You are on page 1of 1

【「イソップ」からの伝言】欲深い人はどうぞご用心 - MSN産経ニュース 29/06/09 9:34 PM

【「イソップ」からの伝言】欲深い人はどうぞご用心
2009.4.28 08:09

 「肉を運ぶ犬」もよく知られた寓話(ぐうわ)だ。以下岩波文庫「イソップ寓話集」
(中務哲郎訳)から引用する。

 犬が肉を銜(くわ)えて川を渡っていた。水に写る自分の影を見て、てっきり別の犬
がもっと大きな肉を銜えているのだと思った。自分のを捨て、相手のを奪ってやろうと
跳びかかったが、両方を失っただけだった。一方は元々ないので届くわけがなく、他方
は、川に流されて行ったのだ。

 そして、教訓として「欲どうしい人に、この話はぴったりだ」と付す。

 米国の金融破綻(はたん)で「強欲資本主義」という言葉が使われだした。もうかれ
ばもうかるほど、もっと欲しくなる。そこに破綻が待っていた。

 中でも、せっせと物づくりに励んで財を得ていながら、それをもっと増やすために、
金融に手を出して大幅赤字を生んだメーカーもある。

 むろん投資してもうけることは資本主義の大原則だ。そのことを否定するのではな
い。しかし、まず富を得たことに感謝する気持ちを忘れたら、すでに肉を得たことを忘
れた犬と同じようなことになるだろう。

 この話のすぐ後には、やはり犬を主人公にした「腹をすかせた犬」というちょっと似
たような寓話がある。これも岩波文庫版から引く。

 腹をすかせた犬たちが、川の中に毛皮が漬かっているのを見つけたが、そこまで行け
ないので、まず水を飲み干してから、毛皮に接近しようと申し合わせた。しかし毛皮に
たどり着く前に飲み過ぎて破裂してしまった。

 そしてこちらの方は「このように、儲(もう)けに誘われて危ない橋を渡り、望みを
達する前に尽きてしまう人もいる」と結んでいる。(皿木喜久)

Copyright 2009 The Sankei Shimbun & Sankei Digital

© 2009 Microsoft

http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/090428/acd0904280810004-c.htm Page 1 of 1

You might also like