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2021 年 6 月 15 日

株式会社みずほフィナンシャルグループ
株式会社みずほ銀行

株式会社みずほ銀行におけるシステム障害にかかる
原因究明・再発防止について

株式会社みずほ銀行(以下「BK」)における一連のシステム障害により、お客
さま、関係者の皆さまに大変なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し
あげます。

株式会社みずほフィナンシャルグループ(以下「FG」)および BK は、BK にて
発生したシステム障害につきまして、3 月 17 日付けで設置した「システム障害
特別調査委員会」による調査等と並行して、FG および BK として一連のシステム
障害の検証を行ってまいりました。

本日は、2021 年 4 月 5 日の再発防止策の対応状況についての報告以降におけ
る再発防止に向けた検討に加え、6 月 15 日に公表された「システム障害特別調
査委員会」の評価、提言も踏まえ、FG および BK としての原因究明・再発防止に
かかる総括について報告いたします。なお、当該総括については、FG 社外取締
役のみで構成される「システム障害対応検証委員会」による検証も経て決定して
おります。

FG および BK では再発防止に向けた不断の取り組みを継続してまいります。
今後もお知らせすべきことがあれば随時報告いたします。

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目次

1.はじめに 3p

2.発生事象の概要について 3p
(1) 2 月 28 日 3p
(2) 3 月 3 日 4p
(3) 3 月 7 日 4p
(4) 3 月 12 日 5p

3.過去のシステム障害を踏まえたこれまでの FG および BK の取り組み 6p

4.原因分析 7p
(1) 「危機事象に対応する組織力」に係る課題 7p
(2) 「IT システム統制力」に係る課題 7p
(3) 「顧客目線」に係る課題 8p
(4) 「企業風土」に係る課題 8p

5.責任の明確化 8p

6.FG および BK としての再発防止への取り組み 9p


(1) システム 9p
(2) 顧客対応・危機管理 12p
(3) お客さま・社会と共に歩む「人と組織の持続的強化」への取り組み 13p

7.今後の取り組み態勢について 15p

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1. はじめに

当グループにおいては、これまで 2002 年 4 月、2011 年 3 月、そして今回と、


三度にわたり大きなシステム障害が発生し、お客さまはじめ広く社会の皆さま
に大変なご迷惑をおかけしてまいりました。再びこのような事態を起こすこと
がないよう、抜本的な再発防止策に組織全体で取り組む必要があるものと強く
認識しております。

FG および BK は、今後も皆さまに安心して BK とお取引頂くために、過去の障


害事案を改めて振り返った上で、本事案に通底する課題に対して本質的かつ持
続的な取り組みを行うべく、システム障害特別調査委員会の提言も踏まえ、再発
防止に向けて、 「システム」と「顧客対応・危機管理」のそれぞれの取り組みを
強化し、かつそれらを機動的かつ部門横断的に融合させることで「多層的な障害
対応力の強化」に向けて組織全体で取り組んでまいります。

2. 発生事案の概要について

今回、2021 年 2 月 28 日、3 月 3 日、3 月 7 日、3 月 12 日と短期間に 4 回のシ


ステム障害が発生いたしました。各事案の事実関係につきましては、6 月 15 日
付の「システム障害特別調査委員会」の調査報告書記載の通りです。

以下に、調査報告書の内容を踏まえて FG および BK において認識する事案の


概略を記載します。
(事案の詳細につきましては、調査報告書をご参照ください)

(1) 2 月 28 日

「みずほ e-口座」案件の「e-口座一括切替処理」を、月末の日曜日に当たる
2021 年 2 月 28 日に実施したことに起因し、同日 9 時 50 分に関連するファイル
の使用率が 100%を超過しました。これにより、定期預金システムにアクセスす
る更新処理が全て不能となり、同システムにアクセスした ATM 内に通帳・カー
ドが取り込まれる事象が発生するとともに、インターネットバンキングサービ
スであるみずほダイレクトにおいて定期性預金のお取引ができない状態となり
ました。これらのエラーがさらに、10 時 0 分には ATM またその後みずほダイレ
クトの処理区画の閉塞につながり、同閉塞が進行するにつれて、定期性預金取引
以外の ATM 取引等にも多数のエラーが発生し、ATM で通帳・カードの取込みが頻

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発しました。

同日 9 時 50 分から 10 時 5 分の間に約 6,400 件のエラーメッセージが発生し、


BK およびみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社(以下「RT」、障害発生当時
はみずほ情報総研株式会社)は、障害の原因の解明を開始するとともに、復旧に
向け各措置を講じました。しかし RT において ATM の処理区画の閉塞を認知した
のは、エラー検知後 7 時間以上を経過した同日 17 時 10 分であり、ATM 処理区画
の再立ち上げが完了したのは同日 18 時 39 分となりました。

上記障害により、お客さまに対しては、①ATM の稼働停止(最大 4,318 台)、


②通帳・カード取込み(5,244 件)、③ATM およびみずほダイレクトの一部取引不
能等の影響を与えました。
通帳・カードの取込みに対しては、ATM の監視を行う拠点である ATM センター
からのリモート操作、警備会社の出動や営業店職員の駆付け対応による通帳・カ
ードの回収、返却を行いましたが、多数の取込みが発生したために、これらの対
応では追い付かず、2 月 28 日が日曜日であったこともあり、多数のお客さまの
通帳・カードが ATM に長時間取り込まれたままの状態となりました。BK と連絡
が取れるまで、何の情報もないままその場を離れることができず、ATM の前で長
時間立ち往生せざるを得なかったお客さまも多数おられました。また、取り込ん
だ通帳・カードを回収した ATM では平常と同様の外観に戻るため同じ ATM で別
のお客さまの通帳・カードが取り込まれる例も多数発生しました。
取り込まれた通帳・カードを当日に返却できたのは 1,244 件にとどまり、障害
発生当日から一週間後の 3 月 7 日までに 5,152 件、全てを返却し終えたのは 4
月 22 日となりました。

(2) 3 月 3 日

2021 年 3 月 3 日、BK のデータセンターにおいて、ネットワーク機器内のネッ


トワークカードが故障し、他系統のネットワークカードへ切り替わるまでの 3 分
間、通信状態が不安定となりました。他系統に自動で切り替わったため、故障か
ら 3 分後に通信状態は正常に復旧しました。その間に、①ATM での通帳・カード
取込みが 29 件発生し、②ATM やダイレクトを通じたナンバーズ(宝くじ)の購
入取引が一部不成立となる事象が 7 件発生しました。

(3) 3 月 7 日

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2021 年 3 月 7 日、BK が「カードローン商品の延滞利息徴求機能」に係るプロ
グラムのリリースを行った際、当該プログラム設計に、本来必要であった初期化
処理の組み込み漏れというミスが存在したため、同日 6 時 8 分、総合口座定期
入金に係る集中記帳処理時にエラーが発生しました。
BK と RT は、初期化処理の組み込み漏れについて修正プログラムをリリース
し、13 時 42 分、定期預金入金取引が復旧しました。
ATM 及びダイレクトにおいて定期入金取引が不成立となったお客さまに対し
ては、障害の発生および取引が不成立になったことの告知や、事情説明を行いま
した。また ATM での通帳・カードの取り込みを防止する目的で、ATM での定期預
金の一部サービスが一時停止されました。

(4) 3 月 12 日

2021 年 3 月 11 日 23 時 39 分、①MINORI の共通基盤に存在するストレージ装


置内の通信制御装置が故障したことで、ストレージ装置とサーバの間の通信が
遮断され、同サーバ上で稼働する業務システムが停止しました。そのうち、②「統
合ファイル授受」 (センター集中記帳処理に必要なファイル等の受け渡しを基盤
間で行う業務システム)の停止により、センター集中記帳処理が遅延し、これに
より、③主に外国為替送金処理が遅延する等の影響が生じました。

エラーを検知後、直ちにストレージ装置の復旧対応を行いましたが、通信制御
装置の交換後も接続が回復せず、全サーバ復旧までは 6 時間 41 分、統合ファイ
ル授受の復旧までは 6 時間 59 分を要しました。
「統合ファイル授受」復旧後、センター集中記帳処理が順次再開されましたが、
外為システムにおいて適切な復旧(リカバリ)手順が取られず、規定の時限まで
に処理が完了しませんでした。

この障害により、国内他行向け仕向送金 263 件が 3 月 12 日当日中の時限に間


に合わず、外為被仕向送金の入金案内処理 761 件が当日中に完了できませんで
した。仕向送金については、バックバリューコストを BK が負担する前提の下、
受取銀行と入金日を含め交渉を行いました。被仕向送金については、受取人に連
絡し、入金日について意向確認を行い、3 月 31 日時点で全ての入金済みが確認
されました。

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3. 過去のシステム障害を踏まえたこれまでの FG および BK の取り組み

過去のシステム障害、特に 2002 年および 2011 年の事案においては、システ


ム面においては、システム機能上の問題、システムリスク管理態勢上の問題の両
面で様々な課題が生じ、これらを抜本的に改善する観点から、当グループにおい
ては 2011 年 5 月に発表した「信頼回復に向けた取り組みについて」の具体的な
取り組みの一つとして、システムの完全一元化に取り組み、2019 年 7 月に新勘
定系システム(MINORI)への移行を完了いたしました。

MINORI は SOA(サービス・オリエンテッド・アーキテクチャー)(注 1)の考え方


に基づき、システム障害が発生した場合でも発生箇所を局所化し、勘定系全体を
止めない設計としました。

また、顧客対応・危機管理の観点につきましても、過去のシステム障害事案に
おいては、コンティンジェンシープラン、危機管理態勢、情報連絡態勢の不備等、
各種管理の枠組みやルール整備等が不十分であったことにより、組織としての
迅速な初動対応や、適切な顧客対応が確保されませんでした。こうした反省を踏
まえ、これまでに初動における報告態勢や役割分担等の明確化、BCP(注 2)・SCP(注
3)
個票の追加整備、部門横断的なシステム・事務の重要プロジェクトを管理する
枠組み等、緊急時対応や危機対応にかかる枠組み整備を進めてまいりました。

しかしながら、2.に記載の通り、今回、短期間に 4 回のシステム障害が発生
したことを踏まえ、今回の発生事象のみならず、過去事案の経緯や原因、その時
点で講じた対策等についてもしっかりと検証したうえで、当グループの組織に
内包する根本原因を洗い出し、それに対して本質的、持続的な再発防止策を講じ
る必要があるものと認識しております。

(注 1) サービス・オリエンテッド・アーキテクチャー
システム構築の方法の一つ。ユーザーが意識できる業務単位でシステム機能をコンポーネント化するとともに、
システム内の処理を部品化し、それらを組み合わせて再利用することによるシステム開発の効率化とシステム
構造の複雑化回避を実現する手法。
(注 2)ビジネスコンティンジェンシープラン
緊急事態において継続すべき重要な業務について、業務影響度、関連システム、初期対応、暫定対応、本格復
旧時対応等を記載した、事業継続のための計画
(注 3)システムコンティンジェンシープラン
緊急事態において継続すべき重要な業務について、初期対応、暫定対応、本格復旧対応等に必要なシステム復
旧のための措置等を記載した計画

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4. 原因分析

今回、システム障害特別調査委員会において、各発生事象にかかる原因分析を
詳細に行うとともに、過去の障害事例に照らした分析についても、2002 年、2011
年の障害事案に留まらず、他の障害事案も含めて幅広い検証を行い、今回の発生
事象との共通項の分析を行っております。その詳細につきましては、調査報告書
記載の通りです。

調査報告書においては、一連の本システム障害に通じる原因として、 (1)危機
事象に対応する組織力の弱さ、(2)IT システム統制力の弱さ、(3)顧客目線の
弱さ、の 3 点が存在し、さらにその根底には(4)それらが容易に改善されない
体質ないし企業風土があるものと指摘しております。

これらの総括は、当グループが今後再発防止に取り組んでいく中において、重
要な指針として踏まえていくべきものと認識しております。それらの詳細は調
査報告書に記載の通りですが、その内容の一部を調査報告書より抜粋して記載
いたします。

(1) 「危機事象に対応する組織力」に係る課題
不測の危機事象である本障害発生時には、他の部署からの情報を適切に把握
するための連携がうまく機能しなかっただけでなく(横の連携)、一元的な情報
集約を担うべき有事対応に係る体制が機能せず、また、経営陣への報告が遅く非
常対策 PT の設置も遅れたなど経営陣に対する情報の連携も十分ではなかったも
のであり(縦の連携)、組織としての危機対応力の弱さが顕著に表れたといわざ
るを得ない。

(2) 「IT システム統制力」に係る課題


2 月 28 日障害では、取消情報管理テーブルの INDEX FILE の容量超過のリス
ク認識の不足、運用管理や障害復旧対応における情報収集態勢等の不備・不十分
性、3 月 7 日障害では、カードローン案件に係るテスト不足や外部委託先の管理
体制の不備、3 月 12 日障害では、障害発生時の復旧対応に関し、訓練の不足、
外部委託先の管理体制及び顧客対応における情報共有体制の問題などがそれぞ
れ認められ、全般に、IT ガバナンス及び IT マネジメントが十分機能せず、IT シ
ステムの統制力に脆弱性があった。
その背景には、①MINORI 移行後の IT 人材のリソースの再配置等に配慮不足が

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あり、加えて、②より深くリスクマネジメントがなされるべき休日や営業時間外
における危機への備えが足りないこと、が挙げられる。また、③システム障害を
繰り返していることにも照らし、その根底には経営陣以下に、システムリスクに
対する感度の低さがあるものと思われる。

(3) 「顧客目線」に係る課題
2 月 28 日障害により顧客が多大な不便等を強いられたことにみられるように、
①ATM の通帳・カード取込み仕様とそれがもたらす影響についての問題意識が欠
如しており、②有事の障害対応において、顧客利益に極力配慮する姿勢が足りて
いなかった。また、③ATM やダイレクトを利用する顧客は、銀行にとっては「顔
の見えない顧客」であり、関心が薄いことも否定できないように思われる。

(4) 「企業風土」に係る課題
本障害という有事において、自らの持ち場を超えた積極的・自発的な行動によ
って、問題を抑止・解決するという姿勢が弱い場面がしばしば見受けられた。ま
た、障害の内容・顧客への影響の全容が完全に明確ではない時点において、リス
クがあるものとして、発言し行動することを控えるような状況も認められた。
役職員にこのような積極的・自発的姿勢が欠ける要因としては、積極的に声を
上げることでかえって責任問題となるリスクをとるよりも、自らの持ち場でや
れることはやっていたといえる行動をとる方が組織内の行動として合理的な選
択になるという企業風土があるためではないか、と思われた。

5. 責任の明確化

今回、社会インフラの一翼を担う金融機関としての役割を十分に果たせず、多
くのお客さまにご迷惑をお掛けしたことは、大変遺憾であります。

一連のシステム障害により、ATM・みずほダイレクトで定期預金や宝くじのお
取引が一部できなかったほか、ATM で広範に通帳・カードの取り込みが発生し、
長時間お待たせしたお客さまも多くいらっしゃいました。決済取引でも、国内他
行向け仕向送金、外為被仕向送金の入金案内等に遅れが生じました。

短期間に度重なる障害が発生したこと、また、2002 年、2011 年に続き障害を


引き起こしたことで、お客さまをはじめ、関係者の皆さまに大変なご迷惑をお掛
けしたことを、改めて、深くお詫びいたします。

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一連の障害に対する責任を重く受け止め、別紙のとおり責任を明確化します。

6. FG および BK としての再発防止への取り組み

これらのシステム障害特別調査委員会による原因分析を踏まえ、FG および BK
は、今後の再発防止の取り組みにおいて、表面的・形式的な手当てに留まること
なく、お客さまの利便や社会インフラとしての安定性を意識し、営業店・本部問
わず、縦横の連携を各部門にしっかりと根付かせることを通じ、組織全体として
障害対応力の実効性を継続的に高めていく必要があると考えております。

具体的には、「システム」部門においては、障害の発生防止と実際に発生した
場合の早期検知と復旧のために、「顧客対応・危機管理」部門においては、障害
の早期検知とお客さまへの影響極小化のために、それぞれにおいて、多層的に障
害対応力を強化する仕組みを作ります。また、各部門の対応力強化にとどまらず、
両者を横断した取り組みとして SCP と BCP を融合させ、更には、訓練、組織態
勢、人材等も含めて組織全体としての障害対応力を高めることで、迅速に顧客影
響を極小化する「多層防御」の態勢を構築することができるものと考えておりま
す。

あわせて、これらの多層的な障害対応力を実効的なものにし、「システム」や
「顧客対応・危機管理」の課題に通底する組織全体の根本課題を本質的に解決し
ていく観点から、「人と組織の持続的強化」にも取り組んでまいります。

「システム」「顧客対応・危機管理」
、そしてその背景にある「人と組織の持続的
強化」、それぞれの具体的な再発防止策・対応策は以下の通りです。

(1) システム

FG および BK は、原因分析を踏まえ、質の高い人材を配置し、組織内・組織間
での有機的な連携を確保することで、MINORI の特性に相応しい態勢整備を実現
してまいります。

① ATM 仕様変更、ハードウェア機器の改修

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・ 全ての当行 ATM について、お客さまの取引が不整合となる懸念がある
場合を除き、原則として通帳等の媒体を返却する仕様に改修【済】
・ 障害発生時のお客さまへのアナウンス方法につき、お客さま向けの告
知を可能とする ATM 明細票・画面の改修等【22 年1~3 月期中】
・ お客さまの取引が不整合となる懸念がない場合の定期預金システムか
らのエラー応答を変更し、ATM での媒体の取り込み等を回避【9 月末】
・ ハードウェア機器について必要な交換・改修を実施【済】、今次障害と
類似する全ての機器を対象に点検を実施【6 月末】

② 監視システムの改善と開発・運用部門間の連携態勢見直し
・ 監視システムにおいて、障害検知を迅速に行うためシステムエラーを
検知するメッセージの出力・警告方法を改善【済】
・ 検知したシステムエラーの報告期限の見直し【6 月末】、システム開発
部門と運用部門間の情報連携態勢の見直し【8 月】、大量エラー出力時
の同種エラー集約【12 月末】
・ 自動化技術等も活用した監視システムのさらなる高度化に着手【9 月末
方針決定】

③ MINORI 関連の総点検の実施
・ MINORI のサービス・機能のうち未稼働部分(全体の 6%)のリスクを再
精査、MINORI 構築時のテスト状況の再確認等を通じ、当該サービス・
機能の稼働時に適切に対応できることを確認【6 月末】
・ 重大障害となりうるシステムエラーをテスト環境において人為的に発
生させ、MINORI システム上の挙動や周辺システムも含めた波及影響を
実地で確認することで、障害発生時など、通常の運行状態以外の場面
における対応力を強化【12 月末】
・ 取引量の増加等のシステムへの影響と対応要否等、MINORI の安定稼働
に必要な維持・メンテナンス内容の点検【9 月末以降、定期的に実施】

④ システム部門における障害時訓練等の高度化
・ 内外為、ATM、市場決済関連業務等、お客さまへの影響が大きい業務領
域において、複数システムを跨る障害シナリオを導入【済】、当該シナ
リオを対象に開発・運用部門、顧客部門やベンダーも参加する部門横
断訓練を開始【6 月】、また実機を使用した実戦型の訓練も実施【2022
年 2 月末】
・ 障害情報収集範囲の見直しや分析の切口拡充により障害発生時の真因

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等の分析力を向上【8 月末】。
・ ハード機器故障状況の分析・検討手法の追加・改善により障害分析力
を向上させるとともに、保守期限管理手法を見直し類似の事案発生防
止に向けた対応力を向上【9 月末】

⑤ 人材ポートフォリオの可視化と組織的な牽制の強化

イ) 人材ポートフォリオの可視化と人員再配置
・ MINORI および周辺システムを安定して稼働させるため、MINORI 人材の
スキル・経験一覧の詳細化および人材ポートフォリオの可視化を行い、
必要な部署に適切な人材を配置【9 月末】
・ 経営層も含む外部人材の登用【9 月末】
・ 安定的な IT 人材育成・活用を支える新人事制度下の運営設計【12 月
末】

ロ) 組織態勢の整備
・ 「レビュー専門チーム」 「インフラレビューチーム」を設置するととも
に、ベンダーとの連携により「技術アドバイザリーデスク」を開発会社
に再設置【済】
・ 技術・品質統括を担う IT 基盤・プロジェクト統括部を新設し、全体を
俯瞰するチェック態勢を継続的に確保【7 月】

ハ) 開発・保守管理態勢の整備
・ 開発プロセスにおけるチェック態勢、保守管理態勢を強化
-メモリー領域の点検も含め、開発プロセスにおけるシステムテストの
充分性検証等の手続明確化【済】
-月末などのお客さま・業務の影響が懸念される日のシステムリリース
や大量移行処理は、お客さまや業務への影響が限定的かつ万一の備え
が出来ていない限り回避することの明確化【6 月末】
-開発工程における継続的なリスクモニタリング態勢の強化【9 月末】
・ 外部委託先との役割分担や連携態勢を再点検し、組織的な統制力を強
化【9 月末】

ニ) システムリスク管理や内部監査態勢の拡充
・ リスク管理部門や内部監査部門において MINORI に知見のある人材の配
置・育成も含めて牽制態勢を強化【9 月末】

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(2) 顧客対応・危機管理

FG および BK は、原因分析を踏まえ、有事だけでなく平時においても、絶えず
顧客目線を持つことを組織全体で徹底してまいります。

① お客さまの声を把握し施策に活かす組織対応
・ お客さまの声をサービス向上施策に反映すべく、個人営業店全店に「サ
ービス品質向上推進者」を配置【済】
・ 過去 3 年間のお客さまや営業店の声を確認し、顧客サービスの総点検
を実施【済】
・ 今後も SNS 等を含めて多面的に外部動向を収集・分析し、環境変化を
捉えて不断にサービス改善に繋げるための組織を新設 【7月末】
・ ユーザー部門としてのシステムオーナーシップを強化し、リリース時
のリスク評価を踏まえた準備の十分性等の検証態勢を強化するととも
に、それを支えるシステム部門との人材交流も継続的に実施【9 月末以
降】
-ATM の所管も顧客部門に一元化【9 月末】

② お客さまや決済への影響を踏まえた平時からの態勢整備・有事の備え
・ 細分化された BCP を、外為、ATM、市場決済関連業務等、顧客影響や決
済影響の大きい 30 程度の重要業務ごとに大括り化し、障害発生の有事
の際に顧客目線で活用できるよう各システム構成図を踏まえて SCP と
融合【6 月末】
・ 訓練や研修において、従来の「手順確認型」だけでなく、 「顧客影響を
自ら考える」実戦型を取り入れて実施【7 月以降順次実施】
-まずは大括り化した約 30 業務を対象に出来るものから順次実施
・ 各部署による顧客影響の早期検知態勢を強化し、サービス別の本部織
横断的な人的ネットワークを普段から構築することで、有事の際の迅
速な情報収集態勢を確保【6 月末】
・ 休日や夜間も含めた営業店・本部の駆付け態勢整備【6 月末】
・ 各種デバイスや SNS 等コミュニケーションツールの整備・拡充
【6 月末】
・ 顧客告知手段の拡充(SNS の活用等)【済】
・ 障害検知後原則 1 時間以内に関係部を招集し、初期対応方針を速やか

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に協議することを徹底【済】
・ 危機管理担当役員を設置し、経営レベルも含めて危機管理態勢を強化
【7 月 1 日】、危機管理室長の専担化【済】
、外部専門家のアドバイスの
継続的活用【済】

(3) お客さま・社会と共に歩む「人と組織の持続的強化」への取り組み

FG および BK は、原因分析を踏まえ、横の連携・縦の連携が確保された多層的
な障害対応力の向上を支え、より実効的なものにしていく観点から、 「人」と「組
織」の強化が不可欠であると認識しております。

特に、今回のシステム障害事案において、「システム」、
「顧客対応・危機管理」
面で見られた各課題に対して、「ルールや自己の責任範囲を超えた組織的行動力
の更なる強化」が必要と考えており、組織全体の課題と位置付けて取り組んでま
いります。

① 人と組織態勢の強化

・ 「システム」 「顧客対応・危機管理」の分野における人材育成や組織に
関連する施策に加え、広い視野を持つ専門人材の積極的な活用を通じ、
人と組織態勢を全社的に強化
-社員一人一人に対して、専門性を高めていくための関連部門横断
的なキャリア開発を進める枠組み(キャリアフィールド運営)を
具体的に設計【12 月末】
-組織マネジメントを担う階層においても、必要に応じ外部人材を
採用し、「新しい風」を組織に取り入れ【7 月以降】
-社員の自律的行動や成長を促す、実績重視・対話型の人事評価の
実践【9 月末】
 1on1の面談を通じたフィードバック重視の育成・評価運営、
形式的評価から実質的評価への移行につき、研修等を通じて
徹底
-グループにおける経営層の役位の統合等、組織内の階層を簡素化
 FG:専務/常務の廃止、
BK/TB(みずほ信託)/SC(みずほ証券):専務廃止、
FG/BK/TB/SC/RT:執行役員と参与を執行理事として統合

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【いずれも 7 月 1 日】

・ 必要な経営資源配分には引き続き留意しつつ、構造改革を着実に推進
-FY21 については、人員 160 名、経費枠 80 億円、投資枠 100 億円の
規模で人員・経費枠を予備的に拡充【済】

② 行動様式の変革

・ 組織的行動力を強化する観点からオープンで緊密なコミュニケーショ
ンの活性化等の各種枠組み導入(これらの取り組みを通じ、カンパニ
ー間や各社間の兼務体制下での組織運営等、既往の運営態勢の実効性
も強化)

-自ら考え、迅速に動く行動様式の確立に向け、まずは役員から業務
スタイルを変革【6 月末以降】
 コミュニケーションを「文書中心」から、
「まずディスカッショ
ン」へ変えるべく、全社員と考え方を共有
 会議も資料作成・説明に時間をかけるのではなく、ディスカッ
ション中心の運営に順次見直し
 プリンシプルベースのガイダンスを作成し、一律・形式的な推
進を回避

-一人一人の学びや気づきを自律的にお客さまへのサービスに活か
していくために、現場・本部一体となった運営を推進
 事務ミスを起こしたことをマイナス評価するのではなく、今後
の予兆・予防の観点からの前向きな提案・提言等を積極的に評
価する仕組みを導入
【(運営開始済/9 月末までに順次ルール等に反映】
 各人の学びや気づきを顧客サービスに活かす観点から、営業店
にコミュニケーター100 人・本部に営業店担当チューター30 人
を追加配置し、営業店間および営業店・本部間の日常的・双方
向のネットワークを多層的に強化【9 月末】

なお、調査報告書(別紙9~11)において、
「障害発生の可能性を減少させる
ために考慮に値する事項」「お客さまへの影響の極小化・局所化のために考慮に
値する事項」「顧客対応に関する再発防止策の実施に際しての留意点」として、

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再発防止につながる可能性のある施策、あるいは再発防止策実行にあたっての
留意点が示されており、FG 及び BK は積極的に取り入れを検討し、一層の改善
対応に活かしてまいります。

7. 今後の取り組み態勢について

当グループにおいて、FG は経営管理会社としてグループ経営管理規程に従い、
グループ各社に対し、各種計画の策定、リスク管理等について、基本方針等を策
定・提示し、グループ各社に態勢整備をさせるとともに、必要な事項についてグ
ループ各社から申請・報告等を受け、重要な事項について事前に承認すること等
を通じ、グループ全体の経営管理を行っております。

BK を含むグループ各社は、FG の基本方針等に従い、各社としての態勢整備を
行うとともに、必要な事項について FG あてに申請・報告等を行い、その経営管
理のもとで適切な業務執行を行っております。

FG および BK は、今回のシステム障害にかかる再発防止策について、それぞれ
の基本的な役割と責任を踏まえ、実効性と継続性を確保すべく、目指すものが何
かを経営陣が明確に示し、全役職員が目的意識を持って取り組んでまいります。

・ FG は、本障害事案を重く受け止め、グループとしての適切な運営の確
保の観点から、グループ基本方針の策定(グループ横断の人事制度運
用、障害訓練の基本方針等)、必要な経営資源の配賦等の対応、他のグ
ループ会社への今事案の横展開を行ってまいります。また、BK の経営
管理会社として、BK が実行する再発防止策の進捗状況を管理監督しま
す。

・ BK は、FG の経営管理の下、MINORI を所有し、開発・運営・管理を担


い、また、お客さまへ様々な金融サービスを提供する当事者として、
上記の再発防止策の全般について、顧客目線での実効性を確保すべく、
委託先であるグループ会社を含めて現場の隅々まで徹底を図り、さら
に継続的な訓練や研修を通じて組織横断的な定着を図ることで、多層
的な障害対応力の強化を実現します。

上記の障害対応策を確実、迅速に遂行していくために、FG 及び BK において、
それぞれ FG 社長・BK 頭取を委員長とする「システム障害改善対応推進委員会」

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を設置いたします。

また、経営監督の立場においては、FG は既に社外取締役のみで構成される「シ
ステム障害対応検証委員会」を設置しております。今後同委員会の役割および目
的を、現在の「原因究明、再発防止策の妥当性・評価」から、 「再発防止策の実
施状況の監督」に軸足を移し、引き続き本事案に対応してまいります。加えて、
再発防止策の全般を実行する当事者である BK においても、社外取締役・社内取
締役で構成する同委員会を設置いたします。詳細については下記の通りです。

FG システム障害対応検証委員会
(1) メンバー:社外取締役より 4 名を選任
(2)目的:
① FG における BK 再発防止策への対応状況の進捗確認
② FG における再発防止策のへの対応状況の進捗確認

BK システム障害対応検証委員会
(1)メンバー:社外取締役および社内取締役等より選任
(2)目的:
① BK 再発防止策への対応状況の進捗確認

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(別紙)
役員処分について

下記のとおり役員報酬の減額を行います。

みずほフィナンシャルグループ
坂井 辰史 報酬月額の▲50%×6ヶ月
取締役社長
みずほ銀行
藤原 弘治 報酬月額の▲50%×4ヶ月
取締役頭取

(IT・システムグループ/事務グループ)
IT・システムグループ長
石井 哲 報酬月額の▲40%×4ヶ月
兼 事務グループ長
IT・システムグループ副グループ長 片野 健 報酬月額の▲20%×4ヶ月
事務グループ特定業務担当 清水 英嗣 報酬月額の▲10%×4ヶ月

(企画グループ)
企画グループ長 猪股 尚志 報酬月額の▲15%×4ヶ月

(リテール・事業法人カンパニー・部門)
リテール・事業法人カンパニー長 大塚 雅広* 報酬月額の▲15%×4ヶ月
リテール・事業法人部門長 丸山 幸信** 報酬月額の▲15%×4ヶ月
リテール・事業法人部門特定業務担当※ 鈴木 聡史 報酬月額の▲10%×4ヶ月
※みずほ銀行の職位を記載
注)会社名の記載のない役員の所属は以下の通り
無印: みずほフィナンシャルグループ・みずほ銀行を兼務
*印 : みずほフィナンシャルグループ
**印: みずほ銀行

【参考】みずほリサーチ&テクノロジーズ
取締役副社長 向井 康眞*1 報酬月額の▲20%×4ヶ月
常務取締役 高橋 達浩*2 報酬月額の▲10%×4ヶ月
*1) 前・みずほ情報総研取締役社長
*2) 前・みずほ情報総研取締役副社長プロジェクトデザイン本部長

以上
再発防止に向けて 2021.6.15

過去障害後の取り組み 特別調査委員会による原因の総括(*)

1. 「危機事象に対応する組織力」に係る課題
 02年・11年の障害を踏まえ、以下の取組みを実施
2. 「ITシステム統制力」に係る課題〔(1)IT人材の再配置問題について、(2)システム安定稼働への備えについて、(3)
-新勘定系システムMINORIの構築・移行 過去に発生した障害の原因との共通項について〕

-システム開発・運用、リスク管理、障害対応等における 3. 「顧客目線」に係る課題〔(1)ATMの通帳・カード取込み仕様に係る問題意識について、(2)障害対応における
各種ルール・枠組み・コンチプランの整備 顧客利益への配慮について、(3)ATM利用顧客への関心について〕
4. 「企業風土」に係る課題 (*) 特別調査委員会による調査報告書より抜粋

『多層的な障害対応力の向上』
お客さま・社会と共に歩む
~システム、顧客対応・危機管理の強化に加え、その一体的運営により、多層防御の仕組を構築~
システム 顧客対応・危機管理 『人と組織の持続的強化』

MINORIの特性に相応しい態勢整備 平時・有事における不断の顧客目線徹底 ルールや責任範囲を超えた組織的行動力の更なる強化

【人と組織態勢の強化】
• ATM仕様変更、監視システムの改善 • お客さまの声を把握し施策に活かす組織対応
• 左記に加え、広い視野を持つ専門人材の活用も通じ、
• MINORI関連の総点検 -サービス品質向上推進者を配置
人と組織態勢を更に強化
主 (個人営業店全店)
-未稼働サービス再精査(6%) -関連部門横断のキャリア開発と外部人材採用
-SNS等分析の本部組織立ち上げ
な -重大障害に繋がるエラーを発生させ波及影響 -フィードバック重視型の人事評価
再 と対策を確認 • 顧客・決済影響を軸とした態勢整備 -経営層の役位簡素化(専務・常務の廃止等)
発 -BCP個票を大括り化 (約30業務)し、各システム • 必要な経営資源配分には引続き十分に留意しつつ、
• 開発・運用に加え、顧客部門も参加する訓練 構成図を踏まえてSCPと融合 構造改革を着実に推進(FY21には人員・経費枠を予
防 や実機でのエラー発生訓練
-従来の「手順確認型」から、「顧客影響 備的に拡充)
止 • 人材ポートの可視化と組織的な牽制の強化 を自ら考える」実戦型の訓練・研修へ 【行動様式の変革】
策 -人材の詳細なスキル・経験の一覧化と適切な -サービス別本部横断ネットワークを組成。障害時に • 組織的行動力の強化に向け、コミュニケーションの活性化等の
人材(含む外部人材)配置 は検知後1時間以内の対応協議 仕組導入(カンパニー制や各社兼務体制の実効性も強化)
-技術・品質統括組織の設置及び委託先管理 • 危機管理担当役員の設置 -コミュニケーションを「文書中心」から「まずディスカッション」へ
を含む牽制態勢強化 -事務ミスのマイナス評価を廃し、改善策立案をプラス評価
-営業店コミュニケーターと本部チューターの設置・ネットワーク化

 これらの再発防止策については、実効性と継続性を確保すべく、目指すものが何かを経営陣が明確に示し、全役職員が目的意識を持って取り組み
- 監督・執行それぞれで障害対応の委員会を設置し、定期的なフォローアップを実施

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