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平成28年9月

平成28年度10月入学・平成29年度4月入学(Ⅰ期)
東北大学大学院経済学研究科
会計専門職専攻筆答試験問題「会 計 学 」

第1問から第3問に解答しなさい。第1問は答案紙1に、第2問は答案紙2に、第3問は
答案紙3に解答しなさい。答案紙の右上に答案紙の番号が記載されている。また、解答はす
べて解答欄の範囲内で記述しなさい。

第1問 問1、問2の両方に解答しなさい。

問1 以下の文章を読んで、設問1から5に解答しなさい。
日本の「税効果会計に係る会計基準」では「一時差異 ① 等に係る税金の額は、将来の会計
期間において回収又は支払が見込まれない税金の額を除き、繰延税金資産 ② 又は繰延税金負
債 ③ として計上しなければならない。繰延税金資産については、将来の回収の見込みについ
て毎期見直しを行わなければならない ④ 。」と定められている(税効果会計に係る会計基準
二・二・1)。

設問1 下線部①につき、その内容を説明しなさい。
設問2 下線部②につき、繰延税金資産が計上されるケースについて、具体例を1つ示しなさい。
設問3 下線部③につき、繰延税金負債が計上されるケースについて、具体例を1つ示しなさい。
設問4 下線部④につき、「将来の回収」が見込めなくなるのはどのような場合か、説明しなさい。
設問5 下線部④につき、財務諸表利用者の観点に立ち、「将来の回収の見込みについて毎期
見直しを行わなければならない」理由について、説明しなさい。

問2 連結財務諸表の作成において、子会社の決定基準(支配従属関係の有無に関する判
断基準)には「持株基準」と「支配力基準」があります。
「支配力基準」の概要を述べたうえで、その長所と短所について説明しなさい。
第2問 以下の〔資料〕に基づき、答案紙2の精算表を完成させなさい。会計期間は平成
27年4月1日から平成28年3月31日までの1年である。なお、便宜上、金額は小さくしてある。
計算上端数が生じる場合には円未満を切り捨てること。

〔資料〕決算整理事項等

1.当座預金
当座預金の帳簿残高と銀行の残高証明書の金額が一致していなかった。差異の原因は
以下のとおりである。
 買掛金の支払いのために\5,000の小切手を振り出して仕入先に渡していたが、仕
入先ではこの小切手を未だ銀行で換金していなかった。
 銀行に取立依頼していた得意先振出しの約束手形の決済代金として\1,000が当座
預金口座に振り込まれていたが、この通知が未だ銀行から届いていなかった。

2.売掛金
売掛金のうち、\600が得意先の倒産により回収不能であることが判明した。このうち、
\400は前期の販売から生じたものであり、\200は当期の販売から生じたものである。な
お、前期における貸倒引当金の設定金額は適切と認められる。

3.貸倒引当金
売上債権(受取手形および売掛金)の期末残高に対して差額補充法により3%の貸倒引
当金を設定する。

4.棚卸資産
期末の商品棚卸高は以下のとおりである。なお、売上原価は「仕入」の行で計算し、
棚卸減耗損と商品評価損は独立の科目とせず売上原価に含めて表示する。
帳簿棚卸高 数量 240個 原 価 @\100
数量 200個 正味売却価額 @\90
実地棚卸高
数量 20個 正味売却価額 @\70
5.有価証券
 有価証券の期末の時価は以下のとおりである。
銘柄 保有目的 簿価 時価
A社株式 売買目的 \40,000 \45,000
B社株式 子会社株式 \100,000 \500,000
C社社債 満期保有目的 \97,000 \100,500
 A社株式に対する配当金領収証\500を受け取っていたが、未処理であった。
 C社社債は、平成26年4月1日に額面総額\100,000を額面\100につき\96で取得した
ものであり、満期日は平成30年3月31日である。この社債の利息は年利2%、利払
日は9月末日と3月末日の年2回である(記帳済み)。当社はこの社債を満期日まで
保有する予定であり、償却原価法(定額法)により評価する。なお、過年度の処
理は適正である。

6.固定資産
 備品はすべて平成27年10月1日に取得し同日より使用を開始したものである。
 ソフトウェアはすべて平成24年10月1日に取得し同日より使用を開始したもので
ある。
 備品およびソフトウェアについて以下の条件により減価償却を行う。期中の増減
については月割計算する。なお、上記の備品の取得以外、当期中の固定資産の増
減はない。また、過年度の減価償却費計上は適正に行われている。
備品 定率法 償却率25%
ソフトウェア 定額法 耐用年数5年 残存価額ゼロ

7.商品保証引当金
 前期に保証書を付して販売した商品について顧客より無料修理の申し出があり、
修理業者に修理を依頼し代金\2,000を現金で支払ったが、未処理であった。
 当期の売上のうち\180,000については保証書を付して販売している。過去の実績
より翌期に1%の保証実行が見積もられるため、商品保証引当金を設定する。

8.退職給付引当金
退職給付引当金の当期繰入額は\3,000である。
9.保険料
支払保険料は、毎年10月1日に向こう1年分の保険料を支払っている。当期の支払金額
は前期と同額であった。

10.支払利息
支払利息は借入金の利息であり、当期分の未計上額が\700ある。
第3問 問 1、問 2 の両方に解答しなさい。解答が小数点以下の数字を含む場合、小数点第
3 位を四捨五入し、小数点第 2 位までの数字で解答すること。

問 1  青葉工業(株)では等級製品 A・B を量産しており、原価計算の方法は、等級別総合


原価計算を採用している。下の〔資料〕に基づき、設問 1 から設問 4 に解答しなさい。
〔資料〕
1. 生産データ
月初仕掛品 1,600kg (0.5)
当月投入 4,500
合 計 6,100kg
月末仕掛品 1,800 (0.4)
正常仕損品 300 (0.6)
完 成 品 4,000kg

2. 原価データ
直接材料費 加 工 費
月初仕掛品原価 868,000 円 495,690 円
当月製造費用 2,480,000 円 1,982,760 円

3. 完成品数量の内訳および等価係数のデータ
製品 A 製品 B
2,500kg 1,500kg
1 0.4

(注 1)直接材料はすべて工程の始点で投入している。
(注 2)生産データ内の(  )内の数値は加工進捗度または正常仕損の発生点の進捗度を
   示す。
(注 3)等価係数は直接材料費と加工費について同じである。
(注 4)正常仕損費はすべて完成品に負担させること。
(注 5)仕損品に処分価値はない。
(注 6)月末仕掛品の評価方法は先入先出法による。

設問 1 月末仕掛品原価を求めなさい。
設問 2 完成品総合原価のうち、加工費分を求めなさい。
設問 3 製品 A の完成品総合原価を求めなさい。
設問 4 製品 B の完成品単位原価を求めなさい。
問 2  以下の問題文を読んで、設問 1 から設問 7 に解答しなさい。特に指定がない限り、各
設問の内容は互いに独立している。
 五橋製作所では製品 S を生産・販売している。製品 S の生産には部品 B が必要だが、部
品 B は小牛田製作所から購入している。部品 B は製品 S と同じ機械を用いて生産可能であ
り、五橋製作所では、部品 B の自製を以下の資料に基づき検討することになった。

〔資料〕

1. 製品 S に関する次年度予算データ
販売価格 @ 3,000 円
部品 B 以外の直接材料費 @ 700 円
直接労務費 @ 500 円
その他変動製造費 @ 400 円
変動販売費 @ 200 円

2. 固定費に関する次年度データ
固定製造原価 1,600,000 円
固定販売費 500,000 円
固定一般管理費 700,000 円

3. 次年度は製品 S を 6,000 台生産・販売する予定である。製品 S を 1 台生産するのに必


要な機械稼働時間は 10 時間である。また、製品 S を 1 台生産するのに必要な部品 B
の数量は 2 個である。
4. 五橋製作所の生産能力(機械稼働時間)は年間 84,000 時間である。
5. 現在、部品 B を小牛田製作所から 1 個当たり 250 円で購入している。
6. 部品 B を 1 個自製するために必要な変動製造原価は以下のとおりである。
直接材料費 @ 80 円
直接労務費 @ 55 円
その他変動製造費 @ 45 円

7. 部品 B を 1 個生産するのに必要な機械稼働時間は 1 時間である。
8. 部品 B を自製するには、特殊な工具 Z をリースにより調達する必要がある。この機
械の年間リース料は 600,000 円である。

(注)
・期首・期末の仕掛品および製品の在庫はないものと仮定する。
・税金は考慮しない。
設問 1 部品 B を小牛田製作所から購入し、製品 S を 6,000 台生産・販売するものとする。五
橋製作所の次年度予定営業利益を計算しなさい。
設問 2 部品 B を小牛田製作所から購入し、製品 S を 6,000 台生産・販売するものとする。五
橋製作所の遊休生産能力(機械稼働時間)を計算しなさい。
設問 3 部品 B を小牛田製作所から購入する場合の、製品 S の損益分岐点販売数量を計算し
なさい。
設問 4 部品 B を自製した場合、小牛田製作所から購入する場合と比べて、営業利益はいくら
増加あるいは減少するか解答しなさい。製品 S は 6,000 台生産するものとする。解答
には増加または減少を明記すること。
設問 5 現在、小牛田製作所と部品 B の購入価格について交渉している。部品 B を自製した
場合の営業利益と小牛田製作所から購入した場合の営業利益が等しくなるのは、部品
B の購入価格がいくらの場合か解答しなさい。ただし、次年度の製品 S の生産数量は
6,000 台とする。
設問 6 部品 B を小牛田製作所から購入するよりも、自製した場合の方が営業利益が大きくな
るのは、製品 S の生産数量が何台以上の場合か解答しなさい。
設問 7 生産した製品をすべて販売できるものと仮定する。この場合、部品 B を小牛田製作所
から購入すべきか、それとも自製すべきか。理由を説明し解答しなさい。

受験番号 氏 名

科目 会 計 学 成績

第1問
問1
設問1

設問 2

設問 3

設問 4

設問 5

問2

受験番号 氏 名

科目 会 計 学 成績

第2問
精算表
残高試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
勘定科目
借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方
現 金 9,500
当 座 預 金 68,000
受 取 手 形 30,000
売 掛 金 56,600
売 買 目 的 有 価 証 券 40,000

繰 越 商 品 20,000

備 品 60,000
ソ フ ト ウ ェ ア 25,000
子 会 社 株 式 100,000
満 期 保 有 目 的 債 券 97,000
支 払 手 形 12,000
買 掛 金 35,000
借 入 金 30,000
貸 倒 引 当 金 500
商 品 保 証 引 当 金 2,000
退 職 給 付 引 当 金 50,000
資 本 金 300,000
売 上 250,000

仕 入 121,200

給 料 50,400
有 価 証 券 利 息 2,000
支 払 利 息 2,000
支 払 保 険 料 1,800
合 計 681,500 681,500
〔 〕
貸 倒 引 当 金 繰 入
〔 〕
〔 〕
減 価 償 却 費

備 品 減 価 償 却 累 計 額
〔 〕
〔 〕
〔 〕
〔 〕
当 期 純 〔 〕
合 計
第3問

問1

設問 1 円 設問 2 円 設問 3 円

設問 4 円

問2

設問 1 円 設問 2 時間 設問 3 台

設問 4 設問 5 円 設問 6 台以上

設問 7

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