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FORM SJNR5545-07A

8−2008

取扱注意
本資料は取扱注意につき、許可なく社外への
貸与および提供を禁止する。

整備解説書

3064 ,3066 エンジン


整備基準

適用号機:
3064 6LK1∼
3066 7JK1∼
危険防止の警告
車両の運転,整備,修理時に発生する事故の大部分は,安全確保の為の基本的なルールや
注意事項を守らなかったことが原因となっている。事故の多くは,あらかじめ考えうる危
険状況を認識することによって未然に防ぐ事が出来るものであり,従ってサービスマンは
常に危険状況の把握を心掛けていなければならない。サービスマンは適切な作業を行う為
正しい工具と技術を使用し,その為の訓練を受けていなければならない。

全ての安全上の注意事項,及び危険防止の警告をよく読み,理解してから車両の運転給
脂,整備,及び修理作業を行うこと。

基本的な安全上の注意事項については整備解説書,及び技術解説書の「安全」のページに
記載されている。又,取扱説明書の「安全」のページには安全上の付加的な注意事項が記
載されている。これらの印刷物においては,危険防止の警告は危険が予想される作業手順
の記述と共に記載されている。車両には又,
「危険防止」ラベルが貼り付けてあり,内容
の説明,及び危険に対する警告を与えている。これらの危険防止の警告に留意していない
と, 人身事故や死亡事故を招くおそれがある。本書,及び車両に貼付したラベルでは次
のような印を付けて特に注意を引くようにしている。

危 険 防 止

車両の不適切な運転,給脂,整備または修理は危険であ
り,人身障害や死亡事故の原因となる。       
                        
説明をよく読み,理解するまではこれらの作業を行って
はならない。

誤った作業をしても車両の損傷だけで済むような場合は,本書,及び車両に貼付したラベ
ルの中で「注意」の文字を付けて区別している。

どこにどんな危険があるのかを完全に予知することは,当社にとって困難な問題である。
従って本書,及び車両に貼付したラベルに記載されている警告の内容も,必ずしも全ての
場合を説明している訳ではない。当社が特に推奨していない作業手順,工具装置,又は作
業方法を使用する場合にはサービスマンは自分自身,及び周囲の人達の安全を充分に確か
めなければならない。又,同時に車両が損傷しないこと,車両が危険な状態にならないこ
とも確かめなければならない。

本書の説明,整備基準,及び写真やイラストは,本書を作成した時点で利用し得た情報に
基づいている。整備基準,締付トルク,作動圧,寸法,調整方法,写真やイラスト等は,
変更されることがある。これらの変更は,当社製品の整備作業に影響を与えることがある
ので,実施しようとする整備作業について必要な情報を漏れなく集め,最新の情報を把握
してから整備作業を行うこと。
目    次 概要

エンジン仕様 …………………………………………………… 4 本書において”再使用”とある場合,再使用の可否判断は本書の基


フュエルインジェクションライン …………………………… 5 準による。基準内であれば再使用することができる。
フュエルインジェクションポンプ …………………………… 5
フュエルインジェクションノズル …………………………… 6 本書において”許容できる”とある場合,基準は許容範囲(最大
リフタ …………………………………………………………… 6 値,最小値)を示してあり,その範囲を超える場合は調整,修理
ロッカシャフト ………………………………………………… 7 もしくは部品交換を必要とする。
バルブ …………………………………………………………… 8
バルブカバー …………………………………………………… 9 部品の摩耗量を見るために,新品部品と摩耗した部品の実測値に
シリンダヘッド ………………………………………………… 10 よる比較を行ってもよい。摩耗量から判断して相当の寿命を見込
ターボチャージャ ……………………………………………… 11 める時は再使用し,見込めない時は部品を交換する。
排気マニホールド ……………………………………………… 12
カムシャフト …………………………………………………… 13 参照:「3064/3066エンジン,作動原理,試験と調整」Form No.
オイルリリーフバルブ ………………………………………… 15 SJNR 5546
オイルポンプ …………………………………………………… 15
オイルプレッシャ ……………………………………………… 17 注記:本書はSI単位を記載し,( )内工学単位での参考値は工学
オイルバイパスバルブ ………………………………………… 17 単位での参考値を表している。
オイルパン ……………………………………………………… 18
水温レギュレータ ……………………………………………… 18
ウォータポンプ ………………………………………………… 18
シリンダブロック ……………………………………………… 19
クランクシャフト ……………………………………………… 21
クランクシャフトシール ……………………………………… 22
コネクチングロッドベアリングジャーナル ………………… 23
メーンベアリングジャーナル ………………………………… 23
コネクチングロッド …………………………………………… 24
ピストン及びリング …………………………………………… 26
ギヤ(フロント) …………………………………………………… 28
フライホイール ………………………………………………… 30
クランクシャフトプーリ ……………………………………… 31
ベルト張力表 …………………………………………………… 31
オルタネータベルトの調整 …………………………………… 32
オルタネータ及びレギュレータ ……………………………… 32
スタータモータ ………………………………………………… 33
冷却水温度スイッチ …………………………………………… 33
エンジンオイルプレッシャスイッチ ………………………… 33
エアインレットヒータ ………………………………………… 33

3 整備基準
エンジン仕様

3064 エンジン 3066 エンジン

g00523889 g00295223
シリンダ及びバルブの位置 シリンダ及びバルブの位置
(A)排気バルブ.(B)吸気バルブ. (A)排気バルブ.(B)吸気バルブ.
タイプ ……………………………… 4シリンダ4ストローク タイプ ……………………………… 6シリンダ4ストローク
燃焼システム ……………………………………………… 直噴式 燃焼システム ……………………………………………… 直噴式
ボア ………………………………………………… 102 mm ボア ………………………………………………… 102 mm
ストローク ………………………………………………… 130 mm ストローク ………………………………………………… 130 mm
シリンダ数 ………………………………………………………… 4 シリンダ数 ………………………………………………………… 6
排気量 …………………………………………………… 4.3r 排気量 …………………………………………………… 6.4r
シリンダの配列 ……………………………………………… 直列 シリンダの配列 ……………………………………………… 直列
シリンダ毎のバルブ ……………………………………………… 2 シリンダ毎のバルブ ……………………………………………… 2
着火順序 ………………………………………………… 1,3,4,2 着火順序 ……………………………………………… 1,5,3,6,2,4
圧縮比 …………………………………………………… 17:1 圧縮比 …………………………………………………… 17:1

注記:定格数値はエンジン貼付の銘板を参照すること。正確な着 注記:定格数値はエンジン貼付の銘板を参照すること。正確な着
火タイミング仕様についてはTMI(テクニカルマーケティング情 火タイミング仕様についてはTMI(テクニカルマーケティング情
報)又は,フュエルセッティング及び関連情報マイクロフィッ 報)又は,フュエルセッティング及び関連情報マイクロフィッ
シュを参照のこと。 シュを参照のこと。

最低rpm ………………………………………………… 900±20 最低rpm ………………………………………………… 900±20


クランクシャフト回転方向
(フライホイール側から見て) クランクシャフト回転方向
(フライホイール側から見て)
…………………………………………… 反時計方向 …………………………………………… 反時計方向

注記:エンジン前部はフライホイール側と反対側である。エンジ 注記:エンジン前部はフライホイール側と反対側である。エンジ
ン左右の区別はフライホイール側から見た場合を示す。No.1シリ ン左右の区別はフライホイール側から見た場合を示す。No.1シリ
ンダが前のシリンダになる。 ンダが前のシリンダになる。

4 整備基準
フュエルインジェクションライン フュエルインジェクションポンプ

g00530307

(1)フュエルインジェクションライン
フュエルインジェクションラインナット
締付トルク ……………………… 27∼32N・m(2.8∼3.3kgf・m)
g00530354

(1)フュエルインジェクションラインボルト
締付トルク ……………………… 20∼25N・m(2.0∼2.5kgf・m)
(2)デリバリバルブホルダ
締付トルク ……………………… 49∼54N・m(5.0∼5.5kgf・m)
(3)ロックプレートボルト
締付トルク ………………………… 3∼5N・m(0.3∼0.5kgf・m)
(4)フュエルラインボルト
締付トルク ……………………… 10∼13N・m(1.0∼1.3kgf・m)
(5)アイドラサブスプリングナット
締付トルク ……………………… 12∼16N・m(1.2∼1.6kgf・m)
(6)アイドラサブスプリング
締付トルク ……………………… 16∼20N・m(1.6∼2.0kgf・m)
(7)ナット
締付トルク ………………………… 3∼5N・m(0.3∼0.5kgf・m)

5 整備基準
フュエルインジェクションノズル リフタ

g00530280
g00909654
(1)シール
(2)ノズル (1)ボア直径
(3)ノズルリテーナ 最小 ……………………………………………… 22.000mm
ボルトの締付トルク …………… 20∼23N・m(2.0∼2.3kgf・m) 最大 ……………………………………………… 22.021mm
使用限度 ……………………………………………… 22.100mm

隙間
最小 ……………………………………………… 0.035mm
最大 ……………………………………………… 0.086mm
修理限界 ……………………………………………… 0.120mm

g00530283

(4)ノズルボデー
(5)シム
バ ル ブ 開 圧 力 は 22060∼ 23050kPa( 225∼ 235kgf/cm2)の こ
と。シム厚が0.10mm増減することにより,噴射圧力はおよそ
1375kPa( 14.0kgf/cm2)変 化 す る 。 調 整 用 シ ム は 0.10∼
0.58mmまでの9種類のサイズがある。
(6)プレッシャスプリング
(7)プレッシャピン
(8)ガスケット
(9)ピン
(10)ノズルチップ
(11)ノズルナット
締付トルク ……………………… 30∼39N・m(3.1±4.0kgf・m)

6 整備基準
ロッカシャフト

g00526257

g00526252 ロッカシャフトブラケットとボルトを所定位置に取り付ける。

(1)シャフト用ロッカアームブシュ (4)ロングボルト
内径 …………………………………… 20.011∼20.094mm 締付トルク ……………………… 10∼20N・m(1.0∼2.0kgf・m)
(2)ロッカアームシャフト (5)ショートボルト
直径 …………………………………… 19.966∼19.984mm 締付トルク ……………………… 10∼20N・m(1.0∼2.0kgf・m)
(6)ブラケット
ロッカアームブシュとシャフト間の隙間
最小 ……………………………………………… 0.027mm
最大 ……………………………………………… 0.128mm
修理限界 ………………………………………………… 0.15mm

g00526261
バルブラッシュ調整

バルブラッシュを調整する際,クランクシャフトを回してクラン
クシャフトプーリに付けられているタイミングマークがタイミン
g00526256
グギヤハウジングのポインタとあっていること。No.1吸排気バル
ブの両プッシュロッドの張力がロッカアームに作用していないこ
(3)新品のブシュを取り付ける際,ブシュとロッカアームのオイ
とを確認する。
ルホール
(A)が一 直線に揃うこと。

吸排気バルブのバルブラッシュ ………………………… 0.25mm

7 整備基準
バルブ (5)バルブガイドの整備基準
吸気バルブガイド外径
最小 ……………………………………………… 13.025mm
最大 ……………………………………………… 13.035mm

吸気バルブガイドの内径
最小 ……………………………………………… 8.010mm
最大 ……………………………………………… 8.035mm
使用限度 ………………………………………………… 8.09mm

排気バルブガイド外径
最小 ……………………………………………… 13.025mm
最大 ……………………………………………… 13.035mm

排気バルブガイド内径
最小 ……………………………………………… 8.010mm
最大 ……………………………………………… 8.025mm
g00526366 使用限度 ………………………………………………… 8.12mm
(6)リップの厚さ
(1)スプリング
吸排気バルブのバルブリップ厚さ …………………… 2.13mm
試験荷重時の長さ ……………………………………… 44.0mm
吸排気バルブの最小許容バルブリップ厚さ ………… 1.20mm
試験荷重 …………………………………………… 223∼246N
(7)バルブ面の角度 ………………………………………… 30°
試験後の自由長 ………………………………………… 56.4mm
最大許容倒れ角度 …………………………………………… 2°
(2)バルブステムシール
(3)バルブガイド上部までの寸法 ……………… 17.00±0.30mm
(4)バルブステムの整備基準
吸気バルブステムの直径
最大 ……………………………………………… 7.955mm
最小 ……………………………………………… 7.944mm
使用限度 ……………………………………………… 7.900mm

吸気バルブステムとガイド間の隙間寸法
最小 ……………………………………………… 0.055mm
g00526884
最大 ……………………………………………… 0.085mm
使用限度 ……………………………………………… 0.150mm
(8)ヘッドのバルブシートインサート用ボア深さ … 9.5±0.1mm
(9)吸気バルブの面取り ……………………………………… 40°
排気バルブステム直径
最大 ……………………………………………… 7.940mm
注記:吸気バルブの面取り深さは,2.38±0.10mm
最小 ……………………………………………… 7.920mm
使用限度 ……………………………………………… 7.850mm
(10)排気バルブの面取り …………………………………… 45°

排気バルブステムとガイド間の隙間寸法
注記:排気バルブの面取り深さは,2.00±0.10mm
最小 ……………………………………………… 0.070mm
最大 ……………………………………………… 0.105mm
(11)吸気バルブシート内径 ………………… 46.000∼46.025mm
使用限度 ……………………………………………… 0.200mm
(12)排気バルブシート内径 ………………… 39.000∼39.025mm

8 整備基準
バルブカバー

g00527479

(13)バルブシート幅 ……………………………… 1.40±0.20mm g00525829

注記:バルブシート最大幅は,1.80mm (1)バルブカバーナット
締付トルク ……………………… 7∼9N・m(0.7∼0.9kgf・m)
(14)バルブシート角度 ……………………………………… 30°
(15)閉じたバルブ上部からヘッド面までの寸法
吸気バルブ
最小 ………………………………………………… 0.3mm
最大 ………………………………………………… 0.5mm
使用限度 ………………………………………………… 1.1mm

排気バルブ
最小 ………………………………………………… 0.4mm
最大 ………………………………………………… 0.6mm
使用限度 ………………………………………………… 1.1mm

g00527490

(16)プッシュロッド
ダイヤルインジケータを使用して全てのプッシュロッドのふ
れを点検する。ふれ量が下記数値を超える場合はプッシュ
ロッドを交換する。 …………………………………… 0.4mm

9 整備基準
シリンダヘッド

g00527556
3064エンジンのボルト配置図,番号順

g00527524

(1)シリンダヘッド
ストレートエッジとスキマゲージを使用してシリンダヘッド
のそり具合を測定する。

シリンダヘッド全長平面度 ……………………………… 0.05mm


表面修正研磨許容値 ……………………………………… 0.20mm
シリンダヘッドガスケット厚さ ………………… 1.70±0.10mm
新品のシリンダヘッド厚さ …………………… 95.00±0.10mm
シリンダヘッド最小厚さ ……………………………… 94.70mm
g00527527
注記:ガスケット接触面とシリンダブロック面の修理限界は 3066エンジンのボルト配置図,番号順

0.20mm
シリンダヘッドボルトのネジ部にきれいなエンジンオイルを塗布
する。番号順にボルトを取り付け,番号順に下記トルクで締め付
ける ……………………… 118±5N・m(12.0±0.5kgf・m)

10 整備基準
ターボチャージャ コンプレッサホイール(1)を軸方向に動かしてエンドプレーを測
定する。
エンドプレーの量 …………………………… 0.057∼0.103mm

注記:エンドプレーが上記規定値を超える場合,ターボチャー
ジャを分解して隙間を点検する。

g00530558

(1)コンプレッサホイール
(2)タービンホイール
(3)タービンハウジング
(4)コンプレッサハウジング g00530561
(5)カートリッジハウジング
(7)ロックプレート
注記:分解する前に,コンプレッサハウジング,カートリッジハ ロックプレートを所定位置に取り付け,ボルトを締め付け
ウジング及びタービンハウジングに取付位置確認マークを付け る。
る。 締付トルク ………………………………… 20N・m(2.0kgf・m)

g00530562
タービンハウジング
(3)及びカートリッジハウジング
(5)

タービンハウジング(3)をカートリッジハウジング(5)と合わせ
る。
g00530560

(6)タービンシャフト
ダイヤルインジケータをタービンシャフト
(6)
端部に上記の様
に取り付ける。

11 整備基準
排気マニホールド

1
2

4
g00530564

(8)クランプ
g00530254
カップリングクランプのネジ部に5P3931アンチシーズコンパ
ウンドを塗布する。
(1)ターボチャージャナット
クランプの締付トルク …………… 4±1N・m(0.4±0.1kgf・m)
締付トルク ………………………………… 41N・m(4.2kgf・m)
(2)ターボチャージャスタッド
クランプ(8)の外周を軽く叩き,クランプを下記トルクで締め付
締付トルク ………………………………… 12N・m(1.2kgf・m)
ける。
(3)排気マニホールドスタッド
締付トルク ………………………… 4±1N・m(0.4±0.1kgf・m)
締付トルク ……………………………… 12.5N・m(1.3kgf・m)
(4)排気マニホールドナット
締付トルク ……………………… 18±4N・m(1.8±0.4kgf・m)

12 整備基準
カムシャフト

g00527952

g00527937 (4)カムシャフトローブリフト
カムシャフトローブリフト
(4)の規定値は以下の通り。
(1)ギヤ 排気ローブ …………………………………………… 7.344mm
カムシャフトに取り付ける際のギヤの最高許容温度 … 315℃ 吸気ローブ …………………………………………… 6.689mm

排気ローブリフトの使用限度 ………………………… 6.844mm


注 意
吸気ローブリフトの使用限度 ………………………… 6.189mm
トーチでギヤを暖めないこと。トーチでギヤを暖めると不
均等に熱が加わるので反り,ギヤ硬度変化の原因となる。
注記:使用限度に達したカムシャフトは交換する。

(2)カムシャフトジャーナル直径
(5)カムシャフトローブ高さ
(6)ベースサークル
表1

3064エンジン 3066エンジン ローブリフトは以下の手順により算出する。


カムシャフト カムシャフト 標準直径 使用限度(1)
ジャーナルNo. ジャーナルNo.

1,2 1,2,3 53.94∼53.96mm 53.90mm 1. カムシャフトローブ高さ(5)を測定する。


2. ベースサークル(6)を測定する。
3 4 52.94∼52.96mm 52.90mm 3. 上記手順1で測定したローブ高さ
(5)
から上記手順2で測定
したベースサークル(6)を差し引く。この差が実際のロー
(1)使用限度は当該部品の最大寸法又は最小寸法である。使用限
度に達した部品は交換する。 ブリフト(4)である。

(3)スラストプレートボルト
締付トルク ……………………… 10∼13N・m(1.0∼1.3kgf・m)

13 整備基準
カムシャフトジャーナルとブッシュ間の隙間寸法

表2

3064エンジン 3066エンジン
カムシャフト カムシャフト 標準直径 修理限度(1)
ジャーナルNo. ジャーナルNo.

1,2 1,2,3 0.04∼0.09mm 0.15mm

3 4 0.04∼0.119mm 0.15mm

(1)修理限度は当該部品の最大寸法又は最小寸法である。修理限
度に達した部品は修理する。

g00528061

注記:ダイヤルインジケータとVブロックを使用して,カムシャ
フトのふれを確認す る。ふれ量はダイヤルインジケータの表示値
の1/2とする。

(7)カムシャフト
最大許容ふれ量 ……………………………………… 0.020mm
ふれ量が右記数値未満の場合,修理する ………… 0.050mm
ふれ量が右記数値を超える場合,交換する ……… 0.050mm

g00529304

(9)ダイヤルインジケータを取り付け,ギヤエンドプレーを確認
する。
エンドプレー …………………………………… 0.10∼0.25mm
エンドプレーが下記数値を超える場合,スラストプレートを
交換する ………………………………………………… 0.30mm
スラストプレートの厚さ ……………………………… 4.85mm

g00528067

(8)カムシャフトベアリング
ダイヤルインジケータを使用して,カムシャフトベアリング
を測定する。カムシャフトジャーナルの直径を差し引いてベ
アリングの隙間寸法を確認する。表2参照。

14 整備基準
オイルリリーフバルブ オイルポンプ

g00530799 g00530573
オイルリリーフバルブ

リリーフバルブをシリンダブロックから取り外す。バルブとバル
注 意

ブシートを点検し,接触異常がないか確認する。スプリングを点
エンジン始動前に,ポンプにきれいなエンジンオイルを潤滑

検し,へたりや損傷がないか確認する。必要に応じて交換する。
させ,ポンプが手でスムースに回るか確認する。ポンプがス
ムースに回らない場合,部品に損傷を与える原因になる。

リリーフバルブ開弁圧力 ……… 343±49kPa(3.5±0.5kgf/cm 2)


締付トルク ………………………… 44∼53N・m(4.5∼5.4kgf・m) 注記:ローアイドル時の最小許容オイルプレッシャは98kPa
(1.0kgf/cm 2)

(1)ドリブンギヤ
(2)ドライブギヤ
(3)オイルポンプギヤ

オイルポンプギヤをドライブギヤシャフトに取り付ける際,ギヤ
を180∼220℃に加熱する。シャフト端部を支えて,シャフト端面
にツライチになるまでギヤを押さえる。

注 意
トーチでギヤを暖めないこと。トーチでギヤを暖めると不均
等に熱が加わるので,反り,ギヤ硬度変化の原因となる。

(4)アイドラギヤ
オイルポンプギヤとアイドラギヤ間のバックラッシュ
……………………………………… 0.100∼0.190mm

注記:バックラッシュが0.35mmを超える場合はギヤを交換す
る。

(5)スピンドル

注記:ポンプギヤを取り外すとポンプギヤとドライブギヤが使用
できなくなるのでこれらのギヤを新品と交換する。

15 整備基準
g00530702

(7)カバー
カバー
(7)
内のシャフト用穴の内径とオイルポンプハウジング
(6)
のシャフト用穴の内径をそれぞれ測定する。シャフトのボ
g00530697
アを測定する。ギヤシャフトとオイルポンプハウジング及び
カバー間の隙間寸法を測定する。
(6)オイルポンプギヤハウジング
標準隙間寸法 …………………………………… 0.04∼0.07mm
オイルポンプギヤとオイルポンプハウジング間の最大寸法
ハウジングを超える寸法 …………………………… 0.020mm
注記:隙間寸法が使用限度0.15mmを超える場合,ギヤ,カバー
ハウジング以下の寸法 ……………………………… 0.034mm
又はオイルポンプハウジングは交換する。

注記:オイルポンプギヤの使用限度は,オイルポンプハウジング
注記:ドライブギヤとドリブンギヤはアセンブリ単位で交換す
以下で0.150mmである。
る。

スキマゲージを使用して,オイルポンプギヤとオイルポンプハウ
ジングの隙間寸法を測定する。
隙間 ……………………………………… 0.050∼0.098mm

注記:オイルポンプギヤの使用限度は0.10mmである。

16 整備基準
オイルプレッシャ

表3

オイルプレッシャ(1)

1500rpm時のオイルプレッシャ 196∼392kPa
(2.0∼4.0kgf/cm 2)

アイドリング時のオイルプレッシャ(2) 98kPa(1.0kgf/cm 2)

(1)油温は60℃∼70℃
(2)アイドリングは900±20rpm

g00530704
オイルバイパスバルブ
(8)アイドラギヤブシュ
アイドラギヤブシュの内径 ……………… 25.000∼25.021mm
オイルポンプアイドラギヤの最大直径 …………… 25.059mm

(9)スピンドル
スピンドルの直径 ………………………… 24.939∼24.960mm
オイルポンプスピンドルの最小直径 ……………… 24.901mm

g00530801

注記:オイルバイパスバルブはオイルパン内のオイルパンレール
沿いに取り付けられている。
g00819285
(1)バルブシート
(10)ボルト バルブとバルブシートの当たり具合に異常がないか点検する。
オイルポンプカバー
(7)用ボルト (2)スプリング
締付トルク ……………………… 35±6N・m(3.6±0.6kgf・m) スプリングのへたりと損傷を点検する。
スプリングの自由長 …………………………………… 83.5mm

バイパスバルブの開弁圧力
(3066)
一次開弁圧力 …………… 1177±98kPa(12.0±1.0kgf/cm 2)
二次開弁圧力 ……………… 981±98kPa(10.0±1.0kgf/cm 2)

バイパスバルブの開弁圧力
(3064)
…………………… 981±98kPa(10.0±1.0kgf/cm 2)

オイルバイパスバルブの締付トルク
………………………… 69±5N・m(7.0±0.5kgf・m)

17 整備基準
オイルパン ウォータポンプ

g00530566

(1)オイルパンボルト
締付トルク ……………………… 15∼21N・m(1.5∼2.1kgf・m)
(2)オイルパンドレーンプラグ
g00530877
締付トルク ……………………… 34∼44N・m(3.5∼4.5kgf・m)

(1)インペラ
水温レギュレ―タ
インペラ端部とウォータポンプシャフトはツライチであるこ
と。
水温レギュレータ開放開始温度 ………………………… 71±2℃
(2)フランジ
オプション水温レギュレータ開放開始温度 ……………… 82℃ (3)インペラ面からウォータポンプハウジングまでの寸法
……………………………………… 21.00∼21.70mm
水温レギュレータが10mm以上持ち上がる温度 …………… 85℃

オプション水温レギュレータが
10mm以上持ち上がる温度 …………………………………… 96℃

g00530878

(4)ウォータポンプシャフト
ウォータポンプシャフトとフランジ間の
プレスばめ …………………………………… 0.035∼0.065mm

ウォータポンプシャフトとインペラ間の
プレスばめ …………………………………… 0.022∼0.062mm

18 整備基準
シリンダブロック 表4

シリンダスリーブ許容範囲

組立標準 修理限度(1) 使用限度(2)

内 径 102.010∼
102.045mm 102.200mm 102.700mm

真円度 0.010mm 不適用 不適用

円筒度 0.015mm 不適用 不適用

(1)
修理限度は当該部品の最大寸法又は最小寸法である。修理限度
に達した部品は交換する。
(2)
使用限度は当該部品の最大寸法又は最小寸法である。使用限度
に達した部品は交換する。

g00529444
スリーブ内径が使用限度内で修理限度に達した場合,規定のオー

(1)シリンダブロック バーサイズ
(0.25mm又は0.50mm)
にシリンダをボアリングする。

ストレートエッジとスキマゲージを使用してシリンダブロッ 表5参照。

クのそり具合を測定する。
最大許容隙間 …………………………………………… 0.05mm スリーブのホーニングは+0.25mm,+0.50mmのオーバサイズと

修理限度 ………………………………………………… 0.20mm し,0.010∼0.045mmの精度に仕上げる。

修理限度に達した場合,ブロック上部を修正研磨する。
スリーブが偏摩耗している場合,スリーブ加修に必要なオーバサ
イズを確認する。

使用限度を超えたスリーブはすべて交換する。

注記:オーバサイズはすべてのスリーブとも同一サイズとする。
スリーブが良い状態にある場合,リーマを使用してシリンダリッ
ジを削り,シリンダボアのホーニングを行う。

表5

オーバサイズボア シリンダボアサイズ
g00529446
0.250mm 102.260∼ 
102.295mm
(2)シリンダスリーブ 102.510∼ 
0.500mm
シリンダスリーブの内径を測定する。シリンダスリーブをク 102.545mm

ランクシャフトに対して水平方向と垂直方向の2方向に,上
部,中部及び底部で測定する。シリンダスリーブ許容範囲は
表4参照。

19 整備基準
メーンベアリングボアのボアリング後の直径
……………………………………………… 95.000mm

メーンベアリングボアの最大直径 …………………… 95.022mm

クランクシャフトのセンタラインからデッキまでの
新しいデッキ高さ ………………………………… 307±0.05mm

クランクシャフトのセンタラインからデッキまでの
最小高さ ……………………………………………… 306.70mm

g00529534

(3)シリンダスリーブ
使用限度 …………………………………………… 102.700mm

使用限度を超えたスリーブはすべて取り替える。

g00529962
シリンダスリーブ

シリンダスリーブの修理要領
1.ボアリングマシンをシリンダブロックに固定し,芯出しを
行う。この時,シリンダスリーブ底部の摩耗の少ない中央
部で行うこと。
2.スリーブの肉厚が0.50mm程度になるまでボアリングを行
う。
3.シリンダブロックを損傷しない様に,スリーブの残りを取
り外す。
4.新品のスリーブをシリンダブロックの上部と揃う様に取り
付ける。
5.シリンダのホーニング仕上げ
内径 ………………………………… 102.000∼102.035mm

20 整備基準
クランクシャフト

g00817613

g00525341 (3)クランクシャフトメーンベアリングジャーナルの幅
…………………………………… 33.000∼33.039mm
(1)クランクシャフトメーンベアリングジャーナル

メーンベアリング・ブロック部の内径寸法

A
3064/3066
3064 3066エンジン:
エンジン:A=Φ 95 +0.022
=Φ95 0 3120389

3120389
g00817611

(2)クランクシャフト
クランクシャフトをVブロック1セットに据え,ジャーナルの
中央部での振れ度を測定する。
最大振れ度 …………………………………………… 0.020mm

注記:メーンベアリングジャーナルの振れ度の許容範囲は
0.010mmである。最大修理限度は0.030mm。修理限度を超えた
場合,ベアリングジャーナルを再度規定値に磨く。

注記:クランクシャフトジャーナルの最大使用限度は0.90mm。
g00817612
この数値を超えて磨耗した場合,ジャーナルを交換する。

(4)クランクシャフトエンドプレー …………… 0.100∼0.264mm


注記:クランクシャフトの振れ度が修理限度0.050mmを超える場
合,交換する。 注記:最大修理限度は0.300mmである。

21 整備基準
エンドプレーが標準隙間寸法を超える場合,標準スラストプレー クランクシャフトシール
トを取り替える。それでもエンドプレーが修理限度を超える場合
は,3種類のオーバサイズスラストプレートのうちから適当なス
ラストプレートと交換する。通常,フロントジャーナルより,リ
ヤジャーナルの方が早く摩耗するので,リヤスラストプレート
を交換するケースのほうが多い。
オーバーサイズスラストプレートは表6を参照する。

表6

クランクシャフトオーバサイズ
スラストプレートの研磨寸法
オーバサイズ オーバサイズ オーバサイズ
スラスト (フロント又は (フロント又は 許容範囲
プレート リア) リア)

+0.15mm 33.15mm 33.30mm +0.039mm

+0.30mm 33.30mm 33.45mm +0.039mm

+0.45mm 33.45mm 33.60mm +0.039mm


g00525904

(1)フロントシール
クランクシャフトプーリナット
(2)リヤシール
締付トルク ……………………… 490±5N・m(50±0.5kgf・m)

注記:リヤシールとスリンガは一体として取り付けてある。
クランクシャフトギヤ取付時の最大温度 ………………… 100℃

(3)スリンガ

注記:リヤシールとスリンガは一体として取り付けてある。

(4)リヤシール

注記:リヤシールは取付後,スリンガとツライチになること。

(5)スリンガとクランクシャフト間の接触面
スリンガとクランクシャフト間の接触面にシーラントを塗布
する。リヤシールの表面にきれいなエンジンオイルを塗布す
る。
(6)リヤシールからクランクシャフト端部までの寸法
………………………………………………… 6.0mm

22 整備基準
コネクチングロッドベアリングジャーナル メーンベアリングジャーナル

表7

コネクチングロッドベアリングジャーナル
ジャーナルの
オリジナルサイズ(1) 59.945∼59.965mm

アンダサイズのジャーナル
0.25mm 59.695∼59.715mm

アンダサイズのジャーナル
0.50mm 59.445∼59.465mm

アンダサイズのジャーナル
0.75mm 59.195∼59.215mm

(1)
修理限度59.980mmを超える場合は、ジャーナルを次の段階の
アンダーサイズ寸法に研磨する。 g00817631

新しいベアリングと新しいジャーナル間の隙間寸法 (1)メーンベアリングキャップ
……………………………………… 0.035∼0.100mm メーンベアリングキャップをシリンダブロックの所定位置に
据える。メーンベアリングボルトにきれいなエンジンオイル
コネクチングロッドジャーナルとベアリング間の隙間が使用限度 を塗布してから取り付け,次のトルクで締め付ける。
の0.200mmを超えたり,クランクシャフトが過度又は不均等に摩 締付トルク …………………… 137±5N・m(14.0±0.5kgf・m)
耗した場合,アンダーサイズ寸法のベアリングが必要となる。ア (2)ダイヤルインジケータ
ンダーサイズ寸法のベアリングが必要な場合,クランクシャフト ダイヤルインジケータを使用して,メーンベアリングボアを
を表7の3種類の寸法に研磨すること。 測定する。メーンベアリングの内径からクランクシャフト
ジャーナルの直径を差し引き,メーンジャーナルのベアリン
注記:ロッドベアリングジャーナルの真円度又は円筒度の最大許 グ隙間寸法を計算する。
容値は0.010mmで,最大修理限度は0.030mmである。修理限度 クランクシャフトジャーナルとメーンベアリング間の隙間
を超える場合は,ベアリングジャーナルを規定寸法に研磨する。 ……………………………………… 0.050∼0.118mm

注記:メーンベアリングの隙間寸法が0.20mmを超える場合,ベ
アリングを交換するか,クランクシャフトを次の段階のアンダー
サイズベアリング寸法に修正研磨する。

注記:メーンベアリングジャーナルの真円度又は円筒度の最大許
容値は0.010mmで,最大修理限度は0.030mmである。修理限度
を超えている場合は,ベアリングジャーナルを規定寸法に研磨す
る。

23 整備基準
コネクチングロッド

g00817633
g00525099
(3)メーンベアリングキャップのボルト
締付トルク …………………… 137±5N・m(14.0±0.5kgf・m) (1)合わせマーク
合わせマークはキャップをコネクチングロッドに合わせるた
(4)メーンベアリング めに使用する。

表8

クランクシャフトメーンベアリングの厚さ
クランクシャフトメーンベア
リングジャーナルのサイズ ベアリングの厚さ

オリジナルサイズの
ジャーナル 2.477∼2.490mm

アンダサイズのジャーナル
0.25mm 2.602∼2.615mm

アンダサイズのジャーナル
0.50mm 2.727∼2.740mm

アンダサイズのジャーナル
0.75mm 2.852∼2.865mm

g00525103
(5)メーンベアリングジャーナル

(A)ボアの水平中心線に対して上方40°の位置にアッパオイル
クランクシャフトメーンベアリングジャーナルの直径は表9によ ホールがある。
る。 (B)ボアの水平中心線に対して下方30°の位置にロアオイルホー
表9 ルがある。
(C)ロアオイルホールの下方30°の位置にピストンピンベアリン
メーンベアリングジャーナル
グ端部がある。
オリジナルサイズの
ジャーナル(1) 89.95∼89.97mm

アンダサイズのジャーナル
0.25mm 89.70∼89.72mm

アンダサイズのジャーナル
0.50mm 89.45∼89.47mm

アンダサイズのジャーナル
0.75mm 89.20∼89.22mm

(1)修理限度89.85mmを超える場合は,メーンベアリングジャー
ナルを次の段階のアンダーサイズジャーナル寸法に研磨する。

24 整備基準
g00525194

(5)コネクチングロッド
スキマゲージを使用してエンドプレーを測定する。
エンドプレー …………………………………… 0.15∼0.35mm
g00525159

注記:エンドプレーが0.50mmを超える場合,コネクチングロッ
(2)ピストンピンベアリング内径 …………… 34.020∼34.045mm
ドを交換する。

ピストンピンベアリングとピストンピン間の隙間
……………………………………… 0.023∼0.054mm

注記:ピストンピンとピストンピンベアリング間の隙間が
0.010mmを超える場合は,空きすぎているので,ピストンピン又
はベアリングを交換する。

(3)コネクチングロッドボルト
ボルトを取り付ける前に,エンジンオイルをボルトのネジ
部,ボルトとコネクチングロッドキャップ間の接触する全て
の面に塗布する。
コネクチングロッドナットの締付トルク g00525201

……………………… 103±5N・m(10.5±0.5kgf・m)
(6)ピストン
(4)各コネクチングロッドの内径を測定し,測定値を記録する。
(7)ピストンのマーク
内径 ……………………………………… 64.0∼64.019mm

ピストンとコネクチングロッドを組み立てる。ピストン(7)の
マークとコネクチングロッド(1)のマークが同じ側にあるか確認
する。

25 整備基準
ピストン及びリング

g00525206

(8)コネクチングロッドのマーク(1)をカムシャフト(8)側に向け
て,ピストンを取り付ける。

g00524461

(1)ピストンのマーク
シリンダブロックのカムシャフト側にピストンを合わせるた
め,各ピストン上面に取付位置確認マークが付けられてい
る。
(2)ピストン直径
表10は標準及びオーバサイズピストンの寸法を示す。

g00525250 注記:ピストンピン穴の垂直線に沿ってピストン直径を測定す
る。
(9)ピストンの突起

表10
各ピストンのシリンダブロックからの突出量を測定する。隙間が
許容範囲内でない場合は,各コンポーネントを点検し,摩耗,損 ピストン直径

傷していないか確認する。 内径 組立標準 使用限度(1)


標準内径 101.915∼101.945mm 101.730mm

1.ダイヤルインジケータを使用して,ピストンの上死点を確 オーバサイズ0.25mm 102.165∼102.195mm 101.980mm


認する。 オーバサイズ0.50mm 102.415∼102.445mm 102.230mm
2.ダイヤルインジケータをブロックの上部に取り付け,針を
(1)使用限度を超えるピストンは交換する。
ゼロに合わせる。
3.ピストン上部3カ所で突出量
(9)
を測定し,平均値を出す。
シリンダヘッドに取り付けたガスケットの取付厚さから突
出量を差し引いて,ピストン上部とシリンダヘッド間の隙
間寸法を決定する。

シリンダヘッドガスケットの取付厚さ ………… 1.70±0.10mm


ピストン突出量 …………………………………… 0.55∼1.15mm

26 整備基準
(6)トップリング
ピストンリングを標準内径のシリンダに組み込む際のピスト
ンリング合い口隙間 …………………………… 0.30∼0.45mm

注記:合い口隙間寸法が最大許容値1.50mmを超えた場合は,ピ
ストンリングを交換する。

(7)中間リング
ピストンリングを標準内径のシリンダに組み込む際のピスト
ンリング合い口隙間 …………………………… 0.30∼0.45mm

g00524465
注記:合い口隙間寸法が最大許容値1.50mmを超えた場合は,ピ

(3)ピストンピン穴の直径 ストンリングを交換する。

(4)ピストンピン直径 ………………………… 33.993∼34.000mm


(8)オイルコントロールリング

ピストンピン直径を測定する。穴の直径からピストンピン直径を オイルコントロールリングの合い口隙間がリングエキスパン

差し引く。 ダ端部から180°の位置に来る様に取り付ける。

穴とピストンピン間の隙間 ………………… 0.002∼0.019mm


ピストンリングを標準内径のシリンダに組み込む際のピストンリ

注記:ピストンピンとピストンピン穴間の隙間寸法の使用限度は ング合い口隙間 …………………………………… 0.30∼0.50mm

0.050mmである。隙間寸法が使用限度を超えた場合,ピストンを
交換する。 注記:合い口隙間寸法が最大許容値1.50mmを超えた場合は,ピ
ストンリングを交換する。

g00524467

(5)取付位置確認マーク g00524489
取付位置確認マークを上に向けて,ピストンリングを取り付
ける。 (9)リング溝の横隙間
新品のピストンリングをピストンのリング溝に取り付ける。
注記:各ピストンリング側面には
“R”
又は“T”
と刻印されていて, ストレートエッジとスキマゲージを使用して,ピストンリン
取付位置を確認するために使用する。 グ溝の横隙間を測定する。表11にリング溝隙間の許容範囲を
示す。

27 整備基準
表11 ギヤ(フロント)
ピストンリング隙間

リング溝の
ピストンリング リング幅 横隙間 使用限度(1)

0.080
No.1圧縮リング 3.00mm ∼0.120mm 0.200mm

0.080
No.2圧縮リング 2.00mm ∼0.120mm 0.150mm

オイル 0.025
4.00mm ∼0.065mm 0.150mm
コントロールリング

(1)ピストンリングが使用限度を超える場合は,ピストンを交換
する。

g00527858

(1)フュエルインジェクションポンプドライブギヤ
(2)アイドラギヤ
(3)カムシャフトギヤ
(4)フュエルインジェクションポンプドライブギヤナット
締付トルク …………………… 83∼98N・m(8.5∼10.0kgf・m)
(5)クランクシャフトギヤ

注記:タイミングギヤの合わせマークが合っているか確認する。

g00524492

(A)No.1トップ圧縮リングの合い口隙間
(B)No.2中間圧縮リングの合い口隙間
(C)オイルコントロールリングの合い口隙間
(X)エンジンブロックのカムシャフト側
(Y)エンジンの燃焼室側

ピストンリングを上図の様に配置する。

g00527864
アイドラギヤ
(2)

ダイヤルインジケータを上記の様に取り付け,アイドラギヤ(2)
を前後に回転させて,バックラッシュを測定する。バックラッ
シュが使用限度を超える場合,アイドラギヤを交換する。表12参
照。

28 整備基準
表12

アイテム 標準組立寸法 使用限度(1)

アイドラギヤの 0.03∼0.17mm 0.25mm


バックラッシュ
アイドラギヤの 0.05∼0.20mm 0.35mm
エンドプレー

アイドラギヤブシュと 0.019∼0.100mm 0.120mm


シャフト間の隙間

(1)使用限度を超えた場合,アイドラギヤを交換する。

g00527912

(7)アイドラギヤブシュの内径
(8)アイドラギヤシャフト

アイドラギヤブシュとアイドラギヤシャフト間の隙間が使用限度
を超えた場合,ブシュを交換する。表12参照。

タイミングギヤカバーの締付トルク
………………………… 29∼41N・m(3.0∼4.2kgf・m)

g00819139
(9)フロントプレート
(6)アイドラギヤボルト ボルトの締付トルク …………… 29∼41N・m(3.0∼4.2kgf・m)

スキマゲージを使用して、アイドラギヤのエンドプレーを測定す
る。表12参照。
アイドラギヤボルトの締付トルク
………………………… 29∼39N・m(3.0∼4.0kgf・m)

29 整備基準
フライホイール リングギヤをフライホイールに取り付ける際の最大許容温度
(トーチは使用しない) ……………………………………… 150℃

注記:リングギヤをフライホイールに圧入する。

フライホイールボルトの締付トルク
………………………… 83±5N・m(8.5±0.5kgf・m)
フライホイールリングギヤの歯数 …………………………… 127

g00529633

(1)フライホイール
フライホイールを定盤の上に置き,ダイヤルインジケータで
平面度を測定する。
組立標準 ………………………………………………… 0.15mm
修理限度 ………………………………………………… 0.50mm

注記:修理限度を超える場合は,フライホイールを再研磨する。

g00529634

(2)ダイヤルインジケータでフライホイール面のふれを測定す
る。
最大許容ふれ量 ………………………………………… 0.15mm
修理限度 ………………………………………………… 0.50mm

注記:修理限度を超える場合,フライホイールを再研磨する。

30 整備基準
クランクシャフトプーリ

g00819686

クランクシャフトプーリ
締付トルク ……………………… 490±10N・m(50±1.0kgf・m)

ベルト張力表

注記:スプリングの負荷がかかっているテンショナのついたベル
トにはこの表は使用しないこと。

ベルト張力表
ゲージの読取値 Borroughs社 ゲージナンバ
ベルトサイズ ベルト幅
一回目のベルトの張り(1) 中古ベルトの張り(2) 選択ゲージナンバ

3/8 10.72mm 445±22N(45.4±2.2kgf) 400±22N(42.0±2.2kgf) BT-33-97

1/2 13.89mm 534±22N(54.5±2.2kgf) 400±44N(42.0±4.5kgf) BT-33-97

エンジンから一番遠いベルトの張りを測定すること。

(1)一回目のベルトの張りとは新品のベルトを言う。
(2)中古ベルトの張りとは定格回転数で30分以上使用したベルトを言う。

31 整備基準
オルタネータベルトの調整 オルタネータ及びレギュレータ

g00530808 g00530887

(1)ボルト (1)オルタネータプーリナット
プーリ間のベルト中間部に圧力を加えベルトの張り具合を点 締付トルク ………………… 132∼162N・m(13.5∼16.5kgf・m)
検する。 張り具合が不適切な場合,ボルト(1)でオルタネー
タを調整する。 極性 ……………………………… ネガティブグラウンド
回転方向 ………………………………… プーリ側から見て右
正常にファンベルトを張った場合のたわみ 試験速度(rpm)…………………………………………… 5000rpm
………………………………………… およそ12.0mm 出力電圧 ……………………………………………… 28.5±0.5V
定格出力 ……………………………………… 35A または 50A

32 整備基準
スタータモータ エンジンオイルプレッシャスイッチ

g00762432
エンジンオイルプレッシャスイッチ

締付トルク ……………………… 7∼12N・m(0.7∼1.2kgf・m)

g00530889 エアインレットヒータ

(1)ターミナルナット マニホールドにエアインレットヒータを固定している4本のボル
締付トルク ……………………… 11±1N・m(1.1∼0.1kgf・m) ト
ドライブ側から見た回転 …………………………… 時計方向 締付トルク ……………………… 28±7N・m(2.9±0.7kgf・m)

無負荷時
速度 ………………………………………… 3300rpm以上
電流(アンペア)………………………………………… 85A以下
電圧(V) ……………………………………………………… 23V

冷却水温度スイッチ

g00389494
冷却水スイッチ

締付トルク ……………………… 21∼24N・m(2.1∼2.4kgf・m)

33 整備基準
FORM SJNR5545-07A
PRINTED IN JAPAN CATERPILLAR(キャタピラー)
及びCATはCaterpillar Inc.の登録商標です。

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