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栽培学原論 課題

41622131 和田榛名

植物工場
水耕栽培について考えてみたい。「水耕栽培とは、土を使わないで、植物を栽培する方法です。
植物に必要な栄養分は水にとかしてあたえます。」とある。 [1]
ここで、なぜ化学肥料は使うことを推奨されないのかというと、化学肥料を過剰に与えたとき、作
物の中で消化しきれなかった窒素が硝酸態窒素(発がん性物質)として高濃度で蓄積されるという
問題が一番大きいのではないか。
これは、例えば水耕栽培にしたとき水に溶かす栄養分は化学肥料と同じような構成成分になっ
ていると思うのだが、作物の中で消化しきれなかった窒素が硝酸態窒素として蓄積される、という
のは水耕栽培にも当てはまるのだろうか。硝酸態窒素を過剰摂取することで発がん性が高まったり
メトヘモグロビン血症になったりしやすくなる。この原因として、土壌の水分不足による土壌中の硝
酸態窒素濃度の増加がみられる。この後急に降水すると作物は硝酸態窒素を過剰摂取することと
なる。硝酸体窒素自体に害はないそうだが、これが人体に入ることによって亜硝酸体窒素になり、メ
トヘモグロビン血症を引き起こすのだ。 [2]
そうかんがえると、水耕栽培では何もかも管理できてしまうので水分量が顕著に低下することも
なく、硝酸態窒素が作物の中に大量に蓄積する恐れもないのではないか。
しかし、やはり植物工場は必要な資金が莫大なものであり、育てたものを購入してもらうにも作
物は単価がそこまで高くないため、なかなか黒字にするのが難しいというところだろう。遺伝子組み
換えや新しい品種を作るための実験として栽培する作物なら多少赤字でも問題ないかもしれない
が、現実的に考えて、長期的な作物の栽培方法としては向いていないように思われる。

土つくり
土つくりとは、水はけをよくしたり、やせた土地を肥やしたりといった、作物にとって良い土壌環境
を作ることである。 [3]有機農業を進めるにあたり、持続可能な土つくりは必要不可欠だと考える。
ここで、緑肥を土つくりの一例として挙げてみようと思う。緑肥とは特定の作物を育て、収穫せず
に肥料とすることであり、肥料としての役割だけでなく病害虫への対策としても使うことが出来る。
作物を植えておくことで水分により下のほうに行ってしまった栄養を上のほうに移動させ、本命の
作物の根にしっかり栄養を届けられる将来に向けての土壌形成ができるのだ。 [3]さらに、すきこみ
により植えた作物を土に還してやることにより、土壌中の有機物の量が上がり、より土壌は肥沃に
なる。
こんなにもいいことずくめなのに、それでもなお化学肥料を使う農家がいるのはなぜだろうか。緑
肥は農家にとってデメリットはほとんどないと思う。しかし、イネ科やマメ科の作物を栽培している間
本命の作物を育てることが出来ず、さらに有機物が土壌に含まれるようになるにはかなりの時間が
かかるという短所がある。世界的に見てみると、人口増加とともに食料も増産させなければならな
い中、のんびりしていられないのではないか。だから化学肥料で土壌を一時的に肥沃にさせ、それ
で何とか賄っているのではないだろうか。

有機農業
有機農業の推進に関する法律では、有機農業はこのように定義されている。「この法律において、
「有機農業」とは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術
を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産
の方法を用いて行われる農業をいう。」 [4]この定義に含まれる「化学的に合成された肥料及び農
薬を使用しないこと」について少し違和感がある。世界の歴史的観点から見ても、ハーバー ・ボッ
シュ法によって世界人口は一気に増加していることが確認できる。ハーバー・ボッシュ法により生成
されたアンモニアは有機的に作られたものではない。世界の人口増加に伴う農業生産性の向上が
必要とされている今、完全に化学肥料を使わないことは難しいのではないか。
ここで、化学肥料の最大のメリットとは、作物がすぐ吸収できる形になっているため即効性がある
ということだ。施肥量の調整が容易であり、肥料をまくための労力が少なくて済む。デメリットとして 、
過剰に施肥したとき濃度障害・環境負荷を起こしやすい。また、直接無機物を土壌に与えるため、
作物が吸収しきれなかった養分が流れ出しやすく、地下水汚染につながりやすい。更に、有機物を
含まないため、将来の土壌へ栄養の貯蓄を作ることが出来ず、あくまでその場限りの肥料となって
いる。これに対し有機肥料は、土壌の微生物によって作物の栄養分となる有機成分が蓄えられる
ので、無機質が流出しにくく、循環型の肥沃な土壌を形成することが出来る。 [5]
農業環境科学総論の授業で、南西諸島におけるサトウキビ栽培で、サトウキビが肥料を吸収しや
すい時期よりも大きくずれて施肥していたため、地下水の窒素汚染が問題となっていた。これと同
じように肥料をまく時期は農業をするうえでかなり重要だと思われる。有機肥料のデメリットは含ま
れる成分量が化学肥料に比べて相対的に少なく、より多くの量必要になるということと、遅効性で
あること、撒くのにより労力を使うといったこと [5]
だろう。肥料を効率よく吸収する時期を知っていれば、その時期に合わせて撒くことが可能なので
はないか。そうすれば窒素が流出し、地下水汚染を引き起こすこともなく、さらに余剰窒素を作物が
吸収し、硝酸態窒素の蓄積による人体被害や、家畜への影響も減少する。有機肥料しか使わない
というより、基本は有機肥料を中心として天候などの理由により例年通りいかなくなった場合のみ、
場合に応じて化学肥料の投入もするというやり方のほうが、農業生産性の向上に適しているので
はないかと考える。

引用文献
1. 武川満夫. 水耕栽培百科. 出版地不明 : 富民協会, 1993.
2. 岡山の無添加・オーガニック食品 earthfamily. 硝酸態窒素とは?健康への影響や基準値などを
解説. 岡山の無添加・オーガニック食品 earthfamily 公式サイト. (オンライン) 岡山の無添加・オーガ
ニ ッ ク 食 品 earthfamily, 2021 年 8 月 23 日 . ( 引 用 日 : 2022 年 7 月 24 日 .)
https://earthfamily.co.jp/shousantai-chisso/.
3. イカロス出版. 持続的農業の土づくり. 出版地不明 : イカロス出版, 2022. ISBN978-4-8022-
1104-8.
4. 有機農業をめぐる和賀国の現状について. (オンライン) 農林水産省 生産局農業環境対策課,
令 和 元 年 年 7 月 26 日 . ( 引 用 日 : 2022 年 7 月 23 日 .)
https://www.maff.go.jp/primaff/koho/seminar/2019/attach/pdf/190726_01.pdf.
5. 谷昌幸. 有機農業と有機的農業:化学肥料と有機肥料の特性 . (オンライン) 帯広畜産大学,
2017 年1月. (引用日: 2022 年 7 月 23 日.) http://id.nii.ac.jp/1588/00004397/.

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