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応 用 力 学 論 文 集Vol.9,pp.

251-260  (2006年8月)  土木 学 会

鋼 アーチ橋 に曲が りリブ部材 を適用 した効果 と挙動特性

Static Characteristics of Steel Deck-Type Arch Bridges with Curved Pair Ribs

山 尾 敏 孝*・ 高 治 修 作**・ ス ジ ャ リ ポ ン,ア タ ビ***

Toshitaka YAMAO, Shusaku TAKAJI, Sujaritpon. Atavit


*会員 熊 本 大 学 教 授 大 学 院 自然 科 学 研 究科(〒860 -8555熊 本 市 黒 髪2-39-1)
**工修 大 分 県 佐 伯 土 木 事 務 所(〒876 -0813大 分 県 佐 伯 市 長 島 町1-2-1)
*熊本 大 学 大 学 院 自然 科 学 研 究 科 博 士 後 期 課 程(〒860 -8555熊 本 市 黒 髪2-39-1)

This paper presents the characteristic of ultimate strength and behavior of steel deck-type arch bridges which
are composed of curved pair ribs with lateral and truss members. Numerical analyses of steel arch bridge
were carried out by changing the distance between both arch springings, arch span-to-rise ratio and
span-to-curved rise ratio. The ultimate strength of arch bridges which were composed of curved pair ribs
subjected to horizontal load increased in comparison with that of ordinary deck-type arch bridges which are
composed of parallel twin ribs and the out-of-plane bending moment of curved arch rib at arch springing was
smaller than that of parallel ones. It was shown that the effect of the distance between both arch springings on
the out-of-plane bending moment and the ultimate strength of arch bridge was large.
Key Words: deck-type arch bridge , curved pair ribs, nonlinear static analysis, ultimate strength

1.  序 論 曲 が り効 果 は期 待 で き たが,面 外 耐荷 力 が低 下 し,橋


が横倒 れ 崩 壊 を起 こす とい う研 究 結果 が報 告 され てお
我 が 国 にお け るア ー チ橋 は,石 造 アー チ橋 として17 り,曲 が り部材 と しての 効果 が十 分発 揮 で きな い結 果
世 紀 に中 国か ら長 崎 に伝 来 し,後 に我 が国 特有 の 自然 となっ た3).逆 にア ーチ クラ ウン部 が狭 ま った リブ形
条件 に合 うよ う改 良 され各 地 に広 まっ てい っ た と され 式 の上路 式 アー チ 橋 にお い て は,面 外 耐荷 力 が上 昇 す
て い る1).ま た,そ の 形状 は優 美 で あ り,景 観 的 に優 る との結 果 が得 られ てい る ものの,適 切 な アー チ形 状
れ てい る とと もに,力 学 的 に も理 にか な った構 造 で あ に 関す る点 が未 解 明 で あっ た.
る.現 代 にお い ては材 料 に鋼 や コ ンク リー トを用 い, 本研 究 では,ア ー チ スパ ンが150m程 度 の 上路 式 で,
構 造 形式 や 力 学的 な研 究 が よ り進 ん だ こ とに よ って, 鋼 ア ー チ の リブ部材 と して 内側 に曲 が った部 材 を有 す
長 大 ア ー チ橋や 扁 平 な ア ーチ 橋 の作成 も可 能 とな って るア ー チ橋 を対 象 に した.従 来 の 平行 な リブ 部材 を有
き た.こ の よ うな時 代 背景 を持つ ア ー チ橋 にお い て耐 す るアー チ 橋 との 比較 に よ り,曲 が り部 材 をア ーチ 橋
荷 力 とい う観 点 に立 っ て み る と,面 内方 向 の荷 重 に つ に適 用 した場合 の 効果 と挙動 特 性につ いて検討 を行 っ
い ては アー チ効 果 を考 慮 して アー チ ライ ズや 断 面 形状 た.パ ラ メ トリッ ク解 析 によ り両者 の面外 及 び 面 内方
を変 化 させ て 強度 を保 っ てい るの に対 して,面 外 方 向 向の 最大 強 度や 終 局挙 動 の比 較 を通 して,曲 が り部 材
の荷 重 につ い て は横 構 や対 傾構 で 対 処 して い るだ けで を有 す る アー チ橋 の特 徴 と,曲 が り部 材 の効 果 及び適
あ り,この 点 に関 して改 善 の余 地 が あ る と考 え られ る. した 形状 を明 らか に した.更 に,建 設 コス ト縮 減 を念
一方
,ア ー チ効 果 に着 目 して開 発 され て き た構 造体 頭 に置 き,曲 が り部材 の 効果 を よ り発 揮 で き る と考 え
に 曲が り部 材 が あ る.こ れ は真 直 ぐな部材 とは異 な り, られ るアー チ橋 形 式 につ い て も検討 した.
内側 又 は外側 に対 称 に 曲線 を描 く一 対 の構 造体 で あ る.
既 往 の研 究 結果 に よ る と,曲 が り部材 を用 い た構 造体 2.  解 析 モ デ ル とパ ラ メ ー タ の 決 定
が軸 圧縮 力 を受 け る場 合,真 直 ぐな部 材 を用 いた構 造
体 と比較 して,最 大 強度 が上 昇 し,部 材 軸 と直 角 方 向 2.1  解 析 モデ ル の選 定
の変 形 量 を抑 え られ る こ とが 明 らか となっ てい る2).
解 析 モデル を選 定す るた め,ま ず 一 般的 な上路 式 ア
これ は,主 と して軸 圧縮 力 で 外力 に抵 抗 す る アー チ橋
ー チ橋 の橋 梁形 式 や アー チ形 状 に つ いて の調 査 を文 献
に適 して い る と考 え られ,曲 が り部材 をア ーチ リブ に
4) よ り行 った.調 査 対象 は,昭 和59年 か ら平成14
適 用 させ たア ー チ橋 梁 の研 究 ・開 発 が行 われ て きた.
年 まで に完 工 され た上 路 式 アー チ橋 の うち,153橋 に
しか し,ア ー チ リブ が ク ラ ウ ン部 で 面外 方 向(外側
つ い て行 ない,そ の結 果 を図-1に 示 した.
に)膨 らむ 形 式 の上 路式 アー チ橋 に おい て は,あ る程 度
図-1(a)よ り,上 路式 アー チ橋 にお いて は ロー ゼ桁

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(a) 
橋 梁 形 式割 合 (b) 
アー チ形 状 割合

(c) 
アー チ 主部 材 が平 行 の橋 にお け る (d) 
アーチ主部材 が平行以外の橋にお け
橋 梁 形 式割 合 る橋梁形式割合

図-1  橋 梁調 査 結

(a) 平 行 ア ー チ リブ

(b) 
内 曲が りア ー チ リブ

図-3  ア ー チ リブ形状 図

図-2  解 析 モデ ル

橋 を採 用 して い る もの が多 い.こ こでい うロー ゼ桁 橋


とは,一 般 にアー チ リブ と桁 の両 方 に 曲げ 剛 性 を持 た
せ た形 式 の こ とで ある5).図-1(b)よ り,ア ー チ形 状
が平 行 で はな く,アー チ基 部 が 内側 に突 出 した形 状 や,
外 側 に突 出 した形 状(一 般 的 にバ ス ケ ッ トハ ン ドル 形
式 と呼 ばれ る)も1/4程 度 あ る こ とが分 か る.図-1(c),
(d)は,ア ーチ 主部 材 が平 行 な場 合 かそ れ 以外 の 場 合の
各 アー チ 主部材 の橋梁 形 式 割合 で あ る.以 上の結 果 よ
り,本 研 究で はア ー チ基 部 が外側 に突 出 し,ア ー チ ク
ラ ウ ン部 にか け て狭 ま る 「
内 曲が りアー チ 」 を研 究対
図-4  アーチ基 部突 出
象 とす る こ とか ら,図-1(d)に 示す 主 部 材 が平行 で な
い アー チ の中 で最 も割 合 の 高 い ローゼ桁 橋 を解 析 モデ 幅 βbの 取 り方

ル と して採 用 す る こ とに した. また,こ の モデ ル を基 準 と して,鋼 アー チ リブ と し


そ こで,実 橋 の上 路式 鋼 アー チ橋(ロ ーゼ 桁橋)の て,図-3に 示 す よ うな,平 行 な場 合と リブ が内 側
設 計 図 面6)を 参 考 に して,図-2に 示 す よ うな橋 長 に曲 が る場 合 を比 較 す る こ とに した.な お,図-2
L=159m,ア ー チ スパ ンl=156m,補 剛 桁 幅b=7.9mの ア のfは ア ーチ ライ ズで 図-3のaは 曲 が りライ ズで あ
ー チ解 析 モ デル を作成 した .鋼 種 はア ー チ リブ,補 剛 り,図-2に 示 す座 標 軸 で,面 外 方 向はZ方 向 を,
桁 端 部 はSM490Y,こ れ以 外 の 部材 はSS400で あ る. 面 内方 向はY方 向 を,橋 軸 方 向 はX方 向で あ る.

― 252―
2.2  解 析パ ラ メー タの 設 定 リブ 幅 につ いて は 特 に制約 を設 け ない もの と した.更
に,a/lと βの組 み合 わせ に よ って はア ーチ リブ が交差
解析 パ ラ メー タ に は,曲 が り部 材 の 曲が りの程 度 を
す る こ とも可能 だ が,本 研 究 で は 考慮 してい ない.
示 す スパ ン と曲 が りライ ズの 比(以 下 スパ ン 曲が りラ
イ ズ比)a/l,ス パ ンライ ズ比f/l,ア ー チ基部 突 出 幅 係
数 βを選 んだ.ス パ ン 曲が りライ ズ比a/lに 関 して は, 2.3  荷 重条 件 の設 定
文献3)及 び 文献7)の 研 究結 果 よ り,座 屈 モ ー ドが逆
道 路橋 示 方 書8)を 参 考 に次 の よ うな荷重 条件 を設 定
対 称 一 次 モ ー ドとな る時 が 面 外 の 最 低 次 数 の とな る
し,こ れ を組 み合 わせ て用 い た.
0.02以 上 と し,0.03,0.04,0.05ま で と した.ス パ ン ラ
(1) 死荷 重(D)
イ ズ比f/lは 実橋 にお け る値 の0.18を 基 準 値 と し,そ
各 節 点 に設 計 死 荷 重 を等 価 節 点力 に換 算 し載 荷 さ
れ よ り小 さ く した値0.1,0.08も 用 いた.こ れ は ア ーチ
せ る.
部 材 の アー チ ライ ズ を小 さくす る こ とで軸 力 の卓 越 す
(2) 活 荷重(L)
る構 造 とな り,ま た 平 面 にす るほ ど曲が り部 材 の 効果
設 計 荷重 を等 価節 点 力 に 換算 した値 とす る.道路 橋
が 発揮 され る と考 えた た めで あ る.
示 方 書 を も とに車道 部 にはL荷 重,歩 道 部 には群 集
ア ー チ基 部 突 出幅係 数 βを決 定 す るに あた って は,
荷 重 を考 えて,図-6(a),(b)に 示 す 載 荷状 態 を考 慮 し
既 存 の 実 橋 を調 査 したデ ー タ を基 に決 定 した.図-4
て い る.
は補 剛桁 幅 をbと した場 合 のアー チ基部 の突 出幅 βb
(3) 衝 撃 荷重(I)
の取 り方 を示 した もの で あ る.図 よ りアー チ基 部 の 突
アー チ部材 及 び 補剛 桁 に着 目 して,衝 撃 荷 重係 数 を
出幅 が βbよ りア ー チ基 部 の全 幅BはB=b+2βbと な
iと す る と衝撃 荷 重IはL(:活 荷 重)を 用 い て次式
る.図-5は 実 橋 のデ ー タを調べ た場 合の βとアー チ
の値 とな る.(表-2参 照)
ス パ ンの 関係 を示 した もの で ある が,ア ー チ スパ ン と
の 相 関は 見 られ ず 一様 にば らつ い てい る.な お,図 中 (1)

に β=-0.5と な って い るもの が一 つ だ け存 在 す るが, (2)


これ は アー チ基 部 が 閉 じて アー チ ク ラ ウン部 に進 む に
(4) 地震 荷 重(EQ)
つ れ外 側 に曲 が る橋梁 が一 例 あっ た た めで あ る.表-1
設計 地 震 荷重EQは,設 計 死 荷重Dに 水 平震度Kh
は実橋 が どの程 度 の βを用 い てい るか をま とめた結 果
をか けた 荷重 強 度 を等 価節 点 力 に換 算 した値 とし,面
で,β の範 囲 と橋 梁数 の 関係 を示 して い る.こ の表 よ
外 方 向 よ り作 用 させ る.ま た 参考 と した実橋 の架 設 地
り βの値 が0.3∼0.6の 間 に基部 幅 を設 定 してい る橋 梁
域 を考慮 して,地 域 別 補正 係 数Cz=0.85と し,Khを
が比 較 的 に多 い こ とが 分 か る.以 上 の結 果 よ り,本 研
II種 地 盤 と して 安 全 側で 考慮 してKh=0.25と した.
究 ではパ ラ メー タ βと して0.3,0.4,0.5,0.6を 用 い た.
ま た,本 研 究 に お いて は,ア ーチ クラ ウン部 のア ー チ

(a) 
床 板横 断 面図

図-5  βの分布 状 況

表-1  βの範 囲 と橋 梁数

(b) 
側 面 図 と各 荷重

図-6  活荷重載荷状態

― 253―
(1)ア ー チ節 点 間 を連 ね る各 部 材 は 直 線 の骨 組 み 要
(3)
素 と した.
(4)
(2)面 外方 向 の解 析 を行 う場 合,モ デ ル の アー チ リブ
(Kh0:設 計震 度 の標 準値) に面 外方 向 にl/1000(l:ス パ ン)の 最 大 値 を持
荷 重 条件 は道 路 橋示 方 書 を参照 し,表-3に 示す よ つ 正 弦半 波形 の初期 た わみ を与 えた.
うな面外 方 向((1)),面 内方 向((2))の2ケ ー ス と設 定 (3)部材 の 交点 を節点 と し,支 配方 程 式 の剛 性マ トリ
した.各 々許 容 応 力度 設 計 法 にお け る安 全率1.7を 各 クス の 帯幅 を最小 とす る よ うに節 点番 号 を付 けた.
ケー ス の割 り増 し係 数 で除 す る こ とに よっ て荷重 係 数 (4)断面 のモデ ル 化 にお い ては,断 面 諸定 数 が実 橋 の
と した.こ れ は部材 レベル で強 度 を照 査す る許 容 応 力 部 材 とほ ぼ等価 な断 面 を想 定 し,解 析 プ ログ ラム
度 設計 法 の設 計 結果 と構造 系 全体 の耐荷 力 とのバ ラン で解 析 可能 な長 方 形 断面 と した.
ス を比 較 し,許 容 応 力 度設 計 法 の問題 点 を検討 す るた (5)使 用 鋼 材 の 材 料 定 数 は ヤ ン グ 率E=206GPa
めで あ る.各 荷重 条 件 の第 一 項 を載 荷 後,第 二 項 を漸 (SS400とSM490Y),降 伏応 力 σy=240N/mm2
増載 荷 し,崩 壊荷 重(変 位 が 急増,発 散 す る荷 重)を (S糾00)σy弓60N/mm2(SM490Y)と した.
求 め,そ の時 の荷 重係 数 αを最大 荷重 係 数 αuと して求 (6)境界 条 件 は 全 モ デ ル で補 剛 桁 端 部 を ロー ラー 支
め た.ま た保 証す べ き荷 重係 数 αreqは,荷 重条件(1)の 承,ア ー チ リブ基 部 を面 内 ヒンジ支 承 と した.
場 合1.13,荷 重 条件(2)の場 合1.7で ある. (7)床 板 の 自重 を考慮 し,補剛 桁部 節 点 の 自重 と して
加 え る.
表-2  衝撃荷重計算値
3.  解 析 結 果 及 び 考 察

3.1  ス パ ン曲 が りラ イズ 比の 影響
表-3  荷 重 条件
(1) 面 外 方 向の 荷重 条 件(1)の場 合
図-7は,ス パ ン ライ ズ比f/l=0.18の モデル に 曲が
り部 材 を用 い たア ー チ橋 につ い て,異 な った スパ ン曲
が りライ ズ比a/lに よるアー チ クラ ウ ン部 の 面外荷 重
一面 外変 位 曲線 をアー チ 基部 突 出幅 係数 β毎 に示 した.

こ こに面 外 変位 をw,面 内変位 をvと した.


2.4  解 析 プ ログ ラム の概 要
図 か らわか る よ うに,ス パ ン ライ ズ比 をf/l=0.18と
静的 解 析 に は三次 元 骨組 要 素弾 塑性 有 限 変位 解 析 プ した場 合,ス パ ン 曲が りライ ズ 比a/lを 小 さ く した ア
ログ ラム9)を 使用 した.こ の 解析 法 は骨 組 み要 素 に お ー チ の方 が ,大 きい アー チ に比 べ変位 途 中にお け る面
い て直 応 力度 とせ ん断応 力 度 の組 み 合 わせ 応力 に対 し 外 変位 を抑 え られ る結 果 とな った.ま た,最 大 強度 は
て 断面 内 及び 部材 軸 方 向 の降伏 を判 定 し塑 性域 を追及 スパ ン曲が りライ ズ 比a/lに 関係 な くほぼ 同 じで あ り,
しつつ,三 次元 挙動 を解 析す る こ とかで き る.ま た, ア ー チ基 部 突 出幅係 数 βが大 きい ほ ど,最 大強 度 が上
この プ ログ ラ ムは次 の仮 定 を設 けて い る. 昇 してい る こ とが わ か る.
(1)骨 組 部材 は 閉 断面 で あ り,完 全 弾 塑 性材 料 で作 図-8は,ス パ ン ライ ズ比f/l=0.1,0.08の モ デル
られ て い る. の 解 析結 果 の 一例(β=0.4)を 示 した もの で あ る.f/l
(2)von Misesの 降 伏 条 件 が 成 立 し,降 伏 域 で は =0 .18モ デル と同様 に小 さい スパ ン曲が りライ ズ比a/l
Prandd-Reussの 増 分形 の応 カ ーひ ず み 関係6) の モデ ル の 方が,変 位 途 中にお け る面外 変位 を抑制 す
が 成 立す る. る効果 が 確 認で き るが大 きな差 は な く,耐 荷 力 の 点 か
(3)微 小 ひず み で あ り,降 伏 後 も曲 げ に関 して は 平 ら もf/lを 小 さ くす る利 点 が ない と思 われ る.他 の β
面 保持 の法則 が成 立す る. の 値 につ い て も同 様 の傾 向が確 認 で きた.
(4)断 面 が部 分 的 に降 伏 した後 も,せ ん 断 中心 の位 図-9はf/l=0.18の モ デル で,異 な るスパ ン 曲が り
置 は 不変 で あ る. ライ ズ比a/lに よ るアー チ ク ラ ウン部 の面 外荷 重-面
(5)単 純 ね じ りの み を考 慮 し,そ り拘 束 ね じ りの影 内 変位 挙 動 を示 して い る.こ の場 合,ス パ ン曲が りラ
響 は 無視 す る. イ ズ比a/lの 値 が 大 き いア ーチ の 方が,小 さい場 合 よ り
(6)断 面 変形 及 び局 部 座 屈 は生 じない もの とす る. も変位 途 中にお け る面 内変位 が抑 制 され る結果 とな り'
なお,今 回 の解 析 にお い て残 留応 力 は考 慮 す るが, 面 外 変位 とは逆 の 傾 向 を示 した.
局部 座 屈 は考 慮 しない もの と した.ま た,モ デ ル 化 を なお,全 て のモ デル にお いて アー チ クラ ウ ン部 に は
行 う際 に は主 に次 の諸 点 を考 慮 した. 橋 軸 方 向 の変位 が ほ とん ど生 じな か った.

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(a)  β=0.3 (b)  β=0.4

(c)  β=0.5 (d)  β=0.6

図-7  ア ー チ ク ラ ウン部 にお け る面外 荷 重-面 外 変位 曲線(f/1=0.18)

(a)  β=0.4f/l=0.10 (b)  β=0.4f/l=0.08

図-8  アー チ クラ ウ ン部 にお け る面外 荷 重-面 外変 位 曲線

(a) β=0.3 (a)  β=0.5

図-9  アー チ ク ラ ウン部 にお け る面外 荷 重-面 内 変位 曲線(f/1=0.18)

― 255―
以上 よ り,曲が り部 材 を用 いた ア ー チ橋 の アー チ ク 以 上 の2つ の 荷重 条 件 にお い て,パ ラメー タ を変化
ラ ウン部 にお け る変位 挙動 におい て,f/l=0.18モデ ル で させ て面 外 ・面 内解 析 を行 った 結果,曲 が り部 材 の影
は,ス パ ン曲が りライ ズ比a/lの 大 き さが面 外変 位 量 の 響 が 現れ た荷 重 条件(1)におい て,変 位 途 中の変位 抑 制
抑 制 に効果 が あ るこ とが わか った.し か し,β が 大 き 量 が 面 内方 向 よ り面外 方 向の 方 が約2倍 大 きい こ とが
くな って も,a/lの 大 き さの影 響 は あま り出 て いな か っ わか った.そ こで,以 後 の解 析 で は面外 変位 が 最 も抑
た.ま た,同 じa/lの 場 合,f/lの 小 さいア ーチ の 方 で 制 され た スパ ン曲 が りライ ズ比a/l=0.02を 使 用 した.
面外 抑 制 効果 が 見 られ た 。一 方,面 内変位 挙動 は,曲
が りライ ズ比a/lの 大 きい ア ーチ が有 効 で あ る こ とが 3.2耐 荷 力 と鋼 重 の関 係
わ か った.
図-11(a),(b)は スパ ン曲 が りライズ 比a/l=0.02,ス
パ ンライ ズ比f/l=0.18,0.1,0.08の 各 モデル で,基 部
(2)面 内 方 向の 荷重 条件(2)の場合
幅 を β=0.3∼0.6と 変化 させ た時 の 面外 ・面 内耐 荷力 と
図-10(a),(b)は,f/l=0.18モ デ ル の アー チ ク ラ ウ ン
鋼 重 の関係 を示 した もの で あ る.こ こでい う鋼 重 とは,
部 の面 内荷 重 ―面 内変位 曲線 を ま とめ て示 した もの で
モ デル 全 部材 の鋼 重 量 の総 和 で あ り,床 板 の重 量 は含
あ る.図 よ り各結 果 と もス パ ン 曲が りライ ズ比a/lに
まれ てい な い.ま ず,鋼 重 に 着 目す る と,コ ス ト縮 減
よる差 は ほ とん どない こ とが わか る.こ れ よ り,面 内
とい う観 点 よ り鋼 重 は 小 さい 方 が 良い し,ま た 耐荷 力
荷 重 に対す る耐荷 力 に はス パ ン 曲が りライ ズ比a/lは
に関 して は大 きい方 が 望 ま しい と考 え られ る.そ こで,
影 響 を及 ぼ さず,ま た 変位 途 中の 面 内変位 に も差 が な
現 行 で用 い られ て い る平行 リブ アー チ橋 を 比較 の基 準
い こ とが わか った.
と して考 えた場 合,両 方 の図 と も点線 で区切 られ た第
図-10(c),(d)は,β=0.4でf/l=0.10,0.08の モ デル
四象 限の領 域(斑 点 部)に 入 る こ とが,鋼 重 ・耐荷 力
の結 果 の 一例 を示 した もので あ る.こ の場 合もス パ ン
の観 点か ら して望 ま しい 目標 範 囲 と考 え設 定 した.
曲 が りラ イ ズ比a/lに よ る大 きな差 は見 られ な か った.
図-11(a)に お いて,ス パ ン ライ ズ比f/lを小 さく しア
ま た,(a)や(b)と 比較 す る と,(c),(の で は死 荷重 が与 ー チ リブ に 曲が り部 材 を用 い たモ デル につ いて は,全
え た時 の初 期 変位 が 示 され て お り,ア ー チ ライ ズ を小
モ デル が この領域 に入 っ てお り,鋼 重 と面外 耐荷 力 の
さ く した影 響 が表 れ て い る こ とが わ か る.
観 点 か らは望 ま しい とい え る.ま た,基 部幅 係数 βを
なお,β を変化 させ たモ デル に関 して も同様 の 結果
大 き くす るに比例 して 面外 耐 荷力 が 上昇 してい る こ と
だ った.ま た,面 外 方 向,橋 軸方 向 に荷 重 を作 用 させ
が 分 か る.つ ま り,こ れ は βを大 き くす る と,ア ー チ
て もア ー チ ク ラ ウン部 にお ける変位 は ほ とん ど生 じて
基 部幅 が 広 がっ て,面 外 方 向 の剛 性が 大き な構造 とな
い なか っ たの で,こ こでは省 略 した.
り,耐 荷 力 が上昇 した と考 え られ る.

(a)β=0.3,f/l=0.18 (b)β=0.5,f/l=0.18

(d)β=0.4,f/l=0.08
(c)β=0.4,f/l=0.10

図-10ア ー チ ク ラ ウ ン部 にお け る面 内荷 重 ―面 内変位 曲線

―256―
(a) 
面外 耐 荷 力 (b) 
面 内耐 荷力
図-11  耐荷 力 と鋼 重 の 関係

(a) 
面 外 方 向挙 動 (b) 
面内 方 向挙 動
図-12  面外荷 重 一変位 曲線

反 対 に,図-11(b)の 面 内耐 荷 力 の 方 に着 目す る と, 小 さ くす る と面 内 耐荷 力 が大 き く下が るこ とが分 か っ


スパ ン ライ ズ 比f/lを 小 さ くす るに従 い 面 内耐 荷 力 は た.ま た この場合,ス パ ン ライ ズ比f/lが0.1と0.08の
大 き く低 下 し,望 ま しい領 域 に入 るモデ ル が なか った モ デ ル を比較 す る と,鋼 重 の減 少以 上 に面 内耐 荷 力 が
こ とがわ か る.こ れ は,ア ー チ ライ ズ を小 さ く扁 平 に 大 き く低 下 してい るこ とか ら,平 行 モ デル との比 較 に
す るこ とによ って桁 橋 に近づ い た こ とや 扁 平 な形 状 に 関 して は スパ ン ライ ズ比f/l=0.18,0.1を 用 い,ア ー チ
適 した断 面 を用 い てい ない こ とが原 因 だ と考 え られ る. 基 部 幅 は 曲が りア ー チ の アー チ クラ ウン部 に お け るア
ー チ リブ 幅が 補 剛桁 幅 と等 し く,実 構造 に 近 い β=0.4
ま た,ア ー チ基 部幅 に よ る面 内耐 荷 力 の変 化 は ほ とん
ど見 られ なか った.こ れ よ り曲が り部 材 を用 い る こ と のモ デル に関 して行 うもの と した.ま た,曲 が り部 材
で 面 内方 向に対 す る効 果 は,ア ーチ ライ ズ を小 さ く し を用 い た アー チ橋 は特 に 面外 荷 重 に対 して効果 を発揮
た 扁 平 なモ デル と して もほ とん どない と考 え られ る. す るの で,荷 重条 件(1)を用 い て面 外荷 重載 荷 時 につ い
ス パ ン ライ ズ比f/l=0.08の モデ ル は,f/l=0.1の モ デ て比 較検 討 す るこ とに した.
ル に 対 して,鋼 重 量 よ りも面 内耐 荷 力 の方 が著 し く低
下 してお り,鋼 重 減少 率 と面 内耐 荷 力 の低 下 率 の釣 合 (1) 面 外 荷重 一変位 曲 線
い が 取れ てい ない と思 われ る.つ ま り,む や み に スパ 図-12(a),(b)は 荷 重 と面外及 び 面 内変位 の関係 を示
ン ライ ズ比f/lを 小 さ くす る こ とは 面 内耐 荷 力 の観 点 した もの で あ る.図-12(a)よ り,ア ー チ に 曲が り部 材
か ら望 ま しくない 結果 とな った.し か し,実 際 に どの を用 い た モデ ル は,平 行 モ デル に比べ 最大 強 度 の上 昇
程 度 の耐 荷 力 を有 す る こ とが妥 当 なの か が不 明 で あ り, が 見 られ た.こ の 最 大 強 度 の 上 昇 は βの 大 き さ と
今 後 この点 に 関 して検 討 す る必 要 が あ る と思 われ,こ a/l=0.02と 選 定 した効 果 と考 え られ る.ま た,ス パ ン
の 結果 次 第 で は コス トの大 幅 な削減 につ な が る可能 性 ライ ズ比f/lを 小 さ く した方 が,面 外変 位 は抑 制 され る
が あ る と思 われ る. が,こ れ は橋 自体 の高 さが低 い こ とか ら面外 変位 が高
さに比 例 して 小 さ くな っ てい るもの と考 え られ る.平
3.3 面 外 挙 動 の比 較 行 モ デ ル に 関 して は,ス パ ン ライ ズ比f/lを小 さ く して
も最 大 強 度 に変化 はな か った.
3.2 
よ り,曲 が り部 材 アー チ の スパ ンライ ズ比f/lを 図-12(b)に 示 す 面 内変位 に関 して も,平 行 モ デル に

―257―
比 べ 曲が り部材 を導 入 したモ デル の方 が,変 位 途 中の (3) 断 面 力の分 布
面 内変位 は抑 制 され て い る.こ れ は橋 自体 の傾 きに大 図-14,15は,荷 重 が α/αreq=2.5の時 の補 剛桁 及
き く影 響 し,同 一 荷 重載 荷 時 にお い て 面 内変位 が 小 さ び アー チ リブ にお け る軸力 及 び 面外 曲 げモー メン トカ
い方 が橋 と しての機 能 を維持 で きや すい た め,曲 が り 分 布 図 を示 した もので あ る.
部 材 を用 いた アー チ の方 が 良い と考 え られ る. 図-14(a)∼(d)は,f/l=0.1,0.18に お け る軸 力分 布 図
以 上 よ り,ア ー チ基 部 幅 を大 き く し,a/l=0.02と 選 で あ る.図 よ りスパ ン ライ ズ比f/lに 関 わ らず,曲 が り
定 した 曲が り部 材 リブ を用 いた ア ーチ 橋 は,面 外 剛 性 モ デ ル は軸 力 が 中央 部 に進 む につれ て 抑 え られ て い る.
の 上昇 に よ り面 外耐 荷 力 大 き くな った.ス パ ンライ ズ また,ア ー チ リブで は,平 行モ デル は 基部 の軸 力 が 降
比 を小 さ く した 場合,面 外 耐 荷力 に差 は な く,同 一 荷 伏 軸 力 に達 してい るが,曲 が りモデ ル にお い ては 若干
重係 数 にお け る面外 変位 の抑制 に多 少影 響 が表 れ た. の 余裕 が見 られ る.更 にアー チ リブl/4部 を境 に,ク
ラ ウン部 は軸力 が 平行 モ デル に比べ て 多少 大 き くな っ
(2) 変形 図 て い る こ とがわ か る.ス パ ン ライ ズ比f/l=0.1に お い て
図-13(a)∼(d)は 荷 重が α/αreq=2.5の時 の も,軸 力 分布 は0.18の もの とほ とん ど変 化 が ない.以
各 モ デル の変 形状 況 を示 した もの で あ るが, 上 よ り曲が り部材 を用 い たア ー チで は,ス パ ン ライ ズ
各 モ デル とも右 側 か ら面 外荷 重 を受 け左 側 に 比f/lを 小 さ く して も軸 力 には影 響 が ない と思 わ れ る.
変 形 して い る ことが わか る.平 行 モデ ル は 曲
が り部材 を用 いた モデ ル よ り大 き く変 位 して
お り,桁 の傾 き も大 きい.ス パ ンライ ズ比f/l
=0 .1の モデ ル にお い て桁 部 が面 内 方 向 に変位

して い るの は,ア ー チ ライ ズ を低 下 させ た こ
とに よって 自重 に よ る初期 変 形 が大 き くな っ
た影 響 だ と考 え られ る.こ れ よ り 曲が り部
材 を用 い た アー チ橋 で は作 用 す る面 外荷 重 が
(a) 
補 剛 桁 軸 力(f/l=0.18) (b) 補 剛 桁 軸 力(f/l=0.1)
比 較的 小 さい場合 は平行 アー チ よ りも優 れ て
い るが,作 用 す る面 外荷 重 が 非 常 に大 き くな
っ た場 合 に は桁 の傾 き こそ 抑 え られ るが,同
時 に振 れ が発 生す るた め これ を予 め防止 す る
対策 が 必 要で ある.な お,変 形 を分 か りや す
くす るた め に,変 位 は10倍 して表 示 した.

(c) 
ア ー チ リブ 軸 力(f/l=0.18) (d) 
ア ー チ リブ 軸 力(f/l=0.1)
図-14  軸 力 分布 図

(a) 平 行 モ デ ル (b) 曲 が りモ デ ル
(f/l=0.18) (f/l=0.18,β=0.4)

(a) 補 剛 桁 面 外 曲 げ(f/l=0.18) (b) 補 剛 桁 面 外 曲 げ(f/l=0.1)

(c) 平 行 モ デ ル (d) 曲 が りモ デ ル
(f/l=0.1) (f/l=0.1,β=0.4)

(c) 
ア ー チ リブ 面 外 曲げ(f/l=0.18) (d) 
ア ー チ リ ブ 面 外 曲 げ(f/l=0.1)
図-13 α/αreq=2.5時 の 変形 図
図-15  面外 曲げ 分布 図

― 258―
図-15(a)∼(d)は,f/l=0.1,0.18の 面外 曲げモ ー メ ン ト 図-17は,最 大 耐荷 力 と各 モ デ ル の鋼 重Wを 平 行
分 布 図 で ある.図 か らわ か る よ うに,補 剛桁 ・アー チ モ デル(f/l=0.18)の 鋼 重Woで 除 した もの で ある.こ
リブ とも に端 部 ・基 部 にお い て両者 に大 き な差 が生 じ こで の鋼 重 は アー チ橋 全 体 の鋼 重 を計 算 して 表示 した.
てい る.こ れ は面外 方 向 に荷 重 が 作用 す る場 合,曲 が フ ラン ジ幅 を縮 小 した解 析モ デ ル は,ス パ ン曲 が りラ
り部 材 の アー チ 効果 に よ り面外 変位 が抑 制 され た た め イ ズ比a/l=0.02,基 部 幅 が β=0.4で,ス パ ン ライ ズ 比
だ と考 え られ る.ス パ ンライ ズ比f/l=0.1の モデ ル は, =0 .18,0.1の2つ の ケー ス と した.図 中の基 準 値 f/l

平 行 モデ ル との差 が よ り大 き くな っ てお り,ス パ ン ラ は,2つ の ケー ス の スパ ンライ ズ比 にお け る平行 モ デ
イ ズ比f/lを 小 さ くす るに つれ,ア ー チ リブ基 部 に お け ル と,2つ の ケー ス の スパ ン ライ ズ比 ・スパ ン曲が り
る平行 モ デル との 面外 曲げ の差 が 大 き くな った ものだ ライ ズ比 ・基部 幅 にお け る曲が りモデ ルの 計4つ の モ
と考 え られ る. デル につ い て,断 面形 状 を変 化 させ てい ない 時 の鋼 重
と最大 耐 荷 力 で あ る.ま た,表-5は 図-17の 各 増加
3.4  断 面形 状 の変 化 が耐 荷 力 に及 ぼす影 響 率 を数 値 化 した もの で あ る.

アー チ基部 を広 げ た 曲が り部 材 を用 い るこ とで余 剰 (1) 


ス パ ンライ ズ 比f/l=0.18の 場合
な面 外耐 荷力 が生 じた こ とか ら,面 内耐 荷力 は維 持 し 図 よ り,フ ラ ンジ 幅が90%の モデ ル は基 準 値1よ り
つ つ,所 定 の面 外耐 荷 力 を確 保 す る よ うに 断面 形状 を 鋼 重 が1割 増 しに な り,80%の モデ ル で は基 準値1と
変 化 させ,鋼 重 を少 な くす る場 合 につ いて の検討 を試 差 が な くなっ た.ま た,フ ラ ン ジ幅 を減少 させ て も面
み た.断 面形 状 の 変化 は,断 面 二 次モ ー メ ン トに着 目 外 耐荷 力 が 増加 して い る こ とか ら,面 外断 面 二次 モ ー
して,フ ラ ンジ幅 を一 定 の割 合 で 削減 す る こ とに よ り メ ン トは面 外耐 荷 力 に大 きな影 響 を与 えてい な い こ と
行 った.フ ラン ジ幅 は元 の幅 の 最 大70%ま で削減 を行 が わ か る.逆 に面 外耐 荷 力 に影 響 を与 えてい るの は,
い,面 外 方 向 の断 面二 次 モ ー メ ン トを減 少 させ た.こ フ ラン ジ幅減 少 に伴 っ て増加 した フ ラ ンジ厚 と断 面積
の結 果 を表-4に 示 す.こ の時,フ ラ ンジ ・ウ ェブ の だ と考 え られ る.表 よ り,フ ラ ンジ幅 が70%の モデル
補 剛材 剛比 γ/γ*を一 定 に保 ち,図-16(a)に 示 す アー で は基 準 値1よ りも5%程 度鋼 重 を縮 減 でき,か つ 面
チ リブ 断面 の補 剛材 の本 数 を変 更 しなか っ たた め,フ 外 耐荷 力 は14%程 度 上 回っ て い る結 果 が得 られ た.し
ラ ン ジ幅 を削減 した に もか か わ らず,逆 に フ ラ ンジ厚 か し面 内耐 荷力 は面 内 曲 げモ ー メ ン トI/Izの値 と鋼 重
が増 加 して断面 積 が増 加 す る断面 が 生 じて しまっ た. に 比例 して 変化 して お り,フ ラ ンジ幅 を3割 減 少 した
図-16(b)に は本 解 析 モ デ ル の ア ー チ リブの 断面 種 類 場 合,基 準 値 を18%程 度 下 回 って い る こ とが わ か る.
に よ る配 置 を示 した.こ のAR1∼AR3ま で の箇 所 に, これ らの こ とよ り耐荷 力 に最 も影 響 を及 ぼす の は断 面
表-4  で作 成 した 断 面 をそ れ ぞれ 等 しい フ ラン ジ幅 同 積 で あ る と考 え られ る.
士 で組 み合 わせ て使用 した.
(2) 
ス パ ンラ イズ 比f/l=0.10の 場合
図 よ り,フ ラ ンジ幅 が70%の モ デル
以外 は基 準値2よ りも鋼 重 が小 さ くな
い.フ ラン ジ幅 が70%の モ デル に 関 し
て は基 準 値1よ りも鋼 重 を1割 強 削減
で き てい るが,ス パ ンライ ズ比f/lを 小
さ くす る と面 内耐 荷力 が大 幅 に低 下 し,
フ ラ ン ジ幅 減 少 に よ りさ らに低 下 して
(a) 
断面 形状 (b) 
アー チ リブ断 面 の配 置 い る こ とが問 題 で あ る.
図-16  アー チ リブ概 略 図

表-4  アー チ リブ 断 面緒 元(mm)

―259―
(a) 
荷 重 条件(1) (b) 
荷 重条 件(2)
図-17  最 大耐 荷力 と鋼 重 の関係
表-5  フ ラ ンジ 幅減少 に よる各 増加 率

全 体 と して,基 準値3,f/l=0.18で フラ ンジ 幅80%, 材 自体 の 効果 を上手 く発揮 で き てい な い と考 え られ


f/l=0.10でフ ラ ンジ幅70%の3組 のモ デ ル と,基 準値4, る.ま た扁 平 にす る こ とに よ り鋼 重 は減 少 で き るが,
f/l=0.18で フ ラ ンジ幅80%,f/l=0.10で フラ ン ジ幅70% 面 内耐荷 力 が大幅 に低 下 した.
の3組 のモ デル はそれ ぞ れ ほ ぼ同 じ鋼 重 だ と思 われ る
た め,面 内 ・面外 耐荷 力,ア ー チ ライ ズ等 着 眼 す る項 参考文献
目に よ り橋 梁 と して の形 状 の選 択肢 を広 げ る可 能性 が 1) 山本 宏:ア ー チ 橋 の起 源 と伝 播-架 橋技 術 の生 い
あ る と考 え られ る.し か し,特 に 面 内耐 荷力 を どの程 立 ち-,橋 梁 と基 礎 ア ー チ 橋 特 集,Vol25,No8,
度 有す れ ば よいの か が明 らか にな っ てい な い こ とが こ pp.8-12,1991.
こで も問 題 で あ るが,f/l=0.18で フ ラン ジ幅70%の モ 2) 山尾敏 孝,石原 完 平 井一 男:タ イ で結 合 した2本 の
デ ル が,建 設 コス ト縮 減 とい う目的 に対 して最 も達 成 曲が り部 材 の 座 屈 強度 と挙 動 につ いて,構 造 工学 論
してお り有効 で あ る と考 え られ る. 文 集,Vol41A,pp.229-234,1995.
3) 永 田涼 二:曲 が り部 材 で構 成 され た アー チ橋梁 の耐
4.  ま とめ 震 挙 動 に 関す る研 究,熊 本 大 学提 出,平 成10年 度 修
本 研 究 で は 上路式 鋼 ア ー チ橋 を対 象 と し,ア ー チ リ 士 論 文,1999.2
ブ に 曲が り部 材 を用 い た モデ ル につ い て静 的パ ラメ ト 4) 日本 橋梁 建設 協 会:橋 梁 年鑑 昭 和60年 版∼平成

リック解 析 を行 った.曲 が り部 材 の適 切 な形 状 につ い 16年 版

て,ス パ ンラ イ ズ比や ア ー チ ライ ズ比 を変 化 させ て求 5) 島 田静 雄:ア ーチ 橋 の基本,橋 梁 と基 礎 アー チ 橋

め,曲 が り部 材 を有 す るアー チ橋 の強 度特 性 や 終局 挙 特集,Vol25,No8,pp.48-52,1991.


6) 日本 道 路公 団 新 潟 建設 局 上 越 工事 事 務所:上 信 越
動 の特 徴 を明 らか に した.以 下,本 研 究 か ら得 られ た
結論 を述 べ る. 自動 車道 太 田切 川 橋(鋼 上 部 工)工 事設 計 書1995.3.
7) 石 原 完,山尾 敏 孝,平井 一男:タ イで 結 合 した 一対 の
(1)上路式 ア ー チ橋 に 曲が り部材 を用 いた 場 合,ス パ ン
曲が り部材 の 圧 縮 力 に対 す る挙 動 と一解 析 法,土 木
曲が りライ ズ比a/lを 小 さく した方 が変 位 途 中 にお
け る面 外 変位 が抑 制 され,面 外耐 荷 力 の く上 昇 が見 学 会論 文 集No.647/I-51,pp.143-154,2000.4.
8) 日本 道 路 協会:道 路橋 示 方 書 ・同解説(I共 通 編,II
られ た.
鋼 橋編),2002.3.
(2)面外 荷 重 を載 荷 させ た場合,ア ーチ 基部 を広 げ た 曲
9)小松 定 夫,崎元 達郎: Nonlinear analysis of spatial frames
が り部 材 を 用い るこ とで,ア ー チ基 部 と補 剛 桁端 部
の面 外 曲げモ ー メ ン トを抑 える こ とが で きた. consisting of members with closed cross sections, 土木
学 会 論 文 報 告 集,No.252,pp.143-157,1967.
(3)曲が り部材 の 特 性 を利 用 して 扁 平 な モ デ ル を作 成
し解 析 を行 った が,大 きな メ リッ トは な く,曲 が り部 (2006年4月13日 受 付)

― 260―

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