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エゼキエル書

概要
1章
エゼキエルはバビロンで神の幻を見る(1‐3節)
エホバの天の兵車の幻(4‐28節)
嵐と雲と火(4節)
4つの生き物(5‐14節)
4つの車輪(15‐21節)
氷の塊のようにきらめく台座(22‐24節)
エホバの王座(25‐28節)
2章
エゼキエルは預言者として任命される(1‐10節)
聞くとしても,聞かないとしても(5節)
哀歌が記された巻物を見る(9,10節)
3章
エゼキエルは神から与えられた巻物を食べる(1‐15節)
エゼキエルは見張りとして仕える(16‐27節)
務めを怠るなら死の責任を問われる(18‐21節)
4章
エルサレムの包囲が演じられる(1‐17節)
390日および40日の間,罪を負う(4‐7節)
5章
エルサレムの滅びが演じられる(1‐17節)
エゼキエルは毛をそって3つに分ける(1‐4節)
エルサレムの人々は異国の人々よりも悪い(7‐9節)
反逆者たちの3つの結末(12節)
6章
イスラエルの山々に対する預言(1‐14節)
汚らわしい偶像はないがしろにされる(4‐6節)
「あなたたちは私がエホバであることを知らなければならなくなる」(7節)
7章
終わりが来る(1‐27節)
類を見ない災い(5節)
お金が通りに投げ捨てられる(19節)
神殿は汚される(22節)
8章
エゼキエルは幻の中でエルサレムに連れていかれる(1‐4節)
神殿で忌まわしい事柄を見る(5‐18節)
タンムズのために泣いている女性たち(14節)
太陽を崇拝している男性たち(16節)
9章
刑を執行する6人の者と,インク入れを持つ者(1‐11節)
聖なる所から処罰が始まる(6節)
10章
車輪の間から火が取られる(1‐8節)
ケルブと車輪の描写(9‐17節)
神の栄光が神殿から離れる(18‐22節)
11章
悪い高官たちが断罪される(1‐13節)
都市が鍋に例えられる(3‐12節)
復興の約束(14‐21節)
「新たな精神」を持たせる(19節)
神の栄光がエルサレムから離れる(22,23節)
エゼキエルは幻の中でカルデアに戻る(24,25節)
12章
象徴的な行動によって捕囚が予告される(1‐20節)
捕囚の身となるために荷物をまとめる(1‐7節)
長は暗闇の中で去る(8‐16節)
不安を抱きながらパンを食べ,恐怖におびえながら水を飲む(17‐20節)
格言が偽りであることが示される(21‐28節)
「私の言葉の実現が遅れることはない」(28節)
13章
偽預言者たちに対する言葉(1‐16節)
しっくいが塗られた壁は倒れる(10‐12節)
女性の偽預言者たちに対する言葉(17‐23節)
14章
偶像崇拝者たちが断罪される(1‐11節)
エルサレムは処罰を免れられない(12‐23節)
正しい人たちであるノア,ダニエル,ヨブ(14,20節)
15章
エルサレムは役に立たないブドウの木(1‐8節)
16章
神はエルサレムを愛する(1‐63節)
彼女は捨て子だった(1‐7節)
神は彼女を飾り,結婚の契約を結ぶ(8‐14節)
彼女は不忠実になる(15‐34節)
姦淫の罪で処罰される(35‐43節)
サマリアとソドムとの比較(44‐58節)
神は契約を思い起こす(59‐63節)
17章
2羽のワシとブドウの木の謎掛け(1‐21節)
柔らかい若枝が立派な杉の木になる(22‐24節)
18章
人はそれぞれ自分の罪の責任を負う(1‐32節)
罪を犯す人は死ぬ(4節)
息子は父親の罪を負わない(19,20節)
神は悪い人の死を喜ばない(23節)
悔い改めるなら生き続けられる(27,28節)
19章
イスラエルの長たちのための哀歌(1‐14節)
20章
イスラエルの反逆の歴史(1‐32節)
イスラエルの復興の約束(33‐44節)
南に対する預言(45‐49節)
21章
神の処罰の剣がさやから抜かれる(1‐17節)
バビロンの王がエルサレムを攻める(18‐24節)
イスラエルの邪悪な長が取り除かれる(25‐27節)
「冠を脱ぎなさい」(26節)
「法的権利を持つ者が来るまで」(27節)
剣がアンモン人に向けられる(28‐32節)
22章
流血の罪を負った都市エルサレム(1‐16節)
イスラエルは無価値な浮きかすのよう(17‐22節)
イスラエルの指導者や民はとがめられる(23‐31節)
23章
不忠実な姉と妹(1‐49節)
オホラはアッシリアと関係を持つ(5‐10節)
オホリバはバビロンとエジプトと関係を持つ(11‐35節)
姉と妹は処罰される(36‐49節)
24章
エルサレムはさび付いた鍋のよう(1‐14節)
エゼキエルの妻の死がしるしとなる(15‐27節)
25章
アンモンに対する預言(1‐7節)
モアブに対する預言(8‐11節)
エドムに対する預言(12‐14節)
フィリスティアに対する預言(15‐17節)
26章
ティルスに対する預言(1‐21節)
「引き網の干し場」(5,14節)
石や土が海に投げ込まれる(12節)
27章
沈んでいく船のようなティルスに関する哀歌(1‐36節)
28章
ティルスの王に対する預言(1‐10節)
「私は神だ」(2,9節)
ティルスの王に関する哀歌(11‐19節)
「エデンにいた」(13節)
「保護を与える選ばれたケルブ」(14節)
「あなたの中に不正が見いだされる」(15節)
シドンに対する預言(20‐24節)
イスラエルの復興(25,26節)
29章
ファラオに対する預言(1‐16節)
エジプトはバビロンに報酬として与えられる(17‐21節)
30章
エジプトに対する預言(1‐19節)
ネブカドネザルによる攻撃が予告される(10節)
ファラオの力は弱められる(20‐26節)
31章
丈が高い杉であるエジプトは倒れる(1‐18節)
32章
ファラオとエジプトに関する哀歌(1‐16節)
エジプトは割礼を受けていない者たちと共に葬られる(17‐32節)
33章
見張りの責任(1‐20節)
エルサレムの陥落の知らせ(21,22節)
廃虚に住む人たちへの言葉(23‐29節)
人々は言葉を聞いても行動しない(30‐33節)
エゼキエルは「情熱的な愛の歌のよう」(32節)
「自分たちの中に預言者がいた」(33節)
34章
イスラエルの牧者たちに対する預言(1‐10節)
エホバはご自分の羊を世話する(11‐31節)
「私に仕えるダビデ」が牧者となる(23節)
「平和の契約」(25節)
35章
セイルの山々に対する預言(1‐15節)
36章
イスラエルの山々についての預言(1‐15節)
イスラエルの復興(16‐38節)
「私の偉大な名を,必ず神聖なものとする」(23節)
「エデンの園のよう」(35節)
37章
乾いた骨の谷の幻(1‐14節)
2本の棒が1つになる(15‐28節)
1人の王が治める1つの国民(22節)
永遠に続く,平和の契約(26節)
38章
ゴグがイスラエルを攻撃する(1‐16節)
エホバはゴグに怒りを表す(17‐23節)
「彼らは私がエホバであることを知らなければならなくなる」(23節)
39章
ゴグとその兵は滅びる(1‐10節)
ハモン・ゴグの谷に葬られる(11‐20節)
イスラエルの復興(21‐29節)
イスラエルに神の聖なる力が注がれる(29節)
40章
エゼキエルは幻の中でイスラエルに連れていかれる(1,2節)
エゼキエルは幻の中で神殿を見る(3,4節)
庭と門(5‐47節)
外側の東の門(6‐16節)
外側の庭と他の門(17‐26節)
内側の庭と門(27‐37節)
神殿での奉仕のための食堂(38‐46節)
祭壇(47節)
神殿の玄関(48,49節)
41章
神殿の聖なる所(1‐4節)
壁と小部屋(5‐11節)
西の建物(12節)
建物が測られる(13‐15節前半)
聖なる所の中(15後半‐26節)
42章
2つの食堂群(1‐14節)
神殿の四方が測られる(15‐20節)
43章
エホバの栄光が神殿に満ちる(1‐12節)
祭壇(13‐27節)
44章
東の門は閉じられたままになる(1‐3節)
外国人に関する規定(4‐9節)
レビ族と祭司のための規定(10‐31節)
45章
聖なる寄進物と都市(1‐6節)
長に割り当てられる土地(7,8節)
長は正直でなければならない(9‐12節)
民からの寄進物と,長の役割(13‐25節)
46章
さまざまな捧げ物(1‐15節)
長の所有地の相続(16‐18節)
捧げ物を煮る場所(19‐24節)
47章
神殿から流れ出る川(1‐12節)
水が徐々に深くなる(2‐5節)
死海の水がきれいになる(8‐10節)
沼地はきれいにならない(11節)
食物と癒やしを与える木(12節)
土地の境界(13‐23節)
48章
土地の分割(1‐29節)
都市の12の門(30‐35節)
都市の名は「エホバがそこにいる」(35節)
  1 章
  1 第30年,第4の月の5日,私は捕囚の民の1人としてケバル川のほとりにいた。すると天が開かれ,
私は神の幻を見始めた。 2 それはエホヤキン王が捕囚にされて5年目の,第4の月の5日のことだった。 3
カルデア人の土地,ケバル川のほとりで,エホバが祭司ブジの子エゼキエルに語り掛けた。その土地でエホバ
の力が彼に働いた。
  4 私が見ていると,非常に激しい風が北から吹いてきた。明るい光に包まれた巨大な雲の中で火がきらめ
いており,火の中には琥珀金のようなものがあった。 5 火の中には4つの生き物のようなものがいて,どれも
人間のような姿をしていた。 6 それぞれに4つの顔と4つの翼があった。 7 足は真っすぐで,足の裏は子牛
の足の裏のようであり,磨き上げた銅のように輝いていた。 8 四方の翼の下には人間の手があった。4つの生
き物それぞれに顔と翼があったのである。 9 翼は互いに触れ合っていた。4つの生き物は進む時に向きを変え
ず,それぞれ真っすぐに前進するのであった。
  10 4つの生き物の顔については,それぞれに人間の顔があり,右側にはライオンの顔,左側には雄牛の顔,
後ろにはワシの顔があった。 11 顔はそのようになっていて,翼は上に向かって広げられていた。翼のうち2
つは互いに触れ合い,2つは体を覆っていた。
  12 4つの生き物はそれぞれ真っすぐに前進し,聖なる力に導かれるままどこにでも行くのであった。進む
時に向きは変えなかった。 13 また,生き物の姿は燃える炭火のようで,たいまつのようなものが生き物の間
を行き来していた。たいまつの火は明るく,火から稲妻が出ていた。 14 生き物は行ったり戻ったりする時,
ひらめく稲妻のように動いた。
  15 私がそれらの生き物を見ていると,4つの顔を持つ生き物それぞれのそばに1つの車輪があり,地表に
接していた。 16 車輪の全体はかんらん石のように光っていて,4つとも同じ形だった。その構造は,輪の中
に輪があるかのようだった。 17 車輪は進む時,向きを変えずに4つのどの方向にも行くことができた。 18
車輪は非常に大きく,圧倒されるほどだった。4つの車輪の外側は全て,たくさんの目で覆われていた。 19
生き物が進む時には,車輪も一緒に進み,生き物が地上から浮き上がる時には,車輪も浮き上がるのであった。
20 生き物は聖なる力に導かれるまま,その力が行く所へどこにでも行った。車輪も一緒に浮き上がるのは,
生き物に働いている聖なる力が車輪の中にもあったからである。 21 生き物が進むと,車輪も進み,生き物が
止まると,車輪も止まった。生き物が地上から浮き上がると,車輪も一緒に浮き上がった。生き物に働いてい
る聖なる力が車輪の中にもあったからである。
  22 生き物の頭上には,巨大な台座のようなものがあった。それは壮大な氷の塊のようにきらめき,生き物
の頭上に広がっていた。 23 その台座の下で,生き物の翼は真っすぐに伸びて触れ合っていた。翼のうち2つ
は体の片側を覆うためのもので,もう2つは反対側を覆うためのものだった。 24 私は生き物の翼の音を聞い
た。それは勢いよく流れる水の音のようであり,全能者の声のようだった。生き物が進むと,軍勢のような音
がした。生き物は止まる時,翼を垂れるのであった。
  25 生き物の頭上にある台座の上から声がした。(生き物は止まる時,翼を垂れるのであった。) 26 生
き物の頭上にある台座の上には,サファイアの石のようなものがあり,それは王座のようだった。上にあるそ
の王座には,人間のような姿をした方が座っていた。 27 その方の腰と思われる所から上には,琥珀金のよう
に光るものが見え,火が出ているかのようだった。腰から下にも,火のようなものが見えた。その方の周りは
光り輝いており, 28 雨の日に雲に懸かる虹のようだった。周りの輝かしい光はそのように見え,エホバの栄
光のようだった。それを見た時,私はひれ伏した。すると,誰かが話す声が聞こえてきた。
  2 章
  1 その方は私に言った。「人の子よ,立ち上がりなさい。あなたに話すことがある」。 2 その方が私に
語り掛けると,聖なる力が私に入り,私を立ち上がらせた。それで,私は語り掛けている方の言葉に耳を傾け
た。
  3 その方はこう言った。「人の子よ,私はあなたをイスラエルの民のもとに,私に逆らう反逆的な国民の
もとに遣わす。彼らとその父祖たちは,今日までずっと私に背いてきた。 4 その反抗的で心が固い民のもとに,
私はあなたを遣わす。あなたは彼らに,『主権者である主エホバはこう言っている』と言わなければならない。
5 彼らは,聞くとしても,反逆的な民であるために聞かないとしても,自分たちの中に預言者がいたことを知
ることになる。
  6 人の子よ,彼らや彼らの言葉を恐れてはいけない。あなたはいばらに囲まれ,サソリと共に住んでいる
が,彼らの言葉を恐れてはならず,彼らの顔を見ておびえてもいけない。彼らは反逆的な民なのである。 7 彼
らが聞いても聞かなくても,あなたは私の言葉を話さなければならない。彼らは反逆的な民なのである。
  8 人の子よ,私が話していることを聞きなさい。この反逆的な民のように逆らってはいけない。口を開け
て,私が与える物を食べなさい」。
  9 見ると,私に向かって手が差し出され,その手には巻物があった。 10 その巻物が私の前で広げられる
と,表にも裏にも文字が書かれていた。哀歌と悲しみと嘆きが記されていた。
  3 章
  1 その方は私に言った。「人の子よ,目の前にある物を食べなさい。この巻物を食べ,行って,イスラエ
ル国民に話しなさい」。
  2 私が口を開けると,その方は私に巻物を食べさせて, 3 こう言った。「人の子よ,私が与えている巻
物を食べ,腹を満たしなさい」。私が食べ始めると,それは口の中で蜜のように甘かった。
  4 その方は言った。「人の子よ,行って,イスラエル国民に私の言葉を話しなさい。 5 あなたは,分か
らない言語や知らない言葉を話す人々の所に行くのではなく,イスラエル国民のもとに遣わされるのである。
6 あなたは,分からない言語や知らない言葉を話す多くの民の所に行くのではない。理解できない言葉を話す
人々のもとにあなたを遣わしたとすれば,彼らは耳を傾けるだろう。 7 しかし,イスラエル国民はあなたの言
うことに耳を傾けない。私の言うことに耳を傾けようとしないのである。イスラエル国民は皆,頭が固く,心
も固い。 8 それで私は,あなたの顔を彼らの顔と同じように固くし,あなたの額を彼らの額と同じように固く
した。 9 あなたの額を火打ち石よりも硬いダイヤモンドのようにした。彼らを恐れたり,彼らの顔を見ておび
えたりしてはいけない。彼らは反逆的な民なのである」。
  10 その方はさらに言った。「人の子よ,私があなたに話す言葉を全て聞き,心に留めなさい。 11 行っ
て,捕囚にされている同胞たちに話しなさい。彼らが聞いても聞かなくても,『主権者である主エホバはこう
言っている』と言いなさい」。
  12 それから私は聖なる力によって運ばれた。私の後ろでごう音がして,「エホバの場所から,その方がた
たえられますように」と言う声が聞こえた。 13 また,生き物の翼が触れ合う音と,そのそばにある車輪の音
と,ごう音がした。 14 私は悲痛な思いと激しい怒りを抱きながら,聖なる力に運ばれていった。エホバの力
が私に強く働いていた。 15 こうして私は,ケバル川のほとりのテル・アビブに住んでいた捕囚の民の所に行
き,そこにとどまった。7日の間,放心状態でその民の中にいた。
  16 7日間の終わりに,エホバが私に語り掛けてこう言った。
  17 「人の子よ,私はあなたをイスラエル国民の見張りに任命した。あなたは私の口から出る言葉を聞いた
ら,私からの警告を彼らに伝えなければならない。 18 私が悪い人に,『あなたは必ず死ぬ』と言うのに,あ
なたがその人に警告せず,悪い生き方をやめて生き続けられるように諭さないなら,その悪い人は自分の過ち
のために死ぬことになるが,私はその人の死の責任をあなたに問う。 19 一方,あなたが悪い人に警告したの
に,その人が悪い行いや生き方をやめないなら,その人は自分の過ちのために死ぬが,あなたは自分の命を救
うことになる。 20 また,正しい人が正しい行いをやめて間違ったことを行う場合,私はその人を倒れさせ,
その人は死ぬ。もしあなたがその人に警告しなかったのなら,その人は自分の罪のために死に,正しい行いは
思い出されないが,私はその人の死の責任をあなたに問う。 21 他方,あなたが正しい人に罪を犯してはいけ
ないと警告して,その人が罪を犯さないなら,その人は警告を受けたために必ず生き続け,あなたは自分の命
を救うことになる」。
  22 エホバの力がその場所で私に働き,その方は言った。「立って,谷あいの平原に行きなさい。私はそこ
であなたと話す」。 23 私は立って,谷あいの平原に行った。見ると,エホバの栄光が輝いていた。ケバル川
のほとりで見た栄光のようだった。それで私はひれ伏した。 24 すると,聖なる力が私に入り,私を立ち上が
らせた。神はこう言った。
  「あなたの家に入って閉じこもりなさい。 25 人の子よ,人々はあなたを縄で縛り,彼らの所に出ていけ
ないようにする。 26 私はあなたの舌を上顎に張り付かせる。あなたは口が利けなくなり,彼らを戒めること
ができなくなる。彼らは反逆的な民なのである。 27 私はあなたと話す時に,あなたの口を開く。あなたは彼
らに,『主権者である主エホバはこう言っている』と言わなければならない。聞く人は聞くが,聞かない人は
聞かないだろう。彼らは反逆的な民なのである。
  4 章
  1 人の子よ,れんがを1つ持ってきて,自分の前に置きなさい。それに都市を,エルサレムの絵を彫りな
さい。 2 そして,それを包囲し,包囲壁を建て,攻めるための土塁を作り,陣営を敷き,周囲に破城槌を配置
しなさい。 3 また,鉄板を持ってきて,それを鉄の壁として自分と都市の間に置き,顔を都市に向けなさい。
こうして都市は包囲される。あなたが包囲するのである。これはイスラエル国民に対するしるしである。
  4 それから,体の左側を下にして横たわり,身にイスラエル国民の罪を負いなさい。あなたは横たわる日
数の間,彼らの罪を負うのである。 5 私はあなたに390日を課す。それは彼らの罪の年数に等しい日数であ
り,あなたはイスラエル国民の罪を負う。 6 その期間を全うしなければならない。
  2度目には,体の右側を下にして横たわり,40日の間ユダ国民の罪を負う。私はあなたに,1年に対し
て1日,1年に対して1日を与えたのである。 7 あなたはエルサレムの包囲に顔を向け,腕をむき出しにし,
都市に対して預言しなければならない。
  8 私はあなたを縄で縛り,あなたが包囲の期間を全うするまで,体の向きを一方の側から他方の側に変え
られないようにする。
  9 小麦,大麦,空豆,レンズマメ,キビ,スペルト小麦を1つの器に入れ,それで自分のためにパンを作
りなさい。横たわっている日数の間,390日間,それを食べるのである。 10 あなたは1日につき230グ
ラムの食物を量って食べる。決まった時間に食べるのである。
  11 また,水も量り,0.6リットルを飲む。決まった時間に飲むのである。
  12 パンは大麦の丸いパンのようにして食べる。人間の乾いた便を燃料とし,人々の目の前で焼くのであ
る」。 13 エホバはさらに言った。「私はイスラエル人を国々に追いやり,そこで彼らはそのように汚れたパ
ンを食べることになる」。
  14 それで私は言った。「主権者である主エホバ,それはできません! 私は若い時から今まで,死んでい
た動物や引き裂かれた動物の肉を食べて自分を汚したことはなく,汚れた肉を口にしたこともありません」。
  15 するとその方は言った。「分かった。人間の便の代わりに牛のふんを使ってよい。その上でパンを焼き
なさい」。 16 さらにこう言った。「人の子よ,私はエルサレムで食物が手に入らないようにする。人々は大
きな不安を抱きながらパンを量って食べ,恐怖におびえながら水を量って飲む。 17 こうして,彼らはパンと
水に事欠き,動揺して顔を見合わせ,自分たちの過ちのせいで痩せ衰えていく。
  5 章
  1 人の子よ,鋭い剣を手に取って,理髪師のかみそりのように使い,頭と顎ひげをそりなさい。それから
はかりを使って毛を量り,3つに分けなさい。 2 3分の1は包囲の期間が終わった時に都市の中で燃やし,別
の3分の1は都市の周囲で剣で打ち,最後の3分の1は風に散らしなさい。私は剣を抜いてその後を追う。
  3 また,あなたはその毛を少し取っておいて,服のひだに包まなければならない。 4 さらにその毛をも
ういくらか取り,火の中に投げ込んで,焼き尽くしなさい。そこから火がイスラエル国民全体に広がる。
  5 主権者である主エホバはこう言う。『これがエルサレムである。私はこの都市を異国の人々のただ中に
置き,周囲を国々が取り囲むようにした。 6 この都市は私の法規や法令に背き,周囲の国や土地の人々より悪
い行いをするようになった。人々は私の法規を退け,私の法令に従って歩まなかったのである』。
  7 それで,主権者である主エホバはこう言う。『あなたたちは周囲の国の人々よりも厄介で,私の法令に
従って歩まず,私の法規を守らなかった。かえって,周囲の国々の法規に従った。そのため, 8 主権者である
主エホバはこう言う。「都市よ,私はあなたに敵対している。異国の人々の目の前で,あなたのただ中で私が
刑を執行する。 9 あなたのあらゆる忌まわしい行いのゆえに,私は,これまで一度もしたことがなく二度とし
ないようなことを,あなたの中で行う。
  10 そのため,あなたの中で親が子を食べ,子が親を食べる。私はあなたの中で刑を執行し,残っている人
を皆あらゆる方向に散らす」』。
  11 主権者である主エホバはこう宣言する。『私は,生きている私自身に懸けて誓う。あなたが汚らわしい
偶像やあらゆる忌まわしい行いによって私の聖なる所を汚したので,私はあなたを退ける。私の目はあなたを
惜しまず,私は全く同情しない。 12 あなたの3分の1は疫病で死ぬか,飢餓によってあなたの中で命を落と
す。別の3分の1はあなたの周囲で剣によって倒れる。そして最後の3分の1を私はあらゆる方向に散らし,
剣を抜いてその後を追う。 13 こうして私の怒りは収まり,人々に対する憤りは静まり,私は気が治まる。私
が彼らへの憤りを表し終える時,彼らは,私エホバが全くの専心を求めて語ったことを知らなければならなく
なる。
  14 私はあなたを廃虚とし,周りの国々の中で,また通り掛かる人全てから見て,非難の的とする。 15
私が怒りと憤りと激しい処罰をもってあなたに刑を執行する時,あなたは周りの国の人々の非難と軽蔑の的と
なり,彼らに警告と恐怖を与える存在となる。私エホバが語ったのである。
  16 私は人々を滅ぼすために,飢餓という矢を放つ。命を奪うその矢によってあなたは破滅する。私は食物
が手に入らないようにし,あなたの飢餓を一層ひどくする。 17 私は飢餓とどう猛な野獣を送り込み,それら
はあなたから子供たちを奪う。あなたは疫病と流血に苦しみ,剣によって倒れることになる。私エホバが語っ
たのである』」。
  6 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,顔をイスラエルの山々の方に向けて,それ
らに対して預言しなさい。 3 こう言わなければならない。『イスラエルの山々よ,主権者である主エホバの言
葉を聞きなさい。主権者である主エホバは,山や丘や川や谷にこう言っている。「私はあなたたちに剣を差し
向け,あなたたちの高い場所を滅ぼす。 4 祭壇は破壊され,香台も壊される。私は,殺された人たちを,あな
たたちの汚らわしい偶像の前に投げ出す。 5 イスラエルの民の死体を彼らの汚らわしい偶像の前に投げ出し,
あなたたちの骨を祭壇の周囲にまき散らす。 6 あなたたちが住む全ての場所で,町は滅ぼされ,高い場所は破
壊されて廃虚と化す。祭壇は破壊されて粉々になり,汚らわしい偶像は滅び,香台は切り倒され,あなたたち
が作った物は一掃される。 7 殺された人たちはあなたたちの中で倒れ,あなたたちは私がエホバであることを
知らなければならなくなる。
  8 しかし,私はある人たちを残しておく。あなたたちのうちのある人たちは剣から逃れて,国々に追いや
られ,さまざまな土地に散らされる。 9 逃れた人たちは,捕虜として連れていかれる国々で私を思い出し,私
を悲嘆させたことを思い知る。私から離れていった彼らの不忠実な心と,汚らわしい偶像を慕って見続ける目
のゆえに,私は悲嘆したのである。彼らは自分たちが行ったあらゆる悪い事柄や忌まわしい事柄を恥じ,嫌悪
するようになる。 10 彼らは,私がエホバであることと,彼らに災いをもたらすと告げたのが口先だけではな
いことを,知らなければならなくなる」』。
  11 主権者である主エホバはこう言う。『手をたたき,足を踏み鳴らして,イスラエル国民が行ったあらゆ
る悪い事柄や忌まわしい事柄を嘆きなさい。彼らは剣と飢餓と疫病によって倒れることになる。 12 遠くにい
る人は疫病によって死に,近くにいる人は剣によって倒れ,これらを逃れて残った人は飢餓によって死ぬ。私
は彼らに対して憤りを十分に表す。 13 殺された人たちは,汚らわしい偶像の間,祭壇の周囲,全ての高い丘
の上,全ての山の頂,全ての生い茂った木の下,汚らわしい偶像をなだめるための香りの良い捧げ物を捧げた
大木の枝の下に,横たわることになる。その時,あなたたちは私がエホバであることを知らなければならなく
なる。 14 私は人々に向かって手を伸ばし,土地を荒廃させる。彼らが住む場所は皆,ディブラの近くの荒野
よりも荒廃する。こうして,彼らは私がエホバであることを知らなければならなくなる』」。
  7 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,主権者である主エホバはイスラエルの土地
に向かってこう言う。『終わりが来る! この土地の隅々にまで終わりが来ている。 3 今あなたに終わりが来
ている。私はあなたに怒りを表し,あなたの歩みに応じた裁きを下し,あらゆる忌まわしい行いの責任を問う。
4 私の目はあなたを惜しまず,私は同情しない。あなたは自分の歩みの報いを受け,忌まわしい行いの結果に
苦しむ。あなたたちは私がエホバであることを知らなければならなくなる』。
  5 主権者である主エホバはこう言う。『災いが来る。類を見ない災いである。 6 終わりが来る。終わり
は来て,あなたに襲い掛かる。それは来る。 7 この土地の住民よ,あなたの番が来た。その時は来る。その日
は近い。混乱があり,山々で歓喜の声は聞かれない。
  8 私は間もなくあなたに激しい怒りを浴びせ,あなたへの怒りを十分に表す。あなたの歩みに応じた裁き
を下し,あらゆる忌まわしい行いの責任を問う。 9 私の目はあなたを惜しまず,私は同情しない。あなたは自
分の歩みの報いを受け,忌まわしい行いの結果に苦しむ。あなたたちは,私エホバがあなたたちを打っている
ことを知らなければならなくなる。
  10 その日が来る! それは来る! あなたの番が来た。つえに花が咲き,うぬぼれが芽生えた。 11 暴力
が高じて邪悪のつえとなった。人々も,彼らの富も,群衆も,名声も残らない。 12 その時は来る。その日は
やって来る。買う人は喜んではならず,売る人は悲しんではならない。群衆全てに憤りが表されるからである。
13 土地を売った人は,たとえ命拾いしたとしても,そこに戻ることはない。預言は群衆全体に対するものだ
からである。誰も戻らず,過ちのせいで誰も生き延びることはない。
  14 人々はラッパを吹き,皆が用意を整えたが,誰も戦いに行かない。群衆全てに私の憤りが表されるから
である。 15 外には剣があり,中には疫病と飢餓がある。野原にいる人は剣によって死に,都市の中にいる人
は飢餓と疫病によって息絶える。 16 生き延びて逃れた人は山々に行き,谷間にいるハトのように,それぞれ
自分の過ちを嘆く。 17 全ての手は力なく垂れ下がり,全ての膝から水が滴る。 18 彼らは粗布をまとい,震
えに襲われた。皆が恥じるようになり,どの頭もはげになる。
  19 人々は自分たちの銀を通りに投げ捨て,自分たちの金を憎む。その銀も金も,エホバの激怒の日に彼ら
を救うことはできない。彼らは満足できず,自分たちの腹を満たすこともできない。それは彼らにとって過ち
のもととなったからである。 20 彼らは美しい装飾品を誇り,それらで忌まわしい像を,汚らわしい偶像を作
った。そのため,私は彼らがそれを憎むようにする。 21 私はそれを略奪品として外国人の手に渡し,戦利品
として地上の邪悪な者たちに渡す。その者たちはそれを汚す。
  22 私は人々から顔を背け,敵たちは私のひそかな場所を汚す。強盗がそこに入って汚す。
  23 鎖を作りなさい。この土地はゆがんだ裁きによる流血に満ち,都市は暴力に満ちているからである。
24 私は国々の中で最悪の者たちを来させ,彼らは人々の家を手に入れる。私は強力な人たちの誇りを奪い去り,
彼らの聖なる所は汚される。 25 彼らは苦悩する時,平和を求めるが,どこにもない。 26 災難が相次いで降
り掛かり,次々に知らせが届き,人々は預言者に預言を求める。祭司は律法を教えることができず,長老は助
言を与えることができない。 27 王は嘆き悲しみ,長は絶望に陥り,民は恐怖で手が震える。私は彼らの行い
に応じて彼らを扱い,彼らが裁いたように彼らを裁く。彼らは私がエホバであることを知らなければならなく
なる』」。
  8 章
  1 第6年,第6の月の5日,私は自分の家で座っており,ユダの長老たちが私の前に座っていた。すると,
主権者である主エホバの力が私に働いた。 2 見ていると,火のように見える方がいた。その方の腰と思われる
所から下には火があり,腰から上は琥珀金のように輝いていた。 3 その方は手のようなものを伸ばし,私の髪
の毛の房をつかんだ。すると,神からの幻の中で,私は聖なる力によって運ばれ,地と天の間を通ってエルサ
レムに連れてこられた。そこは北を向いている内側の門の入り口で,嫉妬をかき立てる偶像があった。 4 見る
と,イスラエルの神の栄光が輝いていた。それは私が谷あいの平原で見たものに似ていた。
  5 その方は私に,「人の子よ,どうか目を上げて,北の方を見てほしい」と言った。それで私が北の方を
見ると,祭壇の門の北の入り口の所に,嫉妬をかき立てる偶像があった。 6 その方は言った。「人の子よ,こ
こでイスラエル国民が行っている,ひどく忌まわしい事柄が見えるか。そのために私は聖なる所から遠く離れ
ている。しかし,あなたはもっとひどく忌まわしい事柄を見る」。
  7 それからその方は私を庭の入り口に連れてきた。見ると,壁に穴があった。 8 その方は,「人の子よ,
どうか壁の穴を掘り広げてほしい」と言った。それで壁の穴を掘り広げると,入り口が見えた。 9 その方は,
「入っていって,人々がここで行っている邪悪で忌まわしい事柄を見なさい」と言った。 10 それで入ってい
って見ると,地面を動く生き物と忌まわしい動物のさまざまな像,イスラエル国民のあらゆる汚らわしい偶像
があった。それらは周囲の壁に彫られていた。 11 それらの前にイスラエル国民の長老70人が立っており,
その中にシャファンの子ヤアザヌヤもいた。それぞれが香炉を持ち,香の煙が立ち上っていた。 12 その方は
言った。「人の子よ,イスラエル国民の長老たちが暗闇の中で,それぞれ自分の偶像が飾られている奥の部屋
で行っていることが見えるか。彼らは,『エホバは私たちを見ていない。エホバはこの土地を捨てた』と言っ
ている」。
  13 その方は続けて,「あなたは,彼らが行っている,もっとひどく忌まわしい事柄を見る」と言った。
14 そして,私をエホバの家の北の門の入り口に連れてきた。見ると,女性たちが座っていて,タンムズという
神のために泣いていた。
  15 その方はさらに言った。「人の子よ,これが見えるか。あなたはこれよりももっとひどく忌まわしい事
柄を見る」。 16 そして,私をエホバの家の内側の庭に連れてきた。すると,エホバの神殿の入り口で,玄関
と祭壇の間で,25人ほどの男性がエホバの神殿に背を向け,顔を東に向けて,東にある太陽にひれ伏してい
た。
  17 その方は言った。「人の子よ,これが見えるか。ユダ国民にとって,こうした忌まわしい事柄を行い,
この土地を暴力で満たし,私を怒らせ続けるのは,ささいなことなのだろうか。彼らは私の鼻に向かって枝を
突き出している。 18 それで私は激しい怒りのうちに行動する。私の目は彼らを惜しまず,私は同情しない。
彼らが私の耳に向かって大声で叫んでも,私は聞かない」。
  9 章
  1 それからその方は,私に聞こえるように大声でこう言った。「この都市を処罰する者たちよ,それぞれ
破壊するための武器を持って,集まりなさい!」
  2 見ると,北を向いている上の門の方から6人の者が,それぞれ打ち砕くための武器を持ってやって来た。
彼らと共に,亜麻布の服を着て腰に秘書官のインク入れを着けた者がいた。彼らは入ってきて,銅の祭壇のそ
ばに立った。
  3 すると,ケルブの上で輝いていた,イスラエルの神の栄光が,昇って家の戸口の所に移った。その方は,
亜麻布の服を着て腰に秘書官のインク入れを着けた者に呼び掛け始めた。 4 エホバはその者に言った。「この
都市,エルサレムの中を巡りなさい。そして,この都市の中で行われているあらゆる忌まわしい事柄のために
嘆き悲しんでいる人たちの額に,印を付けなさい」。
  5 またその方は,私に聞こえるように他の者たちにこう言った。「彼の後に付いて都市の中を巡り,人々
を討ちなさい。あなたたちの目は彼らを惜しんではならず,あなたたちは一切同情してはならない。 6 老人も,
若者も,乙女も,子供も,女性も,全て殺さなければならない。ただし,印がある人には近づいてはならない。
私の聖なる所から始めなさい」。それで彼らは家の前にいた長老たちから始めた。 7 その方はさらに彼らに言
った。「家を汚し,庭を死体でいっぱいにしなさい。行きなさい!」 それで彼らは出ていき,都市の中で人々
を討った。
  8 彼らが人々を討っている間,1人残された私は,ひれ伏して叫んだ。「ああ,主権者である主エホバ!
あなたはエルサレムに激しい怒りを浴びせ,イスラエルの残っている人たちを皆滅ぼされるのですか」。
  9 すると,その方は言った。「イスラエルとユダの国民の過ちは非常に大きい。この土地は流血に満ち,
この都市は腐敗に満ちている。彼らは,『エホバはこの土地を捨てた。エホバは見ていない』と言っている。
10 それで,私の目は彼らを惜しまず,私は同情しない。彼らに自分たちの歩みの報いを受けさせる」。
  11 私が見ていると,亜麻布の服を着て腰にインク入れを着けた者が戻ってきて,「私はあなたから命じら
れた通りにしました」と報告した。
  10 章
  1 さらに見ていると,ケルブたちの頭上にある台座の上に,サファイアの石のようなものが現れた。それ
は王座のように見えた。 2 神は亜麻布の服を着た者に言った。「車輪の間,ケルブの下に入り,ケルブの間に
ある炭火を両手に満たし,都市の上にまき散らしなさい」。それで私が見ていると,その者は入っていった。
  3 その者が入った時,ケルブたちは家の右側に立っており,雲が内側の庭に満ちていた。 4 そして,エ
ホバの栄光がケルブたちから昇って家の戸口の所に移り,家は徐々に雲で満たされ,庭はエホバの栄光の輝き
で満ちた。 5 ケルブたちの翼の音が,外側の庭にまで聞こえた。それは全能の神の声のようだった。
  6 神は亜麻布の服を着た者に,「車輪の間,ケルブの間から火を持っていきなさい」と命じ,その者は入
っていって車輪のそばに立った。 7 ケルブの1人が,ケルブたちの間にあった火に向かって手を伸ばし,火を
いくらか取って,亜麻布の服を着た者の両手に置いた。その者は火を持って出ていった。 8 ケルブたちの翼の
下には,人間の手のようなものがあった。
  9 私が見ていると,ケルブたちのそばに4つの車輪があった。それぞれのケルブのそばに1つの車輪があ
り,かんらん石のように光っていた。 10 車輪は4つとも同じ形をしていて,輪の中に輪があるかのようだっ
た。 11 車輪は進む時,向きを変えずに4つのどの方向にも行くことができた。ケルブの頭が向いている方へ,
向きを変えずに行くのである。 12 ケルブたちの全身,その背中と手と翼,また4人のケルブのそばにある車
輪は,たくさんの目で覆われていた。 13 また,車輪に向かって「車輪よ!」と呼び掛ける声が聞こえた。
  14 ケルブにはそれぞれ4つの顔があった。1つ目はケルブの顔,2つ目は人間の顔,3つ目はライオンの
顔,4つ目はワシの顔だった。
  15 ケルブたちは昇っていくのであった。それは私がケバル川で見たのと同じ生き物だった。 16 ケルブ
が進むと,車輪も一緒に進み,ケルブが翼を広げて地上から高く舞い上がると,車輪も向きを変えず,そのそ
ばを離れなかった。 17 ケルブが止まると,車輪も止まり,ケルブが昇ると,車輪も一緒に昇った。生き物に
働いている聖なる力が車輪の中にもあったからである。
  18 エホバの栄光は,家の戸口の所から離れ,ケルブたちの上にとどまった。 19 見ていると,ケルブた
ちは翼を広げて地上から昇り,車輪も一緒に昇っていった。ケルブたちはエホバの家の東の門の入り口で止ま
り,イスラエルの神の栄光がその上で輝いていた。
  20 これは,私がケバル川で,イスラエルの神の下にいるのを見た生き物であり,私はそれがケルブである
ことを知った。 21 ケルブは4人とも4つの顔と4つの翼があり,翼の下には人間の手のようなものがあった。
22 その顔は,ケバル川のほとりで見たのと同じだった。ケルブたちはそれぞれ真っすぐに前進するのであっ
た。
  11 章
  1 それから私は聖なる力によって持ち上げられ,エホバの家の東の門に連れてこられた。見ると,門の入
り口に25人の男性がいて,その中にアズルの子ヤアザヌヤとベナヤの子ペラトヤがいた。民の高官たちであ
る。 2 神は私に言った。「人の子よ,この人たちはこの都市で悪事をたくらみ,人々に良くないことを勧めて
いる。 3 彼らはこう言っている。『今は自分たちの家を建てる時ではないだろうか。この都市は鍋で,私たち
は肉だ』。
  4 彼らに対して預言しなさい。人の子よ,預言しなさい」。
  5 するとエホバの聖なる力が私に注がれ,その方は私に言った。「こう言いなさい。『エホバはこう言っ
ている。「イスラエル国民よ,あなたたちは正しいことを言った。私はあなたたちの考えを知っている。 6 あ
なたたちのせいで,この都市で多くの人が死に,通りは死人で埋め尽くされている」』」。 7 「それで,主権
者である主エホバはこう言う。『あなたたちが都市にばらまいた死体こそ肉であり,都市は鍋である。しかし,
あなたたちはそこから取り出される』」。
  8 「主権者である主エホバはこう宣言する。『あなたたちが恐れている剣を,私はあなたたちに差し向け
る。 9 私はあなたたちを都市の中から連れ出して外国人の手に渡し,刑を執行する。 10 あなたたちは剣に
よって倒れる。私はイスラエルの境界で処罰を下し,あなたたちは私がエホバであることを知らなければなら
なくなる。 11 この都市があなたたちにとって鍋になることはなく,あなたたちがその中の肉になることもな
い。私はイスラエルの境界で処罰を下し, 12 あなたたちは私がエホバであることを知らなければならなくな
る。私の規定に従って歩まず,私の法規を守らず,かえって周りの国々の法規に従って行動したからであ
る』」。
  13 私が預言するとすぐに,ベナヤの子ペラトヤが死んだ。それで私はひれ伏し,大声で叫んだ。「ああ,
主権者である主エホバ! あなたはイスラエルの残っている人たちを根絶やしにされるのですか」。
  14 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 15 「人の子よ,あなたの兄弟たちのうち,買い戻す権利
がある人たち,またイスラエル国民全体は,エルサレムの住民からこう言われた。『エホバから遠く離れてい
なさい。この土地は私たちのものだ。所有地として私たちに与えられたのだ』。 16 それで,こう言いなさい。
『主権者である主エホバはこう言っている。「私は彼らを遠くの国々に追いやり,さまざまな土地に散らした
が,それでも,彼らが行った国々で,私はしばらくの間彼らの聖なる所となる」』。
  17 また,こう言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「私はあなたたちを,さまざまな
民の中から,散らされていた国々から集め,イスラエルの土地を与える。 18 人々はそこに戻り,汚らわしい
物や忌まわしい行いを全て取り除く。 19 私は,彼らに一致した心を与え,新たな精神を持たせる。彼らの体
から石のような心を取り除き,柔らかい心を与える。 20 それは,彼らが私の法令に従って歩み,私の法規を
守るようになるためである。こうして彼らは私の民となり,私は彼らの神となる」』。
  21 『「しかし,汚らわしい物や忌まわしい行いに引き続き心を向けている人たちは,自分の歩みの報いを
受けることになる」と,主権者である主エホバは宣言する』」。
  22 その時,ケルブたちが翼を広げ,車輪がすぐそばにあった。イスラエルの神の栄光がその上で輝いてい
た。 23 そしてエホバの栄光は都市から昇り,都市の東にある山の上にとどまった。 24 それから私は聖なる
力によって持ち上げられ,カルデアにいる捕囚の民の所に連れてこられた。それは神の聖なる力による幻の中
でのことだった。そして私が見ていた幻は消え去った。 25 私はエホバが見せてくださった全ての事柄を捕囚
の民に話し始めた。
  12 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,あなたは反逆的な民の中に住んでいる。彼
らは目があるのに見ず,耳があるのに聞かない。反逆的な民だからである。 3 人の子よ,捕囚の身となるため
に荷物をまとめなさい。そして,昼間,人々の目の前で,捕囚の身となりなさい。人々の目の前で,捕囚の身
として,自分の家から別の場所に行くのである。彼らは反逆的な民ではあるが,注目するかもしれない。 4 昼
間,人々の目の前で,捕囚の身となるためにまとめた荷物を外に出しなさい。そして夕方,人々の目の前で,
捕らわれて連れていかれる人のように去りなさい。
  5 人々の目の前で壁に穴を開け,その穴を通って荷物を持ち出しなさい。 6 人々の目の前で荷物を肩に
載せ,暗闇の中で持ち出すように。顔を覆って,地面が見えないようにしなさい。私はあなたをイスラエル国
民に対するしるしとする」。
  7 私は命じられた通りにした。昼間,捕囚の身となるためにまとめた荷物を外に出し,夕方,壁に穴を開
けた。暗くなると,人々の目の前で荷物を肩に載せて持ち出した。
  8 朝に,エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 9 「人の子よ,反逆的な民であるイスラエル国民は,
『何をしているのか』とあなたに尋ねなかったか。 10 彼らに言いなさい。『主権者である主エホバはこう言
っている。「この宣告は,エルサレムの長たちと,都市の中にいるイスラエル国民全体に対するものであ
る」』。
  11 こう言いなさい。『私はあなたたちに対するしるしである。私が行った通りのことが彼らに起きる。彼
らは捕囚にされ,捕囚の地に連れていかれる。 12 彼らの中にいる長は,荷物を肩に載せ,暗闇の中で去る。
壁に穴を開け,その穴を通って荷物を持ち出す。顔を覆って,地面が見えないようにする』。 13 私は,彼に
向かって網を投げ,狩猟用の網で彼を捕らえる。彼をバビロンへ,カルデア人の土地へ連れていくが,彼はそ
の土地を見ず,そこで死ぬ。 14 彼を取り巻く従者や兵士皆を,私はあらゆる方向に散らし,剣を抜いてその
後を追う。 15 私が彼らを国々に追いやり,さまざまな土地に散らす時,彼らは私がエホバであることを知ら
なければならなくなる。 16 私は,少数の人たちが剣や飢餓や疫病を免れるようにする。それは彼らが,行く
先々の国で自分たちのあらゆる忌まわしい行いについて話すためである。そして,彼らは私がエホバであるこ
とを知らなければならなくなる」。
  17 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 18 「人の子よ,震えながらパンを食べ,動揺し不安を抱
きながら水を飲みなさい。 19 この土地の人々に言いなさい。『主権者である主エホバは,イスラエルの土地
のエルサレムの住民にこう言っている。「彼らは不安を抱きながらパンを食べ,恐怖におびえながら水を飲む。
彼らの土地は,そこに住んでいる全ての人たちの暴力のゆえに,完全に荒廃するからである。 20 人が住む
町々は滅ぼされ,土地は荒れ地になる。そして,あなたたちは私がエホバであることを知らなければならなく
なる」』」。
  21 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 22 「人の子よ,イスラエルで人々が語っている,『日々
は過ぎ去り,全ての幻には意味がない』という格言はどういうことか。 23 彼らに言いなさい。『主権者であ
る主エホバはこう言っている。「私はこの格言を語れないようにし,彼らがそれをイスラエルで口にすること
はなくなる」』。彼らに,『日々は近づいており,全ての幻は実現する』と言いなさい。 24 イスラエル国民
の中から,偽りの幻も,人を喜ばせる占いも,もはやなくなる。 25 『「それは,私エホバが語るからである。
私が語る言葉は全て,速やかにその通りになる。反逆的な民よ,私は間もなく言葉を述べ,それを実行する」
と,主権者である主エホバは宣言する』」。
  26 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 27 「人の子よ,イスラエルの民はこう言っている。『彼
が見ている幻はずっと後のことであり,彼は遠い将来について預言しているのだ』。 28 それで,彼らに言い
なさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「『私の言葉の実現が遅れることはない。私が述べるこ
とは全てその通りになる』と,主権者である主エホバは宣言する」』」。
  13 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,イスラエルの預言者たちに対して預言しな
さい。預言をでっち上げる者たちにこう言いなさい。『エホバの言葉を聞きなさい。 3 主権者である主エホバ
はこう言っている。「何も見ていないのに,自分の心のままに語る愚かな預言者には災いがある! 4 イスラエ
ルよ,あなたの預言者たちは,廃虚にいるキツネのようになった。 5 あなたたちは,石の壁が崩れている箇所
に行かず,エホバの日の戦いでイスラエル国民が立ち続けられるように壁を建て直そうとはしない」。 6 「彼
らは偽りの幻を見て,偽りの予告をしている。エホバに遣わされていないのに,『エホバの言葉はこうであ
る』と言っており,自分たちの言葉が実現するのを待ちわびてきた。 7 私が何も述べていないのに,『エホバ
の言葉はこうである』と言うあなたたちは,偽りの幻を見て偽りの予告をしているのではないか」』。
  8 『それで,主権者である主エホバはこう言う。「『あなたたちが偽りを語り,偽りの幻を見たので,私
はあなたたちに敵対している』と,主権者である主エホバは宣言する」。 9 私は手を伸ばし,偽りの幻を見て
偽りの予告をする預言者たちを処罰する。彼らは私と親しい民の中にいることはなくなり,イスラエル国民の
登録簿に記されることもなく,イスラエルの土地に戻ることもない。こうして,あなたたちは私が主権者であ
る主エホバであることを知らなければならなくなる。 10 この全ては,平和がないのに彼らが「平和だ!」と
言って私の民を惑わしたためである。薄い仕切り壁が造られると,彼らはそれにしっくいを塗る』。
  11 しっくいを塗る者たちに,その壁は倒れると言いなさい。激しい雨が打ち付け,ひょうが降り,暴風が
壁を壊す。 12 壁が倒れると,あなたたちは,『塗ったしっくいはどうなったのか』と問われる。
  13 それで,主権者である主エホバはこう言う。『私は,憤りのうちに暴風を起こし,怒りのうちに激しい
雨を生じさせ,激怒のうちにひょうを降らせて壁を破壊する。 14 私はあなたたちがしっくいを塗った壁を壊
して地面にたたきつけ,その土台をむき出しにする。都市が倒れると,あなたたちもその中で滅びる。あなた
たちは私がエホバであることを知らなければならなくなる』。
  15 『私は,壁に対して,またそれにしっくいを塗った者たちに対して,憤りを十分に表す時,あなたたち
にこう言う。「壁はもうなく,しっくいを塗る者たちももういない。 16 エルサレムに向かって預言し,平和
がないのに,その都市は平和だという幻を見るイスラエルの預言者たちは,いなくなった」』と,主権者であ
る主エホバは宣言する。
  17 人の子よ,あなたの民の娘たち,預言をでっち上げる女性たちに厳しい顔を向け,彼女たちに対して預
言しなさい。 18 こう言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「皆の腕に巻くための布を縫
い合わせ,皆の頭のためのベールを作って,人々の命を捕らえようとする女性たちには災いがある! あなたた
ちは,私の民の命を捕らえ,自分たちの命を保とうとしているのか。 19 わずかな大麦や少しのパンのために,
私の民の中で私を汚すのか。うそに耳を傾ける民にうそをつくことにより,死ぬべきでない人を死なせ,生き
るべきでない人を生かしておくのか」』。
  20 主権者である主エホバはこう言う。『女性たちよ,私は,あなたたちが鳥を捕らえるかのように人々を
捕らえるために使う布を憎み,あなたたちの腕から剥ぎ取る。そして,鳥のように捕らわれている人たちを解
放する。 21 また,あなたたちのベールを剥ぎ取り,あなたたちの手から私の民を救い出す。あなたたちはも
はや私の民を捕らえることはなく,私がエホバであることを知らなければならなくなる。 22 私が正しい人を
苦しめなかったのに,あなたたちは正しい人を偽りによって落胆させた。また,悪人を後押しして,そういう
人が悪い行いをやめて生き続けることがないようにした。 23 それで,女性たちよ,あなたたちはもう偽りの
幻を見ることも占いをすることもない。私はあなたたちの手から私の民を救い出し,あなたたちは私がエホバ
であることを知らなければならなくなる』」。
  14 章
  1 イスラエルの長老が何人かやって来て,私の前に座った。 2 すると,エホバが私に語り掛けてこう言
った。 3 「人の子よ,この人たちは汚らわしい偶像に頼ることを心に決めており,人々が罪を犯すように仕向
けている。私は彼らが尋ねることを聞くべきだろうか。 4 彼らと話して,言いなさい。『主権者である主エホ
バはこう言っている。「イスラエル人が,汚らわしい偶像に頼ることを心に決めていて,人々が罪を犯すよう
に仕向けておきながら,預言者に何かを尋ねに来る場合,私エホバは,その人の汚らわしい偶像の多さに応じ
て答える。 5 私はイスラエル国民に恐怖を抱かせる。彼らが皆,私から離れていき,汚らわしい偶像に頼った
からである」』。
  6 それで,イスラエル国民に言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「戻ってきなさい。
汚らわしい偶像から離れ,あらゆる忌まわしい行いから顔を背けなさい。 7 イスラエル人や,イスラエルにい
る外国人居住者が,私から離れ,汚らわしい偶像に頼ることを心に決めていて,人々が罪を犯すように仕向け
ておきながら,私の預言者に何かを尋ねに来る場合,私エホバがその人に答える。 8 私はその人に厳しい顔を
向け,その人を警告のしるしおよび格言の題材とし,私の民の中から除く。そして,あなたたちは私がエホバ
であることを知らなければならなくなる」』。
  9 『預言者がだまされて何らかの答えを述べる場合,私エホバがその預言者をだましたのである。私は彼
に向かって手を伸ばし,私の民イスラエルの中から除き去る。 10 彼らはその罪を負わなければならない。尋
ねる人の罪は,預言者の罪と同じと見なされる。 11 それは,イスラエル国民がもう私から離れてさまよわず,
あらゆる違反によって自分たちを汚さなくなるためである。そして彼らは私の民となり,私は彼らの神とな
る』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  12 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 13 「人の子よ,国が不忠実なことをして私に対して罪を
犯す場合,私はその国に向かって手を伸ばし,食物が手に入らないようにする。そして飢饉を生じさせ,人々
と動物を滅ぼす」。 14 「『たとえノア,ダニエル,ヨブの3人が国の中にいたとしても,彼らは自分たちの
正しさゆえに自らを救うことしかできない』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  15 「『あるいは,私がどう猛な野獣に国をうろつかせ,それによって人がいなくなり,そこが野獣のせい
で誰も通らない荒れ地になるとする。 16 生きている私自身に懸けて言うが,たとえその3人が国の中にいた
としても,彼らは息子も娘も救えない。自らを救うことしかできず,国は荒廃する』と,主権者である主エホ
バは宣言する」。
  17 「『あるいは,私が国に剣を差し向け,「剣が国を行き巡るようにしなさい」と言い,人々と動物を滅
ぼすとする。 18 生きている私自身に懸けて言うが,たとえその3人が国の中にいたとしても,彼らは息子も
娘も救えない。自らを救うことしかできない』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  19 「『あるいは,私が国に疫病をまん延させ,激しい怒りを浴びせて死をもたらし,人々と動物を滅ぼす
とする。 20 生きている私自身に懸けて言うが,たとえノア,ダニエル,ヨブが国の中にいたとしても,彼ら
は息子も娘も救えない。自分たちの正しさゆえに自らを救うことしかできない』と,主権者である主エホバは
宣言する」。
  21 「主権者である主エホバはこう言う。『私がエルサレムの人々と動物を滅ぼすため,剣,飢餓,どう猛
な野獣,疫病という4つの処罰を下す時も,そのようになる。 22 しかし,残っている人たちが逃れて,連れ
出される。息子も娘も,あなたたちの所に来る。彼らの生き方や行いを見る時,あなたたちは,私がエルサレ
ムにもたらした災い,その都市に行った全てのことについて,必ず納得する』」。
  23 「『あなたたちは,彼らの生き方や行いを見る時,それによって納得する。そして,その都市に対して
私が行わなければならなかった事を,理由もなく行ったのではないということを知る』と,主権者である主エ
ホバは宣言する」。
  15 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,ブドウの木は,森林の他の木やその枝とど
のように違うか。 3 ブドウの木で作ったさおを仕事に使えるだろうか。その木で,器具を掛けるくぎを作るだ
ろうか。 4 その木は燃料として火に投げ入れられ,火で両端を焼かれて真ん中も焦げる。それが何かの仕事に
適しているだろうか。 5 燃やされる前でさえ,その木には使い道がない。火で焼かれて焦げてしまったら,な
おのこと役に立たないのではないか」。
  6 「それで,主権者である主エホバはこう言う。『私は,森林の木々の中でブドウの木を,火にくべる燃
料として与えた。それと同じようにエルサレムの住民を扱う。 7 私は彼らに厳しい顔を向けた。彼らは火から
逃れたが,火で焼き尽くされることになる。私が彼らに厳しい顔を向ける時,あなたたちは私がエホバである
ことを知らなければならなくなる』」。
  8 「『私はこの土地を荒廃させる。彼らが不忠実なことをしたからである』と,主権者である主エホバは
宣言する」。
  16 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,エルサレムの忌まわしい行いについて,彼
女自身に知らせなさい。 3 こう言わなければならない。『主権者である主エホバはエルサレムにこう言ってい
る。「あなたはカナン人の土地で生まれた。あなたの父はアモリ人,母はヘト人だった。 4 あなたが生まれた
日に,あなたのへその緒は切られず,あなたは水で洗われず,塩でこすられず,布にくるまれなかった。 5 あ
なたをかわいそうに思ってこれらのことを1つでも行おうとする者は,一人もいなかった。誰もあなたに同情
せず,あなたは野原に投げ捨てられた。生まれた日に憎まれたからである。
  6 そばを通り掛かった私は,あなたが自分の血にまみれて足をばたつかせているのを見た。それで,血ま
みれのあなたに,『生き続けなさい!』と言った。血まみれのあなたに,『生き続けなさい!』と言ったので
ある。 7 私はあなたを,野原に生える草のように大きな群衆とした。あなたは成長して大きくなり,上等の装
飾品を身に着けた。胸も膨らみ,髪も伸びた。しかし,裸のままだった」』。
  8 主権者である主エホバはこう宣言する。『私は,そばを通り掛かってあなたを見た時,あなたが愛情を
表現できる年頃になったことに気付いた。それで,服を広げてあなたの裸を覆い,誓いを立てて,あなたと契
約を結んだ。こうして,あなたは私のものとなった。 9 さらに,私はあなたを水で洗って血を洗い落とし,あ
なたに油を塗った。 10 それから,刺しゅうが施された服を着せ,上等の革のサンダルを履かせ,上等の亜麻
布であなたを覆い,高価な服を着せた。 11 あなたを装飾品で飾り,腕輪をはめ,首飾りを着けた。 12 また,
鼻輪や耳輪を着け,美しい冠をかぶせた。 13 あなたは金や銀で身を飾っていった。上等の亜麻布や高価な生
地で装い,刺しゅうが施された服を着た。上等の麦粉と蜜と油を食べ,非常に美しくなり,女王にふさわしい
者となった』」。
  14 「『あなたが美しいので,名声が国々の間に広まっていった。私があなたを光り輝かせたので,その美
しさは完全だったのである』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  15 「『しかし,あなたは自分の美しさを誇るようになり,自分の名声ゆえに娼婦となった。通り掛かる全
ての者と見境なく売春をし,自分の美しさを差し出した。 16 あなたは自分の服を使って色とりどりの高い場
所を造り,そこで売春を行った。そのようなことはあってはならず,決して起きてはならない。 17 またあな
たは,私が与えた金や銀の美しい装飾品を使って男性の像を作り,それらと売春をした。 18 そして,刺しゅ
うが施された服で像を覆い,私の油と香を像に捧げた。 19 さらに,私が与えたパンをも,あなたは心地よい
香りとして像に捧げた。私があなたに食べさせた上等の麦粉と油と蜜から作ったパンである。まさにこのこと
が起きたのである』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  20 「『あなたは私のために産んだ息子や娘を偶像に犠牲として捧げた。まだ自分の売春に満足していない
のか。 21 あなたは私の子たちを殺し,火で焼いて犠牲として捧げた。 22 あらゆる忌まわしい行いや売春に
ふけりながら,あなたは自分の幼い頃のことを思い出さなかった。裸で,自分の血にまみれて足をばたつかせ
ていた時のことだ。 23 悪事の限りを尽くしたあなたには,災い,災いがある』と,主権者である主エホバは
宣言する。 24 『あなたは自分のために塚を設け,全ての広場に高い場所を造った。 25 全ての通りの最も目
立つ場所に高い場所を造り,通り掛かる全ての者に自分を差し出すことによって自分の美しさを忌まわしいも
のに変え,売春を重ねた。 26 あなたは情欲的な隣人であるエジプトの人々と売春をし,数え切れないほどの
売春によって私を怒らせた。 27 私はあなたに向かって手を伸ばし,食料を減らす。そして,あなたを憎む女
性たち,すなわちあなたのみだらな行いにあきれたフィリスティア人の娘たちに,あなたを引き渡して意のま
まに扱わせる。
  28 あなたは満足せず,さらにアッシリアの人々と売春をした。しかし,彼らと売春をした後も満足しなか
った。 29 それで,商業の地の人々やカルデア人と売春を重ねた。しかし,それでも満足しなかった。 30 あ
なたがこれらのことを行い,恥知らずな娼婦のように振る舞った時,あなたの心は何と病んでいたのか』と,
主権者である主エホバは宣言する。 31 『しかし,全ての通りの最も目立つ場所に塚を設け,全ての広場に高
い場所を造った時,あなたは娼婦とは違って金銭を受け取ろうとしなかった。 32 あなたは姦淫をする妻であ
り,夫の代わりによそ者と関係を持つ。 33 普通はどの娼婦も人から贈り物を受け取るが,あなたは自分に情
欲を抱く全ての者に贈り物を与えた。彼らに賄賂を贈り,周囲からあなたの所に来させて,売春を行う。 34
あなたは売春を行う他の女性とは逆のことをする。あなたのやり方で売春を行う者は誰もいない。金銭を支払
うのはあなたであって,相手ではない。あなたのやり方は逆である』。
  35 それで,娼婦よ,エホバの言葉を聞きなさい。 36 主権者である主エホバはこう言う。『あなたは情
欲に燃え,裸をさらして,売春を行った。愛人たちや,あらゆる忌まわしい偶像,汚らわしい偶像と売春をし
たのである。そして,自分の子供の血を偶像に犠牲として捧げることさえした。 37 そのため私は,あなたが
喜ばせた全ての愛人たち,あなたが愛した者も憎んだ者も全て集める。彼らを共に周囲から集めてあなたに敵
対させ,あなたの裸を彼らにさらす。彼らは丸裸のあなたを見る。
  38 そして私は,姦淫や流血の罪を犯した女性に見合った処罰をあなたに下し,激しい怒りと嫉妬によって
あなたの血が流れるようにする。 39 私はあなたを彼らの手に渡す。彼らはあなたの塚を崩し,高い場所を取
り壊し,服を剥ぎ取り,美しい装飾品を奪って,あなたを裸にする。 40 また,群衆をあなたに敵対させて,
あなたを石打ちにし,剣で殺す。 41 あなたの家々を火で焼き,多くの女性の目の前であなたに刑を執行する。
私はあなたの売春を終わらせ,あなたが金銭を支払うことはなくなる。 42 あなたに対する私の激しい怒りは
収まり,私の憤りはあなたに向けられなくなる。私は気が休まり,もはや怒りを感じなくなる』。
  43 主権者である主エホバはこう宣言する。『あなたは自分の幼い頃のことを思い出さず,これらのことを
行って私を怒らせたため,自分の歩みの報いを受けることになる。みだらな行いやあらゆる忌まわしい行いを
続けることはもうない。
  44 格言を語る人は皆,「この母にしてこの娘あり」という格言をあなたに当てはめる。 45 あなたは,
夫や子供を軽んじた母の娘であり,夫や子供を軽んじた姉妹たちの1人である。あなたの母はヘト人,父はア
モリ人だった』」。
  46 「『あなたの姉はサマリアであり,娘たちと共にあなたの北に住んでいる。あなたの妹はソドムであり,
娘たちと共にあなたの南に住んでいる。 47 あなたは彼女たちの生き方に倣い,同じ忌まわしい行いをしただ
けでなく,程なくしてあらゆる面で彼女たちよりも堕落した。 48 私は,生きている私自身に懸けて言う。あ
なたの妹ソドムと娘たちは,あなたと娘たちが行ったほどのことはしていない』と,主権者である主エホバは
宣言する。 49 『あなたの妹ソドムは次の過ちを犯した。彼女と娘たちは高慢で,十分の食料を持ち,平穏無
事に暮らしていたが,苦しんでいる人や貧しい人を助けなかった。 50 彼女たちはずっと傲慢で,私の前で忌
まわしい行いを続けたので,私は彼女たちを取り除くことにした。
  51 サマリアも,あなたの半分も罪を犯さなかった。あなたが忌まわしい事柄を彼女たちよりも多く行い続
けたので,あなたのあらゆる忌まわしい行いのゆえに姉妹たちが正しく見えるほどだった。 52 あなたは姉妹
たちの振る舞いを正当化したので,恥辱を受けなければならない。彼女たちよりも忌まわしい事柄を行ったあ
なたの罪のゆえに,彼女たちはあなたよりも正しい。それで,姉妹たちを正しい者のように見せたことを恥じ,
恥辱を受けなさい』。
  53 『私は,彼女たちの捕らわれている民,すなわちソドムと娘たちおよびサマリアと娘たちの捕らわれて
いる民を集める。また,あなたの捕らわれている民も一緒に集め, 54 あなたが恥辱を受けるようにする。あ
なたは彼女たちを慰めるようなことをしたために,恥じることになる。 55 あなたの姉妹であるソドムとサマ
リア,またその娘たちは,以前の状態に戻る。あなたと娘たちも以前の状態に戻る。 56 あなたは高慢になっ
た日に,妹のソドムのことを話そうともしなかった。 57 それはあなたの邪悪さが明らかになる前のことだっ
た。今や,シリアの娘たちとその隣人があなたを非難し,周囲のフィリスティア人の娘たちがあなたを軽蔑し
ている。 58 あなたは自分のみだらな行いや忌まわしい行いの報いを受ける』と,エホバは宣言する」。
  59 「主権者である主エホバはこう言う。『私はあなたの行いに応じてあなたを扱う。あなたは誓いを軽ん
じ,私との契約を破った。 60 しかし私は,幼い頃のあなたと結んだ契約を思い起こし,あなたと永遠の契約
を結ぶ。 61 あなたは自分の振る舞いを思い出し,自分の姉妹たち,姉たちや妹たちを迎える時,恥じること
になる。私は彼女たちを娘としてあなたに与えるが,それはあなたとの契約によるのではない』。
  62 『私はあなたと契約を結び,あなたは私がエホバであることを知らなければならなくなる。 63 あな
たがした全てのことのために私が贖罪を行う時,あなたは自分がしたことを思い出して恥じ,恥辱のゆえに口
を開けなくなる』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  17 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,イスラエル国民に関して謎を掛け,例えを
語りなさい。 3 こう言わなければならない。『主権者である主エホバはこう言っている。「大きい翼と長い羽
を持ち,色とりどりの豊かな羽毛に覆われた大きなワシが,レバノンに来て,杉の木の頂を折り取った。 4 一
番上の若枝を取り,それを商業の地に持ってきて,商人の町に置いた。 5 それから,その土地の種をいくらか
取り,肥えた畑にまいた。柳のように,豊かな水のほとりに植えたのである。 6 種は芽生え,低く生い茂るブ
ドウの木になった。枝葉を内側に向け,根を下に伸ばしていった。こうしてブドウの木が育ち,新芽を出し,
枝を伸ばした。
  7 また,大きい翼と羽を持つ別の大きなワシがやって来た。するとブドウの木は,植えられた場所からワ
シに向かってどんどん根を伸ばし,枝葉も伸ばして,水を得ようとした。 8 この木はすでに,豊かな水のほと
りにある良い畑に植えられていた。枝を張って実を結び,立派なブドウの木になるようにである」』。
  9 こう言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「それは立派な木になるだろうか。誰か
が根を引き抜き,実を腐らせ,芽をしおれさせるのではないか。その木は枯れてしまい,根こそぎ引き抜くの
に強い腕力も大勢の人も必要なくなる。 10 植え替えられても,それは立派な木になるだろうか。東風が吹き
付けると,完全に枯れてしまうのではないか。それは芽生えた場所で枯れることになる」』」。
  11 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 12 「どうか反逆的な民に言ってほしい。『あなたたちは
これらのことが何を意味するか分からないのか』。こう言いなさい。『バビロンの王がエルサレムに来て,王
と高官たちを捕らえ,バビロンに連れていった。 13 さらに,王家の子孫の1人を選んでその者と契約を結び,
誓いを立てさせた。そして,その土地の主立った人たちを連れ去った。 14 それは,その王国を弱めて立ち上
がれないようにし,契約を守ることによってのみ存続できるようにするためだった。 15 しかし,ユダの王は
ついにバビロンの王に反逆してエジプトに使者を送り,馬と大軍を得ようとした。彼は成功するだろうか。こ
のようなことをしている者が,処罰を免れられるだろうか。契約を破っておきながら,逃れられるだろうか』。
  16 『主権者である主エホバはこう宣言する。「私は,生きている私自身に懸けて言う。彼はバビロンで死
ぬ。そこは彼を王にした王が住む場所であり,彼はその王への誓いを軽んじ,王との契約を破った。 17 ファ
ラオの大勢の兵から成る大軍は,全く戦いの役に立たない。攻めるための土塁が築かれ,包囲壁が建てられて,
多くの命が奪われる。 18 彼は誓いを軽んじ,契約を破った。約束しておきながらこれらのことを行ったので,
逃れられない」』。
  19 『それで,主権者である主エホバはこう言う。「生きている私自身に懸けて誓う。私は彼に,私への誓
いを軽んじて私との契約を破ったことの報いを受けさせる。 20 彼に向かって網を投げ,狩猟用の網で彼を捕
らえる。そしてバビロンに連れていき,そこで彼を裁く。私に対して不忠実なことをしたからである。 21 彼
の軍隊から逃げた者は一人残らず剣によって倒れ,残っている人はあらゆる方向に散らされる。あなたたちは,
私エホバが語ったことを知らなければならなくなる」』。
  22 『主権者である主エホバはこう言う。「私は,高い杉の木の頂から若枝を取って植える。小枝の一番上
から柔らかい若枝を取り,高大な山の上に植える。 23 イスラエルの高い山にそれを植える。それは枝を伸ば
し,実を結び,立派な杉の木になる。あらゆる種類の鳥がその木の下に,枝葉の陰にすむ。 24 そして野の全
ての木は,私エホバが高い木を低くし,低い木を高くしたことを知らなければならなくなる。また,私は青々
とした木を枯れさせ,枯れた木に花を咲かせた。私エホバが語り,これを行ったのである」』」。
  18 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「あなたたちはイスラエルの土地で,『父たちが酸っぱ
いブドウを食べたのに,子たちの歯が浮く』という格言を口にしているが,どういうことなのか。
  3 主権者である主エホバはこう宣言する。『私は,生きている私自身に懸けて言う。あなたたちがイスラ
エルでこの格言を口にし続けることはない。 4 全ての命は私のものである。父の命も子の命も,私のものであ
る。罪を犯す人は,死ぬことになる。
  5 ある人が正しい人で,公正で正しいことを行うとする。 6 その人は,山の上で偶像に犠牲として捧げ
られた物を食べず,イスラエル国民の汚らわしい偶像に頼ろうとせず,隣人の妻を汚したり月経中の女性と関
係を持ったりしない。 7 誰をも不当に扱わず,お金を貸した相手に担保を返し,誰からも物を奪わず,飢えて
いる人に食べ物を与え,裸の人に服を着せる。 8 利息を取ったり高利で貸したりせず,不公正なことを行わず,
争っている人たちを正しく公正に裁く。 9 忠実に行動できるように,私の法令に従って歩み続け,私の法規を
守り続ける。そのような人は正しい人であり,必ず生き続ける』と,主権者である主エホバは宣言する。
  10 『しかし,その人に息子が生まれて,その息子が強盗か殺人か他の事柄を何か行ったとする。 11
(父親はこれらのことを何も行っていないのに)息子が,山の上で偶像に犠牲として捧げられた物を食べたり,
隣人の妻を汚したり, 12 困っている人や貧しい人を不当に扱ったり,人の物を奪ったり,担保を返さなかっ
たり,汚らわしい偶像に頼ったり,忌まわしい行いにふけったり, 13 高利で貸して利息を取ったりするなら,
その息子は生き続けることはない。これらの忌まわしい事柄を行ったために,必ず死ぬことになる。その死の
責任は彼自身にある。
  14 一方,ある人に息子が生まれ,その息子は父親が犯したあらゆる罪を見るものの,自分はそのようなこ
とを行わないとする。 15 その息子は,山の上で偶像に犠牲として捧げられた物を食べず,イスラエル国民の
汚らわしい偶像に頼ろうとせず,隣人の妻を汚さない。 16 誰をも不当に扱わず,担保を取り上げず,何も人
から奪わず,飢えている人に食べ物を与え,裸の人に服を着せる。 17 貧しい人を虐げず,高利で貸したり利
息を取ったりせず,私の法規を守り,私の法令に従って歩む。そのような人が父親の過ちのために死ぬことは
ない。必ず生き続ける。 18 他方,その父親は,詐欺を働き,兄弟から物を奪い,同胞たちの中で間違ったこ
とを行ったので,その過ちのために死ぬ。
  19 あなたたちは,「どうして息子は父親の罪を負わないのか」と言うだろう。この息子は,公正で正しい
ことを行い,私の法令を全て守ったので,必ず生き続ける。 20 罪を犯す人が死ぬのである。子が父の罪を負
うことはなく,父が子の罪を負うこともない。正しいことをして報われるのは正しい人自身であり,悪いこと
をして処罰されるのは悪い人自身である。
  21 もし悪い人が,自分が犯した全ての罪から離れ,私の法令を守り,公正で正しいことを行うなら,その
人は必ず生き続ける。死ぬことはない。 22 その人は,犯したどの違反についても責められることはない。正
しいことを行ったために生き続ける』。
  23 主権者である主エホバはこう宣言する。『私は,悪い人の死を少しでも喜ぶだろうか。かえって,その
人が悪い行いをやめて生き続けることを喜ぶのではないか。
  24 正しい人が,正しい行いをやめて間違ったことを行い,悪い人がするようなあらゆる忌まわしい事柄を
行う場合,その人は生き続けられるだろうか。その人の正しい行いは何一つ思い出されない。その人は不忠実
さと犯した罪のために死ぬ。
  25 あなたたちは,「エホバの行いは不公正だ」と言うだろう。イスラエル国民よ,どうか聞いてほしい。
私の行いは不公正なのだろうか。あなたたちの行いが不公正なのではないか。
  26 正しい人が,正しい行いをやめて間違ったことを行い,そのために死ぬ場合,その人は自分の間違った
行いのために死ぬのである。
  27 悪い人が,自分が行った悪いことから離れ,公正で正しいことを行うようになる場合,その人は生き延
びる。 28 自分の過ちに気付き,犯した全ての違反から離れる場合,その人は必ず生き続ける。死ぬことはな
い。
  29 イスラエル国民は,「エホバの行いは不公正だ」と言うだろう。イスラエル国民よ,私の行いは不公正
なのだろうか。あなたたちの行いが不公正なのではないか』。
  30 主権者である主エホバはこう宣言する。『それで,イスラエル国民よ,私はあなたたちを各自の行いに
応じて裁く。悔い改めて,あなたたちの全ての違反から完全に離れなさい。それらの違反があなたたちに罪を
もたらさないようにしなさい。 31 犯した全ての違反を捨て去り,新たな心と新たな精神を持つようになりな
さい。イスラエル国民よ,あなたたちが死ぬようなことがあってよいだろうか』。
  32 『私は誰の死をも喜ばない。悔い改めて生き続けなさい』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  19 章
  1 「あなたは,イスラエルの長たちに関する哀歌を歌わなければならない。 2 こう歌いなさい。
  『あなたの母はどんな母だったか。ライオンの群れにいた雌ライオンだった。
  若くて強いライオンの間に横たわり,子供たちを育てた。
  3 育て上げられた1頭の雄が,
  若くて強いライオンになった。
  獲物を引き裂くことを学び,
  人間さえ餌食とした。
  4 他国の人々はそのライオンについて聞き,落とし穴で捕らえた。
  そしてかぎを引っ掛け,エジプトに連れていった。
  5 雌ライオンは待ち,悟った。子供が戻ってくる見込みがないことを。
  それで別の子供を選び,若くて強いライオンになるようにした。
  6 その雄もライオンの間を歩き回り,若くて強いライオンになった。
  獲物を引き裂くことを学び,人間さえ餌食とした。
  7 防備された塔の周りをうろつき,町々を荒廃させた。
  荒れ果てた土地に,そのライオンのほえ声が響き渡った。
  8 周りの地域の人々がやって来て,ライオンに向かって網を投げ,
  落とし穴で捕らえた。
  9 そしてかぎを引っ掛けておりに入れ,バビロンの王のもとに連れていき,
  そこでライオンを閉じ込めた。
  その声がもうイスラエルの山々で聞かれないようにするために。
  10 あなたの母は,水のほとりに植えられたブドウの木のようだった。
  豊かな水のゆえに実を結び,枝を茂らせた。
  11 その枝は,王笏に適した強い枝になった。
  木は成長し,他の木々の上にそびえ立ち,
  その高さと豊かな枝葉のゆえに目立つようになった。
  12 しかし,激怒のうちに引き抜かれ,地面に投げ捨てられて,
  東風が実を干からびさせた。
  強い枝はもぎ取られて枯れ,火で焼き尽くされた。
  13 今やその木は荒野に植えられ,
  水のない乾燥した土地に立っている。
  14 火が枝から燃え広がり,若枝や実を焼き尽くした。
  もう強い枝は残っておらず,治めるための王笏はない。
  これは哀歌であり,哀歌として歌われる』」。
  20 章
  1 第7年,第5の月の10日,イスラエルの長老が何人かやって来て,私の前に座った。エホバに何か尋
ねるためだった。 2 すると,エホバが私に語り掛けてこう言った。 3 「人の子よ,イスラエルの長老たちと
話して,言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「あなたたちは私に何か尋ねに来たのか。
『生きている私自身に懸けて誓うが,私はあなたたちが尋ねても答えない』と,主権者である主エホバは宣言
する」』。
  4 あなたは彼らを裁く用意ができているか。人の子よ,彼らを裁く用意ができているか。彼らに,父祖た
ちが行った忌まわしい事柄を知らせなさい。 5 こう言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。
「私は,イスラエルを選んだ日に,ヤコブの子孫に誓うこともし,エジプトで私について知らせた。彼らに誓
って,『私はあなたたちの神エホバである』と言ったのである。 6 その日,私は次のことを誓った。彼らをエ
ジプトから連れ出し,彼らのために見つけておいた土地,非常に肥沃な土地に連れていくことである。その土
地は全ての土地の中で最も美しかった。 7 そして私は彼らに言った。『あなたたちはおのおの,目の前にある
忌まわしい物を投げ捨てなければならない。エジプトの汚らわしい偶像によって自分を汚してはならない。私
はあなたたちの神エホバである』。
  8 ところが,彼らは私に反逆し,耳を傾けようとしなかった。目の前にある忌まわしい物を投げ捨てず,
エジプトの汚らわしい偶像を捨て去らなかった。それで私は,彼らに激しい怒りを浴びせることにし,エジプ
トで彼らへの怒りを十分に表そうと考えた。 9 しかし,私は自分の名のために行動し,異国の人々の前で私の
名が汚されないようにした。彼らは異国の人々の中に住んでおり,私は彼らをエジプトから連れ出した時,異
国の人々の前で彼らに私について知らせたからである。 10 こうして私は,彼らをエジプトから連れ出して荒
野に導いた。
  11 それから,彼らに私の法令を与え,私の法規を知らせて,それに従う人が生き続けられるようにした。
12 また,私と彼らの間のしるしとして,私の安息日を与えた。私エホバが彼らを神聖なものとしていることを,
彼らが知るためだった。
  13 ところが,イスラエル国民は荒野で私に反逆した。私の法令に従って歩まず,私の法規を退けた。それ
に従えば生き続けられるのに,そうしなかった。彼らは私の安息日をすっかり汚してしまった。それで私は,
荒野で彼らに私の激怒を浴びせて根絶やしにしようと考えた。 14 しかし,私は自分の名のために行動し,異
国の人々の前で私の名が汚されないようにした。異国の人々の目の前で彼らを連れ出したからである。 15 た
だし,私は荒野で彼らに誓った。私が与えた土地,すなわち非常に肥沃な土地,全ての土地の中で最も美しい
土地に,彼らを連れていかないことを誓ったのである。 16 彼らが私の法規を退け,私の法令に従って歩まず,
私の安息日を汚したからである。彼らの心は汚らわしい偶像に頼っていた。
  17 とはいえ,私は彼らを哀れに思い,滅ぼさなかった。荒野で根絶やしにはしなかった。 18 彼らの子
孫に荒野で言った。『父祖たちの規定に従って歩んではならない。彼らの決定に従ってはならず,彼らの汚ら
わしい偶像によって自分を汚してはならない。 19 私はあなたたちの神エホバである。私の法令に従って歩み,
私の法規を守って実行しなさい。 20 私の安息日を神聖なものとしなさい。それは私とあなたたちの間のしる
しとなる。私があなたたちの神エホバであることを,あなたたちが知るためである』。
  21 ところが,子孫たちも私に反逆し始めた。私の法令に従って歩まず,私の法規を守らず,実行しなかっ
た。それに従えば生き続けられるのに,そうしなかった。彼らは私の安息日を汚した。それで私は,彼らに激
しい怒りを浴びせることにし,荒野で彼らへの怒りを十分に表そうと考えた。 22 しかし,私は思いとどまり,
自分の名のために行動して,異国の人々の前で私の名が汚されないようにした。異国の人々の目の前で彼らを
連れ出したからである。 23 ただし,私は荒野で彼らに誓った。彼らを国々に散らし,さまざまな土地に追い
やることを誓ったのである。 24 彼らが私の法規を守らず,私の法令を退け,私の安息日を汚し,父祖たちの
汚らわしい偶像に頼ったからである。 25 さらに私は,彼らが良くない規定や,人を生き続けさせることがで
きない法規に従うままにした。 26 そして,彼らが全ての初子を火で焼いた時,その犠牲によって彼らが汚れ
るようにした。彼らが荒廃し,私がエホバであることを知るためである」』。
  27 人の子よ,イスラエル国民に話して,言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「こう
して,あなたたちの父祖たちは繰り返し不忠実に行動し,私を冒涜した。 28 私は,彼らに与えると誓った土
地に彼らを連れていった。彼らは,高い丘や葉が茂った木を見ると,犠牲や不快な捧げ物を捧げ始めた。犠牲
の心地よい香りをそこで捧げ,飲み物の捧げ物を注いだ。 29 それで私は彼らに尋ねた。『あなたたちが通う
高い場所はいったい何なのか(それは今でも「高い場所」と呼ばれている)』」』。
  30 イスラエル国民に言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「あなたたちは,父祖たち
の汚らわしい偶像に頼り,それらと売春をすることにより,父祖たちと同じように自分を汚しているのか。 31
子供を火で焼き,汚らわしい偶像に犠牲を捧げることにより,今でも自分を汚しているのか。それなのに,イ
スラエル国民よ,私はあなたたちが尋ねることに答えるべきだろうか」』。
  主権者である主エホバはこう宣言する。『生きている私自身に懸けて誓うが,私はあなたたちが尋ねても
答えない。 32 あなたたちは,「木や石を崇拝している異国の人々のようになろう。他の国々の民族のように
なろう」と言うが,決してあなたたちが考えているようにはならない』」。
  33 「主権者である主エホバはこう宣言する。『生きている私自身に懸けて誓う。私は力強い手と,伸ばし
た腕と,あふれる激しい怒りをもって,王としてあなたたちを治める。 34 力強い手と,伸ばした腕と,あふ
れる激しい怒りをもって,あなたたちをさまざまな民の中から連れ出し,散らされていた国々から集める。 35
そしてさまざまな民の荒野に連れていき,そこで面と向かって裁く。
  36 私は,エジプトの荒野であなたたちの父祖たちを裁いたように,あなたたちをも裁く』と,主権者であ
る主エホバは宣言する。 37 『あなたたちに牧者のつえをくぐらせて,契約を守る義務を負わせる。 38 私は,
私に逆らう者や背いている者を,あなたたちの中から取り除く。外国人として住んでいる土地から連れ出すが,
彼らはイスラエルの土地には入らない。そして,あなたたちは私がエホバであることを知らなければならなく
なる』。
  39 イスラエル国民よ,主権者である主エホバはこう言う。『おのおの行って,自分の汚らわしい偶像を崇
拝するがよい。その後,私の言うことを聞かなくても,あなたたちはもはや犠牲や汚らわしい偶像によって私
の聖なる名を汚すことはできない』。
  40 主権者である主エホバはこう宣言する。『イスラエル国民全体は,私の聖なる山,イスラエルの高い山
で,その土地で私に仕える。私はそこで彼らのことを喜び,寄進物や最上の捧げ物,あらゆる聖なるものを求
める。 41 私は,あなたたちをさまざまな民の中から連れ出し,散らされていた国々から集める時,心地よい
香りのゆえにあなたたちのことを喜ぶ。そして,あなたたちの中で,異国の人々の目の前で,私は神聖なもの
とされる』。
  42 『私があなたたちをイスラエルの土地に,父祖たちに与えると誓った土地に連れていく時,あなたたち
は私がエホバであることを知らなければならなくなる。 43 あなたたちはそこで,自分を汚した振る舞いや行
いを思い出し,行ったあらゆる悪い事柄のゆえに自分を嫌悪する。 44 私は,あなたたちを悪い振る舞いや堕
落した行いに応じて扱うことはせず,私の名のために行動する。その時,イスラエル国民よ,あなたたちは私
がエホバであることを知らなければならなくなる』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  45 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 46 「人の子よ,顔を南の方に向けて,南に宣告しなさい。
南の森林に対して預言しなさい。 47 南の森林に向かってこう言いなさい。『エホバの言葉を聞きなさい。主
権者である主エホバはこう言っている。「私はあなたに火を放つ。その火はあなたの中で,青々とした木も枯
れた木も全て焼き尽くす。燃え盛る炎は消されず,南から北まで全ての人が熱を感じる。 48 全ての人は,私
エホバが森林に火を放ったのを見る。その火は消されることがない」』」。
  49 私は言った。「ああ,主権者である主エホバ! 彼らは私について,『彼は謎めいたことを語っている
だけではないか』と言っています」。
  21 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,顔をエルサレムの方に向け,聖なる場所に
対して宣告し,イスラエルの土地に対して預言しなさい。 3 イスラエルの土地に向かってこう言いなさい。
『エホバはこう言っている。「私はあなたに敵対しており,剣をさやから抜いて,あなたの中の正しい人も悪
い人も滅ぼす。 4 あなたの中の正しい人も悪い人も滅ぼすために,私の剣はさやから抜かれ,南から北まで全
ての人に向けられる。 5 全ての人は,私エホバが剣をさやから抜いたことを知らなければならなくなる。剣は
もう戻らない」』。
  6 人の子よ,震えながらため息をつきなさい。人々の前で悲嘆してため息をつくのである。 7 『なぜた
め息をついているのか』と言われたら,『知らせを聞いたからだ』と言いなさい。知らせは必ず届き,全ての
人は心が恐れにとらわれ,手が力なく垂れ下がり,気が沈み,膝から水が滴る。『知らせは必ず届き,その通
りになる』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  8 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 9 「人の子よ,預言しなさい。『エホバはこう言っている。
「言いなさい。『剣だ! 剣が研がれ,磨かれた。 10 それは大勢を殺すために研がれ,稲妻のように光るため
に磨かれた』」』」。
  「私たちは歓喜すべきではないか」。
  「『剣は,全てのつえを退けるように,私の子の王笏を退けるだろうか。
  11 剣は磨かれて手で振るわれるために与えられる。それは研がれて磨かれ,刑を執行する者の手に渡され
る。
  12 人の子よ,泣き叫びなさい。剣が私の民に向けられたからである。それはイスラエルの全ての長に向け
られた。彼らと民は,剣によって倒れることになる。それで悲しんで,ももをたたきなさい。 13 私の民は試
された。剣が王笏を退けたらどうなるだろうか。王笏は存続しなくなる』と,主権者である主エホバは宣言す
る。
  14 人の子よ,預言し,手をたたいて,『剣だ!』と3回言いなさい。それは殺すための剣,大勢を殺す剣
であり,人々を取り囲む。 15 人々の心は恐れにとらわれ,大勢が都市の門の所で倒れる。私は剣によって
人々が殺されるようにする。剣は殺すために磨かれ,稲妻のように光る。 16 剣よ,右に鋭く切り付けよ! 左
に向かって切れ! 刃が向いている方へ進め! 17 私も手をたたき,私の激しい怒りは収まる。私エホバが語っ
たのである」。
  18 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 19 「人の子よ,バビロンの王の剣がやって来る2つの道
を書きなさい。道はどちらも同じ土地で始まる。道が分かれて2つの都市に向かう地点に,道しるべを置きな
さい。 20 剣は,一方の道を通るとアンモン人のラバに向かい,もう一方の道を通るとユダの防備されたエル
サレムに向かうことになる。 21 バビロンの王は,道が2つに分かれる所で止まり,占いをする。矢を振り,
偶像に伺いを立て,肝臓を調べる。 22 王の右手に,占いはエルサレムと出た。その都市に対して破城槌を配
置し,殺りくを宣言し,ときの声を上げ,門に向かって破城槌を置き,攻めるための土塁を築き,包囲壁を建
てるのである。 23 その占いは,彼らに誓いを立てた人々の目には間違っているように映る。しかし,王はそ
の人々の罪を思い出し,人々を捕らえる。
  24 それで,主権者である主エホバはこう言う。『あなたたちの罪は思い出された。自ら違反を明らかにし,
あらゆる行いに罪が見いだされるようにしたからである。あなたたちは思い出されたので,敵の手に落ちる』。
  25 致命的な傷を負った,イスラエルの邪悪な長よ,あなたの日が来た。最終的な処罰の時である。 26
主権者である主エホバはこう言う。『ターバンを外し,冠を脱ぎなさい。それらがそのままになることはない。
立場が低い者を高くし,高い者を低くしなさい。 27 私は,破滅,破滅,破滅をもたらす。法的権利を持つ者
が来るまで,冠は誰のものにもならない。私はその者に冠を与える』。
  28 人の子よ,預言しなさい。『主権者である主エホバは,アンモン人と彼らの侮辱についてこう言ってい
る』。言いなさい。『剣だ! 人々を殺すために剣が抜かれた。それは虐殺のために,稲妻のように光るために
磨かれた。 29 あなたに関する偽りの幻やうその占いがどうであれ,あなたは殺された邪悪な者たちの上に積
み上げられることになる。(その者たちは,自分たちの日すなわち最終的な処罰の時が来て殺されたのであ
る。) 30 剣をさやに戻しなさい。私は,あなたが創造された場所,生まれた土地で,あなたを断罪する。
31 あなたに私の怒りを浴びせ,私の激怒の火を吹き付ける。そして,滅ぼすことにたけた残忍な者たちにあな
たを引き渡す。 32 あなたは火にくべる燃料となる。その土地で血を流し,もう思い出されることはない。私
エホバが語ったからである』」。
  22 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,流血の罪を負った都市に裁きを言い渡し,
彼女に自らのあらゆる忌まわしい行いについて知らせる用意ができているか。 3 こう言わなければならない。
『主権者である主エホバはこう言っている。「住民の血を流す都市よ。あなたの時は来ている。あなたは汚ら
わしい偶像を作って自分を汚した。 4 あなたは自分が流した血によって有罪となり,汚らわしい偶像によって
汚れた。あなたは自分の日々の終わりを早めた。あなたの年月の終わりが来た。そのため,私はあなたを異国
の人々の非難の的とし,全ての国のあざけりの的とする。 5 近くの国も遠くの国もあなたをあざける。あなた
は名が汚れており,騒乱に満ちている。 6 あなたの中にいるイスラエルの長たちは,それぞれ権威を振るって
血を流す。 7 あなたの中で,人々は父親や母親を軽視し,外国人居住者からだまし取り,父親のいない子供や
やもめを不当に扱う」』」。
  8 「『あなたは私の聖なる場所を軽んじ,私の安息日を汚す。 9 あなたの中に,人を中傷して血を流そ
うとする者たちがいる。あなたの中で,人々は山の上で犠牲を食べ,みだらな行いを続ける。 10 あなたの中
で,人々は父親の妻と関係を持ち,月経で汚れている女性を辱める。 11 あなたの中で,ある人は隣人の妻と
忌まわしいことを行い,別の人はみだらな行いによって義理の娘を汚し,また別の人は父親の娘すなわち自分
の姉妹を辱める。 12 あなたの中で,人々は賄賂を受け取って血を流す。あなたは利息を取ったり,もうけの
ために貸したりし,隣人から脅し取る。あなたは私をすっかり忘れてしまった』と,主権者である主エホバは
宣言する。
  13 『私は,あなたが得た不当な利益に対して,またあなたの中で血が流されたことに対して,嫌悪を抱い
て手をたたく。 14 私があなたに対して行動を取る時,あなたの心は耐えられるだろうか。あなたの手は力を
保てるだろうか。私エホバが語ったのであり,私は行動を起こす。 15 私はあなたを国々に散らし,さまざま
な土地に追いやり,あなたの汚れを終わらせる。 16 そして,あなたは異国の人々の前で侮辱され,私がエホ
バであることを知らなければならなくなる』」。
  17 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 18 「人の子よ,イスラエル国民は私にとって無価値な浮
きかすのようになった。彼らは皆,炉の中の銅,スズ,鉄,鉛である。彼らは銀の浮きかすとなった。
  19 それで,主権者である主エホバはこう言う。『あなたたち皆が無価値な浮きかすのようになったので,
私はあなたたちをエルサレムの中に集めている。 20 銀,銅,鉄,鉛,スズが炉の中に集められ,火を吹き付
けられて溶かされるように,私は怒りと激怒のうちにあなたたちを集め,息を吹き掛けて溶かす。 21 あなた
たちを集めて,私の激怒の火を吹き付けると,あなたたちは彼女の中で溶ける。 22 炉の中で銀が溶かされる
ように,彼女の中で溶かされる。そしてあなたたちは,私エホバがあなたたちに激しい怒りを浴びせたことを
知らなければならなくなる』」。
  23 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 24 「人の子よ,彼女に言いなさい。『あなたは憤りの日
に清められることも雨が降り注ぐこともない土地である。 25 彼女の中で預言者たちは陰謀を企てた。ほえる
ライオンが獲物を引き裂くように,彼らは人々を餌食にする。宝や貴重な物を奪い,彼女の中で多くの人をや
もめにした。 26 彼女の祭司たちは,私の律法を破り,私の聖なる場所を汚し続ける。聖なるものと世俗のも
のを区別せず,何が汚れていて何が清いかを知らせず,私の安息日を守ろうとしない。私は彼らの中で汚され
ている。 27 彼女の中の高官たちは,獲物を引き裂くオオカミのようであり,不当な利益を得るために人々を
襲って殺す。 28 彼女の預言者たちは,しっくいを塗るかのように彼らの行いを覆った。偽りの幻を見て,う
その占いをし,エホバが語っていないのに,「主権者である主エホバはこう言っている」と語る。 29 この土
地の人々は,詐欺や強盗を働き,困っている人や貧しい人を不当に扱い,外国人居住者をだまして公正に扱わ
なかった』。
  30 『私は彼らの中で人を探していた。この土地が滅ぼされないように,石の壁を修理するか,私の前で壁
の裂け目に立って土地を守ってくれる人である。しかし,誰も見つからなかった。 31 それで,私は彼らに怒
りを浴びせ,私の激怒の火で根絶やしにする。彼らに自分たちの歩みの報いを受けさせる』と,主権者である
主エホバは宣言する」。
  23 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,2人の女性がいた。同じ母から生まれた娘
たちだった。 3 2人はエジプトで娼婦になり,若い頃から売春を行った。その土地で乳房をつかまれ,乙女の
胸をなで回された。 4 彼女たちの名前は,姉がオホラ,妹がオホリバだった。2人は私のものとなり,息子や
娘を産んだ。オホラはサマリアのことであり,オホリバはエルサレムのことである。
  5 オホラは,私のものでありながら売春を行うようになり,愛人である近隣のアッシリア人に情欲を抱い
た。 6 彼らは,青い服を着た総督や,代官であり,皆が馬に乗った好ましい若者だった。 7 オホラはアッシ
リアのえり抜きの者たち皆と売春をし続け,自分が情欲を向ける者たちの汚らわしい偶像によって自分を汚し
た。 8 彼女はエジプトで行っていた売春をやめなかった。彼女が若い時に,人々は彼女と寝て乙女の胸をなで
回し,彼女に情欲を燃やしたのである。 9 それで私は,オホラを愛人の手に,彼女が情欲を向けたアッシリア
の人々の手に渡した。 10 彼らは彼女の裸をさらし,息子や娘を奪い,彼女を剣で殺した。彼女は女性たちの
中で汚名を着せられ,彼らは彼女に刑を執行した。
  11 それを見た妹のオホリバは,いっそう堕落して情欲を燃やし,姉よりもひどい売春を行った。 12 彼
女は近隣のアッシリアの人々に情欲を抱いた。彼らは,立派な服を着て馬に乗った総督や代官であり,皆が好
ましい若者だった。 13 オホリバが自分を汚した時,私は2人とも同じ道を歩んだのを見た。 14 オホリバは
ますます売春を行っていった。彼女は壁に彫られた男性たちを見た。それは朱色に彫られたカルデア人の像で,
15 腰に帯を締め,端を垂らしたターバンを頭に巻き,戦士のいでたちをしていた。それは皆,カルデア人の
土地で生まれたバビロニア人の像だった。 16 オホリバはそれを見るや,彼らに情欲を抱くようになり,カル
デアにいる彼らのもとに使者を送った。 17 するとバビロンの人々はやって来ては彼女の寝床で関係を持ち,
情欲によって彼女を汚した。彼女は汚された後,嫌悪を抱いて彼らから離れていった。
  18 オホリバが恥知らずにも売春を行い続け,自分の裸をさらし続けたので,私は嫌悪を抱いて彼女から離
れていった。彼女の姉から離れたのと同じようにである。 19 オホリバは,若い頃にエジプトで売春を行った
時のことを思い起こし,ますます売春を行っていった。 20 ロバや馬のような生殖器を持つ男たちに情欲を燃
やした。まるで彼らのそばめのようにである。 21 あなたは,エジプトで人々があなたの胸を,若い頃の乳房
をなで回した時の,みだらな行いを渇望した。
  22 それで,オホリバよ,主権者である主エホバはこう言う。『私は,あなたの愛人たちをけしかけている。
あなたが嫌悪を抱いて離れていった者たちに,あなたを四方から攻めさせる。 23 バビロンの人々と全てのカ
ルデア人,ペコドとショアとコアの人たち,またアッシリアの人々全てに,あなたを攻めさせる。彼らは,皆
が好ましい若者で,総督や代官,戦士,選ばれた者であり,馬に乗っている。 24 ごう音を立てるたくさんの
戦車と大勢の兵であなたを攻撃する。大盾と小盾とかぶとを身に着け,あなたの周囲に陣取る。私は彼らに裁
く権限を与え,彼らは思い通りにあなたを裁く。 25 私はあなたへの憤りを表し,彼らはあなたに激しい怒り
を向ける。あなたの鼻と耳は切り取られ,残っている人は剣によって倒れる。あなたの息子や娘は奪われ,残
っている人は火で焼き尽くされる。 26 彼らはあなたの服を剥ぎ取り,美しい装飾品を取り上げる。 27 私は,
エジプトで始まったあなたのみだらな行いと売春をやめさせる。あなたは見ることをやめ,もはやエジプトを
思い起こさない』。
  28 主権者である主エホバはこう言う。『私は,あなたが憎んでいる者たち,あなたが嫌悪を抱いて離れて
いった者たちに,あなたを引き渡そうとしている。 29 彼らはあなたに憎しみを向け,あなたが苦労して手に
入れた物を全て奪い,あなたを裸にする。あなたの不道徳とみだらな行いと売春の恥がさらされることになる。
30 そういう目に遭うのは,あなたが娼婦のように異国の人々を追い掛け,彼らの汚らわしい偶像によって自
分を汚したからである。 31 あなたは自分の姉と同じ道を歩んだのであり,私は彼女の杯をあなたに渡す』。
  32 主権者である主エホバはこう言う。
  『あなたは,姉の深くて大きい杯から飲み,笑いものにされ,あざけられる。
  杯は冷笑とあざけりで満ちている。
  33 あなたはひどく酔い,悲しみに暮れる。
  それは恐怖と荒廃の杯,
  あなたの姉サマリアの杯。
  34 あなたはそれを飲み干し,杯のかけらをかじらなければならない。
  そして,自分の胸を切り裂く。
  「私が語ったからである」と,主権者である主エホバは宣言する』。
  35 それで,主権者である主エホバはこう言う。『あなたは,私を忘れ,完全に無視したので,自分のみだ
らな行いと売春の報いを受ける』」。
  36 それからエホバは私に言った。「人の子よ,オホラとオホリバに裁きを言い渡し,極めて不快な行いを
思い知らせてほしい。 37 2人は姦淫をし,手は血に染まっている。汚らわしい偶像と姦淫をしただけでなく,
私のために産んだ子たちをさえ火で焼き,食物として偶像に捧げたのである。 38 その上,私に対して次のこ
とも行った。その日に私の聖なる所を汚し,私の安息日を汚したのである。 39 2人は,自分の子たちを殺し,
汚らわしい偶像に犠牲として捧げた後,まさにその日に私の聖なる所に入ってきてそこを汚した。私の家の中
でそのようにしたのである。 40 さらに,2人は使者を送り,遠くから男性たちを呼び寄せた。彼らがやって
来ると,あなたは体を洗い,目に化粧をし,装飾品で身を飾った。 41 そして,豪華な寝椅子に座り,その前
にある食卓の上に私の香と油を置いた。 42 気楽に過ごす群衆の声がし,その中には荒野から連れてこられた
酔った者たちもいた。彼らは2人の手に腕輪をはめ,頭に美しい冠をかぶせた。
  43 私は姦淫をして疲れ果てた彼女について,『彼女は売春を行い続ける』と言った。 44 そして彼らは,
娼婦の所に行くように彼女の所に通った。そのようにして,みだらな行いをする女性オホラとオホリバの所に
行ったのである。 45 しかし,正しい者たちは,姦淫と流血の罪に見合った裁きを彼女に下す。彼女たちは姦
淫をしたのであり,手が血に染まっているからである。
  46 主権者である主エホバはこう言う。『2人は軍隊に攻められ,略奪に遭い,それを見る人々は恐怖を感
じる。 47 軍隊は2人に石を投げ付け,剣で切り殺す。彼女たちの息子や娘を殺し,家々を火で焼く。 48 私
はこの土地でみだらな行いをやめさせる。全ての女性は教訓を得て,あなたたちのみだらな行いに倣うことは
なくなる。 49 あなたたちは敵に襲われて,自分のみだらな行いの報いと,汚らわしい偶像との罪の報いを受
ける。そして,私が主権者である主エホバであることを知らなければならなくなる』」。
  24 章
  1 第9年,第10の月の10日,エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,この日付を,
まさにこの日を記録しなさい。バビロンの王はまさにこの日にエルサレムを攻め始めた。 3 反逆的な民に関す
る例えを語り,彼らについてこう言いなさい。
  『主権者である主エホバはこう言っている。
  「鍋を火に掛けよ。火に掛けて,水を入れよ。
  4 あらゆる良い肉片を鍋に入れよ。
  ももと肩の肉を入れ,最上の骨で鍋を満たすのである。
  5 最上の羊を選び,鍋の下にまきを敷き詰めよ。
  肉片をゆで,骨を煮るように」』。
  6 主権者である主エホバはこう言う。
  『流血に満ちた都市には災いがある!
  この都市はさび付いた鍋であり,さびが取り除かれていない。
  肉を1切れずつ全て取り出せ。
  くじを引いて選んではならない。
  7 血が都市の中にあるからである。
  彼女は血をむき出しの岩に注いだ。
  地面には注がず,土で覆わなかった。
  8 私は,復讐するために激しい怒りをかき立てようと,
  彼女の血をむき出しの岩に注がれたままにし,
  その血が覆われないようにした』。
  9 主権者である主エホバはこう言う。
  『流血に満ちた都市には災いがある!
  私はまきを高く積み上げる。
  10 まきを積み重ね,火をおこせ。
  肉を十分にゆで,肉汁を注ぎ出し,骨を焦がせ。
  11 空の鍋を炭火の上に置き,
  銅が真っ赤になるまで熱するように。
  鍋の汚れは中で溶け,さびはなくなっていく。
  12 しかし,努力もむなしく,もどかしいことに,
  頑固なさびは落ちない。
  鍋をそのさびごと火に投げ入れよ!』
  13 『あなたの汚れは,みだらな行いのせいである。私はあなたを清めようとしたが,あなたは汚れたまま
で清くならなかった。あなたに対する私の激しい怒りが和らぐまで,あなたは清くならない。 14 私エホバが
語ったのである。これは必ず起きる。私はためらわずに行動し,悲しまず,嘆かない。あなたは自分の生き方
や行いに応じて裁かれる』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  15 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 16 「人の子よ,私は,あなたの愛する人を速やかに奪お
うとしている。あなたは嘆いてはいけない。泣いて涙を流してもいけない。 17 声を出さずに悲しみなさい。
死者のために喪に服してはいけない。ターバンを巻き,サンダルを履きなさい。口ひげを覆ってはいけない。
人が持ってきたパンを食べてはいけない」。
  18 朝に私は人々に語り掛け,夕方に妻が死んだ。それで次の朝,私は命じられた通りにした。 19 人々
は私に,「あなたがしているこれらのことが私たちとどんな関係があるのか,話してくれませんか」と言った。
20 私は彼らに答えた。「エホバが私に語り掛けて,こう言いました。 21 『イスラエル国民に言いなさい。
「主権者である主エホバはこう言っている。『私は,私の聖なる所を汚そうとしている。あなたたちが大いに
誇り,大切にし,心から慕っている場所を汚すのである。あなたたちが残してきた息子や娘は,剣によって倒
れる。 22 そしてあなたたちは,エゼキエルがした通りにしなければならない。口ひげを覆わず,人が持って
きたパンを食べない。 23 ターバンを巻き,サンダルを履く。嘆くことも泣くこともしない。自分の過ちのせ
いで弱り果て,互いに悲しみを表す。 24 エゼキエルはあなたたちに対するしるしとなった。あなたたちは彼
がした通りにする。それが起きる時,あなたたちは私が主権者である主エホバであることを知らなければなら
なくなる』」』」。
  25 「人の子よ,私は民の要塞を取り去る。彼らが喜び,大切にし,心から慕っているその美しい物を,彼
らの息子や娘と共に取り去るのである。その日に, 26 逃れた人が,起きた事をあなたに報告する。 27 その
日に,あなたは口を開いて,逃れた人に語り掛け,もはや黙ったままではいない。あなたは彼らに対するしる
しとなり,彼らは私がエホバであることを知らなければならなくなる」。
  25 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,顔をアンモン人の方に向けて,彼らに対し
て預言しなさい。 3 アンモン人についてこう言わなければならない。『主権者である主エホバの言葉を聞きな
さい。主権者である主エホバはこう言っている。「私の聖なる所が汚された時,イスラエルの土地が荒廃させ
られた時,ユダ国民が捕囚にされた時,あなたは『いい気味だ!』と言った。そのため, 4 私はあなたを東方
の人たちに渡し,所有させる。彼らはあなたの中に宿営を設け,自分たちの天幕を張る。そして,あなたの産
物を食べ,ミルクを飲む。 5 私はラバをラクダの牧草地とし,アンモン人の土地を羊の群れの休み場とする。
あなた方は私がエホバであることを知らなければならなくなる」』」。
  6 「主権者である主エホバはこう言う。『あなたは手をたたき,足を踏み鳴らし,軽蔑を込めてイスラエ
ルの土地について喜んだ。そのため, 7 私はあなたに向かって手を伸ばし,国々に渡して略奪させる。あなた
を人々の中から除き,国々から除いて滅ぼし尽くす。あなたは私がエホバであることを知らなければならなく
なる』。
  8 主権者である主エホバはこう言う。『モアブとセイルは,「ユダ国民はほかの全ての国民と同じだ」と
言った。そのため, 9 私はモアブの側面を敵の攻撃にさらす。モアブの国境に近い町々,その土地の美しい
町々である,ベト・エシモトやバアル・メオンが攻撃され,キルヤタイムまで攻め込まれる。 10 私はモアブを
アンモン人と共に東方の人たちに渡し,所有させる。アンモン人が国々の間で思い出されることはない。 11
そして私はモアブで刑を執行し,モアブ人は私がエホバであることを知らなければならなくなる』。
  12 主権者である主エホバはこう言う。『エドムはユダ国民に対する復讐に燃え,復讐をして大きな罪を負
った。 13 そのため,主権者である主エホバはこう言う。「私はエドムに向かって手を伸ばし,人々と家畜を
滅ぼし,土地を荒廃させる。テマンからデダンに至るまで,人々は剣によって倒れる。 14 『私は,私の民イ
スラエルの手によってエドムに復讐する。私の民は私の怒りと憤りをエドムに表し,エドム人は私の復讐を味
わうことになる』と,主権者である主エホバは宣言する」』。
  15 主権者である主エホバはこう言う。『フィリスティア人は弱まることのない敵意を抱き,復讐して滅び
をもたらそうと悪巧みをした。 16 そのため,主権者である主エホバはこう言う。「私はフィリスティア人に
向かって手を伸ばし,ケレト人を排除し,海辺に残っている住民を滅ぼす。 17 彼らを激しく処罰し,大いに
復讐する。私が彼らに復讐する時,彼らは私がエホバであることを知らなければならなくなる」』」。
  26 章
  1 第11年,その月の1日,エホバが私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,ティルスはエルサレ
ムに向かってこう言った。『いい気味だ! さまざまな民が通る門は破られた! この都市が滅ぼされたので,
全ての物は私の方に来て,私は裕福になる』。そのため, 3 主権者である主エホバはこう言う。『ティルスよ,
私はあなたに敵対している。海が波を起こすように,私は多くの国に行動を起こさせ,あなたを攻めさせる。
4 彼らはティルスの城壁を破壊し,塔を壊す。私は土壌を削り取り,この町をむき出しの岩にする。 5 この
町は海のただ中で,引き網の干し場となる』。
  主権者である主エホバはこう宣言する。『私が語ったからであり,ティルスは国々に略奪される。 6 本土
の町々は剣によって倒れ,人々は私がエホバであることを知らなければならなくなる』。
  7 主権者である主エホバはこう言う。『私は,北からバビロンのネブカドネザル王にティルスを攻めさせ
る。彼は王の中の王であり,馬,戦車,騎兵,大きな軍隊と共に来る。 8 彼は本土の町々を剣で滅ぼし,包囲
壁を建て,あなたを攻めるための土塁を築き,あなたに向かって大盾を構える。 9 破城槌であなたの城壁を打
ちたたき,おので塔を打ち壊す。 10 彼の馬があまりに多いので,あなたは土ぼこりに覆われる。人々が城壁
の壊れた都市になだれ込む時のように,彼があなたの門を通って入る時,騎兵と戦車の車輪の音のために城壁
は揺れる。 11 あなたの全ての通りは彼の馬のひづめで踏みにじられる。住民は剣で殺され,巨大な柱はどれ
も倒れて砕ける。 12 彼らはあなたの資産を奪い取り,商品を略奪し,城壁を壊し,立派な家を打ち壊す。そ
して,あなたの石や木材や土を海に投げ込む』。
  13 『私はあなたの騒がしい歌をやめさせる。たて琴の音ももう聞かれなくなる。 14 私はあなたをむき
出しの岩にする。あなたは引き網の干し場となり,決して再建されない。私エホバが語ったからである』と,
主権者である主エホバは宣言する。
  15 主権者である主エホバはティルスにこう言う。『死にかけている人々がうめき,あなたの中で虐殺が行
われる時,あなたが崩壊する音に島々は身震いしないだろうか。 16 海の全ての長は,自分たちの座から降り
てきて,長い外衣を脱ぎ,刺しゅうが施された服を脱ぎ捨て,震え始める。彼らは地面に座り,震え続け,ぼ
うぜんとあなたを見つめる。 17 そしてあなたをしのんで哀歌を歌い,こう言う。
  「あなたは滅びてしまった。
  海から来た人々が住み着いた,
  褒めたたえられた町よ。
  あなたと住民は海で力を振るい,
  地上に住む全ての人が恐怖を覚えるほどだった。
  18 あなたが崩壊する日に,島々は震える。
  あなたがいなくなる時,海の島々はかき乱される」』。
  19 主権者である主エホバはこう言う。『私はあなたを滅ぼし,誰も住んでいない町のようにする。荒波に
あなたをのみ込ませ,大波があなたを覆う。その時, 20 私はあなたを,一緒に墓穴に下る者たちと共に,昔
の人々のもとに連れていく。過去に滅ぼされた場所に似た,最も低い場所に,墓穴に下る者たちと共に住まわ
せる。あなたは誰も住まない所となり,私は地上に栄光を与える。
  21 私はあなたを突然の恐怖に陥れ,あなたはいなくなる。人々はあなたを捜すが,あなたは永久に見つか
らない』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  27 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,ティルスに関する哀歌を歌いなさい。 3 テ
ィルスにこう言いなさい。
  『海の出入り口に住んでいる者,
  多くの島の民と取引をする商人よ,
  主権者である主エホバはこう言っている。
  「ティルスよ,あなたは,『私は完璧なまでに美しい』と言った。
  4 あなたの領地は海のただ中にある。
  あなたを造った者たちが,あなたをこの上なく美しくした。
  5 彼らはあなたの厚板を全てセニルのネズの木で作った。
  レバノンの杉を使ってあなたのために帆柱を作った。
  6 バシャンの巨木でオールを作った。
  キッテムの島々からの,象牙をはめ込んだイトスギ材で船首を作った。
  7 エジプトの色とりどりの亜麻布が帆に使われた。
  甲板を覆う日よけは,エリシャの島々からの青糸と紫の羊毛でできていた。
  8 シドンとアルワドの住民があなたのこぎ手だった。
  ティルスよ,あなたの中にいる技術を持つ者たちが船員だった。
  9 ゲバルの経験豊かな者や技術を持つ者が,あなたの接ぎ目をふさいだ。
  海の全ての船と船乗りが,商品を取引するためにあなたの所に来た。
  10 ペルシャ,ルド,プトの人たちが,戦士としてあなたの軍隊にいた。
  彼らは盾とかぶとをあなたに掛け,あなたに栄光をもたらした。
  11 あなたの軍隊のアルワドの人たちは周囲の城壁の上に立ち,
  勇ましい者たちが塔の中で配置に就いた。
  彼らは城壁の周りに円盾を掛け,
  あなたをこの上なく美しくした。
  12 あなたが非常に裕福だったので,タルシシュはあなたと取引をした。銀,鉄,スズ,鉛と引き換えに,
あなたの品物を手に入れた。 13 ヤワン,トバル,メシェクもあなたと交易をし,奴隷や銅製品と引き換えに
あなたの商品を手に入れた。 14 トガルマの子孫は,馬やラバと引き換えにあなたの品物を手に入れた。 15
デダンの人々もあなたと交易をした。あなたは多くの島で商人を雇い,人々は象牙とコクタンをあなたに贈っ
た。 16 エドムも,豊かな産物を求めてあなたと取引をした。トルコ石,紫の羊毛,色とりどりの布,上等の
織物,サンゴ,ルビーと引き換えに,あなたの品物を手に入れた。
  17 ユダとイスラエルもあなたと交易をし,ミニトの小麦,えりすぐりの食物,蜜,油,バルサムと引き換
えにあなたの品物を手に入れた。
  18 ダマスカスも,豊かな産物を求めて,裕福なあなたと取引をし,ヘルボンのぶどう酒とツァハルの羊毛
を運んできた。 19 ウザル地方のベダンとヤワンは,錬鉄,カシア,ショウブと引き換えにあなたの品物を手
に入れた。 20 デダンは,馬のくら用の布であなたと交易をした。 21 あなたはアラブ人と,ケダルの全ての
長を雇った。彼らは子羊や雄羊やヤギを扱う商人だった。 22 シェバとラアマの商人たちもあなたと交易をし
た。あらゆる種類の極上の香料,宝石,金と引き換えに,あなたの品物を手に入れた。 23 ハラン,カネ,エ
デン,シェバの商人たち,アシュル,キルマドもあなたと交易をした。 24 彼らはあなたの市場で,美しい服,
青い生地と色とりどりの布で作られたマント,多彩なじゅうたんを取引した。それらは全て縄でしっかり縛ら
れていた。
  25 タルシシュの船があなたの商品を運んだ。
  あなたは荷をいっぱいに積んで大海原のただ中を進んだ。
  26 こぎ手たちはあなたを荒れた海に連れてきた。
  東風により,あなたは大海原のただ中で難破した。
  27 あなたの富,品物,商品,船乗り,船員,
  あなたの接ぎ目をふさぐ者,商品を取引する者,全ての戦士,
  あなたの中にいる群衆全体が,大海原のただ中で沈む。
  あなたが崩壊する日に。
  28 あなたの船員が叫ぶ時,海沿いの地帯は身震いする。
  29 全てのこぎ手,船乗り,海の男たちが,
  船から下りて陸に立つ。
  30 彼らはあなたのことで悲しんで声を上げて泣く。
  頭に土をかぶり,灰にまみれてのたうち回る。
  31 髪の毛をそり落として粗布をまとい,
  あなたのことで悲しんで激しく泣き叫ぶ。
  32 彼らは悲嘆に暮れ,あなたをしのんで哀歌を歌い,こう言う。
  『海のただ中で沈黙させられたティルスに匹敵する者がいるだろうか。
  33 あなたの品物が大海原から運ばれてくると,多くの民が満足した。
  あなたの豊かな富と商品により,地上の王たちは裕福になった。
  34 今やあなたは大海原で難破し,深い水の中に沈んでいる。
  あなたの商品も民も皆一緒に沈んだ。
  35 島々の住民は皆ぼうぜんとあなたを見つめる。
  王たちは恐怖に震え,顔をしかめる。
  36 国々の商人は,あなたに起きたことに驚いて口笛を吹く。
  あなたは突然に悲惨な最期を迎え,
  永久に存在しなくなる』」』」。
  28 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,ティルスの指導者に言いなさい。『主権者
である主エホバはこう言っている。
  「あなたは心が傲慢になり,こう言い続ける。
  『私は神だ。海のただ中で,神の座に着いている』。
  しかしあなたは人にすぎず,神ではない。
  心の中で自分は神だと思い込んでいるのだ。
  3 あなたはダニエルよりも賢い。
  あなたに解けない秘密はない。
  4 あなたは知恵と識別力によって裕福になり,
  宝物庫に金や銀を蓄え続ける。
  5 あなたは商才にたけ,多くの富を得た。
  その富のゆえにあなたの心は傲慢になった」』。
  6 『それで,主権者である主エホバはこう言う。
  「あなたは心の中で自分は神だと思い込んでいるので,
  7 私は外国人にあなたを攻めさせる。
  国々の中で最も冷酷な者たちが,あなたに向かって剣を抜く。
  あなたの知恵による美しさは損なわれ,輝かしい栄光は汚される。
  8 彼らはあなたを墓に下らせ,
  あなたは大海原のただ中で殺されて死ぬ。
  9 あなたは自分を殺す者に向かって,『私は神だ』とまだ言うのか。
  あなたは人にすぎず,神ではなく,あなたを汚す者たちの手に落ちる」』。
  10 『あなたは外国人の手に掛かって,割礼を受けていない者のように死ぬ。
  私が語ったからである』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  11 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 12 「人の子よ,ティルスの王に関する哀歌を歌い,彼に
言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。
  「あなたはまさしく完全だった。
  知恵に満ち,完璧なまでに美しかった。
  13 あなたは神の園であるエデンにいた。
  あなたはあらゆる宝石で飾られていた。
  ルビー,トパーズ,碧玉,
  かんらん石,しまめのう,ひすい,
  サファイア,トルコ石,エメラルド。
  石を留める枠や台座は金でできていた。
  それらはあなたが創造された日に用意された。
  14 私はあなたを任命し,保護を与える選ばれたケルブとした。
  あなたは神の聖なる山にいて,燃える石の間を歩き回った。
  15 創造された日から,あなたの歩みには非の打ちどころがなかった。
  あなたの中に不正が見いだされるまでは。
  16 交易が盛んになると,
  あなたは暴力に満ち,罪を犯すようになった。
  そのため,保護を与えるケルブよ,私はあなたを汚れた者として神の山から追い出し,
  燃える石から遠ざけて滅ぼす。
  17 あなたの心は,自分の美しさのゆえに傲慢になった。
  あなたの知恵は,輝かしい栄光のゆえに腐敗した。
  私はあなたを地上に投げ落とし,
  王たちの前で見せ物にする。
  18 あなたは大きな罪と不当な交易により,自分の聖なる所を汚した。
  私はあなたの中で火を生じさせ,あなたを焼き尽くさせる。
  地上で,あなたを見る全ての人の前で,あなたを灰にする。
  19 国々の中であなたを知っていた人々は皆,ぼうぜんとあなたを見つめる。
  あなたは突然に悲惨な最期を迎え,
  永久に存在しなくなる」』」。
  20 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 21 「人の子よ,顔をシドンの方に向け,その町に対して
預言しなさい。 22 こう言わなければならない。『主権者である主エホバはこう言っている。
  「シドンよ,私はあなたに敵対しており,あなたの中で栄光を受ける。
  私が町に刑を執行し,その中で神聖なものとされる時,人々は私がエホバであることを知らなければなら
なくなる。
  23 私は町の中で疫病をまん延させ,通りには血が流れる。
  剣が四方から襲う時,人々は殺されて町の中で倒れる。
  彼らは私がエホバであることを知らなければならなくなる。
  24 イスラエル国民は,痛みを引き起こす危険ないばら,つまりイスラエルを軽蔑する者たちに,もはや囲
まれることはない。人々は私が主権者である主エホバであることを知らなければならなくなる」』。
  25 『主権者である主エホバはこう言う。「さまざまな民の中に散らされていたイスラエル国民を私が再び
集める時,私は彼らの中で,異国の人々の目の前で神聖なものとされる。イスラエル国民は,私に仕えたヤコ
ブに私が与えた土地に住む。 26 彼らはそこに安心して住み,家を建て,ブドウ園を造る。彼らを軽蔑する周
囲の者たち全てに私が刑を執行する時,彼らは安心して住み,私が彼らの神エホバであることを知らなければ
ならなくなる」』」。
  29 章
  1 第10年,第10の月の12日,エホバが私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,エジプトの王
ファラオに顔を向け,彼とエジプト全体に対して預言しなさい。 3 こう言わなければならない。『主権者であ
る主エホバはこう言っている。
  「エジプトの王ファラオよ,私はあなたに敵対している。
  自分のナイルの流れに横たわる,海の巨獣よ。
  あなたは言った。『ナイル川は私のもの。
  私が自分のために造ったのだ』。
  4 私はあなたの顎にかぎを引っ掛け,ナイルの魚をあなたのうろこに付かせる。
  あなたと,あなたのうろこに付くナイルの魚全てを,ナイルから引き上げる。
  5 そして,あなたをナイルの全ての魚と共に砂漠に捨てる。
  あなたは荒野に倒れ,拾い集められることはない。
  私はあなたを地上の野獣と空を飛ぶ鳥に食べさせる。
  6 エジプトの住民は皆,私がエホバであることを知らなければならなくなる。
  彼らはイスラエル国民にとって,1本のわらほどの支えにもならなかった。
  7 イスラエルの民があなたの手をつかんだ時,
  あなたは押しつぶされ,彼らの肩にけがをさせた。
  彼らがあなたに寄り掛かった時,
  あなたは折れ,彼らの足をよろけさせた」。
  8 それで,主権者である主エホバはこう言う。「私はあなたに剣を差し向け,人々と動物を滅ぼす。 9
エジプトは滅ぼされ,荒廃し,人々は私がエホバであることを知らなければならなくなる。あなたが,『ナイ
ル川は私のもの。私が造ったのだ』と言ったからである。 10 私はあなたとナイルに敵対し,ミグドルからシ
エネまで,エチオピアとの国境に至るまで,エジプトを滅ぼし,乾いて荒れ果てた所にする。 11 人も家畜も
そこを通ることはなくなり,40年の間誰もそこに住まない。 12 私はエジプトを最も荒れた土地とし,エジ
プトの町々を40年の間最も荒廃した町々とする。エジプト人を国々に散らし,さまざまな土地に追いやる」。
  13 主権者である主エホバはこう言う。「私は40年の後,さまざまな民の中に散らされていたエジプト人
を集めて戻す。 14 捕らわれていたエジプト人を,出身地であるパトロスに連れ戻す。彼らはそこで取るに足
りない王国を造る。 15 エジプトは他の王国に劣るようになり,もはや他の国を支配することはなくなる。私
は彼らを非常に少なくして,他の国を従わせることができないようにする。 16 エジプトは,二度とイスラエ
ル国民に信頼されることはない。エジプト人に助けを求めた過ちを,イスラエル国民に思い起こさせるだけの
存在になる。そしてイスラエル国民は,私が主権者である主エホバであることを知らなければならなくな
る」』」。
  17 第27年,第1の月の1日,エホバが私に語り掛けてこう言った。 18 「人の子よ,バビロンのネブ
カドネザル王はティルスを攻め,軍隊に重労働を課した。どの頭もはげ,どの肩も擦りむけた。しかし,王と
軍隊は,ティルスを攻め落とすための労苦に対し,何の報酬も得なかった。
  19 それで,主権者である主エホバはこう言う。『私はエジプトをバビロンのネブカドネザル王に与える。
彼はエジプトの富を運び去り,多くの戦利品や略奪品を手に入れる。それが彼の軍隊のための報酬となる』。
  20 『彼女を攻めた労苦に対する報酬として,私はエジプトを彼に与える。彼らが私のために行動したから
である』と,主権者である主エホバは宣言する。
  21 その日,私はイスラエル国民のために1本の角を生えさせ,彼らの中で話す機会をあなたに与える。彼
らは私がエホバであることを知らなければならなくなる」。
  30 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,預言しなさい。『主権者である主エホバは
こう言っている。
  「『ああ,その日が来る!』と泣き叫びなさい。
  3 その日が近いからである。
  エホバの日が近いのである。
  それは暗雲の日,国々の定めの時となる。
  4 剣がエジプトを襲い,エジプトで人々が殺されて倒れる時,エチオピアは慌てふためく。
  エジプトの富は奪われ,国の基盤は崩される。
  5 エチオピア,プト,ルド,他の国の人々,
  クブ,また契約の地の人々は皆,
  剣によって倒れる」』。
  6 エホバはこう言う。
  『エジプトの支持者たちも倒れ,
  エジプトの高慢な力はすっかり衰える』。
  主権者である主エホバはこう宣言する。『ミグドルからシエネまで,人々はその土地で剣によって倒れる。
7 エジプトは最も荒れた土地とされ,エジプトの町々は最も荒廃した町々となる。 8 私がエジプトに火を放
ち,同盟国が皆滅ぼされる時,彼らは私がエホバであることを知らなければならなくなる。 9 その日,私は船
で使者を送り,うぬぼれているエチオピアを震え上がらせる。彼らは,エジプトにその日が来る時,慌てふた
めくことになる。その日は必ず来るからである』。
  10 主権者である主エホバはこう言う。『私は,バビロンのネブカドネザル王の手により,エジプトの群衆
を根絶やしにする。 11 王と兵士たち,国々の中で最も冷酷な者たちが,エジプトを滅ぼすために連れてこら
れる。彼らは剣を抜いてエジプトを攻め,その土地を殺された人々で満たす。 12 私はナイルの運河を干上が
らせ,その土地を悪人たちに売り渡す。土地とその中の全てのものを,外国人の手によって荒廃させる。私エ
ホバが語ったのである』。
  13 主権者である主エホバはこう言う。『私は汚らわしい偶像も滅ぼし,ノフの無価値な神々を根絶やしに
する。エジプトから長が出ることはもうなく,私はエジプトに恐れを抱かせる。 14 パトロスを荒廃させ,ツ
ォアンに火を放ち,ノに刑を執行する。 15 エジプトのとりでであるシンに激しい怒りを浴びせ,ノの人々を
滅ぼす。 16 私はエジプトに火を放つ。シンは恐怖におびえ,ノは打ち破られ,ノフは白昼に攻撃される。
17 オンとピベセトの若者は剣によって倒れ,町々は捕らわれる。 18 私がテハフネヘスでエジプトの圧制を
終わらせる時,そこでは昼間も暗くなる。彼女の高慢な力は絶え,彼女は雲に覆われ,彼女の町々は捕らわれ
る。 19 私はエジプトに刑を執行し,彼らは私がエホバであることを知らなければならなくなる』」。
  20 第11年,第1の月の7日,エホバが私に語り掛けてこう言った。 21 「人の子よ,私はエジプトの
王ファラオの腕を折った。それが治るように包帯が巻かれることも,剣を持てるように添え木が当てられるこ
ともない」。
  22 「主権者である主エホバはこう言う。『私はエジプトの王ファラオに敵対している。彼の強い腕と折れ
た腕の両方を折り,手から剣が落ちるようにする。 23 そして,エジプト人を国々に散らし,さまざまな土地
に追いやる。 24 私はバビロンの王の腕を強くし,彼の手に私の剣を渡し,ファラオの腕を折る。ファラオは
バビロンの王の前で,死にそうな人のようにうめき声を上げる。 25 私はバビロンの王の腕を強くするが,フ
ァラオの腕は弱々しく垂れ下がる。私がバビロンの王の手に私の剣を渡し,彼がエジプトに対してそれを振る
う時,人々は私がエホバであることを知らなければならなくなる。 26 私はエジプト人を国々に散らし,さま
ざまな土地に追いやり,彼らは私がエホバであることを知らなければならなくなる』」。
  31 章
  1 第11年,第3の月の1日,エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,エジプトの王
ファラオとその群衆に言いなさい。
  『あなたは偉大さの点で誰に似ているだろうか。
  3 アッシリア人,またレバノンの杉のようだ。
  美しい枝は陰を作る林のようで,丈は高く,
  頂は雲に達していた。
  4 木は水によって大きくなり,深い泉によって高くなった。
  植えられた場所の周囲には川が流れ,
  野の全ての木を潤す幾つもの水路があった。
  5 そのため,この木は野のほかのどの木よりも高くなった。
  大枝が増え,細い枝も長く伸びた。
  川の豊かな水によって。
  6 空を飛ぶ全ての鳥が大枝に巣を作り,
  野の全ての野生動物が枝の下で子を産み,
  人口の多い国の人々が皆,木陰に住んだ。
  7 木は非常に美しくなり,枝が非常に長く伸びた。
  豊かな水に根を下ろしたからである。
  8 神の園のほかのどの杉も,この木と比べものにならなかった。
  どのネズの木も,この木のような大枝はなかった。
  どのスズカケノキも,この木の枝には見劣りした。
  神の園のほかのどの木も,この木の美しさにはかなわなかった。
  9 私はこの木を美しくし,枝葉を茂らせた。
  真の神の園であるエデンのほかの全ての木は,この木をうらやんだ』。
  10 それで,主権者である主エホバはこう言う。『この木は非常に高くなり,頂が雲に達し,その丈の高さ
ゆえに心が高慢になったので, 11 私はこれを国々の強力な支配者に引き渡す。彼は必ずこれを攻め,私はこ
の木の邪悪さゆえにこれを退ける。 12 外国人たち,国々の中で最も冷酷な者たちが,この木を切り倒し,
山々の上に捨てる。枝葉は全ての谷に落ち,枝は折れて土地の全ての川に横たわる。地上の全ての民が木陰か
ら出て,この木を見捨てる。 13 空を飛ぶ全ての鳥が倒れた幹にすみ,野の全ての野生動物が枝にすむ。 14
もはや,水辺にあるどの木も丈が高くならず,頂が雲に達することはない。水を十分に得たどの木も,雲に届
くほど高くなることはない。それらは皆,死んで地下に下るからである。人々と共に墓穴に下るのである』。
  15 主権者である主エホバはこう言う。『木が墓に下る日に,私は悲しみを生じさせる。そして,深い水を
覆い,川をせき止めるので,豊かな水がとどめられる。私はその木のゆえにレバノンを暗くし,野の木は全て
枯れ果てる。 16 墓穴に下る全ての者と共にその木を墓に下らせる時,私はその崩壊の音によって国々を身震
いさせる。エデンの全ての木,レバノンのえり抜きの最上の木々,水を十分に得た全ての木は,地下で慰めら
れることになる。 17 それらは彼と共に,また国々の中で彼の陰に住んだ支持者たちと一緒に,墓に下った。
剣で殺された者たちのもとに下ったのである』。
  18 『栄光や偉大さの点であなたに匹敵する木がエデンにあっただろうか。しかし,あなたはエデンの木々
と共に必ず地下に下ることになる。剣で殺された者たちと共に,割礼を受けていない者たちの中に横たわる。
ファラオとその群衆全てがそのようになる』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  32 章
  1 第12年,第12の月の1日,エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,エジプトの
王ファラオに関する哀歌を歌い,彼に言いなさい。
  『あなたは国々の中で,若くて強いライオンのようだった。
  しかし,沈黙させられた。
  あなたは海の巨獣のようだった。
  自分の川の中で暴れ回り,
  足で水を濁らせ,川を汚した』。
  3 主権者である主エホバはこう言う。
  『私は多くの国の人々を集め,
  あなたに向かって網を投げさせる。
  彼らは私の引き網であなたを引き上げる。
  4 私はあなたを大地に捨て,
  荒野に投げ捨てる。
  空を飛ぶ全ての鳥をあなたの上に止まらせ,
  地上の全ての野獣の腹をあなたで満たす。
  5 あなたの肉を山の上に投げ捨て,
  あなたの残骸で谷を満たす。
  6 あなたからほとばしる血で大地を血まみれにする。
  その血は山にまで達し,川に満ちる』。
  7 『あなたが消え去る時,私は天を覆い,
  星を暗くし,太陽を雲で覆う。
  月も輝きを失う。
  8 私はあなたのゆえに天の全ての光体を暗くし,
  あなたの土地を暗闇で覆う』と,主権者である主エホバは宣言する。
  9 『私は多くの民の心を悩ませる。
  あなたの民を,捕虜として他の国々へ,
  あなたが知らなかった土地へ連れていく時に。
  10 私は多くの民に恐れを抱かせる。
  私が剣を振りかざす時,
  彼らの王たちはあなたのことで恐怖に震える。
  あなたが崩壊する日に,
  彼らは命を失うことを恐れて震え続ける』。
  11 主権者である主エホバはこう言う。
  『バビロンの王の剣があなたを襲う。
  12 私は,あなたの群衆が強い戦士たちの剣によって倒れるようにする。
  その戦士は皆,国々の中で最も冷酷な者たちである。
  彼らはエジプトの誇りをくじき,彼女の群衆は滅ぼし尽くされる。
  13 私は彼女の豊かな水のそばにいる家畜を全て滅ぼす。
  人の足や家畜のひづめが水を濁らせることは二度とない』。
  14 『その時,私は水を澄み渡らせ,
  川をよどみなく流れさせる』と,主権者である主エホバは宣言する。
  15 『私がエジプトを荒れ果てた所にし,
  そこに満ちていたものを全て取り除く時,
  そこの住民を全て打ち倒す時,
  彼らは私がエホバであることを知らなければならなくなる。
  16 これは哀歌であり,人々は必ずこれを歌う。
  国々の娘たちが歌う。
  エジプトとその群衆全てをしのんで歌う』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  17 第12年,その月の15日,エホバが私に語り掛けてこう言った。 18 「人の子よ,エジプトの群衆
のことで嘆き悲しみ,彼女を地下に下らせなさい。彼女と,強大な国々の娘たちを,墓穴に下る者たちと共に
下らせるのである。
  19 『あなたは美しさの点で誰に勝るというのか。下っていって,割礼を受けていない者たちと共に横たわ
りなさい!』
  20 『エジプト人は剣で殺された者たちの中に倒れる。彼女は剣で討たれた。彼女とその群衆全てを引いて
いきなさい。
  21 ファラオと彼を助けた者たちは,深い墓の中にいる最も強い戦士たちから話し掛けられる。彼らは剣で
殺され,必ず下っていき,割礼を受けていない者たちのように横たわる。 22 アッシリアとその群衆全てもそ
こにいる。群衆は皆剣によって倒れ,その人々の墓が王を取り囲んでいる。 23 彼女の群衆の墓は穴の深い所
にあり,彼女の墓を取り囲んでいる。その人々は地上で恐怖を生じさせたため,皆剣で討たれたのである。
  24 エラムもそこにいて,その群衆全てが彼女の墓を取り囲んでいる。群衆は皆剣によって倒れたのである。
地上で恐怖を生じさせたその人々は,割礼を受けないまま地下に下った。そして,墓穴に下る者たちと共に恥
辱を受ける。 25 殺された者たちの間に彼女のための寝床が設けられた。彼女の墓の周りを群衆全てが取り囲
んでいる。その人々は皆割礼を受けておらず,剣で殺された。地上で恐怖を生じさせたからである。そして,
墓穴に下る者たちと共に恥辱を受ける。エラムは殺された者たちの間に横たえられた。
  26 そこにはメシェクとトバルとその群衆全てもいる。彼らの墓は王を取り囲んでいる。その人々は皆割礼
を受けておらず,剣で刺し通された。地上で恐怖を生じさせたからである。 27 その人々は,割礼を受けない
まま倒れた強い戦士たちと共に,武器を持って墓に下った者たちと共に,横たわるのではないか。そして,頭
の下に剣が置かれ,骨の上に自分たちの罪が置かれる。これらの強い戦士は,地上を恐怖に陥れたからである。
28 あなたは,割礼を受けていない者たちと共に滅ぼされ,剣で殺された者たちと共に横たわることになる。
  29 エドムもそこにいる。彼女の王たちと全ての長たちは,力が強かったが,剣で殺された者たちの間に横
たえられた。彼らも,割礼を受けていない者たちや墓穴に下る者たちと共に横たわる。
  30 そこには北の長たち皆と,全てのシドン人もいる。彼らは強さのゆえに恐怖を生じさせたが,殺された
者たちと共に辱められて下っていった。そして,割礼を受けないまま,剣で殺された者たちと共に横たわり,
墓穴に下る者たちと共に恥辱を受ける。
  31 ファラオはこの全てを見て,自分の群衆に起きたことについて慰められる。ファラオとその全軍は剣で
殺される』と,主権者である主エホバは宣言する。
  32 『ファラオが地上で恐怖を生じさせたため,ファラオとその群衆全ては,割礼を受けていない者たちと
共に,剣で殺された者たちと共に横たえられる』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  33 章
  1 エホバが私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,同胞たちに話して,言いなさい。
  『私がある土地に剣を差し向けたとする。そして,その土地の人々が1人の人を選んで自分たちのための
見張りとし, 3 その人が土地に剣が向かってくるのを見て,角笛を吹いて人々に警告したとする。 4 もし誰
かが角笛の音を聞いたものの,警告に注意を払わず,剣によって命を奪われるなら,それはその人自身の責任
である。 5 その人は角笛の音を聞いたが,警告に注意を払わなかった。死の責任はその人自身にある。もし警
告に注意を払っていれば,命は助かっていたはずである。
  6 しかし,もし見張りが,剣が向かってくるのを見たのに角笛を吹かず,人々が警告を受けず,そのうち
の誰かが剣によって命を奪われるなら,その人は自分の過ちのために死ぬが,私はその人の死の責任を見張り
に問う』。
  7 人の子よ,私はあなたをイスラエル国民の見張りに任命した。あなたは私の口から出る言葉を聞いたら,
私からの警告を彼らに伝えなければならない。 8 私が悪い人に,『あなたは悪いことをしているので必ず死
ぬ』と言うのに,あなたがその人にはっきり警告せず,生き方を変えるよう諭さないなら,その人は自分の過
ちのために悪人として死ぬことになるが,私はその人の死の責任をあなたに問う。 9 一方,あなたが悪い人に
警告し,悪い行いをやめるよう諭したのに,その人が生き方を変えようとしないなら,その人は自分の過ちの
ために死ぬが,あなたは自分の命を救うことになる。
  10 人の子よ,イスラエル国民に言いなさい。『あなたたちはこう言った。「私たちの反抗と罪は,私たち
に重くのしかかり,私たちを弱らせている。どうして生き続けられるだろうか」』。 11 彼らに言いなさい。
『主権者である主エホバはこう宣言している。「生きている私自身に懸けて誓う。私は悪い人の死を喜ばず,
かえって,悪い人が生き方を変えて生き続けることを喜ぶ。悔い改めて,悪い行いをやめなさい。イスラエル
国民よ,あなたたちが死ぬようなことがあってよいだろうか」』。
  12 人の子よ,同胞たちに言いなさい。『正しい人が反抗する時,その人の正しさがその人を救うことはな
い。悪い人が悪い行いをやめる時,その人の悪がその人を倒れさせることはない。また,正しい人が罪を犯す
日に,自分の正しさゆえに生き続けるということはなくなる。 13 私が正しい人に,「あなたは必ず生き続け
る」と言うとする。もしその人が自分の正しさに慢心して間違ったことを行うなら,その人の正しい行いは何
一つ思い出されず,その人は間違ったことを行ったために死ぬ。
  14 一方,私が悪い人に,「あなたは必ず死ぬ」と言うとする。もしその人が罪から離れて公正で正しいこ
とを行い, 15 担保を返し,奪った物を弁償し,間違ったことを行わずに命の法令に従って歩むなら,その人
は必ず生き続ける。死ぬことはない。 16 その人は,犯したどの罪についても責められることはない。公正で
正しいことを行ったために,必ず生き続ける』。
  17 しかし,あなたの同胞たちは,『エホバの行いは不公正だ』と言った。実際に不公正なのは彼らの行い
である。
  18 正しい人が正しい行いをやめて間違ったことを行う場合,その人は死ぬことになる。 19 一方,悪い
人が悪い行いをやめて,公正で正しいことを行う場合,その人は生き続ける。
  20 しかし,あなたたちは,『エホバの行いは不公正だ』と言った。イスラエル国民よ,私はあなたたちを
各自の行いに応じて裁く」。
  21 やがて,私たちが捕囚にされて12年目の,第10の月の5日に,エルサレムから逃げてきた人が私の
所に来て,「都市は陥落しました!」と言った。
  22 その逃げてきた人が来る前の夕方,エホバの力が私に働き,その人が朝に私の所に来る前に,神は私の
口を開いた。それで私は口が利けるようになった。
  23 そして,エホバが私に語り掛けてこう言った。 24 「人の子よ,これらの廃虚に住む人たちはイスラ
エルの土地についてこう言っている。『アブラハムはたった1人だったのに,この土地を所有するようになっ
た。私たちは大勢いるのだから,この土地は私たちが所有するように与えられたに違いない』。
  25 それで,彼らに言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「あなたたちは肉を血と共に
食べ,汚らわしい偶像をしきりに見て,血を流し続ける。それなのにこの土地を所有することが許されるだろ
うか。 26 あなたたちは自分の剣に頼り,忌まわしい行いにふけり,それぞれ隣人の妻を汚した。それなのに
この土地を所有することが許されるだろうか」』。
  27 あなたは彼らにこう言わなければならない。『主権者である主エホバはこう言っている。「私は,生き
ている私自身に懸けて誓う。廃虚に住んでいる人たちは剣によって倒れる。野原にいる人たちを,私は野獣に
食べさせる。とりでや洞窟にいる人たちは病気で死ぬ。 28 私はその土地をすっかり荒れ果てた所にし,その
高慢な誇りは失われ,イスラエルの山々は荒廃し,そこを通る人はいなくなる。 29 彼らが行ったあらゆる忌
まわしい事柄のために,私がその土地をすっかり荒れ果てた所にする時,彼らは私がエホバであることを知ら
なければならなくなる」』。
  30 人の子よ,あなたの同胞たちは,城壁のそばや家の戸口であなたについて話している。それぞれ自分の
兄弟に,『エホバからの言葉を聞きに行こう』と言っている。 31 彼らは群がってきて,私の民としてあなた
の前に座る。そしてあなたの言葉を聞くが,従いはしない。彼らの口はあなたをおだてるが,心は不当な利益
を貪欲に求める。 32 あなたは彼らにとって,弦楽器の巧みな演奏に合わせて美しい声で歌われる,情熱的な
愛の歌のようだ。彼らはあなたの言葉を聞くが,誰も行動しない。 33 その言葉は必ず実現する。それが実現
する時,彼らは自分たちの中に預言者がいたことを知らなければならなくなる」。
  34 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,イスラエルの牧者たちに対して預言しなさ
い。預言して,牧者たちに言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「自分自身を養ってきた
イスラエルの牧者たちには災いがある! 牧者が養うべきなのは羊の群れではないか。 3 あなたたちは脂肪を
食べ,羊毛を身にまとい,最も肥えた動物をほふるが,羊の群れを養うことはしない。 4 あなたたちは弱い羊
を力づけず,病気の羊を癒やさず,けがをした羊に包帯をせず,はぐれた羊を連れ戻さず,いなくなった羊を
捜さなかった。かえって,厳しく手荒に従わせた。 5 それで,牧者がいないために彼らは散らされた。散らさ
れて,あらゆる野獣の餌食となった。 6 私の羊は全ての山と全ての高い丘の上をさまよった。私の羊は地上の
全域に散らされ,誰も捜そうとも見つけ出そうともしなかった。
  7 それで,牧者たちよ,エホバの言葉を聞きなさい。 8 『主権者である主エホバはこう宣言する。「生
きている私自身に懸けて誓う。私は行動を起こす。牧者がいなかったため,私の羊はあらゆる野獣の餌食とな
った。私の牧者たちは私の羊を捜さず,自分自身を養うだけで私の羊を養わなかった」』。 9 それで,牧者た
ちよ,エホバの言葉を聞きなさい。 10 主権者である主エホバはこう言う。『私は牧者たちに敵対しており,
私の羊に関して彼らに責任を問う。彼らに私の羊の世話をやめさせ,牧者たちはもはや自分自身を養わなくな
る。私は彼らの口から私の羊を救い出し,羊はもう彼らの餌食にならない』」。
  11 主権者である主エホバはこう言う。「私はここにおり,自ら自分の羊を捜し,世話する。 12 散らさ
れた羊を見つけて養っている羊飼いのように,私は自分の羊を世話する。雲と濃い暗闇の日に散らされた全て
の場所から,羊を救い出す。 13 私は羊をさまざまな民の中から連れ出し,国々から集めて,彼らの土地に連
れていき,イスラエルの山の上で養う。川のほとりや,その土地の全ての居住地のそばで養う。 14 私は良い
牧草地で羊を養う。羊はイスラエルの高い山の上で草を食べる。良い牧草地に横たわり,イスラエルの山の上
で最良の牧草を食べる」。
  15 主権者である主エホバはこう宣言する。「私は自ら自分の羊を養い,横たわらせる。 16 いなくなっ
た羊を捜し,はぐれた羊を連れ戻し,けがをした羊に包帯をし,弱い羊を力づける。しかし,肥えた羊と強い
羊を滅ぼし尽くす。私は彼らに処罰を食らわせる」。
  17 羊について,主権者である主エホバはこう言う。「私は羊たちを裁こうとしており,雄羊と雄ヤギを裁
こうとしている。 18 あなたたちは,最良の牧草を食べるだけでは満足できないのか。残りの牧草を足で踏み
荒らさなければならないのか。また,澄み切った水を飲んだ後,足踏みして水を濁さなければならないのか。
19 私の羊は,あなたたちの足で踏み荒らされた牧草を食べ,あなたたちの足踏みで濁った水を飲まなければな
らないのか」。
  20 それで,主権者である主エホバは彼らにこう言う。「私はここにおり,肥えた羊と痩せた羊を自ら裁く。
21 あなたたちが,病気の羊を全て脇腹や肩で押し続け,角で突き続けて,遠くに散らしてしまったからであ
る。 22 私は私の羊を救い,彼らはもはや餌食にされることはなくなる。私は羊たちを裁く。 23 また,1人
の牧者を立てて彼らを治めさせる。それは私に仕えるダビデであり,彼らを養う。その者が彼らを養い,彼ら
の牧者となる。 24 そして,私エホバが彼らの神となり,私に仕えるダビデが彼らの長となる。私エホバが語
ったのである。
  25 私は彼らと平和の契約を結び,どう猛な野獣をその土地から除き去る。彼らは荒野で安全に住み,森林
で眠るようになる。 26 私は彼らと,私の丘の周囲を祝福し,良い時に雨を降らせる。祝福が雨のように降り
注ぐ。 27 野の木は実を結び,土は産物を生み出し,彼らはその土地に安全に住む。私が彼らを抑圧から解放
し,彼らを奴隷にした者たちから救い出す時,彼らは私がエホバであることを知らなければならなくなる。 28
彼らはもはや異国の人々の餌食とはならず,地上の野獣に食い殺されることはなく,安らかに暮らして,誰に
も脅かされない。
  29 私は有名になる栽培地を彼らのために設ける。彼らはもう飢饉のせいで死ぬことはなくなり,異国の
人々から侮辱されることもなくなる。 30 『そして彼らは,彼らの神である私エホバが共におり,彼らすなわ
ちイスラエル国民が私の民であることを知らなければならなくなる』と,主権者である主エホバは宣言す
る」』。
  31 『あなたたちは私の羊,私が世話をしている羊である。あなたたちは人にすぎず,私はあなたたちの神
である』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  35 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,顔をセイルの山地に向け,それに対して預
言しなさい。 3 こう言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「セイルの山地よ,私はあなた
に敵対しており,あなたに向かって手を伸ばし,あなたを荒れ果てた所にする。 4 あなたの町々を廃虚に変え
る。あなたは荒れ果てた所になり,私がエホバであることを知らなければならなくなる。 5 あなたが,弱まる
ことのない敵意を示し,イスラエル人の災難の時,最終的な処罰の時に,彼らが剣で討たれるようにしたから
である」』。
  6 主権者である主エホバはこう宣言する。『それで,生きている私自身に懸けて誓う。私はあなたの血が
流れるようにし,あなたは必ず血を流すことになる。あなたは血を憎んだので,必ず血を流すことになる。 7
私はセイルの山地を荒れ果てた所にし,そこを行き来する者を途絶えさせる。 8 私はセイルの山々を殺された
者たちで満たす。あなたの丘や谷や全ての川に,剣で殺された者たちが倒れる。 9 私はあなたをずっと荒廃し
たままにし,あなたの町々には誰も住まない。あなた方は私がエホバであることを知らなければならなくな
る』。
  10 あなたは,『この2つの国民と2つの土地は私のものとなり,われわれは両方を手に入れる』と言った。
エホバがそこにいたのにそう言ったのである。そのため, 11 主権者である主エホバはこう宣言する。『生き
ている私自身に懸けて誓う。私は,あなたが彼らを憎んで表した怒りと嫉妬に応じてあなたを扱う。そしてあ
なたを断罪する時,自分について彼らに知らせる。 12 あなたは次のことを知らなければならなくなる。私エ
ホバは,イスラエルの山々に向かってあなたが言った不敬なことを全て聞いた。あなたは,「彼らは荒廃させ
られ,われわれに餌食として与えられた」と言ったのである。 13 また,私に向かって高慢に話し,多くの言
葉を語った。私はそれを全て聞いた』。
  14 主権者である主エホバはこう言う。『私があなたを荒れ果てた所にする時,全世界は喜ぶ。 15 イス
ラエル国民の相続地が荒廃させられた時にあなたが喜んだので,私はあなたに同じことが起きるようにする。
セイルの山地よ,あなたは荒廃する。エドム全土がそうなるのである。そして,人々は私がエホバであること
を知らなければならなくなる』」。
  36 章
  1 「人の子よ,イスラエルの山々についてこう預言しなさい。『イスラエルの山々よ,エホバの言葉を聞
きなさい。 2 主権者である主エホバはこう言っている。「敵があなたたちに向かって,『いい気味だ! 昔か
らある高い場所さえも私たちのものになった!』と言った」』。
  3 それで,預言しなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「あなたたちは四方から攻められ
て荒廃し,生き残っていた異国の人々に所有されることになり,人々の話題に上って中傷され続けた。そのた
め, 4 イスラエルの山々よ,主権者である主エホバの言葉を聞きなさい! 山や丘,川や谷,廃虚となった場
所,捨てられた町々,生き残っていた周囲の国の人々に略奪されてあざけられた町々に,主権者である主エホ
バは語る。 5 それらに主権者である主エホバはこう言う。『私は燃えるような熱意をもって,生き残っている
異国の人々とエドム全体を非難する。彼らは大きな喜びとひどい軽蔑を抱いて,私の土地を自分たちの所有地
とし,牧草地を奪って土地を略奪した』」』。
  6 それで,イスラエルの土地について預言し,山や丘,川や谷に言いなさい。『主権者である主エホバは
こう言っている。「私は熱意と激しい怒りのうちに話す。あなたたちが異国の人々に侮辱されたからであ
る」』。
  7 主権者である主エホバはこう言う。『私は手を挙げて誓う。周りの国の人々は自分たちの恥を負うこと
になる。 8 一方,イスラエルの山々よ,あなたたちは枝を伸ばし,私の民イスラエルのために実を結ぶ。彼ら
は間もなく戻ってくるのである。 9 私は共にいて,あなたたちに注意を向ける。あなたたちは耕され,種をま
かれる。 10 私は,あなたたちの民,イスラエル国民全体の人口を増やす。町々には人が住み,廃虚は建て直
される。 11 私は確かにあなたたちの民と家畜を増やす。その数は増え,多くの子が生まれる。私は以前のよ
うにあなたたちに人が住むようにし,昔よりも栄えさせる。そして,あなたたちは私がエホバであることを知
らなければならなくなる。 12 私は私の民イスラエルに,あなたたちの上を歩かせ,彼らはあなたたちを所有
するようになる。あなたたちは彼らの相続地となり,二度と彼らから子供を奪うことはない』」。
  13 「主権者である主エホバはこう言う。『人々はあなたたちに,「あなたは人をむさぼり食い,自分の
国々から子供を奪う土地だ」と言っている』。 14 『そのため,あなたはもはや人をむさぼり食うことも,自
分の国々から子供を奪うこともなくなる』と,主権者である主エホバは宣言する。 15 『私は,あなたがもう
異国の人々に侮辱されたり,あざけられたりしないようにする。あなたはもはや自分の国々を倒れさせること
はない』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  16 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 17 「人の子よ,イスラエル国民は自分たちの土地に住ん
でいた時,自分たちの生き方や行いによって土地を汚した。私にとって彼らの歩みは,月経の汚れのようだっ
た。 18 それで私は,彼らに激しい怒りを浴びせた。彼らがその土地で血を流し,汚らわしい偶像で土地を汚
したからである。 19 私は彼らを国々に散らし,さまざまな土地に追いやった。彼らの生き方や行いに応じて
彼らを裁いたのである。 20 しかし,彼らが行った先の国々で,人々は彼らについて,『これはエホバの民だ
が,その神の土地から去らなければならなかったのだ』と言い,私の聖なる名を汚した。 21 それで私は,イ
スラエル国民が行った先の国々で汚した,私の聖なる名を気に掛ける」。
  22 「イスラエル国民に言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「イスラエル国民よ,私
が行動を起こすのはあなたたちのためではなく,あなたたちが行った先の国々で汚した,私の聖なる名のため
である」』。 23 主権者である主エホバはこう宣言する。『私は,あなたたちが異国の人々の中で汚した,私
の偉大な名を,必ず神聖なものとする。そして,あなたたちの中で,異国の人々の目の前で,私が神聖なもの
とされる時,異国の人々は私がエホバであることを知らなければならなくなる。 24 私はあなたたちを国々か
ら連れ出し,あらゆる土地から集めて,あなたたちの土地に連れ戻す。 25 清い水を振り掛けて,あなたたち
を清くする。あらゆる汚れと汚らわしい偶像から,私はあなたたちを清める。 26 あなたたちに新たな心を与
え,新たな精神を持たせる。あなたたちの体から石のような心を取り除き,柔らかい心を与える。 27 私の聖
なる力をあなたたちの内に宿らせ,私の規定に従って歩むようにさせる。あなたたちは私の法規を守り,実行
する。 28 そしてあなたたちは,私が父祖たちに与えた土地に住み,私の民となり,私はあなたたちの神とな
る』。
  29 『私はあなたたちをあらゆる汚れから救い,穀物に呼び掛けて豊かに実らせ,あなたたちが飢饉で苦し
まないようにする。 30 木の実や畑の作物を豊かに生じさせ,あなたたちが二度と飢饉のために異国の人々の
間で恥をかくことがないようにする。 31 あなたたちは,自分の悪い生き方と,善くなかった行いを思い出し,
自分の罪と忌まわしい行いのために自分を嫌悪する。 32 しかし,次のことを知っておきなさい。私はあなた
たちのためにこれを行うのではない。イスラエル国民よ,自分の歩みのゆえに恥じ,屈辱を味わいなさい』と,
主権者である主エホバは宣言する。
  33 主権者である主エホバはこう言う。『あなたたちをあらゆる罪から清める日に,私は町々に人が住むよ
うにし,廃虚が建て直されるようにする。 34 通り掛かる人全てから見て荒廃していた土地は,耕される。
35 それで人々はこう言う。「あの荒れ果てていた土地は,エデンの園のようになった。壊されて荒廃し,廃虚
になっていた町々は,防備が固められ,人が住むようになった」。 36 あなたたちの周りに残っている異国の
人々は,私エホバが,壊されたものを築き,荒廃していた場所に草木を植えたことを知らなければならなくな
る。私エホバが語り,これを行ったのである』。
  37 主権者である主エホバはこう言う。『私はさらにイスラエル国民の願いを聞き入れ,その民を羊の群れ
のように増やす。 38 祭りの期間中にエルサレムに集まる群れのように,聖なる人たちの群れのように,人の
群れが廃虚になっていた町々にあふれ,彼らは私がエホバであることを知らなければならなくなる』」。
  37 章
  1 エホバの力が私に働き,エホバはご自分の聖なる力によって私を運び,谷あいの平原の真ん中に置いた。
そこは骨でいっぱいだった。 2 神は私にその周りを回らせた。見ると,その谷あいの平原には非常にたくさん
の骨があり,どれも乾き切っていた。 3 神は私に,「人の子よ,これらの骨は生き返るだろうか」と尋ねた。
それで私は,「主権者である主エホバ,それはあなたがご存じです」と答えた。 4 すると神は言った。「これ
らの骨について,こう預言しなさい。『乾いた骨よ,エホバの言葉を聞きなさい。
  5 主権者である主エホバはこれらの骨にこう言っている。「私はあなたたちに息を吹き込み,あなたたち
は生き返る。 6 私はあなたたちに筋や肉を付け,皮膚で覆い,息を吹き込む。あなたたちは生き返り,私がエ
ホバであることを知らなければならなくなる」』」。
  7 私は命じられた通りに預言した。するとすぐにカタカタという音がして,骨と骨が組み上がっていった。
8 見ていると,筋や肉が付き,皮膚で覆われた。しかし,まだ息は吹き込まれていなかった。
  9 神は言った。「風に向かって預言しなさい。人の子よ,預言して,風に言いなさい。『主権者である主
エホバはこう言っている。「風よ,四方から来て,この殺された人たちに吹き付け,彼らが生き返るようにし
なさい」』」。
  10 それで私は神に命じられた通りに預言した。すると息が吹き込まれ,彼らは生き返って,立ち上がった。
非常に大きな軍勢だった。
  11 神は言った。「人の子よ,これらの骨はイスラエル国民全体である。彼らはこう言っている。『私たち
の骨は乾いていて,希望は失われた。私たちは完全に孤立している』。 12 それで,彼らに預言しなさい。
『主権者である主エホバはこう言っている。「私の民よ,私はあなたたちの墓を開き,あなたたちを墓から引
き上げて,イスラエルに連れていく。 13 私の民よ,私が墓を開き,あなたたちを墓から引き上げる時,あな
たたちは私がエホバであることを知らなければならなくなる」』。 14 『私は聖なる力をあなたたちの内に宿
らせ,あなたたちを生き返らせて,あなたたちの土地に住まわせる。あなたたちは,私エホバが語り,これを
行ったことを知らなければならなくなる』と,エホバは宣言する」。
  15 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 16 「人の子よ,1本の棒を手に取り,その棒に,『ユダ
と,共にいるイスラエルの民のために』と書きなさい。それから別の棒を手に取り,その棒に,『エフライム
の棒。ヨセフと,共にいるイスラエル国民全体のために』と書きなさい。 17 そして2本の棒を一緒に持ち,
あなたの手の中で1本の棒になるようにしなさい。 18 あなたの同胞たちから,『これらのことが何を意味す
るか教えてほしい』と言われたら, 19 こう言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「私は,
エフライムの手の中にある,ヨセフと他のイスラエルの部族の棒を取り,ユダの棒と一緒に持って,1本の棒
とする。それらは私の手の中で1つになる」』。 20 あなたが文字を書いた棒を,人々から見えるように持ち
なさい。
  21 さらに彼らに言いなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「私はイスラエル人を,彼らが
行った先の国々から連れ出し,あらゆる方向から集めて,彼らの土地に連れていく。 22 その土地で,イスラ
エルの山々で,私は彼らを1つの国民とし,1人の王が彼ら全てを治める。彼らはもはや2つの国民ではなく
なり,2つの王国に分かれたままにはならない。 23 汚らわしい偶像や忌まわしい行いやあらゆる違反によっ
て自分たちを汚すことはもうない。私は彼らを,罪につながった全ての不忠実から救い,清める。彼らは私の
民となり,私は彼らの神となる。
  24 私に仕えるダビデが彼らの王となり,彼らは皆1人の牧者に導かれる。彼らは私の法規に従って歩み,
私の法令を注意深く守る。 25 そして,私に仕えたヤコブに私が与えた土地,あなたたちの父祖たちが住んだ
土地に住む。彼らとその子供と孫たちはそこに永遠に住み,私に仕えるダビデが永遠に彼らの長となる。
  26 私は彼らと平和の契約を結ぶ。それは永遠に続く契約となる。私は彼らを定住させ,増やし,永遠に彼
らの中に私の聖なる所を置く。 27 私の天幕が彼らと共にあり,私は彼らの神となり,彼らは私の民となる。
28 私の聖なる所が永遠に彼らの中にあるようになる時,国々は,私エホバがイスラエルを神聖なものとしてい
ることを知らなければならなくなる」』」。
  38 章
  1 エホバが再び私に語り掛けてこう言った。 2 「人の子よ,メシェクとトバルの長たちの長である,マ
ゴグの地のゴグに厳しい顔を向け,彼に対して預言しなさい。 3 こう言いなさい。『主権者である主エホバは
こう言っている。「メシェクとトバルの長たちの長であるゴグよ,私はあなたに敵対している。 4 あなたを向
き直らせ,あなたの顎にかぎを引っ掛けて,あなたをその全軍,馬や騎兵と共に連れ出す。兵は非常に大勢い
て,立派な服を着て大盾や小盾を持っており,皆が剣を振るう。 5 ペルシャ,エチオピア,プトも共にいて,
皆が小盾とかぶとを身に着けている。 6 ゴメルとその全ての兵,北の果てのトガルマの子孫とその全ての兵な
ど,多くの民があなたと共にいる。
  7 用意をしなさい。あなたと,共に集まっている全ての軍隊は,準備をしなさい。あなたは彼らの司令官
となる。
  8 長い月日の後,あなたに注意が向けられる。あなたは最後の年月に,剣による惨害の後に連れ戻された
人々がいる土地に攻め込む。その人々は,多くの民の中から集め出されて,長い間荒廃していたイスラエルの
山々に登った。その土地に住む人々は,さまざまな民の中から連れ戻され,皆が安心して住んでいる。 9 あな
たは嵐のように彼らを襲う。あなたと,あなたの全ての兵と,共にいる多くの民は,雲のようにその土地を覆
う」』。
  10 主権者である主エホバはこう言う。『その日,あなたの心にさまざまな考えが入り,あなたは邪悪な計
画を立てる。 11 そしてこう言う。「私は,無防備な居住地ばかりの土地に攻め込む。騒ぎもなく安らかに暮
らしている人々を攻める。彼らは皆,城壁やかんぬきや門に守られていない居住地に住んでいる」。 12 あな
たは多くの戦利品や略奪品を手に入れようとし,かつて廃虚だったものの人が住むようになった場所と,国々
から再び集められた人々を攻撃する。その人々は財産を蓄えており,世界の中心に住んでいる。
  13 シェバとデダン,タルシシュの商人と全ての戦士は,あなたに言う。「あなたは多くの戦利品や略奪品
を手に入れるために攻め込むのか。軍隊を集めたのは,銀や金を運び去り,財産を奪い,非常に多くの戦利品
を手に入れるためか」』。
  14 それで,人の子よ,ゴグに預言しなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「私の民イスラ
エルが安らかに暮らしている日に,あなたはそのことを気に留めないのだろうか。 15 あなたは自分の場所か
ら,北の果てから,多くの民と共にやって来る。彼らは皆が馬に乗り,大勢いて,大軍を成している。 16 あ
なたは土地を覆う雲のように,私の民イスラエルを攻める。私は最後の日々に,私の土地をあなたに攻めさせ
る。それは,ゴグよ,私がさまざまな国の民の目の前で,あなたを通して自分を神聖なものとする時,それら
の民が私を知るようになるためである」』。
  17 主権者である主エホバはこう言う。『私は過去に,私に仕えるイスラエルの預言者たちを通して,ある
者について語った。あなたこそ,その者ではないか。預言者たちは長年の間,あなたが攻めてくることを預言
していた』。
  18 主権者である主エホバはこう宣言する。『その日,ゴグがイスラエルに攻め込む日に,私の非常に激し
い怒りが燃え上がる。 19 私は熱意と,燃え盛る激怒のうちに話す。その日,イスラエルに大きな地震が起こ
る。 20 私のゆえに,海の魚,空を飛ぶ鳥,野獣,地面をはう全ての爬虫類,地上の全ての人間は震え,山は
崩れ,崖は崩落し,全ての城壁は地面に倒れる』。
  21 主権者である主エホバはこう宣言する。『私は,私の全ての山の上で剣に呼び掛け,ゴグを攻めさせる。
全ての人の剣は自分の兄弟に向けられる。 22 私は疫病と流血をもってゴグに刑を執行する。そして,激しい
雨とひょうと火と硫黄を,ゴグとその兵の上に,また共にいる多くの民の上に降らせる。 23 私は必ず自分が
あがめられるようにし,自分を神聖なものとし,多くの国の人々の目の前で自分について知らせる。彼らは私
がエホバであることを知らなければならなくなる』。
  39 章
  1 人の子よ,ゴグに対して預言しなさい。『主権者である主エホバはこう言っている。「メシェクとトバ
ルの長たちの長であるゴグよ,私はあなたに敵対している。 2 あなたを向き直らせ,あなたを導いて,北の果
てから上ってこさせ,イスラエルの山々に連れてくる。 3 あなたの左手から弓をたたき落とし,あなたの右手
から矢が落ちるようにする。 4 あなたと,あなたの全ての兵と,共にいる民は,イスラエルの山々で倒れる。
私はあなたをあらゆる肉食の鳥と野獣に食べさせる」』。
  5 『あなたは野原に倒れる。私が語ったからである』と,主権者である主エホバは宣言する。
  6 『私はマゴグに対し,また島々に安心して住んでいる者たちに対し,火を差し向ける。彼らは私がエホ
バであることを知らなければならなくなる。 7 私は,私の聖なる名を私の民イスラエルの中で知らせ,その聖
なる名をもう汚させない。国々は,私がエホバであり,イスラエルの聖なる者であることを知らなければなら
なくなる』。
  8 主権者である主エホバはこう宣言する。『これは必ず起こり,その通りになる。これが,私が語ってい
た日である。 9 イスラエルの町々の住民は出ていって,武器を燃やして火をたく。小盾や大盾,弓や矢,こん
棒や小やりを燃やすのである。7年の間,それらを使って火を付ける。 10 野原から木を取ってくることも,
森で薪を集めることも必要なくなる。武器を使って火を付けるからである』。
  『彼らは戦利品を奪い返し,略奪者たちから略奪する』と,主権者である主エホバは宣言する。
  11 『その日,私はゴグに墓地を与える。それはイスラエルの中,海の東を旅する者たちの谷にあり,通る
者たちの道をふさぐ。人々はそこにゴグとその群衆全てを葬り,そこをハモン・ゴグの谷と呼ぶ。 12 イスラ
エル国民は7カ月かけて彼らを葬り,こうして土地を清める。 13 土地の全ての人は彼らを葬るために働き,
それによって名声を得る。私が自分に栄光をもたらす日にそうなる』と,主権者である主エホバは宣言する。
  14 『任命された人たちが絶えず土地を巡り,地面の上に残っている死体を葬って,土地を清める。彼らは
7カ月の間,探し続ける。 15 土地を巡る人たちは人の骨を見つけると,傍らに標識を立てる。それから,葬
るために任命された人たちが,ハモン・ゴグの谷に骨を葬る。 16 そこにはハモナという名の町もできる。こ
うして人々は土地を清める』。
  17 人の子よ,主権者である主エホバはこう言う。『あらゆる種類の鳥と全ての野獣に言いなさい。「集ま
って,来なさい。私があなたたちのために用意している犠牲の周りに集まりなさい。それは大量の犠牲であり,
イスラエルの山々の上にある。あなたたちは肉を食べ,血を飲む。 18 力の強い者たちの肉を食べ,地上の長
たちの血を飲む。彼らは雄羊,子羊,ヤギ,雄牛であり,皆バシャンの肥えた動物である。 19 あなたたちは,
私が用意する犠牲から,満腹になるまで脂肪を食べ,酔うまで血を飲む」』。
  20 『あなたたちは私の食卓で,馬,兵車の乗り手,力の強い者,あらゆる戦士で腹を満たす』と,主権者
である主エホバは宣言する。
  21 『私は国々の中で私の栄光を示す。全ての国の人々は,私が刑を執行し,彼らの中で力を表すのを見る。
22 その日以降,イスラエル国民は,私が彼らの神エホバであることを知らなければならなくなる。 23 イス
ラエル国民が捕囚にされたのは自分たちの過ちのため,私に不忠実だったためであることを,国々は知らなけ
ればならなくなる。それで私はイスラエル国民から顔を隠し,彼らを敵の手に渡し,彼らは皆剣によって倒れ
た。 24 私は彼らを汚れと違反に応じて扱い,私の顔を彼らから隠した』。
  25 主権者である主エホバはこう言う。『私は,ヤコブの子孫で捕らわれている人々を連れ戻し,イスラエ
ル国民全体に憐れみを示す。そして,私の聖なる名を熱心に擁護する。 26 彼らは,私に不忠実だったために
恥をかいた後,自分たちの土地に安全に住み,誰にも脅かされない。 27 私は,彼らをさまざまな民の中から
連れ戻し,敵の国々から集める時,彼らの中で,多くの国の人々の目の前で,自分を神聖なものとする』。
  28 『私が彼らを捕囚の身にして国々に追いやり,それから一人残らず集めて彼らの土地に連れ戻す時,彼
らは私が彼らの神エホバであることを知らなければならなくなる。 29 私はもはや彼らから顔を隠さず,イス
ラエル国民に私の聖なる力を注ぐ』と,主権者である主エホバは宣言する」。
  40 章
  1 私たちが捕囚にされて25年目の初め,第1の月の10日,都市が陥落してから14年目のその日に,
エホバの力が私に働き,私は都市に連れていかれた。 2 神は幻の中で私をイスラエルに連れていき,非常に高
い山の上に下ろした。南の方に都市のようなものがあった。
  3 そこに連れていかれると,私は1人の人を見た。その姿は銅のように輝いていて,亜麻の綱とアシの物
差しを持ち,門の所に立っていた。 4 その人は私に言った。「人の子よ,よく見て,注意深く聞き,私が見せ
るもの全てに注意を払いなさい。あなたはそのために連れてこられたからです。あなたが見ることを全部イス
ラエル国民に話しなさい」。
  5 見ると,神殿の周りを塀が囲んでいた。私に話した人が持っていたアシの物差しは,長さが3.1メート
ルあった。彼は塀を測り始めた。塀の厚さは3.1メートルで,高さも3.1メートルだった。
  6 それから彼は東に向いている門に行き,その階段を上った。門の入り口の空間を測ると,奥行きは3.1
メートルで,もう一方の空間の奥行きも3.1メートルだった。 7 守衛室はそれぞれ幅と奥行きが3.1メー
トルで,守衛室と守衛室の間隔は2.6メートルだった。神殿の方を向いている,門の玄関の隣の空間は3.1
メートルだった。
  8 彼は,神殿の方を向いている,門の玄関を測った。それは3.1メートルだった。 9 それから門の玄関
を測ると,4.1メートルだった。玄関の脇の柱を測ると,1メートルだった。門の玄関は,神殿の側にあった。
  10 東の門の両側に,守衛室が3つずつあった。それら3つは同じ大きさで,両側にある脇の柱もそれぞれ
同じ大きさだった。
  11 それから彼は門の入り口の幅を測った。5.2メートルだった。門の外側の幅は6.7メートルだった。
  12 両側にある守衛室の前にある仕切られた場所は52センチだった。守衛室はそれぞれ3.1メートルだ
った。
  13 それから彼は,片側の守衛室の屋根から反対側の守衛室の屋根までの距離を測った。13メートルだっ
た。守衛室の入り口は,反対側の守衛室の入り口と向かい合っていた。 14 そして彼が脇の柱を測ると,それ
ぞれ高さが31メートルだった。彼は庭の周囲の門の脇の柱を全て測った。 15 門の入り口の前から,門の神
殿側の玄関の前までは,26メートルだった。
  16 門の中の両側にある守衛室とその脇の柱には,窓枠が奥に向かって狭まっている窓があった。玄関の内
側のどの面にも窓があり,脇の柱にはヤシの木の模様があった。
  17 彼は私を外側の庭に連れてきた。見ると,庭の周りに石畳があり,食堂があった。石畳の上に30の食
堂があったのである。 18 門の横の石畳の幅は,門の全長と同じだった。これが下の石畳である。
  19 それから彼は,下の門の前から内側の庭の端までの距離を測った。その距離は,東側も北側も52メー
トルだった。
  20 外側の庭には北を向いている門もあり,彼はその長さと幅を測った。 21 門の両側に守衛室が3つず
つあった。脇の柱と玄関は最初の門と同じ寸法だった。門の長さは26メートル,幅は13メートルだった。
22 窓,玄関,ヤシの木の模様は,東の門のものと同じ大きさだった。人々は7段の階段を上ると門に着き,進
んでいくと玄関があった。
  23 内側の庭には,北の門と向かい合う門と,東の門と向かい合う門があった。彼が門から門までの距離を
測ると,52メートルだった。
  24 次に彼は私を南の方に連れてきた。見ると,南側にも門があった。彼がその脇の柱と玄関を測ると,他
のものと同じ大きさだった。 25 門とその玄関の周囲には,他の門と同じ窓があった。門の長さは26メート
ル,幅は13メートルだった。 26 門に至る7段の階段があり,進んでいくと玄関があった。玄関の両脇に柱
があり,それぞれにヤシの木の模様があった。
  27 内側の庭には,南を向いている門もあった。彼が南の方へ門から門までの距離を測ると,52メートル
だった。 28 次に彼は南の門から私を連れて内側の庭に入った。彼が南の門を測ると,他の門と同じ大きさだ
った。 29 守衛室,脇の柱,玄関は,他のものと同じ大きさだった。門とその玄関の周囲には窓があり,門の
長さは26メートル,幅は13メートルだった。 30 周囲の玄関は長さが13メートル,幅が2.6メートル
だった。 31 門の玄関は外側の庭に面していて,その脇の柱にはヤシの木の模様があり,門に至る階段は8段
だった。
  32 彼は東から私を連れて内側の庭に入り,門を測った。他の門と同じ大きさだった。 33 守衛室,脇の
柱,玄関は,他のものと同じ大きさで,門とその玄関の周囲には窓があった。門の長さは26メートル,幅は
13メートルだった。 34 門の玄関は外側の庭に面していて,両脇の柱にはヤシの木の模様があり,門に至る
階段は8段だった。
  35 それから彼は私を連れて北の門に入り,門を測った。他の門と同じ大きさだった。 36 守衛室,脇の
柱,玄関は,他のものと同じだった。門の周囲には窓があり,門の長さは26メートル,幅は13メートルだ
った。 37 脇の柱は外側の庭に面していて,両方の柱にヤシの木の模様があった。門に至る階段は8段だった。
  38 門の脇の柱の近くに,食堂とその入り口があった。そこで全焼の捧げ物が洗われた。
  39 門の玄関の両側に台が2つずつあり,その上で,全焼の捧げ物,罪の捧げ物,有罪の捧げ物がほふられ
た。 40 北の門の入り口の外側に2つの台があった。また,門の玄関の反対側にも2つの台があった。 41 門
の両側に4つずつ,全部で8つの台があり,その上で犠牲がほふられた。 42 全焼の捧げ物のための4つの台
は,切り石でできていた。長さと幅は78センチ,高さは52センチだった。それらの上に,全焼の捧げ物や
犠牲をほふるのに使う道具が置かれていた。 43 幅7センチの棚が,内側の壁にぐるりと取り付けられていた。
台の上には供え物の肉が置かれることになっていた。
  44 内側の門の外には,歌い手たちのための食堂があった。内側の庭の中の,北の門の近くにあり,南を向
いていた。東の門の近くにも別の食堂があり,それは北を向いていた。
  45 彼は私に言った。「南を向いているこの食堂は,神殿での奉仕を行う祭司たちのためのものです。 46
北を向いている食堂は,祭壇での務めを行う祭司たちのためのものです。彼らはザドクの子孫で,エホバに近
づいて奉仕するために任命されたレビ族の人たちです」。
  47 それから彼は内側の庭を測った。その長さと幅は52メートルで,正方形だった。祭壇は神殿の前にあ
った。
  48 そして彼は私を連れて神殿の玄関に入り,玄関の脇の柱を測った。片側が2.6メートル,反対側も2.
6メートルだった。門の幅は,片側が1.6メートル,反対側も1.6メートルだった。
  49 玄関の幅は10.4メートル,奥行きは5.7メートルだった。人々は玄関まで階段を上っていった。
両脇の柱の横に,1本ずつ柱があった。
  41 章
  1 それから彼は私を連れて聖所に入り,脇の柱の幅を測った。片方が3.1メートル,もう片方も3.1メ
ートルだった。 2 入り口の幅は5.2メートルで,入り口の側壁は片側が2.6メートル,反対側も2.6メー
トルだった。彼が聖所の奥行きを測ると20.7メートルで,幅は10.4メートルだった。
  3 それから彼は中に入り,入り口の脇の柱を測った。その厚さは1メートルだった。入り口の幅は3.1メ
ートルで,入り口の側壁は3.6メートルだった。 4 次に彼が聖所に面するその部屋を測ると,奥行きと幅は
10.4メートルだった。そして彼は私に,「これが至聖所です」と言った。
  5 それから彼が神殿の壁を測ると,厚さは3.1メートルだった。神殿を囲む小部屋の幅は2.1メートル
だった。 6 小部屋の上に小部屋があり,3階建てになっていて,各階に30部屋あった。神殿の壁の周囲に出
っ張りがあり,小部屋の梁を支えていた。梁が神殿の壁に差し込まれているのではなかった。 7 神殿の両側に
らせん状の通路があり,上の階に上るにつれて幅が広くなった。1階から2階を通って3階に行くにつれ,階
が上がるごとに小部屋の幅も広くなった。
  8 見ると,神殿は高い土台の上に立っており,土台の幅は神殿の幅より広かった。それは小部屋の土台で
もあり,角までの高さはちょうど3.1メートルだった。 9 小部屋の外側の壁の厚さは2.6メートルだった。
神殿の一部である小部屋に沿って,土台の端まで空間があった。
  10 神殿の両側と食堂群の間に,幅10.4メートルの区画があった。 11 小部屋に沿った空間と小部屋と
をつなぐ入り口が,1つは北側に,もう1つは南側にあった。神殿を囲むその空間の幅は2.6メートルだった。
  12 神殿の西側の区画に面した建物は,奥行きが36メートル,幅が47メートルだった。建物の壁の厚さ
はどこも2.6メートルだった。
  13 彼が神殿を測ると,全長は52メートルだった。区画と建物の奥行きと壁の厚さを足すと,それも52
メートルだった。 14 東を向いている神殿の正面と,両側の区画の幅を合わせると,52メートルだった。
  15 彼は神殿の後ろにある区画に面した建物の幅を測った。両側の廊下を含めて52メートルだった。
  彼はさらに,聖所,至聖所,庭に面する玄関を測った。 16 また,それら3つの入り口の所,窓枠が奥に
向かって狭まっている窓,廊下も測った。入り口の所の近くには,床から窓までの間に板が張られていた。窓
には覆いがあった。 17 入り口の上や,神殿の内部と外側,周囲の壁全体が測られた。 18 壁にはケルブとヤ
シの木の模様が彫られていた。ヤシの木はそれぞれ2人のケルブの間にあり,ケルブにはそれぞれ2つの顔が
あった。 19 人間の顔が片側のヤシの木の方を向き,ライオンの顔が反対側のヤシの木の方を向いていた。神
殿内の周囲全体にそのように彫られていた。 20 聖なる所の壁には,床から入り口の上の部分まで,ケルブと
ヤシの木の模様が彫られていた。
  21 聖なる所の入り口は四角だった。聖なる場所の前には,次のようなものがあった。 22 高さ1.6メー
トル,幅1メートルの,木の祭壇のようなものである。四隅に支えがあり,基部と側面は木でできていた。彼
は私に,「これがエホバの前にある食卓です」と言った。
  23 聖所と聖なる場所にはそれぞれ2つの扉があった。 24 扉は折り戸になっており,各扉を2つに折り
畳むことができた。 25 聖なる所の扉には,壁と同じように,ケルブとヤシの木の模様が彫られていた。玄関
の外側には木のひさしがあった。 26 また,玄関の両側と,神殿の小部屋とひさしに沿って,窓枠が奥に向か
って狭まっている窓とヤシの木の模様があった。
  42 章
  1 それから彼は私を北の方へ,外側の庭へ連れていった。そして,神殿の横の区画の隣にあり,隣接する
建物の北側にある,食堂群に連れてきた。 2 北側に入り口があり,長さは52メートル,幅は26メートルだ
った。 3 内側の庭の幅10.4メートルの区画と,外側の庭の石畳の間にあった。廊下と廊下が向かい合って
いて,3階建てだった。 4 食堂の前を通る通路は,幅が5.2メートル,長さが52メートルだった。食堂の
入り口は北を向いていた。 5 建物の3階の食堂は,1階や2階の食堂より狭かった。廊下が場所を取っていた
からである。 6 食堂は3階建てで,庭の柱のような柱はなかった。そのため,3階は1階や2階よりも床の面
積が狭くなっていた。
  7 外側の庭の方の食堂は,他の食堂と向かい合っていて,その近くにあった外側の石壁は長さが26メー
トルだった。 8 外側の庭の方の食堂は全長が26メートルで,聖なる所の方の食堂は全長が52メートルだっ
たのである。 9 食堂群の東側には入り口があり,外側の庭から入ってくることができた。
  10 南の方にも,庭の東を向く石壁の内側に食堂があった。神殿の横の区画と建物の隣である。 11 それ
らの食堂の前には,北の方の食堂と同じように通路があった。食堂の奥行きや幅は同じで,出口や配置も同じ
だった。北の方の食堂の入り口は, 12 南の方の食堂の入り口と同様だった。通路の最初の所,東を向く隣接
した石壁の横に入り口があり,そこから入ることができた。
  13 それから彼は私に言った。「神殿の横の区画の隣にある,北の食堂と南の食堂は,聖なる食堂で,エホ
バに近づく祭司たちがそこで極めて聖なる捧げ物を食べます。そこに,極めて聖なる捧げ物である,穀物の捧
げ物,罪の捧げ物,有罪の捧げ物を置くのです。そこは聖なる場所だからです。 14 祭司たちは入ったなら,
聖なる場所からそのまま外側の庭に出ていってはなりません。まず,奉仕する際に着る服を脱がなければなり
ません。それは聖なるものだからです。彼らはほかの服を着てから,一般の人々も入れる所に行きます」。
  15 彼は奥の神殿の辺りを測り終えると,私を連れて,東を向いている門を通って出て,周囲全体を測った。
  16 アシの物差しで東側を測ると,端から端までの長さは1.6キロだった。
  17 北側を測ると,長さは1.6キロだった。
  18 南側を測ると,長さは1.6キロだった。
  19 西側に回って測ると,長さは1.6キロだった。
  20 こうして彼は四方を測った。周囲は壁に囲まれていて,長さも幅も1.6キロだった。その壁によって
聖なるものと世俗のものが分けられていた。
  43 章
  1 それから彼は,東を向いている門に私を連れていった。 2 見ると,イスラエルの神の栄光が東の方か
ら近づいてきた。その方の声は勢いよく流れる水の音のようで,その方の栄光によって大地は明るく照らされ
ていた。 3 私が見たものは,かつて私が都市を滅ぼすために来た時に見た幻のようで,ケバル川のほとりで見
たもののようだった。私はひれ伏した。
  4 エホバの栄光は,東を向いている門を通って神殿に入った。 5 すると,聖なる力が私を立たせて,内
側の庭に連れてきた。見ると,神殿はエホバの栄光で満ちていた。 6 誰かが神殿の中から私に話し掛けるのが
聞こえ,神殿を測っていた人が来て私のそばに立った。 7 彼は私に言った。
  「人の子よ,ここは私の王座がある場所,私の足を置く場所である。ここで私はイスラエルの民の中に永
遠に住む。イスラエル国民は,もはや私の聖なる名を汚すことはない。民も王たちも,売春や王たちの死体に
よって,私の聖なる名を汚すことはもうない。 8 彼らは,自分たちの神殿の入り口を私の神殿の入り口の隣に
設け,自分たちの神殿の戸口の柱を私の神殿の戸口の柱のそばに立てた。私と彼らの間には1枚の壁しかなか
った。そのようにして彼らは忌まわしい行いによって私の聖なる名を汚したので,私は怒りのうちに彼らを根
絶やしにした。 9 彼らが売春と王たちの死体を私から遠ざけるなら,私は彼らの中に永遠に住む。
  10 人の子よ,イスラエル国民が自分たちの過ちのために恥じるよう,この神殿について彼らに詳しく話し
なさい。彼らは神殿の設計を学ばなければならない。 11 彼らが自分たちの行いを恥じるなら,彼らに神殿の
設計,すなわち配置や出入り口を知らせなさい。神殿の設計と法令,また律法を全て示し,彼らの目の前で書
きなさい。彼らが設計の全てに注意を払い,法令を守るようになるためである。 12 これが神殿の律法である。
山頂の周囲全体は極めて聖なるものである。これが神殿の律法なのである。
  13 祭壇の寸法は,以下の通りである。基部は高さが52センチ,縁の幅が52センチである。周囲に高さ
22センチのへりがある。これが祭壇の基部である。 14 基部の上の小さい段は高さが1メートル,縁の幅が
52センチである。小さい段の上の大きい段は高さが2.1メートル,縁の幅が52センチである。 15 祭壇
の炉は高さが2.1メートルで,四隅から4つの角が上に突き出ている。 16 祭壇の炉は正方形で,長さも幅
も6.2メートルである。 17 炉の下の段は長さと幅が7.3メートルで,周囲に26センチのへりがある。基
部の縁の幅はどの面も52センチである。
  祭壇の階段は東側にある」。
  18 それから彼は言った。「人の子よ,主権者である主エホバはこう言う。『祭壇を造るに当たり,これら
の指示に従わなければならない。全焼の捧げ物を捧げ,祭壇に血を振り掛けるのである』。
  19 主権者である主エホバはこう宣言する。『あなたは,群れの中の若い雄牛を1頭,罪の捧げ物として,
ザドクの子孫で私に近づいて仕えるレビ族の祭司たちに与える。 20 雄牛の血をいくらか取り,祭壇の4つの
角,炉の下の段の四隅,周囲のへりに付けなさい。そのようにして祭壇を罪から清め,祭壇のために贖罪を行
うのである。 21 それから,罪の捧げ物であるその若い雄牛を,神殿の定められた場所,聖なる所の外で焼か
なければならない。 22 2日目に,あなたは傷のない雄ヤギを1匹,罪の捧げ物として捧げる。祭司たちは祭
壇を罪から清める。若い雄牛で清めたのと同じようにである』。
  23 『祭壇を罪から清め終えたら,あなたは群れの中から,傷のない若い雄牛1頭と傷のない雄羊1匹を捧
げる。 24 あなたはそれらをエホバに差し出し,祭司たちはその上に塩をまき,全焼の捧げ物としてエホバに
捧げなければならない。 25 7日の間,あなたは雄ヤギ1匹を罪の捧げ物として毎日捧げる。群れの中から若
い雄牛1頭と雄羊1匹も捧げる。傷のない動物を捧げるのである。 26 7日の間,祭司たちは祭壇のために贖
罪を行い,祭壇を清めて使えるようにする。 27 その期間が終わると,8日目以降,祭司たちはあなたたちの
全焼の捧げ物と共食の犠牲を祭壇で捧げる。そして私はあなたたちのことを喜ぶ』と,主権者である主エホバ
は宣言する」。
  44 章
  1 神殿を測っていた人は,私を連れて,聖なる所の外側の,東を向いている門の所に戻った。門は閉じら
れていた。 2 エホバは私に言った。「この門は閉じられたままになる。開けてはならず,人間がここから入る
ことはない。イスラエルの神エホバがここを通って入ったからである。それで閉じたままにしなければならな
い。 3 しかし,長は門の中に座り,エホバの前でパンを食べる。長だからである。彼は門の玄関を通って入り,
そこを通って出ていく」。
  4 それから神殿を測っていた人は,北の門を通って神殿の前に私を連れてきた。見ると,エホバの栄光が
エホバの神殿に満ちていた。それで私はひれ伏した。 5 エホバは言った。「人の子よ,注意を払い,よく見て,
エホバの神殿の法令や律法について私が話すこと全てを注意深く聞きなさい。神殿の入り口と,聖なる所の全
ての出口に,よく注意を払いなさい。 6 あなたは反逆的なイスラエル国民に言わなければならない。『主権者
である主エホバはこう言っている。「イスラエル国民よ,忌まわしい行いをやめなさい。 7 あなたたちが,心
にも体にも割礼を受けていない外国人を私の聖なる所に連れてくると,彼らは私の神殿を汚す。あなたたちは
私にパンを,脂肪と血を捧げるが,あらゆる忌まわしい行いのゆえに私との契約は破られている。 8 あなたた
ちは私の聖なるものを大事にしてこなかった。私の聖なる所での務めを他の者たちに行わせている」』。
  9 『主権者である主エホバはこう言う。「イスラエルに住んでいる,心にも体にも割礼を受けていない外
国人は,誰も私の聖なる所に入ってはならない」』。
  10 『イスラエルが私から離れ,汚らわしい偶像に頼った時に,私から遠く離れていったレビ族は,自分た
ちの過ちの報いを受ける。 11 そして彼らは私の聖なる所の奉仕者となり,神殿の門を見張って神殿で奉仕す
る。民のために全焼の捧げ物や犠牲をほふり,民の前に立って民に奉仕する。 12 彼らは汚らわしい偶像の前
で民に奉仕し,イスラエル国民に罪を犯させたため,私は彼らに対して手を挙げて誓った。彼らは自分たちの
過ちの報いを受ける』と,主権者である主エホバは宣言する。 13 『彼らは,私に近づいて祭司として仕える
ことはなく,私の聖なるものや極めて聖なるものにも一切近づけない。自分たちが行った忌まわしい事柄のた
めに恥辱を受ける。 14 しかし,私は彼らに神殿での務めを担わせ,そこでの奉仕やあらゆる仕事を行わせ
る』。
  15 主権者である主エホバはこう宣言する。『ザドクの子孫であるレビ族の祭司たちは,イスラエル人が私
から離れた時に,私の聖なる所での務めを行った。彼らは私に近づいて奉仕し,私の前に立って脂肪と血を捧
げる。 16 彼らこそ私の聖なる所に入る。私の食卓に近づいて奉仕し,私に対する務めを行う。
  17 彼らが内側の庭の門に入る時には,亜麻布の服を着るべきである。内側の庭の門や庭の中で奉仕する時
には,羊毛の服を着てはならない。 18 亜麻布のターバンを頭に巻き,亜麻布のもも引きで腰を覆うべきであ
る。汗をかくようなものを身に着けてはならない。 19 人々がいる外側の庭に出ていく前に,奉仕する際に着
ていた服を脱がなければならない。それを聖なる食堂に置き,ほかの服を着る。服によって人々を神聖にして
しまうことがないようにするためである。 20 彼らは頭をそったり,髪を長く伸ばしたりしてはならない。髪
を整えておくべきである。 21 祭司は内側の庭に入る時,ぶどう酒を飲んではならない。 22 彼らはやもめや
離婚された女性を妻にしてはならない。イスラエルの子孫である処女か,祭司の妻だったやもめとであれば,
結婚してよい』。
  23 『彼らは私の民に,聖なるものと世俗のものとの違いを知らせるべきである。また,汚れたものと清い
ものとの違いを教える。 24 訴訟の際には,彼らが取り仕切って裁く。私の法規に従って裁かなければならな
い。また,私の全ての祭りに関する律法や法令を守り,私の安息日を神聖なものとするべきである。 25 彼ら
は死んだ人に近づいてはならない。汚れてしまうからである。ただし,父親,母親,息子,娘,兄弟,また未
婚の姉妹のためには,自分を汚してもよい。 26 祭司が清められた後,彼のために7日を数えなければならな
い。 27 その祭司は,聖なる場所,内側の庭に入って,そこで奉仕する日に,罪の捧げ物を捧げなければなら
ない』と,主権者である主エホバは宣言する。
  28 『彼らの財産についていえば,私が彼らの財産である。あなたたちはイスラエルで彼らに所有地を与え
てはならない。私が彼らの所有する分だからである。 29 彼らは,穀物の捧げ物,罪の捧げ物,有罪の捧げ物
を食べる。イスラエルで捧げられたものは全て彼らのものとなる。 30 あらゆる初物や寄進物のうち最上の物
は,祭司たちのものとなる。粗びき粉の初物も祭司に与えるべきである。そうすれば,家々に祝福がとどまる。
31 祭司は,鳥であれ他の動物であれ,すでに死んでいたものや引き裂かれていたものを食べてはならない』。
  45 章
  1 『あなたたちは土地を相続地として割り当てる時,土地のうち聖なる分をエホバに寄進しなければなら
ない。その長さは13キロ,幅は5.2キロとする。その区域全体が聖なる分となる。 2 その中で,長さも幅
も260メートルの正方形の区画が,聖なる場所のために用いられる。その周囲には26メートルの牧草地が
設けられる。 3 測られた土地から,あなたは長さ13キロ,幅5.2キロを測り,その中に聖なる所があるこ
とになる。それは極めて聖なるものである。 4 その区域は,土地のうち祭司たちのための聖なる分となる。彼
らは聖なる所の奉仕者であり,エホバに近づいて奉仕する。その区域は彼らの家のための場所,また聖なる所
のための神聖な場所となる。
  5 神殿の奉仕者であるレビ族のために,長さ13キロ,幅5.2キロの区域がある。彼らは20の食堂を所
有する。
  6 あなたたちは都市の所有地として,長さは聖なる寄進物と同じ13キロ,幅は2.6キロの区域を与えな
ければならない。それはイスラエル国民全体のものとなる。
  7 長のためには,聖なる寄進物の両側,都市に割り当てられる区域の両側に土地がある。それは聖なる寄
進物および都市の所有地の隣に,西側と東側にある。西の境界から東の境界までの長さは,部族に割り当てら
れる地域と同じである。 8 その土地は,イスラエルの中で長の所有地となる。私の長たちはもはや私の民を不
当に扱わず,イスラエル国民の各部族に土地を与える』。
  9 主権者である主エホバはこう言う。『イスラエルの長たちよ,あなたたちは行き過ぎた!』
  主権者である主エホバはこう宣言する。『暴力と圧制を終わらせ,公正で正しいことを行いなさい。私の
民の所有物を奪うのをやめなさい。 10 あなたたちは,正確なはかり,正確な乾量基準容器,正確な液量基準
容器を使うべきである。 11 乾量基準容器と液量基準容器の容量は一定でなければならない。液量基準容器の
容量は220リットルの10分の1,乾量基準容器の容量も220リットルの10分の1とする。220リッ
トルを基に計量する。 12 標準の重りは11.4グラムとする。大きな重りは680グラムである』。
  13 『あなたたちは次の物を寄進すべきである。小麦220リットルごとに3.7リットル,また大麦22
0リットルごとに3.7リットル。 14 油は液量基準容器を使って量られる。液量の基準は22リットルであ
り,その10倍が220リットルになる。 15 また,イスラエルの家畜の群れから,羊200匹ごとに1匹を
捧げる。以上の物を,穀物の捧げ物,全焼の捧げ物,共食の犠牲とし,民のために贖罪を行う』と,主権者で
ある主エホバは宣言する。
  16 『土地の全ての人は,これらの物をイスラエルの長に寄進する。 17 そして長は,全焼の捧げ物,穀
物の捧げ物,飲み物の捧げ物を準備する。祭り,新月,安息日,イスラエル国民の全ての定められた祭りの際
に捧げられるものである。長が,罪の捧げ物,穀物の捧げ物,全焼の捧げ物,共食の犠牲を差し出し,イスラ
エル国民のために贖罪がなされるようにする』。
  18 主権者である主エホバはこう言う。『第1の月の1日に,あなたは群れの中から傷のない若い雄牛1頭
を取り,聖なる所を罪から清めなければならない。 19 祭司は罪の捧げ物の血をいくらか取り,神殿の戸口の
柱,祭壇の炉の下の段の四隅,内側の庭の門の戸口の柱に付ける。 20 あなたはその月の7日にも同じように
する。間違って,あるいは知らずに罪を犯す人のためである。そして,あなたたちは神殿のために贖罪を行わ
なければならない。
  21 第1の月の14日に,あなたたちは過ぎ越しの祭りを行う。そして7日の間,無酵母パンを食べるべき
である。 22 その日,長は,自分自身と土地の全ての人のために,罪の捧げ物として若い雄牛1頭を差し出す。
23 また,祭りの7日の間,エホバへの全焼の捧げ物として,傷のない若い雄牛7頭と傷のない雄羊7匹を毎
日差し出す。加えて,罪の捧げ物として雄ヤギ1匹を毎日差し出す。 24 さらに,穀物の捧げ物として,若い
雄牛1頭につき22リットル,雄羊1匹につき22リットル,そして22リットルにつき油3.7リットルを差
し出すべきである。
  25 第7の月の15日から,長は祭りの7日の間,罪の捧げ物,全焼の捧げ物,穀物の捧げ物,油を同じよ
うに差し出す』」。
  46 章
  1 「主権者である主エホバはこう言う。『内側の庭の,東を向いている門は,仕事をする6日間は閉じて
おくが,安息日と新月の日には開けられるべきである。 2 長は外から,門の玄関を通って入り,門の戸口の柱
のそばに立つ。祭司たちは彼が差し出した全焼の捧げ物と共食の犠牲を捧げ,彼は門の入り口の所でひれ伏し
た後に出ていく。しかし門は夕方まで閉じてはならない。 3 民も,安息日と新月の日に,その門の入り口で,
エホバの前でひれ伏す。
  4 長が安息日にエホバに差し出す全焼の捧げ物は,傷のない雄の子羊6匹と傷のない雄羊1匹とする。 5
穀物の捧げ物は,雄羊1匹につき22リットル,雄の子羊の分については可能な限りの量を捧げる。加えて,
22リットルにつき油3.7リットルを捧げる。 6 新月の日には,群れの中の傷のない若い雄牛1頭,雄の子
羊6匹,雄羊1匹を捧げる。傷のないものでなければならない。 7 また,穀物の捧げ物として,若い雄牛1頭
につき22リットル,雄羊1匹につき22リットル,雄の子羊の分については可能な限りの量を捧げる。さら
に,22リットルにつき油3.7リットルを捧げる。
  8 長は入ってくる時,門の玄関を通って入り,同じ道を通って出ていくべきである。 9 民が祭りの際に
エホバの前に入ってくる時には,崇拝のために北の門を通って入る人は南の門を通って出るべきであり,南の
門を通って入る人は北の門を通って出るべきである。誰も,自分が入ってきた門を通って帰ってはならない。
反対側の門を通って出ていかなければならない。 10 彼らの長は,彼らが入ってくる時に入り,彼らが出てい
く時に出るべきである。 11 さまざまな祭りの際の穀物の捧げ物は,若い雄牛1頭につき22リットル,雄羊
1匹につき22リットル,雄の子羊の分については可能な限りの量を捧げる。加えて,22リットルにつき油
3.7リットルを捧げる。
  12 長がエホバへの自発的な捧げ物として全焼の捧げ物や共食の犠牲を差し出す場合,東を向いている門が
彼のために開けられる。彼は安息日の時と同じように,全焼の捧げ物と共食の犠牲を差し出す。彼が出ていっ
た後に門を閉じなければならない。
  13 あなたは毎日,エホバへの全焼の捧げ物として,傷のない1歳未満の雄の子羊1匹を差し出すべきであ
る。毎朝差し出すのである。 14 加えて,穀物の捧げ物として毎朝3.7リットルと,エホバへの日々の穀物
の捧げ物である上等の麦粉に振り掛ける油1.2リットルを差し出す。これはずっと守るべき法令である。 15
日々の全焼の捧げ物として,雄の子羊と穀物の捧げ物と油を毎朝差し出さなければならない』。
  16 主権者である主エホバはこう言う。『長が子供それぞれに相続地として土地を贈る場合,それはその子
供たちの所有地となる。相続によって所有することになるのである。 17 しかし,長が自分の相続地の一部を
召し使いに贈る場合,それは自由の年までその召し使いのものとなり,それから長に返される。子供だけが,
ずっと相続地を所有できるのである。 18 長は,民の所有地から民を立ち退かせることによって,民の相続地
を奪ってはならない。自分の所有地から子供に相続地を与えるべきである。私の民の誰も,自分の所有地から
追い出されることがあってはならない』」。
  19 それから神殿を測っていた人は,私を連れて門のそばの入り口を通り,祭司たちの聖なる食堂,北を向
いている食堂の方に行った。見ると,食堂の後ろつまり西の方に,ある場所があった。 20 彼は私に言った。
「ここは祭司たちが有罪の捧げ物と罪の捧げ物を煮る場所,また穀物の捧げ物を焼く場所です。何かを外側の
庭に持ち出して,人々を神聖にしてしまうことがないようにするためです」。
  21 彼は私を外側の庭に連れ出して,庭の四隅を回った。見ると,外側の庭の各隅のそばに庭があった。
22 外側の庭の四隅の所にあったのは,長さ21メートル,幅16メートルの小さい庭だった。4つとも同じ大
きさだった。 23 4つの周囲の壁には出っ張りがあり,その下に捧げ物を煮る場所が作られていた。 24 彼は
私に言った。「これらは,神殿の奉仕者が,人々が差し出す犠牲を煮る場所です」。
  47 章
  1 それから神殿を測っていた人は,私を連れて神殿の入り口に戻った。見ると,神殿の入り口の所の下か
ら,水が東の方へ流れ出ていた。神殿の正面は東を向いていたのである。水は神殿の右側の下から出て,祭壇
の南を通って流れ下っていた。
  2 彼は北の門を通って私を連れ出し,外を回って東を向いている外側の門に連れていった。見ると,水が
右側からちょろちょろと流れていた。
  3 彼は測り綱を持って東の方に行き,520メートルを測って,私に水の中を歩かせた。水はくるぶしま
であった。
  4 彼はさらに520メートルを測り,私に水の中を歩かせた。水は膝まであった。
  さらに520メートルを測り,私を歩かせた。水は腰まであった。
  5 さらに520メートルを測ると,水は川になり,歩いて渡れなかった。泳がなければ渡れないほど深い
川だった。
  6 彼は私に,「人の子よ,これを見ましたか」と尋ねた。
  それから彼は私を歩かせ,川岸に戻らせた。 7 戻って見ると,川の両岸には非常にたくさんの木があった。
8 彼は言った。「この水は東の方へ流れていき,アラバを通って下り,海に流れ込みます。すると,海の水は
きれいになります。 9 この水が流れる所では,生き物の大群が生きられるようになります。この水が流れるの
で,たくさんの魚がいるようになります。海の水はきれいになり,川が流れる所ではあらゆるものが生きるよ
うになります。
  10 エン・ゲディからエン・エグライムに至るまで,漁師たちが海沿いに立ち,引き網のための干し場がで
きます。大海の魚のように,いろいろな種類の魚がたくさんいるようになります。
  11 沼地や湿地もあり,そこはきれいになりません。塩にまみれるままにされます。
  12 川の両岸では,あらゆる果樹が育ちます。その葉は枯れず,実がならなくなることはありません。毎月,
新しい実がなります。木を潤す水は聖なる所から流れ出ているからです。実は食物になり,葉は人を癒やしま
す」。
  13 主権者である主エホバはこう言う。「これはあなたたちがイスラエルの12部族に相続地として割り当
てる領地であり,ヨセフは2つの地域を得る。 14 あなたたちはこれを受け継ぎ,平等に土地を得る。この土
地は私があなたたちの父祖たちに与えると誓ったものであり,今あなたたちに相続地として割り当てられてい
る。
  15 土地の北の境界は次の通りである。大海からヘトロンへの道を通ってツェダドに向かい, 16 ハマト,
ベロタ,シブライムを経て,ハツェル・ハティコンに至る。シブライムはダマスカスの領域とハマトの領域の間
にあり,ハツェル・ハティコンはハウランの境界に面している。 17 それで,境界は海からハツァル・エノンま
でであり,ダマスカスの北の境界とハマトの境界に沿っている。これが北の境界である。
  18 東側は,ハウランとダマスカスの間を通り,ギレアデとイスラエルの間のヨルダン川に沿っている。あ
なたたちは北の境界から東の海まで測るべきである。これが東の境界である。
  19 南の境界は,タマルからメリバト・カデシュの水を経て,谷と大海に至る。これが南の境界である。
  20 西側は大海である。南の境界から,レボ・ハマトの真横の地点に至る。これが西の境界である」。
  21 「あなたたちはこの土地を分け,イスラエルの12部族に割り当てなければならない。 22 相続地と
して分割し,共に住む外国人にも分け与えるべきである。彼らはあなたたちの中で暮らす間に子供をもうけた
のであり,あなたたちにとって生来のイスラエル人のようになる。彼らはあなたたちと共にイスラエルの部族
の中で相続地を得る。 23 外国人居住者には,その人が住むようになった部族の領地の中に相続地を与えるべ
きである」と,主権者である主エホバは宣言する。
  48 章
  1 「部族の名前は,最北から順に以下の通りである。ダンの地域は,ヘトロンからレボ・ハマトを経てハツ
ァル・エナンに至る道に沿っている。ダマスカスの北の境界に沿っており,ハマトの隣にある。そして,東の境
界から西の境界までである。 2 アシェルの地域はダンと境界を接しており,東の境界から西の境界までである。
3 ナフタリの地域はアシェルと境界を接しており,東の境界から西の境界までである。 4 マナセの地域はナ
フタリと境界を接しており,東の境界から西の境界までである。 5 エフライムの地域はマナセと境界を接して
おり,東の境界から西の境界までである。 6 ルベンの地域はエフライムと境界を接しており,東の境界から西
の境界までである。 7 ユダの地域はルベンと境界を接しており,東の境界から西の境界までである。 8 ユダ
と境界を接して,東の境界から西の境界まで,あなたたちは寄進物を取り分けなければならない。その幅は1
3キロであり,東の境界から西の境界までの長さは,部族に割り当てられた地域と同じである。中央に聖なる
所がある。
  9 あなたたちがエホバのために取り分ける寄進物は,長さが13キロ,幅が5.2キロである。 10 これ
が祭司のための聖なる寄進物となる。北側が13キロ,西側が5.2キロ,東側が5.2キロ,南側が13キロ
である。その中央にエホバの聖なる所がある。 11 それはザドクの子孫で神聖なものとされた祭司たちのため
のものである。彼らは私に対する務めを行い,イスラエル人とレビ族が離れていった時に離れなかった。 12
彼らは,寄進物である土地の中で,極めて聖なるものとして取り分けられた区域を持つ。それはレビ族の区域
と境界を接している。
  13 レビ族は,祭司の区域のすぐ隣に,長さ13キロ,幅5.2キロの区域を持つ。(全体の長さは13キ
ロ,幅は5.2キロである。) 14 彼らは,土地のこの最上の部分を売ったり,交換したり,譲渡したりして
はならない。それはエホバにとって聖なるものだからである。
  15 13キロの境界に沿って残っている幅2.6キロの区域は,都市の世俗の用途のためのもので,居住地
や牧草地になる。その中央に都市がある。 16 都市の大きさは次の通りである。北の境界,南の境界,東の境
界,西の境界はそれぞれ2.3キロ。 17 都市の牧草地は,北側,南側,東側,西側にそれぞれ130メート
ル。
  18 残りの部分の長さは,聖なる寄進物と同じで,東側が5.2キロ,西側も5.2キロである。その長さ
は聖なる寄進物と同じで,その産物は都市で仕える人たちの食物となる。 19 イスラエルの全部族から来て都
市で仕える人たちが,そこを耕す。
  20 寄進物全体は13キロ四方である。あなたたちは聖なる寄進物を都市の所有地と共に取り分けなければ
ならない。
  21 聖なる寄進物と都市の所有地の両側に残っている土地は,長のものとなる。それは寄進物の東側と西側
の13キロの境界の横にある。長さは隣接する地域と同じで,長のためのものとなる。その中央に聖なる寄進
物と,神殿の聖なる所がある。
  22 レビ族の所有地と都市の所有地は,長のものである土地に挟まれている。長の領地は,ユダの境界とベ
ニヤミンの境界の間にある。
  23 残りの部族についていえば,ベニヤミンの地域は東の境界から西の境界までである。 24 シメオンの
地域はベニヤミンと境界を接しており,東の境界から西の境界までである。 25 イッサカルの地域はシメオン
と境界を接しており,東の境界から西の境界までである。 26 ゼブルンの地域はイッサカルと境界を接してお
り,東の境界から西の境界までである。 27 ガドの地域はゼブルンと境界を接しており,東の境界から西の境
界までである。 28 南の境界はガドの境界と重なっており,タマルからメリバト・カデシュの水を経て,谷と
大海に至る。
  29 これが,あなたたちがイスラエルの部族に相続地として分割すべき土地であり,彼らはこれらの地域を
割り当てられる」と,主権者である主エホバは宣言する。
  30 「都市の出入り口は以下の通りである。都市の北側の長さは2.3キロ。
  31 都市の門には,イスラエルの部族の名前が付けられる。北側の3つの門のうち,1つはルベンの門,1
つはユダの門,1つはレビの門。
  32 東側も長さが2.3キロで,3つの門がある。1つはヨセフの門,1つはベニヤミンの門,1つはダン
の門。
  33 南側も長さが2.3キロで,3つの門がある。1つはシメオンの門,1つはイッサカルの門,1つはゼ
ブルンの門。
  34 西側も長さが2.3キロで,3つの門がある。1つはガドの門,1つはアシェルの門,1つはナフタリ
の門。
  35 都市の周囲の長さは9.3キロである。都市はその日以降,『エホバがそこにいる』という名で呼ばれ
る」。

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