り去っていく…。

⇒ヘレナを追いかける
集会場に戻るとベネディクトはぐったりとうなだれ動かなくなっていた。ヘレナはその手前の祭壇にアンテ
ィークの砂時計と古い本を広げている。彼女は本に触れることはなく、呪文のような言葉をいくつも呟き続け
ていた。本は独りでにペラペラとページを捲り、彼女の提示する箇所を検索しているかのようだった。
●《目星》ベネディクトの胸元
うなだれているベネディクト…いやオリヴィアの身体の胸元が仄かに輝いている。何かがそこにあるようだ。
⇒胸元を探る
オリヴィアの胸元から【銀の懐中時計】が現れる。中を開くと長針と短針が不規則に回転し続けていること
が分かる。またオリヴィアの身体に触れたあなたは彼女の身体がだんだんと冷たくなっているのを感じること
だろう。意識のない身体は死を迎えようとしていた。

ヘレナ「その懐中時計を祭壇の前に。精鋭を呼んでいる時間はないからあなたたちに協力してもらうわよ!」
⇒何をすればいい…?
ヘレナ「…あなたたちが魔術を理解できるか分からないけれど、今はこれしかない。あなたたち、よくお聞き
なさい。今からマハトマの秘術で彼らの意識が捕らわれている場所、あのエルドリッチとか言う船へリンクさ
せるわ。そしてあの船がこの世界線に到達する原因を突き止めて阻止しなければならない…!」
ヘレナ「危険が伴う秘術だからこの砂時計で時間を設定するわ。この砂が落ちるまで…すなわち1時間がタイ
ムリミットよ。1人見張りを立てて砂が落ちきったら、霊力の込められた鈴を使ってここに引き戻してもらう。
その間、他の者は意識を切り離してこの事態を食い止める、いいかしら?」
危険な旅路 >

これからあなたがたはロンドン上空に出現した【エルドリッチ艦】がこの時代に到達することを防ぐため、【銀の懐中

時計】とオリヴィアの身体を媒介に、2人の意識が捕らわれているエルドリッチ艦に向かうこととなる。

ヘレナの話によれば、マハトマの儀式によってあなたがたはアストラル体となりエルドリッチ艦まで意識を飛ばすこと

ができる。ただし長居をすると元に戻れなくなる可能性があるため、1時間のタイムリミットを設けこの危機を回避し
なければならない。

※ここで PL は【ニコラ・テスラ】か【ヘレナ】のどちらか1人同行者を選ぶこと。現時点では非公開だがそれぞれ特

有のサポート効果が用意されている。話し合って決めて欲しい。なお選ばれなかった方は砂時計の見張り役となる。

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※この選択は直接エンディングに関わるものではない。PL が2人の NPC に対し、不安を抱いているようであ
れば、2人はサポート要因であり、ここでエンディングが分岐することがないことを伝えても良い。
※ここでサポートが2ルートに分かれるが、セリフの内容はほぼ変わらないので本シナリオでは【ニコラ・テ
スラ】を同行させ【ヘレナ】を見張り役とした場合を記載する。
(PL が逆の選択をした場合は語尾を変えるなどして対応していただきたい)

ヘレナ「この先何が起こるか分からないわ。おまけに時間もない。それでも、わたくしたちがなんとかしなけ
ればロンドンは崩壊する。いいこと、意識を身体から引き離す際に重要なのは自我を見失わないこと。自分が
自分であることを忘れないで。家族でも隣人でもいい…大切なものを思い描いたまま気を強く持って…」
テスラ「私もこの結末を見届けなければならない。贖罪のため、この事態を救済しなければ私は私が抱く真の
発明家ではなくなる…何があってもやりとげなければ…!」

ヘレナ「さぁ、儀式を始めるわ…!自分のアートマン(魂)をかけてロンドンを救いましょう…!
そうして、あなたがたはまだ見ぬ時の迷宮へと足を踏み入れることとなる…。

【(23:00)時を彷徨う船】-------------------------------------------------------------------------
耳の奥で騒音が鳴り響いている。
それは次第に音を増していき、やがて自身が騒音の中にいることが理解できた。
ゆっくりと目を覚ませばあたりには共に儀式を行った仲間の姿が見える。
あなたがたは狭い鉄の箱の中に居た。正確には箱ではないが、四方が鉄板とボルトといくつものパイプによ
って覆われており、部屋とはとても言い難い奇妙な空間となっているのだから、そう例えた方がしっくりとく
る。おまけに外からガタガタとこの箱を揺らす音が響き渡っている。
⇒この部屋について分かること
周囲を見渡せば、鉄の扉があることが分かる。またそれぞれの持ち物は所持したままである。
●《目星》部屋について
この鉄の箱は壁や器具など、ところどころが歪んでいたりどろどろに溶けていることが分かる。しかし鉄が
溶けるほどの熱さはなく、何かを燃やしたような形跡もない。…どうしてこのようになっているのだろうか。
⇒部屋を出る前に…
●《1DPC 数》※シークレットダイスロール
⇒選ばれた PC は奇妙な体験をしてしまう。
PC1名のみの限定公開情報 >

あなたが扉に向かおうとした際、急に後ろから肩を掴まれる。あなたの視界には意識を切り離してやってきた仲間の姿

が全員見える。後ろで 肩 を 掴んでい ル のは ダレ ?

あなたがゆっくりと振り向けば、そこにはすらりと伸びた片腕があった。片腕はところどころが半透明で骨や血管が浮

き出て見えている。そして片腕の根元には1人の人間を混ぜ込んだような歪んだ壁が存在していた。

■SANc 1D3+1/1D6 (成功/失敗)

※選ばれた PC が大きなリアクションを取れば他の PC も SANc の道連れとなる。

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⇒部屋を出る
鉄の扉を開くと眩い光と強風が吹き込んでくるだろう。どうやら外に繋がっていたようだ。
改めて全員が外に出るとそこが船の甲板であることが分かった。そして今この船がどこを航海しているのか、
あなたがたは自身の目で確かめることができる。
船は光の渦を旋回していた。正確には光でできた巨大な渦潮の中に巻き込まれていると言ったほうが正しい
のかもしれない。船は徐々に渦の中央へ飲まれようとしていた。
▼周囲の様子
①光の渦
●《目星》光の渦の中心部
あなたは光の渦の中心部が次第に広がりつつあることに気がついた。そしてその奥に、あなたがたのよく知
るロンドンの景色が広がっていることに気がつくだろう…。
②周囲の景色
●《目星》周囲の景色
周囲の景色は暗闇と満天の星によって覆われている。時折、暗闇の一部が裂けてはそこから無数の光がこぼ
れ落ち、まるで流れ星のような光が船を横切っていく。
●《目星-30%》※周囲の景色の《目星》に成功した者のみ
船を横切る光の中にあなたは思いがけないものを見た。それは見たこともない大型の生物たちが生きている
姿、それは翼の生えた鉄の塊が市街地を焼き尽くす様子、それは光に満ちた現代ではありえないロンドンの街
並み…さまざまな景色が断片的に流れていく…まるで走馬灯のようだ…
※その光の中にあなたがたは過去、現在、未来のさまざな事象の断片を見る。
③船の様子
●《アイデア》船の様子
船は確実に光の渦に飲まれているのだが、あなたにはこの船が飲み込まれる時間を引き伸ばしているように
感じる。船は渦に逆らうようにできるだけ大きく旋回していた。

※一通り調べ終えたところで、お待ちかねの神話生物がやってくる…
テスラ「私の知るフィラデルフィアでもロンドンでもないここは…?この空間はいったい…」
そうニコラ・テスラが呟いた時のことだ。突如、耳を貫くような奇声が響き渡り、同時に船が激しく揺れ始
める。そして船の真下から、吹き出すように怪しげな緑の光が溢れ出てくることだろう。
バキバキと船の外壁をへし曲げてその元凶はあなたがたの前に姿を現すこととなる。
黄緑色の植物にも似た、発光する粘着質の巨大な蔦が無数現れる。それらは巻き付くように船を覆って制御
を奪い、あの光の渦へと…船を導かんとしていた…。
黄緑色の巨大な蔦が通った跡は悪臭を漂わせ、船をじわじわと溶かしていった。
テスラ「これは…私の実験が生み出したものなのか…。この悍しき…怪物が…」
ニコラ・テスラの瞳に絶望が宿る時、あなたがたもまた耐え難い恐怖を感じ取っていた…。
■SANc 1/1D6 (成功/失敗)

26
神話生物 星の母 (※非公開情報)>

フィラデルフィア実験にて生み出されたのは【星の母】である。本来のステータスを見ると勝てない相手ではないよう

に見えるが、本シナリオでは触手の怪物として戦艦よりも大きく巨大化している。よって、この神話生物を倒すことは

不可能だ。ここでは神話生物との戦闘ではなく、制限時間付きの探索を PL に行ってもらうこととなる。その妨害とし
ていくつかこの神話生物が手を出してくるという筋書きだ。

さてあなたがたは現在、悍しき触手の怪物に囲まれている。臆病者よりむしろ勇敢である者の方がこの状況
をよく理解していることだろう。束でかかってもこの怪物を倒すことは不可能だということに。さればどうす
るか…?冷静にここへ来た経緯を思い起こすと、あなたがたは大事な目的とタイムリミットを思い出す。
さぁ、勇敢なる探索者諸君。時間の荒波に飲まれながらこの船が行き着く先を見定めてほしい…。

探索ルール >

これより、時間制限付きの【探索】が始まる。この探索の結果によってあなたがたとロンドンの運命が決まる。

以下のルールにしたがって探索を行って欲しい。

【1】タイムリミット(ターン数)を決める

1D3+4 ターン

※このターン終了後、タイムリミットに到達しあなたがたの意識は元の時代へ戻される。

【2】行動回数

1人の PC につき1ターンの間に計2回の行動を行うことができる。

行動は【移動】と【調べ物】の2種類。どのような組み合わせを取るか考えた上で KP に宣言すること。

※【移動】について

扉を開いて部屋または通路に入るごとに行動回数が1つずつ減っていくこととなる。

ただし、他の PC がすでに入った場所に関しては行動回数は失われない。

※【調べ物】について

各場所にダイスロールで調べられる個所が1箇所ずつ存在する。または特定の部屋で起こる強制イベントによりダイス

ロールをすることで行動回数が減っていく。(成功/失敗に関わらず行動回数は減少する。ただし SANc は除外)

ニコラ・テスラのサポート効果 >

この探索においてニコラ・テスラは次のような力を発揮する。

▼エルドリッチ艦の内部構造把握

ニコラ・テスラは船の様子から内部構造を推測した。未だ1つの部屋にしか入っていないのにも関わらず、この男は手

帳に艦内地図を書き記してあなたがたに提示する。以降、探索の地図に艦内情報が追加されることとなる。

※なお、ニコラ・テスラはまだ傷が完治していないため行動回数は1回に制限される。

ヘレナ・P・ブラヴァッキーのサポート効果 >

この探索においてヘレナは次のような力を発揮する。

▼感知能力

各フロア内で彼女は何かを感じることができる。感じ取ったものが吉と出るか凶と出るかは分からない。最終的な判断

はあなたがたにゆだねられる。※なお、ヘレナは儀式のために疲弊しており、行動回数は1回に制限されてしまう。
※ヘレナの感知能力は【ベネディクト】と【オリヴィア】の居場所を感じることができる。

27
【(23:00)危険な探索】---------------------------------------------------------------------------
※ここからの PL の探索でエンディングが分岐する。
エンディング分岐(※非公開情報)>

【★BAD END★:ロンドンの終末】

条件:操舵室で舵の STR 対抗に失敗したままタイムリミットに到達する。

【★NORMAL END★:真逆のデオン】

条件:操舵室で舵の STR 対抗に成功するが、船内で銀の懐中時計を見つけられないままタイムリミットに到達する。

【★TURE END★:シュヴァリエ・デオン】

条件:操舵室で舵の STR 対抗に成功し、船内で銀の懐中時計を見つけてベネディクトの下まで持っていく。

※マップ画像はニコラ・テスラ用とヘレナ用で分かれている。同行者に選んだ者の名前が書かれているマップ
を提示すること。
(【←】のマークは階段を示している)
★【画像開示】艦内地図①_同行者

★【画像開示】艦内地図②_同行者

▼同行者がヘレナだった場合の【艦内地図①&②】感知能力結果
ヘレナ「よく分からないけど…嫌な気配を感じるわ。特に通路は十分に気をつけることね…」
■展望室
※PC たちが最初にいた場所

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描写は目覚めた時にすべて開示されているので、再度調べても特に気になるものはでてこない。展望室とな
ってはいるが、部屋も展望できる機材も部分的に溶けているためそもそもの機能を失っている。

■甲板(外)
※甲板に出た場合、黄緑色の触手に襲われる
あなたが外に出ると黄緑色の触手が行く手を阻んでくる。ここで PL には行動を消費して《回避》を行うか、
行動を消費せず触手のダメージを受けるか選択して欲しい
■触手ダメージ 1D6
※気絶した場合はこのターンの行動が不可能となり、次のターンから行動できるものとする。

■前方連絡通路
比較的広い通路だ。正面には扉があり、両サイドが通路になっている。
●《聞き耳》何かが潜んでいる音
通路の先から何かの物音を聞いた。それはかすかだがうめき声のように聞こえる。耳を潜めてみればそれは
複数いるようにも思える。音のしない方の通路を通るのが懸命かも知れない…
※●の地点には事故によって人間ではなくなった乗組員が潜んでいる。《聞き耳》に失敗した場合、または自
ら音の方に近づいた場合はそれらを登場させ、足止めをさせることとなる。
⇒異形の乗組員
あなたが歩みを進めると、通路の反対側からひたり、ひたりと何かが近づいてくる。それは目を疑うような
異形の姿に成り果てた人間であった。皆、手足の一部が欠損していたり、ボルトやパイプが人体にめり込んで
いたりと普通であれば死んでいてもおかしくないような姿をしていた。彼らは緑色に発光し、虚ろな目をした
ままあなたがたに襲いかかってくる…。
■SANc 1/1D3+1 (成功/失敗)
※憐れな姿の乗組員は4体いる。攻撃技能に成功することで 1 体ずつ倒すことが出来るが、その分行動が消費
される。逃げる場合は《DEX×5》を行う必要がある。失敗した場合は異形の人間からダメージを受ける。ま
た次ターンからは【移動】が使えるようになるため他の部屋に移動するのであれば《DEX×5》は不要となる。
●《DEX×5》逃げる
■異形の人間からのダメージ 1D3

■倉庫
モノが雑多に置かれた狭い部屋だ。ここも部屋のいたるところが溶けてしまっている。
●《目星》気になるもの
この部屋にはあなたが見たこともない食品や機械類が散乱していた。どれも溶けているため持っていけそう
にないがあなたは未来技術の一部を知ることとなる。
■技能取得 《歴史》1D6

■前方1F 通路
目の前には上に繋がる階段が見える。

29
●《目星》気になるもの
入って左側の壁に奇妙なものを発見する。それは体の大部分が壁に飲み込まれている人間の姿だった。それ
はギョロリとあなたの方を見ているが口元が壁と融合しているため言葉を発することはない…。
■SANc 1/1D3+1 (成功/失敗)

■後方連絡通路
細長い通路が続いている。
●《アイデア》気になるもの
船尾の方の扉の形が他の扉と異なっていることに気が付く。そして小さく空いた覗き窓がここだけなぜか暗
くなっている…。
※その扉は鍵が掛かっているため開かない。

■後方1F 通路
広い部屋の先に上に繋がる階段が見える。
●《アイデア》気になるもの
地面の隙間から緑の光が吹き出している。この部屋には地下に繋がると思われるハッチも設置してあったが、
扉の部分がドロドロに溶けており、下層には行けない状態となっている。緑の光がこの階層まで到達すればこ
こも行き来ができなくなることだろう…

■エンジン制御室
広い部屋の中央で大型の機械がせわしなく動いている。しかし、周囲に人の姿は見えない。この機会は自動
的に動いているのだろうか…?あなたは進歩した未来技術に驚くこととなる。
●《目星》気になるもの
あなたは壁にかけられている丈夫そうなロープを見つける。
※操舵室での STR 対抗が 20→17 となるアイテム(★)

★【画像】艦内地図③

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▼同行者がヘレナだった場合の【艦内地図③】感知能力結果
ヘレナ「待って…。微弱だけどここに彼らの意識を感じるわ…」
■前方2F 通路
扉を開けると踊り場のような場所に出た。目の前にはさらに上の階へと続く階段が見える。
●《目星》気になるもの
この部屋の隅に何かが落ちている。それは小さな金属で、鍵のようにも見えた。
※艦長室の鍵(★)である。これがなければ艦長室に入ることはできない。

■作戦室
階段を上がると目の前に両開きの大きな扉が見える。
●《アイデア》気になるもの
この部屋はなんとなく寒いと感じる。ここだけ温度が低くなっているようだ。原因を探ってみると部屋の端
に氷の柱を発見する。それは氷付けになった人間の姿でもあった。どうしてこうなってしまったのかは分から
ない…その人物は頭を抱え、天井を見上げたまま静止していた。
■SANc 1/1D3 (成功/失敗)

■操舵室
※初めて操舵室を訪れた場合、イベントが発生する。
⇒イベントは【(??:??)操舵室の哀れな軍人】を参照

■後方2F 通路
階段を上がると目の前には壁に取り込まれた無数の人間の姿が見えた。皆、涎を垂らしながらうめき声を上
げている。彼らの目は虚ろであなたに見向きもしない…。
■SANc 1/1D3 (成功/失敗)

■工作室
扉を開けるとそこは大きなデスクとよく分からない機械が並べられた部屋となっていた。壁にはむき出しの
無数のパイプが並んでいる。
●《目星》気になるもの
※ダイスロールに成功した場合はイベントが発生する。(★)
⇒イベントは【(??:??)銀の懐中時計】を参照

■乗組員室
※●の地点には事故によって人間ではなくなった乗組員が潜んでいる。
あなたが扉を開けるとそこには異形の姿に成り果てた人間たちで溢れていた。皆、手足の一部が欠損してい
たり、ボルトやパイプが人体にめり込んでいたりと普通であれば死んでいてもおかしくないような姿をしてい
る…。彼らは緑色に発光し、虚ろな目をしたままあなたがたに襲いかかってくるだろう。
■SANc 1/1D3+1 (成功/失敗)

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※すぐさま扉を閉める場合はダイスロールが発生する。
●《幸運》うまく扉を閉めることができたか
※失敗した場合は、扉を閉めるよりも先に異形の人間たちがなだれ込み襲われることとなる。憐れな姿の乗組
員は 2D10 体いる。攻撃技能に成功することで 1 体ずつ倒すことが出来るが、その分行動が消費される。逃げ
る場合は《DEX×5》を行う必要がある。失敗した場合は異形の人間からダメージを受ける。
また次ターンからは【移動】が使えるようになるため他の部屋に移動するのであれば《DEX×5》は不要と
なる。一度別の部屋に行き、またここに戻ってくると異形の人間たちは船に取り込まれ動けなくなっている。
●《DEX×5》逃げる
■異形の人間からのダメージ 1D3

★【画像】艦内地図④

▼同行者がヘレナだった場合の【艦内地図④】感知能力結果
ヘレナ「ここは特に何もなさそうだけど…でも私の探究心が囁いている。不思議な空間ね…」
■艦長室
※前方 2F 通路で入手した鍵がなければこの部屋に入ることができない。
またこの部屋に入る条件が満たされている場合、必ず同行者が PC についてくる。
ここは誰かの一室のようだ。おそらくこの船の責任者の部屋だろう。中央のデスクには文鎮に挟まれた数枚
の洋紙が置かれていた。そこにはこのようなことが書かれている。
ニコラ・テスラの人生 >

生誕:1856 年 7 月 10 日 死没:1943 年 1 月 7 日

マンハッタンのニューヨーカー・ホテルで死去。享年 86 歳。遺体搬送後、ニコラ・テスラの設計資料を FBI が全回収。

本プロジェクトの引き継ぎ研究者としてジョン・フォン・ノイマンを任命。

▼ニコラ・テスラの発明品

交流電流、ラジオ、電気モーター、ロボット工学、X 線、レーザー、蛍光灯、遠隔操作、無線通信

※各項目ごとに発明品の内容・目的・利用製品が事細かに書かれている。
※この紙にはニコラ・テスラの人生がすべて書かれている。同行者がニコラ・テスラの場合、彼は未来の自分
を知ることとなる。また同行者がヘレナだったとしても彼女の気まぐれな探究心によってこの情報がニコラ・
テスラの耳に入る。エンディングが TURE END だった場合は、クリア報酬エピソードとしてこの時の話が話題
に挙がることとなる。
(この部屋に PC がたどり着かなくてもクリア報酬エピソードは公開して問題ない)

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【(??:??)操舵室の哀れな軍人】--------------------------------------------------------------------
※PC が初めて操舵室を訪れる
扉を開けると、見通しの良い広い部屋へとたどり着く。前方はガラスで覆われ外の様子がよく見てとれた。
外は言わずもがな、光の渦と例の触手が見えている。
⇒舵を探す
あなたがたの目先に、金属音を軋ませながらゆっくりと回転している【舵】があった。
よく見ればそれは誰かによってしっかりと握られている。
⇒舵に近づく or よく見る
そこには片腕で【舵】を掴み、必死にしがみついている一人の男がいた。その男は半身が地面に埋もれ、船
と融合している。接地面の衣服や皮膚の一部が溶けてはいるが不思議と血は出ておらず、それどころか人体が
透けているようにも見えた。
⇒声をかける
あなたがたが声をかけると、男はゆっくりと目を開けあなたがたの方を見る。
ベネディクト「なぜ、お前たちがッ…?」
ベネディクトが驚いたような顔でそう言うと、突如船が大きく揺れる。舵を握るベネディクトの手が離れ、
舵は独りでに回転し始める。外では触手の怪物が船を渦の中へ誘導しようとしていた…。
ベネディクト「舵を止めてくれ…!!!!このままでは渦の中に入ってしまう!!!」
⇒舵を止める
●《STR 対抗 20》舵を止める
あなたはしっかりと舵を掴み、暴走する船を制御することに成功した。船は渦に直進するのをやめて大きく
渦の周りを旋回しはじめる。
※このダイスロールは2人以上で協力してダイスを振る必要がある。協力した場合は1度のダイスで協力した
人数分の行動が1つ減少する。
(自動成功の場合も行動は1つ減るものとする)他の PC が別の部屋にて万が一
ダイスロールに失敗した場合は他の PC が行動を1つ消費して《アイデア》に成功することで、この PC が苦
戦しているという意思を感じることができる。
※またこのダイスロールに成功することでベネディクトから以下の情報を得ることができる。
▼ベネディクトから得られる情報
※KP はベネディクトが持つ以下の情報をすべて PL に開示すること。
①お前はベネディクトか?
ベネディクト「そうだ…。これが本当の俺だ」
②ここはどこだ?
ベネディクト「フィラデルフィアから気づけばここに転移していた。その頃は他の仲間もかろうじて生きてい
たが、俺が一度オリヴィアの身体にとり憑いてから再びここに意識が戻ってきた時、仲間はすでに船と融合し
て消えてしまった後だった…」
ベネディクト「俺からも聞きたいことがある。お前たちはどうやってここへ来た?意識を飛ばせるのなら俺が
オリヴィアの身体にとり憑いたのにも意味があるのか?」
⇒理由を話す(オリヴィアの悩み、降霊術、銀の懐中時計等…)
③PL がベネディクトに銀の懐中時計の話をする

33
ベネディクト「銀の懐中時計…?家宝の時計か…!俺も親父から譲り受けて所持していたが、あの時代ではオ
リヴィアが…。もしや、これが俺とオリヴィアを引き合わせたというのか?」
⇒銀の懐中時計は今どこに?
ベネディクト「分からない…いつも肌身離さず持っていたが、この混乱でどこかに落としたようだ…」
④オリヴィアについて
ベネディクト「オリヴィアは?俺が離れてから彼女はどうしてる…!?」
⇒目覚めていないと答える
ベネディクト「そうか…、いったい彼女はどこに…。」
※難しいキーパリングとなるが、なるべく【銀の懐中時計】というワードを出さずに PL に【銀の懐中時計】
を探すよう仕向けて欲しい。オリヴィアの意識がそこにあるかもしれないと推理していただきたいためだ。
⇒銀の懐中時計にオリヴィアの意識があるのでは?
ベネディクト「なるほど…そうか。俺たちを引き合わせたモノなら、その可能性はあるのかもしれない。すま
ないが、探し出してはもらえないだろうか…。せめて彼女だけでも救いたい。彼女は俺の先祖だが、それ以前
にこんな悲劇で彼女の人生を終わらせたくはないのだ…」

ベネディクト「俺は軍人だ。どんな敵でも命ある限り、戦い続ける。もう二度と、奴に舵は奪わせない。さぁ、
行ってくれ…」
あなたがたは操舵室をベネディクトに任せて部屋を出るのだった。
⇒船内を巡り、銀の懐中時計を探すこととなる。

【(??:??)銀の懐中時計】--------------------------------------------------------------------------
※PC が【工作室】にてダイスロールを成功させる
あなたはこの部屋のパイプの裏に何やら淡く光る何かを見つける。注意深くその光に近づいて見れば、そこ
には【銀の懐中時計】があった。パイプのボルトにチェーンが引っかかった状態でぶら下がっている。
⇒手に取る
あなたがそれを手に取るとほんのりとした暖かさが伝わってくることが分かった。それと同時にあなたの脳
裏にオリヴィアの面影が浮かび上がる。彼女の意識はこの銀の懐中時計の中に宿っていた…!
⇒銀の懐中時計に声をかける
あなたは声をかけるがオリヴィアからの返答はない。銀の懐中時計の淡い光が徐々に弱まってきている。も
しかすると彼女自身、返答ができる状況にないのかもしれない。
●《アイデア》ベネディクトの存在
あなたはベネディクトならば彼女の意識を取り戻せるかも知れないと考える。彼らが銀の懐中時計によって
引き合ったのであれば、その引力で少しでも彼女に生きる力が宿ればと希望を抱くだろう。
⇒操舵室へ向かう
※タイムリミット内に操舵室にたどり着かなければ[[★NORMAL END★:真逆のデオン]]へ
※タイムリミット内に操舵室にたどり着ければ[[★TURE END★:シュヴァリエ・デオン]]へ

34
[[★BAD END★:ロンドンの終末]]================================================================
※操舵室で舵の STR 対抗に失敗したままタイムリミットに到達した場合のエンディング。
あなたがたは頭上から鈴の音を聞くことだろう。これはヘレナが話していたタイムリミットを告げる知らせ
だ。鈴の音を耳にしたあなたがたの身体がだんだんと薄れていく…。
テスラ「なんということだ…。こんなところでタイムリミットが来てしまうとは……我々はまだ…」
傍らにいるニコラ・テスラは膝から崩れ落ちるようにして落胆するだろう。
まだ何かできるかもしれない…と、淡い希望を抱いて手を伸ばすが、モノには触れられず、やがてあなたが
たの意識は遠のいていった。

数分後あなたがたは地鳴り音で目を覚ます。集会場には見張り役だったヘレナがオリヴィアの頬に触れ、暗
い表情を見せている。
ヘレナ「どうやら…失敗したようね。彼女も…とうとう元に戻ることはなく死んでしまったわ…」
ヘレナ「せっかくですから、見に行きましょう。ロンドンの終末を…」
そう言うとヘレナはあなたがたを誘うように静かに部屋の階段を登り始めた。
⇒神智学教会の屋上
ヘレナの後を追うと屋上にたどり着いた。
そこからロンドンにそびえ立つビック・ベンをへし折るようにしてエルドリッチ艦が現界していた。意識の
世界で見たあの悍ましい触手の怪物と共にだ。怪物はこの時を待ちわびていたかのように四方に触手を伸ばし
始める。それはまるで植物のように根を生やしているかのようだった。
ロンドン市街は人々の悲鳴とサイレンがけたたましく鳴り響き、大災害の渦に飲み込まれていく。
あなたがたのいるこの街は突如現れた怪物によって蹂躙され、怪物の苗床へと姿を変えるだろう。同時にあ
なたがたはこれから自分がどうなるのかも理解している。ベネディクトのような結末が待っているのなら、人
もモノも皆すべて、融合して1つになるのだろう…。
クトゥルフ神話TRPG-クトゥルフバイガスライト-【ニコラ・テスラ暗殺計画】、エンディングバッドエ
ンド【ロンドンの終末】お疲れ様でした。
【END】

[[★NORMAL END★:真逆のデオン]]=============================================================
※操舵室で舵の STR 対抗に成功するが、船内で銀の懐中時計を見つけられなかった場合のエンディング。
あなたがたは頭上から鈴の音を聞くことだろう。これはヘレナが話していたタイムリミットを告げる知らせ
だ。鈴の音を耳にしたあなたがたの身体がだんだんと薄れ、意識は遠のいていった…。

あなたがたは暗闇の中で一瞬、オリヴィアの姿を見る。
彼女はあなたがたのいる方向とは異なり、目を閉じたまま沈むように闇の底へと潜り込んでいった…。

【(24:00)オリヴィアの帰還?】--------------------------------------------------------------------
※元の時代に戻ってくる

35
目を覚ませば、見張り役のヘレナが心配そうにあなたがたの顔色を伺っていた。
ヘレナ「どうにか…戻ってこれたようね。一応聞くけど…結果はどうだったかしら?」
⇒なんとか…でも…
ヘレナ「ビック・ベン上空の船も綺麗に消え去ったのだけれど…彼女は…」
そう言ったヘレナがオリヴィアの方を見ると、彼女はゆっくりと身体を揺らし…やがて目を開けることだろ
う。
⇒PL がオリヴィアに話しかける
ベネディクト「また…ここに戻ってきてしまったか…」
その声の主はオリヴィアではなく、ベネディクトであった。彼が小さく呟くと同時に、それまで狂っていた
懐中時計の長針と短針が 12 時の地点でぴたりと止まり、辺りは静まり返る。
我々は船の到達を防ぐことに成功した。しかしオリヴィアの心を置き去りにしてしまった。
彼女の心はあの船に囚われたまま、悍ましい怪物に飲み込まれていくことだろう…。

【(エンディング)真逆のデオン】--------------------------------------------------------------------
※以下、エンディングとなる
⇒アルハンブラ・ミュージック・ホールにてオリヴィア主演の【シュヴァリエ・デオン】の公演が始まった。
あなたがたは後日、アルハンブラ・ミュージック・ホールを訪れていた。
ベネディクトはオリヴィアの意思を継ぐことを決心し、【シュヴァリエ・デオン】の主演を務めてみせた。
彼女の美しさとハリのある声に観客は魅了され、劇団ミステリウムは初日から絶賛の嵐となっていた。初日公
演が終わると VIP 席で舞台を観劇していたあなたがたとヘレナ、ニコラ・テスラの前にベネディクトがやって
くる。
ベネディクト「やぁ。がむしゃらにやってはみたがあれで良かったのだろうか…?大根役者のように見えなか
ったか…?」
⇒PL がオリヴィアに話しかける
ベネディクト「そうか、ならよかった。彼女への罪滅ぼしに俺はこの仕事を続けていくことにする。見るから
にロンドンも平和そうだしな…」
ベネディクト「あのような結果になってしまったが、お前たちが自分を責めることは何一つない。問題があっ
たのは俺たちの方なのだからな。お前たちはただ救おうとしてくれただけのことだ。そして結果、未来を救っ
てくれた。礼を言うよ」

ベネディクト「もう男としては生きていけないがこれも何かの縁だ。この身体でオリヴィア家に恥のないよう
生きてみるさ。俺にはお前たちにはない未来の知識ってのがある。何、楽なもんさ」
そう言いながらベネディクトはやんちゃな笑顔をみせる。そしてあなたがたが会話を楽しんでいると、劇団
員がやってきて「記者インタビューがある」と言い、ベネディクトを連れ出そうとする。

ベネディクト「それじゃ俺は失礼する。あぁ、俺の秘密を共有してるのはお前たちだけだから、今後も頼りに
させてもらう!…ではまた」
そう言いながらベネディクトは部屋を後にした。

36
帰り際、あなたがたはアレン・バトラーの姿を目撃する。彼はあなたがたには気づかずに、インタビューを
受けるベネディクトを見守りながら次のような言葉をつぶやいていた。
アレン「…違う、違うのだ。あれは私の求めていたオリヴィアではない…。どうして…どうして変わってしま
ったのだ、君は…。君はもう…私の知っているオリヴィア・ブラッドバーンではなくなってしまった……」

アレンの悲痛な声はあなたがたの耳を貫くようだった。
帰らぬオリヴィアの心に思いを馳せていた一人の脚本家は、脚光を浴びる彼女の後ろ姿を見つめ…
一人、孤独にむせび泣く。

クトゥルフ神話TRPG-クトゥルフバイガスライト-【ニコラ・テスラ暗殺計画】、エンディングノーマル
エンド【真逆のデオン】お疲れ様でした。
【END】

ノーマルエンド報酬 >

▼SAN 値回復

・シナリオクリア 1D6

▼クトゥルフ神話技能

+5%

[[★TURE END★:シュヴァリエ・デオン]]==========================================================
※操舵室で舵の STR 対抗に成功し、船内で銀の懐中時計を見つけベネディクトの下へ持っていった場合のエ
ンディング。
【(??:??)ベネディクトとオリヴィア】--------------------------------------------------------------
あなたがたが操舵室に現れると、ベネディクトは再びあの怪物と戦っていた。船は大きく揺れ、渦に堕ち
るのを回避している。
ベネディクト「見つけたのか…!?」
⇒銀の懐中時計を見つけた!
ベネディクト「よかった…!見せてくれ!」
ベネディクトに銀の懐中時計を見せると、彼はしばし無言で眺め何かを悟ったのか次のようなことを言う。
ベネディクト「弱まってはいるが、大丈夫だ。彼女はまだ生きている…!それはお前たちが持っていてくれ」
ベネディクト「お前たちがここを離れる時、よく耳を澄まして彼女の存在を意識するんだ。姿は見えなくても
声は聞こえてくるはずだ…彼女に帰る道を指し示してやってくれ。」

その時、あなたがたは頭上から鈴の音を聞くことだろう。これはヘレナが話していたタイムリミットを告げ
る知らせだ。鈴の音を耳にしたあなたがたの身体がだんだんと薄れていく…その刹那、船が大きく傾き出した。
操舵室の機械が警告音を鳴り響かせ、ベネディクトの表情がこわばる。
ベネディクト「奴が本気でこの船を乗っ取りにきやがった…!」

37
船は左右に激しく揺れ、舵を握っていたベネディクトの手が滑り落ちそうになる。
⇒PC の返答を待つ
※PC は意識が戻りかかっている為ここではもう何もできない。
ベネディクト「心配するな。お前たちがここまで尽くしてくれたんだ、俺も落とし前はつける」
ベネディクトは最期の力を振り絞り、雄叫びを上げながら融合している下半身を無理やり引き上げる。バリ
バリと肉と骨が引きちぎれ、片足と片腕を地面に持っていかれても、この軍人ベネディクト・ブラッドバーン
という男は弱さを見せず、舵を握るのだった。
ベネディクト「片腕がないもんで、敬礼なしの挨拶だ。お前たち、元気でな…!」
⇒PC の返答を待つ
ベネディクト「それと悪かったな、ニコラ・テスラ…すべてをあんたのせいにして。俺は本当は全てを知って
る。悪いのはあんたの実験を実行に移した奴らだ…。すまなかった」
ベネディクトの言葉にニコラ・テスラは首を振る。
ニコラ・テスラ「謝るのはこちらの方だ。自らが危険な道具を未来に残すなぞ考えてもいなかった…。過去を
変えることで未来が変わるなら、君のために私は命を賭けるよ」

あなたがたは怪物に挑む一人の軍人の背中を目に焼き付けて、この場を立ち去るのであった…。

【(??:??)オリヴィアの声】------------------------------------------------------------------------
※意識の中
暗闇の中、あなたがたの耳に誰かの声が聞こえる。姿は見えない。
オリヴィア「私の名は…デオン・ド・ボーモン…。……ル・スクレ・デュ・ロアの…【シュヴァリエ・デオン】
…私の名は……ほんとうの私の名は……?」
⇒オリヴィア・ブラッドバーンだと答える。
オリヴィア「オリヴィア…ブラッドバーン…それが私の名前…?」
オリヴィア「私はどこへ逝くの…?」
⇒一緒に帰ろうなどと答える。
オリヴィア「帰…る…?かえる…私、帰れるの…?」
⇒帰れる!!!!
あなたがたがそう答えた時、暗闇に光が差し込んでくる。そして光の先に彼女の姿を見るのだった。

【(24:00)オリヴィアの帰還】
----------------------------------------------------------------------
※元の時代に戻ってくる
目を覚ませば、見張り役のヘレナが心配そうにあなたがたの顔色を伺っていた。
ヘレナ「どうにか…戻ってこれたようね。一応聞くけど…結果はどうだったかしら?」
⇒なんとかなりました!
ヘレナ「あなたたちからその言葉を聞いてやっと安心できたわ…!」
ヘレナ「ビック・ベン上空の船も綺麗に消え去った。これで本当に終わったのね…」

38
⇒オリヴィアは?
そう言ったあなたがオリヴィアに注目すると、彼女はゆっくりと身体を揺らし…やがて目を開けることだろ
う。
⇒PL がオリヴィアに話しかける
オリヴィア「その声…」
彼女はか細い声でそう呟くと不意に両目から一筋の涙を流した。彼女は泣きながらもやさしく朗らかな笑み
を浮かべながら、やっと自分が元に戻ってこられたことに安堵するだろう。
そして彼女は一言「ありがとう」と感謝の言葉を述べるのだった。

【(エンディング)シュヴァリエ・デオン】-------------------------------------------------------------
※以下、エンディングとなる
⇒アルハンブラ・ミュージック・ホールにてオリヴィア主演の【シュヴァリエ・デオン】の公演が始まる。
あなたがたは後日、アルハンブラ・ミュージック・ホールを訪れていた。
自分を取り戻したオリヴィアは公演前までに見事復帰を果たし、主演として【シュヴァリエ・デオン】を行
うこととなった。今日が初日公演である。開演前、あなたがたのいる VIP 席にはアレン・バトラーが駆けつけ
あなたがたに今回の礼を言うだろう。
アレン「この度は、みなさん。本当に本当にありがとうございました。彼女がいてこその【シュヴァリエ・デ
オン】これでようやく初日を迎えることができます。本当にみなさんのおかげです。なんとお礼をすれば…」
※報酬についての話を PL と相談しながら決めること。

ドニー「いやー、君たちのおかげで私もこんないい席で見られるなんてねー!謝謝!感謝してるよ!」
傍らにいるドニー・サングもキセルを吸いながら上機嫌で話している。
⇒ニコラ・テスラとヘレナについて尋ねる
アレン「あぁ、彼らでしたらお二人で別の席におりましたよ…。なんといいますか、仲睦まじそうでしたので、
お邪魔かと思い、私は声をかけられませんでしたが…」

⇒席を立とうとすると開演のブザーが鳴る
アレン「あぁ、それでは私は舞台裏に戻ります。終わりましたらまた伺いますね」
アレンは深々と頭を下げて VIP 席を後にする。

開演ブザーの後に照明がすべて暗転し、一箇所にスポットライトが当たる。
そこには1人の騎士が立っていた。
勇ましくも麗しいこの騎士こそ、あなたがたが助け出したオリヴィア・ブラッドバーン、彼女だ。
今の彼女は男のようでもあり女のようにも見え、両性的な表情を浮かべており、その立ち姿はなんとなくベ
ネディクトを思い起こさせた。
オリヴィアは腰のサーベルを客席に向けて掲げる。
「私の名はデオン・ド・ボーモン。ル・スクレ・デュ・ロアの【シュヴァリエ・デオン】である!」
勇ましい彼女の声が劇場に響き渡った。この時から、この舞台は後の伝説となり、彼女は名女優として花を

39
咲かせるのだった。そしてあなたがたの暮らすここロンドンも以前変わりなく未来を歩んでいく…。

クトゥルフ神話TRPG-クトゥルフバイガスライト-【ニコラ・テスラ暗殺計画】、エンディングトゥルー
エンド【シュヴァリエ・デオン】お疲れ様でした。
【END】
トゥルーエンド報酬 >

▼SAN 値回復

・シナリオクリア+ベストエンド 1D6+1D6

▼クトゥルフ神話技能

+8%

▼クリア報酬エピソード

KP は内容を公開すること。

▼クリア報酬エピソード
クリア報酬エピソード >

PC とは別の階の VIP ルームにニコラ・テスラとヘレナ・P・ブラヴァッキーはいた。

2人は観劇を楽しみながら静かに語り合う。

ヘレナ「自分の未来を知った気分はいかがかしら?ミスター・テスラ」

テスラ「実に想像を絶する気分さ。まさか私の人生を物語るファイルがあの船に残されていたとはね…」

ヘレナ「フフ…これであなたもある意味では未来人の仲間入りね」

テスラ「確かに。だが、未来を知ったからと言って私欲に走ったりはしないさ。少し歴史を書き換える程度にフィラデ

ルフィア実験に関する資料を破棄するぐらいだよ。残念だがこれは私の脳内に留めて墓まで持っていこう…」

ヘレナ「あらそう。…ファイルにあったリストはどうするの?」

テスラ「あれらはいずれ私が発明するモノのようだから、必ず実現せねばならん。…とはいえリストを見て原理を理解

してしまったから、どれも開発するのに時間はかからないだろうな。…となると、時代を先取りし過ぎてモノができた

時に理解する人間がいないのでは?という一抹の不安を感じる…」

ヘレナ「あら、あなたでも不安に思うことがあるのね。大丈夫よ、わたくしはあなたを理解するわ。あなたはフィラデ

ルフィア実験のきっかけを作った張本人ですもの。…狂気のマッドサイエンティストだわ」

テスラ「……それは褒めているのかい?」

ヘレナ「もちろん褒めているのよ?」

テスラ「ともかく…フィラデルフィア実験は阻止する。私の命に掛けてでも」

ヘレナ「そう。…でもそんな簡単に歴史を書き換えることができるのかしらね?あなたが実験を阻止することで今後の

未来にフィラデルフィア実験は起こらなくてもその【言葉】自体はわたくしたちの頭の中に残り続けるわ…」

テスラ「ブラヴァッキー夫人、君は何が言いたいのかね…?」

ヘレナ「あなたが歴史を変えることで残された言葉がどのような変化を遂げるのか…わたくしはその行く末が気になる

のよ」

現代において【フィラデルフィア実験】は実在したかどうか定かではない【都市伝説】として残されている。
そして発明家ニコラ・テスラはその類まれなる才能に【早すぎた天才】などと呼称された。

40
※※↓ これより先はシナリオのネタバレとなりますので注意! ↓※※

▼物語の全貌
未来人が過去にタイムリープし、時代に戸惑いながらも目的のために行動を起こすという物語は SF タイム
トラベル作品の中でもよくある展開だ。しかし、このシナリオにおいては物語の主役となる人物の視点が少し
異なる。…そう、この物語はとある人物の行動を不審に思い、その者の後を追いかけてやがてその人物が未来
人だと理解する、19 世紀ロンドンに生きる君たちの物語だ。
ベネディクト・ブラッドバーンはニコラ・テスラの死後に軍事計画として行われた【フィラデルフィア実験】
のため、被検体としてエルドリッチ艦に乗船していた。実験内容はテスラコイルによってレーダーから船を不
可視化させるというものである。実験当初それは成功したかのように思えたが、エルドリッチ艦は緑の光とと
もに姿を消し、時の狭間に転移してしまった。船は時の狭間を航海しながら実験によって生み出された【星の
母】に取り込まれ、乗組員の大半が船と融合するという恐ろしいゴーストシップと化していた。ベネディクト
も同じく船と融合するはずであったが、身につけていた【銀の懐中時計】によって何者かに引き寄せられ、気
が付けば19世紀ロンドンのオリヴィア・ブラッドバーンの身体にとり憑いていたのであった。
この時オリヴィアは神智学協会のヘレナ・P・ブラヴァッキーの元を訪れ、男性恐怖症を治す手立てとして
ヘレナの降霊術を受けていた。そして何の因果か、未来で死にかけていたベネディクトを19世紀に呼んでし
まったのである。精神の弱いオリヴィアは徐々に身体の所有権を手放し船に取り込まれ、ベネディクトはこの
時代がニコラ・テスラが生きている時代であることが分かると、フィラデルフィア実験を止めるために【ニコ
ラ・テスラ暗殺計画】を企てるのだった…。
劇団ミステリウムのアレン・バトラーはオリヴィアに異変が起きていることを察してはいたものの、それが
よもや未来人によるものとは思っておらず、休めば治る体調不良としてオリヴィアに休養をとらせ、結果オリ
ヴィアが行方不明となってしまったことにひどく後悔していた。【主役のいない稽古場】という状況に悩まさ
れたアレンは、考え抜いた挙句ドニー・サングが経営している【秘密喫茶:天上蓮】を訪れ、社会階級関係な
くさまざまな情報網を持っている君たちに協力を仰ぐのだった。

▼出現するクトゥルフ神話要素
★星の母…マレモン P245-246
フィラデルフィア実験によって生み出されたもの。シナリオのベースとなったフィラデルフィア実験の都市
伝説と船に取り付くという神話生物がとてもマッチしていたので採用した。本シナリオでは本格的な戦闘にな
ることはなく邪魔程度しかアクションを起こさない。そうした理由としては、このシナリオ自体を推理と探索
メインの話としたかったためである。前半シティで後半クローズドになるシナリオというのも珍しいだろうと
いうことで控えめだけれども、ステータスがない分ルートによってはロストに導く神話生物となった。
★【呪文】治癒(HEALING)…ルルブ P272
ヘレナが使用した呪文。ヘレナを疑っている PL でなければちゃんと明かされないイベントなので、呪文を
使用するルートが見れた人は珍しいかもしれない。また唯一の戦闘シーンでも心置きなく KP が殺しにかかれ
るのは彼女の呪文があってこそである。ちなみにテスト卓でのテスラは自分の筋肉が自然治癒したと勘違いし
た。

41
▼登場する NPC
▼ニコラ・テスラ 31 歳(男性)
■ステータス■

STR CON POW DEX APP SIZ INT EDU SAN HP MP

14 11 7 13 17 18 18 21 35 15 7

ダメージボーナス⇒ +1D4 / 装甲⇒ なし

《アイデア》90% 《幸運》35% 《知識》105% 《回避》30% 《拳銃》50% 《応急手当》60%

《聞き耳》60% 《目星》70% 《図書館》99% 《機械修理》90% 《重機械操作》85%

《電気修理》90% 《信用》40% 《説得》20% 《クロアチア語》105% 《英語》95% 《ドイツ語》90%

《フランス語》90% 《イタリア語》90% 《オカルト》80% 《化学》90% 《クトゥルフ神話》40%

《芸術(音楽)
》70% 《芸術(詩作)
》60% 《電子工学》99% 《物理学》99% 《法律》70%

電気技師にして天才発明家。長身で美形の紳士だが異常な潔癖症であり、旅行かばんを地面に置くことがで
きずにわざわざハンカチの上に置いたりなどして、PL に無駄な危機感を感じさせた。
本シナリオの舞台となっている 1887 年はテスラ電灯社が設立した年であり、交流電流による事業を進め
ている最中であった。仕事の方も無論忙しかったはずだが、ヘレナの手紙に踊らされすぐさまロンドンに向か
うというフットワークの軽さを見せている。…というのも彼はオカルト方面にも興味を寄せており、「宇宙人
との交流」や「地球を割ってみせる」などの不可思議な発言や行動が多いことで有名だった。神智学も彼の興
味分野であったため、ロンドンに行く理由としては十分に相応しかったのだろう。
ニコラ・テスラは生涯独身であったが、実は女性に惚れっぽく自身に【研究】というものがなければ1人の
女性を真に愛し、その人のために稼いだお金でさえも費やしてしまいそうだということを自覚している。しか
し、自身の研究がまだまだ山積みであるため、一般家庭というものを割り切ってしまっている。もしも女性
PC がいるのであれば彼は紳士的にやさしく振舞うことだろう、一線は超えずに。
▼ヘレナ・P・ブラヴァッキー 56 歳(女性)
■ステータス■

STR CON POW DEX APP SIZ INT EDU SAN HP MP

9 11 17 12 16 9 18 17 85 10 17

ダメージボーナス⇒ 0 / 装甲⇒ なし

《アイデア》90% 《幸運》85% 《知識》85% 《応急手当》50% 《聞き耳》70% 《目星》80%

《図書館》99% 《隠す》80% 《精神分析》50%《変装》70% 《オカルト》90% 《クトゥルフ神話》80%

《考古学》75% 《英語》90% 《天文学》90% 《博物学》50% 《歴史》50%

【呪文】彼女が取得している呪文は計り知れない。なぜなら彼女はマハトマから知識を得ているからだ。
神智学協会の設立者の一人であり近代神智学を創唱した人物。見た目や声からはお淑やかなお若い令嬢のよ
うに感じられるが、彼女の瞳だけはこれまで色濃い人生を歩んできたような年功者の輝きを放っている。とに
かく謎の多い人物だ。彼女は常に神聖な知識の探求を求めており、今回の事件は彼女にとって非常に面白味の
ある体験となっただろう。ニコラ・テスラとの関係については、恋愛対象にはならないが観察対象としてはド
ストライクであり、今後も良き友人として付き合いを深めていくようである。
▼オリヴィア・ブラッドバーン 28 歳(女性)

42
劇団ミステリウムの若き女優。シュヴァリエ・デオンでは主演を務めることとなった。船がロンドンに到達
しないのであれば、彼女は名女優としてロンドン中に名を轟かせることだろう。
やさしく素直なオリヴィアは 10 代の頃、
当時付き合っていた男に騙され、
酷い暮らしをする羽目になり、
この時から男性に恐怖を感じ始め、男性恐怖症となってしまった。それから数年かけて元の生活に戻った彼女
は、夢の劇団に入団し、充実した生活を送り始める予定だったが、今度の舞台の役柄がシュヴァリエ・デオン
だったために演技がおぼつかず悩みを抱くようになる。最終的に神智学のヘレナに助けを求めた結果、今回の
事件が始まるきっかけとなってしまった。
▼ベネディクト・ブラッドバーン 28 歳(男性)
第二次世界大戦中の軍人。海軍所属。若いながらも艦長補佐を務めていたが、実験の事故により、船ごと時
空の狭間に転移され、そこで恐ろしい現実に苛まれることとなる。家宝の銀の懐中時計により、一時的に船か
ら解放され自分の先祖であるオリヴィアの身体にとり憑いた彼は、歴史を変えるため実験の元凶であるニコ
ラ・テスラを殺害しようと計画するのだった。普段は誠実な性格をしているが、実験での焦りや恐怖、そして
タイムリープの動揺から 19 世紀にて無鉄砲な行動を取りすぎたため、PC たちと鉢合わせることとなってし
まった。歴史が書き変わった世界での彼はいったいどんな生活を送っているのだろうか…?彼の生きる時代は
第二次世界大戦中であり、彼は軍人だ。次なる戦いが彼の身に迫ってきていることは確かである。
▼アレン・バトラー 31 歳(男性)
劇団ミステリウムの脚本家。インドアタイプなので人と話すのは苦手、PC たちとの会話もなんだかおぼつ
かない。ただし、脚本家として人に演技指導をする時のみは本領を発揮する…そういう人物だ。オリヴィアの
才能を誰よりも見抜いており、彼女を名女優にすることこそがこの劇団を盛り上げることにつながると信じて
いる。そのため、彼女にふさわしい舞台演目を求めてフランスを訪れ、そこでシュヴァリエ・デオンの話を書
こうと決心するのであった。

▼制作者からのひとこと
「信じてもらえないかもしれないけど、実は私は未来から来たんだ」…このセリフを言われる側はいったい
どんな気持ちでその言葉を受け取るのだろうか?という物語の構成の下、前々から出したいと思っていたニコ
ラ・テスラをコンセプトに、この 19 世紀ロンドンシナリオを制作しました。いかがでしたでしょうか?本シ
ナリオはシティ&クローズドというダブル探索が楽しめる探索特化のシナリオでもあります。がっつり探索や
推理を楽しみたい方がいらっしゃいましたらどんどん本シナリオをオススメしてくださいませ。
※利用規約※

【本シナリオ(シナリオ画像を含む)】の無断転載を禁じます。著作者を偽る行為も厳禁です。

セッション終了後などにシナリオ情報を公開する場合は、必ずダウンロード先の URL を教えてあげてください。

本シナリオはフリーシナリオですので、SNS などに直接ネタバレとなるような書き込み&概要および報酬画像以外の

画像アップをしない限りは、自由に感想などを記載していただいて構いません。

リプレイ動画やファンアートなどもどうぞご自由に…!

※本シナリオはフィクションです。実在するもしくは歴史上の人物、団体、地名、病気、事件等は一切関係ありません。
またこの本は特定の思想、信条、宗教などを擁護あるいは非難する目的をもって書かれたものではありません。一部差

別的な表現や不快を感じるような表現を用いている場合がありますが、題材としている TRPG において多様な時代・

文化的背景を再現することを目的としたためであり、差別を正当化もしくは助長するものではありません。

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