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エレミヤ書

概要
1章
エレミヤは任命されて預言者になる(1‐10節)
アーモンドの木の幻(11,12節)
鍋の幻(13‐16節)
エレミヤは任務のために強くされる(17‐19節)
2章
イスラエルはエホバを捨てて他の神々に従う(1‐37節)
イスラエルは野ブドウのよう(21節)
服の裾に血が染み付いている(34節)
3章
イスラエルの背教のひどさ(1‐5節)
イスラエルとユダは姦淫をした(6‐11節)
悔い改めるようにとの呼び掛け(12‐25節)
4章
悔い改めは祝福をもたらす(1‐4節)
北から災難が来る(5‐18節)
エレミヤは災難について苦悩する(19‐31節)
5章
民はエホバからの矯正を受け入れない(1‐13節)
破滅するが根絶やしにはされない(14‐19節)
エホバは民に責任を問う(20‐31節)
6章
エルサレムは間もなく包囲される(1‐9節)
エホバはエルサレムに激しい怒りを浴びせる(10‐21節)
平和ではないのに「平和だ!」と言う(14節)
残酷な民が北から攻めてくる(22‐26節)
エレミヤは金属を精錬する者(27‐30節)
7章
エホバの神殿への間違った頼り方(1‐11節)
神殿はシロのようになる(12‐15節)
偽りの崇拝に対する非難(16‐34節)
「天の女王」への崇拝(18節)
ヒンノムで子供が犠牲として捧げられた(31節)
8章
民は大衆が好む道を選ぶ(1‐7節)
エホバの言葉を退けた人に知恵はない(8‐17節)
エレミヤはユダが弱り果てたことを嘆く(18‐22節)
「ギレアデにバルサムはないのか」(22節)
9章
エレミヤの深い悲しみ(1‐3節前半)
エホバはユダに責任を問う(3後半‐16節)
ユダに関する嘆き(17‐22節)
エホバについて知っていることを誇る(23‐26節)
10章
異国の神々と,生きている神(1‐16節)
間もなく滅ぼされ,捕囚にされる(17,18節)
エレミヤは悲嘆する(19‐22節)
エレミヤの祈り(23‐25節)
人は自分の歩みを導けない(23節)
11章
ユダは神との契約を破る(1‐17節)
町の数ほど多くの神々がいる(13節)
エレミヤはほふられる子羊のよう(18‐20節)
エレミヤの故郷の人々からの反対(21‐23節)
12章
エレミヤの訴え(1‐4節)
エホバの答え(5‐17節)
13章
ぼろぼろになった亜麻布の帯(1‐11節)
ぶどう酒のつぼが砕かれる(12‐14節)
矯正できないユダは捕囚にされる(15‐27節)
クシュ人が肌の色を変えられるだろうか(23節)
14章
干ばつ,飢餓,剣(1‐12節)
偽預言者たちは断罪される(13‐18節)
エレミヤは民の罪を認める(19‐22節)
15章
エホバはご自分の裁きを変えない(1‐9節)
エレミヤの訴え(10節)
エホバの答え(11‐14節)
エレミヤの祈り(15‐18節)
神の言葉を食べて喜ぶ(16節)
エレミヤはエホバによって強くされる(19‐21節)
16章
エレミヤは結婚したり,葬儀や宴会に行ったりしてはならない(1‐9節)
処罰の後の復興(10‐21節)
17章
ユダの罪は根深い(1‐4節)
エホバに頼るなら祝福される(5‐8節)
心は信用できない(9‐11節)
エホバはイスラエルの希望(12,13節)
エレミヤの祈り(14‐18節)
安息日を神聖な日とする(19‐27節)
18章
陶芸家の手の中にある粘土(1‐12節)
エホバはイスラエルに背を向ける(13‐17節)
エレミヤに対する策略と,エレミヤの嘆願(18‐23節)
19章
エレミヤは土器の瓶を砕くように言われる(1‐15節)
子供がバアルに捧げられた(5節)
20章
パシュフルがエレミヤを殴打する(1‐6節)
エレミヤは語らずにはいられない(7‐13節)
神の言葉は燃える火のよう(9節)
エホバは恐るべき戦士のよう(11節)
エレミヤの訴え(14‐18節)
21章
エホバはゼデキヤの頼みを退ける(1‐7節)
人々は命か死を選ぶことになる(8‐14節)
22章
悪い王たちに対する裁きの言葉(1‐30節)
シャルムについて(10‐12節)
エホヤキムについて(13‐23節)
コニヤについて(24‐30節)
23章
良い牧者と悪い牧者(1‐4節)
「正しい芽」の統治下で安らかに暮らす(5‐8節)
偽預言者たちは断罪される(9‐32節)
エホバからの「重々しい言葉」(33‐40節)
24章
良いイチジクと悪いイチジク(1‐10節)
25章
エホバは国々と論争をする(1‐38節)
人々は70年の間バビロンに仕える(11節)
神の憤りのぶどう酒が入った杯(15節)
国から国へと災いが広がる(32節)
エホバに討たれた者たち(33節)
26章
エレミヤは殺すと脅される(1‐15節)
エレミヤは助かる(16‐19節)
ミカの預言の引用(18節)
預言者ウリヤ(20‐24節)
27章
バビロンが課すくびき(1‐11節)
ゼデキヤはバビロンに服従するように言われる(12‐22節)
28章
エレミヤと偽預言者ハナニヤ(1‐17節)
29章
バビロンで捕囚にされている人々に宛てたエレミヤの手紙(1‐23節)
イスラエルは70年の後に帰還する(10節)
シェマヤに対する言葉(24‐32節)
30章
回復と癒やしの約束(1‐24節)
31章
イスラエルの残りの者は再び自分たちの土地に住む(1‐30節)
ラケルが子供たちのことで泣く(15節)
新しい契約(31‐40節)
32章
エレミヤは畑を買う(1‐15節)
エレミヤの祈り(16‐25節)
エホバの答え(26‐44節)
33章
復興の約束(1‐13節)
「正しい芽」の統治下で安らかに暮らす(14‐16節)
ダビデおよび祭司たちとの契約(17‐26節)
昼と夜に関する契約(20節)
34章
ゼデキヤに対する裁きの言葉(1‐7節)
奴隷を解放する契約が破られる(8‐22節)
35章
レカブの子孫の従順さは称賛に値する(1‐19節)
36章
エレミヤは言葉を巻物に書き取るよう指示する(1‐7節)
バルクは巻物を読み上げる(8‐19節)
エホヤキムは巻物を燃やす(20‐26節)
新しい巻物に再び言葉が書き記される(27‐32節)
37章
カルデア人の撤退は一時的(1‐10節)
エレミヤは投獄される(11‐16節)
ゼデキヤはエレミヤと会う(17‐21節)
エレミヤはパンを供給される(21節)
38章
エレミヤは水ために入れられる(1‐6節)
エベド・メレクがエレミヤを救う(7‐13節)
エレミヤはゼデキヤに降伏を促す(14‐28節)
39章
エルサレムの陥落(1‐10節)
ゼデキヤは逃げるが捕まる(4‐7節)
エレミヤは守られる(11‐14節)
エベド・メレクは生き延びる(15‐18節)
40章
ネブザラダンはエレミヤを解放する(1‐6節)
ゲダリヤが土地の総督となる(7‐12節)
ゲダリヤに対する陰謀(13‐16節)
41章
ゲダリヤはイシュマエルに暗殺される(1‐10節)
イシュマエルはヨハナンに敗走させられる(11‐18節)
42章
民はエレミヤに,祈って導きを求めるよう頼む(1‐6節)
エホバは,エジプトに行ってはならないと答える(7‐22節)
43章
民は従わず,エジプトに行く(1‐7節)
エジプトでエホバがエレミヤに語り掛ける(8‐13節)
44章
エジプトにいるユダヤ人が災いに遭うという予告(1‐14節)
民は神の警告を退ける(15‐30節)
「天の女王」への崇拝(17‐19節)
45章
バルクに対するエホバの言葉(1‐5節)
46章
エジプトに対する預言(1‐26節)
エジプトはネブカドネザルに征服される(13,26節)
イスラエルへの約束(27,28節)
47章
フィリスティア人に対する預言(1‐7節)
48章
モアブに対する預言(1‐47節)
49章
アンモンに対する預言(1‐6節)
エドムに対する預言(7‐22節)
エドムは国として存在しなくなる(17,18節)
ダマスカスに対する預言(23‐27節)
ケダルとハツォルに対する預言(28‐33節)
エラムに対する預言(34‐39節)
50章
バビロンに対する預言(1‐46節)
バビロンから逃げなさい(8節)
イスラエルは連れ戻される(17‐19節)
バビロンの水は干上がる(38節)
バビロンには誰も住まなくなる(39,40節)
51章
バビロンに対する預言(1‐64節)
バビロンは突然メディア人に滅ぼされることになる(8‐12節)
書がユーフラテス川に投げ入れられる(59‐64節)
52章
ゼデキヤはバビロンに反逆する(1‐3節)
ネブカドネザルがエルサレムを包囲する(4‐11節)
都市と神殿は破壊される(12‐23節)
人々は捕らわれてバビロンに連れていかれる(24‐30節)
エホヤキンは釈放される(31‐34節)
  1 章
  1 ベニヤミンの土地のアナトテにいた祭司ヒルキヤの子,エレミヤの言葉。 2 ユダの王,アモンの子ヨ
シヤの時代,その治世の第13年に,エホバがエレミヤに語り掛けた。 3 また,ユダの王,ヨシヤの子エホヤ
キムの時代にも語り掛けた。それは,ユダの王,ヨシヤの子ゼデキヤの治世の第11年が終わるまで,第5の
月にエルサレムの住民が捕囚にされるまで続いた。
  4 エホバが私に語り掛けてこう言った。
  5 「私は,あなたを母親の胎内で形作る前から知っており,
  生まれる前にあなたを神聖なものとした。
  国々に対する預言者とした」。
  6 しかし,私は言った。「ああ,主権者である主エホバ!
  私はどのように話したらいいか分かりません。少年にすぎないからです」。
  7 すると,エホバは言った。
  「『私は少年にすぎない』と言ってはいけない。
  私が遣わす所へ行き,皆に,
  私が命じることを全て話しなさい。
  8 彼らの見た目のために恐れてはいけない。
  『私があなたと共にいて,あなたを救う』と,エホバは宣言する」。
  9 エホバは手を伸ばし,私の口に触れた。それからエホバは言った。「私は,私の言葉をあなたの口に入
れた。 10 今日,私はあなたを国々や王国の上に任命した。引き抜き,取り壊し,滅ぼし,打ち壊し,建てて,
植えるためだ」。
  11 エホバが再び私に語り掛け,「エレミヤ,何が見えるか」と言った。それで私は,「アーモンドの木の
枝が見えます」と言った。
  12 エホバは言った。「あなたが見た通りだ。私は自分の言葉を実行するため,しっかり目覚めている」。
  13 エホバがもう一度私に語り掛け,「何が見えるか」と言った。それで私は言った。「煮え立っている鍋
が見えます。鍋の口が北を向かないように傾けられています」。 14 すると,エホバは言った。
  「北から災いが降り掛かる。
  この土地に住む全ての人の上に。
  15 エホバはこう宣言する。
  『私は北の諸王国の全ての部族を呼び寄せる。
  王たちは来て,それぞれ自分の王座を据える。
  エルサレムの門の入り口に,
  その周囲の城壁に向かって,
  またユダの全ての町に向かって。
  16 私は,あらゆる悪を行った民に対する裁きを言い渡す。
  彼らが私を捨て,
  ほかの神々のために犠牲の煙を立ち上らせ,
  自分の手で作った物にひれ伏しているからである』。
  17 あなたは用意を整えるべきである。
  立ち上がって,私が命じることを全て彼らに話さなければならない。
  彼らにおびえてはならない。
  私が彼らの前であなたをおびえさせることにならないために。
  18 今日,私はあなたを,防備された町,
  鉄の柱,銅の城壁とし,国全体に立ち向かわせる。
  すなわち,ユダの王たち,高官たち,
  祭司たち,民に対して。
  19 彼らは必ずあなたと戦うが,
  あなたに勝つことはない。
  『私があなたと共にいて,あなたを救う』と,エホバは宣言する」。
  2 章
  1 エホバが私に語り掛けてこう言った。 2 「行って話し,エルサレムに聞かせなさい。『エホバはこう
言っている。
  「私はあなたの若い時の深い愛情をよく覚えている。
  あなたが婚約した時に示した愛を。
  荒野で,種がまかれていない土地で,
  あなたが私の後に従ったことを。
  3 イスラエルはエホバにとって聖なるもの,収穫の初物だった」』。
  『彼をむさぼり食う者は誰でも有罪となり,
  災難を被る』と,エホバは宣言する」。
  4 エホバの言葉を聞け。ヤコブの子孫よ,
  イスラエル国民の全ての家族よ。
  5 エホバはこう言う。
  「あなたたちの父祖たちは,私にどんな落ち度があったので,
  私から遠く離れていき,無価値な偶像に従って歩み,
  自らも無価値な者となったのか。
  6 彼らはこう尋ねなかった。
  『エホバはどこにおられるのか。
  私たちをエジプトから連れ出した方,
  私たちを荒野で,砂漠や穴だらけの土地で,
  水のない,深い陰に覆われた土地で,
  誰も通らず,誰も住まない土地で導いた方は』。
  7 私はあなたたちを実り豊かな土地に連れてきて,
  豊かな産物を食べさせた。
  しかし,あなたたちは私の土地に入ってそこを汚し,
  私が与えた場所を忌まわしいものにした。
  8 祭司たちは『エホバはどこにおられるのか』と尋ねなかった。
  律法を教える者たちは私をよく知らず,
  牧者たちは私に背き,
  預言者たちはバアルによって預言し,
  何の役にも立たない神々に従った。
  9 『それで,私はあなたたちとさらに争い,
  あなたたちの子孫とも争う』と,エホバは宣言する。
  10 『キッテムの海沿いの地帯に渡って,見なさい。
  ケダルに人を送って,よく考えなさい。
  かつてこのようなことが起こったかどうか確かめなさい。
  11 国民が自分たちの神々を,神ではないものと取り換えたことなどあるだろうか。
  ところが,私の民は私の栄光を,何の役にも立たないものと取り換えてしまった。
  12 天よ,このことに驚いて目を見張れ。
  極度の恐怖に震え上がれ』と,エホバは宣言する。
  13 『私の民は2つの悪事を行ったからだ。
  彼らは生きた水の源である私を捨て,
  自分たちのために水ためを掘った。
  水をためられない,壊れた水ためを』。
  14 『イスラエルは召し使いなのか。家に生まれた奴隷なのか。
  そうでないなら,どうして物を奪われたのか。
  15 彼に向かって若いライオンがほえ,大声を上げた。
  彼の土地を恐怖の光景に変えた。
  彼の町々には火が放たれ,
  誰も住まなくなった。
  16 ノフとタフパネスの人々があなたの頭のてっぺんを食らう。
  17 これはあなたが自ら身に招いたことではないか。
  あなたを導いていた神エホバを捨てることによって。
  18 なぜあなたはエジプトに行こうとし,
  シホルの水を飲もうとするのか。
  なぜアッシリアに行こうとし,
  川の水を飲もうとするのか。
  19 あなたは自分の邪悪さのゆえに正されるべきであり,
  自分の不忠実さのゆえに戒められるべきである。
  あなたの神エホバを捨てることがいかに悪く,
  悲痛なことかを思い知りなさい。
  あなたは私を全く畏れなかった』と,主権者である主,大軍を率いるエホバは宣言する。
  20 『昔,私はあなたが負わされたてんびん棒を打ち砕き,
  あなたを縛る鎖を断ち切った。
  しかしあなたは,「私は仕えない」と言った。
  全ての高い丘の上で,全ての生い茂った木の下で,
  寝そべって売春をしていた。
  21 私は純良な種をまき,あなたをえり抜きの赤ブドウの木として植えた。
  それなのに,どうして私の前で,質の悪い野ブドウの木に変わってしまったのか』。
  22 『たとえあなたがアルカリで洗い,たくさんのせっけんを使っても,
  私の前であなたの罪は染み付いたままである』と,主権者である主エホバは宣言する。
  23 どうしてあなたは,『私は自分を汚していない。
  バアルに従ってなどいない』と言えるのか。
  谷での振る舞いを思い起こしなさい。
  自分が何をしたか考えなさい。
  あなたは,当てもなく走り回る,
  若くて足の速い雌のラクダのようだ。
  24 欲情に駆られて風のにおいを嗅ぐ,
  荒野に慣れた雌の野ロバのようだ。
  誰が発情期の雌を抑えられるだろうか。
  それを探す雄は苦労することがない。
  その時期に雌を見つける。
  25 はだしになってしまわないようにし,
  喉が渇かないようにしなさい。
  しかしあなたは言った。
  『いいえ,それは無理です!
  私はよそ者たちに恋をしたので,
  彼らに付いていきます』と。
  26 捕まって恥をかく泥棒のように,
  イスラエル国民は恥をかいた。
  彼らの王たちや高官たち,
  祭司たちや預言者たちも。
  27 彼らは木に向かって『あなたは私の父です』と言い,
  石に向かって『あなたが私を産みました』と言う。
  私には背を向けて,顔を向けない。
  しかし災いに遭うと,『立ち上がって,
  救ってください!』と言う。
  28 あなたが作った神々はどこにいるのか。
  災いに遭っているあなたを救えるのなら,彼らが立ち上がればよい。
  ユダよ,あなたの神々は,あなたの町の数ほど多くなった。
  29 『なぜあなたたちは私と争い続けるのか。
  なぜ皆で私に反逆したのか』と,エホバは宣言する。
  30 私はあなたたちの子たちを打ったが,無駄だった。
  彼らは矯正を全く受け入れなかった。
  あなたたちの剣は預言者たちをむさぼり食った。
  うろつき回るライオンのように。
  31 この世代の人たち,エホバの言葉を考えなさい。
  私はイスラエルにとって,荒野のように,
  重苦しい闇に覆われた土地のようになってしまったのか。
  この民,私の民は,なぜこう言ったのか。
  『私たちは自由に歩き回ります。
  もうあなたのもとには来ません』。
  32 乙女が自分の装飾品を,
  花嫁が自分の帯を忘れるだろうか。
  それなのに私の民は私を忘れ,数え切れない日々が過ぎた。
  33 女よ,愛を求めて何と巧みに計画を立てるのか。
  あなたは悪い行いに熟練した。
  34 あなたの服の裾には,罪のない貧しい人たちの血が染み付いている。
  彼らはあなたの家に押し入ってはいないのに,
  あなたの裾は血まみれになっている。
  35 しかしあなたは言う。
  『私は潔白だ。
  私に対する神の怒りは静まったに違いない』と。
  私はあなたを断罪しようとしている。
  あなたが『私は罪を犯さなかった』と言うからだ。
  36 なぜ自分の不安定な歩みをそんなに軽く考えるのか。
  あなたはエジプトについても恥じる。
  アッシリアについて恥じたのと同じように。
  37 そのため,あなたは両手で頭を抱えて出ていく。
  あなたが信頼した者たちをエホバは退けたのである。
  彼らがあなたに良い結果をもたらすことはない」。
  3 章
  1 人々はこう尋ねる。「もし人が妻と離婚し,彼女が去ってほかの人の妻になったなら,離婚した人は彼
女のもとに戻れるだろうか」。
  土地はすっかり汚されてしまったのではないか。
  エホバはこう宣言する。
  「あなたは多くの相手と売春をした。
  それなのに私のもとに戻れるだろうか。
  2 目を上げて,周囲のはげ山を見なさい。
  あなたが犯されなかった場所があるか。
  あなたは道端に座って相手を待った。
  荒野をさすらう人のように。
  売春と悪い行いによって,
  あなたは土地を汚し続ける。
  3 それで雨はとどめられており,
  春にも雨が降らない。
  あなたは売春をする妻のように厚かましく,
  恥を知ろうとしない。
  4 それなのに,私に呼び掛けてこう言う。
  『父よ,あなたは私が若い時から共にいてくださいました!
  5 いつまでも憤慨することや,
  わだかまりを持ち続けることがあってよいでしょうか』。
  あなたはそう言いながら,
  あらゆる悪いことを行い続ける」。
  6 ヨシヤ王の時代に,エホバは私に言った。「『あなたは不忠実なイスラエルがしたことを見たか。彼女
は全ての高い山に登り,全ての生い茂った木の下に行って,売春をした。 7 彼女がこのようなことをした後も,
私は戻ってくるようにと言い続けたが,彼女は戻ってこなかった。そしてユダは自分の不誠実な姉妹をずっと
見ていた。 8 私はそれを見て,姦淫をした不忠実なイスラエルに離婚証書を渡して去らせた。それでも,不誠
実な姉妹ユダは恐れず,自分も行って売春をした。 9 彼女は売春を軽く考え,土地を汚して石や木と姦淫をし
続けた。 10 こうしたことがあっても,不誠実な姉妹ユダは心を尽くして私のもとに戻るということはなかっ
た。戻るふりをしたにすぎない』と,エホバは宣言する」。
  11 エホバはさらに言った。「不誠実なユダよりは,不忠実なイスラエルの方がまだ正しい。 12 行って,
北に次の言葉を伝えなさい。
  『「背信のイスラエルよ,戻りなさい」と,エホバは言う』。『「私は怒ってあなたたちを見下げること
はしない。揺るぎない愛を抱いているからである」と,エホバは宣言する』。『「私はいつまでも憤慨するこ
とはない。 13 ただ,自分の罪を認めなさい。あなたは,あなたの神エホバに背いたのである。全ての生い茂
った木の下でよそ者たちに好意を振りまき,私の声に従わなかった」と,エホバは宣言する』」。
  14 「背信の子たちよ,戻りなさい」と,エホバは言う。「私は確かにあなたたちの主人となったからであ
る。町から1人ずつ,氏族から2人ずつ選んで,あなたたちをシオンに連れていく。 15 そして,私の心にか
なった牧者たちを与え,彼らは知識と洞察力をもってあなたたちを養う。 16 その時,あなたたちはその土地
で子を生んで大いに増える」と,エホバは宣言する。「人々はもはや,『エホバの契約の箱!』とは言わない。
その箱を思い浮かべることも,思い出すことも,懐かしむこともなく,それが再び作られることはない。 17
その時,人々はエルサレムをエホバの王座と呼ぶ。全ての国の人々はエホバの名をたたえるためにエルサレム
に集められ,頑固にも悪い心のままに歩むことはもうなくなる」。
  18 「その時,ユダ国民とイスラエル国民は並んで歩き,共に北の土地から来て,私があなたたちの父祖た
ちに与えた土地に入る。 19 私はこう思っていた。『私はあなたを子として扱い,良い土地を,国々の中で最
も美しい土地を与えた!』 また,あなたたちが私に『父よ!』と呼び掛け,私に従うのをやめないと思ってい
た。 20 『ところが,妻が不誠実にも夫のもとを去るように,イスラエル国民よ,あなたたちも私に対して不
誠実だった』と,エホバは宣言する」。
  21 はげ山の上で声が聞こえる。
  イスラエルの民の泣き声や懇願である。
  彼らは曲がった生き方をし,
  自分たちの神エホバを忘れたのである。
  22 「背信の子たちよ,戻りなさい。
  私は,背いたあなたたちを癒やす」。
  「私たちはここにいます! あなたのもとに参りました。
  エホバ,あなたは私たちの神だからです。
  23 丘や山の上の騒ぎは,まさしく偽りです。
  私たちの神エホバこそ,イスラエルを救ってくださいます。
  24 しかし,恥ずべきものが,私たちの若い時から,
  父祖たちが苦労して得たものを食い尽くしました。
  羊や牛の群れ,息子や娘たちを。
  25 私たちは恥の中に横たわり,
  恥辱に覆われています。
  私たちの神エホバに対して罪を犯してきたからです。
  私たちの若い時から今まで,私たちも父たちも。
  私たちの神エホバの声に従いませんでした」。
  4 章
  1 エホバはこう宣言する。
  「イスラエルよ,もしあなたが戻ってくるなら,
  もし私のもとに戻り,
  汚らわしい偶像を私の前から除き去るなら,
  あなたはもはやさまよい歩くことはない。
  2 そして,もしあなたが,真実と公正と正義をもって,
  『生きている神エホバに懸けて!』と誓うなら,
  国々は彼によって祝福を受け,
  彼について誇る」。
  3 エホバはユダの人たちとエルサレムにこう言う。
  「自分たちのために耕作地を耕しなさい。
  いばらの中に種をまき続けてはならない。
  4 ユダの人たちとエルサレムの住民よ,
  割礼を受けてエホバに従い,
  心の包皮を取り去りなさい。
  さもなければ,あなたたちの悪い行いのために,
  私の憤りは火のように燃え上がり,
  誰にも消せなくなる」。
  5 ユダで伝え,エルサレムで広めよ。
  国中で叫び,角笛を吹き鳴らせ。
  大声で呼び掛け,こう言うように。
  「集まれ。防備された町々に逃げよう。
  6 シオンに向かって旗印を掲げよ。
  避難し,立ち止まるな」。
  私は北から災いを,大規模な崩壊をもたらそうとしているからだ。
  7 国々を滅ぼす者は出発した。
  茂みから姿を現すライオンのように。
  あなたの土地を恐怖の光景に変えるために,自分の場所から出ていった。
  あなたの町々は廃虚と化し,誰も住まなくなる。
  8 それで,粗布をまとえ。
  悲しんで泣き叫べ。
  エホバが私たちに対して怒りを燃やし続けているからだ。
  9 「その日,王と高官たちの心は沈み,
  祭司たちは恐怖に襲われ,
  預言者たちはぼうぜんとする」と,エホバは宣言する。
  10 私は言った。「ああ,主権者である主エホバ! あなたは『平和が訪れる』と言って,まさにこの民と
エルサレムを完全に欺かれました。剣が私たちの喉元に突き付けられています」。
  11 その時,この民とエルサレムはこう告げられる。
  「砂漠の荒れた丘から熱風が来て,
  私の民に吹き付ける。
  吹き散らすためでも,清めるためでもない。
  12 極めて強く吹く風が,私の命令によって来る。
  私は民に裁きを言い渡す。
  13 見なさい! 敵は雨雲のように来る。
  その兵車は暴風のようだ。
  その馬はワシよりも速い。
  『災いだ! 私たちは滅ぼされる!』
  14 エルサレムよ,救われるために,心を洗って悪から清めなさい。
  あなたはいつまで悪い考えを抱き続けるのか。
  15 声がダンから知らせを告げ,
  エフライムの山地から災難について伝える。
  16 それを国々に知らせ,
  エルサレムに伝えなさい」。
  「番兵たちが遠い土地からやって来て,
  ユダの町々に向かってときの声を上げる。
  17 彼らは野原の番人のように四方から彼女を攻める。
  彼女が私に反逆したからである」と,エホバは宣言する。
  18 「あなたは自分の生き方や行いの報いを受ける。
  何とひどい災難を味わうのだろう。
  それはあなたの心臓にまで達する」。
  19 ああ,私は苦しんでいる。
  苦しんでいる!
  心の中で大きな痛みを感じている。
  心臓が高鳴り,黙っていることができない。
  角笛の音,戦いの合図を聞いたからだ。
  20 災難に次ぐ災難が伝えられた。
  国全体が滅ぼされたのである。
  私の天幕も突然に荒らされた。
  天幕の布が一瞬のうちに。
  21 私はいつまで旗印を見続け,
  角笛の音を聞き続けるのだろうか。
  22 「私の民は愚かで,
  私に全く注意を払わない。
  無知な人々で,理解力がない。
  悪を行うことには抜け目がないが,
  善を行うことは知らない」。
  23 私は彼らの土地を見たが,人けがなく荒廃していた。
  空を見たが,もはや光はなかった。
  24 山々を見ると,何と震動しており,
  丘も揺れていた。
  25 見ると,人は誰もおらず,
  鳥も皆逃げてしまっていた。
  26 見ると,実り豊かな土地は荒野となり,
  町々は全て壊されていた。
  エホバの怒りが燃えたからである。
  27 エホバはこう言う。
  「国全体は荒廃することになる。
  しかし,私は完全に滅ぼすことはしない。
  28 地は悲しみに暮れ,
  天は暗くなる。
  私が語り,決めたからである。
  私は考えを変えず,その通りに行う。
  29 騎手と弓を射る者たちの音を聞いて,
  町の全住民が逃げ去る。
  彼らは茂みに分け入り,
  岩によじ登る。
  全ての町は捨てられ,
  誰も住まなくなる」。
  30 破滅した今,あなたはどうするのか。
  かつてあなたは緋色の服を着て,
  金の装飾品で身を飾り,
  目を大きく見せるために黒い顔料を塗っていた。
  しかし,自分を美しく見せたのは無駄だった。
  あなたに情欲を抱く者たちはあなたを退け,
  あなたの命を奪おうとしているからだ。
  31 私は,病気の女性のような声を聞いた。
  初めての子を産む女性のようなうめき声,
  息を切らしてあえいでいるシオンの声である。
  彼女は両手を広げて言う。
  「私はもう駄目です! 私を殺そうとする者たちのせいで疲れ果てました」。
  5 章
  1 エルサレムの通りを歩き回り,
  辺りを注意深く見回しなさい。
  広場で探してみなさい。
  行いが公正な人,
  忠実であろうとする人がいるかどうか。
  もしいれば,私は彼女を許す。
  2 人々が「生きている神エホバに懸けて!」と言うとしても,
  結局それは偽りの誓いである。
  3 エホバ,あなたの目は忠実な人を探しているのではありませんか。
  あなたは民を打ったのに,何の効果もありませんでした。
  打ちのめしたのに,彼らは矯正を受け入れませんでした。
  彼らは顔を岩よりも硬くし,
  生き方を変えようとしませんでした。
  4 私は思った。「これは立場が低い人たちに違いない。
  彼らが愚かなことを行うのは,エホバの道を知らず,
  神の裁きを知らないからだ。
  5 主立った人たちの所に行って話すことにしよう。
  彼らなら,エホバの道を,
  神の裁きを知っているはずだ。
  しかし,彼らは皆,てんびん棒を折り,
  縄を断ち切ってしまっていた」。
  6 そのため,森林のライオンが彼らを襲い,
  砂漠平原のオオカミが襲撃し続け,
  ヒョウが彼らの町で待ち伏せしている。
  出てくる人は皆引き裂かれる。
  彼らの違反は多く,
  不忠実な行いは数え切れないからだ。
  7 どうして私はあなたを許せるだろうか。
  あなたの子たちは私を捨て,
  神ではないものに懸けて誓う。
  私は彼らに必要なものを与えたが,
  彼らは姦淫をし続け,
  娼婦の家に群がった。
  8 発情した雄馬のようで,
  それぞれ他人の妻に向かっていななく。
  9 エホバはこう宣言する。
  「私は彼らにこれらのことの責任を問うべきではないか。
  このような国民に報復すべきではないか」。
  10 「彼女のブドウ園に向かって攻め上り,破壊せよ。
  ただし,完全に滅ぼしてはならない。
  若枝を取り去れ。
  それらはエホバのものではないからだ。
  11 イスラエル国民とユダ国民は,
  私に対して全く不誠実だった」と,エホバは宣言する。
  12 「彼らはエホバを否定し,こう言い続ける。
  『神は何もしない。
  私たちが災いに見舞われることはない。
  戦争や飢饉を見ることはない』。
  13 預言者たちはむなしいことを語っており,
  彼らの内に言葉はない。
  彼らは無に等しくなる」。
  14 それで,大軍を率いる神エホバはこう言う。
  「この人たちがこのようなことを言っているので,
  私は私の言葉をあなたの口から出る火とする。
  この民は木であり,
  火で焼き尽くされる」。
  15 エホバはこう宣言する。
  「イスラエル国民よ,私はある国民を遠くから連れてきて,あなたたちを攻めさせる。
  それは長い間存在する国民,
  昔からいる国民である。
  あなたはその国民の言語を知らず,
  彼らが話すことを理解できない。
  16 彼らの矢筒は,口を開けた墓のようだ。
  全員が戦士である。
  17 彼らはあなたの作物やパンをむさぼり食う。
  あなたの息子や娘たち,
  あなたの羊や牛の群れ,
  あなたのブドウやイチジクの木もむさぼり食う。
  そして,あなたが頼みにしている防備された町々を剣で滅ぼす」。
  18 エホバはこう宣言する。「とはいえ,その時にも,私はあなたたちを根絶やしにはしない。 19 『私
たちの神エホバはなぜ私たちにこのようなことをしたのか』と人々が尋ねたら,あなたはこう答えなさい。
『あなたたちは神を捨て,自分の土地で外国の神に仕えたので,自分のものではない土地で外国人に仕えるこ
とになる』」。
  20 ヤコブの子孫の中で伝え,
  ユダで広めよ。こう言え。
  21 「愚かで無分別な民よ,聞きなさい。
  彼らは目があるのに見ることができない。
  耳があるのに聞くことができない。
  22 エホバはこう宣言する。
  『あなたたちは私を畏れないのか。
  私の前で震えるべきではないか。
  私は海の境界として砂を置いた。
  それは変わることのない規定であり,越えることができない。
  打ち寄せる波もそれを押しのけることはできず,
  荒れ狂う波も越えていくことはできない。
  23 しかし,この民は頑固で反逆的な心を持つ。
  それていって,好き勝手に歩んだ。
  24 彼らは心の中でこう言うことはない。
  「私たちの神エホバを畏れよう。
  雨期に雨を降らせてくださる方を。
  秋の雨も春の雨も降らせ,
  収穫のために定められた週を守ってくださる方を」。
  25 あなたたちは過ちのせいでこうした恵みを受けられなくなり,
  罪のせいで良いものを得られなくなった。
  26 私の民の中に悪い人たちがいる。
  鳥を捕る者がかがむ時のように,彼らはじっと見ている。
  非常に危険なわなを仕掛け,
  人々を捕らえる。
  27 鳥でいっぱいの籠のように,
  彼らの家は欺きで満ちている。
  そのため彼らは力を得て裕福になった。
  28 彼らは太って,肌につやがある。
  悪に満ちあふれている。
  自分たちの成功ばかり気に掛け,
  父親のいない人の訴えを弁護しない。
  貧しい人を公正に扱わない』」。
  29 エホバはこう宣言する。
  「私は彼らにこれらのことの責任を問うべきではないか。
  このような国民に報復すべきではないか。
  30 恐ろしいこと,ひどいことがこの土地で起こった。
  31 預言者は偽りの預言をし,
  祭司は自分たちの権力を振るう。
  そして私の民はそれを喜んでいる。
  終わりが来る時,あなたたちはどうするのか」。
  6 章
  1 ベニヤミンの子孫よ,エルサレムから離れて避難せよ。
  テコアで角笛を吹き鳴らせ。
  ベト・ハケレムでのろしを上げよ!
  北から災いが,大きな災難が迫っているからだ。
  2 シオンは美しく優雅な女性のようだ。
  3 羊飼いたちが群れを連れてやって来て,
  彼女の周囲に天幕を張る。
  それぞれ自分の群れに草を食べさせる。
  4 「彼女と戦う用意をせよ!
  立ち上がれ。真昼に彼女を攻めよう!」
  「駄目だ。日が傾きかけて,
  夕方の影が伸びてきている!」
  5 「立ち上がれ。夜の間に攻撃し,
  彼女の防備された塔を打ち壊そう」。
  6 大軍を率いるエホバはこう言う。
  「木を切り倒し,エルサレムを攻めるための土塁を築け。
  彼女は責任を問われるべき都市である。
  彼女の中には圧迫しかない。
  7 水ためが水を冷たく保つように,
  彼女も悪をみずみずしく保つ。
  暴力と破滅が彼女の中で聞かれる。
  病気と災厄が絶えず私の前にある。
  8 エルサレムよ,警告を聞きなさい。
  さもなければ,私は嫌悪を抱いてあなたから離れる。
  あなたを荒廃させ,誰も住まない場所にする」。
  9 大軍を率いるエホバはこう言う。
  「彼らはブドウの木に残ったブドウを集めるように,イスラエルの残りの者を集め尽くす。
  ブドウを収穫する者のように,もう一度あなたの手を伸ばしなさい」。
  10 「私は誰に話し,警告したらよいでしょうか。
  誰が耳を傾けるでしょうか。
  ご覧ください,彼らの耳は閉ざされており,彼らは注意を払うことができません。
  ご覧ください,彼らはエホバの言葉を軽く見ており,
  それを受け入れようとしません。
  11 それで,私はエホバの怒りで満たされ,
  それを抑えるのに疲れました」。
  「それを通りにいる子供に浴びせなさい。若者の集団にも。
  人々は皆捕らわれる。
  男性もその妻も,年配の人も非常に年老いた人も。
  12 彼らの家は,畑や妻ともども,
  他の者たちに渡される。
  私がこの土地の住民に向かって手を伸ばすからである」と,エホバは宣言する。
  13 「身分の低い人から高い人まで,皆が不当な利益を得ている。
  預言者から祭司まで,皆が詐欺を働いている。
  14 彼らは私の民の衰弱を軽々しく癒やそうとして,
  『平和だ! 平和だ!』と言う。
  平和ではないにもかかわらず。
  15 人々は自分たちが行った忌まわしい事柄を恥じているだろうか。
  少しも恥じていない!
  そもそも恥を知らない。
  そのため,彼らは倒れた者たちの中に倒れる。
  私が処罰する時,彼らはつまずいて倒れる」と,エホバは言う。
  16 エホバはこう言う。
  「分かれ道の所に立って,見なさい。
  昔の道について尋ねなさい。
  どれが良い道かを尋ね,その道を歩んで,
  安らぎを見いだしなさい」。
  しかし民は,「その道は歩みません」と言う。
  17 「私が任命した見張りたちは言った。
  『角笛の音に注意を払え!』と」。
  しかし民は,「注意を払いません」と言った。
  18 「それで,国々よ,聞け!
  群衆よ,知るように。
  彼らに何が起こるかを。
  19 地上の人々よ,聞け!
  私はこの民に災いをもたらす。
  彼らのたくらみの結果として。
  彼らが私の言葉に全く注意を払わず,
  私の律法を退けたからだ」。
  20 「あなたがシェバから乳香を,
  遠い土地から香りの良いショウブを持ってきても,それが何だというのか。
  あなたたちの全焼の捧げ物は受け入れられない。
  私はあなたたちの犠牲を喜ばない」。
  21 エホバはこう言う。
  「私はこの民の前につまずきの石を置き,
  彼らはそれにつまずいて倒れる。
  父親も子供も,隣人も友も倒れ,
  皆滅びる」。
  22 エホバはこう言う。
  「見なさい! 1つの民が北の土地からやって来る。
  強大な国民が目覚めて,地の果てから来る。
  23 彼らは弓と投げやりをつかむ。
  残酷で,憐れみを示さない。
  海のようにとどろく声を出し,馬に乗る。
  シオンよ,彼らは戦闘隊形を整え,
  戦士のようにあなたを攻める」。
  24 私たちはその知らせを聞いた。
  手が力なく垂れ下がり,
  苦悩した。
  出産する女性のように苦しみに見舞われた。
  25 畑に出ていくな。
  道を歩くな。
  敵は剣を持っており,
  周囲に恐怖がある。
  26 私の民よ,
  粗布をまとい,灰をかぶれ。
  一人息子を亡くしたかのように悲しみ,泣き叫べ。
  滅ぼす者が突然に私たちを襲うからだ。
  27 「私はあなたを,私の民の中で,金属を精錬する者とした。
  民を徹底的に調査する者である。
  注意を払って,彼らの行いを調べなさい。
  28 彼らは皆,極めて頑固で,
  歩き回って中傷する。
  銅や鉄のようで,
  全員が堕落している。
  29 ふいごは焦げてしまった。
  火の中から出てくるのは鉛である。
  懸命に精錬し続けても全く無駄であり,
  悪い者たちは取り除かれていない。
  30 彼らは退けられた銀と呼ばれる。
  エホバが彼らを退けたからである」。
  7 章
  1 エホバがエレミヤに語り掛けてこう言った。 2 「エホバの家の門の所に立って,次の言葉を語りなさ
い。『エホバにひれ伏すためにこれらの門を通って入る,ユダの全ての人たち,エホバの言葉を聞きなさい。
3 イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っている。「あなたたちの生き方や行いを改めなさい。そう
すれば,この場所に住み続けてよい。 4 欺きの言葉を信用してこう言ってはならない。『これはエホバの神殿
だ,エホバの神殿だ,エホバの神殿だ!』 5 もしあなたたちが本当に生き方や行いを改め,隣人同士の問題を
公正に扱い, 6 外国人居住者や孤児ややもめを虐げず,この場所で無実の人の血を流さず,ほかの神々に従っ
て自ら災いを招くようなことをしないなら, 7 この場所に,私があなたたちの父祖たちに与えたこの土地に,
いつまでも住み続けてよい」』」。
  8 「ところが,あなたたちは欺きの言葉を信用している。それは全く無益である。 9 あなたたちは,盗
んだり,人を殺したり,姦淫をしたり,うその誓いをしたり,バアルに犠牲を捧げたり,知らなかった神々に
従ったりしながら, 10 私の名が付されたこの家に来て,私の前に立ち,『私たちは救われる』と言えるのか。
あらゆる忌まわしい事柄を行っているというのに。 11 私の名が付されたこの家は,あなたたちには強盗のす
みかに見えるのか。私はあなたたちの行いを見た」と,エホバは宣言する。
  12 「『シロにある私の場所,私が自分の名のために最初に選んだ場所に行きなさい。そして,私の民イス
ラエルの悪い行いのゆえに,私がそこに対して行ったことを見なさい』。 13 エホバはこう宣言する。『あな
たたちはこれらのことを行い続けた。私が繰り返し語り掛けたのに,聞かなかった。私が呼び続けたのに,答
えなかった。 14 それで私は,私の名が付された,あなたたちが頼っている家に,また,あなたたちと父祖た
ちに与えたこの場所に,シロに対して行ったのと同じことをする。 15 あなたたちの兄弟全て,エフライムの
子孫全てを追い払ったように,あなたたちを私の前から追い払う』。
  16 あなたはこの民のために祈ってはならない。彼らのために声を上げたり,祈りを捧げたり,懇願したり
してはならない。私は耳を傾けない。 17 ユダの町々とエルサレムの通りで彼らが何をしているか,あなたに
は見えないのか。 18 子供たちは薪を集め,父親たちは火を付け,妻たちは麦粉をこねて,天の女王への犠牲
の菓子を作っている。また,ほかの神々のために飲み物の捧げ物を注いで,私を怒らせている。 19 『しかし,
彼らが傷つけているのは私なのか。自分たち自身を傷つけ,辱めているのではないか』と,エホバは宣言する。
20 それで,主権者である主エホバはこう言う。『私の怒りと憤りが,この場所に,人間と動物に,野の木々
と土地の産物に浴びせられる。私の怒りは燃え上がり,消されることはない』。
  21 イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言う。『あなたたちの全焼の捧げ物をほかの犠牲に加え,
自分たちでその肉を食べるがよい。 22 私は,あなたたちの父祖たちをエジプトから連れ出した日に,全焼の
捧げ物や犠牲について話すことも命じることもしなかった。 23 ただし,この命令を与えた。「私の声に従い
なさい。そうすれば,私はあなたたちの神となり,あなたたちは私の民となる。私が命じる通りに歩みなさい。
そうすれば物事はうまくいく」』。 24 しかし,彼らは聞かず,耳を傾けなかった。自分たちのたくらみを実
行し,頑固にも悪い心のままに歩んで,前進するどころか後退した。 25 あなたたちの父祖たちがエジプトを
出た日から今までそうである。それで私は,私に仕える預言者全てをあなたたちのもとに遣わし続けた。毎日
のように繰り返し遣わした。 26 それでも彼らは私の言うことを聞こうとせず,耳を傾けなかった。頑固で,
父祖たちよりも悪いことを行った。
  27 あなたがこれらの言葉を全て語っても,彼らは聞かない。あなたが呼び掛けても,彼らは答えない。
28 あなたは彼らにこう言う。『これは,自分たちの神エホバの声に従わず,矯正を受け入れなかった国民であ
る。忠実さは消えうせ,彼らの話題になることさえない』。
  29 あなたの長い髪の毛を刈って捨て,はげ山の上で哀歌を歌いなさい。エホバは激怒してこの世代を退け
たのであり,見捨てるからである。 30 エホバはこう宣言する。『ユダの民は,私から見て悪いことを行った。
私の名が付された家に汚らわしい偶像を置き,その家を汚した。 31 また,ヒンノムの子の谷にあるトフェト
の高い場所を築き,息子や娘を火で焼いた。そのようなことを私は命じたことがなく,考えたこともない』。
  32 エホバはこう宣言する。『それで,そこがもはやトフェトとかヒンノムの子の谷とではなく,殺りくの
谷と呼ばれるようになる時が来る。人々はトフェトに死者を葬り続け,葬る場所がなくなる。 33 この民の死
体は鳥や野獣に食べられる。誰もそれらを追い払わない。 34 私はユダの町々とエルサレムの通りで,歓喜や
祝福の声,花婿や花嫁の声がもはや聞かれないようにする。その土地は荒れ果てた所になるのである』」。
  8 章
  1 エホバはこう宣言する。「その時,ユダの王たちの骨,高官たちの骨,祭司たちの骨,預言者たちの骨,
エルサレムの住民の骨が,墓から持ち出される。 2 彼らが愛し,仕え,従い,導きを求め,拝んだ,太陽や月
や天の全ての星の前に,骨がまき散らされる。それらは集められることも葬られることもなく,地面にまかれ
た肥やしのようになる」。
  3 「この邪悪な国民のうち生き残った人たちは,私が彼らを追いやる全ての場所で,命よりも死を選ぶ」
と,大軍を率いるエホバは宣言する。
  4 「あなたは彼らに言わなければならない。『エホバはこう言っている。
  「人々は倒れたまま立ち上がらないのだろうか。
  誰かが考え直すなら,他の者も考え直すのではないか。
  5 この民,エルサレムが,いつまでも不忠実なのはどうしてか。
  彼らは欺きに固執し,
  考え直そうとしない。
  6 私は注意を払い,ずっと聞いていたが,彼らは正しいことを語らなかった。
  誰も悪い行いを悔い改めず,『私は何ということをしたのか』と言わなかった。
  皆,大衆が好む道に戻っていく。戦場に突進する馬のように。
  7 空を飛ぶコウノトリでさえ,季節を知っている。
  ヤマバト,アマツバメ,ツグミも,渡りの時を守る。
  しかし,私の民はエホバが裁く時を理解していない」』。
  8 『なぜあなたたちは,「私たちは賢く,エホバの律法を持っている」と言えるのか。
  書記の筆記具は,うそを書くためだけに使われた。
  9 賢い者たちは恥をかいた。
  彼らはおびえ,捕らわれる。
  エホバの言葉を退けた彼らに,
  一体どんな知恵があるというのか。
  10 私は彼らの妻を他人に与え,
  彼らの畑も他人に所有させる。
  身分の低い人から高い人まで,皆が不当な利益を得ており,
  預言者から祭司まで,皆が詐欺を働いているからだ。
  11 彼らは私の民の衰弱を軽々しく癒やそうとして,
  「平和だ! 平和だ!」と言う。
  平和ではないにもかかわらず。
  12 人々は自分たちが行った忌まわしい事柄を恥じているだろうか。
  少しも恥じていない!
  そもそも恥を知らない。
  そのため,彼らは倒れた者たちの中に倒れる。
  私が処罰する時,彼らはつまずいて倒れる』と,エホバは言う。
  13 エホバはこう宣言する。
  『取り入れの時,私は彼らを滅ぼす。
  ブドウの木にもイチジクの木にも実は残らず,葉は枯れる。
  私が彼らに与えたものは取り去られる』」。
  14 「なぜ私たちはここに座っているのか。
  集まって,防備された町々に入り,そこで滅びよう。
  私たちの神エホバは,私たちを捨て去り,
  毒の水を与えて飲ませる。
  私たちがエホバに対して罪を犯したからだ。
  15 平和を待ち望んでいたが,良いものは来なかった。
  癒やしの時を待ち望んでいたが,恐怖が来た!
  16 ダンから,敵の馬が鼻を鳴らすのが聞こえる。
  雄馬がいななく声に,全土が震える。
  敵たちはやって来て,
  土地とその中の全てのものを,
  町も住民も食い尽くす」。
  17 「私はあなたたちの中に蛇を送り込む。
  まじないが効かない毒蛇であり,
  必ずあなたたちをかむ」と,エホバは宣言する。
  18 私の悲しみは癒えない。
  私の心は沈んでいる。
  19 遠い土地から,助けを求める叫び声がする。
  私の民がこう言っている。
  「エホバはシオンにおられないのですか。
  シオンの王はそこにおられないのですか」。
  「なぜ彼らは彫像によって,無価値な外国の神々によって,
  私を怒らせたのか」。
  20 「収穫の時は過ぎ,夏は終わった。
  だが私たちは救われていない!」
  21 私の民が弱り果てたので,
  私は打ちのめされた。
  私は意気消沈し,恐怖にとらわれた。
  22 ギレアデにバルサムはないのか。
  そこには癒やす人がいないのか。
  なぜ私の民は回復していないのか。
  9 章
  1 ああ,私の頭が水の源で,
  私の目が涙の泉だったなら!
  そうすれば私は昼も夜も泣くのに。
  私の民の殺された人たちのために。
  2 ああ,私のために荒野に旅人の宿があったなら!
  そうすれば私は自分の民から離れて去っていくのに。
  彼らは皆が姦淫をしたのであり,
  不誠実な人々の集団だからだ。
  3 彼らは舌を弓のように曲げる。
  忠実さではなく偽りが土地にはびこっている。
  「彼らは悪に悪を重ね,
  私に全く注意を払わない」と,エホバは宣言する。
  4 「あなたたちは皆,隣人を警戒しなさい。
  兄弟さえ信用してはならない。
  どの兄弟も裏切り,
  どの隣人も中傷するからだ。
  5 それぞれ隣人をだまし,
  誰も真実を語らない。
  偽りを語るよう舌を訓練し,
  疲れるまで間違ったことを行う。
  6 あなたは欺きの中で暮らしている。
  彼らは欺きに満ち,私を知ろうとしなかった」と,エホバは宣言する。
  7 それで,大軍を率いるエホバはこう言う。
  「私は彼らを清め,試す。
  私の民に対して,ほかに何ができるだろうか。
  8 彼らの舌は命を奪う矢で,欺きを語る。
  人は口では隣人に平和について語るが,
  心の中では襲おうとたくらむ」。
  9 エホバはこう宣言する。
  「私は彼らにこれらのことの責任を問うべきではないか。
  このような国民に報復すべきではないか。
  10 私は山々のことで泣いて嘆き,
  荒野の牧草地のことで哀歌を歌う。
  それらは焼かれて,誰も通らなくなり,
  家畜の声が聞かれなくなってしまったからだ。
  鳥や野獣も逃げ去り,いなくなった。
  11 私はエルサレムをがれきの山,ジャッカルのすみかとし,
  ユダの町々を誰も住まない廃虚とする。
  12 これを理解できるほど賢いのは誰か。
  エホバは誰に語り掛け,これを告げられるようにしたのか。
  なぜこの土地は滅びたのか。
  なぜ荒野のように焼け焦げ,
  誰も通らなくなったのか」。
  13 エホバはこう答えた。「彼らが,私が与えた律法を退け,それを守らず,私の声に従わなかったからだ。
14 彼らは頑固にも心のままに歩み,父祖たちから教えられた通りにバアルの像に頼った。 15 それで,イス
ラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言う。『私はこの民にニガヨモギを食べさせ,毒の水を飲ませる。 16
そして,彼らも父祖たちも知らなかった国々に彼らを散らし,剣を送って後を追わせ,彼らを根絶やしにす
る』。
  17 大軍を率いるエホバはこう言う。
  『理解力を働かせなさい。
  哀歌を歌う女性たちを集め,
  熟練した女性たちを呼びなさい。
  18 急いで来させ,私たちのために嘆きの声を上げさせなさい。
  私たちの目から涙があふれ,
  まぶたから水が滴るように。
  19 シオンから嘆きの声が聞こえる。
  「私たちは打ちのめされた!
  大きな恥をかいた!
  土地を去らなければならず,敵に家を破壊された」。
  20 女性たち,エホバの言葉を聞きなさい。
  耳を傾け,その言葉を受け入れなさい。
  娘たちにこの嘆きの歌を教え,
  互いにこの哀歌を教えなさい。
  21 死が窓から入ってきたからだ。
  それは私たちの防備された塔に入った。
  通りから子供を連れ去り,
  広場から若者を連れ去るために』。
  22 こう言いなさい。
  『エホバはこう宣言している。
  「民の死体は,畑にまかれた肥やしのようになる。
  刈り取られて無造作に置かれた穀物のようになり,
  誰もそれを拾い集めない」』」。
  23 エホバはこう言う。
  「賢い人は知恵を誇ってはならない。
  強い人は力を誇ってはならない。
  裕福な人は富を誇ってはならない」。
  24 「誇る人は,私について理解し知っていることを誇りなさい。
  私はエホバであり,揺るぎない愛と公正と正義を地上で示す。
  それらのことを私は喜ぶのである」と,エホバは宣言する。
  25 エホバはこう宣言する。「割礼を受けてはいるが,受けていないも同然の者たち全てに,私が責任を問
う時が来る。 26 エジプト,ユダ,エドム,アンモン人,モアブ,またもみあげを短く切って荒野に住んでい
る者たち全てに,私は責任を問う。異国の人々は皆,割礼を受けておらず,イスラエル国民全体も心に割礼を
受けていないのである」。
  10 章
  1 イスラエル国民よ,エホバがあなたたちに対して語った言葉を聞きなさい。 2 エホバはこう言う。
  「異国の人々の生き方に倣ってはならない。
  天のしるしにおびえてはならない。
  異国の人々がそれにおびえるからといって。
  3 その人々の習慣はむなしいものである。
  森の中のただの木が切り倒され,
  職人が道具を使って削る。
  4 そして銀や金で飾り付け,
  倒れないように金づちとくぎで固定する。
  5 それはキュウリ畑のかかしのように,話すことができない。
  歩くことができないので,運ばれなければならない。
  それを恐れてはならない。害を及ぼすことも,
  善いことを行うこともできないからだ」。
  6 エホバ,あなたのような方はいません。
  あなたは偉大な方,あなたの名は力強く,偉大です。
  7 国々を治める王よ,誰があなたを畏れないでしょうか。
  あなたは畏れられるべき方です。
  国々の全ての賢い者たちの中にも,どの王国にも,あなたのような方は誰もいないからです。
  8 彼らは皆,愚かで分別がない。
  木が与える教えは全くむなしい。
  9 銀の板がタルシシュから,金がウファズから運ばれてくる。
  職人や金属細工人がそれらで木を覆う。
  偶像の服は青糸と紫の羊毛でできている。
  偶像は全て熟練工によって作られた。
  10 しかし,エホバは本当に神である。
  生きている神,永遠の王。
  その方の憤りによって大地は震え,
  どの国民もその方の糾弾に耐えられない。
  11 あなたたちは彼らにこう言うべきである。
  「天も地も造らなかった神々は,
  地からも天の下からも滅びる」。
  12 神はご自分の力によって地を造った方,
  ご自分の知恵によって大地を据えた方,
  ご自分の理解によって天を広げた方。
  13 神が声を発すると,
  天の水が騒ぎ立つ。
  神は地の果てから雲を生じさせる。
  稲妻を放って雨を降らせる。
  ご自分の倉から風を送り出す。
  14 全ての人は無分別で無知な行動を取る。
  全ての金属細工人は彫刻像のせいで恥をかく。
  作った金属像は偽りであり,
  命がないからである。
  15 それらの像はむなしいものであり,あざけられる。
  処罰の日に滅びることになる。
  16 ヤコブの神はそのようなものではない。
  全てのものを造った方であり,
  イスラエルはその方の財産である。
  その方の名は,大軍を率いるエホバ。
  17 包囲されている女よ,
  あなたの荷物を拾い集めよ。
  18 エホバはこう言う。
  「私は今,この土地から住民を放り出す。
  彼らに苦難を味わわせる」。
  19 災いだ! 私は弱り果てた。
  私の傷は癒えない。
  私は言った。「これは私が耐えなければならない病だ。
  20 私の天幕は破壊され,天幕の綱は全て引きちぎられた。
  私の子たちは出ていって,もういない。
  私の天幕を張ったり,天幕の布を広げたりする人は誰も残っていない。
  21 牧者たちは無分別に振る舞い,
  エホバに尋ねなかった。
  そのため,洞察力をもって行動できず,
  彼らの群れは全て散らされた」。
  22 聞け! 知らせだ! 敵が来る!
  北の土地から,大きな地響きを立てながら。
  ユダの町々を荒廃させ,ジャッカルのすみかとするために。
  23 エホバ,私はよく知っています。
  人は自分の道を定めることができません。
  自分で自分の歩みを導くことができないのです。
  24 エホバ,私を裁き,正してください。
  とはいえ,怒りのうちに正さないでください。
  私が除き去られてしまわないように。
  25 あなたを無視する国々に,
  あなたの名を呼ぼうとしない民に,
  激しい怒りを浴びせてください。
  彼らはヤコブを食い尽くしたからです。
  食い尽くして根絶やしにし,
  ヤコブの故郷を荒廃させました。
  11 章
  1 エホバがエレミヤに語り掛けてこう言った。 2 「あなたたちはこの契約の言葉を聞きなさい!
  それをユダの人たちとエルサレムの住民に告げ, 3 こう言いなさい。『イスラエルの神エホバはこう言っ
ている。「この契約の言葉に従わない人は災いを受ける。 4 その言葉は,私があなたたちの父祖たちをエジプ
トから,溶鉱炉の中から連れ出した日に,彼らに命じたものである。私は言った。『私の声に従い,私が命じ
ることを全て行いなさい。そうすれば,あなたたちは私の民となり,私はあなたたちの神となる。 5 そして私
は,あなたたちの父祖たちに誓った,非常に肥沃な土地を与えるという誓いを果たす。その誓いは今も有効で
ある』」』」。
  私は答えた。「アーメン,エホバよ」。
  6 エホバはさらに言った。「これらの言葉全てを,ユダの町々とエルサレムの通りで語りなさい。『この
契約の言葉を聞いて,実行しなさい。 7 私はあなたたちの父祖たちをエジプトから連れ出した日に,厳重に訓
戒した。「私の声に従いなさい」と繰り返し訓戒し,今に至っている。 8 しかし,彼らは聞かず,耳を傾けな
かった。頑固にも悪い心のままに歩み続けた。彼らが私の命じたことを実行しようとしなかったため,私はこ
の契約の言葉通りの結果を彼らにもたらした』」。
  9 エホバはさらに言った。「ユダの人たちとエルサレムの住民は,陰謀をたくらんだ。 10 私の言葉に従
おうとしなかった昔の父祖たちと同じ過ちを犯した。やはりほかの神々に従い,仕えたのである。イスラエル
国民とユダ国民は,私が彼らの父祖たちと結んだ契約を破った。 11 それでエホバはこう言う。『私は彼らに,
逃れることができない災いをもたらす。彼らが助けを求めても,私は耳を傾けない。 12 ユダの町々とエルサ
レムの住民は,自分たちが犠牲を捧げている神々のもとに行き,助けを求める。しかし,それらの神々は災い
の時に決して彼らを救わない。 13 ユダよ,あなたの神々はあなたの町の数ほど多くなった。あなたたちは恥
ずべきもののために,エルサレムの通りの数ほど多くの祭壇を作った。バアルに犠牲を捧げるための祭壇であ
る』。
  14 あなたはこの民のために祈ってはならない。彼らのために声を上げたり,祈りを捧げたりしてはならな
い。彼らが災いのゆえに私に呼び掛けても,私は聞かない。
  15 私の愛する者は何の権利があって私の家にいるのか。
  多くの人が悪いたくらみを実行したというのに。
  あなたに災いが降り掛かる時,彼らはそれを聖なる肉によって回避できるだろうか。
  その時あなたは歓喜するだろうか。
  16 エホバはかつてあなたを,生い茂ったオリーブの木と呼んだ。
  立派な実がなる美しい木である。
  ごう音と共に,神は彼女に火を放ち,
  敵たちは枝を折った。
  17 あなたを植えた者,大軍を率いるエホバは,あなたに災いが降り掛かることを宣言した。イスラエル国
民とユダ国民が悪を行ったからである。彼らはバアルに犠牲を捧げて私を怒らせた」。
  18 エホバが知らせてくださったので,私は知りました。
  その時あなたは,彼らが何をしているか見せてくださいました。
  19 私はほふられるために連れていかれる,おとなしい子羊のようでした。
  彼らが私に対してたくらんでいることを知りませんでした。
  「木をその実と一緒に滅ぼそう。
  彼を地上から除き去ろう。
  彼の名がもう思い出されないように」と。
  20 しかし,大軍を率いるエホバは正しく裁きます。
  人の奥底の考えと心を調べます。
  あなたが彼らに復讐するのを見せてください。
  私は自分の訴えをあなたに委ねました。
  21 エホバはアナトテの人たちに対して語る。彼らはあなたの命を奪おうとしており,こう言う。「エホバ
の名によって預言するな。さもないと,われわれの手に掛かって死ぬことになる」。 22 それで,大軍を率い
るエホバはこう言う。「私は彼らに責任を問う。若者たちは剣によって死に,息子や娘たちは飢餓によって死
ぬ。 23 そこに残る者は一人もいない。彼らが責任を問われる年に,私はアナトテの人たちに災いをもたらす
からだ」。
  12 章
  1 エホバ,あなたは正しい方です。
  私があなたに訴えるときも,公正についてあなたと話すときも。
  しかし,邪悪な人たちが成功を収めているのはどうしてですか。
  不誠実な人たちが気楽に暮らしているのはどうしてですか。
  2 あなたが彼らを植え,彼らは根付きました。
  彼らは成長し,実を結びました。
  あなたについて話しますが,奥底の考えはあなたから遠く離れています。
  3 エホバ,あなたは私をよくご存じで,私を見ておられます。
  私の心を調べ,あなたと結び付いていることを知っておられます。
  彼らを,ほふられる羊のように選び出し,
  殺す日のために取り分けてください。
  4 いつまでこの土地は干からびたままで,
  どの野原の草木も枯れているのでしょうか。
  そこに住む人たちの悪い行いのために,
  野獣や鳥は一掃されました。
  「神は私たちの行く末を見ない」と,彼らは言いました。
  5 あなたは,人と走って疲れるのなら,
  どうして馬と競走できるだろうか。
  平和な土地では安心していられるとしても,
  ヨルダン川沿いのうっそうとした茂みの中ではどうするのか。
  6 あなたの兄弟たち,父の家の人たちでさえ,
  あなたに対して不誠実だった。
  あなたに向かって怒鳴った。
  彼らを信用してはならない。
  たとえ良いことを言うとしても。
  7 「私は,私の家を捨て,財産を捨て去った。
  深く愛する者を,彼女の敵の手に渡した。
  8 私の財産である彼女は,私にとって森林のライオンのようになった。
  私に向かってほえたため,
  私は彼女を憎むようになった。
  9 私の財産である彼女は,私にとって色とりどりの肉食の鳥のようだ。
  ほかの肉食の鳥に囲まれ,襲われる。
  全ての野獣よ,来い。集まれ。
  食べに来い。
  10 多くの羊飼いが私のブドウ園を破壊し,
  私の土地を踏み荒らした。
  良い土地を荒野に変えてしまった。
  11 そこは荒れ地になり,干からびた。
  私の前で荒廃している。
  土地全体が荒廃させられたが,
  誰も気に留めない。
  12 荒野のあらゆる踏みならされた道を通って,滅ぼす者たちがやって来た。
  土地の端から端まで,エホバの剣がむさぼり食っている。
  誰にも平和はない。
  13 人々は小麦をまいたが,いばらを刈り取った。
  疲れ果てるまで働いたが,無駄だった。
  エホバの燃える怒りのために,
  彼らは自分たちの産物を恥じる」。
  14 エホバは邪悪な近隣の民全てに対して語る。彼らは,私が私の民イスラエルに所有させた土地に手を出
している。「私は彼らを,彼らの土地から引き抜く。また,ユダ国民を彼らの中から引き抜く。 15 しかし,
彼らを引き抜いた後,私は再び憐れみを示し,彼らを各自の土地に,相続地に連れ戻す」。
  16 「もし彼らが私の民の生き方を確かに学ぶなら,また,バアルに懸けて誓うことを私の民に教えたよう
に,『生きている神エホバに懸けて!』と私の名に懸けて誓うようになるなら,彼らは私の民の間で栄えるこ
とになる。 17 しかし,もし従おうとしないなら,私はその国民を完全に引き抜いて滅ぼす」と,エホバは宣
言する。
  13 章
  1 エホバは私にこう言った。「亜麻布の帯を買いに行って,腰に締めなさい。それを水に浸してはならな
い」。 2 それで私はエホバに言われた通り,帯を買って腰に締めた。 3 エホバが再び私に語り掛けてこう言
った。 4 「あなたが買って締めている帯を取り,立ってユーフラテス川に行き,大岩の裂け目に帯を隠しなさ
い」。 5 それで私はエホバに命じられた通り,行ってユーフラテス川のほとりに帯を隠した。
  6 日がたってから,エホバは私に言った。「立ってユーフラテス川に行き,私がそこに隠すよう命じた帯
を取り出しなさい」。 7 それで私はユーフラテス川に行き,帯を隠した場所から掘り出した。見ると,帯はぼ
ろぼろで,使い物にならなくなっていた。
  8 エホバが私に語り掛けた。 9 「エホバはこう言う。『このように,私はユダの誇りとエルサレムの甚
だしい誇りを打ち砕く。 10 この悪い民は,私の言葉に従おうとせず,頑固にも心のままに歩み,ほかの神々
に従い,それらに仕えてひれ伏している。それで,この使い物にならない帯のようになる』。 11 エホバはこ
う宣言する。『人が腰に帯を結ぶように,私はイスラエル国民全体とユダ国民全体を私に結び付けた。彼らが
私の民,名誉,賛美,美しいものとなるためだった。しかし,彼らは従わなかった』。
  12 彼らに次の言葉も伝えなさい。『イスラエルの神エホバはこう言っている。「大きなつぼは全てぶどう
酒で満たされるべきである」』。彼らはあなたにこう返答するだろう。『大きなつぼが全てぶどう酒で満たさ
れるべきことを,私たちはすでに知っているではないか』。 13 それで彼らに言いなさい。『エホバはこう言
っている。「私はこの土地の全住民をすっかり酔わせる。ダビデの王座についている王たちも,祭司や預言者
たちも,エルサレムの全ての住民も。 14 そして,私は彼らを,父も子も一様に,ぶつけ合わせて砕く」と,
エホバは宣言する。「私はいたわらず,悲しまず,憐れみも示さない。私が彼らを滅ぼすのを阻むものは何も
ない」』。
  15 聞いて,注意を払いなさい。
  傲慢であってはならない。
  エホバが語ったからである。
  16 あなたたちの神エホバをたたえなさい。
  神が闇を生じさせる前に,また,
  あなたたちが日暮れに山の上でつまずく前に。
  あなたたちは光を望むが,
  神は深い陰を生じさせ,
  それを濃い闇に変える。
  17 もしあなたたちが聞こうとしないなら,
  私はあなたたちの誇りのゆえにひそかに泣く。
  目から涙があふれ,多くの涙を流す。
  エホバの群れが捕らわれて連れ去られたからだ。
  18 王と太后にこう言いなさい。
  『もっと低い場所に座りなさい。
  あなたたちの美しい冠は頭から落ちるからだ』。
  19 南の町々は閉ざされ,開く者は誰もいない。
  ユダの人たちは皆,捕囚にされ,ことごとく連れ去られた。
  20 目を上げて,北からやって来る者たちを見なさい。
  あなたに与えられた群れ,美しい羊はどこにいるのか。
  21 処罰される時,あなたは何と言うのか。
  初めから親しい友情を育んできた者たちに罰せられる時に。
  あなたは出産する女性が味わうような苦しみに襲われるのではないか。
  22 あなたは心の中で,『どうして私がこんな目に遭うのか』と言うだろう。
  あなたの大きな過ちのゆえに,あなたの服の裾は剥ぎ取られ,
  あなたのかかとは手荒い扱いを受けたのである。
  23 クシュ人が肌の色を変えたり,
  ヒョウが斑点を変えたりできるだろうか。
  もしできるなら,あなたたちも善を行えるだろう。
  悪を行うよう教え込まれてはいても。
  24 私は彼らを,砂漠の風に吹き飛ばされるわらのように散らす。
  25 これがあなたに起きること,私があなたに与える分である」と,エホバは宣言する。
  「あなたが私を忘れて,偽りを信じるからだ。
  26 それで私は,あなたの服の裾を顔の上までめくり上げ,
  あなたの恥をさらす。
  27 あなたの姦淫,情欲,みだらな売春が見られることになる。
  丘の上でも,野原でも,
  私はあなたの極めて不快な振る舞いを見た。
  エルサレムよ,あなたには災いがある!
  いつまで汚れたままでいるのか」。
  14 章
  1 干ばつについて,エホバがエレミヤに語った言葉。
  2 ユダは悲しみ,門は衰えた。
  力なく地面に座り込み,
  エルサレムから叫び声が上がる。
  3 主人たちは水を求めて召し使いたちを遣わす。
  召し使いたちは水ために行くが,水はない。
  彼らは空の器を持って戻る。
  恥じて,失望し,頭を覆う。
  4 土地に雨が降らないので地面はひび割れている。
  そのため農業をする人たちは落胆し,頭を覆う。
  5 野の雌鹿でさえ,産んだばかりの子を見捨てる。
  草がないからである。
  6 野ロバははげ山の上に立ち,
  ジャッカルのように息を荒くする。
  草木がないために目が衰える。
  7 私たちの過ちは,私たちに不利に働いていますが,
  エホバ,あなたの名のために行動してください。
  私たちは不忠実なことをたくさん行い,
  あなたに対して罪を犯しました。
  8 イスラエルの希望,苦難の時の救い主よ,
  なぜあなたはこの土地でよそ者のように振る舞っているのですか。
  なぜ一夜を過ごすためだけに立ち寄った旅人のようなのですか。
  9 なぜ,ぼうぜんとしている人,
  力があるのに救うことができない人のようなのですか。
  エホバ,あなたは私たちの中におられ,
  私たちはあなたの名で呼ばれています。
  私たちを見捨てないでください。
  10 この民についてエホバはこう言う。「彼らはさまようことを好み,自分たちの足をとどめていない。そ
れで,エホバは彼らのことを喜ばない。彼らの過ちを思い起こし,罪の責任を問う」。
  11 エホバはさらに私に言った。「この民に良いことが起きるようにと祈ってはならない。 12 彼らが断
食をしても,私は彼らの嘆願に耳を傾けない。彼らが全焼の捧げ物や穀物の捧げ物を捧げても,私は喜ばない。
剣と飢餓と疫病によって彼らを滅ぼす」。
  13 それで私は言った。「ああ,主権者である主エホバ! 預言者たちは彼らにこう告げています。『あな
たたちは剣を見ず,飢餓に見舞われない。私はこの場所であなたたちに真の平和を与える』」。
  14 すると,エホバは言った。「預言者たちは私の名によって偽りの預言をしている。私は彼らを遣わして
おらず,彼らに命じても語ってもいない。彼らがあなたたちに預言しているのは,偽りの幻,無価値な占い,
自分たちの心のたくらみである。 15 それで,私が遣わしていないのに,私の名によって預言し,この土地は
剣にも飢餓にも襲われないと言っている預言者たちについて,エホバはこう言う。『その預言者たちは剣と飢
餓によって滅びる。 16 そして,彼らの預言を聞いている民は,飢餓と剣のためにエルサレムの通りに放り出
される。夫も妻も,息子も娘も,誰にも葬られない。私は彼らに見合った災いをもたらす』。
  17 あなたは彼らにこう言わなければならない。
  『私の目から昼も夜も涙があふれるままになれ。
  私の処女である民は,完全に打ち砕かれ,
  非常に重い傷を負ったからだ。
  18 私が野原に行って見ると,
  剣で殺された人たちがいる!
  町に入っていくと,
  飢餓で弱っている人たちがいる!
  預言者も祭司も見知らぬ土地をさまよっている』」。
  19 あなたはユダを完全に退けたのですか。
  シオンを憎悪したのですか。
  私たちを打ち,癒やされないようにしたのはどうしてですか。
  平和を待ち望んでいたのに,良いものは来ませんでした。
  癒やしの時を待ち望んでいたのに,恐怖が来ました!
  20 エホバ,私たちは,自分たちの邪悪さと,
  父祖たちの過ちを認めます。
  あなたに対して罪を犯しました。
  21 あなたの名のために,私たちを退けないでください。
  あなたの栄光の王座を軽んじないでください。
  私たちとの契約を覚えていて,破らないでください。
  22 国々の無価値な偶像が,雨を降らせてくれるでしょうか。
  天が自ら雨を降らすことができるでしょうか。
  私たちの神エホバ,それができるのはあなただけではありませんか。
  私たちは希望を抱いてあなたを待ちます。
  あなただけがこれら全てを行われるからです。
  15 章
  1 エホバは私に言った。「たとえモーセとサムエルが私の前に立っていたとしても,私がこの民に情けを
掛けることはない。彼らを私の前から追い払い,去らせなさい。 2 もし彼らがあなたに,『どこに行けばいい
のか』と言うなら,彼らに言いなさい。『エホバはこう言っている。
  「死に至る病気にかかる人は,死に至る病気に!
  剣によって倒れる人は,剣に!
  飢えに苦しむ人は,飢えに!
  捕囚にされる人は,捕囚に!」』
  3 エホバはこう宣言する。『私は彼らが4つの災いに襲われるようにする。人を殺す剣,引きずっていく
犬,むさぼり食って滅ぼす鳥と野獣である。 4 そして私は,地上の全ての王国が彼らについて見聞きして恐怖
を抱くようにする。ユダの王,ヒゼキヤの子マナセがエルサレムで行ったことのためである。
  5 エルサレムよ,誰があなたを思いやるだろうか。
  誰があなたに同情するだろうか。
  誰があなたの安否を尋ねるために立ち寄るだろうか』。
  6 エホバはこう宣言する。
  『あなたは私から離れ去った。
  あなたは私に背を向け続ける。
  それで,私はあなたに向かって手を伸ばし,滅ぼす。
  哀れに思うことに疲れた。
  7 私はこの土地の門の所で,人々をフォークで散らす。
  彼らから子供を奪う。
  私は私の民を滅ぼす。
  彼らが生き方を改めようとしないからだ。
  8 彼らの中のやもめは私の前で海の砂よりも多くなる。
  私は,滅ぼす者を真昼に彼らのもとに送り,母親も若者も襲わせる。
  彼らが突然,動揺と恐怖に見舞われるようにする。
  9 7人の子を産んだ女は衰えた。
  息も絶え絶えになっている。
  彼女の太陽は昼間のうちに沈み,
  恥と屈辱をもたらした』。
  『彼らのうち,わずかに残っている人たちを,
  私は敵の前で剣で討つ』と,エホバは宣言する」。
  10 母よ,あなたが私を産んだことは災いでした。
  国中の人が絶えず私と争い,敵対しています。
  私はお金を貸すことも借りることもしていないのに,
  皆が私に災いがあることを願います。
  11 エホバは言った。
  「私は必ずあなたを助ける。
  災いの時に必ずあなたのために仲裁し,
  苦難の時に敵に立ち向かう。
  12 人は鉄を粉々に砕けるだろうか。
  北からの鉄,また銅をも。
  13 私は,あなたの資産や財宝が買われるのではなく,略奪されるようにする。
  あなたが領土の全域で犯した,あらゆる罪のためである。
  14 私はそれらをあなたの敵に渡し,
  あなたの知らない土地へ持っていかせる。
  私の怒りによって火が燃え立ち,
  あなたたちに向かって燃え上がっている」。
  15 エホバ,あなたはご存じです。
  私を思い出して,注意を向けてください。
  私を迫害する者たちに復讐してください。
  あなたが怒りを抑えるゆえに私が死んでしまう,ということがありませんように。
  私があなたのために非難に耐えていることを知ってください。
  16 私はあなたの言葉を受け,それを食べました。
  あなたの言葉によって私の心は喜びにあふれました。
  大軍を率いる神エホバ,私はあなたの名で呼ばれています。
  17 私は浮かれ騒ぐ人たちと一緒に座って楽しむことはしません。
  あなたが手を置いてくださったので,独りで座ります。
  あなたは私を憤りで満たしました。
  18 なぜ私の痛みは長引き,傷は治らないのでしょうか。
  どうしても癒えません。
  あなたは私にとって,信頼できないもの,
  当てにならない水源のようになられるのですか。
  19 エホバはこう言う。
  「あなたが戻ってくるなら,私はあなたを回復させ,
  私の前に立たせる。
  貴重なものを無価値なものから取り分けるなら,
  あなたは私の代弁者になる。
  人々はあなたの方に向き直らなければならず,
  あなたが彼らの方に向き直ることはない」。
  20 エホバはこう宣言する。
  「私はこの民に対してあなたを強固な銅の城壁とする。
  彼らは必ずあなたと戦うが,
  あなたに勝つことはない。
  私があなたと共にいて,あなたを救い,助け出す。
  21 私はあなたを邪悪な人たちの手から助け出し,
  冷酷な人たちの手から救い出す」。
  16 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「あなたは妻を迎えてはならない。この場所で息子や娘
を持ってはならない。 3 ここで生まれる息子や娘について,またこの土地で子供を産む母親や,子供をもうけ
る父親について,エホバはこう言う。 4 『彼らは死に至る病気によって死ぬが,誰にも悲しまれず,葬られも
しない。地面にまかれた肥やしのようになる。彼らは剣と飢餓によって滅び,死体は鳥や野獣に食べられる』。
  5 エホバはこう言う。
  『葬儀をしている家に入ってはならない。
  嘆いたり同情したりするために行ってはならない』。
  エホバはこう宣言する。
  『私はこの民から平和を取り去った。
  揺るぎない愛や憐れみを示すこともない。
  6 身分の高い人も低い人もこの土地で死ぬ。
  彼らは葬られず,誰にも悲しまれない。
  誰一人,彼らのために自分の体に切り傷を付けたり,
  髪の毛をそり落としたりしない。
  7 喪に服す人たちを慰めようと,
  彼らに食べ物を与える者はいない。
  父や母の死を悲しんで飲むための,
  慰めの杯を差し出す者もいない。
  8 宴会をしている家に入ってもならない。
  人々と一緒に座って食べたり飲んだりすべきではない』。
  9 イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言う。『私は,この場所で,間もなくあなたたちの目の前
で,歓喜や祝福の声,花婿や花嫁の声がもはや聞かれないようにする』。
  10 あなたがこの民にこれらの言葉を全て告げると,彼らはこう尋ねるだろう。『なぜエホバは私たちにこ
うした大きな災いをもたらすと言うのか。私たちの神エホバに対して,私たちはどんな過ちや罪を犯したの
か』。 11 あなたはこう返答しなければならない。『エホバはこう宣言している。「あなたたちの父祖たちが
私を捨てたからである。ほかの神々に従い,仕え,ひれ伏し続けた。彼らは私を捨て,私の律法を守らなかっ
た。 12 そしてあなたたちは,父祖たちよりもはるかに悪いことを行った。私に従わず,それぞれが頑固で悪
い心のままに歩んでいる。 13 それで,私はあなたたちをこの土地から放り出し,あなたたちも父祖たちも知
らなかった土地に行かせる。あなたたちはそこで昼も夜もほかの神々に仕えなければならない。私はあなたた
ちに情けを掛けないからである」』。
  14 エホバはこう宣言する。『しかし,人々がもはや,「イスラエルの民をエジプトから連れ出した,生き
ている神エホバに懸けて誓う!」とは言わなくなる時が来る。 15 人々は,「イスラエルの民を北の土地や他
の土地に追いやった後,その全ての土地から連れ出した,生きている神エホバに懸けて誓う!」と言うように
なる。私は彼らを,彼らの土地に,父祖たちに与えた土地に連れ戻す』。
  16 エホバはこう宣言する。
  『私は多くの漁師を呼び集め,
  彼らは人々を捕らえる。
  その後,私は多くの狩人を呼び集め,
  彼らは人々を狩り出す。
  全ての山や丘で,また大岩の裂け目から。
  17 私は人々の行いを全て見ている。
  彼らは私から隠れることはできない。
  彼らの過ちが私の目を逃れることもない。
  18 私はまず,彼らの過ちと罪に対して十分に返報する。
  彼らが,命のない汚らわしい偶像で私の土地を汚し,
  私の所有地を忌まわしいもので満たしたからだ』」。
  19 エホバ,あなたは私の力,私のとりで,
  苦難の日に私が逃げ込む場所です。
  人々が地の果てからあなたのもとに来て,こう言うでしょう。
  「私たちの父祖たちが手にしたのは,
  全くの偽り,むなしくて何の役にも立たないものでした」。
  20 人が神々を作ることなどできるだろうか。
  それらは実際には神ではない。
  21 「それで,私は人々に知らせる。
  今度こそ,私の力と強さを知らせる。
  彼らは私の名がエホバであることを知らなければならなくなる」。
  17 章
  1 「ユダの罪は,鉄の筆記具で書き記されている。
  ダイヤモンドの先端で,
  彼らの心と,祭壇の角に刻まれている。
  2 彼らの子孫は,祭壇や聖木を覚えている。
  生い茂った木のそば,高い丘の上,
  3 田舎の山の上にあったものを。
  私は,あなたの資産,全ての財宝,高い場所が略奪されるようにする。
  あなたが領土の全域で犯した罪のために。
  4 私が与えた土地を,あなたは自分のせいで失う。
  私は,あなたが知らない土地で敵に仕えるようにする。
  あなたたちが私の怒りを火のように燃え立たせたからだ。
  それはいつまでも燃える」。
  5 エホバはこう言う。
  「単なる人に頼り,
  人間の力を当てにし,
  心がエホバから離れていく人は,災いを受ける。
  6 その人は砂漠にぽつんと立つ木のようになる。
  良いものを見ることはなく,
  荒野の乾き切った場所に住む。
  誰も住めない不毛な土地に。
  7 エホバに頼る人,
  エホバを信頼する人は祝福される。
  8 その人は水辺に植えられた木のようになる。
  流れに向かって根を伸ばす木のように。
  暑さが来ても気にせず,
  常に葉が青々と茂る。
  干ばつの年にも心配せず,
  実を結ぶのをやめない。
  9 心はほかのどんなものよりも信用できず,必死になる。
  誰がこれを知り得るだろうか。
  10 私エホバは,心を探り,
  奥底の考えを調べている。
  一人一人に,生き方に応じて,
  行ったことに応じて報いるために。
  11 不当なやり方で富を得る人は,
  産んでいない卵を集めるシャコのようだ。
  人生の半ばに富が去っていき,
  結局,分別がないことが明らかになる」。
  12 初めから高い所にある,栄光の王座,
  それが私たちの聖なる所である。
  13 イスラエルの希望であるエホバ,
  あなたを捨てる人は皆,恥をかきます。
  背教してあなたから離れる人たちは,土に書かれた文字のように消え去ります。
  生きた水の源であるエホバを捨てたからです。
  14 エホバ,癒やしてください。
  そうすれば私は癒やされます。
  救ってください。
  そうすれば私は救われます。
  あなたこそ私が賛美する方です。
  15 ある人たちは私にこう言います。
  「エホバの言葉はどこにあるのか。
  どうかそれを実現させてほしい」。
  16 しかし,私は牧者としてあなたに従うことから逃げず,
  災難の日を待ち望むこともしませんでした。
  あなたは私が話したこと全てをよくご存じです。
  それは皆あなたの目の前で起きました。
  17 私をおびえさせないでください。
  あなたは災いの日に私の避難所となってくださいます。
  18 私を迫害する人たちが恥をかき,
  私は恥をかきませんように。
  彼らが恐怖に襲われ,
  私は恐怖に襲われませんように。
  彼らに災いの日を味わわせ,
  打ち砕いて完全に滅ぼしてください。
  19 エホバは私にこう言った。「行って,ユダの王たちが出入りする,民の子たちの門,またエルサレムの
全ての門の所に立ちなさい。 20 こう言わなければならない。『これらの門を通って入る,ユダの王たち,ユ
ダの全ての人たち,エルサレムの全住民よ,エホバの言葉を聞きなさい。 21 エホバはこう言っている。「気
を付けなさい。安息日に荷物を運んではならず,エルサレムの門を通って持ち込んではならない。 22 安息日
にどんな荷物も家から持ち出してはならず,仕事を一切してはならない。私があなたたちの父祖たちに命じた
通り,安息日を神聖な日としなさい。 23 父祖たちは聞かず,耳を傾けなかった。従うことも矯正を受け入れ
ることも,かたくなに拒んだ」』。
  24 『エホバはこう宣言する。「もしあなたたちが私にしっかり従い,安息日にこの都市の門を通って荷物
を持ち込むことをせず,仕事を一切しないことによって安息日を神聖な日とするなら, 25 ダビデの王座につ
く王や高官たちが,兵車や馬に乗って,この都市の門を通って入る。王や高官たち,ユダの人たちとエルサレ
ムの住民が入る。そしてこの都市にはいつまでも人が住む。 26 ユダの町々,エルサレムの周辺,ベニヤミン
の土地,低地,山地,ネゲブから人々がやって来て,全焼の捧げ物,犠牲,穀物の捧げ物,乳香,感謝の犠牲
をエホバの家に持ってくる。
  27 しかし,もしあなたたちが私に従わず,安息日を神聖な日とせず,安息日に荷物を運んでエルサレムの
門を通って持ち込むなら,私はその門に火を放つ。火は必ずエルサレムの防備された塔を焼き尽くし,消され
ることはない」』」。
  18 章
  1 エホバがエレミヤに語り掛けてこう言った。 2 「立って,陶芸家の家に行きなさい。そこであなたに
私の言葉を聞かせる」。
  3 私が陶芸家の家に行くと,陶芸家はろくろを回していた。 4 ところが,粘土で作っていたその器は出
来が悪かったので,陶芸家はそれを別の器に作り直し,思い通りの形にした。
  5 すると,エホバが私に語り掛けてこう言った。 6 「エホバはこう宣言する。『イスラエル国民よ,私
はこの陶芸家がした通りのことをあなたたちに行えないだろうか。イスラエル国民よ,あなたたちは,陶芸家
の手の中にある粘土のように私の手の中にある。 7 私がある国民または王国を引き抜き,打ち壊し,滅ぼすこ
とについて語ったとして, 8 その国民が,私が非難した悪い行いをやめた場合,私もその国民にもたらそうと
していた災いについて思い直す。 9 しかし,私がある国民または王国を建てて植えることについて語ったもの
の, 10 その国民が私から見て悪いことを行い,私の声に従わない場合,私はその国民のために行おうとして
いた良い事柄について思い直す』。
  11 どうか,ユダの人たちとエルサレムの住民に言ってほしい。『エホバはこう言っている。「私は災いを
もたらそうとしており,あなたたちに対して策を巡らしている。どうか,悪い行いをやめ,生き方や習慣を改
めてほしい」』」。
  12 しかし,彼らは言った。「それは無理だ! われわれは自分の考えに従って歩み,それぞれが頑固で悪
い心のままに行動する」。
  13 それで,エホバはこう言う。
  「どうか,国々の中で尋ねてみてほしい。
  このようなことを聞いたことがあるだろうか。
  イスラエルの乙女はおぞましいことを行った。
  14 レバノンの雪が山腹の岩々から消え去るだろうか。
  遠くから流れてくる冷たい水が干上がるだろうか。
  15 それなのに,私の民は私を忘れた。
  彼らは無価値なものに犠牲を捧げ,
  昔からの道を歩む人たちをつまずかせて,
  平らではない裏道を歩かせる。
  16 そのため,人々は彼らの土地を見て恐怖を感じ,
  いつまでもそこに向かって口笛を吹く。
  通り掛かる人は一人残らず恐怖を抱いて見つめ,頭を振る。
  17 私は東風のように,民を敵の前に散らす。
  災難の日に,私は彼らに顔ではなく背を向ける」。
  18 彼らは言った。「エレミヤに対して策略を練ろう。祭司から律法が,賢人から助言が,預言者から言葉
が失われることはない。エレミヤを非難し,彼の言うことに一切注意を払わないようにしよう」。
  19 エホバ,私に注意を払い,
  私の反対者たちが言っていることを聞いてください。
  20 善に対して悪が返されてよいでしょうか。
  彼らは私の命を奪おうと穴を掘りました。
  私があなたの前に立って,彼らについて良いことを語り,
  あなたの憤りを静めようとしたことを思い起こしてください。
  21 彼らの子たちが飢餓で苦しみ,
  彼らが剣によって倒れるようにしてください。
  妻たちが子供を亡くし,やもめになりますように。
  男たちは死に至る病気で命を落とし,
  若者たちは戦いの際に剣で討たれますように。
  22 あなたが略奪者たちに彼らを突然襲わせる時,
  彼らの家から叫び声が聞こえますように。
  彼らは私を捕まえようと穴を掘り,
  私の足を捕らえるわなを仕掛けたのです。
  23 しかし,エホバ,あなたは,
  私を殺そうとする彼らの策略全てをよくご存じです。
  彼らの過ちを覆わないでください。
  彼らの罪をあなたの前から拭い去らないでください。
  彼らをあなたの前で倒れさせてください。
  あなたが怒りのうちに行動を取る時に。
  19 章
  1 エホバはこう言った。「行って,陶芸家から土器の瓶を買いなさい。民の長老と祭司の長老を何人か連
れて, 2 『陶片の門』の入り口に面した,ヒンノムの子の谷に行きなさい。そこで,私があなたに話す言葉を
語るように。 3 こう言いなさい。『ユダの王たちとエルサレムの住民たち,エホバの言葉を聞きなさい。イス
ラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っている。
  「私はこの場所に災いをもたらそうとしており,それについて聞く人は衝撃を受ける。 4 彼らが私を捨て,
ここを変わり果てた場所にしたからである。ここで,自分たちも父祖たちもユダの王たちも知らなかった神々
に犠牲を捧げており,この場所を罪のない人たちの血で満たした。 5 彼らはバアルのための高い場所を築き,
子供を火で焼いてバアルへの全焼の捧げ物とした。そのようなことを私は命じたことも語ったこともなく,考
えたこともない」』。
  6 『エホバはこう宣言する。「それで,この場所がもはやトフェトとかヒンノムの子の谷とではなく,殺
りくの谷と呼ばれるようになる時が来る。 7 私はこの場所でユダとエルサレムの計画を阻み,彼らを敵の前で
剣によって倒れさせ,彼らの命を奪おうとしている者たちの手に渡す。そして,彼らの死体を鳥や野獣に食べ
させる。 8 私は,この都市を見る人々が恐怖を感じ,そこに向かって口笛を吹くようにする。通り掛かる人は
一人残らず恐怖を抱いて見つめ,もたらされた全ての災厄のために口笛を吹く。 9 私は彼らに息子や娘の肉を
食べさせる。彼らは敵に包囲され,彼らの命を奪おうとしている者たちに囲まれて死に物狂いになり,それぞ
れ仲間の肉を食べる」』。
  10 あなたと一緒に行く人たちの目の前で瓶を砕き, 11 彼らに言いなさい。『大軍を率いるエホバはこ
う言っている。「陶芸家の器が砕かれて二度と修復できなくなるように,私はこの民と都市を砕く。彼らはト
フェトに死者を葬り続け,葬る場所がなくなる」』。
  12 エホバはこう宣言する。『私はこの場所と住民に対してそのようにし,この都市をトフェトのようにす
る。 13 エルサレムの家々とユダの王たちの家々は,トフェトのように汚れた所となる。彼らは家の屋上で天
の全ての星に犠牲を捧げ,家でほかの神々のために飲み物の捧げ物を注いだからだ』」。
  14 エレミヤは,エホバに遣わされて行ったトフェトで預言し,戻ってくると,エホバの家の庭に立ち,民
全てにこう言った。 15 「イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っています。『私はこの都市と周囲
の全ての町に,私が告げた災いをことごとくもたらす。彼らが私の言葉に従うことをかたくなに拒んだからで
ある』」。
  20 章
  1 さて,祭司で,エホバの家の主任事務官でもあった,イメルの子パシュフルは,エレミヤがこれらのこ
とを預言した時に聞いていた。 2 パシュフルは預言者エレミヤを殴打し,エホバの家にある,「ベニヤミンの
上の門」の足かせ台につないだ。 3 翌日になって,パシュフルがエレミヤを足かせ台から解放すると,エレミ
ヤは彼にこう言った。
  「エホバはあなたの名前を,パシュフルではなく,『周囲に恐怖』としました。 4 エホバはこう言ってい
ます。『私はあなたとあなたの友人全てを恐怖に陥れる。彼らはあなたの目の前で敵の剣によって倒れる。私
はユダ全体をバビロンの王の手に渡し,彼は人々を捕らえてバビロンに連れていき,剣で殺す。 5 私はこの都
市の全ての富,全ての資産,全ての貴重な物,またユダの王たちの全ての財宝を,敵の手に渡す。彼らはそれ
を略奪し,取り上げて,バビロンに持っていく。 6 そして,パシュフル,あなたとあなたの家に住む人は皆,
捕らわれることになる。あなたはバビロンに行って,そこで死に,友人全てと共に葬られる。彼らに偽りの預
言をしたからである』」。
  7 エホバ,あなたは私をだまし,私はだまされました。
  あなたは私に対して力を振るい,勝ちました。
  私は一日中,笑いものにされ,
  皆が私をあざけっています。
  8 私は語るたびに叫び,
  「暴力と破滅!」と声高に言わなければなりません。
  エホバの言葉のせいで,私は一日中侮辱され,からかわれます。
  9 それで私は言いました。「この方について話さないことにしよう。
  もうこの方の名によって語ることはしない」と。
  ですが,神の言葉は私の心の中で燃える火,
  骨の中に閉じ込められた火のようになりました。
  私はそれを抑えるのに疲れ,もう耐えられなくなりました。
  10 私は悪いうわさをたくさん聞き,
  恐怖に包まれました。
  「彼を非難しよう。皆で非難してやろう!」
  私にあいさつする人は皆,私が挫折するのを待っていました。
  「彼は愚かな間違いをするだろう。
  そうなれば,われわれが優位に立ち,彼に復讐できる」。
  11 しかし,エホバは恐るべき戦士のように私と共にいてくださいました。
  そのため,私を迫害する人たちはつまずき,優位に立つことはありません。
  成功することなく,大いに恥をかきます。
  彼らの恥辱は永久に続き,忘れられることはありません。
  12 大軍を率いるエホバ,あなたは正しい人を調べておられます。
  人の奥底の考えと心をご覧になります。
  あなたが彼らに復讐するのを見せてください。
  私は自分の訴えをあなたに委ねました。
  13 エホバに向かって歌え!
  エホバを賛美せよ!
  この方は貧しい人を悪人の手から救ってくださったからだ。
  14 私が生まれた日は災いだ!
  母が私を産んだ日は祝福されるな!
  15 父に良い知らせを伝え,
  「あなたに男の子が生まれました!」と言って,
  父を大喜びさせた人は,災いを受けよ。
  16 その人は,エホバが嘆くことなく滅ぼした町々のようになれ。
  朝に叫び声を聞き,真昼に戦いの合図を聞くことになれ。
  17 なぜ彼は私を母の胎内で殺さなかったのか。
  そうすれば,母が私の墓となり,
  ずっと身ごもったままになっていたのに。
  18 なぜ私は母の胎内から出なければならなかったのか。
  苦しみや悲しみを見て,
  恥じながら生涯を終えるだけではないか。
  21 章
  1 ゼデキヤ王が,マルキヤの子パシュフルと,マアセヤの子で祭司のゼパニヤをエレミヤのもとに遣わし
た時,エレミヤはエホバの言葉を受けた。王はこう頼んだ。 2 「どうか,私たちのためにエホバに尋ねてくだ
さい。バビロンのネブカドネザル王が私たちに戦いを仕掛けているからです。もしかしたら,彼が撤退するよ
うに,エホバは過去に行われたような驚くべきことを行ってくださるかもしれません」。
  3 エレミヤは彼らに言った。「ゼデキヤにこう言いなさい。 4 『イスラエルの神エホバはこう言ってい
る。「私は,あなたたちが持っている武器,城壁の外で包囲しているバビロンの王とカルデア人と戦うための
武器の矛先を,あなたたちの方に向かせる。そして,それらを都市の真ん中に集める。 5 私は手を伸ばし,力
強い腕と怒りと憤りと激怒をもって,自らあなたたちと戦う。 6 この都市の住民を,家畜もろとも打つ。彼ら
はひどい疫病で死ぬ」』。
  7 『エホバはこう宣言する。「その後,私は,ユダのゼデキヤ王と家来たちとこの都市の人々,疫病と剣
と飢餓を生き延びる人たちを,バビロンのネブカドネザル王の手に渡す。彼らの敵,彼らの命を奪おうとして
いる者たちの手に渡すのである。ネブカドネザルは剣で彼らを討つ。彼らを哀れに思わず,同情も憐れみも示
さない」』。
  8 また,この民に言いなさい。『エホバはこう言っている。「私はあなたたちの前に,命の道と死の道を
置いている。 9 この都市にとどまる人は,剣と飢餓と疫病によって死ぬ。一方,出ていって,あなたたちを包
囲しているカルデア人に降伏する人は,死ぬことなく逃れ,生き続ける」』。
  10 『エホバはこう宣言する。「私がこの都市に厳しい顔を向けたのは,災いをもたらすためであって,良
いことのためではない。都市はバビロンの王の手に渡され,火で焼かれる」。
  11 ユダの王家の人たち,エホバの言葉を聞きなさい。 12 ダビデの王家よ,エホバはこう言う。
  「朝ごとに公正な裁きを行いなさい。
  物を奪われている人を,だまし取る人の手から救いなさい。
  さもなければ,あなたたちの悪い行いのために,
  私の憤りは火のように燃え上がり,
  誰にも消せなくなる」』。
  13 『谷に住む者よ,平地の岩よ,
  私はあなたに敵対している』と,エホバは宣言する。
  『あなたたちは言う。「誰が私たちに向かってくるだろうか。
  誰が私たちの住まいに攻め入るだろうか」と。
  14 私はあなたたちの行いに応じて,
  あなたたちに責任を問う。
  そして森林に火を放ち,
  それは周囲のもの全てを焼き尽くす』と,エホバは宣言する」。
  22 章
  1 エホバはこう言う。「ユダの王の家に行き,この言葉を伝えなさい。 2 こう言わなければならない。
『ダビデの王座についているユダの王よ,エホバの言葉を聞きなさい。これらの門を通って入る,あなたの家
来や民も。 3 エホバはこう言っている。「公正と正義を守りなさい。物を奪われている人を,だまし取る人の
手から救いなさい。外国人居住者を不当に扱ってはならず,父親のいない子供ややもめに危害を加えてはなら
ない。この場所で無実の人の血を流してはならない。 4 もしあなたたちがこの言葉を注意深く実行するなら,
ダビデの王座につく王たちはこの家の門を通って入ることになる。兵車や馬に乗って,家来や民と共に入
る」』。
  5 『しかし,もしあなたたちがこれらの言葉に従わないなら,この家は廃虚と化す。私は自分自身に懸け
てそう誓う』と,エホバは宣言する。
  6 エホバはユダの王の家についてこう言う。
  『あなたは私にとってギレアデのようであり,
  レバノンの頂のようである。
  しかし,私はあなたを荒野にする。
  あなたのどの町にも人が住まなくなる。
  7 私は滅ぼす者たちを任命してあなたを攻めさせる。
  それぞれが武器を持っている。
  彼らはあなたの最良の杉を切り倒し,火の中に投げ込む。
  8 多くの国の人々がこの都市のそばを通って,「なぜエホバはこの大きな都市にこのようなことをしたの
だろう」と言い合う。 9 そしてこう言う。「彼らが自分たちの神エホバとの契約を破って,ほかの神々にひれ
伏して仕えたからだ」』。
  10 死んだ者のために泣いてはならない。
  彼のために悲しむのではなく,
  去っていく者のために激しく泣きなさい。
  彼はもう戻らず,自分が生まれた土地を二度と見ないからである。
  11 ヨシヤの子シャルムは,父ヨシヤに代わってユダの王として治めていたが,この場所から出ていった。
そのシャルムについて,エホバはこう言う。『彼はもう戻ってこない。 12 捕らわれて連れていかれた場所で
死に,もうこの土地を見ることはない』。
  13 正しさを無視して自分の家を建て,
  公正を無視して階上の部屋を造る者,
  同胞に無償で仕えさせ,
  賃金を払おうとしない者には災いがある。
  14 彼は言う。『自分のために広々とした家を建て,
  ゆったりとした階上の部屋を造ろう。
  窓を設け,杉の板を張り,
  朱色に塗ろう』と。
  15 あなたは他の人より多く杉を使うことで,権力を示し続けるのか。
  あなたの父親も食べて飲んだが,
  公正と正義を守り,
  物事はうまく運んだ。
  16 彼は苦しんでいる人や貧しい人の申し立てを弁護し,
  物事はうまく運んだ。
  エホバはこう宣言する。
  『私を知るとはそういうことではないか。
  17 しかし,あなたの目と心はひたすら,
  自分の不当な利益や,無実の人の血を流すこと,
  詐欺を働くことや脅し取ることに向けられている』。
  18 それで,ユダの王,ヨシヤの子エホヤキムについて,エホバはこう言う。
  『人々は彼の死を悼まず,
  「ああ,兄弟! ああ,姉妹!」と言わない。
  彼の死を悼まず,
  「ああ,主人よ! ああ,王よ!」と言わない。
  19 彼は死んだロバのように扱われる。
  引きずり回され,エルサレムの門の外に投げ捨てられる』。
  20 レバノンに登って,叫びなさい。
  バシャンで声を上げなさい。
  アバリムから叫びなさい。
  あなたの愛人は皆滅ぼされたからである。
  21 私はあなたが安心している時に語り掛けたが,
  あなたは『従いません』と言った。
  これがあなたの若い時からの生き方であり,
  あなたは私の声に従ってこなかった。
  22 あなたの全ての牧者は風に追い立てられ,
  愛人たちは捕らわれることになる。
  あなたはことごとく災いに遭って恥をかき,辱められる。
  23 レバノンに住み,杉に囲まれて横たわる者よ,
  あなたは痛みを味わう時,
  出産する女性のように苦しみに見舞われる時,
  どんなにかうめくことだろう」。
  24 「エホバはこう宣言する。『私は,生きている私自身に懸けて誓う。たとえユダの王,エホヤキムの子
コニヤが私の右手にある印章付きの指輪であっても,私はあなたを抜き取る。 25 私はあなたを,あなたの命
を奪おうとしている者たちの手に渡す。あなたが恐れている者たちの手に,バビロンのネブカドネザル王の手
に,カルデア人の手に渡す。 26 あなたと,あなたを産んだ母親を,あなたたちが生まれた所ではない別の土
地に放り投げる。あなたたちはそこで死ぬ。 27 帰りたいと切望する土地に戻ることは決してない。
  28 この人コニヤは,軽んじられ,壊された単なるつぼ,
  誰も欲しがらない器なのか。
  なぜ彼とその子孫は投げ落とされ,
  彼らの知らない土地に投げ込まれるのか』。
  29 世界よ,世界よ,世界よ,エホバの言葉を聞け。
  30 エホバはこう言う。
  『この人を,子供がいない人,
  生涯成功しない人として書き記しなさい。
  彼の子孫は誰も成功しないからだ。
  ダビデの王座につかず,再びユダを治めることはない』」。
  23 章
  1 「私の牧草地の羊を殺し,散らしている牧者たちには災いがある!」と,エホバは宣言する。
  2 イスラエルの神エホバは,私の民の牧者たちに対してこう言う。「あなたたちは私の羊を散らした。追
い散らし続けて,彼らに注意を向けなかった」。
  「それで私は,あなたたちの悪い行いのためにあなたたちに注意を向ける」と,エホバは宣言する。
  3 「私は,私の残っている羊を,追いやった全ての土地から集め,彼らの牧草地に連れ戻す。彼らは子を
生んで増える。 4 そして私は,彼らをしっかり世話する牧者たちを立てる。彼らはもはや恐れることもおびえ
ることもなくなり,誰も失われない」と,エホバは宣言する。
  5 エホバはこう宣言する。「私がダビデの家系から正しい芽を生じさせる時が来る。1人の王が治め,洞
察力を示し,この土地で公正と正義を守る。 6 彼の時代にユダは救われ,イスラエルは安らかに暮らすように
なる。彼は『エホバは私たちの正義』という名で呼ばれる」。
  7 エホバはこう宣言する。「人々がもはや,『イスラエルの民をエジプトから連れ出した,生きている神
エホバに懸けて誓う!』とは言わなくなる時が来る。 8 人々は,『イスラエル国民の子孫を北の土地や他の土
地に追いやった後,その全ての土地から連れ出し,連れ戻した,生きている神エホバに懸けて誓う!』と言う
ようになる。そして,彼らは自分たちの土地に住む」。
  9 預言者たちについて。
  私の心は打ちのめされた。
  私の骨は全て震えている。
  私はぶどう酒が回って酔った人のようだ。
  エホバとその聖なる言葉のゆえに。
  10 この土地は姦淫をする人で満ちている。
  災いのために土地は嘆き悲しみ,
  荒野の牧草地は乾き切った。
  彼らは悪い生き方をし,力を乱用する。
  11 「預言者も祭司も汚れている。
  私は自分の家の中でさえ彼らの悪い行いを見た」と,エホバは宣言する。
  12 「それで,彼らの道は滑りやすくて暗くなり,
  彼らは押されて倒れる。
  私が処罰の年に彼らに災いをもたらすからである」と,エホバは宣言する。
  13 「私はサマリアの預言者たちの中に不快な事柄を見た。
  彼らはバアルに唆されて預言しており,
  私の民イスラエルを惑わしている。
  14 私はエルサレムの預言者たちの中にもひどい事柄を見た。
  彼らは姦淫をし,偽りにまみれて歩む。
  悪人たちをけしかけ,
  自分たちの悪い行いをやめない。
  私にとって彼らは皆ソドムのようであり,
  都市の住民はゴモラのようである」。
  15 それで,大軍を率いるエホバは預言者たちに対してこう言う。
  「私は彼らにニガヨモギを食べさせ,毒の水を飲ませる。
  エルサレムの預言者たちから,背教が国中に広まったからである」。
  16 大軍を率いるエホバはこう言う。
  「あなたたちに預言している預言者たちの言葉を聞いてはならない。
  彼らはあなたたちを欺いている。
  彼らが語る幻は,自分たちの心から出たものであり,
  エホバの口から出たものではない。
  17 彼らは,私を侮る人たちに繰り返しこう言う。
  『「あなたたちは平和を楽しむ」とエホバは言った』。
  また,頑固な心のままに歩む人たち皆にこう言う。
  『あなたたちに災いが降り掛かることはない』。
  18 誰がエホバの親しい友たちの中に立ち,
  神の言葉を見聞きしただろうか。
  誰が神の言葉を聞こうと注意を払っただろうか。
  19 見なさい! エホバの暴風が激しく吹き荒れる。
  渦巻く大嵐のように,邪悪な人たちの頭上で荒れ狂う。
  20 エホバの怒りは静まらない。
  心の中の考えを実行して成し遂げるまでは。
  最後の日々にあなたたちはこのことをはっきりと理解する。
  21 私は預言者たちを遣わさなかったが,彼らは走った。
  私は彼らに語り掛けなかったが,彼らは預言した。
  22 もし彼らが私の親しい友たちの中に立っていたなら,
  私の民に私の言葉を聞かせて,
  悪い生き方や行いをやめさせていただろう」。
  23 「私は近くにいる時だけ神で,遠くにいる時は神ではないのか」と,エホバは言う。
  24 「誰かがひそかな場所に隠れて,私から見えなくなることなどあるだろうか」と,エホバは言う。
  「私には天と地の全てが見えているのではないか」と,エホバは言う。
  25 「私は,私の名によって偽りの預言をしている預言者たちが,『夢を見た! 夢を見た!』と言うのを
聞いた。 26 この預言者たちはいつまで心の中で偽りの預言をし続けるのか。彼らは自分たちの心のたくらみ
を預言している。 27 彼らの父祖たちがバアルのゆえに私の名を忘れたように,彼らは見た夢について語り合
うことによって私の民に私の名を忘れさせようとしている。 28 夢を見る預言者は,その夢について語るがよ
い。一方,私の言葉を受ける者は,私の言葉を正しく伝えるべきである」。
  「わらは穀物と比べものにならないのではないか」と,エホバは言う。
  29 「私の言葉は火のようであり,大岩を打ち砕くハンマーのようではないか」と,エホバは言う。
  30 「それで私は,私の言葉を盗み合っている預言者たちに敵対している」と,エホバは宣言する。
  31 「私は,『お告げだ!』と自分勝手に言う預言者たちに敵対している」と,エホバは宣言する。
  32 「偽りの夢を語り,うそや自慢によって私の民を惑わす預言者たちに,私は敵対している」と,エホバ
は宣言する。
  「私は彼らを遣わすことも,彼らに命じることもしなかった。彼らがこの民の役に立つことはない」と,
エホバは宣言する。
  33 「この民か預言者か祭司が,『エホバからのどんな重々しい言葉があるか』と尋ねる時,あなたはこう
答えなさい。『「重くて厄介なのはあなたたちだ! 私はあなたたちを捨てる」と,エホバは宣言している』。
34 『これがエホバからの重々しい言葉だ!』と言う預言者や祭司や民についていえば,私はその者と家の人た
ちに注意を向ける。 35 あなたたちはそれぞれ仲間や兄弟にこう言っている。『エホバは何と答えたか。エホ
バは何と話したか』。 36 しかし,もうエホバからの重々しい言葉について話してはならない。重くて厄介な
のは各自の言葉であり,あなたたちは,生きている神,大軍を率いるエホバ,イスラエルの神の言葉を変えた
のである。
  37 あなたは預言者にこう言う。『エホバはあなたにどんな答えを与えたか。エホバは何と話したか。 38
もしあなたたちが「エホバからの重々しい言葉!」と言い続けるなら,エホバはこう言う。「私が『「エホバ
からの重々しい言葉!」と言ってはならない』と告げた後に,あなたたちが『これがエホバからの重々しい言
葉だ』と言っているので, 39 私はまさしくあなたたちを持ち上げ,あなたたちと父祖たちに与えた都市と共
に捨て去る。 40 そして,永久に続く恥辱と屈辱をあなたたちにもたらす。それは忘れられることがな
い」』」。
  24 章
  1 エホバは私に,エホバの神殿の前に置かれた2つの籠に入ったイチジクを見せた。それは,バビロンの
ネブカドネザル王が,ユダの王,エホヤキムの子エコニヤを捕らえた後のことだった。ネブカドネザルは,ユ
ダの高官たち,職人,鍛冶屋も捕らえ,エルサレムからバビロンに連れていった。 2 1つの籠に入っていたイ
チジクはとても良く,早い時期になるイチジクのようだったが,もう1つの籠に入っていたイチジクはとても
悪くて食べられなかった。
  3 エホバは私に,「エレミヤ,何が見えるか」と尋ねた。それで私は言った。「イチジクです。良いイチ
ジクはとても良いですが,悪い方はとても悪くて食べられません」。
  4 すると,エホバが私に語り掛けてこう言った。 5 「イスラエルの神エホバはこう言う。『私は,捕囚
にされたユダの人たち,この場所から私がカルデア人の土地に追いやった人たちを,これらの良いイチジクの
ように良いものと見なす。 6 彼らに目を留めて恵みを与え,この土地に戻らせる。彼らを建てるのであり,壊
しはしない。彼らを植えるのであり,引き抜きはしない。 7 彼らに私を知る心,私がエホバであることを知る
心を与える。彼らは私の民となり,私は彼らの神となる。彼らは心を尽くして私のもとに戻る。
  8 一方,とても悪くて食べられないイチジクについて,エホバはこう言う。「私は,ユダのゼデキヤ王と
高官たち,この土地にいてエルサレムに残っている人たちと,エジプトに住んでいる人たちを,悪いイチジク
のように見なす。 9 私は彼らに災難をもたらし,地上の全ての王国が彼らについて見聞きして恐怖を抱くよう
にする。私が彼らを追いやる全ての場所で,人々は彼らを非難し,格言の題材とし,あざけり,彼らに災いが
あることを願う。 10 私は彼らに対して剣と飢餓と疫病を送り,彼らと父祖たちに与えた土地から滅ぼし去
る」』」。
  25 章
  1 ユダの王,ヨシヤの子エホヤキムの治世の第4年,すなわちバビロンのネブカドネザル王の治世の第1
年に,エレミヤはユダの民全てに関する言葉を受けた。 2 預言者エレミヤはユダの民全てとエルサレムの全住
民にこう語った。
  3 「ユダの王,アモンの子ヨシヤの治世の第13年から今まで,この23年間,エホバが私に語り掛け,
私は繰り返し皆さんに話しましたが,皆さんは聞きませんでした。 4 エホバはご自分に仕える預言者全てを皆
さんのもとに繰り返し遣わしましたが,皆さんは聞かず,耳を傾けませんでした。 5 預言者たちはこう伝えま
した。『どうか,一人一人が悪い生き方や行いをやめてほしい。そうすれば,昔エホバがあなたたちと父祖た
ちに与えた土地に,ずっと住み続けることになる。 6 ほかの神々に従ったり,仕えたり,ひれ伏したりして,
自分の行いによって私を怒らせてはならない。悪い行いをやめないなら,私はあなたたちに災いをもたらす』。
  7 エホバはこう宣言しています。『しかし,あなたたちは私の言うことを聞かなかった。自分の行いによ
って私を怒らせ,災いを身に招いた』。
  8 それで,大軍を率いるエホバはこう言っています。『「あなたたちが私の言葉に従わないので, 9 私
は北の全ての部族を呼び寄せる」と,エホバは宣言する。「私に仕えるバビロンのネブカドネザル王を呼び寄
せ,彼らにこの土地と住民と周囲の国々を攻めさせる。それらを滅ぼし尽くし,恐怖の光景に変え,ずっと荒
廃したままにし,人々がそれらに向かって口笛を吹くようにする。 10 人々の間で,歓喜や祝福の声,花婿や
花嫁の声がもはや聞かれないようにし,ひき臼の音とランプの光を絶やす。 11 この土地全体は荒れ果て,恐
怖の光景となり,これらの国の人々は70年の間バビロンの王に仕えなければならない」』。
  12 エホバはこう宣言しています。『しかし,70年が満了した時,私は,過ちを犯したバビロンの王と国
民に責任を問う。そして,カルデア人の土地をいつまでも荒れ果てた所にする。 13 私がその土地に対して語
った全ての言葉,この書に記されている全てのこと,すなわちエレミヤが全ての国に対して預言した事柄を実
現させる。 14 多くの国の人々と強大な王たちが,彼らを奴隷にする。私は彼らの振る舞いや行いに応じて彼
らに返報する』」。
  15 イスラエルの神エホバは私にこう言った。「この憤りのぶどう酒が入った杯を私の手から取り,私があ
なたを遣わす全ての国の人々に飲ませなさい。 16 彼らは飲んで,よろめき,狂人のように行動する。私が彼
らの中に送ろうとしている剣のためである」。
  17 それで,私はエホバの手から杯を取り,エホバに遣わされて行った全ての国の人々に飲ませた。 18
まずエルサレムとユダの町々から始め,その王たちや高官たちに。それらを廃虚とし,恐怖の光景に変え,
人々がそれらに向かって口笛を吹き,災いがあることを願うようにするためであり,間もなくそうなる。 19
それから,エジプトの王ファラオと,家来たち,高官たち,民全て, 20 あらゆる外国人に。ウツの全ての王
に。フィリスティア人の土地の全ての王,すなわち,アシュケロンの王,ガザの王,エクロンの王,アシュド
ドの残っている人たちの王に。 21 エドム,モアブ,アンモン人に。 22 ティルスの全ての王,シドンの全て
の王,海の島の王たちに。 23 デダン,テマ,ブズ,もみあげを短く切っている全ての人たちに。 24 アラビ
ア人の全ての王,荒野に住むさまざまな民の全ての王に。 25 ジムリの全ての王,エラムの全ての王,メディ
ア人の全ての王に。 26 北の全ての王,近くの王にも遠くの王にも次々に,また地上の他の全ての王国に。そ
して,彼らの後にシェシャクの王が飲む。
  27 「あなたは彼らに言わなければならない。『イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っている。
「飲んで,酔って,吐いて,倒れて,起き上がれなくなれ。私があなた方の中に送ろうとしている剣のため
に」』。 28 もし彼らがあなたの手から杯を取って飲もうとしないなら,こう言いなさい。『大軍を率いるエ
ホバはこう言っている。「あなた方は飲まなければならない! 29 私が,まず私の名が付された都市に災いを
もたらすのであれば,あなた方が処罰を免れることがあるだろうか」』。
  『あなた方は処罰を免れない。私は剣を呼び,地上に住む全ての人を攻めさせるからだ』と,大軍を率い
るエホバは宣言する。
  30 あなたは彼らにこれらの言葉全てを伝え,こう言いなさい。
  『エホバは高い所からほえ,
  聖なる住まいから声を上げる。
  自分の居場所に向かって大声でほえる。
  ブドウを搾り場で踏む人たちのように叫び,
  地上に住む全ての人に対して勝ち誇って歌う』。
  31 『騒音が地の果てにまで響き渡る。
  エホバが国々と論争をするからだ。
  全ての人間を自ら裁き,
  邪悪な者たちを剣で討つ』と,エホバは宣言する。
  32 大軍を率いるエホバはこう言う。
  『見なさい! 国から国へと災いが広がっており,
  地の果てから激しい大嵐が解き放たれる。
  33 その日,エホバに討たれた者たちが,地の果てから果てにまで横たわる。彼らは悲しまれず,集められ
ることも葬られることもない。地面にまかれた肥やしのようになる』。
  34 牧者たちよ,泣き叫び,声を上げなさい!
  群れの中の有力者たちよ,のたうち回りなさい。
  あなた方がほふられ,散らされる時が来たからである。
  あなた方は貴重な器が落ちて砕けるのと同じようになる!
  35 牧者たちに逃げ場はなく,
  群れの中の有力者たちも逃れられない。
  36 聞きなさい! 牧者たちは叫び声を上げ,
  群れの中の有力者たちは泣き叫んでいる。
  エホバが彼らの牧草地を荒廃させているからだ。
  37 平和な住まいは生気のない所となった。
  エホバの燃える怒りのために。
  38 神は若いライオンのようにすみかを去った。
  残酷な剣のために,
  また神の燃える怒りのために,
  彼らの土地は恐怖の光景となった」。
  26 章
  1 ユダの王,ヨシヤの子エホヤキムの治世の初めごろに,エホバが次のように語った。 2 「エホバはこ
う言う。『エホバの家の庭に立ちなさい。そして,エホバの家で崇拝するために入ってくる,ユダの町々の全
ての人に話しなさい。私があなたに命じることを全て伝えるように。一言も省いてはならない。 3 もしかした
ら,彼らは聞いて,それぞれ悪い生き方をやめるかもしれない。そうなれば,私は彼らの悪い行いのためにも
たらそうとしている災いについて思い直す。 4 彼らに言いなさい。「エホバはこう言っている。『もしあなた
たちが私の言うことを聞かず,私が与えた律法に従わず, 5 私に仕える預言者たちの言葉を聞かないなら(私
は繰り返し彼らを遣わしているが,あなたたちは耳を傾けていない), 6 私は,この家をシロのようにし,地
上の全ての国の人々がこの都市に災いがあることを願うようにする』」』」。
  7 祭司と預言者と民全ては,エレミヤがエホバの家でこれらの言葉を話すのを聞いた。 8 エレミヤが民
全てに話すようエホバに命じられたことを皆話し終えると,祭司と預言者と民全ては彼を捕らえて言った。
「あなたは必ず死ぬ。 9 なぜあなたはエホバの名によって預言し,『この家はシロのようになり,この都市は
滅ぼされて誰も住まなくなる』と言ったのか」。そして,民全てはエホバの家でエレミヤを取り囲んだ。
  10 ユダの高官たちはこれらの言葉を聞くと,王の家からエホバの家にやって来て,エホバの新しい門の入
り口の所に座った。 11 祭司たちと預言者たちは,高官たちと民全てに言った。「この人は死刑にされるべき
です。この都市に対して,皆さんが聞いた通りに預言したからです」。
  12 エレミヤは高官たちと民全てに言った。「エホバが私を遣わし,この家と都市に対して,皆さんが聞い
た全ての言葉を伝えさせました。 13 ですから,生き方や行いを改め,皆さんの神エホバの声に従ってくださ
い。そうすれば,エホバは皆さんにもたらすと述べた災いについて思い直されます。 14 私についていえば,
皆さんの手中にあります。皆さんが良いと思うこと,正しいと思うことを私にしてください。 15 ただ,知っ
ておいていただきたいことですが,私を殺すなら,皆さんとこの都市と住民は無実の人の血を流した責任を負
うことになります。確かにエホバが私を遣わし,これらの言葉全てを語らせ,皆さんに聞かせたからです」。
  16 すると,高官たちと民全ては,祭司たちと預言者たちに言った。「この人は死刑にされるべきではあり
ません。私たちの神エホバの名によって私たちに語ったからです」。
  17 さらに,土地の長老が何人か立ち上がり,民の会衆全体に向かって言い始めた。 18 「モレシェトの
ミカは,ユダのヒゼキヤ王の時代に預言し,ユダの民全てにこう言いました。『大軍を率いるエホバはこう言
っています。
  「シオンは畑のように掘り起こされ,
  エルサレムはがれきの山となり,
  神殿の丘は森の高い場所のようになる」』。
  19 ユダのヒゼキヤ王とユダの全ての人は,ミカを殺すようなことをしたでしょうか。王はエホバを畏れ,
エホバの恵みを求めたので,エホバは彼らにもたらすと述べた災いについて思い直されたのではありませんか。
私たちは,大きな災いを身に招こうとしています。
  20 エホバの名によって預言した人がもう1人いました。キルヤト・エアリムの人シェマヤの子ウリヤで,
エレミヤが語ったような言葉でこの都市と土地に対して預言しました。 21 エホヤキム王と全ての戦士や高官
たちはウリヤの言葉を聞き,王は彼を殺そうとしました。ウリヤはそれを聞いて怖くなり,エジプトに逃げま
した。 22 それでエホヤキム王は,アクボルの子エルナタンとほかの人たちをエジプトに遣わしました。 23
彼らはウリヤをエジプトから連れ出してエホヤキム王のもとに連れていき,王は彼を剣で討って,死体を一般
の人々の墓地に投げ入れました」。
  24 シャファンの子アヒカムがエレミヤをかばったので,エレミヤが民の手に渡されて殺されることはなか
った。
  27 章
  1 ユダの王,ヨシヤの子エホヤキムの治世の初めごろに,エホバがエレミヤに語り掛けた。 2 「エホバ
は私にこう言いました。『自分のために縄とくびきを作り,首に掛けなさい。 3 そして,エドムの王,モアブ
の王,アンモン人の王,ティルスの王,シドンの王に,それを送りなさい。ユダのゼデキヤ王のもとに遣わさ
れてエルサレムに来た使者たちを通して送るのである。 4 王たちに対する次の命令を使者たちに与えなさい。
  「イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言う。あなた方は王にこう言いなさい。 5 『私は,大きな
力と伸ばした腕によって,地球と人間と地上の動物を造り,私が良いと思う者に与えた。 6 そして今,これら
全ての土地を,私に仕えるバビロンのネブカドネザル王の手に渡した。野獣をも彼に与えて仕えさせた。 7 全
ての国の人々が,彼とその子と孫に仕える。しかし,彼の国が終わる時が来ると,多くの国の人々と強大な王
たちが彼を奴隷にする』。
  8 『ある国民または王国が,バビロンのネブカドネザル王に仕えようとせず,バビロンの王が課すくびき
を首に掛けようとしないなら,私は剣と飢餓と疫病によってその国民を処罰し,彼の手によって滅ぼす』と,
エホバは宣言する。
  9 『それで,「あなた方はバビロンの王に仕えることにはならない」と言っている預言者,占い師,夢を
見る者,魔術師,呪術師の言うことを聞いてはならない。 10 彼らは偽りの預言をしている。もしあなた方が
聞くなら,自分の土地から遠くへ連れ去られることになり,私はあなた方を散らし,滅ぼす。
  11 しかし私は,バビロンの王が課すくびきを首に掛けて彼に仕える国民を,自国の土地にとどまらせる。
彼らはその土地を耕してそこに住む』と,エホバは宣言する」』」。
  12 私はユダのゼデキヤ王にも同じように話し,こう言った。「バビロンの王が課すくびきを首に掛け,彼
とその民に仕えなさい。そうすれば生き続けることができます。 13 バビロンの王に仕えない国民についてエ
ホバが述べた通り,あなたと民が剣と飢餓と疫病によって死ぬようなことになってよいでしょうか。 14 『皆
さんはバビロンの王に仕えることにはなりません』と言っている預言者たちの言葉を聞き入れてはなりません。
彼らは偽りの預言をしているからです。
  15 エホバはこう宣言しています。『私は彼らを遣わしていないのに,彼らは私の名によって偽りの預言を
している。もしその預言者たちの言うことを聞くなら,私はあなたたちを彼らと共に散らし,滅ぼす』」。
  16 また,私は祭司たちとこの民全てにこう言った。「エホバはこう言っています。『「エホバの家の器具
は間もなくバビロンから戻ってくる!」と預言している預言者たちの言葉を聞き入れてはならない。彼らは偽
りの預言をしているからである。 17 彼らの言うことを聞いてはならない。バビロンの王に仕えるなら,生き
続けることができる。この都市が廃虚になるようなことがあってよいだろうか。 18 もし彼らが預言者であり,
エホバの言葉を受けているなら,エホバの家とユダの王の家とエルサレムに残っている器具がバビロンに持ち
去られないよう,大軍を率いるエホバに懇願するがよい』。
  19 大軍を率いるエホバは,柱と『海』と台車と,この都市に残っている器具について話しました。 20
それらは,バビロンのネブカドネザル王が,ユダの王,エホヤキムの子エコニヤをユダとエルサレムの高貴な
人たち皆と共に捕らえてエルサレムからバビロンに連れていった時に,持っていかなかったものです。 21 イ
スラエルの神,大軍を率いるエホバは,エホバの家とユダの王の家とエルサレムに残っている器具について,
こう言っています。 22 『エホバはこう宣言する。「それらはバビロンに持ち去られ,私が注意を向ける日ま
でそこにあることになる。そして私はそれらを持ち帰り,この場所に戻す」』」。
  28 章
  1 その年,ユダのゼデキヤ王の治世の初めごろ,第4年の第5の月のことである。ギベオンから来た預言
者,アズルの子ハナニヤは,エホバの家で,祭司たちと民全ての前で私に言った。 2 「イスラエルの神,大軍
を率いるエホバはこう言っています。『私はバビロンの王が課しているくびきを折る。 3 バビロンのネブカド
ネザル王がここからバビロンに持ち去った,エホバの家の器具全てを,2年以内にこの場所に持ち帰る』」。
4 「『また,ユダの王,エホヤキムの子エコニヤと,捕囚にされてバビロンに行ったユダの人たちを皆,この
場所に連れ戻す。私はバビロンの王が課しているくびきを折るのである』と,エホバは宣言しています」。
  5 そこで預言者エレミヤは,エホバの家に立っていた祭司たちと民全ての前で,預言者ハナニヤに話した。
6 預言者エレミヤはこう言った。「アーメン! エホバがそうしてくださいますように! エホバがあなたの預
言した言葉の通りにし,エホバの家の器具をバビロンからこの場所に持ち帰り,捕囚にされた人々を皆連れ戻
してくださいますように! 7 ですが,私があなたと民全てに聞こえるように話しているこの言葉をどうか聞い
てください。 8 私やあなたよりもずっと昔の預言者たちは,多くの土地や強大な王国が戦争や災いや疫病に見
舞われることを預言していました。 9 ある預言者が平和について預言し,その言葉の通りになれば,その預言
者が確かにエホバに遣わされたことが分かります」。
  10 すると,預言者ハナニヤは預言者エレミヤの首からくびきを取り,それを折った。 11 そして,民全
ての前で言った。「エホバはこう言っています。『このように,私は2年以内に,バビロンのネブカドネザル
王が課しているくびきを全ての国の人々の首から取って折る』」。そこで,預言者エレミヤは去っていった。
  12 預言者ハナニヤが預言者エレミヤの首からくびきを取って折った後,エホバがエレミヤに次のように語
った。 13 「行って,ハナニヤに言いなさい。『エホバはこう言っている。「あなたは木のくびきを折ったが,
代わりに鉄のくびきを作ることになる」。 14 イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っている。「私
はこれら全ての国の人々の首に鉄のくびきを掛ける。こうして彼らはバビロンのネブカドネザル王に仕えなけ
ればならない。私は彼に野獣をも与える」』」。
  15 預言者エレミヤは預言者ハナニヤに言った。「ハナニヤ,どうか聞いてください! あなたはエホバに
遣わされていないのに,この民が偽りを信じるようにしました。 16 それで,エホバはこう言っています。
『私はあなたを地上から除き去る。今年,あなたは死ぬ。民をあおってエホバに反逆させようとしたからであ
る』」。
  17 こうして,預言者ハナニヤはその年の第7の月に死んだ。
  29 章
  1 これは,預言者エレミヤがエルサレムから書き送った手紙の言葉である。エレミヤは,捕囚にされた
人々のうちの長老たち,祭司,預言者,民,すなわち,ネブカドネザルに捕らわれてエルサレムからバビロン
に連れていかれた人たち全てに宛てて書いた。 2 それは,エコニヤ王,太后,廷臣たち,ユダとエルサレムの
高官たち,職人や鍛冶屋がエルサレムから出ていった後のことだった。 3 手紙は,ユダのゼデキヤ王がバビロ
ンのネブカドネザル王のもとに遣わした,シャファンの子エラサとヒルキヤの子ゲマルヤによって届けられた。
次のように書かれていた。
  4 「イスラエルの神,大軍を率いるエホバは,人々が捕囚にされてエルサレムからバビロンに連れていか
れるようにした。その人たち皆にこう言う。 5 『家を建てて住みなさい。果樹園を造って実を食べなさい。 6
妻を迎えて息子や娘をもうけなさい。息子たちのために妻を迎え,娘たちを嫁がせ,彼らも息子や娘をもうけ
られるようにしなさい。そこで増えるように。減ってはならない。 7 私があなたたちを捕囚の身にした都市の
平和を求め,その都市のためにエホバに祈りなさい。都市が平和ならあなたたちも平和だからである。 8 イス
ラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言う。「あなたたちの中にいる預言者や占い師に欺かれてはならない。
彼らが見ている夢に注意を向けてはならない。 9 『彼らは私の名によって偽りの預言をしている。私は彼らを
遣わしていない』と,エホバは宣言する」』」。
  10 「エホバはこう言う。『バビロンで70年が満了したら,私はあなたたちに注意を向ける。私の約束を
果たし,あなたたちをこの場所に連れ戻す』。
  11 エホバはこう宣言する。『私は,あなたたちのために自分が行おうとしていることをよく知っている。
あなたたちに災いではなく平和をもたらし,良い将来と希望を与えたいと思っている。 12 あなたたちが私を
呼び,私のもとに来て祈る時,私は耳を傾ける』。
  13 『あなたたちは私を探し,見つける。心を尽くして私を探し求めるからである。 14 私はあなたたち
が私を見つけられるようにする』と,エホバは宣言する。『そして,捕らわれているあなたたちを集め,私が
あなたたちを追いやった全ての国や場所から集め出す。あなたたちを捕囚の身にして追い出したが,元の場所
へ連れ戻すのである』と,エホバは宣言する。
  15 ところがあなたたちは,『エホバは私たちのためにバビロンで預言者たちを立てた』と言っている。
  16 ダビデの王座についている王と,この都市に住んでいる民全て,すなわち,あなたたちと一緒に捕囚に
されなかった兄弟たちについて,エホバはこう言う。 17 『大軍を率いるエホバはこう言う。「私は彼らに対
して剣と飢餓と疫病を送り,彼らをとても悪くて食べられない腐ったイチジクのようにする」』。
  18 『私は剣と飢餓と疫病によって彼らを追い立て,地上の全ての王国が彼らについて見聞きして恐怖を抱
くようにする。私が彼らを追いやる全ての国で,人々は驚き,彼らに向かって口笛を吹き,彼らに災いがある
ことを願い,彼らを非難する。 19 彼らが私の言葉に耳を傾けなかったからである。私に仕える預言者たちを
繰り返し遣わして伝えさせた言葉を,彼らは聞こうとしなかった』と,エホバは宣言する。
  『あなたたちも耳を傾けなかった』と,エホバは宣言する。
  20 それで,私がエルサレムからバビロンに追いやった,捕囚にされた全ての人よ,エホバの言葉を聞きな
さい。 21 コラヤの子アハブとマアセヤの子ゼデキヤは,私の名によってあなたたちに偽りの預言をしている。
イスラエルの神,大軍を率いるエホバは,彼らについてこう言う。『私は彼らをバビロンのネブカドネザル王
の手に渡し,彼はあなたたちの目の前で彼らを討つ。 22 バビロンで捕囚にされているユダの人たちは皆,誰
かに災いがあることを願う際,彼らに起きたことに触れてこう言うようになる。「エホバがあなたを,バビロ
ンの王が火の中で焼いたゼデキヤやアハブのようにしてくださいますように!」 23 彼らは隣人の妻と姦淫を
し,私が命じなかった偽りの言葉を私の名によって語って,イスラエルで恥ずべきことを行った。
  「私はそのことを知っており,証人である」と,エホバは宣言する』」。
  24 「ネヘラムのシェマヤにあなたはこう言う。 25 『イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っ
ている。「あなたは,エルサレムにいる民全てと,マアセヤの子である祭司ゼパニヤと,全ての祭司に,自分
の名前で手紙を書き送り,こう述べた。 26 『エホバがあなたを祭司エホヤダの代わりに祭司としたのは,あ
なたをエホバの家の監督とし,預言者のように振る舞う狂人を取り締まらせて,足かせや首かせをはめさせる
ためです。 27 それなのに,あなたはどうして,あなたたちに預言しているアナトテのエレミヤを叱責してい
ないのですか。 28 彼はバビロンにいる私たちに手紙を送ることまでし,こう述べました。「捕囚は長引く!
家を建てて住みなさい。果樹園を造って実を食べなさい―」』」』」。
  29 祭司ゼパニヤが預言者エレミヤにこの手紙を読んで聞かせると, 30 エホバがエレミヤに語り掛けて
こう言った。 31 「捕囚にされている人々皆にこう書き送りなさい。『エホバはネヘラムのシェマヤについて
こう言っている。「私はシェマヤを遣わしていないのに,彼はあなたたちに預言し,偽りを信じさせようとし
た。そのため, 32 エホバはこう言う。『私はネヘラムのシェマヤとその子孫に注意を向ける。彼の家系の人
がこの民の中で生き残ることはない。私が私の民のために行う良い事柄を彼が見ることもない。彼は民をあお
ってエホバに反逆させようとしたからである』と,エホバは宣言する」』」。
  30 章
  1 エホバがエレミヤに語り掛けてこう言った。 2 「イスラエルの神エホバはこう言う。『私があなたに
話す言葉を全て書に記しなさい。 3 「捕らわれている私の民,イスラエルとユダを,私が集める時が来る」と,
エホバは宣言する。「私は彼らの父祖たちに与えた土地に彼らを連れ戻し,再びそこを所有させる」と,エホ
バは言う』」。
  4 これはエホバがイスラエルとユダに語った言葉である。
  5 エホバはこう言う。
  「私たちはおびえる声を聞いた。
  恐怖があり,平和はない。
  6 どうか尋ねてみてほしい。
  男性が子供を産めるだろうか。
  では,なぜ私は,全ての強い男性が,出産する女性のように,
  腹に手を当てるのを見ているのか。
  なぜどの顔も青ざめているのか。
  7 ああ! その日は恐ろしい日であり,
  そのような日はほかにない。
  ヤコブにとって苦難の時である。
  しかし彼は救い出される」。
  8 大軍を率いるエホバはこう宣言する。「その日,私はあなたの首に掛けられたてんびん棒を折り,縄を
2つに引きちぎる。よそ者が彼を奴隷にすることはもはやない。 9 彼らは,彼らの神エホバと,私が彼らのた
めに立てる王ダビデに仕える」。
  10 エホバはこう宣言する。
  「私に仕えるヤコブよ,恐れてはならない。
  イスラエルよ,おびえてはならない。
  私はあなたを遠い土地から救い,
  あなたの子孫を捕囚の地から救う。
  ヤコブは戻り,平穏に暮らし,
  誰にも脅かされない」。
  11 エホバはこう宣言する。
  「私はあなたと共にいて,あなたを救う。
  あなたを追いやった全ての国で,人々を根絶やしにする。
  しかし,あなたを根絶やしにはしない。
  とはいえ,あなたを適度に矯正し,
  決して処罰せずにはおかない」。
  12 エホバはこう言う。
  「あなたの衰弱を治すことはできない。
  あなたの傷は癒えない。
  13 誰もあなたの言い分を弁護せず,
  あなたの潰瘍を癒やす方法はない。
  あなたを治すことはできない。
  14 あなたの愛人は皆,あなたを忘れた。
  もはやあなたを相手にしない。
  私は敵がするようにあなたを打ち,
  残酷な者のようにあなたを処罰した。
  あなたの大きな過ち,数々の罪のためである。
  15 なぜ自分の衰弱のゆえに叫ぶのか。
  あなたの痛みは癒えない!
  あなたの大きな過ち,数々の罪のために,
  私はあなたにこのことを行った。
  16 それで,あなたをむさぼり食う者は皆むさぼり食われ,
  あなたの敵は皆捕らわれる。
  あなたから奪い取る者は奪い取られ,
  私はあなたから略奪する者が略奪されるようにする」。
  17 「彼らはあなたを見捨てられた者と呼び,
  『誰にも相手にされないシオン』と言うが,
  私はあなたの健康を回復させ,傷を癒やす」と,エホバは宣言する。
  18 エホバはこう言う。
  「私は,ヤコブの捕らわれている子孫を集め,
  ヤコブの幕屋を哀れに思う。
  都市はその丘の上に再建され,
  防備された塔が,あるべき場所に立つ。
  19 彼らは感謝を表し,笑い声を上げる。
  私は彼らを増やすので,彼らが減ることはない。
  私は彼らを非常に多くするので,
  彼らが取るに足りない者となることはない。
  20 ヤコブの子孫は昔のようになり,
  その民は私の前にしっかりと立ち続ける。
  私は彼を虐げる者を全て処罰する。
  21 威厳がある者が彼の家系から出る。
  彼を治める者が彼の子孫の中から現れる。
  私はその者を近寄らせ,彼は私に近づく」。
  「さもなければ,誰があえて私に近づこうとするだろうか」と,エホバは言う。
  22 「こうして,あなたたちは私の民となり,私はあなたたちの神となる」。
  23 見なさい! エホバの暴風が激しく吹き荒れる。
  猛烈な大嵐が邪悪な人たちの頭上で荒れ狂う。
  24 エホバの燃える怒りは静まらない。
  心の中の考えを実行して成し遂げるまでは。
  最後の日々にあなたたちはこのことを理解する。
  31 章
  1 「その時,私はイスラエルの全ての家族の神となり,彼らは私の民となる」と,エホバは宣言する。
  2 エホバはこう言う。
  「剣から逃れて生き残った人たちは,荒野で恵みを受けた。
  イスラエルが休み場に向かって歩いていた時に」。
  3 遠くからエホバが私に現れて言った。
  「私は永遠の愛をもってあなたを愛してきた。
  そのため,揺るぎない愛をもってあなたを引き寄せたのである。
  4 私はあなたを建て直し,あなたは建て直される。
  イスラエルの乙女よ,あなたは再びタンバリンを手に取り,
  喜びにあふれて踊る。
  5 あなたは再びサマリアの山々にブドウ園を造る。
  栽培人たちは植えて,実を味わう。
  6 エフライムの山々にいる見張りたちが呼び掛ける日が来る。
  『立って,シオンに,私たちの神エホバのもとに上っていこう』と」。
  7 エホバはこう言う。
  「喜びにあふれてヤコブに向かって叫びなさい。
  国々の上に立っているゆえに喜んで叫びなさい。
  このことを広く知らせ,神を賛美して言いなさい。
  『エホバ,あなたの民を,イスラエルの残りの者を救ってください』と。
  8 私は北の土地から彼らを連れ戻す。
  地の果てから彼らを集める。
  その中には,目が見えない人や足が不自由な人,
  妊娠している女性や出産が間近い女性もいる。
  彼らは大きな会衆となってここに戻ってくる。
  9 彼らは泣きながら来る。
  私は,恵みを求める彼らを導く。
  つまずくことがない平らな道を歩かせて,
  水が流れる所に連れていく。
  私はイスラエルの父であり,エフライムは私の初子なのである」。
  10 国々よ,エホバの言葉を聞き,
  遠くの島々に知らせよ。
  「イスラエルを散らした者が彼を集め,
  群れを見守る羊飼いのように彼を見守る。
  11 エホバはヤコブを救い,
  彼より強い者の手から助け出す。
  12 人々は来て,シオンの山で歓声を上げ,
  エホバからの良いもののゆえに顔を輝かせる。
  穀物,新しいぶどう酒,油,
  若い羊や牛について喜ぶ。
  彼らはよく潤っている庭園のようになり,
  二度と弱り果てることはない」。
  13 「その時,乙女は喜びにあふれて踊り,
  若者も老人も共に踊る。
  私は彼らの悲しみを歓喜に変える。
  彼らを慰め,悲嘆の代わりに喜びを与える。
  14 私は祭司たちを豊かな物で満足させ,
  私の民は私からの良いものに満足する」と,エホバは宣言する。
  15 「エホバはこう言う。
  『ラマで声が聞こえる。嘆きと悲痛な泣き声が。
  ラケルが子供たちのことで泣き悲しんでいる。
  彼女は慰められるのを拒んだ。
  子供たちがもういないからである』」。
  16 エホバはこう言う。
  「『泣くのをやめ,涙を拭いなさい。
  あなたの行いは報われるからだ。
  子供たちは敵の土地から戻ってくる』と,エホバは宣言する。
  17 『あなたの将来には希望がある。
  子供たちは自分たちの領地に戻ってくる』と,エホバは宣言する」。
  18 「私はエフライムがこう嘆くのを確かに聞いた。
  『あなたは私を正し,私は正されました。
  訓練されていない子牛のように。
  私を連れ戻してください。私はあなたのもとに戻ります。
  あなたは私の神エホバなのです。
  19 私はあなたのもとに戻った後,自分を責めました。
  教えられて理解した後,悲嘆してももをたたきました。
  私は恥じ,自分が嫌になりました。
  若い時に非難されるようなことを行ったからです』」。
  20 「エフライムは私の大切な子,愛する子ではないか。
  私は彼を叱責するたびに,彼のことを心に留める。
  そのために感情が揺さぶられている。
  彼を本当に哀れに思う」と,エホバは宣言する。
  21 「自分のために標識を置き,
  道しるべを立てなさい。
  街道に,通らなければならない道に,注意を払いなさい。
  イスラエルの乙女よ,戻りなさい。
  あなたの町々に戻りなさい。
  22 不忠実な娘よ,いつまでふらつくのか。
  エホバは地上に新しいことを創造した。
  女性が男性を一心に追い求めるのである」。
  23 イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言う。「捕らわれている人々を私が集めて戻す時,彼らは
ユダの土地と町々で再びこう言う。『正しさに満ちる住まいよ,聖なる山よ,エホバから祝福されますよう
に』。 24 そこに,ユダとその全ての町の人々が共に住む。農業をする人たちも,家畜の世話をする人たちも
である。 25 私は疲れている人を元気づけ,弱り果てている人を強くする」。
  26 ここで私は起きて,目を開けた。心地よい眠りだった。
  27 「私がイスラエルの土地とユダの土地で,人や家畜の子孫を増やす時が来る」と,エホバは宣言する。
  28 エホバはこう宣言する。「私は,引き抜き,取り壊し,打ち壊し,滅ぼし,害を加えるために彼らを見
張ったように,建てて植えるために彼らを見守る。 29 その時,彼らはもう,『父たちが酸っぱいブドウを食
べたのに,子たちの歯が浮いた』とは言わなくなる。 30 人はそれぞれ自分の過ちのために死ぬのである。酸
っぱいブドウを食べる人は,自分の歯が浮く」。
  31 エホバはこう宣言する。「私がイスラエル国民およびユダ国民と新しい契約を結ぶ時が来る。 32 そ
の契約は,私が彼らの父祖たちの手を取ってエジプトから連れ出した日に,その父祖たちと結んだ契約のよう
なものではない。『私は確かに彼らの主人だったのに,彼らは私との契約を破った』と,エホバは言う」。
  33 エホバはこう宣言する。「これが,そうした時代の後に私がイスラエル国民と結ぶ契約である。私は,
私の律法を彼らの奥深くに入れ,彼らの心の中に書き記す。そして,私は彼らの神となり,彼らは私の民とな
る」。
  34 エホバはこう宣言する。「彼らがそれぞれ,隣人や兄弟を教えて,『エホバを知りなさい!』と言うこ
とはもうなくなる。最も小さな者から最も大きな者まで,皆が私を知るようになるからだ。私は彼らの過ちを
許し,彼らの罪をもはや思い出さない」。
  35 エホバは太陽を与えて昼の光とし,
  月や星の法則を定めて夜の光とし,
  海をかき回して波を荒立たせる。
  大軍を率いるエホバという名を持つその方はこう言う。
  36 「『これらの規定が無効になることはないため,
  イスラエルの子孫は私の前で常に国民であり続ける』と,エホバは宣言する」。
  37 エホバはこう言う。「『天を測ることはできず,地の土台を調べ尽くすこともできないように,私がイ
スラエルの子孫のあらゆる行いのゆえに彼ら全てを退けることはない』と,エホバは宣言する」。
  38 エホバはこう宣言する。「『ハナヌエルの塔』から『隅の門』に至るまで,この都市がエホバのために
建て直される時が来る。 39 測り綱はガレブの丘まで真っすぐに伸び,ゴアの方に向かう。 40 死体と灰の谷
全体,またキデロンの谷に至る段丘,東を向く『馬の門』の隅までの全ての段丘は,エホバにとって聖なるも
のとなる。二度と引き抜かれることも打ち壊されることもない」。
  32 章
  1 ユダのゼデキヤ王の治世の第10年,すなわちネブカドネザルの治世の第18年に,エホバがエレミヤ
に語り掛けた。 2 その時,バビロンの王の軍がエルサレムを包囲していた。預言者エレミヤは,ユダの王の家
にある「監視の庭」に拘束されていた。 3 ユダのゼデキヤ王が彼を拘束して,こう言ったのである。「どうし
てあなたはこのように預言するのですか。『エホバはこう言っています。「私はこの都市をバビロンの王の手
に渡し,彼は都市を攻め取る。 4 ユダのゼデキヤ王は,カルデア人から逃れることはない。必ずバビロンの王
の手に渡され,彼と対面して,じかに話す」。 5 エホバはこう宣言しています。「彼はゼデキヤをバビロンに
連れていき,ゼデキヤは私が注意を向ける時までそこにいることになる。あなたたちはカルデア人と戦い続け
ても勝つことはない」』」。
  6 エレミヤは言った。「エホバが私に語り掛けてこう言いました。 7 『あなたのおじシャルムの子ハナ
ムエルが,あなたのもとに来てこう言う。「アナトテにある私の畑を買い取ってほしい。あなたにそれを買い
戻す第1の権利があるからだ」』」。
  8 エホバが言った通り,私のおじの子ハナムエルが,「監視の庭」にいる私のもとに来てこう言った。
「どうか,ベニヤミンの土地のアナトテにある私の畑を買ってください。あなたには所有する権利と買い戻す
権利があるからです。ぜひ買い取ってください」。それで,私はエホバの言葉の通りだと分かった。
  9 こうして私は,アナトテにある畑をおじの子ハナムエルから買い,代金として銀10枚と80グラムを
量った。 10 それを証書に記し,封印をし,証人たちを立てて,代金をはかりで量った。 11 そして,おきて
と法的な要求に従って封印された購入証書と,封印されていない証書を手に取り, 12 マフセヤの子ネリヤの
子バルクに渡した。私のおじの子ハナムエルと,購入証書に記した証人たちと,「監視の庭」に座っていたユ
ダヤ人皆が,それを見ていた。
  13 私は彼らの前でバルクに命じて言った。 14 「イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言ってい
ます。『これらの証書,封印された購入証書と封印されていないもう1つの証書を,土の器に入れなさい。長
い間保管するためである』。 15 イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っています。『家や畑やブド
ウ園が,再びこの土地で買われるようになる』」。
  16 私はネリヤの子バルクに購入証書を渡した後,エホバに祈って言った。 17 「ああ,主権者である主
エホバ! あなたは,大きな力と伸ばした腕によって天と地を造られました。あなたに不可能なことは何もあり
ません。 18 あなたは揺るぎない愛を幾千代までも示しつつ,父たちの過ちの報いを後の世代に受けさせる方,
真の神,力強く偉大な方で,大軍を率いるエホバという名を持っておられます。 19 素晴らしい目的を持ち,
偉大なことを行い,人々の歩み全てをご覧になっています。一人一人に,生き方や行いに応じて報いるためで
す。 20 あなたがエジプトで行われたしるしとなることや奇跡は,今でも知られています。そのようにしてあ
なたはイスラエルで,また全ての人の間で名を上げ,今に至っています。 21 そしてあなたは,しるしと,奇
跡と,力強い手と,伸ばした腕と,恐るべき行いによって,ご自分の民イスラエルをエジプトから連れ出され
ました。
  22 やがてあなたは,彼らの父祖たちに与えると誓ったこの非常に肥沃な土地を,彼らにお与えになりまし
た。 23 彼らは入ってきて土地を手に入れましたが,あなたの声に従わず,あなたの律法に従って歩みません
でした。あなたに命じられたことを何もしなかったので,あなたは災いがことごとく彼らに降り掛かるように
されました。 24 ご覧ください,人々が来て土塁を築き,この都市を攻め取ろうとしています。剣と飢餓と疫
病のために,この都市は攻めてきたカルデア人の手に落ちるでしょう。ご覧のように,全てあなたが言われた
通りになりました。 25 それなのに,主権者である主エホバ,あなたは私に,『畑を買い取って代金を支払い,
証人たちを立てなさい』と言われました。この都市はカルデア人の手に落ちますのに」。
  26 すると,エホバがエレミヤに語り掛けてこう言った。 27 「私はエホバ,全ての人の神である。私に
不可能なことなどあるだろうか。 28 エホバはこう言う。『私はこの都市をカルデア人の手に,バビロンのネ
ブカドネザル王の手に渡そうとしている。彼はこの都市を攻め取る。 29 都市に攻めてきたカルデア人は,入
ってきて都市に火を放ち,家々もろとも焼き払う。その家々の屋上で,民はバアルに犠牲を捧げ,ほかの神々
のために飲み物の捧げ物を注いで,私を怒らせた』。
  30 エホバはこう宣言する。『イスラエルとユダの民は若い頃からずっと,私から見て悪いことばかり行っ
てきた。イスラエルの民は行いによって私を怒らせ続けている。 31 この都市は,彼らによって建てられた日
から今まで,私を怒らせ憤らせるものでしかなかった。それで,私の顔の前から取り除かれなければならない。
32 イスラエルとユダの民があらゆる悪を行って私を怒らせたからである。民,王や高官たち,祭司,預言者,
ユダの人たちとエルサレムの住民が私を怒らせた。 33 彼らは私に背を向け続け,顔を向けなかった。私は繰
り返し彼らを教えようとしたが,誰も聞こうとせず,矯正を受けなかった。 34 彼らは私の名が付された家に
汚らわしい偶像を置き,その家を汚した。 35 その上,ヒンノムの子の谷にバアルのための高い場所を築き,
息子や娘を火で焼いてモレクに捧げた。ユダに罪を犯させるそのような忌まわしいことを私は命じたことがな
く,考えたこともない』。
  36 あなたたちは,この都市が剣と飢餓と疫病によってバビロンの王の手に渡されると言っている。この都
市について,イスラエルの神エホバはこう言う。 37 『私は,怒りと憤りと激怒のうちに彼らを追いやった全
ての土地から,彼らを集める。この場所に連れ戻し,安らかに暮らせるようにする。 38 彼らは私の民となり,
私は彼らの神となる。 39 私は一つの心と一つの道を与えて,彼らがいつも私を畏れるようにする。それは彼
ら自身と後の世代のためになる。 40 私は彼らと永遠の契約を結び,彼らに善を行うことをやめない。彼らの
心に私への畏れを抱かせ,私から離れていかないようにする。 41 彼らのことで歓喜し,彼らに善を行う。心
を尽くし,自分の全てを尽くして,彼らをこの土地にしっかりと植える』」。
  42 「エホバはこう言う。『私は,この民にこの大きな災いをことごとくもたらしたように,約束している
良いことも全てもたらす。 43 あなたたちは,「ここは人も動物もいない荒れ地で,カルデア人の手に渡され
た」と言っているが,再びこの土地で畑が買われるようになる』。
  44 『ベニヤミンの土地,エルサレムの周辺,ユダの町々,山地の町々,低地の町々,南の町々で,畑が買
われて代金が支払われ,購入証書が記されて封印され,証人たちが立てられる。捕らわれている人々を私が連
れ戻すからである』と,エホバは宣言する」。
  33 章
  1 エレミヤがまだ「監視の庭」に拘束されていた時,エホバが再びエレミヤに語り掛けてこう言った。 2
「大地を造ったエホバ,大地を形作ってしっかり据えたエホバはこう言う。エホバがその名である。 3 『私に
呼び掛けなさい。そうすれば私はあなたに答え,あなたが知らないこと,理解し難い偉大なことを直ちに告げ
る』」。
  4 「敵が土塁を築き,剣を持って攻めてきたため,この都市の家々とユダの王たちの家々は取り壊された。
イスラエルの神エホバは,その家々について語る。 5 また,カルデア人と戦うために来る人たちについて語る。
私は怒りと憤りのうちに彼らを打ち倒し,辺りは死体だらけになる。彼らの悪い行いのために,私はこの都市
から顔を隠したのである。 6 『私は彼女を回復させ,健康にする。そして彼らを癒やし,豊かな平和と真理を
与える。 7 ユダとイスラエルの捕らわれている民を連れ戻し,初めの時にしたように彼らを祝福する。 8 私
に対して犯した全ての罪から彼らを清め,私に対して犯した全ての罪や違反を許す。 9 私が彼らに与えるあら
ゆる良いものについて聞く地上の全ての国の人々の前で,彼女の名は私を歓喜させ,彼女は私に賛美と栄光を
もたらす。私が彼女に与えるあらゆる良いものと平和のために,人々は恐れて震える』」。
  10 「エホバはこう言う。『人も家畜もいない荒れ地だとあなたたちが言うこの場所で,荒れ果てて人も住
民も家畜もいないユダの町々とエルサレムの通りで,再び声が聞かれるようになる。 11 歓喜や祝福の声,花
婿や花嫁の声がして,人々はこう言う。「大軍を率いるエホバに感謝しよう。エホバは善い方だからだ。神の
揺るぎない愛は永遠に続く!」』
  『彼らはエホバの家に感謝の捧げ物を持ってくる。私が,捕らわれている民をこの土地に連れ戻し,初め
の時のようにするからである』と,エホバは言う」。
  12 「大軍を率いるエホバはこう言う。『人も家畜もいないこの荒れ地と全ての町々に再び牧草地ができ,
羊飼いたちが群れを休ませる』。
  13 『山地の町々,低地の町々,南の町々,ベニヤミンの土地,エルサレムの周辺,ユダの町々で,再び羊
飼いが羊を数えるようになる』と,エホバは言う」。
  14 「エホバはこう宣言する。『私がイスラエル国民とユダ国民に関して語った良い約束を果たす時が来る。
15 その時,私はダビデのために正しい芽を芽生えさせ,その者はこの土地で公正に裁き,正しいことを行う。
16 その時,ユダは救われ,エルサレムは安らかに暮らすようになる。その都市は「エホバは私たちの正義」
という名で呼ばれる』」。
  17 「エホバはこう言う。『イスラエルの王座には必ずダビデの家系の人がつく。 18 また,必ずレビ族
の祭司の1人が私の前に立ち,全焼の捧げ物を捧げ,穀物の捧げ物を焼き,犠牲を捧げる』」。
  19 エホバが再びエレミヤに語り掛けてこう言った。 20 「エホバはこう言う。『あなたたちが,昼と夜
に関する私の契約を破ることができず,決まった時間に昼と夜が来るのを妨げられないのと同じように, 21
私に仕えたダビデとの契約も破られることはなく,彼の王座について王として治める子が必ず生まれる。私に
奉仕するレビ族の祭司たちとの契約も破られることはない。 22 私は,私に仕えたダビデの子孫と,私に奉仕
するレビ族を増やし,数え切れない天の星のように,量り切れない海の砂のようにする』」。
  23 エホバが再びエレミヤに語り掛けてこう言った。 24 「この人々が『エホバは自分で選んだ2つの家
系を退ける』と言っていることに,あなたは気付いていないのか。彼らは私の民を侮っており,もはや国民と
は見なしていない。
  25 エホバはこう言う。『私は,昼と夜に関する契約と,天と地の法則を確立したのと同じように, 26
ヤコブの子孫および私に仕えたダビデの子孫を決して退けない。ダビデの子孫から,アブラハムとイサクとヤ
コブの子孫を治める者たちを選ぶ。私は捕らわれている民を哀れに思い,集めて戻すのである』」。
  34 章
  1 バビロンのネブカドネザル王とその全軍,領土の全ての王国と全ての民が,エルサレムとその周辺の
町々を攻めていた。その時,エホバがエレミヤに語り掛けた。
  2 「イスラエルの神エホバはこう言う。『行って,ユダのゼデキヤ王に話しなさい。「エホバはこう言っ
ている。『私はこの都市をバビロンの王の手に渡し,彼はそれを火で焼く。 3 あなたは彼の手から逃れられな
い。必ず捕らわれ,彼の手に渡される。バビロンの王と対面し,彼はあなたとじかに話す。あなたはバビロン
に行くことになる』。 4 とはいえ,ユダのゼデキヤ王,エホバの言葉を聞きなさい。『エホバはあなたについ
てこう言う。「あなたは剣によって死ぬことはない。 5 安らかに死に,人々はあなたのために香をたく。あな
たの父祖たち,以前の王たちのためにしたようにである。そして人々は『ああ,主人よ!』と言ってあなたの
死を悼む。『私がこの言葉を語ったのである』と,エホバは宣言する」』」』」。
  6 預言者エレミヤはエルサレムで,ユダのゼデキヤ王にこれらの言葉を全て語った。 7 その時バビロン
の王の軍勢は,エルサレムと,ユダに残っていた町すなわちラキシュとアゼカを攻めていた。ユダの町々のう
ち,防備された町はその2つしか残っていなかったのである。
  8 ゼデキヤ王がエルサレムの全ての人と契約を結び,奴隷の解放を宣言した後,エホバがエレミヤに語り
掛けた。 9 契約により,全ての人がヘブライ人の奴隷を男性も女性も解放することになり,誰も仲間のユダヤ
人を奴隷にしておくことができなくなった。 10 全ての高官と民は従った。皆が契約を結び,男奴隷も女奴隷
も解放して,もう奴隷にしないことにしたのである。彼らは従い,奴隷たちを行かせた。 11 ところが,後に
なって彼らは解放した男奴隷や女奴隷を連れ戻し,再び奴隷にした。 12 そのため,エホバがエレミヤに語り
掛けた。エホバはこう言った。
  13 「イスラエルの神エホバはこう言う。『私は,あなたたちの父祖たちをエジプトから,奴隷となってい
た土地から連れ出した日に,彼らと契約を結んで言った。 14 「あなたたちはおのおの,自分が買って6年間
仕えさせたヘブライ人の兄弟を,7年目に解放すべきである。彼を自由の身にしなければならない」。しかし,
父祖たちは私の言うことを聞かず,耳を傾けなかった。 15 最近,あなたたちは考えを変え,私から見て正し
いことを行った。仲間を解放すると宣言し,私の前で,私の名が付された家で契約を結んだ。 16 ところが,
また考えを変え,私の名を汚した。男奴隷や女奴隷を彼らの望み通り解放したのに,連れ戻して再び奴隷にし
たのである』。
  17 それで,エホバはこう言う。『あなたたちは私に従わず,おのおのが兄弟を,仲間を解放しなかった。
そのため,私はあなたたちに解放を言い渡す』と,エホバは宣言する。『剣と疫病と飢餓による解放である。
そして,地上の全ての王国はあなたたちに起きたことを見聞きして恐怖を抱く。 18 私は,私との契約を破っ
た人たちを敵の手に渡す。彼らは子牛を2つに切り裂いてその間を通り,私の前で契約を結んだが,契約の言
葉を実行しなかった。 19 その人たちは,2つに切り裂かれた子牛の間を通った,ユダの高官たち,エルサレ
ムの高官たち,廷臣たち,祭司たち,民全てである。 20 私は彼らを敵の手に,彼らの命を奪おうとしている
者たちの手に渡し,彼らの死体は鳥や野獣に食べられる。 21 また,私はユダのゼデキヤ王と高官たちを敵の
手に渡す。彼らの命を奪おうとしている者たちの手に,あなたたちの所から引き揚げているバビロンの王の軍
勢の手に渡すのである』。
  22 エホバはこう宣言する。『私は命令を与え,敵たちをこの都市に連れ戻す。彼らはこの都市を攻め取っ
て火で焼く。私はユダの町々を誰も住まない荒れ地にする』」。
  35 章
  1 ユダの王,ヨシヤの子エホヤキムの時代に,エホバがエレミヤに語り掛けてこう言った。 2 「レカブ
の子孫の所に行き,彼らと話して,エホバの家に連れてきなさい。食堂の1つに連れて入り,ぶどう酒を飲む
ように勧めなさい」。
  3 それで私は,ハバツィヌヤの子エレミヤの子ヤアザヌヤと,彼の兄弟たち,彼の子たち皆,またレカブ
の他の子孫全員を連れて, 4 エホバの家に入った。そして,真の神に仕える人,イグダルヤの子ハナンの子た
ちの食堂に連れてきた。その食堂の隣に高官たちの食堂があり,その下には戸口番シャルムの子マアセヤの食
堂があった。 5 それから私は,レカブの子孫である人たちの前にぶどう酒を満たした杯と器を置いて,「ぶど
う酒を飲みなさい」と言った。
  6 しかし,彼らは言った。「私たちはぶどう酒は飲みません。私たちの父祖,レカブの子エホナダブから
こう命じられたからです。『あなたたちも子孫も,決してぶどう酒を飲んではならない。 7 また,家を建てた
り,種をまいたり,ブドウ園を造ったり手に入れたりしてもならない。ずっと天幕に住まなければならない。
そうすれば,外国人として暮らしている土地に長い間住むことができるだろう』。 8 それで私たちは,父祖レ
カブの子エホナダブから命じられた全てのことに従い続けています。私たちも,妻たちも,息子や娘たちも,
決してぶどう酒を飲みません。 9 また,家を建てず,ブドウ園も畑も種も持っていません。 10 天幕に住み
続け,父祖エホナダブから命じられた全てのことに従い続けています。 11 しかし,バビロンのネブカドネザ
ル王がこの土地に攻めてきた時,私たちは,『カルデア人とシリア人の軍から逃れるために,エルサレムに入
ろう』と言って,今はエルサレムに住んでいます」。
  12 すると,エホバがエレミヤに語り掛けてこう言った。 13 「イスラエルの神,大軍を率いるエホバは
こう言う。『行って,ユダの人たちとエルサレムの住民に告げなさい。エホバはこう宣言する。「あなたたち
は,私の言葉に従うようにと何度も忠告されたのではないか。 14 レカブの子エホナダブは,ぶどう酒を飲ま
ないようにと子孫に命じ,彼らはその言葉を守った。今までずっとぶどう酒を飲まず,父祖の命令に従ってき
た。ところがあなたたちは,私が繰り返し語り掛けたにもかかわらず,私に従わなかった。 15 私は,私に仕
える預言者全てをあなたたちのもとに遣わし続けた。繰り返し遣わしてこう言った。『どうか,一人一人が悪
い生き方をやめ,正しいことを行ってほしい。ほかの神々に従って歩んだり,仕えたりしてはならない。そう
すれば,私があなたたちと父祖たちに与えた土地に住み続けることになる』。しかし,あなたたちは私の言う
ことに耳を傾けず,聞かなかった。 16 レカブの子エホナダブの子孫は父祖に与えられた命令を守ったが,こ
の民は私の言うことを聞かなかった」』」。
  17 「それで,イスラエルの神,大軍を率いる神エホバはこう言う。『私は,警告していた通り,ユダとエ
ルサレムの全住民に災いをことごとくもたらす。語り掛けたのに彼らが聞かず,何度も呼び掛けたのに答えな
かったからである』」。
  18 エレミヤは,レカブの子孫である人たちに言った。「イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っ
ています。『あなたたちは,父祖エホナダブの命令に従い,全ての命令を守り続けており,命じられた通りに
している。そのため, 19 イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言う。「私の前に立って仕える人が,
レカブの子エホナダブの子孫から絶えることはない」』」。
  36 章
  1 ユダの王,ヨシヤの子エホヤキムの治世の第4年に,エホバがエレミヤに語り掛けてこう言った。 2
「巻物を手に取り,私がイスラエルとユダと他の全ての国に対して語った言葉を書き記しなさい。私がヨシヤ
の時代にあなたに初めて話した日から今までの間に,あなたに語った言葉を全て書き記すのである。 3 ユダ国
民は,私が彼らにもたらそうとしている災いについて聞くと,悪い生き方をやめるかもしれない。そうすれば,
私は彼らの過ちや罪を許す」。
  4 そこでエレミヤはネリヤの子バルクを呼び,エホバから聞いた言葉を全て伝えた。バルクはそれを巻物
に書き取った。 5 それからエレミヤはバルクにこう命じた。「私は拘束されていて,エホバの家に入ることが
できません。 6 それで,あなたが入っていって,私から聞いて巻物に書き取ったエホバの言葉を読み上げてく
ださい。断食の日にエホバの家で,人々に聞こえるように読んでください。そのようにして,町々からやって
来るユダの民全てに読み聞かせるのです。 7 もしかすると彼らは,エホバがこの民に対して大きな怒りと憤り
を表そうとしておられることを知って,エホバに恵みを求めて祈り,おのおのが悪い生き方をやめるかもしれ
ません」。
  8 そこでネリヤの子バルクは,預言者エレミヤに命じられた通りにした。エホバの家で,巻物からエホバ
の言葉を読み上げた。
  9 ユダの王,ヨシヤの子エホヤキムの治世の第5年,第9の月に,断食が呼び掛けられた。エルサレムの
全ての人と,ユダの町々からエルサレムにやって来た全ての人が,エホバの前で断食することになった。 10
その時バルクは,エホバの家で,巻物からエレミヤの言葉を読み上げた。上の庭の,エホバの家の新しい門の
入り口の所にある,写字生シャファンの子ゲマルヤの部屋で,人々に聞こえるように読んだのである。
  11 シャファンの子ゲマルヤの子ミカヤは,巻物から読み上げられたエホバの言葉を全て聞くと, 12 王
の家に行き,秘書官の部屋に入った。そこには全ての高官が座っていた。秘書官エリシャマ,シェマヤの子デ
ラヤ,アクボルの子エルナタン,シャファンの子ゲマルヤ,ハナニヤの子ゼデキヤと,他の全ての高官である。
13 ミカヤは彼らに,自分が聞いた言葉を全て告げた。バルクが人々に聞こえるように読み上げた巻物の言葉
である。
  14 すると高官たちは,クシの子シェレムヤの子ネタヌヤの子エフディをバルクのもとに遣わして言った。
「あなたが人々に聞こえるように読んだ巻物を持って,来てください」。そこでネリヤの子バルクは巻物を持
って,彼らの所に行った。 15 高官たちはバルクに,「どうか座って,それを読み上げてください」と言った。
それでバルクは巻物を読んだ。
  16 高官たちは巻物の言葉を全て聞くと,恐れを感じて顔を見合わせ,バルクに言った。「私たちはこれら
の言葉を全て王に伝えなければなりません」。 17 そしてバルクに尋ねた。「これらの言葉全てをどのように
して書いたのか,どうか教えてください。エレミヤから聞いて書き取ったのですか」。 18 バルクは答えた。
「エレミヤがこれらの言葉全てを私に伝え,私はインクでこの巻物に書き取りました」。 19 高官たちはバル
クに言った。「行って,身を隠しなさい。あなたもエレミヤもです。誰にも居場所を知られないようにしなさ
い」。
  20 高官たちは巻物を秘書官エリシャマの部屋に置き,庭にいる王のもとに行って,自分たちが聞いたこと
を全て王に伝えた。
  21 王はエフディに巻物を取ってこさせ,エフディはそれを秘書官エリシャマの部屋から持ってきた。そし
て,王と,王のそばに立っている全ての高官に聞こえるように,巻物を読み始めた。 22 これは第9の月のこ
とで,王は冬の家に座っており,王の前には火鉢があって火が燃えていた。 23 エフディが3段か4段読み終
えるたびに,王はその部分を秘書官のナイフで切り取り,火鉢の火の中に投げ入れたので,やがて巻物は全部
燃えてしまった。 24 巻物の言葉全てを聞いた王も家来たちも,誰一人恐れを感じず,自分たちの衣服を引き
裂くこともしなかった。 25 エルナタンとデラヤとゲマルヤが,巻物を燃やさないよう王に懇願したが,王は
彼らの言うことを聞かなかった。 26 さらに王は,王の子エラフメエルとアズリエルの子セラヤとアブデエル
の子シェレムヤに,秘書官バルクと預言者エレミヤを捕らえるよう命じた。しかし,エホバは2人が見つから
ないようにした。
  27 バルクがエレミヤから聞いた言葉を書き取った巻物が王に燃やされた後,エホバが再びエレミヤに語り
掛けてこう言った。 28 「もう1つ巻物を手に取って,ユダのエホヤキム王が燃やした最初の巻物に書かれて
いた言葉を,元通りに書き記しなさい。 29 そして,ユダのエホヤキム王に対して言いなさい。『エホバはこ
う言っている。「あなたはこの巻物を燃やしてこう言った。『なぜあなたはこれに,「バビロンの王は必ずや
って来てこの土地を滅ぼし,人も動物も根絶やしにする」と書いたのか』。 30 それで,エホバはユダのエホ
ヤキム王に対してこう言う。『彼の子孫でダビデの王座につく者はいなくなる。彼の死体は葬られず,昼は暑
さに,夜は寒さにさらされる。 31 私は,彼と子孫と家来たちに過ちの責任を問い,彼らとエルサレムの住民
とユダの人たちに災いをことごとくもたらす。私はその災いについて彼らに告げたが,彼らは聞かなかっ
た』」』」。
  32 そこでエレミヤはもう1つ巻物を手に取り,ネリヤの子である秘書官バルクに渡した。バルクは,ユダ
のエホヤキム王が燃やした巻物に書かれていた言葉全てを,エレミヤから聞いて書き取った。また,同じよう
な言葉がさらにたくさん書き加えられた。
  37 章
  1 ヨシヤの子ゼデキヤ王が,エホヤキムの子コニヤに代わって治め始めた。バビロンのネブカドネザル王
によって,ユダの王とされたのである。 2 しかし,ゼデキヤも家来たちも民も,預言者エレミヤを通して語ら
れたエホバの言葉を聞かなかった。
  3 ゼデキヤ王は,シェレムヤの子エフカルと祭司マアセヤの子ゼパニヤを,預言者エレミヤのもとに遣わ
して言った。「どうか,私たちのために,私たちの神エホバに祈ってください」。 4 この時,エレミヤはまだ
投獄されておらず,民の中で自由に行き来していた。 5 エルサレムを包囲していたカルデア人は,ファラオの
軍がエジプトを出発したと聞いて,エルサレムから引き揚げた。 6 すると,エホバが預言者エレミヤに語り掛
けてこう言った。 7 「イスラエルの神エホバはこう言う。『私に尋ねるためにあなたたちを遣わしたユダの王
に,こう言いなさい。「あなたたちを助けようと向かってきているファラオの軍は,自分たちの国エジプトに
帰らなければならなくなる。 8 そしてカルデア人は戻ってきて,この都市を攻め取り,火で焼く」。 9 エホ
バはこう言う。「『カルデア人は去っていくに違いない』と言って,自分たちを欺いてはならない。彼らは去
っていかないからである。 10 たとえあなたたちが,攻めてくるカルデア人の全軍を打ち倒し,彼らに負傷兵
しか残らないとしても,彼らは自分たちの天幕から出陣し,この都市を火で焼く」』」。
  11 ファラオの軍が来ると知って,カルデア人の軍がエルサレムから引き揚げた時, 12 エレミヤはエル
サレムからベニヤミンの土地に向かおうとした。郷里で自分の分の土地を得るためだった。 13 ところが,
「ベニヤミンの門」に着くと,ハナニヤの子シェレムヤの子でイルイヤという名前の守衛の長が,預言者エレ
ミヤを捕らえて言った。「あなたはカルデア人のもとに逃げようとしている!」 14 エレミヤは言った。「違
います! 私はカルデア人のもとに逃げたりしません」。しかしイルイヤは聞かず,エレミヤを拘束して,高官
たちの所へ連れていった。 15 高官たちは激怒してエレミヤを打ちたたき,秘書官エホナタンの家に拘禁した。
その家は牢屋になっていたのである。 16 エレミヤは地下牢にある円天井の部屋に入れられ,何日もの間そこ
にいた。
  17 その後,ゼデキヤ王はエレミヤを連れてこさせ,自分の家でひそかにこう尋ねた。「エホバからの言葉
が何かありますか」。エレミヤは「あります」と答え,続けて,「あなたはバビロンの王の手に渡されます」
と言った。
  18 エレミヤはさらにゼデキヤ王に言った。「私は,あなたや家来たちやこの民に対してどんな罪を犯した
というので,投獄されたのですか。 19 『バビロンの王があなたたちとこの土地を攻めることはない』と預言
した預言者たちは,一体どこにいるのですか。 20 王よ,どうか聞いてください。恵みを求める私の願いをか
なえてくださいますように。私を秘書官エホナタンの家に送り返さないでください。送り返されたら,私はそ
こで死んでしまいます」。 21 それでゼデキヤ王は,エレミヤを「監視の庭」に拘禁するよう命じた。毎日,
パン職人の通りから丸いパン1つがエレミヤに届けられ,都市のパンが尽きるまで続いた。エレミヤはずっと
「監視の庭」にいた。
  38 章
  1 さて,マタンの子シェファトヤ,パシュフルの子ゲダリヤ,シェレムヤの子ユカル,マルキヤの子パシ
ュフルは,エレミヤが民全てにこう語るのを聞いた。 2 「エホバはこう言っています。『この都市にとどまる
人は,剣と飢餓と疫病によって死ぬ。一方,カルデア人に降伏する人は,死ぬことなく逃れ,生き続ける』。
3 エホバはこう言っています。『この都市は必ずバビロンの王の軍勢の手に渡され,彼は都市を攻め取る』」。
  4 高官たちは王に言った。「どうか,この人を死刑にしてください。彼はこうした言葉を語って,この都
市に残っている兵士や民全ての士気を弱めているからです。この人は,民の平和ではなく,災いを願っていま
す」。 5 ゼデキヤ王は答えた。「彼のことは任せます。王であっても,あなたたちを止めることはできませ
ん」。
  6 それで高官たちはエレミヤを捕らえ,「監視の庭」にある,王の子マルキヤの水ために入れた。縄を使
ってエレミヤを下ろしたのである。水ためには水がなく,泥があるだけで,エレミヤは泥の中に沈み始めた。
  7 王の家にいたエチオピア人の宦官エベド・メレクは,エレミヤが水ために入れられたことを聞いた。その
時,王は「ベニヤミンの門」の所に座っていた。 8 そこでエベド・メレクは王の家から出て,王に話した。 9
「王よ,あの人たちは預言者エレミヤに非道なことをしました。水ために投げ込んだのです。彼はそこで飢え
死にしてしまうでしょう。もう都市にパンは残っていないからです」。
  10 すると王はエチオピア人エベド・メレクにこう命じた。「ここから30人の男たちを連れていって,預
言者エレミヤが死なないうちに水ためから引き上げなさい」。 11 それでエベド・メレクは男たちを連れて王
の家に入り,宝物庫の下にある場所からぼろ切れや布切れを取って,水ための中のエレミヤの所に縄で下ろし
た。 12 そしてエチオピア人エベド・メレクはエレミヤに言った。「どうぞ,ぼろ切れと布切れを脇の下に当
てて,縄で擦れないようにしてください」。エレミヤはその通りにした。 13 彼らは縄でエレミヤを引っ張り,
水ためから引き上げた。エレミヤはその後も「監視の庭」にいた。
  14 ゼデキヤ王は,エホバの家の第3の入り口にいる自分の所に預言者エレミヤを連れてこさせ,こう言っ
た。「尋ねたいことがあります。何も隠さずに話してください」。 15 エレミヤはゼデキヤに言った。「私が
話したら,あなたは私を死刑にするに違いありません。また,私が助言しても,あなたは聞こうとしないでし
ょう」。 16 それでゼデキヤ王はひそかにエレミヤに誓い,こう言った。「私たちにこの命を与えてくださっ
た,生きている神エホバに懸けて誓います。私はあなたを死刑にしませんし,あなたの命を奪おうとしている
人たちに引き渡すこともしません」。
  17 エレミヤはゼデキヤに言った。「イスラエルの神,大軍を率いる神エホバはこう言っています。『もし
バビロンの王に仕える高官たちに降伏するなら,あなたは生き延びることになる。この都市は火で焼かれず,
あなたと家族は生き延びる。 18 しかし,もしあなたがバビロンの王に仕える高官たちに降伏しないなら,こ
の都市はカルデア人の手に渡され,火で焼かれる。あなたは彼らの手から逃れられない』」。
  19 すると,ゼデキヤ王はエレミヤに言った。「私は,カルデア人のもとに逃げたユダヤ人たちを恐れてい
ます。もし彼らの手に渡されたら,むごい扱いを受けるかもしれません」。 20 エレミヤは言った。「彼らの
手に渡されることはありません。どうか,私が伝えているエホバの言葉に従ってください。そうすれば物事は
うまくいき,あなたは生き続けられます。 21 しかし,もし降伏しようとしないなら次のようになることを,
エホバは私に示されました。 22 ユダの王の家に残っている女性たちは皆,バビロンの王に仕える高官たちの
前に連れ出され,こう言います。
  『あなたが信頼していた人たちが,
  あなたを欺き,打ち負かしました。
  あなたの足を泥の中に沈み込ませ,
  背を向けて逃げ去りました』。
  23 あなたの妻たちや子たちは皆,カルデア人の前に連れ出されます。あなたも彼らの手から逃れられず,
バビロンの王に捕らわれます。あなたのせいでこの都市は火で焼かれます」。
  24 ゼデキヤはエレミヤに言った。「これらのことについて誰にも知らせてはなりません。あなたが殺され
ないためです。 25 高官たちが,私があなたと話したことを聞き,あなたの所に来て,こう言うとします。
『どうか,王に何を言ったか教えてほしい。何も隠さずに話すように。そうすれば,私たちはあなたを殺した
りしない。王はあなたに何と言ったのか』。そうしたら, 26 彼らにこう答えなさい。『私は,エホナタンの
家に送り返されてそこで死ぬことにならないよう,王に懇願していました』」。
  27 やがて,全ての高官がエレミヤの所に来て,問いただした。エレミヤが王に命じられた通りに答えると,
彼らはそれ以上何も言わなかった。誰もエレミヤと王の会話を聞いていなかったからである。 28 エレミヤは
エルサレムが攻め取られる日まで「監視の庭」にいた。エルサレムが攻め取られた時もそこにいた。
  39 章
  1 ユダのゼデキヤ王の治世の第9年,第10の月に,バビロンのネブカドネザル王とその全軍が攻めてき
て,エルサレムを包囲した。
  2 ゼデキヤの治世の第11年,第4の月の9日に,都市の城壁が破られた。 3 バビロンの王に仕える全
ての高官が入っていって,「中央の門」の所に座った。サムガルであるネルガル・シャルエツェル,ラブサリス
であるネボ・サルセキム,ラブマグであるネルガル・シャルエツェル,また残りの高官たちがいた。
  4 ユダのゼデキヤ王と兵士たちは皆,彼らを見ると逃げた。夜のうちに王の庭園を通り,2重の城壁の間
の門を通って都市から出て,アラバの道を行った。 5 しかし,カルデア人の軍は後を追い,エリコの砂漠平原
でゼデキヤに追い付いた。ゼデキヤは捕らえられ,ハマト地方のリブラにいるバビロンのネブカドネザル王の
もとに連れていかれて,刑を宣告された。 6 バビロンの王は,そこリブラで,ゼデキヤの目の前で彼の子たち
を殺させ,ユダの高貴な人たちも全て殺させた。 7 それからゼデキヤを失明させ,バビロンに連れていくため
に銅の足かせをはめた。
  8 カルデア人は王の家や民家を焼き払い,エルサレムの城壁を破壊した。 9 護衛官の長ネブザラダンは,
都市に残されていた人たちと,投降してきた人たちと,ほかに残っていた人たちを捕らえて,バビロンに連れ
ていった。
  10 ただし,何も持っていない最も貧しい人たちをいくらかユダに残しておいた。そしてその日,彼らにブ
ドウ園と畑を与えて働かせた。
  11 バビロンのネブカドネザル王は,エレミヤについて護衛官の長ネブザラダンにこう命じた。 12 「彼
を連れていって,世話するように。危害を加えてはならない。彼が望むことは何でもかなえてやれ」。
  13 それで,護衛官の長ネブザラダン,ラブサリスであるネブシャズバン,ラブマグであるネルガル・シャ
ルエツェル,またバビロンの王に仕える他の主立った人たちは,人を遣わして, 14 エレミヤを「監視の庭」
から連れ出させた。そしてシャファンの子アヒカムの子ゲダリヤに託し,彼の家に連れていかれるようにした。
こうしてエレミヤは民の中で暮らした。
  15 エレミヤがまだ「監視の庭」に拘束されていた時,エホバが彼に語り掛けてこう言った。 16 「行っ
て,エチオピア人エベド・メレクに言いなさい。『イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っている。
「私はこの都市に対して語った言葉を実現させ,良いことではなく災いをもたらす。その日,あなたはそれを
目の当たりにする」』。
  17 『しかし,その日に私はあなたを救う。あなたは,あなたが恐れている人々の手に渡されることはな
い』と,エホバは宣言する。
  18 『私が必ず逃れさせるので,あなたは剣によって倒れることはない。私に頼ったので,あなたは死ぬこ
となく逃れる』と,エホバは宣言する」。
  40 章
  1 護衛官の長ネブザラダンがラマでエレミヤを解放した後,エホバがエレミヤに語り掛けた。エレミヤは
手かせをはめられてラマに連れていかれたのであり,捕らわれてバビロンに連れていかれるエルサレムとユダ
の人たちの中にいた。 2 護衛官の長はエレミヤを連れ出し,言った。「あなたの神エホバは,この場所にこの
災いが降り掛かることを予告した。 3 そして,エホバは語った通りに災いをもたらした。あなたたちがエホバ
に対して罪を犯し,その声に従わなかったからだ。だからこのことがあなたたちに起きたのだ。 4 私は今日,
あなたの手かせを外し,あなたを解放する。もし私と一緒にバビロンに行くのが良いと思うなら,来なさい。
面倒を見よう。しかし,私と一緒にバビロンに行きたくないなら,来なくていい。見なさい,全土があなたの
前に広がっている。どこでも好きな所に行きなさい」。
  5 エレミヤがどこにも行かないでいると,ネブザラダンは言った。「バビロンの王がユダの町々の総督と
した,シャファンの子アヒカムの子ゲダリヤの所に戻って,彼と共に民の中で暮らせばいい。それか,どこで
も好きな所に行きなさい」。
  そして護衛官の長は食料と贈り物を与えて,エレミヤを行かせた。 6 それで,エレミヤはミツパにいるア
ヒカムの子ゲダリヤの所に行き,その土地に残っていた民の中で彼と共に暮らした。
  7 やがて,部下と共に野外にいた全ての軍隊長たちは,バビロンの王がアヒカムの子ゲダリヤを土地の総
督としたことを聞いた。バビロンに連れていかれなかった貧しい男女や子供たちをゲダリヤが治めることにな
った,ということだった。 8 それで,軍隊長たちはミツパにいるゲダリヤの所に来た。ネタヌヤの子イシュマ
エル,カレアハの子のヨハナンとヨナタン,タヌフメトの子セラヤ,ネトファの人エパイの子たち,マアカト
人の子エザヌヤが,部下たちと共に来た。 9 シャファンの子アヒカムの子ゲダリヤは,彼らと部下たちに誓っ
て言った。「カルデア人に仕えることを恐れてはなりません。この土地に住んでバビロンの王に仕えれば,物
事はうまくいきます。 10 私は,皆さんを代表してカルデア人に応対するために,ミツパにいることにします。
皆さんは,ぶどう酒と夏の果物と油を集めて容器に入れ,自分たちが確保した町々に住みなさい」。
  11 モアブ,アンモン,エドム,またそれ以外の土地にいた全てのユダヤ人も,バビロンの王がユダに人々
を残しておき,シャファンの子アヒカムの子ゲダリヤに治めさせていることを聞いた。 12 それで,ユダヤ人
は皆,散らされていた全ての場所から戻り始め,ユダに入って,ミツパにいるゲダリヤの所に来た。そして,
ぶどう酒と夏の果物を大量に集めた。
  13 野外にいた,カレアハの子ヨハナンと全ての軍隊長たちが,ミツパにいるゲダリヤの所に来た。 14
彼らは言った。「アンモン人の王バアリスが,あなたを殺そうと,ネタヌヤの子イシュマエルを送ったことを
知らないのですか」。しかし,アヒカムの子ゲダリヤは彼らの言うことを信じなかった。
  15 その後,カレアハの子ヨハナンは,ミツパでゲダリヤにひそかに言った。「私に,ネタヌヤの子イシュ
マエルを討ちに行かせてください。誰にも知られないようにします。あなたが彼に殺され,あなたのもとに集
まったユダの民が皆散らされて,ユダの残りの者が滅びるようなことになってよいでしょうか」。 16 しかし,
アヒカムの子ゲダリヤは,カレアハの子ヨハナンに言った。「そうしてはなりません。あなたがイシュマエル
について言っていることはうそです」。
  41 章
  1 第7の月に,王家の子孫で,王に仕える主立った人の1人でもあった,エリシャマの子ネタヌヤの子イ
シュマエルが,10人の部下を連れて,ミツパにいるアヒカムの子ゲダリヤの所に来た。そして,ミツパで一
緒に食事をしている時に, 2 ネタヌヤの子イシュマエルと10人の部下は立ち上がり,シャファンの子アヒカ
ムの子ゲダリヤを剣で討った。こうしてイシュマエルは,バビロンの王が土地の総督とした人を殺した。 3 ま
た,ミツパでゲダリヤのそばにいたユダヤ人皆と,そこにいたカルデア人の兵士たちも討った。
  4 ゲダリヤが殺されてから2日目,まだ誰もそのことを知らない時に, 5 シェケム,シロ,サマリアか
ら80人の人たちがやって来た。彼らは顎ひげをそり落とし,服を引き裂き,体に切り傷を付けていて,穀物
の捧げ物と乳香をエホバの家に持っていこうとしていた。 6 それで,ネタヌヤの子イシュマエルは彼らを迎え
にミツパから出ていった。泣きながら歩いていき,彼らに会うと,「アヒカムの子ゲダリヤの所に来てくださ
い」と言った。 7 ところが,彼らが町に入ると,ネタヌヤの子イシュマエルと部下たちは彼らを殺し,水ため
に投げ込んだ。
  8 しかし,彼らのうちの10人がイシュマエルに言った。「私たちを殺さないでください。蓄えた小麦,
大麦,油,蜜を,畑に隠してあります」。それでイシュマエルは,その10人をほかの人たちと共に殺すこと
はしなかった。 9 イシュマエルが殺した人たちを投げ込んだ水ためは大きく,アサ王がイスラエルのバアシャ
王のゆえに造ったものだった。その水ためを,ネタヌヤの子イシュマエルは死体で満たしたのである。
  10 イシュマエルはミツパに残っていた人たちを全て捕らえた。護衛官の長ネブザラダンがアヒカムの子ゲ
ダリヤの管理下に置いた,王の娘たちや他の人たちである。ネタヌヤの子イシュマエルは彼らを捕らえ,アン
モン人の所に渡ろうと出発した。
  11 カレアハの子ヨハナンと,共にいた全ての軍隊長たちは,ネタヌヤの子イシュマエルが行った悪事につ
いて聞くと, 12 部下全員を連れて,ネタヌヤの子イシュマエルと戦うために出発した。そして,ギベオンの
豊かな水のそばで彼を見つけた。
  13 イシュマエルに連れられていた人たちは,カレアハの子ヨハナンと他の軍隊長たちを見ると,大喜びし
た。 14 イシュマエルに捕らわれてミツパから連れてこられた人たちは皆,向きを変えてカレアハの子ヨハナ
ンと一緒に戻っていった。 15 一方,ネタヌヤの子イシュマエルと8人の部下は,ヨハナンから逃れてアンモ
ン人の所に行った。
  16 カレアハの子ヨハナンと,共にいた全ての軍隊長たちは,ネタヌヤの子イシュマエルから救った人たち
を連れていった。イシュマエルがアヒカムの子ゲダリヤを討った後に,ミツパに残っていた人たちである。男
性,兵士,女性,子供,廷臣たちが,ギベオンから連れ戻された。 17 そして彼らは進んでいき,ベツレヘム
のそばにあるキムハムの宿に寄った。エジプトに向かおうとしていたのである。 18 それは,カルデア人を恐
れたからだった。バビロンの王が土地の総督としたアヒカムの子ゲダリヤを,ネタヌヤの子イシュマエルが討
ったためである。
  42 章
  1 全ての軍隊長たち,カレアハの子ヨハナン,ホシャヤの子エザヌヤ,また身分の低い人から高い人まで
皆が近づいてきて, 2 預言者エレミヤに言った。「どうか,恵みを求める私たちの願いを聞いてください。残
っている私たち皆のために,あなたの神エホバに祈ってください。ご覧の通り,大勢のうち少ししか残ってい
ません。 3 私たちが歩むべき道と行うべきことを,あなたの神エホバが教えてくださいますように」。
  4 預言者エレミヤは答えた。「分かりました。皆さんの願い通り,皆さんの神エホバに祈ります。そして,
エホバの答えを全て,一言残らず皆さんに伝えます」。
  5 彼らはエレミヤに言った。「もし私たちが,あなたの神エホバがあなたを通して与えてくださる指示通
りにしないなら,信頼できる確かな証人であられるエホバから処罰されますように。 6 私たちは,あなたを私
たちの神エホバのもとに遣わし,その言葉が良くても悪くても従います。私たちの神エホバの声に従うなら,
物事はうまくいくでしょう」。
  7 10日後,エホバがエレミヤに語り掛けた。 8 それでエレミヤは,カレアハの子ヨハナンと,彼と共
にいた全ての軍隊長たち,また身分の低い人から高い人まで皆を呼んで, 9 彼らに言った。「私は皆さんに遣
わされ,恵みを求める皆さんの願いを神に伝えました。イスラエルの神エホバはこう言っています。 10 『あ
なたたちがこの土地にとどまるなら,私はあなたたちを建て,打ち壊しはしない。あなたたちを植え,引き抜
きはしない。あなたたちにもたらした災いについて嘆くからである。 11 あなたたちはバビロンの王を恐れて
いるが,恐れてはならない』。
  エホバはこう宣言しています。『彼のことで恐れてはならない。私が共にいて,あなたたちを救い,彼の
手から助け出すからである。 12 私はあなたたちに憐れみを示す。彼はあなたたちを憐れみ,あなたたちの土
地に帰す。
  13 しかし,あなたたちが,「いや,われわれはこの土地にとどまらない!」と言って,あなたたちの神エ
ホバの声に従わず, 14 こう言うとする。「われわれはエジプトに行く。そこでは,戦いを見ることも,角笛
の音を聞くことも,パンがなくて飢えるということもない。われわれはそこに住む」。 15 もしそうなら,ユ
ダの残りの者よ,エホバの言葉を聞きなさい。イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言う。「もしあな
たたちが,エジプトに行くことを固く決意し,そこに住むために行くなら, 16 恐れている剣がそこエジプト
で追い付き,心配している飢餓が後を追ってエジプトまで行き,あなたたちはそこで死ぬことになる。 17 エ
ジプトに行って住もうと決意している人たちは皆,剣と飢餓と疫病によって死ぬ。誰一人,私がもたらす災い
を生き延びることも,逃れることもない」』。
  18 イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っています。『もしあなたたちがエジプトに行くなら,
私はエルサレムの住民に怒りと憤りを浴びせたように,あなたたちに怒りを浴びせる。人々はあなたたちに災
いがあることを願い,起きたことを見聞きして恐怖を抱き,中傷や非難を浴びせる。あなたたちは二度とこの
場所を見ることはない』。
  19 ユダの残りの者である皆さんに対して,エホバは話されました。エジプトに行ってはなりません。私が
今日皆さんに警告したことをはっきりと知ってください。 20 過ちを犯すなら,命を失うことになります。皆
さんはこう言って,皆さんの神エホバのもとに私を遣わしました。『私たちのために,私たちの神エホバに祈
ってください。私たちの神エホバが言われることを全て伝えてください。その通りにします』。 21 そして,
私は今日皆さんに伝えましたが,皆さんは神エホバの声に従わず,神が私を遣わして伝えさせたことを何も行
わないでしょう。 22 それで,次のことをはっきりと知ってください。皆さんは,行って住みたいと願ってい
る場所で,剣と飢餓と疫病によって死ぬことになります」。
  43 章
  1 エレミヤは民全てに,彼らの神エホバの言葉を語り終えた。彼らの神エホバから託された言葉を一つ残
らず伝えた。すると, 2 ホシャヤの子アザリヤ,カレアハの子ヨハナン,また思い上がった人たちが皆,エレ
ミヤに言った。「あなたはうそを言っています! 私たちの神エホバが,あなたを遣わして『エジプトに行って
住んではならない』と言わせるはずがありません。 3 ネリヤの子バルクが,あなたを唆して私たちに敵対させ,
私たちをカルデア人の手に渡そうとしているに違いありません。私たちが殺されるか,捕らわれてバビロンに
連れていかれるように仕向けているのです」。
  4 こうして,カレアハの子ヨハナン,全ての軍隊長たち,また他の全ての人は,エホバの声に従わず,ユ
ダにとどまろうとしなかった。 5 カレアハの子ヨハナンと全ての軍隊長たちは,ユダの残りの者を皆連れ去っ
た。それは,ユダに住むために,散らされていた国々から戻ってきていた人たちである。 6 その中には,男女
や子供たち,王の娘たち,護衛官の長ネブザラダンがシャファンの子アヒカムの子ゲダリヤに託した全ての人,
また預言者エレミヤと,ネリヤの子バルクがいた。 7 民はエホバの声に従わず,エジプトに入り,タフパヌヘ
スまで行った。
  8 タフパヌヘスで,エホバがエレミヤに語り掛けてこう言った。 9 「大きな石を幾つか手に取り,ユダ
ヤ人たちが見ている前で,タフパヌヘスのファラオの家の入り口にあるれんがの石畳に隠し,モルタルで覆い
なさい。 10 それから,彼らに言いなさい。『イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っている。「私
は,私に仕えるバビロンのネブカドネザル王を連れてこさせ,私が隠したこれらの石の真上に彼の王座を置く。
彼は石の上に壮麗な天幕を張る。 11 彼はやって来てエジプトを攻める。ある人たちは死に至る病気にかかり,
ある人たちは捕らわれ,ある人たちは剣で討たれる。 12 私はエジプトの神々の家に火を放つ。彼はそれらを
燃やし,神々を奪い去る。羊飼いが外衣を身にまとうように,彼はエジプトを身にまとい,安らかにそこを去
る。 13 そして,エジプトにあるベト・シェメシュの柱を粉々に砕き,エジプトの神々の家を火で燃や
す」』」。
  44 章
  1 エジプトのミグドル,タフパヌヘス,ノフ,パトロス地方に住んでいる全てのユダヤ人について,エレ
ミヤはこう語った。 2 「イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っています。『あなたたちは,私がエ
ルサレムとユダの全ての町にもたらした災いを見た。今それらは廃虚になっており,誰も住んでいない。 3 そ
うなったのは,人々が悪を行って私を怒らせたからである。あなたたちも父祖たちも知らなかった神々のもと
に行って犠牲を捧げ,仕えたのである。 4 私は,私に仕える預言者全てをあなたたちのもとに遣わし続けた。
繰り返し遣わしてこう言った。「どうか,私が憎んでいるこの忌まわしいことをしないでほしい」。 5 しかし,
人々は聞かず,耳を傾けなかった。悪を行い続け,ほかの神々に犠牲を捧げた。 6 そのため,私は憤りと怒り
をユダの町々とエルサレムの通りに浴びせ,燃え上がらせた。それらは廃虚また荒れ地となり,今に至ってい
る』。
  7 イスラエルの神,大軍を率いる神エホバはこう言っています。『なぜあなたたちは大きな災いを身に招
いているのか。ユダの全ての男女や子供や幼児が滅びて,誰も残らないようになってしまう。 8 なぜ,住むた
めに行ったエジプトでほかの神々に犠牲を捧げ,その行いによって私を怒らせるのか。あなたたちは滅びるこ
とになり,地上の全ての国の人々があなたたちに災いがあることを願い,非難を浴びせる。 9 あなたたちは,
ユダの土地とエルサレムの通りでの,父祖たちの悪い行い,ユダの王と妻たちの悪い行い,あなたたち自身と
妻たちの悪い行いを忘れたのか。 10 人々は今までずっと謙遜にならず,私を畏れもせず,私があなたたちと
父祖たちに与えた律法や法令に従って歩んでいない』。
  11 それで,イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っています。『私は,あなたたちに災いをもた
らし,ユダ全体を滅ぼすことを決意している。 12 エジプトに行って住むことを決意していたユダの残りの者
を,私は捕らえる。彼らは皆エジプトで滅びる。剣によって倒れ,飢餓によって滅びる。身分の低い人から高
い人まで,剣と飢餓によって死ぬ。人々は彼らに災いがあることを願い,起きたことを見聞きして恐怖を抱き,
中傷や非難を浴びせる。 13 私は,エルサレムを処罰したように,エジプトに住んでいる人たちを剣と飢餓と
疫病によって処罰する。 14 エジプトに行って住んでいたユダの残りの者は,逃れることも生き延びることも
なく,ユダには戻れない。そこに戻って住むことを切望するが,逃れるほんのわずかな人たち以外は戻ること
はない』」。
  15 すると,妻たちがほかの神々に犠牲を捧げていることを知っていた男性たちと,そばに立っていた妻た
ちから成る大きな集団,またエジプトのパトロスに住んでいた全ての人が,エレミヤに答えた。 16 「私たち
は,あなたがエホバの名によって語った言葉を聞くつもりはありません。 17 逆に,自分たちが語った言葉の
通りにし,天の女王に犠牲を捧げ,飲み物の捧げ物を注ぎ出します。私たちや父祖たち,また王や高官たちが,
ユダの町々やエルサレムの通りでしていたようにです。その頃,私たちはパンを十分に食べ,裕福で,何の災
いにも遭いませんでした。 18 ところが,天の女王に犠牲を捧げることや,飲み物の捧げ物を注ぎ出すことを
やめた時から,あらゆる物に不足するようになり,剣と飢餓によって滅ぼされたのです」。
  19 さらに女性たちが言った。「私たちは,天の女王に犠牲を捧げ,飲み物の捧げ物を注ぎ出すに当たって,
夫たちの承諾を得ました。それで,天の女王をかたどった犠牲の菓子を作り,飲み物の捧げ物を注ぎ出したの
です」。
  20 エレミヤは,自分に話している全ての人,男性たちと妻たちに言った。 21 「皆さんや父祖たち,王
や高官たちや民が,ユダの町々やエルサレムの通りで捧げた犠牲を,エホバは覚えておられ,思い起こされま
した。 22 ついにエホバは,皆さんの悪い行いや忌まわしい行為に耐えられなくなりました。そのため皆さん
の土地は荒廃し,誰も住んでおらず,今に至っています。人々はその土地を見て恐怖を抱き,そこに災いがあ
ることを願っています。 23 皆さんがそのような犠牲を捧げ,エホバに対して罪を犯し,エホバの声を聞かず,
この方の律法や法令や教えに従わなかったので,今この災いが降り掛かっているのです」。
  24 エレミヤは続けて,女性たちを含む全ての人に言った。「エジプトにいるユダの皆さん,エホバの言葉
を聞きなさい。 25 イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言っています。『あなたたちと妻たちは,自
分たちが語ったことを実際に行った。「われわれは必ず誓約を果たし,天の女王に犠牲を捧げ,飲み物の捧げ
物を注ぎ出す」と言ったのである。あなたたち女性は必ず誓約を果たし,その通りに行う』。
  26 それで,エジプトに住んでいるユダの皆さん,エホバの言葉を聞きなさい。『エホバはこう言う。「私
は自分の偉大な名に懸けて誓う。エジプト全土のユダの人々の中に,私の名を呼んで誓う人はもういなくなる。
誰も,『生きている神,主権者である主エホバに懸けて誓う!』とは言わなくなる。 27 私は彼らを見張って
いる。良いことではなく災いをもたらすためである。エジプトにいるユダの人たちは皆,剣と飢餓によって滅
び,存在しなくなる。 28 わずかな人だけが,剣から逃れて,エジプトからユダに戻る。その時,エジプトに
住むために来たユダの残りの者は皆,私の言葉と彼らの言葉のどちらが実現したのかを知ることになる」』」。
  29 「エホバはこう宣言しています。『次のことが,私がこの場所であなたたちを処罰することのしるしと
なる。あなたたちに災いをもたらすという私の約束が必ず実現することを,あなたたちが知るためである。 30
エホバはこう言う。「私は,エジプトの王ファラオ・ホフラを敵の手に,彼の命を奪おうとしている者たちの手
に渡す。ユダのゼデキヤ王を,彼の命を奪おうとしていた敵,バビロンのネブカドネザル王の手に渡したのと
同じようにである」』」。
  45 章
  1 ユダの王,ヨシヤの子エホヤキムの治世の第4年に,ネリヤの子バルクが預言者エレミヤから聞いた言
葉を巻物に書き取った際,エレミヤがバルクに語り掛けた。
  2 「バルク,あなたについてイスラエルの神エホバはこう言っています。 3 『あなたはこう言った。
「災いだ! エホバは私の痛みに悲しみを加えた。私は嘆いて疲れ,安らぎを得ることができていない」』。
  4 『彼に言いなさい。「エホバはこう言っている。『私は建てたものを打ち壊し,植えたものを引き抜い
ている。この土地全体でそうする。 5 しかし,あなたは成功を追い求めている。そうしたものを追い求めては
ならない』」』。
  エホバはこう宣言しています。『私は全ての人に災いをもたらそうとしている。ただ,あなたがどこに行
っても,死ぬことなく逃れられるようにしよう』」。
  46 章
  1 国々について,エホバが預言者エレミヤに語った言葉。 2 エジプトについて。エジプトの王ファラオ・
ネコの軍に関して。彼はユーフラテス川のほとりにいて,カルケミシュでバビロンのネブカドネザル王に敗れ
た。ユダの王,ヨシヤの子エホヤキムの治世の第4年のことである。
  3 「小盾や大盾を用意し,出陣せよ。
  4 騎手たちよ,馬に馬具を付けて乗り,
  配置に就いてかぶとをかぶれ。
  小やりを磨き,よろいを着けよ。
  5 エホバはこう宣言する。
  『なぜ彼らは恐怖におびえているのか。
  彼らは退却しており,戦士たちは打ち負かされた。
  彼らは慌てて逃げ,戦士たちは振り返ろうとしない。
  周囲に恐怖がある。
  6 素早い者も逃げることができず,戦士たちは逃れられない。
  北の方,ユーフラテス川の岸辺で,
  彼らはつまずいて倒れた』。
  7 ナイル川のように上ってくる者,
  波立つ川のように来る者は誰か。
  8 エジプトがナイル川のように上ってくる。
  波立つ川のように来て,言う。
  『私は上っていって大地を覆う。
  町と住民を滅ぼす』と。
  9 馬よ,上っていけ!
  兵車よ,狂ったように駆け巡れ!
  戦士たちは前進せよ。
  盾を持つクシュとプト,
  また弓を持って曲げるルド人よ。
  10 その日は,主権者である主,大軍を率いるエホバのものであり,敵たちに報復する復讐の日である。剣
はむさぼり食って満足し,彼らの血を存分に飲む。主権者である主,大軍を率いるエホバは,北の土地のユー
フラテス川のほとりで人々を犠牲とするのである。
  11 処女であるエジプトよ,
  バルサムを得るためにギレアデに上っていけ。
  あなたはさまざまな治療を受けてきたが,無駄だった。
  治ることはない。
  12 国々はあなたが辱められたことを聞いた。
  あなたの叫び声が大地に響き渡った。
  戦士たちは互いにつまずき,
  一緒に倒れる」。
  13 バビロンのネブカドネザル王がエジプトを打ち倒すために来ることについて,エホバが預言者エレミヤ
に語った言葉。
  14 「エジプトで伝え,ミグドルで広めなさい。
  ノフとタフパヌヘスでも広めるように。こう言いなさい。
  『配置に就き,用意を整えよ。
  剣があなたの周囲でむさぼり食うからである。
  15 あなたの強い者たちが一掃されたのはどうしてか。
  彼らは踏みとどまれなかった。
  エホバに押し倒されたのである。
  16 大勢がつまずいて倒れ,
  互いにこう言っている。
  「立ち上がれ! 残酷な剣から逃れて,
  同胞のもとに,故郷に帰ろう」』。
  17 彼らはそこで言い広めた。
  『エジプトの王ファラオは無意味に騒ぎ立てるだけで,
  好機を逃した』と。
  18 大軍を率いるエホバという名の王が宣言する。
  『私は,生きている私自身に懸けて誓う。
  彼は山々の中のタボルのように,
  海辺のカルメルのようにやって来る。
  19 エジプトに住む人々よ,
  捕囚の身となるために荷物をまとめよ。
  ノフは恐怖の光景となり,
  火を放たれて誰も住まなくなる。
  20 エジプトは美しい若い雌牛のようだ。
  北からアブが飛んできて彼女を襲う。
  21 彼女の中にいる雇われた兵士たちは,肥えた子牛のようだ。
  しかし,彼らも後退し,一緒に逃げ,
  踏みとどまれなかった。
  彼らの災難の日,処罰の時が来たのである』。
  22 『彼女は腹ばいで進む蛇のような音を立てる。
  敵は大勢で彼女を追う。
  おのを持って,木を切る者たちのように。
  23 敵は,通れそうもなかった彼女の森林を切り倒す』と,エホバは宣言する。
  『彼らはバッタよりも多く,数え切れない。
  24 エジプトは恥をかく。
  北の人々の手に渡される』。
  25 イスラエルの神,大軍を率いるエホバは言う。『私は,ノの神アモン,ファラオ,エジプトとその神々
と王たちに注意を向ける。ファラオと,彼に頼る者全てに注意を向ける』。
  26 『私は彼らを,彼らの命を奪おうとしている者たちの手に渡す。バビロンのネブカドネザル王と家来た
ちの手に渡す。その後,エジプトには以前のように人が住むようになる』と,エホバは宣言する。
  27 『私に仕えるヤコブよ,恐れてはならない。
  イスラエルよ,おびえてはならない。
  私はあなたを遠い土地から救い,
  あなたの子孫を捕囚の地から救う。
  ヤコブは戻り,平穏に暮らし,
  誰にも脅かされない。
  28 私に仕えるヤコブよ,恐れてはならない』と,エホバは宣言する。『私はあなたと共にいる。
  あなたを追いやった全ての国で,人々を根絶やしにする。
  しかし,あなたを根絶やしにはしない。
  とはいえ,あなたを適度に矯正し,
  決して処罰せずにはおかない』」。
  47 章
  1 ファラオがガザを打ち倒す前に,フィリスティア人についてエホバが預言者エレミヤに語った言葉。 2
エホバはこう言う。
  「見なさい! 北から水が来る。
  激しく流れる川になり,
  土地とその中の全ての物を覆い,
  町と住民を覆う。
  人々は叫び声を上げ,
  土地の住民は皆泣き叫ぶ。
  3 雄馬がひづめを踏み鳴らす音,
  戦車の騒音,車輪のごう音を聞いて,
  父たちは手が力なく垂れ下がり,
  振り向いて子を見ることもしない。
  4 全てのフィリスティア人を滅ぼす日が来ようとしている。
  ティルスとシドンは,残っている援軍を断たれる。
  エホバはフィリスティア人を滅ぼすのである。
  カフトル島から来て残っている者たちを。
  5 ガザは,はげになる。
  アシュケロンは沈黙させられた。
  彼らの谷あいの平原に残っている者よ,
  あなたはいつまで体に切り傷を付け続けるのか。
  6 ああ,エホバの剣よ!
  いつまで静まらないつもりか。
  さやに戻り,休んで,黙っていよ。
  7 どうして静まれるだろうか。
  エホバがそれに命令したのだから。
  アシュケロンと海辺を攻めるために,
  それを遣わしたのである」。
  48 章
  1 モアブについて。イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言う。
  「災いだ! ネボは滅ぼされた。
  キルヤタイムは恥をかかされ,攻め取られた。
  安全な避難所は恥をかかされ,壊された。
  2 人々はもはやモアブを褒めたたえない。
  ヘシュボンで彼女の没落を企てた。
  『さあ,この国を滅ぼそう』と。
  マドメンよ,あなたも黙っているべきである。
  剣が迫っているからだ。
  3 ホロナイムから叫び声が聞こえる。
  破壊と大々的な崩壊の音も。
  4 モアブは打ち壊された。
  彼女の小さな子たちは叫び声を上げる。
  5 人々はルヒトの上り坂を泣きながら上る。
  ホロナイムの下り坂では,惨事を嘆く声を聞く。
  6 逃げて,自分たちの命を守れ!
  荒野の低木のようになれ。
  7 あなたは自分の行いや財宝に頼るので,
  やはり攻め取られることになる。
  ケモシュは捕囚の身となる。
  自分に仕える祭司や高官と共に。
  8 滅ぼす者が全ての町を襲い,
  逃れる町は一つもない。
  谷は滅び,平地は滅ぼし尽くされる。
  エホバが言った通りに。
  9 モアブのために標識を立てよ。
  荒れ果てた彼女は逃げるからである。
  彼女の町々は恐怖の光景となり,
  誰も住まなくなる。
  10 エホバからの任務をいいかげんに行う者は災いを受ける!
  剣で血を流そうとしない者は災いを受ける!
  11 モアブ人は若い時から穏やかに暮らしてきた。
  おりの上に寝かせられたぶどう酒のように。
  器から別の器へ注がれたことはなく,
  捕囚の身になったこともない。
  そのため,味はそのまま保たれ,
  香りも変わっていない。
  12 エホバはこう宣言する。『私が人々を遣わし,彼らを覆す時が来る。人々は彼らをひっくり返して器を
空にし,大きなつぼを粉々に砕く。 13 イスラエル国民が,頼みにしていたベテルについて恥じているように,
モアブ人はケモシュについて恥じることになる。
  14 あなた方はよくも言えたものだ。「われわれは強い戦士であり,戦う用意ができている」と』。
  15 『モアブは滅ぼされ,
  彼女の町々は攻め込まれた。
  えり抜きの若者たちが殺された』と,
  大軍を率いるエホバという名の王が宣言する。
  16 間もなくモアブ人に災難が降り掛かる。
  彼らの没落は非常に近い。
  17 彼らの名を知っている周りの者は皆,
  彼らに同情しなければならなくなる。
  『強い棒が,美しいつえが折られてしまった!』と言え。
  18 ディボンに住む人々よ,栄光の座から降り,
  喉が渇いたまま座れ。
  モアブを滅ぼす者があなたを攻め,
  防備された場所を荒廃させる。
  19 アロエルに住む者よ,道のそばに立って見張れ。
  逃げる男性と,避難する女性に,『何が起こったのか』と尋ねよ。
  20 モアブは恥をかき,恐怖に襲われた。
  泣き叫び,声を上げよ。
  モアブが滅ぼされたことを,アルノンで広めよ。
  21 平地は処罰されることになる。ホロン,ヤハツ,メファアト, 22 ディボン,ネボ,ベト・ディブラタ
イム, 23 キルヤタイム,ベト・ガムル,ベト・メオン, 24 ケリヨト,ボツラが処罰される。モアブの全ての
町が,遠いものも近いものも処罰される。
  25 エホバはこう宣言する。
  『モアブの角は切り落とされ,
  腕は折られた。
  26 彼を酔わせよ。エホバに対して高ぶったからである。
  モアブは吐いた物にまみれ,
  あざけりの的となっている。
  27 あなたはイスラエルをあざけったのではなかったか。
  彼が泥棒の仲間でもあるかのように,
  彼に向かって頭を振り,非難したではないか。
  28 モアブの住民よ,町々を去り,大岩の上に住め。
  峡谷の岩壁に巣を作るハトのようになれ』」。
  29 「私たちはモアブの誇りについて聞いた。彼は非常に傲慢である。
  彼の高慢さ,誇り,傲慢さ,おごり高ぶった心について聞いた」。
  30 「エホバはこう宣言する。
  『私は彼の激怒を知っている。
  しかし,彼の中身のない話は無駄に終わる。
  何も成し遂げられない。
  31 それで,私はモアブのことで泣き,
  モアブ全体のために声を上げる。
  キル・ヘレスの人たちのために嘆く。
  32 シブマのブドウの木よ,
  私はヤゼルのために泣き悲しむ以上に,
  あなたのために泣き悲しむ。
  あなたのたくさんの若枝は海を渡った。
  海を越え,ヤゼルに達した。
  あなたの夏の果物と収穫されたブドウを,滅ぼす者が襲った。
  33 喜びと楽しみが果樹園から,
  モアブの土地から取り去られた。
  私はブドウ搾り場からぶどう酒を絶やした。
  歓声を上げながらブドウを踏む人はいなくなる。
  歓声は別の叫び声に変わる』」。
  34 「『ヘシュボンから叫び声が上がり,エルアレまで届いた。
  人々の声はヤハツまで届き,
  ゾアルからホロナイムまで,エグラト・シェリシヤまで届いた。
  ニムリムの水さえ枯れ果てる。
  35 高い場所に捧げ物を持ってくる人や,
  自分の神に犠牲を捧げる人を,
  私はモアブから絶やす』と,エホバは宣言する。
  36 『そのため,私の心は笛のように,モアブのために嘆く。
  私の心は笛のように,キル・ヘレスの人たちのために嘆く。
  築かれた富が滅びるからだ。
  37 全ての頭はそられ,
  全ての顎ひげは切り落とされている。
  全ての手に切り傷があり,
  腰には粗布が巻かれている!』」
  38 「エホバはこう宣言する。
  『モアブの全ての屋上と全ての広場で,
  人々はただ泣き叫ぶ。
  私がモアブを捨てられたつぼのように砕いたからである。
  39 彼女はおびえている! 泣き叫べ!
  モアブは恥じて背を向けた!
  モアブはあざけりの的となり,
  周りの皆にとって恐ろしいものとなった』」。
  40 「エホバはこう言う。
  『見なさい! 襲い掛かるワシのように,
  敵がモアブの上に翼を広げる。
  41 町々は攻め取られ,
  彼女のとりでは奪われる。
  その日,モアブの戦士たちの心は,
  出産で苦しむ女性の心のようになる』」。
  42 「『モアブは滅ぼし尽くされ,存在しなくなる。
  エホバに対して高ぶったからである。
  43 モアブの住民よ,恐怖と落とし穴とわなが,
  あなたを待ち受けている』と,エホバは宣言する。
  44 『恐怖から逃げる者は穴に落ち,
  穴からはい上がる者はわなに掛かる』。
  エホバはこう宣言する。
  『私はモアブに処罰の年が来るようにする。
  45 逃げてきた者たちが,ヘシュボンの陰に力なく立ち尽くす。
  火がヘシュボンから,
  炎がシホンの中から出る。
  それはモアブの額と,
  荒々しい戦士たちの頭蓋骨を焼き尽くす』。
  46 『モアブよ,あなたには災いがある!
  ケモシュの民は滅びた。
  あなたの息子たちは捕らわれ,
  娘たちは捕囚の身となった。
  47 しかし,私は最後の日々に,捕らわれているモアブの人々を集める』と,エホバは宣言する。
  『ここまでがモアブに対する裁きの言葉である』」。
  49 章
  1 アンモン人について。エホバはこう言う。
  「イスラエルに子はいないのか。
  相続人はいないのか。
  なぜマルカムがガドを手に入れたのか。
  なぜマルカムの民がイスラエルの町々に住んでいるのか」。
  2 「エホバはこう宣言する。
  『私がアンモン人のラバに戦いの合図を聞かせる時が来る。
  彼女はがれきの山となり,
  周辺の町々には火が放たれる』。
  『イスラエルは,自分の土地を奪った者たちを所有することになる』と,エホバは言う。
  3 『ヘシュボンよ,泣き叫べ! アイは滅ぼされたからだ。
  ラバの周辺の町々よ,叫び声を上げよ。粗布をまとえ。
  泣き叫んで,石の囲いの中を歩き回れ。
  マルカムは捕囚の身となる。
  自分に仕える祭司や高官と共に。
  4 不忠実な娘よ,なぜあなたは谷について,
  肥沃な平原について自慢するのか。
  あなたは自分の財宝に頼り,
  「誰が私の所に攻めてくるだろうか」と言う』」。
  5 「主権者である主,大軍を率いるエホバはこう宣言する。
  『私はあなたに恐ろしいことが起こるようにする。
  それはあなたの周囲から来る。
  あなた方はあらゆる方向に散らされ,
  逃げる人たちを集める者はいない』」。
  6 「『しかし,後に私は,捕らわれているアンモン人を集める』と,エホバは宣言する」。
  7 エドムについて。大軍を率いるエホバはこう言う。
  「テマンにもはや知恵はないのか。
  理解力がある人たちは良い助言をしなくなったのか。
  彼らの知恵は腐ってしまったのか。
  8 逃げよ! 退け!
  デダンの住民よ,下っていって身を隠せ!
  私はエサウに災難をもたらす。
  彼に注意を向けるべき時に。
  9 もしブドウを収穫する人たちがあなたの所に来たら,
  幾らかの実を採り残しておくのではないか。
  もし夜に泥棒が来たら,
  欲しい物だけしか盗まないだろう。
  10 しかし私は,エサウの物を全て奪う。
  彼の隠れ場を暴き,
  隠れられないようにする。
  彼の子供も兄弟も隣人も皆滅ぼされ,
  彼はいなくなる。
  11 あなたの孤児たちを置いていけ。
  私が彼らを生き続けさせる。
  あなたのやもめたちは私に頼る」。
  12 エホバはこう言う。「私の憤りの杯から飲むよう言い渡されていない者たちが飲まなければならないの
であれば,あなたが全く処罰されないことがあってよいだろうか。あなたは処罰を免れない。杯から飲まなけ
ればならない」。
  13 エホバはこう宣言する。「私は自分自身に懸けて誓った。ボツラは恐怖の光景となり,非難され,廃虚
と化し,災いを受ける。町々は皆,ずっと荒廃したままになる」。
  14 私はエホバからの知らせを聞いた。
  国々に使節が遣わされて,こう言っている。
  「集まって,彼女を攻めよ。
  戦いの用意をせよ」。
  15 「私はあなたを,国々の中で取るに足りない者,
  人々に軽んじられる者とした。
  16 あなたは,自分があおった恐怖と,
  自分の心のうぬぼれにより,欺かれた。
  大岩を隠れがとし,
  最も高い丘に住んでいる者よ。
  あなたはワシのように高い所に巣を作るが,
  私はそこからあなたを引きずり下ろす」と,エホバは宣言する。
  17 「エドムは必ず恐怖の光景となる。通り掛かる人は皆,恐怖を抱いて見つめ,もたらされた全ての災厄
のために口笛を吹く。 18 ソドムとゴモラと近くの町々が滅ぼされた時のように,誰もそこに住もうとせず,
誰一人定住しない」と,エホバは言う。
  19 「見なさい! ヨルダン川沿いのうっそうとした茂みから出てくるライオンのように,誰かが安全な牧
草地に攻めてくる。私は彼をそこからすぐに逃げ去らせる。そして,選んだ者にそこを治めさせる。私のよう
な者,私に挑む者が誰かいるだろうか。私の前に立ちふさがることができる牧者がいるだろうか。 20 人々よ,
エホバのエドムに対する決定と,テマンの住民に対する考えを聞きなさい。
  群れの小さな者たちは必ず引いていかれる。
  彼らの住まいは彼らのせいで荒廃する。
  21 彼らが倒れる音で,大地は震えた。
  叫び声が聞こえる!
  それは紅海にまで届いた。
  22 見なさい! 敵はワシのように舞い上がって襲い掛かり,
  ボツラの上に翼を広げる。
  その日,エドムの戦士たちの心は,
  出産で苦しむ女性の心のようになる」。
  23 ダマスカスについて。
  「ハマトとアルパドは恥をかいた。
  悪い知らせを聞いたからだ。
  彼らは恐れにとらわれている。
  海は不安に揺れ動き,静まることがない。
  24 ダマスカスは勇気を失った。
  逃げようとしたが,恐怖にとらわれた。
  出産する女性のように,
  苦しみや痛みに見舞われた。
  25 栄誉の町,歓喜の町が,
  捨てられていないのはどうしてか。
  26 町の若者たちは広場で倒れ,
  その日に兵士たちも皆滅びる」と,大軍を率いるエホバは宣言する。
  27 「私はダマスカスの城壁に火を放ち,
  それはベン・ハダドの防備された塔を焼き尽くす」。
  28 バビロンのネブカドネザル王が打ち倒した,ケダルと,ハツォルの諸王国について。エホバはこう言う。
  「立ち上がって,ケダルに行き,
  東の人々を滅ぼせ。
  29 彼らの天幕と羊の群れは奪われる。
  天幕の布も全ての品々も。
  ラクダも連れ去られ,人々は叫ぶ。
  『周囲に恐怖がある!』と」。
  30 エホバはこう宣言する。
  「逃げて,遠くへ行け!
  ハツォルの住民よ,下っていって身を隠せ。
  バビロンのネブカドネザル王があなた方を攻める作戦を立て,
  あなた方を陥れる計画を考え出したからだ」。
  31 「立ち上がって,平和な国を,
  安らかに暮らしている民を攻めよ!」と,エホバは宣言する。
  「そこには扉もかんぬきもない。彼らは孤立して住んでいる。
  32 彼らのラクダは奪い去られ,
  たくさんの家畜も略奪される。
  もみあげを短く切っている人たちを,
  私はあらゆる方向に散らし,
  四方から彼らに災難をもたらす」と,エホバは宣言する。
  33 「ハツォルはジャッカルのすみかとなり,
  ずっと荒廃したままになる。
  誰もそこに住もうとせず,
  誰一人定住しない」。
  34 ユダのゼデキヤ王の治世の初めに,エラムについて,エホバが預言者エレミヤに語った言葉。 35
「大軍を率いるエホバはこう言う。『私はエラムの弓を,彼らの強さの源を折る。 36 そして,天の四方の果
てから四方の風をエラムに吹き付けさせ,彼らをあらゆる方向に散らす。エラムの散らされた人々が行かない
国はない』」。
  37 「私はエラム人を,敵の前で,彼らの命を奪おうとしている者たちの前で打ち砕く。彼らに災いをもた
らし,私の燃える怒りを浴びせる。剣を送って後を追わせ,彼らを根絶やしにする」と,エホバは宣言する。
  38 「私はエラムに私の王座を置き,そこから王と高官たちを滅ぼす」と,エホバは宣言する。
  39 「しかし,最後の日々に,エラムの捕らわれている人々を集める」と,エホバは宣言する。
  50 章
  1 バビロンについて,カルデア人の土地について,エホバが預言者エレミヤを通して語った言葉。
  2 「国々の中で伝え,広めよ。
  旗印を掲げ,広めよ。
  何も隠してはならない!
  こう言え。『バビロンは攻め取られた。
  ベルは恥をかいた。
  メロダクはおびえた。
  彼女の像は恥をかいた。
  彼女の汚らわしい偶像はおびえた』。
  3 1つの国民が北から彼女に向かって攻めてきたからだ。
  その国民は彼女の土地を恐怖の光景に変える。
  誰もそこに住んでいない。
  人も動物も逃げ去り,
  いなくなってしまった」。
  4 エホバはこう宣言する。「その時,イスラエルの民とユダの民は共に来る。泣きながら歩き,共に自分
たちの神エホバに導きを求める。 5 シオンへの道を尋ね,顔をその方向に向けて,言う。『行こう。忘れられ
ることのない永遠の契約によって,エホバと結び付こう』。 6 私の民は,さまよう羊の群れとなった。羊飼い
たちのせいでさまよったのである。山々の上に連れていかれ,山から丘へと歩き回った。自分たちの休み場を
忘れてしまった。 7 彼らを見つける者たちは皆,彼らをむさぼり食い,敵たちは言った。『われわれに罪はな
い。彼らがエホバに対して罪を犯したのだ。正しさの源であり,父祖たちが希望を抱いて待ったエホバに対し
て,罪を犯したのだ』」。
  8 「バビロンの中から逃げ,
  カルデア人の土地から出なさい。
  群れを率いる雄羊や雄ヤギのようになりなさい。
  9 私は強大な国々の一団を起こし,
  北の土地からバビロンを攻めさせる。
  彼らは戦闘隊形を組んで彼女を攻め取る。
  彼らの矢は戦士の矢のようであり,
  親から子供を奪う。
  彼らは成果を収めずに戻ることはない。
  10 カルデアは略奪される。
  彼女から略奪する者は皆,満足する」と,エホバは宣言する。
  11 「あなた方は喜び続け,歓喜し続けた。
  私の財産を奪い取る時に。
  若い雌牛のように草の上で跳ね続け,
  雄馬のようにいななき続けた。
  12 あなた方の母は恥をかいた。
  あなた方を産んだ女は失望した。
  彼女は国々の中で最も取るに足りず,
  水のない荒野また砂漠である。
  13 エホバの憤りのために,そこに住む人はいなくなり,
  彼女はすっかり荒れ果てる。
  バビロンのそばを通る人は恐怖を抱いて見つめ,
  もたらされた全ての災厄のために口笛を吹く。
  14 弓を曲げる者は皆,
  戦闘隊形を組んで四方からバビロンを攻めよ。
  彼女に向かって射よ。矢を惜しむな。
  彼女はエホバに対して罪を犯したからだ。
  15 四方から彼女に向かってときの声を上げよ。
  彼女は降伏した。
  柱は倒れ,城壁は壊された。
  これはエホバの復讐なのである。
  あなた方は彼女に復讐せよ。
  彼女がした通りのことを彼女に行え。
  16 バビロンから,種をまく者と,
  収穫の時に鎌を振るう者を取り除け。
  残酷な剣を恐れて,皆が自分の民のもとに戻り,
  自分の土地に逃げ帰る。
  17 イスラエルの民は散らされた羊である。ライオンが彼らを追い散らした。最初にアッシリアの王が彼ら
をむさぼり食い,その後バビロンのネブカドネザル王が彼らの骨をかじった。 18 それで,イスラエルの神,
大軍を率いるエホバはこう言う。『私は,アッシリアの王を処罰したのと同じように,バビロンの王とその国
を処罰する。 19 そして,イスラエルを牧草地に連れ戻す。彼はカルメルとバシャンで草を食べ,エフライム
とギレアデの山々の上で満たされる』」。
  20 「その時,イスラエルの罪を探しても,それはどこにもなく,
  ユダの罪も見つからない。
  私は自分が残しておいた人たちを許すからである」と,エホバは宣言する。
  21 「メラタイムの土地を,ペコドの住民を攻めよ。
  彼らを殺し,完全に滅ぼせ」と,エホバは宣言する。
  「私が命じたことを全て行え。
  22 その土地で戦いの音がし,
  大惨事が起こる。
  23 全世界を打ったハンマーは折られ,壊された!
  国々はバビロンについて見聞きして恐怖を抱いた!
  24 バビロンよ,私はわなを仕掛け,
  あなたは気付かずに捕まった。
  あなたは見つかり,捕らわれた。
  エホバに敵対したからである。
  25 エホバは武器庫を開き,
  憤りの武器を取り出す。
  主権者である主,大軍を率いるエホバは,
  カルデア人の土地で行うべきことがある。
  26 遠くから来て彼女を攻めよ。
  彼女の穀物倉庫を開き,
  彼女を穀物の山のように積み上げ,完全に滅ぼせ。
  誰一人残らないようにせよ。
  27 若い雄牛を全て殺せ。
  ほふるための場所に引いていけ。
  彼らは悲惨だ! 彼らの日が,
  処罰の時が来たからだ。
  28 逃げる人たちの声がする。
  彼らはバビロンから逃れ,
  シオンでエホバ神の復讐について,
  神殿のための復讐について伝える。
  29 バビロンを攻めるために,弓を射る者たちを集めよ。
  弓を曲げている者たちを皆。
  彼女の周囲に陣営を張り,一人も逃がすな。
  彼女の行いに応じて返報せよ。
  彼女がした通りのことを彼女に行え。
  彼女はエホバに対して,イスラエルの聖なる者に対して,
  高慢に振る舞ったからである。
  30 それで,彼女の若者たちは広場で倒れ,
  その日に彼女の兵士たちも皆滅びる」と,エホバは宣言する。
  31 主権者である主,大軍を率いるエホバはこう宣言する。
  「反抗的な者よ,私はあなたに敵対している。
  あなたの日,あなたに責任を問う時が必ず来る。
  32 反抗的な者よ,あなたはつまずいて倒れ,
  誰にも立ち上がらせてもらえない。
  私はあなたの町々に火を放ち,
  それはあなたの周囲のもの全てを焼き尽くす」。
  33 大軍を率いるエホバはこう言う。
  「イスラエルとユダの民は虐げられている。
  彼らを捕らえている者たちは皆,手放そうとせず,
  解放することを拒んだ。
  34 しかし,彼らを救う者は強い。
  名は,大軍を率いるエホバ。
  必ず彼らの訴えを弁護する。
  この土地に安らぎをもたらし,
  バビロンの住民を動揺させるために」。
  35 エホバはこう宣言する。
  「剣がカルデア人を襲う。
  それはバビロンの住民と高官と賢人を襲う。
  36 剣が偽預言者たちを襲い,彼らは愚かなことを行う。
  剣が彼女の戦士たちを襲い,彼らはおびえる。
  37 剣が彼らの馬や戦車を襲い,
  彼女の中にいるあらゆる民を襲う。
  彼らは女性のように弱くなる。
  剣が彼女の財宝を襲い,それらは略奪される。
  38 彼女の水は損なわれ,干上がる。
  そこは彫像の地であり,
  人々は恐ろしい幻のために狂ったように行動し続ける。
  39 砂漠の生き物が,遠ぼえする動物と共にすみ,
  彼女の中にダチョウがすむ。
  そこに人が住むことは二度となく,
  いつの時代までも居住地にはならない」。
  40 エホバはこう宣言する。「神がソドムとゴモラと近くの町々を滅ぼした時のように,誰もそこに住もう
とせず,誰一人定住しない。
  41 見なさい! 1つの民が北からやって来る。
  強大な国民と偉大な王たちが,
  地の果てから行動を起こす。
  42 彼らは弓と投げやりを巧みに使う。
  残酷で,憐れみを示さない。
  馬に乗りながら,
  海のようにとどろく声を出す。
  バビロンよ,彼らは戦闘隊形を整え,1人の人のようにあなたを攻める。
  43 バビロンの王は彼らについての知らせを聞いた。
  手が力なく垂れ下がり,苦悩する。
  出産する女性のように苦痛に襲われる。
  44 見なさい! ヨルダン川沿いのうっそうとした茂みから出てくるライオンのように,誰かが安全な牧草
地に攻めてくる。私は彼らをそこからすぐに逃げ去らせる。そして,選んだ者にそこを治めさせる。私のよう
な者,私に挑む者が誰かいるだろうか。私の前に立ちふさがることができる牧者がいるだろうか。 45 人々よ,
エホバのバビロンに対する決定と,カルデア人の土地に対する考えを聞きなさい。
  群れの小さな者たちは必ず引いていかれる。
  彼らの住まいは彼らのせいで荒廃する。
  46 バビロンが捕らわれる時の音で大地は震え,
  叫び声が国々に聞こえる」。
  51 章
  1 エホバはこう言う。
  「私は破壊的な風を起こし,
  バビロンと,レブ・カマイの住民に吹き付けさせる。
  2 脱穀する者たちをバビロンに送り,
  彼らは彼女の民を散らして土地を空にする。
  災いの日に四方から彼女を攻めるのである。
  3 弓を射る者は弓を曲げない。
  誰もよろいを着けて立たない。
  彼女の若者たちに慈悲を掛けるな。
  彼女の全軍を滅ぼし尽くせ。
  4 彼らはカルデア人の土地で殺されて倒れる。
  バビロンの通りで刺し通される。
  5 イスラエルとユダは,自分たちの神から,大軍を率いるエホバから,見捨てられてはいない。
  一方,カルデア人の土地は,イスラエルの聖なる者から見て罪に満ちている。
  6 バビロンの中から逃げなさい。
  逃れて生き延びなさい。
  彼女の過ちのために滅びてはならない。
  エホバの復讐の時が来た。
  彼女の行いに対して返報するのである。
  7 バビロンはエホバの手にある金の杯だった。
  彼女は全世界を酔わせた。
  人々はそのぶどう酒を飲んだため,正気を失った。
  8 突然バビロンは倒れ,砕かれた。
  彼女のことで泣き叫べ!
  彼女の痛みのためにバルサムを持ってくるように。
  もしかすると彼女は癒やされるかもしれない」。
  9 「私たちはバビロンを癒やそうとしたが,彼女は癒やされなかった。
  彼女を捨てて,それぞれ自分の土地に戻ろう。
  彼女の罪は天に達し,
  雲に届くほどになった。
  10 エホバは私たちのために公正に行動してくださった。
  行こう。シオンで私たちの神エホバの行いについて詳しく話そう」。
  11 「矢を研ぎ,円盾を持て。
  エホバはメディア人の王たちの心を奮い立たせた。
  バビロンを滅ぼそうとしているからだ。
  これはエホバの復讐,神殿のための復讐なのである。
  12 バビロンの城壁に向かって旗印を掲げよ。
  監視を強化し,見張りを配置せよ。
  伏兵を置け。
  エホバは作戦を立てたのであり,
  バビロンの住民を攻めるという約束を果たす」。
  13 「多くの水の上に住み,
  豊富に財宝を持つ女よ,
  あなたの終わりが来た。もう利益を得ることはできない。
  14 大軍を率いるエホバはご自分に懸けて誓った。
  『私はあなたを,バッタのように数え切れない人々で満たす。
  彼らはあなたに対して勝ち誇って叫ぶ』。
  15 神はご自分の力によって地を造った方,
  ご自分の知恵によって大地を据えた方,
  ご自分の理解によって天を広げた方。
  16 神が声を発すると,
  天の水が騒ぎ立つ。
  神は地の果てから雲を生じさせる。
  稲妻を放って雨を降らせる。
  ご自分の倉から風を送り出す。
  17 全ての人は無分別で無知な行動を取る。
  全ての金属細工人は彫刻像のせいで恥をかく。
  作った金属像は偽りであり,
  命がないからである。
  18 それらの像はむなしいものであり,あざけられる。
  処罰の日に滅びることになる。
  19 ヤコブの神はそのようなものではない。
  全てのものを造った方であり,
  ご自分の財産を支えるつえである。
  その方の名は,大軍を率いるエホバ」。
  20 「あなたは私のこん棒,戦うための武器である。
  私はあなたを使って国々を打ち砕き,
  幾つもの王国を滅ぼす。
  21 あなたを使って馬と乗り手を打ち砕き,
  戦車と乗り手を打ち砕く。
  22 あなたを使って男性と女性を打ち砕き,
  老人と少年を打ち砕き,
  若い男女を打ち砕く。
  23 あなたを使って羊飼いと群れを打ち砕き,
  農業をする人と家畜を打ち砕き,
  総督と代官を打ち砕く。
  24 そして私は,バビロンと,カルデアの全住民に返報する。
  彼らがシオンで,あなたたちの目の前で行った,あらゆる悪事に対してである」と,エホバは宣言する。
  25 「破壊をもたらす山よ,全世界を滅ぼす者よ,
  私はあなたに敵対している。
  あなたに向かって手を伸ばし,あなたを大岩から転げ落とし,
  焼き尽くされた山とする」と,エホバは宣言する。
  26 「人々があなたから隅石や土台石を取ることはない。
  あなたは永久に荒れ果てたままになるからである」と,エホバは宣言する。
  27 「土地に旗印を掲げよ。
  国々の中で角笛を吹き鳴らせ。
  彼女を攻めるために国々を取り分けよ。
  王国を招集せよ。アララト,ミニ,アシュケナズを。
  徴兵官を任命せよ。
  群がるバッタのように,馬を来させよ。
  28 彼女を攻めるために国々を取り分けよ。
  メディアの王たち,総督や全ての代官たち,
  また彼らが治める全土をも。
  29 大地は揺れ,震える。
  バビロンに対するエホバの考えが実行され,
  バビロンは恐怖の光景となり,誰も住まなくなる。
  30 バビロンの戦士たちは戦うのをやめた。
  とりでに座り込み,弱々しくなり,
  女性のようになった。
  家々には火が放たれ,
  かんぬきは壊された。
  31 急使は走って別の急使に会い,
  使者は走って別の使者に会い,
  バビロンの王に報告する。
  彼の都市が四方から攻め取られたことを。
  32 また,渡り場が奪われ,
  パピルスの舟が火で焼かれ,
  兵士たちがおびえていることを」。
  33 イスラエルの神,大軍を率いるエホバはこう言う。
  「バビロンは脱穀場のようだ。
  彼女を踏みつける時が来た。
  間もなく彼女を刈り入れる時が来る」。
  34 「バビロンのネブカドネザル王は私をむさぼり食った。
  私を混乱に陥れ,
  空の器のようにした。
  大きな蛇のように私をのみ込み,
  私の良いもので腹を満たし,
  私を洗い流した。
  35 『私の体に振るわれた暴力がバビロンにも加えられますように!』と,シオンの住民は言う。
  『カルデアの住民が,私の血を流した責任を問われますように!』と,エルサレムは言う」。
  36 それで,エホバはこう言う。
  「私はあなたの訴えを弁護し,
  あなたのために復讐する。
  バビロンの海を干上がらせ,井戸を枯らす。
  37 バビロンは,がれきの山,
  ジャッカルのすみか,恐怖の光景となり,
  誰も住まなくなる。
  人々はそこに向かって口笛を吹く。
  38 住民は皆,若いライオンのようにほえ,
  ライオンの子のようにうなる」。
  39 エホバはこう宣言する。
  「彼らが高揚している時,私は宴を設け,
  彼らを酔わせて,歓喜させる。
  彼らは永遠の眠りに就き,
  目を覚ますことはない。
  40 私は彼らを子羊のように,雄羊や雄ヤギのように,
  ほふるための場所に引いていく」。
  41 「シェシャクは攻め取られた!
  全世界の称賛の的だった都市は捕らわれた!
  国々はバビロンについて見聞きして恐怖を抱いた!
  42 海がバビロンに覆いかぶさった。
  彼女は無数の波に覆われた。
  43 彼女の町々は恐怖の光景となり,水のない土地,砂漠となった。
  誰もそこに住まず,誰もそこを通らない。
  44 私はバビロンでベルに注意を向け,
  ベルがのみ込んだものを口から出させる。
  人々が流れのようにベルのもとに来ることはもうない。
  バビロンの城壁は倒れる。
  45 私の民よ,彼女の中から出なさい!
  エホバの燃える怒りから逃れて,生き延びなさい!
  46 その土地で聞かれる知らせのために臆病になったり恐れたりしてはならない。
  1年のうちに知らせが来て,
  翌年には別の知らせが来る。
  土地に暴力が満ち,支配者が支配者と争う,と。
  47 私がバビロンの彫像に注意を向ける時が来る。
  彼女の全土は恥をかき,
  殺された人たちは皆,彼女の中で倒れる。
  48 天と地とその中の全てのものは,
  バビロンのことで歓声を上げる。
  滅ぼす者たちが北から彼女に向かって来るからである」と,エホバは宣言する。
  49 「バビロンのせいで,イスラエルの人たちが殺されて倒れた。
  それだけでなく,世界各地の人たちが殺されてバビロンで倒れた。
  50 剣から逃れる人たち,立ち止まらずに進みなさい!
  遠くからエホバを思い起こしなさい。
  エルサレムのことを思い浮かべなさい」。
  51 「私たちは恥をかいた。あざけりを聞いたからだ。
  恥辱が私たちの顔を覆った。
  外国人がエホバの家の聖なる場所に押し入ったからだ」。
  52 「私が彼女の彫像に注意を向ける時が来る。
  彼女の全土で,傷を負った人たちがうめくことになる」と,エホバは宣言する。
  53 「たとえバビロンが天に昇ろうとも,
  そびえ立つ要塞の防備を固めようとも,
  彼女を滅ぼす者たちが私のもとから行く」と,エホバは宣言する。
  54 「聞け! バビロンから叫び声が上がり,
  カルデア人の土地から大きな崩壊の音が聞こえる。
  55 エホバはバビロンを滅ぼしており,
  彼女の大きな声を沈黙させる。
  押し寄せる敵は海の波のようにとどろき,
  彼らの声が聞こえる。
  56 滅ぼす者がバビロンを襲う。
  彼女の戦士たちは捕らわれ,
  彼らの弓は砕かれる。
  エホバは報復する神なのであり,
  必ず返報する。
  57 私は,彼女の高官や賢人たち,
  総督や代官や戦士たちを酔わせる。
  彼らは永遠の眠りに就き,
  目を覚ますことはない」と,大軍を率いるエホバという名の王が宣言する。
  58 大軍を率いるエホバはこう言う。
  「バビロンの城壁は厚いが,完全に破壊され,
  門は高いが,火を放たれる。
  人々は無駄に労苦する。
  国々は火に燃料をくべることになるだけで,疲れ果てる」。
  59 預言者エレミヤが,マフセヤの子ネリヤの子セラヤに命じた言葉。ユダのゼデキヤ王の治世の第4年に,
セラヤが王と共にバビロンに行った時のことである。セラヤは補給係の長だった。 60 エレミヤは,バビロン
に降り掛かる全ての災いを1つの書に記した。これら全ての言葉をバビロンに対して書いたのである。 61 そ
して,セラヤに言った。「バビロンに行ってその都市を見たら,あなたはこれらの言葉を全て読み上げなけれ
ばなりません。 62 それから,こう言ってください。『エホバ,あなたは,この場所が滅ぼされ,人も動物も
いなくなり,永久に荒れ果てたままになると言われました』。 63 この書を読み終えたら,石を結び付けて,
ユーフラテス川の中に投げ入れてください。 64 そしてこう言います。『このようにバビロンは沈んでいき,
二度と上がってこない。私が災いをもたらすからである。人々は疲れ果てることになる』」。
  ここまでがエレミヤの言葉である。
  52 章
  1 ゼデキヤは21歳で王になり,エルサレムで11年治めた。彼の母はハムタルといい,リブナのエレミ
ヤの娘だった。 2 ゼデキヤはエホヤキムと全く同じように,エホバから見て悪いことを行い続けた。 3 エル
サレムとユダで起きたことはエホバを怒らせ,ついに神は彼らを投げ捨てた。そして,ゼデキヤはバビロンの
王に反逆した。 4 ゼデキヤの治世の第9年,第10の月の10日に,バビロンのネブカドネザル王が全軍を率
いてエルサレムに攻めてきた。彼らは陣営を張り,都市の周囲に包囲壁を建てた。 5 都市はゼデキヤ王の治世
の第11年になっても包囲されていた。
  6 第4の月の9日,都市の中では飢餓がひどく,民のための食糧はなくなっていた。 7 ついに都市の城
壁が破られ,兵士たちは皆,夜のうちに逃げた。カルデア人が都市を囲む中,彼らは王の庭園のそばの2重の
城壁の間の門を通って都市から出て,アラバの道を行った。 8 しかし,カルデア人の軍隊は王の後を追い,エ
リコの砂漠平原でゼデキヤに追い付いた。王の兵士たちは皆,散り散りになった。 9 王は捕らえられ,ハマト
地方のリブラにいるバビロンの王のもとに連れていかれて,刑を宣告された。 10 バビロンの王は,ゼデキヤ
の目の前で彼の子たちを殺し,そこリブラでユダの全ての高官をも殺した。 11 それからゼデキヤを失明させ,
銅の足かせをはめてバビロンに連れていき,死ぬまで牢屋に入れておいた。
  12 第5の月の10日,バビロンのネブカドネザル王の治世の第19年のこと,バビロンの王の従者で護衛
官の長であるネブザラダンが,エルサレムに入ってきた。 13 彼はエホバの家と王の家とエルサレムの全ての
家を焼き払った。大きな家もことごとく焼き払った。 14 エルサレムの周囲の城壁は,護衛官の長と共にいた
カルデア人の全軍によって取り壊された。
  15 護衛官の長ネブザラダンは,立場が低い人たちの一部と,都市に残されていた人たちを捕らえて連れて
いった。また,バビロンの王に投降した人たちと,残っていた優れた職人たちも連れ去った。 16 ただし,最
も貧しい人たちをいくらか残しておき,ブドウの栽培人や強制労働者として働かせた。
  17 カルデア人は,エホバの家の銅の柱と,エホバの家にあった台車と銅の「海」を粉々に砕いて,銅を全
てバビロンへ持ち去った。 18 また,缶,シャベル,明かり消し,鉢,杯など,神殿での奉仕に使う銅の器具
を全て奪った。 19 護衛官の長は,純金や純銀でできた水盤,炭入れ,鉢,缶,ランプ台,杯,小鉢を奪った。
20 ソロモン王がエホバの家のために造った2本の柱,「海」,「海」の下にある12頭の銅の雄牛,台車に
ついては,これら全てに使われた銅は量り切れなかった。
  21 柱はそれぞれ高さが8メートルあり,周りを測り綱で測ると5.3メートルだった。中は空洞で,銅の
厚さは7センチだった。 22 柱の上の柱頭も銅でできていて,高さは2.2メートルだった。柱頭の周囲の網
細工とザクロも全て銅でできていた。2本目の柱も同じ造りで,ザクロも同じだった。 23 ザクロは側面に9
6個あった。網細工の周りのザクロは全部で100個だった。
  24 護衛官の長は,祭司長セラヤと次位の祭司ゼパニヤと3人の戸口番も連れ去った。 25 また,兵士た
ちを監督していた廷臣1人,市内にいた王の側近7人,軍隊の長の秘書官で徴兵を行っていた人,まだ市内に
いた一般の人60人を,都市から連れ去った。 26 護衛官の長ネブザラダンはこれらの人を捕らえ,リブラに
いるバビロンの王のもとに連れていったのである。 27 バビロンの王はハマト地方のリブラで彼らを殺した。
こうしてユダは捕囚にされ,国を追われた。
  28 ネブカドネザルが捕らえて連れていった人々は次の通りである。治世の第7年に,ユダヤ人3023人。
  29 ネブカドネザルの治世の第18年に,エルサレムから連れ去られた832人。
  30 ネブカドネザルの治世の第23年に,護衛官の長ネブザラダンが捕らえて連れていったユダヤ人745
人。
  全部で4600人が捕囚にされた。
  31 ユダのエホヤキン王が捕囚にされて37年目の,第12の月の25日,その年に即位したバビロンのエ
ビル・メロダク王は,ユダのエホヤキン王を釈放し,牢屋から出した。 32 そして親切に語り掛け,彼と共に
バビロンにいた他の王たちよりも上の立場を与えた。 33 それでエホヤキンは囚人服を脱ぎ,生涯中いつもバ
ビロンの王の前で食事をした。 34 彼は生きている間,死ぬ日まで,バビロンの王から毎日定期的に食物を与
えられた。

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