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園学研.(Hort. Res.

(Japan)) 19 (1):83–88.2020. 新技術


doi: 10.2503/hrj.19.83

魚眼レンズを装着したデジタルカメラと画像処理ソフト「Fiji-ImageJ」を用いた
生食用ブドウ品種の葉面積指数の推定

濱田美智雄 *・白石美樹夫
福岡県農林業総合試験場 818-8549 福岡県筑紫野市大字吉木

Estimation of Leaf Area Index of Table Grapes Using a Digital Camera Equipped
with Fisheye Lens and the Image Processing Software “Fiji-ImageJ”
Michio Hamada* and Mikio Shiraishi
Fukuoka Agriculture and Forestry Research Center, Chikushino, Fukuoka 818-8549

Abstract
Using a digital camera equipped with a fisheye lens and the image processing free-software “Fiji-Image J”, we developed a
new protocol for determination of the leaf area index (LAI) of table grapes with the same level of measurement accuracy as the
plant canopy analyzer (PCA). A regression analysis between the leaf width (X) and single leaf area (Y) indicated highly signifi-
cant values (Y = 0.5716X2.0425, R2 = 0.99**). A highly significant correlation was obtained between the actual LAI and the LAI
measured by PCA (r = 0.964**). Regarding “Fiji-Image J”, we performed the following three-step image processing: (1) R-, G-,
and B-separation of the original image taken, (2) correction of the three separated images by “Subtract background algorithm”
and “Minimum” threshold treatment mode, (3) calculation of cumulative vegetation rate in the three images. As the range of LAI
values was 1 to 4, a highly significant linear correlation was noted between the cumulative vegetation rate (X) and actual LAI
(Y): Y = 0.0769X − 18.325, R2 = 0.82**.

Key Words:leaf width, regression, RGB image, single leaf, threshold treatment

キーワード:RGB 画像,閾値処理,回帰,個葉,葉幅長

1.技術開発の背景 よる LAI の測定の際には,透過光の向きや日射量などの測


葉面積指数(Leaf Area Index,以下 LAI)とはある植物群 定環境の設定に配慮する(林ら,1994; Watanabe ら,1997)
落の葉の総面積をその栽培圃場の面積で除した値で,光合 ことに加えて高額な精密機器であることから,生産現場で
成のための受光効率に関わる,ブドウ栽培において高品質 の LAI 測定法として活用が進んでいない.さらに,間接
果実生産のための重要な指標である.LAI を活用したブド 法に包含される葉影率(白石ら,2012; 宇土,2015)に基づ
ウの栽培研究は国内外で多くの報告がある(安藤ら,1985; く LAI の簡易推定は,迅速性はあるものの測定者による
Dokoozlian・Kliewer, 1995; 森田,2001; 白石ら,2012; Smart, 判定誤差と棚構造物や枝などの葉以外の影響要因が補正で
1985; 高橋,1986; 上林ら,2014; Williams・Ayars, 2005).上 きない点に課題がある.
記報告における LAI の推定では,解体調査による葉面積 立石ら(2012)はハウス栽培ブドウの‘デラウェア’を
測定や新梢長と葉面積との回帰分析に基づく直接法と,光 用いて,PCA の測定原理を応用した魚眼レンズ装着のデ
学的に計測する間接法に大別される. ジタルカメラによる LAI 推定法を報告している.本法で
直接法では多大な労力と時間を要するため,迅速なかつ は,他のブドウ品種への適用性が不明であることと専用画
多くの LAI の測定が行えない.一方,間接法では透過光 像解析プログラム LIA for Win32(山本,2003)が必須であ
に着目した Plant Canopy Analyzer(以下 PCA)による LAI 測 ることから,より汎用性の高い LAI 推定法の開発が必要
定が,イネ(岩谷ら,1997),ダイズ(山本ら,1995),スギ と考えられる.
(玉泉ら,1994),ブドウ(Grantz・Williams, 1993; Johnson・ 本研究では,立石ら(2012)と同様な観点から,福岡県
Pierce, 2004; Watanabe ら,1997)で行われている.PCA に の主要生食用ブドウ品種の‘巨峰’,
‘ピオーネ’および
‘シャインマスカット’を対象として,近年,生命科学系
分野を中心に利用されており(Collins, 2007),植物体の形
2019 年 4 月 13 日 受付.2019 年 8 月 19 日 受理.
状評価や成長解析などの農学研究における適用例が報告
本報告の一部は園芸学会平成 29 年度秋季大会および平成 30 年
度秋季大会で発表した. されている(矢部ら,2016)オープンソースソフトウェア
* Corresponding author. E-mail: m-hamada@farc.pref.fukuoka.jp である「Fiji-ImageJ」を用いて PCA による実測値と同程度

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の精度で LAI を推定する手法について開発したので報告 撮影は立石ら(2012)の報告に基づき,魚眼レンズ装着デ


する. ジタルカメラ(EX-FR200,カシオ計算機(株))のレンズ
2.技術開発の概要 部分が棚下 1 m になるよう三脚で固定して撮影した(ホワ
1)材料および方法 イトバランス,露出制御および ISO はオートモード,絞り
(1)個葉の葉面積測定法の検討(実験 1) 値 F2.8).本試験において魚眼レンズを装着したデジタル
2016 年の福岡県農林業総合試験場(以下,福岡農林総 カメラを用いることで,ブドウ樹の LAI 解析対象の全天
試)において,無加温およびトンネル作型の‘巨峰’,
‘ピ 空画像を容易に取得することが可能である.得られた LAI
オーネ’, (いずれも Kober5BB 台
‘シャインマスカット’ 解析対象の画像(以下,原画像)データは,
「Fiji-ImageJ」
8 ~ 13 年生)の短梢一文字仕立て樹を用いた.長さの異な により原画像データ(R,G,B)をそれぞれ R,G および B
る新梢および副梢から発生した個葉について,各作型・品 画像に分割処理した(第 2 図).次に,R,G および B の各
種 3 樹から無作為に完全展葉した成葉 100 枚程度を採取し 画像に対して棚面における葉の面積率(以下,植被率)を
た.採取したすべての葉の葉身長および葉幅長を室内で測 それぞれ算出した(第 2 図).
定し,スキャナー(GT-F730,セイコーエプソン(株))を さらに,試験対象エリアごとに解体調査を行って LAI
用いて画像の取込みを行った.スキャナーの読み取りモー を算出した.LAI の算出は,Johnson・Pierce(2004)に準じ
ドはカラー,ドット密度 400 dpi,TIFF 形式とした. て試験対象エリアすべての葉を採取して総重量を測定後,
個葉の葉面積測定では,画像解析ソフトとして「Fiji- 採取した一部の葉の重量と LA(実験 1 で得られた個葉の
ImageJ」
(http://fiji.sc/)を用いた.本ソフトは,アメリカ国 LA 推定式)から単位重量当たりの LA 換算式を作成した.
立衛生研究所(NIH)が開発したフリーソフトウェアであ この換算式を用い,試験対象エリア全葉の総重量から比例
る.スキャナーにて対象個葉と併せてスケールを取り込み 計算した総 LA を試験対象エリア面積で除して求めた.
(第 1 図)
,画像データを「Fiji-ImageJ」の「Set Scale」ダイ 2)結果および考察
アログにより,1 cm 当たりのピクセル数を設定し,個葉 (1)個葉の葉面積測定法の検討
の葉面積(Leaf Area,以下 LA)を求めた. 供試した 3 品種の葉身長および葉幅長について,
「Fiji-
「Fiji-ImageJ」を用いた LAI 推定方法の検討(実験 2)
(2) ImageJ」により求めたそれぞれの個葉の LA との関係を第
2017 年の福岡農林総試において,無加温作型の‘巨峰’, 3 図に示した.葉身長(X1)および葉幅長(X2)に対する個
‘ピオーネ’, (いずれも Kober5BB
‘シャインマスカット’ 葉の LA(Y)との間には累乗近似関係が認められ,それ
台 9 年生)の短梢片一文字仕立て樹を用いた.棚面をすべ ぞれ Y = 0.7464X12.1653(R2 = 0.97**)および Y = 0.5716X22.0425
て葉で被覆された条件とするため,樹間は 2 m で摘心を行 (R2 = 0.99**)の回帰式が得られた.これら回帰式の平均
わずに新梢を伸長させた. 平方二乗誤差(以下 RMSE)および赤池情報量基準(以
摘葉処理により LAI 水準の異なる試験対象エリア(2 m × 下 AIC)を比較すると,ブドウ個葉の LA 推定では葉身長
2 m,一部 2 m × 1.5 m)を 1 樹当たり 2 区設定し,品種当た (RMSE = 24.3,AIC = 53.7)よりも葉幅長(RMSE = 11.0,
り 3 ~ 4 樹 を 供 試 し た.LAI 測 定 は PCA(LAI-2000,LI- AIC = 51.3)測定の予測精度が高かった.
COR)を用いて散乱光が卓越する条件下(曇天日または早 本研究と同様に,ブドウ個葉の LA は葉身長および葉幅
朝:山本ら,1995)で行った. 長のいずれとも正の相関関係を示すが,回帰式の決定係数
LAI の測定後,速やかに LAI 解析対象画像を撮影した. は葉幅長のほうが高い(Gonzalo・Kliewer, 1983; 岡山県農
林水産総合センター,2007).また,高橋(1986)は,室
内で正確に測定した条件下では,葉幅長の推定精度が高い
ことを明らかにしていることから,実験 2 では葉幅長を用
いたブドウ個葉の LA 推定を行った.
「Fiji-ImageJ」を用いた LAI 推定方法の検討
(2)
‘巨峰’,
‘ピオーネ’および‘シャインマスカット’につ
いて,供試した 3 品種の試験対象エリアの解体調査による
LAI 値(以下,解体調査 LAI 値)と PCA による LAI 測定値
(以下,PCA 測定値)との関係を第 4 図に示した.解体調
査 LAI 値と PCA 測定値との間には,高い正の回帰関係が認
められた(R2 = 0.93**).Grantz・Williams(1993),Watanabe
ら(1997)および Johnson・Pierce(2004)がブドウの樹冠
構造や透過光などの測定条件が適正な場合,PCA 測定値
は解体調査 LAI 値との関係は一致性が高くなることを報
第 1 図 画像取込みするブドウ個葉 告しており,同様の結果が得られた.
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第 2 図 LAI(Leaf Area Index)解析対象画像から R,G および B 画像に対する分割処理とそれぞれの画像に対する補正植被率の


算出フロー(R,G,B 各画像の自動閾値補正モードは Minimum 設定で,それぞれ 220,216,202)

第 3 図 供試した 3 品種の葉身長(左)および葉幅長(右)と葉面積(LA)との関係
**:1%水準で有意

「Fiji-ImageJ」を用いて,それぞれの LAI 解析対象


次に, 度を評価した結果,
「Minimum」モードを用いることで最
画像から植被部と空隙部を分離する閾値補正条件の検討を も効率良く植被部と空隙部が分離できた(データ略).し
行った.閾値補正について,Rich ら(1993)は輝度値(R・ かし,LAI 水準が 1 程度と低い場合,
「Minimum」モード
G・B のデジタル値の平均値)について,画像ごとに最適 単用では棚面の構造物や枝などが植被部と認識される事
な閾値を決定し,閾値よりも明るい部分(輝度値 > 閾値) 例が認められた.そこで,これらの影響を排除するため,
を空隙と見なすとしている.しかし,本法は閾値決定の際 「Fiji-ImageJ」に 組 み 込 ま れ て い る「Subtract Background」
に経験的・主観的な判断を必要とするうえに画像ごとに設 アルゴリズムを用いて葉の部分と棚面の構造物および枝
定する必要があるため,多くの画像処理には適さない.そ に分離処理した画像を得た.次に,その画像を上述の
こで本研究では,
「Fiji-ImageJ」に組み込まれている自動閾 「Minimum」モードで補正した R,G および B 画像の植被率
値補正機能について比較し,ブドウ樹の LAI 推定に最適 を自動計算した.ここでは,PCA 測定値が 2.3 の場合,R,
な補正モードについて検討した. G および B 画像の補正植被率はそれぞれ 92.1%,92.5%お
本解析に用いたすべての R,G および B 画像に対し,17 よび 92.2%と自動計算される(第 2 図).従って,PCA 測
種類の自動閾値補正機能による植被部と空隙部との分離程 定値に対する累積植被率は,補正処理をした 3 分割画像の
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第 4 図 供試した 3 品種における PCA 測定値と解体調査 LAI 第 5 図 供試した 3 品種における LAI 解析対象エリアの累積


値との関係 植被率(補正前および補正後)と解体調査 LAI 値との
**:1%水準で有意 関係
図中 1 : 1 線は,PCA 測定値 = 解体調査 LAI 値を示す **:1%水準で有意

合計値である 276.8%となる.なお,棚面の構造物や枝の
面積率は,元となった R,G および B 画像の植被率を算出
した際の閾値と同値とし,元の植被率から棚面の構造物や
枝の面積率を除算した値を補正植被率とした.
供試した 3 品種のそれぞれの LAI 解析対象エリアの累
積植被率(補正前および補正後)と解体調査 LAI 値との間
には,いずれも有意な一次回帰関係が認められたが,補
正後の回帰式:Y = 0.0769X − 18.325,Y = 解体調査 LAI 値,
X = LAI 解析対象エリアの累積植被率,R2 = 0.82**)におい
て LAI 推定の精度の向上が認められた(第 5 図).以上の
「Fiji-ImageJ」を用いて LAI 解析対象エリア
検討結果から,
の原画像を R・G・B の 3 画像に分割後,補正処理して得
られた 3 画像の累積植被率(252 ~ 285%)の一次回帰によ 第 6 図 供試した 3 品種における 2 種類の LAI 推定法による
り,LAI 水準 1 ~ 4 を PCA 測定値と同精度で推定できた. 推定値と PCA 測定値との関係
**:1%水準で有意
従来の棚下に投影される葉影率に基づく LAI 推定法(安
図中 1 : 1 線は,LAI 推定値 = PCA 実測値を示す
藤 ら,1985; 茂 原 ら,1987; 白 石 ら,2012)で は, 葉 影 率 *1 は,LAI 解析対象画像(原画像)を RGB 分割後,自
43 ~ 95%に対して LAI 水準は 1.5 ~ 3.0 が適用範囲となっ 動閾値法(Minimum)による LAI 推定法により算出
*2 は,LAI 解 析 対 象 画 像(原 画 像)を 8 bit グ レ ー ス
ており,3 以上の LAI 値を推定することが困難である.
ケール変換後,二値化処理による LAI 推定法により
本研究においても,当初は LAI 解析対象エリア(原画 算出
像)を 8 bit グレースケール変換・二値化して植被率を求め
‘シャインマスカット’の LAI-1.8 が植被率 83%,
た結果, ルカメラにより撮影された RGB 画像から R・G・B 画像に
LAI-2.4 が植被率 90%,LAI-3.2 が植被率 97%であり,本 分離・二値化後,元の RGB 画像との合成画像を比較・演
解析法では,葉影率と同様に解析対象エリアの LAI が 3 以 算する手法によって水稲葉色が評価できるとしている.ま
上の水準を示す場合,植被率がほぼ 100%となって飽和し た,源野・小林(2017)はリンゴ樹の果実生育情報を自動
て し ま う こ と が 課 題 で あ っ た(デ ー タ 略). こ の た め, 抽出する手法として,RGB 画像から G および B 画像に着
LAI 解析対象エリアの原画像を R・G・B の 3 画像に分割 目した GBVI(Green-Blue Vegetation Index)を提案し,葉
後,補正処理して得られた 3 画像の累積植被率による LAI 領域の抽出を可能としている.いずれの報告も葉の分光透
推定法は,当初の 8 bit グレースケール変換・二値化して 過特性に注目しており,本研究においても同様な観点か
植被率による LAI 推定法より精度の向上を図ることが可 ら,棚面上のブドウ樹の葉色や葉の重なり程度の違いを分
能となった(第 6 図). 光透過特性の差として区別するために R・G・B の画像分
千田ら(2015)は,イネ‘コシヒカリ’を対象にデジタ 割処理を行い,棚面の植被率を補正・統合評価して算出す
園学研.(Hort. Res. (Japan)) 19 (1):83–88.2020. 87

る新しい LAI 推定法を開発した.本法では,撮影条件(曇 千田野風生・韓 東生・渡邊 肇・高橋能彦.2015.デジ


天日または,晴天日においては,太陽高度が低く,散乱光 タルカメラを利用した水稲群落葉色の評価法.日作
が優勢となる日の出や日没付近)や撮影位置などを一定に 紀.84: 432–438.
した条件でブドウ棚面のデジタル画像を撮影・保存してお Collins, T. J. 2007. ImageJ for microscopy. BioTechniques
けば,
「Fiji-ImageJ」をインストールしたタブレット端末あ 43(Suppl): 25–30.
るいはスマートフォン機器を使用して高精度な LAI 値が Dokoozlian, N. and W. M. Kliewer. 1995. The light environment
容易に得られるため,生産現場における着果量調節や経時 within grapevine canopies. II. Influence of leaf area density
的な成長解析への活用が期待できる. on fruit zone light environment and some canopy assess-
3.開発技術の特徴 ment. Am. J. Enol. Vitic. 46: 219–226.
ブドウ栽培において重要な指標である葉面積指数(LAI) 源野広和・小林一樹.2017.大量高精細画像からの果実生
の測定について,魚眼レンズ装着デジタルカメラと画像処 育情報の抽出.農業情報研究.26: 100–114.
理ソフト「Fiji-ImageJ」を用いた新たな LAI 推定法を開発 Gonzalo, S. R. and W. M. Kliewer. 1983. Estimation of leaf area
した.本法は,魚眼レンズ装着デジタルカメラと画像処理 of two grapevine cultivars (Vitis vinifera L.) using laminae
ソフト「Fiji-ImageJ」の簡易な機材の使用により,棚面上 linear measurements and fresh weight. Am. J. Enol. Vitic.
のブドウ樹の葉色や葉の重なり程度の違いを分光透過特性 34: 221–226.
の差として評価するため,撮影したデジタル画像をソフト Grantz, D. A. and L. E. Williams. 1993. An empirical protocol
上で R,G および B の 3 画像に分割処理し,葉群と葉間隙 for indirect measurement of leaf area index in grape (Vitis
(棚構造物や枝など)を区別する補正操作を通じて得られ vinifera L.). HortScience 28: 777–779.
た棚面の累積植被率(R・G・B の各画像の補正植被率の 林 公彦・姫野周二・吉永文浩.1994.群落構造解析装置
合計値)を算出することで,従来の PCA による方法と同 を用いた棚栽培果樹の葉面積指数の非破壊的測定.九
等の精度で LAI を推定することが可能である.別途作成 州農研.56: 235.
した一次回帰式により 252 ~ 285%の累積植被率は,LAI 岩谷 潔・山本晴彦・早川誠而.1997.葉緑素計とプラン
水準 1 ~ 4 の PCA 測定値に相当する. トキャノピーアナライザーを用いた水稲の収量構成要
素の推定.日本作物学会中国支部研究集録.38: 86–
摘  要 87.
Plant Canopy Analyzer(PCA)実測値と同等の測定精度 Johnson, L. F. and L. L. Pierce. 2004. Indirect measurement
で生食用ブドウの葉面積指数(LAI)推定を行うために, of leaf area index in California North Coast vineyards.
魚眼レンズ装着デジタルカメラと画像処理ソフト「Fiji- HortScience 39: 236–238.
ImageJ」を用いた新しい手法を開発した.個葉の葉幅長 森田 昭.2001.ブドウ浜崎系‘巨峰’ウイルス無毒樹に
(X)に対する葉面積(Y)の回帰は有意に高かった(Y = おける高品質果実の安定生産技術の確立.長崎果試研
0.5716X2.0425,R2 = 0.99**).解体調査 LAI 値と PCA 測定値と 報.8: 15–44.
の間には有意に高い回帰関係が認められた(r = 0.964**). 岡山県農林水産総合センター農業研究所.2007.ブドウの
「Fiji-ImageJ」では 3 段階の画像処理を行った:(1)撮影し 葉面積換算表の作成.平成 18 年度試験研究主要成果
た原画像の R,G および B 画像への分割処理,
(2)
「Subtract (果 樹 部 門).
〈http://www.pref.okayama.jp/norin/nousou/
Background」ア ル ゴ リ ズ ム と 自 動 閾 値 補 正 モ ー ド の noushi/seikaPDF/H18/18kaju-5.pdf〉.
「Minimum」を用いた 3 画像の補正処理,
(3)補正された Rich, P. M., D. B. Clark, D. A. Clark and S. F. Oberbauer. 1993.
3 画像個々の植被率を合計した累積植被率を算出.LAI 水 Long-term study of solar radiation regimes in a tropical
準 1 ~ 4 の範囲において,累積植被率(X)に対する解体 wet forest using quantum sensors and hemispherical
調査 LAI 値(Y)の間には高い線形回帰関係が認められた photography. Agric. For. Meteorol. 65: 107–112.
2
(Y = 0.0769X − 18.325,R = 0.82**). 茂原 泉・柴 寿・木原 宏・泉 克明.1987.ブドウ巨
謝 辞 本論文の作成に当たって有益なご助言をいただ 峰の赤熟れに関する研究.長野中信農試報.5: 45–59.
いた農研機構果樹茶業研究部門ブドウ・カキ研究領域栽培 白石美樹夫・林 秀典・上野俊人.2012.葉影率から推定
生理ユニットの杉浦裕義氏に深く謝意を表します.また, した LAI に基づく露地栽培ブドウの着果量調節事例.
研究期間中の圃場管理に尽力いただいた技術専門職員なら 園学研.11: 127–136.
びに日々雇用職員の方々に感謝いたします. Smart, R. E. 1985. Principles of grapevine canopy microclimate
manipulation with implications for yield and quality. A
引用文献 review. Am. J. Enol. Vitic. 36: 230–239.
安藤栄寿・佐藤孝宣・新野 清.1985.ブドウ(巨峰)の 高橋国昭.1986.ブドウの適正収量に関する研究.島根農
ハウス栽培に関する研究.山形園試研報.4: 18–25. 試研報.21: 1–104.
88 濱田美智雄・白石美樹夫

玉泉幸一郎・小林 元・齋藤 明.1994.スギ林冠内にお vines. J. Japan. Soc. Hort. Sci. 66: 235–244.


ける光環境と葉面積指数の季節変動.日林誌.76: Williams, L. E. and J. E. Ayars. 2005. Grapevine water use and
465–467 the crop coefficient are linear functions of the shaded area
立石欣也・山本晴彦・岩谷 潔・土谷安司・倉橋孝夫・門 measured beneath the canopy. Agric. For. Meteorol. 132:
脇 稔・金子奈々恵.2012.ハウス栽培におけるブド 201–211.
ウ‘デラウェア’のデジタルカメラを利用した葉面積 矢部志央理・上原奏子・吉津祐貴・渡辺 翔・野下浩司.
指数の推定.園学研.11: 251–255. 2016.育種学と農学のこれからを考える 30 ~ フェノ
宇土幸伸.2015.果実肥大成熟期(樹相と糖度,着色). タイピングは頭痛の種? ~ .育学研.18: 67–71.
p. 333–337.ブドウ大事典.農文協.東京. 山本晴彦・鈴木義則・早川誠而.1995.プラントキャノ
上林義幸・大野郁夫・竹内政春.2014.ブドウ「シャイン ピーアナライザーを用いた作物個体群の葉面積指数の
マスカット」の無核栽培における適正着果量.愛知農 推定.日作紀.64: 333–335.
総試研報.46: 123–126. 山本一清.2003.LIA for Win32(LIA32).フリーウェア.
Watanabe, J., M. P. Robert and K. Watanabe. 1997. The evalua- 〈http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~shinkan/LIA32/〉.
tion of an optical method to estimate leaf area of grape-

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