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列王記第二

概要
1章
エリヤがアハジヤの死を予告する(1‐18節)
2章
暴風によってエリヤが運ばれる(1‐18節)
エリシャはエリヤの職服を手に取る(13,14節)
エリシャはエリコの水を清める(19‐22節)
熊がベテルの少年たちを殺す(23‐25節)
3章
イスラエルの王エホラム(1‐3節)
モアブがイスラエルに反逆する(4‐25節)
モアブは打ち破られる(26,27節)
4章
エリシャはやもめの油を増やす(1‐7節)
シュネムの女性のもてなし(8‐16節)
女性は息子を授かるが,息子は死ぬ(17‐31節)
エリシャは死んだ子を復活させる(32‐37節)
エリシャは煮込み料理の毒をなくす(38‐41節)
エリシャはパンを増やす(42‐44節)
5章
ナアマンの重い皮膚病をエリシャが癒やす(1‐19節)
貪欲なゲハジが重い皮膚病で打たれる(20‐27節)
6章
エリシャはおのの頭を浮かび上がらせる(1‐7節)
エリシャとシリア人の攻防(8‐23節)
エリシャの従者の目が開かれる(16,17節)
シリア人は精神盲のようになる(18,19節)
サマリアが包囲され飢餓に見舞われる(24‐33節)
7章
エリシャは飢餓の終わりを予告する(1,2節)
シリア人の陣営で,置き去りにされた食料が見つかる(3‐15節)
エリシャの預言がその通りになる(16‐20節)
8章
シュネムの女性の土地が返される(1‐6節)
エリシャ,ベン・ハダド,ハザエル(7‐15節)
ユダの王エホラム(16‐24節)
ユダの王アハジヤ(25‐29節)
9章
エヒウが油を注がれてイスラエルの王になる(1‐13節)
エヒウはエホラムとアハジヤを殺す(14‐29節)
イゼベルが殺され,犬に食われる(30‐37節)
10章
エヒウはアハブ家を滅ぼす(1‐17節)
エホナダブがエヒウに加勢する(15‐17節)
エヒウはバアルの崇拝者たちを殺す(18‐27節)
エヒウの統治の概略(28‐36節)
11章
アタリヤが王座を奪う(1‐3節)
エホアシュがひそかに王にされる(4‐12節)
アタリヤが殺される(13‐16節)
エホヤダの改革(17‐21節)
12章
ユダの王エホアシュ(1‐3節)
エホアシュは神殿を修理する(4‐16節)
シリアによる侵略(17,18節)
エホアシュが殺害される(19‐21節)
13章
イスラエルの王エホアハズ(1‐9節)
イスラエルの王エホアシュ(10‐13節)
エリシャがエホアシュの熱意を試す(14‐19節)
エリシャは死に,骨に触れた人が生き返る(20,21節)
エリシャの最後の預言がその通りになる(22‐25節)
14章
ユダの王アマジヤ(1‐6節)
エドムとの戦い,イスラエルとの戦い(7‐14節)
イスラエルのエホアシュの死(15,16節)
アマジヤの死(17‐22節)
イスラエルの王ヤラベアム2世(23‐29節)
15章
ユダの王アザリヤ(1‐7節)
イスラエル末期の王たち: ゼカリヤ(8‐12節),シャルム(13‐16節),メナヘム(17‐
22節),ペカフヤ(23‐26節),ペカハ(27‐31節)
ユダの王ヨタム(32‐38節)
16章
ユダの王アハズ(1‐6節)
アハズはアッシリア人に賄賂を贈る(7‐9節)
アハズは異教の祭壇をまねる(10‐18節)
アハズの死(19,20節)
17章
イスラエルの王ホシェア(1‐4節)
イスラエルの滅亡(5,6節)
背教のためイスラエルは捕らえられ,連れていかれる(7‐23節)
サマリアの町々に外国人が連れてこられる(24‐26節)
サマリアの人たちは宗教を混ぜ合わせる(27‐41節)
18章
ユダの王ヒゼキヤ(1‐8節)
イスラエルの滅亡の概略(9‐12節)
セナケリブがユダを侵略する(13‐18節)
ラブシャケがエホバをあざける(19‐37節)
19章
ヒゼキヤはイザヤを通して神の助けを求める(1‐7節)
セナケリブがエルサレムに脅しをかける(8‐13節)
ヒゼキヤの祈り(14‐19節)
イザヤは神からの答えを伝える(20‐34節)
天使がアッシリア人18万5000人を討つ(35‐37節)
20章
ヒゼキヤの病気と回復(1‐11節)
バビロンからの使者たち(12‐19節)
ヒゼキヤの死(20,21節)
21章
ユダの王マナセと流血の罪(1‐18節)
エルサレムは滅びるという予告(12‐15節)
ユダの王アモン(19‐26節)
22章
ユダの王ヨシヤ(1,2節)
神殿の修理についての指示(3‐7節)
律法の書が見つかる(8‐13節)
災いに関するフルダの預言(14‐20節)
23章
ヨシヤの改革(1‐20節)
過ぎ越しを執り行う(21‐23節)
ヨシヤは改革を進める(24‐27節)
ヨシヤの死(28‐30節)
ユダの王エホアハズ(31‐33節)
ユダの王エホヤキム(34‐37節)
24章
エホヤキムの反逆と死(1‐7節)
ユダの王エホヤキン(8,9節)
バビロンへの最初の強制移住(10‐17節)
ユダの王ゼデキヤと,バビロンの王への反逆(18‐20節)
25章
ネブカドネザルがエルサレムを包囲する(1‐7節)
エルサレムと神殿の陥落,2回目の強制移住(8‐21節)
ゲダリヤが総督になる(22‐24節)
ゲダリヤが殺され,民はエジプトに逃げる(25,26節)
バビロンでエホヤキンが釈放される(27‐30節)
  1 章
  1 アハブの死後,モアブがイスラエルに反抗した。
  2 ある時,アハジヤはサマリアの家で屋上の部屋の格子を突き破って落ちてしまい,けがをした。そこで
彼は,「このけがが治るかどうか,エクロンの神バアル・ゼブブに尋ねに行きなさい」と言って,使者たちを遣
わした。 3 すると,エホバの天使がティシュベの人エリヤに言った。「立って,サマリアの王の使者たちに会
いに行き,こう言いなさい。『あなたたちがエクロンの神バアル・ゼブブに尋ねに行くのは,イスラエルに神が
いないからですか。 4 エホバは王にこう言っています。「あなたが起き上がってベッドから出ることはない。
あなたは必ず死ぬ」』」。それでエリヤは出ていった。
  5 アハジヤは,使者たちが戻ってきたので,すぐに言った。「どうして戻ってきたのか」。 6 使者たち
は答えた。「1人の人が私たちに会いに来て,こう言いました。『さあ,あなたたちを遣わした王のもとに帰
り,こう伝えなさい。「エホバはこう言っています。『あなたがエクロンの神バアル・ゼブブに尋ねようとして
人を遣わすのは,イスラエルに神がいないからか。あなたが起き上がってベッドから出ることはない。あなた
は必ず死ぬ』」』」。 7 アハジヤは尋ねた。「おまえたちに会いに来てそう語った人は,どんな姿だったか」。
8 彼らは言った。「毛でできた服を着て,腰に革帯を締めていました」。アハジヤはすぐに,「ティシュベの
人エリヤだ」と言った。
  9 王は1人の長を50人の部下と共にエリヤの所に遣わした。長が登っていくと,エリヤは山頂に座って
いた。それで長はこう話し掛けた。「真の神に遣わされた人よ,王が『下りてきなさい』と言っています」。
10 エリヤはその長に答えた。「確かに私は神に遣わされた者です。天から火が下ってきて,あなたと50人の
部下を焼き尽くしますように」。すると,天から火が下ってきて,長と50人の部下を焼き尽くした。
  11 王は別の長を50人の部下と共に遣わした。その長はエリヤに言った。「真の神に遣わされた人よ,王
が『早く下りてきなさい』と言っています」。 12 エリヤは答えた。「確かに私は真の神に遣わされた者です。
天から火が下ってきて,あなたと50人の部下を焼き尽くしますように」。すると,天から神の火が下ってき
て,長と50人の部下を焼き尽くした。
  13 王は3人目の長と50人の部下を遣わした。3人目の長は登っていってエリヤの前でひざまずき,懇願
してこう言った。「真の神に遣わされた人よ,どうか,あなたが私の命とこの50人の命を貴いものと見てく
ださいますように。 14 天から火が下ってきて,これまで2人の長とそれぞれの部隊50人を焼き尽くしまし
たが,今回は私の命を貴いものと見てくださいますように」。
  15 エホバの天使がエリヤに告げた。「その人と共に下りていきなさい。彼を恐れてはならない」。それで
エリヤは立って,その人と共に王のもとへと下っていった。 16 エリヤは王にこう言った。「エホバはこう言
っています。『あなたはエクロンの神バアル・ゼブブに尋ねようとして使者たちを遣わした。それはイスラエル
に神がいないからか。どうして神の考えを尋ねなかったのか。あなたが起き上がってベッドから出ることはな
い。あなたは必ず死ぬ』」。 17 エリヤが語ったエホバの言葉の通り,アハジヤは死んだ。代わりにエホラム
が王になった。アハジヤには息子がいなかったからである。これは,ユダの王エホシャファトの子エホラムの
治世の第2年のことだった。
  18 アハジヤについてのほかの記録,行ったことは,イスラエルの王の時代の歴史書に記されている。
  2 章
  1 エホバが暴風によってエリヤを天に上げようとしていた頃,エリヤとエリシャはギルガルから出ていっ
た。 2 エリヤはエリシャに言った。「エホバが私をベテルへ遣わしたので,あなたはここにとどまってくださ
い」。しかしエリシャは,「生きている神エホバとあなたに懸けて誓います。私はあなたから離れません」と
言った。それで2人はベテルに下っていった。 3 すると,ベテルにいる預言者の子たちがエリシャのもとに出
てきて言った。「今日,エホバがあなたの主人をあなたから引き離そうとしていることを知っていますか」。
エリシャは,「知っています。黙っていてください」と言った。
  4 エリヤはエリシャに言った。「エリシャ,エホバが私をエリコへ遣わしたので,あなたはここにとどま
ってください」。しかしエリシャは,「生きている神エホバとあなたに懸けて誓います。私はあなたから離れ
ません」と言った。それで2人はエリコに行った。 5 すると,エリコにいる預言者の子たちがエリシャの所に
来て言った。「今日,エホバがあなたの主人をあなたから引き離そうとしていることを知っていますか」。エ
リシャは,「知っています。黙っていてください」と言った。
  6 エリヤはエリシャに言った。「エホバが私をヨルダン川へ遣わしたので,あなたはここにとどまってく
ださい」。しかしエリシャは,「生きている神エホバとあなたに懸けて誓います。私はあなたから離れませ
ん」と言った。それで2人は進んでいった。 7 預言者の子たち50人も付いていき,ヨルダン川のほとりに立
った2人を,離れた所に立って見守った。 8 エリヤは職服を脱ぎ,それを丸めて水を打った。すると水が左右
に分かれ,2人は乾いた地面の上を渡った。
  9 渡り終えたところで,エリヤがエリシャに言った。「私があなたから引き離される前に私に何をしてほ
しいか,言ってください」。エリシャは言った。「あなたが持つ聖なる力を2倍分頂けないでしょうか」。 10
エリヤは答えた。「あなたは難しいことを願いました。私があなたから引き離される時,あなたが私を見るな
ら,願った通りになります。しかし,見ないなら,その通りにはなりません」。
  11 2人が話しながら歩いていると,突如,火の兵車と火の馬が現れ,2人の間を分けた。そしてエリヤは
暴風によって天に上っていった。 12 エリシャはそれを見ながら,「父よ,父よ! イスラエルの兵車と騎手た
ち!」と叫んだ。そして,エリヤが見えなくなると,自分の衣服をつかんで2つに引き裂いた。 13 その後,
エリシャはエリヤから落ちた職服を拾い上げてヨルダン川の岸辺に戻り,そこに立った。 14 それからエリヤ
の職服で水を打ち,こう言った。「エリヤの神エホバはどこにおられますか」。すると,水が左右に分かれた
ので,エリシャは渡った。
  15 エリコの預言者の子たちは離れた所からエリシャを見て,「エリシャは,エリヤが持っていた聖なる力
を受けた」と言った。そしてエリシャを迎えに出てひれ伏した。 16 彼らはエリシャに言った。「私たちの所
には50人の有能な人がいます。彼らにあなたのご主人を捜しに行かせてください。ご主人はエホバの聖なる
力に引き上げられ,どこかの山か谷に投げ落とされたのかもしれません」。エリシャは,「遣わしてはいけま
せん」と言った。 17 しかし,彼らはエリシャを困惑させるほどしつこく勧めたので,エリシャは「遣わしな
さい」と言った。そこで彼らは50人を遣わし,50人は3日間捜したがエリヤを見つけられなかった。 18
50人が帰ってきた時,エリシャはまだエリコにいて,こう言った。「行ってはいけないと言ったではないで
すか」。
  19 やがてその町の人たちがエリシャに言った。「ご覧の通り,この町は場所は良いのですが,水が悪く,
土地が痩せていて作物が育ちません」。 20 エリシャは言った。「小さな新しい鉢を持ってきて塩を入れなさ
い」。それで人々は持ってきた。 21 エリシャは水源に行って塩を投げ入れ,こう言った。「エホバはこう言
っています。『この水を清めた。死や不作を引き起こすことはもうない』」。 22 エリシャが語った言葉の通
り,水は清められ,今に至っている。
  23 エリシャはそこからベテルに上っていった。道を進んでいると,その町から出てきた少年たちがエリシ
ャをばかにして言った。「はげ頭,上っていけ! はげ頭,上っていけ!」 24 ついにエリシャは振り向いて,
少年たちに災いがあるようエホバの名によって願い求めた。すると,森の中から雌熊が2頭出てきて,子供た
ちのうち42人を引き裂いた。 25 エリシャはそこからカルメル山に行き,そしてサマリアに帰った。
  3 章
  1 アハブの子エホラムは,ユダのエホシャファト王の治世の第18年に,サマリアでイスラエルの王にな
った。彼は12年治めた。 2 エホラムはエホバから見て悪いことを行い続けた。ただ,彼の父や母ほどではな
く,父が作ったバアルの聖柱を取り除いた。 3 しかしエホラムは,ネバトの子ヤラベアムがイスラエルに犯さ
せたのと同じ罪を犯し,やめなかった。
  4 モアブの王メシャは羊を飼育していて,貢ぎ物として,子羊10万匹と毛を刈っていない雄羊10万匹
をイスラエルの王に納めていた。 5 しかし,アハブが死んで間もなく,モアブの王はイスラエルの王に反抗し
た。 6 それでその時,エホラム王はサマリアを出て,イスラエル全体を招集した。 7 また,ユダのエホシャ
ファト王のもとに人を遣わして,「モアブの王が私に反抗しました。私と一緒にモアブに戦いに行ってくれま
せんか」と伝えた。エホシャファトは,「行きましょう。私とあなたは一つです。私の民とあなたの民,私の
馬とあなたの馬も一つです」と言った。 8 それから,「どの道を行きましょうか」と尋ねた。エホラムは,
「エドムの荒野の道を行きましょう」と答えた。
  9 こうしてイスラエルの王は,ユダの王とエドムの王と共に出発した。7日間回り道をした後,軍隊や連
れてきた家畜のための水がなくなった。 10 イスラエルの王は言った。「何て悲惨なことだ。エホバはこの3
人の王をただモアブの手に渡すために集めたのだ」。 11 エホシャファトは言った。「エホバの預言者はいま
せんか。その人を通してエホバに尋ねることはできませんか」。するとイスラエルの王の家来の1人が答えた。
「シャファトの子エリシャがいます。エリヤに仕えていた人です」。 12 エホシャファトは,「エホバは彼を
通して話します」と言った。それで,イスラエルの王とエホシャファトとエドムの王は,彼の所に行った。
  13 エリシャはイスラエルの王に言った。「どうして私の所に来たのですか。あなたの父上の預言者たちと
母上の預言者たちの所に行ってください」。イスラエルの王は言った。「そう言わないでください。エホバは
この3人の王をモアブの手に渡すために集めたのです」。 14 エリシャは言った。「私が仕えているエホバは,
大軍を率いる生きている神です。その神に懸けて誓います。私がユダのエホシャファト王に敬意を抱いていな
ければ,私はあなたを見ることも気に留めることもなかったでしょう。 15 たて琴の奏者を連れてきてくださ
い」。奏者がたて琴を弾くと,エホバの力がエリシャに働いた。 16 エリシャは言った。「エホバはこう言っ
ています。『この谷に,溝を幾つも掘りなさい。 17 エホバはこう言う。「風も雨もないのに,この谷は水で
満ち,あなたたちはそれを飲む。あなたたちの家畜も他の動物も飲む」』。 18 これはエホバにとっては大し
たことではありません。神はモアブもあなたたちの手に渡すからです。 19 あなたたちは,防備された町や重
要な町を全て壊滅させなければなりません。また,良い木を全て切り倒し,泉を全てふさぎ,石を投げ入れて
良い土地を全て荒らさなければなりません」。
  20 朝になり,朝の穀物の捧げ物を捧げる時間が来ると,水が突然エドムの方から流れてきて,谷は水で満
ちた。
  21 モアブ人は皆,王たちが攻めにやって来たことを聞いた。それで,武具を身に着けられる人を全て集め
て,国境で位置に就いた。 22 朝早く起きると,太陽が水面を照らしていて,反対側にいるモアブ人には水が
血のように赤く見えた。 23 彼らは言った。「血だ! 王たちは剣で討ち合ったのだ。さあ,モアブよ,分捕り
に行け!」 24 モアブ人がイスラエルの陣営に入ると,イスラエル人は立ち上がってモアブ人を討ち始め,モ
アブ人は逃げていった。イスラエル人はモアブに進入し,モアブ人を討ちながら進んでいった。 25 町々を破
壊し,良い土地全てにおのおのが石を投げ入れて石だらけにした。泉を全てふさぎ,良い木を全て切り倒した。
最後にキル・ハレセトの城壁だけが残っていたが,兵士たちが町を囲み,投石して壊滅させた。
  26 モアブの王は戦いに敗れたのを見て,剣を帯びた700人を連れ,エドムの王の所を目掛けて突破しよ
うとしたが,失敗に終わった。 27 それでモアブの王は,自分に代わって治めることになっていた長男を城壁
の上で全焼の犠牲として捧げた。イスラエルに対する激しい憤りが生じたので,イスラエルの人たちは撤退し
て自分の国に帰った。
  4 章
  1 預言者の子たちの妻の1人がエリシャに訴えるように言った。「私の夫が死にました。よくご存じのよ
うに,夫はエホバをずっと畏れていました。でも,債権者が来て,私の2人の子供を連れ去って奴隷にしよう
としています」。 2 エリシャは彼女に言った。「そうでしたか。何かしましょう。あなたの家には何があるか,
教えてください」。彼女は答えた。「私の家には,油のつぼ以外,何もありません」。 3 エリシャは言った。
「外に行って,近所の人たちみんなからつぼを借りてきてください。空のつぼを,できるだけ多くです。 4 そ
れから家に入り,戸を閉じてあなたと息子たちだけになり,全てのつぼに油を注いでください。いっぱいにな
ったものは脇に置いてください」。 5 それで彼女は去っていった。
  彼女が戸を閉じて自分と息子たちだけになると,息子たちはつぼを手渡し,彼女は油を注いでいった。 6
つぼがどれもいっぱいになると,彼女は息子の1人に,「つぼを持ってきて」と言った。しかし息子は,「つ
ぼはもうないよ」と言った。すると油は止まった。 7 彼女が真の神に遣わされた人の所に行って報告すると,
こう告げられた。「その油を売りに行き,負債を返済しなさい。その残りであなたと息子たちは生活していけ
ます」。
  8 ある日,エリシャがシュネムに行くと,そこに1人の著名な女性がいて,食事をしていくようしきりに
エリシャに勧めた。それでエリシャはそこを通るたびに立ち寄って食事をするようになった。 9 彼女は夫に言
った。「いつも私たちの家に来る方は,きっと神に仕える聖なる人です。 10 屋上に小さな部屋を造り,あの
方のためにそこにベッドと机と椅子とランプ台を置くのはどうでしょう。そうすれば,あの方が来る時,そこ
で休んでいただけます」。
  11 ある日,エリシャはそこに来て,横になろうとして屋上の部屋に行った。 12 彼は従者のゲハジに言
った。「あの女性を呼びなさい」。そこでゲハジは彼女に,来るようにと言った。 13 エリシャはゲハジに言
った。「彼女にこう言ってください。『あなたはいろいろと私たちの面倒を見てくれました。あなたのために
できることが何かありますか。王や軍隊の長に掛け合ってほしいことがありますか』」。彼女の答えは,「私
は私の民の中で暮らしていますので,大丈夫です」というものだった。 14 エリシャは言った。「彼女のため
にできることが何かありますか」。ゲハジは言った。「彼女には息子がいなくて,しかも夫は年を取っていま
す」。 15 すぐにエリシャは言った。「彼女を呼びなさい」。ゲハジが呼ぶと彼女は戸口に立った。 16 エリ
シャは言った。「来年の今ごろ,あなたは男の子を抱いているでしょう」。彼女は言った。「あなたは真の神
に遣わされた人です。こんな私にそのようなうそはおっしゃらないでください」。
  17 しかし彼女は妊娠し,エリシャが言った通り,翌年の同じ頃に男の子を産んだ。 18 その子は成長し,
ある日,外にいる父親の所に行った。父親は刈り取りをする人たちと一緒にいた。 19 その子は父親に,「頭
が,頭が痛い!」と何度も言った。父親は従者に,「この子を抱いて母親の所に行ってくれないか」と言った。
20 それで従者はその子を抱いて母親の所に行った。その子は真昼まで母親の膝に座っていたが,死んでしま
った。 21 母親は上に行って,真の神に遣わされた人のベッドにその子を寝かせ,戸を閉じて出てきた。 22
彼女は夫を呼んで言った。「従者の1人とロバ1頭を使わせてください。真の神に遣わされた人の所に急いで
行かせてください。その後戻ってきます」。 23 夫は言った。「今日は新月でも安息日でもないのに,どうし
てあの方の所に行くのか」。彼女は,「大丈夫ですから」と言った。 24 彼女はロバにくらを置き,従者に言
った。「急ぎましょう。私のことは気にせず,私が何も言わない限り,速度を落とさずに進みなさい」。
  25 こうして彼女は,真の神に遣わされた人がいるカルメル山に向かった。真の神に遣わされた人は遠くか
ら彼女を見て,従者ゲハジに言った。「ご覧なさい。あのシュネムの女性が向こうにいます。 26 走っていっ
て彼女を迎え,『お変わりありませんか。ご主人とお子さんはどうしていますか』と聞いてくれませんか」。
彼女は,「みんな変わりありません」と答えた。 27 しかし,彼女は山にいた真の神に遣わされた人のもとに
来ると,すぐに足にすがり付いた。それでゲハジが彼女に近づいて押しのけようとしたが,真の神に遣わされ
た人は言った。「何もしないでおきなさい。彼女はとても苦しんでいます。理由は分かりません。エホバは私
に何も告げていないからです」。 28 彼女は言った。「私はあなたに息子を願い求めたりしたでしょうか。
『そんなあり得ないことを言わないでください』と申し上げませんでしたか」。
  29 エリシャはすぐにゲハジに言った。「服をまくって腰に留め,私のつえを持ち,行きなさい。誰かに会
ってもあいさつしてはいけません。あいさつされても答えてはいけません。行って,その子の顔の上に私のつ
えを置きなさい」。 30 男の子の母親は言った。「生きている神エホバとあなたに懸けて誓います。私はあな
たを離れません」。そこでエリシャは立って,彼女と一緒に出掛けた。 31 ゲハジは彼らより先に行って,つ
えを子供の顔の上に置いたが,何も起きなかった。それで道を戻ってエリシャの所に来て,「子供は目を覚ま
しませんでした」と言った。
  32 エリシャが家に着くと,死んだ子供はエリシャのベッドに横たわっていた。 33 エリシャは中に入り,
戸を閉じてその子と2人だけになり,エホバに祈り始めた。 34 エリシャはベッドに上がって子供の上に伏し,
自分の口をその子の口に,目をその子の目に,手のひらをその子の手のひらに当てて,覆いかぶさるようにし
ていると,その子の体は温かくなった。 35 それからエリシャは家の中を歩いて行ったり来たりし,再びベッ
ドに上がって子供に覆いかぶさった。すると,その子はくしゃみを7回し,その後目を開けた。 36 エリシャ
はゲハジを呼び,「母親を呼びなさい」と言った。ゲハジが呼ぶと母親はやって来た。そこでエリシャは,
「あなたの子を抱き上げなさい」と言った。 37 彼女は入ってきてエリシャの足元に身をかがめ,ひれ伏し,
それから息子を抱き上げて出ていった。
  38 エリシャがギルガルに戻ると,そこは飢餓に見舞われていた。エリシャは,預言者の子たちが前に座っ
ていたので,従者に言った。「大きな鍋を火に掛け,預言者の子たちのために煮込み料理を作ってください」。
39 それで,ある人がアオイを採りに野原に行くと,野生のつる草を見つけ,そこから野生のウリを採って服
の中いっぱいに入れた。それから戻り,そのウリのことをよく知らずに,薄く切って鍋に入れた。 40 その後,
煮込み料理をよそって出すと,預言者の子たちは口にしてすぐに,「真の神に遣わされた人よ,鍋に毒が入っ
ています」と叫んだ。それで食べることができなかった。 41 エリシャは,「麦粉を持ってきなさい」と言っ
た。そしてそれを鍋に入れてから,「みんなによそってあげなさい」と言った。すると鍋の中の毒はなくなっ
ていた。
  42 バアル・シャリシャからある人がやって来た。その人は,大麦の初物でできたパン20個と袋に入れた
新しい穀物を真の神に遣わされた人のもとに持ってきた。エリシャは,「みんなに分け与えて食べさせなさ
い」と言った。 43 従者は,「これをどうやって100人もの人に分け与えるのですか」と言った。エリシャ
は言った。「みんなに分け与えて食べさせなさい。エホバは,『みんなが食べてもまだ余る』と言っていま
す」。 44 そこで従者が分け与えると,エホバの言葉の通り,皆が食べてもまだ余った。
  5 章
  1 シリアの王の軍隊長ナアマンは優れた人で,主人から重んじられていた。エホバがナアマンを通してシ
リアに勝利を与えたからだった。ナアマンは強い戦士だったが,重い皮膚病を患っていた。 2 ナアマンの妻の
召し使いに1人の少女がいた。かつてシリア人がイスラエルを襲撃した時に捕虜として連れてきた少女だった。
3 少女は女主人に言った。「ご主人さまがサマリアの預言者の所に行かれたら,その方が重い皮膚病を治して
くださるはずです」。 4 そこである人が主人のもとに行き,イスラエルから来た少女が言ったことを話した。
  5 シリアの王は言った。「すぐ行きなさい! イスラエルの王に手紙を送ろう」。それでナアマンは,銀3
40キロと金6000枚と衣服10着を持って出掛けた。 6 そして手紙をイスラエルの王に持っていった。こ
う書かれていた。「この手紙と共に私の家来ナアマンをあなたのもとに送ります。彼の重い皮膚病を治してく
ださいますように」。 7 イスラエルの王は手紙を読むと,衣服を引き裂いてこう言った。「私が,殺しも生か
しもする神だとでもいうのか。彼はこの男を送ってきて,重い皮膚病を治せと言っている。これはどう見ても,
けんかを売っている」。
  8 真の神に遣わされた人エリシャは,イスラエルの王が衣服を引き裂いたことを聞き,すぐに人を遣わし
て王にこう伝えた。「どうして衣服を引き裂いたのですか。その人を私の所に来させてください。イスラエル
に預言者がいることを知るでしょう」。 9 それでナアマンは馬と戦車と共に来て,エリシャの家の入り口に立
った。 10 ところがエリシャは,使者を通してナアマンにこう伝えた。「ヨルダン川に行き,そこで7回体を
洗いなさい。そうすれば,あなたの体は元に戻り,清くなります」。 11 するとナアマンは憤慨し,立ち去ろ
うとして言った。「私は,『彼が私の所に出てきてここに立ち,彼の神エホバの名を呼んで,手を患部の上で
前後に動かして治すのだろう』と思っていた。 12 ダマスカスのアバナ川やファルパル川の方が,イスラエル
のどの川よりもいいではないか。それらの川で体を洗うのでは清くなれないのか」。こうして彼は向きを変え,
怒りながら去っていった。
  13 すると家来たちがナアマンに近寄ってこう言った。「ご主人さま,あの預言者から何か大変なことをす
るように言われたとしても,その通りになさるのではありませんか。彼はただ,『体を洗って,清くなりなさ
い』と言ったのですから,そうしてもよいのではありませんか」。 14 それでナアマンは行って,真の神に遣
わされた人に言われた通り,ヨルダン川に7回体を浸した。すると,彼の肌は元に戻って少年の肌のようにな
り,清くなった。
  15 ナアマンは部下たちと共に戻って,真の神に遣わされた人の前に立ち,こう言った。「イスラエル以外
にはどこにも神はいないことが分かりました。私からの贈り物をどうぞ受け取ってください」。 16 エリシャ
は言った。「私が仕える生きている神エホバに懸けて誓います。私は受け取りません」。ナアマンは,受け取
るようしきりに勧めたが,エリシャは拒み続けた。 17 ナアマンは言った。「それでしたら,2頭のラバに載
せられるだけのイスラエルの土を頂けないでしょうか。私はもうエホバ以外のどんな神にも全焼の捧げ物や犠
牲を捧げることはしません。 18 ただ次のことだけ,エホバが許してくださいますように。主人は,リモンの
家に入ってそこで身をかがめる時に,私の腕に寄り掛かるので,私もリモンの家で身をかがめなければなりま
せん。私がリモンの家で身をかがめる時,どうかエホバがそのことを許してくださいますように」。 19 エリ
シャは言った。「安心して行きなさい」。ナアマンがエリシャの所を出て,いくらか進んだ頃, 20 真の神に
遣わされた人エリシャの従者ゲハジはこう思った。「私の主人は,あのシリア人ナアマンが持ってきた物を受
け取らないで,そのまま行かせた。生きている神エホバに懸けて誓う。私は彼を追い掛けて何かをもらおう」。
21 こうしてゲハジはナアマンの後を追っていった。ナアマンは誰かが追い掛けてきたのを見て,兵車から降
りて迎え,「何かありましたか」と言った。 22 ゲハジは言った。「何もないのですが,主人に遣わされて,
こう言うようにと頼まれました。『たった今,エフライムの山地から預言者の子たちの若者2人が私の所にや
って来ました。どうか彼らに銀34キロと衣服2着を与えてください』」。 23 ナアマンは,「どうぞ68キ
ロ受け取ってください」と言ってしきりに勧めた。そして銀68キロと衣服2着を2つの袋に入れて,従者2
人に渡した。従者たちはそれを運び,ゲハジの先を進んだ。
  24 ゲハジはオフェルに着くと,従者たちが運んだ物を受け取って家の中に置いた。そして彼らを帰らせた
後, 25 主人の所に入ってそばに立った。エリシャは言った。「ゲハジ,どこに行っていたのですか」。ゲハ
ジは言った。「どこにも行っていません」。 26 エリシャは言った。「あの人が兵車から降りて,追い掛けて
きたあなたを迎えたことを,私が知らないとでも思っているのですか。今は,銀を受け取ったり,衣服やオリ
ーブ畑やブドウ園,羊や牛,男女の召し使いを受け取ったりする時でしょうか。 27 あなたとあなたの子孫に
は,ナアマンの重い皮膚病がいつまでもまとわり付きます」。ゲハジは重い皮膚病に侵されて雪のように白く
なり,すぐにエリシャの前から出ていった。
  6 章
  1 預言者の子たちがエリシャに言った。「ご覧ください。私たちがあなたと共に住んでいるこの場所は狭
過ぎます。 2 ヨルダン川に行きましょう。各自がそこで丸太を取って,そこに住む所を造りましょう」。エリ
シャは,「行きなさい」と言った。 3 ある人が言った。「あなたも一緒に来てください」。エリシャは,「私
も行きましょう」と言った。 4 こうしてエリシャは彼らと一緒に行き,彼らはヨルダン川に来て,木を切り倒
し始めた。 5 そのうちの1人が木を切っていると,おのの頭が外れて水の中に落ちた。そして,「ああ,エリ
シャ,これは借りたものなんです」と叫んだ。 6 真の神に遣わされた人は言った。「どこに落ちたのですか」。
その人は場所を示した。するとエリシャは1片の木を切り取ってそこに投げ入れ,おのの頭を浮かび上がらせ
た。 7 エリシャは「拾い上げなさい」と言い,その人は手を伸ばして取った。
  8 さて,シリアの王がイスラエルに戦いを仕掛けた。王は家来たちに相談して言った。「私はおまえたち
と共にこれこれの場所に陣営を張る」。 9 すると,真の神に遣わされた人はイスラエルの王のもとに人を送っ
てこう伝えた。「この場所を通らないよう気を付けなさい。そこにシリア人がやって来ます」。 10 それで,
イスラエルの王は真の神に遣わされた人に言われた場所に警告を出した。エリシャがその後も警告したので,
そのたびに王はそこから遠ざかった。そうしたことが何度かあった。
  11 そのため,シリアの王は激怒し,家来たちを集めて言った。「言え! われわれの中の誰がイスラエル
の王と通じているのか」。 12 家来の1人が言った。「王よ,そんな人は誰もいません! あなたが寝室で話さ
れることをイスラエルの王に告げているのは,イスラエルにいる預言者エリシャです」。 13 そこで王は言っ
た。「彼がどこにいるか捜しに行け。見つかったら,兵士たちを送って彼を捕まえる」。やがて,「彼はドタ
ンにいます」という報告があった。 14 王は直ちに,馬と戦車と大軍とをそこに送った。軍隊は夜のうちに行
って町を取り囲んだ。
  15 真の神に遣わされた人の従者が朝早く起きて外に出ると,馬と戦車を持つ軍勢が町を取り囲んでいるの
が見えた。すぐに従者は言った。「ああ,エリシャ! どうしましょう」。 16 エリシャは言った。「恐れては
いけません! 彼らと共にいる者よりも,私たちと共にいる者の方が多いのです」。 17 そして祈ってこう言っ
た。「エホバ,どうか彼の目を開いて,見えるようにしてください」。エホバはすぐに従者の目を開いた。従
者が見ると,何と山地にはエリシャを取り巻くように火の馬と戦車がいっぱい並んでいた。
  18 シリア人が向かってくると,エリシャはエホバに祈って言った。「どうかこの人たちを打って目を見え
なくしてください」。すると神は,エリシャの願い通り,彼らを打って目を見えなくした。 19 エリシャは彼
らに言った。「そっちではありません。その町ではありません。付いてきなさい。あなた方が捜している人の
所に案内してあげましょう」。エリシャはそう言いつつも,彼らをサマリアに案内した。
  20 サマリアに到着すると,エリシャはこう言った。「エホバ,この人たちの目を開いて,見えるようにし
てください」。エホバは彼らの目を開いた。彼らが見ると,彼らはサマリアの真ん中にいた。 21 イスラエル
の王は彼らを見て,エリシャに言った。「エリシャ,彼らを討つべきでしょうか。討つべきでしょうか」。 22
エリシャは言った。「討ってはいけません。戦いで捕虜にした人を討つというのですか。パンと水を与えて飲
み食いさせ,主人のもとに帰らせなさい」。 23 それで王は彼らのために盛大な宴を開き,彼らは飲み食いし
た。その後,王は彼らを送り出し,主人のもとに帰らせた。シリア人の略奪隊がイスラエルに来ることは二度
となかった。
  24 その後,シリアの王ベン・ハダドは全軍を集め,出ていってサマリアを包囲した。 25 そのためサマリ
アは深刻な飢餓に見舞われ,包囲が続く中,ついにはロバの頭1つが銀80枚,ハトのふん0.3リットルが銀
5枚の価値になった。 26 イスラエルの王が城壁の上を通っていた時,ある女性が,「ああ,王よ,お助けく
ださい!」と叫んだ。 27 王は,「エホバがあなたを助けないのであれば,私はいったいどこから助けを持っ
てこられるのか。脱穀場からか。それとも,ブドウや油の搾り場からか」と言った。 28 そして,「どうした
というのか」と尋ねた。彼女は答えた。「この女性から,『あなたの子をよこしなさい。今日その子を食べま
しょう。あしたは私の子を食べましょう』と言われました。 29 それで私たちは私の子を煮て食べました。次
の日,私は彼女に,『あなたの子をよこしなさい。その子を食べましょう』と言いました。ところが,彼女は
その子を隠したのです」。
  30 王はその女性の言葉を聞くと,すぐに衣服を引き裂いた。王が城壁の上を通ると,民には,王が服の下
に粗布を身に着けているのが見えた。 31 王は言った。「もし今日シャファトの子エリシャの首がはねられず
にいるなら,神が私を厳しく罰しますように!」
  32 エリシャは自分の家で座り,長老たちも一緒に座っていた。王は使者を遣わし,自分より先に行かせた。
エリシャはその使者が到着する前に,長老たちに言った。「皆さんには,あの人殺しの子が私の首をはねに人
を遣わしたのが見えますか。気を付けてください。使者が来たらすぐ戸を閉め,入ってこないよう押さえてい
てください。後から来る王の足音が聞こえませんか」。 33 エリシャが彼らとまだ話しているうちに,使者が
やって来た。王も来て,こう言った。「この災いはエホバからのものだ。これ以上どうしてエホバを待ってい
られるだろうか」。
  7 章
  1 エリシャは言った。「エホバの言葉を聞きなさい。エホバはこう言っています。『明日の今ごろ,サマ
リアの門で,上等の麦粉7リットルが銀1枚,大麦14リットルが銀1枚の価値になる』」。 2 王が信頼する
副官が,真の神に遣わされた人に言った。「たとえエホバが天の水門を開いたとしても,そのようなことがあ
り得るだろうか」。エリシャは言った。「あなたはそうなるのを自分の目で見ますが,食べることはありませ
ん」。
  3 都市の門の入り口に重い皮膚病を患う人が4人いた。彼らはこう話し合った。「われわれは死ぬまでこ
こに座っているのか。 4 『都市に入ろう』と言ったところで,市内では飢餓が生じているので,入っても死ぬ
ことになる。ここに座っていても,どうせ死ぬ。それなら,シリア人の陣営に行こう。彼らがもし生かしてお
いてくれるなら,生き続けられるし,われわれを殺すなら,死ぬまでのことだ」。 5 彼らは夕闇の頃に立ち上
がり,シリア人の陣営に行った。シリア人の陣営の外れに来ると,そこには誰もいなかった。
  6 エホバがシリア人の陣営に,戦車と馬の音と大軍の音をとどろかせたため,シリア人は「イスラエルの
王がわれわれを攻めるため,ヘト人の王たちとエジプトの王たちを雇ったのだ!」と口々に言い, 7 すぐに立
ち上がって夕闇の中,逃げ去ったのである。天幕も馬もロバも置き去りにし,生き延びようと陣営をそのまま
にして逃げ去っていた。
  8 重い皮膚病の4人は陣営の外れに来て天幕の1つに入り,食べたり飲んだりし,そこから銀や金や衣服
を持ち出して隠した。その後,戻ってきて別の天幕に入り,物を持ち出して隠した。
  9 やがて4人はこう言った。「これではよくない。今日はいい日なのだから,この知らせを伝えなくては。
明け方まで何も言わず黙っていたら,きっと罰が下る。行って,王の家に報告しよう」。 10 彼らは行って都
市の門番たちに呼び掛け,こう報告した。「シリア人の陣営に行ったのですが,そこには誰もおらず,何の声
もしませんでした。馬やロバはつながれたままで,天幕もそのままでした」。 11 門番たちはすぐに大声で叫
び,そのことが王の家に報告された。
  12 王は夜中にすぐ起きて,家来たちに言った。「シリア人がたくらんでいることを教えよう。彼らは私た
ちが飢えているのを知っている。それで,陣営を出て野原に隠れ,『やつらが都市から出てきたら生け捕りに
し,都市に進入しよう』と考えているのだ」。 13 家来の1人が言った。「都市に残っている馬5頭を使って
偵察者を送り出すのはどうでしょうか。いずれにしても,結局はここに残っているイスラエルの全群衆と同じ
目に遭います。すでに滅んだイスラエルの群衆と同じことになってしまうのです。様子を見に,誰か人を送り
出しましょう」。 14 そこで馬と2両の兵車が用意され,王は「見てきなさい」と言って,偵察者たちをシリ
ア人の陣営に送り出した。 15 彼らはヨルダン川まで跡を追っていった。道の至る所に,シリア人が慌てて逃
げる中で捨てていった衣服や器具が散らばっていた。偵察者たちは戻ってきて,そのことを王に報告した。
  16 そこで人々は出ていってシリア人の陣営の物を奪い取ったので,上等の麦粉7リットルが銀1枚,大麦
14リットルが銀1枚の価値になった。エホバの言葉の通りだった。 17 王が信頼して門の管理を任せていた
副官は,門の所で人々に踏み倒されて死んだ。真の神に遣わされた人が,やって来た王に話した言葉の通りに
なったのである。 18 こうして,真の神に遣わされた人が王に,「明日の今ごろ,サマリアの門で,大麦14
リットルが銀1枚,上等の麦粉7リットルが銀1枚の価値になる」と言った通りになった。 19 副官は真の神
に遣わされた人に,「たとえエホバが天の水門を開いたとしても,そんなことがあり得るだろうか」と言った
が,エリシャは「あなたはそうなるのを自分の目で見ますが,食べることはありません」と言っていた。 20
まさにその通りのことが彼に起きた。門の所で人々に踏み倒されて死んだのである。
  8 章
  1 エリシャは,以前に息子を生き返らせてあげた女性に言った。「立って,家の人たちと一緒に,どこか
外国人として住める所に移住しなさい。エホバは飢饉を宣言したからです。この国は7年間飢饉に見舞われま
す」。 2 それで彼女は立って,真の神に遣わされた人に言われた通りにした。家の人たちと一緒に出発し,7
年間フィリスティア人の領土に住んだ。
  3 7年がたつと,彼女はフィリスティア人の領土から帰ってきて,自分の家と畑のことで王に訴えに行っ
た。 4 王はその時,真の神に遣わされた人の従者ゲハジと話していて,「エリシャがした偉大なことをどうか
全部話してほしい」と言っていた。 5 ゲハジが王に,エリシャが死んだ人を生き返らせたことをちょうど話し
ていた時,エリシャに息子を生き返らせてもらったその女性が,自分の家と畑のことで王に訴えにやって来た。
ゲハジはすぐに言った。「王よ,この人がその女性です。この子が,エリシャが生き返らせた息子です」。 6
それで王は彼女に尋ね,彼女は王に出来事を一通り話した。それから王は,彼女のために1人の廷臣を呼んで
言った。「この女性の物を全て返し,彼女が国を出た日から今までの畑の収穫物に相当するものを全て返しな
さい」。
  7 エリシャがダマスカスに行った時のこと,シリアの王ベン・ハダドは病気だった。それで王のもとに,
「真の神に遣わされた人が来た」という報告があった。 8 王はハザエルに言った。「贈り物を持って,真の神
に遣わされた人を迎えに行きなさい。その人を通してエホバに尋ねてほしい。『私のこの病気は治るでしょう
か』と」。 9 ハザエルはダマスカスのありとあらゆる良い物を贈り物としてラクダ40頭に載せ,エリシャを
迎えに行った。そしてエリシャの前に立って言った。「シリアの王ベン・ハダドに遣わされました。王は,『私
のこの病気は治るでしょうか』と尋ねています」。 10 エリシャは答えた。「戻って王に,『あなたは必ず回
復する』と言いなさい。しかし,エホバは私に,彼が必ず死ぬことを示しました」。 11 そして気まずくさせ
るほど,ハザエルをじっと見つめた。それから真の神に遣わされた人は泣きだした。 12 ハザエルは,「どう
して泣いておられるのですか」と尋ねた。エリシャは答えた。「イスラエルの民にあなたがどんな危害を加え
るかを知っているからです。あなたは,防備された場所に火を放ち,精鋭を剣で殺し,子供たちを打ち殺し,
妊婦たちを切り裂くでしょう」。 13 ハザエルは言った。「ただの犬にすぎない私にどうしてそんなことがで
きましょう」。しかしエリシャは,「エホバは私に,あなたがシリアの王になることを示しました」と言った。
  14 ハザエルはエリシャのもとを去り,王の所に戻るとこう聞かれた。「エリシャはおまえに何と言った
か」。ハザエルは答えた。「あなたは必ず回復する,と言っていました」。 15 しかし次の日,ハザエルは掛
け布を取って水に浸し,それで王の顔を覆って王を死なせた。そして代わりにハザエルが王になった。
  16 イスラエルの王アハブの子エホラムの治世の第5年,エホシャファトがまだユダの王だった時,エホシ
ャファト王の子エホラムがユダの王になった。 17 エホラムは32歳で王になり,エルサレムで8年治めた。
18 彼は,アハブ家の人たちのように,イスラエルの王たちと同じ道を歩んだ。アハブの娘を妻にしたからだっ
た。エホラムはエホバから見て悪いことを行い続けた。 19 それでもエホバは,神に仕えたダビデのために,
ユダを滅亡させることは望まなかった。ダビデとその子たちにいつまでも明かりを与えると約束していたから
である。
  20 エホラムの時代に,エドムがユダに反抗し,自分たちで王を立てた。 21 それでエホラムは全兵車を
率いてツァイルに渡った。そして夜襲を掛け,周囲のエドム人と兵車隊長たちを打ち破った。兵士たちは自分
たちの天幕に逃げていった。 22 しかし,エドムは今に至るまでユダに反抗し続けている。同じ頃,リブナも
反抗した。
  23 エホラムについてのほかの記録,行ったさまざまなことは,ユダの王の時代の歴史書に記されている。
24 エホラムはやがて死に,「ダビデの町」に父祖たちと共に葬られた。代わりにエホラムの子アハジヤが王に
なった。
  25 ユダのエホラム王の子アハジヤが王になったのは,イスラエルの王アハブの子エホラムの治世の第12
年のことだった。 26 アハジヤは22歳で王になり,エルサレムで1年治めた。彼の母はアタリヤといい,イ
スラエルのオムリ王の孫娘だった。 27 アハジヤはアハブ家と同じ道を歩み,アハブ家のように,エホバから
見て悪いことを行い続けた。アハブ家と姻戚関係にあったからだった。 28 アハジヤはアハブの子エホラムと
共にラモト・ギレアデに行って,シリアのハザエル王と戦った。その際,シリア人はエホラムを負傷させた。
29 エホラム王は傷を治すためエズレルに戻った。ラマでのシリアのハザエル王との戦いでシリア人に傷を負わ
されたからだった。アハブの子エホラムが負傷していたため,ユダのエホラムの子アハジヤ王はエズレルに見
舞いに行った。
  9 章
  1 預言者エリシャは,預言者の子たちの1人を呼んで言った。「服をまくって腰に留め,急いでこの油の
瓶を持ってラモト・ギレアデに行きなさい。 2 そこに着いたら,ニムシの子エホシャファトの子エヒウを探し
なさい。彼は仲間たちと一緒にいるので,彼を奥の部屋に連れていきなさい。 3 そして油の瓶を取って彼の頭
に油を注ぎ,こう言いなさい。『エホバはこう言っています。「私はあなたを選んでイスラエルの王にす
る」』。それから,戸を開けてすぐに逃げなさい」。
  4 それでその預言者の従者はラモト・ギレアデへ出掛けていった。 5 到着すると,軍隊長たちが座ってい
た。従者は言った。「隊長,あなたにお伝えすることがあります」。エヒウは言った。「どの隊長にですか」。
従者は,「隊長,あなたです」と言った。 6 それでエヒウは立って家に入った。従者はエヒウの頭に油を注い
で言った。「イスラエルの神エホバはこう言っています。『私はあなたを選んで,エホバの民イスラエルの王
にする。 7 あなたは,あなたが仕えていたアハブの一家を討たなければならず,私は,私に仕えた預言者たち
の血と,イゼベルの手に掛かって死んだエホバに仕えた人たちの血の復讐をする。 8 アハブ家全体は滅びる。
私はアハブ家の全ての男を,イスラエルにいる惨めな人を含め,滅ぼす。 9 そしてアハブ家を,ネバトの子ヤ
ラベアムの一家やアヒヤの子バアシャの一家のようにする。 10 イゼベルはエズレルの土地で犬に食い尽くさ
れ,誰にも葬られない』」。そう言って,従者は戸を開けて逃げていった。
  11 エヒウが王の軍隊の長たちの所に戻ると,長たちは尋ねた。「大丈夫ですか。あの気が狂った男はどう
してあなたの所に来たのですか」。エヒウは答えた。「あの人がどんな人か,どんなことを言うか,あなたた
ちもよく知っているはずです」。 12 彼らは言った。「ごまかさないでください。本当のことを教えてくださ
い」。エヒウは言った。「彼はこれこれのことを話しました。それから,『エホバはこう言っています。「私
はあなたを選んでイスラエルの王にする」』と言いました」。 13 すると彼らは皆,急いで上着を脱いで,そ
れを階段の上にいるエヒウの足の下に敷き,角笛を吹き鳴らして,「エヒウが王となった!」と言った。 14
こうしてニムシの子エホシャファトの子エヒウは,エホラムへの謀反を起こした。
  エホラムは,イスラエル全体と共に,シリアのハザエル王からの攻撃に対し,ラモト・ギレアデで防衛に当
たっていた。 15 エホラム王はその後,シリアのハザエル王との戦いでシリア人に負わされた傷を治すため,
エズレルに戻った。
  それでエヒウは言った。「あなたたちも賛同しているのなら,誰もこの町から抜け出してエズレルにこの
ことを報告しに行ってはいけません」。 16 それからエヒウは兵車に乗って,エズレルに向かった。負傷した
エホラムがそこで寝込んでいたからである。また,ユダのアハジヤ王がエホラムを見舞いにそこに来ていた。
17 エズレルの塔の上に立っていた見張りが,エヒウの一団を見てすぐに,「一団が見えます」と言った。エホ
ラムは言った。「騎兵を1人選んで,迎えに行かせ,『平穏ですか』と言わせなさい」。 18 そこで騎手が迎
えに出て,「王が『平穏ですか』と言っています」と言った。しかしエヒウは,「平穏かどうかはあなたには
関係のないことだ。私の後ろに付きなさい!」と言った。
  見張りは,「使者が彼らの所まで行きましたが,帰ってきません」と報告した。 19 それで2人目の騎手
が送り出され,騎手は行って,「王が『平穏ですか』と言っています」と言った。しかしエヒウは,「平穏か
どうかはあなたには関係のないことだ。私の後ろに付きなさい!」と言った。
  20 見張りは王に報告した。「使者が彼らの所まで行きましたが,帰ってきません。あの兵車の走らせ方は,
ニムシの孫エヒウの兵車の走らせ方のようです。気が狂ったように兵車を走らせています」。 21 エホラムは
言った。「馬をつなげ!」 それで彼の戦車に馬がつながれ,イスラエルのエホラム王とユダのアハジヤ王は,
それぞれ自分の戦車に乗ってエヒウを迎えに出ていった。そして,エズレルの人ナボテの土地でエヒウに出会
った。
  22 エホラムはエヒウを見て,すぐに言った。「エヒウ,平穏ですか」。しかしエヒウは,「あなたの母イ
ゼベルが売春をし,呪術にふけっているのに,平穏なわけがあるか!」と言った。 23 すぐにエホラムは兵車
の向きを変えて逃げようとし,アハジヤに言った。「アハジヤ,これは謀反だ!」 24 エヒウは弓を手に取っ
て,エホラムの背中を射た。矢は心臓を貫き,彼は戦車の中で倒れた。 25 エヒウは副官ビドカルに言った。
「彼を引き上げて,エズレルの人ナボテの畑に投げ捨てなさい。私とあなたが彼の父アハブの後ろで兵車に乗
って並走していた時,エホバが彼に次の宣告を下したのを思い出しなさい。 26 『「昨日,私は確かにナボテ
の血とその子たちの血を見た」とエホバは宣言する。「私はまさにこの土地であなたに報復する」とエホバは
宣言する』。それで今,彼を引き上げて,エホバの言葉の通り,その土地に投げ捨てなさい」。
  27 ユダのアハジヤ王は起きたことを見て,庭園の家の道を通って逃げた。(その後,エヒウは彼を追跡し,
「彼も討て!」と言った。そのためアハジヤは,イブレアムのそばにあるグルへの上り道で,兵車の中で傷を
負った。それでもメギドまで逃げ続けたが,そこで死んだ。 28 家来たちが彼を兵車に乗せてエルサレムに運
び,「ダビデの町」の墓に父祖たちと共に葬った。 29 アハジヤがユダの王になったのは,アハブの子エホラ
ムの治世の第11年のことだった。)
  30 エヒウがエズレルに来ると,イゼベルはそれを聞き,目に黒い化粧を塗り,髪を結って,窓から見下ろ
した。 31 エヒウが門を通って入ってきた時,彼女は言った。「主人殺しのジムリ様,ご無事ですか」。 32
エヒウは窓を見上げて言った。「誰か,私に味方する者はいるか」。すると2,3人の廷臣がエヒウを見下ろ
した。 33 そこでエヒウは「彼女を落とせ!」と言い,廷臣たちは彼女を落とした。彼女の血が壁や馬に飛び
散り,エヒウは馬で彼女を踏みつけた。 34 その後,エヒウは中に入って食べたり飲んだりした。それから言
った。「あの処罰された女性を片付けて,葬りなさい。彼女は王の娘だからです」。 35 命じられた人たちが
彼女を葬りに行ってみると,頭蓋骨と両足と両手以外,何も見つからなかった。 36 彼らが戻ってきて報告す
ると,エヒウは言った。「エホバが,奉仕者であるティシュベの人エリヤを通して語った言葉の通りになりま
した。『エズレルの土地で,イゼベルの肉は犬に食われる。 37 イゼベルの死体はエズレルの土地の畑にまか
れた肥やしのようになり,誰も「これがイゼベルだ」とは言えなくなる』」。
  10 章
  1 アハブにはサマリアに70人の子たちがいた。エヒウは次のような手紙を書いて,サマリアにいるエズ
レルの高官たち,長老たち,アハブの子の世話係たちに送った。 2 「あなた方には,自分たちの主人の子たち
がおり,戦車,馬,防備された都市,武器がある。この手紙が届いたなら, 3 主人の子たちの中から最も優れ
た適任の人を選んで,父親の王座につかせなさい。そして,あなた方の主人の一家のために戦うがよい」。
  4 しかし彼らは恐怖に襲われ,「2人の王が彼に立ち向かえなかったのに,どうしてこのわれわれが立ち
向かえるだろうか」と言った。 5 それで,宮殿の長と都市の長と長老たちと世話係たちは,エヒウにこう伝え
た。「私どもの主人はあなたです。あなたがおっしゃることは何でもいたします。誰も王にはいたしません。
良いと思う通りになさってください」。
  6 そこでエヒウは次のような2通目の手紙を書いた。「もしあなた方が私の側に付き,私に従うつもりな
ら,明日の今ごろ,あなた方の主人の子たちの首をエズレルの私のもとに持ってきなさい」。
  王の子たち70人はというと,養育係をしていた都市の有力者たちと一緒にいた。 7 その時,手紙が届き,
彼らはすぐに王の子たち70人を捕まえて殺し,その首を籠に入れてエズレルのエヒウのもとに送った。 8 使
者がエヒウのもとに来て言った。「彼らが王の子たちの首を持ってきました」。エヒウは言った。「それを都
市の門の入り口に2つの山にし,朝まで置いておきなさい」。 9 朝になるとエヒウは出ていき,民の皆の前に
立って言った。「皆さんは無実です。私は主人に謀反を起こし,主人を殺しました。ですが,これらの人たち
皆を殺したのは誰でしょうか。 10 覚えておきなさい。エホバがアハブ家に告げたエホバの言葉は,その一言
さえも実現せずに終わることはありません。エホバは奉仕者エリヤを通して語ったことを行ったのです」。 11
エヒウはさらに,エズレルにいるアハブ家の残っている人たち,有力者たち,知人や祭司たち全員を討ち,誰
一人残さなかった。
  12 それからエヒウは立ってサマリアに出掛けていった。途中に,羊を縛る家があった。 13 エヒウはそ
こで,ユダのアハジヤ王の兄弟たちに出会った。エヒウが「あなた方は誰ですか」と言うと,彼らは「アハジ
ヤの兄弟です。王の子たちと太后の子たちが無事かどうかを尋ねに行くところです」と言った。 14 直ちにエ
ヒウは言った。「この人たちを生け捕りにしなさい!」 彼らは生け捕りにされ,羊を縛る家の水ためのそばで
42人が殺された。エヒウは誰一人残さなかった。
  15 エヒウがそこから進んでいくと,迎えに来たレカブの子エホナダブに出会った。エヒウはあいさつし,
こう言った。「私があなたに心から誠実であるように,あなたも私に心から誠実ですか」。
  エホナダブは,「はい」と答えた。
  エヒウは言った。「では,手を差し出してください」。
  そこで彼が手を差し出すと,エヒウは彼を自分の兵車に乗り込ませた。 16 エヒウは言った。「私と一緒
に来て,私がエホバに対抗するものを一切認めないのを見なさい」。こうしてエホナダブはエヒウの戦車に乗
った。 17 その後サマリアに着くと,エヒウは,サマリアにいるアハブ家の残っている人全員を討ち,エホバ
がエリヤに語った言葉の通り,滅ぼし尽くした。
  18 そしてエヒウは民の皆を集めて言った。「アハブはそれなりにバアルを崇拝しましたが,私エヒウはも
っと大々的にバアルを崇拝します。 19 それで,バアルの預言者と崇拝者と祭司の全員を私の所に呼び集めて
ください。バアルのために盛大な犠牲を用意しているので,誰一人欠けないようにしてください。来ない人は
生きてはいられません」。エヒウは,バアル崇拝者たちを滅ぼすために策を巡らしていたのである。
  20 エヒウはさらに,「バアルのための特別な集まりを広く知らせなさい」と言った。それで人々は広く伝
えた。 21 エヒウがイスラエル中に知らせを広めた後,バアル崇拝者たちが皆やって来た。来なかった人は一
人もいなかった。彼らはバアルの家に入り,中は隅から隅まで人でいっぱいになった。 22 エヒウは衣装部屋
の係に,「バアル崇拝者たち皆のために衣装を出してください」と言った。それで係は衣装を出してきた。 23
エヒウはレカブの子エホナダブと共にバアルの家に入り,バアル崇拝者たちに言った。「よく確認して,ここ
にエホバの崇拝者がいないようにしてください。バアルの崇拝者だけにするのです」。 24 彼らは犠牲と全焼
の捧げ物を捧げるために進み出た。エヒウは部下80人を外に配置し,「誰かを逃がした人はその代わりに死
ぬことになる」と言っておいた。
  25 全焼の捧げ物が捧げられた後,エヒウは直ちに護衛と副官たちに言った。「入って,彼らを討て! 一
人も逃がすな!」 護衛と副官たちは剣で彼らを討って外に投げ出し,バアルの家の奥の聖所まで進んでいった。
26 それから彼らはバアルの家の聖柱を運び出して,焼いた。 27 バアルの聖柱を破壊し,バアルの家を取り
壊して便所にした。今もそのままになっている。
  28 こうして,エヒウはイスラエルからバアルを根絶した。 29 しかしエヒウは,ネバトの子ヤラベアム
がイスラエルに犯させた罪から離れなかった。ベテルとダンにあった金の子牛をそのままにした。 30 エホバ
はエヒウに言った。「あなたはよくやってきた。アハブ家に対して行おうと私が思っていたことを全て実行し,
私から見て正しいことを行ってきた。それで,あなたの子孫は4代にわたりイスラエルの王座につく」。 31
ところがエヒウは,心を尽くしてイスラエルの神エホバの律法の通りに歩もうとする努力をしなかった。ヤラ
ベアムがイスラエルに犯させた罪から離れなかった。
  32 その頃,エホバはイスラエルの領土を少しずつ減らし始めた。ハザエルがイスラエルの領土の至る所を
攻め続けた。 33 ヨルダン川から東に広がるギレアデの全域(ガド族とルベン族とマナセ族の領地),アルノ
ンの谷のそばのアロエルからギレアデとバシャンまでを攻めたのである。
  34 エヒウについてのほかの記録,行ったさまざまなことや数々の功績は,イスラエルの王の時代の歴史書
に記されている。 35 エヒウはやがて死に,サマリアに葬られた。代わりにエヒウの子エホアハズが王になっ
た。 36 エヒウがサマリアでイスラエルを治めた期間は28年だった。
  11 章
  1 アハジヤの母アタリヤは自分の子が死んだのを知り,王家の子孫を皆滅ぼそうと立ち上がった。 2 し
かし,アハジヤの姉妹である,エホラム王の娘エホシェバは,殺されようとしていた王の子たちの中から,ア
ハジヤの子エホアシュを抱いてひそかに連れ出し,その子と乳母を奥の寝室に入れた。エホアシュはアタリヤ
に殺されないようかくまわれた。 3 エホアシュは乳母と共にエホバの家に6年隠れていた。その間,アタリヤ
が国を治めていた。
  4 7年目に,エホヤダは人を遣わして,王室護衛官と宮殿護衛との百人長たちを呼び,エホバの家の自分
のもとに連れてこさせた。エホヤダは彼らと合意を結び,エホバの家で誓わせてから,王の子を見せた。 5 そ
してこう命じた。「皆さんにしてもらうことを言います。次の安息日の当番になっている人たちのうち3分の
1は王の家を厳重に見張り, 6 3分の1は『土台の門』に,3分の1は宮殿護衛の後ろの門にいるようにして
ください。交代で家を厳重に見張ってください。 7 その安息日に本来は非番の2つの組は,王を守るためにエ
ホバの家を厳重に見張ってください。 8 それぞれ武器を持って,王の周りを固めてください。その隊列の内側
に入る人がいたら,殺さなければなりません。王がどこに行く時でも,そばにいてください」。
  9 百人長たちは祭司エホヤダに命じられた通りにした。各長が,その安息日の当番になっている部下たち
に加え,非番の部下たちも連れて,祭司エホヤダの所に来た。 10 祭司は,エホバの家にあったダビデ王のや
りと円盾を百人長たちに渡した。 11 宮殿護衛はそれぞれ武器を持ち,家の右側から左側まで,祭壇や家のそ
ばで,王を囲むように位置に就いた。 12 そこでエホヤダは王の子を連れ出し,王冠をかぶせ,律法の書を渡
した。人々はその子を王とし,油を注いだ。そして手をたたいて,「王が栄えますように!」と言いだした。
  13 アタリヤは民が走っている音を聞くと,すぐにエホバの家にいる民の所に行った。 14 彼女は,王が
慣例通り柱のそばに立っているのを見た。王の近くには長たちやラッパ奏者たちがいて,民は皆喜び,ラッパ
を吹き鳴らしていた。アタリヤは衣服を引き裂き,「謀反! 謀反だわ!」と叫んだ。 15 祭司エホヤダは,軍
勢をまとめる百人長たちにこう命じた。「彼女を隊列の中から連れ出しなさい。彼女に付いてくる人がいれば,
剣で処刑しなさい!」 祭司は前もって,「彼女をエホバの家で殺してはなりません」と言っていた。 16 それ
で彼らはアタリヤを取り押さえた。彼女は王の家の馬の入り口まで連れてこられ,そこで殺された。
  17 エホヤダはエホバと王と民の間の契約を成立させた。彼らが引き続きエホバの民になるという契約であ
る。また,エホヤダは王と民の間の契約も成立させた。 18 その後,民は皆バアルの家に行って祭壇を破壊し,
像を完全に打ち砕き,バアルの祭司マタンを祭壇の前で殺した。
  それから祭司エホヤダはエホバの家に監督たちを任命した。 19 さらに,百人長と王室護衛官と宮殿護衛
と民の皆を率いて,エホバの家から出ていく王に付き添った。彼らは宮殿護衛の門の道を通って王の家に着き,
王は王座に座った。 20 民は皆喜び,都市は平穏だった。アタリヤが王の家で剣で殺されたからである。
  21 エホアシュが王になったのは7歳の時だった。
  12 章
  1 エヒウの治世の第7年に,エホアシュは王になり,エルサレムで40年治めた。彼の母はツィブヤとい
い,ベエル・シェバの人だった。 2 エホアシュは祭司エホヤダに教えられていた間ずっと,エホバから見て正
しいことを行い続けた。 3 しかし高い場所は取り除かれなかった。民は依然として高い場所で犠牲を捧げたり,
犠牲の煙を立ち上らせたりしていた。
  4 エホアシュは祭司たちに言った。「聖なる捧げ物のためにエホバの家に持ってこられる全てのお金,各
人に課せられたお金,人の評価額として納められるお金,エホバの家に持っていこうと各人が心に決めた全て
のお金を受け取りなさい。 5 持ってくる人から祭司たちが直接受け取って,家に見つかった破損箇所の修理に
使いなさい」。
  6 ところが,エホアシュ王の治世の第23年になっても,祭司たちはその家の破損箇所をまだ修理してい
なかった。 7 それでエホアシュ王は祭司エホヤダと他の祭司たちを呼んで言った。「なぜ家の破損を修理しな
いでいるのですか。家の修理に使わないのであれば,もうお金を受け取ってはなりません」。 8 祭司たちはも
う民からお金を受け取らないことと家の修理の責任を担わないことに同意した。
  9 祭司エホヤダは1つの箱を取ってふたに穴を開け,エホバの家に入って右側,祭壇の近くにそれを置い
た。戸口番として仕える祭司たちは,エホバの家に持ってこられるお金を全てそこに入れた。 10 箱の中にお
金がたくさん入っているのが分かると,そのたびに王の秘書官と大祭司がやって来て,エホバの家に持ってこ
られたお金を集めて数えた。 11 彼らは数えたお金を,エホバの家での工事をまとめる人たちに渡した。受け
取った人たちは,エホバの家で働く大工や建築作業者にそれを払い, 12 石工や石切り工にも払った。また,
エホバの家の破損の修理のために木材や切り石を買い,家の修理で生じた他の費用全てのためにお金を使った。
  13 しかし,エホバの家に持ってこられたお金は,エホバの家の銀の水盤,明かり消し,鉢,ラッパ,金や
銀の器物の製作には使われなかった。 14 お金は工事をする人たちだけに渡され,その人たちはそのお金でエ
ホバの家を修理した。 15 労働者に支払うようお金を渡された人たちは信頼されていたので,会計報告を求め
られることはなかった。 16 有罪の捧げ物としてのお金と罪の捧げ物としてのお金は,エホバの家の修理には
充てられなかった。それは祭司たちのものだった。
  17 その頃,シリアの王ハザエルがやって来てガトを攻め,攻略した。その後ハザエルはエルサレムを攻撃
することにした。 18 そこで,ユダのエホアシュ王は,父祖であるユダの王エホシャファトとエホラムとアハ
ジヤが神聖なものとした聖なる捧げ物全て,また自分の聖なる捧げ物,エホバの家と王の家の宝物庫にあった
全ての金を取り出し,シリアの王ハザエルに送った。それでハザエルはエルサレムから退いた。
  19 エホアシュについてのほかの記録,行ったさまざまなことは,ユダの王の時代の歴史書に記されている。
20 エホアシュの家来たちは共謀して謀反を起こし,シラに行く道にある塚の家でエホアシュを殺した。 21
彼を殺害した家来は,シムアトの子ヨザカルとショメルの子エホザバドだった。エホアシュは「ダビデの町」
に父祖たちと共に葬られた。代わりにエホアシュの子アマジヤが王になった。
  13 章
  1 ユダの王アハジヤの子エホアシュの治世の第23年,イスラエルではエヒウの子エホアハズがサマリア
で王になった。彼は17年治めた。 2 エホアハズはエホバから見て悪いことを行い続け,ネバトの子ヤラベア
ムがイスラエルに犯させたのと同じ罪を犯すのをやめず,その罪から離れなかった。 3 それで,エホバはイス
ラエルに対して激しく怒り,イスラエルがシリアのハザエル王とハザエルの子ベン・ハダドにずっと抑圧される
ようにした。
  4 やがてエホアハズはエホバに恵みを求めた。エホバは,シリアの王がイスラエルに加えてきた圧迫を見
ていたので,その願いを聞き入れた。 5 エホバは,シリアの圧制から解放する救い主をイスラエルに与え,イ
スラエル人は以前のように平和に生活できるようになった。 6 (しかし彼らは,イスラエルに罪を犯させたヤ
ラベアム家の罪から離れず,その罪を犯し続けた。聖木がサマリアにずっと立っていた。) 7 エホアハズの下
には騎手50人,兵車10両,歩兵1万人しか残っていなかった。そのほかはシリアの王に滅ぼされ,脱穀の
時のもみ殻のようにされたからである。
  8 エホアハズについてのほかの記録,行ったさまざまなことや功績は,イスラエルの王の時代の歴史書に
記されている。 9 エホアハズはやがて死に,サマリアに葬られた。代わりにエホアハズの子エホアシュが王に
なった。
  10 エホアハズの子エホアシュがサマリアでイスラエルの王になったのは,ユダのエホアシュ王の治世の第
37年のことだった。エホアシュは16年治めた。 11 彼はエホバから見て悪いことを行い続けた。ネバトの
子ヤラベアムがイスラエルに犯させた罪から全く離れず,その罪を犯し続けた。
  12 エホアシュについてのほかの記録,行ったさまざまなことや功績,ユダのアマジヤ王との戦いのことは,
イスラエルの王の時代の歴史書に記されている。 13 エホアシュはやがて死に,ヤラベアムが王座についた。
エホアシュはイスラエルの王たちと共にサマリアに葬られた。
  14 さて,エリシャは病気を患い,死が近づいていた。イスラエルの王エホアシュがエリシャの所に来て,
泣いてすがり付き,「父よ,父よ! イスラエルの兵車と騎手たち!」と言った。 15 するとエリシャは王に,
「弓と矢を持ってきなさい」と言った。それで王は弓と矢を持ってきた。 16 エリシャはイスラエルの王に,
「弓を手にしなさい」と言った。それで王が弓を手にすると,エリシャは自分の手を王の手の上に載せた。 17
それからエリシャは「東側の窓を開けなさい」と言い,王は窓を開けた。エリシャは言った。「矢を射なさ
い!」 それで王は矢を射た。エリシャは言った。「エホバの勝利の矢,シリアに対する勝利の矢! あなたは
アフェクでシリアを全滅させるまで討つ」。
  18 エリシャは「矢を取りなさい」と言い,王は矢を取った。エリシャはイスラエルの王に,「地面を打ち
なさい」と言った。それで王は地面を3回打ち,やめた。 19 すると真の神に遣わされた人は憤慨して王に言
った。「5,6回打つべきでした! そうしていたら,あなたはシリアを全滅させるまで討ったでしょう。です
が今となっては,あなたは3回しかシリアを討ちません」。
  20 その後,エリシャは死に,葬られた。それから毎年,年の初めに,モアブ人の略奪隊が国に入ってくる
ようになった。 21 ある日,人々が人を葬ろうとしていると略奪隊が見えた。それで彼らはすぐにその人をエ
リシャの墓に投げ入れて,走り去った。その人の体がエリシャの骨に触れると,その人は生き返り,自分の足
で立ち上がった。
  22 シリアのハザエル王は,エホアハズの時代中ずっとイスラエルを圧迫した。 23 けれども,エホバは
アブラハム,イサク,ヤコブとの契約のゆえに,彼らに情けを掛け,憐れんで,気遣いを示した。彼らを滅び
に至らせることを望まず,今まで捨て去ることはなかった。 24 シリアのハザエル王が死ぬと,代わりにハザ
エルの子ベン・ハダドが王になった。 25 エホアハズの子エホアシュは,父親が戦いでハザエルに奪われた
町々を,ハザエルの子ベン・ハダドから取り返した。エホアシュは3回ベン・ハダドを打ち破り,イスラエルの
町々を取り戻した。
  14 章
  1 イスラエルの王エホアハズの子エホアシュの治世の第2年,ユダではエホアシュ王の子アマジヤが王に
なった。 2 アマジヤは25歳で王になり,エルサレムで29年治めた。彼の母はエホアディンといい,エルサ
レムの人だった。 3 アマジヤは,父祖ダビデのようではなかったものの,エホバから見て正しいことを行い続
けた。父エホアシュが行ったことを全て行った。 4 しかし高い場所は取り除かれなかった。民は依然として高
い場所で犠牲を捧げたり,犠牲の煙を立ち上らせたりしていた。 5 アマジヤは王国を権力下に置くとすぐに,
王だった父親を殺害した家来たちを処刑した。 6 とはいえ,その殺害者たちの子は殺さなかった。モーセの律
法の書に記されている次のエホバのおきての通りにしたのである。「父親は子供のゆえに死刑にされるべきで
はなく,子供も父親のゆえに死刑にされるべきではない。人はそれぞれ自分の罪のゆえに死刑にされるべきで
ある」。 7 アマジヤは塩の谷でエドム人1万人を討ち,戦いでセラを攻め取った。その場所の名前はヨクテエ
ルになり,今に至っている。
  8 その後,アマジヤはイスラエルの王エヒウの子エホアハズの子エホアシュに使者たちを送って,「来い。
戦いを交えようではないか」と伝えた。 9 イスラエルのエホアシュ王は人を遣わして,ユダのアマジヤ王にこ
う伝えた。「レバノンのとげ草がレバノンの杉に,『娘さんを息子の妻として下さい』と伝えた。しかしレバ
ノンの野獣が通り掛かってとげ草を踏みつけた。 10 あなたはエドムを討ったので,思い上がったのだ。栄光
に浸るがいい。だが,自分の家にいなさい。どうして災難を招いて,ユダと共に倒れるようなことをするの
か」。 11 しかしアマジヤは聞き入れなかった。
  それでイスラエルのエホアシュ王はやって来た。エホアシュ王とユダのアマジヤ王は,ユダのベト・シェメ
シュで戦いを交えた。 12 ユダはイスラエルに打ち破られ,それぞれ自分の家に逃げ帰った。 13 イスラエル
のエホアシュ王は,アハジヤの子エホアシュの子であるユダのアマジヤ王をベト・シェメシュで捕まえてエルサ
レムに行った。エホアシュは,エルサレムの城壁を「エフライムの門」から「隅の門」まで180メートルに
わたって破壊した。 14 そしてエホバの家と王の家の宝物庫にあった金銀や器物類全てを奪い,人質を取り,
サマリアに帰った。
  15 エホアシュについてのほかの記録,行ったことや功績,ユダのアマジヤ王との戦いのことは,イスラエ
ルの王の時代の歴史書に記されている。 16 エホアシュはやがて死に,イスラエルの王たちと共にサマリアに
葬られた。代わりにエホアシュの子ヤラベアムが王になった。
  17 ユダの王エホアシュの子アマジヤは,イスラエルの王エホアハズの子エホアシュの死後,15年生きた。
18 アマジヤについてのほかの記録は,ユダの王の時代の歴史書に記されている。 19 やがてエルサレムでア
マジヤへの謀反が企てられた。アマジヤはラキシュに逃げたが,ラキシュに送られた追っ手たちにより殺され
た。 20 遺体は馬で運んでこられ,エルサレムで父祖たちと共に「ダビデの町」に葬られた。 21 ユダの民は
皆,16歳だったアザリヤを選び,父アマジヤの代わりに王にした。 22 アマジヤ王が死んだ後,アザリヤは
エラトを再建してユダに取り戻した。
  23 ユダの王エホアシュの子アマジヤの治世の第15年,イスラエルではエホアシュ王の子ヤラベアムがサ
マリアで王になった。彼は41年治めた。 24 ヤラベアムはエホバから見て悪いことを行い続け,ネバトの子
ヤラベアムがイスラエルに犯させた罪から全く離れなかった。 25 イスラエルの神エホバが,ガト・ヘフェル
の人で神に仕える預言者,アミタイの子ヨナを通して語った言葉の通り,ヤラベアムはイスラエルの領土を回
復し,国境をレボ・ハマトからアラバの海までにした。 26 エホバは,イスラエルの非常にひどい苦悩を見て
いたのである。イスラエルを助ける人は一人もおらず,惨めな人さえも残っていないほどだった。 27 こうし
てエホバは,イスラエルの名を天の下から消し去らないと約束していたので,エホアシュの子ヤラベアムの手
によって民を救った。
  28 ヤラベアムについてのほかの記録,行ったさまざまなことや功績,どのように戦い,どのようにしてダ
マスカスとハマトをイスラエルのユダに取り戻したかは,イスラエルの王の時代の歴史書に記されている。 29
ヤラベアムはやがて死に,イスラエルの王たちと共に葬られた。代わりにヤラベアムの子ゼカリヤが王になっ
た。
  15 章
  1 イスラエルのヤラベアム王の治世の第27年,ユダではアマジヤ王の子アザリヤが王になった。 2 ア
ザリヤは16歳で王になり,エルサレムで52年治めた。彼の母はエコルヤといい,エルサレムの人だった。
3 アザリヤは父アマジヤと同じように,エホバから見て正しいことを行い続けた。 4 しかし高い場所は取り
除かれなかった。民は依然として高い場所で犠牲を捧げたり,犠牲の煙を立ち上らせたりしていた。 5 エホバ
が王を重い皮膚病で打ったので,王は死ぬ日まで患い続け,隔離された家に住んだ。その間,王の子ヨタムが
家を治め,民を裁いた。 6 アザリヤについてのほかの記録,行ったさまざまなことは,ユダの王の時代の歴史
書に記されている。 7 アザリヤはやがて死に,「ダビデの町」に父祖たちと共に葬られた。代わりにアザリヤ
の子ヨタムが王になった。
  8 ユダのアザリヤ王の治世の第38年,イスラエルではヤラベアムの子ゼカリヤがサマリアで王になった。
彼は6カ月治めた。 9 ゼカリヤは父祖たちと同じように,エホバから見て悪いことを行った。ネバトの子ヤラ
ベアムがイスラエルに犯させた罪から離れなかった。 10 やがてヤベシュの子シャルムが謀反を起こした。シ
ャルムはイブレアムでゼカリヤを殺し,その後,代わりに王になった。 11 ゼカリヤについてのほかの記録は,
イスラエルの王の時代の歴史書に記されている。 12 こうして,「あなたの子孫は4代にわたりイスラエルの
王座につく」という,エホバがエヒウに語った言葉が実現した。その通りのことが起きたのである。
  13 ヤベシュの子シャルムは,ユダのウジヤ王の治世の第39年に王になり,サマリアで丸1カ月治めた。
14 ガディの子メナヘムがティルツァからサマリアにやって来た。メナヘムはサマリアでヤベシュの子シャルム
を殺し,その後,代わりに王になった。 15 シャルムについてのほかの記録,企てた謀反のことは,イスラエ
ルの王の時代の歴史書に記されている。 16 メナヘムがティルツァから出ていって,ティフサハとその町にい
た人たち皆とその領地を襲ったのは,その頃だった。町が門を開けなかったからである。彼は町を襲い,妊婦
たちを切り裂いた。
  17 ガディの子メナヘムは,ユダのアザリヤ王の治世の第39年に,イスラエルの王になった。彼はサマリ
アで10年治めた。 18 メナヘムはエホバから見て悪いことを行い続けた。ネバトの子ヤラベアムがイスラエ
ルに犯させた罪から一生涯全く離れなかった。 19 アッシリアのプル王がイスラエルに侵入してきたので,メ
ナヘムは34トンの銀をプルに与えた。王国の支配の強化を支援してもらおうとしてのことだった。 20 メナ
ヘムは,銀を集めてアッシリアの王に与えるため,イスラエルの著名で裕福な人たちから1人につき570グ
ラムの銀を取り立てた。こうしてアッシリアの王は国内にはとどまらず,引き揚げていった。 21 メナヘムに
ついてのほかの記録,行ったさまざまなことは,イスラエルの王の時代の歴史書に記されている。 22 メナヘ
ムはやがて死に,代わりにメナヘムの子ペカフヤが王になった。
  23 メナヘムの子ペカフヤは,ユダのアザリヤ王の治世の第50年に,サマリアでイスラエルの王になった。
彼は2年治めた。 24 ペカフヤはエホバから見て悪いことを行い続けた。ネバトの子ヤラベアムがイスラエル
に犯させた罪から離れなかった。 25 やがて,ペカフヤの副官である,レマルヤの子ペカハが謀反を起こし,
サマリアの王の家の防備された塔でペカフヤをアルゴブとアルエと共に殺した。ペカハの下にはギレアデの人
たち50人がいた。ペカハはペカフヤを殺した後,代わりに王になった。 26 ペカフヤについてのほかの記録,
行ったさまざまなことは,イスラエルの王の時代の歴史書に記されている。
  27 レマルヤの子ペカハは,ユダのアザリヤ王の治世の第52年に,サマリアでイスラエルの王になった。
彼は20年治めた。 28 ペカハはエホバから見て悪いことを行い続けた。ネバトの子ヤラベアムがイスラエル
に犯させた罪から離れなかった。 29 イスラエルのペカハ王の時代に,アッシリアのティグラト・ピレセル王
が侵略してきて,イヨン,アベル・ベト・マアカ,ヤノアハ,ケデシュ,ハツォル,ギレアデ,ガリラヤ,ナフ
タリの全土を攻め取り,住民を捕らえてアッシリアに連れていった。 30 やがてエラの子ホシェアが謀反を企
てた。ホシェアはレマルヤの子ペカハを殺し,代わりに王になった。ウジヤの子ヨタムの治世の第20年のこ
とだった。 31 ペカハについてのほかの記録,行ったさまざまなことは,イスラエルの王の時代の歴史書に記
されている。
  32 イスラエルの王,レマルヤの子ペカハの治世の第2年,ユダではウジヤ王の子ヨタムが王になった。
33 ヨタムは25歳で王になり,エルサレムで16年治めた。彼の母はエルシャといい,ザドクの娘だった。
34 ヨタムは父ウジヤと同じように,エホバから見て正しいことを行い続けた。 35 しかし高い場所は取り除
かれなかった。民は依然として高い場所で犠牲を捧げたり,犠牲の煙を立ち上らせたりしていた。ヨタムはエ
ホバの家の「上の門」を建てた。 36 ヨタムについてのほかの記録,行ったことは,ユダの王の時代の歴史書
に記されている。 37 その頃,エホバはシリアの王レツィンとレマルヤの子ペカハを差し向けて,ユダを攻め
させた。 38 ヨタムはやがて死に,父祖ダビデの町に父祖たちと共に葬られた。代わりにヨタムの子アハズが
王になった。
  16 章
  1 ユダのヨタム王の子アハズは,レマルヤの子ペカハの治世の第17年に王になった。 2 アハズは20
歳で王になり,エルサレムで16年治めた。彼はエホバ神から見て正しいことを行わず,父祖ダビデのようで
はなかった。 3 イスラエルの王たちと同じ道を歩み,イスラエル人の前からエホバが追い払った国々の忌まわ
しい行いをまねて,自分の子を火で焼くことさえした。 4 また,高い場所や丘の上,全ての生い茂った木の下
で犠牲を捧げたり,犠牲の煙を立ち上らせたりし続けた。
  5 その頃,シリアのレツィン王とイスラエルの王でレマルヤの子ペカハがエルサレムに戦いを仕掛けにや
って来た。彼らはアハズを包囲したが,都市を攻め落とすことはできなかった。 6 その時,シリアのレツィン
王はエラトを奪ってエドムに取り戻させ,エラトからユダヤ人を追い出した。こうして,エドム人がエラトに
入り,今に至るまでそこを占拠している。 7 それでアハズは使者たちをアッシリアのティグラト・ピレセル王
のもとに遣わして,こう伝えた。「私はあなたの家来,あなたの子です。私を攻めているシリアの王とイスラ
エルの王から私を救いに来てください」。 8 それからアハズはエホバの家と王の家の宝物庫にあった銀と金を
取り出し,アッシリアの王に賄賂を贈った。 9 アッシリアの王は求めに応じ,ダマスカスに行ってそこを攻め
取り,住民を捕らえてキルに連れていった。また,レツィンを殺した。
  10 アハズ王はアッシリアのティグラト・ピレセル王に会うためにダマスカスに行った。ダマスカスにあっ
た祭壇を見たアハズ王は,その祭壇の形状と作り方を示す設計図を祭司ウリヤに送った。 11 祭司ウリヤは,
アハズ王がダマスカスから送ってきた指示通りに祭壇を作り,ダマスカスからアハズ王が戻ってくるまでに仕
上げた。 12 ダマスカスから戻ってきた王はその祭壇を見ると,近づいて,捧げ物をした。 13 その祭壇で全
焼の捧げ物と穀物の捧げ物を焼いて煙にし,飲み物の捧げ物を注ぎ,共食の犠牲の血を祭壇に振り掛けた。 14
そして,エホバの前にあった銅の祭壇を移動させた。家の前の元々の位置,つまり新しい祭壇とエホバの家の
間の位置から動かして,新しい祭壇の北側に置いたのである。 15 アハズ王は祭司ウリヤにこう命じた。「こ
の大祭壇で,朝の全焼の捧げ物と夕方の穀物の捧げ物,王の全焼の捧げ物と穀物の捧げ物,民の全焼の捧げ物
と穀物の捧げ物を焼いて煙にし,民の飲み物の捧げ物を捧げなさい。全焼の捧げ物の血と他の犠牲の血を全て,
祭壇に振り掛けなさい。あの銅の祭壇で何をするかは私が決める」。 16 祭司ウリヤはアハズ王に命じられた
ことを全て行った。
  17 その上,アハズ王は台車の側板を切ってばらばらにし,水盤を台車から取り外し,「海」を土台となっ
ていた銅の雄牛から下ろして石畳の上に置いた。 18 また,家に建てられていた安息日用の覆いと,外側にあ
った王の入り口をエホバの家から取り除いた。そのようにしたのはアッシリアの王のためだった。
  19 アハズについてのほかの記録,行ったことは,ユダの王の時代の歴史書に記されている。 20 アハズ
はやがて死に,「ダビデの町」に父祖たちと共に葬られた。代わりにアハズの子ヒゼキヤが王になった。
  17 章
  1 ユダのアハズ王の治世の第12年,イスラエルではエラの子ホシェアがサマリアで王になった。彼は9
年治めた。 2 ホシェアは,以前のイスラエルの王たちほどではないものの,エホバから見て悪いことを行い続
けた。 3 アッシリアのシャルマネセル王が攻めてきたので,ホシェアは服従してシャルマネセルに貢ぎ物を納
め始めた。 4 しかし,アッシリアの王はホシェアが陰謀を巡らしていることに気付いた。ホシェアがエジプト
のソ王に使者たちを遣わしていた上,以前の年とは違ってアッシリアの王に貢ぎ物を納めなかったからだった。
それで,アッシリアの王はホシェアを拘束し,牢屋に入れてつないだ。
  5 アッシリアの王は全土を侵略し,サマリアに来て,3年の間そこを包囲した。 6 ホシェアの治世の第
9年,アッシリアの王はサマリアを攻め落とした。イスラエルの民を捕らえてアッシリアに連れていき,ハラ
ハ,ゴザン川のそばのハボル,メディア人の町々に住ませた。
  7 こうなったのは,イスラエルの民が,エジプトの王ファラオの配下にあったエジプトから連れ出してく
ださったエホバ神に対して罪を犯したからだった。民はほかの神々を崇拝し, 8 イスラエル人の前からエホバ
が追い払った国々の習慣や,イスラエルの王たちが作り上げた習慣に従った。
  9 イスラエル人は,エホバ神から見て正しくないことを行い続けた。見張り台から防備された町に至るま
で,全ての町々に,高い場所を築いていった。 10 どの高い丘の上や生い茂った木の下にも,聖柱や聖木を立
てていった。 11 また,自分たちの前からエホバが追い払った国々と同じように,全ての高い場所で犠牲の煙
を立ち上らせた。悪いことを行い続けてエホバを怒らせたのである。
  12 彼らは汚らわしい偶像を崇拝し続けた。エホバから,「そうしてはならない!」と言われていたのにそ
うしたのである。 13 エホバは預言者や幻を伝える人たち皆を通して,イスラエルとユダにこう警告し続けた。
「悪い行いをやめなさい! 私があなたたちの父祖に命じ,私に仕える預言者を通してあなたたちに伝えた律法
全てに従って,私のおきてと法令を守りなさい」。 14 それなのに彼らは聞かず,エホバ神に信仰を示さなか
った父祖たちと同じようにずっと頑固だった。 15 神の規定と神が父祖たちと結んだ契約や警告として与えた
教訓を退け続け,無価値な偶像に頼って自分たちも無価値な者になり,まねてはならないとエホバから命じら
れていた周囲の国の人々をまねた。
  16 彼らは自分たちの神エホバのおきてを全て捨てて,2頭の子牛の金属像を作り,聖木を作り,天の全て
の星にひれ伏してバアルに仕えた。 17 息子や娘たちを火で焼き,占いをし,吉凶を判断し,エホバから見て
悪いことにふけって神を怒らせた。
  18 それで,エホバはイスラエルのことで非常に怒り,彼らをご自分の前から取りのけ,ユダの部族のほか
は誰も残さなかった。
  19 ユダさえも自分たちの神エホバのおきてを守らず,イスラエルが行っていた習慣に従った。 20 エホ
バはイスラエルの子孫全てを退け,辱め,略奪者たちの手に渡して,ついにはご自分の前から除き去った。 21
神はダビデ家からイスラエルを引き裂いて取り上げ,民はネバトの子ヤラベアムを王にした。ヤラベアムは,
イスラエルをエホバに従わないようにさせ,イスラエルに大きな罪を犯させた。 22 そしてイスラエルの民は,
ヤラベアムが犯した罪の通りに歩み続けた。彼らはそこから離れず, 23 ついにエホバはイスラエルをご自分
の前から取りのけた。神に仕える全ての預言者を通して宣言していた通りにしたのである。こうしてイスラエ
ルは捕囚にされ,自国からアッシリアに連れていかれて,今もそこにいる。
  24 アッシリアの王は,バビロン,クタ,アワ,ハマト,セファルワイムから人々を連れてきて,イスラエ
ル人の代わりにサマリアの町々に住ませた。彼らはサマリアを占有し,その町々に住んだ。 25 住み始めた頃,
彼らはエホバを畏れなかった。それでエホバはライオンを送り込み,ライオンは人々を殺した。 26 アッシリ
アの王にこう報告があった。「王が国々から連れてきてサマリアの町々に住ませた人々はその土地の神の宗教
を知らないので,その神がライオンを送り込み続け,人々が殺されています。その土地の神の宗教を誰も知ら
ないからです」。
  27 アッシリアの王は命じた。「あなたたちがそこから連れてきた祭司の1人を戻してそこに住ませよ。そ
の土地の神の宗教を教えさせるのだ」。 28 それで,サマリアから連れてこられた祭司の1人が戻ってベテル
に住み,どのようにエホバを畏れるべきかを教え始めた。
  29 ところが,それぞれの国民が自分たちの神を作って,サマリアの人たちが造った高い場所にある崇拝の
家に置いた。それぞれの国民が,住んでいる町々でそのようにした。 30 バビロンの人たちはスコト・ベノト
の像を作り,クトの人たちはネルガルの像を作り,ハマトの人たちはアシマの像を作り, 31 アワの人たちは
ニブハズとタルタクの像を作った。セファルワイムの人たちは,セファルワイムの神々アドラメレクとアナメ
レクのために自分の子たちを火で焼くのだった。 32 彼らはエホバを畏れたが,自分たちの民の中から高い場
所の祭司たちを任命した。それらの祭司たちは彼らのために高い場所にある崇拝の家で職務を行った。 33 こ
のように,彼らはエホバを畏れたものの,移住させられる前にいた国々の宗教に従って自分たちの神々を崇拝
した。
  34 今も彼らは自分たちの以前の宗教を奉じている。エホバを崇拝する人は誰もおらず,神の法令や法規,
エホバがイスラエルという名前に改名させたヤコブの子たちに与えた律法やおきてに従う人は誰もいない。 35
エホバはイスラエルと契約を結んだ時,こう命じていた。「ほかの神々を畏れてはならない。ほかの神々にひ
れ伏したり,仕えたり,犠牲を捧げたりしてはならない。 36 大きな力と伸ばした腕によってあなたたちをエ
ジプトから連れ出したエホバを畏れるべきであり,この神にひれ伏し,犠牲を捧げるべきである。 37 あなた
たちのためにこの神が記した規定と法規と律法とおきてにいつも注意深く従いなさい。ほかの神々を畏れては
ならない。 38 私があなたたちと結んだ契約を忘れてはならない。ほかの神々を畏れてはならない。 39 あな
たたちの神エホバを畏れなさい。この神が全ての敵からあなたたちを救い出す」。
  40 しかしこれらの国民は従わず,自分たちの以前の宗教を奉じた。 41 こうして,彼らはエホバを畏れ
るようになったものの,自分たちの彫像をも崇拝した。彼らの子たちも孫たちも,父祖たちと同じようにし,
今に至っている。
  18 章
  1 イスラエルの王,エラの子ホシェアの治世の第3年,ユダではアハズ王の子ヒゼキヤが王になった。 2
ヒゼキヤは25歳で王になり,エルサレムで29年治めた。彼の母はアビといい,ゼカリヤの娘だった。 3 ヒ
ゼキヤは父祖ダビデと同じように,エホバから見て正しいことを行い続けた。 4 高い場所を取り除き,聖柱を
打ち砕き,聖木を切り倒した。また,モーセが作った銅の蛇も砕いた。その当時までイスラエルの民はその前
で犠牲の煙を立ち上らせていて,それは蛇の銅像と呼ばれていた。 5 ヒゼキヤはイスラエルの神エホバを信頼
した。ユダの全ての王たちの中で,彼のような人は後にも先にもいなかった。 6 彼はエホバにしっかりと付い
ていた。その方に従うのをやめず,エホバがモーセに与えたおきてを守り続けた。 7 そしてエホバは彼と共に
いた。彼はどこに行っても,賢く行動した。アッシリアの王に背を向け,仕えなかった。 8 また,フィリステ
ィア人を,ガザとその領地を含め,見張り台から防備された町々に至るまで打ち破った。
  9 ヒゼキヤ王の治世の第4年,つまりイスラエルの王でエラの子ホシェアの治世の第7年に,アッシリア
のシャルマネセル王がサマリアを攻めに来て,包囲し始めた。 10 彼らは,3年がたつ頃にそこを攻め取った。
ヒゼキヤの治世の第6年,つまりイスラエルのホシェア王の治世の第9年にサマリアは攻め取られたのだった。
11 その後,アッシリアの王はイスラエルを捕らえてアッシリアに連れていき,ハラハ,ゴザン川のそばのハ
ボル,メディア人の町々に住ませた。 12 そうなったのは,イスラエルがエホバ神の言うことを聞かず,契約
つまりエホバに仕えるモーセが命じたこと全てに背き続けたからだった。彼らは聞きも従いもしなかった。
  13 ヒゼキヤ王の治世の第14年には,アッシリアの王セナケリブがユダの防備された町々全てを攻めに来
て,占領した。 14 それでユダのヒゼキヤ王はラキシュにいたアッシリアの王の所に人を遣わして,こう伝え
た。「私が間違っていました。私の所から引き揚げてください。あなたが私に課すものを何でも払います」。
アッシリアの王は,銀10トンと金1トンをユダのヒゼキヤ王に課した。 15 ヒゼキヤはエホバの家と王の家
の宝物庫にあった銀を全部渡した。 16 この時,ユダのヒゼキヤ王は,自分が金をかぶせたエホバの神殿の扉
と柱を取り外して,それもアッシリアの王に渡した。
  17 アッシリアの王はラキシュから,タルタン,ラブサリス,ラブシャケを大軍と共にエルサレムのヒゼキ
ヤ王の所に送った。彼らはエルサレムへと上っていき,洗濯人の野原に至る街道沿いにある,上の池の水道の
そばに陣取った。 18 彼らが,出てくるようにと王を呼んだので,家の人たちのまとめ役でヒルキヤの子であ
るエリヤキム,秘書官シェブナ,アサフの子である記録官ヨアハが彼らの所に出ていった。
  19 するとラブシャケがこう言った。「ヒゼキヤに言ってもらいたい。『アッシリアの王,大王はこう言っ
ている。「おまえはどうしてそこまで強気なのか。 20 おまえは『私には戦略と戦力がある』と言うが,それ
は口先だけだ。いったい誰に頼って,私に背くのか。 21 いいか。おまえは,エジプトというあの折れかけた
アシの支えに頼っているが,寄り掛かっても,それに手のひらを刺し通されるだけだ。エジプトの王ファラオ
に頼るなら,皆そのようになるのだ。 22 おまえたちは私に,『私たちが頼っているのは,私たちの神エホバ
だ』と言うだろう。だが,ヒゼキヤはその神の高い場所と祭壇を次々と取り除いてしまったではないか。そし
てユダとエルサレムに,『エルサレムのこの祭壇の前でひれ伏すべきだ』と言っている」』。 23 わが主人で
あるアッシリアの王と賭けをしたらいい。おまえが十分な乗り手を用意できたら,2000頭の馬を与えてや
ろう。 24 兵車と騎手のためにエジプトに頼るおまえには,わが主人の家来の中で最も目立たない総督の1人
さえも追い返せないだろう。 25 私がエホバからの許可なしにここを滅ぼそうとして上ってきたと思うか。エ
ホバが私に,『この土地に攻め上って滅ぼせ』と言ったのだ」。
  26 ヒルキヤの子エリヤキムとシェブナとヨアハは,ラブシャケに言った。「アラム語で話してください。
私たちは理解できますから。城壁の上の人たちに聞こえる所では,ユダヤ人の言語で話さないでください」。
27 ラブシャケは言った。「わが主人は,これらのことをおまえの主人やおまえだけに話すよう私を遣わしたと
いうのか。城壁の上に座っている者たちにも話すためではないか。彼らもおまえたちと共に自分の便を食べ,
尿を飲むようになるのだ」。
  28 ラブシャケは立って,ユダヤ人の言語で大声でこう叫んだ。「アッシリアの王,大王の言葉を聞け。
29 王はこう言っている。『ヒゼキヤにだまされるな。彼には私の手からおまえたちを救い出すことなどできな
い。 30 ヒゼキヤが「エホバは必ず救い出してくださる。この都市がアッシリアの王の手に渡されることはな
い」とおまえたちに言ってエホバを信頼させようとしても,その手に乗るな。 31 ヒゼキヤの言うことに耳を
貸してはならない。アッシリアの王はこう言う。「和平に応じ,降伏せよ。そうすれば,それぞれが自分のブ
ドウの木やイチジクの木の実を食べ,自分の水ための水を飲めるようになる。 32 やがて私が,おまえたちの
土地のような土地へと連れていってやる。そこには,穀物と新しいぶどう酒,パンとブドウ園,オリーブの木
と蜜がふんだんにある。そして,おまえたちは死なず,生きていける。だから,ヒゼキヤの言うことに耳を貸
してはならない。彼は,『エホバが救い出してくださる』と言って,おまえたちを言いくるめるからだ。 33
国々の神の中に,アッシリアの王の手から自分の国を救った神がいるか。 34 ハマトやアルパドの神々はどこ
にいるのか。セファルワイム,ヘナ,イワの神々はどこにいるのか。その神々はサマリアを私の手から救った
か。 35 こうした国の神々の誰も私の手から自分の国を救えなかったのに,エホバは私の手からエルサレムを
救えるというのか」』」。
  36 それでも,人々は沈黙を守り,一言も答えなかった。王から,「皆さんは答えてはなりません」と命じ
られていたからである。 37 家の人たちのまとめ役でヒルキヤの子であるエリヤキム,秘書官シェブナ,アサ
フの子である記録官ヨアハは衣服を引き裂き,ヒゼキヤの所に来て,ラブシャケの言葉を伝えた。
  19 章
  1 それを聞いたヒゼキヤ王は衣服を引き裂き,粗布を身に着け,エホバの家に入った。 2 それから,家
の人たちのまとめ役エリヤキム,秘書官シェブナ,祭司の長老たちに粗布を身に着けさせ,アモツの子である
預言者イザヤの所に遣わした。 3 彼らはイザヤに言った。「ヒゼキヤはこう言っています。『今日は苦難と叱
責と屈辱の日です。子供が生まれそうなのに産む力がないのです。 4 エホバ神がラブシャケの言葉全てを聞き
流すことはないでしょう。彼は,生きている神をあざけるよう,主人であるアッシリアの王から遣わされまし
た。エホバ神は,聞いた事柄について彼に責任を問われます。それで,生き残っている人たちのために祈って
ください』」。
  5 イザヤの所にやって来たヒゼキヤ王の家来たちに, 6 イザヤは言った。「皆さんの主人にこう言いな
さい。『エホバはこう言っています。「あなたが聞いた言葉,アッシリアの王の従者たちが語った私への冒涜
の言葉のことで恐れてはならない。 7 私は彼に1つの考えを植え付ける。彼はある報告を聞いて自分の土地に
帰る。私は彼が自分の土地で剣によって倒れるようにする」』」。
  8 ラブシャケは,アッシリアの王がラキシュから離れたことを聞き,王のもとに戻った。王はリブナを攻
撃していた。 9 王は,エチオピアのティルハカ王が戦いを仕掛けに向かってきているという知らせを聞いた。
王はヒゼキヤの所に再び使者たちを遣わして,こう言った。 10 「ユダのヒゼキヤ王にこう伝えよ。『おまえ
が信頼している神が「エルサレムがアッシリアの王の手に渡されることはない」と言うとしても,だまされる
な。 11 いいか。アッシリアの王たちがあらゆる国を滅ぼし尽くしたことをおまえも聞いたはずだ。それでも,
自分だけは救い出されるというのか。 12 私の父祖たちが滅ぼした国々の神々は民を救い出したか。ゴザン,
ハラン,レツェフはどうなったか。テル・アサルにいたエデンの民はどこにいるか。 13 ハマトの王,アルパ
ドの王,セファルワイム,ヘナ,イワの町々の王はどこにいるか』」。
  14 ヒゼキヤはこの手紙を使者たちから受け取って読んだ。それからエホバの家に上っていき,手紙をエホ
バの前に広げた。 15 そしてエホバの前でこう祈り始めた。「ケルブたちの上に王として座っている,イスラ
エルの神エホバ,あなただけが,地上の全ての王国の真の神です。天と地を造られたのはあなたです。 16 エ
ホバ,耳を傾けて聞いてください! エホバ,目を開いてご覧ください! セナケリブが送ってきた,生きてい
る神へのあざけりの言葉を聞いてください。 17 エホバ,アッシリアの王たちは確かにさまざまな国とその領
土を荒廃させました。 18 彼らはそうした国の神々を火の中に投げ入れました。それらは神ではなく,人が木
や石で作ったものだったからです。それで滅ぼせたのです。 19 私たちの神エホバ,どうか彼の手から私たち
を救ってください。エホバ,あなただけが神であることを地上の全ての王国が知るためです」。
  20 アモツの子イザヤはヒゼキヤの所に人を遣わして,こう伝えた。「イスラエルの神エホバはこう言って
います。『私は,アッシリアのセナケリブ王についてのあなたの祈りを聞いた。 21 エホバはセナケリブ王に
対して次の言葉を語った。
  「処女であるシオンはあなたを見下げ,あざ笑う。
  エルサレムはあなたに向かって頭を振る。
  22 あなたは誰をあざけり,冒涜したのか。
  誰に対して声を荒らげ,高慢な目を向けたのか。
  イスラエルの聖なる者に対してである!
  23 あなたは使者たちを通してエホバをあざけり,こう言った。
  『私は無数の戦車を率い,
  山々の頂,レバノンの山奥にまで登る。
  そこにそびえる杉,立派なネズの木を切り倒し,
  最奥の宿営地,深い森に入る。
  24 私は井戸を掘って外国の水を飲み,
  足の裏でエジプトの川を全て干上がらせる』。
  25 あなたは聞かなかったか。遠い昔から,決まっていた。
  ずっと前から,私は用意していた。
  今,それを実現させる。
  あなたは防備された町々を廃虚の山にする。
  26 住民たちは無力になり,
  おびえ,屈辱を味わう。
  野原の草木や青草のようになり,
  東風で干からびた,屋根の草のようになる。
  27 しかし,私はよく知っている。
  あなたが座るのも,出ていくのも入ってくるのも,
  あなたが私に激怒するのも。
  28 あなたの激怒と怒鳴り声が,私の耳に届いたからだ。
  私はあなたの鼻にかぎを引っ掛け,口にくつわをはめ,
  あなたを引いて,来た道を帰らせる」。
  29 あなたのために次のようなしるしを示そう。あなたたちは,今年は自然に生えたものを食べ,来年はそ
れから芽を出した穀物を食べるが,3年目には,種をまいて刈り取り,ブドウ園を造って実を食べる。 30 ユ
ダ国民の逃れて残っている人たちは下に根を張り,上に実を付ける。 31 残りの者がエルサレムから,生き残
っている人たちがシオンの山から出ていく。大軍を率いる熱心な神エホバがそうならせる。
  32 エホバはアッシリアの王についてこう言う。
  「彼がこの都市に入ることはない。
  そこに矢を射ることも,
  盾を持って立ち向かうことも,
  攻めるための土塁を築くこともない。
  33 彼は来た道を帰り,
  この都市に入ることはない」。
  エホバはこうも宣言する。
  34 「私はこの都市を守って救う。
  自分のため,私に仕えたダビデのためである」』」。
  35 まさにその夜,エホバの天使が出ていき,アッシリア人の陣営で18万5000人を討った。人々が朝
早く起きて見ると,皆,死んでいた。 36 それで,アッシリアのセナケリブ王はそこを去り,帰ってニネベに
とどまった。 37 そして,ニスロク神の家でひれ伏していた時,自分の子アドラメレクとシャルエツェルに剣
で殺された。その2人はアララト地方に逃げた。セナケリブの子エサル・ハドンが代わりに王になった。
  20 章
  1 その頃,ヒゼキヤは病気になり,死にそうになっていた。アモツの子である預言者イザヤが来て言った。
「エホバはこう言っています。『家の人たちに指示を出しなさい。あなたは回復せず,死ぬからだ』」。 2 そ
れでヒゼキヤは顔を壁に向け,エホバに祈り始めた。 3 「エホバ,お願いです。どうか,思い出してください。
私が心を尽くして忠実にあなたに仕え,あなたから見て良いことを行ったのを」。そしてヒゼキヤは激しく泣
きだした。
  4 イザヤがまだ庭に出ていかないうちに,エホバがイザヤに言った。 5 「戻って,私の民の指導者ヒゼ
キヤにこう言いなさい。『あなたの父祖ダビデの神エホバはこう言っている。「私はあなたの祈りを聞いた。
あなたの涙を見た。あなたを癒やそう。あさってにはあなたはエホバの家に上る。 6 私はあなたの寿命を15
年延ばし,アッシリアの王の手からあなたとこの都市を救う。私は自分のため,また私に仕えたダビデのため
にこの都市を守る」』」。
  7 イザヤは,「干しいちじくの菓子を持ってきなさい」と言った。人々が持ってきて,それを腫れ物に当
てた。その後,ヒゼキヤは徐々に回復した。
  8 ヒゼキヤはイザヤにこう尋ねていた。「私がエホバに癒やされ,あさってにはエホバの家に上っていけ
るというしるしがありますか」。 9 イザヤは答えた。「エホバは語ったことを実行されます。エホバからのし
るしは,こうです。影が階段を10段進むのと10段戻るのと,どちらを望みますか」。 10 ヒゼキヤは言っ
た。「影を10段進めるよりも,10段戻す方が難しいことです」。 11 そこで預言者イザヤがエホバに呼び
掛けると,神は,アハズの階段を下った影を10段上に戻した。
  12 その頃,バビロンの王,バラダンの子ベロダク・バラダンがヒゼキヤに手紙と贈り物を贈った。ヒゼキ
ヤが病気だと聞いていたからだった。 13 ヒゼキヤは使者たちを歓迎し,宝物庫の中を全部見せた。銀や金も,
バルサム油や他の高価な油も,武器も,宝物庫にあった物を残らず見せた。自分の家の中,全領土の中で,ヒ
ゼキヤが彼らに見せなかった物は一つもなかった。
  14 その後,預言者イザヤがヒゼキヤ王の所に入ってきて尋ねた。「あの人たちは何と言いましたか。どこ
から来たのですか」。ヒゼキヤは,「遠い国,バビロンからやって来ました」と言った。 15 イザヤは尋ねた。
「あなたの家で彼らに何を見せたのですか」。ヒゼキヤは答えた。「私の家にある物全てを見せました。私の
宝物庫の中で見せなかった物は一つもありません」。
  16 イザヤはヒゼキヤに言った。「エホバの言葉を聞きなさい。 17 エホバはこう言っています。『あな
たの家にある物全て,あなたの父祖たちがこれまで蓄えてきた物全てが,残らずバビロンに持っていかれる日
が来る。 18 生まれてくるあなたの子孫の中には,連れていかれてバビロンの王の宮殿で廷臣にされる者もい
る』」。
  19 ヒゼキヤはイザヤに言った。「あなたが語ったエホバの言葉はもっともです」。そして言った。「私の
生涯中,平和と安定を与えていただけるのですから,感謝します」。
  20 ヒゼキヤについてのほかの記録,数々の功績や,池と水道を造って都市に水を引いたことは,ユダの王
の時代の歴史書に記されている。 21 ヒゼキヤはやがて死に,代わりにヒゼキヤの子マナセが王になった。
  21 章
  1 マナセは12歳で王になり,エルサレムで55年治めた。彼の母はヘフジバといった。 2 マナセはエ
ホバから見て悪いことを行い,イスラエルの民の前からエホバが追い払った国々の忌まわしい行いをまねた。
3 父ヒゼキヤが破壊した高い場所を再び築き,イスラエルの王アハブがしたように,バアルのために祭壇を設
け,聖木を作った。また,天の全ての星を崇拝してひれ伏した。 4 エホバがかつて「エルサレムに私の名を付
す」と言ったそのエホバの家の中にも祭壇を作った。 5 エホバの家の2つの庭に,天の全ての星のために祭壇
を作った。 6 自分の子を火で焼き,魔術を行い,吉凶を判断し,霊媒師や占い師を任命した。エホバから見て
悪いことを大規模に行って,神を怒らせた。
  7 マナセは聖木の彫刻像を作り,神の家の中に置いた。かつてエホバはその家について,ダビデとその子
ソロモンにこう言っていた。「私は,イスラエルの全部族の領地から選んだエルサレムとこの家に,私の名を
いつまでも付す。 8 イスラエルが,私が命じた全てのこと,私に仕えたモーセが命じた律法全てを注意深く守
るなら,私は,父祖たちに与えた土地からイスラエルをさまよい出させたりはしない」。 9 そう言われていた
のに民は従わず,マナセは民を惑わし続け,イスラエル人の前からエホバが滅ぼし尽くした国々よりも悪いこ
とを行わせた。
  10 エホバは,神に仕える預言者たちを通して何度も語り掛け,こう言った。 11 「ユダの王マナセはこ
れらのあらゆる忌まわしいことを行い,以前のどのアモリ人よりも邪悪なことをし,汚らわしい偶像でユダに
罪を犯させた。 12 それでイスラエルの神エホバはこう言う。『私はエルサレムとユダに災難をもたらす。そ
れについて聞く人は皆,衝撃を受けるだろう。 13 私は,サマリアに使った測り綱をエルサレムの上に伸ばし,
アハブ家に使った水準器を使う。そして,鉢をきれいに拭って伏せるかのように,エルサレムを拭い去る。 14
私の財産である残りの者を見捨て,敵の手に渡す。彼らはあらゆる敵に連れ去られ,略奪される。 15 彼らは,
父祖たちがエジプトを出た日から今日まで,私から見て悪いことを行って私を怒らせ続けたからだ』」。
  16 マナセの罪は,ユダに罪を犯させてエホバから見て悪いことを行わせるだけにとどまらなかった。無実
の人の血を大量に流して,その血でエルサレムの端から端までを満たした。 17 マナセについてのほかの記録,
行ったさまざまなことや犯した罪のことは,ユダの王の時代の歴史書に記されている。 18 マナセはやがて死
に,自分の家の庭園,ウザの庭園に葬られた。代わりにマナセの子アモンが王になった。
  19 アモンは22歳で王になり,エルサレムで2年治めた。彼の母はメシュレメトといい,ヨトバの人ハル
ツの娘だった。 20 アモンは,エホバから見て悪いことを行い続けた。父マナセと同じようなことをした。
21 父と全く同じ道を歩み続け,父が崇拝した汚らわしい偶像を崇拝してひれ伏した。 22 父祖たちの神エホ
バを捨て去り,エホバの道を歩まなかった。 23 やがてアモンの家来たちが謀反を起こし,王の家でアモンを
殺害した。 24 しかし国の民は,アモン王への謀反を起こした人を全て殺し,アモンの子ヨシヤを代わりに王
にした。 25 アモンについてのほかの記録,行ったことは,ユダの王の時代の歴史書に記されている。 26 ア
モンはウザの庭園の自分の墓に葬られた。代わりにアモンの子ヨシヤが王になった。
  22 章
  1 ヨシヤは8歳で王になり,エルサレムで31年治めた。彼の母はエディダといい,ボツカトの人アダヤ
の娘だった。 2 ヨシヤはエホバから見て正しいことを行って,父祖ダビデと全く同じ道を歩み,右にも左にも
それなかった。
  3 ヨシヤ王の治世の第18年,王はメシュラムの子アツァルヤの子である秘書官シャファンに次のように
言って,エホバの家に遣わした。 4 「大祭司ヒルキヤの所に行きなさい。そして,エホバの家に持ってこられ,
戸口番たちが民から集めたお金全てを集計させなさい。 5 そのお金をエホバの家での工事をまとめる人たちに
渡させなさい。その人たちは,それをエホバの家の破損を修理する労働者に渡します。 6 職人や建築作業者や
石工たちです。彼らはそのお金を,家の修理に必要な木材や切り石の購入に使います。 7 お金を渡される人た
ちは信頼できるので,会計報告は必要ありません」。
  8 その後,大祭司ヒルキヤは秘書官シャファンに,「エホバの家で律法の書を見つけました」と言った。
ヒルキヤがその書物をシャファンに渡すと,シャファンはそれを読みだした。 9 秘書官シャファンは王のもと
に行って,こう言った。「あなたの家来たちは家に集まったお金を箱から取り出して,エホバの家での工事を
まとめる人たちに渡しました」。 10 秘書官シャファンは王にさらに言った。「祭司ヒルキヤから1つの書物
を渡されました」。そしてシャファンは王の前でそれを読み始めた。
  11 王は律法の書の言葉を聞くと,すぐに衣服を引き裂いた。 12 それから,祭司ヒルキヤ,シャファン
の子アヒカム,ミカヤの子アクボル,秘書官シャファン,家来のアサヤにこう命じた。 13 「私のため,民の
ため,ユダ全体のために,この見つかった書物の言葉についてエホバに尋ねに行きなさい。父祖たちが,私た
ちに関して書かれていることをしっかり守らず,この書物の言葉に従わなかったので,エホバは私たちに対し
て怒りを激しく燃やしているのです」。
  14 それで,祭司ヒルキヤ,アヒカム,アクボル,シャファン,アサヤは,女預言者フルダの所に行った。
フルダは,ハルハスの子ティクワの子である衣装係シャルムの妻で,エルサレムの第2地区に住んでいた。彼
らはそこで彼女に話した。 15 彼女は言った。「イスラエルの神エホバはこう言っています。『あなたたちを
私のもとに遣わした人に言いなさい。 16 「エホバはこう言っている。『私はこの場所と住民に災難をもたら
す。ユダの王が読んだ書物の言葉の通りになる。 17 彼らが私を捨て,ほかの神々のために犠牲を焼いて煙に
し,行いによって私を怒らせたので,私はこの場所に対して怒りを燃やす。その怒りが消えることはない』」。
18 だが,エホバに尋ねるようにとあなたたちを遣わしたユダの王にこう言いなさい。「あなたが聞いた言葉
について,イスラエルの神エホバはこう言っている。 19 『あなたは,この場所と住民に災いが降り掛かって
そこは恐怖の光景となると私が語ったのを聞いた時,心が柔らかで,エホバの前で謙遜になって衣服を引き裂
き,泣いたので,私エホバはあなたの祈りを聞いたと宣言する。 20 それで,私はあなたを先祖たちと共に横
たわらせ,あなたは安らかに自分の墓に入る。あなたは私がこの場所にもたらす災いを全く見ない』」』」。
彼らはこの返事を王の所に持ち帰った。
  23 章
  1 それでヨシヤ王は知らせを送り,ユダとエルサレムの長老全員が呼び集められた。 2 その後,王はエ
ホバの家に上った。ユダの人たち全て,エルサレムの全住民,祭司と預言者,若い人から年取った人まで民の
皆が一緒だった。王は,エホバの家で見つかった契約の書の言葉全てを皆に聞こえる所で読んだ。 3 王は柱の
そばに立ち,エホバと契約を結んだ。エホバに従い,その書物に記されている契約の言葉を実行し,心を尽く
し自分の全てを尽くして,神のおきてと教えと法令を守るという契約である。民は皆,契約に同意した。
  4 それから王は,大祭司ヒルキヤと他の祭司と戸口番たちに,エホバの神殿からバアルや聖木や天の全て
の星のために作られた器具を全て運び出すよう命じた。そして,それらをエルサレムの外のキデロンの段丘で
焼き,灰をベテルに持っていった。 5 また,ユダの町々やエルサレムの周辺の高い場所で犠牲の煙を立ち上ら
せるようユダの王たちから任命された外国の神の祭司たちや,バアルや太陽や月や黄道帯の星座や天の全ての
星のために犠牲の煙を立ち上らせる人たちを一掃した。 6 王は,エホバの家から聖木をエルサレムの外れのキ
デロンの谷に運び出し,そこで焼き,粉々にしてそれを一般の人々の墓にまいた。 7 さらに,エホバの家にあ
った神殿男娼の家を取り壊した。そこは,女性たちが聖木のための天幕を織っていた場所だった。
  8 王は,ユダの町々から祭司全員を呼び寄せ,祭司たちが犠牲の煙を立ち上らせていたゲバからベエル・シ
ェバまでの高い場所を汚して使えなくした。また,都市の長ヨシュアの門の入り口にあった門の高い場所を取
り壊した。それは,都市の門に入って左側にあった。 9 高い場所の祭司たちはエルサレムのエホバの祭壇で奉
仕することはなかったが,兄弟たちと一緒に無酵母パンを食べた。 10 王はさらに,ヒンノムの子たちの谷に
あったトフェトを汚して使えなくし,誰も息子や娘を火で焼いてモレクに捧げることがないようにした。 11
また,ユダの王たちによって太陽に献じられた馬が,柱廊にあった廷臣ナタン・メレクの部屋を通ってエホバの
家に入るのを禁じ,太陽の兵車を火で焼いた。 12 アハズの上の部屋の屋根にユダの王たちが設けた祭壇と,
エホバの家の2つの庭にマナセが設けた祭壇を壊し,粉砕して,それをキデロンの谷にまいた。 13 また,エ
ルサレムの前,「破壊の山」の南にあった高い場所を汚して使えなくした。それは,イスラエルの王ソロモン
が,シドン人の極めて不快な女神アシュトレテ,モアブの極めて不快な神ケモシュ,アンモン人の忌まわしい
神ミルコムのために築いた場所だった。 14 王は,聖柱を粉々に砕き,聖木を切り倒し,それらがあった場所
を人骨で満たした。 15 ベテルにあった祭壇と,ネバトの子ヤラベアムが造ってイスラエルに罪を犯させた高
い場所も取り壊した。祭壇と高い場所を取り壊した後,高い場所を焼き,粉々にし,聖木を焼いた。
  16 ヨシヤは振り向いて山にあった墓を見ると,その墓から骨を取り出させ,それを祭壇で焼いた。祭壇を
汚して使えなくしたのである。真の神に仕える人が予告して広く知らせたエホバの言葉の通りになった。 17
その時,ヨシヤは言った。「あそこに見える墓石は誰のですか」。町の人たちが言った。「あれは,ユダから
来た真の神に仕える人の墓です。ベテルの祭壇にあなたがなさったことを予告した人です」。 18 ヨシヤは言
った。「誰もその人の骨に触れてはなりません。そのままにしておきなさい」。それで,その人の骨とサマリ
アから来た預言者の骨は誰にも触れられなかった。
  19 ヨシヤは,イスラエルの王たちがサマリアの町々に築いて神を怒らせた,高い場所の崇拝の家も全て取
り除き,ベテルでしたのと同じようにした。 20 そこにいた高い場所の祭司たち全員を祭壇で殺し,祭壇で人
骨を焼いた。その後,ヨシヤはエルサレムに帰った。
  21 王は民全体に命じた。「この契約の書に記されている通りに,エホバ神の過ぎ越しを執り行いなさい」。
22 裁き人がイスラエルを裁いていた時代以来なかったほどの,またイスラエルの王とユダの王のどの時代に
もなかったほどの過ぎ越しが執り行われた。 23 ヨシヤ王の治世の第18年に,そのエホバの過ぎ越しがエル
サレムで執り行われた。
  24 ヨシヤはまた,霊媒師や占い師,テラフィム像や汚らわしい偶像,ユダとエルサレムにあった極めて不
快なもの全てを排除した。祭司ヒルキヤがエホバの家で見つけた書物に記されている律法の言葉の通りにする
ためだった。 25 ヨシヤのように,モーセの律法全てに従って,心を尽くし,力を尽くし,自分の全てを尽く
して,エホバのもとに戻ろうとした王は後にも先にもいなかった。
  26 しかし,エホバがマナセの不快な行為のことでユダに対して燃やした怒りは,収まらなかった。 27
エホバは言った。「私はイスラエルと同じようにユダも私の前から取りのける。私が選んだこの都市エルサレ
ムも,『私の名はずっとそこにある』と言った家も退ける」。
  28 ヨシヤについてのほかの記録,行ったさまざまなことは,ユダの王の時代の歴史書に記されている。
29 ヨシヤの時代に,エジプトの王ファラオ・ネコがアッシリアの王を助けにユーフラテス川のそばに来た。ヨ
シヤ王はネコに立ち向かおうと出ていった。ヨシヤを見たネコは,メギドでヨシヤを殺した。 30 それでヨシ
ヤの家来たちが遺体を兵車に載せてメギドからエルサレムに運び,ヨシヤの墓に葬った。その後,国の民はヨ
シヤの子エホアハズを選んで油を注ぎ,父の代わりに王にした。
  31 エホアハズは23歳で王になり,エルサレムで3カ月治めた。彼の母はハムタルといい,リブナの人エ
レミヤの娘だった。 32 エホアハズは父祖たちと全く同じように,エホバから見て悪いことを行い始めた。
33 ファラオ・ネコはエホアハズをハマト地方のリブラで拘禁して,エルサレムで治められないようにし,国に
3.4トンの銀と34キロの金を課した。 34 その上,ファラオ・ネコはヨシヤの子エリヤキムを父ヨシヤの代
わりに王にし,名前をエホヤキムに改名させた。また,エホアハズをエジプトに連れていき,エホアハズはそ
こで死んだ。 35 エホヤキムは銀と金をファラオに納めた。ファラオの要求に応じて銀を納めるため,国に税
を課さなければならなかった。ファラオ・ネコに納めるために,国民一人一人から,査定した量の銀と金を取り
立てた。
  36 エホヤキムは25歳で王になり,エルサレムで11年治めた。彼の母はゼビダといい,ルマの人ペダヤ
の娘だった。 37 エホヤキムは父祖たちと全く同じように,エホバから見て悪いことを行い続けた。
  24 章
  1 エホヤキムの時代に,バビロンのネブカドネザル王が攻めに来て,エホヤキムは3年の間服従した。そ
の後,エホヤキムはネブカドネザルに背を向け,反逆した。 2 エホバはエホヤキムに対して,カルデア人,シ
リア人,モアブ人,アンモン人の略奪隊を送り込んだ。ユダを滅ぼすためにそうし続けた。神に仕える預言者
たちを通してエホバが語った言葉の通りだった。 3 エホバは,ユダをご自分の前から取りのけるため,こうし
たことがユダに起きるよう命じたのだった。マナセが犯したさまざまな罪のゆえ, 4 マナセが流した無実の人
の血のゆえである。マナセは無実の人の血でエルサレムを満たした。エホバは許そうとはしなかった。
  5 エホヤキムについてのほかの記録,行ったさまざまなことは,ユダの王の時代の歴史書に記されている。
6 エホヤキムはやがて死に,代わりにエホヤキムの子エホヤキンが王になった。
  7 エジプトの王が国外に進軍することはもうなかった。バビロンの王が,エジプトの谷からユーフラテス
川まで,エジプトの王のもの全てを占領していたからである。
  8 エホヤキンは18歳で王になり,エルサレムで3カ月治めた。彼の母はネフシュタといい,エルサレム
の人エルナタンの娘だった。 9 エホヤキンは父と全く同じように,エホバから見て悪いことを行い続けた。
10 その頃,バビロンのネブカドネザル王の家来たちがエルサレムを攻めに来て,都市は包囲された。 11 家
来たちが包囲している間に,バビロンのネブカドネザル王も都市に来た。
  12 ユダのエホヤキン王は,母親や家来や高官や廷臣たちと共にバビロンの王に降伏した。バビロンの王は
治世の第8年にエホヤキンを捕らえた。 13 バビロンの王はエホバの家の財宝と王の家の財宝を全て運び出し,
イスラエルの王ソロモンが作った,エホバの神殿の金の器具を全部打ち砕いた。エホバが予告した通りだった。
14 そして,エルサレムの全ての人,高官や強い戦士の全員,職人や鍛冶屋の皆を捕らえて,1万人を連れて
いった。国の最も貧しい人たち以外は誰も残されなかった。 15 こうして,バビロンの王はエホヤキンを捕ら
えてバビロンに連れていった。王の母親,王の妻たち,廷臣たち,国の主立った人たちも捕らえてエルサレム
からバビロンに連れていった。 16 戦士7000人全てと,職人や鍛冶屋の1000人も連れていった。皆,
戦いの訓練を受けた勇敢な人たちだった。 17 バビロンの王はエホヤキンの代わりにエホヤキンの叔父マタヌ
ヤを王にし,名前をゼデキヤに改名させた。
  18 ゼデキヤは21歳で王になり,エルサレムで11年治めた。彼の母はハムタルといい,リブナの人エレ
ミヤの娘だった。 19 ゼデキヤはエホヤキムと全く同じように,エホバから見て悪いことを行い続けた。 20
エルサレムとユダで起きたことはエホバを怒らせ,ついに神は彼らを投げ捨てた。そして,ゼデキヤはバビロ
ンの王に反逆した。
  25 章
  1 ゼデキヤの治世の第9年,第10の月の10日に,バビロンのネブカドネザル王が全軍を率いてエルサ
レムに攻めてきて,陣営を張り,都市の周囲に包囲壁を建てた。 2 都市はゼデキヤ王の治世の第11年になっ
ても包囲されていた。 3 第4の月の9日,都市の中では飢餓がひどく,民のための食糧はなくなっていた。 4
都市の城壁が破られ,兵士たちは皆,カルデア人が都市を囲む中,王の庭園のそばの2重の城壁の間の門を通
って夜のうちに逃げた。王はアラバの道を行った。 5 しかし,カルデア人の軍隊は王の後を追い,エリコの砂
漠平原で追い付いた。王の兵士たちは皆,散り散りになった。 6 王は捕らえられ,リブラにいるバビロンの王
のもとに連れていかれて,刑を宣告された。 7 ゼデキヤの子たちはゼデキヤの目の前で殺された。ネブカドネ
ザルはゼデキヤを失明させ,銅の足かせをはめてバビロンに連れていった。
  8 第5の月の7日,バビロンのネブカドネザル王の治世の第19年のこと,バビロンの王の家来で護衛官
の長であるネブザラダンが,エルサレムに来た。 9 彼はエホバの家と王の家とエルサレムの全ての家を焼き払
った。著名な人の家も全部焼き払った。 10 エルサレムの周囲の城壁は,護衛官の長と共にいたカルデア人の
全軍によって取り壊された。 11 護衛官の長ネブザラダンは,都市に残されていた人たちと,バビロンの王に
投降した人たちと,残りの住民を連れ去った。 12 ただし,最も貧しい人たちをいくらか残しておき,ブドウ
の栽培人や強制労働者として働かせた。 13 カルデア人は,エホバの家の銅の柱と,エホバの家にあった台車
と銅の「海」を粉々に砕いて,銅をバビロンへ持ち去った。 14 また,缶,シャベル,明かり消し,杯など,
神殿での奉仕に使う銅の器具を全て奪った。 15 護衛官の長は,純金や純銀でできた炭入れや鉢を奪った。
16 ソロモンがエホバの家のために造った2本の柱と「海」と台車,これら全てに使われた銅は量り切れなかっ
た。 17 それぞれの柱は高さ8メートルだった。柱の上の柱頭も銅でできていて高さ1.3メートルだった。
柱頭の周囲の網細工とザクロも全て銅でできていた。2本目の柱と網細工も同じ造りだった。
  18 護衛官の長は,祭司長セラヤと次位の祭司ゼパニヤと3人の戸口番も連れ去った。 19 また,兵士た
ちを監督していた廷臣1人,市内にいた王の側近5人,軍隊の長の秘書官で徴兵を行っていた人,まだ市内に
いた一般の人60人を,都市から連れ去った。 20 護衛官の長ネブザラダンはこれらの人を捕らえ,リブラに
いるバビロンの王のもとに連れていったのである。 21 バビロンの王はハマト地方のリブラで彼らを殺した。
こうしてユダは捕囚にされ,国を追われた。
  22 バビロンのネブカドネザル王は,ユダの土地に残された民のために,シャファンの子アヒカムの子ゲダ
リヤを総督に任命した。 23 軍隊長たちと部下たちは皆,バビロンの王がゲダリヤを総督に任命したことを聞
き,直ちにミツパにいるゲダリヤの所に行った。ネタヌヤの子イシュマエル,カレアハの子ヨハナン,ネトフ
ァの人タヌフメトの子セラヤ,マアカト人の子ヤアザヌヤが,部下たちと共に行った。 24 ゲダリヤは彼らと
部下たちに誓い,こう言った。「カルデア人に仕えることを恐れてはなりません。この土地に住んでバビロン
の王に仕えれば,物事はうまくいきます」。
  25 第7の月に,王家の子孫でエリシャマの子ネタヌヤの子イシュマエルが,10人の部下を連れてミツパ
に来てゲダリヤを殺し,ゲダリヤと共にいたユダヤ人とカルデア人たちも殺した。 26 その後,民は皆,若い
人も年取った人も,軍隊長たちも,エジプトに向けて出発した。カルデア人を恐れたのである。
  27 ユダのエホヤキン王が捕囚にされて37年目の,第12の月の27日,その年に即位したバビロンのエ
ビル・メロダク王は,ユダのエホヤキン王を牢屋から釈放した。 28 そして親切に語り掛け,彼と共にバビロ
ンにいた他の王たちよりも上の立場を与えた。 29 それでエホヤキンは囚人服を脱ぎ,生涯中いつもバビロン
の王の前で食事をした。 30 彼は生きている間,毎日定期的に王から食物を与えられた。

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