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MMB028MG v1.

マネー・カレッジ presents
投資再チャレンジ推進会議
株式会社で痛い目にあった人のための、もう一つの処方箋
第 1 回: 「もう投資なんてコリゴリだよ」?~心安らかに見守る投資へステ
ップアップ
●マネー体験ストーリー
-「もう投資なんてコリゴリだよ」
岩本琢郎は、自宅のコンピュータの画面を見ながら、(もう投資なんてコリゴリだよ)と心の中
で繰り返していた。
-・-・-・-・-・-・-・-・-
琢郎は、中堅の貿易会社、東西交易に勤務するサラリーマンである。「仕事人間」とまでは
言わないまでも、入社以来仕事に邁進してきた琢郎が株式投資をはじめたのは、2 年前に課
長に昇進したことがキッカケだった。40 才で課長に昇進、というのは、東西交易の中では遅
くもなく、早くもなく、と言ったところで、まずはめでたいことではあったのだが、管理職
への昇進にともなって残業代が一切出なくなったのは痛かった。毎月のお小遣いのアップも
妻にも言い出せないまま、それならば、と、副収入を求めて投資を始めたのだ。
素質があった、とでも言うべきか、もともとマメなところに加え、親しい友人からは名前を
もじった「タフ郎」というあだ名をもらうほどに我慢強い琢郎の性格は、株式投資に向いて
いるようだった。初めて買った株で 3 ヶ月もたたないうちに 20 万円ほどの利益を得て、投資
経験 2 年の今ではすっかり 1 人前の投資家となっていた。
といって、デイトレーダーのようなマネはしない。あくまでも、副収入は副収入で、自分の
本分はわきまえている。投資は自分が管理できる範囲で、一度に持つ銘柄はせいぜい 5-6 本、
400 万円前後と言ったところだろう。
そんな琢郎が、「これは!」と、株式会社バリュープライムに目をつけたのは、3 ヶ月ほど
前のことだった。たまたま目にした、経済新聞のベタ記事で取り上げられていた、中堅企業
向けにグローバル調達をアウトソーシングするというサービスは、購買部門に長らく勤務し
た琢郎から見ても、良い目の付け所だった。
しかも、PER から見て株価は割安だ。これまでの経験から、バリュー株を見つけて数ヶ月間
値上がりを待つ、という投資スタイルを確立していた琢郎の目から見て、この銘柄は間違い
なく「買い」と言える。もちろん、財務諸表の確認も怠らない。流動比率も、インタレスト
カバレッジも、マザーズ上場企業としては申し分ないし、ざっくりと事業価値を計算してみ
ても、企業価値が時価総額を下回っていることが確認できた。株価のチャートを見つつ、売
買のタイミングをはかって、成り行きで 200 万円近い注文を入れたのは、琢郎の自信の現れ
だった。

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※ マネー体験ストーリー、解説ともに、投資に関する基本的な考え方を解説するために作成されたものであり、
実際の運用の成功を保証するものではありません。実際の投資は、ご自身の判断と責任において行ってくだ
さい。
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ところが、まるで琢郎が買うのを見計らったかのように、バリュープライムの株価は値を下
げはじめた。最初は、(オレの読みに間違いはない。株価は、下がれば上がるだけさ)、と強が
りを言う余裕があった琢郎だが、さすがに 1 ヶ月で 20%も株価が下落したときには、チャー
トを見ながら胃が痛くなってきた。(オレは間違っていない。こんな割安株をほっておくなん
て、マーケットが間違っているんだ…)。自分を励ますようにつぶやく琢郎だったが、いつの
まにか日課にしていた株価のチェックを止めるようになっていった…
そして、今日。
ふと思いついて、インターネットでバリュープライムの株価をチェックしてみたのだ。
秘かな期待はあった。株を買ってから 3 ヶ月たっていると言うことは、その間に 4 半期決算
もあったはずで、仮に好材料が出ていれば、すくなくとも元値近くまでは戻しているのでは
ないだろうか。これまでのバリュー投資で、そのような例はいくらでもあった。
(たのむ!)
祈るような思いでインターネット証券の画面をクリックした琢郎の目の前に出てきたのは…
  買値から 50%の下落
わずか 3 ヶ月にして、100 万円が手元から蒸発したように消えてなくなったことになる。血
の気の引いた顔を引きつらせながら、(もう投資なんてコリゴリだよ)という言葉が琢郎の頭の
中を駆けめぐっていた。
-「投資再チャレンジ推進会議」 ~もうひとつの処方箋~
「まあ、そう言うわけでして…」琢郎は、自分の投資の失敗談を語り終えた。
目の前にいるのは、安倍仙吉。とある異業種交流会で知り合って、「トレーダー」と肩書き
の付いた名刺に興味を引かれ、食事を一緒にすることにしたのだ。もっとも、ここまで詳し
く自分の失敗談を話すつもりはなかった。ついつい舌が滑らかになったのは、仙吉のやや長
めの銀髪と白髯がかもしだす、仙人めいた雰囲気のせいかもしれない。
琢郎は、思い切るような口調で続けた。「だから、もう投資は止めようと思っているんです
よ。」
「それはもったいないですなぁ…」。仙吉が答える。「岩本さんには釈迦に説法ですが、預
貯金では得られないリターンが株にはあるわけですからなぁ…」
(そんなことは分かっている)。琢郎は苦く思う。(だけど、あんな思いはもうコリゴリなんだ)。
そんな琢郎の考えを読みとるかのように、目をのぞき込みながら仙吉は続けた。「もし岩本
さんさえ良ければ、ワシのやり方を教えるんで、もう一回投資をしてみませんか?」
「は?」、とまどう琢郎。
「安倍首相ではないですが、『投資再チャレンジ』、ですよ。このまま止めてはもったいな
い。なに、『手法』と言っても、分散投資を効率よくやるだけなんですがね。」
「分散投資ですかぁ…」。投資再チャレンジ、と聞いて一瞬高ぶりかけた琢郎の心は、あっ
という間に冷めた。
「えーと、結局、『投資信託を買え』ってことになるんですかねぇ…。コストばっかりかか
ってリターンは出ないと思うんですけど…」、琢郎は心の中で眉をしかめた。
「投資信託は買いますが、それだけじゃないんですよ。『投資再チャレンジ推進会議』がお
すすめするもう一つの処方箋は、もうちょっと体系的になっているんです。」

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意味ありげに微笑む仙吉を見ながら、琢郎の気持ちの中には変化が起こり始めていた。(考え
てみれば、株を体系的に勉強したことってなかったな、本も手当たり次第に読んだだけだし
…)。

●解説
岩本琢郎さんのストーリー、いかがだったでしょうか?
投資をしている方なら、誰でも覚えがあることでしょうし、実際にこのような体験をして、
投資を止めてしまった方も少なからずいるのではないでしょうか。
これは、非常に残念なことです。マネー体験ストーリーの最後の方で仙吉さんが言っている
ように、長期的に資産を増やすことを考えるならば、株式は預貯金を上回るリターンを生み
だすのですから。事実、30 年以上の長期間にわたって株を保有すると、その平均年間収益率
は 10%近くに達する、というレポートもあります。
といっても、株式投資は、値段の上がり下がりが激しいのも事実。そこで、本稿、「投資再
チャレンジ推進会議」では、値段の動きを押さえて心安らかに投資する手法として、分散投
資をお薦めしたいのです。
「またその話か」と思う前に、ちょっと考えてみてください。「分散投資」と聞くと、どの
ような分散が思い浮かぶでしょうか?
真っ先に思い浮かぶのは、銘柄の分散ですが、その他にも、市場(国)の分散、購入タイミング
の分散、そして、資産の種類の分散(債券、不動産など)、などが考えられます。もっとも、最
後の分散は株式投資から外れてしまいますが…
「投資再チャレンジ推進会議」では、これらの分散をすべて網羅する投資法を株式投資のも
う一つの処方箋として 4 回にわたって解説していきます。目標は、預貯金を上回るリターン
を得ながら、心安らかに投資をすること、にあります。つまり、一度個別銘柄への投資で
「コリゴリだ」と思ってしまった方も、安心して株式投資を再開できる手法です。
と言っていると、琢郎さんの声が聞こえてきそうですね。「そうは言っても、投資信託って
コストが高いんでしょう?」
次章コストを抑えた投資信託の活用法についてお話しします。

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第 2 回: 「そうはいっても手数料が高いんでしょ?」~ムダなお金を払わな
い金融商品
「トレーダー」を名乗る、安倍仙吉氏に誘われて、「投資再チャレンジ」を志した岩本琢郎
さん。いよいよ今回は、「投資再チャレンジ推進会議」の提唱する分散投資の核心に触れる
ようです。

●マネー体験ストーリー
-タテとヨコに分散する
「琢郎さんは、株でどうやってもうけますか?」
いきなり質問を受けたのは、「ギャンブルにはお酒が合うように、株にはお茶が合うのです
よ」と、半ば強引に仙吉に連れ込まれた甘味処でのことだった。
「え…。えーと、安いときに買って、高いときに売る、って事ですか?」戸惑いながら答え
る琢郎。
「そうそう。でも、先日のバリュープライムの株で、痛い目に遭ってしまったのですな。そ
こで…」、仙吉が続ける。「タテとヨコの分散で、出来るだけ痛い目に遭うのを避けましょ
う」
「はぁ」、キョトンとした顔のままうなずく琢郎。
「ヨコの分散は、簡単ですな。一つの銘柄だけでなく、同時に複数の銘柄を持つことじゃ。
これによって、値段の変動の幅が小さくなり、バリュープライムで経験したような、株価が
急落して痛い目に遭う確率は小さくなる」
「なるほど。分かります。で、タテの分散というのは?」、琢郎が聞く。
「考えてみて欲しいんじゃが…。バリュープライムの株で大きな損をしてしまったのは、銘
柄の選択が間違っていただけかな?」、琢郎の質問に、質問で返す仙吉。
「ホレ、株価の動きを見ながら考えてみてください」、いつの間に用意したのか、バリュー
プライムの過去 3 ヶ月の株価チャートを仙吉は用意していた。琢郎にとっては、目にするの
もイヤなものだが、あえて考える。
「うーん、まさかこんなに値下がりするなんて考えてなかったわけで…」
「ちゃんと値上がりしておるじゃろ。」
「え?」
「琢郎さんが売った 1 ヶ月前には底値をつけているわけだから、そこから 1 ヶ月間は、ほぼ
一本調子で値上がりじゃ。つまり、仮に 1 ヶ月前に買っていたら、バリュープライム株でも
儲けを出せたわけですな」
「ということは…」、急き込んで琢郎が尋ねる。「底値を見極めて買えば良かったわけです
ね!」
「いやいや」、穏やかに仙吉は否定する。「琢郎さんはマジメじゃから、売買タイミングを
はかる際には、テクニカル分析も一通りしたのではないかな?」
「…」

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「それでも上手く行かなかった。ということは、普通の人にとっては、底値で買うというの
は難しいということじゃ。だからこそ分散なのじゃよ。『底値だ』と思いこんで一度に買う
のではなく、毎月一定額を買っていくことによって、『投資タイミング』を分散するわけじ
ゃな。これによって、たとえ株価の下降局面であっても平均購入単価を下げて、いわば儲け
が出やすい体質にするわけじゃ。」
-投資信託といえどもコストを抑える
「なるほど。たとえば毎月、1,000 株づつ買っていく、と。」
「うむ。それでも良いのじゃが、一定の株数と言うよりも、一定の金額で買っていくのが、
平均購入単価を下げるコツじゃ。だからこそ、投資信託を使った方が便利な訳じゃな。」
「はぁ」、ややトーンが下がる琢郎。
「考えても見て欲しいんじゃが、複数の銘柄を、毎月同額ずつ買っていく…。資金の面から
も、手間の面からも、負担じゃろう。しかも…」、追い打ちをかけるように続ける仙吉。
「20 銘柄以上同時に保有しないと、分散投資の効果は十分ではないという研究もあるくらい
なんじゃ」
「分かりました、分かりました」、投資信託のメリットはあっさり認めた琢郎だが、別のポ
イントから反撃を加える。「でもね、仙吉さん。投資信託はコストがバカになりませんよ。
実際、最近の経済新聞でも、投資信託の手数料が値上がりしているって記事があったでしょ」
「ふむ。全体としてはそうかもしれんな。でも、中には手数料が安い投資信託もあるのじゃ
よ」
「いや、でも、投資信託のコストって、優秀なファンドマネージャーを雇って、状況に応じ
て組入銘柄の変更を機動的に行うためには、ある程度しょうがないでしょう。コストを下げ
るために、ヘボなファンドマネージャーを雇うなんて本末転倒ですよ。」、琢郎が反論する。
「そこが、発想の転換じゃな。ファンドマネージャーの力量に頼るのを止めて、機械的な運
用をしている投資信託を選ぶんじゃ」
「機械的な運用って…イメージがわかないんですけど」
「日経平均や TOPIX に連動しているものじゃよ。インデックス・ファンド、と呼ばれるタイ
プの投資信託じゃな」
「あ、パッシブ運用、って呼ばれるやつですね」
「そうそう。ポイントは、手数料じゃ。どのくらいか想像がつくかの?」
「うーん、2-3%ぐらい、ですかね?」
「もっと安いじゃろうな。ワシもすべてを調べたわけではないが、販売手数料がゼロのもの
でも、信託報酬が 1%を切っているインデックス・ファンドは、ザラにあるよ。もちろん、売
却時に支払う、信託財産留保額はゼロのもので、じゃ」
「うーん、なるほど」、とうなる琢郎。
「もし、徹底的に安いのを探すのであれば、(社)投資信託協会などのホームページなど見てみ
ると良いかもしれんゾ。金融機関横断で手数料が比較できるからの」、仙吉が言葉をつなぐ。
「それでもまだコストが高いのはイヤかのう?分散投資の結果、心安らかに過ごせるのであ
れば、安いものだと思うのだがの」。一息ついて、目の前のお茶をすすって、仙吉は続ける。
「株にはお茶が合う、と言ったのも、そこなんじゃ。ご存じかもしれんが、茶の湯が流行っ

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たのは戦国時代。戦に明け暮れる無常の生活に疲れた戦国大名達が、心の安らぎを求めた結
果普及した、と言われているんじゃ。株も同じで、個別の銘柄やマーケットの動きを追いか
けると、無常さに疲れてしまうじゃろう。だから、分散投資で心安らかにすごすことが、長
く続ける秘訣なんじゃ」。
「なるほど、たしかにそうかもしれませんねぇ」
琢郎が投資信託を買う意味合いを納得したと見極めたように、仙吉が切り出す。
「そしてな、実は琢郎さんにもっと向いたものがあるんじゃ。 ETF と言うんだが、聞いたこ
とあるかのう?」
「あ、あの、投資信託が株と同じように取り引きされているってやつですか?」
「そう、それじゃ。そして、琢郎さんにとって大事なのは、日経平均に連動する ETF は、イ
ンデックス・ファンドよりもさらに信託報酬が低いことなんじゃよ。ワシもすべてを調べた
わけではないが、0.2%から 0.3%というのが一般的な水準ではないかの」。
「あ、ずいぶん安いですね。」
「もっとも、最低取引単位が日経平均の 10 倍じゃから、まあ、十数万円単位になるわけじゃ
が。だから、琢郎さんのように、余裕資金があって、そしてコストをとことん下げたい、と
いう人には向いている商品なんじゃ」
「あぁ、なるほど」。仙吉の言葉を頭の中で整理しようと、お茶に手を伸ばした琢郎だった。

●解説
今回は、「タテとヨコの分散」というキーワードで、銘柄間の分散と、投資タイミングの分
散の話が繰り広げられました。大前提としては、「投資再チャレンジ推進会議」でも、株式
投資のうまみである高いリターンを狙っていきたいと思っています。実際、長期的に投資を
すれば年率 10%程度のリターンがあると指摘する研究もあります。
ただ、まさにそこがポイントで、短期的な値段の変動に負けて投資を止めてしまっては、株
の高いリターンを得ることができないのです。したがって、銘柄間の分散投資によって、値
段の変動幅を押さえ、「大きく負けて投資を止めざるを得ない」可能性を出来るだけ小さく
することをお薦めしているのです。同時に、大きく値下がりすることによる心理的な負担を
避ける、という意味でも、長期的に投資を続けられることにつながります。
一方、購入タイミングの分散に関しては、「買い」を入れるベストタイミングを判定するの
は難しいという前提に立って、「高値づかみ」を避けるために、たとえば、毎月 5 万円づつ
買う、などをお薦めしています。この手法、ドルコスト平均法と呼ばれることもありますが
証券会社によっては、自動で設定できるところもあって、さらに利便性が高まります。
積立のような感覚で、個別株の取引をやる方にとっては辛気くさく聞こえるかもしれません
が、その背後には、ストーリーで見たとおり、「平均購入単価を下げて儲けが出やすい体質
にする」という効果があります。
ちなみに、マネー・カレッジでは、「仮に、毎週水曜日に日経平均株価に連動する投資信託
を 1 万円買いつづけた場合、平均購入単価はどうなるか」を「マネカレ指数」としてご紹介
していますので、興味がある方はチェックをしてみて下さい。
おや、そんなことを言っていると、琢郎さんの反論が聞こえてきました。
「ちょっと待ってください、仙吉さん。よく見たら、おかしいですよ。値下がりが続いてい
る局面では、いくら平均購入単価を下げたって、儲けは出ないじゃないですか。仮に、日経
平均に連動する投資信託を買ったって、日経平均がこのまま下がり続けたらどうなっちゃう

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んですか?」
次回は、日経平均だけに頼らない分散手法を解説します。
【図表: 日経平均株価とマネカレ指数の推移】

18,500

日経平均株価
マネカレ指数
18,000

17,500
株価が右肩上がりであ
れば、定時定額で買う
ことにより平均購入単
17,000 価が下がり、「儲けが
出やすい体質」になる
株価 (単位:円)

16,500

大きな下げ局面で
16,000 も、平均購入単価が
十分に低くなってい
れば損は出にくいの
で、心安らかに見守
15,500 株価の下げ幅が大
れる
きくて、平均購入単
価を下回り、損が出
てしまう場合もある
15,000

14,500

14,000
2006/7/1 2006/9/1 2006/11/2
06/11/1 2007/1/3
07/1/1 2007/3/6
07/3/1 2007/5/7
07/5/1

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第 3 回: 「日本株はこの先どうなる!?」~目標を決めるから迷わず投資で
きる
「投資再チャレンジ推進会議」の手法にだんだんと納得していく岩本琢郎さん。でも、いく
ら投資タイミングを分散したとしても、株価が右肩下がりでは儲けが出ないことに気が付き
ました。

●マネー体験ストーリー
「ちょっと待ってください、仙吉さん」。琢郎は、自分が痛い目にあったバリュープライム
の株価チャートを見ているうちに、ふと気になってきた。
「仮に、バリュープライムの株を定時定額購入するとしますよね。それで平均購入単価が下
がるのは分かったんですが、最終的な株価が平均購入単価を上回らなければ、儲けは出ませ
んよね。ということは…株価が右肩上がりにならないと、結局は使えない手法じゃないです
か!」。勝ち誇ったように指摘した琢郎だったが、ふと気づいて別の角度から検討を始めた。
「あ、そうか。だから、個別銘柄ではなくて、日経平均に連動する投資信託を買うのか。個
別の会社だと、最悪破産まで行っちゃって、株価は紙くずになるけど、日本経済全体だった
ら、基本的には右肩上がりだろう、と」
思考が勝手にめぐるのは、「投資再チャレンジ推進会議」の目指す方向性が実感できてきた
証拠だろう。個別の銘柄の売り買いに血道をあげるのではなく、資産運用のベースとなるべ
きは、「投資再チャレンジ推進会議」の考え方ではないか…。知的な興奮が琢郎を包んだ。
(いや…)。さらに琢郎の思考はめぐる。(運用のベースを「投資再チャレンジ推進会議」で作
っておけば、楽しみや、大きいリターンを狙うために、一定の範囲で個別株をやるのはかえ
って良いことなんじゃないかな。楽しいからこそ続けられる、ってのも事実だし)。
そんな考えを読みとったように、穏やかに琢郎を見つめていた仙吉だったが、ここで口を開
いた。「日本経済が右肩上がりになるかどうかは、微妙なところではないかな。少子高齢化
とか、ワシは楽観視はしておらんよ」
「あ、じゃあ…」。止めどなく回る琢郎の思考を先取りするように、仙吉が言葉をつなぐ。
「国際分散投資じゃな」
「なるほど~」
「万が一、日本経済が良くなくて、株価が右肩下がりになってしまうとしても、海外株式に
も投資をしていれば、そちらで勝てる可能性があるわけじゃ」
「あぁ、中国とか、インドとか、いろいろありますもんね」
「うむ。新興国も、成長性という観点では悪くないんじゃが、その分不安定ではあるのう。
むしろ、分散という面からも、コスト面からも、海外株式のインデックス・ファンドを薦め
たいところじゃな」
「へぇ、海外株式のインデックス・ファンドなんてのもあるんですか?」
「うむ。たとえば、『MSCI コクサイインデックス』なる指標があって、これに連動する値動
きを目指す投資信託があるな。これは、コストも低めでお薦めじゃ」。

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「あ、でも…」。さすがにここまでくると、仙吉は答えを用意しているだろうと予測しつつ
琢郎が反論する。「最近は世界中の株式市場が連動しているって話もあるじゃないですか。
だとしたら、海外とはいえ、株式に投資をしたとしたら、分散の効果は限られるんじゃない
ですか?」
「それはそうじゃな。なので、株以外にも投資をした方が良いわけじゃよ。たとえば、債券
は、琢郎さんのような株好きな人は興味がなかったと思うが、ここまで聞いたうえで、分散
投資のために資産の何割かは債券で持つべきだ、と言ったら、買う気にもなるんではないか
な」
「そうですね。債券中心に運用する投資信託なんて、これまで買う気が起こらなかったけど
そう言われてみると真面目に検討しますね」
「そしてな、これも日経 225 インデックス・ファンドではないが、何らかの指標に連動した
商品の方がコストは低くなりがちなので、薦めたいところじゃな。たとえば、債券にしても
シティグループが計算している世界国債指数なんてのもあるわけじゃし」
「あとは…」、琢郎がつづける。「不動産とか金とかもアリですよねぇ。株の値動きとは連
動しないものを組み込めば、分散の効果が高まりますしね」
「まさにそうじゃ。あとは、ドルコスト平均法が活きるように、少額から継続購入を出来る
ものを選べばいいじゃろう。たとえば、不動産も、東証 REIT 指数に連動する投資信託を 1 万
円から買っていくわけじゃな」
「なるほどー、そういえば、金も純金積立や、あるいは最近では金 ETF も話題になってます
しね」
納得した琢郎は、次のステップを聞いてみる。
「そうすると、そういう、いろんな資産の組み合わせを考えれば良いんですね」
「そうじゃ。『アセット・アロケーション』というのじゃが、資産を分けて、日本株式を何
パーセント、海外株式を何パーセント、というのを自分の中で決めておくことが大事なんじ
ゃ」
「具体的には、何パーセントづつ持つようにしたら良いんですか?」
「そこが難しいところじゃな。その人の年齢や、資産額や、ライフプランによっても変わっ
てくるしの…」
「たしかに、仙吉さんと私では、目指すべきアセット・アロケーションは違ってきそうです
もんね」
「うむ。ただ、目標アセット・アロケーションに迷って時間を使ってしまってはもったいな
いの。それよりは、まずは仮でも良いからざっくりした目標を決めて、実際に投資をはじめ
るというのが賢いんではないかと思うんじゃ。どうせ、ドルコスト平均法を使いながら、徐
にお金を投資していくわけじゃから、早く始めるに越したことはないしのう」

●解説
今回は、海外株式を含めた分散投資から始まって、目標アセット・アロケーションを決めた
上で投資をする、という話になりました。
「投資」というと、ついつい目の前の商品を、「買うか、買わないか」という話になりがち
ですが、「投資再チャレンジ推進会議」でお薦めしているのは、このような近視眼的な意志
決定を離れる、ということです。たとえば、個別の商品を判断する上でも、資産全体の構成
を把握した上で、「目標アセット・アロケーションに近づくという観点では、この商品は必

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要か、必要でないか」で、投資の意思決定をしていくことになります。
実際の金融商品に関しては、ストーリー中の説明のとおりですが、すでに株式投資をしてい
る方であれば、とくに、ETF を検討することをお薦めします。単に、株と同じ感覚で買いや
すい、と言うだけでなく、信託報酬をギリギリまで抑えて、日本の株式や外国株式に、そし
て最近では金(きん)にも少額から投資ができるが魅力です。
金なども含めて、株以外の商品も組み込んだアセット・アロケーションを意識することによ
って、分散投資の効果がより高まります。結果として、ある程度のリターンを狙いながらも
値段の変動幅を押さえることにより、心理的・経済的な負担を少なくし、投資を長期的に続
けていくことが出来るわけです。付け加えるならば、投資の意思決定の際に「買うべきか、
買わざるべきか」や、「いつ買ったらいいのか?」などの迷いが少なくなることによって、
より心理的な負担が少なくなることも、見逃せない効果と言えるでしょう。
もちろん、個別株の値段変動に伴う刺激とは、対極にある世界です。とはいえ、この両者は
二者択一ではなく、資産運用のベースは「投資再チャレンジ推進会議」の手法で行い、個別
株は一定の範囲内にとどめる、などの組み合わせることは十分可能でしょう。
さて、アセット・アロケーションを意識した投資をやる際には、どのようなアセット・アロ
ケーションが適切か、が重要になってくるわけですが、これは、ストーリー中で仙吉さんが
言っているとおり、個人個人の状況によって変わってくるものです。
非常におおざっぱな指標としては、「100 引く自分自身の年齢」のパーセントを株式で持つ 、
などが昔から言われてきました。たとえば、琢郎さんだったら、このストーリーの時点で 42
才ですから、100 - 42 = 58 となり、資産のうち 58%を株式で持つことになります。この数式
がどの程度妥当性を持つかは分かりませんが、年齢が高くなるに従って値段の変動が激しい
株式の割合を少なくしていく、という基本的なコンセプトには説得力があります。年齢が高
くなるほど、将来の運用の期間は短くなり、かつ退職に伴う資産取り崩しのニーズは高まる
ためですね。
もう少し精緻にやるならば、ファイナンシャル・プランナーに相談することも検討すべきか
と思いますが、目標アセット・アロケーションは、ライフプランの計画によっても変わって
くるのが悩ましいところです。つまり、ある一時点でアセット・アロケーションを決めたと
しても、もしライフプランが変わってしまえば(経験上、これは変わることが多いものですよ
ね)、別のアセット・アロケーションが必要になってくることになります。
ということは、ストーリーの中で仙吉さんも言っていますが、とりあえず仮でも良いので、
アセット・アロケーションを決めて投資をはじめるのが良いのではないかと思っています。
世の中に数ある投資関係の書籍の中には、アセット・アロケーションの提言をしているもの
もあるので参考になるかと思います。下記、いくつかの事例を記載します(前提条件によって
配分が異なっていることには注意をしてください)。
琢郎さん、ここまでは納得してくれたようですが、別の疑問が出てきたようです。
「投資で悩むのは、『売り時』なんですよね。それも教えて下さい」
次章では、投資をした後のメンテナンスの解説をします。

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第 4 回: 「株はギャンブル」?~目的を持った投資だから続けられる
「投資再チャレンジ推進会議」の体系的な投資手法にだんだん納得してきた岩本琢郎さん。
最終回である今回は、資産の売却にも話が広がるようです。

●マネー体験ストーリー
「いやぁ、『投資再チャレンジ推進会議』、さすがにシステマティックですねぇ」。お茶を
すすりながら、琢郎は顔をほころばせた。「で、買い方は分かったんですけど、今度は売り
時ですよねぇ。投資では、売り時が難しいってのは、投資家共通の想いだと思うんですけど」
「まぁまぁ、そう焦らずに」。鷹揚に仙吉が言葉をつなげる。「その前に、もう一つあるん
じゃ。琢郎さんは、いくらぐらい投資をしてなさるかな?」
「えーと、だいたい、400 万円ぐらいじゃないですかねぇ…、あ、でも、バリュープライム
の株を含めると、500 万か…」
「うむ、現在の金額を把握しているのは良いことじゃな。ま、それはそれとして、その金額
をどうやって決めているのかな?」
「うーん、まあ、余裕資金というか、無理ないように、と言うか…」
「本当に、『無理がない』のかのう?」
「いや、そう言われると…」
「うむ、そこも、何らかの基準を持っていた方が良いのではないかな。アセット・アロケー
ションを知ったのはよいのだが、手元の資金をすべて投資されては困るからのう。少なくと
も、一定額は預貯金など、流動性の高い資産で手元に置いておいて欲しいんじゃよ。何かあ
ったときのための備えじゃな」
「たしかに、それはそうですね。資産の何パーセントぐらい残しておけば良いんですかね?」
「今度は、資産の何パーセント、という考え方ではないんじゃよ。何か、万一のことがあっ
たときに、生活していくための資金じゃから、考え方としては逆じゃ。むしろ、毎月の生活
費の何ヶ月分必要か、という観点で、金額を決めておくものじゃ」
「あぁ、なるほど。言われてみればそうですよね。たとえばですけど、リストラとか、病気
になったとか、私が働けなくなったとしても、家族に迷惑をかけないためですもんねぇ。で
一般的には、生活費の何ヶ月分ぐらいなものでしょう?」
「これも、どこまでリスクをとるかは、人によって違ってくるんじゃよ。手元に多額の預金
を置いておけば安心じゃが、それだけ投資の効率は悪くなるし、かといってリスクをとって
運用に多額を回して、いざというとき生活が立ちゆかなくなってしまっては困るしの。まあ
半年分から 1 年分ぐらいが、一般的かのう」
「なるほど、分かりました。で、売り時は?」
「うむ」。売り時にこだわる琢郎に苦笑しつつ、仙吉が答える。「基本は同じじゃよ。バラ
ンスじゃ。そう聞けば、琢郎さんにも想像が付くんではないかな?」
「うーん…。常に、バランスを維持する、ということですか?」
「そうそう。それじゃ。まずは、目標アセット・アロケーションを達成することを目指すわ
けじゃが、仮に完成させた後も、つねに目標アセット・アロケーションを維持することを意
識するんじゃな」
「えーと、そうすると、たとえば、標準的なアセット・アロケーションを目標とするとしま

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※ マネー体験ストーリー、解説ともに、投資に関する基本的な考え方を解説するために作成されたものであり、
実際の運用の成功を保証するものではありません。実際の投資は、ご自身の判断と責任において行ってくだ
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すよね」
「うむ」
「その場合、日本株は 30%ですね」
「そうじゃ」
「仮に、日本株の調子が良くて、35%までふくらんでしまったとしたら、5%分を売るわけで
すか」
「そう言うことじゃな。で、その、売った 5%分の金額はどうするかな?」
「えーと、バランスと言うことは…、目標アセット・アロケーションよりも少なくなってし
まった資産を買う、と」
「そう言うことじゃ」
「たとえば、そのときに、海外株式の調子が悪くて、15%になっていたとしたら、日本株を
5%分売った金額で、海外株式を買って 20%に戻す、と」
「うむ」。仙吉が認めると、
「なるほど。単純なもんなんですねー」。琢郎はあっさりと言った。
「果たして、見た目ほど単純かな?」。それを聞いた仙吉は、含みのある言い方をする。
「こんな感じで、目標アセット・アロケーションのバランスを保つのを、『リバランス』と
いうのじゃが、実はリバランスによって投資の効率は良くなるんじゃ」
「へぇ。投資のリターンが上がる、って事ですか?」。半信半疑、ではないが、今ひとつピ
ンとこない様子で琢郎が答える。
「うむ。さっき、琢郎さんが言っていたことを、見直してみると、よく分かるな」。
「えーと、『日本株を 5%売って…』ってやつですよね。」
「そうじゃ。なぜ日本株を売ったんじゃ?」
「目標アセット・アロケーションの 30%を超えたからですね。」
「なぜ 30%を超えたんじゃ?」
「まあ、そのときの日本株の調子が良くて、値上がりしたってことですね。」
「うむ。調子がよい資産を売ったわけじゃな。で、買ったのは?」
「調子が悪くて、目標アセット・アロケーションよりも少なくなっている海外株式、と。」
「そうじゃ。と言うことは?何をしているんじゃろうな?全体としては?」
「あ!」。琢郎が、ようやく気づく。
「値上がりした資産を売って、値下がりした資産を買う、つまり、安値で売って高値で買う
を実践しているんですね。」
「そうじゃ。正解じゃ」。顔をほころばせて、仙吉が言った。「もっとも、投資信託の販売
手数料や、税金を考えると、頻繁にリバランスをするとコストがかかるので、やりすぎは禁
物じゃがの。まあ、半年から 1 年間に 1 回すれば、良いじゃろう」
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
甘味処の窓から外を眺めると、すっかり日は暮れていた。話が弾むあまり、思いの外時間が
たったのに気づかなかったようだ。

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「ワシの伝えたかったことは、だいたいお話ししたつもりじゃ」。仙吉が、ほぅ、っという
ため息とともに、言った。
「ありがとうございます」。素直に答える琢郎は、体系的な投資手法を知った興奮の余韻に
包まれている。
「最後に、もう一つだけあるとすれば … 」。名残を惜しむような口調で、仙吉が続けた。
「投資の目的、じゃな。琢郎さんは、なんのために投資をされているんじゃろう?」
「うーん、やっぱり、副収入って言うか、不労所得って言うか、欲しいから始めたんですけ
ど…。やっていくうちに、だんだんと取引そのものが面白くなったって言うのもありますし
…。いけないですかね?こんなのじゃ?」、自信なさげに言いよどむ琢郎。
「いやいや、目的や価値観は人それぞれだから、良い悪いはないじゃろう。ただ、目的と手
法がマッチしているかどうかは考えた方がよいな。個別株の投資は、副収入を得るため、あ
るいは取引を楽しむためには良い手段だと思うんで、それはそれでマッチングがよいと思う
んじゃ。だが、『投資再チャレンジ推進会議』の手法をやるからには、もう少し長期的な視
点で、投資の目的を考えてもらうと嬉しいんじゃ」
「投資の目的…?」
「うむ。投資は、結局は手段に過ぎない、とワシなんかは思うんじゃよ。むしろ、本筋は、
投資で増えた資産を使ってなにをなすか、まぁ、『人生の目標』というと大げさじゃが、
『何年後に、なんのために、いくらぐらい欲しいのか』を考えた方が、スムーズにいくと思
うんじゃな」
仙吉の言いたいことは、琢郎に伝わった。「人生の目標」などという言葉が出てきたら、日
常生活の中ではしらけてしまうところだが、アセット・アロケーションを意識した長期投資
を考えると、自然に心の中に落ちてくるのが不思議だった。
「ワシの一番伝えたかったことは、それじゃな」。一瞬の沈黙が流れ、仙吉の想いが伝わる。
「では」、感傷を振り払うように、仙吉はにっこりと笑って切り出した。「次にお会いする
のは、半年後にしましょうか。さて、琢郎さんの投資再チャレンジは、どこまで進んでいる
じゃろう。楽しみじゃ」

●解説
今回は、「投資再チャレンジ推進会議」の最終回と言うことで、投資後のメンテナンスを中
心に話が繰り広げられました。
投資は売り時が難しい、というのは、多くの人が指摘をするところで、投資経験者の方であ
れば、大いにうなずけるところでしょう。高値で売り抜けたい、というのは誰しも思うもの
ですが、実現するのはなかなか難しいものです。
「投資再チャレンジ推進会議」では、高値で売りぬけるのは難しいという前提のもとに、目
標アセット・アロケーションを完成した後も、バランスを保ちつづける、「リバランス」と
いう手法をお薦めしています。マネー体験ストーリーでは、株式だけでリバランスの説明を
琢郎さんにしてもらいましたが、実際には、債券やその他の投資も含めて、全体として資産
の売買を行い、バランスを維持する事になります。
リバランスの効果は、ストーリーで琢郎さんが実感したとおり、半自動的に「安値で買って
高値で売る」ことを実現できることにあります。もちろん、その過程では、売り時に迷うこ
ともない、という心理的な効用もあります。といって、仙吉さんが指摘しているとおり、リ
バランスに伴うコストもあるわけですから、あまり頻繁に売買をしてリバランスをすること
は、かえってトータルでのリターンを落としかねません。

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※ マネー体験ストーリー、解説ともに、投資に関する基本的な考え方を解説するために作成されたものであり、
実際の運用の成功を保証するものではありません。実際の投資は、ご自身の判断と責任において行ってくだ
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投資信託の中には、目標としている資産配分から 5%ポイント以上乖離するとリバランスを行
う、という運用をしているものもあるようですが、個人投資家にとっては、上述のコストの
問題、そして手間暇も考えると、たとえば半年に 1 回、6 月末と 12 月末など定期的にタイミ
ングを決めて、リバランスを行う、とした方が現実的ではないでしょうか。
ただ、その際に悩ましいのは、複数の証券会社を使っていると、株にいくら投資されている
債券にいくら投資されている、と集計するのに手間がかかることです。ここまで本稿を読ん
でくれた読者の方へのプレゼントとして、証券会社横断で資産を管理するためのエクセルワ
ークシートを、マネー・カレッジのウェブサイト上で公開しますので、ご興味がある方はダ
ウンロードして使ってみてください(URL: http://www.money-college.org/kanri.php)。
また、今回のストーリー中では、もう一つだいじなコンセプトが説明されています。生活費
の何ヶ月分、と言うかたちで計算した一定額は流動性の高い資産で手元に置いて、不時の出
費に備える、と言うことです。
実際に、何ヶ月分を手元に置いておくべきかは、まさに人それぞれで、トータルの資産額、
リスク選好の度合、そして、キャッシュインフローの安定性、キャッシュアウトフローの予
測、等々によって異なって来ます。世にある投資の書籍でも、3 ヶ月分から 24 ヶ月分、とか
なりバラバラな提言がされており、一定の範囲内には収まらないところです。「投資再チャ
レンジ推進会議」では、直感的に、「3 ヶ月分では心許ないし、かといって 24 ヶ月分では投
資効率が悪くなる(流動性の高い資産はリターンが低いので)」、と考え、6 ヶ月分から 12 ヶ
月分の間をお薦めしています。
そして、最後に仙吉さんも言っていますが、せっかく長期の資産運用を考えるのですから、
「人生の目標」、とまでは言いませんが、長期的な目標や夢を考えながら、この、「投資再
チャレンジ推進会議」の手法を試して行かれることを期待しています。

【マネー・カレッジ 連絡先】
e-mail: info [at] money-college.org      HP: http://www.money-college.org/

【著者略歴】
木田知廣 (きだともひろ) マネー・カレッジ代表
米国系人事コンサルティングファームで活躍後、英国ロンドン・ビジネススクールで MBA を
取得。
社会人向けビジネススクール「グロービス」では臨場感あふれる授業が好評を集める。
投資にも自己責任が問われる時代を迎えたのをキッカケにマネー・カレッジを立ちあげ、
これまで日本人が受けてこなかった「体系的な金融教育」をより多くの人に普及させること

ミッションとしている。
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