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決戦当日の夜明け前…「陸自最
強部隊」の戦闘訓練に密着
2024-01-17

 自衛官  戦車・護衛艦・戦闘機

 戦え!防御陣VS攻撃陣 最強の敵役が国防を鍛える

 部隊

日本が外国からの侵略を受けた場合、最後の
砦となるのが、わが国土を地上戦で守る陸上自
衛隊だ。その任務を担う部隊は、あらゆる事態
に備えてさまざまな訓練をしているが、実戦を
想定した戦闘訓練を企画し、敵役を務める部隊
がいる。その名も「部隊訓練評価隊」。

彼らの役目は国防の最前線に立つ部隊を鍛え
上げること。そのためには、自身が最強でなけ
ればならない。国防の魂を燃やす強者どもの訓
練に同行した。

陸上自衛隊の最強部隊、「部隊訓練
評価隊」とは

攻撃側の中隊主力が、敵と接触!乗っていた車両か
ら全員降りて戦闘に加わる。小銃の空包の音が辺り
に響き渡る

部隊訓練評価隊は、山梨県の北富士駐屯地に
本拠を置く、陸上自衛隊唯一の「評価専任部
隊」である。

全国の普通科部隊の「敵役」として訓練を実
施。実弾の代わりにレーザー光線によって命中
判定を行う装置などを含む「機動訓練評価装
置」をはじめとする各種器材を備え、訓練内容
の記録や分析のための施設を持ち、訓練の統裁
(仕切り)と、訓練内容・結果の分析、評価を
専門に行う。

部隊訓練評価隊には、訓練を仕切り、評価分
析を行う隊本部のほか、戦車・火砲などで増強
された普通科部隊の訓練相手となる対抗部隊と
して、普通科部隊に戦車などを加えた「評価支
援隊」(静岡県の滝ヶ原駐屯地に所在)があ
る。これこそ、陸自最強の呼び声高い部隊なの
だ。

2002年に新編されて以来20年以上、約450回
もの訓練を行う中で、負け判定をされたのは
19年の第39普通科連隊(青森・弘前駐屯地)
との訓練の1度だけ。全国の精強な部隊をも退
けているという。

北富士演習場で繰り広げられた「評
価支援隊」の対抗訓練に密着

迎え撃つ防御側隊員。小銃で敵を射撃する。白い手
袋が目立つが、敵味方識別を分かりやすくするため
に着用している

部隊訓練評価隊は、北富士駐屯地近くの「北
富士演習場」をいわば道場として用い、全国各
地の部隊を受け入れて戦闘訓練を行うほか、コ
ロナ禍で最近はなかなか実施できないものの、
対抗部隊(評価支援隊)側に全国の部隊から集
まった隊員を受れ入れ、共に戦いながら教訓を
与える訓練も行っている。

今回取材したのは、他部隊との訓練ではな
く、評価支援隊同士の戦闘訓練。定例の人事異
動があり、新しい人員が転入してきたことか
ら、錬成のため部隊内で攻撃・防御に分かれて
訓練を行うことになったのだ。陸自最強部隊の
「稽古」が取材できる貴重な機会とあって、わ
れわれマモル取材班も緊張感を胸に、北富士演
習場へと向かった。

2夜3日、昼夜ぶっ通しで行われる対抗訓
練。入念な準備や作戦会議を経て戦闘が始まる
3日目、夜明け前。攻撃陣がいよいよ本格的に
動き始める。攻撃開始からの“戦況”を攻撃陣、
防御陣それぞれの立場からお届けしよう。

実弾を使わない戦闘訓練。命中はど
うやって判定する?

対抗訓練は、北富士演習場の敷地内を戦場と
みなし、防御側、攻撃側に分かれて戦う。攻撃
側は、防御側の部隊を撃破し最終陣地を突破で
きれば勝ち、逆に防御側は最終陣地を一定時間
守り切れたら勝ち、というルールだ。

訓練の期間は準備からじ後の研究会まで入れ
て6日間だが、実際に戦闘訓練を行うのはその
うち3日程度。参加する人員は、攻撃側約240
人、防御側約90人の合計約330人。これに戦
車、装甲車などの車両が加わる。

戦闘訓練では実弾を撃つのではなく、小銃や
機関銃は空包を撃ち、戦車の大砲は音と煙で模
擬される。当たったかどうかの判定は、それぞ
れの火器に取り付けられた「レーザー光線送受
信装置」を使い、機械が自動的に行う。

また、迫撃砲や特科の大砲などは、コンピュ
ータによって射撃の入力から命中判定までを行
う。訓練には「部隊評価分析官(OC)」と呼
ばれる訓練内容のチェック役が50人ほど同行
する。

今回は戦闘訓練開始後、それぞれの陣営が準
備を開始。ドローンや斥候による偵察を互いに
行った上で、双方が作戦を練る。そして、模擬
的な砲撃を皮切りに攻撃が開始され、防御側は
それに対抗する……という流れで進んでいく。

防御陣:敵は3倍以上の人数

決戦前日 PM3:00

軍事の世界では、「攻撃3倍の法則」と呼ば
れる、戦闘は防御側が有利であるとするセオリ
ーがあり、攻撃には最低でも防御側の3倍の戦
力を用意することが求められる。対抗訓練でも
防御側は、3倍以上の人数の敵と戦う。

決戦想定の前日、攻撃陣より一足先に演習場
に入り防御態勢を固める防御陣。司令部の天幕
では、各部隊の小隊長クラス(注)が集合。現
在の配備状況や防御準備の進 を報告し、作戦
面を話し合う。最後に、防御戦闘時の退路の確
認など、指揮を執る中隊長による指導が行われ
た。

(注)10∼30人程度の小規模な部隊を指揮す
る小隊長や、同等の役割を持った隊員たち

決戦当日 AM5:00

夜明けごろから攻撃陣の動きが増えてきた。
前線に張り付いて敵部隊の動向を見張る隊員。
夜明け前から攻撃側の砲撃が始まっており、中
には敵の砲迫による射撃を受けて戦線離脱と判
定される隊員も出てきた。

攻撃部隊を待ち構える90式戦車。戦車の乗
員たちはこの後、手分けして草や枝を集め、遠
くから戦車の姿が見えないように擬装してい
た。前部に据え付けてある黄色と緑の旗のよう
な模様のプレートは、この戦車にドーザ(土砂
などを退かせる装備)が付いているという想定
を示す。

防御用の鉄条網が設置された。比較的簡単に
設置できる上、敵人員などの足止めに効果的な
ため、防御アイテムとして重宝されている。

攻撃陣:損害を最小限に、敵の陣地
を突破する

決戦当日 AM3:00

攻撃陣の目標は、防御陣の撃破。その後、新
たな敵部隊と戦う想定のため、できるだけ損害
を少なくせねばならないという条件付きだ。す
でに開戦前夜には少人数の斥候(偵察)が防御
陣近くに潜む。攻撃開始は、もうすぐだ。

“戦場”となる北富士演習場。その入り口付近
にある「廠舎」エリアに集結する攻撃陣。96
式装輪装甲車(WAPC)や軽装甲機動車
(LAV)、各種トラックをはじめとする車両が
続々と集まってきた。集結後、まずは装備や人
員の点検を行う。

決戦当日 AM5:00

防御側が設置しているであろう対戦車壕(装
甲戦闘車両の進攻を妨げるための堀)や地雷な
どの障害を発見すべく、慎重に前進する偵察チ
ーム。フル装備の隊員は20キログラム以上の
荷物に加え、小銃などの武器や爆薬も所持。息
を殺して歩くだけでも一苦労だ。

敵が設置した戦車壕(白いテープで囲われて
いる部分)を発見。爆薬で破壊し、車両が通れ
るように処理しなくてはならない。持ってきた
爆薬を設置するのは、戦闘支援を任務とする施
設科の隊員だ。

障害処理用の爆薬が爆発した、という想定。
それを表すために、同行するOCの隊員が、爆
竹のような破裂音の鳴るものと、発煙筒を投げ
入れる。装輪車は通れないが、履帯を装備した
戦車は通れるようになった、という判定が下っ
た。

※訓練の後半は、近日公開予定の「地雷撤去、
大規模な銃撃戦も…陸上自衛隊“最強”部隊の戦
闘訓練」にてリポートします。

(MAMOR2022年12月号)

<文/臼井総理 写真/臼井総理、荒井健>

—戦え!防御陣VS攻撃陣 最強の敵役が国防を
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2024-01-17

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 ミサイルから首都を守る自衛隊  ペトリオット

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2023年8月に刊行された『防衛白書』には、
「わが国は、戦後、最も厳しく複雑な安全保障
環境に直面しています」と書かれている。例え
ば北朝鮮は、2023年1∼8月だけでも17発のミ
サイルを発射し、それに対応して計3回、全国
瞬時警報システム(Jアラート)が日本各地で
発令され、直近では11月21日にも発令され
た。

もしも首都・東京に敵のミサイルが飛来した
ら……。

陸上自衛隊で首都防空を担当するのは、松戸
駐屯地(千葉県)に所在し、飛来する敵の航空
機や巡航ミサイルを地上からミサイルなどで迎
撃する第2高射特科群だ。

敵国が首都・東京にミサイル攻撃準備中の情
報をキャッチしたとき、部隊はどう展開しどう
迎撃するのか。2023年8月実施の訓練を基に、
編集部でシミュレートしてみた。

10:00 Phase1:偵察

※各項目にある時刻のデジタル表記は、ミサイ
ル攻撃準備の情報を得てから敵ミサイルを迎撃
するまでの時間の目安をイメージしている

敵ミサイル迎撃のため、装備配置の適切
な場所を探す

レーダーを設置する予定地周辺を測量器具を用いて
測定。遮 物がなく適切な場所であることを判断
し、レーダーを前進させる

最初に行うのが、各種装備を配置するための
「偵察」だ。事前に調べた予定地の安全や地形
を確かめる偵察は、部隊を束ねる中隊長が実施
する。

中隊長をはじめとする部隊の幹部が場所
を決定

中隊長以下、偵察を担当する隊員が乗った車両が陣
地予定の地域に進入し陣地に適切な場所を判断する

敵の巡航ミサイルや航空機による攻撃の可能
性が高まると、高射特科部隊に出動命令が下っ
た。

部隊はまず、適切な場所に陣地を構え、敵を
迎撃する態勢を作る。事前にめどを付けた候補
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