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「プルトニウム汚染除去剤に関する要望」へのご回答について

平成22年9月21日
日本原子力研究開発機構
平成 22 年 8 月 11 日付けで、ご要望を頂きましたので、以下のようにご回答させて頂きま
す。

ご要望
東海村臨界事故(99 年)の時は約31万人の住民に屋内退避、換気装置停止(内部被ばく
予防のためと思われる)を呼びかけたのが対策であった(出典 ウイキペディア)。

不特定多数の人達が放射能を受ける可能性が有る場合、実際の被害者数の 1 万から 10
万倍の人数を想定する必要がある。正確な情報が得られる前に対策を実行する必要があ
るからである。
日本全体で考えた場合不特定多数の住民被害対策用に 1 万から 10 万人規模で DTPA を
備蓄する必要があると思われる。しかしこれを各原子力施設に要望することは出来ない。
各施設が巨大事故を想定していると思われたくないからである。

日本原子力研究開発機構の場合テロ対策も含めた国家の保安に必要であるとの観点から
備蓄は可能であると思われるので御検討を要望します。

(回 答)
不特定多数の方が被ばくする場合の対応は、国が中心となって検討し、「原子力施設等
の防災対策について(原子力安全委員会)」として取りまとめ、放射性ヨウ素については対
応がとられているところです。
プルトニウムによる被ばくに対応する、DTPA 剤については、国において議論※がなされ
ているものの、備蓄の必要性は指摘されていません。
原子力機構は、国における検討を踏まえ、原子力に関する指定公共機関として責任を果
たしていく考えであります。
なお、原子力機構は、プルトニウム使用施設等を有することから、プルトニウムの汚染可
能性に対し、事業者としての責任の範囲について、数名分の DTPA 剤を保管しています(別
紙参照)。

※ 原子力安全委員会 原子力施設等防災専門部会 被ばく医療分科会 第 21 回会合(平成 21 年 4 月


14 日)にて、(財)原子力安全研究協会にて作成した「DTPA 投与方法に係るガイドライン」について
議論されました。
別 紙

事業者としてのプルトニウム汚染除去剤(DTPA 剤)保管の考え方

平成22年9月21日
日本原子力研究開発機構

原子力機構では、東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所の再処理施
設及びプルトニウム燃料加工施設等においてプルトニウムを取り扱っており、事業者
の責任として、万が一のプルトニウムによる内部被ばく事故に備え、プルトニウム汚
染除去剤を保管管理している。以下、その保管量とその根拠について整理しました。

(1) 現在の DTPA 剤保管量


DTPA 剤は、1980 年頃より核燃料サイクル工学研究所の医務棟において、保管さ
れている。現状の保管数量は以下のとおり。
l Ca-DTPA 10 アンプル(1g×10 本)
l Zn-DTPA 10 アンプル(1g×10 本)
(2) 保管数量の考え方
保管数量は、過去に原子力機構において発生した内部被ばく事故等の経験から、
初期対応に必要な対応量を想定している。
1) DTPA 投与対象者数・・・・・・・5人/回
【根拠】 原子力機構で過去に経験しているプルトニウムを含む内部被ばく事故
においては、線量限度を超える被ばくは 2 例、その際の被ばく者は作業
員 2 人及び 4 人。

2) 投与回数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2回/人(1回/日×2日)
【根拠】 諸外国の投与事例では、可能な限り早期に投与することが効果的、投
与回数は1回のケースがほとんど。

3) 投与量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1g/人・回(1回/日×2日)
【根拠】 諸外国の投与事例では、0.5g∼1g投与されているケースが多く、
DTPA 投与方法に係るガイドラインで日最大1gを推奨されていること。

従って、一回のプルトニウムによる内部被ばく事故に対しては、5人/回×2回/人
×1g/人・回で10g(10アンプル)が必要と考えられる。
また、基本的に Ca-DTPA の投与が効果的であるとされているが、長期投与により
Zn の欠乏(味覚障害等が発生)が発生した場合を考慮し、Zn-DTPA も合わせて保管
している。何れも、医師の判断により行われることとなる。
以上

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