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LV87272相バイポーラステッピングモータードライバキット説明書

ver0.1

木製CNC/周次建築事務所
山田 周次
2013/4
三洋半導体製LV87272相バイポーラステッピングモータードライバICを使ったステッピ
ングモータードライバキットです。

LV8727の詳細な特性は三洋半導体のデータシートを参照してください。
http://www.sanyosemi.com/

ON Semiconductor社のWebページには、データシート(英文)アプリケーションノート
(英文)があります。
http://www.onsemi.jp

LV8727説明

・LV8727は2相バイポーラステッピングモータードライバICです。
・Step/FR(Step/Direction)信号により、ステッピングモーターを駆動させることができ
ます。
・絶低最大定格出力4A。
・励磁モード
 1­2相励磁(HalfStep)
 2W1­2相励磁(1/8Step)
 4W1­2相励磁(1/16Step)
 8W1­2相励磁(1/32Step)
 16W1­2相励磁(1/64Step)
 32W1­2相励磁(1/128Step)
 10th Step(1/10Step)
 20th Step(1/20Step)
より選択可能。
・DecayモードはFast,Mixed,Slowより選択可能
・Down出力端子(オープンドレイン)により、一定時間Step信号の入力がない場合、
Lowを出力。Step信号が入力されると同時にOff。
・入力プルダウン抵抗内蔵
・出力短絡保護機能付き
・ICコントローラー部の電源はモータ電源より内部レギュレーターを使用(このキットで
は、ロジック入力と基準電圧(Vref)設定用に5V電源を使用しますので5Vとモーター電
源が必要です)
・サーマルシャットダウン機能
回路図
部品表

C1 470μ/50V

C2 220μ/25V

C3 0.1μ/50V 104

C4 0.1μ/50V 104

C5 100p/50 101

C7 0.1μ/50V 104

C8 1000p/50V 102

R1 12K/ 1/6W 茶赤橙金


R2 0.1Ω/2W 茶黒銀金
R3 10K半固定 103

R4 5K半固定 502

R5 0.1Ω/2W 茶黒銀金
R6 10K半固定 103

LED1 赤色LED 抵抗内蔵


LED2 赤色LED 抵抗内蔵
JP1 ヘッダピン 2x7

X1 端子台2P緑

X2 端子台2P青

X3 端子台2緑

X4 端子台2P緑

X5 端子台2P青

S1 DIP SW8P

基板 1枚
基板
組み立て例

基板のシクル印刷に間違いがあります。申し訳ありません。
R4にDOWN、R3にVREFとありますが、R3がDOWNでR4がVREFです。
また、LED2のシルクがOEとなってますが、MOです。

極性のある部品、電解コンデンサ、LEDは極性に気をつけて取り付けてください。
LEDは円の切り欠きがある方がカソード側(ー側)です。抵抗内蔵LEDの足の短いほうが
カソード側(ー側)です。

DIPスイッチの取り付け方向は逆でも構いませんが、画像のようにしたほうが分かりやす
いと思います。

背の低い抵抗、コンデンサ等から取り付けていくと作成しやすいです。
大きな放熱板を取り付ける際、X1,X3の端子台の端子台同士を嵌合させるアリが干渉する
場合がありますので、カッターナイフ等で削りとっておきます。

必ず放熱板を取り付けての運用をお願いいたします。
(アルミ板、銅板等でもないよりマシです。)
使用状況により、ファン等の冷却をしたほうが良いかもしれません。
発熱にて内部FETが痛みます。

キット付属の端子台の適応した電線の太さはAWG14 22です。

長期使用によるはんだ接合部の熱疲労等が考えられますので、モーター電源配線、モー
ター配線には棒圧着端子を圧着後、端子台に接続することをおすすめします。
機能、動作、設定説明

LV8727は制御入力端子に100kΩのプルダウン抵抗がついているので、DIPスイッチを
ONしてない状態でLowです。DIPスイッチをONにすることでHighとなります。

制御入力端子のHigh最小入力電圧は2.0V(最大5V)、入力電流は最大70μAです。
制御入力端子はピンヘッダに出してあるので、マイクロコントローラー等を入力端子に接
続し、使用できます。

電源

LV8727の定格電源電圧は9V 45Vですが、IC駆動用電源はDC24Vとして開発してあ
ります。
DC12Vでのステッピングモーターの駆動を確認しております。

基準電圧(Vref)及び、Decayモード設定、各種入力のDIPスイッチでの設定用に5V電源
が必要です、

スタンバイ機能

DIPスイッチのST、Low(スイッチOFF)状態でスタンバイモードがONになり、すべての
ロジックはリセットされ、モーターへの出力もOFFになります。
STをHigh(スイッチON)することでスタンバイモードが解除されます。
モーター駆動時には、High(スイッチON)としてください。

Step入力端子(端子台及び、ピンヘッダ)

Step入力端子にステップ信号を入力することによって励磁ステップを進めることができ
ます。ロジックの立ち上がりエッジにて、励磁ステップを進行します。
このキットではモーター出力電流のチョッピング周波数を約100kHzとしています。
安定作動の為、1ステップに2回以上チョッピングを入れるようにとアプリケーション
ノートに書いてあるので、

100kHz/2回=50kHz

50kHzが安定的な最大入力パルス周波数です。
LinuxCNCでの設定にて、StepTime及びStepSpaceは1000ns、DirectionHold及び
DirectionSetupは20000nsでの作動を確認しております。
DirectionHoldとDirectionSetupはもう少し時間を詰めることができると思います。

また、Mach3のMotorTuning and Setup内のStepPulseは1us、DirPulseも1にて作動


しますが、DirPulseは少し長めにしておいたほうが良さそうです。

励磁設定(DIPスイッチにて設定、ONでHigh)

MD1 MD2 MD3 モード(励磁) 1ステップの分


割数
Low Low Low 1-2相 1/2

High Low Low 2W1-2相 1/8


Low High Low 4W1-2相 1/16
High High Low 8W1-2相 1/32
Low Low High 16W1-2相 1/64
High Low High 32W1-2相 1/128

Low High High 10th step 1/10

High High High 20th step 1/20

MO出力端子

MO出力端子はピンヘッダのMO、LED2に接続されています。
MO端子は励磁イニシャル位置(ステップの励磁開始位置)になるとオープンドレイン出
力なのでLowを出力します。電源と繋がっているLEDはモーターの励磁状態がイニシャル
位置にくると点灯します。

励磁位置 LED2

イニシャル位置 点灯

イニシャル位置以外 消灯
出力電流設定(モーター出力電流設定)

DIPスイッチを全てLow(OFF)の状態でステッピングモーター、モーター側電源、ロジッ
ク入力電源を繋ぎ、モーター側電源、ロジック入力電源の順番に電源を入れ基板上のテス
トポイント、GNDとVREF(基板によってはGND1、VREF1)の電圧をテスターにて計測
して出力電流設定を行ないます。

励磁設定(MD1∼3)はどんな状態でも構いません。

基板上のR4の可変抵抗を回し、調整します。

VREF­GND電圧 モーター出力電流

0.3V 1A

0.6V 2A

0.9V 3A
1.2V 4A

抵抗の許容誤差の関係で1.2V以上(1.46V程度まで)に設定できてしまいますが、絶対最
大定格出力電流を超えてしまうので絶対にに1.2V以下(4A以下)で使用してください。IC
が破損する可能性が高いです。
絶対最大定格が4A、出力ピーク電流4.6A(10ms以下)となってますが、絶対最大定格
以下での使用をおすすめします。

R4の半固定抵抗を時計回りに目一杯回すと0Vです。徐々に反時計回りに回して設定電圧
を決めてください。
Decayモード設定

基板上のテストポイント、GNDとFTDの電圧をテスターにて計測し、R6の半固定抵抗に
てDecayモードを設定します。
LV8727にはSlowDecay、MixedDecay、FastDecayの3つのDecayモードが選択でき
ます。

R6の半固定抵抗を時計回りに目一杯回すと0Vです。

禁止領域の電圧に設定しないでください。

FTD­GND電圧 Decayモード

3.5V FTD 5.5V SlowDecay

3.1V FTD 3.5V 禁止領域

1.1V FTD 3.1V MixedDecay

0.8V FTD 1.1V 禁止領域


0V FTD 0.8V FastDecay

Decayモードは定電流制御時の電流衰減を設定します。
SlowDecayモードが最も衰減が小さく、FastDecayモードが最も衰減が速いです。

適切なDecayモードはモーター回転状況、モーターの大きさにより異なってきます。
本来は、モーター出力電流をカレントプロープ、または、カレントセンストランスを利用
し、波形をオシロスコープにて測定、波形の形を見て決定しますが、低速から最大回転数
まで使用する場合、FastDecayモード、又はMixedDecayに設定します。

おかしな波形の場合、モーターからの駆動音も、おかしいので音で判断するのも一つの手
だと思います。

出力イネーブル機能(OutputEnable)

DIPスイッチのOEスイッチがLow(スイッチOFF)にすると、モーター出力は強制的にハ
イインピーダンス(無接続状態)となり、モーターへの出力が無くなります。
しかし、内部ロジック回路は作動しているので、Step信号を入力していると励磁が進行し
OEをHigh(スイッチON)した時には、進行した励磁位置に沿った電流がモーターへ出力
されます。
OEスイッチ モーター出力

Low(スイッチOFF) OFF

High(スイッチON) ON

リセット機能(ReSeT)

DIPスイッチのRSTスイッチがLow(スイッチOFF)すると、イニシャルモードとなり、
Step/Directionの入力に関わらず、励磁位置がイニシャル位置( ステップの励磁開始位
置)に固定されます。励磁状態がイニシャル位置なので、LED2が点灯します。

RSTスイッチ 作動モード

High(スイッチON) 通常作動

Low(スイッチOFF) リセット状態

正転/逆転機能

端子台及び、ヘッダピンDIRのロジックにて正転逆転を切り替えます。

DIR 作動モード

Low CW(Clock Wise)

High CCW(CounterCrockWise)

カレントダウン機能

LV8727のDown出力を利用して、モーター停止励磁状態に流れる電流量を低減するカレ
ントダウン機能を追加してあります。
モーター出力電流設定後、DIPスイッチ内のCDスイッチをHigh(スイッチON)することで
機能します。
カレントダウンを使用したモーター停止時の電流設定には、モーター出力電流を設定後、
DIPスイッチのSTスイッチと、CDスイッチをHigh(スイッチON)し、基板上テストポイ
ントGND-VREF間の電流値をテスターにて計測し、半固定抵抗R3にて設定します。

計測電圧とモーター出力の電流量の比率は出力電流量の設定と同じです。
R3の半固定抵抗を時計回りに目一杯回した状態が最小値です。

カレントダウンはモーター停止後約、約0.4秒後に機能しモーターに掛かる電流値を下
げます。モーター回転開始と同時にカレントダウンはOFFとなります。

モーター電流設定方法

・DIPスイッチを全てOFFにして、半固定抵抗を全て時計回りに一杯まで回します。

・モータ配線、モーター電源、ロジック電源、制御用信号線を繋ぎます。

 (画像では、パラレルポートからのバッファ回路から電源を供給しているので、制御信
号線(Step/Direction)のGNDはバッファ回路のGNDです。別に電源供給している場合は
ヘッダピンにロジック入力用のGNDを繋ぎます。

・モーター電源、ロジック電源の順に電源を入れます。

・テスターを直流電圧レンジにして、画像のようにGND-VREF間の電圧を測り半固定抵抗
R4を徐々に反時計回りに回し電圧を設定します。
 (画像の場合は約0.6V、モーター電流2A設定です。)

モーター停止時のカレントダウンの電流値を設定します。

・上記のモーター電流設定が終わったら、DIPスイッチの1番、STスイッチ(スタンバ
イ)と8番CDスイッチ(カレントダウン)をHigh(スイッチON)にします。
これで、ICのDown端子が機能してVrefがカレントダウン状態と同じになります。

・上記モーター電流設定と同じようにテスターを直流電圧レンジにして、下の画像のよう
にGND-VREF電圧を測り、半固定抵抗R3を徐々に反時計回りに回しカレントダウン時の
モーター電流値を設定します。(下の画像の場合は約0.3V、カレントダウン時のモー
ター電流1Aです。)

Decayモードを設定します。

VREFの隣にあるFTDとGND間の電圧をテスターにて計測。
反時計回りに回しきった0VがFastDecay、時計回りに回しきった5VがSlowDecay 、
丁度中間辺りの2.5V付近がMixedDecayです。

設定電流はステッピングモーターの定格以下から初め、徐々に上げていくのが良いです。
CNCマシン等での通常駆動時のモーターの駆動の具合、発熱具合を見ながら電流値を決
定してください。
必要以上、又は、モーターの定格以上の電流値の設定はモーターの過度な発熱、ドライバ
ICの過度な発熱となり、モーター、ドライバICが損傷する場合があるので、気をつけて運
用してください。

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