You are on page 1of 4

ほう つよ ほう つよ

「おれの方 が強 い。」「いいや、ぼくの方 が強
きたかぜ たいよう こえ き ふたり
い。」北風 と太陽 の声 が聞 こえます。二人 はどち
らのちから つよ
力 が強 いかでケンカをしているようです。
たいよう まいにちげん き あつ こま
「太陽 が毎日 元気だから、暑 くてみんな困 ってい
すず かぜ ふ うれ
るよ。おれが涼 しい風 を吹 くと、みんな嬉 しそう
ほう やく た
だ。おれの方 がみんなの役 に立 っているよ。」
き や さい そだ
「でも、ぼくがいないと、木 や野 菜は育 たないよ。
ふゆきたかぜ ふ かぜ つめ さむ
冬は北風 の吹 く風 が冷 たくて、とても寒 かった。
そと で さいきん
みんな外 に出 られなかったよね?最近 はあたた
暖 かい
から、みんなよろこ
喜 んでいるよ。」「いいや、あそ
み たいよう つよ て かわ みず
こを見 て。太陽 が強 く照 らすから、川 の水 がもう
な みず せいかつ
すぐ無 くなりそうだ。水 がないと、みんな生活 で
きないよ。」二人ふたりとも自じ分ぶんの話はな
しばかりして、人ひとの話はなしを聞ききません。
二人ふたりは毎日まいにちケンカをしていました。
ある日ひ、北風きたかぜはいつものように言いい
ました。「ケンカは終おわりにしよう。おれの方
ほうが強つよいんだから。」太陽たいようもいつ
ものように言いいます。「うん、ケンカは終おわ
りにしよう。けど、僕ぼくの方ほうが強つよいと
思おもうよ。」その日ひもケンカは終おわりそう
にありません。そのとき、北風きたかぜはマント
を着きた若わかい男おとこが歩あるいているのを
見みつけました。北風きたかぜは言いいました。
「あの人ひとのマントをどちらが早はやく脱ぬが
せることができると思おもう?これでどちらが強
つよいかを決きめよう。強つよければ簡単かんた
んにマントを脱ぬがせることができるはずだ。」
「それはいい。よし、やってみよう。」 二人ふ
たりは男おとこのマントを脱ぬがせることにしま
した。
「最初さいしょにおれがやってみるよ」。北風き
たかぜはそう言いって、強つよい風かぜを吹ふ
きました。男おとこは急きゅうに吹ふいた強つ
よい風かぜにおどろきました。北風きたかぜは
どんどん風かぜを吹ふきます。風かぜを吹ふい
て、マントを飛とばすつもりです。「寒さむ
い!どうして急きゅうに風かぜが強つよくなっ
たんだ?」男おとこはそう言いうと、もう一枚
いちまいマントを出だして、急いそいで着きま
した。北風きたかぜは二に枚まいのマントを脱
ぬがせるために、もっと強つよく風かぜを吹ふ
きました。男おとこはマントが飛とばないよう
に、しっかりと手てで持もちました。北風きた
かぜがいくら強つよく風かぜを吹ふいても、男
おとこは一いっ生しょう懸命けんめい手てでマ
ントを持もっています。北風きたかぜは言いい
ました。「だめだ。おれの力ちからではマント
を脱ぬがせることができない。」
北風きたかぜはおどろきました。太陽たいよう
がマントを簡単かんたんに脱ぬがせたからです。
おれの風かぜでは脱ぬがせることが出で来きな
かったのに、なぜ太陽たいようはマントを脱ぬ
がせることができたんだ?太陽たいようは言い
いました。「北風きたかぜは男おとこの気持き
もちを考かんがえていなかったよね?力ちから
を使つかうだけだと人ひとは動うごかないよ。
人ひとの気持きもちを考かんがえないといけな
いんだ。」北風きたかぜはそれを聞きいて、言
いいました。「わかった。君きみはおれより強
つよいよ。」とうとう二人ふたりの長ながかっ
たケンカは終おわりました。人ひとに何なにか
をさせるときや、お願ねがいするときは、北風
きたかぜのように力ちからを見みせるだけでは
うまくいきません。太陽たいようのように人ひ
との気持きもちを考かんがえることが大切たい
せつです。

You might also like