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リファレンスマニュアル

プロ・オーディオ・ジャパン株式会社

〒224-0021 神奈川県横浜市都筑区北山田4-7-3
Tel: 045-914-3630 Fax:045-913-4432
Web: www.alesis.jp E-mail: alesis.alesis.jp
目次
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 第3章:応用例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
ごあいさつ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 使用上のヒントと裏技 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
HD24のメモリー談義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
FirePort 1394とソフトウェアFST/Connectに
ウィンドウ内の移動とショートカット ・・・・・・・・・・・・・・19
ついて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
Free Space Previewウィンドウ(数字キーの
FirePort 1394とFST/Connectについて ・・・・・・・・・・・・・・3
使用法)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
FirePort 1394とFST/Connectの主な機能 ・・・・・・・・・・・・4
インポート/エクスポート用のトラックを選択
マニュアルの読み方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 する ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
トラックを希望する場所にインポートする ・・・・・・・・・20
安全上のご注意/使用上のご注意 ・・・・・・・・・・6 便利な各種情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
パソコンでFSTドライブの内容を確認する ・・・・・・・・・・20
第1章:使用前の準備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 FST/ConnectとFirePort 1394の起動と
再起動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
FirePort 1394の箱を開く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
名称に使用可能な文字 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
必須条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 名称に使用できない文字 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
システム動作環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

FirePort 1394の接続と解除・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 第4章:トラブルシューティング ・・・・・・・・・・22


最初の接続 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
通常の接続 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
FSTドライブの取り外し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

FST/Connectのインストール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

第2章:操作方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
FST/Connectのメインウィンドウ ・・・・・・・・・・・・・・・・11
Drive(ドライブ)ウィンドウ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
Project(プロジェクト)ウィンドウ ・・・・・・・・・・・・・・・・12
Song(ソング)ウィンドウ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
Transfer(トランスファー)ウィンドウ ・・・・・・・・・・・・・12
Format(フォーマット)ウィンドウ ・・・・・・・・・・・・・・・・・14

プルダウンメニュー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
Drive(ドライブ)メニュー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
Project(プロジェクト)メニュー ・・・・・・・・・・・・・・・・・15
Song(ソング)メニュー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
Transfer(トランスファー)メニュー ・・・・・・・・・・・・・・16
Help(ヘルプ)メニュー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

エクスポートとインポートの基本操作 ・・・・・・・・・・・16
SD2ファイルのエクスポート/インポート ・・・・・・・・・・16
DIG/SDファイルのインポート/エクスポート ・・・・・・・17

2 ADAT HD24 FirePort 1394


はじめに

ごあいさつ FirePort 1394とソフトウェア


FST/Connectについて
このたびは、FirePort 1394をお買い上げいただきまして、あ
りがとうございます。FirePort 1394は、Alesisのハードディ Alesis FirePort 1394は、ADAT HD24ハードディスクレコーダー
スクレコーダーADAT HD24をグレードアップするためのオプシ の機能を補完するための製品です。この製品をIEEE 1394規格
ョンです。1984年以来、当社はオーディオ業界において真にク の端子(FireWireとも呼ばれます)に接続すれば、ADAT FSTハー
リエイティブな製品の設計と製造を続けてまいりました。多く ドディスクとコンピューターとの間で、超高速かつ正確なオー
のクリエイターの方々から、製品に対する称賛の声がよせられ ディオデータの転送が可能となります。オーディオトラックの
ており、当社では自社製品を誇りに思っております。 転送速度は、10-BaseTイーサネットの約40倍に相当します。ま
た、お気に入りの編集システムを使ってトラックを自由に編集
当社の目標の1つは、どなたにでもご利用いただける高品質な した後で、データをそのまま超高速でADATに戻す、といった操
電子楽器/音響機器をご提供することです。そのためには、マ 作も可能です(これについては後述します)。
ニュアルが重要な役割を担っています。このリファレンスマニ
ュアルでは、お客様がFirePort 1394の機能を簡単に理解し、 ADATの登場よりマルチトラック録音に革命をもたらしたAlesis
記憶していただけるように心がけています。それぞれの機能が は、ハードディスクレコーダーADAT HD24においても、価格破
うまく説明できていなければ、お客様が性能を十分に活かすこ 壊という革命を実現しました。FirePort 1394の登場により、
とはできません。そのため、当社では製品と同様マニュアルに HD24の持つ高品質/可搬性と、お気に入りのオーディオ編集ソ
対しても細心の注意を払っています。 フトの持つDSP処理能力とを併用することが可能になりました。

このマニュアルの目標は、素早く、最小限の労力で必要な情報
が得られることにあります。当社ではその目標が達成されるこ FirePort 1394とFST/Connectについて
とを願っております。もし不明な点がございましたら、今後の
マニュアル作成の参考にさせていただきますので、ご意見/ご
希望をEメールなどでいただければ幸いです。 ■ 標準規格IEEE 1394とは
FirePort 1394は、標準規格FireWireによる高速なファイル転送
この製品が、幾年もの間、お客様の創造心をかき立て、かつ目
を利用した製品です。従来、楽曲全体のデータを他の機器に転
標到達に役立つことを願っております。
送したり、コンピューターベースのオーディオ編集ソフトから
HD24に戻したりするのに、非常に長い時間を費やしました。こ
Alesis スタッフ一同
れに対してFirePort 1394とFST/Connectソフトウェアを使え
ば、サンプリング周波数48kHzで作成した24トラック構成の楽
曲をある機器から別の機器にデータを転送するのに、楽曲の実
時間よりも短い時間で行えます。

■ 簡単な接続
FireWireケーブルを使ってコンピューターとFirePort 1394
をつなぎ、さらにFirePort 1394をHD24から取り出したハードデ
ィスクのキャディに装着します。後は電源を入れてハードディ
スクが数秒間回転したら、使用できる状態になります。

■ 使いやすいソフトウェア
FST/Connectソフトウェアを使えば、マウスを数回クリックす
るだけで、プロジェクトやソングの新規作成、削除、名称設定、
ハードディスクの名称設定と初期化、あるいはコンピューター
とFSTドライブ間で単一トラックまたはソング全体を転送する、
といった操作が行えます。また、どのサンプリング周波数が選

ADAT HD24 FirePort 1394 3


はじめに

ばれているときでも、FSTドライブの使用可能な残量を一目で テラバイトの容量を持つハードディスクにも対応できるので、
確認できます。さらに万が一の事態に備えて、ソングにライト 将来性も抜群です。
プロテクトをかけることも可能です。これらの機能は、すべて
FST/Connectソフトウェアのメインページで操作できます。 ■ トラックのプレビュー機能
パソコンに適切なサウンドカードさえ装着されていれば、現在
■ 複数のファイルフォーマットに対応 選ばれているサンプリング周波数にかかわらず、トラックをパ
FST/Connectソフトウェアは、最も広く利用されている4種類の ソコン上で個別に、あるいは直接FSTドライブから試聴できま
フォーマットを使ってFSTハードディスクへの読み書きができ す。どのトラックをPCに転送して編集するか、あるいはどのト
ます。対応フォーマットは、wav(Wave 形式)、aif(Audio ラックをFSTドライブに戻してミックスダウンするかを素早く
Interchange File形 式 )、sd2( Sound Designer 2形 式 )、 決定したいときに、便利な機能です。
dig/sd(Sound Designer 1形式)です。その他、トラックを16ビ
ットのオーディオファイルとしてコンピューターに書き出すオ
プションもあります。 FirePort 1394とFST/Connectの主な機能

■ 複数のFirePort 1394の同時使用に対応 1. FireWire接続を利用した超高速なファイル転送


4セットのFirePort 1394システムとFST/Connectソフトウェアを 2. FSTドライブとパソコンとの間で、同時に1~24トラックの
通じて、同時に最高4台のFSTハードディスクをコンピューター オーディオトラックを転送可能
に接続できます。これを行うには、4セットのFirePort 1394
3. .wav、.aif、.sd2、.dig/.sdのファイル形式をサポート
システムを“ディジーチェーン方式”で接続するか、FireWire
端子×4系統を備えたパソコン用のインターフェースカードが 4. ハードディスクの重要情報を含む簡単で使いやすいインタ
必要です。FirePort 1394システムの数が合計で4セットを越 ーフェースにより、プロジェクトやソングを即座に操作で

えさえしなければ、ダイレクト接続とデイジーチェーン接続を きます。

併用することも可能です。 5. 同時に4台までのFSTドライブを接続可能
6. パソコンからFSTドライブのフォーマットが可能
■ プロジェクト×99とソング×99
7. 最大2テラバイトの大容量ハードディスクに対応
最近のハードディスクは、一段と大容量化および低価格化が進
8. ハードディスク別に固有の名称を設定可能
んでいます。しかし、従来は、FSTハードディスクに書き込める
ソング数が最大で64に制限されていました。このため、80ギガ 9. フリースペースプレビュー機能により、ハードディスクの
バイトのハードディスクでも(各ソングの長さを平均で5分半 使用可能残量を一目で確認可能
にしない限り)使い切ることは難しかったのです。 10. 1台のハードディスクに99個のプロジェクトと99曲のソン
そこで朗報です。FSTハードディスクのファイルシステム=バ グを保存でき、大容量の記憶装置にも対応可能(ファイル
ージョン1.10、HD24のOS=バージョン1.10を使用すれば、99曲 システム1.10のみ)
のソングを含むプロジェクトを最大99まで記録できるようにな
11. プロジェクト/ソングの作成、名称設定、削除が可能
ります。ソング数に換算すると、1台のハードディスクに総計
9801曲ものソングを作成できるようになったのです。たとえ多 12. ソング名、プロジェクト名、ハードディスク名は64文字ま
作のソングライターであっても、この曲数を使い切るのは困難 で使用可能(ファイルシステム1.10のみ)
でしょう。また、クライアントの異なるソングを、複数のハー 13. ソングの長さ、トラック数、サンプリング周波数、量子化
ドディスクに分割せずに、まとめて保存しておけるのも、プロ ビット数を簡単に確認可能
ジェクトを使う利点の1つです。
14. マウスを1回クリックするだけでソングのライトプロテク
ト(書き込み保護)が可能
NOTE FST 1.10とFST/Connectのすべての機能を利用するに
15. パソコンまたはFSTドライブからトラック別に試聴できる
は、HD24のOSのバージョンを1.10以上にアップグレー
ドしておかなければなりません。 トラックプレビュー機能を装備

16. パソコンにトラックを書き出す16ビット転送オプションを
装備

FirePort 1394とFST/Connectを使えば、最近の大容量ハード
ディスクを最大限に活用できます。さらに、FirePortは最大2.2

4 ADAT HD24 FirePort 1394


はじめに

マニュアルの読み方
このマニュアルでは、以下の各章に分けて、FirePort 1394と
FST/Connectのさまざまな機能や使用例を説明しています。こ
のマニュアルを一通りお読みになることをお勧めしますが、す
でにコンピューターのソフトウェア/ハードウェアに関する一
般的な知識をお持ちの方は、目次を使って必要な部分を検索す
るといいでしょう。

HINT 使用上のヒントは、この欄のようにアミで囲んで表記
します。

「第1章:使用前の準備」の章では、FirePort 1394をコンピュ
ーターに接続する方法や、FST/Connectソフトウェアをインス
トールする方法について説明します。また、システム必須条件
も、この章に記載されています。

「第2章:操作方法」の章では、FST/Connectソフトウェアの各
機能について詳しく説明します。この章では、ハードディスク
をフォーマットする方法から、名称の設定方法、任意の1トラ
ック(または複数トラック)を選んで転送する方法まで、プロ
ジェクトやソングの関連する機能も含め、すべて説明していま
す。

「第3章:応用例」の章は、
“ヒントと裏技集”とも呼ぶべき内容
になっています。FST/Connectソフトウェアを使って任意のプ
ロジェクトを操作しているときに、起こりうる問題を解決する
ためのさまざまな方法が記載されています。また、Windowsを
使ったFSTドライブのフォーマットに関連する事項(禁止事項
です!)
、およびFST/ConnectやFirePort 1394の起動や再起動に
ついても、非常に詳細な説明がなされています。その他、ハー
ドディスク、プロジェクト、ソングの名称を設定するときに使
用可能な文字の一覧も記載されています。

「第4章:トラブルシューティング」このマニュアルの最後には、
トラブルシューティングが記載されています。FST/Connectの
使用中に何らかの異常が起きたときは、この章をご参照くださ
い。

ADAT HD24 FirePort 1394 5


安全上のご注意/使用上のご注意

このマニュアルでは、不適切な取り扱いによる事故を未然に防ぐための注意事項を、以下のマーク
で表しています。

それぞれのマークの意味は次の通りです。

この表示を無視して不適切な取り扱いをすると、使用者が死亡
または重症を負う可能性が想定される内容を表しています。

このマークは、機器の内部に絶縁されていない「危険な電圧」が
存在し、感電の危険があることを警告しています。

本製品をご使用になるときは、以下の注意事項を
必ずお守りください。

1) ご使用前にこのマニュアルを一通りお読みください。
2) このマニュアルは、お読みになった後も大切に保管しておいてください。
3) このマニュアルに記載された警告や注意事項を厳守してください。
4) 本機の操作方法は、このマニュアルの説明に従ってください。
5) 湿気の多い場所や水気のある場所でのご使用は避けてください。
6) 本体表面は柔らかい布で拭いてください。ベンジンや塗料用シンナーなど
の溶剤は絶対に使わないでください。
7) 本機を設置する場合、このマニュアルの説明に従ってください。
8) 本機を暖房器具その他の高温を発する器具の近くに放置することは避けて
ください。

9) 電源コードの極性の分かれたプラグや、グランドタイプのプラグは正しく接
続してください。極性の分かれたプラグは、片方の端子がもう一方より幅広
になっています。また、グランドタイプのプラグには、2つの端子とグラン
ド用のピンがついています。この幅広の端子やグランド用ピンは安全のため
に用意されたものです。プラグの形状がお使いのコンセントと合わない場合
は、電機技術者にご相談の上コンセントを交換してください。
10) 電源コードを踏みつけたり、無理に曲げたりしないようご注意ください。特
にプラグ部分、コンセント、本機の電源端子の部分にご注意ください。
11) 付属品やアクセサリーはメーカーが指定するもののみをご使用ください。

6 ADAT HD24 FirePort 1394


安全上のご注意/使用上のご注意

12) 本機に使用する手押し車、スタンド、取り付け金具、ラック、置き台はプロ
オーディオ機器や楽器用に設計されたもののみをご使用ください。本機を
設置する場合は、本機に差し込まれたケーブルが原因で、人がケガしたり物
が壊れたりしない場所をお選びください。また、手押し車で本機を移動する
場合は、転倒しないよう十分にご注意ください。
13) 雷雨のとき、長期にわたってご使用にならないときは、電源コードをコンセ
ントから抜いてください。

14) どのような理由であれ、本機が損傷を受けたり正常に動作しなくなったとき
に、お客様ご自身で修理しようとすることは、絶対におやめください。本製
品の修理はプロ・オーディオ・ジャパンサービス部にお任せください。電
源や電源ケーブルが破損したとき、液体を内部にこぼしたとき、本機の上に
物を落としたとき、本機が雨や霧にさらされたとき、本機が正常に動作しな
いとき、本機を上から落としたときは、修理が必要です。
15) 本機が正常に動作している場合、若干の熱を発します。本機をラックにマウ
ントしてご使用になる場合、使用中に十分な換気が保たれていることをご確
認ください。ラック内に大量の熱を発生させる外部機器が設置されている
場合、場所を離してマウントしてください。このような機器の間に挟まれた
状態で本機をマウントすることはおやめください。
16) 本機は、アンプとヘッドフォンやスピーカーと併用したときに、永久に聴覚
障害を起こすほどの大音量を発する恐れがあります。大音量で鳴らしなが
ら長時間にわたって本機を操作することは避けてください。聴覚障害や耳鳴
りを感じたときは、専門医にご相談ください。

使用上のご注意
● 他の電気機器への影響について
電波干渉を受けやすい機器や強い電波を放出する機器の近くで本機を使用
すると、誤動作や雑音などの影響が出る場合があります。この場合は、本機
を影響する機器から十分に離して設置してください。

ADAT HD24 FirePort 1394 7


使用前の準備

FirePort 1394の箱を開く 必須条件


お買いあげいただいたFirePort 1394には、このマニュアル以外 FirePort 1394を使ってHD24のトラックデータをパソコンに転
に、下記の物が同梱されています。 送するのは簡単です。ただし、接続するうえで2つの必須条件
があります。
● FirePort 1394本体
まず、最低1基のFireWireポートを装備したインターフェース
● 片面に突起の付いたブラケットスタンド×4。これはFST
カードを、パソコンに正しく装着する必要があります。複数の
ドライブの設置を安定させ、換気をしやすくするための
FirePort 1394を 使 用 す る と き は 、パ ソ コ ン 側 の 2つ 目 の
“脚”として利用します。もう一方の面には、FSTドライ
FireWireポートにFirePort 1394を接続できます。ただし、最低
ブをしっかり固定するために、くぼみが付いています。
でも 1つの FirePort 1394をパソコンに直接つないてくださ
● FireWireケーブル×1 い。
● +5V/+12V仕様のAC/DC電源アダプター×1と電源コー
ド×1 次に、FirePort 1394に接続するためのFSTドライブが必要で
す。FSTドライブとは、ハードディスクレコーダーADAT HD24
● コンピューターにFST/Connectをインストールするため
用に初期化されたハードディスクを指します。
に必要なファイルを含むCD-ROM×1

HINT 録音された素材をハードディスク上に用意しておく必
要はありません。対応フォーマットの素材であれば、
パソコンからFSTドライブにデータを転送できます。

システム動作環境

3番目に、以下の仕様と同等、またはそれ以上の性能を備えた
IBM-PC互換のコンピューターが必要です。

● FireWire/IEEE 1394インターフェースカード
(既出ですが、
重要なことなので再度確認します)が正しく装着されて
いること
● オペレーティングシステム:Windows XPまたはWindows
2000(Windows MEには対応しておりません)
● 内蔵RAM:64メガバイト以上
● ハードディスクの空き容量:10メガバイト以上
● サウンドカード(オプション)。FSTドライブまたはパソ
コンからトラックを試聴するときに必要

8 ADAT HD24 FirePort 1394


第1章:使用前の準備

3. FireWireケーブルを使って、コンピューター側のFireWire
FirePort 1394の接続と インターフェースカードと、FirePort 1394のFireWireポー
解除 トをつないでください。

4. FirePort 1394にFSTドライブを接続してください。
FirePort 1394をご使用になる前に、4本のブラケットスタン
ドをFSTドライブのキャディに装着してください(下図参照)。 5. FirePort 1394の電源スイッチをオンにしてください。
6. FST/Connectソフトウェアをインストールしてください(10
ページを参照)。

通常の接続

NOTE
警告!
FSTドライブやケーブルを接続する前に、FirePort
ブラケットスタンドを装着すると、FSTドライブはテーブルや 1394の電源がオフになっていることを必ずご確認くだ
さい。
机の表面から若干浮き上がった状態となり、ドライブ周辺の通
気性が確保されるため、使用中のオーバーヒートを防止できま
す。また、このブラケットスタンド(脚)のおかげで、FirePort 前記の操作が完了したら、次にFSTドライブをFirePort 1394
1394を着脱するときにFSTドライブが滑り落ちるのを防げます。 に接続します。

LEDインジケーター 1. FirePort 1394の電源スイッチがオフになっていることを


ドライブのアクセス
デバイス接続用 確認してください。
電源 50ピン
セントロニクス 2. FirePort 1394にFSTドライブを接続してください。
+5V +12V 端子
外部電源端子 3. FirePort 1394の電源をオンにしてください。
4. FST/Connectを起動してください。
電源オン/オフ
スイッチ FSTドライブを交換したときは、この手順は不要です。ドライ
FireWire 1394 ブを交換している間でも、FST/Connectを起動したままにして
端子
おけるからです。

HINT ハードディスクを交換するときは、FST/Connectを終
最初の接続 了する必要はありません。FSTドライブを取り外した
いときは、FST/Connectは起動したままで、以下の操
作を行ってください。

NOTE 警告!
下記の操作を行う前に、FirePort 1394の電源スイッ
チが切られていることを必ずご確認ください。
FSTドライブの取り外し

最初にFirePort 1394を接続するときは、以下の手順で行いま
FSTドライブを停止させてHD24内部に戻したいとき、あるいは
す。
FirePort 1394に別のFSTドライブを接続したいときは、次の
手順に従ってください。
1. FirePort 1394の電源スイッチがオフになっていることを
確認してください。
1. Windowsのコントロールパネルに含まれる“ハードウェア
2. FirePort 1394のExt. +5V +12V DC-INと表記されている の追加と削除”ユーティリティプログラムを使って、ドラ
端子に、電源アダプターの6ピン端子を差し込んでくださ イブのを取り外し操作を行ってください。
い。
なお、この操作の最後で“タスクバーに[取り外し]アイコ
電源アダプターのもう一方の端子は、アース処理された適 ンを表示する”というボックスをチェックしてください。
性な電圧のコンセントに差し込みます。 この操作が必要なのは、FSTドライブを最初に取り外すと

ADAT HD24 FirePort 1394 9


第1章:使用前の準備

きだけです。
FST/Connectのインス
2. カーソルをディスプレイの右下(タスクバー)に移し、下 トール
図のようなアイコンを探してください。
FirePort 1394の“性能”をつかさどる頭脳にあたるプログラ
ムが、FST/Connectです。これは、Alesisにより開発されたソ
フトウェアで、FirePort 1394のパッケージに同梱のCD-ROMに入
っています。

FST/Connectのインストール方法は簡単です。CD-ROMをパソコ
ン に 挿 入 し 、C D ド ラ イ ブ( 通 常 は D ド ラ イ ブ )を 開 い て 、
3. このアイコンをクリックして、下図の文が画面に表示され
setup.exeと呼ばれるファイルを探してください。このアプリ
ることを確認してください。
ケーションファイルをダブルクリックし、画面上の問いに答え
ていくと、InstallShield Wizardが作動し、そのコンピュー
ター上でFST/ConnectとFirePort 1394を連動させるために必
要なファイルが自動的に選ばれます。

4. この文をクリックすると、FSTドライブを“安全に取り外 また、FST/Connectをアンインストールするには、Windowsのコ
すことができます”というメッセージが画面に表示されま ントロールパネルに含まれる“アプリケーションの追加と削除”
す。これは、FirePort 1394の電源を切れる状態になったこ (WindowsXPでは“プログラムの追加と削除”)を使ってくださ
とを表します。 い。
5. FirePort 1394の電源を切ってから、FSTドライブを取り
外してください。 次の図は、FST/Connectを使用するときの典型的な画面を表し
たものです。

10 ADAT HD24 FirePort 1394


操作方法

Driveウィンドウには3つのサブメニューがあります。一番上の
FST/Connectのメイン “Name”メニューでは、右側の矢印部分でプルダウンメニュー
ウィンドウ を表示させ、使用するFSTドライブを選択します。このメニュ
ーは、複数のFirePort 1394を利用するときに使います。
FST/Connectのメインウィンドウは、4つの主要部分に分かれて
おり、2~9種類の機能が含まれています。また、追加機能が利 HINT FSTドライブには、最高64文字の名称を設定できます。
用できる5種類のプルダウンメニューがあります。FST/Connect
FSTドライブの名称やその他の設定は、Driveプルダウ
の操作は、すべてここから始まりますので、ウィンドウとメニ ンメニューで行います。15ページをご参照ください。
ューを1つずつ説明していきましょう。

HINT 2番目と3番目のサブメニューは、Free Space Preview(FSP)


ウィンドウ内の移動とショートカットについて
初めてパソコンをお使いになる方は、 「第3章:応用例」 ウィンドウに含まれています。左の図からも分かるように、小
に記載されている「ウィンドウ内の移動とショートカ さな“Length”ボックスの右側にはプルダウンメニューを表示
ット」の節を確認しておくといいでしょう。この節で
するための矢印がありません。このボックスの値は、下の2つ
は、以前からのWindowsユーザーが慣れ親しんできた、
非常に便利なキーの操作法について記載しています。
のボックスで設定を変えたときに即座に変化するからです。
詳細は19ページをご参照ください。 “At”ボックスでは、録音可能な残り時間の計算に使用する4種
類のサンプリング周波数(44.1、48、88.2、96のいずれか)を
選択します。また“For”ボックスでは、トラック数を指定しま
す。トラック数は(
“At”ボックスで選択したサンプリング周波
Drive(ドライブ)ウィンドウ
数に応じて)、2、6、8、12、16、24の中から選択できます。左
下の図では、サンプリング周波数=48kHz、録音トラック=24
メインウィンドウの左上で矩形に区切られた部分はDriveウィ トラックのときに、録音可能な残り時間が1時間30分17秒とな
ンドウと呼ばれます。この画面の表示は下図のようになります。 ります。

サンプリング周波数が96kHzのときに録音可能な時間を表示さ
せるには、
“At”ボックスの右側をクリックし、メニューから96
を選択してください。仮に作成したソングのサンプリング周波
数が48kHz、トラック数が16または24だった場合、
“For”ボック
ス内の数値が自動的に12に切り替わります。96kHz使用時には
FSTドライブに保存できるトラック数が、最大12トラックに制
限されるからです。しかし、
“Length”ボックスの表示は、左図
の例と同じ数値になります(サンプリング周波数が2倍でトラ
ック数が半分のとき、使用する容量はまったく同等です)。

HINT Free Space Previewウィンドウ内のサンプリング周波


数とトラック数は、数字キーを使って素早く設定でき
ます。詳細は20ページをご参照ください。

このウィンドウでは、選択されているFSTドライブの名称、ファ
イルシステムのバージョン、そのディスクに保存されているプ
ロジェクトの数、録音可能な残り時間を確認できます。

ADAT HD24 FirePort 1394 11


第2章:操作方法

Project(プロジェクト)ウィンドウ HINT ソングは最高64文字の名称を設定できます(ファイル


システム1.10)。ソングの名称その他の設定は、Song
プルダウンメニューで行います。15ページをご参照く
小さいといえども重要な機能を持つウィンドウです。このウィ ださい。

ンドウでは、FSTドライブに保存されている各種プロジェクト
(ソングのセット)を呼び出すことができます。このウィンドウ プロジェクト内で使用するソングを指定するには、他のプルダ
の表示は、次のようになります。 ウンメニューと同じ方法を使います。Nameウィンドウをクリッ
クすると、そのプロジェクトで使用可能な99曲のソングのう
ち、最高9曲のソングが“ポップアップ表示”されます。使用可
能なソング数が9曲を越えるときは、右側にスクロールバーが
表示され、目的のソングを検索できます。

他のウィンドウと同じように、数字キーを使って番号を入力し
て、ソングを呼び出すことができます。また、矢印キーを使っ
て1つずつ順番にソングを切り替えることも可能です。上と左
の矢印キーではソングが1つずつ前に戻り、下と右の矢印キー
では1つずつ先に進みます。さらに矢印キーを押し続ければ、
“Name”と表記されたウィンドウでは、使用するプロジェクトを リスト内を“高速スクロール”できます。
選択します。ハードディスクのファイルシステムが1.10以上な
らば、最大99のプロジェクトが使用できます。プロジェクトを
選択するには、数字キー、矢印キー、またはNameウィンドウの
Transfer(トランスファー)ウィンドウ
右側にあるプルダウンメニューを使います。プロジェクトを呼
び出すたびに、そのプロジェクトに含まるソング数が、上から メインウィンドウの半分以上を占めるTransferウィンドウでは、
2番目のウィンドウに表示されます。 FST/Connectの主要な機能の大半を操作します。このウィンド
ウでは、どのトラックをどんな方法で送信するのか、どこに送
るのか、あるいは書き出すときにどのフォーマットを選ぶのか
Song(ソング)ウィンドウ
などを決定します。このウィンドウの表示は、次のようになり
ます。
すでに説明したように、ファイルシステムが1.10以上であれ
ば、1つのプロジェクトにつき99のソングを作成できます。Song
ウィンドウでは、そのプロジェクト内で使用するソングを選択
します。このウィンドウには、その他に5つのフィールドがあ
り、ソング内のトラック数、ソングの長さ、サンプリング周波
数、ワード長(
“量子化ビット数”とも呼ばれます)の設定や、ラ
イトプロテクトの有効/無効の切り替えが行えます。

12 ADAT HD24 FirePort 1394


第2章:操作方法

それでは、このウィンドウの機能を1つずつ説明していきまし ことを表しています。このフォルダが、エクスポートするトラ
ょう。まずはTransferタブからです。 ックの最終的な転送先となります。

■ Transfer(トランスファー)タブ もし必要ならばの話ですが、インポート/エクスポートフォル

ウィンドウの最上部には、
“adat FST→PC”と“PC→adat FST”と ダ を 切 り 替 え る に は 、2 つ の 方 法 が あ り ま す。1 つ 目 は 、

いう2つのタブがあります。これらのタブは、ファイル転送の Directoryウィンドウの右側にあるプルダウンメニューを使う

方向を決定します。
“adat FST→PC”タブを選択すると、FSTドラ 方法です。プルダウンメニューをクリックすると、最大5種類

イブからコンピューターにトラックの書き出し(エクスポート) の異なるパスが表示されます。これらのパスは、以前にインポ

が行えます。逆に“PC→adat FST”タブを選択すると、コンピ ート/エクスポートフォルダとして選択したものです。

ューターからFSTドライブにトラックの取り込み(インポート)
を行う準備が完了します。 HINT ImportタブとExportタブのそれぞれに対して5種類の
異なるパスがあるため、インポート用としてエクスポ
2つのタブを切り替えるには、どちらか一方にカーソルを合わ ート用とは異なるパスを選択できます。FST/Connect
では、これらのパスは個別に記憶されます。
せてクリックするか、左右の矢印キーを使います。タブを切り
替えると、自動的にPreviewボックスの下のボタンがExportか
らImportへと(またはその逆に)切り替わります。
2つ目は、Directoryウィンドウの右隣にあるBrowseボタンを使
って、新規のインポート/エクスポートフォルダを選択する方
HINT インポート/エクスポートの早わかり方法 法です。Browseボタンをクリックしてから、ハードディスク上
どちらのタブがどんな機能に対応しているのかを覚え
にあるフォルダを指定します。Directoryウィンドウのリスト
るには、FST/Connectの中枢がFSTドライブにあること
を理解しておくと便利です。
に、新しいパスが選択された状態で表示されます。
例えば、FSTドライブを“自国”と見なし、ファイルを
FSTドライブからパソコンへ送ることはデータの“エ もう1つ、Directoryウィンドウの特徴的な部分は、他の細長い
クスポート(輸出)”に相当し、FSTドライブにファイ
ウィンドウとは違い、Directoryフィールド内をクリックしても
ルを転送することはデータの“インポート(輸入)”に
相当すると考えれば、分かりやすくなります。 ディレクトリのリストが“ポップアップ表示”されないことで
す。この操作をすると、ディレクトリパス全体が反転し、2回ク
リックするとDirectoryパスネームにカーソルが移動して、名
前を編集できるようになります。

■ Directory(ディレクトリ)ウィンドウと Browse
(ブラウズ)ボタン ■ 単一トラックの選択方法とプレビュー方法

Transferタブの真下にある細くて小さなバーがDirectoryウィ
ンドウです。このウィンドウには、すぐ下にある大きなTrackウ HINT PC→adat FSTのTransferタブが選択されているとき
ィンドウに関連するファイルのありかを示す“パス”が表示さ に、Trackウィンドウ内に何もファイルが表示されな
いことがあります。この原因としては、ファイルフォ
れます。
ーマットが現在Formatウィンドウ内で選択されている
ものと異なる可能性が考えられます。Browseボタンを
Directoryウィンドウのパス表示は、現在選ばれているTransfer 使ってファイルを検索する前に、別のフォーマットボ
タブに応じて変化するため、注意が必要です。仮に“PC→adat タンを試してみてください。

FST”が選ばれているとすると、パソコン上のフォルダのパス
が表示されます。このフォルダは、FSTドライブにファイルを
Trackウィンドウ内でトラックを選択するには、いくつかの方
取り込むときの転送元となります。これが“インポート”と呼
法があります。簡単なものでは、トラックをクリックする、Tab
ばれる操作です。
キーを使ってカーソルをTrackウィンドウ内に移動させるとい
った方法があります。矢印キーを使ってトラックを選択できる
逆に、12ページの図は、
“adat FS→PC”タブが選択されている場
ようになったら、上または左の矢印キーを押すとトラックリス
合の例です(これが“エクスポート”と呼ばれる操作です)。
ト内の上方向に、下または右の矢印キーを押すと下方向にカー
パソコンに詳しい方ならば、
“ C:\Program Files\Audio
ソルを移動させることができます。
\Demo project”という表示の意味は一目でお分かりでしょ
う。これは、Cドライブ(パソコンの内蔵ハードディスク)上の
単一トラックを選択したら、コンピューターのサウンドカード
“Program Files”というフォルダ内に“Audio”と言う別のフォル
を通じて、その録音内容を試聴できます。このとき、該当する
ダがあり、さらにその中にある“Demo project”というフォル
ファイルがFSTドライブにあるのかパソコンのハードディスク
ダに対して、FSTドライブからトラックがエクスポートされる

ADAT HD24 FirePort 1394 13


第2章:操作方法

にあるのかは、関係ありません。トラックリストにそのファイ タンを使って、4つのオーディオフォーマットの中から1つが選
ルが表示されていれば、試聴が可能です。この操作を行うには、 択できます。
Trackウィンドウの右側にある“Preview”と表記されたボタン
を使います。単一トラックが選択されているときは、ボタンの HINT PC→adat FSTのTransferタブが選択されているとき
中にある三角形が黒くなります。このボタンをクリックすると、
にTrackウィンドウに何もファイルが表示されない場
トラックの再生が始まります。このとき、カウンターがオーデ 合、Browseボタンを使ってファイルを検索する前に、
ィオファイルの現在位置に沿って進んでいきます。 他の3つのフォーマットボタンに切り替えてみてくだ
さい。

NOTE
使 用 す る サ ウ ンド カ ード に よ って は ハ イ レ ート
(88.2kHzまたは96kHz)のファイルが再生できません。
このような再生に関する障害が発生したときは、サウ
■ PC→adat FST
ンドカードの技術情報をご確認ください。 2つのタブのうち、仕組みが単純なこちらのタブから説明しま
しょう。このタブが選択されているとき、Formatウィンドウの
ボタンを使って、表示させたいオーディオファイルのタイプを
■ 複数トラックの選択方法 4種類の中から指定します。つまり、FST/Connectは他の3種類
同時に複数のファイルを選択して、インポートやエクスポート のオーディオファイルを無視しますので、その3種類は画面に
を実行することもできます。すでに単一トラックが選択されて 表示されません。実際には4種類すべてのファイルがパソコン
いる状態で、Shiftキーを押しながら別のトラックをクリック 内の同じフォルダの中に入っていたとしても、Formatボタンで
してください。その2トラック間にあるすべてのトラックが反 選択したタイプのファイルのみが表示されます。
転表示になります。この表示は、Previewウィンドウの下にあ
るボタンをクリックしたときに、エクスポート/インポート可 表示させたいファイルを選択したら、FSTドライブに取り込む
能なトラックを表しています。もちろん、ControlキーとAキー ための転送元として、単体トラックまたは複数トラックを選択
を使って、Trackウィンドウ内の全トラックを選択することも します。
“インポート”を実行すると、該当するオーディオファ
可能です。 イルが、現在のフォーマットからFSTフォーマットへと変換さ
れます。
HINT
試聴ができるのは、単一トラックが選ばれているとき
に限られます。複数のトラックが選択されているとき NOTE 16~18ページにsd2とdig/sdのファイルをインポート
にPlayボタンがグレー表示になるのは、このためです。 する場合の重要な注意点について記載してあります。
ご参照ください。

エクスポートまたはインポートしたいトラックを選択したら、
Previewウィンドウの下にあるボタンを探してください。この ■ adat FST → PC
ボタンには、Transfer ウィンドウの最上部で選ばれている
このタブが選択されているときは、Formatウィンドウのボタン
Transferタブに応じて、
“Export”または“Import”という文字
を使って、FSTトラックをパソコン側のハードディスクに書き
が表記されます。このボタンをクリックすると、転送が開始さ
出すときのオーディオファイルタイプを4種類の中から選びま
れます。パソコンに書き出し(エクスポート)を行う場合、選
す。
択したトラックが、Directoryウィンドウに表示されているフ
ォルダ内に転送されます。FSTドライブに取り込み(インポー
さまざまなオーディオ編集プラットフォームで広く一般的に使
ト)を行う場合、Directoryウィンドウ内に表示されているフォ
われている以下の4種類が選択できます。
ルダが、トラックの転送元となります。

WAV IBM-PC互換コンピューターで最も普及しているオー

Format(フォーマット)ウィンドウ ディオファイル形式です。

AIFF Macintoshコンピューターではよく使われるフォー
マットです。
Formatウィンドウは、実際にはTransferウィンドウに含まれる
サブウィンドウですが、重要な処理を行う箇所なので、見出し SD2 ハイエンドクオリティの音楽やポストプロダクショ
を立てて説明します。Transferウィンドウの最上部でどちらの ンで幅広く使われているSound Designer IIフォーマ
Transferタブが選ばれているかに応じて、パソコンにエクスポ ットです。Macintosh固有のファイルタイプでもあり
ートするときは書き出し先のファイルの種類、またはFSTドラ ます。
イブにインポートするときはTrackウィンドウに表示させるフ DIG/SD Sound DesignerI用に開発されたファイルタイプで
ァイルの種類を選びます。このとき、Formatウィンドウ内のボ

14 ADAT HD24 FirePort 1394


第2章:操作方法

す。16ビットフォーマットでオーディオデータを作
Drive(ドライブ)メニュー
成するのに向いています。このファイルタイプのデ
ータを作成したい場合は、エクスポート時のフォー
マットを16ビットに設定する方法(16ページ)をご参 このメニューには、次の5項目が含まれます。
照ください。
● Select……複数のFirePort 1394を切り替えます。
● Format……FSTドライブを完全に消去(初期化)します。
NOTE
エ ク ス ポ ート さ れ た Sound Designer フ ァ イ ル を ● Upgrade……バージョン1.0のFSTドライブを、データは
Macintoshコンピューターで使用するには、特別な操
そのままでバージョン1.10に変換します。FSTドライブ
作が必要になります。SDファイルの場合は“非単層フ
ァイル”に変換しなければなりません。また、DIG/SD のバージョンが1.10のときは、このメニューはグレー表
ファイルの場合はファイルタイプを変更する必要があ 示となります。
ります。このような操作が必要になるのは、MacとPC
でファイルを処理する方法が異なるためです。詳細は ● Properties……FSTドライブのモデル、容量、名称を表示
16ページをご参照ください。 します。
● Exit……FST/Connectを終了します。

プルダウンメニュー Project(プロジェクト)メニュー

大半のアプリケーションプログラムと同様、FST/Connectのメ このメニューには次の4項目が含まれます。
インウィンドウ上部には、プルダウンメニューが表示されてい
ます。最初の4つのメニューは、メインウィンドウ内部の小さ ● Select……キーを使ってプロジェクトを切り替えます。
なウィンドウに対応しています。
● Create……新規プロジェクトを作成します。

Altキーを押すと、プルダウンメニューの各項目の1文字目に下 ● Delete……プロジェクトとそれに含まれるソングを選択
線が表示されます。この表示は、特定のメニューを呼び出すた して、削除します。
めにどのキーを押せばよいのかを示しています。例えば、Alt+ ● Properties……プロジェクトに名前を付けたり、プロジ
Pを押すと、下図のようにProjectプルダウンメニューが開きま ェクトに含まれるソング数を表示します。
す。

Song(ソング)メニュー

このメニューには次の4項目が含まれます。

● Select……キーを使ってソングを切り替えます。
● Create……新規ソングを作成します。このとき、サンプ
リング周波数とトラック数を設定します。
● Delete……ソングを選択して削除します。
この状態でCを押すと、図のようにサブメニューの“Create”が
● Properties……ソングに名前を付けたり、トラック数、
選択できます。
長さ、サンプリング周波数、ワード長、ライトプロテクト
の状況を表示します。
それぞれのプルダウンメニューでは、Transferウィンドウを除
き、対応するウィンドウに含まれるものとほぼ同等の機能や情
報が利用できます。しかし、どのプルダウンメニューにも、
FST/Connectの他の画面では利用できない機能が含まれていま
す。これらの機能については、次項で説明します。

ADAT HD24 FirePort 1394 15


第2章:操作方法

Transfer(トランスファー)メニュー エクスポートとインポートの
基本操作
このメニューには次の1項目しかありません。
ここでは、エクスポートやインポートに関する重要項目につい
● Options……エクスポートするファイルを24ビットまた て説明します。その大半は、PCとMacintoshの各プラットフォ
は16ビットのどちらのフォーマットにするかを選択しま ームにおけるファイルの処理方法の違いに起因するものです。
す。24ビットのファイルを開けないオーディオ編集ソフ WAVファイルとAIFFファイルを扱う場合はおそらく特殊な操作
トウェアを使っているときは、16ビットを選択してくだ は不要でしょうが、他の2種類のフォーマットについてはお客
さい。FST/Connectを終了した後も、この設定は記憶され 様ご自身が若干の操作を行う必要があります。
ます。

SD2ファイルのエクスポート/インポート
Help(ヘルプ)メニュー

Sound Designer II(SD2)ファイルは、Digidesign社の Pro


このメニューも、次の1項目しかありません。
Toolsをはじめとして、多くのプロ用オーディオソフトウェア
で採用されています。しかし、異なるプラットフォーム間で直
● About……FST/Connectのバージョンを表示します。
接受け渡されたSD2ファイルは、若干修正を加えないと正しく
認識されないことがあります。
■ 名称設定について
ソングやプロジェクトには、最高64文字の名称を付けることが ■ 単層ファイルVS非単層ファイル
できます(ファイルシステム1.10のみ)。特殊文字などの例外
一般的に、Macintoshのファイルにはリソースフォークとデー
を除き、どんな文字や数字や記号でも使用できます。使用でき
タフォークという2種類の領域があります。リソースフォーク
ない文字を入力すると、エラーメッセージが表示されます。
には、データフォークに記録された内容について、Macintosh
本体に伝達するための“ヘッダー情報”が含まれています。
HINT ファイルシステム1.0では、名称に使えるのは10文字
までで、英数字とスペースのみが使用できます。 これに対し、PCのファイルにはリソースフォークはありませ
ん。すべての基本情報は、一連のデータ内に含まれています。
これは、
“単層ファイル(flattened file)”と呼ばれる種類の
ファイルです。ちょうどのべ棒で平らに広げられたパン生地の
ように、すべての情報が単一ファイルの一領域に収録されてい
ます。逆に、2つのフォークを持つMacintoshファイルは“非単
層ファイル(un-flattened file)と呼ばれています。

PCマシンでMacファイルを“PCファイル”として開くには、Mac
ファイルを単層ファイルに変換しなければなりません。逆に、
PCマシンで作成したSD2ファイルを、Macマシンで正しく処理す
るには、非単層ファイルに変換しなくてはなりません。

■ SD2ファイルをMacintoshアプリケーションにエク
スポートするには
最初に、インターネットを使ってMacBinary II+というフリー
ウェアのユーティリティソフトを入手してください。これは、
単層ファイルと非単層ファイルを、ファイルの初期状態に応じ
て相互変換するMac用アプリケーションです。この原稿の執筆
時点では、http://www.mac.org/utilities/macbinaryから入手
可能です。

上記のソフトを入手したら、以下の手順に従って、PC用ファイ
ルをMac用ファイルに変換します。

16 ADAT HD24 FirePort 1394


第2章:操作方法

1. FST/Connectを使って、FSTドライブからファイルをエクス ■ SDファイルをMacintoshアプリケーションにエク
ポートしてください。 スポートするには
このとき、FormatボタンがSD2に設定されていることを確 最初に、Type and Creator ChangerまたはAppleのResEditなど、
認してください。 フリーウェアのユーティリティを用意します。これらのアプリ
2. ネットワーク接続、またはPCとMacintoshの両方で認識で ケーションは、Macファイルのファイルタイプやファイルクリ
きる記憶媒体を利用して、Macintosh本体にファイルを読 エーター情報を変更するものです。
み込んでください。 こ の 原 稿 の 執 筆 時 点 で は 、Type and Creator Changerは
h t t p : / / a l p h a o m e g a . s o f t w a r e . f r e e . f r / 、R e s E d i t は
3. Macintosh内部で、MacBinary II+のアイコンの上に、読
http://www.mac.org/utilities/resedit/で入手可能です。
み込んだファイルをドラッグ&ドロップしてください。
“非単層ファイル”が作成されます。
上記のソフトを入手したら、以下の手順に従って、PC用ファイ
このとき、ファイルクリエーターを変更する必要はありま
ルをMac用ファイルに変換します。
せん。
4. Macintoshのオーディオ編集用アプリケーションでその非
1. FST/Connectを使って、FSTドライブからファイルをエクス
単層ファイルを開いてください。
ポートしてください。
このとき、FormatボタンがDIG/SDに設定されていることを
HINT Macintoshのオーディオ編集プログラムが16ビットフ 確認してください。
ァイルしか開けない場合は、Transferプルダウンメニ
2. ネットワーク接続、またはPCとMacintoshの両方で認識で
ューのオプションで、16ビットを選択しておいてくだ
さい。詳細は16ページをご参照ください。 きる記憶媒体を利用して、Macintosh本体にファイルを読
み込んでください。

3. 上記のユーティリティソフトを使って、対象となるファイ
■ MacintoshアプリケーションからSD2ファイルをイ ルのファイルタイプをTEXTからSFILに変更してください。
ンポートするには ファイルクリエーターを変更する必要はありません。
Macintosh上でオーディオファイルの編集が終ったら、次に編 4. Macintoshのオーディオ編集用アプリケーションでそのフ
集済みのファイルをPCに送り返します。 ァイルを開いてください。

1. Macintosh内部で、MacBinary II+のアイコンの上に、対 HINT Macintoshのオーディオ編集プログラムが16ビットフ


象となるファイルをドラッグ&ドロップしてください。
ァイルしか開けない場合は、Transferプルダウンメニ
“単層ファイル”が作成されます。 ューのオプションで、16ビットを選択しておいてくだ
さい。詳細は16ページをご参照ください。
2. 変換済みのファイルに付けられた3文字の拡張子を“.bin”
から“.sd2”に変更してください。

3. PC互換マシンとMacマシンの両方が認識できるネットワー
■ MacintoshアプリケーションからSDファイルをイ
ク接続または記憶媒体を利用して、PCマシンにファイルを
ンポートするには
読み込んでください。
Macintosh上でオーディオファイルの編集が終ったら、次に編
4. FST/Connectを使って、FSTドライブにファイルをインポー
集済みのファイルをPCに送り返します。
トしてください。

1. Mac用のオーディオ編集ソフトウェアで、
“.sd”という2文
DIG/SDファイルのインポート/エクスポ 字の拡張子が付けられていない場合は、この拡張子をファ
ート イル名の最後に加えてください。
なお、ファイルタイプをTEXTに戻す必要はありません。
2. PC互換マシンとMacマシンの両方が認識できるネットワー
DIG/SDファイル(Sound Designer Iファイル)には、リソースフ
ク接続または記憶媒体を利用して、PCマシンにファイルを
ォークがありません。このため、PCとMacintoshとの間でファ
読み込んでください。
イル交換するときでも、単層ファイルまたは非単層ファイルに
変換する必要はありません。その分操作が簡単になりますが、 3. FST/Connectを使って、FSTドライブにファイルをインポー
代わりに新しい手順が1つ追加されます。 トしてください。

■ インポートに関するその他の注意点

ADAT HD24 FirePort 1394 17


第2章:操作方法

パソコンからFSTドライブにファイルを移す操作は、HD24のソ ン バ ー と し て 認 識 さ れ る 、と い う こ と で す 。 例 え ば
ング間でトラックをコピーする場合と似ています。ペースト元 “Take_5_Vocal.wav”というファイルを16トラックのソングに
の長さが、対象となるソングと同じならば、トラックをペース インポートする場合、FST/Connectはそのトラックを当然トラ
トしてもソングの長さは変化しません。しかし、ペースト元の ッ ク 5 に 置 き 換 え る も の と 判 断 し ま す 。し か し 、
長さよりもソングが短いときは、データを置き換える前にソン “Take_23_Vocal.wav”というファイルを同じソングにインポー
グの長さを延長しなければなりません。 トしようとすると、インポート先のトラックを選択するように
求められます(このソングには、トラック23が存在しないから
HINT です)。
Macユーザーへの注意!
Macintoshからインポートするときは、ファイル名に2
文字または3文字の拡張子(.sd2、.aifなど)を必ず付 NOTE
けてください。これを怠ると、Trackウィンドウ内に
警告!
ファイルが表示されなくなります。
トラックをインポートすると、FSTドライブのインポ
ート先のトラックにデータが上書きされます。インポ
ート操作を始める前に、本当にその操作を実行しても
よいかを必ず確認してください。
ファイルをインポートする場合にも、同じことが当てはまりま
す。FSTドライブ上のソングの長さを、インポート元となるト
ラックと合わせるために延長が必要ならば、FST/Connectが自 注意!
動的にその処理を行います。幸い、インポート元となるトラッ ファイル名にトラックナンバーとは関係ない数字が含
まれていると、FSTドライブの残しておきたいトラッ
クは、オリジナルのトラックを修正したバージョンである場合
クにデータが上書きされ、必要なデータが失われる恐
が多いので、ソングの長さを変える必要はあまりないでしょう。 れがあります。最後に表示される確認の画面には、イ
トラックのインポート操作は、すでにソング側で受け入れる準 ンポート先のトラックが表示されますので、トラック
備が整っているため、エクスポート操作よりも高速に処理でき を実際にインポートする前に、目的のトラックが選ば
れているかどうかを必ずご確認ください。
ます。

そのほか、インポートに関して2つの重要な注意点があります。
第一に、インポート先となるソングのサンプリング周波数は、 同じように、複数のファイルを同時にインポートするときに、
インポート元のトラックのサンプリング周波数と一致していな すべてのファイル名に有効な数字が含まれていると、
ければなりません。一致していなければ、エラーメッセージが FST/Connectはそれぞれのファイルを該当するトラックナンバ
表示されます。 ーへとインポートします。もしいずれかのトラック名に範囲外
の数字が含まれているときは、ファイルをインポートする前に
HINT インポート先のトラックを選択するよう求められます。
インポート/エクスポート機能を使えば、FSTドライ
ブの未使用部分を有効活用できます。詳しくは19ペー
ジをご参照ください。 例として、FSTドライブに16トラックのソングがあり、そのソ
ングのトラック9~24がインポート先として選択されていると
します。Importボタンをクリックしてから“Yes to All”を選択
第二に、インポート先となるソングには、インポート元のトラ すると、トラック9~16は即座にFSTドライブ上のトラック9~
ックを受信するだけのトラック数が必要となります。インポー 16へとインポートされます。次に、トラック17~24については、
ト先を越えるトラック数をインポートしようとすると、同様に FSTドライブの最初の8トラックの中からインポート先を選ぶよ
エラーメッセージが表示されます。 うに求められます。

■ インポート先について お分かりでしょうか? FST/Connectは賢いソフトウェアなの

FST/Connectで、FSTドライブにファイルをインポートするよう で、トラック9~16に対しては、すでにトラックがインポートさ

に操作すると、ファイル名の最後の文字から点検を始め、トラ れていることを知っています。そこで、トラック9~16は、残

ックナンバーに相当する数字がないかどうかを調べます。ファ りのファイル用のインポート先として選ばれないものと判断し

イル名に有効な数字が含まれていれば、FST/Connectは自動的 たわけです。トラック17のインポート先としてトラック1を選

にそのトラックナンバーへとインポートします。しかしここで べば、選択可能な一覧からトラック1が削除されます。

注意すべき点は、ファイル名に数字が含まれていて、その数字
がファイル名の最後だった場合、もしくはファイル名の途中で
あってもそれが唯一の数字だった場合、その数字はトラックナ

18 ADAT HD24 FirePort 1394


応用例

この章では、FST/Connectに関する興味深い点をまとめて紹介 上記の問題を素早く、かつ正確に処理するには、パソコンにす
します。この章は、FST/Connectの操作を短縮するためのヒン べてのトラックをエクスポートし、同じサンプリング周波数の
トや実用的な使用法を記載した「使用上のヒントと裏技」と、 16トラックソングを新規に作成してから、FSTドライブにトラ
パソコン上のWindows環境にFST/Connectを統合する方法につ ックデータを送り返します。これでオリジナルのソングを削除
いて説明する「便利な各種情報」の2部構成となっています。 すれば、ソング全体の長さ×8トラックのオーディオデータが
占有していた容量が節約できます。例えばソングのサンプリン
ぜひお客様ご自身のユニークな使い道を探してみてください。 グ周波数が48kHzで長さが4分間だとすると、どれだけ大量の空
また、他のお客様にも役立つような技を発見したら、当社まで き容量を確保できるか、考えてみてください。
Eメールなどでお知らせください。お寄せいただいた情報は、
最新のマニュアルに記載したり、当社のウェブサイトで発表さ
ウィンドウ内の移動とショートカット
せていただくことがあります。

F S T / C o n n e c t の メ イ ン ウィンド ウ 上 で 作 業 す る と き は 、
FST/Connectを使いやすくするためのキー操作やキー操作の組
使用上のヒントと裏技 み合わせを覚えておくと便利です。

最初に覚えておいていただきたいのは、Tabキーを使って、あ
HD24のメモリー談義
るウィンドウから次のウィンドウへと移行できることです。

ご承知のように、FSTドライブ上にソングを作成するときは、ま また、小さなウィンドウの右端にあるプルダウンメニュー内の
ずソングのトラック数を設定します。HD24では、たとえ1トラ 項目を選ぶために、いくつかの方法が用意されています。
ックに録音するだけでも、未録音のトラック用に、ハードディ
スクの空き容量を確保します。これにはハードディスクの断片 例えば、目的のウィンドウを選択した後は、上下または左右の
化を防止する効果があり、またHD24がロケートポイントからど 矢印キーの組み合わせて、選択項目を増減できます。矢印キー
れだけ離れているかに関係なく、最短時間でトラックにアクセ を押し続けると、選択項目を素早く切り替えられます。
スできるというメリットもあります。
■ ウィンドウの一括表示
しかし、場合によっては、トラック数を必要よりも多めに指定 その他、Altキーを押したまま下向きの矢印キーを押して、そ
しまうこともあるでしょう。例えば、現在作業中のソングで、 のウィンドウのリストを“一括表示”する方法があります。そ
当初予定していたほどのトラック数は必要なかったとします。 のリスト全体が表示されたら、矢印キーを使って項目を選択で
24トラックを指定したのに、実際に使ったのは16トラック以下 きます。目的の項目を選んだら、Enterキーを押して確定する
ということがあるかもしれません。こは大失敗なのでしょう か、Escapeキーを押して一括表示を閉じます。
か? 未使用の容量を再利用する方法はないのでしょうか?

また、機能ごとに割り当てられたキーボードショートカットも
従来からある解決方法としては、それらのトラックを他のADAT あります。これらのショートカットについての詳細は、最初に
互換機にオプティカル端子経由でリアルタイム転送し、その後 説明した第2章に記載されています。
同じ方法でHD24に戻すという手が考えられます。この方法は時
間がかかるうえに、2台のADAT互換機が必要になります。
Free Space Previewウィンドウ
このような場合は、FirePort 1394を使うと非常に便利です。 (数字キーの使用法)

ADAT HD24 FirePort 1394 19


第3章:応用例

トラックを希望する場所にインポート
Free Space Previewウィンドウでサンプリング周波数とトラ
する
ック数を選択するときは、数字キーを使って素早く指定が行え
ます。
“At”ウィンドウを選択した後、数字キーの9を押すと96k、
8を押すと88.2k、4を繰り返し押すと48kと44.1kが交互に切り 任意のファイルをFSTドライブのどのトラックナンバーにイン
替わります。 ポートするかを素早く指定するには、まずWindows上で該当す
るトラックが収納されたフォルダを探し、それぞれのファイル
また、
“For”ウィンドウが選ばれているときに数字キーを押し 名(2文字または3文字の拡張子よりも前の部分)のどこかに、
たときの反応は、選択されているサンプリング周波数に応じて 指定したいトラックナンバーに相当する数字を追加してくださ
異なります。すでに説明したように、サンプリング周波数が い。
44.1kまたは48kのときは最大24トラックを使用可能ですが、
88.2kと96kの場合は最大12トラックしか使用できません。こ
のため、選択可能な値に違いが生じます。
便利な各種情報
“For”ウィンドウ内をクリックした後で、次の選択が行えます

パソコンでFSTドライブの内容を確認
● 44.1k/48kの場合は、数字キーの2を繰り返し押すと2ト
する
ラックと24トラックが切り替わります。6トラックを選択
するには数字キーの6、8トラックを選択するには数字キ
ーの8、16トラックを選択するには数字キーの1をそれぞ ハードディスクを最初に FST/Connect で操作するときは、
れ押します。 FST/Connectを使ってフォーマットする必要があります。すで
にWindowsのディスク管理ユーティリティを使ってフォーマッ
● 88.2k/96kの場合は、2トラックを選択するには数字キー
トしてある場合、FST/Connectを使ってディスクを再フォーマ
の2、6トラックを選択するには数字キーの6、8トラック
ットしなければFST/Connectではそのディスクが利用できませ
を選択するには数字キーの8、12トラックを選択するには
んので、ご注意ください。
数字キーの1をそれぞれ押します。

FST/Connectを使って一度フォーマットしておけば、そのディ
インポート/エクスポート用のトラック スクはWindows上で未認識ドライブとして表示されます。この
を選択する 表示は、Windowsのエクスプローラではディスク内を検索でき
ないことを意味します。また、ディスク管理ユーティリティを
使ってディスクを確認しようとしても、そのFSTドライブは認
Trackウィンドウ内で作業しているとき、必ずしも連続したト
識されず、
“不明”とみなされます。
ラックまたはファイルを選択する必要はありません。必要なら
ば、インポートまたはエクスポートしたくないトラックを“ス
ディスク上にFSTデータが記録されているときには、Windowsか
キップ”できます。任意の複数トラックを指定するには、
らFSTドライブをフォーマットすることは避けてください。こ
Controlキーを押しながら、転送したいトラックをクリックし
れを実行すると、adat FSTデータが壊れてしまいます。
てください。

また、ハードディスクをパーティションで区切り、FSTパーティ
もう1つ、離れた位置にある複数トラックを指定する方法とし
ションとWindowsパーティションを混在させることもできませ
てSelect All(Control+A)を実行した後で、Controlキーを
ん。この2種類のフォーマットには互換性がありません。
押しながら転送に含めたくないトラックをクリックするという
手もあります。
その他、ディスクユーティリティの機能を使って、FSTドライブ
の断片化を解消することもできません。Alesisファイルシステ
ムはファイルの断片化を最小限に抑えられるように設計されて
います。さらに、FSTドライブは、サードパーティのディスクユ
ーティリティでは正しく認識できないファイル構造を採用して
います。

20 ADAT HD24 FirePort 1394


第3章:応用例

FST/ConnectとFirePort 1394の起動と再 名称に使用可能な文字


起動
FST/Connectの起動や再起動を行うときは、FirePort 1394の 次の表は、ドライブ、プロジェクト、ソングの名称を設定する
電源を切る必要はありません。しかし、FirePort 1394の電源を ときに使用可能な文字の一覧です。ファイルシステム1.10では
切りたいときは、9ページで説明したように、あらかじめタス 拡張文字のセットが利用できます。
クバーのツールを使ってハードディスクのマウントを解除して
おき、それから電源を切ります。 文字と数字 A~Z、a~z、0~9

記号 (スペース)
FSTドライブのマウントを解除している途中で、FirePort 1394
の電源は切らずにFST/Connectを再起動すると、Drive Nameウィ 追加記号 ! # $ % & ' ( ) + , - .; = [ ] ^ _ ` { }

ンドウに
“No Drive Communication
(ドライブと通信できません)
” ~

というメッセージが表示されます。この場合はたとえFSTドラ
イブが正常に回転していても、Project、Song、Trackウィンド
名称に使用できない文字
ウには情報が表示されません。

すべてを正常に戻すには、FirePort 1394の電源を切り、数秒 ドライブ、プロジェクト、ソングの名称を設定するときに、使


間待ってから再度電源を入れ直してください。 用できない文字がいくつかあります。これらの文字を使用する
とファイルシステムとコンフリクトを引き起こすためです。そ
こで、使用禁止文字が入力されていると、その名称は保存でき
ません。使用禁止文字を名称から取り除くか、上記の表の使用
可能な文字に置き換えてください。

次の表は、名称を設定するときに使用が禁止されている文字の
一覧です。

使用禁止文字 \ / : * ? " < > |

ADAT HD24 FirePort 1394 21


トラブルシューティング

症状 原因 解決方法

FSTドライブの内容がウィン タスクバーを使ってシステムからHDの接続 FirePortの電源を切り、再度入れ直してくだ


ドウ内に表示されない/メイ を解除した後で、FirePortの電源が切られて さい。詳細は9ページをご参照ください。
ンウィンドウ内に“No Drive いなかった
Communication”というメ
ッセージが表示される HDは装着されているが、FirePortの電源が FirePortの電源を入れてください。
切られている

ケーブルの不良 ケーブルを交換してください。

PCフォルダの内容がウィン 誤ったFormatボタンを選択した Formatウィンドウ内で正しいFormatボタン


ドウ内に表示されない を選択してください。詳細は14ページをご参
照ください。

ディレクトリパスが不正 Browseボタンを使って適切なフォルダを探
してください。詳細は13ページをご参照くだ
さい。

トラックを試聴しようとして 再生システムの電源が入っていない 再生システムの電源を入れてください。


も何も音が出力されない
ハイレートのファイルを再生できないサウン サウンドカードの取扱説明書を参照してくださ
ドカードを使用している い。88.2kまたは96kのファイルを試聴する
には、別のサウンドカードが必要になるかもし
れません。

オーディオ編集ソフトウェア 16ビットのエクスポート Transferプルダウンメニューで16ビットのエ


が16ビットファイルにしか対 クスポートを選択してください。 詳細は16ペ
応していない ージをご参照ください。

22 ADAT HD24 FirePort 1394

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