24時間飛行可能な小型固定翼Solar UAVの開発

－機体規模策定－
〇福地亮太、川名勇太、中谷俊介、加藤宏基（飛行機研究所）

Development of the 24-hour Endurance Small Fixed Wing Solar UAV

- Initial Sizing -
〇Ryota Fukuchi, Yuta Kawana, Syunsuke Nakatani, Hiroki Kato（Aircraft Laboratory）

第26回 スカイスポーツシンポジウム
2021. 11. 27 (土)
@ Cisco Webex meeting
目次

1. 目的
2. 設計フロー
2.1. 全体
2.2. 機体規模策定
3. カーペットプロット
4. 機体諸元
5. まとめ

2
目的
機体規模策定： 設計値に対する性能のトレード関係を明らかにし
機体形状を定める

モータ・プロペラ
✓ 推力を増すと消費電力が増す

ソーラーパネル バッテリ
✓ 面積大きいほど発電電力が増す ✓ 多く積むほど容量が増える
✓ 多く積むほど重くなる ✓ 多く積むほど重くなる
✓ 翼面積が必要 3
全体の設計フロー

エネルギ収支計算より P[W]を算出し
トレード関係をどう解決していくか？ 巡航抗力 Dの要求値を設定

推進機器選定
(A05にて発表) 主翼平面形を定義し
重量推算式より機体質量を算出
推進機器選定により
設計パラメータにアタリをつける
機体抗力を算出

機体抗力D[N]
NO
は目標以下？
それらの設計パラメータについて
YES
機体性能を算出する
設計完了

4
機体規模策定の設計フロー (1/3)
巡航機速 8.0 m/s
エネルギ収支計算より P[W]を算出し バッテリ数 66 cells
巡航抗力 Dの要求値を設定
エネルギ収支計算より、目標とする消費電力𝑃は

主翼平面形を定義し 8.0 m/s

推進機器選定より
重量推算式より機体質量を算出
𝑇𝑉
𝑃= W
𝜂
機体抗力を算出 48 W 0.5
エネルギ収支計算より 外乱や熱を考慮

𝑇 :推力 [N]
機体抗力D[N] 𝑉 :巡航機速 [m/s]
は目標以下？ 𝜂 :推進系効率 [-]

巡航時 𝑇 = 𝐷より
設計完了
機体抗力𝐷が3.0[N]以下なら
24時間飛行が成立する 5
機体規模策定の設計フロー (2/3)
✓ 主翼平面形を定義する
エネルギ収支計算より P[W]を算出し b
巡航抗力 Dの要求値を設定
ct cr

主翼平面形を定義し アスペクト比 AR
重量推算式より機体質量を算出 主翼面積 Sw

← 主翼翼根コード長crの制約
機体抗力を算出 cr≧330 mm

125 mm×125 mmのソーラーパネルを

翼弦方向に2列配置
機体抗力D[N]
は目標以下？
✓ 機体重量推算式
↓バッテリ数 ↓試作機からの追加主翼面積

設計完了 𝑊 Τ𝑔 = 4.151 + 0.3𝑛𝐵𝑎𝑡𝑡 + 0.171𝑆𝑊 𝐴𝑑𝑑 kg

↑スパン5 m ×コード長 340 mm の試作機の
バッテリと翼端以外の全機構造質量 6
機体規模策定の設計フロー (3/3)
簡易空力性能推算により抗力を算出する
エネルギ収支計算より P[W]を算出し 質量が求まれば、巡航条件 L=Wより
巡航抗力 Dの要求値を設定
𝑊
𝐶𝐿 =
0.5𝜌𝑉 2 𝑆𝑤
主翼平面形を定義し 抗力係数の推算
重量推算式より機体質量を算出 𝑆𝑊 + 𝑆𝐻 + 𝑆𝑉 𝑆𝐹
𝐶𝐷0 = 0.01 + 0.1
𝑆𝑊 𝑆𝑊
𝐶𝐿2
機体抗力を算出
𝐶𝐷𝑖 =
𝜋𝑒𝐴𝑅
𝐶𝐷 = 𝐶𝐷0 + 𝐶𝐷𝑖 (出典)内藤子生, 飛行力学の実際

機体抗力D[N]
は目標以下？ 8.0 m/s
推進機器選定より
𝑇𝑉 𝐷𝑉
𝑃= = W
設計完了 𝜂 𝜂 機体抗力は3.0 [N]以下か？
48 W 0.5
エネルギ収支計算より 外乱や熱を考慮
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目次

1. 目的
2. 設計フロー
2.1. 全体
2.2. 機体規模策定
3. カーペットプロット
4. 機体諸元
5. まとめ

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 カーペットプロット（描き方）

✓ コード長 cr, ct, スパンbを変化させたときの

性能をそれぞれ算出
D

O CL

✓ パラメータに対する性能の感度を可視化すべく パラメータA 高
それぞれのパラメータに対して等高線を描く
パラメータ： 𝑆𝑊 , 𝑊, 𝐴𝑅, 𝑐𝑟 , 𝑏
D

✓ 曲線の補間にはテイラー多項式近似を適用
𝑦 = 𝐴0 + 𝐴1 𝑥1 + 𝐴2 𝑥2 + 𝐴3 𝑥1 𝑥2 + 𝐴4 𝑥12 + 𝐴5 𝑥22
(2変数𝑥1 , 𝑥2 について𝑦の誤差が小さくなるよう係数𝐴0 ~𝐴5 を算出する) O CL 9
 カーペットプロット
機体の性能 トレード関係を可視化
要求値を満たす中で、運用し易く、失速に対し余裕がある設計点を策定した
3.800

3.600 24時間飛行不成立解
4.5 cr = 0.353 m
3.400

抗力の要求値
3.200
b [m]
D [N]

3.000
抗力の要求値を
AR = 17
満たす
2.800
策定ポイント
2.600 7.0 バッテリ数 𝑛𝐵𝑎𝑡𝑡 = 66 cells
0.38
S = 2.15 m2 失速に対し 機速 𝑉 = 8.0 m/s
主翼面積がcr [m]
2.400
減る方向 0.33 W/g = 7.527 kg 余裕がある方向 の場合

2.200
0.70 0.80 0.90 1.00 1.10
CL [-] 10
機体諸元 バッテリ数 nBatt 66 cells
巡航機速 V 8.0 m/s
策定結果より細部の機体設計を行い 機体質量 W/g 7.527 kg
右表の諸元を定めた 主翼面積 Sw 2.159 m2
・翼型選定 翼根コード長 cr 0.356 m
・上反角 翼端コード長 ct 0.210 m
・ねじり下げ
・尾翼容積比 スパン b 6.46 m
・尾翼平面形 設計揚力係数 CL 0.87
・舵面設計
設計揚力係数 CD 0.0330
揚抗比 L/D 26.4

機体製作を行い
2021年5月29日 初飛行
6.46 m
5.00 m

6° 11
 機体概要

プロペラ
φ22 in ×pitch 12 in ソーラーパネル
バッテリ 24×3並列 = 72 枚
6 セル × 11 = 66 セル

主翼
スパン 6.46 m
面積 2.159 m2

24時間飛行を達成できると想定…今後、試験を通じて実証していく。
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まとめ

飛行時間を最大化する機体規模策定と空力設計の考え方を示し
機体形状を定めた。

＜現在＞
✓ 5 mスパンの機体で飛行試験を実施しソーラーシステムや推進系のデータを
取得中。

＜今後＞
✓ 6.4 mスパンの機体を用いて飛行試験を実施する。
✓ ログデータから空力性能を推定し、設計へフィードバックする

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