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歴代誌第二

概要
1章
ソロモンは知恵を願い求める(1‐12節)
ソロモンの富(13‐17節)
2章
神殿建設の準備(1‐18節)
3章
ソロモンは神殿建設を開始する(1‐7節)
至聖所(8‐14節)
2本の銅の柱(15‐17節)
4章
祭壇,「海」,水盤(1‐6節)
ランプ台,食卓,庭(7‐11節前半)
神殿の備品の完成(11後半‐22節)
5章
神殿の奉献式の準備(1‐14節)
箱が神殿に運び入れられる(2‐10節)
6章
民の前でのソロモンの話(1‐11節)
奉献式でのソロモンの祈り(12‐42節)
7章
神殿にエホバの栄光が満ちる(1‐3節)
奉献の式典(4‐10節)
エホバはソロモンに現れる(11‐22節)
8章
ソロモンの他の建設事業(1‐11節)
神殿での崇拝が組織される(12‐16節)
ソロモンの船団(17,18節)
9章
シェバの女王がソロモンを訪ねる(1‐12節)
ソロモンの富(13‐28節)
ソロモンの死(29‐31節)
10章
イスラエルがレハベアムに反抗する(1‐19節)
11章
レハベアムの統治(1‐12節)
レビ族が揺るぎない愛を示し,ユダに移る(13‐17節)
レハベアムの家族(18‐23節)
12章
シシャクがエルサレムを攻める(1‐12節)
レハベアムの統治の終わり(13‐16節)
13章
ユダの王アビヤ(1‐22節)
アビヤはヤラベアムを打ち破る(3‐20節)
14章
アビヤの死(1節)
ユダの王アサ(2‐8節)
アサは100万人のエチオピア人を打ち破る(9‐15節)
15章
アサの改革(1‐19節)
16章
アサとシリアとの条約(1‐6節)
ハナニがアサを叱責する(7‐10節)
アサの死(11‐14節)
17章
ユダの王エホシャファト(1‐6節)
教育運動(7‐9節)
エホシャファトの兵力(10‐19節)
18章
エホシャファトとアハブの同盟(1‐11節)
敗北に関するミカヤの預言(12‐27節)
アハブがラモト・ギレアデで死ぬ(28‐34節)
19章
エヒウがエホシャファトを叱責する(1‐3節)
エホシャファトの改革(4‐11節)
20章
近隣の国々がユダを脅かす(1‐4節)
エホシャファトは助けを祈り求める(5‐13節)
エホバからの答え(14‐19節)
ユダは奇跡によって救われる(20‐30節)
エホシャファトの統治の終わり(31‐37節)
21章
ユダの王エホラム(1‐11節)
エリヤから書面が届く(12‐15節)
エホラムの悲惨な最期(16‐20節)
22章
ユダの王アハジヤ(1‐9節)
アタリヤが王座を奪う(10‐12節)
23章
エホアシュを王にするため,エホヤダが立ち上がる(1‐11節)
アタリヤは殺される(12‐15節)
エホヤダの改革(16‐21節)
24章
エホアシュの統治(1‐3節)
エホアシュは神殿を修復する(4‐14節)
エホアシュの背教(15‐22節)
エホアシュは暗殺される(23‐27節)
25章
ユダの王アマジヤ(1‐4節)
エドムとの戦い(5‐13節)
アマジヤの偶像崇拝(14‐16節)
イスラエルのエホアシュ王との戦い(17‐24節)
アマジヤの死(25‐28節)
26章
ユダの王ウジヤ(1‐5節)
ウジヤの戦いの功績(6‐15節)
ウジヤは傲慢になり,重い皮膚病になる(16‐21節)
ウジヤの死(22,23節)
27章
ユダの王ヨタム(1‐9節)
28章
ユダの王アハズ(1‐4節)
シリアとイスラエルに打ち破られる(5‐8節)
オデドがイスラエルに警告する(9‐15節)
ユダは卑しめられる(16‐19節)
アハズの偶像崇拝と死(20‐27節)
29章
ユダの王ヒゼキヤ(1,2節)
ヒゼキヤの改革(3‐11節)
神殿を清める(12‐19節)
神殿での奉仕が再確立される(20‐36節)
30章
ヒゼキヤは過ぎ越しを執り行う(1‐27節)
31章
ヒゼキヤは背教をなくす(1節)
祭司とレビ族への分配がきちんとなされる(2‐21節)
32章
セナケリブがエルサレムに迫る(1‐8節)
セナケリブはエホバを侮る(9‐19節)
天使がアッシリアの軍隊を討つ(20‐23節)
ヒゼキヤの病気,傲慢な態度(24‐26節)
ヒゼキヤの功績と死(27‐33節)
33章
ユダの王マナセ(1‐9節)
マナセは悪い行いを悔い改める(10‐17節)
マナセの死(18‐20節)
ユダの王アモン(21‐25節)
34章
ユダの王ヨシヤ(1,2節)
ヨシヤの改革(3‐13節)
律法の書が見つかる(14‐21節)
災難に関するフルダの預言(22‐28節)
ヨシヤは律法の書を民に読み聞かせる(29‐33節)
35章
ヨシヤは盛大な過ぎ越しを計画する(1‐19節)
ヨシヤはファラオ・ネコに殺される(20‐27節)
36章
ユダの王エホアハズ(1‐3節)
ユダの王エホヤキム(4‐8節)
ユダの王エホヤキン(9,10節)
ユダの王ゼデキヤ(11‐14節)
エルサレムの陥落(15‐21節)
神殿を建て直すようにとのキュロスの布告(22,23節)
  1 章
  1 ダビデの子ソロモンの王権はますます強くなっていった。エホバ神が彼と共にいて,彼を極めて偉大な
者とした。
  2 ソロモンはイスラエル全体,すなわち千人長や百人長,裁判人,イスラエル全体の全ての長,氏族長た
ちに呼び掛けた。 3 そして,ソロモンと会衆全体はギベオンにある高い場所に行った。そこには,エホバに仕
えたモーセが荒野で造った,真の神の会見の天幕があったからである。 4 ただ,真の神の箱は,ダビデがエル
サレムに天幕を張って用意した場所にあった。ダビデがキルヤト・エアリムからそこに運んだのだった。 5 フ
ルの子ウリの子ベザレルが作った銅の祭壇は,エホバの幕屋の前に置かれていて,ソロモンと会衆はその前で
祈っていた。 6 ソロモンはそこ,エホバの前で捧げ物をした。会見の天幕の銅の祭壇で1000匹の全焼の捧
げ物を捧げたのである。
  7 その夜,神はソロモンに現れ,こう言った。「何を与えてほしいか,言いなさい」。 8 ソロモンは神
に言った。「あなたは私の父ダビデに大きくて揺るぎない愛を示し,父の代わりに私を王にしてくださいまし
た。 9 エホバ神,父ダビデとのあなたの約束がその通りになりますように。あなたは私を,大地の砂のように
多い民の王にしたからです。 10 この民を導けるよう,今,私に知恵と知識をお与えください。そうでないと,
あなたのこの大勢の民を裁くことなどできません」。
  11 神はソロモンに言った。「あなたは心からそう願い,富も財産も栄誉も,あなたを憎む者たちの死も,
長寿も求めなかった。あなたは,私があなたに治めさせる民を裁くための知恵と知識を求めたので, 12 知恵
と知識があなたに与えられる。そして,あなたより前の王にも後の王にもないほどの富と財産と栄誉も,あな
たに与えよう」。
  13 ソロモンは,会見の天幕があったギベオンの高い場所を出て,エルサレムに帰り,イスラエルを治めた。
14 ソロモンは兵車と馬を増やしていった。1400両の兵車と1万2000頭の馬を持ち,兵車の町とエル
サレムの王のそばに配置した。 15 ソロモン王のおかげで,エルサレムで銀と金は石のように多くなり,杉材
はシェフェラにあるエジプトイチジクの木のように多くなった。 16 ソロモンの馬はエジプトから輸入された
もので,王の商人団が代価を払い,群れ単位で入手した。 17 エジプトから輸入した兵車は1両が銀600枚
で,馬は1頭が150枚だった。それらは彼らによってヘト人の全ての王やシリアの王たちにも輸出されてい
た。
  2 章
  1 ソロモンは,エホバの名のための家と自分の王国のための家を建てるようにという命令を出した。 2
ソロモンは一般の労働者7万人,山で石を切り出す人8万人,監督3600人をそろえた。 3 また,ティルス
の王ヒラムに次の知らせを送った。「あなたは私の父ダビデに,住む家を建てるための杉材を送ってください
ました。父にしたのと同じように,私にもしていただけないでしょうか。 4 今,私は私の神エホバの名のため
に家を建てて,それを神聖なものとして神に捧げようとしています。神の前で香り高い香をたき,重ねのパン
をいつも置き,全焼の捧げ物を朝と夕方に,また安息日や新月やエホバ神の祭りの時期に捧げるためです。こ
れはイスラエルがずっと行うべきことです。 5 私が建てようとしている家は壮大なものです。私たちの神はほ
かのどんな神よりも偉大だからです。 6 いったい誰がこの方のために家を建てられるでしょうか。天も,天の
天も,神には狭く,十分ではありません。神のために家を建てるなど,私はいったい何者なのでしょう。私に
できるのは,ただ神の前で犠牲を焼いて煙にする場所を建てることだけです。 7 それで,私のもとに職人を派
遣してください。金,銀,銅,鉄,紫の羊毛,紅の糸,青糸を使う仕事に熟練し,彫刻の技術を持つ人です。
ユダとエルサレムで,父ダビデが用意したこちらの熟練した職人たちが,一緒に働くようにします。 8 また,
レバノンから,杉,ネズ,アルグムの木材を送ってください。あなたの家来たちがレバノンの木を切り倒すの
に熟達していることを私はよく知っています。私の家来たちもあなたの家来たちと共に働きます。 9 そのよう
にして,大量の木材を準備したいと思います。私が建てようとしている家は,非常に大きいからです。 10 あ
なたの家来たち,木を切る人たちに,食料として,小麦440万リットル,大麦440万リットル,ぶどう酒
44万リットル,油44万リットルを提供します」。
  11 ティルスの王ヒラムは次の書面をソロモンに送った。「エホバはご自分の民を愛したので,あなたを民
の王としました」。 12 ヒラムは続けてこう書いた。「天と地を造った,イスラエルの神エホバが賛美されま
すように。思慮深さと理解力を備えた賢い子をダビデ王にお授けになり,その子がエホバのための家と自分の
王国のための家を建てるからです。 13 今,理解力を備えた熟練した職人ヒラム・アビを派遣します。 14 ダ
ン族の女性の子で,父親はティルスの人です。金,銀,銅,鉄,石,材木,紫の羊毛,青糸,上等の織物,紅
の糸を使う仕事に熟達しています。あらゆる種類の彫刻ができ,どんなものも設計できます。あなたの熟練し
た職人たちや,あなたの父上ダビデの熟練した職人たちと共に働けます。 15 あなたが約束してくださった小
麦,大麦,油,ぶどう酒を送っていただけますように。 16 私たちはレバノンでお望みの量の木を切り,それ
らを組んでいかだにし,ヨッパまで海路であなたのもとに届けます。そこからエルサレムに運んでいってくだ
さい」。
  17 ソロモンは,父ダビデが人口調査を行ったように,イスラエルにいる外国人居住者たち全員を数えた。
15万3600人だった。 18 ソロモンはそのうち7万人を一般の労働者に,8万人を山で石を切り出す人に,
3600人を人々を働かせるための監督にした。
  3 章
  1 ソロモンは,エルサレムのモリヤ山にエホバの家を建て始めた。そこは,以前エホバが父ダビデに現れ
た場所だった。ダビデが用意した場所で,かつてはエブス人オルナンの脱穀場だった所である。 2 ソロモンは,
王になってから4年目の第2の月の2日に建て始めた。 3 ソロモンが真の神の家を建てるために据えた土台は,
以前の尺度で長さ27メートル,幅9メートルだった。 4 前面にある玄関の幅は家の幅と同じく9メートルで,
高さは……だった。内側を純金で覆った。 5 大部屋にネズ材を張って,良質の金で覆い,それからヤシの木の
模様と鎖の装飾を施した。 6 さらに,家に美しい宝石をちりばめた。使用した金はパルワイムの金だった。 7
家,天井,敷居,壁,扉を金で覆った。壁にはケルブの絵を彫った。
  8 至聖所を造った。長さは家の幅と同じ9メートルで,幅も9メートルだった。20トンの良質の金で覆
った。 9 くぎに使った金の重さは570グラムだった。屋上の部屋も金で覆った。
  10 至聖所の中にケルブの像を2体造って,金をかぶせた。 11 2体のケルブの翼全体の長さは9メート
ルだった。1体目のケルブは,一方の翼が長さ2.25メートルで,家の壁に触れていた。もう一方の翼も長さ
2.25メートルで,2体目のケルブの一方の翼に触れていた。 12 2体目のケルブは,一方の翼が長さ2.2
5メートルで,家の反対側の壁に触れていた。もう一方の翼も長さ2.25メートルで,1体目のケルブの一方
の翼に触れていた。 13 2体のケルブの翼は広げられ,9メートルあった。2体とも真っすぐに立ち,顔は内
側を向いていた。
  14 青糸,紫の羊毛,紅の糸,上等の織物で幕を作り,そこにケルブの絵を刺しゅうした。
  15 家の前に柱を2本造った。長さは15.6メートルで,柱のてっぺんにある柱頭は2.2メートルだっ
た。 16 そして,首飾りのような鎖を作って柱のてっぺんに付け,ザクロを100個作って鎖に付けた。 17
柱を神殿の前に立てた。1本を右に,1本を左に立てた。右側をヤキン,左側をボアズと名付けた。
  4 章
  1 銅の祭壇を造った。長さ9メートル,幅9メートル,高さ4.5メートルだった。
  2 鋳物の「海」を造った。円形で,縁から縁までが4.5メートルで,高さは2.2メートルだった。周囲
は測り綱で測ると13.5メートルだった。 3 下の方にはウリ形の飾りが周囲全体にあった。「海」の周囲に
45センチにつき10ずつあった。ウリ形の飾りは2列あり,「海」と一緒に鋳造されたので接ぎ目がなかっ
た。 4 「海」は12頭の雄牛の上にあり,3頭は北を,3頭は西を,3頭は南を,3頭は東を向いていた。
「海」はこれらの雄牛の上に置かれ,雄牛の後部は全て中心に向いていた。 5 「海」の厚さは7センチだった。
縁は,杯の縁やユリの花のような造りだった。水ためには6万6000リットルの水を入れることができた。
  6 洗うための水盤を10個作って,5個を家の右に,5個を家の左に置いた。全焼の捧げ物に使う物をす
すぐのに使われた。一方,「海」は祭司たちが手足を洗うためのものだった。
  7 金のランプ台を10個,設計に従って作り,神殿の中に置いた。5個を右に,5個を左に置いた。
  8 食卓を10個作り,神殿の中に置いた。5個を右に,5個を左に置いた。また,金の鉢を100個作っ
た。
  9 祭司の庭と大きな庭と庭の扉を造り,扉に銅をかぶせた。 10 そして,「海」を家の右側,南東に置い
た。
  11 ヒラムは缶とシャベルと鉢も作った。
  こうしてヒラムは真の神の家に関してソロモン王から頼まれた仕事を完了した。彼が作った物は以下の通
りである。 12 2本の柱と,2本の柱のてっぺんにある鉢形の柱頭。柱のてっぺんにある2つの鉢形の柱頭を
飾る2つの網細工。 13 2つの網細工のための400個のザクロ,すなわち柱の上にある2つの鉢形の柱頭を
飾る,それぞれの網細工のための2列のザクロ。 14 10台の台車と,台車に載せる10個の水盤。 15
「海」と,その下の12頭の雄牛。 16 缶とシャベルと肉刺し,全ての器具。ヒラム・アビブがソロモン王の
ため,エホバの家のために作ったこれらの物は銅でできていて,磨き上げられていた。 17 王は,ヨルダン地
域,スコトとツェレダの間の粘土層の土地でこれらを鋳造させた。 18 ソロモンはこれら全ての器具を大量に
作った。その銅の重さは確かめられなかった。
  19 ソロモンは真の神の家のための全ての器具を作った。金の祭壇,供えのパンを置く食卓, 20 規定に
従って奥の部屋の前でともす純金のランプとランプ台を作り, 21 花,ランプ,芯つまみを金で,最も純度の
高い金で作った。 22 明かり消し,鉢,杯,炭入れを純金で,家の入り口,奥の至聖所の扉と神殿の家の扉を
金で作った。
  5 章
  1 こうしてソロモンは,エホバの家のために必要な仕事全てを完了した。ソロモンは,父ダビデが聖なる
ものとした物を運び入れた。銀,金,器物類全部を真の神の家の宝物庫に納めた。 2 ソロモンはイスラエルの
長老たち,全ての部族長,イスラエルの氏族長たちを招集した。彼らはエホバの契約の箱を「ダビデの町」つ
まりシオンから運ぶため,エルサレムにやって来た。 3 イスラエルの全ての人たちは,第7の月に行われる祭
りの時,王の前に集合した。
  4 イスラエルの全ての長老が到着すると,レビ族の人たちは箱を担いだ。 5 彼らは,箱,会見の天幕,
天幕の中にあった全ての聖なる器具を運んだ。祭司とレビ族が運んだ。 6 ソロモン王と,王のもとに招集され
たイスラエルの民全体が,箱の前にいた。数え切れないほど多くの羊や牛が犠牲として捧げられた。 7 祭司た
ちはエホバの契約の箱を所定の場所に置いた。家の奥の部屋つまり至聖所のケルブの翼の下である。 8 箱があ
る場所の上にケルブの翼が広がっていたので,箱とその棒はケルブに覆われていた。 9 棒は長かったため,先
端が奥の部屋の前の聖所から見えた。しかし外からは見えなかった。それらは今もそこにある。 10 箱の中に
は2枚の石板以外は何もなかった。その石板は,エジプトから出てきたイスラエルの民とエホバが契約を結ん
だ時に,ホレブでモーセがそこに納めたものである。
  11 祭司たちが聖なる場所から出てくると(そこにいた祭司たちは皆,どの組かに関わりなく,自分を神聖
なものとしていた), 12 アサフ,ヘマン,エドトン,またその3人の子や兄弟たちが率いるレビ族の歌い手
たち皆が,上等の織物を着て,シンバルや弦楽器やたて琴を持ち,祭壇の東に立っていた。また,彼らと共に,
120人の祭司がラッパを吹いていた。 13 ラッパ奏者と歌い手たちが一つになってエホバに賛美と感謝を捧
げ,ラッパやシンバルなどの楽器の音色が響く中,「神は善い方,神の揺るぎない愛は永遠に続く」とエホバ
を賛美すると,雲が家に,エホバの家に満ちた。 14 祭司たちは雲に遮られ,奉仕することができなくなった。
エホバの栄光が真の神の家に満ちたのである。
  6 章
  1 その時,ソロモンは言った。「エホバは,濃い暗闇の中に住む,とおっしゃいました。 2 私は今,あ
なたのために,荘厳な家を,あなたがいつまでも住める場所を建てました」。
  3 王は向き直って,イスラエルの会衆全体のために祝福を願い求め始めた。その間,イスラエルの会衆全
体は立っていた。 4 王は言った。「ご自分の口で私の父ダビデに約束し,ご自分の手でそれを果たされたイス
ラエルの神エホバが賛美されますように。神はこう言いました。 5 『私の民をエジプトから連れ出した日から
今まで,私は,私の名が尊ばれる家を建てるためにイスラエルのいずれかの部族の領地から町を選ぶことはし
なかった。私の民イスラエルの指導者になる人を選ぶこともしなかった。 6 しかし私は今,私の名が尊ばれる
場所としてエルサレムを選び,私の民イスラエルを治めさせるためにダビデを選んだ』。 7 私の父ダビデは,
イスラエルの神エホバの名のために家を建てることを心から願っていました。 8 しかしエホバは父ダビデにこ
う言いました。『あなたは私の名のために家を建てたいと心から願った。心からそう願ったのはとても良いこ
とだ。 9 とはいえ,あなたがその家を建てることはない。あなたに生まれる子が私の名のために家を建てる』。
10 エホバは約束を果たされました。エホバの約束通り,私は父ダビデの跡を継いでイスラエルの王座につき
ました。そしてイスラエルの神エホバの名のために家を建てました。 11 また,エホバがイスラエルの民と結
んだ契約を記した石板が納められている箱をそこに置きました」。
  12 ソロモンはイスラエルの会衆全体の前でエホバの祭壇の前に立ち,両手を広げた。 13 (ソロモンは
銅の演壇を作って,庭の真ん中に置いていた。それは長さ2.2メートル,幅2.2メートル,高さ1.3メート
ルで,彼はその上に立った。)ソロモンはイスラエルの会衆全体の前でひざまずき,天に向かって両手を広げ
て, 14 こう言った。「イスラエルの神エホバ,天にも地にも,あなたのような神はいません。あなたは,心
を尽くしてあなたに仕える人たちに対して契約を守り,揺るぎない愛をお示しになる方です。 15 あなたは,
あなたに仕えた父ダビデへの約束を守られました。ご自分の口で約束し,今日ご自分の手でそれを果たされま
した。 16 それで今,イスラエルの神エホバ,あなたが父ダビデに,『あなたの子たちがあなたと同じように
私の律法に従って歩み続けるなら,私の前でイスラエルの王座には必ずあなたの家系の人がつく』と言って交
わした約束をお守りください。 17 イスラエルの神エホバ,あなたがなさったダビデへの約束がその通りにな
りますように。
  18 神は果たして人と共に地上にお住みになるのでしょうか。天も,天の天も,あなたには狭く,十分では
ありません。私が建てたこの家など,なおさらです! 19 私の神エホバ,私の祈りと,恵みを求める願いに耳
を傾けてください。助けを求める私の叫びと,私があなたの前で捧げている祈りをお聞きください。 20 あな
たがご自分の名を付すと言われたこの家を,あなたが昼も夜も見守り,この場所に向かって捧げる私の祈りを
聞いてくださいますように。 21 助けを求める私の願いと,あなたの民イスラエルがこの場所に向かって祈る
願いをお聞きください。あなたが,住まいである天から聞いてくださいますように。どうか,聞いてお許しく
ださいますように。
  22 仲間に対して罪を犯したとされる人が,誓いを立てさせられて,その誓いに縛られた状態でこの家の祭
壇の前に来る時, 23 あなたが天からお聞きになって裁きを行い,悪い人には返報して相応の罰を与え,正し
い人には無罪と宣告して,その正しさに応じた報いをお与えになりますように。
  24 あなたの民イスラエルが,あなたに対して罪を犯し続けたために,敵に打ち破られた場合,民が戻って
あなたの名をたたえ,この家であなたの前で祈って恵みを求めるなら, 25 あなたが天からお聞きになってイ
スラエルの民の罪を許し,民と父祖たちにお与えになった土地に民を連れ戻してくださいますように。
  26 民があなたに対して罪を犯し続けたために,天が閉ざされて雨が降らなくなり,あなたに卑しめられた
ゆえに民がこの場所に向かって祈り,あなたの名をたたえ,罪から離れるなら, 27 あなたが天からお聞きに
なり,あなたに仕える人たちの罪を,イスラエルの民の罪を許してくださいますように。歩むべき良い道を民
に教え,民にお与えになったあなたの土地に雨を降らせてくださいますように。
  28 この国に飢饉や疫病,立ち枯れや病害,バッタの大群が発生したり,この国のいずれかの町が敵に包囲
されたり,ほかの何らかの災厄や病気が生じたりした場合, 29 誰かがあるいはイスラエルの民の皆が苦しみ
や痛みを覚え,この家に向かって両手を広げて祈るなら,どの祈りも恵みを求めるどの願いも, 30 あなたが,
住まいである天からお聞きになり,許し,それぞれの歩みに応じた報いをお与えになりますように。あなたは
一人一人の心をご存じだからです。あなただけが人の心を知っておられます。 31 民が,父祖たちにあなたが
お与えになった土地で生きる間ずっと,あなたを畏れてあなたの道を歩みますように。
  32 また,あなたの偉大な名と力強い手と伸ばした腕について聞いて遠い国からやって来る,イスラエルの
民ではない外国人がこの家に向かって祈るなら, 33 あなたが,住まいである天からお聞きになり,その外国
人が願うことを全て行ってくださいますように。そのようにして,地上の全ての民があなたの名を知って,イ
スラエルの民と同じようにあなたを畏れ,私が建てたこの家があなたの名で呼ばれていることを知りますよう
に。
  34 あなたの民があなたに遣わされて,敵と戦うためにどこかに行く場合,その民があなたが選んだこの都
市の方を向き,あなたの名のために私が建てた家に向かってあなたに祈るなら, 35 その祈りと恵みを求める
願いを天からお聞きになり,民のために行動してください。
  36 彼らがあなたに対して罪を犯した場合(罪を犯さない人は一人もいません),あなたが憤って彼らを敵
に渡し,彼らが捕らえられて,遠くであれ近くであれ,どこかの土地に連れ去られ, 37 行ったその土地で本
心に立ち返ってあなたのもとに戻り,『私たちは罪を犯し,間違ったことをしました。悪いことをしました』
と言って恵みを求めるなら, 38 また,連れていかれたその土地で,彼らが心を尽くし自分の全てを尽くして
あなたのもとに戻り,父祖たちにあなたがお与えになった土地とあなたが選んだ都市の方を向き,あなたの名
のために私が建てた家に向かってあなたに祈るなら, 39 あなたが,住まいである天から,彼らの祈りと恵み
を求める願いをお聞きになり,彼らのために行動し,あなたに対して罪を犯した彼らを許してくださいますよ
うに。
  40 私の神,この場所で捧げられる祈りにどうか目を向け,耳を傾けてくださいますように。 41 どうぞ,
エホバ神,あなたの力を象徴する箱と共に,あなたの休み場にお入りになってください。エホバ神,祭司たち
に救いをまとわせてください。あなたに尽くす人たちに善いことを楽しませてください。 42 エホバ神,あな
たが選んだ者を退けないでください。あなたに仕えたダビデへの揺るぎない愛を覚えていてくださいますよう
に」。
  7 章
  1 ソロモンが祈り終えると,すぐに天から火が下ってきて,全焼の捧げ物と犠牲を焼き尽くし,エホバの
栄光が家に満ちた。 2 祭司たちはエホバの家に入れなかった。エホバの栄光がエホバの家に満ちたためだった。
3 火が下ってきて,エホバの栄光が家の上に現れた時,イスラエルの民の皆が見ていた。彼らは石畳の上で身
をかがめてひれ伏し,エホバに感謝して,「神は善い方,神の揺るぎない愛は永遠に続く」と言った。
  4 王と民は皆,エホバの前で犠牲を捧げた。 5 ソロモン王は牛2万2000頭と羊12万匹の犠牲を捧
げた。こうして王と民は皆,真の神の家を奉献した。 6 祭司たちは持ち場に就いて立っていた。レビ族の人た
ちも,エホバへの歌の伴奏のために楽器を持って立っていた。(それはダビデ王が作った楽器で,その演奏と
共にダビデが賛美を捧げる時,「神の揺るぎない愛は永遠に続く」と言ってエホバに感謝するためのものだっ
た。)祭司たちはその前でラッパを大きく吹き鳴らし,イスラエル人は皆立っていた。
  7 それからソロモンはエホバの家の前にある庭の中央を神聖なものとした。全焼の捧げ物と共食の犠牲の
脂肪の部分を,その場所で捧げなければならなかったからである。ソロモンが造った銅の祭壇には,全焼の犠
牲と穀物の捧げ物と脂肪の部分が載り切らなかったのである。 8 同じ時,ソロモンはイスラエル全体と共に7
日間祭りを行った。遠くはレボ・ハマトやエジプトの谷からも非常にたくさんの群衆が集まった。 9 祭壇の奉
献式を7日間,祭りを7日間行い,8日目には特別な集まりを開いた。 10 第7の月の23日,王は民を去ら
せた。民は,エホバがダビデとソロモンとイスラエルの民にした良いことを喜び,うれしい気持ちで家に帰っ
ていった。
  11 こうしてソロモンはエホバの家と王の家を完成させた。エホバの家と自分の家に関して行おうと考えて
いたことを全て滞りなくやり遂げた。 12 エホバは夜,ソロモンに現れて,こう言った。「私はあなたの祈り
を聞き,この場所を犠牲のための家として選んだ。 13 私が天を閉ざして雨が降らなくなった場合や,バッタ
に命じて土地を食い尽くさせた場合,私の民の中に疫病を広めた場合, 14 私の名で呼ばれる民が謙遜になり,
祈って私の好意を求め,悪い行いをやめるなら,私は天から聞いて罪を許し,土地を回復させる。 15 私はこ
の場所で捧げられる祈りに目を向け,耳を傾ける。 16 私はこの家を選んで神聖なものとしたので,私の名は
ずっとここにとどまる。私の目と心はいつもここにある。
  17 あなたが父ダビデと同じように私に仕え,私が命じたこと全てを行って,私の規定と法規を守るなら,
18 私は,あなたの父ダビデに『あなたの家系の人が必ずイスラエルを治める』と言って結んだ契約の通り,あ
なたの王権の王座が揺るがないようにする。 19 もしあなたが背を向けて,私が与えた法令とおきてを破り,
ほかの神々に仕え始めてひれ伏すなら, 20 私は,私が与えた土地からイスラエルを立ち退かせ,私が自分の
名のために神聖なものとしたこの家を投げ捨てる。それは全ての民の中で軽蔑やあざけりの的となる。 21 こ
の家は廃虚となる。そばを通る人は皆,驚いて見つめ,『エホバはどうしてこの土地とこの家にこのようなこ
とをしたのだ』と言い, 22 人々はこう答える。『彼らが,エジプトから父祖たちを連れ出したエホバ神を捨
てて,ほかの神々に頼ってひれ伏し,仕えたからだ。だから,神はこの全ての災いを彼らにもたらしたの
だ』」。
  8 章
  1 ソロモンは,エホバの家と自分の家を20年かけて建てた。 2 ソロモンはヒラムから受け取った町々
を再建して,そこにイスラエル人を住ませた。 3 さらに,ハマト・ツォバに行って,そこを攻め取った。 4
荒野のタドモルと,ハマトに築いてあった倉庫の町全ての防備を固めた。 5 城壁や門やかんぬきのある防備さ
れた町である上ベト・ホロンと下ベト・ホロンも築いた。 6 そして,バアラト,ソロモンの倉庫の町,兵車の
町,騎手のための町を築き,エルサレム,レバノン,そのほかの全領土に建てたいと望んでいたものを建てた。
  7 イスラエルではない,ヘト人,アモリ人,ペリジ人,ヒビ人,エブス人の民で, 8 国内に生き残って
いる子孫たち(イスラエル人が全滅させなかった人たち)を,ソロモンは強制労働に徴用し,今に至っている。
9 ソロモンはイスラエル人の誰も工事のための奴隷にしなかった。彼らは戦士,副官の長,兵車の乗り手や騎
手の長だった。 10 ソロモン王の代官の長,民の現場監督が250人いた。
  11 ソロモンはまた,ファラオの娘を「ダビデの町」から,彼女のために建てた家に移した。彼は言った。
「私の妻ではあるが,彼女はイスラエルのダビデ王の家に住むべきではない。エホバの箱があった場所は聖な
る所だからだ」。
  12 ソロモンは,玄関の前に建てたエホバの祭壇で,エホバに全焼の犠牲を捧げた。 13 モーセのおきて
に従って,日課通りに犠牲を捧げ,安息日,新月,年に3度の決められた祭り(無酵母パンの祭り,七週の祭
り,仮小屋の祭り)の時に捧げ物をした。 14 さらに,父ダビデの規則に従って祭司の組を決め,奉仕させた。
レビ族には,日課通りに祭司たちの前で賛美し,奉仕する務めを与え,門番には,組ごとに別々の門を担当さ
せた。真の神に仕えた人ダビデがそう命じていたからである。 15 彼らは,倉庫に関してであれ,ほかのどん
なことに関してであれ,祭司とレビ族への王の命令に背かなかった。 16 ソロモンの工事は全て,エホバの家
の土台を据えた日から完成の時まで,よく組織されていた。こうしてエホバの家は出来上がった。
  17 それからソロモンは,エドム地方の海辺のエツヨン・ゲベルとエロトに行った。 18 ヒラムは家来たち
を通して,船と経験を積んだ船乗りたちをソロモンのもとに送ってきた。彼らはソロモンの家来たちと共にオ
フィルへ行き,そこで15トンの金を手に入れ,ソロモン王の所に運んだ。
  9 章
  1 さて,シェバの女王はソロモンの名声について聞いた。それで彼女はソロモンを難問で試そうとしてエ
ルサレムにやって来た。彼女は大勢の従者を率い,ラクダにバルサム油や非常に多くの金と宝石を載せてきた。
そしてソロモンの所に来て,知りたいと思っていたことを全部尋ねた。 2 ソロモンは全ての質問に答えた。ソ
ロモンにとって難しくて分からないことは一つもなく,全てを説明した。
  3 シェバの女王は,ソロモンの知恵や建てた家を目にして, 4 また,食卓の食べ物,家来たちが座って
いる様子,給仕人たちの食卓での応対や服装,王に仕える献酌人たちやその服装,王がエホバの家でいつも捧
げる全焼の犠牲を見て,息をのんだ。 5 彼女は王に言った。「私が自分の国であなたの功績と知恵について聞
いたことは,本当でした。 6 私は来て,この目で見るまでは,信じていませんでした。私はあなたの豊かな知
恵の半分も知らされていませんでした。あなたは私が聞いていたことをはるかに超えた方です。 7 あなたの民
は幸せです。いつもあなたの前に立って,あなたの知恵を聞いている家来たちも幸せです。 8 あなたの神エホ
バが賛美されますように。神はあなたのことを喜ばれ,ご自分の王座につかせて,あなたをエホバ神の代理の
王にしました。神はイスラエルを愛しているので,イスラエルを永続させるため,あなたに公正で正しいこと
を行わせようと,あなたをイスラエルの王に任命したのです」。
  9 それから彼女は,4トンの金と多量のバルサム油と宝石を王に贈った。シェバの女王がソロモン王に贈
ったほどのバルサム油が届けられることは,二度となかった。
  10 さらに,オフィルから金を運んでくるヒラムの家来たちとソロモンの家来たちが,アルグムの木材と宝
石も運んできた。 11 王はそのアルグムの木材でエホバの家と王の家の階段を作り,また歌い手たちのために
たて琴と弦楽器を作った。そのようなものは,それまでユダで見られたことがなかった。
  12 ソロモン王は,シェバの女王が持ってきた物以上の物を,女王の求めに応じて望み通りに何でも贈った。
それから,彼女は出発し,家来たちと共に自分の国に帰っていった。
  13 1年間にソロモンの所に入ってきた金の重さは,23トン近くになった。 14 ほかに,商人や貿易商,
アラブの全ての王,国内の総督たちも,ソロモンの所に金銀を持ってきた。
  15 ソロモン王は,金の合金で大盾を200個作り(各大盾を約7キロの金の合金で覆った), 16 金の
合金で小盾を300個作った(各小盾を1.7キロの金で覆った)。そして,それらを「レバノンの森の家」に
置いた。
  17 さらに,王は大きな象牙の王座を作り,それに純金をかぶせた。 18 その王座までには6つの段があ
り,王座には金の足台が付いていた。座面の両側には肘掛けがあり,肘掛けのそばに2頭のライオンが立って
いた。 19 6つの段には,各段の両端に1頭ずつ,合計12頭のライオンが立っていた。このようなものが作
られた王国はほかになかった。 20 ソロモン王が飲むのに使う器は全て金であり,「レバノンの森の家」の器
具も全て純金だった。銀のものは何もなかった。ソロモンの時代,銀は価値がないと見なされていた。 21 王
はヒラムの家来たちが乗り組むタルシシュ行きの船を持っていて,そのタルシシュの船が3年に1度,金,銀,
象牙,猿,クジャクを載せてきた。
  22 ソロモン王は,地上のどの王よりも豊かな富と知恵を持っていた。 23 世界中の王たちがソロモンに
会う機会を求めた。真の神がソロモンの心に授けた知恵を聞くためだった。 24 人々が毎年,銀の品,金の品,
衣服,武具,バルサム油,馬,ラバなどの贈り物を持ってきた。 25 ソロモンは4000棟の馬小屋と兵車と
1万2000頭の馬を持ち,兵車の町とエルサレムの王のそばに配置した。 26 彼は,川からフィリスティア
人の土地そしてエジプトの国境までの王を皆治めた。 27 ソロモン王のおかげで,エルサレムで銀は石のよう
に多くなり,杉材はシェフェラにあるエジプトイチジクの木のように多くなった。 28 ソロモンのもとに,馬
がエジプトやほかのあらゆる国から送られてきた。
  29 ソロモンについてのほかの記録は,最初から最後まで,預言者ナタンの言葉,シロの人アヒヤの預言,
ネバトの子ヤラベアムに関する神からの幻を伝える人イドの幻の記録に記されている。 30 ソロモンはエルサ
レムでイスラエル全体を40年治めた。 31 ソロモンはやがて死んだ。そして父ダビデの町に葬られた。代わ
りにソロモンの子レハベアムが王になった。
  10 章
  1 レハベアムはシェケムに行った。イスラエル全体が彼を王にするためにシェケムに来ていたからである。
2 ネバトの子ヤラベアムはそのことを聞くと(ヤラベアムはソロモン王から逃げてエジプトにまだいた),エ
ジプトから戻ってきた。 3 人々がヤラベアムを呼び寄せたので,ヤラベアムとイスラエル全体はレハベアムの
もとに行き,こう言った。 4 「あなたの父上は私たちに過酷な荷を負わせました。あなたがその過酷な労働を
楽にし,あなたの父上に負わされた重い荷を軽くしてくださるなら,私たちはあなたに仕えます」。
  5 レハベアムは言った。「あさって戻ってきなさい」。それで民は去っていった。 6 レハベアム王は,
父ソロモンが生きていた頃に父に仕えていた年長者たちに相談し,こう言った。「この民にどう答えたらよい
か,何か助言がありますか」。 7 彼らは言った。「あなたがこの民に良くして喜ばせ,良い返答をするなら,
民はずっとあなたに仕えるでしょう」。
  8 ところが,レハベアムは年長者たちの助言を無視し,共に成長して今は自分の従者となっている若者た
ちに相談した。 9 こう尋ねた。「民にどう答えたらよいか,何か助言があるか。民は,『あなたの父上が私た
ちに負わせた荷を軽くしてください』と言っている」。 10 レハベアムと共に成長した若者たちはこう言った。
「民が,『あなたの父上は私たちに重い荷を負わせました。私たちのためにその荷を軽くしてください』と言
っているなら,こう言うとよいと思います。『私は父よりも厳しくする。 11 父はあなたたちに重い荷を負わ
せたが,私はその荷をいっそう重くする。父はあなたたちをむちで懲らしめたが,私はとげむちを使う』」。
  12 ヤラベアムと民は,「あさって戻ってきなさい」とレハベアム王に言われた通り,2日後に王の所に来
た。 13 王は彼らに厳しく話した。レハベアム王は年長者たちの助言を無視したのである。 14 若者たちの助
言に従い,こう言った。「私はあなたたちにより重い荷を負わせる。あなたたちの荷をいっそう重くする。父
はあなたたちをむちで懲らしめたが,私はとげむちを使う」。 15 こうして王は民の言ったことを聞き入れな
かった。真の神がそのように事を運んだのである。エホバが,シロの人アヒヤを通してネバトの子ヤラベアム
に伝えた言葉の通りになるようにしたのだった。
  16 イスラエルの皆は,言ったことが王に聞き入れられなかったので,こう反応した。「われわれにダビデ
と分け合うものが何かあるだろうか。エッサイの子から受けるものは何もない。イスラエルよ,それぞれ自分
の神々のもとに帰れ。ダビデ家の者たちよ,自分のことは自分でするがいい!」 こうしてイスラエルの皆は家
に帰った。
  17 ユダの町々に住んでいるイスラエル人については,引き続きレハベアムが治めた。
  18 レハベアム王が,強制労働に徴用された人たちをまとめていたハドラムを遣わすと,イスラエル人はハ
ドラムを石打ちにして殺した。レハベアム王はどうにかして兵車に乗り,エルサレムに逃げた。 19 こうして
イスラエル人はダビデ家に反抗し,今に至っている。
  11 章
  1 レハベアムはエルサレムに着くと,直ちにユダ族とベニヤミンの中から訓練された戦士18万人を集め
た。王国を取り戻すため,イスラエルと戦おうとしたのである。 2 すると,真の神に仕える人シェマヤにエホ
バが言った。 3 「ソロモンの子であるユダの王レハベアムと,ユダとベニヤミンにいるイスラエル全員に,こ
う言いなさい。 4 『エホバはこう言っている。「行ってはならない。あなたたちの兄弟と戦ってはならない。
おのおの自分の家に帰りなさい。このようなことが起こるようにしたのは私だからである」』」。彼らはエホ
バの言葉に従って帰り,ヤラベアムを攻めには行かなかった。
  5 レハベアムはエルサレムに住み,防備された町をユダに築いた。 6 次の町を築いたのである。ベツレ
ヘム,エタム,テコア, 7 ベト・ツル,ソコ,アドラム, 8 ガト,マレシャ,ジフ, 9 アドライム,ラキシ
ュ,アゼカ, 10 ツォルア,アヤロン,ヘブロン。これらはユダとベニヤミンにある防備された町だった。
11 レハベアムは防備された場所を補強して,そこに指揮官を配置し,食料と油とぶどう酒を供給した。 12
また,各町に大盾と小やりを供給し,町々を大いに強化した。こうして,ユダとベニヤミンはレハベアムのも
のであり続けた。
  13 イスラエル全域にいた祭司とレビ族が,自分の土地から出てきてレハベアムの側に付いた。 14 レビ
族が自分の牧草地と所有地を捨てて,ユダとエルサレムに来たのである。それは,祭司としてエホバに仕えて
いたのを,ヤラベアムとその子たちによって辞めさせられたからだった。 15 ヤラベアムは独自に祭司たちを
任命し,高い場所で,ヤギのような邪悪な天使たちや自分が作った子牛に奉仕させたのだった。 16 エルサレ
ムには,祭司とレビ族に続き,イスラエルの全部族の中から,一心にイスラエルの神エホバに仕えようとする
人たちが,父祖たちの神エホバに犠牲を捧げるためにやって来た。 17 彼らはその後3年にわたり,ユダの王
権を強化し,ソロモンの子レハベアムを支持した。ダビデとソロモンの道を3年間歩んだのである。
  18 レハベアムはマハラトを妻にした。彼女は,ダビデの子エリモトと,エッサイの子エリアブの娘アビハ
イルとの間の娘である。 19 やがて彼女は子を産んだ。エウシュ,シェマルヤ,ザハムである。 20 マハラト
の後に,レハベアムはアブサロムの孫娘マアカを妻にした。やがてマアカは,アビヤ,アタイ,ジザ,シェロ
ミトを産んだ。 21 レハベアムは,全ての妻と側室の中で,アブサロムの孫娘マアカを一番愛していた。彼に
は18人の妻と60人の側室がいて,28人の息子と60人の娘が生まれた。 22 レハベアムは,兄弟たちの
中でマアカの子アビヤを長また指揮官に任命した。彼を王にしたかったからである。 23 レハベアムは知恵を
働かせ,自分の子の何人かをユダとベニヤミンの全域の防備された町々に送り,食料をたくさん与え,多くの
妻を見つけてやった。
  12 章
  1 王権が揺るがないものとなり,力が強まると,レハベアムはエホバの律法を捨てた。イスラエル全体も
彼と同じようにした。 2 彼らがエホバに不忠実な振る舞いをしたため,レハベアム王の治世の第5年に,エジ
プトのシシャク王がエルサレムに攻め上ってきた。 3 シシャクは,1200両の兵車,6万人の騎手,無数の
兵士(リビア人,スキイム人,エチオピア人)をエジプトから率いてきた。 4 彼はユダの防備された町々を攻
め取り,やがてエルサレムにまで来た。
  5 預言者シェマヤがエルサレムのレハベアムの所に来た。ユダの高官たちもシシャクのことでそこに集ま
っていた。シェマヤは言った。「エホバはこう言っています。『あなたたちが私を捨てたので,私もあなたた
ちを捨ててシシャクの手に渡した』」。 6 イスラエルの高官たちと王は謙遜になり,「エホバは正しい」と言
った。 7 エホバは彼らが謙遜になったのを見た。それでエホバはシェマヤに言った。「彼らは謙遜になった。
私は彼らを滅ぼすことはせず,間もなく救い出す。シシャクを通してエルサレムに憤りを向けることはしない。
8 しかし,彼らはシシャクに仕えることになる。そして,私に仕えることと他国の王に仕えることとの違いを
知るようになる」。
  9 こうしてエジプトのシシャク王がエルサレムに攻め上ってきた。シシャクはエホバの家の財宝と王の家
の財宝を奪った。ソロモンが作った金の盾を含め,あらゆるものを奪った。 10 レハベアム王は代わりに銅の
盾を作り,王の家の入り口の守衛の長たちに託した。 11 王がエホバの家に行く時にはいつでも,守衛たちは
来て盾を持ち,その後,守衛室に盾を戻すのだった。 12 王が謙遜になったので,エホバは王への怒りを静め,
都市を完全に滅ぼすことはなかった。ユダには良い点がいくらかあった。
  13 レハベアム王はエルサレムで権力を強め,引き続き治めた。レハベアムは41歳で王になり,エホバが
ご自分の名を付すためにイスラエルの全部族の領地から選んだ都市エルサレムで17年治めた。王の母はナア
マといい,アンモン人だった。 14 レハベアムは悪いことを行った。エホバの導きを求めることを心に決めて
いなかったからである。
  15 レハベアムについての記録は,最初から最後まで,預言者シェマヤと神からの幻を伝える人イドが家系
の記録に沿って書いた物の中に記されている。レハベアムとヤラベアムの間には戦いが絶えなかった。 16 レ
ハベアムはやがて死に,「ダビデの町」に葬られた。代わりにレハベアムの子アビヤが王になった。
  13 章
  1 アビヤがユダの王になったのは,ヤラベアム王の治世の第18年のことだった。 2 アビヤはエルサレ
ムで3年治めた。彼の母はミカヤといい,ギベアのウリエルの娘だった。アビヤとヤラベアムの間に戦いがあ
った。
  3 アビヤは,40万人の訓練された強い戦士を率いて戦いに行った。ヤラベアムも,80万人の訓練され
た強い戦士を率いて戦闘隊形を組んだ。 4 アビヤは,エフライムの山地にあるツェマライム山に立って言った。
「ヤラベアムとイスラエルの人たち,聞きなさい。 5 あなたたちは知らないのですか。イスラエルの神エホバ
は塩の契約により,ダビデとその子たちがイスラエルの王国を永遠に治めるようにしました。 6 それなのに,
ダビデの子ソロモンの家来,ネバトの子ヤラベアムが立ち上がって主人に背きました。 7 そして,怠惰などう
しようもない者たちがそのもとに集まっていきました。彼らはソロモンの子レハベアムより優勢になり,レハ
ベアムは若くて気弱だったので,持ちこたえられませんでした。
  8 あなたたちは今,ダビデの子たちの手にあるエホバの王国に張り合えると考えています。あなたたちは
大軍となり,ヤラベアムがあなたたちのために神として作った金の子牛もあるからでしょう。 9 あなたたちは
アロンの子孫であるエホバの祭司とレビ族を追い出し,他の国の人々と同じように独自の祭司を任命しました。
そうではないですか。若い雄牛1頭と雄羊7匹を持ってきた人は誰でも祭司になっています。神ではないもの
に仕える祭司にです。 10 私たちの場合,エホバが私たちの神で,私たちはこの方を捨てていません。アロン
の子孫である祭司がエホバに奉仕し,レビ族が仕事を補佐しています。 11 彼らは朝と夕方にいつも,香り高
い香と共にエホバへの全焼の捧げ物を焼いて煙にしています。重ねのパンを純金の食卓に置き,金のランプ台
のランプを夕方にいつもともしています。私たちはエホバ神への責務を重んじているのです。でも,あなたた
ちはこの方を捨てました。 12 真の神は私たちと共にいて導き,祭司たちがあなたたちに向かって戦いの合図
のラッパを吹き鳴らそうとしています。イスラエルの人たち,あなたたちの父祖の神エホバと戦ってはなりま
せん。決して成功しないからです」。
  13 それでも,ヤラベアムは伏兵を回して背後から近づかせようとした。ユダの前に軍勢がいて,後ろに伏
兵がいるようにしたのである。 14 ユダの人たちが振り向くと,攻撃が前からも後ろからも迫っていた。それ
で彼らはエホバに向かって叫びだし,その間,祭司たちはラッパを大きく吹き鳴らしていた。 15 ユダの人た
ちはときの声を上げた。その時,真の神はアビヤとユダの前でヤラベアムとイスラエル全体を打ち破った。 16
イスラエル人はユダの前から逃げ去り,神はイスラエル人をユダの手に渡した。 17 アビヤと民は大勢を殺し
た。イスラエルの訓練された人50万人が次々と殺されて倒れていったのである。 18 こうしてイスラエルの
人たちは卑しめられ,ユダの人たちは父祖たちの神エホバに頼ったので勝利を収めた。 19 アビヤはヤラベア
ムの後を追い,ベテルと周辺の町,エシャナと周辺の町,エフラインと周辺の町など,幾つかの町を奪い取っ
た。 20 ヤラベアムがアビヤの時代に勢力を取り戻すことはなかった。エホバが彼を打ったので,彼は死んだ。
  21 一方,アビヤは力を強めていった。14人の妻を持ち,22人の息子と16人の娘が生まれた。 22
アビヤについてのほかの記録,行ったことや語ったことは,預言者イドの書物に記されている。
  14 章
  1 アビヤはやがて死に,「ダビデの町」に葬られた。代わりにアビヤの子アサが王になった。アサの時代,
国は10年間平穏だった。
  2 アサは,エホバ神から見て正しくて良いことを行った。 3 外国の神の祭壇と高い場所を取り除き,聖
柱を打ち砕き,聖木を切り倒した。 4 そしてユダに,父祖たちの神エホバに仕えて律法とおきてを守るように
と言った。 5 ユダの全ての町から高い場所と香台を取り除いた。アサの統治の下,王国は平穏であり続けた。
6 アサは防備された町々をユダに築いた。国には騒乱がなく,この時期,アサに対する戦争はなかった。エホ
バが彼を休ませたからである。 7 アサはユダに言った。「これらの町を築き,周りに城壁や塔,門やかんぬき
を造りましょう。私たちがエホバ神に仕えたので,この土地は今も私たちのものです。私たちが仕えたので,
神は周囲の敵から守って安心させてくださいました」。こうして建設はうまくいった。
  8 アサには,大盾と小やりを装備したユダの兵士が30万人いた。また,小盾を持ち,弓で武装したベニ
ヤミンの強い戦士が28万人いた。
  9 やがて,エチオピア人ゼラハが100万人の軍勢と300両の兵車を率いて,攻めてきた。ゼラハがマ
レシャに来ると, 10 アサは向かって出ていき,マレシャのツェファタの谷で戦闘隊形を組んだ。 11 アサは
エホバ神に呼び掛け,こう言った。「エホバ,あなたは,どんなに多くの人でもどんなに無力な人でも助ける
ことができる方です。私たちの神エホバ,助けてください。私たちはあなたに頼り,あなたの名によってこの
軍勢に向かって出てきました。エホバ,あなたは私たちの神です。死にゆく人間があなたに勝つことがありま
せんように」。
  12 すると,エホバはアサとユダの前でエチオピア人を打ち破り,エチオピア人は逃げ去った。 13 アサ
とユダの人たちは彼らをゲラルまで追跡したので,エチオピア人は次々に倒れ,一人も生き残らなかった。彼
らはエホバとその方の軍勢に完全に打ち破られたのである。それからユダの人たちは非常に多くの戦利品を得
た。 14 さらに,ゲラルの周りの町を全て襲撃した。町々はエホバからの恐怖に包まれた。そこには多くの物
品があったので,彼らは全ての町で略奪した。 15 家畜を持つ人たちの天幕も襲い,羊とラクダをたくさん捕
まえて,エルサレムに帰ってきた。
  15 章
  1 さて,オデドの子アザリヤは神の聖なる力を受けた。 2 それで,アザリヤはアサに会いに行き,こう
言った。「アサと,ユダとベニヤミンの全ての人たち,聞いてください! 皆さんがエホバのもとにとどまる限
り,神は皆さんと共にいてくださいます。皆さんが神を探し求めるなら,神を見つけられますが,神を捨てる
なら,神から捨てられます。 3 長い間,イスラエルには真の神も教える祭司もおらず,律法もありませんでし
た。 4 しかし,彼らは苦難に遭ってイスラエルの神エホバのもとに戻ろうとし,神を探し求めたので,神を見
つけることができました。 5 その頃は安全に旅をすることができませんでした。各地の住民の間で大きな騒乱
があったからです。 6 国民が国民に打ち破られ,町が町に打ち破られていました。神があらゆる苦難によって
混乱させていたからです。 7 皆さん,勇気を出してください。気力を失ってはなりません。皆さんの行動は必
ず報われます」。
  8 アサはこの言葉と預言者オデドの預言を聞いて,勇気を奮い起こし,ユダとベニヤミンの全域や,エフ
ライムの山地から奪い取った町々から汚らわしい偶像を取り除き,エホバの家の玄関の前にあったエホバの祭
壇を復旧させた。 9 また,ユダとベニヤミンの全ての人を集めた。さらに,エフライムやマナセやシメオンか
ら来てその人たちに加わった外国人居住者も集めた。エホバ神がアサと共にいるのを見て,アサを頼ってイス
ラエルからやって来た大勢の人たちである。 10 こうして,アサの治世の第15年,第3の月にエルサレムに
人々が集まった。 11 彼らはその日,持ってきた戦利品の中から,牛700頭と羊7000匹を犠牲としてエ
ホバに捧げた。 12 そして,心を尽くし自分の全てを尽くして父祖たちの神エホバに仕えるという契約を結ん
だ。 13 イスラエルの神エホバに仕えない人は,若くても年を取っていても,男性でも女性でも死刑にされる
ことになった。 14 彼らは歓声を上げ,ラッパと角笛を鳴らして,大声でエホバに誓った。 15 ユダ全体は誓
いのことを喜んだ。心を尽くして誓い,熱心に探し求めたので神を見つけられたのだった。エホバは引き続き
周囲の敵から彼らを守って安心させた。
  16 アサ王は祖母マアカを太后の地位から降ろすこともした。彼女が聖木の崇拝のためにおぞましい偶像を
作ったからである。アサは彼女が作ったおぞましい偶像を切り倒して粉砕し,キデロンの谷で焼いた。 17 し
かし高い場所はイスラエルから取り除かれなかった。それでも,生涯中ずっと,アサの心は全てが神に向いて
いた。 18 アサは,自分と父が聖なるものにした銀,金,器具類を真の神の家に運び入れた。 19 アサの治世
の第35年まで戦争がなかった。
  16 章
  1 アサの治世の第36年,イスラエルのバアシャ王はユダを攻め,ラマを築き始めた。ユダのアサ王の領
土に誰も出入りできないようにするためだった。 2 そこでアサはエホバの家と王の家の宝物庫から銀と金を取
り出して,ダマスカスに住むシリアのベン・ハダド王に送り,こう言った。 3 「私とあなたの間,私の父とあ
なたの父上の間には条約があります。銀と金をお送りします。どうか,イスラエルのバアシャ王との条約を破
棄し,バアシャが私のもとから撤退するようにしてください」。
  4 ベン・ハダドはアサ王の言うことを聞き入れ,軍隊の長たちをイスラエルの町々に差し向けた。彼らは,
イヨン,ダン,アベル・マイム,ナフタリの町々の全貯蔵所を占領した。 5 バアシャはそのことを聞いて直ち
にラマを築くのをやめ,工事を中止した。 6 アサ王はユダの全ての人を集め,バアシャが建設に使っていたラ
マの石材と木材を運ばせた。そして,それを使ってゲバとミツパを築いた。
  7 その時,予見者ハナニがユダのアサ王のもとに来て,こう言った。「あなたがシリアの王に頼り,エホ
バ神に頼らなかったので,シリアの王の軍勢はあなたの手から逃れてしまいました。 8 あのエチオピア人とリ
ビア人は,多くの兵車や騎手を持つ,非常に大きな軍隊ではなかったでしょうか。それでも,あなたがエホバ
に頼ったので,神はあなたを勝たせました。 9 エホバは,心の全てがご自分に向いている人の力になろうとし
て,世界中に目を行き届かせています。今回の件であなたは愚かなことをしました。これからあなたに対する
戦争があります」。
  10 すると,アサは怒って予見者を牢屋に入れた。予見者に言われたことに激怒したのである。同じ頃,ア
サは民のほかの人たちにひどい仕打ちをし始めた。 11 アサについての記録は,最初から最後まで,ユダとイ
スラエルの王の書に記されている。
  12 アサは治世の第39年に足を病み,ひどく苦しんだ。ところが,彼は病気になってもエホバに助けを求
めず,治療師に頼った。 13 アサはやがて死んだ。治世の第41年のことだった。 14 彼は,「ダビデの町」
に自分のために掘ってあった大きな墓に葬られた。横たえられた台には,バルサム油やさまざまな材料を混ぜ
た特製の香油がいっぱい入っていた。彼の死を悼んで盛大に火がたかれた。
  17 章
  1 代わりにアサの子エホシャファトが王になり,イスラエルで権力を強めた。 2 彼はユダの防備された
町全てに軍隊を配置し,ユダの土地と父アサが攻め取ったエフライムの町々に守備隊を置いた。 3 エホバはず
っとエホシャファトと共にいた。エホシャファトが,父祖ダビデがかつて歩んだ道を歩み,バアルには頼らな
かったからである。 4 彼は父の神に頼って神のおきてに従い,イスラエルの慣行には従わなかった。 5 エホ
バのおかげでエホシャファトの王国の統治は揺らぐことがなかった。ユダの人は皆,エホシャファトによく贈
り物をした。彼の富と栄光は豊かになった。 6 彼は意欲的にエホバの道を歩み,高い場所と聖木をユダから取
り除いた。
  7 治世の第3年,エホシャファトは,ベン・ハイル,オバデヤ,ゼカリヤ,ネタヌエル,ミカヤという高官
たちを呼び,ユダの町々で教えさせた。 8 シェマヤ,ネタヌヤ,ゼバドヤ,アサエル,シェミラモト,エホナ
タン,アドニヤ,トビヤ,トブ・アドニヤというレビ族の人たちも同行し,祭司のエリシャマとエホラムも一緒
だった。 9 彼らはエホバの律法の書を持参し,ユダで教え始めた。ユダの全ての町を回って,民を教えた。
  10 ユダの周りのどの王国もエホバからの恐怖に包まれ,エホシャファトと戦おうとはしなかった。 11
フィリスティア人はエホシャファトに贈り物をし,貢ぎ物としてお金を持ってきた。アラブ人も雄羊7700
匹と雄ヤギ7700匹を持ってきた。
  12 エホシャファトはますます勢力を強め,防備された場所や倉庫の町を次々とユダに築いた。 13 ユダ
の町々で大きな事業を展開し,エルサレムには兵士たち,強い戦士たちを有していた。 14 彼らは氏族ごとに
組分けされていた。ユダからは千人長たちがいて,長であるアドナと強い戦士30万人がいた。 15 また,ア
ドナの指揮下に,長であるエホハナンと28万人がいた。 16 アドナの指揮下にはさらに,エホバへの奉仕を
志願したジクリの子アマスヤと強い戦士20万人がいた。 17 ベニヤミンからは,強い戦士エルヤダと弓と盾
を装備した20万人がいた。 18 また,エルヤダの指揮下に,エホザバドと戦いのために武装した18万人が
いた。 19 王がユダ中の防備された町に配置した人たちに加え,以上の人が王に奉仕した。
  18 章
  1 エホシャファトはこうして豊かな富と栄光を手にしたにもかかわらず,結婚による同盟をアハブと結ん
だ。 2 何年かした後,エホシャファトはサマリアのアハブの所に行った。アハブはエホシャファトの一行のた
めに羊や牛をたくさん犠牲として捧げた。そして,ラモト・ギレアデを攻めに行くようエホシャファトにしきり
に勧めた。 3 イスラエルのアハブ王はユダのエホシャファト王に言った。「ラモト・ギレアデに私と一緒に行
ってくれませんか」。エホシャファトは答えた。「私とあなたは一つです。私の民とあなたの民も一つです。
私たちも一緒に戦います」。
  4 エホシャファトはさらにイスラエルの王に言った。「まずは,エホバが何と言われるか尋ねてくださ
い」。 5 イスラエルの王は400人の預言者を集めてこう言った。「ラモト・ギレアデを攻めに行くべきです
か。それとも,やめるべきですか」。彼らは言った。「行くべきです。真の神はそこを王の手に渡してくださ
います」。
  6 エホシャファトは言った。「ほかにエホバの預言者はいないのですか。その人を通しても尋ねてみまし
ょう」。 7 イスラエルの王はエホシャファトに言った。「エホバに尋ねることができる人がもう1人いますが,
私はその人が嫌いです。私について良いことを預言したことがなく,いつも悪いことを預言するからです。イ
ムラの子ミカヤです」。エホシャファトは言った。「王はそのようなことを言ってはいけません」。
  8 イスラエルの王は廷臣を呼んでこう言った。「今すぐ,イムラの子ミカヤを連れてきなさい」。 9 イ
スラエルの王とユダの王エホシャファトは,王の服を着て王座に座っていた。サマリアの門の入り口にある脱
穀場で座っていた。預言者たち皆が2人の前で預言していた。 10 ケナアナの子ゼデキヤは鉄の角を作って言
った。「エホバはこう言っています。『これらの角で,あなたはシリア人を突いて,全滅させる』」。 11 ほ
かの預言者たちも皆,同じように預言した。「ラモト・ギレアデに行くべきです。取り返せます。エホバはそこ
を王の手に渡してくださいます」。
  12 ミカヤを呼びに行った使者はミカヤに言った。「いいですか。預言者たちは口をそろえて王にとって良
いことを言っています。あなたも彼らと同じように良いことを話してください」。 13 ミカヤは言った。「生
きている神エホバに懸けて誓います。私は神が言われる通りに話します」。 14 ミカヤが王のもとに来ると,
王は尋ねた。「ミカヤ,ラモト・ギレアデを攻めに行くべきか。それとも,やめるべきか」。ミカヤはすぐに王
に答えた。「行くべきです。取り返せます。彼らは王の手に渡されます」。 15 王は言った。「何度誓わせた
ら,あなたはエホバの名によって真実だけを話すようになるのか」。 16 それでミカヤは言った。「私にはイ
スラエル人皆が,羊飼いのいない羊のように山々に散り散りになっているのが見えました。エホバはこう言い
ました。『これらの人には主人がいない。彼らをそれぞれ家に無事に帰らせなさい』」。
  17 イスラエルの王はエホシャファトに言った。「あなたに言いませんでしたか。彼は私について良いこと
を預言せず,悪いことばかり預言するのです」。
  18 ミカヤは言った。「エホバの言葉を聞いてください。私は,エホバが王座に座り,その左右に天の全軍
が立っているのを見ました。 19 エホバはこう言いました。『誰がイスラエルのアハブ王をだましてラモト・
ギレアデに行かせ,アハブを倒れさせるか』。1人の者があることを言い,ほかの者は別のことを言いました。
20 すると,1人の天使が進み出てエホバの前に立ち,『私がだまします』と言いました。エホバは,『どの
ようにするのか』と尋ねました。 21 天使はこう答えました。『私が行って,彼の預言者全てに偽りを語らせ
ます』。神は,『あなたはうまく彼をだませる。行ってそうしなさい』と言いました。 22 こうして,エホバ
は,天使があなたの預言者たちに偽りを語らせるようにしました。エホバはあなたに災いをもたらすことを宣
言したのです」。
  23 ケナアナの子ゼデキヤがミカヤに近づいて,頬を打って言った。「私にはエホバの聖なる力によって話
すことがもうできず,おまえにはできるというのか」。 24 ミカヤは答えた。「あなたが奥の部屋に入って隠
れる日に,そのことがはっきり分かるでしょう」。 25 イスラエルの王は言った。「ミカヤを捕まえて,都市
の長アモンと王の子ヨアシュに引き渡せ。 26 そしてこう言え。『王はこう言っている。「この男を牢屋に入
れなさい。私が無事に戻るまで,わずかなパンと水しか与えてはならない」』」。 27 ミカヤは言った。「も
しあなたが無事に戻るなら,エホバは私に話さなかったことになります」。さらにこう言った。「皆さん,よ
く覚えておいてください」。
  28 イスラエルの王とユダの王エホシャファトはラモト・ギレアデに行った。 29 イスラエルの王はエホシ
ャファトに,「私は変装して戦いに行きますが,あなたは王の服を着てください」と言った。それでイスラエ
ルの王は変装した。彼らは戦いに行った。 30 シリアの王は兵車隊長たちに,「イスラエルの王だけを狙って
戦え。ほかの者とは誰とも戦うな」と命じていた。 31 兵車隊長たちはエホシャファトを見るとすぐ,「イス
ラエルの王だ」と思い,攻め掛かろうとした。エホシャファトは助けを求めて叫んだ。するとエホバ神が彼を
助け,直ちに彼らを離れさせた。 32 兵車隊長たちは,彼がイスラエルの王ではないことが分かると,すぐに
追うのをやめた。
  33 1人の人が特に狙いを定めずに弓を射ると,イスラエルの王のよろいの継ぎ目に命中した。王は兵車の
乗り手に言った。「向きを変え,私を戦場の外に出してくれ。ひどい傷を負ってしまった」。 34 激戦が一日
中続き,イスラエルの王はシリア人の方に向いて,夕方まで兵車の中で支えられて立っていた。王は日没の頃
に死んだ。
  19 章
  1 ユダのエホシャファト王は無事にエルサレムの家に帰った。 2 神からの幻を伝える人ハナニの子エヒ
ウが会いにやって来て,エホシャファト王に言った。「あなたが助けるべきなのは,悪い人でしょうか。愛す
るべきなのは,エホバを憎む人でしょうか。今回のことで,エホバはあなたに憤っています。 3 それでも,あ
なたに良い点があります。この国から聖木を取り除き,真の神に仕えようと心を整えたからです」。
  4 エホシャファトは引き続きエルサレムに住んだ。そして,ベエル・シェバからエフライムの山地まで,再
び民の中を巡った。民を父祖たちの神エホバのもとに連れ戻すためだった。 5 エホシャファトはまた,国中に
裁判人を任命した。ユダの防備された町全てに,各町に任命した。 6 それから裁判人たちに言った。「自分が
することをよく考えなさい。皆さんは人のためではなくエホバのために裁くからです。判決を下す時,神は皆
さんと共にいてくださいます。 7 皆さんがエホバを畏れますように。慎重に事を行いなさい。私たちの神エホ
バには不正や不公平がなく,賄賂を受け取ることもないからです」。
  8 エホシャファトは,エルサレムにもレビ族や祭司やイスラエルの氏族長の何人かを任命し,エホバのた
めに裁判人として奉仕させ,エルサレムの住民の訴訟を扱わせた。 9 こう命じた。「エホバを畏れつつ,忠実
に,心を尽くして,次のことを行いなさい。 10 各町に住む皆さんの兄弟が,流血が関わっている案件や,律
法やおきてや規定や法規に関する質問を持ってくる時,皆さんは,その人がエホバの前で罪を犯すことがない
よう,警告を与えなければなりません。さもないと,神は皆さんとその人に憤るでしょう。罪を負わないよう,
警告を与えるべきです。 11 エホバに関する件では,祭司長アマルヤが皆さんの監督です。王に関する件では,
イシュマエルの子ゼバドヤがユダ族の指導者です。レビ族の人たちが皆さんのために役人として奉仕します。
勇気を出し,しっかり取り組んでください。エホバが,正しいことをする人と共にいてくださいますように」。
  20 章
  1 その後,モアブ人とアンモン人が,アモニムの一部と共に,エホシャファトと戦おうとしてやって来た。
2 エホシャファトにこう報告があった。「海の地方から,エドムから,大軍があなたを攻めに来ています。彼
らはハザゾン・タマル,つまりエン・ゲディにいます」。 3 エホシャファトは恐れ,エホバに導きを求めると
固く決めた。それで彼はユダ全体に断食を呼び掛けた。 4 ユダの人々はエホバに尋ねようとして集まった。エ
ホバに相談するため,ユダの全ての町からやって来た。
  5 エホシャファトはエホバの家の新しい庭の前で,ユダとエルサレムの会衆の中に立ち, 6 こう言った。
  「私たちの父祖の神エホバ,あなたは天におられる神で,全ての国を治めておられるのではないでしょう
か。あなたの手には力と強さがあり,誰もあなたに立ち向かえません。 7 私たちの神よ,あなたはこの地方の
住民をご自分の民イスラエルの前から追い払い,ここをあなたの友アブラハムの子孫に与え,ずっとその子孫
のものとなるようにしてくださったのではないでしょうか。 8 彼らはここに住み,あなたのため,あなたの名
のために聖なる所を建てて,こう言いました。 9 『あなたの名がこの家にあるので,私たちは,剣,処罰,疫
病,飢饉といった災難を被った時,この家の前,あなたの前に立ち,苦難から助け出してくださるようあなた
に呼び掛けます。あなたが聞いて救ってくださいますように』。 10 今,アンモン,モアブ,セイルの山地の
人たちがいます。彼らの土地を侵略することを,あなたは,エジプトから出てきたイスラエルにお許しにはな
りませんでした。イスラエルは彼らの所から去り,滅ぼすことはしませんでした。 11 それにもかかわらず,
彼らは私たちを追い出そうとして,あなたから私たちが授かったあなたの土地に入り,恩をあだで返そうとし
ています。 12 私たちの神,あなたは彼らを処罰してくださらないのですか。向かってくるこの大軍を前にし
て,私たちは無力です。どうしたらよいか分かりません。私たちはただあなたを見つめます」。
  13 その間,ユダの人は皆,妻も子供も小さな子も,エホバの前で立っていた。
  14 会衆の中で,ヤハジエルがエホバの聖なる力を受けた。彼は,アサフの子孫であるレビ族マタヌヤの子
エイエルの子ベナヤの子ゼカリヤの子である。 15 彼は言った。「ユダの全ての人,エルサレムの住民,エホ
シャファト王よ,よく聞いてください。エホバは皆さんにこう言っています。『この大軍のことで恐れたりお
びえたりしてはならない。これはあなたたちの戦いではなく神の戦いである。 16 明日,彼らに向かっていき
なさい。彼らはツィツの山道を通ってやって来る。あなたたちはエルエルの荒野の前の谷の端で彼らを見つけ
る。 17 あなたたちが戦う必要はない。しっかり立ち,じっととどまって,あなたたちのためのエホバの救い
を見なさい。ユダとエルサレムよ,恐れたりおびえたりしてはならない。明日,彼らに向かっていきなさい。
私エホバがあなたたちと共にいる』」。
  18 エホシャファトはすぐにひれ伏した。ユダ全体とエルサレムの住民も,エホバの前でひれ伏してエホバ
を崇拝した。 19 そして,レビ族であるコハト氏族とコラ氏族の子孫たちが立ち上がり,とても大きな声でイ
スラエルの神エホバを賛美した。
  20 翌朝,彼らは早く起きて,テコアの荒野に出ていった。彼らが出ていく時,エホシャファトは立ち上が
って言った。「ユダとエルサレムの住民たち,聞きなさい。エホバ神を信じなさい。そうすれば動じないでい
られます。神の預言者たちを信じなさい。そうすれば全てうまくいきます」。
  21 エホシャファトは民と相談した後,エホバに向かって歌う人たちを任命した。聖なる装いをして賛美を
捧げる人たちである。彼らは武装した人たちの前を行き,「エホバに感謝せよ。神の揺るぎない愛は永遠に続
く」と言った。
  22 その人たちが喜びながら歌って賛美し始めると,エホバはユダに侵入してきたアンモン,モアブ,セイ
ルの山地の人たちの不意を打った。それで彼らは討ち合った。 23 アンモン人とモアブ人はセイルの山地の住
民の方を向いて攻め,滅ぼし尽くした。セイルの住民を全滅させると,今度は互いに討ち合った。
  24 ユダが荒野の見張り台の所に来て,軍勢の方を見ると,辺り一面に死体があり,誰一人生き残っていな
かった。 25 エホシャファトと民は戦利品を集めにそこに行き,物品や衣服やめぼしい品をたくさん見つけ,
運べる限りの物を奪った。戦利品は非常に多く,持ち出すのに3日かかった。 26 4日目にはベラカの谷に集
合した。そこでエホバを賛美するためだった。それで,その場所はベラカの谷と名付けられ,今に至っている。
  27 ユダとエルサレムの人たちは皆,エホシャファトを先頭にして,喜びながらエルサレムに帰った。エホ
バのおかげで敵に勝利したことを喜んだのである。 28 彼らは弦楽器とたて琴とラッパを持ってエルサレムに
来て,エホバの家に行った。 29 周辺のどの王国も,エホバがイスラエルの敵と戦ったことを聞き,神からの
恐怖に包まれた。 30 そのため,エホシャファトの王国には騒乱がなく,神は引き続き周囲の敵からエホシャ
ファトを守って安心させた。
  31 エホシャファトはユダを治め続けた。彼は35歳で王になり,エルサレムで25年治めた。彼の母はア
ズバといい,シルヒの娘だった。 32 彼は父アサと同じ道を歩み続けた。その道からそれず,エホバから見て
正しいことを行った。 33 しかし高い場所は取り除かれなかった。民は依然として,父祖たちの神に仕えよう
と心を整えてはいなかった。
  34 エホシャファトについてのほかの記録は,最初から最後まで,イスラエルの王の書に載せられているハ
ナニの子エヒウの言葉の中に記されている。 35 やがてユダのエホシャファト王は,邪悪なことをしたイスラ
エルのアハジヤ王と同盟を結んだ。 36 アハジヤと提携して,タルシシュ行きの船を造った。エツヨン・ゲベ
ルで造った。 37 ところが,マレシャのドダワフの子エリエゼルがエホシャファトに向かって預言し,「エホ
バはあなたの事業を失敗させます。あなたがアハジヤと同盟を結んだからです」と言った。こうして船は難破
し,タルシシュには行けなかった。
  21 章
  1 エホシャファトはやがて死に,「ダビデの町」に父祖たちと共に葬られた。代わりにエホシャファトの
子エホラムが王になった。 2 エホラムの兄弟たち,つまりエホシャファトの子たちは,アザリヤ,エヒエル,
ゼカリヤ,アザリヤ,ミカエル,シェファトヤ。これらの人は皆イスラエルのエホシャファト王の子である。
3 エホシャファトは息子たちに銀,金,貴重な品々などの多くの贈り物や,ユダの防備された町々を与えたが,
王国はエホラムに与えた。彼が長男だったからである。
  4 エホラムは父の王国を治め始めると,弟たち全員とイスラエルの高官の何人かを剣で殺し,権力を強め
た。 5 エホラムは32歳で王になり,エルサレムで8年治めた。 6 彼は,アハブ家の人たちのように,イス
ラエルの王たちと同じ道を歩んだ。アハブの娘を妻にしたからだった。エホラムはエホバから見て悪いことを
行い続けた。 7 それでもエホバは,ダビデと結んだ契約のために,ダビデの家系を滅亡させることは望まなか
った。ダビデとその子たちにいつまでも明かりを与えると約束していたからである。
  8 エホラムの時代に,エドムがユダに反抗し,自分たちで王を立てた。 9 それでエホラムと隊長たちは
全兵車を率いて向かった。そして夜襲を掛け,周囲のエドム人と兵車隊長たちを打ち破った。 10 しかし,エ
ドムは今に至るまでユダに反抗し続けている。同じ頃,リブナも反抗した。エホラムが父祖たちの神エホバを
捨て去ったからである。 11 またエホラムは,ユダの山地に高い場所を造ってエルサレムの住民を神に不忠実
にならせ,ユダを惑わした。
  12 やがて,彼のもとに預言者エリヤから次の書面が届いた。「あなたの父祖ダビデの神エホバはこう言っ
ています。『あなたは父エホシャファトの道も,ユダのアサ王の道も歩まなかった。 13 イスラエルの王たち
の道を歩み,アハブ家の不忠実な行いと同じ行いをユダとエルサレムの住民にさせた。またあなたの父の子で
あなたより優れた弟たちをさえ殺した。 14 それで,私エホバはあなたの民,息子,妻,全ての所有物に大打
撃を加えようとしている。 15 また,あなたは腸の病気など多くの病気に苦しむ。それが日に日に悪化し,腸
が出てくるまでになる』」。
  16 エホバは,エチオピア人の近くにいたフィリスティア人とアラブ人がエホラムに対して敵意を抱くよう
にした。 17 それで彼らは無理やりユダを侵略し,王の家の中で見つけた全ての財産を奪い,エホラムの息子
や妻たちを連れ去った。エホラムのもとには一番下の息子エホアハズだけが残った。 18 こうしたことの後,
エホバはエホラムが治らない腸の病気で苦しむようにした。 19 その後丸2年がたった頃,エホラムの腸は病
気のせいで出てきた。彼は病気にひどく苦しみながら死んだ。父祖たちの時には火がたかれたが,民は彼のた
めに火をたくことをしなかった。 20 エホラムは32歳で王になり,エルサレムで8年治めた。彼の死を悼む
人は誰もいなかった。彼は「ダビデの町」に葬られたが,王たちの墓地には葬られなかった。
  22 章
  1 エルサレムの住民はエホラムの一番下の息子アハジヤを代わりに王にした。アラブ人と共に陣営に来た
略奪隊が上の息子たちを全員殺したからだった。エホラムの子アハジヤがユダの王として治め始めた。 2 アハ
ジヤは22歳で王になり,エルサレムで1年治めた。彼の母はアタリヤといい,オムリの孫娘だった。
  3 アハジヤもアハブ家と同じ道を歩んだ。邪悪なことを行うよう彼の母が助言したからだった。 4 彼は
アハブ家のように,エホバから見て悪いことを行い続けた。父の死後,アハブ家の人たちが助言者となってア
ハジヤを破滅に至らせたのである。 5 アハジヤは彼らの助言に従い,イスラエルのアハブ王の子エホラムと共
にラモト・ギレアデに行って,シリアのハザエル王と戦った。エホラムはそこで弓を射る人たちに撃たれて傷を
負った。 6 エホラムは傷を治すためエズレルに戻った。ラマでのシリアのハザエル王との戦いで傷を負わされ
たからだった。
  アハブの子エホラムが負傷していたため,ユダのエホラムの子アハジヤ王はエズレルに見舞いに行った。
7 しかし神は,アハジヤがエホラムを訪ねることによって破滅に至るようにした。アハジヤは到着すると,エ
ホラムと共にニムシの孫エヒウに会いに行った。エヒウは,エホバがアハブ家を滅ぼすために選んだ人だった。
8 エヒウはアハブ家の処罰を始めると,ユダの高官たち,アハジヤの兄の息子たち,アハジヤの奉仕者たちを
見つけて殺した。 9 それからエヒウはアハジヤを捜した。エヒウの部下たちはサマリアに隠れていたアハジヤ
を捕らえ,エヒウのもとに連れてきた。そうして彼らはアハジヤを殺した。「彼は心を尽くしてエホバに仕え
たエホシャファトの孫です」と言い,葬った。アハジヤの家族には王国を治める力を持つ人は一人もいなかっ
た。
  10 アハジヤの母アタリヤは自分の子が死んだのを知り,ユダの王家の子孫を皆滅ぼそうと立ち上がった。
11 しかし,王の娘エホシャブアトは,殺されようとしていた王の子たちの中から,アハジヤの子エホアシュを
抱いてひそかに連れ出し,その子と乳母を奥の寝室に入れた。そうしてエホラム王の娘エホシャブアトは,エ
ホアシュをアタリヤに殺されないようかくまった。エホシャブアトは祭司エホヤダの妻で,アハジヤの姉妹で
ある。 12 エホアシュは彼らと共に真の神の家に6年隠れていた。その間,アタリヤが国を治めていた。
  23 章
  1 7年目に,エホヤダは勇敢に行動し,百人長たち,すなわちエロハムの子アザリヤ,エホハナンの子イ
シュマエル,オベデの子アザリヤ,アダヤの子マアセヤ,ジクリの子エリシャファトと合意を結んだ。 2 彼ら
はユダ全域を回り,ユダの全ての町からレビ族とイスラエルの氏族長たちを集めてエルサレムに来た。 3 会衆
全体は真の神の家で王と契約を結んだ。その後,エホヤダはこう言った。
  「皆さん,エホバがダビデの子たちについて約束した通り,王の子が治めます。 4 皆さんにしてもらうこ
とを言います。次の安息日の当番になっている祭司とレビ族のうち3分の1は戸口番となり, 5 3分の1は王
の家に,3分の1は『土台の門』にいるようにしてください。民は皆,エホバの家の庭にいるようにしてくだ
さい。 6 祭司と,奉仕するレビ族以外は,誰もエホバの家に入ってはいけません。祭司とレビ族は聖なる奉仕
のために清められているので,入れます。民は皆,エホバからの命令を守らなければなりません。 7 レビ族は
それぞれ武器を持って,王の周りを固めてください。家に入る人がいたら,殺さなければなりません。王がど
こに行く時でも,そばにいてください」。
  8 レビ族とユダ全体は祭司エホヤダに命じられた通りにした。各長が,その安息日の当番になっている部
下たちに加え,非番の部下たちも連れてきた。祭司エホヤダが非番の組も務めに当たらせたからである。 9 祭
司エホヤダは,真の神の家にあったダビデ王のやりと小盾と円盾を百人長たちに渡した。 10 そして,皆にそ
れぞれ武器を持たせ,家の右側から左側まで,祭壇や家のそばで,王を囲むように位置に就かせた。 11 それ
から,王の子は連れ出されて王冠をかぶせられ,律法の書を渡され,王となった。エホヤダとその子たちは彼
に油を注ぎ,「王が栄えますように!」と言った。
  12 アタリヤは,民が走る音や王を賛美する声を聞くと,すぐにエホバの家にいる民の所に行った。 13
彼女は,王が入り口の柱のそばに立っているのを見た。王の近くには高官たちやラッパ奏者たちがいて,民は
皆喜び,ラッパを吹き鳴らし,楽器を持った歌い手たちが中心になって賛美していた。アタリヤは衣服を引き
裂き,「謀反! 謀反だわ!」と叫んだ。 14 祭司エホヤダは,軍勢をまとめる百人長たちを連れてきて,こう
言った。「彼女を隊列の中から連れ出しなさい。彼女に付いてくる人がいれば,剣で処刑しなさい!」 祭司は
前もって,「彼女をエホバの家で殺してはなりません」と言っていた。 15 それで彼らはアタリヤを取り押さ
えた。彼女は王の家の「馬の門」の入り口まで連れてこられ,そこですぐに殺された。
  16 エホヤダは自分と民全てと王の間の契約を成立させた。彼らが引き続きエホバの民になるという契約で
ある。 17 その後,民は皆バアルの家に行ってそこを破壊し,祭壇と像を打ち砕き,バアルの祭司マタンを祭
壇の前で殺した。 18 それからエホヤダはエホバの家の監督を祭司とレビ族の手に委ねた。それは,ダビデが
エホバの家のために組分けした人たちであり,ダビデの指示に沿って歌い,喜びながら,モーセの律法に書か
れている通りにエホバの全焼の犠牲を捧げることになっていた。 19 エホヤダはまた,エホバの家の門のそば
に門番たちを配置し,何かしら汚れた人は誰も入れないようにした。 20 そして,百人長や高貴な人たち,民
を治める人たちや民の皆を率いて,エホバの家から出ていく王に付き添った。彼らは上の門を通って王の家に
着き,王を王国の王座に座らせた。 21 民は皆喜び,都市は平穏だった。アタリヤが剣で殺されたからである。
  24 章
  1 エホアシュは7歳で王になり,エルサレムで40年治めた。彼の母はツィブヤといい,ベエル・シェバの
人だった。 2 エホアシュは祭司エホヤダの時代中ずっと,エホバから見て正しいことを行い続けた。 3 エホ
ヤダは彼のために2人の妻を選び,彼に息子や娘たちが生まれた。
  4 その後,エホアシュはエホバの家を修復することを心から願った。 5 それで祭司とレビ族を集めて言
った。「ユダの町々に出掛けていき,毎年神の家を修理するためのお金をイスラエル全体から集めなさい。す
ぐに行いなさい」。ところが,レビ族はすぐに行わなかった。 6 そのため,王は祭司長エホヤダを呼んで言っ
た。「あなたは,エホバに仕えたモーセが命じた聖なる税金,すなわちイスラエルの会衆の聖なる税金を証し
の天幕のためにユダとエルサレムから持ってくるよう,どうしてレビ族に求めていないのですか。 7 真の神の
家はあの邪悪な女アタリヤの子たちに押し入られ,エホバの家の聖なるもの全てがバアルのために使われてし
まったのです」。 8 それから,王の命令により,1つの箱が作られてエホバの家の門の外に置かれた。 9 そ
の後,ユダとエルサレム中に布告が出された。真の神に仕えたモーセが荒野でイスラエルに課した聖なる税金
をエホバのもとに持ってくるようにとの布告だった。 10 高官たちも民も皆が喜んだ。彼らは寄付を持ってき
て箱に入れ,やがて箱はいっぱいになった。
  11 引き渡しのため,レビ族が王のもとに箱を持ってきて,お金がたくさん入っているのが分かると,その
たびに王の秘書官と祭司長の事務官が来て箱を空にし,元の場所に戻した。毎日そのようにされ,多くのお金
が集まった。 12 王とエホヤダはそれをエホバの家の奉仕の仕事を監督する人たちに渡すのだった。その人た
ちはエホバの家を修復するために石切り工と職人を雇った。エホバの家を修理するため,鉄と銅の職人も雇っ
た。 13 こうして監督たちは工事を開始させ,その監督の下,修理の工事は進んでいった。やがて真の神の家
は元通りに修復され,補強された。 14 完了するとすぐ,彼らは残りのお金を王とエホヤダの所に持ってきた。
そのお金は,エホバの家のための器具を作るのに使われた。奉仕のための器具,捧げ物を捧げるための器具,
杯,金銀の器具である。エホヤダの時代中ずっと,エホバの家で全焼の犠牲がいつも捧げられた。
  15 エホヤダは長生きし,年老いて死んだ。死んだ時,130歳だった。 16 彼は「ダビデの町」に王た
ちと共に葬られた。真の神と神の家に関してイスラエルで良いことを行ったからである。
  17 エホヤダの死後,ユダの高官たちが来て,王にひれ伏した。王は高官たちの言葉に耳を傾けた。 18
民は父祖たちの神エホバの家を捨てて,聖木や偶像を崇拝するようになり,その罪のゆえに神の怒りがユダと
エルサレムに向けられた。 19 エホバは彼らをご自分のもとに連れ戻そうとして預言者たちを遣わし続けた。
預言者たちは警告し続けたが,彼らは耳を傾けなかった。
  20 祭司エホヤダの子ゼカリヤは神の聖なる力を受け,高い位置に立って民にこう言った。「真の神はこう
言っています。『あなたたちはどうしてエホバのおきてを破るのか。あなたたちは成功しない。あなたたちが
エホバを捨てたので,神もあなたたちを捨てる』」。 21 しかし彼に対して陰謀が企てられ,王の命令により,
彼はエホバの家の庭で石打ちにされた。 22 こうして,エホアシュ王はゼカリヤの父エホヤダが示してくれた
揺るぎない愛を忘れ,エホヤダの子を殺した。ゼカリヤは死に際にこう言った。「エホバがご覧になって,あ
なたに責任を問いますように」。
  23 年の初め,シリアの軍隊がエホアシュを攻めに来て,ユダとエルサレムに侵入した。彼らは民の高官た
ちを全て殺し,戦利品を全部ダマスカスの王のもとに送った。 24 侵入してきたシリアの軍隊は少数で,ユダ
の軍勢は非常に多かったが,エホバがシリアの軍隊を勝たせた。民が父祖たちの神エホバを捨てたからである。
こうしてシリア人がエホアシュを処罰した。 25 シリア人がエホアシュに重傷を負わせて引き揚げると,エホ
アシュの家来たちは,エホアシュが流した祭司エホヤダの子たちの血のことで,謀反を企て,エホアシュをベ
ッドの上で殺した。こうして彼は死に,「ダビデの町」に葬られたが,王たちの墓地には葬られなかった。
  26 謀反を起こしたのは,アンモン人女性シムアトの子ザバドと,モアブ人女性シムリトの子エホザバドだ
った。 27 エホアシュの子たち,エホアシュへの多くの宣告,真の神の家の修復工事,こうしたさまざまなこ
とは,王の書の注釈書に記されている。エホアシュの子アマジヤが代わりに王になった。
  25 章
  1 アマジヤは25歳で王になり,エルサレムで29年治めた。彼の母はエホアダンといい,エルサレムの
人だった。 2 アマジヤは,心を尽くしてはいなかったものの,エホバから見て正しいことを行い続けた。 3
アマジヤは王国を権力下に置くとすぐに,王だった父親を殺した家来たちを殺した。 4 とはいえ,その家来た
ちの子は殺さなかった。律法すなわちモーセの書に記されている通りにしたのである。その中でエホバはこう
命じている。「父親は子供のゆえに死ぬべきではなく,子供も父親のゆえに死ぬべきではない。人はそれぞれ
自分の罪のゆえに死ぬべきである」。
  5 アマジヤはユダを集め,氏族ごとに,千人長や百人長たちのもとに立たせた。ユダとベニヤミン全体に
ついてそうした。20歳以上の人たちを登録すると,小やりや大盾を扱えて兵役に就ける訓練された戦士が3
0万人いた。 6 アマジヤはまた,イスラエルから10万人の強い戦士を3.4トンの銀で雇った。 7 しかし,
真の神に仕える人がやって来て,こう言った。「王よ,イスラエルの軍隊を連れていってはいけません。エホ
バはイスラエルとは共におられません。エフライム族の誰とも共におられません。 8 自分だけで行って,勇敢
に戦いなさい。さもないと,真の神はあなたを敵の前で敗北させるでしょう。神には,助ける力も敗北させる
力もあるのです」。 9 アマジヤは真の神に仕える人に言った。「ですが,私がイスラエルの部隊に渡した3.
4トンの銀はどうしましょうか」。真の神に仕える人は答えた。「エホバはそれ以上のものをあなたに与える
ことができます」。 10 それでアマジヤは,エフライムから来ていた部隊を解散させ,帰らせた。彼らはユダ
に対して非常な怒りを抱き,怒りに燃えながら自分たちの所に戻った。
  11 アマジヤは勇気を奮い起こし,自分の部隊を率いて塩の谷に行き,セイルの人たち1万人を討った。
12 また,ユダの人たちは1万人を生け捕りにし,崖のてっぺんに連れていって,そこから突き落とした。彼ら
は皆,体がばらばらになった。 13 アマジヤが戦いに連れていかずに送り返した部隊の隊員たちは,サマリア
からベト・ホロンまでの,ユダの町々を襲撃し,3000人を討って多くの物を奪った。
  14 アマジヤはエドム人を討って帰ってきた後,持ち帰ったセイルの人たちの神々を自分の神々として立て,
その前でひれ伏し,犠牲の煙を立ち上らせるようになった。 15 それでエホバはアマジヤに対して非常に怒り,
預言者を遣わした。預言者はアマジヤに言った。「自分の民をあなたの手から救えなかった神々に,あなたは
なぜ従うのですか」。 16 預言者が王に話していると,王は言った。「私たちはあなたを王の顧問官にでもし
たのか。もうやめなさい! これ以上話すなら,処刑する」。そこで預言者はやめたが,最後にこう言った。
「神はあなたに破滅をもたらすことをお決めになったことが私には分かります。あなたがこのようなことをし,
私の助言を聞かなかったからです」。
  17 アマジヤは顧問官たちに相談した後,イスラエルの王エヒウの子エホアハズの子エホアシュに人を遣わ
して,「来い。戦いを交えようではないか」と伝えた。 18 イスラエルのエホアシュ王は人を遣わして,ユダ
のアマジヤ王にこう伝えた。「レバノンのとげ草がレバノンの杉に,『娘さんを息子の妻として下さい』と伝
えた。しかしレバノンの野獣が通り掛かってとげ草を踏みつけた。 19 あなたは『エドムを討った』と言って
思い上がり,たたえられることを願っている。だが,自分の家にいなさい。どうして災難を招いて,ユダと共
に倒れるようなことをするのか」。
  20 しかしアマジヤは聞き入れなかった。これは真の神から出たことだった。神はアマジヤと民を敵の手に
渡そうとしていたのである。アマジヤと民がエドムの神々に従ったからである。 21 それでイスラエルのエホ
アシュ王はやって来た。エホアシュ王とユダのアマジヤ王は,ユダのベト・シェメシュで戦いを交えた。 22
ユダはイスラエルに打ち破られ,それぞれ自分の家に逃げ帰った。 23 イスラエルのエホアシュ王は,エホア
ハズの子エホアシュの子であるユダのアマジヤ王をベト・シェメシュで捕まえてエルサレムに連れていった。エ
ホアシュは,エルサレムの城壁を「エフライムの門」から「隅の門」まで180メートルにわたって破壊した。
24 そして,真の神の家でオベデ・エドムの管理下にあった金銀や器物類全てと王の家の宝物庫にあった物を
奪い,人質を取り,サマリアに帰った。
  25 ユダの王エホアシュの子アマジヤは,イスラエルの王エホアハズの子エホアシュの死後,15年生きた。
26 アマジヤについてのほかの記録は,最初から最後まで,ユダとイスラエルの王の書に記されている。 27
アマジヤがエホバに従うのをやめた時から,エルサレムでアマジヤへの謀反が企てられた。アマジヤはラキシ
ュに逃げたが,ラキシュに送られた追っ手たちにより殺された。 28 遺体は馬で運んでこられ,父祖たちと共
にユダの都市に葬られた。
  26 章
  1 ユダの民は皆,16歳だったウジヤを選び,父アマジヤの代わりに王にした。 2 アマジヤ王が死んだ
後,ウジヤはエロトを再建してユダに取り戻した。 3 ウジヤは16歳で王になり,エルサレムで52年治めた。
彼の母はエコルヤといい,エルサレムの人だった。 4 ウジヤは父アマジヤと同じように,エホバから見て正し
いことを行い続けた。 5 ゼカリヤの時代には,真の神を畏れるようゼカリヤに教えられ,ずっと神に仕えた。
彼がエホバに仕えた間,真の神は彼を成功させた。
  6 ウジヤは出ていってフィリスティア人と戦い,ガトの城壁,ヤブネの城壁,アシュドドの城壁を破壊し
た。それから,アシュドドの領地とフィリスティア人の領土に町を築いた。 7 真の神は引き続き彼を助け,フ
ィリスティア人,グルバアルに住むアラビア人,メウニムに立ち向かわせた。 8 アンモン人はウジヤに貢ぎ物
を納めるようになった。彼の名声はやがてエジプトにまで広まった。彼が非常に強くなったからである。 9 さ
らに,ウジヤはエルサレムで「隅の門」と「谷の門」と「控え壁」のそばに塔を建てて,それらに防備を施し
た。 10 また,彼は荒野に塔を建て,多くの水ためを掘った。たくさんの家畜を持っていたからである。シェ
フェラや平原にも同じようにした。彼は農耕を好んだため,山々やカルメルに農業をする人やブドウの栽培人
たちを抱えていた。
  11 ウジヤは,戦いに備えた軍隊を持つようになった。軍隊は分隊に組織されて戦いに出掛けた。彼らは,
秘書官エイエルと役人マアセヤによって数えられて登録され,王に仕える高官の1人ハナニヤの指揮下に置か
れた。 12 それら強い戦士たちをまとめた氏族長の総数は,2600人だった。 13 彼らの指揮下には,戦い
にすぐに行ける兵士が30万7500人いた。敵に立ち向かう王を支援する強力な軍隊である。 14 ウジヤは
全軍のために,盾,小やり,かぶと,よろい,弓,石投げ器の石を用意した。 15 さらに,技術者が考案した
兵器をエルサレムで造った。矢や大きな石を飛ばせる兵器で,塔の上や城壁の隅の上に据えられた。こうして
彼の名声は遠くにまで広まった。大きな助けを得て,強くなったからである。
  16 ところが,ウジヤは強くなるとすぐに心が傲慢になって身を滅ぼした。エホバの神殿に入って香の祭壇
で香をたこうとし,エホバ神に対して不忠実なことをしたのである。 17 祭司アザリヤとエホバの勇敢な祭司
80人が,すぐさまウジヤの後から入っていった。 18 彼らはウジヤ王の前に立ちはだかって,言った。「ウ
ジヤ,エホバに香をたくのはあなたがしてよいことではありません! 香をたいてよいのは祭司だけです。祭司
たちはアロンの子孫で,神聖なものとされているからです。この聖なる所から出ていってください。あなたは
不忠実なことをしました。そのため,あなたがエホバ神から栄光を与えられることはありません」。
  19 しかしウジヤは,香をたくための香炉を手にしたまま,激怒した。祭司たちに怒りをぶつけていると,
彼の額に重い皮膚病が現れた。エホバの家の中にいた祭司たちの前,香の祭壇のそばでのことだった。 20 祭
司長アザリヤと祭司たち皆が見ると,彼の額は重い皮膚病に侵されていた。彼らは急いでウジヤをそこから出
そうとし,ウジヤ自身も慌てて出ていった。エホバが彼を打ったのである。
  21 ウジヤ王は死ぬ日まで重い皮膚病を患った。重い皮膚病のため,隔離された家に住み続けた。エホバの
家から閉め出されたのである。ウジヤの子ヨタムが王の家を治め,民を裁いた。
  22 ウジヤについてのほかの記録は,最初から最後まで,アモツの子である預言者イザヤが記した。 23
ウジヤはやがて死に,父祖たちと共に葬られた。とはいえ,「重い皮膚病だ」と言われたので,王たちのもの
だった野原の墓地に葬られた。代わりにウジヤの子ヨタムが王になった。
  27 章
  1 ヨタムは25歳で王になり,エルサレムで16年治めた。彼の母はエルシャといい,ザドクの娘だった。
2 ヨタムは父ウジヤと同じように,エホバから見て正しいことを行い続けた。また,エホバの神殿に侵入した
りはしなかった。しかし,民は依然として,身を滅ぼすような行動を取っていた。 3 ヨタムは,エホバの家の
「上の門」を建て,オフェルの城壁に多くの建築工事を施した。 4 また,ユダの山地に町々を築き,防備され
た場所と塔を森林地帯に建てた。 5 彼はアンモン人の王と戦い,やがて勝利した。その年,アンモン人は銀3.
4トン,小麦220万リットル,大麦220万リットルを彼に納めた。アンモン人は2年目にも3年目にもそ
うした。 6 こうしてヨタムは強くなっていった。エホバ神の道をしっかり歩んだからである。
  7 ヨタムについてのほかの記録,さまざまな戦いや行いは,イスラエルとユダの王の書に記されている。
8 彼は25歳で王になり,エルサレムで16年治めた。 9 ヨタムはやがて死に,「ダビデの町」に葬られた。
代わりにヨタムの子アハズが王になった。
  28 章
  1 アハズは20歳で王になり,エルサレムで16年治めた。彼はエホバから見て正しいことを行わず,父
祖ダビデのようではなかった。 2 イスラエルの王たちと同じ道を歩み,バアルの金属像を作ることさえした。
3 その上,イスラエル人の前からエホバが追い払った国々の忌まわしい行いをまねて,ヒンノムの子の谷で犠
牲の煙を立ち上らせ,自分の子を火で焼いた。 4 また,高い場所や丘の上,全ての生い茂った木の下で犠牲を
捧げたり,犠牲の煙を立ち上らせたりし続けた。
  5 それで,エホバ神はアハズをシリアの王の手に渡した。そのためアハズは打ち破られ,多くの捕虜がダ
マスカスに連れていかれた。アハズはイスラエルの王の手にも渡され,大勢の人が討たれた。 6 勇敢な者12
万人がユダで1日のうちにレマルヤの子ペカハに殺されたのである。ユダが父祖たちの神エホバを捨てたから
だった。 7 さらに,王の子マアセヤ,宮殿を任されていたアズリカム,王に次ぐ地位にいたエルカナが,エフ
ライム族の戦士ジクリに殺された。 8 イスラエル人は同胞の中から女性や息子や娘たち20万人を捕らえて連
れていき,たくさんの物を奪ってサマリアに持っていった。
  9 サマリアにはオデドというエホバの預言者がいた。オデドは戻ってきた軍隊の前に出ていき,こう言っ
た。「あなたたちの父祖の神エホバがユダをあなたたちの手に渡したのは,神がユダに対して怒ったからです。
それなのに,あなたたちは激しい怒りを抱いて彼らを殺しました。その怒りは天に届きました。 10 今あなた
たちは,ユダとエルサレムの男女を召し使いにしようと考えています。それでも,あなたたちにはエホバ神の
前で罪がないのですか。 11 私の言うことを聞き,同胞の中から連れてきた捕虜を帰しなさい。エホバはあな
たたちに対して怒りを燃やしています」。
  12 そこで,エフライム族の何人かの長,エホハナンの子アザリヤ,メシレモトの子ベレクヤ,シャルムの
子エヒズキヤ,ハドライの子アマサが,戦いから帰ってきた人たちに向かって立ち, 13 言った。「捕虜を連
れてきてはなりません。連れてくるなら,私たちはエホバの前で罪を負うことになります。あなたたちがしよ
うとしているのは,私たちの罪と過ちを増やすことです。私たちの過ちはすでに多く,神はイスラエルに対し
て怒りを燃やしているのです」。 14 それで,武装した兵士たちは捕虜と略奪品を高官たちと会衆全体に渡し
た。 15 そして,指名された人たちが立ち上がって,捕虜を引き取り,裸の人には戦利品から衣服を取って与
えた。衣服を着せ,サンダル,食べ物や飲み物,肌に塗る油も渡した。さらに,弱っていた人たちをロバに乗
せてやり,捕虜全員をヤシの木の町エリコの兄弟たちの所に連れていった。そうした後,サマリアに帰った。
  16 その頃,アハズ王はアッシリアの王たちに助けを求めた。 17 また,エドム人が再び侵入してきてユ
ダを攻撃し,捕虜を連れ去った。 18 さらに,フィリスティア人がユダのシェフェラとネゲブの町々を襲撃し,
ベト・シェメシュ,アヤロン,ゲデロト,ソコと周辺の町,ティムナと周辺の町,ギムゾと周辺の町を攻め取っ
て,そこに住んだ。 19 イスラエルのアハズ王のことで,エホバがユダを卑しめたのだった。アハズがユダを
野放しにし,エホバに対して極めて不忠実にならせたからである。
  20 やがてアッシリアのティルガト・ピルネセル王がやって来たが,アハズを助けるのではなく,かえって
苦しめた。 21 アハズはエホバの家と王の家と高官たちの家から物を取って,アッシリアの王に贈り物をした
が,それは何の助けにもならなかった。 22 アハズ王は苦しいさなか,ますますエホバに不忠実なことを行っ
た。 23 彼は,「シリアの王たちの神々は王たちを助けているから,私もその神々に犠牲を捧げよう。きっと
助けてくれるだろう」と言って,自分を打ち破ったダマスカスの神々に犠牲を捧げるようになった。しかし,
彼にとってもイスラエル全体にとっても,その神々は没落の原因となった。 24 アハズはその上,真の神の家
の器具を集めた。そしてそれらの器具を打ち砕き,エホバの家の扉を閉じ,自分のためにエルサレムの全ての
街角に祭壇を作った。 25 ユダの全ての町に,ほかの神々のために犠牲の煙を立ち上らせる高い場所を造り,
父祖たちの神エホバを怒らせた。
  26 アハズについてのほかの記録,さまざまな行いは,最初から最後まで,ユダとイスラエルの王の書に記
されている。 27 アハズはやがて死に,エルサレムの町に葬られた。イスラエルの王たちの墓地には葬られな
かった。代わりにアハズの子ヒゼキヤが王になった。
  29 章
  1 ヒゼキヤは25歳で王になり,エルサレムで29年治めた。彼の母はアビヤといい,ゼカリヤの娘だっ
た。 2 ヒゼキヤは父祖ダビデと同じように,エホバから見て正しいことを行い続けた。 3 彼は治世の第1年
の第1の月に,エホバの家の扉を開いて修理した。 4 それから,祭司とレビ族を呼び寄せ,東の広場に集めた。
5 そして言った。「レビ族の皆さん,聞いてください。今,自分を神聖なものとし,皆さんの父祖の神エホバ
の家を神聖なものとし,聖なる場所から汚れたものを取り除きなさい。 6 私たちの父たちは不忠実で,エホバ
神から見て悪いことを行いました。神を捨てて,エホバの幕屋から顔を背け,神に背を向けました。 7 彼らは
神殿の玄関の扉を閉じ,ランプを消しました。香をたくのをやめ,聖なる場所でイスラエルの神に全焼の犠牲
を捧げるのもやめました。 8 それで,エホバはユダとエルサレムに憤って災難をもたらし,彼らについて見聞
きした人が恐怖を抱き,驚き,口笛を吹くようにしました。皆さんが自分の目で見ている通りです。 9 そのた
め,父祖たちは剣によって倒れ,私たちの息子や娘や妻は捕らえられました。 10 私は今,神に燃える怒りを
静めていただくため,イスラエルの神エホバと契約を結ぶことを心から願っています。 11 私の兄弟たち,今
は務めを怠る時ではありません。エホバは皆さんを,ご自分の前に立たせ,奉仕者として仕えさせ,犠牲を焼
いて煙にさせるために選んだのです」。
  12 そこで,レビ族は立ち上がった。コハト氏族ではアマサイの子マハトとアザリヤの子ヨエル,メラリ氏
族からはアブディの子キシュとエハレルエルの子アザリヤ,ゲルション氏族からはジマの子ヨアハとヨアハの
子エデン, 13 エリザパンの子孫からはシムリとエウエル,アサフの子孫からはゼカリヤとマタヌヤ, 14 ヘ
マンの子孫からはエヒエルとシムイ,エドトンの子孫からはシェマヤとウジエルである。 15 彼らは自分の兄
弟たちを集め,自分たちを神聖なものにし,エホバの言葉に沿った王の命令の通り,エホバの家を清めに行っ
た。 16 祭司たちはエホバの家に入ってそこを清め,エホバの神殿にあった汚れたものを全部出し,エホバの
家の庭に持っていった。レビ族はそれを受け取り,外のキデロンの谷に運んだ。 17 このようにして,彼らは
神聖なものとすることを第1の月の1日に始め,その月の8日にエホバの玄関に達した。エホバの家を8日間
にわたって神聖なものとし,第1の月の16日に完了した。
  18 その後,彼らはヒゼキヤ王の所に入ってきて言った。「エホバの家全体,全焼の捧げ物の祭壇とその器
具全て,重ねのパンの食卓とその器具全てを清めました。 19 また,アハズ王が治世中に不忠実にも投げ捨て
た器具を全て整えて,神聖なものとしました。それらはエホバの祭壇の前にあります」。
  20 ヒゼキヤ王は早く起きて,都市の高官たちを集めた。彼らはエホバの家に上っていった。 21 彼らは
王国と聖なる所とユダのために罪の捧げ物として雄牛7頭,雄羊7匹,雄の子羊7匹,雄ヤギ7匹を連れてき
た。王はそれらをエホバの祭壇で捧げるよう祭司であるアロンの子孫に命じた。 22 それで牛がほふられ,祭
司たちはその血を取って祭壇に振り掛けた。その後,雄羊をほふり,その血を祭壇に振り掛けた。また,雄の
子羊をほふり,その血を祭壇に振り掛けた。 23 それから,王と会衆の前に罪の捧げ物の雄ヤギを連れてきて,
その上に手を置いた。 24 祭司たちはそれらをほふって罪の捧げ物とし,その血を祭壇に付けて,イスラエル
全体のために贖罪を行った。全焼の捧げ物と罪の捧げ物をイスラエル全体のためのものにするようにと王が言
ったからである。
  25 その間にヒゼキヤは,ダビデ,王に神からの幻を伝える人ガド,預言者ナタンの命令に従って,レビ族
にシンバルと弦楽器とたて琴を持たせ,エホバの家に立たせた。その命令はエホバが預言者たちを通して与え
たものだった。 26 こうして,レビ族はダビデの楽器を持って,祭司たちはラッパを持って立った。
  27 ヒゼキヤは全焼の犠牲を祭壇で捧げるようにと命じた。全焼の捧げ物が捧げ始められると,エホバへの
歌が始まり,イスラエルのダビデ王の楽器に合わせてラッパも鳴り始めた。 28 歌が歌われ,ラッパが鳴り響
く中,会衆全体はひれ伏していた。全ては,全焼の捧げ物が捧げ終わるまで続いた。 29 捧げ物が捧げ終わる
と,王と,共にいた人たちは皆,身をかがめてひれ伏した。 30 ヒゼキヤ王と高官たちは,ダビデの詩や神か
らの幻を伝える人アサフの詩でエホバを賛美するようにとレビ族に告げた。それで彼らは非常に喜びながら賛
美を捧げ,身をかがめてひれ伏した。
  31 ヒゼキヤは言った。「皆さんはエホバのために取り分けられました。エホバの家に犠牲と感謝の捧げ物
を持ってきなさい」。それで会衆は犠牲と感謝の捧げ物を持ってきた。心から進んで行う人は皆,全焼の捧げ
物を持ってきた。 32 会衆が持ってきた全焼の捧げ物の数は,牛70頭,雄羊100匹,雄の子羊200匹だ
った。これらは全てエホバへの全焼の捧げ物である。 33 また,聖なる捧げ物は,牛600頭,羊3000匹
だった。 34 しかし全ての全焼の捧げ物の皮を剥ぐには祭司が足りなかったので,ほかの祭司たちが自分を神
聖なものとするまで,兄弟であるレビ族が手伝い,仕事を終わらせた。レビ族は,自分を神聖なものとするこ
とに祭司よりも高い意識を持っていたのである。 35 多くの全焼の捧げ物に加え,共食の犠牲の脂肪の部分,
全焼の捧げ物のための飲み物の捧げ物があった。こうしてエホバの家での奉仕は再確立された。 36 ヒゼキヤ
と全ての民は,真の神が民のために確立してくださった事柄を喜んだ。全てがあっという間に行われたからで
ある。
  30 章
  1 ヒゼキヤはイスラエル全体とユダに知らせを送り,エフライムとマナセにも手紙を書き,エルサレムに
あるエホバの家に来てイスラエルの神エホバのために過ぎ越しを執り行うように勧めた。 2 とはいえ,王と高
官たちとエルサレムの会衆全体は,過ぎ越しを第2の月に執り行うことにした。 3 自分を神聖なものとした祭
司の数が十分ではなく,民もエルサレムに集まっていなかったため,通常の時に執り行うことができなかった
のである。 4 この決定は,王にとっても会衆全体にとっても,正しいと思えるものだった。 5 それで彼らは,
ベエル・シェバからダンまで,イスラエル中に知らせを出すことにした。エルサレムに来てイスラエルの神エホ
バのために過ぎ越しを執り行うようにとの知らせだった。律法通りに集団として執り行うことがなされていな
かったからである。
  6 急使たちが王と高官たちからの手紙を持って,イスラエル全体とユダの至る所に行き,王に命じられた
通り,こう言った。「イスラエルの人たち,アブラハムとイサクとイスラエルの神エホバのもとに戻ってくだ
さい。そうすれば,アッシリアの王たちから逃れて残った皆さんのもとに神は戻ってきてくださるでしょう。
7 皆さんの父祖や兄弟たちのようになってはいけません。彼らは父祖たちの神エホバに不忠実なことをしまし
た。そのため,神は災難をもたらし,彼らについて見聞きした人たちが恐怖を抱くようにしました。皆さんも
見ている通りです。 8 父祖たちのように強情になってはいけません。エホバに従い,神が永遠に神聖なものと
された聖なる所に来て,エホバ神に仕えてください。そうすれば,神は燃える怒りを静めてくださるでしょう。
9 皆さんがエホバのもとに戻るなら,捕らわれている兄弟や子たちは,敵たちから憐れみを示され,この国に
帰るのを許されます。エホバ神は思いやりがあって憐れみ深い方です。皆さんが神のもとに戻るなら,神は皆
さんから顔を背けたりはされません」。
  10 急使たちはエフライムとマナセの土地を町から町へと巡り,ゼブルンにまで行ったが,人々から笑いも
のにされ,あざけられた。 11 しかし,アシェルとマナセとゼブルンのある人たちは謙遜になり,エルサレム
に来た。 12 真の神の手はユダにも及んで人々を一つにし,エホバの言葉に沿った王と高官たちの命令を実行
するよう助けた。
  13 第2の月,無酵母パンの祭りを行おうとして,大勢の民がエルサレムに集まった。非常に大きな会衆に
なった。 14 彼らは立ち上がって,エルサレムにあった祭壇を取り除いた。香の祭壇も全て取り除き,キデロ
ンの谷に投げ捨てた。 15 それから,第2の月の14日に過ぎ越しの犠牲をほふった。祭司とレビ族は恥ずか
しく思い,自分を神聖なものとして,全焼の捧げ物をエホバの家に持ってきた。 16 そして,真の神に仕えた
モーセの律法に従って通例の位置に就いた。祭司たちはレビ族の手から受け取った血を振り掛けた。 17 会衆
の中には,自分を神聖なものとしていなかった人が多くいた。レビ族は清くない人全てのために過ぎ越しの犠
牲をほふる役目をし,その人たちをエホバのために神聖なものとした。 18 民の多くは,特にエフライムとマ
ナセとイッサカルとゼブルンから来た人たちは自分を清めていなかった。それでも彼らは,記されていること
に反して,過ぎ越しの物を食べた。だが,ヒゼキヤは彼らのためにこう祈った。「善い方であるエホバ,お許
しくださいますように。 19 彼らは神聖さにかなうように自分を清めてはいませんが,皆,真の神,父祖たち
の神エホバに仕えようと心を整えています」。 20 エホバはヒゼキヤの願いを聞き入れ,民を許した。
  21 こうして,エルサレムにいたイスラエル人は非常に喜びながら無酵母パンの祭りを7日間行った。レビ
族と祭司たちはエホバに向かって楽器を大きく響かせ,毎日エホバを賛美した。 22 ヒゼキヤは,エホバに思
慮深く仕えていたレビ族の皆に語り掛け,励ました。民は共食の犠牲を捧げ,父祖たちの神エホバに感謝しな
がら,祭りの7日間にわたって食べた。
  23 会衆全体は祭りをもう7日間行うことに決めた。それで喜びながらもう7日間行った。 24 ユダのヒ
ゼキヤ王は会衆のために雄牛1000頭と羊7000匹を寄進し,高官たちも会衆のために雄牛1000頭と
羊1万匹を寄進した。多くの祭司が自分を神聖なものとした。 25 ユダの会衆全体,祭司,レビ族,イスラエ
ルから来た会衆全体,イスラエルの土地から来た外国人居住者,ユダに住んでいる外国人居住者は喜び続けた。
26 エルサレムは大きな喜びに包まれた。イスラエルの王ダビデの子ソロモンの時代以降,エルサレムでこの
ようなことは行われていなかったからである。 27 レビ族の祭司たちは立ち上がって,民のために祝福を願い
求めた。神はその声を聞き,その祈りは神の聖なる住まいである天に届いた。
  31 章
  1 こうしたことが終わると,そこにいたイスラエル人は皆ユダの町々に出ていった。ユダとベニヤミンの
全土,またエフライムとマナセで,聖柱を打ち砕き,聖木を切り倒し,高い場所と祭壇を取り壊した。それら
を完全に破壊し,その後,イスラエル人は皆,自分の町,自分の所有地に帰った。
  2 ヒゼキヤは祭司とレビ族をそれぞれ組分けし,奉仕に当たらせた。彼らは全焼の捧げ物と共食の犠牲を
捧げ,エホバの庭の門で奉仕し,感謝と賛美を捧げた。 3 王の財産の一部が全焼の捧げ物のために出された。
エホバの律法に書かれている朝と夕方の捧げ物や安息日と新月と祭りの時期の全焼の捧げ物のためにである。
  4 さらにヒゼキヤはエルサレムに住む民に,祭司とレビ族の分を納めるよう命じた。エホバの律法を固く
守れるようにするためだった。 5 命令が出されるとすぐに,イスラエル人は穀物や新しいぶどう酒や油や蜜の
初物,土地のあらゆる産物の初物を大量に納めた。全ての物の10分の1をふんだんに持ってきたのである。
6 ユダの町々に住むイスラエルの民とユダの民も,牛や羊の10分の1,エホバ神のために神聖なものとされ
た聖なるものの10分の1を持ってきた。それらを持ってきて,積み上げて幾つもの山にした。 7 寄進物を第
3の月に積み上げ始め,第7の月に完了した。 8 ヒゼキヤと高官たちはやって来て,積まれた山を見ると,エ
ホバを賛美し,神の民イスラエルのために祝福を願い求めた。
  9 ヒゼキヤは積まれた山について祭司とレビ族に尋ねた。 10 すると,ザドクの家系の祭司長アザリヤが
言った。「寄進物がエホバの家に持ってこられるようになってから,民は満足するまで食べており,しかもた
くさんの物が余っています。エホバが民を祝福してくださったのです。残っている物はこんなに多くありま
す」。
  11 ヒゼキヤはエホバの家の貯蔵室を整えるようにと言った。それでそこは整えられた。 12 寄進物と1
0分の1と聖なるものが忠実に運び込まれていった。監督としてレビ族のコナヌヤがこうした事柄全体を受け
持ち,兄弟のシムイが補佐だった。 13 ヒゼキヤ王の命令により,エヒエル,アザズヤ,ナハト,アサエル,
エリモト,ヨザバド,エリエル,イスマクヤ,マハト,ベナヤが事務官として,コナヌヤと兄弟のシムイの下
で働いた。アザリヤは真の神の家の監督だった。 14 レビ族のイムナの子コレは東側の門番で,真の神への自
発的な捧げ物を受け持ち,エホバへの寄進物と極めて聖なるものを分配した。 15 コレの指揮下には,エデン,
ミヌヤミン,エシュア,シェマヤ,アマルヤ,シェカヌヤがいて,祭司の町々で責任ある職務に就き,各組の
兄弟たちに年齢に関わりなく等しく分配した。 16 これは,毎日エホバの家に来て仕え,自分の組での務めを
果たす人たち,家系の記録に載せられている3歳以上の男性への分配とは別になされるものだった。
  17 祭司は氏族ごとに家系の記録に載せられた。20歳以上のレビ族は各組の務めごとに家系の記録に載せ
られた。 18 家系の記録には,彼らの妻,息子や娘,幼い子供,会衆全体が含まれた。彼らは責任ある職務に
就いていて,聖なることのために自分をいつも神聖なものとしていたからである。 19 家系の記録には,祭司
の町々の周りに住む祭司,アロンの子孫も含まれた。どの町でも,指名された人たちが,祭司の家族の男性全
員と,レビ族の家系の記録に載せられた人全員に分配をした。
  20 ヒゼキヤはこうしたことをユダ全土で実施し,エホバ神の前で,良くて,正しく,忠実なことを行い続
けた。 21 真の神の家での奉仕に関してであれ,律法やおきてに関してであれ,神への崇拝のために取り掛か
った全ての仕事を心を尽くして行い,成功を収めた。
  32 章
  1 ヒゼキヤが忠実にこうしたことを行った後,アッシリアのセナケリブ王がやって来て,ユダに侵入した。
セナケリブは防備された町々を突撃して攻め取ろうとして,包囲した。
  2 ヒゼキヤは,セナケリブが来てエルサレムに戦いを仕掛けようともくろんでいるのを知り, 3 高官や
戦士たちに相談して,都市の外にある泉の水を止めることに決めた。皆,王に協力した。 4 多くの民が集まり,
「アッシリアの王たちが来て,豊富な水を見つけることがあってはいけない」と言って,全ての泉をふさぎ,
土地を流れる水を止めた。
  5 さらにヒゼキヤは強い意志を持って,崩れた城壁を全部建て直し,その上に塔を建てた。そして外側に
もう1つ城壁を造った。「ダビデの町」の塚も修復し,武器と盾をたくさん作った。 6 それから,民をまとめ
る軍隊長たちを任命し,都市の門の広場に集め,こう言って励ました。 7 「勇気を出し,強くありなさい。ア
ッシリアの王や王と共にいる大軍のことで恐れたりおびえたりしてはなりません。彼と共にいる者よりも,私
たちと共にいる者の方が多いからです。 8 彼のもとにあるのは人間の力ですが,私たちには,私たちを助け,
私たちのために戦ってくださるエホバ神がいます」。民はユダのヒゼキヤ王の言葉に力づけられた。
  9 この後のこと,アッシリアのセナケリブ王は全帝国軍と共にラキシュにいた。セナケリブは家来たちを
エルサレムに遣わし,ユダのヒゼキヤ王とエルサレムにいたユダの人全てにこう伝えさせた。
  10 「アッシリアのセナケリブ王はこう言っている。『エルサレムは包囲されているというのに,いったい
何を信頼してそのままとどまっているのか。 11 ヒゼキヤは,「エホバ神が私たちをアッシリアの王の手から
救い出してくださる」と言っているが,おまえたちを言いくるめ,飢えと渇きで死なせようとしているのだ。
12 やつはおまえたちの神の高い場所と祭壇を取り除いてしまい,「ただ1つの祭壇の前でひれ伏し,そこで犠
牲を焼いて煙にすべきだ」とユダとエルサレムに言ったではないか。 13 おまえたちは,私と父祖たちがほか
の国々にしたことを知らないのか。それらの国の神々は,自分の国を私の手から救うことができたか。 14 私
の父祖たちが滅ぼし尽くした国の神々の中に,民を私の手から救えた神はいないではないか。それなのに,お
まえたちの神は私の手からおまえたちを救えるというのか。 15 ヒゼキヤにだまされるな。言いくるめられる
な。彼を信用してはならない。どの国民や王国の神も私や父祖たちの手から民を救えなかったのだから,おま
えたちの神が私の手からおまえたちを救えるわけがない!』」
  16 セナケリブの家来たちは,真の神エホバと神に仕えるヒゼキヤをあざけり続けた。 17 セナケリブは
手紙も書いた。「私の手から民を救えなかった国の神々と同じように,ヒゼキヤの神も私の手から民を救えな
い」と記し,イスラエルの神エホバを侮辱し,悪く言った。 18 セナケリブの家来たちは都市を攻め取るため,
城壁の上にいたエルサレムの民に向かってユダヤ人の言語で大声で叫び続け,民を恐れさせ,おびえさせた。
19 彼らは,エルサレムの神を,人間が作った地上の民の神々と同等に見なし,悪く言った。 20 一方,ヒゼ
キヤ王とアモツの子である預言者イザヤはこのことで祈り続け,助けを求めて天に向かって叫んだ。
  21 するとエホバは天使を遣わし,アッシリアの王の陣営にいた強い戦士や指揮官や長たちを皆,滅ぼした。
セナケリブは屈辱のうちに自国に帰った。その後,彼は自分の神の家に入った時,自分の子たちに剣で殺され
た。 22 こうしてエホバは,アッシリアのセナケリブ王とほかの全ての者の手からヒゼキヤとエルサレムの住
民を救い,周囲の敵から守って安心させた。 23 多くの人が,エルサレムのエホバに供え物を,ユダのヒゼキ
ヤ王にえり抜きの物を持ってきた。これ以降,ヒゼキヤはあらゆる国から非常に尊敬されるようになった。
  24 その頃,ヒゼキヤは病気になって死にそうになり,エホバに祈った。神は答えて,1つのしるしを示し
た。 25 しかしヒゼキヤは心が傲慢になり,受けた恩恵に感謝しなかった。そのため,神は彼とユダとエルサ
レムに対して憤った。 26 とはいえ,ヒゼキヤは心の傲慢さを改めて謙遜になり,エルサレムの住民もそうし
たので,ヒゼキヤの時代中,エホバの憤りは生じなかった。
  27 ヒゼキヤは莫大な富と栄光を手にし,銀,金,宝石,バルサム油,盾,あらゆる貴重な物品を入れる倉
庫を造った。 28 穀物や新しいぶどう酒や油を入れる貯蔵所,各種の家畜の小屋,羊の囲いも造った。 29 自
分のために町々を築き,家畜や羊や牛をたくさん手に入れた。神が非常に多くの財産を与えたのである。 30
ヒゼキヤはまた,ギホンの水の上方の出口をふさぎ,「ダビデの町」の西側に流れるように水を引いた。ヒゼ
キヤは何をしても成功した。 31 しかし,バビロンの高官の代弁者たちが,この国で生じたしるしのことをヒ
ゼキヤに尋ねにやって来た時,真の神はヒゼキヤを試すためにただ静かに見守った。神は彼の心の中にあるこ
とを全て知ろうとしたのである。
  32 ヒゼキヤについてのほかの記録,揺るぎない愛の行動は,アモツの子である預言者イザヤの幻の記録,
ユダとイスラエルの王の書に記されている。 33 ヒゼキヤはやがて死に,ダビデの子孫の墓地の坂に葬られた。
彼の死に際し,ユダの全ての人とエルサレムの住民が彼に敬意を表した。ヒゼキヤの子マナセが代わりに王に
なった。
  33 章
  1 マナセは12歳で王になり,エルサレムで55年治めた。
  2 マナセはエホバから見て悪いことを行い,イスラエルの民の前からエホバが追い払った国々の忌まわし
い行いをまねた。 3 父ヒゼキヤが取り壊した高い場所を再び築き,バアルのために祭壇を設け,聖木を作った。
また,天の全ての星を崇拝してひれ伏した。 4 エホバがかつて「私の名は永遠にエルサレムにある」と言った
そのエホバの家の中にも祭壇を作った。 5 エホバの家の2つの庭に,天の全ての星のために祭壇を作った。 6
ヒンノムの子の谷で自分の子たちを火で焼き,魔術を行い,占いをし,呪術を行い,霊媒師や占い師を任命し
た。エホバから見て悪いことを大規模に行って,神を怒らせた。
  7 マナセは彫刻像を作り,真の神の家の中に置いた。かつて神はその家について,ダビデとその子ソロモ
ンにこう言っていた。「私は,イスラエルの全部族の領地から選んだエルサレムとこの家に,私の名をいつま
でも付す。 8 イスラエルが,私が命じた全てのこと,モーセを通して与えた律法全て,規定や法規を注意深く
守るなら,私は,父祖たちに与えた土地からイスラエルを立ち退かせたりはしない」。 9 マナセはユダとエル
サレムの住民を惑わし続け,イスラエル人の前からエホバが滅ぼし尽くした国々よりも悪いことを行わせた。
  10 エホバはマナセと民に語り続けた。しかし彼らは注意を払わなかった。 11 それでエホバはアッシリ
アの王の軍隊長たちを彼らに差し向けた。軍隊長たちはマナセをかぎで引っ掛けて捕らえ,銅の足かせ2つを
はめてバビロンへ連れていった。 12 マナセは苦難の中,エホバ神に恵みを求め,父祖たちの神の前でとても
謙遜になった。 13 彼が神に祈り続けたので,神はその懇願に心を動かされ,恵みを求める願いを聞き,彼を
エルサレムでの王位に復帰させた。こうしてマナセはエホバこそ真の神であると悟った。
  14 その後,マナセは「ダビデの町」のため,谷にあるギホンの西に,外側の城壁を「魚の門」まで築いた。
それをオフェルまで巡らし,非常に高くした。マナセはまた,ユダの防備された町全てに軍隊長を任命した。
15 エホバの家から外国の神々と偶像を取り除き,エホバの家の山とエルサレムに作った祭壇を全て取り除いて,
都市の外に捨てた。 16 エホバの祭壇を復旧させ,そこで共食の犠牲と感謝の犠牲を捧げ始めた。そしてイス
ラエルの神エホバに仕えるようユダに命じた。 17 民は,エホバ神だけに犠牲を捧げたが,依然として高い場
所でそうした。
  18 マナセについてのほかの記録,神に捧げた祈り,神からの幻を伝える人たちがイスラエルの神エホバの
名によってマナセに語った言葉は,イスラエルの王の歴史に記されている。 19 彼の祈り,懇願が聞き入れら
れたこと,全ての罪,不忠実だったこと,彼が謙遜になる前に高い場所を築いて聖木や彫像を立てた場所は,
彼に神からの幻を伝えた人たちが書いた物に記されている。 20 マナセはやがて死に,自分の家に葬られた。
代わりにマナセの子アモンが王になった。
  21 アモンは22歳で王になり,エルサレムで2年治めた。 22 アモンは,エホバから見て悪いことを行
い続けた。父マナセと同じようなことをした。父マナセが作った全ての彫像に犠牲を捧げ,崇拝し続けた。 23
アモンは父マナセが謙遜になったのとは違い,エホバの前で謙遜になることはなかった。それどころか,ます
ます罪を増やしていった。 24 やがてアモンの家来たちが謀反を起こし,王の家でアモンを殺害した。 25 し
かし国の民は,アモン王への謀反を起こした人を全て殺し,アモンの子ヨシヤを代わりに王にした。
  34 章
  1 ヨシヤは8歳で王になり,エルサレムで31年治めた。 2 彼はエホバから見て正しいことを行って,
父祖ダビデと同じ道を歩み,右にも左にもそれなかった。
  3 ヨシヤは治世の第8年,まだ少年だった頃,父祖ダビデの神に仕え始めた。第12年には,高い場所,
聖木,彫像,金属像を取り除いて,ユダとエルサレムを清め始めた。 4 ヨシヤの前でバアルの祭壇が取り壊さ
れ,ヨシヤはその上にあった香台を切り倒した。彼は,聖木,彫像,金属像を打ち砕いて粉々にし,そうした
像に犠牲を捧げていた人たちの墓にまき散らした。 5 また,祭司が使っていた祭壇で祭司たちの骨を焼いた。
こうしてヨシヤはユダとエルサレムを清めた。
  6 マナセ,エフライム,シメオン,さらにはナフタリの町々と,その周りの荒れ果てた場所でも, 7 ヨ
シヤは祭壇を取り壊し,聖木や彫像を打ち砕いて粉々にした。イスラエル全土で香台を全て切り倒し,その後,
エルサレムに帰った。
  8 治世の第18年,国と神殿を清めたヨシヤは,エホバ神の家を修理するため,アツァルヤの子シャファ
ン,都市の長マアセヤ,ヨアハズの子である記録官ヨアハを遣わした。 9 彼らは大祭司ヒルキヤの所に行き,
神の家に持ってこられたお金を渡した。戸口番として仕えるレビ族が,マナセ,エフライム,イスラエルのほ
かの全ての人,ユダ,ベニヤミン,エルサレムの住民から集めたお金である。 10 彼らはそのお金をエホバの
家での工事をまとめる人たちに渡した。そしてエホバの家の労働者たちはそれを家の修理に使った。 11 彼ら
はそのお金を職人や建築作業者に渡して,切り石やつなぎ材を買わせ,ユダの王たちのせいで荒廃した建物を
新しい梁で建て直させた。
  12 人々は工事を忠実に行った。彼らをまとめるため,レビ族のメラリ氏族のヤハトとオバデヤ,コハト氏
族のゼカリヤとメシュラムが監督を務めた。また,レビ族の人たち,熟練した音楽家たちは, 13 一般の労働
者をまとめ,各種の仕事の作業者全ての監督だった。レビ族の中には,秘書官,役人,門番もいた。
  14 エホバの家に持ってこられたお金が運び出されていた時,祭司ヒルキヤは,モーセを通して与えられた
エホバの律法の書を見つけた。 15 ヒルキヤは秘書官シャファンに,「エホバの家で律法の書を見つけまし
た」と言い,その書物をシャファンに渡した。 16 シャファンは書物を王のもとに持っていき,こう言った。
「あなたの家来たちは,割り当てられた仕事を全て行っています。 17 家来たちはエホバの家に集まったお金
を箱から取り出して,まとめ役の人たちと工事をする人たちに渡しました」。 18 秘書官シャファンは王にさ
らに言った。「祭司ヒルキヤから1つの書物を渡されました」。そしてシャファンは王の前でそれを読み始め
た。
  19 王は律法の言葉を聞くと,すぐに衣服を引き裂いた。 20 それから,ヒルキヤ,シャファンの子アヒ
カム,ミカの子アブドン,秘書官シャファン,家来のアサヤにこう命じた。 21 「私のため,イスラエルとユ
ダに残っている人たちのために,この見つかった書物の言葉についてエホバに尋ねに行きなさい。父祖たちが,
この書物に書かれていることをしっかり守らず,エホバの言葉の通りにしなかったので,私たちはエホバの激
しい怒りを浴びることになるからです」。
  22 それで,ヒルキヤと,王に遣わされた人たちは,女預言者フルダの所に行った。フルダは,ハルハスの
子ティクワの子である衣装係シャルムの妻で,エルサレムの第2地区に住んでいた。彼らはそこで彼女に話し
た。 23 彼女は言った。「イスラエルの神エホバはこう言っています。『あなたたちを私のもとに遣わした人
に言いなさい。 24 「エホバはこう言っている。『私はこの場所と住民に災難をもたらす。ユダの王の前で読
まれた書物に書かれている災いをもたらす。 25 彼らが私を捨て,ほかの神々のために犠牲を焼いて煙にし,
行いによって私を怒らせたので,私はこの場所に怒りを浴びせる。その怒りが消えることはない』」。 26 だ
が,エホバに尋ねるようにとあなたたちを遣わしたユダの王にこう言いなさい。「あなたが聞いた言葉につい
て,イスラエルの神エホバはこう言っている。 27 『あなたは,この場所と住民に関する神の言葉を聞いた時,
心が柔らかで,神の前で謙遜になった。私の前で謙遜になって衣服を引き裂き,泣いたので,私エホバはあな
たの祈りを聞いたと宣言する。 28 それで,私はあなたを先祖たちと共に横たわらせ,あなたは安らかに自分
の墓に入る。あなたは私がこの場所と住民にもたらす災いを全く見ない』」』」。
  彼らはこの返事を王の所に持ち帰った。 29 それでヨシヤ王は知らせを送り,ユダとエルサレムの長老全
員を呼び集めた。 30 その後,王はエホバの家に上った。ユダの人たち全て,エルサレムの住民,祭司とレビ
族,年取った人から若い人まで民の皆が一緒だった。王は,エホバの家で見つかった契約の書の言葉全てを皆
に聞こえる所で読んだ。 31 王は自分の場所に立ち,エホバと契約を結んだ。エホバに従い,その書物に記さ
れている契約の言葉を実行し,心を尽くし自分の全てを尽くして,神のおきてと教えと規定を守るという契約
である。 32 王はエルサレムとベニヤミンにいる人たち皆に,契約に同意するよう求めた。エルサレムの住民
は,父祖たちの神の契約に従って行動した。 33 ヨシヤはイスラエル人の全ての土地から忌まわしいものを全
部取り除き,イスラエルにいる全ての人をエホバ神に仕えさせた。ヨシヤの生涯中ずっと,彼らは父祖たちの
神エホバに従い,背かなかった。
  35 章
  1 ヨシヤはエルサレムでエホバの過ぎ越しを執り行い,第1の月の14日に過ぎ越しの犠牲がほふられた。
2 ヨシヤは祭司たちに務めを割り当て,エホバの家での奉仕を行うよう励ました。 3 そして,イスラエル全
体の教師で,エホバにとって聖なる人たちであるレビ族にこう言った。「イスラエルの王ダビデの子ソロモン
が建てた家に,聖なる箱を置きなさい。皆さんがそれを肩で運ぶことはもうありません。さあ,エホバ神とイ
スラエルの民に仕えなさい。 4 イスラエルのダビデ王とその子ソロモンが書いた物に従って,各組,氏族ごと
に用意をしなさい。 5 組に分かれて,皆さんの兄弟であるほかの民の氏族ごとに聖なる場所に立ち,各氏族に
レビ族の氏族の組が付くようにしなさい。 6 過ぎ越しの犠牲をほふり,自分を神聖なものとし,皆さんの兄弟
たちのために用意をして,モーセを通して語られたエホバの言葉の通りにしなさい」。
  7 ヨシヤは民に羊やヤギを提供した。そこにいた全ての人たちのために過ぎ越しの犠牲として,雄の子羊
と雄の子ヤギを合計3万匹提供したのである。牛3000頭も提供した。これらは王の財産から出された。 8
王に仕える高官たちも,民,祭司,レビ族のために自発的な捧げ物を提供した。真の神の家の責任者たちであ
るヒルキヤとゼカリヤとエヒエルも,過ぎ越しの犠牲2600匹と牛300頭を祭司に与えた。 9 レビ族の長
たちである,コナヌヤ,その兄弟のシェマヤとネタヌエル,ハシャブヤ,エイエル,ヨザバドも,過ぎ越しの
犠牲5000匹と牛500頭をレビ族に提供した。
  10 準備が整い,王の命令通り,祭司たちは自分の場所に立ち,レビ族は組ごとに立った。 11 過ぎ越し
の犠牲がほふられ,祭司たちは受け取った血を振り掛けた。レビ族は動物の皮を剥いだ。 12 それから,氏族
ごとに分かれたほかの民に配るため,全焼の捧げ物を整えた。モーセの書に記されている通りにエホバに捧げ
るためである。牛についても同じようにした。 13 慣例通り,過ぎ越しの捧げ物を火に掛けて煮た。聖なる捧
げ物を鍋や大釜や平鍋で煮て,すぐにそれをほかの全ての民の所に持っていった。 14 それから,自分たちと
祭司たちのために用意をした。アロンの子孫である祭司たちは夜になるまで全焼の犠牲と脂肪の部分を捧げて
いたからである。それで,レビ族は自分たちとアロンの子孫である祭司たちのために用意をした。
  15 アサフの子孫である歌い手たちは,ダビデ,アサフ,ヘマン,神からの幻を王に伝える人エドトンの命
令に従って位置に就き,門番たちも別々の門に立った。兄弟であるレビ族の人たちが彼らのために用意をした
ので,彼らは持ち場を離れる必要がなかった。 16 こうしてその日,ヨシヤ王の命令通り,過ぎ越しを執り行
ってエホバの祭壇で全焼の犠牲を捧げるため,エホバへの奉仕の準備が全て整った。
  17 その時そこにいたイスラエル人は過ぎ越しを執り行い,7日間,無酵母パンの祭りを行った。 18 ヨ
シヤ,祭司とレビ族,そこにいたユダとイスラエルの全体,エルサレムの住民が行ったその過ぎ越しは,預言
者サムエルの時代以来イスラエルで行われたことがないほどのもの,イスラエルのほかの王たちの誰も行った
ことがないほどのものだった。 19 この過ぎ越しが執り行われたのは,ヨシヤの治世の第18年のことだった。
  20 このようにしてヨシヤが神殿を整えた後,エジプトのネコ王がユーフラテス川のそばのカルケミシュで
戦うために上ってきた。ヨシヤはネコに立ち向かおうと出ていった。 21 するとネコは使者たちを遣わして,
ヨシヤにこう伝えてきた。「ユダの王よ,これはあなたには関係のないことです。私は今日あなたを攻めに来
たわけではありません。別の国と戦うためであって,神から急ぐようにと言われています。痛い目に遭わない
ために,私と共にいる神に逆らうのはやめなさい。さもないと,神はあなたを破滅に陥れます」。 22 ところ
が,ヨシヤは引き返さず,ネコと戦うために変装し,神の口から出たネコの言葉を聞き入れなかった。こうし
てヨシヤは戦うためにメギドの平原に向かった。
  23 ヨシヤ王は弓を射る人たちに撃たれ,家来たちに言った。「ここから連れ出してくれ。ひどい傷を負っ
てしまった」。 24 そこで家来たちは彼を兵車から出し,第2の戦車に乗せてエルサレムに連れ帰った。ヨシ
ヤは死に,父祖たちの墓に葬られた。ユダ全体とエルサレムはヨシヤの死を悼んだ。 25 エレミヤはヨシヤの
ために歌った。今も男女の歌い手たちは皆,ヨシヤについての哀歌を歌う。その歌は,イスラエルで歌うこと
が定められ,哀歌集の中に載せられている。
  26 ヨシヤについてのほかの記録,エホバの律法の記述に沿った揺るぎない愛の行動, 27 行ったことは,
最初から最後まで,イスラエルとユダの王の書に記されている。
  36 章
  1 国の民はヨシヤの子エホアハズを選んで,エルサレムで父の代わりに王にした。 2 エホアハズは23
歳で王になり,エルサレムで3カ月治めた。 3 エジプトの王はエルサレムでエホアハズを王の地位から降ろし,
国に3.4トンの銀と34キロの金を課した。 4 その上,エジプトの王はエホアハズの兄エリヤキムをユダと
エルサレムの王にし,名前をエホヤキムに改名させた。弟のエホアハズはネコに捕らえられ,エジプトに連れ
ていかれた。
  5 エホヤキムは25歳で王になり,エルサレムで11年治めた。彼はエホバ神から見て悪いことを行い続
けた。 6 エホヤキムを攻めに,バビロンのネブカドネザル王がやって来た。エホヤキムに銅の足かせ2つをは
め,バビロンへ連れていくためだった。 7 ネブカドネザルはエホバの家の器具の一部をバビロンに持ち帰って,
バビロンの宮殿に置いた。 8 エホヤキムについてのほかの記録,行った忌まわしい事柄や発覚した事柄は,イ
スラエルとユダの王の書に記されている。代わりにエホヤキムの子エホヤキンが王になった。
  9 エホヤキンは18歳で王になり,エルサレムで3カ月と10日治めた。彼はエホバから見て悪いことを
行い続けた。 10 年の初め,ネブカドネザル王は人を遣わして,エホヤキンをエホバの家の貴重な物品と共に
バビロンに連れていった。そして,エホヤキンの叔父ゼデキヤをユダとエルサレムの王にした。
  11 ゼデキヤは21歳で王になり,エルサレムで11年治めた。 12 彼はエホバ神から見て悪いことを行
い続けた。エホバの命令で話す預言者エレミヤの前で謙遜になることはなかった。 13 また,ネブカドネザル
王に反逆した。ネブカドネザル王が彼に,忠義を神の前で誓わせていたにもかかわらず,反逆した。ゼデキヤ
は頑固で,心が固く,イスラエルの神エホバのもとに戻ろうとしなかった。 14 祭司の長たち皆も民も極めて
不忠実で,国々のあらゆる忌まわしいことを行い,エホバがエルサレムで神聖なものとした家を汚した。
  15 彼らの父祖たちの神エホバは,使者たちを通して警告し続けた。ご自分の民と住まいのことを思いやっ
て何度も警告した。 16 それにもかかわらず,彼らは真の神の使者たちをばかにし続け,神の言葉を侮り,預
言者たちをあざけったので,ついには矯正しようがないほどになった。エホバはご自分の民に激怒した。
  17 神は彼らにカルデア人の王を差し向けた。王は聖なる所の家で若者たちを剣で殺し,若い男女にも老人
にも病弱な人にも同情しなかった。神は全てを王の手に渡したのである。 18 カルデア人の王は,真の神の家
の大小の器具全部,エホバの家の財宝,王と高官たちの財宝など,全てをバビロンに持っていった。 19 真の
神の家を焼き払い,エルサレムの城壁を破壊し,防備された塔を全て焼き,貴重な物を全部壊した。 20 剣か
ら逃れた人たちは捕虜としてバビロンに連れ去られ,ペルシャの王国が治め始めるまで,カルデア人の王とそ
の子たちの召し使いとなった。 21 こうしてエレミヤが語ったエホバの言葉が実現し,守られてこなかったこ
の土地の安息年の埋め合わせがなされた。荒廃していた期間,ずっと土地は休み,70年を満了した。
  22 ペルシャのキュロス王の治世の第1年のこと,かつてエレミヤが語ったエホバの言葉が実現するよう,
エホバはキュロス王の心を奮い立たせ,王国全域に布告を出させた。王はその布告を文書に記した。 23 「ペ
ルシャのキュロス王の言葉。『天の神エホバは,地上の全ての王国を私に下さった。そして,ユダのエルサレ
ムにご自分の家を建てるよう私にお命じになった。それで,その神の民である人は誰でも,上っていくがよい。
エホバ神がその人と共におられるよう願っている』」。

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