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家族志向のプライマリケア

第 12 章
両親が行き詰った時:
子供の行動問題に対する援助
• 両親は子育ての質を、子供の成功や幸せ
によって測定する
• 子供が困った行動をとると、両親は失望
や失敗という個人的な感情とともに、不
快な気持や危険な行動で対処する
子供の行動問題の例
• 日々の困難なこと
– 食べない、寝ない、排泄訓練
• 攻撃的あるいは抵抗する行動
– 暴力、かんしゃく
• 過剰な依存や離脱行動
– 分離不安、恐怖感
• 学校の問題
– 多動や落ち着きのなさ
• 両親が好まない習慣
– 指しゃぶり、性器をいじる
行動問題に対する対応
• 肯定的な面の強化
• 行動変容の対処法
• 子供の面倒を見る人たちの一貫した期待 な

→ 簡単な対応で軽減するが、
10 ~ 15 %は生活上の適応の妨げとなるよう

問題行動に発展する
行動問題に対処する場
• 定期的または定期外の受診で対処可能か、
あるいは専門家への紹介が必要か(表 12.
1)
• 短時間の議論と再保証、フォローアップ受
診( 1 、 2 回)、小児専門家や家族療法家
への紹介などで対処可能か早急に評価する
– 「この問題はご家族にとって気がかりなこと」
– 「これまで何を試してきたか」
– 「今後どのような対処ができるのか」
– 「話し合う時間を十分にとりましょう」
医師の仕事
• 両親が医師に相談した時にはすでに、様々な
方法を試し、失望し、ジレンマを抱えている
• 医師の最も重要な仕事:両親が子供とともに
抱えている問題に対処するとき、両親の力を
認めて、活用できるように援助すること
• =両親が何をうまく実行し、どのように肯定
的な影響を子供に与えることができるかにつ
いて、問題に焦点をあてて観察と支援をする
ことのバランスをとること
医師の仕事
• 継続的なかかわりを通して医師は、両親
がよい子育てをしていることを知ってい

• よい子育てをしていたという具体的な例
は、両親が燃え尽きたり圧倒されている
と感じるときに、両親に過去を思い出さ
せるよい例となる
子育てのための CPR
• 一貫性 Consistency :両親とケア提供者は期
待される子供の行動や結果について、首尾一
貫している
• 肯定的な面の強化 Positive reinforcement :子
供は一般的に大人を喜ばせるのが好きで、強
化された行動を繰り返す傾向にある
• 現実的な期待 Realistic Expectations :子供の
発達面で期待する行動について、両親が現実
的であるように援助する。前もって道先案内
し、副次的な行動面の逸脱行為を正常化する
この章の目的/目標
• 効果的な外来診療の中で行う家族志向の
枠組み全体を提供すること
• 両親が自分たちの価値観や家族に対して
最もよいと思われる方法を採用すること
ができるように、医師が容易に援助でき
ること
行動問題を抱える
子供の家族と関わる
開始する
• 1. 両親や子供、その他の重要な子供のケ
アを提供する人(祖父母など)と面談す

• 2. 両親がどのように変わって欲しいと
思っているのか明らかにする
1. 両親や子供、その他の重要な
子供のケアを提供する人と面談
する
• 両親と祖父母の間の三角関係の可能性に
気付き、両親の権限を侵害しないように
する
両親が別居、離婚しているとき
• 子供の行動問題に両親 2 人ともにかかわる
のは特に重要(表 12.2 )
• 両親が葛藤を最小限にし、 2 人ともに今で
も自分の両親であることを子供が理解でき
るように援助する
• 別々でも両方の親に接触することで、両親
2 人がともに子供と子供の行動に対する注
意を向けることの重要性を強める
2. 両親がどのように変わって欲し
いと思っているのか明らかにする
• うまくいかないことを列挙するのではな
く、建設的な変化に焦点を当てることで
、問題に対処する
• 「かんしゃくをやめてほしい」
→「母親を敬い、年齢相応に話す」
問題を探る
• 1. 発症時期や期間、頻度など、問題を詳細に理
解する
• 2. 重要な他の人からどのように助言を受けてい
るのか明らかにする
– 誰が家族内で重要か、どのような資源になりうるか
• 3. 家族全員への問題の影響を探す
• 4. 何か他のストレスが家族に影響していないか
を見つける
• 5. 葛藤で分裂しないようにする
– 両親が行動と、それに対処する計画に焦点を当てら
れるように援助する
解決に焦点を当てる
• 1. 問題解決のために両親が試みたことを話
し合う
– 医師が一方あるいは両方の親をあからさまにあ
るいは漠然と非難しないように注意する
• 2. 問題が生じないときはあるか尋ねる
• 3. 両親に自分たちの長所について尋ねる
– より肯定的な評価を用いて、建設的な変化が可
能となる
• 4. 問題解決のための計画を両親とともに立
てる
• 両親、祖母が子供に期待することは共通している
• 元夫の仕事が増え、祖母が面倒を見ることが増えた
• 元夫は責任があまりないようにふるまい、元妻を批
判する
• 子供は父親と会っているときはかんしゃくを起こさ
ない
• 両親、祖母とも役割を持ち、努力していることを認
める。かかわり、コミュニケーションを増やすこと
が、力になり負担になる。子供は学校ではうまくや
り、正しい方向に進んでいるということ。
• コミュニケーションを増やすことが、よい両親にな
ること。子供が自分の予定についてわかることで、
行動が変わる。
しつけに関して両親が行き詰ったとき
• 1. しつけの計画について、両親の意見が一致する
ことが重要
• 2. しつけは明確でゆるぎないものにする
• 3. しつけは両親が経過を見ることができ、かつ子
供ができることにする
– 行動を志向したしつけ
– 「ののしる」→「怒っている理由を言う」
• 4. 懲罰は時間制限で行う
• 5. 計画を立てたら、子供と共有し理解しているか
確認する
• 6. 両親は肯定的な親子相互関係を促進する
– 一緒に過ごす時間を持つ
学校と接触する
• 学習困難、注意欠損、感情面または慢性
の身体的疾患、あるいは家族内の機能不
全や社会的問題が原因
• 落第、自己価値(自尊心)の低下、学校
の場における「活力低下」の一型などの
兆候を示す
学校と接触する
• 1. コンサルタントとしての役割を保つ
– すべての関係者が一緒に、子供の行動について話し合い、計画
を行うことに価値がある
– 特に三角関係(両親と学校の間に入ること)を避けることは重

• 2. 行動に対する文化的な違いを意識し続ける
• 3. 学校とのコミュニケーションを促進する方法
– コーディネーターの利用
• 4. 学校でよく見られる懸案事項についての調査票を準備
する
– Conners 評価票: ADHD の初期評価
• 5. 学校内の多職種会議への参加要請(稀)
• 6. 学校とのあらゆる連絡について両親に伝える
– 三角関係を起こりにくくし、両親の権威を強調する
いつ紹介するか
• 両親や子育ての状況が計画と一致しない
• 長期間の関係性の不一致がある
• 子供の問題が 1 年以上継続している
• 家族内暴力や薬物乱用、性的あるいは身体的
虐待、自殺企図、摂食障害が見られたり、家
族内に精神病の人がいる
• 医師が問題を適切に対処するための時間がな
い、あるいは訓練を受けていないと感じる
外来受診時にみられる
子供の行動問題に対処する
• 医師は、両親を支援し力づけるような方
法で介入し、他の場で子供の行動に効果
的に対応できるように援助する
• 子供の誤った行動に対する、両親の受動
的あるいは攻撃的反応へのかかわり方に
ついて
子供が親しみやすい臨床的環境
• 「予防」が大事
• 子供が注意を自分に向けられたら、大人の気
を引くために誤った行動をする必要がない
• 本やおもちゃを置き、遊ぶ場を設ける
• 子供の描いた絵を貼りだし、家族や子供が評
価されているとわかるようにする
• 兄弟が受診したときに、全員に話しかけ、子
供を歓迎し、兄弟がやきもちを焼かないよう
にする
両親の反応が
過剰に受動的である場合(無視する)
• 1. 医師は、診療所の備品の管理に責任を
持っていることと、受診のときにどうす
るべきか明らかにする
• 2. 両親が子供の行動にかかわるように支
援する
– 重要性を伝え、うまくいったことを認める
• 3. 次回の受診でどのようにアプローチす
るか親と計画する
両親の反応が
過剰に攻撃的である場合(叩く)
• 1. 親の不満な気持ちを探る
• 2. 子供の行動の頻度と親の反応について
話し合う
• 3. 他のケア提供者が同じような状況のと
きにどのように反応しているか尋ねる
• 4. 親が子供のときに同じような扱いを受
けたか尋ねる
• 5. 両親が別な方法で反応できるか探る
– 経過観察のためのフォローアップ受診を行う
しつけの方法として、叩くこと
• アメリカ小児科学会は反対
– 叩くことによる否定的な影響の重大性と、他
の方法と比べて叩くことの有効性がみられな
いことから、叩くよりも他の方法を用いるこ
とを勧め支援することを勧告する
• 90 %以上のアメリカ人家族がしつけで時
に叩き、 60 %以上の小児科医がある種の
状況下では体罰の使用を支援する
その他の提案
• 受け入れ可能なしつけとしてどのようなものがあるか
明確にする
• 両親が行っていることに対する両親の正当性を理解し
ようと努力する
• 家族がしつけに対する代わりの案を考えるように導く
• 両親のしつけの実践で有効なことの例を探し出す
• しつけの議論のフォローアップのための電話か受診を
させる
• 子育てプログラムと個人カウンセラーへの紹介の必要
性を判断する
• しつけに関する文化的態度を変化させるために、社会
的な活動や提唱活動に参加する
• 医師は変化の必要性を強調しながら、両
親が子供とその行動に義務を負うように
支援する
• 子供が思春期になり、家族が新しい段階
に突入したときに、親子関係のためのガ
イドラインは変化する
• 次の章につづく。。。

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