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昭 和49年6月 5:445

血 小板 の形 態 と機 能
綜説

山 中 学*

の3部 分 にわ け る こ とが で き る. White2)は こ
は じめ に れ らを さ らに細 分 類 して い る.
血 小 板 は, 傷 害 血 管壁 に 粘着 し, 凝 集 塊 を形 1. 膜 と外 側 被 膜
成 し, 血 液 凝 固 因 子 と協 同 して フ ィブ リ ン網 を 血 小 板 は約78Aの 厚 さ を もつ, 3層 の 形 質
つ く り, 止 血 栓 と して血 管 の傷 害 部 位 を覆 い, 膜 に よ り包 まれ てい る. そ の構 造 は 通 常 の 細 胞
血 餅 を収 縮 して よ り強 固 な もの にす る. 膜 の単 位 膜unit membraneと 類 似 して い る3).
こ の止 血 反応 の過 程 で, 血 小 板 の形 態 は変化 膜 は 細 胞 内 小 器 管 と外部 とを境 す る もの で あ
して, 凝集 した血 小 板 は融 合 し, また 止 血 栓形 るが, 血 小板 の 膜 は 止 血 反 応 に於 い て 細 胞 内小
成 に必 要 な種 々 の物 質 を放 出 す る. こ の よ うな 器 管 よ り早 く反 応 に 関与 し, 粘 着 ・凝 集 過 程 お
血 小板 の形 態 の変 化 と機 能 との 関 係 は必 ず し も よび凝 固反 応 に重 要 な役 割 を果 して い る. 現 在
明 らか に され て は い ない が, 最近, 電 子 顕 微鏡 な お膜 の構 造 と機 能 に つ い て十 分 に解 明 され た
の応 用 に よ り, 血 小 板 の微 細構 造 と機 能 が次 第 わ け で は な い が, 血 小 板 機 能 と膜 の 問題 の究 明
に解 明 され て い る. は, 今 後 の大 き な課 題 で あ る ・
こ こで は血 小 板 の形態 と機 能 に つ い て, 電 顕 膜 の生 成 に つ い て は, 従 来 血 小 板 が 巨核 球 か
像 を 中心 に内 外 の報 告 を紹 介 した い. ら生 成 され る時 に, 形 質 膜 が融 合 して生 じた 分
離 膜demarcation membraneが 血 小 板 膜 とな
I 血 小板 の電 顕 像
る と考 え られ て いた が, 最 近 の観 察 で は, 巨 核
血 小 板 は 光 学顕 微 鏡 で は, 2∼4μ の直 径 を 球 の細 胞 膜 に あ る管 状 の陥 入 か ら分 離 膜 が つ く
もつ 円形 の 細胞 と して認 め られ, 従 来 ギ ムザ 染 られ る こ とが 明 らか に され た4).
色 で均 等 な細 胞 質 の透 明 部 分hyalomereと 中 この 膜 の 外 側 には, グル ター ル アル デ ヒ ドと
心部 の穎 粒 部 分granul0mereと にわ け られ て い オ ス ミウ ム酸 の 二 重 固 定 で, 厚 さ150∼200A
た1). の粗 い や わ らか い感 じの物 質 の存 在 が認 め られ

しか し電 顕 像 で の血 小 板 は, 光 学 顕微 鏡 で み る(exterior coatま た はsurface coat)6). 服 部5、


られ る もの よ り複 雑 で あ る. は オ ス ミ ウム 酸 固 定 で もみ られ た とい う. こ

血 小 板 は約78Aの 厚 さ の3層 の 細 胞 膜 で 囲 の物 質 の性 状 に つ い て は, 循 環 血 中 の蛋 白 を吸
ま れ て い る. そ の中 に光 学 顕微 鏡 で い わ れ た 着 した もの と考 え られ た が7), 多 くの蛋 白 が繰
hyalomereとgranulomereに 相 当 す る と思 わ り返 し洗 浄 す る こ とに よ り除 去 され る こ と, こ
れ る構 造 物 が内 蔵 され る. しか し透 明 な水 様 性 の もの が酸 性 ム コ多 糖 類 に富 む こ とな どか ら,
の成 分 と思 わ れ るhyalomereの 部 分 は, 液 体成 巨 核 球 の形質 膜 に 由来 した も ので あ ろ うとい わ
分 で もな く, また透 明 で もな い. granulomere れ て い る. この外 側 被 膜 に はATPaseが 証明
も種 々 の異 な った機 能 を もつ い くつ か の構 造物 さ る8).従 来 血 小 板 凝 集 の際 に, 凝 集 した血 小 板
が含 まれ る. 血 小 板 は そ の構 造 上, (1)血小板 膜 相 互 が, あ る間 隙 を も って接 して い る とい われ
(2)血 小 板穎 粒 と ミ トコン ドリア (3)可 溶性 成 分 て い た の は, 固 定法 が不 完 全 な た め と され, 実
際 に は, こ の外 側 被 膜 が血 小 板 の粘 着 ・
凝 集 に重
*東 京 大 学 医学 部 中央 検 査 部
要 な役 割 を果 して い る と考 え られ る. White9)
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は, ル テ ニ ウム赤 や 他 の組 織 化 学 的色 素 を用 い, 円盤 状 形 態 を保 っ てい る と考 え られ てい る16)17).
凝 集 過 程 で も この物 質 が残 存 して い る こ とを認 血 小 板 を短 時 間 冷 却 す る と, そ の 円盤 形 は失
め た. われ て 球 形 化 す る18). こ の ときmicrotubulesは
2. 膜 の生 化 学 と機 能 消 失 し, 37Cに 加 温 す る と再 び 円盤 状 とな り,
膜 の構 成 は蛋 白57%, 脂 質33%, 含 水 炭 素8 同 時 にmicrotubulesが 出 現 す る こ と は19),
%で, そ の脂 質 の主 成 分 は リン脂 質 で あ る10). microtubulesが 血 小板 の 円盤 形 維 持 に密 接 な 関

内 因性 凝 固 系 に不 可 欠 な血 小 板 第3因 子(こ 係 が あ る こ とが想 像 され る.


の血 小 板 第3因 子 とい う用 語 は, 血 小 板 に特 有 EDTAを 抗 凝 固剤 と して採 血 した 際 には,
な凝 固 活 性 を示 す も ので, 血 漿 中 の凝 固 因 子 の 370Cに 維 持 す る と, 血 小 板 の円盤 形 は 失 われ
よ うに化 学 的 物質 を さす もの で ない)は そ の本 て ギ ザ ギ ザ な形 を示 す よ うに な る. しか し この
態 は リン脂 質 で あ り, 膜 に存 在 す る. 場 合 に はmicrotubulesは 消 失 しない20).これ は
膜 表 面 の破 壊, 開裂 あ るい は外 側 被 膜 の脱 落: 外部 か らのchelating agentの 影響 が, 血 小 板
に よ り, 膜 局在 の血 小 板 第3因 子 が 血 漿凝 固 因 表 面 に のみ 作 用 し, 内 部 構 造 に まで 変化 を及 ぼ
子 に触 媒 的作 用 の表 面 と して露 出 す る とか, 形 さな い こ とを示 して い る.
態 の 変化 の過 程 で, 膜 構 成 の分 子 の再 配 列 が行 Microtubulesの 機 能 は, 単 に血 小 板 を 円盤 状
わ れ るな どの説 明11)13∼)があ る. しか し後 述 の に維 持 す る だ け で な い. これ に つ い て後 にふ れ
如 く血 小 板 変 形 を もた らす 凝 集 や 粘 性 変 形vi3 た い.
cous metamorphosisの 過 程 で は血 小 板 第3因 4. 穎粒と小器管
子 は利 用 され てお らず, 膜 の外 側 被 膜 物 質 も消 多 数 の穎 粒(粒 子)や 小器 管 が血 小 板 胞 体 内
失 して い な い点 か ら, 血 小 板 膜 に存 在 す る脂 質 に存在 して い る.
蛋 白 は血 小 板 第3因 子 と して作 用 しない と考 え (1)グ リコ ー ゲ ン粒 子
られ て い る. 現 在 は血 小 板 第3因 子 は血 小 板 内 細胞 内 に散 在 して み られ る が, 多 くは集 団 と
に あ る貯 蔵穎 粒 か ら放 出 され る とい う見 解 が 優 して み られ る. グ リコー ゲ ン はエ ネ ル ギ ー源 と
力 で あ る. これ に つ い て は 後 にふ れ る. して, あ る血 小 板 機 能, 特 に血 餅 収縮 に 関与 し
3. 膜の直下部分 て い る とい われ る. 血 小 板 は グ リコー ゲ ンの合

(1)filament element 成 を行 い, 他 の血 球 に比 して, そ の含 量 が多 い


Whiteの い うsubmembraneous areaに あ り こ とが特 長 で あ る.
これ は ア ス ピ リンや サ リチ ル酸 ソー ダ投 与 で存 (2)穎 粒
在 が 明瞭 に な る. こ の もの は 次 に述 べ るmicr- i 血 小板 穎 粒
otubulesと 同 じ く, 血 小 板 の形 態 を円盤 状 に維 血 小板 の穎 粒 と して も っ と も多 い ものは, 形,
持 し, ま た偽 足 の伸 展 や安 定 に役 立 つ と思 われ 大 き さは ま ち ま ちで あ るが, 大 部 分 が 円 また は
る2). 楕 円形 で, 0.2∼0.3μ の直 径 を もち, 形質 膜 と
(2)微 細 小管(micmtubules) 同 じ限 界膜 で か こ まれ て い る. 内 部 は 電 子 密度
円盤 状 血 小 板 の辺 縁 部 に膜 の 内側 を輪 状 に走 の高 い物 質 が均 等 に染 ま る場 合 と, そ うで な い
る径 約250Aの, 8∼20数 本 東 に な った繊 維 様 場 合 とが あ る. 穎 粒 内 に は ミ トコ ン ドリア よ り
構 造 物 が あ る14). 一般 に は グル タ ール アル デ ヒ 細 い 小管 の断 面 像 が み られ る こ とが あ る21). 服
ド・オ ス ミウ ム酸 の二 重 固定 で確 認 され る15)16). 部6)に よ る とそ の 出現 頻 度 は0.6%で あ り, オ
Microtubulesと い わ れ, 破 壊 血 小 板 か ら遊 離 ス ミウム 固定 で もまれ に発 見 され る とい う. こ
した も の は真 直 で あ り, 血 小 板 以 外 の細 胞 にみ の穎 粒 は, ライ ソ ゾー ム にみ られ る と同 じよ う
られ るmicrotubulesも ほ とん どが真 直 で あ る な加 水 分 解 酵 素 を もち, 燐 脂 質 に富 ん で い る22).
こ とや, これ が 血 小 板 内 で コイ ル 状 に巻 か れ て この穎 粒 は血 小 板 フ ィブ リノゲ ン, thrombo-
い る こ とか ら, 遠 心 的 な張 力 を も ち, 血 小板 の sthenin, セ ロ トニ ン, カテ コー ル ア ミン, お よ

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血 小 板 の 電 顕 像

(模 式 図-White, J. G., 1971を 改 変)

(水 平 断 面 図)

(図 の 説 明)EC: 外 側被 膜 DB: dense body


CM: 血 小板 膜 M: 糸球 体

SMF 膜 下filament element CS: open canalicular system


MT: microtubules DTS:dense tubular system
Gly: グ リ コー ゲ ン粒 子 G:Golgi装 置

Gr: 血 小板 穎粒

(横 断 面 図)

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び 非 代 謝 性ATP, ADPの 貯 蔵 部 位 を 考 え られ で しば しば開 口部 がみ られ る とい う.


てい る23)∼25). ムコ 多 糖 類 も あ る とい う26). 走査 電 顕 像 で, 血 小 板 の上 面 に0∼ 数 コの陥
ii電 子 密 度 の 高 い 穎 粒dense bodies 凹 を認 め, よ り低 張 な固 定 液 を使 用 した場 合 に,
電 子 密 度 の 高 い, 濃 く そ ま る不 透 明 な 穎 粒 で 血 小板 全 体 と して は厚 く膨 化 し, 通 常認 め る僅
あ る. グ ル タ ー ル ア デ ヒ ド ・オ ス ミ ウ ム 固 定 で か な 凹 凸 の, 凸部 は消 失 す る の に, 凹部 は か え
認 め られ る. 動 物 に よ り数 も異 な る が, 血 小 板 って 顕著 とな る こ とか ら, 内 部 構 造 と関連 した
セ ロ トニ ン 量 に 平 行 してい る こ と, ま たin vivo, 固 有 の構 造 物 で, 開 口部 に相 当す る もの で は な
in vitroで レ セ ル ピ ンや タ イ ラ ミ ン 処 置 後 に いか と想 像 して い る. 河 野 は こ の管 状構 造 物 が
dense bodiesの 消 失 し, こ の 血 小 板 をin vitro, 糸 粒体 や穎 粒 と連 続 して お り, これ を介 して物
で セ ロ トニ ン と 艀 置 し て お く と, セ ロ トニ ン の 質 代謝 が行 われ て い る と想 像 して い るが, 服 部
取 り込 み と共 に 出 現 し て く る こ と な ど か ら2), は 明瞭 な連 絡 像 を得 られ な か った とい う.
そ の 内 容 物 は セ ロ トニ ン で あ ろ う と考 え ら れ る. しか しいず れ にせ よ, こ の管 状構 造物 を介 し
事 実 濃 度 勾 配 に よ り分 離 し た も の か ら, 多 量 の て, 種 々 な物 質 が 出入 し, 特 に血 小 板 の放 出反
セ ロ トニ ン が 見 出 され て い る27). 応 に 際 して, 放 出路 とな る と考 え られ て い る.
こ の ほ か に, ATP, ADP, カ テ コール ア ミ ン この管 状 構 造 物 は部 位 に よ り発達 し集 合 像 が み
や 燐 脂 質 の 存 在 が 報 告 され て い る28). られ る.
こ のdense bodiesは, 血 小 板 の放 出反 応 の ii Dense tubular system
際 に 血 小 板 か ら遊 離 され る血 小 板 生 成 物 の 貯 蔵 辺縁 部 でmicrotubulesの 近 傍 に み られ, 内
器 管 と し て 推 定 され て い る25). 腔 に微 細 な フ ィ ラ メ ン トの存 在 を示 す電 子 密 度
iii糸 粒体 のや や高 い物 質 が認 め られ 不 規則 な膜 で 囲 まれ
他 の 細 胞 に 比 し, 数 は 少 な く, 構 造 も簡 単 で て い る29). 上 述 の表 面 へ 開 口す る管状 構 造 物 と
あ る. エ ネ ル ギ ー 供 給 源 と し て, 血 小 板 内 で 解 は明 らか に別 の もの で あ る. microtubulesの 輪
糖 が 行 わ れ る場 所 で あ る11). 止 血 反 応 過 程 で, 状構 成 に関 連 が あ る の で は ない か と考 え られ る.
ミ トコ ン ド リア は 電 子 密 度 を増 し, エ ネ ル ギ ー iii Golgi装 置
産 生 状 態 に あ る こ と を 示 す. 巨核 球 のGolgi装 置 よ り由来 した もの と考 え
(3)管 状構造物 られ る が, 機 能 上 明 らか では な い.
血 小 板 の 管 状 構 造 物 は, 機 能 の 上 で も重 要 で (4)そ の 他
あ る. i)open canalicular system ii)dense 空胞, 微 細 小 胞 が あ る. リボ ソー ム は血 小 板
tubular system iii)Golgi装 置 に 大 別 さ れ る. に見 出 され て い な い.
iopen canalicular system
II 特 殊 な 構 造 物 あ るい は 血 小板
細 胞 表 面 に 連 絡 の あ る 空 胞 系 で, Behnke29)の
surface connecting system, White 2)のopen 1. 穎粒異常
canalicular system, あ るい は 河 野30)が 細胞表 血 小 板 機 能 欠 陥 に よ る出 血 性 疾患 で は, しば

面 に 開 口 す る管 状 構 造 物 と記 載 し た も の は, 同 しば穎 粒 の異 常 がみ られ る. も っ と も多 い の が
じ も の を指 し て い る と考 え ら れ る. 神 前31)ら も 巨 大穎 粒 で あ る.通 常 の血 小 板 穎 粒 よ り大 きい.
立 体 複 構 で, 血 小 板 の 滑 面 小 胞 体 様 小 胞 を 追 求 勿論 正 常 の血 小 板 に もみ られ る こ とか ら, 必 ず
し, 枝 分 れ, 管 径 の 変 動, 走 行 の不 規 則 は あ っ しも出血 の原 因 とは い え ない よ うで あ る. ま た
た が, 1本 の 管 と し て た ど る こ と が で き, そ し 時 に血 小 板 穎 粒 か ら電 子 密 度 の高 い 内容 物 が柄
て1つ の 小 胞, 小 管 系 は数 ケ所 で細 胞 表 面 に開 の様 に突 出 した 細 長 く太 鼓 の バ チ を思 わせ る形
口 し, 他 方 一 層 の 膜 を も つ 空 胞 に 連 絡 し て い る 態 の穎 粒 が出 現 す る. 井 下32)らに よれ ば健 康 成
こ と を報 告 し て い る. 服 部6)は 円形 血 小 板 で は 人 に て も, 一 つ の血 小 板 に1∼11個 見 られ る と
辺 縁 で な く広 く表 面 に 開 く こ と が 多 く, 横 断 像 い う. そ の機 能 的 特 長 は まだ よ くわ か っ て い な

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い. 被 細胞 へ 取 り込 まれ な が ら, 内被 細 胞 の原 形 質
2. 大型血小板 と混 ざ りあ い, つ い には 血 小板 が 内被 細胞 に完
大 型 血 小 板 が, 本 態 性 血 小 板 減 少 性 紫 斑 病 に 全 に と り込 ま れ る過 程 を電 顕 像 で と らえ て い る.
み られ る33). 骨 髄 か ら末 梢 へ の急 速 な血 小 板 の これ は, 血 小 板 減 少 モル モ ッ トへ輸 注 した3H-

放 出 を反 映 して い る. 服 部6)は 大 型 血 小 板 で も, FDP標 識 血 小 板 が選 択 的 に毛 細 血 管 内被 細 胞
そ の辺 縁 部 にmicrotubulesの 存 在 を確 認 して へ と り込 まれ る とい うautoradiographyは こよ る
お り, 流 血 中 で変 形 を起 した 結 果 で な く, 骨 髄 成 績39)を, 形 態 学 的 に証 明 した もの で あ る. こ
巨 核球 か ら分 離 の際 に, 血 小板 分 離 膜 の 機能 異 の毛 細 血 管 内被 細 胞 支 持 に消 費 され る血 小板 数
常 が あ った た め で あ ろ うと現像 して い る. は1日 に約35, 000/mm3と い わ れ る40). 臨床 的
May-Hegglin異 常 症 では, 直 径4μ か ら50 に2∼3万/mm3以 下 に血 小 板 数 が減 少 す る と
まで の大 型 血 小 板 が 出現 す る45). 出 血症 状 は な 自然 出 血 がみ られ る こ と とよ く符 合 す る. 生 体
い. リンパ球 大 の直 径4∼12μ の血 小 板 の 多数 出 内 で は, まず 毛 細 血 管 内被 細 胞 支持 に使 わ れ,
現 を特 長 とす る出 血性 素 因 にBernard-S0ulier そ の残 りの血 小板 が 傷 害 血 管 壁 へ の粘 着 や凝 集
症 候 群 が あ る35). この疾 患 で は, 特 に血 小 板減 塊 形成 にあ た る と され て い る.
少 を伴 な うが 機能 的 に血 小 板 第3因 子 の低 下 が 2. 止 血 栓 の形 成
知 られ てい る. 神 前 ら36)は血 小 板 無 力 症 に この 血管 が傷 害 され る と, 血液 は そ の 開裂 部 か ら
よ うな形 の 血 小板 の増 加 を報 告 して い る が, 電 外部 へ逸 出 す る. そ の 際 血小 板 を含 め て血 液 成
顕 像 の報 告 は ま ち ま ち で, 空 胞 の増 加, 異 常穎 分 は, 流 血 中 に露 出 した基 底 膜, コ ラゲ ン, エ
粒 や, 異 常 なGolgi小 胞 が 出現 す る とい う. ラス チ ンな どの, い わ ゆ る異 物 面 と接 触 す る.
3. 小 型 血 小板 これ に よ り, 血 小 板 と凝 固 因子 に よる止 血 反 応
Wiskott-Aldrich症 候 群 で, 小 型 血 小 板 が が 開始 され る.

出 現 す る37). 穎 粒 やdense bodyが 減 少 し, 従 来, 血 管 の傷 害 に よ り, 先 づ結 合 織(コ ラ


dense tubular systemが 発 達 した像 が得 られ て ゲ ン)に 血 小 板 が粘 着 し, この粘 着 血 小 板 に さ
い る。代 謝 は低 下 し,機 能 障害 が報 告 され て い る. らに流 血 中 の血 小 板 が付 着 し, 血 小 板 凝 集 塊 を
つ くる. これ に は傷 害 組 織 か ら遊 出 したADP
II 血 小 板 機 能 と 形 態
が関 与 し, コ ラゲ ン との接 触 に よ り, 血 小板 内
血 小 板 の止 血機 構 に お け る役 割 は, 正 常 の毛 のADPが 放 出 され て, 血 小板 凝 集 を進 行 させ,
細 血 管 内 皮 支持 作 用 と, 血 管 傷 害 時 に出 血部 位 同 時 に組 織 液 の 混 入 に よ り微 量 の トロ ン ビ ンが
へ の止 血 栓 形成 で あ る. 従 来 光 学 顕 微 鏡 下 で の 生 成 され, これ が 血 小板 膜 に作 用 して, い わ ゆ
観 察 か ら, 最 近 で は さ らに電 子 顕 微 鏡 の応 用 に る粘性 変 形 を血 小板 に起 こ して, ADPや 血小
よ り血 小板 の微 細 構造 と, 機 能 との関 係 が徐 々 板 第3因 子 を放 出 させ る. この 血 小板 第3因 子
に明 らか に され て き てい る. の 放 出 に よ り, 内 因性 血 液 凝 固機 序 が進 行 して,
1. 血 小板 の 毛 細 血 管 支持 作 用 多量 の トロン ビ ン生 成 とな り, フ ィブ リノ ゲ ン
末 梢 血 管 内 の血 小板 数 が5万/mm3以 下 に減 か ら フ ィブ リンを析 出 して, 血 小 板 凝 集 塊 に フ
少 す る と, しば しば 紫斑 が 出現 して く る. そ し ィブ リン網 を形 成 して, 血 餅 収 縮 反 応 に よ り強
て2万/mm3以 下 に な る 自然 出血 が起 こる こ と 固 な止 血 栓 を完 成 す る と考 え られ て い た.
は, 常 に経 験 す る こ とで あ る. これ は正 常 な毛 これ に対 して, Johnson41)ら は, 止 血 栓 形成

細 管 の間 隙 か ら赤 血球 が血 管 外 へ逸 出す るた め 過 程 を電 顕 像 で追 究 して, 出 血15秒 後 に は フ ィ
で あ る.Wojcik38)ら は, 放 射 線 全 身 照 射 に よ り ブ リン が析 出 して い る こ とを報 告 した. この フ
血 小 板 減 少 状態 の モル モ ッ トの頬 部 口腔 粘 膜 の ィ ブ リン系 は赤 血 球 に接 して見 られ る こ とか ら,

毛 細 管 内被 細胞 に, 輸 注 した血 小 板 が接 着 し, 赤 血 球 が傷 害 血 管 壁 に接 触 した 際 に起 こ る流 血

相 互 の限 界膜 が消 失 して, 血 小 板 内 の小 胞 が 内 のた め で あ ろ う と結 論 して い る. 溶 血 と同 時 に

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赤 血球 のADPと 燐 脂 質(部 分 トロン ボ プ ラ ス る こ とにす る.


チ ン と して作 用)が 放 出 され, 内 因性 凝 固系 が 4. ADP凝 集
進 展 して3∼15秒 の間 に トロン ビン を生 成 し, 凝 集 した 血 小 板 相 互 には, 200-400Aの 間隙
フ ィブ リン系 を析 出す る とい う. が み られ る. グル タ ール アル デ ヒ ド・オ ス ミウ
一 般 に血 小 板 が コ ラ ゲ ン に粘 着 し, さ らに血 ム酸 二 重 固 定 あ るい は硝 酸 ラ ンタ ニ ウ ム とル テ
小 板 凝 集 塊 が形 成 され る が, 血 小 板 内容 物 の放 ニ ウ ム赤 を含 む 溶液 で 固 定 す る と, 外 側 被 膜 が

出 を よ り促 進 させ る粘 性 変 形 は, 組 織 液 注 入 に 染 め出 され9), 間 隙 も埋 め て い る こ とが わ か る
よ り生 成 され た微 量 の トロ ン ビ ン に よ る と考 え とい う.こ の こ とは血 小 板 相 互 の凝 集 に 当 っ て,
られ てお り, こ の際 トロ ン ビ ン には フ ィ ブ リン 外 側被 膜 が附 着 の場 と して存 在 す る こ とを示 し
析 出 させ る程 強 力 で は な い と考 え られ て い た が, て い る. そ して光 学 あ るい は電 子 顕 微鏡 に よ り,
Johnsonら の成 績 で は, 止 血 反 応 の初 期 に赤 血 血 小板 は外 か ら与 え られ たADPに よ り, 円盤
球 が溶 血 を起 こ し, 早 期 に フ ィ ブ リンが析 出 す 状 か ら, 種 々 の突 出 を もつ球 形 にか わ る こ とが
る こ とを明 らか に した. 知 られ て い る45). これ は コラ ゲ ン との反 応 の際
さて, この よ うな止 血 栓 の形 成 され る過 程 に と同 じ く, 血 小 板 浮 遊 血 漿 を用 い た 比 濁法 で の
お い て, 血 小板 形 態 に どの よ うな変 化 が み られ 吸 光度 の増 加 と して と らえ る こ とが で き る46).
るの だ ろ うか. 内部 構 造 の変 化 と して著 明 な の は, 形 質 膜 の
3. コ ラ ゲ ン ・血 小 板 反応 直 下 に あ っ たmicrotubulesの 中央 に む か って,
Hovigら42)は, コ ラ ゲ ン に粘 着 した血 小 板 の そ の 中 に細 胞 小 器 管 を包 む よ うに, 収 縮 す る こ
形 態 学 的 変 化 を電 顕 的 に観 察 した. 血 小 板 とコ とで あ る19). 一部 のmicrotubulesは 東 か ら離
ラゲ ン繊 維 間 の 距離iは20∼30Aで, 相互 に 凝 れ て不 規 則 に胞 体 を走 った り, 形 質 膜 に直 角 に
集 した2つ の血 小 板 の間 が150∼200Aで ある 走 る もの も あ る. また偽 足 突起 に入 り込 ん で い
の に対 して, きわ め て近 接 して い る. あ る血 小 る. しか しこの 傾 向 は トロ ン ビ ン添 加 の際 にみ
板 は膜 の断 裂 がみ られ て い る. 血 小板 膜 の断 片 られ る よ り軽度 で あ る とい う6).
が, コ ラゲ ン に接 して 存 在 す る が, これ は 血 小 穎 粒 は 良 く保 た れ て お り, トロン ビン あ るい
板 が陰性 荷 電 を, コ ラゲ ンが 陽 性荷 電 を有 す る は コ ラゲ ン との反 応 の 際 み られ る よ うな脱 穎粒
た めで あ ら う. 状 態 は み られ な い の が普 通 で あ る.
血 小板 は膨 化 し, 内部 構 造 が 失 わ れ て い る. 5. 放 出 反応
コ ラゲ ン との反 応 初 期 に お け る血 小 板 の膨 化 は, 止 血反 応 に お け る血 小板 の重 要 な役割 に放 出
電顕 像 で も認 め られ る が, 比 濁法 に よ り, 凝 集 作 用 が あ る 。血 小板 が, 凝 血 塊 の形成 に必 要 な 因
の起 る前 のlag phaseの 間 に, 吸 光 度 の増 加 と 子 を放 出す る だ ろ う と,1878年Hayem47)が, 1882
して, と らえ る こ とが で き る43). 年Bizzozero48)が 既 に想 像 して い る. Grette49)
血 小 板 が コラ ゲ ン と反 応 して い る 間 に, 血 小 は トロン ビン に よ り, 血 小 板 が 粘性 変 形 を起 こ
板 の小 器 管 が消 失 す る こ とが電 顕 的 に観 察 され す 間 に, 細 胞 か ら多 くの内 因性 の化 学 物 質 が遊
て い る. この際 多量 のADPや セ ロ トニ ン あ る い 出 す る こ とを見 出 して, こ の現象 を血 小 板 放 出
は各 種 の酵 素 活 性 物 質 が血 小 板 よ り放 出 され る. 反 応 とい った. こ の血 小板 放 出反 応 は カル シ ウ
コ ラ ゲ ン に よ り血 小板 か ら放 出 され たADPは, ム イ オ ン に よ り開 始 され た収 縮 機 構 に よ り起 る
衆 知 の 如 く二 次凝 集 を惹 起 す る. Mills4)ら に こ とを推 定 させ る.
よれ ば, コ ラゲ ン との 反 応 に よ る血 小 板 の形 態 血 小板 放 出反 応 に よ り, ATP, ADP, セ ロ ト
変 化 は, ADP添 加 の場 合 と同 じ よ うに, 血小 ニ ン, カ テ コ ラ ミ ン, カ リウ ム, カル シ ウム, 血

板 の 放 出反 応 と平行 して 進 行 す る とい う. 小 板 第3, 第4因 子, 加 水 分 解 酵 素, ア ミノ酸 な


この 血 小板 の放 出反 応 はADPで もみ られ る どのほ か フ ィ ブ リノゲ ンな どが遊 出 す る2D. こ
現 象 で あ り, 放 出反 応 と形 態 変化 は別 項 で ふ れ れ らの大 部 分 が血 小 板 小 器 管 の構 成 物 で あ る.
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昭 和49年6月 5:451

カ リウムや カル シ ウ ムあ る い は ア デ ニ ン ヌ ク レ こ した後, 放 出反 応 に よ る 自 らのADPに より


オ タ イ ドな ど は 血 漿 中 の そ れ ら と は 非 交 換 性 で 二 次 凝集 を 引続い て惹 起 す る. Vincristine50)は
あ り, 非 代 謝 性 の も の と さ れ て い る24). 血 小 板 のmicrotubulesを 消 失 せ しめ る が, こ
血 小 板 放 出 反 応 は, コ ラ ゲ ン やADP, トロ のvincristine処 置 血 小 板 はADPに よ り一 次
ン ビ ン, ア ドレ ナ リ ン な どの 凝 集 惹 起 物 質 に よ 凝 集 の み起 こ り, 二 次凝 集 は み られ な い. そ し
り起 こ る. て 正 常 の 血 小板 で は凝 集 に よ り小器 管 は 中心 に
放 出 反 応 に よ り血 小 板 外 へ 遊 離 す るADP, 変 位 す るの に, 処 置 血 小 板 で は, 広範 に散 在 し
ATPあ るい は セ ロ トニ ン, 血 小 板 第3因 子な てい る. この こ とはmicrotubulesの 収 縮 が放
ど の 貯 蔵 部 位 は 血 小 板 穎 粒 とdense bodyで あ 出 に 関与 して い る こ とを推 定 させ る.
る. こ れ ら の 穎 粒 か ら の 内 蔵 物 質 の 放 出 は, 血 血 小板 の重 要 な機 能 の1つ に血 餅 収 縮 が あ る.
小 板 の 傷 害 や 破 壊 に よ る も の で は な く, open この現 象 は血 小 板 の収 縮 性 蛋 白 で, 筋 肉 のact-
canalicular systemが 血 小 板 外 の 血 漿 へ の運 搬 omyosin様 物 質 で あ るthrombostheninが 関与

路 と し て の 役 割 を 果 す も の と考 え ら れ て い る. す るが, microtubulesはthrombostheninの 貯
White2)は, ADP凝 集 の 際 のdense bodyの 蔵 部位 と も考 え られ て い る51). 血小板 放 出反 応
変 位 をmicrotubulesの そ れ とあ わ せ て観 察 し とそ れ に基 づ く二 次凝 集 に, thrombostheninが
て い る. 一 役 か って い る こ とは想 像 に難 くな い.

す な わ ち, ADPに よ り凝 集 した 血 小 板 で は,
IV 新 生 血 小板 と形 態
穎 粒 とmicrotubulesは 中 心 に 寄 っ て, 一 部 の
dense bodyがmicrotubulesの 東 の 外 へ, 血 小 血 小板 は骨 髄 の 巨核 球 か ら原 形質 の 細片 と し
板 表 面 に 近 い 部 位 に 移 動 し て い る像 を 示 し, 穎 て 分離 して, 末 梢 血 に 入 るが, 血 小板 の寿 命 は
粒 が 選 択 的 にmicrotubulesの 収 縮 に よ り押 し 7∼10日 で あ る52).
出 さ れ た と説 明 し て い る. ま た 中 央 に集 合 し た この短 い期 間 に血 小板 は幼 若 か ら老 化 へ と進
小 器 管 の 塊 か らdense bodyが 膜 直 下 まで進 展 行 す る. した が って, 流 血 中 に はagingの 異な
し てい る像 や, 長い 尾 を も っ た よ う な 形 のdense る血 小板 が混 在 す る こ とに な る. 骨 髄 か ら放 出
bodyを 見 出 し て い る. され た ば か りの若 い血 小板 は, 老 化 した もの に
ADPに よ り凝 集 を お こ さ せ た 血 小 板 を ル テ 比 し大型 で53), 比 重 も高い54). ま た 血 小板 機 能
ニ ウ ム赤 で 固 定 す る, 穎 粒 とmicrotubulesの 典 との 関 係 で は, 若い 血 小板 は 粘着 傾 向55)56)がつ
型 的 な 中 心 偏 位 が お こ り, ま た 膨 化 が 見 ら れ た よ く, 凝 集 能 も高 い57)とされ て い る.
が, ル テ ニ ウ ム 赤 は 血 小 板 内 に は 認 め ら れ な い. 流 血 中 の 血 小板 は, 不連 続 蕪糖 濃度 勾配 法 で,
こ の こ と はADP凝 集 で は, 細 胞 の 傷 害 は 起 大 別 して 重 い 血 小板 と軽 い 血 小板 に分 け る こ と
ら ない こ と を 示 し てい る. 他 方open canalicular が で き る. Vainer58)は 比 重1.039, 1.046, 1.052,
systemの 拡 張 した 小管 にル テ ニ ウ ム赤 が 充 満 1.059の4群 に 分 け た. 軽い 血 小板 の 大 き さは
し, さ ら に, ADPに よ る 二 次 凝 集(こ れ は外 5μ3で, 重い 血 小 板 は12μ3と 前 者 の2.4倍 も大
か ら与 え ら れ たADPに よ り, 血 小 板 放 出 反 応 きい とい う34).
が 起 り, 血 小 板 か ら, そ の 内 蔵 す るADPが 放 電 顕 像 で は, 比 重1.039の 群 の 血 小板 は. 空
出 さ れ, 凝 集 を起 こす)中 の 血 小 板 で は, 拡 大 胞 化 が み られ, 時 に は内 容 が 脱 落 して い た. こ
したcanalicular systemの 小 管 は, 穎 粒 で 占 め れ に対 して1.059の 比 重 を もつ 群 の 血 小板 は,
られ, そ の穎 粒 物 質 は ル テ ニ ウ ム 赤 で 染 ま っ て 穎 粒 に富 み, 濃 く染 ま った とい う58). わ れ わ れ
59)も高 比 重 と低 比 重 の2群 につ い て, 電顕 像 を
いる 像 を み てい る. こ の こ と はopen canalicular

systemが, 血 小 板 放 出 反 応 に よ る 物 質 の放 出 比 較 した が, 微 細構 造 の上 か らは, 明 らか な差

路 と し て 働 い て い る こ と を 想 像 させ る の で あ る. 異 を認 め る こ とはで き なか った.

あ る濃 度 のADPは, 血 小 板 に 一 次 凝 集 を起 幼 若 血 小 板 は た しか に大 型 で, 代謝 も旺盛 で,

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5:452 血 液 と 脈 管 第5巻 第6号

機 能 的 に活 発 で あ る. 凝 集 惹 起 物 質 な どへ の反 4) Behnke, O.: J. Ultrastruct. Res., 24; 412, 1968.

応 性 も強 く, 不 安 定 で, 止 血 反 応 に利 用 され, 5) Stehbens, W. E. and Biscoe, T. J.: Amer.

速 か に消 費 され る. Turn overも 早い の で, 常 J. Path, 50; 216, 1967.


6) 服部 晃: 血 液 と脈 管, 1: 667, 1970.
に新 生 され る他 方, 消 費 され ず, あ るい は脾 に
7) Behnke, O.: J. Ultrastruct. Res., 24; 51,
取 り込 まれ た 血 小板 は, 生 理 的加 令 の過 程 で成
1968.
熟 した 後, 老 化 の途 を辿 り, 徐 々 に代謝 面 や機
8) White, J. G. and Krivit, W.: Blood, 26;
能 面 で の低 下 が お こ り, 小型 化 して ゆ く と考 え
554, 1965.
られ る. この 老化 血 小板 は, 血 管 内 に約10日 間
9) White, J. G.: Amer. J. Path, 58; 31, 1970.
残 っ てい るが, 止 血 に これ らは役 立 た な い. 10) Marcus, A. J. et al.: in The Circulating pla-
In vitroで は, 保 存 に よ り老 化 が み られ る が, telet, ed. by S. A. Johnson, p, 241, Academic
生体 で も急 性 白血 病 の前 白血 病 状 態 で, 軽 い小 Press, New York, 1971.
型 血 小 板 が増 加 して, 生 理 的 老 化 と同 じ状 態 が 11) Bull, B. J.: Blood, 28; 901, 1971.
み られ る とい う60). しか し後 者 の場 合 の影 響 因 12) Marcus, A. J. et al.: J. Clin. Invest., 45;
子 は病 的 血 漿 に あ る よ うに思 わ れ る. 14, 1966.
13) Marcus, A. J.: New Engl. J. Med. 280; 1213,
お わ りに 1278, 1330, 1969.

血 小 板 の形 態 と機 能 との 関 係 は, 電 子 顕微 鏡 14) Behnke, O. J.: Ultrastruct. Res., 13; 496,


1965.
の応 用 に よ り, 急 速 に解 明 され つ つ あ る. 血 小
15) Sixma, J. J. and Molenaar, I.: Thromb. Diath.
板 の機 能 と して は, 粘着 と凝 集 そ れ に伴 な う放
haemorrh., 16; 153, 1966.
出 が あ る. 残 念 な が ら粘着, 凝 集 の機 序 に つ い
16) Behnke, O. and Zellander, T.: Exper. Cell
て は, ま だ完 全 に解 明 され て い な い. は じめ に
Res., 43; 236, 1966.
も述 べ た よ うに特 に これ か らの 問題 と して残 っ
17) Behnke, O. and Zellander, T.: J. Ultrastruct.
て い る の は血 小 板 膜 の生 化 学 と生 理 学 的 機 能 で Res., 19; 147, 1967.
あ り, 粘着, 凝 集 お よ び凝 固 反 応 に重 要 な役 割 18) Zucker, M. B. and Borrelli, J.: Blood, 9;
を果 して い る こ とは疑 う余 地 もな い. 血 小 板 無 602, 1954.
力 症 で は, 膜 の構 成 が正 常 の それ と異 な り61), 19) White, J. G. and Krivit, W.: In Platelets:
ま た カオ リン添 加 に よ り トロン ボ プ ラ ス チ ン作 Their Role in Hemostasis and Thrombosis ed.
用 の上 昇 がみ られ ない 点62), 粘 着, 凝 集 を欠 く By K. M. Brinkhous, p. 29, Schattauer, St-
こ とな ど, 本 症 の根 本 的 欠 陥 は膜 に あ る とい う. uttgart, 1967.
20) White, J. G.: Scand. J. Haemat., 5; 241,
今 後 の検討 が 大 い に期 待 され よ う.
1968.
〔電顕像 については正 常血 小板 の模式 図のみあげ
21) White, J, G.: Blood, 32; 148, 1968.
た. わが国 では服部(本 誌1:667, 1970)の す ぐ
22) Marcus, A. J. et al.: J. Clin. Invest., 45;
れた業績 が見事 な写真 と共 に報告 されている. 是非
参照 されたい.〕 14, 1966.
23) Born, G. V. R. et al.: Brit. J. Pharmacol.
文 献
Chemother., 13; 62, 1958.
1) Wintrobe, M. M. Clinical hematology, p. 24) Baker, I. J. et al.: J. Physiol., 149; 55p. 1959.
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by S. A. Johnson, p. 45, Academic press. New 26) Spicer, S. S. et al.: J. Histochem. Cytochem,
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3) Weiss, L. and Mayhew, E.: New. Engl. J. 27) Da Prada, M. et al.: Nature, 216; 1315, 1967.
Med., 276; 1354, 1967. 28) Marcus, A. J. and Zucker, M. B.: The
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