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歴史と文明 第8講

中国の再統一と唐代の文芸
仏教の文化的影響
• 仏教の進展:儒教倫理(家族倫理)を取り込んで中
国化が進む。
• 来世観の変化
伝統的来世観=死後の世界も現世と同じシステム
になっている→現世志向
+仏教的来世観ー地獄・輪廻
ー仏教文学の発展ー庶民にもわかりやすく
仏教を説く
・音韻学の発展 表音文字(サンスクリット)との出会い
反切法
• あらかじめ子音を表す字・母音を表す字を決めてお
き、その組み合わせで音を表す
例 【被切字】 【切上字】 【切下字】
東(トウ・tuŋ)=徳(トク・tɘk)+紅(カウ・*uŋ)
• 後漢末には発明されていた
→佛教の影響?
• 反切の発明:韻を体系的に分析する体制が整う
『切韻』(陸法言)(601) →宋代の『広韻』へ
外国語を表記できないか?
唐:智広《悉曇字記》(8世紀末~9世紀初)
サンスクリット語の音韻について研究
漢語にない音をどうやって表すか
例:二重子音pra 鉢羅二合
長母音 Ū 汚引

サンスクリット語研究
仏典を原典で読みたいという願望から唐代に盛んにな
る。→日本にも伝わる=悉曇学
(『悉曇蔵』 安然(平安期)
隋ー大唐帝国の準備時期
• 隋:北方系漢族による統一→新たな「漢民族」
• 文帝(楊堅)
○「科挙」:唯才是挙→儒教国家の再構築
○律令制
○三省(尚書・門下・中書)六部(吏・戸・礼・兵・刑・工)
• 煬帝:
○大運河の建設
*江南の富の北方への運搬
唐王朝(618~907)
文学 時期 イメージ
史区

建国初期(高祖) 隋の制度の踏襲・・・「隋初の政治に戻す」
初 建国・基盤確立期(太宗) 玄武門の変・貞観の治 律令体制と冊封体制の確立

体制変革期(高宗~中宗) 武周革命ー唯一の女帝(武后) 文臣官僚の進展

盛 極盛期(玄宗) 開元の治ー有能な官僚・新たな経済政策
唐 混乱期(玄宗~肅宗) 安史の乱・地方勢力の擡頭
中 再建期(代宗~肅宗) 税制改革(両税法) 元和の中興 新興官僚の進展

内政混乱期(憲宗~宣宗) 宦官の伸張 官僚・貴族の権力闘争

滅亡期(懿宗~昭宗・哀 藩鎮の専横・黄巣の乱・朱温(朱全忠)へ禅譲
唐 帝)
中華と夷狄・・・中華的世界観

• 北狄

• 西戎 中 華 東夷

• 南蛮
文明は聖人の所産
• 原始時代・・・人は生産を知らず始終餓えや寒さに苦
しむ。礼節を知らず、始終争い、また好き勝手に男
女混じり合う。
ーー自分で自分を傷つける
• 聖人が現れ、生産を教え、学校を作って礼節を教え、
結婚の制度を作って家の秩序を守らせる。
• →「儒家」文明主義:「人の禽獣に異なる所以」
小中華ー周辺民族の芽生え
• 天子を中心にして同心円状に文明の徳が及
んでいく・・・中華を中心とした世界観
• 周辺国 (例 朝鮮諸国 大和朝廷)にも同様
の観念が広がる
• 中国をどう扱うか
ー中華は別格として国内の地方勢力や周辺
国を夷狄として扱う
ー日本=東アジア秩序の不良少年
・・・天皇・日出づる処の天子
六朝文学(再掲)
• 老荘的価値観の受容 (例:招隠詩)
• 修辞技巧と文学理論の発展
*四言詩から五言・七言詩へ
*修辞技巧の研究ー四六駢儷文へ
*文学論の発展
『典論』(曹丕)「文は経国の大業」
『文賦』(陸機)ー文学のジャンル分け
『文心雕龍』(劉勰)ー総合的文学論
• 「小説」の進展→志怪小説
『捜神記』(干宝)『捜神後記』(陶潜)『幽明録』劉義慶)『神仙伝』(葛洪)
→「冥婚譚」「異類婚姻譚」「動物報恩譚」などさまざまな題材
仏教説話とも関連
• 志人小説-『世説新語』
六朝文学から唐代へ
1:六朝志怪小説:の広がりー仏教説話・唐代伝

*唐代伝奇ー題材の多様化
「人虎伝」「河間伝」
2:詩の形式の広がり(楽府体の発展・題材の
多様化)ー近体詩の確立
晩唐→宋 詞の起こりと発展
唐代ー近体詩の確立
• 唐詩四区分(厳羽『滄浪詩話』)
• 初唐―唐王朝の確立と発展 宮廷詩人と
• 盛唐―玄宗の極盛期 安史の乱の動乱 →人生を考える
• 中唐―官僚層の伸張と政治対立
• 晩唐―王朝の衰退

• 初唐:過渡期の文学:南朝文化(宮体詩―斉梁体)の継承
と反発の中で新たな展開
• 南朝 貴族文化―修辞の美しさの追求:声律研究→律詩

• 北朝 南朝貴族文化+民間歌謡:→絶句へ
cháng 長 chū 出 liǎng 兩 sān 三 gé 隔 yìng 映 jǐn 錦 chéng 丞
shǐ 使 shī 師 zhāo 朝 gù 顧 yè 葉 jiē 階 guān 官 xiāng 相
yīng 英 wèi 未 kāi 開 pín 頻 huáng 黄 bì 碧 chéng 城 cí 祠
xióng 雄 jié 捷 jì 濟 fán 煩 lí 鸝 cǎo 草 wài 外 táng 堂
lèi 涙 shēn 身 lǎo 老 tiān 天 kōng 空 zì 自 bǎi 柏 hé 何

丞相 杜甫
mǎn 満 xiān 先 chén 臣 xià 下 hǎo 好 chūn 春 sēn 森 chǔ 處
jīn 襟 sǐ 死 xīn 心 jì 計 yīn 音 sè 色 sēn 森 xún 尋
長に英雄をして淚襟を滿たしむ

師を出だすも未だ捷たず身先ず死し

兩朝開濟す老臣心

三顧頻繁なり天下の計

葉を隔つるの黃鸝は空しく好音

階に映づるの碧草自から春色

錦官城外柏森森

丞相の祠堂何の處にか尋ぬると
唐王朝の動揺と社会変化
• 玄宗(在712~756) 開元の治
儒学を興し、前代の悪弊を除く
天宝年間から徐々に改革が空洞化 道教に傾倒
• 安史の乱(755)ー安禄山 首都を占拠
→社会の混乱と荒廃
☆土地を基礎とする税方式が成り立たなくなるー租庸
調制から両税法へ
☆貴族の生活基盤の崩壊
• 地方勢力(藩鎮)の権力進展ーもはや中央の統率外→
再分裂への道
• 門閥貴族と新興官僚の激しい政権争い
• 文化ー古文復興運動の進展
新興官僚VS門閥貴族
• 古文復興運動
韓愈 柳宗元→秦漢の旧復する
・・・四六駢儷文 貴族の象徴
• 牛(僧孺)・李(徳裕)の党争
→ただし、明確な党派があったかどうかについては異論もある
官僚・貴族の争い→宦官に主導権を握られる結果に
藩鎮勢力の伸張 国土の混乱ー貴族は壊滅的打撃を
受ける
唐の滅亡
• 宦官の専横
甘露の変 文宗皇帝の意
向を汲んだ李訓が宦官仇
子良排斥を図るも察知され
失敗
• 藩鎮(半独立ともいえる節
度使)勢力の拡大
-907 朱全忠により唐滅亡
・・・五代十国の分裂時代
交代する軍事政権
一方において地方の発展
を促す

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