補 綴 誌,J JPn Prosthodont Soc, 31: 1405∼1412, 1987.

可視 光線 重 合型 床 用 レジ ンの基 礎的研 究
―第7報 試 作 リラ イ ニ ン グ材 の 物 性 お よ び 適 合 性 ―

石上 恵一 津久井淳人 白根 雅之 三浦 光子

前田 守隆 武 田 友孝 葛西 茂之 湯田 雅士*

安斉 碕**大 木 一三

Basic Studies on Visible Light-curing as a Denture Base

- Part 7 The physical properties and fitness on the trial relining material-

Keiichi Ishigami, Junji Tsukui, Masayuki Shirane, Mitsuko Miura,

Moritaka Maeda, Tomotaka Takeda, Shigeyuki Kasai,
Masashi Yuda*, Misaki Anzai** and Katsuzo Ohki

Abstract: With a view to clinically applying the Visible Light Curing Denture Base resin, the
authors have conducted a series of basic studies. As a result, it has been concluded that some
compositional improvements will be required of this resin because of such shortcomings as its
amine smell and bitter taste. The authors, therefore, trially produced Visible Light Curing Den-
ture Base resin by combining the monomers, sold on the market, in various ways. As for the
monomers used in this experiment, the authors produced a mixture by first adding to the monomer
sold on the market a combination of Cyclophosphazene monomer {4PN-(TF)2-(EMA)6} as a new
type of dental monomer, and then further adding the PMMA polymer and the filler.
In the course of the studies made this time, the authors also trially produced a compound
based on the composition of this resin. This compound, which possesses a large flow, was pro-
duced as relining material. A comparative study was then made of this compound and the Den-
tsply Triad VLC Direct Reline Material, which had recently been put on sale, with regard to the
physical properties and fitness.
As a result of such comparative studies, it was found that the trially-produced relining mate-
rial, as compared with the Triad, showed good values with regard to its mechanical property.
As to the fitness, no gap was observed between the palate and the cast in the deepest part of the
palatal cavity.

Key words: visible light curing denture base resin, cyclophosphazene monomer, triad VLC
direct reline material, trial relining material

日本大学歯学 部歯科補綴学教室局部床義歯学講座(主 任: Prof. Katsuzo Ohki)

大木一三教授) Dental Technician Training School, Nihon University
日本大学歯学部附属歯科技工専門学校 School of Dentistry
日本大学歯学部歯科理 工学教室(主 任:大 橋 正敬教授) Department of Dental Materials, Nihon University
Department of Removable Pantial Denture Prosthodo- School of Dentistry (Chief: Prof. Masayoshi Ohashi)
ntics, Nihon University School of Dentistry (Chief: 昭 和62年6月17日 受付

79―1405
 80―1406 補 綴 誌  31巻6号  (1987)

表1材 料

表2 P-Nの 組成

m+n=2∼30以 内

とい う操 作 性 を考 慮 す る と,さ らに低 粘 度 化 の方 が 良い
と思 われ る.ま た 本 レジ ンは,重 合 前 にア シ ン臭 や にが
味 を有 す る な どの難 点 もみ られ る.
そ こ で著 者 らは,こ れ らの難 点 の 解 決 と物 性 お よ び適

合 性 を検 討 す る 目的 で,市 販 の 種 々 モ ノマ ー につ い て探
索 し,可 視 光 線 重 合 型 レ ジ ンの 組成 物 につ い て 操作 性 お
よび 物 性 の面 よ り検 討 を行 うこ と と した.
まず,リ ラ イ ニ ン グ材 と して の 低 粘 度 を得 るた め の モ
ノマ ーは,安 斉 ら6)の 報 告 よ りシ ク ロ ホ ス フ ァゼ ンモ ノ
マ ー に市 販 の モ ノマ ー を 配 合 した もの7)を 用 い,低 粘 度
の リラ イ ニ ン グ材 を試 作 した.そ して,こ の 試 作 リライ
ニ ン グ材 と トライ ア ッ ド ・リライ ニ ン グ材 との 物性,す

な わ ち,曲 げ強 さ,た わ み 量,弾 性 率,吸 水 量,溶 解 量,

図1 P-Nの 構造 式
硬 さ,お よび 水 との 接 触 角 を測 定 し比 較 す る と と もに,
I.  緒 言 お のお の の場 合 につ い て模 型 との 適 合 性 に つ い て 比較 検

討 を行 った.

著 者 らは,こ れ まで デ ン ツプ ライ社 製 可視 光 線 重 合 型
床 用 レジ ンを臨 床 に応 用 す る こ とを 目的 と し,一 連 の基 II. 材 料 お よ び 方 法
礎 的研 究 を行 って きた1∼5).そ の結 果,基 礎 的 な物 性 は,

従 来 の加 熱 重 合 型 レジ ン と比較 し,ほ ぼ同 等 な も の と確 1.  材 料

認 され た. 実 験 に 使 用 した 材料 を表1に 示 し た.ま た,試 作 レジ

最 近,こ の 床 用 レジ ンに加 え て,同 社 よ りこの 型 の リ ン の組 成 を表2に 示 し,シ ク ロ ホ ス フ ァゼ ン モ ノ マー の

ラ イ ニ ン グ材 が 市 販 され た.こ の レジ ンは,同 社 の床 用 構 造 式 を図1に 示 した.な お 以 後,試 作 レ ジ ンをP-N

レジ ン に比 較 して粘 度 は わ ず か に低 い が,リ ラ イニ ン グ と略 す.
 可視光線重合型床用 レジンの基礎的研究(第7報) 81―1407

曲 げ,た わみ,弾 性 率 の 試 験

吸水および溶解試験

硬 さ試験
図2試 験体の寸法

2.方 法 ① 曲 げ試 験
1)試 料作製 ADA規 格No. 12に 準 じた.試 験 機 は,NMB社 製万

(1)物 性 試 験 能 試 験 機TCM-5000Aを 用 い,支 点 間 距 離50mmと し,

試 料 は,い ず れ も図2に 示 した形 状 お よび 寸 法 に仕 上 ク ロ スヘ ッ ドス ピー ド5.0mm/minで3点 曲 げ試 験 を

げた8,9).す な わ ち,曲 げ 強 さ は,65.0×10.0×2.5mm 行 った11).な お,同 時 に荷 重3.5お よび5.Okgで のたわ

の金型 を用 い,そ し て 吸 水 お よ び 溶 解 量 は,50.0φ × み量 を求 め,さ らに弾 性 率 を得 た.

0.5mmの 金型 を,硬 さ は10.0φ ×10.0mm,接 触角は ② 吸 水 お よ び溶 解 試 験

20.0×10.0×5.0mmの 金 型 を用 い,表 面 は アセ テ ー ト 吸 水 量 は,ADA規 格No. 12に 準 じて 行 った 。天秤 は,

フ ィル ム面 と した.そ れ ぞ れ の型 に レジ ン を填 入,重 合 Siber Seiko社 製 直 示 天 秤(Metter H10w)を 用 い秤量

し,試 料 を作 製 した. した.

試 料 の重 合 方 法 は,い ず れ も トラ イ ア ッ ドの メー カ ー 溶 解 量 は,ADA規 格No. 12に 準 じて,吸 水 量 の試 験

指示 と した.な お,試 料 は接 触 角 の試 験 片 を除 い て,い と同 様 の天 秤 を用 い秤 量 した.

ずれ も5個 ず つ 作 製 し,37° ±2℃,水 中 に て14日 間浸 ③ 硬 さ試験

漬,の ち測 定 した. 明 石 社 製 ロ ッ ク ウェ ル 硬 さ 試 験 機iSuperficial Hard-
(2)適 合 性 試験 nessTesterを 用 い,1/16イ ンチ の鋼 球 を用 い て,荷 重

試料 は,主 模型 と して ニ ッシ ン社 製N4-402台 付 の石 30wを30秒 間加 えて測 定 した.

こ う模 型 を用 い,顎 堤 吸 収 状 態 を想 定 し,No. 3の ラウ ④ 接 触 角 試験
ン ドバ ー を用 い て,歯 槽 堤 部 に ガ イ ドグル ー ブ を設 け, 試 料 は2個 と し,そ の 表 面 に0.05mlの 水 滴 を滴 下 し,
この ガイ ドグ ル ー ブ にそ って 模 型 を調 整 した の ち,こ れ 1分 後 に直読 ゴニ オ メ ー タ ー式 接 触 角 測 定 器(エ ル マ,
をシ リコー ン印象 材 で 印象 採 得 後,硬 質 石 こ うを用 い て G-1型)を 用 い て測 定 した.な お,測 定 は1試 料10カ 所

実験 用模 型 を作 製 した2,3).そ して,N4-402台 付 の 咬合 と し,計20ヵ 所 を 行 い,そ の平 均 値 を求 め た.

堤 をG-C社 製 レジ ン,ア ク ロン ・ク リア ー を用 い て重 (2)適 合性 試 験
合後,レ ジ ン床 粘 膜 面 にP-Nお よび トライ ア ッ ドの リ 埋 包 した 試料 を,マ ル トー カ ッターMC100(マ ル ト
ライ ニ ング材 で そ れ ぞ れ 裏 装 し,10kg10)で3分 間定加重 ー 社 製)を 用 い て ,左 右 ハ ミュ ラー ノッチ の 前 方10mm

試験機 を用 いて 加 圧 後,10分 間 光 重合 し超硬 質石 こ うで の歯 槽 頂 部,す な わ ち,上 顎 結 節 相 当部 を前 頭 断 し,オ

埋包 した.な お,試 料 は そ れ ぞ れ5個 ず つ と した。 リンパ ス 自動露 出顕 微 境 を用 い て(倍 率100倍),模 型と
2)測 定方法 レジ ン床 との 間隙 の大 き さ を測 定 した2,3).な お,測 定 部

(1)物 性 試験 位 は上 顎 結 節 相 当部 で左 側 をA,右 側 をBと し,ま たA

82―1408 補 綴 誌31巻6号(1987)

表3曲 げ試験

図3-1曲 げた わ み

図3-2曲 げ強 さ 図3-3弾 性率
 可視光線 重合型床用 レジ ンの基礎的研究(第7報) 83―1409

図4吸 水量(左),溶 解 量(右)

表4吸 水 および溶解試験

表5硬 さ試験

とBと を結 ん だ正 中線 の交 点 をCと し,そ れ ぞ れ各3点

図5ロ ック ウ ェ ル硬 さ
を5回 ず つ 測 定 し,そ の平 均 値 を求 めた.

104kg/cm2前 後 の値 を示 した.
III.結 果 ② 吸 水 お よび 溶 解 量
吸 水 お よ び溶 解 量 を表4に 示 し,同 表 か ら 図4を 得
1.物 性試験 た.

① 曲げ 強 さ,た わ み,弾 性 率 吸 水 量 は,P-Nは トラ イ ア ッ ドに 比 較 して 高 い値 を示

曲 げ強 さ と荷 重3.5お よび5.0kgで の 曲 げ た わ みお した が,溶 解 量 は逆 に低 い 値 を示 した.
よ び弾 性率 を表3に 示 し,同 表 か らそ れ ぞ れ 図3-1), 2) ③ 硬さ
お よび3)を 得 た. ロ ッ ク ウエ ル硬 さ を表5に 示 し,同 表 か ら 図5を 得

曲げ 強 さ は,P-Nの 場 合,ト ライ ア ッ ドに比 較 して 約 た.

20kg/cm2低 い 値 を示 した. ロ ッ ク ウエ ル硬 さ は,P-Nは トラ イ ア ッ ドに 比較 して

曲 げ た わみ は,P-Nの 場 合,荷 重3.5kgで0.90mm 非 常 に 大 きい値 を示 した.

を示 し,5.0kgで は1.50mmを 示 した が,ト ラ イ ア ッ ④ 接触 角
ドに比 較 して い ず れ の 荷 重 の 場 合 も低 い値 を示 した. 接 触 角 を表6に 示 し,同 表 か ら図6を 得 た.
弾 性 率 は,P-Nお よび トライ ア ッ ドの いず れ も3.30× 接 触 角 は,P-Nは トラ イ ア ッ ドに 比 較 して 非 常 に 大 き
 84―1410 補 綴 誌31巻6号(1987)

表6接 触角試験

表7適 合性試験

図7適 合性 試験(TRIAD)

図8 P-Nと 模 型 との 適 合 状 態
図6接 触角

い値 を示 した. 試 作 リラ イ ニ ン グ材 は 硬 さが トライ ア ッ ドの そ れ よ り非
常 に大 き く,逆 に た わ み 量 は3.5お よ び5.0kgの いず
2.適 合性試験 れ の場 合 も,わ ず か に 小 さい こ とが判 明 した.す な わ ち,

表7お よび 図7に 適 合 性 の成 績 を示 した. 試 作 リラ イ ニ ン グ材 は脆 性 を示 す もの と考 え られ た.こ

P-Nは,図8に 示 した よ うに上 部 の リラ イ ニ ン グ材 と の こ とは,P-Nモ ノマ ー に よ る効 果6,12,13)で,図1に 示

下 部 の石 こ う模 型 との 間 隙 が認 め られ ず測 定 不能 で あ っ した よ うに,モ ノマ ー の骨 格 がP-Nの 結 合 か らな り,
た が,ト ラ イ ア ッ ドの 場合 に は,ポ イ ン トA, Bで それ しか も環 状 化 合 物 で多 官 能 性 で あ る こ とか ら,従 来 か ら

ぞれ0.06お よび0.07mmの 間 隙 を 示 し,ポ イ ン トC 用 い られ て い るモ ノマ ー の主 鎖 ま たは 骨 格 が長 鎖 か らな

の 口蓋 部 では0.84mmの 間 隙 が 生 じた. るモ ノマ ー の場 合 に 比較 して,屈 曲性 に 乏 しい た め,た
わ み 量 が 小 さ くな る もの と考 え られ た.し か し,弾 性 率

IV.考 察 は トライ ア ッ ド ・リ ライ ニ ング材 とほ ぼ 同様 な値 を示 し

1.物 性について
実 験 結 果 か ら明 らか な よ うに,試 作 リライ ニ ン グ材 と
トラ イ ア ッ ド ・リライ ニ ング材 の機 械 的 性 質,す な わ ち,
曲 げ強 さ,た わ み 量,弾 性 率 お よび 硬 さ を比 較 す る と,
た こ とは,十 分 実 用 で き る もの と考 え られ た.ま た,吸
水 量 は,試 作 リラ イニ ン グ材 の 場 合,ト ラ イ ア ッ ドの そ
れ に比 較 して わ ず か に 大 きい 値 を示 した が,溶 解 量 は逆
に 小 さい こ とが 明 らか とな った.
一 般 に レジ ン の吸 水 お よび 溶 解 量13)は,比 較 的 大 き く,
 可視光線 重合型床用 レジンの基礎的研究(第7報) 85―1411

義 歯床1,14)の場 合,そ れ ぞ れ18.7∼29.4お よび0.4∼1.5 は トラ イ ア ッ ドの そ れ と比 較 して,粘 度 は 低 く,無 味,

μg/mm2と い ず れ も広 範 囲 で あ る が,通 常 吸 水 量 は,溶 無臭 で あ る.し か し,さ らに今 後,曲 げ 強 さお よび た わ

解 量が 多 い場 合,相 対 的 に 小 さい値 とな る. み 量 の増 大 と相 伴 って 吸 水 お よび 溶 解 量 を減 少 させ る た
いず れ に して も,試 作 リライ ニ ング材 は モ ノ マ ー と し め の検 討 が必 要 で あ る と考 え られ た.ま た,リ ライ ニ ン
て,図1に 示 した よ うに,吸 水 量 を低 下 させ る こ と を 目 グ材 の粘 度 と加 圧 下 で の フ ローお よび 模 型 との適 合 性 な

的 として13),疎 水 性基,ト リフル オ ロエ トキ シ基 を2個 どに つ い て検 討 す る余 地 が残 され て い る と思 われ る.

有 す るモ ノマ ー を使 用 した が,そ の効 果 に つ いて は 明確
で はな か った.す なわ ち,ト ライ ア ッ ド ・リラ イニ ン グ V.ま と め

材 に比 較 して吸 水 量 が 大 きな 値 を示 した原 因 は,溶 解 量(

が少 ない た め,み か け上 吸 水 量 が 大 き く現 れ た もの か,
または,モ ノマ ーお よびPMMAな どに よ る かは 明 らか
でなか った.し か し,溶 解 量 は 試作 リラ イ ニ ン グ材 の場
合,比 較 的 小 さい 値 を示 した こ とは,P-Nモ ノマ ー の分
子 量 が大 き く,さ らに水 に 不溶 性 で あ り,か つ多 官 能 性
で あるた め,高 度 に重 合 が 進 行 し,未 反 応 モ ノ マ ーが 少
ない ため で あ る と考 え られ る.し か し,さ らに溶 解 量 を
減 少 させ るた め に は,光 増 感 剤に つ い て検 討 す る必 要 が
ある.
水 との 接触 角 は,試 作 リライ ニ ン グ材 の場 合,ト ライ
ァ ッ ドの それ に比 較 して 大 きい 値 を示 した ことは,モ
マー が疎 水性 基 で あ るた め と考 え られ た.
一 般 に接 触 角 が 大 きい 場合 は ,吸 水量 を低 下 させ る と
と もに床 の変 色 を防 止 し,耐 久性 を 向上 させ る もの と考
え られ るが,こ の点 につ い て は さ らに検 討 の 余 地 が あ
る.
義 歯 床 用 リライ ニ ング材 の モ ノマ ー と して,シ ク ロホ
スフ ァゼ ンモ ノマ ー を用 い,こ れ に コモ ノマ ー と して 市
販 モ ノマー を配合 し,さ らにPMMA,フ ィ ラ ーお よび
光 増 感 剤 を配 合 して,可 視光 線 重 合 型 リラ イ ニ ン グ材 を
試作 し,そ の基 本 的性 質 を検 討 す る と と もに トラ イ ア ッ
ド ・リラ イニ ン グ材 の それ との 比 較 と,そ れ ぞれ につ い
て模 型 との適 合 性 を比 較 し,以 下 の よ うな結 論 を得 た.
1.試 作 リライ ニ ング材 は,ト ライ ア ッ ド ・リラ イニ
ング材 と比 較 して,曲 げ強 さ,曲 げ た わ み 量 は わず か に
低 い値 を示 した が,硬 さは非 常 に大 きい値 を示 した.ま
ノ た,弾 性 率 は ほぼ 同様 の値 を示 した.
2.吸 水 量 は,試 作 リラ イ ニ ン グ材 の場 合,ト ライア
ッ ド ・リライ ニ ング材 に比 較 して わ ず か に大 きい値 を示
した が,溶 解 量 は 逆 に 小 さい値 を示 した.ま た,水 との接
触 角 は試 作 リライ ニ ン グ材 の場 合,大 きい 値 を示 した.
3.模 型 との適 合性 は,試 作 リラ イニ ン グ材 の場 合,

模型 との間 隙 が 認 め られ な か っ た が,ト ライ ア ッ ド ・リ
2.適 合 性 につ い て ラ イ ニ ン グ材 で は 口蓋部 で0.84mmの 大 きい 間隙 が生
模型 との 適 合性 は,実 験 結 果 か ら明 らか な よ うに,ト じた.
ライア ッ ド ・リライ ニ ング材 の場 合 には,上 顎結 節 相 当
部の左 右側 の いず れ の場 合 も模 型 と の関 隙 は 小 さい値 を 本研究 の要 旨は,昭 和62年 度,第77回 日本補綴 歯科 学 会 学

示 したが,口 蓋 部 の ポ イ ン トCで は,0.84mmの 大 きな 術大会(5月)に おいて発表 し,会 誌に抄録 を掲 載 した.

間隙 を示 した.す な わ ち,口 蓋 部 位 に間 隙 が 大 き く現
れ る こ とは,前 報2,3)の床 の場 合 で も明 らか な よ うに,重 文 献
合収 縮 が歯 槽 頂 部 で抑 制 され て 口蓋 部位 に収 縮 が集 中す
るた め と考 え られ た.し か し,試 作 リライ ニ ング材 の場 1) 後 藤 ひ ろ み,他:可 視 光 線 重 合 型 床 用 レ ジ ンの 基礎 的研 究
― 第1報 機 械 的 性 質 につ い て 一 ,補 綴 誌,30 (2): 387∼
合 は,P-Nモ ノマ ーの 重 合 収縮 が 市販 モ ノマ ー に比 較 し
て約1/3で あ る こ と13),お よ び,コ モ ノマ ー で あ る 391夢1986.

BPE200が 比 較 的 分 子 量 が 大 きい た め重 合 収 縮 が 小 さ 2) 青 山芳 博,他:可 視 光 線 重 合 型 床 用 レジ ンの 基礎 的研 究 ―

第2報 物 性 お よび 適 合 性 に つ い て 一,補 綴 誌,30 (3):

く,そ の結 果,良 好 な適 合 性 を示 した もの と思 わ れ た.
719∼723, 1986.
す な わ ち,試 作 リライ ニ ン グ材 の場 合,ト ラ イア ッ ド ・
3) 宇 美 隆 生,他:可 視 光 線 重 合 型 床 用 レ ジ ンの 基 礎 的研 究 ―
リライ ニ ン グ材 に 比 較 して 可 撓性 に は や や 欠 け る が,
第3報 適 合 性 の検 討 一,日 大 歯 学,60 (4): 410∼414,
溶解 量 が 小 さい こ と,お よび 模 型 との適 合 性 が 良 か った
1986.
こ とか ら,本 組 成 物 は,床 の リラ イ ニ ン グ材 と して 十分 4) Keiichi Ishigami, et al.: Basic Studies on Visible Light
活用 で きる もの と考 え られ た.な お,本 リライ ニ ン グ材 Curing Resin as a Denture Base-Part 4 Its Strength
86―1412 補 綴 誌31巻6号(1987)

in the Repair of Fractured Parts of Heat—Curing Den- 150∼160, 1976∼1978.

ture Base Resin, J Nihon Univ Sch Dent, 28 (4): 9) 日本 歯 科材 料 工 業 協 同組 合:J. A. M. A. Guide Book義 歯
287-293, 1986. 床 用 ア ク リ ック樹 脂,JIST 6501-1980: 32∼35, 1981.
5) Keiichi Ishigami, et al.: Basic Studies on Visible Light 10) 深 水 皓 三:総 義 歯 の 第1大 臼 歯 部 に お け る 咀 嚼 力 お よ び咬

Curing Resin as a Denture Base•\Part 5 Its Junction-

•\ 合力 に 関す る研 究,補 綴 誌,17 (4): 491∼516, 1974.

al Strength with Resin Teeth•\, J Nihon Univ Sch Dent, 11) 亀田 務,他:義 歯 床 用 メ タ ク リル樹 脂 の 曲 げ試 験 法 につ

29 (1): 35-41, 1987. い て,歯 理 工 誌,9: 180∼185, 1968.

6) 安斉 碕,他:ヘ キサ(メ タ タ リ ロキ シエ チ レ ン ジ オ キ 12) M. Anzai, et al.: Studies on the reaction Product

シ)シ ク ロ ト リフ ォス フ ァ ゼ ン の合 成 とそ の 性質 お よ び複 of Hexachlorocy clotriphosphazene and 2-hydroxyethye
合 レジ ンへ の 応 用,歯 材 器,3: 401∼408, 1984. methacrylate and on the physicul properties of its poly-
7) F. Toriyama, et al.: Visible Light Curing Denture Base mer, J Nihon Univ Sch Dent, 26: 109-118, 1984.
Resine with Cyclophosphazene Monomer, 34th, JADR, 13) 廣 瀬 英 晴,他:シ ク ロホ ス フ ァゼ ンを 骨 格 と した 歯科 用 多

Abstracts, 64: 1986. 官 能 モ ノマ ー の 合 成 とバ ル ク重 合 物 の物 性 に 関 す る 研 究

8) American Dental Association: Guide to Dental Materi- (I),歯 材器,5: 402∼418, 1986.
als and Devices, American Dental Association Specifica- 14) 平林 茂,他:歯 科 用 メ タ ク リル レジ ン に関 す る研 究,歯
tion No. 12 for denture base polymer, 8th Ed., Chicago: 材 器,3 (3): 350∼358, 1984.