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炭 素 T AN S O

連載講座 2006
[No. 221] 61 -68
― 新 しく炭 素 材 料 実 験 を始 め る人 の た め に―

人造黒鉛電極
Artificial graphite electrode

黒 田孝二
Koji Kuroda

1. は じめ に

炭 素 材 料 は きわめ て特 異 な性 質 を もって いる ので,冶 金 工 業 を


は じめ,電 気,電 子,機 械 化 学,原 子 力 な どの 幅広 い分 野 で 地味

な存 在 で はあ るが な くて はな らな い,い わ ゆ る 「工業 界 の黒 子」と


して活 躍 してい る。
人造 黒 鉛 材 料 で は,コ ー クス な どの フ ィラ ー(骨 材)と コー ル
ター ル ピ ッチ な どの バ イ ン ダー(粘 結 材)を 混 合 し,成 形,焼 成

黒 鉛 化 お よび機 械 加 工 を行 っ たブ ロ ック状 の 製 品 が古 くか ら知
られ てい る が,そ の後 ニ ュ ー カー ボ ン と呼 ば れ る製 品1),2),例 え
ば ガ ラス状 炭 素,炭 素 繊維/炭 素 複 合 材料 な ど も加 わ り,形 態 も 写真1  押 出 し成 形 の様 子
ブロ ック状 以 外 に シー ト状,フ ィルム状,フ ォーム状,粉 状 と多 種

多様 であ る 。
人造 黒 鉛 材 料 の具 体 的 な製 品 で は,使 用 量 で圧 倒 的 に多 い製 鋼
用 黒鉛 電 極 をは じめ と して アル ミ製 錬 用 や その他 電解 炉(槽)用
黒鉛 電極(カ ソー ドあ るい はア ノー ド),放電加 工 用電 極,シ リコ ン
半 導体 や光 フ ァ イバ ー な どの製 造 用 治 具,リ チ ウ ム イオ ンニ次 電
池 負 極 材用 黒 鉛 粉 な ど従 来用 途 か ら先 端 分 野 に至 る まで の あ ら
ゆる ところ で使 われ てい る。 図1  押 出 し成 形

こ こで は 人造 黒 鉛 材 の うち,押 出 し成 形 法 に よ る製 鋼 用 黒鉛 電

極 を中心 に製 法,構 造,特 性 につ いて全 般 的 な概 説 を行 う。 る 。 こ の 方 法 で 成 形 され た 製 品 は,細 長 い フ ィラ ー粒 子 が 写 真1,

図1の よ う に成 形 方 向 に配 向 す る た め,成 形 方 向 と垂 直 方 向 で は物
2. 成 形 方 法 の 種 類 と特 徴3)
性 に 異 方 性 が 生 じ,成 形 方 向 は 垂 直 方 向 に 比 べ 強 度,熱 伝 導 率 や

人造 黒 鉛 電 極(製 鋼 用 黒 鉛 電 極 以 外 ア ル ミニ ウム他 の溶 融塩 ヤ ン グ 率 は高 く,電 気 比 抵 抗 や 熱 膨 張 係 数 は 低 い 特 徴 を 示 す 。

電 解 用電 極 な どを含 む)は,ほ とん どが押 出 し成 形 法 に よるが,一 2.2 CP成 形法

部CIP成 形 法 や型 込 め成 形 法 に よ る場 合 が あ るの で 各 成 形 法 の 冷 間 等 方 加 圧(Cold Isostatic Pressing: CIP)は 「パ ス カ ル の

特 徴 を述 べ る。 原 理 」を 利 用 し た 成 形 方 法 で,配 向 性 の な い 緻 密 な 成 形 体 が で き

2.1  押 出 し成形 法 る 。 微 粉 の フ ィラ ー コ ー ク ス とバ イ ン ダー ピ ッチ を混 ね つ,冷 却

押 出 し成 形 材 は,熱 可 塑性 の混 ね つ(捏)*物 を横 押 しプ レスで の 後,粉 砕,分 級 し た 混 ね つ 物 粉 を 変 形 しや す い ゴ ム 質 の ケ ー ス

ノズ ルか ら押 出 し,所 定 の形 状 に成形 され る。押 出 し成 形 材 は相 に充 填 し,気 密 シ ー ル し た 後,高 圧 容 器 内 の 圧 力 媒 体 中(水 あ る

対 的 に ブ イラー粒 子 の粗 い 製鋼 用 黒鉛 電 極,ア ル ミニ ウム 製錬 用 い は 油)に 入 れ,常 温 で 約100∼200MPaで 加 圧 す る 。 こ の と き,

電極 や ブ イラー粒 子 の細 か い電 解 用電 極 他 ヒー ター材,各 種 治具 圧 力 媒 体 を通 し あ ら ゆ る 方 向 か ら ケ ー ス に均 一 な 圧 力 を加 え る

な ど大 型 成 形 材 か ら切 り出 して 製 品 化 す る もの な ど量 産 に適 し 用 語 の 説明(カ ーボ ン用語 辞典,ア グネ承風 社 より抜粋)


て い る。 *混 ねつ(ね つ合 ともい う)→混ね り:ゴ ムお よびプラスチ ック材 料 に数種
の添加剤 を混ぜ 合 わせ る場 合,材 料 を加熱溶 融 させ る と同時 にせ ん断力
押 出 し成 形材 の 特性 は成 形 工 程 までで ほ とん ど決 ま る とい わ
を与 え,添加 剤 を材料 内部 に均 一 に分散 させ るこ とを混 ね りとい う。 こ
れ,特 に成形 性 は重 要 で コー クス種,粒 度配 合,バ イ ンダー量,成 形 れに対 し,材料 を溶 融 させ ないでその粒 子 間に添加 剤 を分散 させ ること
を混合 といい,混 ね りと区別 している。
温 度,押 出 し圧 力,押 出 し速 度 ノズ ル形状 な どに よ り影響 を受 け

•¬ Corresponding Author, E-mail:kuroda@se-c.co.jp (平 成17年11月8日 受 理,平 成17年12月19日 採 択)


(株)エ
スイーシー 京 都工 場 開発 部:〒620-0853京 都府 福知 山市長 田野町3丁 目26番 地
R&D Dept. Kyoto Factory, SEC Corporation: 3-26 Osadano-Cho, Fukuchiyama, Kyoto 620-0853, Japan

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炭 素TANSO 連載講座

図2 CIP成 形

図3  型 込 め成 形

こ とがで きるの で フ ィラー粒 子 は図2の よ うに ラ ンダム な方 向 に

な る。 この 方 法 で成 形 され た 製 品 は等 方 性 で,高 密 度,高 強度 の
特 徴 を示 し,CIP成 形 法 は大型 かつ緻 密 な材 料 を造 るの に適 して
い る。

2.3  型 込 め成 形 法 図4  製鋼 用 黒 鉛 電 極 の製 造 工程

型込 め成形 材 は混 ねつ 物 を一 定形 状 の 型 に詰 め て加 圧 し,所 定
の形 状 に成 形 され る。通 常 はCIP成 形 材 と同様 に粉砕,分 級 され, 形 した もの を,焼 成,黒 鉛 化 して製 造 す る。 製 造 法 の フ ロー と主

混 ね つ物 粉 を金 型 に入 れ て,約100MPaで 一 軸 方 向 に加 圧 す る。 要 機 器 の イ メ ージ を図4に 示 す。

したが って,フ ィ ラー粒 子 は図3の よう に加 圧 方 向 に垂 直 に配 向 3.1  原 料

す る ので,加 圧 方 向 に比 べ 垂 直 方 向 の ほ うが 強度,熱 伝 導 率 や ヤ 多 くの セ ラ ミックス が 自己焼 結 性 を もつ の に対 し,製鋼 用 黒鉛


ング率 は高 く,電気 比 抵 抗 や熱 膨 張係 数 は低 くな る。 この成 形 方 電 極 の主 要 原 料 で ある 「か焼 コー クス」はそれ 自身で焼 結 せ ず,バ

法 で は製 品の 大 き さに制 限 が あ り,ま た,圧 力 が 中心 まで伝 わ り イ ンダー を用 い て賦 形 化 す る必 要 があ る。

に くい難点 はあ る ものの,CIP製 品が 開発 され る までは,緻 密材 の フィ ラー と して の コー クスは,石 油系 では石 油 重 質油 の,石 炭 系

主 流 をな して いた 。 で は コ ール ター ル ピ ッチ の高 温(約500℃)熱 分 解 に よっ て得 ら

2.4  その他 の成 形 法 れ,デ ィレ ー ドコ ー カー に よって コー クス化 され る。 原 料油 中 の

型 に混 ねつ物 を装 入 して上 面 に重錘 を乗 せ,型 枠 に振 動 を加 え, アス フ ァル テ ンな どの重 質 分 の調節 や操 業 条 件 の コ ン トロール に

混 ね つ 物 の 充填 を図 り成 形 体 とす る 一種 の型 込 め成 形 法 で あ る よ り流動 縞 模 様 の よ く発 達 した結 晶 性 の よい針状 コー クスや塊 状

振 動 成 形 法 や その他,ラ ンマ ー(ス タンプ)成 形 法 が あ る。 コー クスが得 られ る。 この生 コー クス には10%程 度 の揮発 分 が含

まれ てお り,1200∼1400℃ で か焼 され るが,800℃ まで加 熱 す る


3. 製 造 方 法 とほ とん どの揮 発 分 を失 い,同 時 に収 縮 す る。 コー クス の外 観 を

製鋼 用 黒 鉛 電 極 は コー ク スで あ る フ ィ ラ ー に コー ル ター ル ピ 写 真2に 示 す 。 製鋼 用 大型 黒 鉛電 極 には針状 コー クス の採 用 は必

ッチ をバ イ ンダー と して加 え,混 ねつ の後,所 定 の寸 法,形 状 に成 須 であ り,コー クス特性 として,か さ比重,真 比 重,熱 膨張係 数 灰分,

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人造黒鉛電極 2006 [No.221]
針 状 コ ークス 塊 状 コー クス

(a) 
外観

図5  ダ ブ ル ロ ー ル ク ラ ッ シ ャー

(b) 
顕 微鏡写 真

写 真2  コー クス の外 観 お よび顕微 鏡 写真

黒 鉛 化性 な どは品 質設 計 を行 う うえで重 要 な尺 度 とな る。
一 方 バ イン ダー用 ピ ッチ は
,粗 ター ルの蒸 留 残 さ と して得 られ,
適 当 な軟 化 点(90∼110℃)を もち,炭 素 化収 率 が 高 く,結 合成 分
(βレジ ン)の 多 い ものが 適 して いる。 また,焼 成 品 な どへ の含 浸
用 ピ ッチは微 細 気 孔 に十分 に浸透 させ る必 要 が あ るた め,バ イ ン
ダー用 ピッチ に タール を添 加 して軟化 点 を低 くした り,浸 透 を阻害

す るQI(キ ノ リ ン不 溶)成 分 を きわめ て微 量 に コ ン トロー ル した


含浸 用 ピ ッチが 使 用 され る。
図6  ロ ー ラ ー ミ ル に よ る 粉 砕 系
この ほか,特 に針 状 コー ク スの 使 用 に お い て ,黒 鉛 化 過 程 の
1600℃ 以上 で起 こ るパ ッフ ィ ング と呼 ばれ る特 異 な膨 張現 象 を

抑 制 す る ため,フ ィラ ー配合 時 に微 量(1%程 度)の 酸化 鉄 を添 加


す る こ とが あ る。
3.2  粉砕,分 級

入 荷 した原 料 コー クス はサ イロな どに貯 蔵 の 後,必 要 に応 じて


切 出 され,直 接 飾 い分 け(振 動 含
制 機 あ るい は粉 砕 機 へ 搬 送 され
る。粒 は お よそ20mmか ら0.2mmの 間 で所 定 の粒 度 範 囲 を もつ

粗 粒,中 粒,細 粒 に節 い分 け られ る。
粉砕 は微 粒 用 と微 粉砕 用 に区 分 され,前 者 は ハ ンマ ー ク ラ ッシ
ャー,ロ ール ク ラ ッシ ャーや ダブル ロー ル ク ラ ッシ ャー(図5)が ,

後 者 は ロ ー ラー ミル(図6)や チ ュ ー ブボ ー ル ミル な どが使 用 さ
れ,分 級 に は各種 の風 力 分級 機 が使 用 され る。 この工 程 で は特 に 図7  ニ ー ダ ー(混 ね つ 機)の 例 。(こ の タ イ プ の ニ ー ダ ー で は2
本 の ブ レ ー ド(羽 根)相 互 間 お よ び ブ レ ー ド と胴 体 問 に 生
微 粉 粒 度 の管 理 が重 要 で あ る。調 整 され た粒 や微 粉 は ビ ン(タ ン
じる せ ん 断 力 に よ っ て 混 ね つ さ れ る 。 羽 根 の 形 状 と して は
ク)に 搬 送,貯 蔵 され る。
Σ型 やZ型 な どが あ り,容 量 と して は,1000∼4000L程 度で
3.3  配 合 あ る 。)
要 求 品 質特 性 に も とつ い て粒 度配 合 が 決 め られ て いる ので,各
種 粒 度 に調 整 され た コー クスは所 定 量 が ビ ンか ら切 り出 され る。 し成 形 の 場 合 の ピ ッチ 量 は,吸 油 量 な どで 求 め ら れ る 値 よ り少 な
た とえ ば,大 型 製 鋼 用 黒 鉛 電 極 の場 合 は,バ イ ン ダーか らの揮 発 め で,フ ィ ラ ー 粒 子 を お お む ね 濡 ら し,成 形 時 の 流 動 性 が 確 保 で

分 が 系 外 へ 放 出 され る の を容 易 にす る た め に も粗 い(10mm以 き る 程 度 を 目 安 と し て い る 。 製 鋼 用 黒 鉛 電 極 の 場 合,コ ー ク ス
上)粒 子 とフ ィラ ーの充 填 密 度 を考 慮 して 中粒 子 ,微 粒子 や数 十 100に 対 して ピ ッ チ は20∼30程 度 であ る。
ミク ロ ンの微粉 が配 合 され る。 3.4  混 ね つ
バ イ ンダー と しての ピッチの量 は コー ク スの種 類 や粒 度 配 合 に 配 合 さ れ た フ ィ ラ ー は,乾 燥 の 後,加 熱 式 混 ね つ 機(図7)に 投
応 じて調 整 し,粒度 が細 かい ほ ど多 くの ピ ッチが必 要 となる。押 出 入 さ れ,よ く混 合 さ れ る 。 つ い で ピ ッ チ が 投 入 さ れ,加 熱 下 で混

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炭 素TANSO 連載講座

ね つ され る。 混 ね つ機 に は羽根 の 形 か ら,ワ ーナ ー型,リ ボ ン型,


パ ドル型 な どが あ る。 混 ね つ工 程 で は フ ィ ラー のバ イ ン ダー に

よる濡 れ,成 形 に適 す る可 塑 性 を考 慮 し,焼 成 工 程 で放 出す る揮


発 分 の 量 を調 節 す る ため に適 当 な混 ね つ 温 度 と混 ねつ 時 間 が 設
定 され る。混 ねつ 温 度 は150℃ 前 後 で あ る。練 りこみが 進 み,混
ねつが終 了す る と,混 ねつ物(ペ ース ト)は冷却 機 に移 され,成 形 に
適 す る温 度(100∼130℃)ま で冷 却 され る。
3.5  成 形
冷 却 され た混 ね つ 物 は成 形 可 能 となる よ うに あ らか じめ押 出
しプ レス シ リ ンダ ー径 に見 合 う形 状(予 圧 玉 ともい う)に 成形 の
後 プ レス コ ンテ ナ ー に装 着 され る。 成 形 圧 力 は所 定 の ノズ ル か 写 真3  リ ー ドハ ン マ ー 炉 を上 か ら撮 っ た 写 真

ら押 出 され,せ いぜ い10MPa程 度 で あ る。 ノズ ルか ら押 出 され た
成形 体 は シ ャワー水 や ポ ン ド中で所 定 の温度 まで冷 却 され る。押
出 し成 形 におけ る成 形 体 の流 動性 は,ノ ズル形 状,ピ ッチ量,成 形
速 度,成 形 体 の温 度 な どに支 配 され る。 なお,ノ ズ ル形 状 は成形
工 程 に とって大 変 重 要 で あ り,絞 り部 の 流 入 角 度 お よび形 状,先

端 の平 行 部 の長 さな ど経 験 に基づ い て,製 造 メ ー カー独 自の技術


で決 め られ てい る。 シ リンダー内の混 ねつ物 は,ノ ズル流 入部 に入
る に従 い ノズル壁 面か ら受 ける圧力 に よ り,混ねつ物 め 間 に存 在 し
てい た空 隙 な どの欠 陥 は次 第 に少 な くな る と と もに,フ ィラー粒

子 は(特 に針状 コー クスで は)先 の図1の よ うに押 出 し方 向へ 配


(リ ー ドハ ン マ ー 炉 配 置 図)
向 す る。成 形 体 で は,一 般 に外 周部 に比べ 中心 部 の ほ うが か さ密
度 が低 い傾 向が あ り,大径 に なる ほ どその傾 向 は強 い。 成 形 品 は
生(グ リー ン)電 極 と も呼 ばれ,こ の 品 質 の で きば えが 最 終 製 品
の品 質 を決 め る とい っ て も過 言 で は ない。
3.6  焼 成

成 形 品 は,焼 成 と呼 ば れ る700∼1000℃ の熱 処 理 工 程 を経 て
熱 的安 定 性 と機 械 的 強 度 が付 与 され る。 製 鋼 用 黒鉛 電極 の骨 格
をつ くる意味 で大 切 な工 程 で あ る 。昇 温 は重 油 や ガス燃 焼 に よ
って行 わ れ,成 形 体 の 変形 や 酸 化 を防 ぐた め,コ ー ク ス粒子 や け
い砂 な どの詰 粉 で 周 りを囲 む。 成形 体 は昇 温 初 期 に軟 化 し,200
∼500℃ でバ イ ンダ ー ピ ッチ の熱 分解,重 縮 合 に よる多 量 の 分解

ガス を放 出 し,同 時 に体積 収 縮 を起 こす 。500∼600℃ で 炭 素化


しそれ 以上 の温 度 で は単 調 に収 縮 す る。 したが って,大 型 の成形

体 にな るほ ど,成 形 体 の 中心 部 か ら表 面 まで の揮 発 分 の輸 送 距離 図8  リー ドハ ンマ ー炉

が 長 く,気孔 の表 面 近 くで の気 孔 が 詰 まって,系 外 へ の ガ ス放 出
が 妨 げ られ る,成 形 体 中 の温度 分 布 が必 ず し も一 様 で は な く焼 成 焼 室 に重油 あ るい は可燃 性 ガス を天 井 か ら吹 き込 ん で,冷 却 ゾ ー

中 の膨 張,収 縮挙 動 にず れが あ るな どの理 由で 成形 体 中 に亀 裂 や ンか らの空気 によって生 成 され,上 部 か ら下部 に空孔 カセ ッ トレ ン

組 織 の不 整 を生 じや す い。 この た め寸 法 変 化 の起 こ りや す い温 ガを通 して炉 全体 に均 一 に流 れ る ように工夫 が な され てい る。 成

度領 域 で は成形 体 中 に生 じる温度 差 を極 力 小 さ くし,生産 性 も考 形 品 は,れ んが,充 填 コー クス な ど を通 して 間接 的 に加 熱 され る。

慮 して300∼500℃ で は1∼2℃/時 間の昇 温 速 度 で焼 成 され る。 燃 焼 ガス を隣 り合 った次 の炉 の予 熱 に利 用 す る もの で 熱効 率 が

焼 成工 程 は冷 却 に も長 時 間 要す る ので,成 形 品 の炉 詰 か ら炉 出 よ く,生産性 に も優 れ てい る。

しまで の焼 成 サ イ クル は1カ 月以 上 に も及 ぶ場 合 が あ る。 3.7  ピ ッチ含 浸,再 焼 成

焼 成炉 に は,リ ー ドハ ンマ ー炉 と呼 ばれ る連 続 式 の もの,単 独 焼 成工 程 で バ イ ン ダーか らそ の質量 の35∼45%が 揮発分 とし

炉 や シ ャ トル炉 が あ る。 最 も多 く使 用 され てい る リー ドハ ンマ て失 われ,焼 成 品 に は多量 の気孔(15∼25%)が 生 じる。 気孔 は,


ー炉 は写真3 ,図8に 示 した ように,複 数 の炉(例 えば20炉)が リン (1)原料 コー クス 中 に当 初 よ り存 在 した気 孔,(2)バイ ン ダー相 に揮

グ状 に,連 続 的 に 配置 され,1炉 内 は さ らに空 孔 カセ ッ トレンガ に 発 分 の逸 出 でで きた気 孔,(3)フ ィラー とバ イ ンダー コー クスの焼

よ り3∼5サ ガ ー(鞘)に 分 か れ て い る。燃 焼 ガス は燃 焼 炉 の燃 成 中 の収 縮 挙 動 の 違 い で両 者 の境 界 面 に生 じた微 細 な気孔 か ら

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人造黒鉛電極 2006 [No.221]

な って いる。 こ う した気孔 構造 が製 鋼用 黒 鉛 電極 の電 気 的,熱 的, 処 理 物 の 酸化 防止 の た めパ ッキ ング コー クスで覆 い,電 流 を流 し


機 械 的 性 質,酸 素 との 反応 性,耐 熱 衝 撃性 な どに大 きな影 響 を も て焼 成 品 間の パ ッキ ング コー ク ス部 分 か らの発 熱 で 間接 的 に加
つ 。 この た め3.1に 記 した よ う な コー ル ター ル ピ ッチ を含 浸 し, 熱 す るアチ ソ ン炉(AG炉)と,十 数 本(20∼50ト ン)の 焼 成 品 を
再 焼 成 して,気 孔 率 を減 少 させ,各 種 特 性 の改 善 が 行 われ る。 直 列 に ター ミナ ル電 極 間 に並 べ,こ れ に通 電 して電極 自 身の抵 抗
含 浸 は,オ ー トク レー プ中 に,よ く乾 燥 され た焼 成 品 をい れ,減 で発 熱 す るLWG炉(直 接 通 電 黒鉛 化 炉)が あ る。 いず れ の タ イ
圧 下 で 脱気 した後,溶 融 ピ ッチ を注 入 し,お よそ200℃ に て1MPa プの炉 も処 理温 度 が高 く,冷却 時 間 は加熱 時 間 に比 較 して かな り
程 度 の ガス圧 で気 孔 に圧 入 して行 われ る。 含 浸 品 は再 焼 成 して の 長 時 間 を要す るため,炉 は1炉 ご とのバ ッチ操 業 となっ ている。
含浸 ピ ッチ部 分が 炭素化 されるが すで に骨格 がで きあが って いる 一 方 ,炉 に電 力 を供給 す る電 源 設備 は稼働 率 を上 げ るため 電動 台

の で3.6の 焼 成 の ような細 かい 配慮 は必 要 で な く,ト ンネ ルキ ル 車 に搭 載 され,計 画 され た炉 の位 置 まで レール上 を 自走 し,電 力


ンや カーボ トムキ ル ンな どが あ る。 含浸,再 焼 成 は必 要 に応 じて繰 を給 電 す る よう にな ってい る。 図10にAG炉 を,写 真4,図11に
り返 す が効 果 は順 次 減少 す る。 LWG炉 を示 す 。
3.8  黒 鉛 化 AG炉 は以前 か ら使 用 されて きたが 加 熱時 間が長 くて(2∼3日)
黒鉛 化 工程 は,焼 成 品(再 焼 成 品 を含 む)を2000∼3000℃ に 蓄 熱量 が大 きい た め,熱 効 率 の 改善 が 必 要 で あ ったが,こ れ を克
熱 処 理 して黒 鉛 結 晶 を成 長 させ,各 種 特 性 を 向上 させ る もの で あ 服 した のがLWG炉 で あ る。LWG炉 はパ ッキ ング コー クスが少
る。 結 晶成 長 の イ メー ジ を図94)に 示 す。 この黒 鉛 化処 理 を工 業 な い ため,蓄 熱 量 が大 幅 に削 減 で き,加 熱 時 間 の大 幅 な短 縮 によ
的 に行 うに は,多 量 の エ ネル ギ ー,労 力 を必 要 とす るの で,そ の対 り,エネルギ ー消 費量 削減(20∼30%)を 実現 して いる。 なお操業
策 にい ろ いろ な技 術 的工 夫 が な され てい る。 サ イ クル(焼 成 品 の炉 詰 か ら黒 鉛 化 品 の炉 出 まで)と して はAG
製 鋼 用 黒 鉛 電 極 で は抵 抗 加 熱 方 式 が採 用 され てい る。 抵 抗 加 炉 で20∼30日,LWG炉 で8日(通 電 時 間 は10時 間 ∼ 最 大 で も
熱 方 式 で は,焼 成 品(50∼100ト ン)を 炉 に詰 め,周 囲 を断 熱 と被 2日)程 度 で あ る。

写 真4 LWG炉 を上 か ら撮 っ た写 真

図9  結 晶成 長 図

図10  ア チ ソ ン炉 図11 LWG炉

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炭 素TANSO 連載講座

表1  工 程 間 の体 積 質量 お よびか さ比 重 の 変化

電 極 本 体(ポ ー ル) 継 手(ニ ップ ル)

写真5  製品外観写真

製鋼用黒鉛電極 一般加工用押 出 し材 高密度等方性 炭素材

写真6  各種 人造黒鉛材料 の微細組織

3.9  加 工 および 検 査 表2  各種人造黒鉛材料 の代 表特性例


製 鋼用 黒 鉛 電極 は,JIS規 格,IEC規 格 な どに基 づ いて機 械 加 工
され てい る。黒 鉛 化 品 は金 属 に比 べ て軟 らか く,通常 の切 削 工 具
で十分 加 工 可能 で あ る。 特性 検 査 に関 して は,工 程 内 中間検 査 や

最 終検 査 で,目 視 に よる外 観 か さ比重,電 気比 抵抗,ヤ ング率 な ど


が,黒 鉛 化 品か らテ ス トピー スが切 り出 され,機 械 的 強 度 や熱 膨

張係 数 な どが測 定 され る。 製 品 寸 法 につ い て は,外 寸,ね じ精 度


な どが測 定 され る。 製 品 の外 観 を写 真5に 示 す。

4. 構 造 と特 性
*200∼400℃
以 上,製 鋼 用 黒 鉛 電 極 製 法 の要 点 を述 べ た。 こ こで,成 形 品が //:押 出 し方向 ⊥:押 出 し方向 に垂直
黒 鉛 化 品 にいた る まで に構 造 は変化 す るが,そ の変 化 の現 れ の例
と して,工 程 間 の マ クロの体 積 質 量 お よび か さ比 重 の 変化 状 況 電 解用 電極 や発 熱 体 お よび冶 金 用 な どの一 般 加 工 材 に用 い ら

例 を表1に 示す 。 れ る押 出 し材 は,耐 熱 衝撃 性,耐 酸 化性,耐 摩 耗性,機 械 的強 度 な ど

製鋼 用黒 鉛 電極 とその他 の人造 黒 鉛材 料 の 特性 は,原 料 の種 類 使 用 目的 に よ りさま ざ まな特 性 が 要 求 され る。 こ の ため使 用 コ


ー クス も針 状 コー クス か らや や 黒 鉛 化性 に劣 る塊 状 コー クス ま
や製 造 条件 に よっ て著 し く異 なる ので,参 考 まで に紹 介 す る。
写 真6お よび表2は,人 造黒 鉛 材 料 の 中 で最 も代 表 的 な製鋼 用 で 幅 広 い コー クス が 用 い られ る。 一般 的 に製 鋼 用 黒 鉛 電 極 に比

黒 鉛 電極,一般 加 工 用 押 出 し材 料,高 密度 等 方 性材 料(二 元 系)に べ,細 粒 や 微 粉 を多 く用 い る ため,組 織 は か な り緻 密 で気 孔 径 も

つい て,そ の微 細 組 織 と代 表特 性 の一例 を示 す5)。製鋼用 黒鉛 電極 小 さ く,機 械 的 強度 は高 い。


は,そ の使 用 条 件 が,電 気 的,熱 的,機 械 的 に非常 に過 酷 であ り,耐 高 密 度等 方性 材 料 は,緻 密 で気 孔 の小 さな等 方性 の組 織 で,押

熱衝 撃 性 に優 れ た 品 質が 要 求 され るため,流 れ構 造 の よ く発 達 し 出 し黒 鉛材 に比 べ,高 密 度,高 強度,高 硬度 とな り,異方性 が ほ とん

た針状 コークスが 用 い られる。組織 は写 真 の示す とお り粗 く,コー どみ られ な いの が特 徴 で あ る。

クス粒 子 内,粒 子 間 に か な り大 きな気孔 が存 在 す る。 この気 孔 の


5. 用 途
存 在 は熱膨 張 を吸 収 し,熱衝 撃 を緩 和 す る性 質 が あ る。物 性 面 で
も特 に電気 比 抵 抗,熱 膨 張係 数 が きわ め て低 く,ほ か の人 造 黒 鉛 人造 黒 鉛 電 極 の用 途 の うち,製 鋼 用 黒 鉛 電極,ア ル ミニ ウム電

材 に比べ 高 い耐 熱 衝 撃 性 を示 す。 また,押 出 し成 形 に よ りコー ク 解 製 錬 用 電極 お よび その他 の電 解 用電 極 を紹 介 す る。


ス粒 子 は成 形 方 向 に配 向す る ため高 い異 方 性 を示 し,垂 直方 向 に 5.1  電 気 製鋼 用黒 鉛 電 極

比べ 成 形 方 向 の電 気 比 抵 抗 や熱 膨 張係 数 は低 くな る。 電 気 製 鋼 炉 とは,電 極 と鉄 ス クラ ップ との 問 にア ー ク を とば し

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人造黒鉛電極 2006 [No.221]

その 熱 を利 用 して溶 解,精 錬 す る炉 で,そ の電極 と して 人 造 黒鉛 くケー スが あ るので,耐熱 衝撃 性 に優れ た品質 が要求 される。耐 熱
材 料 が使 用 され,押 出 し成 形 品 の代 表 的 製 品 となっ てい る。 衝撃 性 ではセ ラ ミックスで よ く用 い られ る指 数(強 度 ・熱伝 導率/
写 真7,図12に 従 来 か らあ る三相 交流 アー ク炉,写 真8,図13に ヤ ン グ率 ・熱膨 張係 数)が あ るが,実 炉 での使 用 成 績 とは必 ず し
最 近 開発 され普 及 しつ つあ る直 流 アー ク炉 の構 造 モ デ ル を示す 。 も一 致せ ず,適 当 な指 標 を求 めて 各種 の熱 衝 撃試 験 が 行 われ てい
炉 の大 型 化 や直 流 炉 の導 入 な どに よ り電 極 も太 い サ イズ を使 用 る6)の。耐 熱衝撃性 か らは,適度 な密度 と強度 を有 し,熱膨張係数 が

す る傾 向 とな り,ま た,生 産性 を高 め る た め高負 荷操 業 が 行 わ れ 低 く,熱伝 導率 の高 い材 質が 要求 されるので,サ イズ の大 きい電 極


る ので,電 極 に とっ ては ます ます 過酷 な条 件 下 で の使 用 となる。 では針状 コー クスが使 用 され る。 また,先 端消耗 以外 に側 面の酸 化

電極 の先端 で は アー クの温 度 が3000℃ 以上 の高 温 となる ので, に よる消 耗 も電極 原単位 に大 き く影 響す るので,か さ密 度 を高 く し


先 端 部 付 近 で は黒 鉛 の昇 華 や熱 衝 撃破 壊 に よ る欠落 が発 生 す る。 た り,耐酸 化 剤 を使 用 して抑制 して い る。 今 後 も耐 熱衝 撃 と耐 酸

特 に熱 衝撃 破壊 が 大 きい場 合,長 尺で折損 す るな どの トラ ブルを招 化 消耗 の両面 で,一 層 の改 善が 求め られ るであ ろ う。

写 真8  直 流 ア ー ク炉 の外 観
写 真7  三 相 交 流 ア ー ク炉 作 動 時 の様 子

図12  三 相 交 流 ア ー ク炉 図13  直 流 ア ー ク炉

図14  ア ル ミニ ウ ム 電 解 炉

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炭 素TANSO 連載講座

5.2  アル ミニ ウム電 解 製錬 用 電 極 形 体 が 成形 で きる小 型 の押 出 しプ レスが 好 ま しい 。

アル ミニ ウムの製 錬 は以前 国 内で も盛 ん に行 われ てい たが,第1 10kg/バ ッチ程 度 の ペ ー ス トが混 ねつ 可 能 なニ ー ダーが 好 都

次 オ イルシ ョックを境 に減 少 し,現在で はほ とん ど電 力 費の安 い海 合 であ る。 なお,節 分 や 粉砕 機 な どは汎 用 の試 験 機器 が その まま

外 で な され てい る 。 また,最 近 の電 解炉 の傾 向 と して は大型 化 と 使 用 で きるの で メー カ ー に相 談 す れ ば よい。

自動 化 に よ り操 業 の安 定 と環 境 改 善 が計 られ てい る。図14に 電 当然 の こ とだが,ニ ー ダーの缶 体や 成形機 の シ リン ダー部 お よび


ノズ ル部 は電 熱 で160℃ 位 まで加 熱 で きる こ とが大 切 であ る。
解 炉 の構 造 モ デ ル の 一例 を示 す 。 原 料 で あ る アル ミナ を電 解 浴
バ イ ンダー ピ ッチ は,実機 では溶融 ピッチ を使用 す るが ラボでは
中 に連 続 的 に投 入 し,10万 ∼30万 ア ンペ ア の電 流 を流 して電 気
分解 に よ りアル ミニ ウム を製 造 す る。 陽極,陰 極 は 炭素 材 が使 用 固 形 ピッチ を使 うほ うが 設備 が 大掛 か りにな らず にす む。溶 融 ピ

され る。 陽 極 は炭 素 質 の ブ ロ ック また は 自焼 式 の ペ ー ス トで 製 ッチ を冷却 した ままの状態 で 入手 した場合 は,ハ ンマ ー な どで容 易

錬 メー カ ー にて 自家 製 造 され てい る。 陰 極 は炭 素 質 ま た は黒鉛 に破 砕 で きるの で,計 量 しやすい ようにあ らか じめ調 整 して お く。


フ ィラー コー クスの 乾燥 は重 要 で あ り,乾 燥 機 が 必 要 だが,こ
質 ブ ロ ッ クで,溶 融 メ タルの流 動 に よる物 理 的 な損 耗 と電 解 浴 中
の ナ トリウム な どの侵 入や 反 応 に起 因 す る膨 潤 や 化 学 的 な損 耗 れが な い場 合 は ニー ダー 内 で混 合,混 ねつ前 に乾燥 す れ ば よい。

に よ り寿 命 が左 右 され る8)-11)。陰極 は無煙 炭,コ ー クス,黒 鉛 を バ イ ンダー ピ ッチ量 の 設定 はフ ィラー コー クス の吸 油量 の 測定

ベ ー ス と した押 出 し成 形 品 で炭 素 質が 一般 的 であ るが,最 近熱 伝 な どに よ り,お よその 目途 をた て,混 ねつ 時 の ペ ー ス トの状 態 を

導 や電 気 比 抵抗 が 良好 で膨 潤 の 少 ない黒 鉛 化 タイ プが,ラ イ フと 目視 で 確認 し,実際 に成形 して成 形 性 の 良否 によ って最 終 決 定 す

イニ シ ャル コス トとの兼 ね 合 いか ら徐 々 にその使 用 量 を伸 ば して る。 また,最 適 な成形 体 を得 る には,粒 度配 合,混 ねつ 条件,成 形 条

い る。 件 な ど多 くの要 因 が 関係 し一義 的 には決 ま らない ので,最 初 は試

5.3  その他 の 電解 用電 極 行 錯誤 に よ り条 件 を見 出す 必 要 が ある。

水 溶 液 電解 の代 表 で あ る電 解 ソー ダ工 業 で は,水 銀 法 か ら隔 膜 6.3  焼 成 お よび ピ ッチ含 浸

法へ の転換 を経 て,現 在主流 の イオ ン交換 膜法へ と移 行 し,一方,高 1000℃ まで可能 な,汎用の温 度 コ ン トロー ル付電 気焼 成炉 を使用

性 能金 属 電極 の開 発,採 用 に よ り,黒鉛 電極(電 解 板)の 使 用 量 は す るか,テ ス ト規模 に もよるが,処 理 量 が多 か っ た り,ま た時 間 的

激 減 したが,二 酸 化 マ ンガ ン製 造,ア ル ミサ ッシの 表 面 処理 や ア 制約 が あ ま りな い と きは,ス テ ン レスSUSケ ース 内 のパ ッキ ン グ

ル ミコ ンデ ンサ ー用 の エ ッチ ング処 理 な どに使 用 され てい る。 コー クス に埋 め込 んで,SUSケ ー ス と実機 品 とを相 詰 して リー ド


ハ ンマ ー炉 で焼 成 す る。 ラボ機 焼 成処 理 品 は実機 品 と比 較 して炭
また,マ グ ネシ ウム,ナ トリ ウムや レア ア ー ス な どの 溶融 塩 電

解 用 に使 用 されて い る。 黒 鉛 電 極 が陽 極 と して使 用 され る場 合, 化 歩留 が小 さい のでか さ比 重 も小 さ くな る。 ピ ッチ 含浸 は実 験 用

陽極 酸 化 を受 け た り,電 解 浴 との反 応 に よ り,炭 化 物 や黒 鉛 層 間 小 型 オー トク レー プで,あ るい は実 機 で 製品 と相詰 処 理 す る こ と

化合 物 を形 成 した りす る ので,使 用状 況 に合 わせ た材 質(か さ比 もで きる。

重,強 度,黒 鉛 化 度 な ど)の 選択 が 必 要 となる。(フ ッ素 電 解 に は, 6.4  黒 鉛化

もっ ぱ ら炭 素 質電 極 が使 用 され る。) 汎用 の黒鉛 化 炉 は市 販 され て いな いの で,炉 メ ー カー に特 注 す


るか 自作 す る こ とにな る。
6. 実 験 また,最 新 の 炭 素材 料 実 験 技術(物 性 ・材 料評 価 編)第17章 に

以 上 生 産 に よる製 鋼 用 黒 鉛 電極 の製 造 方 法 を中 心 に概 説 した は管状 タイ プの黒鉛化 炉 につ いて詳 しく解説 されて いるの で,こ れ

が,ラ ボで実 験 す る場 合 の 要 領 を述 べ る。 を参照 いた だ きた い。

6.1  全 体 電 極 メー カーで は ラボ 機 の利 用 以外,例 え ば黒 鉛 るつ ぼ内 のパ

実 験 の 目的や 規 模 に よって ラボ設 備 の ス ケー ル は決 まるが,経 ッキ ン グ コー クス に焼 成 品数 本 を埋 め込 ん で実 機 製 品 と相 詰 黒

験 的 には次 の よう な考 え方 で準 備 す れ ば よい と思 われ る。 鉛 化 をす る場 合 もあ る。

実 験 の 目的 と して は,新 規原 料(コ ー ク ス,ピ ッチ)採 用 に あ た


文 献
って製 造 条件 の変 更 が 必 要 か どうか,製 造 条件 変 更 に よって,製
1) 稲 垣 道 夫, ニ ュ ー カ ー ボ ン, 冬 樹 社 (1990).
品 の諸 特性 が どの よ うに変化 す るか な ど,あ るい は い きな り実 機
2) 山 田 恵 彦, カ ー ボ ン材 料 応 用 技 術, 日刊 工 業 新 聞 社 (1992).
設 備 で確 認 で きな い と きは ラボ機 に よっ て実験 す る必 要 が あ る。 3)新 ・炭 素 材 料 入 門 炭 素 材 料 学 会.

成 形 体 の寸 法 を決 め,こ れ を熱処 理 す る,焼 成 炉 や 黒 鉛 化炉 設 4) H. Marsh and J. Griffiths, Int. Symp. on Carbon, Toyohashi, Japan,

備 の諸 元 を決 めれ ば よい。 p.81 (1982).


5) エ ス イ ー シ ー カ タ ロ グ.
実 験 条 件 につ い て は実 機 の条 件 が そ の まま適 用 で きる こ とは
6) 佐 藤 千 之 助, 淡 路 英 夫, TANSO1982 [No.108] 9-20.
少 な く,ラボ機 に適 合 す る条件 を探 る必 要が あ る こ とに注 意 しな 7) 松 尾 寛 二, 炭 素 材 の 高 品 質 化 に 関 す る 研 究, 大 阪 工 業 技 術 研 究 所

け れば な らない 。 (1983).
8) 望 月 文 男, TANSO1970 [No.61] 69-75.
6.2  成 形 体 の製 作
9) 特 公 昭49-41006.
押 出 し方 向 だ け で な く,垂 直 方 向 の テ ス トピー ス を採 取 測 定
10) 高 尾 順 三, 高 橋 洋 一, 向 坊 隆, TANSO1979 [No.97] 61-65.
す る必 要が あ る とき も考 慮す る と,少 な くと も70mmφ ×150Lの 成 11) 辰 巳 国 昭, 尾 崎 千 尋, Light Metals64 (1992) 759.

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