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PVD と CVD:金属表面処理の基礎知識 6

更新日:2016 年 10 月 21 日(初回投稿)
著者:仁平技術士事務所 所長 仁平 宣弘

第 3 回~第 5 回では、水溶液を用いた湿式表面処理を紹介しました。今回からは、乾式表面処理を解
説します。今回取り上げるのは、真空や熱を利用したドライコーティング技術、PVD(物理蒸着:
Physical Vapor Deposition)および CVD(化学蒸着:Chemical Vapor Deposition)の、主に機械部品や
工具類を対象とした硬質膜の生成技術です。

PVD と CVD は、自社製品用の内製加工から受託加工まで、広範囲の分野で利用されています。内製


加工は、レンズやフィルタなどを対象とした光学特性の付加や、圧電素子やコンデンサを対象とし
た電気的特性の付加など、膜自体の機能性を利用する際に多く用いられます。受託加工は切削工具
や金型、機械部品に多く用いられます。共通の採用目的は、耐摩耗性および摺動特性の付与です。

もくじ
 1. PVD による成膜法
 2. CVD による成膜法

1. PVD による成膜法
PVD(Physical Vapor Deposition)は物理蒸着とも呼ばれる成膜法です。真空蒸着、スパッタリング、
イオンプレーティングの 3 つの種類があります。

真空蒸着

真空蒸着は、高真空(10-2Pa 以下)で蒸発材料を加熱して蒸発させ、処理物に皮膜を堆積させます
(図 1)。
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図 1:基本的な真空蒸着の原理

蒸発源の加熱方式には、抵抗加熱と電子ビーム加熱があり、装置規模や蒸発材料によって使い分け
られます。抵抗加熱方式は、タングステンなど高融点金属製のボート状のヒータを使い、蒸発材料
を直接加熱します。または、蒸発材料を入れたセラミック製るつぼをヒータで加熱します。真空蒸
着はガラスやプラスチック製品への適用例が多く、アルミニウム蒸着したミラーやコンパクトディ
スク、レンズへの反射防止膜、フィルタなど光学部品への酸化物薄膜などの生成に利用されていま
す。

スパッタリング
スパッタリングの代表的な種類には、直流二極スパッタリングや、マグネトロンスパッタリングな
どがあります(図2)。

図 2:基本的なスパッタリングの原理
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平行平板型の直流二極スパッタリングでは、イオン衝撃によって陰極側のターゲットから叩きださ
れた原子または分子が、陽極である処理物に叩きつけられて堆積し、皮膜を形成します。マグネト
ロンスパッタリングでは、ターゲットの裏面にマグネットを配置し、成膜速度の高速化を図ります。
現在では、チタン Ti 系やクロム Cr 系など硬質膜の生成にも利用されています。

イオンプレーティング
イオンプレーティングは、真空中で加熱蒸発した金属や化合物のガスをイオン化し、負の電圧を印
加した処理物に叩きつけて皮膜を形成します。中空陰極放電法(HCD 法:Hollow Cathode
Discharge)とアーク蒸発法は、チタン Ti 系硬質膜(TiN、TiAlN など)やクロム Cr 系硬質膜
(CrN、CrAlN など)の生成によく利用されています(図 3)。

図3:硬質膜の生成に利用されているイオンプレーティングの原理

イオンプレーティングは他の PVD 法に比べて皮膜の密着性に優れ、使用条件の厳しい切削工具や金


型などにも適用されています。装置のインライン化や膜種の多様化が進み、現在では機械部品や自
動車部品などにも応用分野は広がっています。

2. CVD による成膜法
保管用 PDF に掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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