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鉄筋コンクリート造建物の

終局強度型
耐震設計指針・同解説

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ren
gth仁oncept

1
990制 定

日本建築学会

本会「鉄筋コンクリート構造計算規準」は昭和 8年に制定されて以来,数回の改訂を経て,構造

設計の過程において行われる構造計算の一つの方法として鉄筋コンクリート造建築物の構造計算に

広く用いられてきている.この規準は,基本的にはその安全性判定を許容応力度においているが,
短期許容応力度の採用,終局強度に基づく梁・柱のせん断強度算定式の採用など,部分的に終局強

度の考え方に基づくものである.近年,構造設計においては,構造物の終局時における特性に立脚
した設計法を採用することの重要性が強く認識され, 1
980
年に改正された建築基準法施行令中にお
いても,耐震に関する規定に保有水平耐力の検討が加えられることとなった.
本会鉄筋コンクリート構造運営委員会においては,このような状況を踏まえ,終局強度に基づく

耐震設計法の作成を企画し, 1
986
年 4月に同運営委員会内に第 2小委員会を発展的に改組した耐震

設計小委員会を設け,検討を進めてきた.約 2か年にわたる小委員会での審議を経て, 1
988年 1
0月
に靭性に富む構造に対する終局強度型の耐震設計法を指針(案〉の形にとりまとめた.そして,指
針(案〉の内容を会員に理解していただくための講習会を各支部で開催し,疑問点に対する対応,

考え方をよりわかりやすくする改定を行った後,本会構造委員会の議を経て,指針として刊行され

るに至った.
本設計法の耐震性確保に対する考え方は,建物の構成骨組に一定の水平耐力を保有させ,地震時
の変形を限度内にとどめるとともに,靭性に富む全体曲げ降伏機構により地震時に入力するエネル

ギーを消費しようとするものである.設計法の特徴は,設計者が地震時における建物の望ましい降
伏機構を計画し,計画した機構が実際に形成されるよう設計を進める点にある.第 I段階(降伏機
構設計と称される)において,設計者は建物に望ましい降伏機構を計画し,必要な水平耐力および

必要な変形性能を確保する.第 2段階(降伏機構保証設計と称される)において,計画した降伏機
構が設計者の意図したように形成されるように,降伏ヒンジの発生を計画しない部材の強度を確保

する.本設計法のもう一つの特徴として,塑性理論に基づくせん断設計法の提案が挙げられる.鉄
筋コンクリート部材のせん断抵抗機構をコンクリートのアーチ機構とせん断補強筋のトラス機構に

わけで考える.このように考えることにより,梁・柱および壁のせん断設計は同じ筋道に基づいて

行うことが可能となった.
指針で提案する設計法は,耐震安全性確保を骨組の計画された部位における靭性に富む降伏ヒン
ジによるエネルギー消費に依存するものである.したがって,本指針が適用される建物は明快な降

伏機構を計画し得るものに限定される.この観点からも,現時点においては p 本指針は現行の「鉄
筋コンクリート構造計算規準」に代るものではなく,その一部を補うものとして位置付けられる.

一般に,新らしい設計法が提案され,それが定着しよりよい建築物の設計・施工へ反映されるた

めには,新らしい提案に対して,実務・行政・研究のそれぞれの立場からの検討とそれらの総合化

の過程が必要であり p 本指針についても例外ではない.実務の面では p 本指針(案〉の検討および


設計例作成の段階で実務家の参加を願い検討を加えたが,例題の数も限られており,本指針をどの
ように使いこなし,また,その結果を将来の改訂へと反映させてゆくかについては残された点も多

い.行政の面では,指針(案〉作成の過程で行政担当者の意見聴取を行うと同時に,現行の建築基
準法令に基づく設計法に適合しない部分をどのように法令上の位置付けを行うかについての検討を
依頼している段階にある.研究の面においては,種々の算定式に対する研究などの一層の促進が望
まれる.

すでに,鉄筋コンクリート構造運営委員会においては, r
靭性設計小委員会」および「長期設計小
委員会」を発足させ,本指針に盛り込まれた方法をさらに発展させるべき体制を確立している.
本会では,指針の刊行を機会に,本指針の考え方の主旨ならびに内容を広く会員諸氏にご理解い
ただき,その正しい活用による建築物の耐震化を願うとともに,終局強度型設計法の今後の発展・
普及を期するものである.

1
990
年10月
日本建築学会
指針作成関係委員(1990)
一一(五十音順・敬称略)一一

構造委員会

委員長 加藤 勉

幹事 岡田恒男 坂本 顕
I
J 松島 豊

委員 (省略)

鉄筋コンクリー卜構造運営委員会

主査 森田司郎

幹事 小谷俊介 野村設郎 渡辺史夫

委員 安達 洋 井上芳生 稲田泰夫 今井 弘

大久保全陸 大越俊男 岡田恒男 可児長英

壁谷津寿海 狩野芳一 久保哲夫 柴田明徳

嶋津孝之 城 攻 鈴木計夫 田中礼治

高津充良 辻 英 友沢史紀 中田慎介

野口 博 林 静雄 広沢雅也 別所佐登志

松崎育弘 南 宏 望月 重 山口育雄

山田周平 吉岡研=

終局限界状態ワーキンゲグループ

主査 小谷俊介

委員 可児長英 壁谷津寿海 久保哲夫 城 攻

菅野俊介 中田慎介 野村設郎 南 宏一

渡辺史夫
せん断ワーキンググループ

主査 渡辺史夫

幹事 菅野俊介 南 宏一

委員 市之瀬敏勝 壁谷津寿梅 倉本 洋 塩原 等

白石一郎 角 与
守今
そ多
P
林 静雄

設計例ワーキンゲグループ

主査 可児長英

委員 井上範夫 宇佐美勝士 公塚正行 小林一成


原 誠 服部由二 福島 買一
I
J 松岡利隆
山本正幸

原案執筆担当

1章 岡田恒男

2章 中田慎介

3章 久保哲夫

4章 4
.1"
"'4
.2 小谷俊介
4
.3"
"'4
.4 壁谷津寿海
5章 大久保全陸

6章 6
.1"
"'6
.3 渡辺史夫
6
.4 壁谷津寿海

6
.5 渡辺史夫

7章 城 攻

8章 小谷俊介

9章 菅野俊介

10章 大久保全陸
設計例設計例ワーキングク、、ループ
指針(案)作成関係委員(1988)
一一(五十音順・敬称略)一一

構造委員会

委員長加藤 勉

幹 事岡田恒男 岸田英明 平野道勝


委 員 (省略〉

鉄筋コンクリー卜構造運営委員会

主 査狩野芳一

幹 事岡田恒男 小谷俊介 田中礼治 野村設郎

委 員秋葉善美 井上芳生 稲田泰夫 大久保全陸

大和田精一 可児長英 壁谷津寿海 久保哲夫

柴田明徳 柴田拓二 嶋津孝之 鈴木計夫


園部泰寿 武田寿一 富井政英 友沢史紀

永坂具也 野口 博 広沢雅也 藤原保幸

別所佐登志 松崎育弘 南 宏一 六車 匹

村田義男 望月 重 森田司郎 山口育雄

山田周平 和田 章

耐震設計小委員会

主査 岡田恒男

幹事 小谷俊介 久保哲夫 野村設郎

委員 大久保全陸 可児長英 壁谷津寿海 菅野俊介


柴田明徳 城 攻 中田慎介 広沢雅也
松崎育弘 南 宏一 山内哲理 渡辺邦夫

渡辺史夫
せん断ワーキンゲグループ

主査 渡辺史夫

幹事 菅野俊介 南 宏一

委員 市之瀬敏勝 壁谷津寿海 倉本 洋 塩原 等
白石一郎 角 彰 林 静雄

通信委員荒川 卓 荒井康幸 柴田拓二 城 攻

吉岡研三

設計例ワーキンゲグループ

主査 可児長英

委員 井上範夫 宇佐美勝士 公塚正行 原 誠


福島順一 松岡利隆 山内哲理

協力委員小林一成 服部由二 山本正幸


鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・同解説

目 次
本文ベージ 解説ページ
1章 総 則

.1 適用範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・…・・・……・・…ー・………-………・・・・…・…・…... 1一一一…・・…・… 2


1 1
.2 用
1 語 ・・……・・……-…・・・…ー……ー・・・・…・・・・…・・・…・・…・……一一 1.…・・・・・…・・… 2
2
.3 記
1 号 ………・…・・……・"…......…・・・……一一・…・……・・・…・….. 2…・・・ぃ・・・…・… 2
3

2章 材 料 お よ び 材 料 強 度
2
.1 コンク リー ト ・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
...
.. 5.
..
..
..
..
..
..
..
..
.27
2
.2鉄 筋 …・・・…・…・…・・・…-…・…...一一一………一…・・・・・…・・……・・ 5.
…・・
…・・
・・… 2
・ 9
2
.3 材料の定数 -一一…一-一一一・…・・・一一・・・…・・・…・……・・・…・・・・・・…・・・一一 6..一一……・・…・ 3
4

3章 構 造 計 画
3
.1 構造計画の原則……………………………………………………… j…
…..
,・ ・
..
… H 3
6
3
.2 フレーム構造 ・・・・…・・…・・…・…ー・…・………….............一…........ 6.…・・・・・……… 3
9
3
.3 耐震壁フレーム構造......................................................... 7……… ・・
H.
..4
4 H

3
.4 基礎と地下階……………………一………………………...・ ・-….. 7……………… 4
7 H

3
. .4
5 非構造部材………一………………………………………………… 7………...・ ・
. 8 H

4章 設 計 方 法
4
.1 設計方針 一-一......…-…・・・・・・…・・・…・・…・・……'"…-一………・・・…・・ 8…・・・………… 5
1
4
.2 荷重とその組合せ・・・・・・・・……-一一一..一一…・・…・…・・…・……・…..... 8.………・・…… 5
4
4
.3 降伏機構設計…・・……………・…....・ ・-……・・…………………・… 8 .……...・ ・
H -… 5
5 H

4.4 降伏機構保証設計…一…・……・・………………・……-…...・ ・-…… 9…


..
.・ ・
..… 6
… 5 H H

5章 曲げと軸方向力に対する設計
5
.1 適
用範囲
...
...
...
..一
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
....
.1
1 .....・……...... 8
1
5
.2 断面算定 ・・・一一........…・・・・・・……一一....一一・・・・・…・・・・・・・・・・・・・・…一 .
..
11 .......…・・…... 8
1
5
.3 曲げ信頼強度………・………………….....・ ・-…………………… 1
1….
..
・ ・
H-一…
..8
7 H

5
.4 曲げ上限強度 ・・・・・・・・・・・・・・…・….......一一-・ー・・・・・・・・……・・・・・・一一 .
..
..
.1
1・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・ 9
3
5
.5 ヒンジ部材の軸力制限・・…・…………………ー…………………… .
1 .9
1 ………...・ ・
. 4 H

5
.6 構造規定 .
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
.1
2・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・ 9
9
6章 せん断と付着に対する設計
6
.1 適用範囲 ・・・・ー・・…・・・・…...........…・・・ー…........一一・…・・… .
..
..
..
..
..
13.
...
...
..…
・・….
104
6
.2 設計方法 .
...
...
..…
・ー・
・・・
・・・
・….
...
...
...
...
...
・…・
・・・
・・…
...
一..
...
..….
.1
3・・
・・・
一….
..
..
..
.1
05
6
.3 柱および梁のせん断強度 ・
・・・
…・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・…・
・・・
・・・
…・・
・・…1
・ 3…一…… .
..
..
..
10
6
6
.4 耐震壁のせん断強度 ・
・・・
・・・
・・・
・・・
…..
...
...
...
...
.…・
・・・
・…ー
・…・
・・・
・….
14.
..
..
..
.一.
..
..
..
.1
22
6
.5 付着に対する設計 ・・・・・・…......一…・・・…・・・・…........一一......一・・・…一 1
6…・・・・……一 .
..
13
5
6
.6 有口梁の設計 ・…一.......….......…・・・・・・…・・・…・・……・・・・・…・・…… .
16・
・・・
・・・
・・…
…・・1
・ 4
2

7章 柱 梁 接 合 部
7
.1 設計目標 ・・・・・・・・・…・・・・・ー・・・・ー・・・…・・・・…...........…-…・・・・・……… .
.1
6 ・・ ・
H -
H…・
・…・1
・ 5
1
7
.2 せん断力に対する設計・…・・…・…・・・・…・…・・…..……・ー・・・一…一一・・ 1
7…一…・・…… .
.15
3
7
.3 梁および柱主筋の定着 …・一一・・…・・・・…・・・…・・・・・一...一….........… .
17・・....………・・・ 1
63

8章 基 礎 構 造
8
.1 設計用外力 ・
・・ー
・・・
・・・
・・ー
・・・
・・・
・・一
一・・
ー・・
・…….
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
17・・・…・………一 1
70
8
.2 基礎の断面算定 .............一一......…..一.,…・・・・・…-・…一....一....一 .
18 …・・・…・・・… .
..
17
1
8
.3 基礎の根入れ...............................一.....一一-…・…一...一一・・・…・ 1
8 ・・・……-…一 .
..
17
2
8
.4 基礎梁の設計 .
...
一・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
…・・
・…・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
……1
8..
...
.…・
…・・
・・・1
72
8
.5 杭頭の設計 ・
・…・
…・・
・・・
・・・
・・・
・・…
・・・
・・・
・・・
・・・
・…一
一..
...
...
...
..一
一・….
・ .
18・
・・…
・・・
・….
..
..
17
3
8
.6 液状化に対する注意 .
.一・
・・・
・・…
・・・
・ぃー
…・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
…・・
・・・
・・一
-一.
18 ...一…・・… .
..
..
17
3

9章 配 筋 設 計
9
.1 適用範囲 .
...
...
...
一一.
...
...
...
...
...
...
...
...
…一.
...
...
...
...
...
...
.….
..
..
18・
・・…
・・・
・….
..
..
17
5
9
.2 横補強筋の配筋………………………………-…………………-… .
18…………… .
.17
5
9
.3 特別ヒンジ領域の横補強筋・………………・一一………………一… .
19………・……ー 1
80
9
.4 主筋の定着と継手 ・
..一
...
...
...
...
...
...
一・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・…・
・・・
・・・
・・・2
・ 0…..…・… .
..
..
.1
86

0章 非 構 造 部 材
1
1
0.1適用範囲 .
...
...
...
...
..一
一..
...
..…
...
...
...
...
...
...
...
...
..一.
. .
..
..
..
..
..
..
.2
0・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・1
95
1
0.2設計の基本方針…-…-一…・・・・…一…・一…-……・………・…一一一・… 2
0・……・……… 1
95
1
0.3構造目地の設置位置 ・
・・・
・ー・
・・・
…・・
・・・
・・・
・….
...
...
...
...
一..
...
...
・・・
・・…2
0・・
・・・
・・・
・・…
一-一1
96
1
0.4構造目地の形式 .
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
..
20・
・・
・・
・・
・・
・….
..
..
19
7
付 録 1
設計例 1 ……………・………………………………・………………………………………… 2
07
設計例 2 ・………………… ..............................................................................261
付 録 2

計算例 1 .…・……………-…………………………………………………………………… 333


計算例 2 .
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
..お
3
35
鉄筋コンクリート造建物の終局強度型
耐震設計指針
-1-

鉄筋コンクリート造建物の終局強度型
耐震設計指針

1章 総 則

.1 適 用 範 囲
1
本指針は,下記の条件を満足する鉄筋コンクリート造建物を対象として,地震時の降伏機構の形
成を想定した終局強度型耐震設計の lつの方法を示すものである.
(
1
) 整形なフレーム構造または耐震壁フレーム構造
(
2
) 高さ 45m以下

.2 用 語
1
本指針の用語は以下のように定義する
降伏機構:地震力を受けた構造物が降伏ヒンジの発生によって形成する機構(メカニズム〉
フレーム構造:地震力に抵抗する構造部材が柱と梁で構成される構造形式.いわゆる純ラーメン構

正と


耐震壁フレーム構造:独立な連層耐震壁または,フレーム構造に連層耐震壁が組み込まれた構造形


降伏ヒンジ(領域)曲げモーメントによって塑性変形が生ずることを許容する部位(領域〉
降伏機構設計:必要な水平耐力を満たすように,設定した降伏ヒンジに強度を確保する設計(地震
力に対する設計手順の前半〉

降伏機構保証設計:大地震時の上限の応力に対して,降伏ヒンジ以外の部位に破壊を起こさないよ
うに,信頼強度を確保する設計〈地震力に対する設計手 1債の後半〉
全体降伏機構(または降伏形)塑性変形による構造物の水平変形角が各層間でほぼ一様になるよ
うな降伏機構(または降伏形)
部分降伏機構:塑性変形による構造物の水平変形角が一部の層に集中する降伏機構
設計限界変形:設計で大地震時に想定する構造物または部材の弾塑性応答変形
保証変形:設計で保証する構造物または部材の塑性変形能力
線形解析:部材剛性に構造物の降伏変形における等価線形剛性を仮定して,設計用地震力に対し
て行う構造解析
非線形解析:降伏ヒンジに終局強度(上限強度)を仮定して,基準外力分布に対して行う構造解析
基準外力分布:地震時に平均的に作用するとみなしうる水平外力分布

応力再配分:設計および施工を合理的・経済的にする目的で,線形解析によって計算された地震荷
2- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針

重時の応力を釣合条件を満足しつつ修正すること

動的な効果:動的な外力分布が静的な解析で仮定される分布とは異なる分布に変動することによっ
て,柱・壁の応力が上昇すること

2方向地震力の同時性:水平の 2方向の地震力が同時に作用すること
終局強度:断面あるいは部材の強度の総称
信頼強度:材料強度,算定式のばらつき等を考慮、して終局強度の下限値として計算される断面あ
るいは部材の強度
上限強度:材料強度,算定式のばらつき,スラブ,直交壁,施工上の配筋等,強度上昇の要因を
考慮、して終局強度の上限値として計算される断面あるいは部材の強度
曲げ強度:せん断力との相互作用を無視して,断面について算定される曲げ抵抗モーメント
せん断強度:曲げ強度を無限大と仮定して,部材について算定されるせん断抵抗力
トラス機構:応力度が変化する主筋,せん断補強筋,コンクリート圧縮材によって構成される部材
のせん断抵抗機構の概念
アーチ機構:応力度の変化しない主筋と端部から端部へのコンクリート圧縮材によって構成される
部材のせん断抵抗機構の概念
コンクリート強度有効係数:せん断強度算定式におけるコンクリート強度の低減係数
特別ヒンジ:高軸力により,特別の配筋詳細が要求される柱または耐震壁の降伏ヒンジ
非構造部材(壁)地震力を負担しないように計画された部材(壁〉


1
.3 記 E
で7

Ac :柱の水平断面積

A
ce :耐震壁側柱のせん断強度に対する有効断面積

Acore :耐震壁側柱のコンクリートコアの断面積
Ag :柱の主筋の断面積の合計

Av 組のせん断補強筋断面積
A附 :壁板の縦筋の断面積

Awx :壁板の斜め補強筋の断面積

Ax :せん断補強用傾斜軸鉄筋断面積
C1 階の設計用層せん断力係数
C
lo :上限強度による降伏機構形成時の l階の層せん断力係数
C
B :標準ベースシア係数
DDan

:梁または柱の断面せい
:耐震壁側柱のせい
:接合部有効せい
九円れ

:コンクリートの設計基準強度

i十 1)階床位置に作用する水平力
:(
1章 総 則 一 3-

H
i :(
i+ 1)措床位置までの建物高さ
Hn :建物の高さ

L :梁の内法スパン長さ,または柱の内法高さ

Nc :柱の降伏機構保証設計用軸力
Ncc :耐震壁側柱に作用する軸力
N即 :耐震壁に作用する降伏機構保証設計時の全軸力

P
i :(i+l) 階床位置の震度逆三角形分布の水平力
Pt :設計用地震力の最上階の集中荷重

Ql 階の設計用層せん断力

Rp :降伏ヒンジの発生する部材の保証変形角

R
s :層間保証変形角

R
t :振動特性係数

R
u :耐震壁の降伏ヒンジの保証変形角

T :建物の l次固有周期
V
j :接合部設計用せん断力

V
ju :接合部のせん断信頼強度
Vu :部材のせん断強度
Vw
x :壁板の傾斜せん断補強筋の負担せん断力
Vx :傾斜軸鉄筋負担せん断力

行 :(i+l) 階の固定荷重と地震力算定用積載荷重の和

Z :地震地域係数

b :梁または柱の断面の幅

b
a
i :梁の両側面からこれに平行する柱側面までの距離

b
b :梁幅

b
i 梁幅に対する柱幅の片側の増分長さ
b
j :接合部有効幅
d :梁または柱の断面有効せい

d
b :主筋径

h
s :腰壁袖壁の高さ,または袖壁の長さ

h山 :せん断設計用の耐震壁の高さ

J :梁または柱断面の応力中心距離

}
t :梁または柱の主筋間距離

k
l :柱の圧縮軸力制限の係数

ん2 :柱の引張軸力制限の係数

た3 :耐震壁の圧縮軸力制限の係数
:梁のスパン長さ,または柱の高さ
-4- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針

ん :r
耐震壁側柱の中心間距離
l
w' 壁板の水平長さ

l
t
ω :アーチ機構の等価壁長さ

ω :トラス機構の等価壁長さ

n 建物階数
ぁ :壁板のせん断補強筋比
ん断面最外周に配置された梁または柱のせん断補強筋比
ん :梁または柱のせん断補強筋比 CAv/C
b.s))
P
wt トラス機構の負担せん断力に対応する部材中間部のせん断補強筋比
s せん断補強筋間隔
t
w 壁厚
α :最上階集中荷重の係数
戸 :コンクリート圧縮力のトラス機構の負担比率

schi :i
層の柱の高次モードによるせん断力負担率

口 :i
層の柱の基準モードによるせん断力負担率
swhi :i
層の耐震壁の高次モードによるせん断力負担率
戸山層の耐震壁の基準モードによるせん断力負担率
r コンクリートの単位容積重量
Aσ :部材両端での主筋応力度の差
Aω 層の高次モード係数
1l
L w
a 圧縮側側柱によるアーチ機構の等価壁長さの増分
1l
L w
b 圧縮側側柱によるトラス機構の等価壁長さの増分

ム :構造目地の見付幅
θ :アーチ機構の材軸に対する角度

θ 壁板の斜め補強筋の材軸との角度
。傾斜軸鉄筋の部材軸に対する角度
κ :接合部せん断強度の係数
ν :コンクリート圧縮強度の有効係数
1
)0 非ヒンジ部材のコンクリート圧縮強度の有効係数

エψ :主筋周長和
σB コンクリートの圧縮強度

σsy 壁板のせん断補強筋の信頼強度算定用強度
σ
ωxy 壁板の斜め補強筋の信頼強度算定用強度
σ山y 梁または柱のせん断補強筋の信頼強度算定用強度

σwyu 壁板の縦筋の上限強度算定用強度
σxy 梁または柱のせん断補強用傾斜軸鉄筋の信頼強度算定用強度
2章 材 料 お よ び 材 料 強 度 5-

σy 鉄筋の規格最小降伏点

σyu 主筋の上限強度算定用強度

τbu 主筋の付着強度
てf 両端の曲げモーメントに対応する主筋付着応力度
τ トラス機構の負担せん断力に対応する主筋付着応力度
ゅ :トラス機構におけるコンクリート圧縮束の部材軸に対する角度

九 :上限強度による構造物強度上昇係数
れ :2方向地震力に対する安全係数
ωci :i
層の柱の動的増幅係数
ω肌 : i
層の耐震壁の動的増幅係数

2章 材 料 お よ び 材 料 強 度

2
.1 コンクリート
2
.1.1 材料および品質と種類
コンクリートに使用する材料および品質は,日本建築学会「建築工事標準仕様書 ]ASS 5鉄筋コ
ンクリート工事」による.使用骨材による種類は普通コンクリートとし,設計基準強度 C
Fc) の範
2 2
囲は, 210kgf/
cm以上 ,360kgf/
cm以下とする.
2
.1.2 材料強度
σ B) には,設計基準強度 C
コンクリートの圧縮強度 ( Fc) を用いてよい.

2
.2鉄筋
2
.2.
1 種類
l2
鉄筋には,原則として, ]ISG31 C鉄筋コンクリート用棒鋼〉の規格に定める異形鉄筋のうち,
SD3
0A,SD3
0B,SD3
5,SD4
0を用いる.鉄筋径は,呼び名 D38以下とする.また,せん断補強
ISG3
筋には, ] 109 CPC鋼棒〉の規格に定める異形 PC鋼棒を用いることができる.
2
.2.
2 材料強度
鉄筋の材料強度は,鉄筋の種類に応じて,部材の信頼強度の算定では表 2
.1(
a)欄の値とし,ま

た,部材の上限強度の算定では同表 (
b)欄の値とする.
-6一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針

表 2
.1 鉄筋の材料強度

算定する部材強度
鉄筋の種類 (
a) 信頼強度 I (b) 上限強度
SD30A,SD30B 1
.0σy 1
.3σy
SD35. SD40 1
.0σY 1
.25σy
異形 PC鋼 棒 1
.0σy

ただし, σy.鉄筋の規格最小降伏点

2
.3 材料の定数
鉄筋とコンクリートの定数は,表 2
.2による.

表 2
.2 鉄筋とコンクリートの定数

ヤング係数 ポアソン比
材 料 つ
(kgf/cm
鉄 筋 2.1x106
コンクリート 2.1x1ぴX (r/2.3)I
.SX (Fc/
200
)o.
s 1/6
ただし, r コンクリートの単位容積重量 (t/mりで,
特に調査しない場合は, 2
.3とする.

3章 構 造 計 画

3
.1 構造計画の原則
3
.1.1 降伏機構の計画
設定する降伏機構は,明快な全体降伏形とする.

3
.1.2 部材の計画
降伏ヒンジを想定する部位に対しては,必要な強度を確保するとともに,十分な靭性を保証する

ように計画する.

降伏ヒンジを想定しない部位に対しては,十分な強度を確保するように計画する.

3
.1.3 平面および立面の計画
建物の平面は,剛性,強度等がパランスよく分布する平面形とし,地震時に過度のねじれ振動が
生じないように計画する.また,その立面は,特定の層に変形が集中しないように,高さ方向の剛

性,強度等の分布を計画する.

3
.2 7 レーム構造
3
.2.
1 降伏機構と降伏ヒンジ位置
降伏機構は,原則として,建物の各層梁端および l階柱脚に降伏ヒンジを設定する梁降伏型とす

る.
3章 構 造 計 画 一 7-

3
.2.
2 隆伏ヒンジ位置の例外
降伏機構の計画にあたって,例外的に次の部位に降伏ヒンジが生ずるよう計画してよい.
(
1
) 最上階の柱頭
(
2) 地震力により軸力が小さくなる外柱

(
3
) 地震力の負担を計画しない内柱

3
.3 耐震壁フレーム構造
3
.3.
1 耐震壁の配置と形状
耐震壁は,原則として,平面内に対称に配置し,整形な平面となるようにするとともに最下層

より最上層までの連層耐震壁とする.

3
.3.
2 耐震壁の開口
耐震壁に関口を設ける場合には,関口が耐震壁の剛性ならびに強度等に及ぼす影響を適切に考慮
する.

3
.3.
3 耐震壁の降伏ヒンジ位置
耐震壁は, 1階脚部に曲げ降伏が発生するように計画する.ただし,壁脚部での曲げ降伏の発生
以前に,壁下基礎に浮上り回転が生ずるように計画してもよい.
3
.3.
4 フレーム部分の降伏機構
耐震壁フレーム構造に含まれるフレーム部分の降伏機構も,原則として,梁降伏型となるよう計
画する.ただし,耐震壁に十分な強度を確保する場合には,柱に降伏ヒンジを計画してもよい.

3
.4 基礎と地下階
3
.4.
1 基礎梁
基礎梁には,原則として,降伏ヒンジを設定しない.ただし,浮上り回転によって降伏機構を形

成するように計画する耐震壁の境界梁には降伏ヒンジを設定してよい.
3
.4.
2 基礎スラブおよび杭
基礎スラプおよび杭などには,原則として,降伏ヒンジを設定しない.

3
.4.
3 地下階
建物の地下階部分には,十分な剛性を確保するよう計画するとともに,原則として,降伏ヒンジ

を設定しない.

3
.5 非構造部材
3
.5.
1 構造体に及ぼす影響
非構造部材と構造体との接合は,骨組に想定する降伏機構に影響を及ぼさないよう計画する.
3
.5.
2 損傷および落下の防止
非構造部材の損傷および落下などが避難等に必要な建物の諸機能に支障をきたさないようにす
る.
-8- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針

4章 設 計 方 法

4
.1 設計方針
4
.1.1 設計目標
構造設計は,鉛直荷重および中小地震動に対して必要な強度と使用性を確保し,大地震に対して
靭性のある全体降伏機構を保証するとともに,必要な水平耐力を確保することを目標とする.
4
.1.2 鉛直荷重に対する設計
鉛直荷重に対しては,強度,たわみ,不同沈下,ひび割れおよび振動に関する検討を行う.

.1
4 .3 地震力に対する設計
地震力に対する設計は降伏機構設計と降伏機構保証設計に分けて行う.
(
1) 降伏機構設計では,必要な水平耐力を満たすように,設定した降伏ヒンジに信頼強度を確保
するとともに,その靭性を保証する.
(
2) 降伏機構保証設計では,大地震時の上限の応力に対して,降伏ヒンジ以外の部位に破壊を起

こさないように,信頼強度を確保する.

4
.2 荷重とその組合せ
荷重として,固定荷重・積載荷重・積雪荷重,風圧力・地震力を組み合わせて用いる.この際,
荷重係数を考慮する.

4
.3 降伏機構設計
4
.3.
1 設計用地震力
(
1) 降伏機構設計では階の設計用層せん断力係数を (
4.1)式で定める.

Cl=ZR
tCB (
4.1
)
ここに l :1階の設計用層せん断力係数
C

Z 地震地域係数
Rt :振動特性係数
CB:標準ベースシア係数
標準ベースシア係数は,フレーム構造では 0
.25以上,耐震壁フレーム構造では 0
.30以上とす
る.

(
2) 設計用地震力は,建物の主要な方向にそれぞれが独立に作用すると仮定し,各階の水平力

は,特別な研究によらない限り, (4.2) 式~ (
4.4
) 式で与えられるものとしてよい.
Fi=Pi十 Pt (i=nのとき)
二 P
i (i~玉 n-l のとき) (
4.2
)
Ptは最上階の集中荷重で (
4.3
)式による.ただし,耐震壁フレーム構造,および 6階以下の
フレーム構造では ,Pt=0としてよい.
4章 設 計 方 法 -9-

Ptニ αT
Q1 (
4.3
)
P
iは (
4.4
) 式による.
Pi= (Q1-P
t) WiHi/CEJWjHj) (
4.4
)
ここに F i+1) 階床位置に作用する水平力,
i :(
Q1 1階の設計用層せん断力で ,Q1=C1~Wj による.
α :最上階集中荷重の係数で, 0
.10とする.
T 建物の 1次固有周期 (
se) で ,T=0.02Hnによる.
c

i :(i+1) 階床位置までの建物高さ.
H
Hn 建物高さ (m).

Wi :(i+1) 階の固定荷重と地震力算定用積載荷重の和.
n 建物階数.

4
.3.
2 線形解析
降伏機構設計での設計用応力は,以下の仮定に基づき,部材剛性に立脚した線形応力解析により
計算したものを基本とする.

(
1
) 降伏ヒンジを想定する部材の剛性は降伏点剛性とする.降伏ヒンジを想定しない部材の剛性
は,計算される設計用応力のレベルに応じて,ひび割れ等の影響を考慮する.

(
2) 部材剛性を算定するための断面二次モーメントは全断面について求める.また, T形梁およ

び壁付き柱などの T形断面を持つ部材では適切に評価した有効幅を加えたものとする.ただ
し,鉄筋の影響は無視することができる.

(
3) 耐震壁および壁形の部材ではせん断変形を考慮する.

(
4
) スラプの水平力の伝達を適切に考慮する.
4
.3.
3 応力の再配分
降伏機構設計用応力は,線形解析による部材応力を以下の条件で再配分したものとしてよい.
(
1
) 再配分後も,釣合条件を満たすようにする.
(
2) 再配分によるモーメントの変動は,設計用地震力による線形解析モーメントに対して,フ

レーム構造では 20%,耐震壁フレーム構造では 25%を超えないようにする.

(
3) 再配分による各層の節点モーメントの和の変動は,設計用地震力による線形解析モーメント

に対して,フレーム構造では 5 %,耐震壁フレーム構造では 15%を超えないようにする.

4
.3.
4 変形制限
設計用地震力による建物の層間変形角は, 1/200以下とする.

4
.4 降伏機構保証設計
4
.4.
1 設計用応力
降伏機構保証設計用応力は,降伏ヒンジの上限強度に基づいた静的非線形解析により降伏機構形

成時に算定される応力を,以下の要因を考慮、して割増ししたものとする.
-10一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針

(
1) 動的な効果

(
2) 2方向地震力の同時性

4
.4.
2 非線形解析
降伏機構形成時の応力は,以下の仮定に基づき,部材の非線形特性に立脚した静的非線形解析に
より計算されたものとする.

(
1
) 水平外力を震度逆三角形分布とした増分解析法または仮想仕事法による.
(
2) 降伏ヒンジの上限強度は配筋を確定した断面について算定する.

(
3) スラブの水平力の伝達を適切に考慮する.

(
4) 増分解析法では,弾性剛性および配筋に基づいて部材の非線形剛性を適切に評価する.

4
.4.
5で定義される保証変形までに降伏機構が形成されない場合は,保証変形時の応力を降伏
機構形成時応力としてよい.
(
5
) 仮想仕事法では,設定した降伏機構を仮定する.柱の降伏ヒンジ以外の応力は,線形解析時
の分配率により算定する.耐震壁の応力は,層せん断力から柱のせん断力を除いたものを分配

して算定する.
4
.4.
3 動的な効果による割増し
柱および耐震壁の設計用モーメントおよびせん断力の動的増幅係数は,特別な研究によらない場
, (
合 4.5
) 式および (
4.6
) 式で定めてよい.
ωci=1.0十 (
L1ωi/件。〉・(戸 chi/戸
口〉 (
4.5
)
ωω=1.0十 (
L1ωi /ゆ。
) ・(
げ3卸叫hi/ん
んl
i (
4.6
)

的 iは 層の高次モード係数で (
, i 4.7)式による.
Aωi=0.25 i= 1 のとき〉
(
=0.20 (2~玉 i 豆 n/2のとき〉
i-n/2)
=0.20+0.10C (i>n/2のとき〉 (
4.7
)

ここに, ωci, ωω 層の柱および耐震壁の動的増幅係数


ゆ 。 上 限 強 度 に よ る 構 造 物 強 度 上 昇 係 数 ( ニ C¥o/0.25)

C
¥o 上限強度による降伏機構形成時の 1階の層せん断力係数
sci, swi :i層の柱および耐震壁の基準モードによるせん断力負担率

schi,戸
山hi 層の柱および耐震壁の高次モードによるせん断力負担率

4
.4.
4 2方向地震力の同時性による割増し
こ 2方向安全係数 ψ
柱の設計用モーメントおよびせん断力は,動的増幅係数 ω J 2を加えた係数で
割増しする. 2方向安全係数 ψ
2は各方向独立にそれぞれ 0.10とすることを原則とする.柱および
耐震壁の設計用軸力は,直交方向水平力による軸力の 50%が同時に作用するものとして算定する.

4
.4.
5 保証変形
降伏ヒンジを想定する部材の塑性変形能力は各部材の保証変形を上回るようにする.部材の保証

変形は,構造物の保証変形に対応する変形として,静的非線形解析により算定する.
5章 曲げと軸方向力に対する設計 -11一

5章 曲げと軸方向力に対する設計

5
.1 適用範囲
本章の各規定は,曲げまたは曲げと軸力の組合せを受ける部材の設計に適用する.

5
.2 断面算定
5
.2.
1 断面算定の原則
(
1
) 曲げまたは曲げと軸力の組合せを受ける部材の断面算定は, 5.2.2の基本仮定と断面力の釣
合条件およびひずみの適合条件に基づいて行う.
(
2) 断面算定は,曲げモーメントと軸力の組合せがもっとも不利な状態になる場合について行

う.

5
.2.
2 曲げ終局強度計算における基本仮定
) 断面内の各点における鉄筋とコンクリートのひずみは,中立軸からの距離に比例する.
(
1

(
2
) 鉄筋の応力度とひずみ度との関係は,圧縮・引張りとも p 表2
.1に示す材料強度以下では弾
性とする.この強度に相当するひずみ度を超える場合には,鉄筋の応力度は材料強度に等しい

ものとする.
(
3) コンクリートの応力度とひずみ度との関係には,その非線形性を適切に考慮する.

5
.3 曲げ信頼強度
曲げ信頼強度は,以下の仮定に基づいて算定する.
(
1) 断面の圧縮縁コンクリートのひずみ度は 0
.00
3とし,鉄筋の材料強度は表 2
.1の信頼強度用の
値とする.
(
2
) 必要な定着長さを有している有効幅内のスラブ筋は,引張鉄筋として考慮することができ
る.

(
3) 必要に応じて,中段筋の負担応力度を考慮することができる.

5
.4 曲げ上限強度
曲げ上限強度は以下の仮定に基づいて算定する.

(
1
) 断面の圧縮縁コンクリートのひずみ度は 0.003とし,鉄筋の材料強度は表 2
.1の上限強度用の
値とする.

(
2
) フランジ協力幅の 2倍の範囲内にあるスラブ筋または壁筋を考慮、する.
(
3) 中段筋およびその他曲げに関係するすべての鉄筋の負担応力度を考慮する.

5
.5 ヒンジ部材の軸力制限
9
.2.
3で規定される柱および耐震壁の降伏ヒンジ領域では,設計用軸力は以下の制限を満足する
-12一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針

ものとする.
(
1) 柱の軸力は, (
5.1)式の関係を満足するものとする.
-kzAg σy豆 Nc
豆klA
cσB (
5.1
)

ここに ,Nc
は柱の降伏機構保証設計用軸力で圧縮を正とする .A
cは柱の水平断面積 ,Ag は
柱断面内の引張りに有効な主筋の全断面積, σBはコンクリートの圧縮強度, σyは柱主筋の信
!は 1/3とする.ただし 9章の規定に従って
頼強度用の値である.圧縮軸力に対する係数 k

k
拘束筋を配筋する場合には ,!を 2/3とすることができる.引張軸力に対する係数んは 3/4
とする.

(
2
) 耐震壁の軸力は,原則として, (
5.2
) 式の関係を満足するものとする.
Nw~五 k3 A
co
reσB-Aw
sσ山
知 (
5.2
)
ここに ,Nw は耐震壁に作用する降伏機構保証設計用の全軸力で圧縮を正とする .A
co
reは耐
震壁の圧縮側柱コアの断面積 ,A
ws, σ山知は耐震壁の壁板内に存在する縦筋の断面積,上限強
度算定用強度とする.係数んは 2/3とする.ただし, 9章の規定に従って拘束筋を配筋する
場合には,おを1.0とすることができる.

5
.6 構造規定
5
.6.
1 梁
(
1
) 梁の断面形状
梁幅は, 25cm以上とする.また,ヒンジ部材においては,梁幅は,梁せいの 1/4倍以上と

する.
(
2) 梁主筋

1)梁主筋は, D19以上の異形鉄筋とする.
2) ヒンジ部材の引張鉄筋比 ttは,スラブ筋を含め, 0
.02
5以下とする.また,圧縮鉄筋全断面
積の引張鉄筋全断面積に対する比は, 0
.5以上とする.
ここに ,ttは,引張鉄筋全断面積を梁幅と梁の有効せいとの積で除した値とする.
3) 引張鉄筋の配筋は,原則として, 2段までとする.
5
.6.
2 柱
(
1
) 柱の断面形状
柱の径は, 40cm以上とする.また,ヒンジ部材においては,長径の短径に対する比を 3以下

とする.
(
2) 柱主筋

柱の主筋は, D19以上の異形鉄筋とする.

5
.6.
3 耐震壁
(
1) 耐震壁の断面形状
1)耐震壁の水平断面の形状は,原則としてその両端に柱を有する I形断面とする.
2) 耐震壁の壁板の厚さは 15cm以上,かつ,その階の壁板の内法高さの 1/20以上とする.
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 一 13-

(
2) 壁筋の配筋

1)壁筋には DI0以上の異形鉄筋を用い,原則として縦横等量配筋とする.
2) ヒンジ領域においては,壁筋はダブ、ル配筋とする.

壁板の関口
(
3) ヒンジ領域に関口を設ける場合には,その位置は,できる限り壁長さ方向の中央とし,その

大きさは耐震壁としての一体性が損なわれない大きさとする.

6章 せん断と付着に対する設計

6
.1 適用範囲
本章は,以下の設計に適用する.
(
1
) 柱,梁および耐震壁のせん断強度を確保する設計
(
2
) せん断力を受けるヒンジ部材の塑性変形能力を保証する設計
(
3) 柱,梁の付着割裂破壊を防止する設計

6
.2 鉄筋設計
6
.2.
1 設計の原則
せん断力に対する設計では,全部材のせん断信頼強度が降伏機構保証設計用せん断力を上回るよ
うにするとともに P 降伏ヒンジを計画する部材では塑性変形能力が保証変形を上回るように設計す
る.また,柱,梁では,主筋の付着強度が降伏機構保証設計用応力における付着応力度を上回るこ
とを確認する.
6
.2.
2 せん断補強筋の強度
せん断強度の算定では,せん断補強筋の強度には信頼強度算定用の材料強度を用いる.

6
.2.
3 構造規定
本章の規定に加えて,せん断補強筋の配筋は 9章の規定に従う.

6
.3 柱および梁のせん断強度
6
.3.
1 せん断強度式
柱および梁のせん断信頼強度の算定は (
6.1)式による.ただし ,pwσ仰が νσ8/2を超える場
合は ,pwσwy- νσ8/2とする.
Vu= bj
tpwawyc
otゆ +t
a 6c
n1 1-s)
bDνσ8/2 (
6.1
)
〉 ー ラ - ),ヲ"
」ー'-V
'-,
.

t
an6
1={.J[(L/D)2+1]-L/D} (
6.2
)
2
戸={C1+cot ゆ)
PwσW
y}/
(νσ8) (
6.3
)
2
σBはコンクリート圧縮強度, σwyはせん断補強筋の強度で, σ仰が 2
5・σ8(kgf/cm) を超える
場合には, σ 叫y=25 ・ σB とする • b t,D,Lは,それぞれ部材の│幅,主筋中心間距離,全せい,内
,j
-14一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針

法長さで ,p
wはせん断補強筋比である.また, νはコンクリート圧縮強度の有効係数,ゅはトラス
機構のコンクリート圧縮束の角度で,次項以下による.

6
.3.
2 降伏ヒンジを計画しない柱および梁の係数
降伏ヒンジを計画しない柱および梁では,有効係数 νは (
6.4
) 式によるlJoとする.
ニ0
ν。 .7-(J8/2000 (
6.4
)
また, c
otゅの値は (
6.5
) 式'"" (
6.7)式による値のうち最小のものとする.
c
otゆ=2.0 (
6.5
)
c
otゆ=Jt/(Dt
an(1) (
6.6
)
cot ゆ =~νσ 8/(P山 σωy)- 1. 0 (
6.7
)
6
.3.
3 降伏ヒンジを計画する柱および梁の係数
) 9
(
1 .2.
3に規定される降伏ヒンジ領域の算定では,有効係数 νは (
6.8
) 式による.また, .
cotゆ
は(
6.6
)式, (
6.7)式, (
6.9
) 式による値のうち最小のものとする.ただし, (
6.) 式の Sの
3
算定に限り c
otゅはヒンジ領域外の値を,ん σ yはヒンジ領域の値を用いる.

ν=(
1.0-15R
p) νO 0く Rp壬 0
.05
=0.25νo 0
.05く Rp (
6.8
)
c
otゆ=2.0-50R
p 0く Rp孟 0
.02
=1.0 0
.02く Rp (
6.9
)
ここに ,Rpは部材の保証変形に対応する降伏ヒンジ領域の回転角である.

(
2
) 降伏ヒンジを計画する部材のヒンジ領域以外のせん断強度の算定では,有効係数 νは (
6.8
)
式による. c
otゅは (
6.5
) 式'"" (
6.7
) 式による値のうち最小のものとしてよい.ただし,戸
は,ヒンジ領域の算定における値と同じものとする.

6
.3.
4 傾斜せん断補強筋
傾斜軸鉄筋をせん断補強筋として用いる場合には, (
6.1
0) 式による負担せん断力 Vxを ,(
6.1
)
式によるせん断強度に加えてよい.
Vx=Axσxysin(
1x (
6.1
0)
ここに 1x
{ は傾斜軸鉄筋が材軸となす角度 ,Axは傾斜軸鉄筋の断面積で,部材の端部から端

部に直接配筋される場合は圧縮引張両側の断面積の合計とし,部材の一部の領域に配筋される

場合は引張側のみの断面積とする.

6
.3.
5 最小配筋
柱の帯筋比および梁のあばら筋比は, 0
.00
2以上とする.

6
.4 耐震壁のせん断強度
6
.4.
1 せん断強度式
耐震壁の各層のせん断信頼強度の算定は (
6.11)式による.ただし ,psσsyが νσ8/2を超える
場合は,ぁ σsy 二 νσ8/2とする.
Vu=t
wlbps(Jsyc
w otゆ +t
anθ(1- s)t
wlωνσ8/2 (
6.1
1)
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 一 1
5


_'
'
>
-v、
-,
- '
>- 1りヲ~

tan(1ニ [
J(hω/lwa)2十 lー ん/lω] (
6.1
2)
2
月 (1+cot ゆ)P
sσSy/(νσ B
) (
6.1
3)
σsyは壁板のせん断補強筋の強度で, 4
00 t叫は壁板の厚さ ,p
0(kgf/cm ) 以下とする • 九 2

せん断補強筋比 ,ん
h凶は耐震壁の高さでで、設計する階の階高としてよい.ゅはトラス機構のコンクリー

ト圧縮束の角度で, c
otゆニ1.0とする .l
ωbおよび l
waはトラス機構およびアーチ機構の等価壁長さ
で,次項以下による.

6
.4.
2 等価壁長さ
耐震壁のせん断強度の算定では, (
6.1
4)式
, (
6.1
5) 式により,側柱の有効断面積を等価壁長さ
に換算して算入してよい.

l
w 〆+Dc+Llla
a=l 山 (
6.1
4)
l
wbニ Iw'+Dc+L
lIb 叩 (
6.1
5)
ここに,ん'は壁板の柱内法長さ D
cは側柱のせい ,L
llw
a,L
llw
bは壁板の有効長さの増分で (
6.

1
6)式
, (
6.1
7) 式による.
ll
L a=Ace/t
w ω A
ce三
五twD
c
ニ (Dc+JAceDc/tw)/2 Ace>九 D
c (
6.1
6)
ll
L b=Ace/t
w 山 Ace~ t
ωDc
=Dc ωD
Ace>t c (
6.1
7)
A
c 柱の有効断面積で (
eは償u 6.1
8) 式による.ただし ,A
cevま 3tω D
c以下とする.
A
ce Ac-Nc/ σB
二 (
6.1
8)

ここに ,Acは圧縮側側柱の断面積 ,N
ccは設計する階の上部における保証設計用応力時の耐震壁
側柱の軸力である.
6
.4.
3 降伏ヒンジ領域以外の係数
9
.2.
3で規定される降伏ヒンジ領域以外のせん断強度の算定では,コンクリート圧縮強度の有効
係数 νは (
6.4
) 式による ν。とする.
6
.4.
4 降伏ヒンジ領域の係数
降伏ヒンジ領域のせん断強度の算定では,有効係数 νは (
6.1
9) 式による.
ν二二 νo R
uく 0
.00
5
=(1.2-40Ru) νO 0
.05豆 R
0 uく 0
.02 (
6.1
9)
=0.4νo 0
.02豆 R
u
ここに,んは耐震壁の保証変形角である.

6
.4.
5 傾斜せん断補強筋
壁板に傾斜補強筋をせん断補強筋として用いる場合は, (
6.2
0) 式による負担せん断力 Vw
xを
(
6.11)式で算定されるせん断強度に加えてよい.
Vw
xニ Awx' σ
ωxy.s
i 1w
n( x (
6.2
0)
ここに, (
1山zは傾斜補強筋が材軸となす角度 ,Awxは傾斜補強筋の断面積である.
-16一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針

6
.4.
6 層間のせん断力の伝達
上層のアーチ機構による負担せん断力は,下層のアーチ機構に直接伝達されるせん断力を除い

て,層中間の梁の引張軸力あるいは下層のトラス機構の増分によって負担しうるように設計する.

6
.4.
7 最小配筋
壁板のせん断補強筋比は 0.0025以上とする.また,耐震壁のヒンジ領域の側柱の帯筋比は
0
.00
3以上とする.

6
.5 付着に対する設計
6
.5.
1 設計用付着応力度
設計用付着応力度は (
6.21)式による.ただし,一端のみに降伏ヒンジを計画する部材および降
伏ヒンジを計画しない部材では, (
6.21)式または (
6.2
2) 式による値の小さいほうとしてよい.
τf =d
bLJσ/{4(L-d)} (
6.21
)

τt=bp
wtσ町 c
otゆ/ L ψ ( 6 . 2 2 )

ここに, L
Jσは降伏機構保証設計応力における部材両端部の主筋の応力度の差で,両端にヒンジ

を計画する部材では 2σ yu,一端のみに降伏ヒンジを計画する部材では (
σ yu十 σy),および降伏ヒ

ンジを計画しない部材では 2σyとしてよい .σ yuおよび σyは主筋の上限強度算定用強度および信

頼強度算定用強度 bは主筋径, Lψ は鉄筋周長の和である • L,b,dは,それぞれ,部材の内法長


d
さ,幅,有効せいで ,p
wt, σw
y,ゅは,それぞれ部材中間部のせん断強度算定に用いたせん断補強
筋比,せん断補強筋強度, トラス機構のコンクリート圧縮束の角度とする.

6
.5.
2 付着強度
柱および梁の主筋の付着強度は, (
6.2
3)式によることができる.ただし,梁上端筋に対しては式
(
6.2
3) による値を 0
.8倍する.
τω= (
1.2十 5P
w'b/
db) ra; (
6.2
3)
ここで ,P
w'は断面外周に配筋されたせん断補強筋比で、ある.

6
.6 有孔梁の設計
有孔梁のせん断設計においては,無孔梁のせん断設計と同様に, 6
.2.
1設計の原則, 6
.2.
2せん
断補強筋の強度および 6
.2.
3構造規定を適用する.

7章 柱 梁 接 合 部

7
.1 設計目標
柱梁接合部は骨組が降伏機構を形成して保証変形に至るまで破壊しないように設計する.また,
繰返し荷重によって顕著な剛性低下やスリッフ。性状を生じないように設計する.
8章 基 礎 構 造 -17-

7
.2 せん断力に対する設計
7
.2.
1 設計の原則
柱梁接合部のせん断力に対する設計では,信頼強度 V
juが降伏機構保証設計用せん断力 Vjを上回
るように設計する.

7
.2.
2 接合部のせん断強度
接合部のせん断強度 V
juは (
7.1)式による.

Vju=κσ B b
jDj (
7.1
)

ここに, κは接合部の加力方向形状によって定まる係数で,十字形内柱接合部では 0
.30, ト形ま
たは L形外柱接合部では 0
.18とする .DJは柱せいまたは 9
0度折曲げ筋水平投影長さ, σBはコンク

リートの圧縮強度とする .bjは接合部有効幅で, (
7.2
) 式による.
bj=bb+b
al十 b
a2 (
7.2
)
bは梁幅,んはあ:
ここに ,b /2または D/4の小さいほうとする.ここに ,b
iは梁両側面からこれ
に平行する柱側面までの長さ ,Dは柱せいである.

7
.2.
3 横補強筋
接合部の横補強筋比 t
jhは 0
.00
2以上かつ (
7.3
) 式の関係を満足するものとする.
t
jh孟0.003Vj/Vju (
7.3
)

7
.3 梁および柱主筋の定着
7
.3.
1 定着の方法
梁端に降伏ヒンジを計画する接合部における梁主筋は,原則として,柱コア内の通し配筋または

柱コア内への折曲げ定着とする.梁および柱の主筋の接合部への定着長さを算定するための危険断

面位置は,それぞれ柱面および梁上下面とする.

7
.3.
2 折曲げ定着
定着長さは 9章の規定に従う.折曲げ角度は 9
0度として柱せいの中央より外側に設ける.余長
部は接合部内へ配筋する.

7
.3.
3 通し配筋
接合部両端に降伏ヒンジを計画する梁または柱の主筋を接合部内に通し配筋する場合 P 繰返し荷
重によって顕著な剛性低下やスリップ性状を生じないように主筋径と柱せいまたは梁せいの関係を

定める.

8章 基 礎 構 造

8
.1 設計用外力
基礎構造の地震時設計用外力は,上部構造の降伏機構保証設計用応力に応じて基礎構造に作用す

る力に, 1階床および地中部分に作用する鉛直力と水平力を加えたものとする.基礎梁の設計用応
力算定には基礎底面の固定度に応じた反力を考慮する.
1
8一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針

8
.2 基礎の断面算定
基礎の断面算定には信頼強度を用いる.

8
.3 基礎の根入れ
構造物の基礎の根入れは十分な深さとする.

8
.4 基礎梁の設計
基礎梁は,原則として,剛強に設計する.

8
.5 杭頭の設計
杭頭の設計にあたっては,杭体および接合部等の性能低下を生じさせないように十分注意する.

8
.6 液状化に対する注意

地盤調査により液状化による支持地盤の破壊の可能性を検討し,基礎の設計に考慮する.

9章 配 筋 設 計

9
.1 適用範囲
本章は,横補強筋の配筋詳細設計と主筋の定着 p 継手の設計に適用する.以下に特記しない鉄筋

の径,間隔,あき,かぶり厚さ,標準フック等の一般配筋規定は,日本建築学会「鉄筋コンクリー
ト構造計算規準 J,I
建築工事標準仕様書 ]ASS 5鉄筋コンクリート工事」および「鉄筋コンクリー

ト造配筋指針」による.

9
.2 横補強筋の配筋
9
.2.
1 横補強筋
主筋と直交方向に配筋される補強筋を総称して「横補強筋J という.横補強筋は,せん断補強と
主筋やコンクリートの拘束のために配筋し,その量,形状,間隔はヒンジ領域と非ヒンジ領域で分

けて考える。横補強筋には, DIO以上の異形鉄筋あるいは公称直径 6.4mm以上の異形 PC鋼棒を用

いる.

9
.2.
2 横補強筋の形状,配置と間隔
横補強筋は,主筋とコンクリートを有効に拘束する形状および配置とし,間隔は表 9
.1の値以下
とする.
9章 配 筋 設 計 19-

表 9
.1 横補強筋の間隔 (cm)

横補強筋 ヒンジ領域 非ヒンジ領域 *


1
柱*
2 DI0の異形鉄筋 *
3 1
0 1
5
D13以上の異形鉄筋 *
4 5かっ 6db
1 2
0かつ 8db
梁 DI0の異形鉄筋 *
3 1
5 2
0
D13以上の異形鉄筋 *
4 2
0, 8d
bかつ D/3 3
0,1
0dbかつ D/2

ニ 主三 板 DI0以上の異形鉄筋 3
0 3
0
柱梁接合部 DI0の異形鉄筋 *
3 1
5
D13以上の異形鉄筋料 2
0かつ 8d
b

ここに, d
b:主筋径 ,D:梁せい.
注J
[ *
l ヒンジを想定しない部材およびヒンジを想定する部材のヒンジ領域以外
*
2 耐震壁の側柱を含む
*
3 6.4mm以上, 9.2mm以下の異形 PC鋼棒を含む
*
4 llmm以上の異形 PC鋼棒を含む

9.2.3 ヒンジ領域
ヒンジ領域は以下のとおりとする.

(
1
) 梁では,柱面から中央に,梁せいの1.5
倍の長さの領域

(
2
) 柱では,梁面から中央に,柱せいの1.5
倍の長さの領域

(
3
) 耐震壁では 1階壁脚部から上に,全高さの 1/6または耐震壁水平長さの大きいほうの長
さの領域とするが, 3階梁の下面以下としてよい.

9.3 特別ヒンジ領域の横補強筋
9.3.1 特別ヒンジ領域の定義

降伏機構保証設計用軸力が (
9.1)式および (
9.2
) 式の範囲にある柱および耐震壁のヒンジ領域
は特別ヒンジ領域とする.

(1/3)ん σBく Nc豆 (2/3) Ac(JB (


9.1
)
(2/3) Acore ー んsσ 山 く Nw豆 Acore σB - Aωsσω
JB
( (
9.2
)
ここに ,Ncおよび Nwは柱および耐震壁の降伏機構保証設計用軸力で圧縮を正とする Acは柱の

水平断面積 ,Acoreは耐震壁の圧縮側柱コアの断面積 ,A 山は耐震壁の壁板の軸方向鉄筋の断面積,

σBはコンクリートの圧縮強度, σ山 sは耐震壁の壁板の軸方向鉄筋の上限強度算定用強度とする.

9.3.2 横補強筋の配置
特別ヒンジ領域では,すべての主筋を閉鎖、形横補強筋の四隅または 1
35度 以 上 の 折 曲 げ フ ッ ク で

横拘束する.ただし,断面内で 20cm以内の間隔で横補強筋で拘束された主筋の聞にある主筋は拘

束しなくてよい.横補強筋の間隔は,表 9
.1のヒンジ領域の規定に従う.

9.3.3 横補強筋の端部

特別ヒンジ領域の横補強筋の端部は以下のいずれかの納まりとする.
-20一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針

) 閉鎖形横補強筋では端部を 1
(
1 35度以上に折り曲げたフックで定着し,余長を 8d
w以上とする.

ただし,異形 PC鋼棒を用いる場合には余長を 1
0dw 以上とする.

(
2
) 閉鎖形でない横補強筋では,端部のフヅクの折曲げ角度は 1
35度以上とし,余長は, 1
35度
フックでは 8ゐ以上, 1
80度フックでは 4d
w以上とする.

ここに ,dwは横補強筋の径とする.

9.
4 主筋の定着と継手
主筋の定着長さと継手長さは,降伏機構保証設計時の応力に対して十分な値とする.配筋詳細
は,日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準 J, I
建築工事標準仕様書 JASS 5鉄筋コンク
リート工事Jおよび「鉄筋コンクリート造配筋指針」による.ただし,重ね継手は D29以上の鉄筋に

設けてはならない.

1
0章 非 構 造 部 材

1
0.1 適用範囲
本章は,柱と梁で囲まれる骨組内の鉄筋コンクリート造非構造壁の構造詳細の設計に適用する.
その他の非構造部材の設計も本章に準じて行う.

1
0.2 設計の基本方針
鉄筋コンクリート造非構造壁には,原則として,構造目地を設けてこれを骨組から有効に分離
し,非構造壁が骨組の降伏機構設計および降伏機構保証設計に影響しないように設計する.

1
0.3 構造目地の設置位置
(
1
) 降伏機構設計において想定する降伏ヒンジ部に,腰壁・垂れ壁・袖壁等の非構造壁が施工さ
れる場合には,原則として,柱または梁の危険断面と同じ位置に構造目地を設ける.
(
2) 梁のスパン内に方立て壁が施工される場合には,降伏機構設計で想定する骨組の降伏機構が

確保されるように,原則として,方立て壁の上端または下端に構造目地を設ける.

1
0.4 構造目地の形式
(
1
) 構造目地は,原則として,完全縁切り型構造目地,または一面せん断型構造目地とする.
(
2) 構造目地の見付幅は, (
10.1)式によるム以上とする.

ds=Rsh
sl/L 10
( .1
)
ここに, R
s:保証層間変形角
ん:腰壁・袖壁の高さ,または袖壁の長さ
梁のスパン長さ,または柱の高さ

L 梁の内法スパン長さ,または柱の内法高さ
鉄筋コンクリー卜造建物の終局強度型ロ
耐震設計指針・解説
4

唱E

鉄筋コンクリート造建物の終局強度型
耐震設計指針・解説

1章 総 則

1
.1 適 用 範 囲

本指針は,下記の条件を満足する鉄筋コンクリート造建物を対象として,地震時の降伏機構
の形成を想定した終局強度型耐震設計の 1つの方法を示すものである.
(
1
) 整形なフレーム構造または耐震壁フレーム構造
(
2
) 高さ 45m以下

本指針は,高さ 45m以下の整形なフレーム構造あるいは連層耐震壁が組み込まれた耐震壁フレー

ム構造を対象とした終局強度型耐震設計の 1つの方法を示すものである.

現行の日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準 J(以下,現行規準と略記)は許容応力度設
計法を主体とし,一部,終局強度設計法の考えを取り入れた形式でとりまとめられている.
一方,建築基準法施行令においては, 1
981年の改正により,耐震設計のプロセスにし、わゆる許容
応力度に基づく一次設計と,保有耐力と靭性の検定を行う二次設計とのこ段階方式が採用され,本
会の「現行規準」は主に一次設計用として位置付けられてきた.二段階設計法の採用により,鉄筋

コンクリート造建物の耐震性は従来のものに比べて一段と向上したものと考えられるが,二次設計
のプロセスが検定方式であるため,一次設計の段階において,設計者が建物の終局的な耐震性能を
意識した設計を行うことを困難にしている.特に,二次設計においては保有耐力を直接算定するこ

となく,耐震壁の量と柱寸法により保有耐力を検定する,あるいは構造細則により靭性を確保する
など,間接的な保有耐力あるいは靭性の検定のみで設計を終了させる運用が可能なため,この間接

方式を採用した場合には設計者は強震時における建物の応答性状を把握することなしに設計を終了
することができる.

また,保有耐力の検定を直接行う場合にも,一次設計の段階において,強震時に建物に必要とさ

れる保有耐力および靭性に対する考慮が別途なされなければ,設計のプロセスの最終段階において

大きな手戻りが必要となる可能性もある.

本指針は「現行規準」が二次設計に十分対応できぬこと,および前記の現行の耐震設計のプロセ

スにおける一次設計法と二次設計法の関係を考慮、し,対象範囲を限定して p 一次設計と二次設計と

を一貫して行える終局強度型耐震設計法を提示するものである.ただし,本指針は p 現段階におい

現行規準 Jv
ては, I こかわるものではなく,対象を限定してこれを補うものとして位置付けられる.
-22一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

本指針の設計法の概念は,一般の鉄筋コンクリート造建物に共通のものと考えられるが,本指針
のプロセスが適用できるのは,本章ならびに 3章に示すように,整形な構造で,強震時に明快な全
体降伏形の機構が形成されることが保証される建物に限定される.他の章にそれぞれ規定されてい
る適用範囲に限定されることももちろんのことである.ただし,これらの適用範囲は,まだ十分な
データあるいは理論的根拠に乏しいためやや腰だめ的に定めた場合もなしとはしない.また,慣用

の設計・施工の状況を考慮、し,適用範囲を特に定めない場合もある.したがって,個々の適用範聞
のよ限あるいは下限を機械的に組み合わせると,あるいは,慣用の設計・施工より著しく離れた範

囲に拡張すると,指針の精神を逸脱する場合もないとはいえないであろう.適用範囲の拡張を含め
た見直しについては,今後の研究の進展,データの集積を待って順次行ってゆく予定であるが,当
面の適用にあたっては,指針の意図するところを十分理解し,適用範囲内での正しい運用をされる
ことを望みたい.

.2 用 語
1

本指針の用語は以下のように定義する
降伏機構:地震力を受けた構造物が降伏ヒンジの発生によって形成する機構〈メカニズム)
フレーム構造:地震力に抵抗する構造部材が柱と梁で構成される構造形式.いわゆる純ラーメ
ン構造
耐震壁フレーム構造:独立な連層耐震壁または,フレーム構造に連層耐震壁が組み込まれた構
造形式
降伏ヒンジ(領域)曲げモーメントによって塑性変形が生ずることを許容する部位(領域)
降伏機構設計:必要な水平耐力を満たすように,設定した降伏ヒンジに強度を確保する設計
(地震力に対する設計手順の前半〉
降伏機構保証設計:大地震時の上限の応力に対して,降伏ヒンジ以外の部位に破壊を起こさな
いように,信頼強度を確保する設計(地震力に対する設計手順の後半〉
全体降伏機構(または降伏形)塑性変形による構造物の水平変形角が各層間でほぼ一様にな
るような降伏機構(または降伏形〉
部分降伏機構:塑性変形による構造物の水平変形角が一部の層に集中する降伏機構
設計限界変形:設計で大地震時に想定する構造物または部材の弾塑性応答変形
保証変形:設計で保証する構造物または部材の塑性変形能力
線形解析:部材剛性に構造物の降伏変形における等価線形剛性を仮定し了て,設計用地震力に
対して行う構造解析
非線形解析:降伏ヒンジに終局強度(上限強度〉を仮定して,基準外力分布に対して行う構造
解析
基準外力分布:地震時に平均的に作用するとみなしうる水平外力分布
応力再配分:設計および施工を合理的・経済的にする目的で,線形解析によって計算された地
震荷重時の応力を釣合条件を満足しつつ修正すること
動的な効果:動的な外力分布が静的な解析で仮定される分布とは異なる分布に変動することに
l章 総 則 一 2
3一

よって,柱・壁の応力が上昇すること
2方向地震力の同時性:水平の 2方向の地震力が同時に作用すること
終局強度:断面あるいは部材の強度の総称
信頼強度:材料強度,算定式のばらつき等を考慮して終局強度の下限値として計算される断
面あるいは部材の強度
上限強度:材料強度,算定式のばらつき,スラブ,直交壁,施工上の配筋等,強度上昇の要
因を考慮して終局強度の上限値として計算される断面あるいは部材の強度
曲げ強度:せん断力との相互作用を無視して,断面について算定される曲げ抵抗モーメント
せん断強度:曲げ強度を無限大と仮定して,部材について算定されるせん断抵抗力
トラス機構:応力度が変化する主筋,せん断補強筋,コンクリート圧縮材によって構成される
部材のせん断抵抗機構の概念
アーチ機構:応力度の変化しない主筋と端部から端部へのコンクリート圧縮材によって構成さ
れる部材のせん断抵抗機構の概念
コンクリート強度有効係数:せん断強度算定式におけるコンクリート強度の低減係数
特別ヒンジ:高軸力により,特別の配筋詳細が要求される柱または耐震壁の降伏ヒンジ
非構造部材(壁)地震力を負担しないように計画された部材(壁〉

本節には,本指針で用いる代表的な用語を示した.

Eコ
1
.3 記 τヲ

Ac :柱の水平断面積
A
ce :耐震壁側柱のせん断強度に対する有効断面積
Acore :耐震壁側柱のコンクリートコアの断面積
Ag :柱の主筋の断面積の合計
Av :一組のせん断補強筋断面積
A 山 :壁板の縦筋の断面積
A山Z :壁板の斜め補強筋の断面積
Ax :せん断補強用傾斜軸鉄筋断面積
C
l 1階の設計用層せん断力係数
C
lo :上限強度による降伏機構形成時の l階の層せん断力係数
CDDD
Bc

:標準ベースシア係数
:梁または柱の断面せい
:耐震壁側柱のせい
:接合部有効せい

1

F
c :コンクリートの設計基準強度
F
i :(i+l) 階床位置に作用する水平力
H
i :(i+l) 階床位置までの建物高さ
-24一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

Hn :建物の高さ
L :梁の内法スパン長さ,または柱の内法高さ
Nc :柱の降伏機構保証設計用軸力
Ncc :耐震壁側柱に作用する軸力
Nw :耐震壁に作用する降伏機構保証設計時の全軸力
P
i :(i+l) 階床位置の震度逆=角形分布の水平力
Pt :設計用地震力の最上階の集中荷重
Q1 :1階の設計用層せん断力
Rp :降伏ヒンジの発生する部材の保証変形角
Rs :層間保証変形角
R
t :振動特性係数
Ru :耐震壁の降伏ヒンジの保証変形角
T :建物の l次固有周期
Vj :接合部設計用せん断力
V
ju :接合部のせん断信頼強度
Vu :部材のせん断強度
Vw
x :壁板の傾斜せん断補強筋の負担せん断力
Vx :傾斜軸鉄筋負担せん断力
Wi :(i十 1)階の固定荷重と地震力算定用積載荷重の和
Z :地震地域係数
b :梁または柱の断面の幅
b
ai :梁の両側面からこれに平行する柱側面までの距離
b
b :梁幅
b
i :梁幅に対する柱幅の片側の増分長さ
b
j :接合部有効幅
d :梁または柱の断面有効せい
d
b :主筋径
h
s :腰壁袖壁の高さ,または袖壁の長さ
hw :せん断設計用の耐震壁の高さ
J :梁または柱断面の応力中心距離
)
t :梁または柱の主筋間距離
k
l :柱の圧縮軸力制限の係数
k
2 :柱の引張軸力制限の係数
k
3 :耐震壁の圧縮軸力制限の係数
:梁のスパン長さ,または柱の高さ
:耐震壁側柱の中心間距離
:壁板の水平長さ
:アーチ機構の等価壁長さ
l
wb :トラス機構の等価壁長さ
l章 総 則 25-

η :建物階数
九 :壁板のせん断補強筋比
P
w' 断面最外周に配置された梁または柱のせん断補強筋比
九 :梁または柱のせん断補強筋比 (Av/ (b.s))
p
wt トラス機構の負担せん断力に対応する部材中間部のせん断補強筋比
s せん断補強筋間隔
t
w 壁厚
α 最上階集中荷重の係数
戸 :コンクリート圧縮力のトラス機構の負担比率
schi :i層の柱の高次モードによるせん断力負担率
sci :i層の柱の基準モードによるせん断力負担率
swhi :i層の耐震壁の高次モードによるせん断力負担率
戸卸層の耐震壁の基準モードによるせん断力負担率
r コンクリートの単位容積重量
Aσ :部材両端での主筋応力度の差
Aω 層の高次モード係数
L
Jl
tω :圧縮側側柱によるアーチ機構の等価壁長さの増分
4
ω :圧縮側側柱によるトラス機構の等価壁長さの増分
ム :構造目地の見付幅
。アーチ機構の材軸に対する角度
(
)w x 壁板の斜め補強筋の材軸との角度
。傾斜軸鉄筋の部材軸に対する角度
κ :接合部せん断強度の係数
ν :コンクリート圧縮強度の有効係数
ν 非ヒンジ部材のコンクリート圧縮強度の有効係数
zψ :主筋周長和
σB コンクリートの圧縮強度
σり :壁板のせん断補強筋の信頼強度算定用強度
σwxy 壁板の斜め補強筋の信頼強度算定用強度
σ
ωy 梁または柱のせん断補強筋の信頼強度算定用強度
σwyu 壁板の縦筋の上限強度算定用強度
σxy 梁または柱のせん断補強用傾斜軸鉄筋の信頼強度算定用強度
内 :鉄筋の規格最小降伏点
σyu 主筋の上限強度算定用強度
τbu 主筋の付着強度
τf 両端の曲げモーメントに対応する主筋付着応力度
τ トラス機構の負担せん断力に対応する主筋付着応力度
ゆ :トラス機構におけるコンクリート圧縮束の部材軸に対する角度
ゆ。上限強度による構造物強度上昇係数
-26 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

ψ 2方向地震力に対する安全係数
ω口 層の柱の動的増幅係数
ω
ω 層の耐震壁の動的増幅係数

本節には,本指針で用いる記号を一括して示した.
ただし,各章の解説には上記のほか,一般力学その他の慣用記号も用いている.

nノ臼
弓4
2章 材 料 お よ び 材 料 強 度

2
.1 コンクリー卜

2
.1.1 材料および品質と種類
コンクリートに使用する材料および品質は,日本建築学会「建築工事標準仕様書 JASS5鉄
筋コンクリート工事」による.使用骨材による種類は普通コンクリートとし,設計基準強度
2 2
(Fc) の範聞は, 210kgf/
cm以上 ,360kgf/cm以下とする.
2
.1.2 材料強度
σ B) には,設計基準強度 (
コンクリートの圧縮強度 ( Fc) を用いてよい.

2
.1.1 材料および品質と種類

終局強度設計における部材の強度評価に用いるコンクリート圧縮強度は,柱,耐震壁の曲げ強

度,および梁,柱,耐震壁ならびに柱梁接合部のせん断強度に直接影響する.本指針の部材強度評
21
価式の信頼性は,本文以外に示した強度範囲の試験体に対しても検証されているが, JASS.)適用

範囲との関係も考慮、して,コンクリートの使用範閤を定めた.軽量コンクリートは実験データによ

る検証が不十分であるので,使用対象から除外した.

2.1~2 材料強度
部材の信頼強度を算定する強度評価式は,実際のコンクリート強度を用いて,部材実験結果に対

して検証したものである.したがって設計では,確実に実現できるコンクリート強度を使用するこ

とが必要となる.
コンクリート品質の変動に関しては文献 2
.2)に詳述されているので参照されたい.ここでは,最
近建設された建物のコンクリート品質の実状をみるため,設計基準強度とシリンダー強度の関係と

構造体コンクリートの部位別強度の分布と設計基準強度の関係を紹介する.

(財)日本建築総合試験所が昭和 5
9年度に実施したコンクリートシリンダーの受託試験 24000個の
結果を集計した報告 2.3)によれば,現場水中養生した供試体の 4週 圧 縮 強 度 の 変 動 は , 設 計 基 準 強

度F
c別の平均値は1.0
8"
-'1
.40倍,標準偏差で 0
.09
7"-
'0.
136
倍の結果が得られている.また,水中標

準養生供試体が設計基準強度以下となる危険確率は 0.5%程度であった.これらの 4週圧縮強度の

設計基準強度別の度数分布の例を解図 2
.1に転載する.標準水中養生の供試体は現場水中養生の場
合より強度が高い傾向を示している.図中の破線が設計基準強度を示す.
最近の構造体の部位別コンクリート実状についてはいくつかの調査例がある 2.4)~2.8) ここでは高
2
橋 2.8)らの研究を紹介する.コンクリートは設計基準強度 F
c=210kgf/cm に限定している.解図
2
.2は,通常の建築現場レベルの施工された実大の試験体(柱・梁・壁・床〉から採取したコンク
リートコアの圧縮試験結果である.これによれば,材令 4週の現場水中養生シリンダー強度に比べ

て,同材令の垂直部材強度と水平部材強度はともに小さい傾向にあることに注意されたい.
-28一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

標準水中養生 現場水中養生 標準水中養生 現場水中養生


圧縮強度 圧縮強度
相対度数(%) (
kgf
/c2
m) 相対度数(%) 相対度数(%) (
kgf
/cm2) 相対度数(%)
320 1
0 o1
, ~n 0
50
120 3
0 320 1
0 .0 120 3
0
1
50
21
0-A 21
O-D 24
0-A 24
0-D
材令4週 材令 4
週 週
材令 4 材令4週
2
00 2
00

2
50 x 2
50
x
x
3
00 3
00

3
50 3
50
時=1
7971 持 =7
038 n=523
7 n=40
95
x
σ
=
=
2
2
7
9
5
.3 4
00
x =
2

1=
1
6
0-=2
6
0
4
.
.
6
1
x
0
ν
=
-=
=
3
4
3
5
1

8
.
0.
1
4
00
x=
-=
0
ν
=
3
0
3
1
3
3
.
1
.
7
2
ν
=10.7 )
F
c21
0 F
c24
0

標準水中養生 現場水中養生 標準水中養生 現場水中養生


圧縮強度 圧縮強度
相対度数(%) (
kg/
fcm2) 相対度数(%) 相対度数(%) (
kgf
/cm2) 相対度数(%)
320 1
0 o_
_
_0 1 2 0 3 0 2 0 1
0 o2 0 120 3
0
2
00 00
^^_

25
5-A 255-D' I2
70-
A 27
0-D
材令4週 材令4
週 材 令4
週 材令4週
2
50 2
50

x
3
00 3
00
x

3
50 3
50
x

刀 =
9198 4
00 n=71
18 持 =2
949 4
00 刀=25
89
x=317 x=
291 x =
366 x=3
21
J=
t 32.
1 σ=
28.2 σ =
39.2 -=
0 35
.8
ν=10.
2 4
50 ν=9
.7 1=
) 1
0.7 4
50 1=
) 11
.2
F
c25
5 F
c27
0

π:データの個数, x:平均値 (kgf


/cm2), σ:標準偏差 (kgf
/cm2), ν:変動係数(%)

解図 2
.1 コンクリートの圧縮強度分布 2.3)

平β


取れ何日


N

1
30

[注] ( )内の数値は(平均値,標準偏差)である

解図 2
.2 現場水中養生シリンダーに対する垂直部材および水平部材の強度比の分布 2.8)
(材令 4週)
2章 材 料 お よ び 材 料 強 度 -29ー

以上のような現状および 1
986
年の JASS5の改定をかんがみて,信頼強度算出のためのコンク

.0F
リート材料強度として 1 cとした.本設計法では JASS5~こ準拠したコンクリートを対象としてい
る.施工不十分などの理由のために部材のコンクリート強度が不足している例 2.9)も過去にあるので

注意されたい.

2
.2 鉄 筋

2
.2.
1 種類
鉄筋には,原則として, J
1SG 3
112 (鉄筋コンクリート用棒鋼)の規格に定める異形鉄筋の
うち, SD3
0A,SD3
0B,SD3
5,SD4
0を用いる.鉄筋径は,呼び名 D38以下とする.また,
せん断補強筋には, J
1SG 3109(PC鋼棒〉の規格に定める異形 PC鋼棒を用いることができる.
2
.2.
2 材料強度
鉄筋の材料強度は,鉄筋の種類に応じて,部材の信頼強度の算定では表 2
.1(乱)欄の値とし,
また,部材の上限強度の算定では同表 (
b)欄の値とする.

表2
.1 鉄筋の材料強度

算定する部材強度
鉄筋の種類 (
a) 信頼強度 I (
b) 上限強度
SD30A. SD3
0B .0σy
1 .3σy
1
SD35. SD40 .0σy
1 .25σy
1
異形 PC鋼棒 .0σy
1

ただし, σy • 鉄筋の規格最小降伏点

2
.2.
1 種 類
終局強度型の設計法では,鉄筋コンクリート部材の靭性が重要であり,そのためには靭性があ

lS
り,機械的特性がよくわかった鉄筋を使う必要がある.そこで,本指針では鉄筋の規格のうち, ]
G 3112 (鉄筋コンクリート用棒鋼〉に使用材料を限定し,しかも SD3 0B,SD3
0A,SD3 5,
SD4
0に制限した.ただし,せん断補強筋としては,現行規準と同様に丸鋼を用いてもよい.
主筋に使用する鉄筋径が細し、と,コンクリートが圧壊した後に主筋が座屈してしまう可能性があ

り,座屈防止のために,横補強筋の間隔を非常に密にしなければならなくなる.逆に p 主筋径が太

くなると,主筋の付着劣化あるいは主筋周囲のコンクリートの割裂が生じやすくなるし,主筋のガ

ス圧接も難しくなる.さらに,太径の鉄筋を使用した実験データも限られているので,ここでは鉄

筋径を呼び名 D38までに制限した.

2.2.2 材料強度
本会「鉄筋コンクリート終局強度設計に関する資料 J
2.
2)に高炉メーカーの鉄筋品質,特に異形鉄

筋コンクリート用棒鋼の降伏点,ヲ!張強度,伸び、についてのばらつきが紹介されている.現在,建

築物に使われる鉄筋として J
1S規格を満足した電気炉鉄筋のものが 90%以上を占めている.鉄筋の
u
n︿U

鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

品質は, メーカーおよびその月間成績,鉄筋サイズ,鉄筋グレードなどによりわずかに変動するこ

とが示されているが,下記に示すデータの傾向が大きく異なることはない.


hV0.H


一====一間


-
﹁1111一




lilia--M
工日仏ι一

4
0 4
0


丸 σν 一σll﹄││目
二I
U:♂

u


(訣)斜

31-
: ; - 玄 =2

AUAU
qJ

決 3
0 了 !σ=2.
4 I

1u
l ν
L,=2
:.
.L
1.



L

掛 2
0

J~

出 1
0 制 1
0

O o
!
:
:-イド1
O 0
'/ 0 2
0 3
0 4
0
伸び(%)
-


一ITJU---5一

一====一

-2F91-dIlls--ta

一 zσν 一
﹁ill11L

﹁lili--J

﹁1
-同一

-Qdqυ ワuQd-
4
0

寸1 1 1 1 1 J

4
0 「

7 -F u
m--m

、8
zil--m川川け

n=12187

xσν

11111Ln

v3

︽川
1玄=56

(設)緑

--
UnU
J

lσ=2.6

~ 3
0
iν=4.6 I 次
! i


B--'lBilli--
」ーーーーーー_--l



三ヨ

L

uσm 報 2
0

:-j1(
M
m

iÞ~


AU

1IL--4
川川川川出川)
1
0
l什U び

HHHμ
1 口
﹂ワ u J I

4:%

ド旬

xuh中

O
ff
J 4
0

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一====一コ

寸111111J
iQd 内'unrunwvi
﹁1

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4
0 l 4
0
Fhur-M

n=1281;
l87-
1111Lrill- ム
ZIlll-!


:=57
・-

~ 3
0 iσ=2.8 ~ 3
0

1u=1.0J
"
"

巳九
o-

~ 報 2
0 U σm 報 2
0
附川川出 3mm
1

1
1


注 世
t
lh
la

1
0 1
0
トi
﹁工び


l--Lnu
Lゆ

04?
-
:-
J
:
-
nノ

4
0



, 4i

[注]図中の n:デ ー タ 個 数 ,x:~平均値 Ckg f/mm2) ,σ:標 準 偏 差 C


kgf
/m m2
),ν:変 動 係 数 C%),Lσ 降伏点下限値,
l
σ 引張強度下限値 ,uσ 引張強度上限値 ,Lσ:伸び下限値を示す.

解図 2
.3 異形棒鋼(素材)の降伏点,引張強度および伸び (A破断)の分布 CSD30J
﹃u
唱S
2章 材料および材料強度


(財〉日本建築総合試験所が昭和 6
0年度に実施した異形棒鋼の受託試験の集計結果2.)によれば,
10

す べ て の 径 の1
0-
--
--
D3
8) の SD30および SD35の強度の平均値王は,以下に示す値となっている.
SD30: x = 1.245σy (標準偏差 σ=0.07σ y
)

SD3
5: Z 二二 1.142σy (標準偏差 σ=0.06σ y
)

, σy • 規格最小降伏点


〉 ー ' > - ).フ'
」 ー ' -v

これらのうち,解図 2
.3と解図 2
.4に
, SD30 (
約7200本) SD35 (
約1200本〉別,および鉄筋呼び
名別 (
D19
---
--D
32) の降伏点,引張強度,伸び率のヒストグラムを転載した.

4
0 「一ー一日ー寸
4
0
I n=314 1 「K2491
zih60!

ZIl--HHHHm川川川川M M t
1 ヲ=23
(次)額制
nununu
qunLTi

(決)輔副

AUnUAU

内ぺ
11σ=2.7 iσ=2.2

U
!iν=4.5 I ;ν=9.6 i

l:
,4 F E - -
'L.ー一一一一」 守ーーー"ーーーーーーーー」
a


Utl'all-jail--41
円ノ“τEA

1m
'
'B
aa
-
-円

-
LHi]
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um 市
EE
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--
9
6
1

'L
片1

AU
)
0

円台

4
0

υ
%



ra
4
0 r------i
!η=327 I
4
0 「一一ーー--,
1 n=253
x=59 x=29
qd
nU
(次)採世

nunu
(渓)輔 M

x 1σ=2.7 1
nd

1σ=2.4 i
︿ n

iν=4.1 1 1ν=9.3 1
」一一一一一」 '--ーーーーーーー一--'

~

U
4
円 1

1
8

l~i~
m

U

0何十」
0
"10 2
0 3
0 4
0
伸び(%)
5
虫 度 (kgf/mm2)

4
0 「一一一一ー「
!日 =54
4
0 「一ー一一ー「
1 冗 =36
一X 1 1 1 1 1 1 4

Elx=601 x=29
nunu
(決)諦
qミ U 内 / “

~ 3
0 ! 1σ=2.3 1 1σ=2.8
_
1 lν=9.7
dlit-'Lm 伸

次 iiν ,:~.~ L _一ー一一一』


I


三ヨ
刊日

訴 2
0
1トltill--J

生H

制 1
0
﹁パU

1
0
日ペ
ペ431/
;(

lnu
はハU

O O
Lイト」
-d4A

O
%

f
注]図中の π:データ個数, x:平均値 (kgf/mm2),σ /m m2
:標準遍差 (kgf ),
ν:変動係数(%), 1σ 降伏点下限値 ,1σ 引張強度下限値 ,1σ:伸び下限値を示す.

解図 2
.4 異形棒鋼〈素材〉の降伏点,引張強度および伸び (A破断〉の分布 C
SD3
5]
-32 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

SD30クラス(解図 2
.3) では,降伏点強度の下限値(五 -2σ)が D19,
,D
.
.
. 32でほぼ1.1σyになる

が,部材の信頼強度算定用の材料強度としてやや低自に1.0σyとした.部材の上限強度算定用とし
ては,同図から1.3σyを採用した.引張強度の平均は D19,
,D
.
.
. 32で5
.6"
""
".7tf/cm2と安定している
5
が,その分布はかなりばらついている.伸び率は,規定値をすべて上回っている • SD35 (解図 2
.4)
は,引張降伏点の下限値が D29,D32を除いて規格値 (
σy) に近い値を示している. SD40クラスは

データの数が極端に少なくなるが,その傾向は SD35クラスとほぼ同様である.そこで部材の信頼

強度算定のための材料強度として1.0σyをとった.部材の上限強度算定のための強度は,鉄筋呼び
名ごとに異なったヒストグラムを示しているが, これらの図から一律に1.25σyとした.

降伏点 引張強度 申
イ び

4
0 「ー一一一一--, 4
0 「一ーーーーーーl

旦=15621 i n=1565 I I 持 =1306 I
I x=38 1- I x=54 x=26
x
qd
nUAU

f
(決)報

lσ=2.2 lσ=3.3 ~ 3
0 1σ=2.3
I11=5
.8 l 戸 6..:~_J 次 !ν=8.8


D

L _ーーーーー...J I L一一ーー一ー」

一日
, 一一山
-T

u
qm
U

Jσm 婦 20
-ra

岬L
一ハ岬

回 世

1
0 1
0


ド吋
。 2
0 3
0 4
0
伸び(%)

降伏点 引張強度 伸 び

4
0 「一一一一ー一「
l竺=2972
r-ーーー - - i
I n=2972 i
4
0 「 n=23301
I x=37 1_ x=54 1言= 26
n

f
AU
qJnL
(次)婦制
(決)輯
qJ
u

lσ=2.1 1σ=3.1 x lσ=2.3


lv=5.7J i 1ν=5.7l lν=8.8
L__一ー一一」
D
3よ一'ω


一守

u
f
m

uハ
一一旬

J
σ間 l
E

2
0

山L
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性H
1
0 1
0

O~イト」
0"1
0 2
0 30 4
0
5
皇 度 (kgf/mm2
) 伸び(%)

降伏点 引張強度 伸 ぴ
4
0 F ーーーー一寸 F 一一一一ー「 4
0 「ーー』一ー一寸
In=81 I n=81 n=56
x=38 X I x=55 I x=26
(決)掛
つd


(決)援制

n4u
U

UAHV

1σ=1.4 σ = 1.8 :σ=1


.5 I

とでそ
?__
: 1 しとでそj-l 1
1=5
.8

巨ヨ
」ーーーー__..J
つ,“

"
1 m 2
0

1
0 1
0

[注]図中の π:データ個数, x:平均値 Ckgf


/mm2), σ:標準偏差 C
kgf
/mm2), ν:変動係数 C%),
l
σ 降伏点下限値 ,1σ 引張強度下限値,川市:引張強度上限値 ,1σ:伸び下限値を示す.

解図 2
.5 D
I0"
"-D
13の実状
2章 材 料 お よ び 材 料 強 度 33-

なお,電気炉鉄筋も上記資料中 70%以上を占めている. (社〉日本鉄鋼連盟の電炉鉄筋棒鋼研究委

員会の 1
983
年の調査では, 2
1社のデータから SD30(
約 l万本〉の引張降伏点に関して,平均値王=
2
3
7.3
"'-
'38
.4kgf/mm,標準偏差 σ=1.77"'-'1.80kgf/mmへ お よ び SD35 (4500本〉で三ニ 3
9.
6'
"'
"'
2 2
40.1kgf/mm, σ=1
.72
"-'1
.99kgf/mmであった.
日本建築学会の「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」では,せん断補強筋の許容応力度
2
を ,3000kgf/cm以上にとってはならないとし,その理由は高強度せん断補強筋の実験データが

少ないことをあげている.また,近年高強度鉄筋の開発が進み,これをせん断補強筋に用いた場合
2
のデータも蓄積されてきた.そこで,本指針では特にせん断補強筋の降伏強度を ,3000kgf/cmに

限定しないで異形 PC鋼棒もとり入れた.
文献 2
.10
) のうち DI0,,-, D13 (SD35の DI0は資料 3本のみなので除外〉の降伏点などの実状を解
図2
.5に示した.これよりせん断補強筋の信頼強度として SD30,SD35ともに1.0σyとした.
今後は SD40以上の鉄筋が普及することが予想されるが,この場合にもヒストグラム実績から,

部材の信頼強度および上限強度算定用の材料強度を決定するべきである.

(
N)
7
.4φ
3
0
規格降伏点 130kgf/mm
2 π=73
x=146.9Ckgf/mm2)
2
4 σ=1
.43C
kgf
/mm2)

2
0 1
8

1
2

1
0

O
1
42 1
43 1
44 1
45 1
46 1
47 1
48
降伏点強度 (kgf/mm2)

(
N) 1
3O
3
0 規格降伏点 130kgf/mm2
n =46
2
4 主=
145.2Ckgf/mm2)
σ=1.1
1C kgf/mm2)
2
0

1
0
1
0

1
42 1
50 1
51

注 ]η:データ個数,
[ x:平均値, σ:標準偏差.

解図 2
.6 異形 PC鋼棒の降伏点の分布
-34一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

せん断補強筋として用いられる異形 PC鋼棒は現在 4社で製造されているが,その品質は比較的

安定している . A社の 1
987
年 7月の性能に関する統計値を解表 2
.1にまとめた.これらのヒストグ

ラムを各サイズごとに解図 2.6に示す.降伏点は比較的ばらつきがあるが,いずれも規格降伏点を
下回ることがないことから,信頼強度として規格降伏点をとった.

解 表2
.1 異形 PC鋼棒の機械的性質の統計値 (A社)

鉄筋径 7.4mm 9.2mm llmm 13mm


試料数 7
3 5
7 41 4
6
引張強度 規格値 14
5 14
5 1
45 14
5
2
Ckgf/mm) 平均値 150
.7 15
0.2 1
50.1 15
0.2
標準偏差 0
.97 0
.75 0.94 0
.85
試料数 7
3 5
7 41 4
6
降伏点 規格値 13
0 13
0 1
30 13
0
2
Ckgf/mm) 平均値 146
.9 14
5.1 1
45.9 14
5.2
標準偏差 1
.43 1
.21 1
.74 .1
1 1
試料数 7
3 5
7 41 4
6
伸び 規格値 5 5 5 5
C%) 平均値 9
.4 9
.5 1
0.0 9
.6
標準偏差 0
.55 0
.5 0.42 0
.49

2.3 材料の定数

鉄筋とコンクリートの定数は,表 2
.2による.
表2.2 鉄筋とコンクリートの定数
ヤング係数 ポアソン比
材 料 ICkgf/cm 2
)

鉄 筋 ,2.1X 1
06
5
コンクリート ,2
. 0xCγ/2.3)1
1X 1 .5X C
Fc/
200
)O.
5 1/6

3
ただし, r コンクリートの単位容積重量 Ct/m ) で,特に調査
しない場合は, 2
.3とする.

材料の諸定数に関してはすべて,本会「鉄筋コンクリート構造計算規準(19
88)Jに従うものとす

る.

コンクリート構造物の剛性評価全般についてのヤング係数に関しては文献 2
.2) を参照されたい.
コンクリートのヤング係数の定義,応力レベルとヤング係数,影響因子,実測例などが,これまで

の研究成果を踏まえて解説されている.

参考文献
2
.1) 日本建築学会編:建築工事標準仕様書・同解説, ]ASS5鉄筋コンクリート工事, 1
986
2
.2) 日本建築学会編:鉄筋コンクリート終局強度設計に関する資料, 1
987
.9
2章 材 料 お よ び 材 料 強 度 -35-

2
.3) 高橋利一:受託試験におけるコンクリートの圧縮強度に関する調査,昭和 5
9年度 GBRC,(財)日本建築
総合試験所, 3
9号, 1
985
2
.4) 長谷川寿夫ほか:コンクリートの養生条件,特に乾燥が圧縮強度・弾性係数に及ぼす影響,セメント技
術年報 XXX,p
p.3
20-
323,1
976
2
.5) 松井嘉孝ほか:壁,柱コンクリートの高さ方向の性状変化に関する研究,日本建築学会大会学術講演梗
概集, 1
962,1
963
2
.6) 神田 衛ほか:コンクリート打ち込み後の部材断面における水セメント比の分布性状,セメント技術年
報 XXVII1
974,XXIX1
975,XXX1
976
2
.7) 大野和男ほか:レディーミックストコンクリートによる現場ポンプ施工無筋コンクりート柱の各部強度
について,日本建築学会北海道支部研究報告集, No4
5,1
976,No4
9,1
978
2
.8) 高橋久雄ほか:構造体コンクリートの強度管理に関する研究,セメントコンクリ一人 No3
72,1
978
2
.9) 桝田佳寛ほか:実際の RC建築物におけるコンクリートの品質,日本建築学会論文報告集, (その 1)
1
98.,
2 1 (その 2) 1
982
.7
2
.10
) 池田 茂:受託試験における鉄筋コンクリート用異形棒綱の引張及び曲げ試験に関する調査,昭和 6
0年
度 GBRC,(財)日本建築総合試験所, 4
4号, 1
986
.10
ハhu
qベ
U

3章 構 造 計 画

3
.1 構造計画の原則

3
.1.1 降伏機構の計画
設定する降伏機構は,明快な全体降伏形とする.
.1
3 .2 部材の計画
降伏ヒンジを想定する部位に対しては,必要な強度を確保するとともに,十分な靭性を保証
するように計画する.
降伏ヒンジを想定しない部位に対しては,十分な強度を確保するように計画する.
3
.1.3 平面および立面の計画
建物の平面は,剛性,強度等がバランスよく分布する平面形とし,地震時に過度のねじれ振
動が生じないように計画する.また,その立面は,特定の層に変形が集中しないように,高さ
方向の剛性,強度等の分布を計画する.

3
.1.1 降伏機構の計画
(
1
) 建物の地震応答を支配する大きな要因として,強度(水平耐力〉とエネルギー消費能があげ
られる.本指針の耐震安全性を確保するための基本的な考え方は,想定される地震入力に対
し,建物の使用性をおびやかしたりあるいは破壊に至るような大きな変形を生じさせないこと
であり,そのために必要な建物の水平耐力を確保する.また,地震時に励起される建物の振動
エネルギーを多く消費して変形を小さくするため,大きな弾塑性履歴エネルギー消費能を有す
る数多くの降伏ヒンジが確実に形成されるように明快な全体降伏形の降伏機構を計画す
る3
.1,
3.
2)

(
2) 耐震性を確保するうえで必要とされる建物の強度は,計画する降伏機構と許容する変形に

よって定められる.建物全体の靭性に富む性能を期待することによって耐震安全性を確保する
本指針の考え方を実現するには,計画する降伏型ではない予想外の降伏型をとることがないよ
うに明快な形の降伏機構を計画することが必要とされる.
また,必要な建物の強度は,計画された降伏型が形成されることを前提として算定されるの
で,設定される設計入力地震に対して骨粗に想定される変形レベル(設計限界変形)までに目

標とする耐力が発揮されなければならない.
上層部の部材断面設計が長期荷重に支配される中・高層の建物では,降伏ヒンジ発生を計画
した部位に設計限界変形において降伏ヒンジが形成されない場合が予想される.そのような場
合には,その部位に期待される塑性変形とエネノレギー消費を除外して骨組に必要な強度を算定

する必要がある.
3章 構 造 計 画 一 37-

3
.1.2 部材の計画
本指針での耐震安全性確保の基本的な考え方は,弾塑性履歴により大きなエネルギー消費が期待
できる靭性に富む降伏ヒンジを部材端部に計画し,その望ましい形の降伏機構によって地震時に建
物に励起される振動エネルギーを消費するものである.
想定する設計限界変形のレベルにおいて,建物に必要とされる水平耐力を確保するように,降伏
ヒンジを計画する部材端部に必要な強度を確保するとともに,想定される設計限界変形を超えて大
きな変形のレベル(保証変形)に対して変形能を確保する.
降伏ヒンジ発生を計画しない部位に対しては,十分に大きな強度を確保し,想定する降伏機構が
確実に形成されるように計画する.

3
.1.3 平面および立面の計画
(
1
) 計画する建物は地震時に建物全体として均一の振動性状を呈するように平面内および高さ方
向の剛性ならびに重量の分布がなるべく均ーとなるように計画する.建物の重量および耐震構
成要素部材の剛性の分布の不均一は,建物に局部的な応答の増大をもたらすおそれのある振動
を生じさせ,その結果,建物に局部的な損傷をもたらす部分降伏を生じさせる危険性を有す
る.

本指針では,建物の構造体全体に分散して数多く発生する降伏ヒンジによる弾塑性履歴に
よって地震時に入力される振動エネルギーを消費し,地震時の耐震安全性を確保することを基
本としている.したがって,降伏ヒンジが構造体の局部の部位にのみ発生する部分降伏機構の
形成は望ましくない.このことより,平面内および高さ方向について重量ならびに剛性の分布
を一様とするように計画し,それらの分布にチェックを加える.
(
2) 建物の平面内の剛性分布に関する整形性を判定する指標および立面方向の剛性分布に関する

整形性を判定する指標としては,当面の聞は,建築基準法施行令に定められる偏心率および剛
性率 3.3) を準用することとした.偏心については, 原則として, 算出される偏心率の値が

1
5/1
00以下であれば,平面内の剛性分布はほぼ力学的に整形とみなすこととし,剛性分布に
ついては,算出される剛性率の値が 6/10以上であれば,立面方向の剛性分布は力学的に整形
とみなし得ることとした.
ただし,偏心率および剛性率の値の算出にあたっては,外力分布,部材剛性などは本指針に
おいて設定する外力分布 P ならびに弾性解析における部材剛性などに従うものとする.

なお,本指針では,対象とする建物は力学的に整形であることを必要な条件とし,この整形
性を満足しない建物は本指針の適用対象の範囲外とする.
(
3) 建物のねじれ振動の要因となるものとして,重さ,剛性および耐力(もしくは,強度〉の偏

在があげられ,それぞれに重量偏心,剛性偏心および耐力偏心の概念が定められる 3.4)これら

の物理量は,建物が弾性域にある場合,および塑性域にある場合に対してそれぞれに算出され
る.建築基準法施行令に定められる偏心率は,これらのうちの重量と剛性 P それも弾性剛性に
より算定されるねじれ振動に対する 1つの指標として位置付けられる.
地震時のねじれによる被害とねじれ振動を表す指標との相関を解図 3
.1に示す 3.5) 図の横 p
-38一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

縦軸は,それぞれ偏心比 e(偏心距離/回転半径で,偏心の度合いを表す指標),弾力半径比 j
(弾力半径/回転半径で,ねじれにくさを表す指標)の逆数 (1/j) である..はねじれによ
る被害が生じた建物(被害の階),。は被害を生じなかった建物を示す.
建築基準法(令第8
2条の 3
)の偏心率 R
e(ニ偏心距離/弾力半径〉は解図 3
.1中では双曲線と
なり,偏心率九二 0
.15,0
.30の場合を示す.建築基準法における偏心率の規定は不整形性によ
る被害とおおむねよく対応している.
十勝沖地震(19
68) でねじれ被害を生じた建物を検討した結果3.6)では,偏心比 Eが0
.3以上の
建物ならびに弾力半径比 jが lをかなり下回る建物がねじれやすいことを指摘している.また
耐震診断基準 3
.)では,その定義が異なるが,質量一様な矩形平面を有する構造でも偏心比が
7

0
.35を上回る場合には偏心の影響を考慮することを規定している.
さらに, 1軸偏心する 1質点系の弾性応答解析によりねじれの影響を検討した文献3.8)による

, (1)弾力半径比の逆数く lの範囲では,ねじれ応答率(ねじれによる回転と並進変位の比

で,ねじれの度合いを表す〉は弾力半径比の逆数の変動に対しては敏感であるが,偏心比の変

動に対しては比較的鈍感である(解図 3
.1中で,等しいねじれ応答率の値を与えるコンターラ
インはおおむね横軸に平行な線となる). (
2
)逆に,弾力半径比の逆数 >1の範囲では,ねじれ
応答率は弾力半径比の逆数には余り関係せず,偏心比に依存する(解図中で,ねじれ応答率値
のコンターラインは縦軸に平行な線となる).すなわち,偏心比は大きいが弾力半径比の逆数
が小さい範囲(解図中の右下領域),ならびに弾力半径比の逆数は大きいが偏心比が小さい範
囲(同左上領域〉の建物は,ねじれ応答は小さい.

-ねじれによる被害を生じた建物

1
.4

1
.2

O
l
o
「 10
i
調
型 l

#


R
Zま
(
:0.
8

0
.6

0
.4

0
.2

0
.2 0.
4 0
.6
1
.
l; 心 比 E
H
'

解図 3
.1 実建物に対するねじれ振動指標とねじれ振動による震害
3章 構 造 計 画 39-

本指針においては,前記 (
1)と (
2)の応答結果の傾向より,偏心比が 0.2を上回り,かつ弾力半

径比の逆数が 0
.6を上回る(弾力半径比が 5/3を下回る〉範囲がねじれによる不整形性を有
する建物とした.

こ示すように,基準法による偏心率が 0
この考え方は,解図 3.H .15以下であれば整形な建物
とするのと対応している(隅角の一部が共通しないが,地震被害が認められないので可とす

る).しかし p 本指針では,基準法に定められる範囲に加え,偏心比が小さい (e=0.2以下の〉

範囲ならびに偏心比が大きくとも弾力半径比が大きい (j=5/3以上の)範囲も.整形な建物
として取り扱うことができることにしている.

なお p ここでは強度の分布については特別には規定を設けるまでにはいたらなかったが,重

量ならびに剛性と同様にパランスのよい分布を計画し,強度についても偏心〈強度偏心)を生
ずることがないように構造計画をたてることが望ましい.

位) 本指針では,高さ方向の剛性分布に対する判定指標を新しく規定することはせず¥基準法施
行令による剛性率の規定を準用することとした.しかしながら,いままでの設計事例の傾向を

見ると p 剛性率 6/10の大きさは高さ方向に均等な変形モードの振動を生じさせる剛性分布を

規定する数値としては緩い値とされる.したがって,明快な,望ましい振動性状を有さなけれ

ばならない建物に対しては,規定の数値を必ずしも 6/10に固定的に考えることなく,さらに
剛性分布を整形とする構造計画を行うことが望ましい.

3
.2 7レーム構造

3
.2.
1 降伏機構と降伏ヒンジ位置
降伏機構は,原則として,建物の各層梁端および 1階柱脚に降伏ヒンジを設定する梁降伏型
とする.
3
.2.
2 降伏ヒンジ位置の例外
降伏機構の計画にあたって,例外的に次の部位に降伏ヒンジが生ずるよう計画してよい.
(
1
) 最上階の柱頭
(
2
) 地震力により軸力が小さくなる外柱
(
3) 地震力の負担を計画しない内柱

3
.2.
1 降伏機構と降伏ヒンジ位置
(
1) 地震時に建物の骨組が大きな靭性能とそれに伴う大きな弾塑性履歴によって地震入力による
振動エネルギーを消費するためには,解図 3
.2に示す梁降伏型の降伏機構を形成するように計
画することが望ましい.

梁部材端に降伏ヒンジを計画する理由としては

イ〉梁には鉛直荷重による軸力が作用しないと考えられるので,大きな靭性能を容易に確保す
ることヵ:で、きる.

ロ〉梁の曲げ降伏による履歴ループは軸力が作用していないために安定しており,したがって
拘 \1.- ト造建物の終局強~型耐震設計指針・解説
鉄筋ゴソツソ
-40

訓 1
i7'
" 1:る生体降伏機構
梁降伏ニil1.~~ふ
解図3
.2

: : る!脅降伏を形成することなく,


ハ行




機 構を
戸マ


J
-ギ






安}
中J

hth
λノ

損傷
て大きな靭性能と が倒壊などの大きな
組全体とし げ干ハて建物の骨組李主体
形成するよう計画することができる それドd-.リ


η3
δ





a
k


ロ〕梁部材端に曲げ降伏力主主じても,





設C

~=?、 lレ{じし7こ変位に比例
訓明ノ


>
-.
を生ずることはない・
柱には J 般に大きな軸力カミ作用してし し て 骨 組 榊 訓 示 す3.S) 脚力主滅少する


(
2
')

特でき

部材に期
mvd

l
なく
くさ
さト
形/

に急激に低下し
きロ

λハJ
t

1J

川V

る的ゆ
、LV

市多色

-

では

h官

待度
期強
J

の干


1 により耐力は最大憶をとっすニのち

〆)

げぽ て柱部材 A

では,載椅の繰返し M きくなる~.C-'\).につ
v こで
ずる側 が認、められ,紬力が大 しにがって,
この実験の試験体のコソクリ
ぉ 評

q旨摘されよう・


E

る変形能に陣界
る 形
fi

LルLF

恥叩し
ら の



め 44






μ



)




4
﹀)

μ
3章 構 造 計 画 -41-

は,変形能についての定量的な評価を行わず,軸力の増減によって部材に期待できる変形能が

どのように変わるかについての定性的な説明にとどめる.
また,柱は建物の鉛直荷重を支えており,柱部材の損傷は建物全体の崩壊などの大きな損傷

に直接につながる危険性が高い.

6
.0

試験体 AX3
変位比例変動軸カ
4
.0

2
.0
3
(判
)RNrv


育問#

コンクリート
Fc=1
20k
gf/cm2
主筋 DlO
-2.0 σy=3300kgf
/cm2

1
九=143%


:

あばら紡 D6
σy=4300kgf
/cm2
P.=O.64%
軸力
-4.0
b
N =(
12土1
6)t
on


J 試験体向き
l

H=55cm
3一日

ーよ一一一一
2 O 2
5
5 5
5 5
5
水平変位(部材角)

解図 3
.3 変動軸力を受ける柱部材の荷重履歴 3.9)

さらに,柱に降伏ヒンジが形成される場合には,解図 3
.4に示すように,ある特定層の柱部材
の上下端位置に降伏ヒンジが形成され,その層位置で部分降伏機構が構成されることがある.

その場合には,その層部分のみで地震時に励起される振動エネルギーを消費せねばならぬこと

になり,塑性変形が集中して過大な変形が生じ,建物の耐震安全性の確保という観点から望ま

しくない. このことは,解図 3
.2に示される梁に降伏ヒンジが形成された全体降伏形と,解図
3
.4に示される柱に降伏ヒンジが形成された場合の部分降伏形を対比してみると明らかである.
(
3) しかしながら,梁降伏型の全体降伏機構を形成させる場合においても, l階の柱脚には降伏

を許容せざるを得ない(解図 3
.2).なぜならば,建物の不同沈下などを防止するために,基礎
梁は一般階の梁に比べて梁せいを大きくとるように計画されることが多い.その結果として,
基礎梁の曲げ強度が大きくなることより, l階の柱脚位置における柱梁節点で柱脚の曲げ耐力
を基礎梁の曲げ耐力の和よりも大きな値に計画することは断面設計上難しい. また,基礎梁に
降伏を生じさせることは以下の 2点から好ましくないと考えられる

i)基礎梁は地中に設けられるため,地震後に p 降伏が生じたかどうかを確認することが困難
-42一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

解図 3
.4 柱降伏ヒンジの形成による層降伏機構

である.また降伏ヒンジが発生した場合に,その補修を行うのも困難である.

i
i) 大地震の際に考えられる地盤の破壊が生じた場合,建物全体の安定性確保の面から,基礎

梁を含む基礎構造に損傷を生じさせることは好ましくない.

上記の理由により,基礎梁に降伏を生じさせないようにするために, 1階の柱脚部分に降伏
が生じるような降伏機構を計画する.

3
.2.
2 降伏ヒンジ位置の例外
(
1
) 建物の最上階の柱部材の柱頭端には,降伏ヒンジの発生を許容せざるを得なくなることが多
い.なぜならば,一般には,最上階の柱頭位置での節点では 1本の柱部材に対して 2本の梁部

材が取り付く.また,最上階では,防水層の押えのためにパラベットが取り付くことにより最

上階の梁は断面性能の大きな部材となる場合が多い.さらに最上階の柱頭端部に降伏が生じな
いようにすると,柱部材に算定される設計用せん断力に対して過度に大きな強度を結果的に計
画することとなる.

最上階の柱の柱頭に降伏ヒンジを計画しても差し支えないとする理由としては,以下の点を
あげることができる.

i)最上階の柱に作用する荷重を考えてみると,鉛直荷重による柱軸力は小さい.したがっ
て,この柱の柱頭端部に降伏ヒンジを計画したとしても,作用軸力が小さいために,柱部材

端であっても,比較的容易に大きな靭性能を確保することが可能である.

i
i) 全体降伏形の降伏機構が形成される際,最上階柱頭端部に計画する降伏ヒンジにより消費

されるエネルギーは,梁端部に計画する降伏ヒンジにより消費されるエネルギーと同程度の
3章 構 造 計 画 一 43-

大きさとなる.

i
i) 最上階の梁部材に損傷を生じさせると,防水層の損傷につながり,地震後に必要な補修が
i

柱部材の柱頭端部に損傷を生じさせた場合と比較して規模が大きくなり,この場合は梁部材
端に降伏ヒンジを計画することは望ましくない.

(
2
) 地震時に建物骨組の外端の柱には,水平力による転倒モーメントによって引張り・圧縮の軸
力が作用する.この地震時水平力による変動軸力が引張りとなる際,降伏機構が形成されると

きの柱軸力は小さくなり,柱部材の曲げ強度は小さくなり,梁に先行して柱に降伏が生じてし
まうことになる.

解図 3
.5に,軸力比 η =-0.18の引張軸力が作用する柱部材の荷重履歴を示す 3.10) 本実験の
試験体は,高強度のコンクリートと高強度のせん断補強筋を組み合わせたものではあるが,力

学的な条件としての引張軸力が作用する水平載荷の場合の一般的な傾向を示す履歴を示す.引
張軸力が作用する柱は,繰返しの載荷に対しすぐれた靭 性を有していることが認められる. J

柱部材に降伏ヒンジの形成を許容しない主な理由は,一般的には,柱部材には大きな軸力が
作用しており,したがって降伏発生後の靭性能を確保することが難しいことによる.しかしな

がら,地震時において,引張りの軸力が作用して柱軸力が小さくなる際の骨組の外柱では,解
図3
.3ならびに解図 3
.5に示される履歴より明らかなように,作用柱軸力が小さくなると比較的
容易に靭性能を確保することが可能である.

(
3) また,鉛直荷重が支配的な骨組に含まれ,水平力を負担しないように計画される内柱には,

柱に降伏ヒンジの形成が許容できょう.その理由は,主として鉛直荷重のみを負担するように

設計された柱の場合にはその柱部材に降伏が生じても,それにより,その層の部分降伏による
N合

C-4
JZI171
併三一一-
P7

7021斗

3
0



h


.
j
¥

ζ20
l
J7

'hlづ

2
3
:d(cm)

-
2
: 呂 ;
/
1
40

解図 3
.5 引張軸力が作用する柱部材の靭性に富む荷重履歴 3.10)
-44- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

層降伏機構を形成するおそれがないからである.ただし,降伏後の柱の鉛直荷重支持能力につ
いては十分配慮する必要がある.

3
.3 耐震壁フレーム構造

3
.3.
1 耐震壁の配置と形状
耐震壁は,原則として,平面内に対称に配置し,整形な平面となるようにするとともに最下
層より最上層までの連層耐震壁とする.
3
.3.
2 耐震壁の関口
耐震壁に関口を設ける場合には,開口が耐震壁の剛性ならびに強度等に及ぼす影響を適切に
考慮する.
3
.3.
3 耐震壁の降伏ヒンジ位置
耐震壁は 1階脚部に曲げ降伏が発生するように計画する.ただし,壁脚部での曲げ降伏の
発生以前に,壁下基礎に浮上り回転が生ずるように計画してもよい.
3
.3.
4 フレーム部分の降伏機構
耐震壁フレーム構造に含まれるフレーム部分の降伏機構も,原則として,梁降伏型となるよ
う計画する.ただし,耐震壁に十分な強度を確保する場合には,柱に降伏ヒンジを計画しても
よし¥

3
.3.
1 耐震壁の配置と形状
建物全体の整形性を確保し,平面的な剛性分布がなるべく均等になるように,耐震壁は平面内に
対称に配置し,高さ方向の剛性分布が急変することがないように,原則として,最下階より最上階

まで壁板スパン数が同一な連層耐震壁として計画する.下階部分において壁のスパン数が減じる壁
抜けの構造は計画してはならない.壁板がセットパック構造をとり,逆に上階において壁のスパン

数が減じるような壁も,原則としては,計画しない.その理由は,壁板がセットパックする階の境

界部分において,壁部材の強度が小さくなることにより,その位置に降伏ヒンジが発生して部分降

伏の降伏機構を形成するおそれがあること,ならびにここであげた部分降伏機構が形成される可能

性を含めて,建物に想定される降伏形が明快に定められない場合が多いことがあげられる.

建物の地下階部分については,一般に,建物の地下周りには剛性ならびに強度とも大きい地下擁

壁が設けられる.このことにより,一般的には,建物に設けられる壁に想定される降伏形は 1階
位置での壁脚部の曲げ降伏による降伏形として明快に定められることが多い.この場合,想定され

る降伏形をさらに一層明確なものとするという理由によって p 地下階部分においては,連層に設け
られた耐震壁のスパン数を大きく計画することが許容される.

3
.3.
2 耐震壁の関口
壁に開口が設けられる場合には,その形状によって壁板の剛性および強度を低減するとともに関

口周りを補強する.この関口による低減および補強は本指針中において新たなものは提案せず,従

来よりの関口周比による低減と,補強の規定にのっとり行うものとする.
3章 構 造 計 画 45-

本指針による建物に計画される耐震壁は,従来の建物中の壁と比較すると,部材に大きな靭性能

と,それに伴って生ずる大きな弾塑性変形を計画する.したがって,開口周比 Tの値が 0
.4を上回る
関口を計画しないと同時に, 9章に規定される壁板のヒンジ領域においては,開口の上部のせん断

補強に特に留意する必要がある.

3
.3.
3 耐震壁の降伏ヒンジ位置
(
1
) 耐震壁に計画する降伏形は,原則として,解図 3
.6に示される 1階壁脚部における曲げ降伏
とする.ある程度の量の壁が骨組に含まれており,壁の剛性が骨粗の中で支配的な場合には,

骨組全体の変形が壁の変形によって規制され,耐震壁脚部に降伏ヒンジが形成されることによ
り,骨組全体の変形モードは変形が各層に均等に分散して生ずる望ましいモード形とな
る3.11.3.12)

骨組の降伏機構としては,耐震壁の境界梁にヒンジが形成され,柱に必要な強度が確保され
ていれば,梁部材端に降伏ヒンジが形成される機構が形成される.

解図 3
.6 1階壁脚部での降伏ヒンジの形成による骨組の降伏機構

(
2) 建物に地下階部分がない場合には,解図3.7に示される壁基礎の浮上りによる壁の回転降伏

機構が形成されてもよい.この場合には,壁の浮上りに伴い基礎梁に降伏ヒンジが形成され,

建物全体の降伏機構は壁周りの境界梁端部に降伏ヒンジが形成される梁降伏型となる.ただ

し,基礎の浮上りは建物の地下部分で生ずることより,地震後における降伏機構の確認および

補修には困難が伴うものと考えられる.

(
3
) 建物が地下階を有する場合も,原則として, 1階の脚部における曲げ降伏を計画する.地
4
6一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

解図 3.
7 壁下基礎の浮上りによる壁の回転降伏機構

下階部分は,一般的には周囲を地下擁壁によって固まれ,地上階部分に比較して大きな剛性な
らびに強度を有する.したがって,建物全体の変形適合を考慮すると 1階の壁脚部に降伏が
生ずると想定する降伏形がもっとも可能性の高い降伏機構である.また,この降伏機構を計画
することにより,建物の全体としての力学的挙動を明快なものとすることができる.地下階位

置の最下層壁脚での壁の曲げ降伏,または壁下基礎の浮上りによる壁の回転降伏機構が生ずる
場合には,この壁構面と l階基部において曲げ降伏を生ずる地下階につながるほかの構面との

変形を適合させるためには, 2つの並列する構面を結ぶスラブ部材に複雑な挙動による力の伝

達が生じなければならず,各並列構面に明快な降伏形を想定することが困難となる.したがっ

て,地下階部分がある場合には,地下最下層壁脚での壁の曲げ降伏または壁基礎の浮上りによ

る壁の回転降伏機構の形成を原則的には認めない.ただし,これらの降伏機構を想定した場合

に,特に l階スラブ構造を介しての力の伝達,ならびに原則として降伏ヒンジの形成を認めな

い部位として計画される地下階部分における地震時応力を明快に定めることができれば p 例外
的に地下最下層壁脚での壁の曲げ降伏または壁下基礎の浮上りによる壁の回転機構が生ずるよ

うに壁の降伏形を計画しでもよい.

位) 耐震壁下の基礎構造に杭が用いられる場合,耐震壁の降伏形を計画する際には,基礎梁の曲

げ戻し効果,直交梁の壁回転に対する押え効果,基礎構造重量の壁回転に対する押え効果など
に加え,杭の引抜き抵抗力も考慮、に入れなければならない.杭に評価される引抜き抵抗力の大

小が耐震壁の降伏機構の形式に影響を与えることがある.しかしながら,現在の段階では杭の

引抜き抵抗力を正確に算定することは難しく,まだよく解明されていない事象に対する不確定
3章 構 造 計 画 -47-

性要因によるばらつきが大きい.耐震壁に想定される降伏形のうち,壁脚部の曲げ降伏による
メカニズムおよび壁下基礎の浮上りによる壁の回転メカニズムの 2つはいずれも変形能に富む

靭性的な降伏形式であるが,壁脚部においてせん断破壊を生ずるせん断降伏メカニズムは変形

能が乏しい脆性的な降伏形である.したがって,壁の設計用せん断力が杭の引抜き抵抗力に
よって定められるような場合には p この引抜き抵抗力に上限強度に相当する十分な超過分を見

込み,壁に脆性的なせん断破壊を生じさせないように十分に大きな安全率を設定して,壁の降

伏形の計画を立てなければならない.

3
.3.
4 フレーム部分の降伏機構
耐震壁構造においては,全体降伏形の降伏機構は,基本的には,耐震壁の層降伏を防止すること
によって確保される(解図 3
.6,3
.7)
. したがって,耐震壁がせん断破壊することによって生ずる層
降伏に対して十分な強度が確保されるよう計画されるならば,全体降伏形の降伏機構を確保すると
の観点からは,耐震壁構造に含まれるフレーム部分の降伏機構は必ずしも単独のフレーム構造とし

て p 梁降伏による全体降伏形を計画する必要性はない.耐震壁の剛性が建物全体に対して支配的な
大きさである場合,建物全体の変形は耐震壁の変形によって制約され,柱の柱頭および柱脚に同時
に降伏ヒンジが形成されたとしても,その階のみに変形が集中する層降伏の部分降伏機構が形成さ

れることはない.

フレーム構造部分の柱強度を梁強度に比べて小さくとれば,節点での応力の釣合いにより柱に降
伏ヒンジが形成されることになる.この場合,柱に降伏ヒンジが形成されても建物全体の降伏形を
確保するとの観点からは問題とならないが,降伏ヒンジ部位で大きなエネルギー消費を計画すると
の本指針の基本理念からは,大きな軸力が作用している柱部材に降伏ヒンジを形成させることは望

ましいことではない.したがって,原則的には,耐震壁構造に含まれるフレーム部分に対しても,
単独のフレーム構造として,梁降伏型が確保されるように計画することとする.

3
.4 基礎と地下階

3
.4.
1 基礎梁
基礎梁には,原則として,降伏ヒンジを設定しない.ただし,浮上り回転によって降伏機構
を形成するように計画する耐震壁の境界梁には降伏ヒンジを設定してよい.
3
.4.
2 基礎スラブおよび杭
基礎スラブおよび杭などには,原則として,降伏ヒンジを設定しない.
3
.4.
3 地下階
建物の地下階部分には,十分な剛性を確保するよう計画するとともに,原則として,降伏ヒ
ンジを設定しない.

3
.4.
1 基礎梁
建物が降伏機構を形成する時,原則として,基礎梁には降伏ヒンジが生じないように計画する.

地震時に,基礎梁端部に降伏ヒンジが生ずる降伏機構を形成することは,軸力が大きく p したがっ
-48 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

て大きな靭性能を確保することが困難な最下層の柱脚に降伏ヒンジを生じさせないとする観点から

は望ましい.しかしながら,その一方において,基礎梁が降伏ヒンジ形成の確認ならびに降伏ヒン

ジ形成後の補修が困難な地中に設けられる構造であること,ならびに,基礎梁を含めて,基礎構造

は建物全体を安定に支持する機能を有していることの 2点を考慮すると,基礎梁端部に降伏ヒンジ

を計画することは望ましくない.本指針では,後者の立場に重きをおき,基礎梁には,原則とし

て,降伏ヒンジを計画しないこととした.
しかしながら,建物に連層耐震壁が計画される場合には,地震時に壁最下層脚部に回転モーメン
トが生じ,壁脚部下の基礎の浮上りによる壁の回転メカニズムが形成されることがある〔解図 3.7
参照 J
.連層壁の回転は,全体降伏形の降伏機構を形成し,すぐれたエネルギー消費能を有する望ま
しい降伏機構の 1つであり,特に壁脚部での回転モーメントが大きくなる背の高い連層耐震壁が設

けられる中・高層の建物の場合に,しばしば形成が想定される降伏機構である.壁脚部下の基礎の
浮上りによる壁の回転メカニズムが形成される場合には,変形適合より不可避的に基礎梁端部に降
伏ヒンジが形成される.

基礎梁に降伏ヒンジが形成される壁の回転メカニズムを計画する場合にあっては,地震時におけ

る基礎梁端部における降伏ヒンジの発生の確認,ならびにヒンジ形成後における損傷の補修を容易

に行うことが可能であるような構造詳細を工夫しておくなど,地震後の建物の再利用に際しての対
策を講じておくことが必要である.
3
.4.
2 基礎スラブおよび杭
建物下の地中に,基礎構造として設けられる基礎スラブおよび杭についても,原則として,この
部位には降伏ヒンジを計画しない.基礎梁と同様,地上部分に比較して地震時の損傷の度合いの確

認ならびに補修が著しく困難であり,また,基礎構造として大地震時の際に考えられる地盤の破壊
などに対し,建物を安定して支持する機能を確保する観点から見ても,基礎スラブおよび杭には地
震時に降伏ヒンジの形成を計画することは望ましくない.

3
.4.
3 地下室
地下階部分は,基礎梁,基礎スラブおよび杭と同様,建物を安定に支持する機能を有するととも

に,地中に設けられる構造部分として降伏ヒンジを形成するように計画することは望ましくない.

地下階は,一般には,四周を高い剛性を有する地下擁壁で固まれる.地下階部分の地震時の挙動を

明確なものとするため,その剛性および強度とも大きくとるように計画する.

3
.5 非構造部材

3
.5.
1 構造体に及ぼす影響
非構造部材と構造体との接合は,骨組に想定する降伏機構に影響を及ぼさないよう計画する.
3
.5.
2 損傷および落下の防止
非構造部材の損傷および落下などが避難等に必要な建物の諸機能に支障をきたさないように
する
3章 構 造 計 画 一 49-

3
.5.
1 構造体に及ぼす影響
(
1) 本指針で扱う建物を構成する部材は,構造部材と非構造部材の 2つのカテゴリーに明確に分
類される.構造部材と非構造部材の中間的な性格を有する部材は,本指針で扱われる建物には
含まれではならない.

(
2
) 本指針の非構造部材に対する構造計画の基本方針は 2つの規定に集約される.まず lつは本
規定で,構造体に計画される降伏機構の形成に影響を与えたり,当初に設定した降伏機構とは
別の降伏機構を形成する原因となる非構造部材は設けてはならない.

そのためには,非構造部材の構造体への接合に十分注意を払い,中小レベルの地震時におい
ては接合部分に過大な損傷を生ずることがなく,かつ建物に降伏機構が形成される大きさの地
震力が作用するときには,接合部が切断されるような詳細を工夫して構造体の基本的な力学性
状に影響を与えないようにその接合部分を計画する.

3
.5.
2 損傷および落下の防止
(
1) 第 2の本規定は,建物に降伏機構が形成されるような大きな地震時においても,避難などの
建物の機能に差し支え,直撃による人命に損傷などが生ずるようなはく落,落下を伴う過大な
損傷を生ずることのないよう,非構造部材そのものについての地震時挙動に関する計画事項で

ある.
(
2
) 非構造部材が構造体に及ぼす影響と非構造部材自身の損傷に関する 2つの構造計画の規定で
は,建物に降伏機構が形成されるような大きな地震時において,非構造部材の挙動が構造躯体
に計画される降伏機構の形成に影響を与えないように構造躯体との接合の部分で縁を切るなど
の計画を行うとともに P 接合の部分で縁を切られた非構造部材自身に過大な損傷が生じないよ
うに計画を行う.

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10
Fhd
4章 設 計 方 法

4
.1 設計方針

.1
4 .1 設計目標
構造設計は,鉛直荷重および中小地震動に対して必要な強度と使用性を確保し,大地震に対
して靭性のある全体降伏機構を保証するとともに,必要な水平耐力を確保することを目標とす
る.
.1
4 .2 鉛直荷重に対する設計
鉛直荷重に対しては,強度,たわみ,不同沈下,ひび割れおよび振動に関する検討を行う.
.1
4 .3 地震力に対する設計
地震力に対する設計は降伏機構設計と降伏機構保証設計に分けて行う.
) 降伏機構設計では,必要な水平耐力を満たすように,設定した降伏ヒンジに信頼強度を
(
1
確保するとともに,その靭性を保証する.
(
2
) 降伏機構保証設計では,大地震時の上限の応力に対して,降伏ヒンジ以外の部位に破壊
を起こさないように,信頼強度を確保する.

.1
4 .1 設計目標
この設計では中地震動と大地震動の 2つのレベルの地震動を想定し,それぞれに応じて,次のよ
うな建物の被害程度に抑えることを目標とする.

中地震動:建物の耐用年限中に数回経験することが予想される地震動.小規模な補修をすれば再
使用が可能である程度の被害の発生が想定されてよい.すなわち,ひび割れは生ずるが,鉄筋の降
伏を伴う塑性変形は起こらないものとする.
大地震動:建物の耐用年限中に 1回経験する可能性がある地震動.再使用のためには大規摸な補
修が必要となる程度の被害の発生を想定する.地震時に建物に生ずる最大変形(設計限界変形〉
は,層間変形角にして1/1
00程度を想定する.これに対して,部材に確保する塑性変形能力(保証変
形〉は設計限界変形を十分上回るようにする.
地震動の強さは,地震の発生機構,伝達経路,地盤条件,などの影響を受ける.設計では,これ
らの地震動のうち,建物に対する破壊力がもっとも大きい場合を考慮する必要がある.本設計指針

では地動の強さを定義していないが,中地震動と大地震動の強さは,例えば,地動の最大加速度あ
るいは速度で表すと,
2
中地震動:1
00"
-'1
20cm/sec程度 1
5"'
-'2
0cm
/sc程度
e
2
大地震動:3
00"
-'4
00cm/sec程度 4
0
.
--
.
..
.
.
.50cm/
sec程度

を想定している.構造物の地震応答解析研究によく用いられる過去の地震記録を参考のために示す


2
E
lCentro (NS) 1
940 記 録 最 大 加 速 度 319cm/sec 最大速度 37cm/sec
-52- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

2
八戸港湾 (EW) 1
968 記 録 最 大 加 速 度 204cm/sec 最大速度 37cm/sec
2
東北大学 (NS) 1
978 記録 最大加速度 259cm/sec 最大速度 36cm/sec
である.
本指針では上記のような中地震動と大地震動の 2つのレベルの地震動を想定しているが,設計過

程では大地震動に対する検討を主としている.すなわち,中地震動で構造物に生ずる最大応力は設

計用地震力による応力より小さいと考えている.設計用地震力に対して線形解析で得られる応力に

達すると,設定する降伏ヒンジが同時に降伏して全体降伏機構を形成することを原則としている.

ただし p 中地震動時に多少の損傷を許容できるものと考え,むしろ,線形応力解析による応力を
再配分を許容することにより,構造物内の強度分布および配筋を合理的なものとすることにしてい

る.

しかし,応力再配分を無制限に許容すると,線形応力解析による応力を低減する部位に大きな損
傷が発生することが予想されるので,応力再配分の範囲を制限して,中地震動では大きな損傷が生
じないように留意している.

4
.1.2 鉛直荷重に対する設計
日本建築学会構造委員会の鉄筋コンクリート構造運営委員会では長期設計小委員会を設け,終局
強度に立脚した長期荷重に対する設計法を検討中である.長期荷重に対する設計法が成案に至るま
では,現行の日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説J4
.1)に従い許容応力度設計法

で鉛直荷重に対する検討を行うものとする.

固定荷重は構造設計図および意匠図に基づいて算定する.積載荷重・積雪荷重,風圧力は建築基
準法および関連法令に定める値,あるし、は日本建築学会「建築物荷重指針・同解説J4.2)に定める値

こよる.
U

常時作用する鉛直荷重に対しては十分に安全な強度を確保するとともに 過度の変形や不同沈

下,あるいは建物の振動による使用性の問題や,大きなひび割れに伴う耐久性の劣化が生じないよ

うに,構造物各部の剛性を確保する.
4
.1.3 地震力に対する設計
構造物の保有水平耐力は,全体降伏機構を構表するときに降伏が生ずる位置(降伏ヒンジ)の強
度により定まる.降伏機構設計(機構設計〉では,降伏ヒンジの降伏モードを靭性のある降伏形

(原則として,曲げ降伏型〉とし,構造物として必要な水平耐力に対応する強度を降伏ヒンジの曲
げ信頼強度で確保するとともに,降伏ヒンジには十分な塑性変形を可能にする靭性を保証する.

降伏機構保証設計(保証設計〉では,設定した全体降伏機構に必要な降伏ヒンジ以外の部位では

十分に余裕のある曲げ信頼強度を確保するとともに,すべての部材で曲げ降伏以外の破壊モードに

対して十分に余裕のある信頼強度を確保することにより,設定した降伏機構を保証する.したがっ

て,降伏ヒンジの曲げに対する靭性を保証すれば,それ以外の部位に対しては,靭性を確保する必
要はないと考えている.

以上の設計目標に対して p 機構設計,保証設計では,構造物の設計用応力として,それぞれ,

1) 機構設計用応力
(
4章 設 計 方 法 53-

(
r
r) 保証設計用応力

を算定し,部材の設計に用いる.
機構設計用応力は,部材剛性の低下等を考慮して,静的な設計用地震力によって生ずる部材応力
を基本とし,制限範囲内で応力再配分を許容して算定する.保証設計用応力は,配筋の確定した降
伏ヒンジが上限強度に達して降伏機構を形成するときの応力を静的非線形解析によって算定し,さ
らに動的な効果および 2方向地震力の影響を考慮、して修正する.
また,地震力による構造物の変形レベルとして,以下の 3種類、を想定する〔解図 4
.1参照J
.
(
1) 降伏変形
(
r
r) 設計限界変形

(
m) 保証変形

水平力

保証設計用応力
(三五非ヒンジ強度)
機構設計用応力
(孟ヒンジ強度)

降伏変形 設計限界変形 保証変形


全体層間変形

解図 4
.1 設計用応力と設計用変形の概念

降伏変形は,ここでは構造物全体の復元力特性における降伏変形を意味し,静的な設計用地震力
によって構造物のヒンジがすべて同時に降伏する場合はそのときの変形にほぼ対応する.一般に
は,それぞれのヒンジが降伏する変形レベルは異なり,一義的に特定することが難しいので,同時
降伏になるものと仮定して適切に算定することが必要になる.設計では,構造物の剛性を確保し,
想定する大地震動によって生ずる弾塑性応答変形(設計限界変形〉までに必要な強度が発揮される
ことを間接的に保証する目的で,算定された降伏変形の変形角が制限値(変形制限〉以下になるよ
うにする.

設計限界変形は大地震時に想定している変形の限界値である.本指針では層間変形角で 1
/10
0と
している.

保証変形は,地盤の条件を含む大地震動のレベルと性質,設計される構造物の性質,弾塑性応答
の算定法等の確率的な変動等をすべて考慮、した応答変形の上限値で,この変形に対して降伏ヒンジ
の塑性変形能力(終局変形,靭性〉を保証する.設計では,十分な塑性変形能力を確保するため
に,保証変形は設計限界変形よりかなり大きな変形レベルを設定している.
-54- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

4
.2 荷重とその組合せ

荷重として,固定荷重・積載荷重・積雪荷重,風圧力・地震力を組み合わせて用いる.この
際,荷重係数を考慮する.

地震時に作用する鉛直荷重は,建築基準法ならびに関連法規に定める固定荷重・積雪荷重,風圧
力と大梁・・柱または基礎計算用の積載荷重を用いる.地震力の算定に使用する建物重量は,固定荷
重と地震力計算用の積載荷重とする.荷重の組合せに用いる荷重係数は,新しい知見が得られるま
で,すべて1.0とする.
終局強度設計法(荷重係数・強度低減係数設計法〉あるいは限界状態設計法では,各種の荷重組
合せのうち,もっとも厳しい応力状態に対して断面算定をすることを規定している.例えば, ACI
規準 (ACI-1983) では,固定荷重・積載荷重・地震荷重による応力 (D,L,E)を以下のように組
み合わせる;

U=1
.4D十 1
.7L 解4
( .1
)
l.4D+1
U=0.75 ( .7L+1
.1x1
.7E) 解4
( .
2)
.1X1
U=0.9D+1 .7E 解4
( .
3)
解4
ここで, ( .1)式は,固定荷重は比較的精度よく評価できるのに対して,積雪荷重を含む積載
荷重は,建物の使用に応じて,その値が大きくばらつく可能性があることを考慮して,固定荷重と
積載荷重の荷重係数の大きさを変え,それぞれの最大値が同時に発生しても安全な強度を確保する
解4
ことを規定している. ( .
2)式では,固定荷重,積載荷重,地震荷重の最大値が同時に発生する
確率が小さいことを勘案して,組み合わせた応力を (3/4)倍に低減している. (解 4
.3)式 で
は,軸力が小さいときのほうが柱部材の曲げ耐力が小さくなり,設計が厳しくなることを配慮、して
いる.
本設計指針では,大地震動時の保有水平耐力が規定されているので,地震力に対する荷重係数は
.0としている.
1
また,鉛直荷重の荷重係数として1.0の場合だけを検討することにしている.本来,柱の軸力の大
きさによりその曲げ耐力が影響を受ける.そのため,厳密には鉛直荷重がもっとも大きくなる場合
ともっとも小さくなる場合について,柱の設計を行うべきである.しかしながら,本設計法では梁
曲げ降伏型全体降伏機構を設定しており,柱の降伏は原則として l階柱脚に限られる.そこで,鉛

直荷重が多少不正確であっても,保有水平耐力の大きさに与える影響は比較的少ない.また,過大
な鉛直荷重が作用すると,比較的小さな地震力で梁の上端筋が降伏することになるが,逆に,梁の
下端筋が降伏するのが遅くなる.その結果,全体降伏機構が形成されるときの保有水平耐力は,鉛
直荷重の大きさによらず,ほぼ一定の値になる.そこで,本設計法では,平均的に期待される鉛直

荷重が作用する状態で,大地震動による降伏機構が形成される状態に対して設計することにし,鉛
直荷重が最大あるいは最小になるときの検討を省略することにした.

本指針では設計を簡略化するため,建物に作用する風圧力,土圧,水圧,振動および衝撃による
4章 設 計 方 法 -55-

応力を地震力と組み合わせなくてもよいことにしている.

4
.3 降伏機構設計

4
.3.
1 設計用地震力
(
1) 降伏機構設計では, 1階の設計用層せん断力係数を (
4.1)式で定める.
C
lニ ZR
tCB (
4.1
)
ここに C
l 1階の設計用層せん断力係数
Z 地震地域係数
R
t 振動特性係数
CB 標準ベースシア係数
標準ベースシア係数は,フレーム構造では 0
.25以上 p 耐震壁フレーム構造では 0
.30以上と
する.
(
2
) 設計用地震力は,建物の主要な方向にそれぞれ独立に作用すると仮定し,各階の水平力
は,特別な研究によらない限り, (
4.)式
2 "-' (
4.) 式で与えられるものとしてよい.
4
Fi=Pi+Pt (
i二 η のとき〉

=Pi (
i~玉 n-1 のとき) (
4.2
)
Ptは最上階の集中荷重で (
4.3
)式による.ただし,耐震壁フレーム構造,および 6階以下の
フレーム構造では ,Pt二 Oとしてよい.
Pt二 αTQl (
4.3
)
iは (
P 4.4
) 式による.
Pi= (QI-Pt)WiHi/ (~WjHj) (
4.4
)
ここに F
i :
(i+1) 階床位置に作用する水平力,
Ql 1階の設計用層せん断力で, QI=Cl~ Wjによる.
α :最上階集中荷重の係数で, 0
.10とする.
T 建物の l次固有周期 (
se) で T=0.02H
c η による.

Hi :(
i十 1)階床位置までの建物高さ.
Hn 建物高さ (m)
i+1) 階の固定荷重と地震力算定用積載荷重の和.
Wi :(
n 建物階数.

現行の設計法の問題点として,

(I) 必ずしも降伏機構を設定しない.これに伴って,降伏する可能性のない部材にも靭性を要
求している.

(I) 逆に,降伏する可能性のある部材に対して,便宜的に必要保有水平耐力を割増すことによ
り,靭性のない部材の設計を許容している.

(田) 一次設計と二次設計でそれぞれに要求される強度レベルがあるために,特に二次設計が支
配的な場合には,部材設計の手順が一義的にならない.
-56一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

ことなどが挙げられる.

これらの問題点のうち(1) (
II)は,本指針の基本的な方針の段階ですでに解決されている.
(Ill)の主な原因は,許容応力度設計に終局強度設計の考え方による 2次設計が付加的に導入された

ためであるが,必ずしも一次設計,二次設計それぞれのクライテリアが,独自の必然的な意味を
もっているとは考えられない.

二次設計での要求保有水平耐力のレベルは,一般に最低でも一次設計用地震力に比べて1.5倍 程

度高い.しかし,特に,低層の建物では,一次設計をすることによってこの二次設計の必要保有水

平耐力が自動的に確保される場合も多い.この理由は,

(1) 最少配筋規定
(I) 施工上の理由
(
皿〉 鉄筋本数の端数
等によって計算上必要な量以上に配筋されるほかに,二次設計では,
(1) 高い材料強度が仮定されること(1.1
倍〉

(I) 部材の強度式が異なること〈終局強度式〉
(皿) 通常,剛域に対する扱いが異なること
(N) スラブ筋・柱中段筋が算入されること

(V) 直交部材の効果が考慮されること

等,一次設計では無視される項目が考慮されるためである.

保有水平耐力は,構造物の降伏機構が形成されるときの水平耐力として,極限解析あるいは非線

形解析によって評価されるが,必ずしもその耐力が発揮される変形は問題にされない.構造物の応

答変形はその水平耐力に大きく依存するが,地震時に想定する変形(ここで規定する設計限界変

形〉までに発揮されない構造物の強度は,応答には関係しない.したがって,設計で考慮するべき

ではない.これは,降伏機構形成時の実際の応力状態に基づいて配筋が決定されていないことにも

原因はあるが,基本的には,応力解析と無関係な部材強度が一律に構造物の強度に寄与するものと

する保有水平耐力の評価法に問題がある.

そこで,本設計法では,目標とする耐力に対応する水平力を設計用地震力として与え,剛性低下

を考慮、した線形応力解析(あるいは非線形応力解析〉によって,降伏機構形成時の実際に近い応力
状態を算出して基本的な設計用応力とし,これに対して降伏ヒンジの曲げ強度を確保する.した

がって,原則として,構造物の降伏変形レベルで、降伏機構が形成される.すなわち,全部の降伏ヒ

ンジが同時に形成されることを目標としていることになる(この考え方は,特に降伏ヒンジの変形

能力が一様でない場合は必ずしも最善であるとは限らない).ただ、し,設計用応力の再配分を許容

するので,部材の降伏が開始する変形レベルと降伏機構が形成される変形レベルは異なるが,制限

を設けて設計限界変形までに目標とする耐力が発揮されることを保証する.

構造物の耐力を決定する機構設計用地震力のレベルは,設計のクライテリアとして,現行基準の

一次設計,二次設計とはし、ずれとも直接には対応しない.必要保有水平耐力の算定で,構造特性係

数 (Ds) を,フレーム構造で 0.25以上,耐震壁フレーム構造で 0


.30以上としたようにみえるが,
4章 設 計 方 法 -57-

設計の手順および評価法が異なるので,必ずしも現行の目標値を (
0.0
5ずつ)下回っているわけで
はないことに注意する必要がある.すなわち,ヒンジの強度は,現行基準の保有水平耐力の計算で

は,鉄筋強度を種類によらず,規格降伏強度の1.1
倍としているが,本指針では,信頼強度の算出で

は規格降伏強度としている.また,施工上の配筋による強度上昇分等,設計限界変形までに発揮さ
れるとは限らない部材の強度(余力〉は,目標とする構造物の強度に算入していない.

一方,機構設計用応力は現行の一次設計に近い概念で算出するが,応力再配分を許容しでも,平
均的には現行の一次設計を上回るレベルになっている.また,保証設計において,動的な応答によ

る部材応力の変動, 2方向地震力の同時性などの要因をまともに扱って,柱および耐震壁の設計用
応力は大幅に割り増している(例えば,フレーム構造の l階の柱では現行の構造特性係数で表現す

ると Ds=
O.4
0以上になる)•
このように,構造物の強度レベルに関しては,設計の方法および定義が異なるので直接の比較は

できないが,降伏ヒンジについては現行の規定とほぼ同等程度の強度(必要保有水平耐力),降伏ヒ
ンジ以外ではそれをかなり上回る強度が確保されるものと考えられる.これは,降伏機構設計用地

震力を基本的に現行の設計法を踏襲して設定したためであるが,この目標値に関しては,想定する
地震と許容する応答をそれぞれ可能な限り厳密に検討し,社会的な合意のもとに見直されていくべ

きものである.
本指針の考え方によれば,構造物の必要強度は,応答変形の最大値を設計限界変形以下の値にす
るとし、う条件に基づいて, (等価 l自由度系の〉非線形地震応答解析等によって検討することが可
能である.ただし,得られる結果は,想定する大地震動のレベルと性質およびモデ、ル化した構造物

の挙動(特にエネルギー消費能力等)に大きく依存する.また,本指針で設定した設計限界変形に

対して必要な強度は必ずしも現行の規定とは対応しない可能性もある.特に,本指針が暫定的に採

用した現行の振動特性係数は,低層の建物に対しては相対的に安全率が小さい(逆に高層に対して

安定率が大きし、)傾向があり,これを含めて降伏機構設計用地震力に関しては今後さらに検討が必

要である.
本指針により設計された建物は,現行の基準により設計された建物と比較して,現行の規定には

ない以下の規定により,大地震時の安定した挙動が確実に保証されており,降伏ヒンジの強度(必

要保有水平耐力〉を低目に設定したとしても,耐震性能は相対的に上回る建物になるものと考えら

れる.すなわち,
(I) 構造計画上の適用範囲を制限している.
不整形な建物,あるいは,やや脆性的な部材をもっ建物等は適用範囲外としている.現時点で

は,強震応答に対する挙動が一般的には予測できず,合理的な設計規定は設定することが困難なた

めであるが,将来は,研究に基づいて適用範囲は広げられていくべきものである.

(I) 全体降伏機構の確実な実現を保証している.

不確定要因を考慮、して,設定したヒンジ以外の強度は適切に割り増して設計する.したがって,

現行基準で設計される可能性がある層降伏する建物に比べれば,全体降伏機構が実現する場合は,

変形の集中が少ないので p 結果的に部材に要求される靭性が少なくなり,耐震性がはるかにすぐれ
-58一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

ているのは明らかである.

(
DI) 降伏を許容する部材では塑性変形能力を保証している.

降伏ヒンジを設定する部材に対しては,変形能力を保証する設計を行う.この変形レベル(保証

変形〉は,応答で予想される変形を十分上回るものを想定しており,さらに大きな地震に対しで

も,部材の靭性に依存して,十分耐震性が期待できる.
(町〉設計用地震力による実際の変形を想定して,剛性を確保している.

ひび割れ後の問。性低下を考慮、した構造物の降伏変形によって,実際的に意味のある変形制限をし

ている.
(V) 柱梁接合部の設計法が規定されている.

(
VI) 配筋詳細に関する規定がやや厳しくなっている.

建物高さ方向の梁の強度分布を決める地震力の分布は,非線形地震応答でほぼ平均的に作用して

いる地震力の分布に近い震度逆三角形分布としている.全体降伏機構が実現される建物では,構造
物全体として等価 l自由度系で定義される強度レベノレが確保されれば,梁の強度分布は建物の耐震

性能に決定的な意味をもつものではない.すなわち,柱が降伏しなければ,梁の強度分布によら
ず,梁に要求される塑性変形量は構造物全体で大きくは違わないことが予想される.ただし,一般
に,耐震壁のないフレーム構造で高層の場合は,応答変形角の分布を無視し得るほど一様にはなら

ない.
解図 4
.2には以下の解析例で示す建物(実大 7層試験体 4.
4
)と1
2階建試設計建物4.5)) の概要を示す.
実大 7層試験体の部材寸法,配筋等は,実験上の都合あるいは日米共同研究という性質上,日本の
慣用的な建物よりは小さいものとなっているが,重量も軽く(仕上げ,積載重量なし),スラブ筋の

効果等が相対的に大きいので,実験で得られた構造物の強度は日本の必要保有水平耐力を大きく下
回るものではない.以下の解析方法では,実験をよく再現するような実際的な部材強度を設定して

おり,変形角 1/100におけるベースシア係数は 0
.34である.また,試験体から耐震壁を除いてフ
レーム構造とした場合も解析対象としているが,フレーム構造ではベースシア係数は, 0.22とな
る.

1
2階建の建物は,比較的高層の場合の応答を検討するために本指針に従って試設計されたフレー
ム構造および耐震壁フレーム構造である.以下,フレーム構造では X方向(桁行き方向),耐震壁フ
レーム構造では Y方向(梁間方向〉を主な検討の対象としている.機構設計では応力再配分を行

い,ベースシア係数がフレーム構造では 0
.25,耐震壁フレーム構造では 0
.30をぎりぎり上回ること
を目標にした.解図 4
.3に震度逆三角形外力分布による静的非線形解析で得られたベースシア係数
と最上階変位(変形角〉との関係を示す.保証設計では降伏しないように略算的に配筋している.

応答解析でのヒンジの強度は,信頼強度を仮定し,降伏点剛性は実験式により評価している.
非線形地震応答解析の方法 4
.)は,構造物を部材レベルで、平面骨粗にそデ、ル化した.入力地震波
6

, E
は lCe
ntr
o[N
S](
194
0),Hachinohe[EW](
196
8),TohokuU
niv
.[N
S](
197
8)の 3種類を原記録

の1.5
倍としていたが,これは p 最大速度で、 5
0'"
"55k
ineの大地震に相当する.

解図 4
.4に異なる外力分布によって設計された 12階建フレーム構造の応答変形の分布の例を示

門叶ν
4章 設 計 方 法

u
。。。寸寸寸寸 J



l
o
g--
ぐ二=ミ>

(
a.l)平面 (a
.2) 立面

,Ill- l
o D!9
[


トー 5
0
gl

(
a.3)梁,柱の断面 (
a) 実大 7層試験体

Gs Gs Gs
G
s G
s G
s G
s G
s
. Gs G
s


ー一。一
一 一
ーー -0 一---c
3一一 - 0一
一 一一 -0 一
一一-
c3一
一一口 一
一 一一 -0一ー一-'0一---0

F
G
4
. G4
F
G
6

。 。
G6
.
c
3
G
6
F


-•

G
6 G4 G
4


G
4 G
6 G
6 G
6 G6 G4 G
4

一---0 一

一-
-0一
• • 圃

~10 一一-0 一
一一-
c3一一一一c3一一一-c3一
一 一一一
。ー一 -0一一一一。 一
一 一一 -0
Gs G
s G
s G
s G
s G; G
s G
s Gs G
s
@
i

(
b)1
2階建設計建物

解図 4
.2 解析例建物の概要
6
0一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

0
.3

嵯話 0
.3

唾話
ト ト


r
く 0
.2 お 0
.2
r

0
.1

0
.1十 0
.00
5
。 0
.00
5
全体層間変形角 全体層間変形角
(r
ad.
) (r
ad.
)

(
a 2階建フレーム構造 (x方向〉
)1 (
b 2階建耐震壁フレーム構造 (y方向〉
)1

解図 4
.3 解析例建物の静的荷重変形関係

す.高層の建物では,震度逆三角形分布の地震力による設計では上層の梁の変形角および塑性率が

相対的に大きくなる場合がある(同図 (
a)).これは,上層に水平力が集中する動的な外力分布で,降

伏以前の柱の変形の影響が無視できないためである.これに対して p 上層の梁の強度を相対的に高
めることにより,この傾向を小さくすることは可能になる(同図 (
b)(
c)).しかし p 例えば梁の変形

角あるいは塑性率を一定にする等を目標にして,梁の強度分布を定量的に定める理論的に明快な手
法があるわけではない.

一方,建物の非線形地震応答解析によれば,地震時に平均的に作用している基準の外力分布は,

むしろ,震度逆三角形分布に近いものであり,最大応答層せん断力は,この基準の外力分布に対す
る変動分の重ね合わせとして理解することができる.この変動する外力分布には,時刻によって,

それぞれ,上階で水平力を大きくする場合と下階で水平力を大きくする場合がある.建物の最大変
形に対して重要になるのは,水平力が上階に集中するように変動する場合で,この場合,柱の変形

により上階の梁の変形角が相対的に大きくなる可能性がある.

そこで,本指針では,降伏機構設計用の外力分布としては,平均的な震度逆三角形分布を基本と

するが p 比較的高層の純フレーム構造の建物に対しては,頂部に集中荷重を与えて,上部の梁強度
を相対的に高めることとした.この集中荷重の大きさは解析例によってやや安全側に(大きめに〉

設定されているので,研究よって低減することも可能である.また,応答変形角の分布が大きくば
らつかないことが予想される他の外力分布を用いてもよい.それ以外の高次モードによる外力分布

の変動分の影響は,すべて保証設計における柱および耐震壁の設計で考慮する.
4章 設 計 方 法

市ι
h
円v

'a

1
2 1
2
~

11ji--﹂ ﹁


」 L
Li L
1
LL
'
.1114
rate-J J

'

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'a﹂

~--j ~ ~ rJ
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﹁ Ili

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1
﹁111﹄

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j[Jf
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﹁111 ﹄
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s'Ll
﹁lily--


一.
..
1 r
1 '〆
﹃けいけ

r
r

11111

O 0
.01 0
.02 O 0
.01 0
.02
層間変形角(r
ad.
) 層間変形角(r
ad.
)

(
a) 震度逆三角形分布 C
b)頂部集中荷重
C
Pt=o
.05TQI)
一一一 TohokuUV
一一一一 Hachinohe
一一--- ElCent
ro
階 -一一
一 Static
1
2
一十・ L寸「

γ了-

1
1 1

i
-
-:
:
r
J
「 「」「

j
, 「 JL1
~ r.
.
J

J
I J

O 0
.01 0
.02
層間変形角(r
ad.
)
(
c) 頂部集中荷重 (Pt=
O.1
0TQ
1)
解図 4
.4 設計用外力分布と応答層間変形角(フレーム構造〉
-62一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

4
.3.
2 線形解析
降伏機構設計での設計用応力は,以下の仮定に基づき,部材剛性に立脚した線形応力解析に
より計算したものを基本とする.
(
1
) 降伏ヒンジを想定する部材の剛性は降伏点剛性とする.降伏ヒンジを想定しない部材の
剛性は,計算される設計用応力のレベルに応じて,ひび割れ等の影響を考慮する.
(
2) 部材剛性を算定するための断面二次モーメントは全断面について求める.また, T形梁
および壁付き柱などの T形断面を持つ部材では適切に評価した有効幅を加えたものとす
る.ただし,鉄筋の影響は無視することができる.
(
3) 耐震壁および壁形の部材ではせん断変形を考慮する.
(
4) スラブの水平力の伝達を適切に考慮する.

構造物における降伏ヒンジの強度分布は,地震力に対してなるべく実際的な応力解析に基づいて
決定する必要がある.これは,

(1) 設計用地震力程度が作用する中小地震に対して降伏を生じさせない,
(I) 大地震に対しでも,各部材の降伏をできるだけ同時にして,塑性化の集中を防ぐ(塑性率
を均一にする),

(
皿〉 設計限界変形までに, (一般には降伏機構に達して),構造物として必要な水平耐力が発揮
されることを保証する,ためで、ある.

したがって,応力解析は,ひび割れなどによる剛性低下を考慮した線形解析または非線形解析に

よるのがよい.線形解析では,ヒンジ部材では配筋後に決まる降伏点剛性(割線剛性〉を,その他

の部材では地震荷重時の応力レベノレに応じて低下させた剛性(割線剛性〉を用いることが理想的で

あるが,手順が繁雑になり,厳密な解析もあまり意味がないので,簡略に,弾性剛性に対する剛性
低下率を解表4
.1の目安によって設定する方法でよい.梁の弾性剛性の評価におけるスラブの有効
幅は,日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説 J
4.1)による.

降伏ヒンジを設定する部材の弾性剛性は,設計限界変形角の算定に関係するので,必ず適切に低
下させる.両端に塑性ヒンジを設定する部材では p 剛性低下率を 0
.5以下とすることを原則とす
る.また,設計の便宜的な理由により,作為的に大きく低下させてはならない.このために,下限

値を降伏点の割線剛性としている.これは,配筋後,略算式等により確かめてもよいが p 解析当初
で剛性低下率を 0
.3以下にはしないことを目安にすれば,特に確かめなくてもよい.
ただし 1階柱脚等 l端にヒンジを設定する部材では,部材全体の曲げ剛性を低下させる一般の
弾性解析手法では,実際の応力 p 変形状態とは異なる結果になる(厳密には 1端にばねを挿入した
解析モデルを用いるのがよしう.一方, 1階柱脚は,設計用応力に対して結果的に余裕のある配筋に

なる場合あるいは意図的にする場合が考えられる.設計された建物の弾塑性解析を行うと,特に純

フレーム構造では,設計限界変形(1/100) を超えても柱脚は降伏しないことがあるので,このよ

うな安全側の設計を前提に p 柱脚は問。性低下させないで降伏機構設計用応力を算定する考え方もあ
る.
4章 設 計 方 法 63-

また,剛性低下率の仮定は,フレーム構造の応力解析にはあまり影響しないが,耐震壁フレーム

構造では,基礎下の剛性等と同様に,フレーム部分と耐震壁の分担率に大きく影響する.耐震壁フ

レーム構造では,耐震壁の外力分布を仮定する通常のせん断力係数分布法 (0値法〉では基本的に

精解は得られないので,線形解析も計算機によるのが望ましい.

降伏ヒンジを設定しない部材では,略算的には弾性剛性を用いてもよいが,設計用応力(軸力,

せん断力)のレベルに応じて,適切に低下させるのが望ましい.
骨組の応力解析では,剛床を仮定して,すべてのフレームを連成して解くことを原則とする.純

フレーム部分から耐震壁へ伝達するせん断力が大きい場合は,スラブの面内剛性も考慮することが

望ましい.また,建物を立体あるいは擬似立体の骨組にモデ、ノレ化し,直交梁の効果等を機構設計当

初で算入しでもよい.ただし,この場合は,直交梁が算定される応力に対して抵抗しうるように設

計されることを確かめる必要がある.
このように応力解析は,できるだけ忠実に行い,基本的にはこれに基づいて降伏ヒンジの曲げ設

計を行うが,配筋設計をより合理的,経済的にする手法としては,計算された組合せ応力に対して

応力再配分を適用する.

解表 4
.1 線形解析における剛性低下率の目安

曲げ剛性 軸方向剛性 せん断剛性


梁(非ヒンジ〉 .0
1 0.0) 0.0)
(両端ヒンジ〉 0
.3"-
'0.
5 0.0) 0.
3"-'0.0
)
柱(非ヒンジ〉 .0
1 .0
1 0.0)
(一端ヒンジ〉 0
.7"
-'1
.0 .0
1 (1.0
)
(両端ヒンジ) 0
.3"-
'0.
5 .0
1 0.0)
耐震壁(非ヒンジ) .0
1 .0
1 0
.5"
-'1.0
耐震壁(ヒンジ領域〉 0
.3"-
'0.
5 .0
1 0
.3"-
'0.5
梁柱接合部
スラブ 。 0.0)
.0 (等価剛域)
1
0.0)

[注] (
1.0
)は,この剛性を∞としてもよいことを示す.

4
.3.
3 応力の再配分
降伏機構設計用応力は,線形解析による部材応力を以下の条件で再配分したものとしてよ
し、.

(
1) 再配分後も,釣合条件を満たすようにする.
(
2
) 再配分によるモーメントの変動は,設計用地震力による線形解析モーメントに対して,
フレーム構造では 20%,耐震壁フレーム構造では 25%を超えないようにする.
(
3) 再配分による各層の節点モーメントの和の変動は,設計用地震力による線形解析モーメ
ントに対して,フレーム構造では 5 %,耐震壁フレーム構造では 15%を超えないようにす
る.
-64一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

機構設計において応力解析の結果を必ず上回る配筋設計をすると P 鉄筋本数の端数,通し配筋あ

るいは断面種類の限定等の理由により,一般に構造物全体としては設計用地震力をかなり上回る水

平耐力になる.また,梁の端部の上端と下端の必要鉄筋量が大きく異なり,下端では複筋比に関す

る規定あるいは最小鉄筋量で決まることもある.さらに,耐震壁フレーム構造では,壁脚の終局曲

げ強度は,結果的に設計用モーメントをかなり上回ることも珍しくない.このように,設定したヒ

ンジに過剰な曲げ強度を与えると,次の保証設計で,ヒンジ以外の部材を比例的に過剰に設計する

ことになり,これらの部材の設計が困難になる,あるいは,設計全体としてかなり不経済になる.

このような不必要な設定ヒンジの耐力上昇を避けるため,応力の再配分を許容する.応力の再配

分は,結果的に余剰になる抵抗モーメントを個々の設計の事情によってほかの部材に適当に配分す

ればよく,必ずしも一義的な手法はない.
再配分された設計用モーメントは,外力に対して釣合いを確認する必要がある.例えば同じ層の
いくつか部材間で応力を調整する程度であれば応力(節点モーメント)の移動を部分的に確認する

方法でよい.構造物全体で再配分するような場合は,仮想仕事法(あるいは極限解析〉によって,

部材強度による仕事量が外力による仕事量を上回ることを確かめるほうが組織的な方法になる.

ただし,できるだけ精度よい応力解析が必要であるのと同じ理由により,再配分される応力は小
さいほうが望ましい.そこで,再配分される応力には制限を設けられているが,これらは,厳密に

は,線形解析を行う理由 (1),,-,(皿〉に支障のない範囲で許容されるべきである.本指針の制限範囲
は暫定的なものであるが p フレーム構造の応力再配分に関する研究 4.7)によれば,制限範囲以下で一

般に過剰な配筋を避けることは十分可能であり,また,大地震に対する応答結果も支障がないと判

断される結果が得られている.

4
.3.
4 変形制限
設計用地震力による建物の層間変形角は, 1/200以下とする.

本指針では,設計限界変形(大地震時の弾塑性応答変形)として,建物の層間変形角で 1/100程
度を想定している.ここでは,降伏機構設計用地震力による構造物全体で定義される層間変形角を

制限値以下にすることによって,構造物としての剛性を確保するとともに p 設計限界変形までに必

要な強度が発揮されることを間接的に保証する.

ここでの制限値は,構造物としての剛性を確保することが目的であり,本指針では特定の層に変

形が集中するような構造物は対象としていないので p 建物全体の変形角として外力の重心位置にお

ける変位の基礎からの変形角に対して適用してよい.また,この変形は,構造物の剛性に対しての

制限であり,基礎の剛性を精度よく評価するのは困難であるので,基礎の変形を含めない上部構造

の変形に対して定義してよいものとする.

ただし,層間変形角は,弾性剛性に対してではなく,構造物のひび割れ後の剛性低下を考慮した

実際の変形(降伏変形)を算定することに注意する.したがって,線形解析による場合,線形解析

における剛性低下率が適切に設定されている必要がある.これを設計当初に仮定するのは困難なの
4章 設 計 方 法 -65-

で,実際には,略算的に以下の仮定で確認すればほぼ安全側であると考えられる.
(1) 降伏ヒンジを想定しない部材の剛性は弾性向。性とする
(n) 両端に降伏ヒンジを想定する部材の剛性低下率は 0
.5とする
(
Il
l) 一端のみに降伏ヒンジを想定する部材の剛性低下率は 0
.7とする
(N) 変形制限を 1 /.5に換算して適用する(層間変形角 1/300とする〉
1
以上の略算で制限を満足しない場合は,部材同日性低下率を適切に低下させた線形解析または保証

設計における非線形解析によって確認する.非線形解析では,降伏ヒンジに上限強度を仮定するの

で,厳密な適用は難しいが,この仮定で変形制限値において設計用地震力のレベルを上回ることを
確認すればよいこととする.

4
.4 降伏機構保証設計

4
.4.
1 設計用応力
降伏機構保証設計用応力は,降伏ヒンジの上限強度に基づいた静的非線形解析により降伏機
構形成時に算定される応力を,以下の要因を考慮して割増ししたものとする.
(
1) 動的な効果
(
2) 2方向地震力の同時性

保証設計では,設定した降伏ヒンジ以外の断面および部材の強度が大地震によって降伏機構を形

成する時の上限の応力を上回るようにして,設定した全体降伏機構が確実に実現することを保証す
る設計を行う.本指針では,降伏機構を形成するときの応力は,外力分布を仮定した静的な非線形

解析を行って算出することを基本にしているが,実際の建物の地震応答では,算出される応力を上

回る可能性がある.これらの要因として考えられるのは,
(1) 降伏ヒンジの強度が,鉄筋強度のばらつき,ひずみ硬化,スラブ有効幅の広がり等によっ
て上昇すること(上限強度〉
(I) 動的な外力分布が静的な解析で仮定される分布とは異なる分布に変動することによって,

柱,壁の応力が上昇すること(動的な効果)

(皿) 2方向の地震力が同時に作用すること (2方向地震力の同時性〉


等がある.
そこで,降伏ヒンジは上限強度に達しているものとして降伏機構が形成される時の応力を静的な

非線形解析により算出し,さらに,動的な効果および 2方向地震力の同時性を考慮、して,保証設計

用応力とする.
-66- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

4
.4.
2 非線形解析
降伏機構形成時の応力は,以下の仮定に基づき,部材の非線形特性に立脚した静的非線形解
析により計算されたものとする.
(
1) 水平外力を震度逆三角形分布とした増分解析法または仮想仕事法による.
(
2
) 降伏ヒンジの上限強度は配筋を確定した断面について算定する.
(
3) スラブの水平力の伝達を適切に考慮する.
(
4
) 増分解析法では,弾性剛性および配筋に基づいて部材の非線形剛性を適切に評価する.
4
.4.
5 で定義される保証変形までに降伏機構が形成されない場合は,保証変形時の応力を
降伏機構形成時応力としてよい.
(
5
) 仮想仕事法では,設定した降伏機構を仮定する.柱の降伏ヒンジ以外の応力は,線形解
析時の分配率により算定する.耐震壁の応力は,層せん断力から柱のせん断力を除いたも
のを分配して算定する.

梁降伏型の全体降伏機構が形成される建物の弾塑性地震応答では,変形は 1次モード振動が支配
的で,平均的に作用する水平力分布としては l次モード形あるいは震度逆三角形の分布に近い形状

になる.そこで,基本とする設計用応力は,震度逆三角形分布の外力分布を仮定した静的な非線形
解析によって算定し,動的増幅係数は震度逆三角形分布の外力を基準に設定している.
静的非線形解析では,降伏ヒンジの強度上昇によりヒンジ以外の応力が上昇する可能性を考慮す

るため,降伏ヒンジの強度には上限強度を用いる.

静的非線形解析は,原則として,電算機による増分解析によるのが望ましい.保証変形までに降

伏機構が形成されない場合は p 保証変形時の応力としてよい.手計算による解析を前提にする場

合,フレーム構造では,柱部材の応力を略算的に算定するには,層せん断力を例えば線形応力解析
による分布を参照するなどして適切に応力を振り分ける.耐震壁フレーム構造で,フレーム部分と

耐震壁のせん断力の負担率を算出するには,降伏機構時の層せん断力から振分比率を仮定した柱の

負担せん断力を除くことにより耐震壁のせん断力を算出するのが比較的精度よい.

いずれの方法でも,変動軸力による柱脚,壁脚の剛性,降伏強度の変動に伴う応力状態を特定す
ることが問題になる.設計用軸力には,基本的に直交方向の地震力 (
2方向地震力)によるものも
考慮する.骨組全体としては変動軸力の影響は引張側と圧縮側でほぼ相殺すると考えてよいので,

解析は l方向の水平力に対して行い,部分的に影響のある柱の応力の算定で略算的に考慮する方法
でもよい.特に手計算の場合は変動軸力の影響に対して適切な計算法はなく,また,電算機による

増分解析でも必ずしも精度よい解析結果が得られるとは限らない.いずれの場合も安全側の工学的

な判断が必要である.
4章 設 計 方 法 -67-

4
.4.
3 動的な効果による割増し
柱および耐震壁の設計用モーメントおよびせん断力の動的増幅係数は,特別な研究によらな
い場合, (
4.5
) 式および (
4.6
) 式で定めてよい.
ωci=1.0+(
L1ωi/供。〉・(schi/戸口) (
4.5
)
ω =1.0+(
山 L1ωi/件。)・(戸山hi/s山
〉 (
4.6
)
Aωiは
, l層の高次モード係数で (
4.7
) 式による.
Aωi=0.25 i= 1のとき)
(
=0.20 (2豆 i孟 η/2のとき)
=0.
20+0.
10(i- n/ 2) i>n/ 2のとき
( (
4.7
)
ここに, ωc
i, ω山 層の柱および耐震壁の動的増幅係数

ゆ 。 上 限 強 度 に よ る 構 造 物 強 度 上 昇 係 数 ( =C1o/0.2
5)

C
lo 上限強度による降伏機構形成時の l階の層せん断力係数


sci, s山 層の柱および耐震壁の基準モードによるせん断力負担率

c
hi, s whi :i層の柱および耐震壁の高次モードによるせん断力負担率

地震応答の外力分布が仮定したとおりであれば,降伏ヒンジ以外の部材応力の上限値は静的非線
形解析によりかなり精度よく算定することができ,これを設計用応力とすればよい.しかし,地震
応答時に外力分布は一定ではなく,したがって,部材応力も静的な非線形解析により算定された値

から変動する.
解図 4
.5v
こ非線形地震応答解析による層せん断力の最大応答値を震度逆三角形外力分布による静
的解析結果(変形角 1/100におけるせん断力〉と比較して示す.このように,動的な最大応答せん
断力は静的なせん断力を一般的に上回る.そこで,この増分に対して,設計用の安全係数,すなわ

ち,動的増幅係数を以下の考え方により設定する.
地震応答時に平均的なある基準の外力分布を設定し,これに対する動的な水平外力分布が変動分
を,動的な効果による変動分と定義する.動的な効果は,骨組が弾性応答する場合は, 1次モード

形に対応する基準外力分布に対して高次モードの影響と考えることができる.骨組が弾塑性応答す

る場合は応答理論に基づいて一般的に把握することは困難になる.
これを検討する方法としては p 非線形地震応答解析で得られた応答層せん断力をモード分解して
評価する手法 4.8),
4.
9)が有効である.モード分解により評価された動的な効果による外力あるいは層

せん断力の変動分は,応答結果から便宜的に分離されたもので,弾性地震応答における高次モード

とは異なるが,弾性応答との対応から,この変動分を高次の変動分と呼ぶ.
解図 4
.6に外力分布のモード分解の概念(動的な応答外力から基準モードを分離する方法)を振
動方程式に対応させて示す.また,解図 4.H
こ動的な応答外力とモード分解した基準モードの応答

波形の例を示す.
非線形地震応答解析で評価した高次の変動分の時刻歴は,入力加速度の時刻歴とほぼ一定の関係

がある.この変動分の高さ方向の分布および定量的な関係は一義的なものではないが,非線形地震
o
nhu

鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説


一一 TohokuUV 一一一 TohokuUV

一ー-Hachinohe 一
一ー
一 Hachinohe

一ー
ー ElCentro 一一一
-ElCentro
階 -
一一
一 Static F
皆 -
一一
一一 Static

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0
.1 0
.5 0
.4 0
.5

(
a.l
) 耐震壁フレーム構造 (
a.2
) フレーム構造
(
a) 実 大 7層 試 験 体

一一一 TohokuUV 一一一 TohokuUV


一一
一一 Hachinohe 一一
一一 Hachinohe
一一一-ElCentro 一一
一一 ElC en
tro
F
皆 -一
一一 Static 階 -一
一一
一 St
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2 1
2

層せん断力

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.5 0
.4 0
.5
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4EEA

耐震壁フレーム構造 (
b.2
) フレーム構造
(
b) 1
2階建試設計建物

解図4
.5 層せん断力の最大応答値
4章 設 計 方 法 -69-

=i> 十

¥ーノ ¥ムノ
解図4
.6 動的な外力分布のモード分解の概念

応答解析との対応では,弾性応答の性質に基づいた次の 2種の簡略な考え方でも十分適合性がよ

い.すなわち,
(
乱) 高次モードとして 2次モード形のみを考慮し p 一定のそード形と応答増幅率を仮定する
(
b) 2次モード以上の高次モードの和を基本に,さらに, 2次モードのみに一定のモード形と応
答増幅率を仮定する
という方法である.前者は実際の非線形地震応答解析では 2次モードの応答増幅率が比較的大きい

純フレーム構造の場合によく適合し,後者は耐震壁構造の場合によく適合する傾向がある.

この仮定に基づくと, 2次モードの応答増幅率が一定であれば,高次の変動分は,質量と入力加
速度レベルに比例することになり,入力加速度から推定することが可能になる.入力加速度波形と
推定した係数で基準化した高次の変動せん断力の波形の例を比較して解図 4
.8に示す 4.9)
このように,非線形地震応答解析における高次の変動分は,入力地震波の時刻歴から一定の 2次
モード増幅率として1.5から 2
.5程度 (7階では1.7,1
2階では 2
.4) を仮定しでかなり適合性のよ
い推定が可能である.この応答増幅率は,高層の建物で大きくなる傾向があるが,建物の種類にあ

まり依存せず,弾性の応答増幅率よりむしろ安定した一定の値になる傾向がある.また,以上の定
式化(特に (
b)) で,この増幅率の仮定は結果に部分的にしか影響しないことにも注意する必要があ

る.

以上の性質に基づいて,高次変動せん断力の最大値は p 最大入力加速度によって推定しうる.ま

た,基準モード外力に対応する層せん断力には静的に評価しうる上限値(降伏機構時の層せん断力

Q
Sma
x) がある.したがって p これと入力加速度レベルに対応する高次変動せん断力の最大値 QFmax

の和は,動的な最大応答せん断力 QDmaxの上限値となる.すなわち,

QDmax豆 QS
max+QFmax (
解4.
4)

この上限値を設計用せん断力とすると,動的増幅係数 ωは QSmaxに対する割増し係数として,以下

のように設定しうる.

ω(QSmax+QFmax) / Q
Sma
x

=1.0+QFmax/QSmax 解4
.5)
このように最大入力加速度から推定した動的増幅係数は,実大 7層試験体では最大応答値をやや

上回る程度になるが, 1
2階建物では特に下層で応答解析の動的増幅率をかなり上回る.これは,基


U
ι
t
鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

一一一.動的な応答外力 一一:分解した高次変動外カ
-分解した基準モード外力 ー:係数倍した入力地震波

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(

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)

解図 4
.7 動的な外力とモード分解した基準 解図 4
.8 入力加速度波形と高次モード変動層
モードの時刻歴 せん断力の時刻歴
(実大 7層試験体, E
ICentro) (実大 7層試験体, E
ICentro)
4章 設 計 方 法 -71

準モードの最大値と高次の変動分の最大値が必ずしも同時には起こらないためであり,その傾向

, 2次の周期が長い高層の建物ほど,同じ高さではフレーム構造ほど,また,同じ建物では高次

の変動分の比率が小さい下層のせん断力ほど,顕著になる.すなわち,基準モードにおける最大値

と変動分の最大値の和による設計用動的増幅係数の定式化では,特に高層の建物の低層部で安全率

が大きくなるので,基準モードと高次変動分の比率,周期などに基づく応答の同時性を考慮、してさ

らに検討する必要がある.また,想定する入力加速度レベルも特定する必要がある.しかし,高次
変動分の性質から,動的増幅係数を静的なせん断力に対する割増し係数として定式化するならば,
解4
構造物の強度レベノレが高いほど相対的に低いものでよいことになる. ( .
5) 式の QFmaxは,基本
的に,建物重量,入力加速度に比例して設定される定数になるので, QSmaxが大きいほど割増し係数

は小さくてよい.そこで,指針ではこの定式化を基本にして推定された係数の分布および応答解析

結果を参考にして,本文に示した簡略な定式化を採用した.解図 4
.9に指針の定式化による動的増
幅係数(図中太線〉と最大応答の動的増幅率を比較して示す.
各柱のせん断力は,分配率が変動するので,全体の層せん断力よりやや大きく変動するが,ほぼ

層せん断力の動的増幅係数が適用しうる.柱の曲げモーメントは,これにさらに反曲点の移動によ

る変動分が加わり,部材力の上限値に関する規則性はかなり薄れるため,柱にまったく降伏を生じ
させないための動的増幅係数は一般的には設定しにくくなる.しかし,これらの応答モーメントの

増大は一時的に柱の一端のみに生じるものであり,また,応答解析例によると柱の上下端の曲げ
モーメントが大きいほうで定義される動的増幅率は層せん断力の動的増幅率とあまり変わらない傾
向がある.さらに詳細な検討は必要であるが,少なくとも層降伏の降伏機構は避けることが可能で
あるので,各柱のせん断力および曲げモーメントに対する動的増幅係数は層せん断力の動的増幅係
数を用いることにする.

外柱の変動軸力に関しては,梁の上限強度に基づくせん断力の和とすると p 応答解析と比較して
過大評価となる.これは高次モードの影響というよりは,梁が上限強度に達しない,あるいは特に
上層部で降伏しないことが主な要因である.変動軸力は, 1階の圧縮側外柱の軸力の制限および設
計用せん断力の算出で必要になるが,結果的な応答変形レベルが最も影響し,合理的に低減するの
は困難である.また,過大に評価することは設計用には安全側であるとして,特に低減しない方針

とする.

耐震壁フレーム構造では,層せん断力応答の高次変動分の耐震壁とフレーム部分(柱)の負担率

は,静的なせん断力負担率とはかなり異なり,壁率がかなり小さい場合でも大部分を耐震壁が負担

する性質がある.この比率は,基準モード時のせん断力負担率を一定と仮定して,層せん断力と同
様に応答解析結果で得られた柱および耐震壁のせん断力をモード分解することによって検討するこ

とが可能である.このようにそード分解した応答波形の振幅比から大略特定した高次変動層せん断

力の負担率を解図 4
.10に示す.基準モードにおける耐震壁のせん断力負担率は l階で 60%程度で上
層ほど小さくなるが,高次モード変動分の絶対値の大きい上層と下層のせん断力負担率はほぼ一定
で高い比率 (80%程度〉になっている.

そこで,耐震壁のせん断設計では,層せん断力の高次変動分がすべて耐震壁に作用する(戸山=
-72- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説


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ー DesignEq. ーーーー- DesignEq.
一一一 TohokuUV 一一-TohokuUV
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一一 Hachinohe 一
一一一 Hachinohe

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動的増幅率

(
a.l
) 耐震壁フレーム構造 (
a.2
) フレーム構造
(
a) 実大 7層試験体

一一一DesignEq. ーーーー- D
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一一 Hachinohe 一一一一 Hachinohe

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動的増幅係数
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l) 耐 震 壁 フ レ ー ム 構 造 (
b.2
) フレーム構造
(
b) 1
2階建試設計建物

解図 4.9 最大応答層せん断力の動的増幅率と設計用動的増幅係数
4章 設 計 方 法 73-

1
.0) と仮定することが安全側であり,多くの場合十分実用的である.しかし,壁率が小さい場合,

柱断面が大きい場合などでは,柱の設計,特にせん断設計では, (小さいにせよ)この比率を設計で

特定する必要がある.この負担率に関してはさらに検討が必要であるが,解図 4
.10に破線で示した
ように,部材の弾性剛性比率によってほぼ特定することが可能(ほかの壁率の耐震壁フレーム構造

でも同様)であり,実用的には簡略に以下の方法で算定してよい.

sChi=Ic/ (
Ic十 I
w) 解4
( .
6)
s
whi二 ん / (
Ic十 I
w) 解4
( .
7)


、-,
ラ問 ),ヲ~

c
.
.
..c
.
.
..v

c:層で逆対称モーメントを受ける柱剛性の総和
I

Iw:層で逆対称モーメントを受ける壁剛性の総和(せん断剛性考慮、〉

以上の方法によるせん断力負担率を用いて算定される耐震壁せん断力の設計用動的増幅係数を応

答解析による動的増幅率と比較して解図 4
.11に示す.
耐震壁フレーム構造では,全体降伏機構は基本的に耐震壁が層降伏を防止することによって達成
されるので,耐震壁自体が層降伏(せん断破壊〉に対して十分安全に設計されていれば,フレーム

部分は必ずしも梁降伏型である必要はない.しかし,以下の理由により,耐震壁フレーム構造のフ

レーム部分も,変動軸力などによって特別に設計が園難な場合以外は,基本的には,梁降伏型に設

計するほうが望ましく,また,得策であると考えられる.
(1) 柱は軸力があり,ヒンジを設定することは,基本的に望ましいことではなし、
(n) せん断および付着に対する設計は p ヒンジをもっ部材では厳しい規定になっているので,

柱降伏型にすることは,実質的にもあまり得策でないことが予想される
(
皿〉 梁を非ヒンジ部材にしても,設計上の利点はあまり期待できない
(
lV) 耐震壁フレーム構造のフレーム部分の動的増幅係数は,かなり小さいものになるので,一

般には,梁降伏型の確保は困難にはならないものと予想される.

耐震壁の曲げモーメントに関しては,一般に p 外力分布,境界梁の曲げ戻し,フレーム部分の影
響等により,降伏機構時の静的なモーメントは中間層では最下層から線形以上に減少し,符号が逆
転してモーメントが Oに近い層も現れる.これに対して,動的なモーメントの最大値は,動的な変

動外力の性質からも予想されるように,静的な応力に対する比よりもこれとの差がむしろ規則的な

分布になる.設計では,本文の規定どおりに静的なモーメントを動的増幅係数で割増しすると,上

層では過大に,中間層では過小に評価する場合が生ずる(動的増幅係数は耐震壁のせん断力につい

て導かれた係数である)•

動的増幅係数を設計用係数として厳密に設定するためには,梁と壁脚のモーメント負担を一般的

に特定する必要があり,精度よい方法がないのが現状である.しかし,一方では,耐震壁の曲げ強
度は,以下のような理由により,純フレーム構造の柱の設計,あるいは,耐震壁のせん断設計のよ

うに,十分な安全率をもって設計する必要はないと考えられる.
動的な効果に対する耐震壁の曲げ強度の安全率は,フレーム構造の柱の場合とは相当に意味合い

が異なる.すなわち,柱の場合,逆対称に近い曲げ応力状態であり,曲げに対する安全率が十分で
-74- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

基準モードによる 高次モードによる
せん断力負担率ムi せん断力負担率 β山

4 弾性剛性の比率
I~

I十L
3

O
耐震壁のせん断力負担率(%)

解 図4
.10 高次モードによるせん断力負担率(高さ方向の分布)

- - -Des
ignE q. ー
ーーー
ー DesignEq.
一一一 TohokuUV 一一一 TohokuUV
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一一 Hachinohe -
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F


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.5



んMM

lJ

動的増幅係数

(
a) 実大 7層試験体 (
b)1
2階耐震壁フレーム構造

解 図4
.11 耐震壁のせん断力の動的増幅率
4章 設 計 方 法 -75ー

ないことは,一時的にしろ層降伏になる可能性もかなり高いことを意味する.一方,特に脚部に近

い耐震壁の応力状態は,一般に純曲げに相当する応力が大部分を占めるものであり,曲げ降伏が一

時的に生じても,せん断破壊が確実に防止されれば,いわゆる層降伏の機構になることは考えられ

ない.また,耐震壁の応答モーメントは,中間階でも l階脚部の上限強度の影響を受けるが,同じ

種類の鉄筋を各階で連続して用いる場合は,鉄筋強度のばらつきによる上限強度に対処する意味は

薄れる.
そこで,設計用モーメントとしては,例えば,最上階を 0として,線形に減少するモーメントを

一律に割増しする程度の簡単な方法で十分であるが,中間層では過大評価となる.また,ヒンジ領

域に接する下層のモーメントに対しては,本指針の動的増幅係数がおおむね適用できると考えられ

るが,動的増幅係数および上限強度を規定のとおり適用して,あくまで降伏させない考え方で設計
すると,ヒンジ領域よりも多くの配筋量を要求する結果になる場合も生ずる.

これらに対しては,工学的な判断で連続性ある配筋(縦筋)を確保し,一時的な降伏をむしろ許

容して,せん断設計(靭性設計〉で配慮する(有効係数をやや低減する,柱主筋を拘束する等〉ほ

うが実際的である.

4
.4.
4 2方向地震力の同時性による割増し
こ 2方向安全係数 ψ
柱の設計用モーメントおよびせん断力は,動的増幅係数 ω J 2を加えた係
数で割増しする. 2方向安全係数 ψ
2は各方向独立にそれぞれ 0.10とすることを原則とする.
柱および耐震壁の設計用軸力は,直交方向水平力による軸力の 50%が同時に作用するものとし
て算定する.

一般に,直交方向の曲げ,あるいは,せん断力が同時に作用する場合,柱の降伏曲面は,円(だ

円〉あるいはさらに内側の小さい曲面等になる.したがって, 2方向地震力の同時性を考慮するこ

とは,梁降伏型の全体降伏機構を実現するために,不可欠の配慮、になる.また,高層の建物では,
隅柱や耐震壁側柱の軸力の評価で,これを適切に考慮、しないと極めて危険な場合がある.それにも

かかわらず,多くの設計基準等では,極めて唆味な形でしか配慮されていないのが現状である.

2方向地震力は,静的震度法と許容応力度法の設計法体系で,あくまで斜めに働く地震力も 0
.20
相当が限度としている間は p 柱の降伏曲面を円と仮定すれば基本的に取り扱わなくてすむ問題で

) を想定し,それを下回
あった.しかし,実際に予想される大地震(弾性応答でせん断力係数がl.0

る強度の構造物は塑性変形能力で抵抗すると考える設計法では,降伏機構の考え方とともに, 2方

向地震力に対する考え方を改める必要がある.例えば, 2方向の地震力を同時に受けて構造物が塑

性化して降伏機構が形成される場合は,梁が峰伏するときの斜め方向に作用する柱の応力は 1方向

のみの場合より大きくなるので,従来の設計法で梁と柱が設計され柱の強度がそれぞれ独立の方向

の設計用応力に対して余裕がないとすると,梁降伏型になることはありえない.

一方, 2方向地震力に対する構造物の耐力(降伏曲面〉は p 梁降伏型と柱降伏型では基本的に異

なる.すなわち,構造物全体の降伏曲面は,柱降伏型では柱の降伏曲面と同様に円のようになるの
-76一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

に対して,梁降伏型ではほとんど正方形に近くなる.したがって,変形を計算するための地震応答
解析は,梁降伏型では基本的に 1方向の応答解析でも十分であるが,柱降伏型では本来 2方向同時
入力に対して行う必要がある.一般に, 1層への変形の集中は別問題にしても,このような降伏曲
面の違いによって,柱降伏型では梁降伏型の場合より大きな靭性あるいは大きな保有水平耐力が要
求される.
2方向の地震力に対して確実に梁降伏型を実現するためには,それぞれの方向で計算される応力
の上限が同時に作用するものとすればよい.しかし,非線形地震応答解析の解析例によれば,最大
値が同時に発生する確率は低く,設計用としてこの上限をとることは,ほかの係数(上限強度,動
的増幅係数)との組合せを考慮すると過大評価である.これらは,それぞれの係数に対して確率分

布が厳密に特定できれば,破壊確率に対して数学的に定式化することは容易であるが,これらに影
響するあらゆる構造物,地震の種類,地震力のレベル等に対してこの確率分布を想定することは現
状では困難であり,実際的にもあまり意味がない.
本指針では,設計の簡便さも考慮、して,ある方向の設計用応力の上限を基本として,同時に作用
する直交方向の応力レベル(降伏機構形成時応力に対する比率〉を大略(むしろ確定的に〉想定す
る方針とした.静的な応力を基準にするので,動的な効果による増幅とは独立であると仮定してい
ることになるが,この考え方および数値には,さらに検討が必要である.
2方向地震力の同時性を検討した例として,解図 4
.12に各方向独立に計算した転倒モーメントの
最大応答値と両方向の応答の和を算定した解析例を示す.解析では地震波の主方向をこれまでの検
討成分 (
ElC
ent
ro[
NS],Hachinohe[EW],Tohoku[
NS]
),直交方向をこれらの直交方向の記録
(それぞれ1.5
倍)とし,構造物は,主方向を耐震壁フレーム構造とし,直交方向はフレーム構造
としている.同図の横軸は,動的な水平外力による(1階床位置周りの〉転倒モーメントの最大値

を,基準外力(震度逆三角形分布〉のベースシア係数として基準化したものである(ここでは転倒

モーメント係数と呼んでいる). 2階以上は,上の階の水平力による(当該階床位置周りの〉転倒
モーメントの最大値を同様に基準化している.転倒モーメントは外柱(隅柱〉の変動軸力にほぼ直
接対応し,また,柱の基準モードによるせん断力あるいはモーメントの応答の同時性にもおおむね
対応すると考えてよい.これによれば 2方向の同時性が小さい (EW成分のエネルギーが小さ
う E
し lCe
ntr
o地震波で、は直交方向の最大値の 50%程度を同時に考慮すればよいことになるが,他の
地震波ではこの仮定は決して安全側ではなく, 7
0%'
"'-
'10
0%程度になっている.指針では,直交方向
の応力レベルとして,静的非線形解析により降伏機構形成時に算定される応力の 50%程度とするこ
とを暫定的に採用した.
降伏曲面を円(だ円〉と仮定し ,X ,Y方向の動的増幅係数を ωx,ωyとすると,直交方向の応力
を動的増幅係数とは独立に降伏機構形成時に算定される静的な応力の χ倍を想定する場合 ,X,Y方

向の 2方向安全係数ゆ 2x,ゆ2yは 解4
, ( .
8) 式および(解 4
.9)式の関係を満足すればよいことにな
る.
4章 設 計 方 法 一 77-

一一一 Dynamic(X max+Ym


aX) 7 一一一 Dynamic(X max+Y mX)
a
ーーーー Dynamic((X+Y)max) ー一ーー Dynamic((X+Y )
max)
一-一一 Dynamic(凡臼) 一一一 Dynamic(Ym a.)
-
--Dγnamic(Xmax) 一一一-Dynamic(X max)

一一一一 St
atic (Ym aX) 一一一-S ta
tic (Ym日 )
一一一一 St
atic (X ma.) 一一一一-Sta
tic Xmax)
ーーーー St
atic (X max十九lax) ー - -Sta
tic (X max+九日)

X:Wall-Frame X:Wall-Frame
EICentro(NS) TohokuU(NS)
l
l
lj
j│
! Y:Open-Frame
Y:Open-Frame

i
hi
h
E
ICe
ntr
o(EW) TohokuU(EW)
3

2 2

O 0
.5 .0
1 0 1
.0
転倒モーメント係数

(
a ) E
.l lCentro (
a.2
) Hachinohe

一 一 -Dynamic(X
max十九 ax)
ーーー-Dynamic((X+Y)max)
ーー一一Dynamic(Yma.)
一一一-Dy namic(X
ma.)
一一一一 Sta
tic (YmaX)
ー一一一 Sta
tic (Xmax)
一一一-S ta
tic (Xmax+YmaX)

X :Wa l
l-Frame
Hachinohe(EW)

Y:Open-Frame
Hachinohe(NS)

0
.5 1
.0
転倒モーメント係数
(
a.3
) Tohoku

(
a) 実大 7層試験体 (
X:耐震壁フレーム構造, Y:フレーム構造)

解図 4
.12 2方 向 応 答 ( 転 倒 モ ー メ ン ト の 応 答 ) の 同 時 性
-78- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

階 階

一一-Dynamic(Xmax+Ymax) 一一一 Dynamic(Xmax+YmaX)



--
-DDyynnaammiicc(((九Xax+)Y)max)
一一一
ーーーー Dynamic((X+Y)max)
ーー
一一 Dynamic(九a.)

一--
-Dynamic(Xma.) 一一
一ー Dynamic(Xma. )

一一一 Static (Yma.) 一一
一一 Static 九 ax)

一一一 Static (Xmax) 一一一 -Static (Xmax)
一一 Static m
(Xax十 九 a
x) 一一 Static (
Xma
x十九日)

X :Wal
l-Frame
E
lCentro(NS) X:Wall-Frame
Hachinohe(E羽T
)
Y:Open-Frame
E
lCe
ntr
o(Eiν) Y:Open-Frame
Hachinohe(NS)

O 0
.5 1
.0 O 1
.0
転倒モーメント係数
LU



E
ICentro (
b.2
) Hachinohe
't

噌EEA

一一一 Dynamic(Xmax+九日)
一ーー-Dynamic(
(X+Y
)ma
x)
一-
一一 Dynamic(YmaX)
一一
一一 Dynamic(Xmax)
一一一 Static (YmaX)

-

-

一一 Static (Xmax)
S
tat
ic (Xmax+Ym
aX)

X :Wa
ll-Frame
Tohoku U(NS)

Y:Op
en-Frame
Tohoku U(EW)

1
.0

(
b 2階建物
)1 (
X:耐震壁フレーム構造, Y:フレーム構造)
解図 4
.12 (つづき)
4章 設 計 方 法 79-

ωx2 y2
↓ ん <1
ω x +ゆ2x)2' (ωy十 ψω)2=ょ
( 解4
〈 .
8)
χ2ωy2
(ω x +ψ2x)2' (ω y +ψみ )
2= .L
解4
( .
9)

設計では,これを確かめるのは実用的に繁雑で,厳密にこの式を適用することもあまり意味がな
い.そこで,両方向とも同じ動的増幅係数 ωおよび 2方向安全係数 ψ2によって割増しするものとす

ると,

ψ

ω

﹀=
'

解4
( .
10)
M

とすればよいことになる.ここで, χ=0.5 (50%) とすると, ω =1


.2,1
.5,2.m
こ対してそれぞ

れ,ゆ 2=O
.10,O
.08,0
.06になるが,動的増幅と独立と仮定している(直交方向の応力の同時性で
は,直交方向の動的増幅を考慮、しなしうことも配慮して,動的増幅係数が大きい場合も一律に,

ψ2=0.10とした.
実際の設計で,耐震壁の存在等によって,ある方向の柱の強度を十分余裕をもって確保すること

解4
が可能な場合, ( .
8) 式および(解 4
.9) 式で検討しでもよいが,同様に同じ割増し係数を想定
し,これに対して直交方向の強度が必要強度のご倍あるとすると, 2方向安全係数は,
ψ2 ミ~-J ω2+(/( )
2 _ω 解4
( .
11)
とすればよい. c=1.0
"
''1
- .7を実用範囲として,さらに簡略に
ψ2=0.20-c/10 解4
( .
12)
程度を目安にして p 余裕のない方向の 2方向安全係数を低減してよい.

4
.4.
5 保証変形
降伏ヒンジを想定する部材の塑性変形能力は各部材の保証変形を上回るようにする.部材の
保証変形は,構造物の保証変形に対応する変形として p 静的非線形解析により算定する.

降伏機構設計では,設定した構造物の降伏機構の実現を保証するとともに,降伏ヒンジをもっ部
材の変形能力を保証する.これは,本来独立の設計手順(靭性設計〉として規定されるべきもので

あるが,必要靭性および部材の靭性を定量化する理論的に明快な方法が確立されておらず,また,
部材の靭性に関しては, 6章のせん断設計法の一環として,実験値の下限をおさえる形で定式化さ
れているので,保証設計の一部とした.

部材の塑性変形能力として確保すべき変形レベルは,地震入力が確定的ならば,地震応答のレベ

ルによって確定的に設定される.しかし,現状では設定する入力地震動のレベルが明らかではない

ので,応答解析で計算される変形よりは大きめの値を設定するのが適当である.静的非線形解析に

よって設計用変形を算定する方法として,構造物の水平力の重心位置における水平変位の基礎から

の相対変形に対応する変形レベル(縮約等価 l自由度系の等価変位〉で設計限界変形より大きな一

定の値を設定し,各部材の変形角を計算する方法が考えられる.

しかし,全体の応答は等価 l自由度系で予測されるものの,各部材の応答ではさらに動的な効果

による変形の集中を考慮する必要があり p 一般にこれらの影響はかなり大きく,構造物の設計自体
8
0一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

にも左右される.したがって,静的解析によって,各部材変形角を厳密に算定することはあまり大
きな意味はない.そこで,これは必ずしも安全側の仮定ではないが,柱および壁を剛体として,幾
何学的関係のみからヒンジ部材の変形角を算定することも考えられる.ここでは,特に変形角の算
定は行わないで,各部材ごとに以下のように設計用変形角を設定することにした.

(1)梁: 1/50

(
n) 柱 : 1/67

(
m) 耐震壁: 1/75

(
N) 耐震壁の境界梁: 1/40

参考文献
4
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本地震工学会議論文集, 1
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回日本地震工学会議論文集, 1
983
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次論文報告集, Vo
.l9,No.2,1
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4
.8) 壁谷津ほか:鉄筋コンクリート壁フレーム構造の終局強度設計法(その1) "
' (その 5
- ),日本建築学会
関東支部研究報告集, 1
984
.7,日本建築学会大会学術講演梗概集, 1
984
.10
.
4
.9) 壁谷津:鉄筋コンクリート壁フレーム構造の終局型耐震設計法に関する研究,東京大学博士論文, 1
985
.


5章 曲げと軸方向力に対する設計

5
.1 適用範囲

本章の各規定は,曲げまたは曲げと軸力の組合せを受ける部材の設計に適用する.

本章では,梁・柱・耐震壁・杭,などの地震力に対する主要抵抗要素が曲げまたは曲げと軸力の
組合せを受ける場合を対象としている.長期荷重が支配的なスラブ・小梁などについては,本指針
では直接対象としていないので,鉄筋コンクリート構造計算規準によって別途設計することとす
る.

5
.2 断面算定

5
.2.
1 断面算定の原則
) 曲げまたは曲げ、と軸力の組合せを受ける部材の断面算定は, 5
(
1 .2.
2の基本仮定と断面力
の釣合条件およびひずみの適合条件に基づいて行う.
(
2
) 断面算定は,曲げモーメントと軸力の組合せがもっとも不利な状態になる場合について
行う.

(
1
) 通常,二次設計では,保有耐力の計算や部材のせん断設計用応力の計算などに際して,柱・
梁の曲げ終局強度の計算に略算式を使用することが広く行われている.しかしながら,本指針

では, (降伏〉機構の設計とその降伏機構保証設計をより確実にするため,断面設計に用いる終

局強度の計算は,断面力の釣合いとひずみの適合条件を考慮した塑性曲げ理論に基づいて行う

ことを原則とした.現在は計算機の普及もあって塑性曲げ理論に基づいた終局強度の計算も容

易であるので,特に, T形断面や多段配筋断面も含めて,応力中心間距離を仮定した略算値で
はなく,できる限り実情に近い値を計算して,設定される降伏機構をより確実に保証すること
に重点をおいているためである.

(
2
) 一般に,柱には曲げモーメントと軸力が同時に作用し,地震時にはその両者が時々刻々変化
する.柱の断面設計で特に重要なのは,地震時の軸方向の変動とこれに伴う非ヒンジ部材の設
計用モーメントの変動である.機構設計においては,通常の設計と同様に,常時荷重による軸

方向力に地震時の梁のせん断力による軸方向力を地震力の正負の方向を考慮、して加減する 2つ
の場合を考慮する.

保証設計においては, 4章に示した方法に従って, 2方向地震力の同時牲による直交方向の


梁のせん断力による軸方向力の増減およびこれに付随して生ずる非ヒンジ柱の設計曲げモーメ

ントの変化を考慮する必要がある.したがって通常の場合,隅柱については最大 4通りの応力
-82- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

状態について断面算定を行い,もっとも不利な場合を定める必要がある.

5
.2.
2 曲げ終局強度計算における基本仮定
(
1) 断面内の各点における鉄筋とコンクリートのひずみは,中立軸からの距離に比例する.
(
2
) 鉄筋の応力度とひずみ度との関係は,圧縮・引張りとも,表 2
.1に示す材料強度以下で
は弾性とする.この強度に相当するひずみ度を超える場合には,鉄筋の応力度は材料強度
に等しいものとする.
(
3) コンクリートの応力度とひずみ度との関係には,その非線形性を適切に考慮する.

(
1
) 曲げ終局強度の計算に際して,断面内のひずみ分布に,いわゆる断面の平面保持を仮定す
る.この仮定は,曲げを受ける部材の終局強度の計算に際して一般に用いられる.曲げひび割
れやせん断ひび割れが発生した部分について,微視的にみると平面保持が厳密には成立してい

ない場合もあるが,この仮定に基づいて計算された曲げ終局強度は実験による終局強度と比較

的よく対応することが既往の多くの実験によって確認されている.しかしながら,断面の幅に

対してせいがかなり大きく,せん断変形の影響が無視できない場合で,特に断面の圧縮破壊が

問題となるような場合には,平面保持の仮定が終局強度を過大評価する結果になることも考え
られる.曲げとせん断の組合せ応力を受ける部材の圧縮破壊強度の計算方法はまだ確立されて
おらず,今後の研究課題であるので,本指針では,平面保持の仮定が特に問題とならないよう
に,部材断面形状を制限している.

(
2
) 鉄筋の応力・ひずみ関係については,解図 5
.1に示す完全弾塑性形の関係を仮定する.仮定
される応力・ひずみ関係の降伏点強度に対応するひずみりには,曲げ信頼強度の計算あるい

は曲げ上限強度の計算など,その使用目的に応じて圧縮・引張りとも, 2章に規定されている

鉄筋の材料強度を用いる.
6 2
sを 2
降伏点強度 σyに対応するひずみ度 εけ に 鉄 筋 の ヤ ン グ 係 数 E .1X1
0kgf/cm とし

度-
除一

用-

ゆ虫-
F1

1
.25σY,1
.3σu

信頼強度用

一ーーーーーーーーー _
1 ~1
.25の
, 1
.3σu

解図 5
.1 鉄筋の応力・ひずみ関係の仮定
5章 曲げと軸方向力に対する設計 -83-

, εy-σy
て /Esの関係から決定してよい.異形鉄筋の場合には,材料実験では公称断面を使
用して降伏点強度を定義するため,実測した降伏点強度時のひずみと降伏点強度との関係から
6 2
ヤング係数を求めると,その値は一般に 2
.1x1
0kgf/cm より幾分小さい値となる.したがっ
6 2
て 厳密に考えれば,ヤング係数を 2
p .1x1
0kgf/cm と仮定して計算すると,弾性応力範囲に
ある鉄筋に対してやや応力度を大きく評価することになるが,その影響が曲げ終局強度の計算
2
値に及ぼす影響は小さいのでヤング係数は一定値 2
.1X 1
06kgf/cm としてよいこととする.
また,解図 5
.1には鉄筋のひずみ硬化による応力度の上昇が示されていないが,これは本指
針で対象としている保証変形の範囲内では,鉄筋がひずみ硬化の範囲に入ることは少ないとの

予測に基づくものである.しかしながら,耐震壁の境界梁で比較的スパンが小さい場合など,
保証変形の範囲において大きな強制変形が強いられるような場合には,曲げ上限強度の計算に

際して,鉄筋のひずみ硬化による強度上昇の影響を適切に評価することが望ましい.鉄筋がひ
ずみ硬化に入るときのひずみ度 εshおよびその後の応力度上昇 Eshに関しては,解図 5
.2に見ら
れるように,鉄筋によるばらつきもかなり大きく,一概にその値を特定することはできない

が,ひずみ度がおよそ 1%を超える場合にはひずみ硬化の影響についてなんらかの考慮、が必要
とされよう 5.!)

6
0 6
0


.
5
0 5
0

••• 2•
E
g

.••a~ ~・.・-
.
p
• .
・・
.
.-
. ・
.
.

-
g
g
、¥

. ¥¥

.
百 40 高 4
0
ぷ よd

--.ー・~、同・ .

、υ



、υ

...
季世

..•・
手設

.
3
0
. . g- 3
0


.
2
0 2
0
0.
0 .0
1 2
.0 3
.0 5
0 1
00 2
00 300
esh(%) E
sh(
103kgf/cm2)

(
a) ひずみ硬化開始のひずみ εs
h (
b) 硬化匂配,
Eh

解図 5
.2 ひずみ硬化開始時ひずみ εshと硬化勾配 EJl)

(
3) 断面が圧縮力を受ける部分におけるコンクリートの応力・ひずみ関係については,解図 5.3
に示すものなど種々の提案がある 5.!) いずれも,一軸静載荷実験によって得られる応力・ひず

み関係を関数で近似したものであり,部材中の応力度とひずみ度との関係を示すものではない

が,曲げモーメントを受ける部材の実験解析に際しては,二次曲線と直線を組み合わせた (
a)
-84一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

や e関数表示の (
b)などが多く用いられ,いずれも解析値は終局強度の実験値と比較的よく対応

することが知られている.また, ACI規準 5.2)では,圧縮側コンクリートの応力分布を解図 5


.4の
ように平均応力度 0.85σBと係数んを用いて非線形特性を等価な長方形応力度分布に置換して
設計する方法がとられている.

2次曲線 直線

O eB
eu

(
a) 2次曲線と直線の組合せ

e関 数

o 0
et
断面 ひずみ分布 等価圧縮応力度
O eB

(
b) e関数

解図 5
.3 コンクリートの応力・ひずみ関係の例5.1) 解図 5
.4 等価長方形応力度ブロック 5.2)

曲げに対する終局強度が引張鉄筋の降伏によって支配され,圧縮側コンクリートの耐力が支

配的でない場合には,コンクリートの応力・ひずみ関係の仮定はあまり問題とならない.しか

しながら,圧縮軸力が大きな柱など,断面の圧縮側コンクリートの応力度が部材の曲げ終局強

度を支配する場合には,できるかぎり実情に近い応力度・ひずみ関係を仮定することが必要で

ある.
また,梁のあばら筋や柱の帯筋で囲まれた内部のコアコンクリートは,あばら筋や帯筋の拘

束効果によって圧縮強度が上昇することや,その後の応力度の低下が緩和されることはよく知

られているところである.解図 5
.5は長方形帯筋による拘束効果を考慮、した応力度・ひずみ関
係式の一例であるが 5.3) コアコンクリートの応力度・ひずみ関係は拘束筋の強度や形状・配置

によって異なり,まだ一般化される状況にはないので,応力度・ひずみ関係に拘束筋の効果を

考慮する場合には文献 5
.3),5
.4) などを参照するとよい.
(
4) 曲げ終局強度の計算に際し,断面の引張側については,通常の仮定にならい,コンクリート

は応力度を負担しないものとする.

(
5) 曲げを受ける部材断面の抵抗モーメントは,以上の各仮定に基づいて以下のように計算す

る.

いま,解図 5
.6(乱)に示す上端引張りとなる梁断面が平面保持の仮定に従って (
b)図のようなひ

ずみ分布となり, (
c)図の断面力によるモーメントが外力モーメントと釣合状態にあるものとす
5章 曲げと軸方向力に対する設計 85-

拘束あり K=l+ρ
ω σB (修正 Kent & Park式)
σ吋 /

・一一-
σB
b

R
t

拘束なし

A
O 0
.01
0 0.015 0.020
ひずみ ε
c

解図 5
.5 拘束されたコンクリートの応力度・ひずみ関係 5.3)

んt ,
et A,t・O
,t
"


w 七 ん 引 コ ぜ 斗

~b~ いJ

一丁ー

~O"'av~
ー一一ーナ

I~ i

解図 5
.6 曲げを受ける断面のひずみ分布と応力度の仮定

る.

断面力による抵抗モーメント M は,中立軸回りのモーメントで表すと次式となる.

凡子ニ A
st・σs
t(d-Xn) A
s +
c・σsc(Xn-d
c) +~ σc
x'b
.x'dx 解5
( .1
)
ここに ,Xnは圧縮縁から中立軸までの距離であり p 次式に示す断面力の釣合条件から決定さ

れる.

A
st・σs
t= A
s c+~ σc
c・σs x• b• dx 解5
( .
2)
式中の引張鉄筋および圧縮鉄筋の応力度 σs
t, σs
cは,それぞれのひずみ

εs n)/Xn,
tニ εc(d-X ε ε c(Xn-d
c)/Xn 解5
( .
3)
に基づいて次式によって計算される.

σs
t=Es・εs
t εs
[ tく εyJ 解5
( .
4.1
)
=σy εs
[ tミ εyJ (
解 5
.4.
2)
σs
cニ Es・ εs
c εs
[ cく εyJ 解5
( .
4.3
)
=σy cミ
[εsミ εyJ (
解 5
.4.
4)
-86一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

抵抗モーメント M の計算の手順としては,まず(解 5
.2) 式を解いて Xnを決定し,次に
Xn と各断面力を〈解 5
.1)式に代入して M を計算する.その際,鉄筋とコンクリートの応力度
とひずみの関係 (σ ε 関係)が 1次式で表せる場合には, (解 5.2) 式は Xn~こ関する 2 次式と
なるが,コンクリートの σ ε 関係を非線形関係に仮定する場合には ,Xnを適当に変動させて

収れん計算を行う.
非線形分布する圧縮側コンクリートの応力度を ,(
d)図に示すように平均応力度 σ
ω と係数
解5
んを用いて等価な長方形応力度分布に置換すると, ( .
2) 式は Xnに関する二次式となり,
計算を容易にする.そのとき,断面の抵抗モーメントは次式となる.

)+A )十ん (1-s1


/2)σ av.b'Xn 2
M=Ast・σs
t(d-Xn sc'σs
c(X
n-dc 解5
.5)
曲げ終局強度は,一般に圧縮縁のひずみがある限界値に達した時の抵抗モーメントとして定

義することが多い.引張鉄筋の降伏によって曲げ耐力が決定する場合には,圧縮側のコンク
リートの σ""'-'e 関係を多少変えても計算される曲げ終局強度はあまり変化しないので, ACI規
準では以前から圧縮側コンクリートの応力度分布を平均応力度 0.85σBと 係 数 ん を 用 い て 長

方形応力度分布に置換する方法をとっており,係数んとして下記の値を推奨している.

s1=0.85 [σB豆 2
8
2
0kgf/cm]
σB
=0.85-0.05 ( 内 -280)/70 [ >280kgf/cm2J
なお,同じ考え方でコンクリートの圧縮合力を係数 k
l,k
3で近似して中立軸位置を計算する
方法が,本会の「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(19
88)
J の付 .
20に記されているの
で,等価応力分布の考え方で計算する場合には上記規準の付 .
20を参照されたい.
柱の場合にも梁の場合と同様な原理で曲げ強度を計算できるが,柱の場合には解図 5
.7(乱)に
示すように軸方向力 Nが作用するので,断面力およびモーメントの釣合条件に軸力の項を追加

しなければならない.断面に作用する軸力と曲げモーメントは,構造解析で柱を線材に置換し
た位置に作用するものと考える.

中立軸が断面内に位置し,そのひずみと応力度の分布をそれぞれ (
b),(
c)図のように仮定する

と,断面力の釣合条件式は次式となる.
N =~ σc
x• b• dx十 Asc' σs
c- A
st・σs
t 解5
( .
6)
解5
もし,断面内に鉄筋が多段配筋されている場合には, ( .
6) 式の右辺第 2項以下でその負担
力を考慮する.鉄筋の応力度 σs
cと σt
sは,それぞれ対応するひずみに基づいて梁の場合と同様
に(解 5
.4) 式から計算する.また, (
解5.
6) 式の右辺第 l項を等価長方形応力分布によって
近似すると,中立軸位置はやはり Xn に関する 2次式を解いて容易に求めることができる.
設計用応力(軸力とモーメント〉によるモーメントと,断面力によるモーメントとの釣合い

は同じ位置について計算する.例えば,圧縮縁に関するモーメントの釣合式は次式となる.
M-N.g=Ast・σs
t c・σs
'd-As c.dc- ~σ cx.b(Xn-x)dx 解 5.7)

左辺は設計用応力のモーメント作用であり, gは圧縮縁から軸力の作用位置までの距離である.

コンクリートの圧縮応力度を等価長方形応力度分布に置換し,また ,M = Muとすると上式は
Mu=Ast・σs
t
'd-A
sc・σs
c.dc一 σa
v.b(s1
Xn)2/2+N .g 解5
.8)
5章 曲げと軸方向力に対する設計 -87ー

(
a)


E
:s
l

(
c)

(d)

解 図5
.7 曲げと軸力を受ける柱断面のひずみ分布と応力度の仮定

となり,柱の抵抗モーメントは上式によって計算することができる.

なお,柱についてもコンクリートの圧縮合力に係数 k
!,おを使用して Xnを計算する方法が本
会の「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(19
88)Jの付 .
20に記されているので参照され
T
こし、.

5
.3 曲げ信頼強度

曲げ信頼強度は,以下の仮定に基づいて算定する.
(
1) 断面の圧縮縁コンクリートのひずみ度は 0
.00
3とし,鉄筋の材料強度は表 2
.1の信頼強度
用の値とする.
(
2) 必要な定着長さを有している有効 l
幅内のスラブ筋は,引張鉄筋として考慮することがで
きる.
-88一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

(
3) 必要に応じて,中段筋の負担応力度を考慮することができる.

(
1) 引張鉄筋の曲げ降伏が先行する鉄筋コンクリート部材の抵抗モーメントと断面の曲率の関係
は,解図 5
.8のように模式的に表すことができる.曲げによるひび割れが発生後, Y点で引張鉄
筋が降伏すると,その後の耐力上昇は少なくなる .Y点を過ぎて変形が増加してし、く過程では,

引張鉄筋のひずみの増加とともに圧縮部コンクリートのひずみも増加する . U点は,圧縮縁の

ひずみ度が 0
.03となる状態の点であり,この時の耐力 Muを本指針では曲げ終局強度と定義す
0
る.梁や軸力があまり大きくない柱では, U点を過ぎても抵抗モーメントは低下せず,やがて

最大耐力点 M に到達する.本指針で定義される曲げ終局強度とは,曲げ降伏強度や最大強度で
なく,圧縮縁のひずみ度が 0
.00
3に達した時の安定耐力を意味している.

y u M
Mu卜一一一一一一一二一一一一一一-0
εc=0.003

。 R

解図 5
.8 抵抗モーメントと曲率の関係(模式図〉

(
2
) 曲げ終局強度は,使用される材料強度や施工のばらつきなどによって変動する一種の確率統
計量であるが,計算に際 L,使用される鉄筋の降伏点強度やコンクリートの応力ひずみ関係が

実情に即したものが使用されると,塑性曲げ理論に基づいて計算される曲げ強度は,実験に
よって得られる曲げ耐力とかなりよく近似することが既往の多くの実験によって確認されてい

る.

解図 5.9 は,逆対称変形によって両端に曲げモーメントを作用させた T 形梁の実験5.5)~5.8) で得

られた曲げ降伏強度の実験値を曲げ終局強度の計算値で除した比率の頻度分布を示したもので
ある.計算には,スラブの有効幅内のスラブ筋を考慮、している. (
a)図は p 計算に用いる鉄筋の

降伏点強度を材料試験によって得られた値の平均値とした場合であり, (
b)図は降伏点強度を

]
IS規格値による値とした場合である. c
実験値)/C計算値〉の比率の平均値玉と標準偏差 σ
, (乱)の場合には互ニ1.0
は ,1 σ=0.07である.また, (
b .0
)の場合には王=1 9, σ=0.08であ
る.実験値には,材料強度や施工および実験計測等の諸要因によるばらつきが含まれている


, (
a)図からは,鉄筋の降伏点強度として材料試験による値の平均値を使えば,曲げ終局強度

の平均強度がほぼ推定しうること,また, (
b IS規格値を
)図からは 鉄筋の降伏点強度として, ]p

使用すると曲げ終局強度の下限値がほぼ推定しうること,等がわかる.

また,昭和 47~52年度に建設省総合開発プロジェクトの一環として行われた多数の柱の実験
n
n
o
v
5章 曲げと軸方向力に対する設計

頻度 :
r王=1.01,σ=0.07 頻度 I x=1
.0.σ
9 =0.08

1
0
1: 1
0

s
L
:

.0
1 .2
l
実験値/計算値

(a)σyを材料試験による平均値とした場合 (b)σyを ]
IS規格値とした場合

解図 5
.9 曲げ強度の実験値と計算値のヒストグラム

からは,曲げ終局強度の実験値の計算値に対する比について,その平均値は王=1.0
8,標準偏
差は σ=0.11であったことが報告されており 5.1) 柱の場合においても材料試験による平均値を

使用して計算すると,曲げ終局強度の平均強度がほぼ推定しうることがわかる.

以上により,本指針では,材料強度については 2章においてばらつきを考慮した下限値が決

定され,その値を用いて曲げ信頼強度を算定することとしたので, これによって曲げ終局強度

の下限値もほぼ期待できるものと考え,計算に際してさらに強度低減係数を乗じることはしな
し、こととし T
こ.

(
3) 本指針では,建物の保有耐力は,降伏ヒンジ部の曲げ信頼強度を基にして算定する.設計限

界変形以下の変形レベルにおいて,降伏ヒンジでは原則として引張鉄筋が降伏し,曲げ信頼強

度が発揮されていることを前提としている. したがって,降伏ヒンジの設計に際しては,算定

U (
a)

(
c)

解図 5.10 終局強度と設計限界変形の関係(模式図)
-90一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

される信頼強度時の変形が設計限界変形以下となっていることを確認する必要がある.

解図 5
.10は互いに剛性が異なる 3つの部材の強度と変形の関係を概念的に示したものであ
る.図中の曲線 (
a)の部材では,設計限界変形ん以下の変形において信頼強度に相当する U点

の耐力が期待できるが, (
c)の部材では,設計限界変形より大きな変形で曲げ降伏しているた

め,設計限界変形に等しい変形の段階では曲げ信頼強度と同等な耐力を期待することができな
い. (
b)の部材の場合には,曲げ信頼強度点 Uが設計限界変形以下の変形で現れていないが,そ

れ以前に曲げ降伏は生じているので,信頼強度とほぼ同等な耐力を期待することはできる.

0
.02

[Rd=
1/1
50J

匂 +g<)
(

w
+

/
1 子一ナイ / 制

w
0
.01

ι

i a--l~ぺ
し/
解図 5
.11 曲率分布の仮定 解図 5.12εy十 εc (/
) とα d
) の関係

いま,部材の曲率分布を解図 5
.11のように仮定し,部材の変形 Rとせん断スパン比 α/dとの
関係を求めると(解 5
.9) 式が得られる. (
解5.
10)式はこの関係を用いて,設計限界変形に相
当する部材角ん以下の変形で,曲げ降伏が生ずるようにした条件である.

R=(εt+εc)(
α /d) / 3 解5
( .
9)
(εy十 εc
)(α/d) 三
五 3& 解5
( .
10)
ここに, εyは引張鉄筋の降伏点強度に対応するひずみ度, ε
cは曲げ降伏強度時の圧縮縁ひ
ずみ度である.解図 5
.12は 解5
, ( .
10 ε y+εc
) 式 の 右 辺 の ん を 1/150として, ( )とは/

d) との関係をグラフで示したものである.引張鉄筋のひずみ度 εyを約 0
.00
2とすると ,a/d
が 4以下ならば圧縮縁のひずみ度を 0
.03として終局強度を計算したとき ,R=1/150で ε
0 t
>りとなり,部材は設計限界変形以下の変形レベノレで、信頼強度を確保で、きることがわかる.

解5
部材の変形は曲率分布の仮定によって変るので, ( .
10) 式は厳密なものではないが ,a/
dがおよそ 5以上の場合には,曲げ信頼強度の算定に際して,曲げ降伏時の圧縮縁ひずみ度も
算出して(解 5
.10
) 式による検討を行うなど,降伏時変形が設計限界変形以下であることの確
認が必要である.
5章 曲げと軸方向力に対する設計 91-

(
4) 梁とスラブが一体的に施工される通常の鉄筋コンクリート造の梁では,スラプが引張フラン

ジとなる曲げを受ける場合にスラプ筋が梁の曲げ抵抗に協力し,曲げ強度がスラブを無視して

計算した値よりかなり大きくなることが多くの実験によって確認されている.実験によると,
梁に近いところのスラブ筋は,梁主筋とほぼ同時に降伏する.その後,さらに変形が増加する

につれて,スラプ筋の降伏はスラブの幅方向に徐々に進展し,最大強度時には全スラプ筋が降
伏する例もある 5.9)

梁の曲げ信頼強度は建物の保有耐力の計算の基本となり,梁に最低限の強度を確保させるた
めに計算される値であるが,本指針では,より実情に近い曲げ終局強度を算定し,設定した降

伏機構を確実なものとするため,スラブ筋の一部を曲げ信頼強度の計算に算入する.その場合
に計算で有効とするスラブ筋の範囲については,スラブ筋の配筋方法や端部の定着性状によっ
ても有効度に差が生ずるので一概には決め難いが,実大規模の実験結果5.10)によると,本指針

で対象としている骨組の設計限界変形 1/100では,少なくとも現行の鉄筋コンクリート構造
計算規準による有効幅の範囲内にあるスラブ筋は降伏していると見ることができるので,曲げ

信頼強度の算定に際してはこの程度の範囲をとるのが望ましいものと思われる.当然のことで
あるが,信頼強度の計算に算入するスラブ筋については,端部に有効な定着長さが必要とされ

る.

また,骨粗の外端では,スラブ筋は直交方向の梁に定着されるが,直交梁がウォーノレガー

ダーなどのように偏平断面の場合には,そのねじれ変形や横方向変形によってスラブ筋の協力
効果が減少することがあるので注意が必要である 5.9) ニュージーランドの基準 5.11)では,スラブ

の有効幅を直交梁の有無と梁の部位の違いによって,以下のように規定している.
(NZ基準によるスラブの有効幅〉
-内柱に接続する梁:柱面からスラブ厚の 4倍以内(直交梁有〉

同 :柱面からスラブ厚の 2
.5倍以内(直交梁無〉
・外柱に接続する梁:柱面からスラプ厚の 2倍以内(直交梁有)

同 :スラブ筋を考慮、しない(直交梁無〉

(
5
) 耐震壁やウオールガーダーが曲げを受けると,断面の中段に配筋された鉄筋もその定着が十
分であれば曲げに対して抵抗し,断面内のひずみ分布に対応した応力度を負担する.壁柱や通

常の柱の場合にも同様である.実験によると,これらの部材では,引張側最外縁に集中された

引張鉄筋が降伏した後に中段筋の一部も降伏し p これによってほぼ曲げ耐力に近い状態とな

る.その時の耐力は,中段筋の負担応力度も考慮、した曲げ終局強度計算値に比較的近い値とな
ることが知られている 5.12) 特に,耐震壁の場合には壁板内の縦筋量がかなり多いので,その負

担応力度を無視すると実情とはかなり違った値となり,部材角 1/100程度の変形になると壁
筋の多くが降伏するものと思われるので,信頼強度の算定に際しでも中段筋を考慮するほうが

合理的である.
なお,本指針では曲げ終局強度は圧縮縁のひずみ度を 0
.00
3として算定することにしている
が,耐震壁の場合にはこのひずみ度では終局強度を概して過小評価することとなる.実験で最
-92 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

大強度時に圧縮縁のひずみ度が 0
.00
3を超え,かなり大きな値となっていることもよくみられ
る.そこで,実情に近い強度を算定するために,耐震壁に関しては圧縮側柱の中心位置で圧縮

ひずみを 0
.00
3として曲げ終局強度を計算するとよい.
(
6
) 2方向曲げを受ける柱の曲げ降伏曲面は解図 5
.13のい)図のように主軸方向の曲げ強度より
低くなることが一般的である.この降伏曲面については,断面の辺長比・主筋量とその配列方

法・材料強度・軸力の大きさ等の影響を受けて微妙に変化するので p これを一般的な形で簡単
に表すことはできない.軸力が一定のレベルで、みた時の二方向曲げに対する終局強度の相関関

係は,しばしば次式で近似される.
CMx/Mu y
x)a+CM/ Muy)α=1 解5
( .
11)

(M%/M
叫)
'
45 0


4
5。

M%
My (My/M
uy)
(
a) 降伏曲面の模式図 (
b) 近似初rS.14)

解図 5.13 2方向曲げを受ける柱の降伏曲面

ベき定数 αには,一般に 2以下の値が仮定され,軸力との関係でこれを修正する方法や強度

包絡面を全軸力の範囲についで解図 5
.13
(b)のように折れ線で近似し, 4
5度方向の終局強度を
主軸回りの強度の 0
.85倍とする提案もある 5.14) 英国の設計基準 5.13)では,以前は軸力の大きさ
に応じて αを修正する方法をとっていたが,現在は正確な計算をしない場合,次式によって設

計用モーメントを割り増す方法をとっている.
Mx
'= Mx十戸 C
h y
'/b')M [Mx/h'ミ My/b'のとき] 解5
( .
12.1
)
M/=My+戸C
b y
'/h')M [Mx/h'く My/b'のとき] 解5
( .
12.
2)
ここに , sは軸力との関係で下表の値とする.また ,h 'は,それぞれ X,
',b Y軸に垂直な方
向の柱断面の有効せい ,Mx,Myは割増し前の各方向の曲げモーメント.

N/bhσB ミ0
.6
P 0
.30

解図 5
.14は,正方形断面柱の対角軸回りの曲げ強度を変形との関係でみた一例である.この例
では,軸力が柱断面積にコンクリート強度を乗じた値の 1/3の場合には,対角軸回りの強度は

主軸回りの値の約 90%であり,軸力が上記の 2倍の場合には,両者はほぼ同じ値となっている.


5章 曲げと軸方向力に対する設計 -93-

ム:
εc=
0.0
03のとき ム:
εc=
0.0
03のとき

0
.2 0.2

¥ L tJ角軸曲げ
同 珂
b b
主軸曲げ
Q Q
.
c
:
, あ=1% -
<
:>
「¥ 〉¥

同 0
.1 "
'-
< 0
.1
(主軸曲げ)

(対角軸曲げ)

d/ρ(x1
0-2) /ρ(xl
d O-Z)
(a) N/bDσB=1/3の場合 (
b) N/bDσ
B=2/3の場合

解図 5
.14 柱の 2方向曲げの解析例

本指針では,柱の曲げ設計は骨粗の各方向に対してそれぞれ独立に行うことにしているため,

4章では 2方向地震力の同時性を考慮、し,柱の設計用モーメントと軸力の割増しを規定してい
る.したがって,柱の曲げ信頼強度の算定は各方向ごとに独立に行ってよいが,主軸以外の方向
に対する曲げ強度をチェックすることが必要な場合には,曲げを受ける方向を決定して終局強度

を計算しなければならない.

5.4 曲げ上限強度

曲げ上限強度は以下の仮定に基づいて算定する.
(
1
) 断面の圧縮縁コンクリートのひずみ度は 0
.00
3とし,鉄筋の材料強度は表 2
.1の上限強
度用の値とする.
(
2
) フランジ協力幅の 2倍の範囲内にあるスラプ筋または壁筋を考慮する.
(
3) 中段筋およびその他曲げに関係するすべての鉄筋の負担応力度を考慮する.

(
1) 本指針では,保証変形までの聞に降伏ヒンジ部において起こり得る曲げ終局強度の上限の値

を曲げ上限強度と定義する.鉄筋強度の高いほうへのばらつき,フランジ付き部材の有効幅の

拡大や計算外の鉄筋の存在等によって,終局強度が信頼強度より上昇する可能性がある.ま

た,短スパン部材の場合には,曲げ降伏した鉄筋が保証変形以内でひずみ硬化域に入り終局強
度を上昇させることもある.

降伏ヒンジ部の曲げ終局強度がこのような要因によって上昇しでも,骨組の降伏機構が想定

したものから変わらないようにするため,また,部材がせん断破壊しないようにするため p 降

伏機構保証設計では降伏ヒンジ部の曲げ上限強度を算定する必要が生ずる.
-94一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

上限強度の算定に際し,鉄筋の材料強度として 2章に示した上限強度用の値を用いる.コン

クリート強度の高いほうへのばらつきに関しては,その要因が曲げ終局強度を著しく増加させ

ることにはならないのでとり上げないこととした.
フランジの有効幅の拡大による強度上昇に関しては,既往の実験データの中には大変形域で

全スラブ幅内の鉄筋が降伏したとする例もあるが,本指針で対象としている保証変形以内では

スラブ全幅の影響までとり入れなくともよいものと考え,信頼強度の算定で仮定した有効幅の

2倍の範囲を考慮することとした.
また,上限強度の算定に際しては,中段筋等曲げに関係する断面内の鉄筋の負担応力度は,

すべて考慮する必要がある.

5
.5 ヒンジ部材の軸力制限

9
.2.
3で規定される柱および耐震壁の降伏ヒンジ領域では,設計用軸力は以下の制限を満足
するものとする.
(
1
) 柱の軸力は, (
5.1)式の関係を満足するものとする.
-k2Ag σy
;:
;玉Nc lA
三 k c σB (
5.1
)
ここに Nc は柱の降伏機構保証設計用軸力で圧縮を正とする • A
cは柱の水平断面積 ,Agは
柱断面内の引張りに有効な主筋の全断面積, σBはコンクリートの圧縮強度, σyは柱主筋の信
lは 1/3とする.ただし 9章の規定に従って拘
頼強度用の値である.圧縮軸力に対する係数 k
lを 2/3とすることができる.引張軸力に対する係数んは 3/4
束筋を配筋する場合には ,k
とする.
(
2) 耐震壁の軸力は,原則として, (
5.2
) 式の関係を満足するものとする.
3A
N山三五 k c
or
e σs- A
ws σw
yu (
5.2
)
ここに , Nω は耐震壁に作用する降伏機構保証設計用の全軸力で圧縮を正とする • A
co
reは耐
震壁の圧縮側柱コアの断面積 ,A山
, σu3抑
叫勺 F

度算定用強度とする.係数 h
わ3は 2/3とする.ただし 9章の規定に従って拘束筋を配筋する
場合には,んを1.0とすることができる.

(
1) 本指針においては,降伏ヒンジ部では,引張鉄筋の降伏による曲げ破壊によって部材の曲げ

耐力が決定されることを原則としている.軸力と曲げを同時に受ける柱の曲げ終局強度および

降伏後の変形性能は,圧縮軸力の値によって大きく影響され,軸力が大きくなると一般に大き
な変形性能を期待することが困難となる.そこで,本指針では,引張鉄筋降伏による曲げ破壊

耐力の確保とその後の変形性能の確保の 2つの観点から,原則として降伏ヒンジを有する柱の

圧縮軸力は,柱断面積にコンクリート圧縮強度を乗じて得られる値 (
Ac・σs) の 1/3以下
に制限することとした.

しかしながら p 上記の軸力制限値を超え,その 2倍程度の高圧縮軸力を受ける柱について

も,多量の拘束筋や特殊配筋を使用し,圧縮鉄筋の座屈やコアコンクリートの急激な破壊を防
5章 曲げと軸方向力に対する設計 -95-

止することができれば,圧縮鉄筋が降伏しても急激な耐力低下を起こさず靭性の確保も可能と

考えられるので, 9章の配筋設計に従って適切な補強をする場合に限り,圧縮軸力の制限値を

前記の 2倍まで取り得ることとした.建物の隅柱など 2方向地震力の影響によって(降伏機


構)保証設計時に比較的大きな圧縮軸力が作用する場合に,このケースに該当する例が生ずる

ものと考えられる.しかし,そのような場合でも柱の断面寸法をできるだけ大きくとり,軸方

向圧縮応力度があまり大きくならないようにする構造計画時の配慮、が必要である.

解図 5
.15は,正方形断面柱の抵抗モーメントと曲率との関係を解析した結果の一例であり,
(
a)図は圧縮軸力が N = C
Acσ8/3) の場合, (
b)図は N = C2AcσB/3) の場合である.

, (
(

) b)両図には,圧縮側コンクリートについて,拘束効果を考慮、してコアの内と外とでそれぞ

れの応力ひずみ曲線を変えた場合と変えない場合(解図 5
.16
) の両ケースが示されている.
図中の Oは引張鉄筋の降伏を, eは圧縮鉄筋の降伏を,またムは圧縮縁コンクリートのひず
み度が 0
.03の時を示している.図に見られるように,圧縮軸力が C
0 AcσB/3) の場合には,

コアコンク場
リート
¥¥¥ζ を拘束した 合
0
.
2 卜
1 0
.
2
O 引張鉄筋降伏
-圧縮鉄筋降伏
'
¥ /コアコンクリート
を拘束した場合
¥ ム εc=0.003 b

¥

i
011 戸
¥
コアコンクリート
Q
h
4
『Q 1
o
トコアコンクトト
を拘束しない場合
を拘束しない場合

O
dlρ(XlO-2) d
lρ(X
IO-
2)
(a) NlbDσ'B=1/3の場合 (
b 'B=2/3の場合
) NlbDσ

解図 5
.15 柱の抵抗モーメントと曲率の関係解析例

ε
19B

解図 5
.16 コンクリートの応力・ひずみ関係の仮定
-96一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

引張鉄筋降伏によって耐力がほぼ決定されているが,圧縮軸力が(2AcσB/3) の場合には,

圧縮鉄筋の降伏によって耐力がほぼ決定し,引張鉄筋の降伏は生じていない.また,圧縮縁の
ひずみ度が 0
.00
3の点を過ぎると耐力低下が顕著となるが,コアコンクリートが十分拘束され
る例の場合には,かぶりコンクリートの破壊による一時的な耐力低下は生じても,それ以後の

劣化は起こらず,靭性に富む性状が示されている.

解図 5
.17は,圧縮軸力がかなり大きな場合を対象とした実験の例である. (乱)図は圧縮軸力を
コンクリート圧縮強度の 0
.6倍とし,横補強鉄筋量んを種々変えて変形性能に及ぼす影響を調

べた例で、ある. (
b)図は,柱の水平変形に比例させて,軸力を 0.75AcσB (圧縮〉から -0.25
AcσB (引張り)まで変動させた実験例である.両実験ともコンクリート強度が本指針で対象と
している範囲より若干高いが,拘束筋を十分配筋することによって良好な変形性能が確保しう
ることを示している.

ただし,高軸力を受ける柱の実験では,水平力に対する履歴特性が良好であっても,コンク
リートの圧壊の進行とともに軸ひずみが大きくなることが報告されている 5.17),5.18) このような

柱の軸変形は,ドアの開閉あるいは梁の上下方向変形による応力など これまで予想していな
かった新しい問題を提起するので,注意する必要がある.
(
2) 多層骨粗の外柱や隅柱では,地震時に引張軸力を受ける場合がある.引張軸力と曲げモーメ

ントが同時に作用する場合には p 圧縮側コンクリートの負担は軽減され,やや大きい引張軸力

が作用する場合には,曲げを受けても断面全体が引張応力の状態となるので,外力に対して脆
性的な破壊を生ずる危険性はない.しかしながら,大きな引張軸力を受けて柱の軸方向筋が全
部同時に引張降伏すると,次に圧縮軸力を受けた際に,軸方向筋がパウシンガー効果による剛

性低下を起こして座屈する危険性が生ずる.現状では,大きな変動軸力を作用させた実験デー

タが少なく,ヲ i
張軸力の作用が柱の耐震性能に及ぼす影響に関してはまだ不明な点が少なくな

いので,本指針では,軸方向鉄筋全体が同時に引張降伏することのないように,引張軸力を引
張耐力の 0
.75倍以下とする軸力制限を設けることとした.
(
3
) 耐震壁については,曲げ降伏後の靭性確保の観点から (
5.2
)式の形で軸力の制限を設けるこ
ととした.耐震壁は,ラーメンに比べて一般に水平剛性がかなり高く,曲げ降伏時の変形が小
さいため,降伏後に大きな塑性変形を要求される.既往の研究によると,十分せん断補強され

た耐震壁では,その変形性能は側柱を含めた圧縮域の耐力と靭性に依存することが知られてい

る.解図 5
.18は,耐震壁の実験による限界変形ん(水平荷重がその最大値の 80%に低下すると
きの部材角〉と側柱の平均圧縮応力度 σc (軸力と曲げモーメントによって生ずる圧縮力の和を

側柱の中心圧縮強度で除した値〉との関係を示したものであり,実験データから側柱の平均圧

縮応力度がおよそ中心圧縮耐力の 2/3以下におさえられていると部材角で 1/50程度の変


形性能は期待できることがわかる 5.12)

解図 5
.19は,側柱の断面積を実験パラメーターにとって曲げ降伏後の変形性能との関係を検
討した例で、ある 5.15) 乱)図の試験体は柱帯筋比 p叫が 1.1%で,これをプロトタイプとし, (
b
)"-
'

(
d)図 は ん を 1.6%に増加し,さらに(c
)図では壁厚を, (
d)図で、は側柱断面積をそれぞれ増加して
5章 曲げと軸方向力に対する設計 -97

C
a) 九を変化させた実験5.15)

主筋 1
6目
吉川=
% (判)守的

1
/10
0 1
/50
マ マ
7L

Q 圧壊開始
司岬圃輔ー~

圧縮鉄筋降伏

園]
t-30~ -20

ρ9=2.65% 引張鉄筋降伏
司砕- - .
-20
ρω=0.59%
(異形 PC
鋼棒)
ム ム
1
/50 1
/10
0
σB =4
41k
gfjcm2 -40


(
)

斡カを変動させた実験の例 5
.16
)

解図 5
.17 高軸力での柱の実験による荷重・変形関係の例


QU
鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

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.6 0
.8 1
.0 1
.2 1
.4
σ
c

解図 5
.18 側柱の平均軸応力度 (Jc と限界変形 Ru512)

S
hea
rFo
rce(
t) S
hea
rFo
rce(
t)
W
allS
hearFai
lure W
allS
hea
rFai
lur
e
M/QL=1.0 M/QL=l
.0
8
0
1
.5 1
.5

2.0 2.0
3.0 3.0

ρω=1
.1%
-80 -80

(
a)Specimen W1 (
b)Specimen W2

S
hea
rFo
rce(
t) S
hea
rFo
rce(
t)

80

-20 -20

-80 .6%
ρω=1 -80 九=1.6%

(
c)SpecimenW3 (
d)Specimen W 4

解図 5
.19 側柱寸法と拘束筋を変化させた実験の例 5.19)
5章 曲げと軸方向力に対する設計 -99-

いる.この実験からは,いずれの試験体でもせん断スパン比がおよそ1.5以 上 と な る 応 力 状 態

であれば部材角 1/50程度までは安定した変形性能が期待できることを示している.また,そ

の時の側柱の圧縮力はおおむね (
5.2
) 式による値程度となっている.
本指針では,これらの既往の実験データを参考とし,曲げ降伏後の変形性能の確保に重点を

おき,側柱に対する軸力の制限を設けることとした. (
5.2
) 式の左辺は,耐震壁全体にかかる
鉛直荷重時軸力と耐震壁に平行および直交方向の骨粗の水平荷重時軸力を加えた降伏機構保証

設計時に圧縮側柱に作用する全軸力である.右辺第 1項は,解図 5
.20に示す帯筋の内側の面積
Acore にコンクリート強度を乗じた抵抗力を示し,第 2項は耐震壁の水平断面内にある壁縦筋の

引張力である.なお,第 2項目の計算に際し,左右側柱の軸鉄筋量が著しく異なる場合には,

耐震壁全体の水平断面内にある全鉄筋についてその負担力の総和として求める必要がある.

解図 5
.20 側柱の面積 Acoreのとり方

5
.6 構造規定

5
.6.
1 梁
(
1
) 梁の断面形状
梁幅は, 25cm以上とする.また,ヒンジ部材においては,梁幅は,梁せいの 1/4倍以
上とする.
(
2) 梁主筋
1)梁主筋は, D19以上の異形鉄筋とする.
2
) ヒンジ部材の引張鉄筋比あは,スラブ筋を含め, 0
.02
5以下とする.また,圧縮鉄筋全
断面積の引張鉄筋全断面積に対する比は, 0
.5以上とする.
ここに ,P
tは,引張鉄筋全断面積を梁幅と梁の有効せいとの積で除した値とする.
3) 引張鉄筋の配筋は,原則として, 2段までとする.
5
.6.
2 柱
(
1) 柱の断面形状
柱の径は, 40cm以上とする.また,ヒンジ部材においては,長径の短径に対する比を 3
以下とする.
(
2) 柱主筋
柱の主筋は, D19以上の異形鉄筋とする.
-100 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

5
.6.
3 耐震壁
(
1
) 耐震壁の断面形状
1)耐震壁の水平断面の形状は 原則としてその両端に柱を有する I形断面とする.
p

2) 耐震壁の壁板の厚さは 15cm以上,かつ,その階の壁板の内法高さの 1/20以上とす


る.
(
2) 壁筋の配筋
1)壁筋には DI0以上の異形鉄筋を用い,原則として縦横等量配筋とする.
2) ヒンジ領域においては,壁筋は夕、、ブ、ル配筋とする.
(
3) 壁板の開口
ヒンジ領域に関口を設ける場合には,その位置は,できる限り壁長さ方向の中央とし,
その大きさは耐震壁としての一体性が損なわれない大きさとする.

(
1
) 本指針では,曲げと軸力の設計に際し,部材の形状・寸法,鉄筋径・鉄筋比などの基本事項
に関する適用範囲を考え,それらを構造規定として示しているーこれらについては,定量的な

根拠によって規定することが難しいため,靭性の確保と施工性などを考慮、して経験的・工学的
判断にたち諸外国の規定も参考として決めている.
(
2
) 梁幅に関しては,圧縮鉄筋の座屈や引張鉄筋の付着劣化による脆性破壊を防止するための肋
筋の配筋およびコンクリートの打込みなどの施工性を考慮、し,その最小幅を 25cmとした.本

指針を適用する構造は梁降伏型の骨粗を基本とし,梁の靭性確保に重点がおかれるので,梁幅

はできる限り余裕を持った寸法とすることが望ましい.なお,梁幅に関しては,主筋の柱内へ
の定着確保の観点から,柱幅に上限値を設けた例が外国 5.11)には見られるが,柱梁接合部の設

計で水平ハンチを設けることもありうるので,梁幅の上限は設けないこととした.

梁幅を梁せいの 1/4以上とする形状比の制限も部材の靭性確保に重点がおかれたものであ
るが,梁幅に対して梁せいがあまり大きくなると,曲げに対する断面性能に部材全体に対する

座屈の影響が関係したり,線材理論に基づく応力解析の適否の問題など複雑な問題も派生して
くる.また,梁せいに対してスパン長さがあまり小さくなると,上記の影響に加えて,せん断

変形が曲げ応力に及ぼす問題も関係してくる.この問題は短スパン梁などでは今後検討を要す
る課題であるが,せん断スパンに関しては,一応 6章でせん断スパン比を考慮、して設計するの

で,曲げだけに対して制限を設けることはせず,本章では幅とせいとの比だけを規定すること

とし 7
こ.

(
3) 柱についても同様に最小径を規定し,その値を 40cmとし,また,短径に対する長径の比の

上限は 3とすることとした.壁式ラーメン構造の壁柱のように柱幅に対して柱せいがかなり大

きくなる構造の場合には, 9章に示されているように圧縮域を拘束する横補強筋の配筋方法を
工夫するなど特別な構造詳細が必要とされよう.

なお,柱についても,せん断スパンに関しては, 6章のせん断設計でこれを考慮するので特
に規定を設けないこととした.

(
4
) 耐震壁の断面形状は,原則として壁板の周囲が柱梁で囲まれた水平断面が I形のものを対象
5章 曲げと軸方向力に対する設計 -101-

としている.壁板を柱幅と同寸とし,水平断面の形状が必ずしも I形でない耐震壁もあるが,

柱の最小寸法の規定を満たすものであればこれは対象外とはならない.しかし,この場合に
は,直交方向ラーメンに対する設計で必要とされる柱幅の部分があるはずであるから,その部

分を側柱とみなして耐震壁としての設計を進めるとよい.また,壁板の最小厚さについては,

本指針で対象とする耐震壁は l階壁脚で曲げ降伏する全体曲げの構造であることを考慮して,

その階の壁板の内法寸法との比を大きくし,現行の「鉄筋コンクリート構造計算規準 Jによる
規定より厚くなるようにした.

耐震壁の開口に関しては,その形状と寸法を定量的に規定することはできないが,現行の鉄
筋コンクリート構造計算規準で規定されている等価開口周比以下となるようにするとともに,

縦長や横長の開口を設けて耐震壁の曲げに対する一体性が失われることのないよう十分注意が
必要である.
(
5) 梁・柱の主筋径に関しては,圧縮鉄筋として曲げに抵抗するときの座屈防止の観点から最小

径を規定することとし, D19以上の異形鉄筋を使用することとした.

梁の引張鉄筋比あの上限に関しては,引張鉄筋降伏先行を条件として, r=0.5で,鉄筋強度
とコンクリート強度のもっとも不利な組合せを考えると ,P
tの上限はおよそ 3.3%となり,か
なり大きな引張鉄筋比まで引張鉄筋降伏の先行が可能となる.しかしながら,このような大き
な引張鉄筋比の場合には,圧縮側かぶりコンクリートのはく離や圧縮鉄筋の圧縮降伏が起こ

り,引張鉄筋降伏が先行しでも,その後の靭性確保が困難となる可能性もあるので ,P
tをスラ
ブ筋も含め 2.5%以下とすることとした.ここに ,P
tは引張鉄筋断面積を梁幅と有効せいの積
で除した値として計算する.

また,引張鉄筋比が大きくなると,曲げに対する靭性確保が困難となることに加えて,部材

の耐震性能が付着割裂破壊によって劣化することもあるので, 6章のせん断設計に従って関連
する補強が必要とされる.
解図 5
.2 t=2
1は , P .5%
, r=0.5で鉄筋に SD40を使用し,コンクリート強度を 3
00kgf/
cm2としたときの抵抗モーメントと曲率の関係を求めた一例で、ある.図中の曲線 (
a)は,前掲の

解図 5
.16のようにコアコンクリートが十分拘束された場合で、あり,曲線 (
b)は拘束されない場

合である.図に見られるように,曲線 (
b)の場合でも圧縮縁のひずみ度が 0
.00
3以下の範囲では
耐力低下が見られず,また圧縮鉄筋の降伏も生じていない.しかしながら,コアコンクリート

を拘束すると,曲線(乱)に見られるように圧縮縁のひずみ度が 0
.00
3を超えた大変形に対しても
耐力低下を少なくすることが可能となるので ,P
tが 2 %以上となるような場合には, 9章に規
定される特別ヒンジと同様な補強を行うなど適切な対応が望まれよう.

なお,柱に関しては,一般に引張側と圧縮側は等量の鉄筋が配筋され複筋比は lであるの

で,曲げに関しては P
tの制限は設けないこととしたが,梁の場合と同様に引張鉄筋比が大きく
なると p 付着割裂破壊が生じやすくなるので注意が必要である.既往の研究 5.1)によると ,P
tが
1%以 tになると付着割裂破壊による影響が大きくなるので p 降伏ヒンジを設定する柱の場合

には引張鉄筋比をできるだけ 1%以下とすることが望ましい.
-102一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

(
a)コアコンクリート
を拘束した場合

<
:c=
0.0
03 、
、、
、、

F
/、

0
.2 /、
/ 、
(
b)コナコンクリー卜
を拘束しない場合
b

N喝
Q
¥ミ

の =4O
OOk
gf!cm2
σ
'B= 3
00k
gf!
cm2

あ=2.5%
r=O.5

O 2
dxρ(x1
0-2)

解 図5
.21 梁の抵抗モーメントと曲率の関係解析例

断面設計に用いる終局強度の計算は,断面力の釣合いとひずみの適合条件を考慮、した塑性曲
げ理論に基づいて行うことを原則とする.ここでは, 5章に示す方法を用いた計算例を, T形
梁および柱について示す.

参考文献
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9-3
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.
1
04-

6章 せん断と付着に対する設計

6
.1 適用範囲

本章は,以下の設計に適用する.
(
1
) 柱,梁および耐震壁のせん断強度を確保する設計
(
2
) せん断力を受けるヒンジ部材の塑性変形能力を保証する設計
(
3) 柱,梁の付着割裂破壊を防止する設計

本章で規定するせん断設計は,柱,梁および耐震壁を対象とするものであり,それらの部材に対

して,塑性ヒンジを想定しない部位のせん断強度と塑性ヒンジを想定する部位の塑性変形能力を確

保することを目的とする.また,付着に対する設計は,柱および梁部材に適用されるものであり,

(降伏機構〉保証設計において,それらの部材の付着割裂破壊に対する安全性を保証することを目
的とする.
本章に示したせん断設計法は,いろいろなパラメータに対して検証されているが,当面の間は,

本指針を適用した設計法の中でのみ用いる.すなわち,材料および材料強度を 2章に示した範囲に

限定し,また,設計用せん断力および保証変形が 4章の方法に従って算定された場合のみに用い,
さらに 9章の配筋詳細規定も満足しなければならない.
本指針の作成段階では,本章において,ねじりに対する設計を示すべく作業が進められたが,以

下の理由により削除された.部材にねじりモーメントが生ずる場合は,大きく分けて次の 2つであ

る. 1つは,架構の変形の適合条件によって生ずる変形適合ねじりであり,もう 1つは架構の釣合
いを満足させるために生ずる釣合ねじりである.前者の一例としては,片側のみに小梁の付いた大

梁のように,小梁の材端に生ずる曲げモーメントにより大梁にねじりモーメントが加わる場合で,

その大きさは接合部における大梁のねじり剛性と小梁の曲げ剛性に依存している.一般的にいっ
て,このような変形適合ねじりの場合には,隣接部材の間での剛性比変化によるモーメントの再分

配により,該当する部材に過大なねじりモーメントを生ずることなく外力に抵抗することができる

ため,特に部材のねじり強度の検討を行う必要のない場合が多い.本指針で扱う建物が,地震荷重

を受ける部材にねじりモーメントが発生する場合,そのほとんどは変形適合ねじりであり,その大
きさも極めて小さいと考えられる.したがって,本指針においてはねじりに対する設計は示してい

ない.ただし,設計者が必要と判断する場合には,日本建築学会編「鉄筋コンクリート構造計算規

準・同解説」に示す方法でねじりに対する設計を行う.
6章せん断と付着に対する設計 一105-

6
.2 設計方法

6
.2.
1 設計の原則
せん断力に対する設計では,全部材のせん断信頼強度が降伏機構保証設計用せん断力を上回
るようにするとともに,降伏ヒンジを計画する部材では塑性変形能力が保証変形を上回るよう
に設計する.また,柱,梁では,主筋の付着強度が降伏機構保証設計用応力における付着応力
度を上回ることを確認する.

本設計法では,従来の設計法と同様に曲げ設計とせん断設計を分離して行っている.したがっ

て,第 5
章に示される曲げに対する設計が終了し,曲げ補強筋の配筋が決定した部材に対して,降伏

機構保証設計用応力に対する必要せん断補強筋の算定を行う.
また,柱および梁においては,せん断設計終了後に付着割裂破壊に対する安全性の検討を行わな

ければいけない.参考のため,本章における柱および梁の設計手順を以下に示す.

構造解析結果に基づく断面曲げ設計(第 5章

柱および梁の設計せん断力の算定
(ヒンジ部に対しては上限曲げ強度を考慮)

仮定断面に対する限界せん断力の算定
(
Vu.max=
O.5
bjtνσ s
)
ハU
M門

必要せん断浦強筋量の計算

柱および梁の設計手順
-106- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

6
.2.
2 せん断補強筋の強度
せん断強度の算定では p せん断補強筋の強度には信頼強度算定用の材料強度を用いる.
6
.2.
3 構造規定
本章の規定に加えて,せん断補強筋の配筋は 9章の規定に従う.

2
柱および梁に用いるせん断補強筋として,その信頼強度算定用材料強度 σyが 4OO
Okg
f/cmを上
回る高強度せん断補強筋を用いる場合には,後に述べるせん断強度算定式の精度検証で,せん断補

強筋の信頼強度を 2
5・σBで頭打ちにすることにより良好な適合性が得られた.そのため設計にお
けるせん断補強筋材料強度を暫定的に 2
5・σBで、頭打ちとした.ただし,このような高強度せん断
補強筋を用いる場合には,曲げ加工後の隅角部における脆性的な破断を防止するために, ]
IS-
Z
2
248 (金属材料曲げ試験法〉の規定に従った曲げ試験により,その曲げ性能を確認しておく必要が
ある.さらに,高強度せん断補強筋端部を 1
35度フックで定着する場合には十分な定着長さを確保

する必要があり,連続スパイラルもしくは溶接加工による閉形のものを用いるのが望ましい.溶接

加工による場合は,溶接部の引張強度が母材の信頼強度を上回ることを確認する必要がある.

{

6
.3 柱および梁のせん断強度
d

Jミ

こ》
、へ l
ノ¥、

6
.3.
1 せん断強度式
柱および梁のせん断信頼強度の算定は (
6.1)式による.ただし ,P
wσ仰が νσ8/2を超え
る場合は, ~.~. i-~;~ = ν
σr8
/与とする よ
い企
fn こりと争一σ
ω'y c
()
tゆHankl-pybDν (
J
0 8/2'
.
' (
6.1
)
之に / つ

¥tanθ
={-
./[(L/D)2+打 -L/D} . (
6.2
)

トド{(1れ o向 〉 ん σWy}/(ν o
)
(
J -
c. ¥ ¥
(6.
3)
σBはコンクリト圧縮強度, σw ふが 2
yはせん断補強筋の強度で ,¥」ーでアヲー 5・σ "8( k g r
;
- f
/
2
cm)
を超
",-",",-----,-.....ー ニ守一一¥いニー一
γ

える場合には, σ wy=25 ・ σB とする • b,j


t,D,Lは,それぞれ部材の幅,主筋中心間距離,全
せい,内法長さで ,pwはせん断補強筋比である.また, νは コ ン ク リ ー ト 圧 縮 強 度 の 有 効 係
数,ゅはトラス機構のコンクリート圧縮束の角度で,次項以下による.
6
.3.
2 降伏ヒンジを計画しない柱および梁の係数
降伏ヒンジを計画しない柱および梁では,有効係数 νは (
6.4
) 式による νoとする.
νOニ 0
.7;
'0
-8/2000 (
6.4
)
また, c
otゅの値は (
6.5
)式'
"
'-
'(
6
.7)式による値のうち最小のものとする.

( 4 i - J ¥ J 7 1 ( 6 5 〉
〈 ニ Dtane) (6
.6)
c
otゆ=
-Jνσ8/(pw(Jw
y)-1
.0 (
6.7
)


"
ち ;?(JIιY

6章せん断と付着に対する設計 -107-

各種設計基・規準のせん断設計に広く用いられているせん断抵抗の概念では!)せん断補強筋のト

ラス作用により伝達されるせん断力と,せん断補強筋の関与しない機構で伝達されるコンクリート

の負担するせん断力を考える.コンクリートの負担するせん断力のなかには曲げ圧縮域コンクリー

トを斜めに伝わる圧縮力のせん断力方向の分力(アーチ作用),ひび割れ面における骨材のかみ合

い作用および主筋のだぼ作用等が含まれる.本指針においては,このコンクリートの負担せん断力
として,塑性理論 6
.1)に基づいたアーチ作用のみを考慮した.すなわち, トラス機構強度にコンク

リートの負担せん断力としてアーチ機構強度を加えることにより部材のせん断強度を与えている.

ただし,後に述べるように,せん断力がある限界値を超過する場合にはアーチ機構が消滅し,全せ

ん断力をトラス機構で負担する機構となっている.

(
乱) 柱および梁に対する本指針式の説明
民指針におけるせん断設計式は, 塑
性悶理
論蜘の
下碍界
定姐理
酌『に
岨こ法
基づ必
いて叩
おりザ
♂ザ刊
里引引
切叩
1) )

てはせん断力の釣合いを,塑性条件としては,せん断補強筋応力がその信頼強度に到達してい
ることおよび, トラスおよびアーチ機構の重ね合わせにより生ずるコンクリート圧縮束応力が

コンクリートの有効圧縮強度 ν ・σB
Vこ到達していることを用いている.ただし,釣合条件と

してせん断力のみを考慮、しているため,曲げ主筋は無限に強く,決して降伏しないものと仮定

し て い たj
本指針 (
6.1)式の右辺第 1項はトラス機構〔解図 6
.1]による負担せん断力を表しており,
同第 2項はアーチ機構(解図 6
.2) による負担せん断力を表している.
まず,せん断補強筋が降伏していると仮定してトラス機構による負担せん断力 Vtを算出す

ると,

'0 Vt=-_~/J:t-~<!竺ー竺也、 解6
( .1
)
この時のコンクリート圧縮束の応力 C σtは次式で与えられる〔解図 6
.1参照 J
.
4立TLL+ 「 2
tt
~
i生 包 !(
1"
¥

.Q0
[)
)
/~-"ぶ入 7

,-V¥J
D"v.・ / ‘ ( 解 6
.2)
よって jνσ B>c(Jt
の場合には νσBから C σtを差しヲ│し、た (νσ B - cσt
)がアーチ機構に

対して許容し得る限界圧縮束応力となる(ここでは,簡単化のためにアーチ機構およびトラス

機構におけるコンクリート圧縮束の角度の違いは無視した).アーチ機構の負担せん断力 Va

は,下界定理6.1)に基づいて次式で与えられる。

Va= C
ν CJB ずがけ t
an0・bCD/2) 解6
( .
3)
t
ane=
[-J{CL/D)2+1}-L/D 解6
( .
4)
A

ト Z寸



C σ
t

ト一一 j
t・c
otゅ一一斗

解図 6
.1 トラス機構における釣合い
-108一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

解図 6
.2 アーチ機構における釣合い


これら 2つのせん断抵抗の和として部材のせん断強度が与えられる。
V戸 bi
tPw σw
yctゆ + (νσ 8-cσt
o )ta
n(・ b (D/2)
) 解6
( .
5)

ここで , s= {
(1+coeゆ)れ σwy}/(νσ8) と置けば (
6.1)式が得られる.
ゅは,トラス機構附けるコンクリート圧縮束の部材軸に対する角度であり_, :
SOl
此しが k
以下に述べる理由により (
6.),(6.6)
5 および (6. 7)式のうち最初値としている市劫壬~
(
6.5
) 式は,許容しうるゆの最小値として 2
6.6度(∞ tド 2) を与えてい予
65
1.) J
c主 主え
, (6. 1)式の Vu ;à~最大となる cot 併を与えている.また, (
は 6.7
)式は(解6
.2) 式における
cの が νσBと等しくなるとし、う条件より下の手順で求められる.
C σt = (1+coeゆ)P σwy-νσB
卸 解6
( .
6)
c
otゆ=-JlJ) σ8/(PwaWy)-1} 解6
( .
7)
すなわち,本指針式では ,
(Co
tゆ豆事%よびトラス機構におけるコンクリート圧縮束応力 cat
が有効圧縮強度 νσB以下の条存ゐもとで最大のせん断強度を与える c
ot併を選択しているこ

とになる.
トせん断補強限界は,多量のせん断補強筋を配置することにより,全せん断力がトラス機構の

みによって負担される場合である.この場合は j 二 a~戸 νσB となり(解 6. 7)式が成立する.


解6
( .1)‘式に(解 6
.7) 式を代入し ,p
wσw
yにより微分することによりその極大値 Vt
m
.axを求

解6
めると ,( .
8) 式が得られ,このとき ,p
wσ吋 =0.5νσBかつ c
ot伸二 lが成立する.

V
t.m
ax t νσ8/2
bi 解6
( .
8)
コンクリート圧縮強度有効係数 νは,コンクリート圧縮強度が大きくなるほど小さくなるこ
とを考慮して, (
6.) 式6.1)で、与えた.
4

本指針のせん断条項の原案作成は,耐震設計小委員会に設置されたせん断 W Gにおいて行わ

れた.その作業段階で,柱・梁のせん断強度式に対してともに塑性理論の下界定理に基づく A
法および B 法の 2 つの案6.6)~6.g) が提案され,種々の検討が加えられた.当初は,両案併記とす

る方向でせん断条項の作成作業を進めていたが,本指針が設計に使用される際に,本文として

両案併記では種々の混乱が生ずるおそれが懸念されたため, A法を暫定的に本指針の本文に採
用することにしたが,解説中で A ,B両案の内容を紹介し,この種の理論的な設計式の活用と
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 一 109-

その普及を図ることにした.
以下に,両案の相違点と, A法の考え方を採用した経緯について述べる.両案ともにトラス
機構とアーチ機構の重ね合わせに基づいており,基本的なせん断抵抗機構に対する考え方は同

ーであるが,解表 6
.1に示すように t
an(
),c
otゆおよび νの採り方に相違がある.

解表6
.1 A法および B法における t
an8,c
otゆおよび ν

A法 B法
t
anθ J{(L/D)2+1}-L/D -
J{(2M/VD)2+1}-2M/VD
c
otゆ 次式の内の最小値
i)1 .0豆 c
otゆ亘 2.
0
i)2
i .0(ゆ =26.6度) .0 (
1 ゆ =45度

i
i) jt/(
i D.ta
nθ〉
i
v) j{ν・σB/(P σ ωy)ーl}


ν 07ー σB/2000
. (2M/VD+1)/4(
0.5孟 ν話1.0
)

[注] V,M:設計せん断力および曲げモーメント, L:部材長さ

ロ、法では,∞tゆ=1"'2の範囲において,あるせん断補強筋量に対して,トラス機構による

せん断抵抗が最大となる条件より cotφを与えているのに対して, B法では,あるせん断補強


筋量に対して, トラス機構におけるコンクリート圧縮束応力を最小とするとしづ条件より c
ot
ゆ=1.0と固定してい忍人理国 6.3応
, トラス機構におけるコンクリート圧縮束材の角度の相違
のみをパラメータとして,両案を比較したものである.コンクリートおよび鋼材ともに完全剛

せん断強度 K
上限強度

Qニ匂ゴt二男一』一一ーーーーーー一ー
除凶出刊明日定

-
ー'
一一
一一
一一 -
D

川九
O
引+¥

ω
ρ ・σwy

(。
1 1
.0
B法


?

2 A法
c
otゆ

解図 6
.3 ν =1
.0とした場合の A法
, B法の比較
-110- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

塑性体と仮定し,コンクリート圧縮強度有効係数を ν=1
.0とし ,L/D=3の逆対称曲げを受

ける部材について比較してい
.(る
'
,/制
:
,; 縦軸は部枕悦ん断強度,アザ機構負担せん断ホ
y

立cotcþ と整担出必醐筋比は舗腕庭~駒山地法L --C,¥ ¥るJ


王 A法 で は
トラス機構による耐力を大きく,アーチ機構による耐力を小さく見積る形になるのに対して,

B法では,逆に,トラス機構による耐力を小さく p アーチ機構による耐力を大きく見積る形と

なっている.

両案ともに,せん断補強筋以外の負担せん断力(アーチ機構の負担せん断力)は,従来の実

験式に見られるような一定値をとるのではなく,金竺ぞ 吹雪コ増加に伴い減少する形となっている
_U

ところに特徴がある.このような考え方は文献 6
.2)によって示されているが, 近年, FEM解
析によってもその妥当性が検討されている 6.19),6.
11)

この両案においてコンクリート強度有効係数を同ーとした場合, A法は B法よりもつねに大

きなせん断強度を与えることになり,塑性理論の下界定理によれば,より高い崩壊荷重を与え
るものが真の崩壊荷重により近いものであり, A法によるせん断強度がより実質的に真の耐力
に近いものになる.しかしながら,コンクリート圧縮強度有効係数 νを1.0とした場合の理論

強度は, A法
, B法いずれの場合にも実験値を上回ることが多く,コンクリートを完全剛塑性

体として取り扱うことには適用限界があるので,実験値との対応から,理論的な耐力式に耐力
df

低減の考え方を導入することが必要になる そこで, A法ではコンクリート圧縮強度有効係数
、 「¥¥


として ν=0.7-σ B/2000を採用するのに対して, B法では,基本的なコンクリート圧縮強度
有効係数は1.0とし,部材の 2M/VD比(逆対称曲げの場合には ,L/Dv
こ一致する〉が 3以下

一一
--
--
--
--
--
の場合に,せん断強度算定値が過大となる傾向があるという理由から,解表 6
.1に示すように
2M/VD比の関数として 0
.5から1.0
の範囲でコンクリート圧縮強度有効係数 νを与え,各々実
験値との対応性を図っている.両案の相違点を,解表6.H
こ示すコンクリート圧縮強度有効係

数 νを用いて詳細に比較した一例を解図 6
.4に示す.
A法では,ん σ仰が限界値 (
0.2
.l
J. .
.aJ
i) に達するまで c
otゅの値は 2
.0であり, トラス機構と
アーチ機構が共存している.この限界値においてアーチ作用による負担せん断力が零となり,
以後はトラス機構のみによって,そのコンクリート圧縮束角度の増大(ゆ =26.6。
→45 に伴
0

, 上限附せん州断力引(
ぃ Vu,m1
町肌

トラス機構のコンクリ一ト圧縮束角度を 4
必5。に固定しているため, トラス機構とアーチ機構が

上述の 0.2νσBの値を超えても共存し,上限せん断力 (V u • m
ax=
O.5
bjtσB) に達したところで
アーチ作用が零となる.このように,両案は,各々に異なったコンクリート強度有効係数を用

いることによって, トラス機構およびアーチ機構の各々が負担するせん断力およびそれらの割

合が異なり,せん断強度 Vuも異なった値をとる.しかしながら ,A法によって算出されるせん

断強度は, B法によるものに対して,前述したようにつねに大きくなるのではなく ,p
wσ町三五
X(=Dtanθ(1ー ν
)σ B/(2jt-3Dtanθ)) の範囲ではつねに小さな値を採り,結果として,
図に示されるように実用的な範囲(回印部分 :pん 豆0
.25
σ B) では,両案によるせん断
耐力予測値に大差はなくなる.一方 p 後述する精度検証結果に見られるように,実際にせん断
6章 せん断と付着に対する設計 -111-

-
σ 吋 =0.25σB
B法の上限強度
一一一一一ーーーーヌ

A法の上限強度

t
an b'D・
θ・ σ'B
/2
tanB・
b.D
.jI.σ
'B/
2
ω
ρ ・σ吋
-
-
i・

:
0.5
σB

.0
1

2
.0
A法

coto

解図 6
.4 νを考慮、した A法
, B法の比較

破壊によって耐力が決定される部材は,ん σ 卸 y三
五 wσ y>Xの範囲では部材
Xの範囲に多く ,p 山

耐力は曲げ耐力によって決定される場合が多い.

市桑は,極限解析における下界の定理を用いて構築された要都であり,従来慣用されてき
た実験式とは,その構成および考え方が大きく異なる新しい形式のものである.したがって,
当面,実用せん断設計式としての使用に際しては慎重を期すべきとの判断のもとで,せん断破

壊が予想される部材に対して,より安全側の評価を与える A法を本指針の本文に採用した.な
お,両案のより詳細な検討については今後の課題とした.

一方,後述山ように,⑬および、空夢は担盟控室恥主;三段、そこで,南
・倉本らは,文献 6
.3)による理論解に基づいて,軸力の効果を考慮、した実用せん断設計手法を
提案している 6.
12
) 以下に,せん断設計式およびその構成を紹介するが,詳細については文献を
参照されたい.

tp
Vu=bj w] ( (2 r
(wy+tan) /tan(
)一戸 )bD σs/2 解6
( .
9)
ただし ,Vu三
五 bj
t σs r/tan)
(

n豆0.5-2ゅのとき r={)4(n+2ゆ)(1-η-2ゆ)+(2M/VD)2-2M/VD}/2
n>0.5-2ゅのとき γ=tan()/2
) , ゆ=
ここに ,n=N/(bD σs Pt σy/σB
円/“

'i
鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

解6
( .
9)式の右辺第一項はトラス機構による負担せん断力を,第二項はアーチ機構の負担せ
ん断力を表す.さらに,軸力比 nが ,n豆 0.5-2ゅの場合,アーチ機構において軸力,主筋の降

伏およびせん断スパンの影響が考慮、できる形となっている.
(
(b
)- せん断強度式の精度の検証

ここでは,既往の柱および梁に関するせん断実験データ 6.13)~6.26) を用いて本指針の精度を検

証した.検証に用いたデータはすべて異形鉄筋を主筋に用いたものに限っている. その理由

は,本指針で採用したトラス機構では主筋と周囲のコンクリートの間である大きさの付着応力

が必要とされるからである.また,変数の範囲としては,軸力 N孟 0,断面積 bDミ400cm2とし

た.参考のために,本検証データにおける材料強度,引張鉄筋比,せん断補強筋比および軸力

比の範囲を以下に示す.

解表 6
.2 実験データの変数範囲

コンクリート強度 :σB 165 629kgf/cmZ


引張鉄筋比:P
t
せん断補強筋比:れ
0.
.3
9'
"

'
'
"
-
3‘21%
'
-2
.4企%
2
せん断補強筋降伏強度 :σw 2
530
'"'
-1<
170.0" kgf/cm
%
p σw y 0'"'
-1
91 kgf/cm
元町
、 山
2

L 軸力比 :n=N/(bdσB
) 0'"
'-0.
732

本指針式による検証結果を解図 6
.5に示す.縦軸は V
max
/Vjであり,横軸は Vu/Vjで、ある.
ここで Vm
a
xは実験最大せん断強度 ,Vjは危険断面が解析上の曲げ強度に達したときのせん断
力 ,Vuは本指針式によるせん断強度である.なお ,Vjは,実験者により報告されている鉄筋の

1
.5

× マム
×
マ ム

.0
1

A
¥EEA

η0=一主-
bDσB
ono=O
ム 0<町三五す

マ す <no三
五す

×す <no

1
.0 2
.0 3
.0
日/VJ

解図 6
.5 A法によるせん断強度算定値と実験値の比較
6章せん断と付着に対する設計 1
13一

解表 6
.3 せん断破壊供試体のれ, σ町および九 σ仰の範囲

断一断一叫
補一補一﹃
強一強一
筋一筋一
比一降一
:;
せ一せ一九
ん一ん一 σ

九一強一
-1
0.
12
'"
'-
'1.13%


:

σ一

---
-
2
55
0'"
'-
'14220kgf/cm2

Y一
山一
3.
16
'"
'-
'159kgf/cm2

実測降伏強度およびコントロールシリンダーによるコンクリートの実測圧縮強度に基づいて,

平面保持の仮定を用いて求めた.このような座標軸を設定した理由は,せん断補強筋量の増大

に伴ってせん断強度が増大するが,ある限界を超えると曲げ破壊モードに移り変わり,以後せ

ん断補強筋量の増大に伴って計算上のせん断強度は増大するが,実際の部材強度は曲げ強度で

頭打ちになることを確認するためである.なお,同図の Vu/Vj孟1.0
の範囲で, V
max
/Vj孟1.0
のものがあるが,これらのほとんどは曲げ降伏していることが実験者により報告されている.

本指針式により求めたせん断強度を下回る実験供試体は ,Vu/Vj豆1.0
の範囲では極めて少な

くせん断強度設計式として十分な精度を有していると考えられる.せん断破壊したと考えられ

る (
Vma
x/V
j孟1.0
)せん断補強筋を有する実験供試体 (77体,変数範囲は解表 6.3) に関する
Vmax/V
u .3
比の平均値および変動係数は,それぞれ 1 3および 18.5%であった.ただし,本指
針の解説に示す方法で付着強度の計算を行い,その結果付着破壊すると認定されたもののう


, V
max
/Vu
く1.0のものは取り除いてある.なお,文献 6
.25
)および 6
.26
)に示されている高
強度せん断補強筋を用いた柱および梁のみに対して,せん断補強筋の信頼強度を 25・σ Bで頭

打ちとした精度検証結果は, Vmax/V
u .4
比の平均値および変動係数で,それぞれ 1 1および
17.9%であった.
本指針式の誘導に用いた塑性理論では,軸力の効果が見込まれていない.せん断補強筋量の

少ない場合に軸力の効果があることが実験的に示されており,特に,せん断補強筋のない場合
)一一一一一一一一一一-一一ー一
には軸力の増大によるせん断強度の増大はかなり大きい.一方,せん断補強筋量がある値以上

の場合には,この強度増大はほとんどないと考えられている.したがって,本指針式で求める

せん断強度は,せん断補強筋量の少ない場合には過大な安全率を与える懸念がある.しかし,

解図 6
.5の検証結果を見る限引に本指針式によるせん断強度計算値が精度検証に用いた供試
体のすべての軸力レベルに対してほぼ安全側の値を与えており p あえて軸力の効果を取り入れ

る必要性はないものと判断した.また,せん断強度式の精度検証の困難な,主筋量の少ない場

合については後述する.

解図 6
.6,解図 6
.7および解図 6
.8には,先に述べた B法,文献 6
.12
)による方法および以下に
示す(解 6
.10
) 式 6.27),6.28)に対する精度検証結果を参考として示す.対象とした実験供試体は,

解図 6
.5におけるものと同一である.
Vuニ {
O.0
679
Pt0.23(
180+σ B)/(M/Vd十 0
.12 -
J(ん σ仰
)+2.7 ) +O.lN/bD}bj(
解6.
10)
ここで ,P
tは引張鉄筋比 ,Nは軸力 ,dは断面有効高さ ,]は応力中心距離で j=0.785dとし
7

精度検証の結果,せん断破壊した供試体に対する V
max
/Vu比の平均値および変動係数は, B
Aパ

鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

.5
1

Aピ


ママ

主¥Zh

Jh

no=ーに
bDσB
ono=O
ム O<no話す
マ'
i
-<no謡音
×す <no

2
.0 3.0
れ/Vj

解図 6
.6 B法によるせん断強度算定値と実験値の比較

.5
1




'7 マ
hA¥ZJA

ηn 一
“- ι
一bDI1B
ono=O
ムo
<no話す

マす <no~ す

× す <n
o

2
.0 3
..0
日 /VJ

解図 6
.7 文献 6
.12
)の方法によるせん断強度算定値と実験値の比較
6章 せん断と付着に対する設計 1
15

1
.5


¥Z

λf
no=あ <1
B
0
.5 o nO=O
ム o<nO孟す
マ す <no三
五す

×す<no

.0
1 2
.0 3
.0
Vu/V/

解図 6
. 解6
8 ( .
10)式によるせん断強度算定値と実験値の比較

法に対しては1.2
3および 17.2%,文献 6
.12
)による方法に対しては1.2
0および 18.9%, (解
6
.10 4および 15.6%であった. これらをまとめて解図 6
) 式に対しては1.4 .9に示す.
(
c) 中実円断面部材に対する対応

円形断面を持つ部材に対しては,実験データも少なく,現在のところ本指針で用いている塑

性理論に基づいたせん断設計式が確立されていない. したがって, ここでは暫定的に以下の方

法を推奨する.中実円断面部材に対するせん断設計は,同一断面積を持つ正方形断面に置き換

N=77 A法 N=83 B法
X=1.333 X =1
.23,O
σ=0.247 σ=0.212
20 20

1
0 1
0

O O
0.0 0.0

解図 6
.9 各強度算定式による V
max
/Vu
Jtの度数分布
-116一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

N=82 文献 6.12 N=102 解6


( .
1'0
)式
X=1.202 X=1.440
σ=0.227 σ=0.225
20 2
0

1
0 1
0

υ
A
O

nU
AU
0.0

解図 6
.9 つづき

えて行う.ただし,せん断補強筋形状が円形であることより,長方形の場合に比べその補強効
果が減じられる 6.39) したがって,せん断設計においては P
wの値を 0.785倍して用いる.

6
.3.
3 降伏ヒンジを計画する柱および梁の係数
(
1) 9
.2.
3に規定される降伏ヒンジ領域の算定では,有効係数 νは (
6.8
) 式による.また,
c
otゅは (
6.6
)式, (
6.7)式, (
6.9
) 式による値のうち最小のものとする.ただし, (
6.3
)
式の戸の算定に限り c
ot併はヒンジ領域外の値を ,p σwyはヒンジ領域の値を用いる. 山

ν =(
1.0-15R
p) νO 0く Rp孟 0
.05
=0.25νo 0
.05く Rp (
6.8
)
c
otゆ=2.0-50R
p Oく Rp豆 0
.02
=1.0 0.02<R
p (
6.9
)
ここに,んは部材の保証変形に対応する降伏ヒンジ領域の回転角である.
(
2) 降伏ヒンジを計画する部材のヒンジ領域以外のせん断強度の算定では,有効係数 ν は
(
6.8
) 式による. c
otゅは (
6.5
)式"
,,(
- 6
.7) 式による値のうち最小のものとしてよい.
ただし,戸は,ヒンジ領域の算定における値と同じものとする.

降伏ヒンジ部分の変形能力は,断面曲げ靭性の確保およびせん断機構の確保の 2つによって付与

される.前者は,断面に対する軸力の制限,圧縮鉄筋の座屈防止および適切な横補強筋の配置など
によって確保されるもので,本指針の 5章および 9章が対応している.後者は,曲げせん断応力状

態のもとでの,せん断力伝達機構の破壊を防止することを意味しており,これに対して本指針で
は,設計せん断力に対するコンクリート圧縮束応力に要求変形に応じた余力を与えることおよびト

ラス角度の変化でこれに対応している.したがって,断面曲げ靭性の確保およびせん断機構の確保

の両者より要求される必要横補強筋(せん断補強筋)量の大きいほうが実際の部材に配筋されるこ
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 一 1
17-

とになる.

本指針では,塑性ヒンジ部のせん断破壊を防止するために,コンクリート圧縮強度有効係数 νお

よびトラス圧縮束の角度ゆを,ヒンジ部の要求回転角 Rpの関数として (
6.8
) および (
6.9
) 式で与
えている.解図 6
.10および解図 6
.11にその関係を示す.これは,ヒンジ部の塑性変形の進展に伴っ
てトラス圧縮束角度が徐々に増大し,最終的には 4
5度に到達すること,および曲げせん断応力時に

おける最終的なせん断破壊がコンクリート圧縮束の劣化によって生ずること,を考慮、したものであ
る 6.) 実際の設計においては,ヒンジ部に与えられた設計せん断力に対して,せん断補強筋応力お
46

よびコンクリート圧縮束応力に間接的に要求回転角に応じた余裕を与えていることになる.
RC 耐震設計小委せん断 WG で収集したデ、ータ 6.29)~6.34) のうち,実験者によって付着割裂破壊が生

じなかったと報告された供試体に対するせん断強度算定式の精度検証結果を解図 6
.12に示す.横軸
は,各供試体に対して本指針式で、求めた計算上のヒンジ回転角に対応する部材角で,ヒンジ回転角

による部材角と文献 6
.49
)によって求めた降伏時部材角の和として求めた.縦軸は実験において得
られた最終部材角(実験における荷重 たわみ曲線の包絡線上で耐力が最大強度の 80%に低下した

2
.0



。υ
AU
噌EA

O 0
.04 0
.05

解図 6
.10 保証ヒンジ回転角と c
otゅの関係

(
0.7一 句 /2000)
ν
ol.l;一一一一一一一一一ー一一一一一一 一一ー一一一一一一一一ー

0
.7
5ν 。

0
.5
0ν 。
(
0.7
-σB/2000)/4
0
.25
ν01-:一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一ー一一

保証ヒンジ回転角 Rp
i

解図 6
.11 保証ヒンジ回転角と νの関係
-118一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

( 目U
同﹄NiCH
× 判事録脈収立山一“
A性 ×
nn=.
!
'
"bDσB

如昧誠一

o no=O
ム 0<均三玉す
マす<町三五す
× す <no
2 6
限界部材角計算値(Xl
O-2r
ad)

解図 6
.12 変形能力の検証結果

点と定義〉である.

極めて軸力比の大きなものを除けば,本指針の方法によりヒンジ部における塑性変形能力をほぼ

確保できると考えられる.なお,指針本文 (
6.8
) および (
6.9
) 式は,ヒンジ回転角に対して与え
られているので,部材角に変換するためには,ヒンジ領域長さおよびヒンジ領域外の変形を考慮し

なければいけない.したがって,つねに安全側の結果を与えるという理由により,実際の設計にお
いては,ヒンジ回転角を部材角と読み変えて使用してよい.

さて,先に述べたように主筋比の小さい場合は,せん断強度式の精度検証が極めて困難である.
なぜ、なら,供試体にせん断破壊に先行して曲げ降伏が生ずるからである.したがって,このような

ものに対しては,曲げ降伏以後の変形能力を検討するしか方法がない.そこで,文献 6
.19
)'"
"
6
.24
) の実験結果のうち主筋比が0.4%以下のもののみを取り出し,本指針の降伏ヒンジ発生部材

に対するせん断設計法を用いて変形能力の検討を行った.結果を解図 6
.13に示す.縦軸に実験者に
よって報告されている限界部材角を,横軸には本指針式により求めた保証ヒンジ回転角を保証部材

角と読み替えた値をとったものである.主筋比の小さな場合に対しては変形能力が保証されてお

り,本指針のせん断設計法を主筋比の小さい場合に適用しでもなんら問題ないと考えられる.な

お,後に示す付着の検討で付着破壊すると認定されたもののうち,保証変形が発揮されなかったも
のを黒丸で示しである.

なお,前述した B法および文献 6.
12)による方法についても各々塑性ヒンジ部のせん断設計法が
提案されている.以下に,設計式およびその考え方を簡単に示すが,詳細については文献 6
.9),
6
.12
) を参照されたい.
B法の考え方は,部材のせん断強度の I
Jげ強度に対する強度比によって
H p 想定した部材角 Ruでの
)の臥W
塑性ヒンジ,'
1
1 I:を椛保しようとするもので,次ょにより与えられる.
lo
Pw={ JRuVju/(bDσ心 t
an8ν/2}σβ/{(jt/D-t
an8)σ y
} 山 解6
( .
11)
ここに, Vル I
-
.
lMI
IIげリ虫 )
I j
i
:
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 -119-

O O
O

O
O



百 O O

~o
O

O

a
×
k
K
B


)

草H 3


盛 ト
1
O
O
/ • •

O
3
限界部材角計算値(X l
O-2r
ad)

解図 6
.13 主筋比の小さい部材に対する変形能力の検証結果

次に,文献 6
.12
) による方法の基本的な考え方は,部材の最大強度時における補強筋の応力度レ
ベルを降伏応力度に対しである値以下に制限することによって,想定した部材角における塑性ヒン
ジ部の靭性を確保しようとするものである.具体的には,部材がその上限曲げ強度 V
juを確保する
ために必要な補強筋比九JSを基本量として,塑性ヒンジ部に必要とされる補強筋比 P
wは次式で与え
られる.

Pw=l.l 000・Ru-1) P
ws 解6
( .
12)
ただし ,p
w孟 1
.65
p 山

ここに ,p
ws={
Vju
/(bDσB)- r}σ B /{(jt/D-tan)
() σ J
Vj
u:上限曲げ強度
なお ,p .6
山の下限値を 1 5
Pwsとしたことは,想定部材角 R
uの下限値を 0.025rad. としたことに対
解6
応するが,これは, ( .
12)式を求める際に用いた検証用データが 2
0体と少なかったため若干安全
側の制限を設けたことによる.

6
.33に示す降伏ヒンジを計画する部材のせん断設計においては,ヒンジ領域 0
. .5Dの範囲〉と
非ヒンジ領域でせん断補強筋量を変えるせん断設計法を示している.ヒンジ領域から非ヒンジ領域

への境界にはヒンジ領域に必要なせん断補強筋量が配置されていること,およびそこでのトラス機

構コンクリート圧縮束角度はヒンジ領域外のものになることより, トラス機構におけるコンクリー

ト圧縮束応力のレベルを与える 3値の計算 ((6.3) 式〉における P・


山 σ仰はヒンジ領域の値を,

c
otゅはヒンジ領域外の値を用いるように規定されている.参考として,実際にせん断設計を行う場

合におけるこれらの値のとり方を,ヒンジ領域とヒンジ領域外の部分に分けて解表 6
.4にまとめて
示した.

一方,ヒンジ領域に対して与えられる νおよび、 c
otゅの値を用いて部材全長にわたって一様なせ

ん断補強筋量を与えるせん断設計を行うと, 6
.3.
3に示す方法に比べてトラス機構におけるコンク
-120一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

リート圧縮束応力が小さくなり,アーチによるせん断力負担がいくぶん増加するので,ヒンジ領域

におけるせん断補強筋量が若干減りヒンジ領域外のせん断補強筋量が増える.このような方法でせ

民はヒンジの発生を想定しない部材のせん断設計と同じとなる.
ん断設計を行ってもよく,設計手1
)

上に述べた 2つのせん断設計手順の詳細については,文献 6
.8)に示されているので参照された

解表 6
.4 ヒンジ部材のせん断設計で用いる ν,cotゆおよび戸
(ヒンジ領域と非ヒンジ領域でせん断補強筋量を変える場合)

設計部位 ν (
6.1)式で用いる c
otゆ 月
ヒンジ領域 o>Rp豆 0.05 下式のうち最小値を与えるも s=(coeo+1)九 σWy/νσB
ν=(1-15R
p) νo の
ただし c
o tとしては,下式の
tc
0
.05く R。 c
otゆ =2-50R
p Rp孟 0.02 うち最小値を与えるもの
ν=0.25νo 0.02<R 。 c tゆ= 2
o
c
otゆ=jt/ (
D.t
an(
)) ctゆ=jt/(D.tan(
o })
c
otゆ=
.,
Jνσ B/
ん σ y-l
凶 c
otゆ=
. σ B/
Jν ん σωyーl
ヒンジ領域外 下式のうち最小値を与えるもの
c
otゆ= 2
向上
c
otゆ=jt/(D.
tan()
)
c
otゆ=Jνσ B/ん σwy-l

ん σy•
叩 ヒンジ領域の値で, 九 山 σ B/2
σ y -ν

6
.3.
4 傾斜せん断補強筋
傾斜軸鉄筋をせん断補強筋として用いる場合には, (
6;1
0) 式による負担せん断力 Vxを,
(
6.1)式によるせん断強度に加えてよい.
Vx=Axσxysin(
)x (
6.1
0)
ここに (
)xは傾斜軸鉄筋が材軸となす角度 ,Axは傾斜軸鉄筋の断面積で,部材の端部から
端部に直接配筋される場合は圧縮引張両側の断面積の合計とし,部材の一部の領域に配筋され
る場合は引張側のみの断面積とする.
6
.3.
5 最小配筋
柱の帯筋比および梁のあばら筋比は, 0.002以上とする.

6
.3.
4 傾斜せん断補強筋
解図 6
.14に示すような,降伏ヒンジ位置に軸鉄筋を傾斜させて配筋し,せん断力に抵抗させる方
法は,従来より折曲げ筋として用いられてきたもので,その鉄筋引張力のせん断力方向成分で直接

せん断力を負担することができる.したがって,本指針では (
6.1
0) 式で与えられるせん断強度を
(
6.1)式で与えられるせん断強度に加え合わせてよいとした.このような,傾斜せん断補強筋が

有効なのは,せん断力の大きな部材において多数回の繰返し曲げによって,軸鉄筋に引張塑性ひず

みが累積し, トラスおよびアーチ機構によるせん断力伝達が困難となり,滑りせん断破壊が生ずる

場合である.ただし,その材軸に対する傾斜角度。 zは3
0"-
'45度の範囲とし,十分な定着長さの確
6章せん断と付着に対する設計 121-

保,折曲げ部内側においてコンクリートに加わる支圧応力に対する安全性の確保および傾斜鉄筋力

がヒンジ部の曲げ強度に及ぼす影響に対する配慮をしなければいけない.

一方,解図 6
.15に示すように,柱・梁の全長にわたって対角線状に軸鉄筋を配置するいわゆる
X 形筋に生ずる圧縮および引張力が,せん断力に対抗できることが実験的および理論的 6.35)~6.38) に

明らかにされているため, (
6.1
0)式の鉄筋断面積としては,両鉄筋の断面積を加算してもよい.な
お,この X形筋は部材のせん断強度のみならず,曲げ強度に対しでも寄与させることができる.さ

らに, X形主筋は,そのせん断抵抗機構においてコンクリートとの付着力を必要としないので, X

形配筋部材では,全主筋量のうち, X形主筋とした残りの平行主筋に対してのみ付着力に対する検

討を行えばよい.したがって,全主筋を平行配筋した部材において,付着割裂破壊が生じやすい場

合には,この X形配筋を併用することによって,付着割裂破壊を回避することができる.この考え

方を活用すれば, X形配筋を併用した部材で、は,いかなる条件のもとでも,その部材の破壊モード

を付着破壊を含めたせん断破壊系から曲げ破壊系のモードに移行させることができ,高引張主筋量

の部材に対しても高靭性が期待できる曲げ破壊系の部材とすることができる.詳細については,文

献6
.35
)"-
'6.
38) を参照されたい.
このような傾斜せん断補強筋を用いる場合にも,通常のスターラッフ。もしくはフープによってせ

ん断力の一部を負担させるよう設計しなければいけない.それらのせん断力負担割合は,過去の実

験・研究結果を参考にして慎重に決定し,傾斜せん断補強筋のせん断力負担が過大とならないよう
注意が必要である.ニュージーランド規準 6.48)では,通常のスターラップもしくはフープによるせん

断負担を,全せん断力の 1/3以上とするように規定されている.

'1
I5長りのみ有効

解函 6
.14 ヒンジ部のみに配置される X形せん断補強筋

。二~くごこ O
i
Vl 、
解図 6
.15 部材全長にわたって配置される X形せん断補強筋
-122一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

6
.4 耐震壁のせん断強度

6
.4.
1 せん断強度式
耐震壁の各層のせん断信頼強度の算定は (
6.1
1) 式による.ただし ,p
sσs
yが νσ s/2を超
える場合は ,P
Sσり 二 νσ s/2とする.
Vu=t叫んb
PSσり c
otゆ十 t
ane(1- s)t
叫ん νσ s/2 (
6.11
)

》 戸 ' > - ),ヲ~
」ー '
"-

..
..
.-

t
ane= [
.
j(h山/んa)2+1ー ん/ l
waJ (
6.1
2)
戸 (1+c
2
ot ゆ)P
SσSy/(νσ s
) (
6.1
3)
σ sy は壁板のせん断補強筋の強度で, 4000(kgf/cm ) 以下とする • t
2
wは壁板の厚さ ,P
sは壁
板のせん断補強筋比,んは耐震壁の高さで設計する階の階高としてよい.ゅはトラス機構のコ
ンクリート圧縮束の角度で, cot ゆ=1. 0 とする • l
wbおよび l
waはトラス機構およびアーチ機構
の等価壁長さで,次項以下による.

(
1
) 設定する破壊形式
本項の規定は,水平荷重を負担するものとして計画された構造壁(耐震壁〉の設計に適用す

る.耐震壁の破壊形式は, 1階壁脚での曲げ降伏型とし,せん断破壊しないように以下の規定
に従って設計する.ただし,せん断破壊に対して十分に安全に設計される場合においては,壁

基礎において浮上り回転する破壊形式としてもよい.
耐震壁フレーム構造では,構造物全体の降伏機構および靭性は,ほとんど耐震壁の破壊形式

に左右されるといってよい.耐震壁がせん断破壊する可能性を考慮した壁フレーム構造の地震

応答解析によれば,ある層(多くの場合 1階〉の耐震壁が脆性的なせん断破壊をして耐力低
下する場合は,フレーム部分もその層では柱降伏型となって,全体変形の大部分がその層に集

中する.一方,耐震壁のせん断耐力に十分余裕があって壁脚での曲げ降伏型となる場合は, (

レーム部分が柱降伏型で、も〉構造物の全体降伏機構が形成され,安定した挙動を示す.一般

に,耐震壁および構造物が層降伏機構になる場合は,全体降伏機構になる場合に比べて,保有
耐力等の指標が高い場合でも,層の最大応答変形によって判定した耐震J性はかなり劣ると考え

てよい.
現行の建築基準法の体系では,耐震壁の破壊形式(あるいは変形能力を示すと考えられる部
材ランク)は,一応必要保有耐力と関連づけられているものの,部材ランクの規定あるいは部

材群の耐力和による規定の考え方は便宜的なものであり,必ずしも建物の耐震性との定量的な

性質が背景になっているわけではない.この破壊形式の違いを耐震性の判定に定量的,体系的

に採り入れた試みには, r
耐震診断基準」があるが,部材の靭性指標およびそれらが混在する場

合の総合化の方法に関しては,さらに検討が必要であると考えられる.
既存の建物の耐震性の判定では部材の破壊形式の混在はやむをえず,なんらかの方法で判定

する必要があるが,新たに建物を設計する場合は p 耐震壁の靭性のある破壊形式を確保するよ

うに構造計画の段階で、配慮することは十分可能であり,また,望ましい.本設計法では,耐震
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 1
23

壁のせん断破壊は,終局時の破壊形式として設計の対象とは考えないこととし,選定した位置

で曲げ降伏型となるように設計することを原則とする.
耐震壁の靭性ある降伏形式としては,曲げ降伏型のほかに,壁基礎における浮上り回転があ

る.壁脚の曲げ降伏型とは,壁の曲げ降伏と基礎梁の降伏が置き換わったものであり,壁に損

傷が少ないので,実現できれば望ましい降伏機構の lつになりうる.しかし,耐震壁の靭性に
代って,基礎梁,基礎の靭性の確保が前提になり,特に圧縮側の地盤,杭等に十分な強度と靭
性を保証する設計が必要になる.また,特に杭基礎の場合,降伏機構が形成されるときの耐震

壁のせん断力は,計算上不確定な要素の大きい引抜耐力〈上限強度)によっては,計算値より
かなり上昇する可能性がある.一方,浮上りの耐力が保有耐力に占める割合が大きい場合は,
保有耐力のわりにはエネルギー吸収能力は高くならないので,設計用ベースシア係数のレベル

も曲げ降伏型と同等でよいかどうかも議論の余地がある.このように浮上りの降伏機構に関し
ては,設計用に数値を明快に設定するためにはさらに検討が必要な問題が多いことに注意する

必要がある.
(
2) 設計用せん断力

耐震壁の設計用せん断力は, 4章の方法に従って,基準モード水平力において降伏ヒンジが
上限強度に達して降伏機構が形成されたときの静的なせん断力の上限を基本として,動的増幅
係数によって割増ししたものとして算定する.耐震壁の設計用せん断力は,構造物全体を電算
機による静的非線形解析によって算定しない場合は,略算の仮定によっては安全側にならない
場合があるので注意する.いずれも 4章の解説にあるが,特に以下の点に注意する.
i)静的なせん断力は,耐震壁,境界梁,直交梁の降伏ヒンジの曲げ上限強度ばかりでなく,
フレーム部分の梁の降伏ヒンジの上限強度も影響する.そのため p 設計用せん断力の算定で
は,耐震壁部分だけでなく,スラブにせん断力伝達を考慮して構造物全体を解析する必要が
ある.

i
i) 浮上り回転の降伏機構を設定する場合,基礎および基礎梁の上限強度が直接影響するが,

特に杭基礎の引抜きの上限強度は精度よい算定が困難なので,十分な安全率を設定する必要
がある(現時点では,設計用せん断力の算定では,耐震壁が曲げ降伏するものとするか,あ
るいは少なくとも杭の主筋が引張降伏するものと仮定するのが安全側で望ましい)•
i
i) 動的に変動するせん断力は,大部分が(フレーム部分の柱ではなく〉耐震壁に負担される
i

性質があるので,これに対して,静的なせん断力負担率とは別に負担率を考慮する必要があ
る(層せん断力の変動分全部が耐震壁に負担されると仮定するのが安全側で望ましし、)•

耐震壁の壁筋は p 原則として縦横等量の補強筋とするので,降伏機構保証設計で設計用せ
ん断力を算定する以前に, (耐震壁の曲げ強度を用いるので〉適切な配筋が仮定されている

必要がある.耐震壁の設計用せん断力は(独立耐震壁でなければ〉曲げ強度の変化には必ず
しも比例しないので,実際の配筋より多めの縦筋を仮定しでも多くの場合設計は困難にはな

らず問題ないが,設計が厳しい場合は p 略算等によってなるべく最終的な設計どおりの配筋
を仮定する必要がある.
-124一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

耐震壁の強度が不足した場合,通常の壁板の補強筋を過剰に配筋するよりは,壁厚を変更
する,あるいは,斜め補強筋を用いるのが望ましい.

(
3) せん断強度式

塑性理論に基づくせん断終局強度算定式は,柱および梁部材と同様の考え方で,せん断力の
伝達機構をトラス機構とアーチ機構の累加強度とする理論式6.50),6.51)に基づいて,縦筋強度を無

限大と仮定して導かれた式を基本としている.原則として,各階ごとに設計してよいものと

し,各階で算定されるせん断強度が設計用せん断力を上回るようにする.

せん断強度式で,柱および梁部材と異なるのは,

i)検定した試験体に高強度せん断補強筋を用いたものがないので, 4000kgf/
cm2をせん断補
強筋の強度の上限とした.

i
i) トラス機構の角度は, c
otゆを 2.0以下とする場合 (A法〉と, c
otゆ=1.0とする場合 (B
法〉を実験結果と比較し,適合性のよいほうとした.

i
i) 変形能力を保証するためのコンクリート強度有効係数は,実験結果を参照して新たに設定
i

した.

i
v) 側柱の断面積は,アーチ機構に有効な等価壁長さの増分として考慮した.
v) 各階ごとに設計するので,層間のせん断力の伝達を保証する方法を規定した.

等である.

"C
検討の対象とする耐震壁の試験体は,既往の実験より, (i) ' i
v)の方針に従って, 8シ
リーズ, 99体選定した 6.52)~6.65)

(
i) 正負繰返し加力が行われていること.

(
日) 特定のパラメータに着目し,シリーズで、行われた実験で、あること.

(刈柱,端部の主筋および拘束筋が存在する試験体であること.

制 スケールが 1/3程度以上であること.

解表 6
.5に各シリーズの特徴と以下の図中で用いる記号を示す.使用材料の分布は,コンク
cm2"'400kgf/
リート強度が 200kgf/ cm2の範囲を中心に低い試験体がやや多く,鉄筋の降伏
強度は 3OOOkgf/cm2"'4500kgf/cm2を中心にほぼ均等に分布している.

解 表6
.5 検討対象試験体

シリーズ [文献] 試験体数 特徴,パフメータ 記号


6
.52
), 6.
53) 5 柱断面の拘束効果 O

••
2 6
.54
), 6.
55) 6 変動シアスパン,壁厚
6
.56
) 4 高軸力
3 6
.57) 3
4 高配筋 口
4 6
.58
) 1
6 軸力,シアスパン比
5 6
.59
), 6.
60) 5 高シアスパン比 ム
6 6
.61
) 7 低シアスパン比 十
7 6
.62
), 6.
63),6
.64
) 2
0 鉄筋比等 A
8 6
.65
) 2 シアスパン比 O

6章せん断と付着に対する設計 一125-

トラス機構の圧縮束の角度併については, c
otゆ=1.0
'"
'-
'2
.0とする場合 (A法〉と c
otゆ=1.0
とする場合 (B法)を比較した結果,後者が適合性がよい〔解表 6
.5参照〕ので,式の簡略化も
配慮して,耐震壁では, c
otゆ=1.0(一定)とした.

6
.4.
2 等価壁長さ
耐震壁のせん断強度の算定では, (
6.1
4)式
, (
6.1
5) 式により,側柱の有効断面積を等価壁
長さに換算して算入してよい.
l
w '+Dc+L
a=l
w Jlw
a (
6.1
4)
lwb=ん'十 Dc+L
Jlw
b (
6.1
5)
ここに ,l
w'は壁板の柱内法長さ ,D
cは側柱のせい, L
Jんa
,LJ
lwbは壁板の有効長さの増分で
(
6.1
6)式
, (
6.17)式による.
L
Jlw
a= Ace/九 A
ce;
;五九 D
c
=(D /A
c十 .
. ceDc/tw) )/2 Ace>t
wDc (
6.1
6)
Jl
L b= Ace/t
W w A
c 五t
e三 wD
c
=Dc Ace>t
wDc (
6.1
7)
A
ceは側柱の有効断面積で (
6.1
8) 式による.ただし ,A
ceは 3t Dc以下とする.

A
ce=Ac-Nc
c/ σB (
6.1
8)
ここに ,Acは圧縮側側柱の断面積 ,Nc
cは設計する階の上部における保証設計用応力時の耐
震壁側柱の軸力である.

耐震壁では,側柱の断面積がせん断強度に影響するのは実験的にも明らかにされている.現行の
(終局強度〉設計式(解表6
.6の注参照)では,側柱を含めた全体の水平断面積を等価断面に置換
する方法を採っており,結果的に実験結果にほぼ適合するが,側柱によるせん断強度の増減量を必

ずしも合理的に,定量的に評価しているとしづ根拠があるわけではない.本指針の設計式は,側柱
のせん断強度に対する効果を釣合条件に基づいて理論的に評価する研究に基づ、いて,設計式として
大幅に略算化して導かれたものである.

側柱のせん断強度に対する効果は,理論的には側柱部分でアーチ作用の角度が変化し,結果的に

ア チ作用に寄与する壁長さが(側柱の端部より〉長くなったものとする考え方が可能であり,こ
の仮想の壁長さの増分は柱の曲げ強度との釣合条件によって大略評価しうるとする研究 6.66)があ

る.すなわち,解図 6
.16を参照して,柱端部より外に延長されるアーチ機構の幅(柱中心から A
l
c) をそれによるモーメントが側柱の曲げ強度 M叫に等しいものとすると,
ll
L c
=..
/2M /νσ B
印 -s)/cosf
tw(1 ) 解6
( .
13)
となる.その際の側柱の曲げ強度式を,軸力を無視して以下のように略算化する.

Mcuニ 0
.8tσy A
P ceDc 解6
.14
)
ここで ,A
ceは,せん断強度に有効な(曲げモーメントに抵抗するコンクリートを除いた〉側柱の断
面積で ,P
tはその断面積に対する側柱の引張鉄筋比, σyは引張鉄筋の強度である.さらに,未定の
パラメータに対して,大略
-126一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

/

/

11
, c 2
Mcu
司咽トーーーー一ー-ー・-
1[
, =石 可 ん σB
c tω
,(ト β)

_J___~

-
-,
-一
一寸
¥

M
cu:側柱の曲げ強度

解図 6
.16 側柱による圧縮ストラットの有効長さ増分

1
.6tσy
P /νσ8(1ーの cos2θ=1/4 解6
( .
15)
の関係が成立つと仮定すると,

LJlc ニ~ AceDc/tw/2 解6
( .
16)
が得られる.この略算化は ,Ace=twDcのとき, LJlc=Dc/2となるようにも配慮、したが,軸力も考

慮すると,通常のパラメータに対しては,まず安全側の仮定となっている.引張側では,特に側柱

の効果は考慮せず,柱端部までをアーチに有効な断面として指針の式が得られる.

解 表6
.6 終局強度の実験値の計算値に対する比

c
otゆ ν 全試験体 [9
9体] せん断強度式で決定
平均(変動係数) 平均(変動係数)
A νo 1
.15(
0.1
54) 1.
19(
0.1
56)[
59体]
A νo 1
.09(
0.1
39) 1.
09(
0.1
45)[
49体]
A 0
.6 1
.06(
0.1
43) 1.
04(
0.1
55)[
44体]
B νo 1
.19(
0.1
48) 1.
23(
0.1
40)[
67体]
牢B νo 1.
12(
0.1
32) 1.
13(
0.1
32)[
58体]
B 0
.6 1.
08(
0.1
38) 1.
09(
0.1
43)[
48体]
*
* 既往式 1
.15(
0.1
29) 1
.17(
0.1
38)[
65体]

A :c
otゆ=min [
2.0,ω /(
tan(
J・ ),J
んa .l) 0 σB/Pssσy-1]
B :c
ot>
1=1.0
l
o :l
ω =ん'+Dc, l
ωaニ l
w 十 2Dc
l
e :lwb=lw'+2Dc,l
ωa二 J
ω '+Dc+ (Dc+J
.AceDc/t山))/2
1
10 :0.7-σ B/2000
本 :指針式
料 : Vsu= {
0.0
68P
te023 (
σ B+180)/J
.M/VD+0.12+2.7♂耳石 w
h+0.1σ。
} bej
D =ん 十 2D
c
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 一 1
27

ただし,側柱の断面積 A
ceは,形状に応じて有効になる断面積を制限するために,特に数字に根
拠はないが 3tω Dc以下とし p また,基本的に設計する階の上部に作用するモーメントおよび軸力に

対して,圧縮側で抵抗するのに必要なコンクリート断面(圧縮鉄筋の負担を考慮しでもよしうは除

いて評価する.すなわち,壁上部のモーメントと軸力によって生ずる側柱の圧縮軸力 Ncを算定し,

コンクリート強度 σ Bで、除して得られる断面積を除く Nc
cは,必ずしも安全側ではないが,
/ 2十 MT/lw
Ncニ Nw 解6
.17
)
w→ 0
程度で略算してよい(安全側には ,l .7んとすればよしう.ここに ,Nω は保証設計用軸力 ,MTは
壁上部の保証設計用モーメントである.
トラス機構の角度 (
cotゆ),側柱の効果,コンクリート強度有効係数をパラメータとして計算し

た計算値に対する実験値の比の平均および変動係数を解表6
.6に示す.実験値は,曲げ強度とせん
断強度の計算値の低いほうと比較しであるので,せん断強度式により強度が計算された試験体につ

いての平均も示した.壁長さは,側柱の効果を考慮、しない場合は p トラスに対して柱心心開,アー
チに対しては壁全せいとし,側柱の効果を考慮する場合は, トラスに対して壁全せい,アーチに対
しては L
1lcを圧縮鉄筋の効果および帯筋の拘束効果を考慮、してコンクリートの有効断面を算出し,

略算式で等価長さに置換した.それぞれ実験結果と比較すると後者が適合性がよいのがわかる.
同表には既往の研究 6.67に基づく設計式〔表の注参照〕による平均値等も示したが p これとほぼ同

等の適合性が得られている.
また,終局強度の実験値と計算値を比較して解図 6
.17に示す.せん断強度の対応状況を明らかに
するために,実験値とせん断強度計算値の曲げ強度計算値に対する比で比較して示しである.加力
方法が特殊なシリーズ 2の試験体は除いて示した.ほとんどの計算値は実験値をほぼ上回っている
が p 中でシリーズ 7 の 3 体(~.)のみかなり下回っている.これらの試験体は,加力用の梁が剛強

でない(通常の〉設計になっており, 1体は加力梁部分が破壊したとの記述があり,他の試験体で
も同様の試験法上の問題があったことが考えられる.解図 6
.18には,既往の設計式による同様の図
を示した.
以上の計算で,曲げ終局強度は,引張側の柱筋,壁縦筋がすべて降伏しているものとして,軸力
を考慮、して圧縮側の長方形コンクリート応力ブロックによって定められる応力中心間距離を用いて

算定した.簡単のため,応力ブロックは側柱の中にあると仮定し,また圧縮鉄筋は無視した.

6
.4.
3 降伏ヒンジ領域以外の係数
9
.2.
3で規定される降伏ヒンジ領域以外のせん断強度の算定では p コンクリート圧縮強度の
有効係数 νは (
6.4
) 式によるl.i とする. 0

コンクリート圧縮強度の有効係数は実験結果との適合性に問題ないので,柱および梁部材と同様

の定式化とした.解表 6
.6に,例えば ν=0.6 (一定〉とした場合を示したように,有効係数は,一
定の値にするよりも,コンクリート強度が大きい場合に低減する定式化のほうが実験結果との対応
がよくなることが確かめられている.
-128一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

2
.0


~


但f


Z

空1.0






4

1
.0
せん断強度(計算)/曲げ強度(計算)

解図 6
.17 終局強度の実験値と計算値(非ヒンジ領域設計式 :ν=ν 。
)

2
.0:




-
i

姐f
• ム
@


Z



ヱ1.0




帽f

k

E

1
.0 2
.0
せん断強度(計算)/曲げ強度(計算)

解図 6
.18 終局強度の実験値と計算値(既往の設計式)
6章 せん断と付着に対する設計 1
29

6
.4.
4 降伏ヒンジ領域の係数
降伏ヒンジ領域のせん断強度の算定では,有効係数 νは (
6.1
9) 式による.
ν ニ=νo Ruく 0.005
=C
l.2-40Ru) νo 0
.00
5:;
;玉Ruく 0.02 (
6.1
9)
ニ 0.4νo 0
.02孟Ru
ここに,んは耐震壁の保証変形角である.

せん断強度式のコンクリート強度の有効係数は, 9
.2.
3で規定される下層のヒンジ領域では,そ
れ以外の非ヒンジ領域とは異なる係数を用いる.これによってヒンジ領域の変形能力が要求変形能

力を上回ることを保証する.この係数は,実験結果を参照して,以下のように設定されている.

すなわち,曲げ強度時のコンクリート応力度を指標として,塑性理論によるせん断強度計算値が
曲げ強度時のせん断力に等しくなるために必要なコンクリート強度有効係数 νmを算定し,これと

変形能力(終局変形〉との関係を検討する.

実験結果は,解表 6
.5の試験体 9
9体の中から,終局変形(部材角 1/100を超える変形〉まで十分
に加力が行われていない実験を除いた 4
9体の試』験体(シリーズ1, 2, 5"-'8) について検討した.
実験から評価される終局変形は,荷重変形関係の包絡線において最大強度の 80%に強度が低下する

水平変位の変形角で定義する.終局変形が繰返しで決まる場合は,最大荷重点と変形角1/5
0の点を
結ぶ直線によって包絡線を推定する.なお,多層の耐震壁を模擬した試験体で、は 1層の水平変位
を参照した.
これらの試験体について,強度算定式の検定で仮定したコンクリート強度有効係数 ν
oに対する
νmの比と終局変形角んの関係を解図 6
.19に示す.可也/ν 泌小さいほど大きな変形能力があると
評価でき,ばらつきは大きいが,設計用の下限として νmを図のように設定した.すなわち,目標と

する(要求〉変形角 Ru~こ対して,下限値で定められるコンクリート強度有効係数を用いて曲げ強度

時のせん断力に対してせん断設計すれば,目標の変形能力が保証されることになる.

耐震壁フレーム構造の耐震壁の設計では,上層の設計は通常余裕があり,実際に問題になるのは
ヒンジ領域の設計である.現行の設計法ではこれは区別されないが,本指針による設計法では結果

的にはヒンジ領域の強度が設計を支配すると考えてよい1:::/:/領;塊!:は,変形能力を保証するた
めに,要求変形能力の変形角(尺=1/75程度〉に対応する有効係数 (ν=0.7ν 。程度〉を用いて設
計されるので,設計用応力に対して低減した有効係数で、計算されるせん断強度は,ヒンジ領域では
強度の検定で算定された強度 (
ν lによる〉より高い.そこで,この強度比を示すために,有効
Jo

係数を ν=0.7lJ0 として計算された強度と実験値を比較して,解図 6


.20に示す.実験値は計算値を
確実に上回ることになり p 設計式として実際には現在行われているような強度のみによる設計法と

比較すると p ヒンジ領域では十分安全率があることがわかる.現行の基準とは設計用応力の算定法

も異えよる(現行より大きしうので p 直接強度式のみの安全率を比較することはあまり意味がない
が,ヒンジ領域では現行よりも安全側の設計になることが予想される.
-130一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

2
.0
(~:曲げ強度(計算債)時のせん断力に
〉等しいせん断強度(計算値)を与え
とlq)!:三æ~要主ーコーどク 1) ート強度有
効盛主主
iν~l= 0. 7一 σ'
B/2
000


1
λ
.0

.
.
司ー -,_L:...,.__一一..~_
nU
n
u

解図 6
.19 曲げ強度時せん断力のせん断強度に必要なコンクリート強度有効係数と終局変形の関係

2
.0



,1
:

並H
1 • @


ム @ ム
;
ll
!
i
ニト


1.0

制K

報f

4

.
10 2
.0
せん断強度(計算)/曲げ強度(計算)

解図 6
.20 終局強度の実験値と計算値(ヒンジ領域設計式 :ν=0.7ν 。
)

現行の建築基準法(施行令〉では,せん断強度の上限は特にないが,部材種別(靭性ランク)に

よっては,終局時のせん断応力度レベル(断面積の定義は明記されていなしうが O.2Fc
以下 ,0.25

Fc以下に制限されている(せん断強度の上限とは意味が異なるが). ACI3
18-
83規準における耐震
OJ
壁のせん断強度の上限値は, l Fcbd (psi) となっている.これは ,Fc=240kgf/cm2の場合で,
O
.17
4Fcbd=O.217
ん L (d=O.8Lw) に相当する.また,ある程度の靭性を確保するためには,曲

6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 一 1
31一

c九 L (
げ降伏後の平均せん断力を0.25F L:柱の心心の距離〉とすることを推奨している研究もあ
る.これらは,いずれも実験結果に基づいて強度の上限を大略定めたものである.

規定の強度式における耐震壁のせん断強度の上限は, トラス機構に釣合うコンクリートの負担分

が上限に達したときの最大せん断強度として,必然的に決まる.すなわち,強度式で,せん断補強

筋を増やしていくと,アーチ機構の負担分が o(s=l) になり,この条件を満足してトラス機構


の負担は最大値 t
w• l
wbνσ B/2になる.これは, σB=.240kgf/
cm2の場合で,非ヒンジ領域で

0.29σB九・ l
wb以下 P ヒンジ領域で 0
.20
σBtω ・l
wb以下の制限に相当し,結果的に上記 ACI規準等と
同様のレベルでせん断強度を制限していることになっている.

6.4.5 傾斜せん断補強筋
壁板に傾斜補強筋をせん断補強筋として用いる場合は, (
6.2
0) 式による負担せん断力 V 仰

を (
6.1
1) 式で算定されるせん断強度に加えてよい.
y• s
Vwx=Awx・ σωx inθ 叩Z (
6.2
0)
ここに()w
xは傾斜補強筋が材軸となす角度 ,Awxは傾斜補強筋の断面積である.

斜せん断補強筋をもっ試験体による実験結果(シリーズ 2)
6.
54),6
.5)と計算値の例を比較して解表
5

6
.7に示す.実験の結果では,壁板を斜め配筋とした場合は,同じ量で縦横の配筋の場合に比較し
て,明らかに高い強度を示しており,強度上昇分は, X形補強筋を圧縮引張りに有効と仮定しでも

過大評価ではない.斜め筋が圧縮引張りとも(100%)つねに有効であるかどうかは議論の余地があ
るが,強度だけでなく,靭性も大きく向上する(終局変形能力の評価では傾斜せん断補強筋の場合
を特別扱いしていなしうことを考慮して,斜め筋すべてがせん断強度に有効であるものとしてよい
ものとした.

解 表6
.7 傾斜せん断補強筋をもっ試験体の実験値と計算値 6.54),6.55)

試験体 Vmax Va Vb Vx Vu
K2 4
9.0 14
.1 30.
9 45
.0
K5-X 59
.9 25
.4 15
.5 1
2.0 52
.9 に
7

K3 5
5.2 5
.6 46
.4 52
.0
K6-X 7
4.3 21
.0 23
.2 2
0.0 64
.2
K7 7
5,3 26
.1 41
.9 68
.0
K9-X 9
3.0 41
.6 20
.9 1
9.3 81
.8

Vmax :実験値
ニ t
Va an e(
1ーの九・ l
wa'νσ s/2 アーチ機構
Vb=Cotc
t• 九・ lwb .p
s・σs
y :トラス機構
Vx=Awx・σ x
y's
inθ
山 山 :傾斜せん断補強筋(圧縮引張有効)
ん ん +Dc,l
wb=ん +Dc/2
c
otc
t= 1
.0, νニ 0
.4
-132- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

傾斜せん断補強筋の詳細は,通常の壁筋のように分散して配筋する場合と斜めの主筋のように集

中して配筋する場合のいずれもが可能であり,通常は問題にならないが,計算に用いる断面積は,

補強筋の水平力の分力がせん断強度増分に対応するように適切に定義する.

同じ傾斜せん断補強筋でも,斜め筋を柱状にして,壁板のコンクリートを拘束する配筋詳細とし

た試験体では,大変形 (R=1/50),小さいシアスパン比 (M/VD=0.5) でも,顕著な斜め圧縮

破壊は起こらず,通常の斜め配筋の場合をさらに上回る極めて優れた変形能力が得られている.こ

のような配筋詳細は,指針では特に規定はないが,設計用せん断力が大きいヒンジ領域の特別な配

筋詳細設計として望ましいものである.

6
.4.
6 層間のせん断力の伝達
上層のアーチ機構による負担せん断力は,下層のアーチ機構に直接伝達されるせん断力を除
いて,層中間の梁の引張軸力あるいは下層のトラス機構の増分によって負担しうるように設計
する.

連層耐震壁は,原則として,各層ごとに設計する方針としたが,その際,上層のせん断力が釣合

条件を満足して下層に伝達されることを保証する.すなわち,上層のアーチ機構による負担せん断
力は,下層のアーチ機構に直接伝達されるせん断力を除いて,層中間の梁の引張軸力あるいは下層

のトラス機構の増分によって負担しうるように設計する.

具体的には p 解図 6
.21を参照して(せん断力等は,下階を V,上階を V'で表す)に従って,以下
のように設計すればよい.
アーチ機構の負担せん断力 Vaは

Vaニ t
an)
((1- s)t
ω ・ん・ νσ8/2 解6
( .
18)
であり,このうち上階のアーチ機構から直接伝達可能なせん断力 Valは,一般に以下のように表さ
れる.

a(1一入 t
Val=V an(
)-λ ,t
an)
(')/ (1-λtan)
() 解6
( .
19)
ここに,入=ん/仏, λ /lw
ん, a 〆,l =lwa' であれば,
' で ,hw=h 仰

Va at
l=V a
nθ/(tan)
(+λ 〉 解6
( .
20)
となる.階高が異なる場合は,簡略には大きいほうの階高でこの式を適用すれば安全側の評価にな
る.

上階のトラス機構の負担せん断力は,
V
t' =cotゆ .t
ω'.
lw
b"ps
'
.σs
y 解6
( .
21)
であり,上階の設計用せん断力 V'のうち Va1 とV/の和を超過する分,すなわち,
1V=V'一 (V/+
L V
al) 解6
( .
22)
を中間の梁の引張強度 T (=αgσ y,ag :梁主筋断面積合計, σy • 主筋強度〉で負担しうるようにす
る.すなわち,

1V
Tミ L 解6
( .
23)
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 -133-

-
J
d
/
/
/
/

v
' ←ヱ / /
ιー
, 一
一一一
-=-

V s
4 一一一 7 蜘~

l Iwa/2--
--t

V:設計用せん断力
V
u:配筋後のせん断強度 (=Va+Vb)
Va :アーチ機構の負担せん断力

れ:トラス機構の負担せん断力

V
al:
Vaのうち上階のアーチ機構から直接伝達可能なせん断力
2
Va:V
aのうち上階のアーチ機構から直接伝達可能でないせん断力
(これらは下階のせん断力等を示し,上階では V'等で示す)

解図 6
.21 層間のせん断力の伝達
-134- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

となるようにすればよい.以上は,上階と下階のアーチ機構の仮想幅 (s) が等しい場合である

が,つねに,この幅は下階で小さく,一般にこの方法で安全側であると考えてよい.

中間に梁を設けない設計では,上階をせん断補強して,
lV話。
L 解6
( .
24)
とする.あるいは,下階を補強して,

V/-V lV
t孟 L 解6
.25
)
とすればよいものとする.

耐震壁を以上の方法で各層単位で設計すると,安全側ではあるが,過剰な配筋を要求することに

なるとも考えられる.すなわち,耐震壁を壁の長さに対して壁の高さが高い(細長い〉部材として
扱い,連層耐震壁全体を設計する方法もあり,この場合のトラス機構の角度ゅは,特に非ヒンジ領
域では 4
5。以下に仮定する考え方も可能であると考えられる.例えば,柱 p 梁部材と同様に c
otゆ
三五

2
.0とし、う制限で設計式を構成すれば,必要補強筋量はかなり減少すると予想される.しかし,耐震
壁の実験はほとんど l層のみを対象とした試験体で行われており,以上の考え方を実験データで検

証するのは現状では困難である.特に,連層耐震壁を対象にした実験でも,中間階の荷重(水平
力)を考慮した実験例,さらに,低い変形レベルにおける(曲げ終局に先行する〉せん断強度が明

らかにされた実験結果等はほとんどない.前述の検証で, c
otゆニ1.0
の仮定が適合性がよいのは,
むしろ c
otゆが大きい場合を検証しうる試験体が少ないためであることが考えられる. c
otゆ
三五2
.0
(A法〉の仮定でも必ずしも大きく危険側になる訳ではないので,連層耐震壁としてのトラス機構

の角度については検討の余地がある.

6
.4.
7 最小配筋
壁板のせん断補強筋比は 0
.00
25以上とする.また,耐震壁のヒンジ領域の側柱の帯筋比は
0
.00
3以上とする

(
1) 側柱の拘束

曲げ降伏形の耐震壁の側柱の脚部は,高層の場合はもちろんであるが,そうでない場合でも

大きな圧縮力およびせん断力を受ける.本指針では,曲げ降伏時の圧縮反力が拘束された側柱

で負担されると仮定して,この応力レベルに応じて,配筋詳細を大略規定しているが,必要な
補強筋量は,耐震壁の設計せん断力のレベルあるいは要求される変形能力,さらに,直交方向

の柱としての要求性能にも関係し,これらのパラメータから補強筋量が算定されるべきである

が,現時点では,合理的な算定方法はない.

側柱帯筋比の最小規定は,通常の柱よりは大きい 0
.00
3としたが,側柱の補強は脚部(柱とし
てのヒンジ領域〉のみでも効果があり,この領域のみの補強筋量を増したとしても建物全体に

占める割合は少ないので,現時点では,特に圧縮応力が大きい場合は,配筋可能な範囲で十分

補強(拘束〉しておくのが望ましい.

合理的な根拠はないが,実験例等から判断して p 横補強筋の拘束領域に対する体積比を,圧
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 一135-

縮反力の軸圧縮強度に対する比が, 0
.3未満, 0
.3以上 0
.6未満, 0.6以上の場合,それぞれ,
0
.69
6,1
.29
6,1
.89
6以上程度を目安にすることが考えられる.また 拘束の効果は,横補強筋 p

の水平方向の間隔も影響するので p 通常でも 30cm程度以下,軸力が高い場合は 20cm以下とす


るのがよい [
9.参照 J
3 .
(
2) 構造規定

壁厚,配筋間隔等は,現行の基準を準用する.すなわち,壁板の厚さは, 15cm以上,かつ,

壁板の内法高さの 1/30以上とする.壁板の補強筋比は,直交する各方向に関して,それぞ
, 0
れ .00
25以上とする.壁板が 20cm以上ある場合は,壁筋を複筋配置とする.壁筋は, DIO以
上とし,壁の見付面積に関する間隔は, 30cm以下とする.ただし,千鳥状に複配筋を行う場合
は,片面の壁筋の間隔は, 45cm以下とする.

(
3) 開口の配置,開口耐震壁の強度および関口補強

耐震壁に関口を設けるのは,十分なせん断強度が確保されれば,特にヒンジ領域以外ではほ

とんど問題がない.ヒンジ領域でも,曲げ降伏する脚部(危険断面〉以外に配置して十分に補

強し,せん断破壊しないように設計すれば,無関口の耐震壁とほとんど同様の挙動が期待でき
る.

開口耐震壁のせん断強度評価法は,関口の補強方法に関連させて確立されているとは言い難
いが,無関口耐震壁の強度を現行の設計(鉄筋コンクリート構造計算規準〉のように関口周比

で低減すれば,ほぼ安全側の評価になると考えてよい.本指針の式は,開口両袖の 2枚の壁に

適用することが考えられるが,この場合算定用高さが問題になり,一般には p 耐震壁の高さを

開口内法の高さとすると安全側ではなく,耐震壁の高さを階高としたのでは安全側すぎ,簡便
で精度よい適用方法はない.

関口の補強方法に関して,例えば両袖壁部分を X形の配筋で補強する方法等,現行の設計法
よりも終局強度に対して明らかに有効な配筋詳細があることは実験的に明らかにされている
が,一般的な設計法としては確立されていない.

5
.5 付着に対する設計 はこら心、 σ
;74
凡 引

6
.5.
1 設計用付着応力度
設計用付着応力度は (
6.21)式による.ただし,一端のみに降伏ヒンジを計画する部材およ
び降伏ヒンゾを計画しない部材では, (
6.21)式または (
6.2
2)式による値の小さいほうとして
よし¥

b@3/{4(
Ij=d L叫 Y →
ラ ¥

(
6.21
)
¥口、ニ b
pwtσw
yctゆ/L/
o <
p (
6.2
2)
ここに,L:lσ 惇降伏機構保証設計応力における型社喧喧宣自立主主題の応)]~壁5 差で,両端にヒ
ンジを計画する部材では 2
σyu,一端のみに降伏ヒンジを計画する部材では (
σyu十 σy
),およ
び降伏ヒンジを計画しない部材では 2σyとしてよい .σ y
uおよび σyは主筋の上限強度算定用
強度および信頼強度算定用強度 ,d
bは主筋径, Lψ は鉄筋周長の和である • L,b,dは,それぞ
-136一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

れ,部材の内法長さ,幅,有効せいで¥)Pwル σwy',併は,それぞれ部材中間部のせん断強度算
定に用いたせん断補強筋比,せん断補強筋強度, トラス機構のコンクリート圧縮束の角度とす
る.

6
.5.
2 付着強度
柱および梁の主筋の付着強度は, (
6.2
3)式によることができる.ただし,梁上端筋に対して
は式 (
6.2
3) による値を 0
.8倍する.
T bu= 0.2十 5⑭ V
421
J石 1 (
6.2
3)
ここで ,Pw',
は断面外周に配筋されたせん断補強筋比である.

時および梁において多量の主筋を配置した場合には,3:.停~;:治 ":)t.:.'付着割裂山破壊により脆性

的な破壊を示すことがあり,適切な方法によって付着割裂破壊を防止する必要がある.した

がって,本指針においては,新たに一項を設け,付着設計を盛り込むことにした.過去の研究
では,付着破壊を防止する方策として,曲げ作用に対する付着作用の確保 B削 4
0),
6.4
1
)
,6.およびト
42
)

ラス機構に対する付着作用の確保 6.43)が提案されており,本指針ではこれらを組み合わせた形

での付着設計法を採用した.

なお,本指針本文に示す付着設計法は設計の便を考えて,安全側の仮定に基づいて簡単化し
たものである.本文の設計法では設計が厳しくなる場合には,以下に述べる実際の鉄筋配置に
基づく精算法によって付着設計を行ってもよい.ただし,ここで付着強度算定の対象とする主

筋は断面最外縁に配置されたものである.
(
乱) 塑性ヒンジの生じないまたは片側にのみ塑 性ヒンジの生ずる部材 J

またはトラス作用による
付着割裂破壊を防止するためには,曲げ作用による付着応 ¥τ11
付着応 t
f;ゆどちらかが付着強度 τ d下回ればよい. 一

部材両端部断面の曲げ解析により求められる,同一鉄筋の両端部聞の鉄筋応力の差より生
ずる付着応力 τfが,鉄筋の付着強度 τbuより小さければ付着割裂破壊は生じない.このよう

な機構で生ずる付着応力をここでは曲げ作用による付着応力と呼ぶ.

曲げ作用による付着応力⑩,鉄筋応力が引張りとなる側での斜めひび割れの発生もし
解6
くは塑性ヒンジの発生を考慮すれば, ( .
26)式で与えられる.ここで,.L1σ,は同一鉄筋の
部材両端部間の応力である.安全側の仮定として,本文中では,ヒンジの発生しない部材で

は,圧縮筋応力および引張筋応力ともに信頼強度算定用材料強度 σJ
こ到達しているものと

仮定し,.L1σニ 2σyとする.片側にヒンジの生ずる部材に関しては,引張筋応力は上限強度

算定用材料強度 σyuに,圧縮筋応力は信頼強度算定用材料強度 σyに到達しているものと仮

定し,.L1σ=σ yu+σyとした.ただし,圧縮鉄筋応力は必ずしも σJに到達しているとは限

らないので,上限強度のときの断面の釣合いと平面保持の仮定に基づいて圧縮鉄筋応力 σc
を計算し,塑性ヒンジの発生しない部材では,.L1σ=σ y+σc,片側に塑性ヒンジの発生す
る部材では,.L1σ=σ yu十 σCとしてよい.
て fニ 0
.2πd
5 b
2
.1σ/{π d
L b(L-d
)}=.
1σd
L b/{
4(L-d
)} 解6
( .
26)
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 137-
'Tーヲ

先に述べた曲げ作用に対して要求される付着応力が確保されなくても,本指針のせん断設

計式におけるトラス機構が成立すれば付着割裂破壊は生じない. トラス機構成立に要求され

る付着応力 τtは,解図 6
.1に示す力の釣合いより,
τt戸
=Vt/(~ユ ψ 'Jμ
t) ニ b j
t九P叫uA
となる.ここで ,Vt:トラス作用によるせん断力の持ち分 ,P
wt 部材中間部におけるせん断
補強筋比で実際に部材に配筋されるせん断補強筋比ではなく設計せん断力に抵抗するために

必要とされる計算上の値, ~ψ: 引張鉄筋周長和.

鉄筋の付着強度 τ刊は,竺M鉄筋の割裂付着強尾に関する過去の研究成果6的を参考として
以下の手順で求める.ただし P 梁水平上端筋に関しては得られた値を 0
.8倍して用いる.
τbu=τc
o十 τn 解6
( .
28)
τ co~i ::Iv / クl寸 / 偶 然 去 子 て お り ,
τc
o"- (0.4bi+0.5) Ja; 解6
( .
29)
ここで ,b
iは付着割裂破壊の形式より定まる係数であり ,b
ci Cコーナ一割裂に対応,解図
6
.22
参照〕とん〔全割裂に対応,解図 6
.22
参照〕のうち小さいほうの値とする.
b
ci二 (212dc
-d)/ db
b 解6
( .
30)
b
s
iニ (b-~db)/~db 解6
( .
31)

ここで dc :隅角部主筋中心からの被り厚さ, d
b:隅角部主筋直径, ~db: 一列に並んだ主
筋直径の総和, b:断面幅.

Ts
tは横補強筋(せん断補強筋〉の効果を表しており,コーナ一割裂および全割裂に対し
て別途与えられる.

コーナ一割裂の場合 (bi=b
口く b
sD
tニ 50A Ja;
τs 卸 /(s'd
b) 解6
( .
32)
全割裂の場合 (bi ニ bsi~玉 bcD

τs + 5Nu/Nt十 15N
t {(20/Nt
二 s/N
t)P
w' bJa;}/
db 解6
( .
33)
/ 2く Nuの場合には, τs
ただし Nt t=(5P
w'bJa;)/
db 解6
( .
34)
ここで, Aw:隅角部主筋にかかる横補強筋断面積, s
:ヒンジ領域外での横補強筋間隔,
Ns :- 列の主筋のうち直接副帯筋のかかっているものの本数, Nu :一 列 の 主 筋 の う ち 直 接
= 2+ N
横補強筋のかかっていないものの本数 ,Nt:全主筋本数 (Nt s ),P
十 Nu w':ヒンジ外

コーナ一割裂 全 割 裂

Nt=3 Nt=4 Nt=4


Nu=l Nuニ 2 Aん=2

解図 6
.22 コーナ一割裂と全割裂
-138一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

の領域での断面外周に配筋されたせん断補強筋比で ,Pw'=2・
Aw/(
b.s
).
解6
( .
33) 式の誘導手順を以下に示す.ここで参考とした文献 6
.44
)で与えられている原
式は,全割裂の場合,横補強筋の直接かかっている主筋に対するで s
tおよび横補強筋のか
かっていない主筋に対する τt
sを各々 τs
t,
1および τω として次式で与えている.

τt
s,
1= 2・15.9AωJa;
1.2 /(s・
db) 解6
.35
)
て t
s
,2=1
.22・7.63AJa;
山 /(S.db) 解6
( .
36)
なお,上式における係数1.2
2は水平上端筋以外に対する換算係数である.
t=4,Nuニ 2
実験に用いた供試体の主筋配置が 4本並列 (N ) であることを考慮、し, (解
6
.37)および(解 6
.38
)式の A却を p〆で置き換えれば,直接横補強筋のかかっている場合に
対する τs
tは

τt
sl=1
, .22・1
5.9・0.5pw' bJa;
/db与 lOPw'bJa;
/db 解6
〈 .
37)
横補強筋のかかっていない主筋に対する τs
tは,

τt
s .2
2=1
, 2・7
.63・0.5pw' bJa;/d戸 5Pw'b~/db 解6
( .
38)
また p 副帯筋のかかっている場合は,直接横補強筋のかかっている場合の(解6
.37)式と直
接横補強筋のかかっていない中間筋の場合の(解 6
.38
) 式の和と考えられるので,副帯筋断
面積が断面外周に配筋されたせん断補強筋断面積 Awと同じと仮定すれば, τt
sは次式で与え
られる.

て s
t,声 1
5pw マ
' bJ B/db 解6
( .
39)
これらの加重平均として(解 6
.33
) 式が得られる.
なお,梁上端筋の検討の際には,梁軸に直交するスラブ筋を主筋に直接かからないせん断

補強筋と見なし,コーナ一割裂の場合には(解6
.40
)式による τ〆 を ( 解 6
.32
)式に,全割
裂の場合には(解 6
.41)式による τ
st' を(解 6
.33
) 式に加え合わせてよい.
τ〆 =2 t+
0(Ast/S
s ASb/
Ss)Ja;
b /db 解6
( .
40)
で〆=2
0 (Ast/S
s
t十 ASb/
Ss) F;;;/Ljd
b b 解6
( .
41)
A
st,S
s
t スラブ上端筋の断面積および間隔 A
Sb,
Ss
b:スラブ下端筋の断面積および間隔
指針 (
6.2
3) 式に示すで buの値は,一列に多数の鉄筋がならび,断面外周のみにせん断補
解6
強筋が配筋されたもっとも不利な場合(全割裂〉を想定し, ( .
34)式を適用したもので以
下の手順で求められる.主筋の被りおよび間隔に対する規定では,異形鉄筋の最小被り厚さ

倍,あき間隔は直径の1.7
は直径の1.5 解6
倍と定められているので, ( .
42) 式に示す関係よ
りb/N 解6
tdb=b/Ldb>2.5となり, ( .
31)式より bi=bsiミ1.7となり, (
解6.
29) 式より
τCO孟 1.18J マ
-
;;~ 1.2F;;;となる.
b主 2・(
1.5db)+(N
t- 1)・1
.7d
b十 Nt
db=2.7Ntdb+1
.3d
b 解6
.42
)
ここで得られた τcoの最小保証値と(解 6
.34
) 式の和として指針の (
6.2
3) 式が得られる.
なお,ここに示した付着検定精算法は,解図 6
.4に示すせん断強度式の精度検証時にすで
に盛り込まれているので、新たに検証は行っていない.
6章せん断と付着に対する設計 -139

(
b) 両端部に塑性ヒンジの生ずる部材

両端部にヒンジの発生する部材では,付着滑りを完全に防止するための条件 (b-l) と付
)においても曲げ機構およびトラス機構のどちらかにおいて力の釣合い
着滑りが生じた後 6.42

が満足されるための条件 (b-2) の 2つを与え,これらのどちらかを満足すればよいとし

た.なお,指針本文では設計の便を考慮、して条件 (b-l) のみを示した.

(b-l) (
解6.
43) 式で求められる曲げ作用に対する付着応力行の値が, (
解6.
28) 式で与
えられる付着強度 τb
uより小さいことを確認する.ここで,Llσは主筋の応力差で,
引張側および圧縮側でともに上限強度算定用の材料強度 σyuに到達していると仮定

し,Llσ=2σ yuで与える.
τj=dbL
lσ/{4(L-d)} 解6
( .
43)
(b-2) (
解6.
44) および(解 6
.45
) 式で求められる付着応力の小さいほうが,付着滑りの
生じた後の最終付着強度 6肌 6
.45)τ 加以下で、あることを確認する.これは,たとえ付

着滑りが生じていても,トラス機構形成および曲げ機構形成に要求される付着応
力 6叫 6.が保持できれば,部材は外力せん断力に抵抗できることを考慮、したもので
47
)

ある.
τt 二 Vt/ (jt~ ψ 〉

=bP
wtσ
ωy cot ゆ /~ψ(解6.44)
で lσ,
j=dbL / {4(L-d
)} 解6
( .
45)
最終付着強度 τ加は,コーナ一割裂および全割裂に対して別途与えられる.
コーナ一割裂の場合 (
biこ ん く b
sD T bus={70Awb/(sdb)十 0
.4r
a
};; 解6
.46
)
全割裂の場合 (
biニ b
i豆b
s c.
D τb
us={
60P
w'b(Ns 十 2)/(Nt~db) 十 0.4} ra;; 解6
( .
47)

ただし Nt/ 2く Nuの場合は, τ'busニ 0


.4 r
a;
; 解6
( .
48)
解6
( .
45) 式における A び'は同一主筋の部材両端部間における応力差で(解 6
.49
) 式で与
える.ここで圧縮筋応力 σcは,引張側主筋応力が上限強度算定用材料強度 σyuに到達してい
ると仮定し,上限強度のときの平面保持の仮定と力の釣合いより求める.
A σ'ニ σyu+ σC 解6
( .
49)
解6
( .
47) 式は以下の手順で求められる.全割裂の場合に対する最終付着強度 τb
u
sは文献
6
.45
) によると次式で与えられる.
τb 2 (23.3ん 'b/~db 十
山ニ1.2 0.3) ra;; 解6
( .
50)
そこで,横補強筋のかかっていない主筋に対する最終付着強度 τ加を,上式より横補強筋の

効果を除いたものと仮定し次式で与える.
2・0
τbUS,l =1,2 .3 r
a;; 解6
.51
)

一方,実験に用いた供試体の主筋配置が Nt= 4,Nu= 2であることより,横補強筋の直接

解6
かかっている主筋に対する最終付着強度 τ加は, ( .
50) 式の横補強筋の効果を 2倍に見
積った次式で推定できる.

s,2=1
τb
u .2(2 ・ 23.3 九百/~db+0.3) ra;;
2 解6
( .
52)

U
Aパ

鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

Bi
τ
解6
( .
51)および〈解 6
.52
) 式の加重平均より,全割裂に対する (
解6.
47) 式が得られる.
ここで示した,両端部にヒンジの生ずる部材に対する付着検定法の精度を, RC耐震設計
小委せん断 WG で収集したデータ 6.29)~6.34) のうち付着割裂破壊したと報告されているものに対

して行った.解図 6.23および解図 6.24にその結果を示す.


解図 6
.23は, ここで示した付着の検定を行わずに,単に本指針で求めた保証ヒンジ回転角
より求められる保証部材角と実験結果を比較したもので,かなりの供試体が期待する保証部

材角を発揮していない.一方,精算法により付着の検定を行った結果が解図 6
.24に示されて

6 一
1
/
vム
BJCH×)堰鑑脈紅葉詰酷醤

t
y
44A

ト一一ー て7

t
?
A

ム nn=-
-
-
-.
l
!.
.
.
.
O bDσB
円〆U

l
/lv

o no=0
ム 0<陶芸三す
マす<町三五す

O

ど 2 4 6
限界部材角計算値 (x1
O-2r
ad)

解図 6
.23 付着破壊した供試体に対する変形能力の検証(付着破壊無視〉

6
BJOH×)岨宇部w
A

m紅葉詰昧盟
円ノ M

no=-
-
-
-.
l
!.
.
.
.
V bDσB
ono=0
ム 0<ηo三玉音

。 2 4 6
マす <no亘す

限界部材角計算値 (x1
0-2r
ad)

解図 6
.24 付着破壊した供試体に対する変形能力の検証(付着破壊考慮)
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 一141-

いる.ここで示す付着検定法の妥当性が認められる.なお,横軸の値は,付着破壊すると認

定されたものに対しては,ヒンジ部の塑性回転角が求められないため,文献 6
.49
)により求
めた部材降伏時の値がプロットされている.

ここで示した付着設計法はかなり煩雑なため,その手順の概略を流れ図で以下に示す.

塑性ヒンジの生じないまたは片側
のみに塑性ヒンジの生ずる部材

付着の検討の手順
-142一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

6
.6 有孔梁の設計

有孔梁のせん断設計においては,無孔梁のせん断設計と同様に, 6
.2.
1設計の原則, 6
.2.
2せ
ん断補強筋の強度および 6
.2.
3構造規定を適用する.

解図 6
.25
(乱)のような通常のあばら筋のみにより補強した有孔梁のせん断強度を考えてみよう.こ
こで,

P
u P出 P山 P
U
f 一
ー"'
-ーヘ ~一、、

円 1 1
r-LT L ームー(守 +Yo)'c叫

(
a) 配筋

(
b) トラス作用

与tano..

h 、

2
t 叫

(
c) 孔の近傍でのトラス作用

解図 6
.25 あばら筋による補強の梁
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 一 143-

H:円孔の直径(長方形孔の場合は,その外接円の直径〉
G:孔の両脇のあばら筋の間隔
yo:材軸から孔の中心までの距離

とする.このような部材では,アーチ作用の発生は困難であり p 解図 6
.25
(b)
(c)のようなトラス作用
にょうてせん断力が伝達されるはずである 6.68) ここで,孔の上下でのコンクリートの圧縮応力の傾

きをムで表した.水平方向の矢印は,主筋による付着力を表す.鉛直方向の矢印は,せん断補強筋
の引張応力によってコンクリートに与えられる締付け力を表す.ハッチのない部分は,コンクリー

トの圧縮応力が流れない領域を示す.この領域が広がるほど,孔の周辺のハッチ領域での圧縮応力

が厳しくなり,部材のせん断強度が低下する }tからハッチのない領域のせい ,H/cos恥 +G・t


an
ゆsを差しヲ│し、た値を「トラス作用の有効せい j削」と呼ぶ jω は,次式で与えられる.

}
tw=
}t ー
キ-G 川 解6
( .
53)

解図 6
.25
(b)
(c)より,孔の両脇のせん断補強は,解図 6
.2(乱)のように, (
5 jtw
/2+yo)・cotゆsの範囲
に施す必要があることがわかる.
ハッチ領域のコンクリートに生ずる圧縮応力は,次式で表される.
2
σω =ps
・σωy/sin ゆs
山 =ps・σ
山 山 y'( 1+COt2ゆs
) 解6
( .
54)
ただし ,p
ws 子しの両脇のあばら筋比
とする .νσB二 σω より,ムに関して次号を得る.

c
otゆ
づえ7
72
-l 解6
( .
55)

上式によれば, c
otム が 2を超えることもあり得るが,これは孔のごく近傍に限られるので,これ
を許容する.
上記の記号を用いて,通常のあばら筋による補強の有孔梁のせん断信頼強度は,次式で表され
る6.68)

Vu=b.j .
p.
山 σw
y.cotゆs
山 解6
( .
56)
ただし ,ps・σw
ω y>(1/2-H/jt)ν・σBの場合は ,p山・ σ y (1/2-H/jt)ν・σBと見な
山 二

す(補強限界)•
種々の H/jtV
こ対するせん断強度 Vu
の上限値(あばら筋を補強限界まで配筋した場合のせん断強

度〉を解図 6
.26に示す.ただし ,G=1
.2Hと仮定した.例えば ,H/jt=0.25(
jt=
0.8
Dとすれば,
H/D=1/5に相当)の場合 ,V
u/(
b'j
t・ν ・σB
) の上限値は, 0
.24となる.つまり,これより大
きなせん断力に対しては,あばら筋のみによる補強は不可能である.

文献 6
.69
),6
.70
),6
.71
),6
.72
),6
.73
)のうちで,通常のあばら筋による有孔梁について,強度式
の検証を行った結果を解図 6
.27に示す.上式は十分な精度を有していると言える.
解図 6
.28のように,孔の両脇のあばら筋よりも外側に定着した斜め筋については,定着領域での
コンクリートの庄縮応力がそれほど厳しくないので p 少なくとも引張側ではその性能を卜分発揮で

きると考えてよい.従って,その効果を次式により評価して,式(解 6
.1) の Vuに加えてもよい.
6
A 斗-
A川吉
噌﹃ム
鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

0.
5

X
0.
4

f03 ミ
¥
F

:

h

¥¥


:
:
.
. 0
.2

¥
0
.

O
1

0
.1 0
.2 0
.3 0.
4
¥ 0
.5

H/j

解図 6
.26 孔の径がせん断強度の上限に及ぼす影響

、 o /1
~ oF
~ I /

0" 1
0/

1
Vu/V
j

解図 6
.27 強度式の検証

(
a) 配筋

怒察終ミiik ズ零C繋綴滋
蕊議総滋込~ 、総慾;
j
j
;
(
b) トラス作用

解図 6
.28 斜め鉄筋による孔の補強
6章 せ ん 断 と 付 着 に 対 す る 設 計 一 1
45一

Vx=Ax'σxy'sin{
}x 解6
( .
57)
ここで (
}xは斜め筋が材軸となす角度 ,Axは引張側の斜め筋の断面積とする.
解図 6
.29
(乱)のように,横筋と副帯筋による補強を行った場合のトラス作用は,解図 6
.29
(b)のよう
になると考えられる.したがって,次式によりせん断強度を算定しでもよい.

Vu=2・b
'jt
s'P
s'σs
y
'ctゆs
o 解6
( .
58)
ただし ,p
s'σsy>ν・σB/2の場合は ,p
s・σs
yニ ν・σB/2と見なす(補強限界)•
jts は,上下の横筋間の距離とする • sは副帯筋比とする .σ s
P yは,副帯筋の降伏強度とする.
c
otゅは 〆次式のうちの最小値とする.
P

c
otゆ=2

解6
( .
60)

副帯筋は,解図 6
.29
(乱)のように,孔の両側に j
ts.
cotムの範囲まで一様に配筋する.横筋は,その外
側で,梁の材軸に向けて折り曲げ定着する.横筋の必要強度 ,as σyは,次式により定める.




σ
α

解6
( .
61)

ただし ,Wは開口の横幅とする.最外縁の主筋の必要強度山内は,次式以上であることを確かめ
る.

Vu
・( W十 j
ts.
cotゆs
)
a
tσy 解6
( .
62)
2
jt
s


1 s
~

(
乱) 配筋


(
b) トラス作用

解図 6
.29 横筋と副帯筋による長方形開口の補強
-
146一 鉄筋コ y クリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

解図 6
.30のような斜め筋を併用する場合は,その効果(ヲ│張側のみ)を(解6
.17
) 式により評価
して ,V
uVこ加えてもよい.ただし,この場合も,斜め筋は関口の両側のあばら筋よりも外側に定着
する.

孔の位置は,梁のヒンジ領域外に作るのが望ましいが,やむをえずヒンジ領域にかかる場合は,

c
otムの算定に際して,本文の (
6.9
) 式を考慮する.また,有効係数 νは,本文の (
6.8
) 式によ
る.

孔のない部分でのせん断強度は, トラス作用のみを考慮するものとし,次式により算定する.

V
u=b
'jt・
Pw'σ
ωy'cotゆ ( 解6
.63
)
ただし,ん:一般部分のあばら筋比.

cot ゅの算定は,本文の (6.5)~(6. 7)および (


6.9
) 式による.
孔の補強に特殊金物などを使用する場合は,実験等により確かめられた範囲内において,その効

果を考慮、してよい.文献 6
.74
)などにその研究例がある.ただし,この場合にも,孔のない部分での
せん断強度は,トラス作用のみを考慮するものとし,上式(解 6
.63
) により算定する.

ト斗 hjs
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‘鳳中1'

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(
b) トラス作用

解図 6
.30 斜め鉄筋による長方形開口の補強

参考文献
6
.1) M.P
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tal:CONCRETE P
. LASTICITY,S
pec
ial
pub
lik
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els
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or
B
ygn
ing
sst
atk,L
i ing
by,p
p.3
6-3
8,1
978
6
.2) 南 宏一:せん断力を受ける鉄筋コンクリート部材の極限解析について, RC構造のせん問題に関する解
6章せん断と付着に対する設計 一1
47-

析的研究に関するコロキウム論文集, ]
CI,pp.1-16,1
982
!6.3) 若林 賞,南 宏一:コンクリート系構造部材のせん断強度について,京都大学防災研究所年報,第 2
4号
L
___
J
/ ¥ B - 1,p
p.2
45-
277
.181
9 .4
,構造系,

o
f IABS

Gの考え方
, RC耐震壁のマクロモデルと FEM ミクロモデノレに関するパネルディスカッション論文集, ]
一 CI,
J
an
.,p
p.2
1-4
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ペh 渡辺史夫:鉄筋コンクリート部材のせん断強度と変形性能,コンクリート工学年次論文報告集,第 1
0巻
三二ど l号
, p
p.1
05-
114,1
988
¥6
.8)
1 市之瀬ほか:鉄筋コンクリート柱梁部材のせん断設計法,建築学会東海支部研究報告集, pp.137-148,

a 1
987
南宏一倉本洋:棚コンクリート部材山附式コンクリート工問吋告集第9
巻,第 2号
, p
p.3
47-
352,1
987
.6
6
.10 . Minami K
) Kanoh Y .Ta
kig
uciK
h . and S
hir
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nal
ysi
sofR
ein
for
ceC
onc
ret
eSt
ruc
tur
es" pp.308-
3
28,1
985
.5
6
.11)福原正志:高強度せん断補強自習を用いたはりのせん断引張り破壊型せん断終局強度算定式に関する一考
察,日本建築学会大会学術講演梗概集(近畿),構造系 B,p
p.7
3-7
4,1
987
.10
6
.12
) 倉本,南:靭性を考慮した鉄筋コンクリート部材の実用せん断設計式,コンクリート工学年次論文集,
1
0巻 3号
, p
p.6
51-
656,1
988
6
.13
) 池田昭男:塑性域において繰り返し加力を受ける鉄筋コンクリート柱の実験,コンクリートジャーナル,
p
p.1
-13,1
970
.2
6
.14
) 広沢雅也:既往の RC柱実験資料,建築研究資料 N
o.2,1
973
.3
6
.15
) 六車,渡辺ほか:鉄筋コンクリート柱のせん断力伝達に関する実験的研究,セメント技術年報 32巻

p
p.4
40-
443,1
978
6
.1) 六車,渡辺ほか:鉄筋コンクリート柱のせん断伝達機構におよぼす帯筋降伏強度の影響,第 1回コンク
6
リート工学協会年次講演会講演論文集, p
p.3
33-
336,1
979
6
.17
) 六車,渡辺:鉄筋コンクリート柱のせん断抵抗機構に関する研究ーそのしせん断ひび割れの発生とせ
ん断補強筋の補強効果,日本建築学会論文報告集, 3
32号
, p
p.5
7-6
5,1
983
.10
間:
i
8)六車,渡辺:鉄筋コンクリート柱のせん断抵抗機構に関する研究ーその 2,付着割裂破壊に於けるせん
断補強筋の効果,日本建築学会論文報告集, 3
41号
, p
p.1
1-8,関与失J
1 -
6
.19
) 東端,山口ほか:鉄筋コンクリート柱の崩壊防止に関する総合研究(その 5 大野式加力法を用いた
RC短柱の多数回繰り返し加力実験),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造系, p
p.1
42ト 1
422,1
973
.
1
0
6
.20
) 黒正,福原:鉄筋コンクリート柱の崩壊防止に関する総合研究(その 6 :新加力法を用いた RC短柱の多

数回繰り返し実験),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造系, p
p.1
423
-14
24,1
973
.10
6
.21)遠藤,藤,狩野:鉄筋コンクリート柱の崩壊防止に関する総合研究(その 7 大野式加力方法による
RC短柱の多数回繰り返し実験),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造系, p
p.1
425
-14
26,1
973
.10
6
.22
) 斉藤,吉崎,西垣:鉄筋コンクリート柱の崩壊防止に関する総合研究(その 8 :高強度コンクリートを使
-148一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

用した鉄筋コンクリート柱の多数回繰り返し実験入日本建築学会大会学術講演梗概集,構造系, p
p.
1
427
-14
28,1
973
.10
6
.2) 山本,宗村:鉄筋コンクリート柱の崩壊防止に関する総合研究(その 1
3 1:AFシリーズ,軸方向力を変化
させた RC短柱の多数回繰り返し実験入日本建築学会大会学術講演梗概集,構造系, pp.1309-1310,
1
974
.10
6
.24
) 千葉,近藤ほか:鉄筋コンクリート柱の崩壊防止に関する総合研究(その 12:LSシリーズ,シヤースパ
ン比 [M/QDJ を変化させた RC短柱の多数回繰り返し実験入日本建築学会大会学術講演梗概集,構造
, p
系 p.1
31ト 1
312,1
974
.10
6
.25
) 福原,黒正:高強度せん断補強筋を用いた鉄筋コンクリート梁のせん断終局強度に関する実験的研究,
第 2回コンクリート工学協会年次講演会講演論文集, pp.477-480,1
980
6
.2)T
6 .Eigawa, S.Kokusho, Y.Matsuzaki and K
.Kobayashi: E
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hofRCColumns,コンクリート工学年
次論文報告集,第 9巻 2号
, p
p.7
05-
710,1
987
6
.27
) 荒川 卓:鉄筋コンクリート梁のせん断抵抗に関する研究(実験結果の総括入日本建築学会論文集,第
6
6号, p
p.4
37-
440,1
960
.10
6
.28
) 日本建築学会編:建築耐震設計における保有耐力と変形性能, p
p.1
59-
161
6
.29
) 吉 岡 研 三 柱 選 定 試 験 体j 選定理由および実験データの概要,第 2回 RC構造のせん断問題に対する解
析的研究に関するコロキウム,解析モデル検証用試験体の実験データ集, p
p.9
-20,1
983
.10
6
.3) 吉岡,岡田,武田:鉄筋コンクリート柱の変形性能向上に関する研究,第 l報,主筋配置・せん断補強筋
0
形状の影響について,日本建築学会論文報告集, 2
79号
, pp.53-63,1
979
.5
6
.31)吉原ほか:溶接フープとサブタイを用いた RC短柱の多数回繰り返し実験(そのし実験概要) (その 2,
繰り返し特性),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造系, pp.1249-1252,1
979
.5
6
.32
) 坂口,磯畑,三浦:超高層 RC造集合住宅の構造特性に関する研究, (その 2,柱耐力実験),日本建築学
会大会学術講演梗概集,構造 I,pp.153-154,1
985
.10
6
.3) 六車ほか:超高層鉄筋コンクリート住宅における構造実験, (その 4,柱部材実験) (その 5,梁部材実
3
験),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造 I,pp.155-158,1
986
.8
6
.3) 角ほか:高強度せん断補強筋により横拘束された RC柱に関する実験研究,日本建築学会大会学術講演梗
4
概集,構造 I,pp.383-384,1
986
.8
6
.35
)T.Paulay:SimulatedS
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7,ST9,pp.2407-2419
6
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6 .Paulay and J
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P
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tio
n4 .
2,Vo12,pp.579-598,1
974
6
.37)若林,南 :X型配筋を用いた鉄筋コンクリート柱の耐震性能について,第 2回コンクリート工学年次講演
会論文集, pp.433-436,1
980
.6
6
.38
)南 宏一 :X型配筋柱の弾塑性性状に関する基礎研究,京都大学学位請求論文, 1
984
.12
6
.3) 渡辺史夫:曲げとせん断を受ける PCパイルの耐力評価に関する研究'¥コンクリート工学年次論文報告
9
, 9巻 2号
集 , p
p.4
83-
488,1
987
6
.4) 吉岡,武田:鉄筋コンクリート短柱の崩壊防止に関する総合研究(その 4
0 0,異形鉄筋を用いた鉄筋コンク
リート柱の付着割裂破壊モードの判別と限界鉄筋比),日本建築学会大会学講演梗概集,構造系, p
p.
1
423
-14
24,1
976
.10
6
.41)柴田,荒井:鉄筋コンクリート部材の脆性破壊時の耐力推算式の検討,北海道大学研究報告, 9
2号
6
")2
);市之瀬敏勝:鉄筋コンクリート短柱において付着破壊を防ぐための条件,日本建築学会論文報告集, 3
38
¥ /
、、、『〆ノ〆〆
6章せん断と付着に対する設計 149-

¥号, p
p.5
8-7
0,1
984
.4
6
.4) 渡辺史夫:RC柱の付着割裂せん断破壊機構と耐力の解析,第 2回 RC構造のせん断問題に対する解析的
3
¥ 一 、 ¥

研究に関するコロキウ毛論玄集, J
CI!
,pp
.61
-68, 邸 3
.10 ヌ
6
.44
) 藤井,森田:異形鉄筋の付着割裂強度に関する研究一第一報,付着割裂破壊を支配する要因についての
実験結果,日本建築学会論文報告集, 3
19号
, p
p.4
7-5
5,1
982
.9
6
.45
) 後藤,森田ほか:割り裂き付着破壊モードに与える横補強筋の影響,建築学会近畿支部研究報告集,構造

, p
p.1
97-
200,1
981
.6
6
.46
) 渡辺,六車:曲げせん断を受ける鉄筋コンクリート柱のじん性確保に関する研究,コンクリート構造の
靭性とその評価法に関するコロキウム論文集, J
CI,March,p
p.2
05-
216,1
988
6
.4) 市之瀬敏勝:鉄筋コンクリート短柱における付着破壊のメカニズム,日本建築学会論文報告集, 3
7 33号

p
p.7
3-8
3, 1
983
.11
6
.48
) Code o
fpr
act
icef
or DESIGN OF CONCRETE STRUCTURES,NEW ZEALAND STANDARD,
NZS3101-Part,
1p.
57,1
982
6
.4) 菅野俊介:鉄筋コンクリート構造物の塑性剛性に関する研究(その 3),日本建築学会関東支部研究報告
9
, 1
集 968
6
.50
) 称原,加藤:鉄筋コンクリート連層耐震壁の終局耐力,日本建築学会論文報告集, 3
43号
, 1
984
.9
6
.51)村上,福嶋,南:水平集中荷重を受ける鉄筋コンクリート耐震壁のせん断強度,第 7回コンクリート工学
年次講演会論文集, 1
985
6
.52
) 青山,加藤,勝俣:増設 RC耐震壁の耐力と変形能力に関する実験的研究(その1), (その 2),日本建築
学会大会学術講演梗概集, p
p.1
407ー1
410,1
982
.10,同くその 3),日本建築学会大会学術講演梗概集,
p
p.2
151
-21
52, 1
983
.9
6
.53
) 青山,細川 1,塩原:既存鉄筋コンクリート建物の耐震補強工法に関する研究(その1),日本建築学会大
会学術講演梗概集, p
p.8
1-8
2,1
985
.10
6
.54
) 緒方,壁谷津:曲げ降伏型鉄筋コンクリート耐震壁の変動シアスパン加力実験,第 6回 コ ン ク リ ー ト 工
学年次講演会論文集, p
p.7
17-
720
6
.5) 柏木,壁谷津:厚壁型鉄筋コンクリート耐震壁の変動シアスパン加力実験,第 7回 コ ン ク リ ー ト 工 学 年
5
次講演会論文集, p
p.3
69-
372
6
.5) 橋場,阿部,壁谷津:高層耐震壁の耐力と変形能力に関する実験的研究,第 9回コンクリート工学年次講
6
演会論文集, p
p.3
79-
384
6
.57
) 千葉,羽鳥ほか:建屋の復元力特性に関する研究(その 8) "
- (その 1
0),日本建築学会大会学術講演梗
概集, p
p.1
509
-15
14,1
983
.9,同(その 21),日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.2
375
-23
76,1
984
.
9,同(その 5
9),(その 6
2),(その 6
3),日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.1117-1118, pp.1123-
1
126,1
986
.8
6
.58
) 東端,山口ほか:曲げ,せん断,軸力を受ける鉄筋コンクリート耐震壁に関する実験的研究(その 1)
(その 2),日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
189
-11
92,1
975
.10,同(その 3),日本建築学会
大会学術講演梗概集, p
p.1
593
-15
94,1
976
.10
6
.59
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es,327pp,1
979
6
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p.2
31-
241
6
.61
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-150一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

Elements,
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53,American C
onc
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sti
tut
e,
p
p.1
49-
202,1
977
6
.6) 小野ほか:鉄筋コンクリート造耐震壁の耐震性能に関する総合研究(その 7),日本建築学会大会学術講
2
演梗概集, p
p.1
60ト 1
602,1
976
.10,同(その 1
6),(その 1
7),日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
6
3
1-1
634
.19
77.
10
6
.63
) 小野ほか:鉄筋コンクリート造耐震壁の弾塑性性状に関する実験研究(その1),日本建築学会大会学術
講演梗概集, p
p.1
645
-16
46,1
977
.10
6
.6) 遠藤,広沢,尾崎,岡本:耐震壁による建築物の崩壊防止効果に関する研究,昭和 4
4 6年度建築研究所年
, p
報 p.6
25-
632
6
.65
) 平石ほか:鉄筋コンクリート造耐震壁の曲げ降伏以後の変形性状に関する実験的研究,日本建築学会大
会学術講演梗概集, p
p.1
94ト 1
944,1
984
.10
6
.66
) 白石,狩野ほか:鉄筋コンクリート造耐震壁の最大せん断耐力に関する一考察,日本建築学会構造系論
文報告集,第 3
65号
, 1
986
.7
6
.6) 広沢:既往の鉄筋コンクリート造耐震壁に関する実験資料とその解析,建築研究資料 N
7 o.6,1
975
6
.68
) 市之瀬敏勝,横尾慎一:鉄筋コンクリート有孔梁のせん断設計法のー提案,日本建築学会大会学術講演
梗概集, 1
990
6
.69
) 広沢雅也,清水 泰ほか:鉄筋コンクリート有孔梁の耐震性能に関する研究(その 3),日本建築学会大
会学術講演梗概集, p
p.1
593
-15
94,1
978
6
.70
) 東 洋一,遠藤利根穂,清水 泰ほか:鉄筋コンクリート有孔梁のせん断補強方法に関する実験研究,コ
ンクリート工学年次講演会論文集, p
p.2
45-
248,1
982
6
.71)遠藤利根穂,清水 泰,津村浩三ほか:斜めワイヤメッシュで補強した鉄筋コンクリート有孔梁の多数
回繰り返し水平加力実験,日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.4
99-
500,1
985
6
.72
) 青山博之,小谷俊介, L
.Ta
kah
ash
i,市之瀬敏勝:開口の有無による鉄筋コンクリート梁の変形モードの
相違に関する実験的研究,東海支部, p
p.1
61-
164,1
983
6
.7) 津村浩三:鉄筋コンクリート有孔梁のせん断破壊に関する研究,日本建築学会構造系論文報告集, N
3 o.
4
07,p
p.4
7-6
0,1
990
6
.74
)林 静雄,下妻 泰:鉄筋コンクリート有孔梁のせん断伝達に関する実験研究 p コンクリート工学年次
論文報告集, 1
990
h
戸u
7章 柱 梁 接 合 部

7
.1 設計目標

柱梁接合部は骨組が降伏機構を形成して保証変形に至るまで破壊しないように設計する.ま
た,繰返し荷重によって顕著な剛性低下やスリップ性状を生じないように設計する.

(
1
) 要求される接合部の力学的性能
全体降伏型を基本とする降伏機構を想定した骨組においては,柱と梁の接点である接合部の

破壊は許容されない.すなわち,地震力が作用する骨組の接合部では隣接する柱と梁から大き
なせん断力が導入されるため,鉄筋コンクリート造の接合部に塑性変形を期待してエネルギー

消費能の高い靭性のある復元力特性を有するように設計することは難しいばかりではなく,柱
や梁に比べて補修も困難であり,さらに柱と同様に軸力を負担する部位であることから,いず
れの接合部も破壊させないことが望まし¥,、.接合部の抵抗機構には種々の考えかたが提案され
ているが,ここで、は主たる応力の伝達をコンクリートの対角線圧縮ストラットによるものと見

なして,接合部コンクリートの平均せん断応力度に上限を設けることによって破壊を防ぐ方法
を用いる.

接合部は,降伏機構が形成された場合に生ずる柱および梁の材端曲げモーメント・せん断力

・軸力・ねじりモーメントに対して破壊することなく抵抗できることのほかに,著しい剛性の
低下を生じないことが望ましい.梁や柱の主筋の定着破壊や斜めストラットコンクリートの圧
壊による接合部の破壊を防いだとしても,接合部コンクリートの斜めひび割れ,横補強筋の降

伏,梁主筋または柱主筋の降伏に伴う接合部内での付着劣化が生ずれば,接合部剛性の低下や
スリップ性状を有する履歴特性が発現する.しかし,接合部コンクリートパネルのせん断ひび、

割れの発生や主筋の付着劣化を完全に避けることは難しいため,地震応答性状に著しく不利に

ならない範囲のスリップ性状を示す履歴特性を有することはやむを得ないものとする.

梁主筋の接合部内付着劣化に伴うスリップ性状を有する履歴特性を用いて建物の地震応答性

状に及ぼす影響を数値解析により検討した研究によれば,本指針で設計限界変形として想定し

ている 1/100程度の層間変形角においてはスリップ性状が極度に顕著でなければ応答変位へ
の影響を無視できることが明らかにされている 7
.1)したがって,本指針では接合部におけるス

リップ性状の過度の発現を制御する目的で,接合部せん断応力度に対応した接合部横補強筋の

必要最小量を規定し,さらに接合部内に配筋される梁または柱主筋の通し鉄筋および折曲げ鉄
筋の定着に対する検討を行うことにしている.

柱梁接合部の設計は,日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準」でも規定がなく,従

来わが国では設計者の判断に任されてきた.構造物の地震被害例として接合部の損傷が余り顕

著でなかったことが,接合部設計の規準化を遅らせている原因と考えられる.この点に関して
-152一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

は,大きな地震動を受けた建物でも p 計算外の 2次部材が耐力上昇に協力したり,逆に柱など

の主要構造部材に悪影響を与えて予定の耐震性能を発揮できなかったために,接合部には損傷

に至る大きな応力が生じていなかったことや P あるいは実際には損傷があっても外柱の外面以
外には梁が取り付いていたり,天井裏に隠されていることのために損傷の確認がされていな

かったことなどが,接合部損傷例の少ない理由として推定できる.

本指針の設計思想に基づいて骨組の降伏機構を計画した場合には,一般に接合部に隣接する

部材に降伏ヒンジを予定するので,接合部には降伏ヒンジの曲げ強度に対応する応力が確実に

発生することになる.したがって,このような接合部の設計はこれまで以上に重要な意味を持

つので慎重に行われる必要のあることが理解できょう.しかしながら,これまでのわが国の設

計・施工慣習に比べて著しく厳しい性能を要求することは現実的に難しく,本指針の適用範囲
を自ら狭めることになりかねないので,梁・柱・耐震壁などへの設計要求と比べて幾分緩和し
た運用となっていることに十分注意してほしい.

(
2) 接合部の基本計画

i)接合部は柱・梁相互の応力を伝える部位であって,その応力を伝えるのに必要な強度と剛
性を確保するために,両部材の主筋の応力を接合部コンクリートコアに確実に伝達する必要
がある.接合部のコンクリートコアは柱主筋とその横補強筋とで形成し,梁主筋をこの接合

部コア内に配筋するのが合理的であり,施工上実用的である.

梁にヒンジを有する接合部で,梁主筋が接合部柱コアの内側に配置された場合には付着力

および定着力の確保が比較的容易である.これに対して梁主筋の一部が柱主筋の外側に配置
された場合には,接合部にもあばら筋を配置したり,梁端にヒンジを有しない直交梁を配置

して接合部コンクリートを拘束することによって p 梁主筋の接合部における付着あるいは定
着を確保する必要がある.

梁主筋を柱コア内に配筋することは,一般的には柱幅よりも狭い梁が用いられるので,必

然、的に梁側面を柱面の内側に位置することになり,結果として梁と柱の偏心量を制限する効
果を含んでいる.例えば,梁幅が柱幅の半分の場合に梁側面を柱面より外側に出さなけれ

ば,柱軸と梁軸との最大偏心量は柱幅の 4分の l以内におさまる.

以上の理由から,梁の側面を柱の側面より外側に出さないことが計画上望ましいが,梁ヒ

ンジを柱面から隔離することを目的として柱幅より広い水平ハンチを梁に設ける場合などは

この限りではない.また,本指針では最上階および最下階の接合部や中間階の外柱接合部の

一部に柱ヒンジの発生を認めているので,これらの接合部の中では,梁断面に覆われない部

分の柱主筋の定着が問題となる.しかし,この部分の柱主筋は,カパーコンクリートがはく

落しても横補強筋によって拘束され,最上階や最下階では柱コア内に折り曲げ定着されてい

るか p あるいはフーチング等の余長部に定着長を有しているので,定着は確保されると考え

られる.当然,このような接合部では p 柱幅よりも広い幅の梁を用いることは問題とならな
し、.

i
i) 梁と柱が偏心接合している場合には,水平力に対して接合部と柱には互いに逆向きのねじ
7章 柱 梁 接 合 部 一 153-

りモーメントが作用しでねじれひび割れが発生し,剛性が低下する可能性がある.梁の柱に

対する偏心量が多ければ,接合部内の梁から離れた部分に伝達する応力が小さくなりせん断
抵抗に対する接合部有効体積が低減し,その結果,せん断耐力が低下するので十分に注意す

べきである.
本指針では偏心に関する制限を行っていないが,梁の両側面に,せん断に抵抗する有効な

範囲を想定し,その外側の部分を耐力上存在しないものとした設計を行っている.しかし,
偏心があれば柱にもねじりモーメントが発生するので,このねじりモーメントに対する柱の

設計が必要となる.一方,外柱で内側に梁が偏心している場合を除けば,各階のスラブがね

じりに対する拘束効果乏して働くので,偏心に対する検討は不要であるとする考えかたもあ

るが,柱軸と梁軸との偏心はできるだけ少なくするのが好ましい.
i
i) ディープビームによる接合部は,せいの高い細長い形状となるが,梁せい/柱せい =α を
i

.0
変数とした弾性応力解析によれば,柱軸に添う接合部内のせん断応力度の分布は, α =1 の

とき,最大値が接合部中央に位置する山形分布となり ,a= 1. 5~2.0 のとき最大せん断応力


度はほぼ均等な台形分布となり ,aが 2以上では上下の端部に最大値が現れるこ極分布とな
ることが示されている 7.2)α を 2以上にした実験的研究が限られているため定かで、はないが,

aニ 2
.0とした立体接合部の実験によればせん断破壊が上部に偏り,後述の接合部有効面積を
用いて求めた耐力時平均せん断応力度は, α が小さい場合に比べて 6~7 割程度に低下して

いる 7
.) 本指針では特に梁せいと柱せいの比に制限を設けないが,ディープビームの接合部
3

の設計ではこれらの性状に注意する必要がある 7.4)

i
v) 本指針 1
0章では,腰壁・垂れ壁・袖壁を設ける場合には,骨組の降伏ヒンジにおける曲げ
抵抗を拘束しないように,この位置に構造目地を設けて骨組から分離することを要求してい

る.しかし一方で,これらの壁によって梁あるいは柱の剛性が高まるため,腰壁・垂れ壁・
袖壁に局所的な構造白地を設けた場合には,目地近傍の部材の回転角が大きくなって,接合

部内への主筋降伏範囲が広まり付着力の劣化が生ずる可能性もあるので,接合部の付着耐力
の評価にはこれを考慮する必要があると思われるが,定量的な評価方法はまだ得られていな
し、
7
.5)

7
.2 せん断力に対する設計

7
.2.
1 設計の原則
柱梁接合部のせん断力に対する設計では,信頼強度 V
juが降伏機構保証設計用せん断力 V
jを
上回るように設計する.

(
1
) 接合部は隣接するヒンジ発生部材が発揮する上限強度と,非降伏部材に作用する応力とに
よって形成される骨組の降伏機構時の曲げモーメント・せん断力の組合せによるもっとも不利

な応力状態について設計する.接合部を設計する段階ではすでに予定するヒンジ位置が確定し
-154 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

ているので,各ヒンジでは上限強度が発揮され,これに釣合う応力が非降伏部材に生じている

ものとして設計応力を算定する.梁のヒンジ位置は接合部柱面に想定することを原則としてい

るが,梁主筋の接合部内での定着性能あるいは付着性能の改善のために,梁ヒンジを柱面から

梁中央部側へ離した位置に設けることがある.この場合にもそのヒンジでは上限強度に達して
いるものとして接合部の設計用応力を算出する.

ヒンジの上限強度は正モーメント時と負モーメント時では異なるのが普通であるから,左右

いずれの水平入力の方向に対しでも安全性が確保できるように,もっとも不利な応力状態を見
付けて設計すべきである.

設計に使用する隣接ヒンジ部材の上限強度は, 5
.4節に示しだ曲げ上限強度を用いる.すな
わち,1)鉄筋の規格降伏強度に対する実強度の割増し分と, 2
)主筋の降伏後の変形に伴ってス
ラプ有効幅が拡大し協力鉄筋が増大する効果等を考慮、して定める.

(
2) 梁降伏型接合部の設計用せん断力 Vjは解図 7
.1の記号を用いて次式で表される.
Vj=T +Cs
'十 C/- Vc
= T +T'-Vc 解7
( .1
)

C; I T ; Iム
c T ←L
G 」Z

円三転 弓

〆'ーーーーーーー
(
i-ー
t
1
.
E M

ーーー
c
c
司司ー

¥、』ーーー一-
c
s
一V一~I Cs

解図 7,1 接合部のせん断力

ト形外柱接合部では Cs
'十 C/=T'ニ Oとする.柱せん断力 Vcの値は,上下柱の平均モーメ
ント勾配を用いるものとし,左右の梁ヒンジが上限強度に達した時の梁端モーメントとの釣合

いから次式で求められる.

(lh._ l h._¥
Vc=2I
¥,L
.0.
M ,,
"b+.0M
L .

V-bI/(lc+l/)
V )
解7
( .
2)

ここに ,Mb,M
b' 左右の梁端モーメント
h,l
b
' 左右の梁のスパン長さ

L,L' 左右の梁内法長さ

l
c,l
/ 上下の柱の長さ
したがって p 最上階では ,Vc= 0として求まる Vjを用いれば接合部は安全側の設計になる.

柱降伏型接合部では,柱ヒンジの上限強度から接合部の設計せん断力が定まるので,解図

7
.1で梁応力を柱応力に読み代えて Vjを算出すればよい.地下階がある l階柱脚の接合部で
7主 柱梁接合部 -155-

は,地下階柱は非ヒンジ部材として設計されているのでその柱頭応力と 1階柱脚の上限強度を

jを算出することになる.最上階あるいは最下階の T形接合部では,解図 7
用いて V .1に示すト
形外柱接合部の梁と柱とを入れかえたものと考えればよい.柱には軸力が存在するので,柱端

部には圧縮応力として付加されるが,接合部せん断力は隣接部材の曲げモーメントとせん断力

とから求まるので,軸力を無視してよい.また,柱では一般に引張側と圧縮側の両最外縁筋の

間に中間筋が存在するので p その応力を Tおよび Cs


'の算定時に考慮すべきであるが,それら
の応力レベルは予測されるヒンジ部の回転角に従って推定することになろう.このようにして

求まるせん断力は接合部の鉛直せん断力 V
jvである.水平せん断力 V
jhに換算する必要がある
場合には,近似的に次式を用いてよい.
V円 j
v会 ( 解7.3)
ここに V
jv:鉛直せん断力, Db:梁せい ,D:柱せい.
(
3) 1階の柱梁接合部を含む地上階のすべての柱梁接合部が設計の対象となり,柱の設計と同様

に二方向の水平力が同時に作用する応力状態に対して設計することが望ましい.二方向入力時
の接合部せん断力は,両方向に降伏機構が同時に形成された時の合成力として評価され,一方

向入力時より大きな値になる.接合部についても柱と同様の手法を適用して設計することが望

ましい.

一方,接合部の任意方向せん断耐力算定に関する研究は多くない.特に,梁や柱の降伏前に

接合部をせん断破壊させて耐力を求めた研究は極めて限られている.立体十字形内柱接合部の

45度方向に繰返し加力を行った実験結果では,解図 7.2に示すように柱の作用軸力が小さい場
合には主軸(梁軸)方向のせん断耐力より増大し,作用軸力が大きい場合(実験では σN/
σB=
0.2
) には増大が見られなかった 7.6) 柱における任意方向のせん断耐力は,断面の両主軸
方向のせん断耐力を用いただ円補聞によって算定できることが明らかにされているが,これを

接合部にも適用できるとすれば,少なくとも柱の曲げ強度にみられる 2軸方向の耐力低減を接

合部においては考える必要はない.しかしながら, 2方向地震力の同時性による応力の割増し
を考慮、しないで各梁方向の応力に対して個別に設計することは任意方向に対する安全性を確認

しないことになるが,梁降伏後の繰返し加力によって接合部をせん断破壊に至らしめた幾つか
の実験では,直交する 2つの梁方向それぞれに単独に加力した場合に示した耐力および変形能

力と, 4
5度方向に加力した場合に各梁方向成分が同時に示す性能と,ほとんど変わりない結果
が得られている 7
.) すなわち,せん断耐力にゆとりがあれば¥各梁方向だけで設計しうる可能
3

性を示している.接合部の任意方向のせん断耐力に関してはこれからの研究成果の蓄積を待た

なければならないが,これまでの成果を総合的に判断して,接合部の平均せん断応力度に上限

値を設けることで各梁方向ごとに応力の割増しを考慮せずに設計をすることを認めるものとす

る.

これとは別に,上下左右とも構造壁に取り囲まれている接合部には大きな力が作用しないの

で,この壁面内方向での検討は不要である.また,耐震壁の側柱内にある接合部のように構造

壁に接している接合部は,この壁面内方向の水平力に対しては側柱の一部として設計し,ヒン
-156一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

ジの発生を予定する隣接梁の主筋の接合部内における定着の検討のみを行えばよいと考えられ

るから,直交方向の応力に対してはこれらと独立に設計じてよい.

2
2.5。 4
5。
σN


UB
=0.2

σN
σB -V 実験値
CQ 記号

3100 平面骨組
立体骨組

--ーは本指針によって算出した
せん断強度の円補間および
矩形補間計算値

解図 7
.2 接合部のせん断強度 2軸相関図

7
.2.
2 接合部のせん断強度
接合部のせん断強度 Vjuは (
7.1)式による.
jDj
Vju=κσ B b (
7.1
)
ここに, κは接合部の加力方向形状によって定まる係数で,十字形内柱接合部では 0
.30, ト
形または L 形外柱接合部では 0.18 とする • Djは柱せいまたは 9
0度折曲げ筋水平投影長さ, σB

はコンクリートの圧縮強度とする .bjは接合部有効幅で, (
7.2
) 式による.
l+
bj=bb+ba ba
2 (
7.2
)
ここに ,b
bは梁幅 ,b
aiは bi/2または D/4の小さいほうとする.ここに ,b
iは梁両側面から
これに平行する柱側面までの長さ ,Dは柱せいである.

接合部のせん断強度は,接合部の形状ごとに設定した平均せん断応力度の上限値に有効断面積を

乗じて求まるせん断強度を基本とする.
(
1) 柱梁接合部のせん断抵抗機構に関しては幾つかの考え方があるが,その lつにコンクリート
ストラット作用とトラス作用との組合せによる抵抗機構の提案がある 7.7) これは本指針の梁・

柱のせん断強度算定式の論拠となっているアーチ作用とトラス作用とにおおよそ対応するもの

である.せん断力を受ける接合部におけるコンクリートストラット作用は,梁端と柱端の曲げ

モーメントによって生じる一対の接合部隅角部圧縮域を結ぶ対角線上の斜めコンクリート圧縮

束を介して伝わる応力伝達作用であり, トラス作用は縦方向および横方向の補強筋と部分的な

斜めコンクリート圧縮束とを介して伝わる応力伝達作用である. トラス作用は接合部内の主筋

の付着力に依存しているので,接合部に隣接する部材の降伏によって接合部内の主筋の付着弛
7章 柱 梁 接 合 部 -157-

緩が生ずると p トラス作用によるせん断力の伝達割合が変化することになる.しかし,これま

での実験によれば接合部のせん断強度に及ぼす接合部横補強筋の影響はあまり大きくなく,主

として斜めコンクリート圧縮束の破壊によってせん断強度が決定している.したがって,本指
針ではコンクリートに作用するせん断応力度を制限することによってせん断破壊を防ぐ方法を

採用している.
1
966
年から 1
988年まで、に国内外で、行われた十字形内部柱梁接合部の実験資料のうち柱・梁の
降伏前に接合部がせん断破壊した試験体(以下, Jタイプと称す:図中 A 印)24体と,梁端部の
降伏後の繰返し加力によって接合部がせん断破壊に至った試験体(以下, B
Jタイプと称す:図
中O印) 44
体との合計 6
8体の実験結果を整理して解図 7.3に示した.同図の縦軸 τjuは,接合部
平均せん断応力度で,本項 7
.2.
2に規定するんとあの積を有効断面積として最大耐力時の値を
算出した. Jタイプのめは結果的にいずれも柱幅と梁幅の平均値となった.横軸は試験体のコ
2
ンクリートシリンダー強度 σBで、ある.全試験体の σBは 1
00'
"'-
'55
0kgf/
cm の範囲にあるが,
2
このうち Jタイプの試験体の σBは 1
00'
"'-
'40kgf/cm の範囲にあり, τjuの下眼値はおおよそ
0
0.30σBと見なせる. B
Jタイプの耐力は梁の曲げ終局強度で、決っているが, Jタイプの rjuの下
限値 0.30σBより小さな接合部せん断応力でも変形の増大に伴ってせん断破壊を生じている.
しかし,このせん断破壊は少なくとも最大耐力時の変形か,さらに大きな変形で発生している
と考えられるから, B
Jタイプの試験体で最大耐力時層間変形角が報告されているもののうち,
梁のシアスパン比が著しく小さし、 1体を除けば,いずれの変形角も 1/50以上の値を示してい

2
00

.
. J破 壊 210 360
oB
J破 壊 本指針の適用範囲

1
50
NEυ¥
百ぷ)

u
nU

O
O O
O
50
大和田式
ρj
是石式 ( h
=O)

O
1
00 200 300 400 5
00 600
2
σB (kgf
/cm)

解図 7
.3 十字形内柱接合部平均せん断応力度ーコンクリート強度関係
-158 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

るので,本指針で想定する部材の保証変形を上回る変形能力を持っていることが期待できる.

したがって,接合部には Jタイプのせん断破壊耐力を上回るせん断力が生じなければ,せん断
破壊を防ぐことができる.

同図のせん断強度にはせん断補強筋の効果もあるが,いずれの破壊形式でもコンクリート強

度の増大に伴って接合部の終局強度も増大する傾向が認められる.図中にはこれまでに提案さ

れている接合部パネルの終局せん断強度推定式を合わせて示す.ただし,提案式で、は Djに柱応
力間距離 }cを用いているために,接合部有効断面積の評価が本指針とは異なり同図に直接記入

できないが,試験体の平均的 }cを0.9D'7/8と仮定し換算して記入した.このうち上村式に
はせん断補強筋 tjhの項が含まれているので,図で、は tjh= 0としてコンクリートの負担項のみ

を取り出して示した.いずれの式もコンクリートの高強度域で過小に耐力を評価している.
(
7.1)式はこれらを考慮して定めたもので,せん断破壊はストラットコンクリートの圧縮破壊
によって生ずるものと考えて,せん断強度を σBVこ比例するものとした. Jタイプ 2
4体の τjuの
σBに対する関係は,平均値で 0
.34
5σ B,変動係数は 0
.05
1となった. (
7.1)式中の κには 0
.3
を提案しているが,この値は上記の平均値に対するばらつきを正規分布と仮定すればおよそ

80%合格率に相当する.
ト形外柱接合部についても十字形内柱接合部と同様に,接合部にせん断破壊を生じた試験体
の実験結果を整理して解図 7
.4に掲げる. ト形外柱接合部の実験例は決して少なくないが,こ
のうち Jタイプはわずかに 5体で BJタイプは 7体に過ぎず,その他は梁主筋の接合部定着破壊
と梁の曲げ破壊であった.したがって,統計処理によって検討するためには極めて少ない資料
数ではあるが, Jタイフ。試験体の τjuの σBVこ対する関係を求めると,平均値は 0.194σ B,変 動
係数は 0
.01
3となった.式 (
7.1)中の κの値として提案した設計用上限値 0
.18は,平均値に対
するばらつきを正規分布と仮定すればおよそ 80%合格率に相当する.

80
L
. J破壊 I 0 平均{直 r
ju=0.194σB

6
0
。 r
ju=
O.8σ
1 B

¥¥
b
o 40
E
ι
J
区T O O

/


ー,

互い

2
0

O

/ ー用範囲捌 1
00 2
00 3
00 4
00 5
00
2
びB (
kg f
/cm)

解図 7.4 ト形内柱接合部平均せん断応力度一コンクリート強度関係
7章 柱 梁 接 合 部 -159

上記の十字形内柱接合部とト形外柱接合部の実験資料を用いて, 1次回帰式を求めるとそれ
ぞれ τju=0.249σB+1
9.2 および τJU 0
二 .10
5σ B+21
.9となった.本指針では,接合部せ
ん断強度をコンクリート強度 σBに比例するものとして 2つの接合部形状に対して,それぞれ

に比例定数 κを定めたが, 1次回帰式の係数から判断すると,本法はコンクリート強度が高く


なるほど合格率が低くなる傾向を持つことが分かる.接合部せん断強度を比例定数 κで表した

のは設計式を簡便化するためであり,本指針で適用できるコンクリート強度の上限が 360
2 2
kgf/cmであることを念頭において κの値を定めていることに注意し ,360kgf/
cm を超え
る強度のコンクリートにこの κを用いてはならない.

(
2) 接合部有効断面積を求める際の接合部有効幅 b
jおよび接合部有効せいあの算出は次のよう
に行う.有効幅 bjは,梁の左右に柱の協力幅を求めて,これに梁幅に加えた値とする.協力幅

は,解図 7
.5を参照して,梁の左右の側面(添え字 lと 2で左右を区別する)とこれに平行する
2とし,それらの 2分の lと柱せい Dの 4分の lを比べ
左右の柱面まで、の距離をそれぞれあと b

て左側と右側とでそれぞれ小さいほうの値を協力幅 bal,ba2とする.言い換えれば,有効幅は柱

幅と梁幅の平均値を基本として,梁の側面から角度 1/2の範囲で接合部内に応力が有効に伝
達すると考えて D/4を協力幅の上限にしていることになり,柱幅に比べて極端に梁幅が小さ
い場合や,梁が柱に偏心している場合に,梁から遠い位置の柱断面の一部が接合部のせん断強

度に協力しないことを考慮、したものである.この方法によれば,正方形断面柱とその一辺の 2
分の l以上の幅を持つ梁との組合せでは,梁の偏心量に関わらず梁幅と柱幅の平均値で定まる

が,梁幅が柱幅の 2分の l以下となる場合や長方形断面柱の長辺に梁が取り付く場合の協力幅

は D/4で定まることが多い.なお,梁幅あるいは柱幅が相互に異なっていたり,梁が相互に
偏心している場合など不整形な接合部形状についての検討資料が極めて少ないので,今後の研

究によって明らかにされる必要があるが,基本的には圧縮ストラットの形成のされ方を立体図

上で理解し,これに上記の考え方に基づく協力幅を想定してよいと考えられる.例えば,接合
部を挟む 2つの梁 l bとして (
隔が異なる場合には,両者の平均値を b 7.2
) 式が適用できょう.

解図 7
.5 接合部の有効幅
-160一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

有効せい Djは十字形内柱接合部で、は柱せい Dを用いる.従来,わが国の接合部に関する研究

では有効断面積の評価に用いる接合部のせいには,軸力を無視したさいの柱応力間距離 }cを使

用するのが一般的である.これは柱梁のせん断強度の算定法に準じたものと思われる.しか
し,接合部のせん断強度は,上述したように,主として対角線圧縮ストラットコンクリートに

依存していると考えられ,この圧縮力は接合部に隣接する梁および柱端の圧縮縁から伝達され

るので,梁降伏型が計画された接合部では圧縮ストラット水平長さを有効せいとみなすのが合

理的であり,計算も簡明である. ト形および L形外柱接合部の有効せいには, 9


0度折曲げ筋の
接合部内水平投影長さを用い,鋼板定着による機械式定着法を用いる場合には,梁端部から鋼

板位置までの水平長さを用いる.これは十字形内柱接合部と同様に接合部内に生ずる圧縮スト

ラットの水平長さを有効せいとする考え方による.

柱降伏型接合部では接合部せん断力算定時と同様に,柱と梁を入れ換えたものと考えればよ
い.すなわち ,b
jの定義は変わらず ,Djに十字形内柱接合部で、は梁せいを用い, ト形外柱接合
部では柱主筋の垂直投影定着長さを用いる.
通し配筋された十字形内柱接合部で、は降伏型の差異に関係なく,降伏ヒンジの上限強度から

求まるせん断力に対する接合部せん断強度の検討を行えばよい.しかし,柱降伏型のト形接合
部あるいは梁降伏型の T形接合部のように,折曲げ定着された部材に降伏ヒンジを持たない接

合部で折曲げ定着長さが短い場合には,折曲げ定着によるせん断強度がそれと直交する通し配

筋によるせん断強度より小さくなることがあるので,両者の検討が必要になる.
(
3) 直交梁の接合部に対する拘束効果については,加力を受けない直交梁を有する接合部骨組の

一方向加力実験から,接合部のせん断耐力や剛性を高める効果のあることが以前より知られて
いる.解図 7
.6は直交梁被覆率 λと強度増大係数戸との関係を示す実験結果であり 7.8) 戸は直

交梁のない十字形内柱接合部終局せん断応力度に対する直交梁を有する接合部終局せん断応力

度の上じである.両者の関係は図中に実線で示した 2次式で近似できる.

しかし,実際の建物の接合部は,地震時に二方向からの水平加力を受けるので,梁降伏型の
骨組では直交梁の端部にも降伏ヒンジが生じ,接合部コンクリートに対する直交梁の効果が低

減することも,最近の二方向加力実験によって明らかにされている.本指針では梁降伏機構を

1
.8

1
.6ト f (
3
λ十 0
.
2次曲線回帰式)
2
2
7A

勺 .4ト
1 │
何十 0.3A
-ノイ .
λ

解図 7
.6 直交梁被覆率と接合部せん断強度増大率
7章 柱 梁 接 合 部 -161一

前提としているので,一般的には直交梁による耐力増大は認められないが,内柱接合部におい

て直交する 2つの梁がともに梁降伏ヒンジを持たないか,柱面よりヒンジを離すことによって

想定変形時にも柱面での梁筋の降伏が生じないことが確認されている場合に限れば p 次式を用

いて直交梁の被覆率入に応じたせん断耐力の増大を認めてよいと考えられる.

戸=1+0.3λ 解7
( .
4)
ただし, λ =L (
bLb・DLb)/2 (Db.D)
ここに ,b
Lbは直交梁の幅 ,D,Db,D
Lbはそれぞれ柱,梁,直交梁のせいである.ただし,直交
梁のせい D
Lbが設計方向の梁のせい Dbよりも大きい場合の被覆率の計算には D
Lbの上限値と
して Dbを用いる.また,直交梁が片方にしかない場合にはその補強効果は顕著でないので強度

解7
増大を認めない. ( .
4)式は,解図 7
.6中に破線で示されるように,ばらつきのある実験結果
の下限に近い値を示すもので,平均値に対して安全側に評価している.
本指針の本文中の (
7.1)式では直交梁の強度増大効果を考慮、していないのは,上述したよう
にその適用範囲を直交梁が接合部の隣接端に降伏ヒンジを持たない場合に限ったため,梁降伏
型を基本とする骨組内の多くの接合部では適用外となり,その効果が期待できないことが予測
されるためである.しかし,直交梁を有する内部柱梁接合部試験体を用いて,その直交梁に降

伏変形を上回る部材角 1/75の変形を 2回繰り返して与えた後の接合部せん断耐力は,直交梁


のない接合部耐力より大きく,スラブが付加されるとさらに接合部耐力が増大した実験報告が
あり 7.9) ヒンジを有する直交梁であっても作用する応力レベルがあまり大きくなければ強度増

大効果の可能性も残されている.したがって,直交梁の応力レベルと(解 7
.4)式の適用範囲と
の関係については今後の研究成果によって判断するところが多いので,設計時に予測する変形

量の範囲で直交梁の強度増大効果が実験等で確認されれば(解 7
.4) 式の Pを用いなくてもよ

、.

参考として,諸外国の規定のうち A
CI3
18-
83では,接合部の 4方向ともにそれぞれの柱面の
4分の 3以上を覆う梁が接合している場合には拘束効果があるものとみなして,この条件を満
たさない接合部の 4/3倍のせん断耐力を用いることを認めている 7.10) また逆に, NZS3
101
では一切の強度増大を認めていなし、 7.11)

7
.2.
3 横補強筋
接合部の横補強筋比 tjhは 0
.00
2以上かつ (
7.3
) 式の関係を満足するものとする.
N 孟0
.00
3Vj
/Vj
u (
7.3
)

(
1
) 接合部の横補強筋によるせん断耐力への効果は,近年の研究ではあまり大きくないものと考
えられている.解図 7
.7は前述の十字形内柱接合部試験体のうち接合部が梁降伏前にせん断破
壊した jタイプのものについて,縦軸に耐力時せん断応力度をコンクリート強度で除した値

て j
u/σBをとり,横軸に横補強筋比とその降伏強度の積 tjhσyをとったもので,実線で相互に
結んでいる試験体は同ーの研究者による実験結果のうち,横補強筋比のみを変化させて tjh σy
-162 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

0
.5

b-A
0
.2 一一」一一一一
AU
'EA
内り

2
0 4
0 8り

Pjh ・ σy (kgi/cm2)

解図 7
.7 十字形内柱接合部平均せん断強度に及ぼす横補強筋の効果

の効果を検討したものである.一部に tjh σyの増加に伴って強度が増大している場合も見られ

るが,総体的には横補強筋の強度に及ぼす効果は認め難い.本指針では,横補強筋の役割は接

合部への強度増大と考えず,接合部の剛性を確保しヒンジ部の変形能力を高めるのに効果があ
るものと考え,そのために接合部せん断強度 Vjuに対する設計せん断力 Vjの割合に比例して横

補強筋の必要最小量を定める方法を用いている.
諸外国の規準には,本指針で定めた横補強筋量よりも大きな値を要求しているものも見られ

るが, 0.3%を大幅に超えるあihを帯筋のみで確保することは難しく,わが国の接合部周りの慣

例的施工方法に対して接合部にも帯筋等の使用を要求することは困難であろう. これらを考慮

して,最少横補強筋量を 0.2%,せん断強度相当応力時には 0.3%とした. しかし,横補強筋の

役割については不明な点が多く,柱軸力あるいは主筋の付着性能との相乗効果,隣接ヒンジの

要求変形能力, ト形外柱接合部における折曲げ定着耐力などとの関係が解明されれば,合理的

な算定方法が確立されるものと考えられる.
(
2) 本指針では接合部の縦補強筋の算定を求めていないが, これは柱に 4本のコーナ一筋のみが

配筋されることはあり得ず,各柱面の中間に少なくとも l本以上の中段筋が使用されているこ
とを想定しているからである.縦補強筋の接合部せん断強度に及ぼす効果についてはまだ解明

されていないが,梁降伏型ト形外柱接合部の実験的研究では,横補強筋と縦補強筋とがパラン

スよく配筋されている場合および軸力が大きい場合には梁降伏後の接合部せん断破壊を防ぐ効
果のあることが確認されている 7.12) これらの理由から,柱降伏型接合部では鉛直方向せん断

力 Vjvの鉛直方向せん断強度 VjuvVこ対する割合から求まる縦補強筋比 tjvを横補強筋比 tjhとみ

なして水平方向に配筋する必要がある.ただし,梁降伏型の接合部における柱中段筋には少な

くとも大きな引張力が作用していないので,接合部の斜めひび割れの拡幅に抵抗し得るが,柱
7章 柱 梁 接 合 部 163-

降伏型の場合には柱中段筋にも柱端部から大きな引抜力が加われば,接合部のせん断補強効果

が期待できなくなる可能性がある.この場合には水平方向の横補強筋量を割り増すなどの処置

が必要となろう.

7
.3 梁および柱主筋の定着

7
.3.
1 定着の方法
梁端に降伏ヒンジを計画する接合部における梁主筋は,原則として,柱コア内の通し配筋ま
たは柱コア内への折曲げ定着とする.梁および柱の主筋の接合部への定着長さを算定するため
の危険断面位置は,それぞれ柱面および梁上下面とする.

(
1
) 接合部の配筋は,内柱では梁筋を通し配筋とし,外柱では折曲げ定着とするのがもっともー
般的である.梁に降伏ヒンジを計画する場合には,梁筋の降伏が接合部内に進展して付着劣化

を生じ,エネルギー消費能の小さな履歴性状となりやすいので,付着劣化が少ないことが望ま
しい.接合部内での梁筋の付着劣化を防ぐには,コンクリートが拘束された柱コア内に梁筋を
配置することと,付着応力度に上限を設けることが重要である.後者については, 7
.3.
2およ
び7
.3.
3で規定する.
外柱では通常折曲げ定着とすることが多いが,わが国の慣例的施工方法では,柱および梁ス
ラプのコンクリートを一度に打設するために梁の下端筋を曲げ下げるのが普通である.しか

し,折曲げ鉄筋の内側を接合部内に向ける方が梁筋の応力を合理的に接合部に伝達させること
ができる.またコンクリートの打設高さが大きいとその底部では強度が高まるが,頂部では強
度が低下する.このため,柱および接合部を一度に打設する慣例的方法では,接合部のコンク

リート強度はもっとも低くなっているので,欧米で行われているように柱と梁スラブとは分け
て打設するのがコンクリート強度の面から望ましく,梁の下端筋は必然、的に曲げ上げることに
なる.

(
2
) 梁主筋が引張力を受けると接合部の柱コア外側のカバーコンクリートが板状にはく離した
り,それぞれの梁主筋の周りがコーン状に抜け出すと,柱面近傍の鉄筋の定着能力が失われる

ので,早期にこのような状態が生ずるのであれば,定着長さの算定は柱コアの外面を基準にし

て設計する必要がある.また,梁主筋が圧縮力を受ける場合には,定着能力の劣化は引張力を
受ける場合に比べて遅くなることが確認されている.

しかし,カバーコンクリートのはく離や,鉄筋の降伏後の付着劣化の推移は,梁主筋・柱主

筋・横補強筋の間隔その他の影響を複雑に受けて一義的に確定しないので,本指針では柱面を
危険断面とする慣用的方法を用いる.
-164一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

7
.3.
2 折曲げ定着
定着長さは 9章の規定に従う.折曲げ角度は 9
0度として柱せいの中央より外側に設ける.
余長部は接合部内へ配筋する.

(
1) 9
0度折曲げ鉄筋によって定着されたト形外柱接合部の水平加力実験では,定着破壊と接合部
せん断力破壊との区別は試験体表面のひび割れ性状のうえで必ずしも明確ではないが,定着破

壊では鉄筋折曲げ部内側コンクリートの支圧破壊や割裂破壊が生じていることが確認されてい

る.定着破壊が起きると条件によっては急激な耐力低下が生じたり,極めてエネルギー消費能
に乏しい履歴性状を示すので,定着破壊は防がなければならない.

必要定着長さは 9章に従って定める.近年の研究では,定着耐力は折曲げ部を含む鉄筋の水

平投影長さと関係し,鉄筋径 dbの 1
2倍以上の鉛直余長部分は定着耐力に関係しないとされてい

る.したがって,折曲げ部をできるだけ外側に配置して水平定着長さを大きくとり,その折曲

げ開始位置は少なくとも柱せいの中央より外側に設けるのがよい.

折曲げ定着耐力は各種の要因の影響を受けるが,柱梁接合部では影響要因となる定着筋折曲
げ半径,コンクリートかぶり厚などの諸数値の選択幅が規制されて,定着耐力が制限される場

合があるため,これを考慮した耐力算定法が設計上有用となることがある.折曲げ定着耐力の

算定法に関する提案式は幾つかあり,鉄筋の水平部と折曲げ部との定着耐力の和で表している

ものが多いが,次式は,梁降伏後に接合部内の水平鉄筋の付着劣化が比較的早期に起きるもの
と考えて,折曲げ部の支圧応力がコンクリートの支圧強度 fbearに達した時を定着耐力 Pとして
評価したものである 7.13)

p =ω .db・fbear• s
i ・ h/(h-j
n{
} ) 解7
( .
5)
ただし, ω =sf2• rcos (π/4-{})
}
{ =tan-1 (ldh/j)
l
dh =lJ十 r十 db
戸 (r/3db)-0.84
f
ber=
a αrr
;J;
;
α 二 16.1Co/db
r =1+30As/ (
ll• s
)

db :鉄筋径 h :柱支点間距離
r :折曲げ半径 σB コンクリート強度
:のみ込み長さ As :横補強鉄筋断面積
S :横補強筋間隔 1 :梁応力間距離
C 。:鉄筋心までの柱側面コンクリート被り厚
なお,上式中の単位はすべて kg,cmである.

これによれば7
3個の試験体の計算値に対する実験値の比の平均値は 0
.95であり,変動係数は
7章 柱 梁 接 合 部 -165-

p
+
=-


、..
s:=

解図7
.8 定着機構模式図

0
.18である.上式を用いて各種の影響要因を考慮した定着耐力が推定できるが,これは最外縁
筋を対象として求めた式で、あり,中間筋を含む群効果や多段配筋に対して検討の余地が残され
ている.

(
2) 現在もわが国では外柱接合部における梁下端筋の折曲げ余長部は下柱の頭部に配筋するのが

一般的であるが,このように配筋されたト形接合部試験体の水平加力実験では,下端筋に引抜
力が生ずる正曲げモーメント時の耐力は負モーメント時の耐力に比べて小さく,その多くは定
着破壊を生じてエネルギー消費能の少ない履歴性状を示している 7.14) 折曲げ余長部を柱側に

配筋した場合には,折曲げ筋の内側から伝わる圧縮力の反力に耐え得る横補強筋が柱頭になけ

れば定着破壊が生ずるのに対して,折曲げ鉄筋の余長部を接合部内へ配筋することにより,折
曲げ部の圧縮力を接合部コンクリートストラットを介して梁端部の圧縮域に確実に伝達できる
ものと理解されている.

一方,上端筋と下端筋をともに接合部内に折曲げると鉄筋量が多い場合には極めて混んだ配

筋となるが,これを解決するために両者の余長部を連続させた U字形配筋法などが提案されて
いる 7.15) また,なんらかの理由で余長部を接合部外に配筋する場合や,接合部内で十分な水平

投影定着長さを確保できない場合に,折曲げ部の圧縮力に抵抗できる横補強筋が折曲げ部の内
側近傍にあれば,この横補強筋を介して背面側に応力が伝達されるので,せん断破壊や定着破
壊を防ぐことができるとする報告がある 7.16)

柱コアの外側カバーコンクリートは比較的容易にはく離しやすいため,余長部が外側の柱筋

と同一位置に配筋されている場合に p 定着力を失うことがある.この点に注目した研究が少な
-166- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

いため,余長部の背面側の必要コンクリート被り厚について本指針では規定していない.梁主

筋に圧縮力が加わった際に折曲げ部の背面コンクリートが柱筋と柱筋との間でパンチングシア

破壊した実験例から,柱筋間隔を超える被り厚を柱筋と余長部縦筋との聞に設けた実験によっ
て定着破壊を防いだ試験報告がある 7.17) この場合でも,余長部鉄筋近傍の柱筋は帯筋や副帯筋

などで内側に拘束されていることが望まし~、.柱せいに対して必要水平投影定着長さを確保す

るのにゆとりがない場合には,背面被り厚よりも定着長さをできるだけ大きく確保することを
優先するのがよいと思われる.

7
.3.
3 通し配筋
接合部両端に降伏ヒンジを計画する梁または柱の主筋を接合部内に通し配筋する場合 p 繰返
し荷重によって顕著な剛性低下やスリップ性状を生じないように主筋径と柱せいまたは梁せい
の関係を定める.

(
1) 通し配筋された梁主筋の接合部内の平均付着応力度 τaは,接合部両柱面での鉄筋の応力度

の差を A σs,鉄筋断面積を as,鉄筋周長をゆ s とすれば,

τa- αs.L
1σs/D'ゆs 解7
( .
6)
で表される.ここで、ぬとムを鉄筋径 d
bで置き換えれば
九 二 A σs'd D
b/4 解7
( .
7)
となり,鉄筋径と柱せいとの比で表すことができる.終局時における梁降伏型の接合部では,

引張力を受ける梁筋は降伏応力度に達するのに対して,圧縮力を受ける梁筋は複筋比などの条

件によっては必ずしも降伏応力度に達しない.しかし,引張筋と圧縮筋がともに降伏する場合

を想定すれば,接合部両端の梁主筋最大応力度差は主筋の上限強度算定用強度 σy
uを用いて,
4σ s=2σy
uと表される.また,付着応力度 τsの最大値として付着強度をとり,付着強度は
コンクリート強度の平方根に比例するとすれば, τaニ γ ra;と表される.これらを(解 7.7)
式に代入すれば次式が得られる.

D/db=σy
u/C2r r
a;) 解7
C .
8)
ここで, μ =2rとおけば設計式として次式を満足する必要がある.
D/db孟 σy
u/μ ra; 解7
.9)
本指針では上式中の μを特には規定していない.降伏ヒンジで挟まれる接合部内の鉄筋の抜

け出しをほぼ完全に防止するためには,後述するニュージーランド規準などの値が参考になろ

う.しかし,わが国で使用されているコンクリートおよび鉄筋の強度,鉄筋径,柱寸度のある

範囲の組合せでは, 7
.1で、述べたように梁主筋の抜出しを完全に防止することは難しく p ある

程度の付着劣化を許容せざるを得ない.

接合部内の梁主筋の付着劣化と梁主筋の抜出しによって,エネルギー消費の少ない逆 S字形
の履歴性状を示すことになるが,これに伴って, i)履歴エネルギー消費能が低下するので応

答が大きくなる, i
i)極端な場合には,梁降伏前に抜出しが過大になる, i
i)梁端回転角が大き
i
7章 柱 梁 接 合 部 167-

くなりコンクリートの圧潰が早まる, i
v)梁主筋の抜出しは補修が困難である,などの問題が
生ずる.

しかし,接合部内の梁主筋の付着劣化は一般に変形の増大に伴って徐々に発生し,仮に接合
部内の付着が完全に失われでも梁内のどこかで定着が確保され,また梁端部のコンクリートの

圧潰が生じないよう十分に拘束されていれば,急激な耐力低下は起きないことが期待できる.
.1)スリップモデルを用い
履歴エネルギー消費能と応答の関係については検討した研究では 7

た骨粗の地震応答計算によって,部材の履歴エネルギー消費能の低下の応答に与える影響が小

さいことを確かめたうえ,層間変形角 1/50の時に等価粘性減表係数 heq=0.1が確保できるこ

とを付着劣化の限界条件として ,heqと主筋付着指標 τs [=σ yu・db/2D] との関係を実験結


果から求め, μ=10.0 を提案している.ここで,注意しなければならないのは,履歴エネル

ギー消費能が低下しても,最大応答変位はあまり変化ないが,大振幅での繰返し回数は多くな
ることである.

(
解7.
9) 式に μ=10.0 を適用した場合の必要最小柱せい Dとd
b, σyu, σBとの関係を解表
7
.1に例示した .σyには保証設計用応力時の主筋の応力度で上限強度算定用の材料強度を用い
ている.

解表 7
.1 D/db孟 σyu/10 r
c
r:
;による最小柱幅 D (cm)
SO35 022 025 029 032 035 038 D/db
σB=210 67 76 88 97 10
6 11
5 30
.2
240 63 71 82 91 9
9 10
8 28
.2
270 59 67 78 86 9
4 10
2 26
.6
300 56 64 74 81 8
9 9
6 25
.2
330 53 61 70 78 8
5 9
2 2
4.1
360 51 58 67 74 8
1 8
8 2
3.1

S040 022 025 029 032 035 038 D/db


σB=210 76 87 10
1 11
1 12
1 13
2 34.5
240 7
1 81 9
4 10
4 11
3 12
3 32.3
270 6
7 77 8
9 9
8 10
7 11
6 30.4
300 6
4 7
3 8
4 9
3 10
2 11
0 28.9
330 6
1 6
9 8
0 8
9 9
7 10
5 27.5
360 5
8 6
6 7
7 8
5 9
3 10
1 26.4

2
[注] Dの端数は切上げ,材料強度 SD3
5:σ yu=1
.25x3500=4375kgf/cm
2
SD4
0:σ yu=1.25x4000=5OOOkgf/cm

同表によれば太径鉄筋を用いた場合に柱寸法が実用的範囲を超え,全体に現行の規準に基づ

いた設計で、用いる鉄筋径と部材断面寸法との組合せが厳しく制限されていることがわかる.こ

れは鉄筋強度に上限強度を用いたことによる結果であり,降伏機構を保証するための処置であ

る.したがって,同表の関係を用いて設計することを推奨するが,現実的な運用のために次の
ような理由で若干緩和できると考えられる.すなわち ,i)上限強度が発揮される場合には,骨

粗の耐力が上昇するので応答変位は減少する, i
i)付着劣化に伴う危険度がせん断破壊等の耐
-
168一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

力低下より問題が少ない, i
i)骨組全体として(少なくとも各層の中で〉平均的にある規準値が
i

確保されれば一部の接合部ではこの値を超えることが許される,などであるが,当面 μ=12.5

までを限度として緩和的運用を認めることになろう.したがって解表7.1の Dに 0.8を乗じた値

を下限値として用いてよい.

(
2) 通し配筋に関する諸外国の規定を参考に示す. ACI-ASCE352委員会勧告では,鉄筋強度に

かかわりなく部材せい D (梁せいまたは柱せしうの主筋径 dbに 対 す る 比 を 20以 上 と し て い


る7.
18. NZS3
) 101では接合部に接した降伏ヒンジの有無と柱・梁の相違とを区別して 275
級(規
2 2
格降伏強度 2800kgf/cm相当〉と 380級(同 3920kgf/cm 相当〉の 2種の鉄筋についてつぎの

ように規定している.特に NZSの場合は接合部からの主筋の抜出しを制限するための厳しい

規定となっている.

解表 7.2 ニュージーランド規準による D/db


D/db 380

隣接降伏ヒンジ ミ25
非隣接降伏ヒンジ ミ2
0

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本建築学会大会学術講演梗概集, 1976.10~1979.10 などがある
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験的研究,日本建築学会近畿支部研究集, 1
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l61 1
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7
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ASCE Committee 3
52:Recommendations f
orD
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gno
f Beam-
Column J
oin
tsi
nMo
nol
ith
ic
R
ein
for
cedC
onc
ret
eSt
ruc
tur
es,ACIJ
our
nal,Vo
.18
2,No.5,1
985
.5
-170

8章 基 礎 構 造

8
.1 設計用外力

基礎構造の地震時設計用外力は,上部構造の降伏機構保証設計用応力に応じて基礎構造に作
用する力に, 1階床および地中部分に作用する鉛直力と水平力を加えたものとする.基礎梁の
設計用応力算定には基礎底面の固定度に応じた反力を考慮する.

構造物は上部構造から伝わる鉛直荷重と水平荷重を安全に地盤に伝達できる構造とする.基礎は
上部構造物以上の構造性能を有するものとし,原則として,全体降伏機構を形成する際に降伏ヒン
ジが生じないようにする.そのため,設計用応力として,上部構造の降伏機構保証設計用応力に応
じて基礎構造に作用する水平力と鉛直力を考える.明快な全体降伏機構の一部として,例外的に基
礎構造に降伏を認めることもあるが,この場合にはその降伏耐力が明確に算定でき,降伏後の靭性
が大きいことを確認できるものでなければならない.例えば,耐震壁が直接基礎で支持される場合
には,基礎の浮上り耐力が比較的精度よく算定できると考えられており,また,浮上り降伏する耐
震壁の地震時の挙動が良好であることが確認されているので 8.1) 耐震壁の基礎部分で浮き上がりを

含む全体降伏が生じてもよい.ただし,この場合には基礎梁に大きな変形が生ずるので,その靭性
を確保するのに十分な注意を要する.杭基礎については,現段階では,引抜きに対する信頼強度お
よび上限強度を精度よく評価することが困難である.

1階床および地中部分の設計震度 hは建築基準法施行令第88条に準拠するが,ここで考慮、してい
る地震動の大きさは建築基準法施行令でいう二次設計時の地震レベルに相当するもので,その地震
動の大きさは地表加速度で、最大 3
00
'"
"-
'4
00g
al程度と考えている.したがって,建築基準法施行令第
8
8条第 4項の下式で与えられるものとする.
h 三~ k
o(1-H/40)Z 解8
( .1
)
ここに,その係数 k
o:O
.3'
"
"- 4,H :建築物の地下部分の各部分の地盤面からの深さ (20mを超え
'0.
るときには 20mとする), Z :地震地域係数.本指針では ,k
。の値を地表最大加速度と定めたが,こ
の値の定め方および地中での震度の分布に関しては今後の研究を待つこととする.

非ヒンジ部材として基礎梁を設計する際に,杭頭の固定条件より杭頭に生ずる曲げモーメント等
の基礎構造から伝達される応力も考慮する.例えば,基礎端固定の条件の応力と基礎境界の固定解
除によって生ずる応力を加えた設計用応力に対して検討を行う.
8章 基 礎 構 造 -171-

8
.2 基礎の断面算定

基礎の断面算定には信頼強度を用いる.

基礎構造の信頼強度は過大な変形が生じない範囲の耐力とし,日本建築学会の「建築基礎構造設
計規準・同解説J
8.
2),r
建築耐震設計における保有耐力と変形性能J
8.
3)等を参考として定める.

直接基礎では,鉛直信頼強度を密な砂地盤の極限地耐力,粘性土地盤の極限地耐力を参考に,許
容できる変形を考慮、して決めるのがよい.地盤の条件により終局支持特性が決まる場合,ある程度
の沈下を許容するとしても,過大な沈下が生ずることは望ましくない.液状化の可能性がある場合
には地耐力が期待できないので,液状化に対する適切な対策を講じる必要がある.
杭の信頼強度は,打込み杭・場所打ち杭・埋込み杭の極限支持力を参考にする.ただし,杭の極
限支持力が生ずるときの沈下量は大きく,打込み杭では杭径の 1割程度の沈下が生ずることもあ
り,場所打ち杭や埋込み杭では沈下量とともに耐力が上昇することが多い.場所打ち杭や埋込み杭
では沈下量が大きくなると予想される.信頼強度の評価には変形を適切に考慮する必要がある.連
層の耐震壁の下に設けられる基礎の杭材に対しては,構造物が全体降伏機構を形成した時の壁部材
の転倒モーメントによる圧縮力に対する検討を行い,圧縮降伏が生じないことを確認する.
杭材の引抜き抵抗を含めた抵抗力を上回る引張力が基礎構造に作用すると,基礎構造の浮上りが
生ずる.壁下基礎の浮上りによる全体降伏機構は,地震時振動エネルギーを吸収する望ましい降伏
機構の lっと考えられる.この降伏形式では,杭材の引抜き抵抗力が正しく評価されないと,耐震
壁の破壊形式が計画されたものとは異なるものになるおそれがある.現段階では,杭の引抜き抵抗
を正しく評価することは難しい.
杭基礎の引抜きに関しては,以下のことを考慮する 8.3)

i)杭体の引張耐力,
i
i) 杭体とフーチング接合部(アンカ一部分〉の耐力,

i
i) 地盤による杭の引抜き耐力,
i

i
v) 杭に引抜き力が作用するときのフーチング(基礎スラブ〉の耐力.
基礎の水平抵抗には基礎底面の摩擦抵抗を考慮する.ただし p 基礎の根入れが大きい場合には,
その前面の受働土圧による水平抵抗を考慮、してよい.建築物に地下室がある場合にはその耐震性能
がよくなることが知られており,基礎スラブ底面の水平力が建築物根入れ部分の受働土圧や側面摩
擦抵抗によって地震入力が低減されることに関しては,文献 8
.4)に考え方および手法が述べられ
ている.これは建築基準法の一次設計(許容応力度設計〉に対応するもので,本指針で想定する終
局状態に対するものではない.現状ではまとまった資料は見当たらない.設計用外力の増大に伴い
構造物と境を接する局所においては塑性化が進行するであろうが,全体的には地盤はほぼ弾性の状
態にあるものと見なすことができるとすれば,とりあえずは文献 8
.4)の考え方および手法に準拠
しでもよいものと考える.基礎および基礎梁の周辺の埋戻し土のト分な締固めが行われない場合に
は,受働土圧による水平抵抗は期待できないので注意する.基礎および基礎梁の側面における摩擦
-172 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

抵抗は直圧力が小さいので無視する.
杭は杭頭固定として算出される応力に対して p 靭性の低い杭では曲げ降伏およびせん断破壊を起
こしてはならない.靭性の高い杭では曲げ降伏後においてせん断破壊を起こしてはならない.

杭の水平抵抗は,主として,杭頭付近の浅層地盤の強度または剛性に依存する.この点は杭先端
の支持層の強度によって定まる鉛直支持力の場合と異なる.地震被害も杭頭に限られていることが
多い.そこで,杭頭付近では軸筋により曲げ強度を確保するとともに,拘束筋を配筋して靭性を確
保することが望ましい.
杭頭が回転に対して拘束されないとするためには,フーチングと杭頭の接合部の詳細を考慮しな
ければならない.杭頭をピンとして設計された杭が施工的には杭頭固定の状態となり,地震被害が
生じた例もある 8.5)

杭部材の曲げおよびせん断耐力は 5章および 6章の方法に従って算定する.鋼管巻既成コンク


リート杭の終局強度の算定では腐食代を考慮して,文献 8
.6)を用いてもよい.鋼管杭の終局耐力の
算定では腐食代を考慮して,文献 8
.7)を用いてもよい.

8
.3 基礎の根入れ

構造物の基礎の根入れは十分な深さとする.

深い根入れをとることにより,構造物に安定性を与えるとともに,根入れによる地震時水平力を
低減させることができる.建物高さの 8%以上の根入れを確保することが推奨されていることが多
い.ただし,必要な根入れ深さの建物高さに対する割合は一定の値ではなく,地盤条件,建物の高
さにより変化すべきものであるかもしれない.今後の研究成果を期待するテーマであろう.

8
.4 基礎梁の設計

基礎梁は,原則として,剛強に設計する.

基礎梁は,原則として,非ヒンジ部材として設計する.地震時に,基礎梁端部で降伏が発生して
メカニズムを形成することは,軸力の大きい最下層の柱脚に降伏を発生させなくなる点からは望ま

しいかも知れない.その一方,基礎梁が地中に設けられる構造であること,および構造物全体を安
定して支持する構造であること,の 2点を考慮すると,基礎梁に降伏を設計することは望ましくな
し、.

したがって,最下層の壁脚部で浮上り回転のメカニズムを許容する場合以外には,基礎梁の降伏
は推奨できない.例外として基礎梁端に降伏を許容する場合には,十分な変形能力を保証する配筋
を行うとともに,地震後に損傷の補修等の対策を講じて,耐久性が劣化しないように配慮する必要

がある.
8章 基 礎 構 造 -173-

8
.5 杭頭の設計

杭頭の設計にあたっては,杭体および接合部等の性能低下を生じさせないように十分注意す
る.

水平力が作用する場合に杭頭に生ずる曲げモーメントおよび引抜力等の応力は,基礎梁に安全に

伝達させる.このため,杭頭部において杭材を十分な長さを基礎スラプの中に埋め込んで固定させ

るとともに,その定着にも十分な長さを取るのが望ましい.基礎スラブから杭頭への水平力の伝達

はこの埋込み部分のだぼ作用によって行われるものと考える.杭頭固定の構造詳細および配筋詳細

は文献 8
.4)に記される事項を参考にするとよい.
杭に水平力を負担させるのがよいか否かは意見の分かれるところである.杭には鉛直支持力だけ

を期待するが,水平抵抗は期待しないという考え方もある.そのほうが杭の破壊の心配は軽減され

る.その場合には,建物に作用する水平力を地盤に伝達させる方策を別途考えるとともに,杭の頂

部とフーチングの接合方法にも十分に留意する必要がある.

既製 PC杭の施工で,高止りが生ずると杭頭を切断するが,これに伴う問題として

i)杭頭部コンクリートに生ずる微細なひび割れと,それによる強度低下,
i
i) PC鋼材の応力低下に伴う有効プレストレス量の減少

などが考えられるので,施工には十分に注意する必要がある.

8
.6 液状化に対する注意

地盤調査により液状化による支持地盤の破壊の可能性を検討し,基礎の設計に考慮する.

基礎の支持地盤が砂質土で,地下水位以下にあるか,あるし、はこれに近い状態では,砂地盤の液

状化現象に十分注意する必要がある.液状化を起こす可能性は明らかではない点が多いが,以下の
ような条件にあてはまる砂層は検討の対象となる 8
.2
)

2
i)地表面から 1
5'"
'-'
20m以浅で,有効上載荷圧が 20tf/m以下である.
i
i) シルト・粘土の含有量が 10%以下の比較的均質な中粒砂である.

i
i) 地下水面以下にあり,水で飽和している.
i

i
v) 砂の相対密度が 75%以下で,標準貫入試験の N 値が小さい.

参考文献
8
.1) 加藤大介:回転壁を含む鉄筋コンクリート造骨粗の耐震設計に関する研究,東京大学学位論文,昭和
1
984
.12
8
.2) 日本建築学会編:建築基礎構造設計規準・同解説, 1
974
.12
8
.3) 日本建築学会編:建築耐震設計における保有耐力と変形性能, 1
981
.6
8
.4) 日本建築センター編:地震力に対する建築物の基礎の設計指針, 1
984
-174 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

8
.5) 日本建築学会編:宮城県沖地震災害調査報告, 1
980
.5
8
.6) 国土開発技術研究センター編:SCくい設計指針.
8
.7) 日本建築学会編:鋼構造塑性設計指針, 1
975
.11
8
.8) 日本建築学会編:鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説, 1
982
.6
8
.9) 杉村義広:建築基礎耐震設計の現状と問題点,コンクリート工学, p
p.4
-11,1
984
.10
I
Fhu


ti
9章 配 筋 設 計

9
.1 適用範囲

本章は,横補強筋の配筋詳細設計と主筋の定着,継手の設計に適用する.以下に特記しない
鉄筋の径,間隔,あき,かぶり厚さ,標準フック等の一般配筋規定は,日本建築学会「鉄筋コ
ンクリート構造計算規準 J,i
建築工事標準仕様書 JASS5鉄筋コンクリート工事」および「鉄
筋コンクリート造配筋指針」による.

本章は,計画した降伏ヒンジに所定の変形能力を付与させるために必要な横補強筋の形状,間
隔,配置など,横補強筋にかかわる配筋詳細と,降伏機構保証設計時の応力に対する主筋の定着や
継手の長さなど,主筋にかかわる配筋詳細について規定する.

本章の配筋詳細規定は,従来の規定と異なり,本指針の設計の基本的な考え方に従ってヒンジ領
域と非ヒンジ領域を明快に区別して扱っており,従来よりやや厳しい規定となっている.また,主
筋の定着,継手に関しては,基本的に終局強度によって検討することを原則としている.以下では

従来と異なるこれらの点についてのみ規定したが,その他の一般配筋規定は,日本建築学会「鉄筋
コンクリート計算基準・同解説/.1), i
建築工事標準仕様書 JASS5鉄筋コンクリート工事J9
.)および
2

「鉄筋コンクリート造配筋指針J
9.
3)によるものとして,省略した.

9.2 横補強筋の配筋

9
.2.
1 横補強筋
主筋と直交方向に配筋される補強筋を総称して「横補強筋 j という.横補強筋は,せん断補
強と主筋やコンクリートの拘束のために配筋し,その量,形状,間隔はヒンジ領域と非ヒンジ
領域で分けて考える。横補強筋には, DI0以上の異形鉄筋あるいは公称直径 6.4mm以上の異
形 PC鋼棒を用いる.
9
.2.
2 横補強筋の形状,配置と間隔
横補強筋は p 主筋とコンクリートを有効に拘束する形状および配置とし,間隔は表 9.1の値
以下とする.

表9
.1 横補強筋の間隔 (cm)

横補強筋 ヒンジ領域 非ヒンジ領域別


柱*
2 010の異形鉄筋 *
3 1
0 1
5
013以上の異形鉄筋 *
4 5かっ 6d
1 b 0かっ 8d
2 b
梁 010の異形鉄筋 *
3 1
5 2
0
013以上の異形鉄筋料 0, 8d
2 bかつ D/3 3
0,1
0dかっ D/2
b
壁 板 010以上の異形鉄筋 3
0 3
0
-176一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

柱梁接合部 I010の異形鉄筋 *
3 1
5
013以上の異形鉄筋 *4 0かっ 8d
2 b

ここに d
b:主筋径, D:梁せい.
[
注J1 ヒンジを想定しない部材およびヒンジを想定する部材のヒンジ領域以外
*
本 2 耐震壁の側柱を含む
本 3 6.4mm以上, 9.2mm以下の異形 PC鋼棒を含む
本 4 llmm以上の異形 PC鋼棒を含む
9
.2.
3 ヒンジ領域
ヒンジ領域は以下のとおりとする.
(
1
) 梁では,柱面から中央に,梁せいの1.5
倍の長さの領域
(
2) 柱では,梁面から中央に,柱せいの1.5
倍の長さの領域
(
3
) 耐震壁では 1階壁脚部から上に,全高さの 1/6または耐震壁水平長さの大きいほう
の長さの領域とするが, 3階梁の下面以下としてよい.

9
.2.
1 横補強筋
(
1
) 横補強筋の定義
わが国では,主筋に直交して配置される補強筋には,柱では「帯筋」または「フープJ,梁で

は「あばら筋Jまたは「スターラップ」という呼称が用いられている.また,中子筋など断面

の中間主筋に配置される補助的な補強筋は「副あばら筋」あるいは「副帯筋J と呼ばれ,これ

らの補強筋は主としてせん断力に抵抗するために配筋されるので総称して「せん断補強筋 J

と呼ばれている.壁板に配置される「壁筋」もせん断補強筋の lつである.本会の「配筋指
針J
9.
3)には種々の帯筋,あばら筋の例が示されている(解図 9
.1).なお,向指針では「せん断補

強筋Jの他に「横補強筋J と総称する場合もある.
主筋と直交方向に配置される横補強筋は,

i)せん断力への抵抗
i
i) 主筋の座屈防止

i
i) コアコンクリートの拘束
i

i
v) 付着割裂の防止
の 4つの役割を持つ.しかしながら,横補強筋は必要量がそれぞれの役割別に明確に算定さ

れ,配置され得るものではない.本指針の 6章で必要量が算定されたせん断補強筋は,基本的

には上記 4つの役割を同時に果し得るものであるが,同じ量のせん断補強筋であっても,その
配置や形状によって上記 i
i -i
)" v
)の効果が異なり,保有する変形能力が異なることがある.ま
た軸力の高い部材では,所定の変形能力を得るには主筋の座屈防止とコアコンクリートの拘束

のために多量の横補強筋が必要とされるので,上記 i
i),i
i)の拘束筋としての役割がより重要
i

になる.

本章は,部材の保証変形を確保するために必要な補強筋の形状,間隔 p 配置等について主に

規定する.すなわち,せん断補強筋としての役割も兼ねた拘束筋の配筋詳細について規定する




9主 主 配 筋 設 計 177-

円U

U
あは‘ら筋の一般形状 帯筋の一般形状

副あばら筋の一般形状 副帯筋の一般形状

(注) 1
80・フックで図示している所は 1
35。フックしてもよい.

解図 9
.1 せん断補強筋の形状と名称 93)

ので,そのように複数の役割を持つ補強筋を「横補強筋」と総称する.

(
2
) 横補強筋の設計の基本方針
ヒンジ領域の横補強筋の設計の基本的な考え方は,保証変形を上回る変形能力を確保するた
めに必要とされる横補強筋の量,間隔,配置等を決めることである.
本設計法では,建物の保証変形としてフレーム構造では 1/66,耐震壁構造では 1/75程度
の変形角を考えている (
4.4
.5項解説).本章ではこの変形に対応する各部材の保証変形とし
て,下記に示す変形角程度を目安とし,実験データを参照しながらヒンジ領域の配筋詳細を規
定している.

i)柱および一般の梁では 1/50
i
i) 耐震壁に連なる境界梁では 1/40
i
i) 耐震壁では
i 1/75
この際,高軸力の柱および高軸力の側柱を有する耐震壁では,上記の変形能力を得るには拘

束筋としての横補強筋に特別な配慮、が必要となるので,そのような部材のヒンジを特別ヒンジ

とし,一般のヒンジと区別して取り扱う方針とした.なお,耐震壁に連なる境界梁には,一般
の梁よりも大きな変形が生ずることが予想されるが 6章のせん断補強筋量の算定の際にこの
影響は考慮、されているので,特別に配筋詳細を規定しなくてもこの量を配置すれば,上記程度

の変形能力は十分確保されることとし,境界梁のヒンジは一般のヒンジとした.

非ヒンジ部材およびヒンジ部材の非ヒンジ領域の横補強筋に関しては 6章で算定されるせ
ん断補強筋を 9
.2.
2項に示す間隔規定に従って配置すればよい.
(
3
) 横補強筋に用いる鉄筋
横補強筋の最小径は従来の規定に従って DIOとした.しかし,主筋に太径鉄筋を用いる時
-178一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

には横補強筋もある程度の太さが必要になる.例えば,ニュージーランドの設計基準
(NZS3
1 )9.4)では,梁の圧縮鉄筋に対する一組の拘束筋の必要断面積を算定する際, f1
01 00
m mの間に存在する拘束筋の引張強さは,その拘束筋が拘束する主筋の降伏耐力の 1/16以上
とする J と定められている.これに従うとすれば,主筋と同一降伏強度で,主筋径の 1/4の

径の横補強筋を 10cm間隔で配すればよいことになる.D10でも本指針で対象とする D38までの

すべての径の主筋を拘束することが可能である.
異形 PC鋼棒では,細径のものでも D10以上の異径鉄筋と同等の拘束効果が期待できるの
で,最小径を 6.4mmとした 9
.
7
¥しかし,降伏点が高いために通常の鉄筋よりも大きな曲げ直径
とフックの余長を確保する必要がある.
本指針は横補強筋に異径鉄筋または異径 PC鋼棒を用いることを前提とした規定となってい
るが,丸鋼の円形スパイラルフープを柱に用いてすぐれた変形能力を得た例9
.)もあるので,特
8

別な研究により性能が確認されている場合には丸鋼などを用いてよい.

9
.2.
2 横補強筋の形状,配置,間隔
(
1) 横補強筋の形状,配置

主筋とコンクリートを拘束するためにヒンジ領域に設けられる横補強筋の拘束効果を有効に
発揮させるためには,主筋の外周部に閉鎖形の横補強筋を配置して四隅の主筋を拘束するとと

もに,中間主筋を拘束するための横補強筋を配置する必要がある.すべての主筋を拘束すれば
もっとも有効にその効果が発揮される.ヒンジ領域に設ける横補強筋は,十分に大きな折曲げ
角度を有するフックにより主筋に定着するか,スパイラル状の形状とする.また,適切な方法

により端部を溶接した閉鎖形の形状としてもよい.
ヒンジ部材の非ヒンジ領域の横補強筋の形状と配置は,ヒンジ部の横補強筋に準ずることが

望ましい.
(
2) 横補強筋の間隔

ヒンジ領域における横補強筋の拘束効果を得るためには,その量,形状,配置とともに間隔

も重要な要素である.本項では,梁,柱(耐震壁側柱を含む〉のヒンジ領域に対して主として

主筋の座屈防止の観点から,必要とされる横補強筋の間隔を主筋径に応じて表 9
.1のように定
め,非ヒンジ領域では緩和して規定した.

建設省の短柱に関する総合プロジェクトでは,主筋の早期座屈を防止するためには横補強筋
の間隔を主筋径の 8倍程度より小さくするよう推奨している 9.9) 一方, fRC計算規準 J
9.1
)では

柱に対してはその端部の帯筋間隔を DIO鉄筋で、は 10cm以下と定めており,これは D19の主筋

に対しては主筋径の 5倍以下の間隔とすることに相当する.しかし, D13以上の径の帯筋では

20cm以下の間隔としてよいとしているため,主筋径に対する比がかなり大きくなる場合もあ
りうることになる.

本章では,上記推奨値を参考にする一方,本指針が上記短柱総合プロジェクトではあまり扱

われなかった高軸圧縮力下の柱にも適用されることや, fRC計算規準」における現行の規定を

考慮して,上記の推奨値よりも柱に対しては厳しくし,基本的には主筋径の 6倍以下の間隔と
9章 配 筋 設 計 -179-

するよう規定した.また,梁についてもヒンジ領域と非ヒンヅ領域に区分して規定したが,軸

力が作用しないことを考慮して,上記推奨値に従ってヒンジ領域に対して主筋径の 8倍以下と

Lf
;こ
.

非ヒンジ領域の横補強筋に対しては,ヒンジ領域の間隔とあまりかけ離れることなく,最大

50%までその間隔を広げてよいこととした.以上の規定と iRC計算規準Jでの規定と比較する
と,解表 9
.1のように示される.非ヒンジ領域や非ヒンジ部材での間隔も,ヒンジ領域での間
隔との整合を図るようにしたため現行よりもやや厳しくなっているところがある.

解表 9
.1 横補強筋の最大間隔の比較

本 指 針 RC計算規準
横補強筋 ヒンジ領域 非ヒンジ領域 端 部*
1 中 央*
2
D
I0 1
0 1
5 1
0 1
5
柱 D
13以上 1
5 2
0 2
0 2
0
かっ 6db かつ 8
db
D
I0 1
5 2
0 2
5かっ D/2
梁 D
13以上 2
0, 8db 30,10db 4
5かっ D/2
かつ D/3 かつ D/2
壁板 D
I0以上 3
0 3
0 3
0(千鳥配筋では片面4
5)

本1,本 2:柱についてのみ規定される.
1:梁面から中央に,柱せいの1.5
* 倍の長さの領域
*
2:叫に示す領域以外

9
.2.
3 ヒンジ領域
本項で規定するヒンジ領域は,横補強筋をそれ以外の領域と区別して配筋する領域として定義す

る.その材軸方向の長さは,実験に基づく既往の下記の諸提案を参照して決めたものである.

ヒンジが形成される部材において主筋の降伏は,端部の危険断面位置のみならず端部より中央に

向つである長さの範囲に生ずる.このヒンジ領域の長さは,せん断スパン比,軸方向応力度,引張
鉄筋比,横補強筋量等の構造因子に影響される.その算定法には山田 9
101M
att
ock
911
),吉岡 9
.
12
)
9
13
Park.)らの提案がある.山田はその長さが部材の有効せいと断面の中立軸位置の関数で表される

としており, Mattockはヒンジ長さがせん断スパン比によって変化すると指摘している.吉岡は,

材端の曲げせん断ひび割れが集中する区間をヒンジ領域とし,さらに,せん断スパン比 (M/QD)

に応じてヒンジ長さんが変わるとして p その関係を示す下式を提案している.

lp=0.5 (M/QD) d 解9
( .1
)
(
0.5豆 M/QD豆 3
.0)
ここに, d:有効せい.また,せん断スパン比が大きくなるとヒンジ長さはせん断スパン比に比

例して長くはならないと指摘している.

Parkらの研究では,ヒンジ長さをせん断スパン M / Qと主筋径 d
bを用いて下式で表している.
l
pニ 0
.08 (M/Q)+6d
b 解 9
.2)
-180 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

また,同研究ではスパン/せい比に応じてんは増大するものの,その比が 4程度で頭打ちとなる

ことや,平均的にはら =O.5D (D:柱せしうとなると述べている.さらに,軸力比が 1/3以下の


場合には軸力比に応じて上式の半分まで、らを減ずる提案 9.
14)もあるが p 軸力による影響は顕著では

ない.
これらの研究が示すように,せん断スパン比が 3
.0までの柱であれば,ヒンジ領域は長くとも有
効せいの1.5
倍程度であり,せん断スパン比に応じてこれより短いヒンジ長さを設定することも可

能と考えられる.しかしながら p 実験から観察されるヒンジ長さは大きくばらついていることや,
ヒンジ長さについてあまり研究されていないことなどの理由から, fRC計算規準」での柱の帯筋規

定と整合させ,柱のヒンジ長さをせん断スパン比にかかわらず一律に全せい (
D) の1.5倍とした.
せん断スパン比が小さい時には安全側に長めのヒンジ領域を想定することになる.一方,せん断ス
パン比が大きくなると,これを超えるヒンジ長さとなることも考えられるが,長さの増大は少ない

と考えられること,また,そのような柱では入力せん断力はあまり大きくなく,横補強筋を密に配

置する領域をあまり長くとらなくとも,所定の変形能力を得ることは難しくないと考えられること
から, 3
.0を超えるせん断スパン比となっても上記以上のヒンジ長さを設定しないでよいこととし

こ.

梁では一般に柱よりもせん断スパン比が大きいが,必要保有水平耐力を確保するためにはあまり

細長い梁は設計されないと考えられること,スパン/せい比が 4程度(逆対称曲げに対するせん断
スパン比 2)でヒンジ長さが頭打ちになるという指摘や,軸力が低いほどヒンジ長さを減ずる提案

もあることのほか,せん断スパン比の大きな柱について述べた上記の理由とから,梁でも柱の場合

と同じくそのせいの1.5
倍の長さの領域をヒンジ領域とした.

耐震壁のヒンジ長さについてはあまり研究がなされていないが,既往の連層耐震壁の実験結果を
まとめた平石の報告 9.)を見ると,多くの場合斜めひび割れは降伏が生ずる層(一般に最下層〉から
15

その上階の壁水平長さに相当する高さ前後の領域まで集中する.この領域は層数や水平力の載荷方
法にも影響されるようであるが,壁側柱主筋の降伏が上層にまで及んでいる例もある.しかし,梁

やスラブの存在により塑性変形の集中する領域は梁,柱の場合よりも狭く,同研究では 2階より上
の部分では柱主筋の降伏は起こりづらいと報告している.これらの結果を参考にし,本指針では壁

の 2層分の高さを超えない範囲で壁水平長さや壁高さに応じてヒンジ長さを定めることとした.

9
.3 特別ヒンジ領域の横補強筋

9
.3.
1 特別ヒンジ領域の定義
降伏機構保証設計用軸力が (
9.1)式および (
9.2
) 式の範囲にある柱および耐震壁のヒンジ
領域は特別ヒンチ領域とする.
(1/3)Ac(JBく Nc豆 (2/3) Ac(JB (
9.1
)
(2/3) A
coe σB - Aωσω く N
r ω 三 A∞r
σ B- Awsσ
e 山 (
9.2
)
ここに ,N c および Nω は柱および耐震壁の降伏機構保証設計用軸力で圧縮を正とする • Acは
9章 配 筋 設 計 一 1
81一

柱の水平断面積 ,A
cor
eは耐震壁の圧縮側柱コアの断面積 ,Aω は耐震壁の壁板の軸方向鉄筋の
断面積, σBはコンクリートの圧縮強度, σ sは耐震壁の壁板の軸方向鉄筋の上限強度算定用強

度とする.
9
.3.
2 横補強筋の配置
特別ヒンジ領域では,すべての主筋を閉鎖形横補強筋の四隅または 1
35度以上の折曲げフッ
クで横拘束する.ただし,断面内でo20cm以内の間隔で横補強筋で拘束された主筋の間にある
主筋は拘束しなくてよい.横補強筋の間隔は,表 9
.1のヒンジ領域の規定に従う.
9
.3.
3 横補強筋の端部
特別ヒンジ領域の横補強筋の端部は以下のいずれかの納まりとする.

) 閉鎖形横補強筋では端部を 1
(
1 35度以上に折り曲げたフックで定着し 余長を 8dw以上と

する.ただし,異形 PC鋼棒を用いる場合には余長を 1
0dw以上とする.

(
2
) 閉鎖形でない横補強筋では,端部のフックの折り曲げ角度は 1
35度以上とし,余長は,
1
35度フックでは 8d
w以上 ,1
80度フックでは 4dw以上とする.

ここに,ゐは横補強筋の径とする.

9
.3.
1 特別ヒンジ領域の定義
(
1) 特別ヒンジ領域の対象部位
特別ヒンジ領域は,所定の変形能力を確保するために横補強筋に特別な配慮を必要とするヒ
ンジ領域をいい,外柱など高軸力を受ける柱のヒンジ領域および高軸力を受ける側柱を有する
耐震壁のヒンジ領域がその対象となる.

(
2
) 柱の圧縮軸力レベルと変形能力
柱の変形能力が圧縮軸力の増大に伴って低下することは,多くの実験で認められている.例
えば,東らの実験9.16)では, 2/100以上の変形角が得られるための軸力比の上限は 0.3程度と

報告している.また,多数の実験資料から軸力比と変形能力との関係を論じた研究もいくつか
ある 9.17)~9.20) 一方,現行の建築基準法施行令における部材分類では, 0.35以上の軸力比の柱

は p もっとも靭性があるとされる FA部材よりも下位の靭性ランク (
FB'
"'-
'FDランク)に位置
づけられる.この分類の背景にある一連の短柱実験の結果を見ると,靭性率 6以上の変形能力

を有し FA部材に対応すると思われる「靭性ランク AJ の柱は,いずれも保証変形角 1/50を


超える十分な変形能力を有するのに対して,これより下位の靭性ランクの柱では 1/50を下回

る変形能力のものも多数見られる.

以上の例からも,軸力比がおよそ 1/3を超える場合には,保証変形を確保するために横補

強筋に特別な配慮、が必要と思われる.このことを, 1
00体余の既往の高軸力を受ける柱単体の
実験結果 9.16),9,26)~9.42) について検討する.試験体の構造諸因子は,柱断面 25 cm角以上,軸力比
2
0
.29
"'-
'0.
78,シアスパン比1.1
"'-
'3.
5,コンクリート強度 2
06'
"'-
'55
8kgf/cm,横補強筋比 0
.44
"'"
2
.71%,横補強筋の降伏強度約 3
1 00
0'
"'
-'1
4OOOkgf/cm の範囲にある.大部分の試験体では何ら
かの形で中間主筋を拘束する横補強筋配置としているが,中間主筋をまったく拘束しないもの

も一部含まれている.最大耐力時の柱全断面積に対する平均せん断応力度は,コンクリート強
-182一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

度の 7
"'-
'27
%である.水平加力は,柱の両端にヒンジを形成させる建研式または大野式の逆対
称曲げ型加力とし,比較的シアスパン比の小さい柱が多い.本指針で想定するような柱脚のみ
にヒンジが生じ,逆対称曲げの時よりはシアスパン比が大きくなる柱のデータはほとんどな

い.外柱を想定して引張り・圧縮の交番変動軸力としたものも含めてある.

これらの実験における柱の限界変形角 C
Ru) と軸力比 CNc/Ac/σB
) との関係を解図 9
.2に
示す.限界変形角は最大耐力以後最大耐力の 80%以上の耐力を保持し得る限界の変形角とし
た.軸力比と限界変形角との関係はあまり明確ではないが,軸力比が 1/3以上になると明ら
かに限界変形角が 1/50を下回る例が多くなる.特に,断面内の中間主筋をまったく拘束しな

い場合(図中十印〉の大部分は, 1/50以下の変形能力となっている.これに対して,それ以
下の軸力比では,中間主筋の拘束のなし、 1例を除き,いずれも 1/50以上の変形能力を有して
いる.

9
. 0話。 /D
ロ3
o2 五a
. 0三 /Dく3.0
ム α/D<2.0
8十 +中間主筋の拘束なし

7ト O

6
ム ム

00



~ 5

E
i

d
R
き 4

ム会
。む α~
O ザム
ム口


押 v vv¥八 ムム

66~些

;
ム ムO

解図 9
.2 実験結果に見る柱の軸力と変形能力
9章 配 筋 設 計 1
83一

外柱のように地震時に大きな圧縮軸力が作用する柱では,軸力比のレベルが容易に 1/3を

超える.しかし p 以下に検討するように, 6章で算定される横補強筋量を適切に配置すること

により保証変形は確保されるので,本指針では軸力比 1/3以上の圧縮軸力を許容した.ま

た,軸力比の上限は,解図 9
.2のデータや 5章で述べた断面の曲げ解析結果のほか,高層・超高
層鉄筋コンクリート造建物の設計例などを参照して 2/3とした.
耐震壁でも圧縮軸力に伴って変形能力が低下することは実験で確かめられているが p 柱に比

べればそのことを示すデータは格段に少ない.曲げ破壊型の連層耐震壁の諸実験資料に基づく
平石の分析9.)によると,耐震壁の終局耐力時の全圧縮力を圧縮側側柱が負担するとして求め
15

た見掛けの柱の圧縮軸力(軸力比〉と限界変形との関係は解図 5
.18のように示される.同図
と,鉄筋の軸力負担等を考慮すると,側柱のコアコンクリート断面に対する軸力比に換算して

2/3以上の軸力となると, 1/75以上の変形能力を確保するのは難しくなるようである.こ
のことを踏まえて,コアコンクリートの軸力に換算した時の軸力比 2/3を境界として特別ヒ
ンジ領域を規定した.ここで,側柱のコンクリートコア面積と全断面積との比が 2/3程度で

あれば,柱の判定条件と同じになる.また,同図や柱における上限値を参考にして上限値を

1
.0と Lt
こ.

9
.3.
2 横補強筋の配置
6章で算定されるせん断補強筋量を満たせば,基本的には保証変形を超える変形能力がヒンジ部
に付与されるとしている.このことは,高軸力を受ける柱に対しても,そのような柱の実験結果の

みに限定した下記 の検討で確認されている.ただし,同検討では保証変形を確保するために中間

主筋をも拘束するような補強筋配置の必要性が指摘されたので, 6章を満たしかっ本項に従って横

補強筋を配置することとした.

しかし,曲げが卓越しかっ非常に大きな軸力が作用する柱については,実験データが少ないため

に十分に検証されていない. 6章で算定される補強筋量のみでは十分に横拘束できない場合もある

と思われるので, 6章の算定量を適切に割り増して本項を適用する.
(
1
) せん断設計式と高軸力を受ける柱の変形能力
解図 9
.3では,前図 9
.2の検討で用いた柱試験体に (
6.1)式を適用し,必要横補強筋量と実際
に配筋された横補強筋量との比と限界変形角との関係を示した.必要横補強筋量は変形角 1/
50を保証するのに必要とされる横補強筋量を示す.ここで p 同式に対する入力せん断力として
は,実験で得られた各柱の最大せん断力を用いた.

一方,同図では横補強筋量が (
6.1)式の算定値を下回るデータが多数あるが,その中で目標

とする 1/50の変形角を大きく上回る変形角を示すものも少なくない.算定値を上回る横補強

筋量を配置した場合には,中間主筋を横拘束していない柱を除けば目標とする変形角以上の変

形能力を有している.

以上の比較が示すように, (
6.1)よをむI
Hたしさらに中間主筋を横拘束すれば, 1/50程度の
変形能力は確保できる.そこで, ~かつ 2/3 以下の軸力比の柱においては, (
1/3以 I 6.1
)

式を満たすほか,本項に従って横補強筋を配置し,中間主筋をも拘束することとした.
-184一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

.0
l

O 軸力比
町三玉 0
.5 0.5<町
d/D>3.0

ロ ・
せん断 3
.0α/D孟 2
> .00
スノ f ン上~
2
.0α/D
> ム
‘』
+中間主筋の拘束なし
7 O

s
6

設 5ト ム。ム O ムム ム

c
:
:

O O
Aム
A

ムム .
.
.
..
.
ム s
I.

ム O
s c
x
:x
c
ゐ・
.
3ト

.
A
ρ

A底辺p
ム • •
-
• 0

企私企
O

φ
• φ
φ
2

4

ム......“企 4 φ

。 0
.5 1
.0 1
.5 2
.0

・ σy (実験値)/九・ σy ((6.1式)

解図 9
.3 実験結果に見る柱の横補強筋量と変形能力の関係

なお,耐震壁の側柱についてはその軸力レベルと変形能力との関係を示す実験データはあま

り得られていないが,柱の場合と同様に 6章を満たすほか,本項に従って横補強筋を配置する

ことにし 7
こ.

(
2
) 横補強筋の配置
高軸力を受ける柱および耐震壁側柱のコアコンクリートと主筋を拘束する横補強筋量と配置

(断面内での横補強筋の間隔〉は,本来横補強筋強度,外周横補強筋の曲げ剛性や主筋の座屈
長さ,コンクリートコアの有効断面積等を考慮して決める必要があり,加藤によるそのような
検討の試み 9.21)もあるが,現状では定量的に評価するのは困難である.断面内の横補強筋の配

置に関して p 本会「建築耐震設計における保有耐力と変形性能 J
9.
5)では「梁などの接合面から

柱有効せいの1.5
倍以上の長さにわたって,帯筋またはスパイラル筋は 1
0cm間隔以下に配置
9章 配 筋 設 計 -185-


ト200孟
十2叶孟 200i


CCN
八│十
d
.:1本おいて隣り
合う鉄筋の間隔

ccN
八ヱ
解図 9
.4 特別ヒンジ領域における横補強筋の配置

国 圏ロ
口国 ロ
解図 9
.5 高軸力を受ける柱における横補強筋の形状・配置例(概念図)

し,かつ,コンクリートおよび中間鉄筋(隅筋以外〉を拘束するように中間鉄筋の少なくとも

半数以上を副帯筋などで外周帯筋を介して結ぶ」とし,図中で、 20cm程度の間隔で、中間主筋を

拘束するよう推奨している.ただし, 20cm程度の間隔を推奨する理由は記述されていないが,
密な横補強筋配置とすることにより大きな拘束効果が得られる反面,鉄筋が混みすぎるとコン
クリートの打設に支障をきたすおそれがあることも勘案しての数値と思われる.柱断面寸法の

大きさによって拘束すべき中間主筋の間隔を変えることも考えられる. NZS規準では,中間主

筋の間隔が 20cmを超える場合には,すべての中間主筋を横補強筋で拘束するように規定して
いるが,その数値的根拠については明確に記されていない.

このように,拘束筋の必要量や配置を決める方法が確立されていないので,上記の推奨値等

を参考にして本章では 20cm以上離れ合う主筋があればそれらすべてを表 9.U


こ示す間隔で配
置された横補強筋で拘束するように規定した.

9
.3.
3 横補強筋の端部
特別ヒンジ領域の横補強筋には,拘束効果を確保するためにその形状と末端部のおさまりにも特

別な配慮、が必要となる.スパイラル状の横補強筋とすれば拘束効果は高められる.横補強筋端部を
186- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

折曲げ定着する場合には,十分大きな折曲げ角度と余長を確保する必要がある.そのため本項は,

横補強筋の端部を折曲げ定着とする場合には, 1
35度以上の折曲げ角度を有し,その余長を標準余

長よりも長くすることにより,補強筋端部の定着性能を高めることを意図している.

rRC計算規準」等わが国の現行の規定では,横補強筋を折り曲げて定着する時のフックの標準余
長は, 1
35度フックでは 6dw,1
80度フックでは 4
ι 以上としている.ここに, ι:横補強筋径.一
方,諸外国の規準を見ると, ACI規準 9.6)の AppendixAでは, 1
35度フック, 9
0度フックの余長はそ
れぞれ 1
0dw, 6dw以上,と規定しているのに対して ,NZS規準では 1
35度フックの余長は 8d
w以上

とし ,9
0度折曲げのクロスタイは許容しない規定になっている.このように,折曲げ定着について
は各国でかなり異なる規定になっている.また,折曲げ定着の詳細(折曲げ角度,フックの余長〉
と部材の変形能力の関係は,各設計規準とも明確な解説はなく,また関連する実験資料も乏しいの

で,その関係を定量的に論じることは難しいのが現状である.

標準余長を有する場合の折曲げ定着性能については,小倉らの引抜定着試験や梁の一方向載荷曲
げせん断実験9.22),9.23)で検討されており,十分な定着性能を得たと報告している.しかし,梁の繰返

し曲げせん断実験で,横補強筋のひずみがフヅクを有する側とほかの側とで大きく異なったという
報告も一方ではあり 9.24) これはフック部分が繰返し応力を受けてゆるむ可能性のあることを示し

ている.また, C
orl
eyらは 9.25)フックの余長等横補強筋端部の詳細を変えた柱の実験から, ACI規準
を満たさず 1
35度フックの余長を 6dw と短くしても十分な変形能力を得たと報告している.
以上の実験などから,標準余長を持つフックで横補強筋を十分定着し,所定の変形能力を得るこ
とができると思われるが,軸力が特に大きい場合,例えば本指針の上限近傍の軸力比の場合でも標

準余長で十分に定着し得ることを示す直接の資料はない.そこで本項では,高軸力という主筋の座

屈に対して厳しい条件下にある柱や耐震壁側柱を横補強するにあたって,フックの定着性能も重要

な要素であると考え,前述の実験結果や AC
,I NZS規準等を勘案し, 1
35度フックに対しては標準値
より 2dw長い余長を規定した.また,異形 PC鋼棒を用いる場合にも同様の理由から,標準値に 2
d却を加えた長さを確保することとした.

なお,スパイラル状横補強筋を用いる際には,末端部は1.5
巻以上の添え巻をして 1
35度以上に折
り曲げ,その余長は上記折曲げ定着の場合と同様に標準余長に 2d
w を加え 8dw とする.また重ね継

0度フックでは 1
手部では ,9 4d却以上, 1
35度フックでは 8ゐ以上の余長とする.異形 PC鋼棒をスパ
イラル筋として用いる時には,末端部は 1巻以上の添え巻をするほか, 9
0度フック, 1
35度フックで
はおのおの 1
4ι ,10dw以上の余長とする.

9
.4 主筋の定着と継手

主筋の定着長さと継手長さは,降伏機構保証設計時の応力に対して十分な値とする.配筋詳
細は,日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準 J,r
建築工事標準仕様書 ]ASS5鉄筋コ
ンクリート工事」および「鉄筋コンクリート造配筋指針」による.ただし 重ね継手は D
29以
上の鉄筋に設けてはならない.
9章 配 筋 設 計 -187-

(
1) 主筋の定着長さ

梁および柱の主筋を柱梁接合部内に折り曲げて定着する場合,降伏機構保証設計時の応力に

対して十分な長さを確保する必要がある.必要定着長さは,本来主筋の種別,径,強度および

コンクリート強度などの基本因子のほか,被り厚さ p 主筋間隔,さらには横補強筋の量と配置

などの因子にも影響される.しかしながら,定着強度や定着長さに関する実験的研究のデータ

の蓄積が十分でなく,またその結果も組織的に分析されていないため,上記諸因子を考慮、した

合理的な算定法を確立するのは現状では難しい.
そこで本章では, rRC計算規準l.l)や「配筋指針J9.3)等の現行規準・指針や諸外国の規準およ
び国内における実験結果を参照して,定着に必要な最小長さを以下のとおり推奨する程度に留

めることとした.すなわち,
92
i)全定着長さは rRC計算規準 J,r
配筋指針J,rJASS5
J.)に示されている常用長さとす

る.

i
i) 鉛直長さ(定着テール長さ)は鉄筋径の 1
2倍とする.
i
i) 水平投影長さ l
i d , SD30鉄筋と F
hは c360のコンクリートの組合せの時に鉄筋径 d
bの 1
0倍
とすることを基本とし,下式による.

l
d=10dbσ
h C y/3000)・ )360/Fc 解9
〈 .
3)
2
ここで, σy . 鉄筋の規格最小降伏点 Ckgf/cm)
定着長さに関する上記の最小値は,

i)終局強度設計法を用いた外国の規準に従って算定される必要定着長さと,許容応力度に
基づいて定められている現行規定での常用長さはそれほどかけ離れていないので,この常

用長さを確保しておけば,本指針でいう上限強度算定時の鉄筋応力に対しても十分定着で

きると考えられる,

i
i) 実験データを参照すると,上記の水平長さを確保しておけば鉄筋の降伏強度は発揮さ

れ,また保証限界変形以上の変形能力が得られている,

などの検討結果を踏まえて推奨されるものである.以下にその検討結果の概要を示す.なお,

定着長さについて詳細な検討を必要とする際には,以下に解説する諸資料を参考にされたい.

イ〉現行規準等に定める定着長さ

rRC計算規準」では,鉄筋の定着長さは終局状態を考えて定められた許容付着応力度に基づ

いて算定される.この際定着部に十分な安全率をもたせるように許容付着応力度が定められて

いると考えられるので,本指針でも同規準に定める所要長さを安全側にまるめた数値(常用長

さ〉を用いることとする.

梁主筋を柱内へ定着する場合 9
0。に折り曲げて定着するのが一般的である.このような時,

rRC計算規準」で定められている,定着起点から鉄筋端までの全定着長さばかりでなく,定

着部分の水平投影長さ(水平直線長さ+曲げ内法寸法+鉄筋径jも重要であることが最近の研

究で指摘されている. rRC計算規準(1988)Jでは,その解説で水平投影長さを柱せいの 3/4

以上とすることを推奨し,やむを得ない場合でも,水平直線部分が柱中心線を超え,かつ 8d
b
-188一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

以上となるように折り曲げて,折曲げ終点から鉄筋端までの長さ(定着テール,あるいは 9
0。折
曲げ部をフックとみなしたときのフックの余長〉を 1
0
--
-
--1
2db以上確保することとしている.ま
た,梁下端筋の折曲げ定着は曲げ上げるほうが性能がよく,特に水平投影長さが十分とれない
場合の曲げ下げ定着は,定着耐力の不足をきたすので避けるべきであると述べている.
ロ)外国の規準における定着部水平投影長さの算定
上 記 の 定 着 部 水 平 投 影 長 さ に つ い て は , ACI318-83, NZS 3
101, ACI-ASCE
Committee4
352勧告 9.60)など,外国の諸規準にその算定法が示されている.算定式はすべて
ACICommittee4
08の勧告 9.61)に基づいており基本的な考え方は同一であるが,上限強度算定

に用いる鉄筋強度のとり方や繰返し変形の影響のとり方等にそれぞれ独自の考え方を入れてい

る.各規準式の概要を以下に示す.
a) ACI318-83
l
dh 孟ん .db/17 J
J?:
かつ
ldh孟 8d
b かつ 150mm
d
b豆 35mm
b) ACI-ASCECommittee3
52
ldhミ αJ
y.db/20 J
J?:
α迄1.2
5
かつ
l
dh孟 8d
b かつ 150mm
d
b三五 35mm

ただし,接合部内の横補強筋間隔が梁主筋径の 3倍以下なら, 0
.8倍としてよい.
c) NZS3
101
y・
ldh孟 f db/13 J
J?:
かつ
ldh孟 8d
b かつ 150mm
ただし, D32以下で側面のかぶり厚が 60mm以上,かつ定着テール部のかぶり厚が 40mm以
上の場合は 0
.7倍としてよい.また,接合部内横補強筋の間隔が梁主筋径の 6倍以下で、かっ

Atr/S孟 Ab/1000のとき 0.8倍としてよい.


〉ー〉・),ヲ'



L.. L.. V

2
ん :鉄筋の規格降伏点 Ckgf/cm)
F
c コンクリートの設計基準強度

d
b 鉄筋径
A
tr かぶりコンクリートの割裂に有効な横補強筋断面積

Ab 梁主筋 l本の断面積

S 接合部内横補強筋間隔
9章 配 筋 設 計 189-

定着長さの起点のとり方は, ACI3
18-
83では柱の面から, ACI-ASCECommittee352では
コアコンクリートの面からとしているが,いずれの場合も算定式の分母の係数あるいは割増し

係数に上限強度や繰返し変形の影響が反映されている. NZS3
101では柱の中央位置を起点と
することにより上限強度や繰返し変形の影響が考慮されている.
上記規準より求まる柱面から鉄筋終端までの全定着長さを解表 9.2v
こ示す.ここでは, 1)柱

面からコア面までの被りを 40mmとし,修正係数を 0
.7とする, 2)接合部内横補強筋の拘束効
果は考慮、しない,等の仮定をした.また, ACI318-83では柱・梁接合部内の横補強筋の拘束効

果がすでに式内にとり入れられているので,式から求まる ldhの 1/0.8倍の値を採用した.

解表 9
.2 水平投影長さの比較

Fc Fc Fc
24
0 30
0 36
0
28d 27d 25d
SD30 26d+40mm 25d+40mm 23d+40mm
36d 33d 32d
35d 30d 30d
31d 29d 27d
SD35 28d+40mm 27d十 40mm 25d+40mm
36d 35d 33d
35d 30d 30d
33d 31d 29d
SD40 30d+40mm 28d+40mm 27d+40mm
38d 36d 35d
40d 35d 35d

上段 ACI3
18-
83
中段 ACI-ASCE3
52
下段 NZS3
101
最下段わが国の常用長さ

解表 9.2の値と iRC計算規準」や「配筋指針j に示されているわが国の常用定着長さを比較


してみると,次のような傾向が観察される.

i) SD4
0では常用長さと NZS3
101の値はほぼ同じで,ほかの規準の値より大きい.
i
i) SD3
0,3
5では,常用長さは ACI3
18-
83や ACI-ASCECommittee352の値よりも総じて

大きいが,もっと厳しい NZS3
101を下回っている.
また,解表 9.2より定着部水平投影長さを外国の規準どうしで比較してみると, NZS3
101が
もっとも厳しい値を与えている.

わが国の常用長さは終局強度設計法に基づく NZS3
101規準と ACI関連の規準による長さの
中間に位置しているようである.したがって,現行規準の常用長さを確保しておけば主筋を定

着できると考えてよいであろう.

ハ〉定着強度および定着長さに関する実験結果の分析
-190- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

わが国では,鉄筋の定着強度および定着長さに関して文献 9
.4
3)
'"
'-
'9
.5
9)に示すような実験的
研究が行われている. ここでは p 定着強度および定着長さと水平投影長さとの関係に着目し

て,実験結果を整理してみた.実験は,1)柱内に 9
0度折曲げ定着された鉄筋に直接引張力を与
え一方向に単調載荷するか, 2
)梁主筋を柱内に 9
0度折曲げ定着させた外端柱・梁接合部モテ、ル

に,地震時水平力を想定した外力を一方向に単調載荷あるいは繰返し載荷させている.実験で
の梁主筋径の範囲は DI0-D25 (主に D16および D19) で、降伏点は約 3300-40
00kgf/
cm九 コ ン
2
クリート圧縮強度は 220-420kg/cm の範囲である. また,折曲げ内法寸法は 2-4dbである.な
お,梁下端筋を折り下げて定着した場合は下端筋が引張りとなる場合のデータは省略した.
解図 9
.6には定着強度と主筋の水平投影長さの関係を,解図 9.n
こは実験で観察された変形能

力(限界変形角) と鉄筋の水平投影長さの関係を示す.解図 9
.6は,水平投影長さが主筋径の
1
0倍以上あればその降伏強度を発揮できることを示している.また,解図 9
.7から,水平投影長
さが主筋径の 1
0倍以上あれば,変形角 1/50以上の変形能力を有することが示される.

材料強度の分布から見ると,上記の結果は圧縮強度が本指針の適用範囲の上限である 360
2
kgf/cm のコンクリートと SD30ないし SD35クラスの鉄筋の組合せの時の必要水平定着長さ
を示していると考えれば安全側なので, これらと異なる材料強度のコンクリートと鉄筋を組み
解9
合わせて用いる場合には, ( .
3) 式のように必要長さを修正すればよかろう.
なお,鉛直長さについては定量的なデータが乏しいので, fRC計算規準(19
88)Jの推奨値や
外国の規準を参考に前記のとおり定めた.

1
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水平投影長さ ldh/主 筋 径 の

解図 9
.6 定着強度と水平投影長さ
9章 配 筋 設 計 1
91-

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水平投影長さ I
dl/主 筋 径 d
1 b

解図 9
.7 変形能力と水平投影長さ

(
3) 鉄筋の継手長さ

鉄筋を重ね継手とする場合には,付着割裂破壊が問題となるので,必要重ね長さは 6章の規

定に従って付着割裂の検定を行って定める.また,定着長さの場合と同様に最小重ね長さを
, r
rRC計算規準Jや JASS5
J,r
配筋指針」に定める常用長さとしてもよい.

参考文献
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18-
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p.1
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-13
42,1
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.9) 広沢雅也,柳沢延房,高橋正利:鉄筋コンクリート短柱の崩壊防止に関する総合的(その 2
1:主筋の座
屈),日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
329
-13
30,1
974
-192一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

9
.10
) 山田 稔,武見建二:鉄筋コンクリート柱の弾塑性曲げ変形性状に関する研究(プラスチックヒンジの

生成機構に関して),日本建築学会近畿支部研究報告集, 1
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ota
tio
nalC
apa
cit
yofH
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ingR
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fRe
inf
orc
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e Beams,AC
,I SP 1
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.1) 吉岡研三,岡田恒男,武田寿一:鉄筋コンクリート柱の変形性能向上に関する研究(第 2報破壊機構並び
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に補強筋のひずみ分布について入日本建築学会論文報告集,第 2
82号
, 1
979
.8
9
.13
)Pr
ies
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y,M.].N.,andPark,R
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roc
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sVol8
4,N
o.,
1pp
.61
-76,1
987
.1-
2
9
.1) Zahn,A.: D
4 esi
gno
fRe
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orc
edC
onc
ret
eBr
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e Columns f
orS
tre
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h and D
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ReportNo.86-7,U
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ers
ityo
fCa
nte
rbu
ry,C
hri
stc
hur
ch,NewZ
eal
and,330pp,1
986
.3
9
.1) 平石久贋:連層耐震壁の靭性 (RCの高層化と靭性に依存する耐震壁の終局強度設計),日本建築学会関
5
東支部構造シンポジウム, 1
986
9
.16
)東 洋 一 , 大 久 保 全 陸 , 議 健 一 : 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 短 柱 の 崩 壊 防 止 に 関 す る 総 合 的 研 究 ( そ の 43AF2

シ リ ー ズ : 高 軸 力 下 に お け る 多 数 回 繰 返 し 実 験 ), 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 , p
p.1
497
""'
-'
1498.1977.
9
.17
) 岡田恒男:軸力と水平力を同時に受ける鉄筋コンクリート柱の水平変形限度に関する研究,日本建築学
会論文報告集,第 1
03号, p
p.1
70,1
964
.10
9
.18
) 荒川 卓ほか:繰返し荷重を受ける鉄筋コンクリート柱の変形性能の評価,第 3回 コ ン ク リ ー ト 工 学 年

次講演会論文集, p
p.4
49-
452,1
981
9
.19
) 嶋津孝之:Ont
heU
lti
mat
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fDe
for
mat
ionAnglef
orR
ein
for
cedC
onc
ret
eColumns(
Par
t2),
日本建築学会論文報告集 第3
12号
, p
p.1
8-2
7,1
982
.2,他関連論文
9
.20
) 狩野芳一,寺岡 勝ほか:高軸圧下における鉄筋コンクリート柱の耐力及び変形能に関する調査及び検

討(その1),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.4
45-
446,1
985
9
.21)加藤大介:帯筋により拘束された鉄筋コンクリート柱の最大軸応力度の評価法,日本建築学会大会学術
講演梗概集,構造 C,p
p.5
65-
566, 1
987
9
.22
) 亀田登与三郎,小倉弘一郎:各種フック形状のせん断補強筋末端部の定着耐力,同日性に関する実験的研
究,コンクリート工学年次論文報告集, 9
-2,p
p.5
89-
592, 1
987
9
.23
) 亀田登与三郎,小倉弘一郎:せん断補強筋末端部の各種フック形状の定着性能に関する実験的研究,第
8回コンクリート工学年次講演会論文集, p
p.6
01-
604,1
986
9
.2)角
4 彰,久徳敏治ほか:高強度せん断補強筋を用いた梁の曲げ変形性能力に関する実験的研究,日本

建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
681
-16
82,1
984
9
.2) L
5 .S.J
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.W. Musser and 羽T
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arthquakeE
ngi
nee
rin
g,p
p.1
227
-12
37,
1
986
9
.26
) 菅野俊介,長嶋俊雄ほか:超高層鉄筋コンクリート造建物の柱及び架構に関する実験的研究(その 1'"
3),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.1
45-
150,1
985
9
.27
) 吉岡研三ほか:鉄筋コンクリート柱の変形性能向上に関する研究(第 1報 主筋配置・せん断補強筋形

状の影響について),日本建築学会論文報告集,第 2
79, p
号 p.5
3-6
3,1
979
.5
9
.28
) 武田寿一,吉岡研三:超高層鉄筋コンクリート建物の耐震設計法に関する研究(その日 高軸方向力を

受ける鋼管補強コンクリート柱の挙動), 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 , 構 造 C ,p
p.293-294,
1
987
.10
9章 配 筋 設 計 1
93-

9
.29
) 吉田俊夫ほか:高層鉄筋コンクリート造建物に関する実験的研究, (その1)一定軸力を受ける柱の曲げ
せん断実験,日本建築学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.1
61-
162,1
986
.8
9
.30
) 吉岡研三,武田寿一:鉄筋コンクリート柱の性能向上に関する研究, (その1)角スパイラノレとタイを併
用した柱および特殊配筋柱の実験的研究,大林組技術研究所報 N
o.1
5,1
977
9
.31)榊原英雄ほか:ダブ、ルスパイラルフープを用いた組立鉄筋コンクリート構造に関する実験的研究, (その
8
) 柱の曲げ耐力,日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
849
-18
50,1
978
.9
9
.32
) 榊原英雄ほか:ダブ、ルスパイラルフープを用いた組立鉄筋コンクリート構造に関する実験的研究, (その
1
3) 高強度コンクリート RC柱の曲げせん断性状,日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
703
-17
04,
1
980
.9
9
.3) 沢田研自ほか:溶接フープとサブタイを用いた RC短柱の多数回繰り返し実験, (その l実験概要),日
3
本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
249
-12
50,1
979
.9
9
.34
) 狩野芳一,林 和也ほか:高軸圧下における鉄筋コンクリート短柱の力学性状に関する実験的研究, (

の l 実験及び実験結果の概要),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.4
35-
436,1
985
.10
9
.35
) 坂口 昇,磯畑 惰,三浦宣明:超高層 RC造集合住宅の構造特性に関する研究,その 2柱耐力実験,日
本建築学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.1
53-
154,1
985
.10
9
.3) 角 彰ほか:高強度せん断補強筋により横拘束された RC柱に関する実験的研究,日本建築学会大会学術
6
講演梗概集,構造 C,p
p.3
83-
384,1
986
.8
9
.37
) 吉田俊夫ほか:高層鉄筋コンクリート造建物に関する実験的研究, (その1)一定軸力を受ける柱の曲げ
せん断実験,日本建築学会大会学術講演梗概集,構造 C ,p
p.1
61-
162,1
986
.8
9
.38
) 藤原敏夫,狩野芳一:高軸圧下における鉄筋コンクリート短柱の力学性状に関する実験的研究, (その 3
中型試験体による追加実験),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.3
53-
354,1
986
.8
9
.39
) 小林 淳ほか:RC積層工法による超高層骨粗の構造実験(その 3 高軸力を受ける柱の実験),日本建
築学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.1
79-
180,1
986
.8
9
.40
) 梶原恵治ほか:超高層鉄筋コンクリート集合住宅の耐震設計に関する研究,その 2柱の実験,日本建築
学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.1
71-
172,1
986
.8
9
.41)牧田敏郎ほか:超高層 RC集合住宅の耐震設計,その 3柱の曲げせん断実験,日本建築学会大会学術講演
梗概集,構造 C,p
p.3
47-
348,1
986
.8
9
.4) 遠藤克彦ほか:変動軸力を受ける柱の曲げせん断実験,三井建設技術研究所報, 1
2 987
9
.43
) 栗林博之,森田司郎ほか:異形鉄筋折曲げ定着部の特性(その 1実験計画および実験結果の概要,その 2
応力伝達機構),日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
343
-13
46,1
982
9
.44
) 西村泰志,若林 実ほか:鉄筋コンクリート造柱・梁接合部における梁主筋の定着機構に関する実験的
研究(そのしその 2
),日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
65ト 1
654,1
982
9
.45
) 近藤吾郎,森田司郎ほか:外端柱・梁接合部の折曲げ定着に関する研究 (そのしその 2
),日本建築
学会大会学術講演梗概集, p
p.1
82ト 1
823,1
983
9
.46
) 今仲伸郎,若林 実ほか:鉄筋コンクリート造柱・梁接合部における梁主筋の定着機構に関する実験的
研究(その 4
),日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
817
-18
19,1
983
9
.47
) 金田和浩,森田司郎ほか:外部柱・梁接合部における梁筋定着部ディテールと接合部の特性(その1,そ
の2
),日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
877
-18
80,1
984
9
.48
) 今仲伸郎,若林 実ほか:鉄筋コンクリート造柱・梁接合部における梁主筋の定着機構に関する実験的
研究(その 5
),日本建築学会大会学術講演梗概集, p
p.1
889
-18
90,1
983
9
.49
) 高野伸哉,小倉弘一郎ほか:鉄筋コンクリート外部柱・梁接合部に関する実験的研究,日本建築学会大
会学術講演梗概集, p
p.1
88卜 1
882,1
984
-194 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

9
.50
) 吉野次彦ほか:鉄筋コンクリート造ト型柱・梁接合部に関する実験的研究,日本建築学会大会学術講演
梗概集, p
p.1
883
-18
84,
198
4
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.51)神野靖夫,森田司郎ほか:鉄筋コンクリート外部柱・梁接合部における横補強筋の効果について,日本
建築学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.2
99-
300,1
985
9
.52
) 前田隆彦,南 宏ーほか:鉄筋コンクリート造柱・梁接合部における梁主筋の定着機構に関する実験的
研究(その 7),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.3
01-
302,1
985
9
.53
) 大山 哲,徹三ほか:RC外部柱・梁接合部におけるはり主筋定着性能について,日本建築学会大会学術
講演梗概集,構造 C,p
p.3
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304,1
985
9
.54
) 高野伸哉,小倉弘一郎ほか:鉄筋コンクリート外部柱・梁接合部に関する実験的研究,日本
建築学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.2
97-
298,1
985
9
.55
) 吉岡浩太郎,小倉弘一郎ほか:鉄筋コンクリート外部柱・梁接合部に関する実験的研究,日本建築学会
大会学術講演梗概集,構造 C,p
p.7
5-7
6,1
986
9
.56
) 西村泰志,南 宏ーほか:鉄筋コンクリート造柱・梁接合部における梁主筋の定着機構に関する実験的
研究(その 9),日本建築学会大会学術講演梗概集,構造 C,p
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6,1
986
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.57
) 渡辺勲生,小倉弘一郎ほか:鉄筋コンクリート外部柱・梁接合部に関する実験的研究,日本建築学会大
会学術講演梗概集,構造 C,p
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642,1
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) 浅草 肇,角 徹三ほか:RC柱・はり外部接合部の耐力機構に関する実験的研究,日本建築学会大会学
術講演梗概集,構造 C,p
p.6
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648,1
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.59
) 森田司郎ほか:RC外部柱・梁接合部の耐力と変形性状についての 2, 3の検討,日本建築学会大会学術
講演梗概集,構造 C,p
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03-
304,1
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) ACI-ASCE Committee 352: Recommendations f
orD
esi
gno
f Beam-Column J
oin
tsi
nMo
nol
ith
ic
R
ein
for
cedC
onc
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na,l P
roc
.V.
82,N0
.3,p
p.2
66'
"""
283,1
985
.5-
6
9
.61
) ACICommittee4
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979
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n

戸内

u
1
0章 非 構 造 部 材

1
0.1 適用範囲

本章は,柱と梁で囲まれる骨粗内の鉄筋コンクリート造非構造壁の構造詳細の設計に適用す
る.その他の非構造部材の設計も本章に準じて行う.

骨組内に腰壁・垂れ壁・袖壁・方立て壁等の非構造壁が設けられる場合,これらの非構造壁と骨
粗との取合いについては,本章の規定に従って設計する.また,間仕切り壁・ラーメン外の外壁等
の鉄筋コンクリート造非構造壁についても本章の規定に準じてそのディテールを設計する.本章の
規定によらない場合には,それらが耐震設計上,非構造部材として取り扱え得ることを別途検討す
るか,または鉄筋コンクリート造以外の別の材料・構法によることとする.
本章の規定に従って設計された非構造部材については,日本建築学会の「非構造部材の耐震設計
指針・同解説および耐震設計・施工要領J
1.1)によって,非構造部材自身の耐震設計を行うこととす
0

る.また,鉄筋コンクリート造以外の構法による帳壁等の非構造部材の耐震設計については文
献1
0., 1
1
) 0.2
) 等を参照されたい.

1
0.2 設計の基本方針

鉄筋コンクリート造非構造壁には,原則として,構造目地を設けてこれを骨組から有効に分
離し,非構造壁が骨組の降伏機構設計および降伏機構保証設計に影響しないように設計する.

建物の構造設計に際し単に非構造壁とみなすだけで,特別な考慮がなされないまま施工された鉄
筋コンクリート造の腰壁・垂れ壁・袖壁等が,地震時の骨粗の挙動に極めて大きな影響を及ぼすこ
とは,過去にいくたびも地震被害による経験を通じて指摘されているところである.
腰壁や垂れ壁を非構造部材とみなしているにもかかわらず,これらを柱から有効に分離しないま

ま施工すると,腰壁や垂れ壁は梁の剛性と強度を増加させると向時に柱の水平変形を拘束する.そ
の結果,部材強度と骨組応力が腰壁や垂れ壁がないものとして考えていた場合と著しく異なったも
のとなり,構造部材がせん断破壊しやすくなると同時に,降伏ヒンジ位置が想定位置からほかへ移
動したり,降伏機構が梁降伏から柱降伏に変化する可能性も生ずる.

腰壁や垂れ壁を柱から分離しないで,これらを構造体の一部とみなして設計すると,梁の強度の

算定は比較的容易であるが,通常程度の壁厚と配筋では腰壁や垂れ壁が曲げによって圧壊したり,
せん断破壊を生じたりするので,腰壁・垂れ壁付き梁に靭性を期待することは一般に困難となる
1
0.3
)

また, 1階では柱脚に降伏ヒンジを設定することになるが,そこに腰壁があると,腰壁と平行す
1
96一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

る骨組では腰壁上端近傍に降伏ヒンジが形成されるのに対して,腰壁と直交する方向の骨粗では腰

壁の下端近傍に降伏ヒンジが形成され,降伏ヒンジ位置が腰壁の破壊の進展に伴って微妙に変化す
ることもある 10.
, 1
4
) 0.) この点については,腰壁付き柱の降伏ヒンジ位置を 2方向の骨組応力に対し
5

てつねに腰壁上端になるように柱の配筋詳細を工夫した実験研究の例 10.6)もあるが,腰壁上端に降

伏ヒンジを設定すると,柱の曲げ長さが腰壁の高さ分だけ短くなるので,一般に柱のせん断設計,

靭性設計が厳しくなる.

このように,腰壁や垂れ壁が設けられた骨組の抵抗機構とその性状は複雑であり,腰壁や垂れ壁

を骨粗から分離しないで,骨組に明快な降伏機構が期待できるようにするための手法はまだ十分明

らかにされていない状況にある.そこで,本指針では実際に腰壁や垂れ壁があっても,その影響が

無視できるように腰壁や垂れ壁には構造目地を設けて骨粗からこれらを有効に分離し,明快な降伏

機構の実現を保証することとした.袖壁や方立て壁の場合にも同様に構造白地を設けて,これらを

骨組から有効に分離し,明快な降伏機構の実現を保証することとする.

1
0.3 構造目地の設置位置

(
1) 降伏機構設計において想定する降伏ヒンゾ部に,腰壁・垂れ壁・袖壁等の非構造壁が施
工される場合には,原則として,柱または梁の危険断面と同じ位置に構造目地を設ける.
(
2) 梁のスパン内に方立て壁が施工される場合には,降伏機構設計で想定する骨組の降伏機
構が確保されるように,原則として,方立て壁の上端または下端に構造白地を設ける.

(
1) 腰壁・垂れ壁・袖壁が設けられる場合には,原則として,解図 1
0.1の各図に示す位置に構造
目地を設けて,これらの非構造壁を柱または梁から有効に分離する.解図 1
0.1の各図に示され
た構造白地の位置は,柱または梁に対して設定される降伏ヒンジ位置で,かつ曲げモーメント

に対する部材としての危険断面位置である.

(
a) 腰壁の場合 (
b) 袖壁の場合

解図 1
0.1 構造目地を設ける位置
1
0章非構造部材 1
97-

前節(10
.2) において腰壁・垂れ壁について述べたことと同様に,袖壁の場合にもこれが骨
組に付加されると降伏ヒンジ位置が不明確となりやすいので,本指針では,原則として構造目

地を設置することとしている.しかし,袖壁の場合には,構造目地を設置するとコンクリート

の打込みが難しくなり,施工上の観点から腰壁の場合に比べて効果的に構造目地がとれにくい

問題も有している.構造目地を設けることが施工的に不可能な場合には,袖壁は非構造部材と

してではなく,柱と一体となった異形断面柱または耐震壁として構造を計画し,その強度と靭

性を考慮して降伏機構設計とその保証設計を行うこととする.
(
2
) 鉄筋コンクリート造の集合住宅などの設計では,解図 1
0.2に示すような,いわゆる方立て壁
といわれる非構造壁を設けることが多い.このような方立て壁が存在すると,骨組に方立て壁

の強制変形による付加応力が作用し,梁のせん断設計と靭性の確保を困難にするうえ,想定さ
れる降伏機構の形成が祖害される可能性がある.鉄筋コンクリート造の方立て壁が設けられる

場合には,解図 1
0.2に示すように方立て壁の上端または下端に構造目地を設置し,これを骨組
から有効に分離することが望まれる.
(
3
) 鉄筋コンクリート造建物には,以上のほかにも種々の形状の非構造壁がある 10.1) 例えば,腰
壁・垂れ壁・袖壁が連続した解図 1
0.3のようなものも比較的よく見られる非構造壁である.し
かしながら,このような種々雑多の非構造壁に対して構造目地の設置位置を一々例示すること

は本章の目的ではない.本指針が適用される建物の設計では,各種の非構造壁に対して,それ

に適した構造目地の設置方法を一々考えるよりは,むしろ構造計画の段階において非構造部材
の形状を可能なかぎり整理して単純化することに主眼がおかれるべきである.
ハ]梁

I
~ I¥¥




1
袖壁

関口当ぽ│
1 --------"" ---¥¥│
___
腰壁

解図 1
0.2 構造目地を設ける位置 解図 1
0.3 非構造壁の例

1
0.4 構造目地の形式

(
1
) 構造目地は,原則として,完全縁切り型構造白地,または一面せん断型構造目地とす
る.
(
2
) 構造目地の見付幅は, (
10.1)式によるム以上とする
-198一 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

。s=Rsh
sl/L 10
( .1
)
ここに , R
s 保証層間変形角
ん :腰壁・袖壁の高さ,または袖壁の長さ
梁のスパン長さ,または柱の高さ
L 梁の内法スパン長さ,または柱の内法高さ

(
1) 腰壁・垂れ壁・袖壁等を非構造部材にすることを目的として,これらに構造目地を設ける設
計が近年広く普及している.
構造目地の形式や設置位置に関しては種々の工夫があり,その効果を検討した実験的研究も
最近比較的多く行われているが 1
0.
7) 実施設計において採用される構造白地の形式のほとんど

は,いわゆる断面欠損型の矩形目地といわれるスリット状の凹部を設けた形式のものである.
この構造白地の普及は,昭和56
年の建築基準法施行令改正に伴ってその運用上の措置として示
された文献 1
0.
8)において,厚さ 10cm以下の壁については設計でその存在を無視してよい,とさ
れたことに始まっている.しかしながら,この措置は設計法における 1つの考え方を示すだけ

のものであり,腰壁等の一部を局部的に薄くすることによって腰壁等の存在が骨粗の耐震性状
にまったく影響しなくなる,と考えられたことによるものでないことに注意しなければならな
し、.

既往の研究によると,前記の矩形目地の場合には目地部の残存壁厚さをかなり小さくして
も,目地部を通じて腰壁等と骨粗部材との間で伝達される応力はかなり大きく,構造白地を設
置するだけでその影響についてなんらの検討もしないと,骨粗の耐震性能に危険な状態が生じ
かねないことが指摘されている.既往の研究の中には,構造目地部の影響を考慮した部材の設
計方法についても論じられているものもあるが 10.9,10.10) まだ残されている課題も多く設計法と

して提案できる状況にないので,本指針では腰壁等を非構造部材として設計するために用いる

構造目地の形式としては,解図 1
0.4に示す完全縁切り型構造目地またはこれとほぼ同等な性状
が期待できる一面せん断型構造白地の使用を原則とすることとした.
なお,一面せん断型構造目地の場合には,解図 1
0.4に示す一面せん断長さ l
sがあまり大きく
sは壁厚の 0
なると目地部に伝達される応力の影響が無視しえなくなるので ,l .5倍以下,かつ 5
cm以下とすることを推奨する.

バ目地幅 W

完全縁切り型構造目地 一面せん断型構造目地

解図 1
0.4 構造目地の形式
1
0章非構造部材 -199-

その他の構造目地を採用する場合には,既往の研究資料 10.7)を十分検討のうえ実験による検

討を行うなど細心な注意が望まれる.
腰壁と柱との付け根に完全縁切り型および一面せん断型構造白地を設けて,梁降伏型の降伏
機構形成を目標とした実験で、得られた荷重変形曲線とひび割れ状況の一例を解図 1
0.5に参考と

して示す.

1
/3
0

(
a) 完全縁切り型構造目地の実験例 1
0.1
1)
、L
Q

U

J ' R口






E
R(xl
O-2rad)

一 目 地

No.7試 験 体 破線は腰壁無の試験体

(
b) 一面せん断型構造目地の実験例 1
0.1
2)

解図 1
0.5 構造目地を設けた部分骨組の実験例

(
2
) 地震時に構造目地が閉塞して非構造壁と骨組部材との聞に応力伝達が生ずることがないよう
に,構造目地には骨組に期待される変形に応じた白地幅を確保することが必要である.
指針の(10
.1)式は,解図 1
0.6に示すように骨組部材を剛体と仮定し,降伏ヒンジ部の回転
によって層間変形が生じた場合を想定したときの所要目地幅を示したものである.完全縁切り
型および一面せん断型構造目地の場合には,構造目地が閉塞するときの層間変形角はほぼ
-200- 鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・解説

層間変形角 R

解図 1
0.6 所要目地幅の仮定 10.11)

(
10.1)式によって推定しうることが実験によって確認されている 10.11),
10.12¥

袖壁の上下端に構造目地を設ける場合については,解図 10.6を縦にして図中の腰壁を袖壁に

し,また柱と梁を互いに入れ替えて考えると腰壁の場合と同じ変形状態となるので指針の式は

腰壁と袖壁の両者に共通の形で示している.また,方立て壁の場合にもほぼ同様に考えること

ができる.
なお,矩形目地の場合には目地部コンクリートの圧壊が保証されても,目地部にコンクリー
トが残存するので所要目地幅は指針の式による値より大きくなる点に注意が必要である 10.7)

参考文献
1
0.1)日本建築学会編:非構造部材の耐震設計指針・同解説および耐震設計・施工要領, 1
985
.11
1
0.2
) 日本建築センター編:帳壁耐震構法マニュプノレ, 1
979
年版
1
0.3
) 日本建築学会編:鉄筋コンクリート終局強度設計に関する資料, 1
987
.9
1
0.4
) 荒川 卓ほか:繰り返し荷重を受ける腰壁付き RC柱の剛性と終局強度について,コンクリート工学年次

論文報告集,第 7巻
, pp.565-568,1
985
1
0.5
)城 攻ほか:二方向水平加力を受ける腰壁・垂壁付 RC柱の破壊性状について,コンクリート工学年次論

文報告集,第 1
0巻,第 3号
, pp.507-512,1
988
1
0.6
) 大久保全陸ほか:鉄筋コンクリート柱の降伏ヒンジ位置設定方法に関する研究,コンクリート工学年次
論文報告集,第 1
0巻,第 3号
, p
p.6
13-
616,1
988
1
0.7)日本建築学会:構造目地を設けた鉄筋コンクリート造二次壁に関する研究資料, 1
988.
3
1
0章非構造部材 -201-

1
0.8
) 日本建築センター編:改正建築基準法施行令新耐震基準に基づく構造計算指針・同解説, 1
981
.2
1
0.9
) 平石久贋ほか:鉄筋コンクリート造腰壁付き柱に設けたスリットの効果に関する研究,日本建築学会論
文報告集, N
o.3
62,p
p.8
3-9
2,1
986
.4
1
0.1
0)野村設郎ほか:袖壁に設けた構造目地の効果,コンクリート工学年次論文報告集,第 1
0巻,第 3号

p
p.4
39-
442,1
988
1
0.11)市之瀬敏勝ほか:腰壁を切断した鉄筋コンクリート造はり柱接合部の実験的研究,コンクリート工学,
p
p.9
7-1
10, 1
982
.7
1
0.1
2)大久保全陸ほか:構造目地を有する鉄筋コンクリート造腰壁付き骨粗の力学的特性に関する研究(その
1一腰壁付きはり・柱+字形骨粗の加力実験について),日本建築学会構造系論文報告集, N
o.380,p
p.
1
0-1,1
2 987
.10
付 録 1
(START)



構 101 計 画 3
.1 構造計画の原則
3
.2 フレーム構造・降伏機構の設定
3
.3 耐震壁フレーム構造・降伏機構の設定

準 備 計 算 7.3
.3 通し配筋
鉛直,地震荷重 4
.3.2 (剛性低下率)
音s
r 材 剛 性

地 震 時 水 平 力 4
.3.
1 設計用地震力


4R1
﹄川
長 期 応
、 力 解 4
.3.
2 線形解析


4Z1

t
也 時 応
、 力 解 4
.3.
2 線形解析
1
日IJ
臼al

層 変 5
方 角 (
112
00) 4
.3.
4 変形制限

一一


伏 長期・地震応力の組合せ 4
.2 荷重係数


日又
降伏機構設計用応力
計 応 力 再 配 分 4
.3.
3 応力の再配分 (20%etc)
4

ヒ ン ン 部の曲げ設計 5
.3 曲げ信頼強度


己 筋 ア レ ン ン 5
.6 構造規定
LL

ン ジ部の上限強度 5
.4 曲げ‘上限強度

v 4.4.2 非線形解析
降 降伏機構保証設計用応力 4.4
.3 動的増幅
伏 4
.4.4 2方向地震力の同時性
機 5
.5 ヒンジ部材の軸力制限



保 証 限 界 油ミ
ρι 形 4
.4.
5 構造物(部材)の保証変形
且又


非ヒンジ部の曲げ設計 5
.3 曲げ信頼強度

ヒ ン ジ 音S
Iのせん断設計 6
.3,
6.5 柱・梁のせん断付着強度
非ヒンジ部のせん断設計 6.4 耐震壁のせん断強度

パネルゾー ン の設計 7
章 柱梁接合部せん断強度

(END) 9
章 配筋設計

終局強度型耐震設計フロー


nU
円J
はじめに

本設計法を理解しやすくするために 6階建てと 1
2階建てのこつの設計例を作成した.
この設計法の特徴は左頁のフローチャートに示すように,設計者が,建物の終局状態においてそ
の建物にとって最も望ましいと思われる降伏機構を計画して,その計画した機構が実際に形成され
るように設計をすすめることにある.大きく分けると二段階で構成されている.すなわち,降伏機

構設計と降伏機構保証設計である.

第一段階(降伏機構設計)
1.設計者は建物として望ましい部材に降伏機構を考え,そのときの構造物の変形状態を想定し
て,部材の剛性低下を考慮、して線形解析により,応力の算定をする.
2
. このときの層間変形角が 1/200以内であることを確認する.
3
. 合理的な配筋設計になるようにある程度の応力の再配分を行い,全体として必要な耐力を確
保するように降伏ヒンジの曲げ設計を行う.
ここまでが,降伏機構設計である.

第二段階(降伏機構保証設計)
この降伏機構を保証するために,非ヒンジ部の曲げ設計および部材のせん断設計を行う.
1.想定したヒンジの曲げ上限強度を算出し,降伏機構を保証するための応力,すなわち非ヒン
ジ部材の設計用応力の算定をする.

2
. 静的非線形解析により降伏機構が形成されるときの応力を算出し,さらに,動的な効果のた
めの割増しと 2方向地震力の同時性を考慮した割増しを行い,降伏機構保証設計応力とする.
3. 柱に対してはその柱がヒンジ部材である場合,十分な靭性を持つように軸力を限度内に収め
る.

4. 設計用応力に対して非ヒンジ部材の曲げ設計を信頼強度を用いて行う.軸力は直交方向の地
震力による軸力も考慮、しその 50%を加算する.
5. ヒンジ部材 p 非ヒンジ部材のせん断設計を行う.ヒンジ部材に対しては変形能力として最終

的に保証する限度の変形(保証変形角〉を考慮する.
6. 付着割裂の防止と接合部のせん断の検討を行う.
以上が指針による設計の概要である.

本設計例では計算手順の理解のためにできるだけ手計算的にして設計例を表現している.そのた
め降伏機構保証設計用応力の算定は増分解析法は使用せず仮想仕事法や層モーメント分割法を用い

ている.また,曲げ設計での断面検討では本指針の主旨からすれば精算式を用いるべきであるがー
-204- 付 録 1

般に常用されている略算式を用いている.なお,設計例 2の柱の断面検討では精算式によるものも
比較して示しているので参照されたい.

設計例を終えて
設計例の作成過程で生じた種々の問題を検討した結果,以下の点が今後検討すべき項目として明

らかになった.

1
.適 用 範 囲
現在,指針の適用範囲がかなり限定されたものになっているので,今後は,特に実際の構造物を

考え整形性を欠くものに対する適用や,さらに,基礎・杭などの設計も含めた,総合的な手法に育
て上げて行く努力が必要と思われる.

2
. 地震用外力
地震用外力は,ほぼ現行の建築基準法に倣った形であるが,フレーム構造の場合 CB=.25,連層壁
のある場合は CB=.
30であって,連層壁の形状やフレームと連層壁との比には無関係となってい
る.今後,このあたりを明確にする必要があろう.

3
. 柱脚の設計
設計された断面をみると配筋の状態で特に柱においてヒンジ領域と非ヒンジ領域,一般柱と壁っ

き柱で大きく異なり,各層間での配筋には連続性に欠ける等が目につく.これらは降伏機構の設定
や応力の再配分,降伏機構保証設計用応力の算出などに習熟すればもう少しスマートになるのかも
知れない.しかし,ヒンジ部である大半の梁端部および l階の柱脚,壁脚の曲げ主筋は,最初の降
伏機構時に決定し,降伏機構保証設計時には,拘束のための横補強筋の検定を行うのみである.そ
れに対して,非ヒンジ部である上層部の大半の柱主筋の曲げ設計においては,機構保証設計時の動
的増幅効果, 2方向入力の同時性,ヒンジ部材の上限強度,梁部材のスラブ効果の上昇等の要因を
反映することにより,ヒンジを仮定した柱脚に比べるとはるかに多くの主筋量が必要となる.想定
したメカニズムを完全に確保すればよいということからすればこれで十分なのかも知れないが

階の柱脚のヒンジが梁の降伏に先行しない方が,より望ましいと思われ,また,柱頭と連続的な配

筋が実際的であると思われるので,降伏機構設計の段階でこれを考慮して配筋量を増やしておくこ
とも考えられる.

4
. 非ヒンジ部材の設計用応力算出法
非ヒンジ部材の設計用応力は静的な非線形解析によることとし,その基本的な条件は外力分布を
震度逆三角形分布として,増分解析法または仮想仕事法によることとしている.しかし,具体的な
手法の適用には設計者の工夫が必要である.設計例についてみるとフレーム構造では仮想仕事法
(6階建て〉または層モーメント分割法(12
階建て〉を採用し,耐震フレーム構造ではまず構造物
はじめに -205-

全体の終局耐力の計算において仮想仕事法を適用し,その応力の各フレームへの分配において,フ

レーム部分に対しては仮想仕事法 (6階建て)または層モーメント分割法 02階建て)を採用して


いる.このような様々な手法を採用した理由は適用する解析法によっては大きく応力状態が異なる

場合が生ずることにある.しかし,応力解析は略算的にも一義的に決められるべきであり,今後こ

の面からの研究も望まれる.この際,現実的な設計を行うためには,保証すべき変形レベルとの対

応のある簡便な方法が望まれる.

5. 直交方向の軸力
直交方向の架構の全ての梁の上限強度に基づくせん断力の和による柱軸力の 50%を加算すること

が,特に高層の建物の場合,結果としては現実に増分法などで解析した場合と比較して過大評価と
なる可能性がある .x方向の検討時に Y方向の軸力を評価する必要があるため厳密にはイテレー
ションが必要になる.さらに,設計例とは異なり非対称な建物ではかなり繁雑である.また, 50%
がよいのかは別にして設計用の軸力が従来より大きくなり断面に与える影響は大きい.しかし,建

物の地震時の挙動にたいして本来重要な事項であると思われるので,軸力の扱いは慎重な配慮が要
求されるところである.

6. 各種割増し係数
動的性状を反映させるべく非線形応答による応力分布の変動まで考慮、した動的な効果による割増
し係数と 2方向地震力の同時性を取り入れて,動的解析を省略し静的解析を基本にして設計できる
というメリットは十分ありユニークなものと思われる.しかし,これらの係数は X方向の柱につい

てみると 6階建ての場合1.2
5から1.4
8,1
2階建ての場合1.2
3から1.63となり上層部でかなり大きな
値となっている.設計例では従来の設計に比し柱の主筋が上層で増えているのはこの割り増しにも
起因する.各値は動的解析手法や地震入力レベル等に依存しているが,過大な感もあり,数値をよ
り合理的なものとして設定して行くにはさらにこのあたりのより深い検討の必要性を感ずる.

7. せん断強度式
指針でのポイントの一つは,脆性的破壊であるせん断破壊を防止するために,ヒンジ部の曲げ強

度は上限強度として求めた上で断面のせん断設計を信頼強度で行うとしづ方法である.設計応力と

強度のばらつきの関係も配慮、しており,荷重係数・耐力係数設計法への前段階としての位置づけが

なされている.

一方,せん断終局強度式は塑性理論に基づいたトラス機構とアーチ機構の和として理論解として
与えられており,力の流れとせん断補強筋の負担割合を認識しながら強度を求めることができる.
設計者がどのような機構で力を流しせん断力に抵抗させようとするかの意志が反映されるように
なっている.

しかし,今回の指針式によれば,せん断補強筋の負担が,最大で全補強式の 2倍まで期待しうる

ことになっているので,動的割増し係数などを考慮、したとしても,従来の強度式に比較して鉄筋を
-206一 付 録 l

増やせばせん断設計は容易であるとの感もいなめない.また,横補強筋の役割として主筋やコンク
リートの拘束も期待しているのでディテールとその効果についても系統だった研究が必要と思われ
る.

8. 付着強度式など
新たな提案項目としては,まず,付着割裂破壊の検討があげられる.指針の付着の検定法はやや
複雑である.もう少し整理されたものにしたほうがよいと思われるが,付着破壊は脆性的であり,

これからの設計の流れとして鉄筋の高強度化,太径化の傾向からみて,この検定は非常に重要なも
のとなるはずである.
また,接合部の検定も,従来はあまり留意されていなかったところであるが,付着と同様に,こ
れからは重要な項目である.実験的および解析的な研究を更に行う必要があろう.

9. 構 造 規 定
配筋ディテールも従来のものに比しやや構造規程がきびしくなっているが,たとえば,横補強筋
はせん断補強筋・拘束筋・主筋の座屈防止・付着割裂防止用拘束筋としての役目を担っており,重
要な部分である.しかし,例えば設計例 2S6に示すように,最終的に構造規定で補強筋量が決定
するケースが多く,それだけに,部材設計式とのパランスを考慮した規定に修正して行く必要があ
ろう.

以上,指針に基づいて,試設計を行ったわけであるが,この設計法によれば,構造物の降伏状況
をイメージしながら設計を行っていくことになるので,それぞれの構造物にほぼ同様の安全性を与
えることが可能になってくるはずであり,合理的な設計法となりうるものであろう.
nU

Iヴ
/副
設計例 1 (6階建)
目 次
艇建設使伏仮設
間物計用図定計
電概方材・断荷
一 123456
R3

要針料軸面重

っL n L つ臼円 4 n L n L
nununu--4
噌nHunHU
14

噌Eム 噌
円乙円、
tム 寸
Bょ
υ
92 準備計算
2
.1 部材剛性……………………...・ ・..………………………...・ ・
H ..
….
.・ ・..……………...・ ・..……… 2
. 14 H H H

2
.2 柱軸力 …・……・・・…・……・・ー…・…………………………・……・……………...・...… ・……………・・ 2
14 u

2
.3 地震荷重 ・…・・……・・…・…・…・….....・……-…-一……・…・・・……・・・…..……・一……・・……………. 2
15

93 降伏機構設計
3
.1 長期応力 ・…・・・……・・・・・・……一…一………-………・・・…-…・・・………・・………-…...一……・…・・・・・・・一一 2
17
3
.2 地震時応力 ・・・…・………………・・….....・ ・
.
.
.・ ・.....……・……・・・・・…………・…-…・・……………..... 2
H H 19
3
.3 層
間変形
角・剛
性率・
偏心率
…・…
・..
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
..2
22

3.4 信頼強度の算定 ・………・……・・・……・・…ー……-…・…....……・・……-………・……・・・・・・・・…・・…… 2


22
3
.5 設計用応力および応力検定...・ ・..…………………………………...・ ・・・..…………...・ ・
H ...
…ー 2
23 H H H H

3
.6 ヒンジ想定部材の断面リスト……....・ ・...…………………・……...・ ・
H ..
….
..
・ ・
..
….
..
・ ・・ ・
.… 2
. 26 H H H H H

94 降伏機構保証設計
4
.1 ヒンジ部材の上限強度……...・ ・..…………...・ ・-……………...・ ・
H ..
….
..
・ ・
..
….
..
・ ・
..
….
.. .2
・ ・
H . 2
9 H H H H

4
.2 仮想仕事法による終局耐力の算定 …
・…・
……・
…・…
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・ 2
32
4.3 設計用応力の算定………………...・ ・
.
..
..
・ ・..……………………...・ ・
H ..…
…….
..・ ・..………・…ー 2
H 35 H H

4.4 ヒンジ部材の軸力の検定…...・ ・..……………………………...・ ・


H .
..
..
・ ・
..…
…….
..・ ・・・
..… 2
… 38 H H H H H

4
.5 柱・梁のせん断設計 ・………・・・…・・………・…・…・・・・・…… ・……・・……一一……・・・・・・…….......…・・・・ 2
υ 39
4.6 壁のせん断設計 …
・…・
・・・
・・・
…・・
…ー…
・・・
…….
...
...
..…
・…一
-一-
一..
..一
一一・
・・・
・……
...
...
.・ ・
...
...
.…ー 2
・ 42 H

4
.7 付
着強度
の検討
………
・….
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
.…一 2
… 44

4
.8 柱の非ヒンジ部の曲げ設計 ……・………・・…・・・・・・……・・・…・・・…・・・…・…一………-…・・…・・・…・・・…ー 2
46
4
.9 壁の非ヒンジ部の曲げ設計...・ ・
.
..
..
・ ・..…………………...・ ・
H H ..
….
.・ ・..…………・……ー・……一 2
. 49 H H

4
.10 接続部の設計 …………………………………………………………………...・ ・...………・・……... 2
50 H

95 部材リスト
5
.1 柱リ ス ト …・・・……・・・・・・・・・ー・・・・……・・ー・・・・・・…・・・…・・…・・・・・・・・・…………・… ・
・・・
…・・
・・・
・…・
・…・
・…・
・ー 2
55 υ

5
.2 大梁リス ト …
・・・
・..
...
...
...
...
...
...
一一.
...
...
..…
・・・
・・・
・・・
一一・
・・・
・…・
・…・
・・…
・・…
・・・
・・…
・・・
・・…
・・・
・・・
・……
..2
57
5
.3 壁リス ト ・
・・・
…一-
…ー・
・・・
・・・
……・
・….
...
..一
...
..…
・・…
...
...
...
...
…・・
・……
・・・
・・・
…・・
・・・
・・・
・…・
・・…
・….
...2
. 6
0


n
QU
u
91 一般事項

1
.1 建 物 概 要
1
.1.1 概 要
対象とする建物は地上 6階,軒高 2
1.5mの事務所で,鉄筋コンクリート構造である.柱スパンは
X方向 が 6.0mの 6スパン, Y方向が 9
.0,8 .Omの 3スパンからなっており, Y方向には 5枚の
.0,9
無関口連層耐震壁を有している.階高は l階が 3.8m, 2
'"
"6階が 3.5mであり, X方向は純ラーメ
ン構造, Y方向は連層耐震壁を含むラーメン構造としている.

本建物の建設地は東京近県とし,地盤は良質の堅い関東ローム層(第 2種 地 盤 ) を 想 定 し て い

る.

1
.1.2 建物規模
階 数 地 上 6階

高 さ 最高部 25.0m
軒高 21
.5m
深 さ 基礎底 GL- 1
.6m
杭底 GL-16.0m
階 高 l階 3.8m 2
'""6階 3.5m
2
建築面積 986.0m
2
延床面積 5616.0m
1
.1.3 構造種別・仕様
屋 根 アスフアルト防水層の上モルタル目地切仕上げ

RCスラブ (t=
180
)
一般階 アスファノレトタイノレ

RCス ラ ブ (t=1
50)
外内天

壁壁井

プレキャストコンクリートパネル

軽鉄骨組下地プラスターボード

吸音テックス

1
.2 設 計 方 針
.2
1 .
1 設計目標
鉛直荷重に対しては従来の許容応力度設計を行い,適切な強度と使用性を有するものとする.

大地震時の水平力に対しては,想定される変形レベルにおいて明快な全体降伏型の降伏機構が形

成され,かつ十分な靭性を確保することを目標とする.

.2
1 .2 降伏機構の設定
基礎および基礎梁等は上部構造を支えるのに十分な強度を有するものとし,本設計では降伏機構
-210一 付 録 l

を設定しない.
上部構造は, 1階柱脚および最上階柱頭を除き各階梁降伏による全体降伏形を設定し,連層耐震
壁は 1階壁脚での曲げ降伏形とする.

降伏機構の代表例を図1.1
に示す.

~ L
二 ~ ~訟 4:>
~‘

YI通り

XI通り

図1.1 降伏機構図

.3 使 用 材 料
1
.3
1 .
1 コンクリート
2
杭 普通コンクリート Fc=240kg/cm
2
基礎および基礎梁
" Fc=240kg/cm
2
1階立上がり "
'4階床 " Fc=240kg/cm
2
4階立上がり "'R階床 Fc=210kg/cm
" 2
Fc=210kg/cm
塔屋部分
"
コンクリートの圧縮強度 (
σB) は設計基準強度 (
Fc) とする.
.3
1 .2 鉄 筋
信頼強度 上限強度
2 2
柱・大梁主筋 SD35 3.5t/cm 4
.375t/cm
2 2
小梁主筋 SD3
5 3.5t/cm 4
.375t/cm
2 2
柱・梁せん断補強筋 SD30A 3.0t/cm 3.900t/cm
2 2
スラブ・壁主筋他 SD30A 3.0t/cm 3.900t/cm
設 計 例 1 -211-

.4 伏図・軸組図
1

三一一正1
= C
3 C
s C
s C
s C
3 I
Cl
③1
1 G
7 G7 ,
G7 G
7 G.
s

。 、。
、;
;1' 。;,。 。 。 。
C
2 C
4 C
6 C
6 C
6 C4 I
II
c2
I
-
③ t
-
Gs 1
1
1 G9 ド

既"
= タr
ぞエ¥ い
匡/で
/
G
『9/5 「刷『 5
G g G8
cE ~I~~二二c5~ !1===cE~~
/
C
2 1
11 C
4 1
1
1
11 C6/ C6¥¥C6 i
ll
C4 n
lC2
③什 Gs G9 G
9 G9 G
9 m Gs

。1===
C
l C
3 C
s Cs C
s C
3 I
II
c1
③ j1
G6 G7 G7 G7 G
7 G6

ト ー6
000 H H I
J 1
1 6
000---
Y
③ ③
Lx③ ③ ③
/
メペ¥
/印は塔屋位置を示す.
③ ③

図1.2 基準階伏図

C
3 C
s Cs C
s C3
G7 G7 G7 G7 G6

もFLII11 1 1 11111
t
5
FL
I
I 1 1 1 1 1
いl
患 I IL 1 1 1 1
f
tml
l11 II
---
i 1
--
--
--
ll
.-
--
ll
i
f
m
ll 1 1 1 1 1 1
討 1
1 1 1
1 1 1 1

③ ③ ③ ③ ③ ③

図1
.3 Y1通り軸組図
η〆
4

付 録

Cl

もT
I I~I1
1
m1
1 I~I1
kl
l I~Il
r
41
1 I~I1
2凶 I~I1
LI~~II
W明 白 [g 1
1
I~I1 SW1

③ ③ ③ ③

図1.4 X
I通り軸組図

1
.5 仮定断面

大 梁 コンクリート強度

400X850(X)
450X950(Y)

SEll斗112g

400X850(X)
}[NJ

450X850(Y)

N
450X850


J

450X900

750X1500

スラフ
tニ 1
80 (R F)
t=150 (I-6F)

300X600

図1
.5 仮定断面
設 計 例 1 -213-

.6 設 計 荷 重
1
1
.6.1 荷重表

Ckg/m2)
屋 ネ
艮 事 務 室
床用 架構用 地震用 床用 架構用 地震用
.L
D . 770 7
70 770 560 5
60 5
60
L.L. 300 180 80 300 18
0 80
T.L. 1070 950 850 860 7
40 6
40

.6
1 .2 その他
塔屋荷重として 300t,外壁として外周梁に1.0t/mとする.また,柱・大梁・小梁・壁の自重は
別途計算するものとし,荷重表には含まない.
-214 付 録 1

~ 2 準備計算

2
.1 部材剛性
各種部材の剛性については表 2
.1のように仮定し,梁剛性には iRC規準Jによるスラブの有効幅
を考慮した.

壁については,曲げおよびせん断剛性が等価となるプレースモデ、ルに置換した.

表2
.1
曲げ剛性低下率 せん断剛性低下率 軸剛性低下率
l 階 0.7 1.0 1.0

その他 1
.0 (最上階 0
.7) 1.0 1.0
梁 各階 0.
5 1.0 1.0
階 0.
5 0.3 1.0
壁 2 階 0.
7 0.5 1.0
その他 1
.0 0.5 1.0

2
.2 柱軸力
本設計例で、は鉛直応力解析を変位法で、行い,柱軸力を算定した.
表2
.2にその結果を示す.

C1 C3 C5 C
5 C
5 C
3 C
l

Y
4 .- -
.一一
.一一
回一一
.一一
.一一
.
ICZ 1 C4 IC6 1 C6 1 C6 1 C4 1 C
Z

u ・
一一園
一一.
1一
一.1一
一.-
-.一
一.
1
1 C2 1 C4 1
1 C
6 1
1 C
6 1
1 C6 1 C4 1
1 C
Z

Y
2 圏
一一置
一-.
一一.
一一.
一一.
一一.
ー-

c
ー-
ー-

ー-
ー-
ー-
G一

Q 一
Q 一

Q
Q-
Q 一


X1 X
2 X
3 X4 X
5 X6 X
7

柱キープラン
-215-

WiHi/~WiHi
0.3499

4
4
6
6
1
2
0
9
8
9
設計例

3
9
4
4一 4一

0
3一 3一

6
6一 6一 2一 7一 7一 2一 9一 2斗ニ一

1
0
0
2
1
nu一・んに d一・-ワ I一・ Fnu一・↑円 J一 -FA

.
.
.
.
.
5-

叶一
ι
--z
i--
i一1i一Qd一1i-RU一1i一
1・ ケー一 1i一 良U一
ケ t一qL一 つ白一

0
0
0
0
0
{一円恥 QY ・ b 曲・一 1i- 二
一l 一nu--二O 一
一qu-
2一 O一

2一
一 O土 3
一 O一
一 4一 0一
8一 7一1一O一 O一 O一4一 4一8一O一 7一 9一

ZWiHi

92996.7
54647.2

84148.2
34238.8

71194.6

97847.1
一 : つ 一:門i 一 :nu一 :nU一 : q J一・ -qu-
L'5
- 3 一
斗三二
O一2一
d
O 一14一 O一
一円 43
O0ι一
l一9 1一
一 O4t
1一

t A一 oo-- ・一
円 QU-二

CBY=0.30 (耐震壁フレーム構造〉
一 一 nu一 一 nu一1i一nu--i一nu--i一n

uつ
・一れ
︼一 n

u一

"
CBXニ 0.25 (フレーム構造)

.Ox0.30=0.30
25
一l一9Eο 工b 一 1一 3一3一 3一 5一 8一 8一 0一

.25=0.
4一・ニb 一 :nu--ιqu一・ニb 一 : 只U一 :nu一
O一O一 47i-9ι一 l・4 1一 9一 1一 6一 2一

12953.6

4850.4
二一 一 一

20408.4
16547.4

8848.5
34238.8
,、
一ワ 1- ・一円ムト・一ワ t 一
司、 u一・一 GOF--A せ一・一

Hi
一 一 nu--i一nu--i一nu一つ
白一 nu一 つ
山一 nu一qu一nu一

i
日l
.0xO
.2

3
T=0.02H=0.43 (sec)

.
表2

表2
O一
一 8一 4一 l一 5 一14一 1一 6 干 sι1一
一 8一 O一

設計用地震力の算出過程を表 2.3,2.4に示す.
3一: 3一: 7 一: 9一: 0 一 ・ 3一: 4一

.0x1
0x1
1工
4 b一 u一nu一つど nu一つ
ム一 dli--i一1よ
一つ臼
一 1ニ
一4 - -nu--8
1
2- 6 ん・一O ん・7?

Hi(m)
{ F

l一 O l一 2一 2一

.5

11.0
一一 0 0・一 0一

7.5
4.0
18.0
0一 0

5
・一 一 一 ・一 ・一

.
一 一 一

21

4
X= 1.
)

1
.5 (m)

CIY= 1
s
Tc=0.6 (ec

Cl
一8一3一 1一 I一 1 三b70一 3一 l 3 ごり一3
一 一

t二1.0
佐一 :nδ 一 :nu--E円L一・
2一 : A FRU--恥
円。一

Zニ1.0
X方 向
Y方 向
O O 6 O 2一l一 8一1一 5 1 3-一
l一

H=21

-一
一5 J一 一9 F一 一
4
n
u-
-
ん・一 8 ん・ E
u↑一 一
・一8

2726.3

6224.9
1592.5

3867.5

7437.5
5045.1
{
一 一O O・一1一 O一 2 O一 2一O一

~Wi(t)
一・一 一 一 一 一 一

2.3.1 設計用層せん断力係数

R
--------一
α
----MlC

t .CBX.Y
00

標準ベースシア係数
7一
一 5719 一 7一 4一 2一4一8一3一 7一 一 ⋮
Li--一也一・て吟一二6 一 二 7 一 二 QU一・ 07
ご一9 一
O 7
一 O
一 亡 一 O 4
一 一O 2
一 O
一 2
一 1

三b
一 一/
{-2寸 7- VL一 /

2.3.2 設計用地震力
hd
・一 RUF--8F ・ 了If--4-
一 。 一 一 。 一 一 。 一l 一。一l 一。 l 一一

3 地震荷重

(本文 4.3.1より)
一 。・一/一仇

.2
1177.6
1592.5

1212.6

8
)
l次回有周期

振動特性係数

地震地域係数

.
t

41
Wi(

9
Y= Z .R

7
1

1
1
1
1

1
地盤周期
建物高さ
6 一5 一4 一3 一2 一1 一段段
上下

3
6
5

2
4
X


I
C
.
2
-216一 付 録 l

表2
.4

X 方向 Y 方向

F
i(t) Qi(
t) F
i(t) Qi(t)
6 65
0.6 650.6 7
80.7 7
80.7
5 3
87.9 1038.5 4
65.4 1 2
46.1
4 31
4.4 1352.9 37
7.3 1 6
23.4
3 2
46.2 1599.
1 2
95.4 1 9
18.8
2 1
68.1 1767.2 01
2 .7 2120.5
9
2.2 1859.4 11
0.7 2231.2
QIX=O.25x7437.5 QIY=O.30x7437.5
=1859.4 (
t) =2231
.3 (t)
qノト︼

i-
設計例 l

93 降伏機構設計

降伏機構設計では,準備計算で示した鉛直荷重と地震荷重の組合せ(本設計では荷重係数を1.0

とする.)による応力を,設定した降伏ヒンジ部の信頼強度が上回るように設計する.
なお,配筋を簡略化し,また不必要な耐力上昇を防ぐために, X方向(フレーム構造〉では 20%,

Y方向(耐震壁フレーム構造)では 25%以下の範囲で,線形解析による地震時応力の再配分をおこ

なう.

3
.1 長期応力
図3
.,
1 3
.2に代表架構 C
Yl通り, X
l通り〉の長期応力を示す.
なお,応力解析は変位法によっている. また,部材剛性は地震時応力との組合せ用として準備計

算で示した値を用いた.

(GQR) (GQR)
GMR GMR
一一一十一一一一一一一ー一一一一一一一一一一一一+ー一一
CMU 1 GML GMC CMU 1 GML

MMMQQH
柱柱中柱柱柱X Y
頭脚央頭脚脚方方

mmmttttt
/LftfL
(CQU) 1 (GQL) CQU 1(GQL)

ATL4EL ふEL
CMU= 柱
S W WQH WQV CML=
CNL 1 CMC CNL 1 CMC CMC=
1 BR V BNL BNR CQU=
1 (CQL) (GQR) 1(CQL) CQL=
1 CML GMR 1 CML

CNLニ
向向

﹃ハ

+一一一一一一一一一一一一一一一一一ー一一十 CQX=
CMU 1 GML GMC CMU 1 CQYニ
(CQU) 1(GQL) (CQU)i
始終中始終
端端央端端

GML=大梁 M(t.m)
CNL 1 CMC CNL 1 CMC GMR= M (t.m)
1 BR X BNL BNR GMC= M(t.m)
1(C9
A--
) (GQR)1(CQL) GQL= Q (t)
1 CML GMR 1 CML GQR= Q (tl
十一一ーーーー一一一一一一一一一一一一一一一十
GML GMC
(GQL)

架構応力図凡例
lNH
∞!
(-9.8) (-9.1) (-9.1) (-9.1) (-9.2) (-8.5)
RF 11
.5 10
.2 10
.4 10
.3 10
.7 7
.4
7.4
(-3.51
7
1 (
¥ 8
.
.
4
5
)
6
.5 0
(
0
.
.
7
3)
1
0
(
9
.
.
7
2
)
5
.5 。( 。
00) 1
0
9
.3
.1
)
5
.6 。

00
( ) 1
(9
04
1) 5
.6 。( 。
00
)一1
(0
92
1) 5
.5 )-
(-007
3 1
(19
5
8) 6
.5 -7.
(3
.
4
5)


。 。
。 キ

。 。 山 的1│││

-29.7 1
.2 -45.0 0
.2 4
3.6 。
。 -43.8 -43.6 -45.0 0
.2 -29.7 -1.2


F一
nb一

(-3.5) (
0.3
)
(8923) (
-89
00) (
000
0) (-980
) (
000
) (
-89
00) (
000
0) (
-89
00)(
-00
33) 3) (
3.5
)


一7
( 8
9
←lil--と111111十1111ミ

4
.8 -0.3 -4.8


。) 。( 。
3日

。( 。
4anU44apokd7

5
.0 00
( 9.0 4
.8 4
.8 4
.8 4
.8 5
.0 -3.4
(
789
3) (
8.0
) (
0.0
) (
980
) 00
) (
98
00) (
00
20) (
98
00) 00
) -
(98
3
2)
(2
.0)


。 。

-83.4 -82.0 。
。 -82.1。
。 -82.0 。
。 。
-83.4。 -57.4 。

F一
wb一 バ 苛 一 つ

(
-32
06) (-8.2) (
00
.0
0) (-8.0) (
000
0) (
-89
00) ( l
-89
00) ( (-8.0) ( (-7.8) (
2.0
)
000
0) 000
0)


9.
3 9
.0 000)
9.
0 8
.2 3.6
。( 。
42442

5
.0 4
.8 4
.8 4
.8 -9.0 4
.8 0
.2 5
.0 -4.6
(
878
2) (
00) (
2
1 980
) ) -
(8
9.
00) ) (
00 98
.0) (
00
.0
0)
(
0.0 8.0 (-0.1) -
(98
23)
(2
.5)


。 。
。 。


ltill--十Il-1とIll111十11100目 的il--+11100∞ 的

0
.1 -122.5 (
0.0
) -120.8 21
1 .0 -120.8 -122.5 0
.0 -85.7 -0.1



F
。。的

(
-42
53) (0
.1) 3) (
0.0
) (-8.3)(-OOl (-8.1) (
2.5
)

図 (98.6
4
)
-0.1
(-892
2
) (
00
00) (
-98
23) (
000
) (
89
2
9.3
l)
8.5 4.3

。) 。( 。 。( 。
)
9“4 9 n 4 4
HN

仏』
5
.1 -
(0
0.
01) (9.3 4
.9 4
.9 00
) ( 4
.9 -9.2 4
.9 0
.1 5
.1 -4.2
(
885
1
) 00
( (
89
23) 89
.2
3) 00
8
.3) (8
.2) (
0.0) (894
6) (2
.4)


。 。
。 。
。 。
。 。。 。
。 。

d
コ山田

1
62.
1 -160.2 -160.4 -160.2 -162.1 -114.2
F一
dh

(-2.4) (-8.4) ( 0.0


) (-982
) (
000
0) (-983
2
) (
00
00) (-8.2) (00
00) (-8.3) (0O
0l) (-811 ( 2
.4)
4.
1


d

9.6 -0.1 9
.2 9
.3 8.5 -4.1
一つ

。{ 。
引は︺図

42U3
・p a a U F O

-9.3 -9.2 0
.1
l-(885
1
)
5
.1 -(
00
..
01) 4
.9 (
00
.0) 9.2 4
.9 00
) -
(8
9.
23)
4
.9 4
.9 -
(896
4) 5
.1 -4.4
(
8.3) (
8.2
) (0.
0) (8.2) (0.
0) (2
.5)

-0.1 -201
.7 (
0.0
) 一1
99.
6 (
0.0
) -199.8 (
).
O -199.6 。
。 2
()1
.7 。
。 -142.8 0
.1
F一

(
-24
57) (-989
6
) (
0O
0I) (-894
) (
()
.O
) (-8.4) (
000
) (-8.4) (
00
00) (-8.4) (
0
0.
.0
1) (
2.5
)
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μ

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7 。
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-240.6。 -242.8 -0.1 -172.7 0
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(-19.2) (-15.
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。 。

2
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3
.9 -50.8 SW(O.O) 5
0.8 -29.7 -3.9

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)

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-12
564
6) (
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0) 3.
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-12
540
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)( .7)
2
6.6 14
.7
。( 。
)


24.
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7.2 7
.5 26.6
1
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0) (
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0)(
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646) 00 ( 1
7.2 1
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2)
15.4)


。 。

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-0.3 -96.1 S'
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.0) -96.1 -57.4 0
.3

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5一
(-15.4) (-13.3) {


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00) (
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54
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6.0)
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0
.8) 2
6.7一 一(
000
0) 26
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.8
24.
6 1
7.3 。( 。
00
) (
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37
3) 7.
4 。
。) 26.7 1
7.3 1
(37
7
5)


tA-
n
) 05.0) (
0.0 (15.4
)

-85.7 0
.5 。
-142.1。 SW(O.O) 。

-142.1 -85.7 -0
.5
図ω・N


)

F ド;2
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一 (
-21
564
6) (
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363
1
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-12
549) (
0 7.5
)
-12.6

。)
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1
2.3 1
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.5
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.0
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216
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6) 1
7.2 (
17
20
3)
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( .0)(215409) 3)
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。 -188.5 。
。 SW(O.O) 。

-188.5 一114.2 0
.0
3一
F

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1) (-15.4
) (-13.3) 9) (7.0
)

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-12
540
。 。
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26.
6 2
6. -
(00
00) -1
2.2
3
6
))
つ色々d

26.
6 12.
7

1(214509) 1
7.2 7
.5 1
7.2
(
0.0
) (
0.0
) (
15.
4) 7.
4)

。 。 。

勺6

-0.3 -235.1 SW(O.O) 2


35.
1 -142.8 0
.3
F 2一

i
とお) ) (7.4
)

(
-12
577
2)ト ( (
-21
375
2) ( (
-21
547
1


000
0) 00.
0)
-1
3.3
1
1.3
(-5.7)
2
1 (
4
15
.
7
.
1)
1
7.5 。

00
( ) (
21
37
52) 7
.3
(
0.0
2
) (
7
15
.
2
.
7)
1
7.5 1
(
l
.3
5.
7)


。 。

∞的

-172.7 -0.3 -283.5 SW(O.O) -2


83.
6 -172.7 0
.3

(-5.7
1
2.0
)
(
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385
6
1)│

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o0
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-)- 一
一(-
-31
896
5
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) (-19.2) (
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.
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)
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-3.0 。
。 SW(80.3) 3
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0.0)

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3.

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2
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.0 SW(193.1) -36.2 。


96-oo
;

Aυqu nuou

川町

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1
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.0 -1.2

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2


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.0
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(
11.1
) ( (
0.0
)
-44.71 0 .0
.6
1 0
.0 0.01 44.9 1
.6
hF

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(-1
0.3)


6
p山 岡 三 吋f社図

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16.
2 SW(316.1) -216.2 0
.0 3
.5

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ハU 1 m 勾f 胃A
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1 -0.11-39.5 0
.0 1
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(
0.0)
( ( 9
.8)

3
49.
3 0
.0 SW(379.3) -349.3 0
.0 0
.3

L-8.7トー0 .0) (
8.9)
1 ( 0
.0)

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-0.11-35.8
9)

。 -35.81-0.1
-0.11 お .
(O
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)
1
(-8.7)
3
.3

2
1.4 4
95.
7 。
。 SW(341
.4) -495.7 。

2
4.1

(-ziML一 -
M11
1)
-24.1

剛開叫↓
S
一日
-NNH│
③ ③ ③ ③
2
22一 付 録 l

3
.3 層間変形角・剛性率・偏心率

各層の層間変形角,ならびに剛性率・偏心率を表 3
.1に示す.層間変形角の制限値は,部材の剛性
低下率を略算的に設定したので 1/200の 1 /1
.5(=1/300) とした.
各計算値はいずれも制限値以下となっている.

表3
.1

層間変形角(豆 1/300) 剛性率(ミ 0


.60
) 偏心率(豆 0
.15
)
階 X方向 Y方向 X方向 Y方向 X方向 Y方向
6 1/588 1/795 1.
422 1
.02
3 0.
000 0
.00
0
5 1/409 1/706 0.
990 0
.90
8 0.
000 0
.00
0
4 1/354 1/685 0.
855 0
.88
1 0.
000 0
.00
0
3 1/327 1/727 0.
791 0
.93
6 0.
000 0
.00
0
2 1/328 1/804 0.
792 1
.03
5 0.
000 0
.00
0
1/474 1/944 1.
146 .2
1 1
5 0.
000 0
.00
0

3
.4 信頼強度の算定
3
.4.
1 梁の信頼強度
梁の曲げ信頼強度は材料の信頼強度を用いて,以下に示す終局強度式により算出した.なお,ス

ラブ筋については RC規準の協力幅内の上端筋のみを考慮した〔下図参照J
.下端筋は十分な定着長
トL
がないので本設計では考慮しないこととした.

Mu=O.9at・σy• d+0.
9Ls
at・sσy• d
2
ただし, σy =3.5t/cm
2
sσy =3.0t/cm
2
スラブ片側につき , L
sat =2.69cm (スパン l=6.Om)
2
3.41cm (スパン l=8.0m)
2
4.12cm (スパン l=9.0m)

3
.4.
2 柱の信頼強度
柱の曲げ強度については,以下に示す終局強度式を採用する.

N
max
;;:
;;N
>Nbのとき
2
Muニ {
O.5
ag・σy • l ・D+0.024 (1十 gl)
g (3.6-gl) b.D • F
c}
(Nmax-N) / (Nmax-Nb)

Nb ミ~N 孟 O のとき

=O.5ag・σy ' gl ・D十 0.5N.D (1-N/ (


Mu b.D .Fc
))

o>N~三 Nmin のとき


g・σy • gl ・D+0.5N.gl ・D
Mu=0.5a
ここで ,Nmax =b.D .Fc十 αE・σy

Nb =
=0.
22 (1十 gl) b• D .Fc
設 計 例 1 -223-

Nmin =-ag ・σy


2
σy =3.5t/cm
3
.4.
3 耐震壁の信頼強度
連層耐震壁の曲げ信頼強度は,材料の信頼強度を用いて下式により算出する.
Mu=at・σy.l
w十 0
.5a 山 . ん+
σωy・ 0.5N.l
w
2
ただし, σy =3.5t/cm
2
σwy=3.0t/cm

3
.5 設計用応力および応力検定
3
.,1 3
.2で示した長期および地震時の応力を組合せ,ヒンジ想定部の曲げ設計用応力とする.な
お,地震時についてはフェイスモーメントを採用した.

以下に, 5階・ 4階について,応力再配分の手順を示す.


1)線形解析によるヒンジ想定部の曲げモーメントの総和
60.3+74.9+59.3+・
・・
・・
・・
・・
・・ +77.3+56.3+76.7= 8
・ 13.
6 (5F)
8
0.2十94.4+77.4十・ぃ・……・・+9
6.0+7
5.2+9
7.2=10
40.6 (4F)
に対し,断面の曲げ信頼強度の総和が小さくならないように,線形解析による曲げモーメント

の前後で,鉄筋本数を決める.下図に,線形解析による曲げモーメントと,仮定する曲げ信頼

強度[( )内数字]を示す.

(
71.3) (
71.3) (
71.3
) (
71.3) (
71.3) (
71.3)
平 5F 74
.9 77.
2 77.
1 77.
1 77.
3 76
.7
60.3 59.3 59.
1 59.1 59.
2 56.
3
(
65.7) (
65.7) (
65.7) (
65.7
) (
65.7) (
65.7)

(
91.7
) (
91.7) (
91.7) (
91.7) (
91.7
) (
91.7)
ヱ4
F 94
.4 95
.9 96.
0 96.
0 96.0 97.
2
80.
2 77.4 77.
4 77.
4 77.5 75
.2
(
73.8) (
86.1) (
86.1
) (
86.1) (
86.1) (
86.1
)

③ ③ ③ ③ ⑧ ⑧ ⑧

2) 5階のお通りにおいて,梁上端筋は,線形解析による曲げモーメント 7
4.9tmV
こ対し,仮定

した曲げ信頼強度が 71.3tmであるため, 74.9-71


.3=3.6tm不足する.一方,梁下端筋は,
59.3tmに対し, 65.7tmであるので, 6.4tm余裕がある.そこで,上端筋の不足は,下端筋に再
配分する.

X
3通り'" X
6通りも同様に節点内で再配分する.
また, X
7通りの不足分 76.7-71 , X
.3ニ 5.4tmは l通りに再配分する.
3) 4階の X
2'"X
6通りも 5階と同様,上端筋の不足分 2.7tm"'4.3tmを下端筋に再配分す
る.さらに,下端筋に余裕があるので X
l.X
7通 り の 不 足 分 6.4tm,5
.5tmも X
2r-...-
X
6通りの節点に再配分する.
以上, 2), 3) を図示すると次図のようになる.
-224 付 録 l

図中く >は応力再配分による移動,口は,応力再配分後のフェイスモーメントを示す.

<
5.
4>

♀ 5F 回
以〉 恩院 回~ 回~ 回出〉
!
日 座主 1
6
5.
01 匡
ヨ 回 困

ヱ4
F

4) 応力検定を以下のように行う.
線形解析による地震時曲げモーメントに対し,各節点で変動させる曲げモーメントは, 5階

のお通りで最大となり,

5.9
一 一 x100=8.7%
68.
2

であるので, 20%未満の範囲内(フレーム構造〉におさまっている.
また,再配分後の各層の節点モーメント(図中口内)の総和は,

65.7+71
.3+62.9十・・一……・・十 71
.3+62.3+71
.3= 8
13.
6 (5F)
7
3.8十 91
.7十 82.4+・・・・・…・・・・十 9.7+81
1 .9+9.7=10
1 40.
6 (4F)
となり,線形解析時からの変動はない.
なお,ヒンジ想定部の信頼強度の総和は 8
22.
0t.
m (5F),1
054
.5t
.m (4F) であり,それぞれ
の余裕は 8
.4t
'm (5F),1
3.9
t'f
fi (4F) である.余裕率に換算すると1.0% (5F), 1
.3% (4

F) となっている.

図3
.5,3
.6に応力再配分後の設計用応力を示す.図中・印は曲げ信頼強度に達しているヒンジ位
置を表している.モーメントはフェイスモーメントを示す.
nL
円ノ“
h
設計例 1

戸 d
応力再配分後の応、力

モーメントは短期のフェイスモーメント
O 塑性ヒンジ想定位置
1
せん断力,軸力は時震時を示す.
0
ドドドドト L
0
3
3.
3
1
8.
7 4
5.
2 6.
41 4
5.
7 6.
41 4
3.
8

6
1.9 6
.9
1 6
1.9 6
1.9
. 6
1.9 6
0.
3,
.
j
4
3.
7 3
7.
5 3
7.
5 3
7.
5 3
7.
5 3
7.
5

1
7.
3 1
7.
3 7
1.
J. 1
7.
3 7
1.
3 1
7.
3
6
5.
7 1
6.
9 6
..
80 6
4.
9 6
5.
0 1
6.
3

1
9.
7 1
9.
1 1
9.
7 1
9.
7 1
9.
7 1
9.
7
..
.
1
7
3
.8 2.
84 8
4.
0 8
4.
1 8
4.
2 1
8.
7

1
02
.9 1
03.
4
rl
r.
. 1
03
.5 1
03.
4 1
03
.4 1
04
.0.
1
7
3.
8 8
4.
8 8
5.
0 8
4.
9 8
5.
0 8
3.
7

1
09
.3 1
06
.7 1
06
.8 1
06
.8 1
06
.7 9
1
J.
..
I
7
8.
6 8
7.
9 8
7.
0 8
8.
0 8
7.
9 9.
84

占J 1
43
.7 1
43.
4 i
ll3
J 1
43
.6 1
43
.7 ピ1
44
.2

~600J-" I "
@ ⑤ む ⑤ @
-
-
-1
-
-,
, I,
,-
-
@
Lo
- -
J
@
600

図3
.5 設計用応力 (Yl通り〉

75.9
t- 14.3 6.3 -54.2

r
- 24.9
57.7
2
1.5
57.7

ト 26.4
57.7
22.2
57.7

ト 28.9
57.7
14.2
69.0

ト 19.3
57.7
9.5
64.1

59.6 61
.5
14.4 7.5

-40.8 -64.8

3965.6

8000

図3.6 設計用応力 (X1通り)


-226一 付 録 l

3
.6 ヒンジ想定部材の断面リスト
ヒンジ想定部の曲げ信頼強度により求めた断面を示す.

(1)柱リスト

Lx
階 位置 C
l C
2 C3 C
4 Cs C
6

6


口口口口口口
12-D25
75X75
12-D25
75X75
12-D25
75X75
12-D25
75X75
12-D25
75X75
12-D25

1


口口口回 口口
85X85
18-D25
85X85
12-D25
85X85
12-D25
85X85
12-D25
一 」 ー
85X85
12-D25 12-D25

(
2) 梁リスト

主筋 G6 G7 G7
3 bXD
/lBilli----¥/lllllll1lllll11¥

1 3 400X850

6 a 6 6

: 6 6 6
DD
2

わ わ
nL

5 4'
-ド 4 4
'- 4 ド 4
r F
5~ 400X850
5

7 7 7 7 7 7 ト
7回
、ド 7 7'
- 」 トJ ,
、 」 400X850
17 7 7

7
6
7
7'
7
-ド 7
7
1
'-ド 7
7
k
7

わ 450X850

8 8 8 8

! 8
4

7'-ド 7 7'- 7'-トJ 」トJ 戸



、 450X850
6

7 8 8 8 8 8 レ

7 7
'-
-'"
'7 7
L ドJ 450X900
6 7

.
1 i -
-
.
c

Yl,
Y4通り
設 計 例 1 -227-

Gs G9 G9 bXD
〆lili--11111-t¥
u

〉 3 400X850
D

6 6 6 6r円 6 6 6ハ
ワu
qL

r .
.
.
5 400X850
5 5 5 5 5 5

7 8 円 8 8 8 8r 戸 h 円 7
r、
7 8 8 8 8 8 400X850
7

、7
r 8,.~
.
. ~r ハ 8 8rk 門
「 ハ
450X850
7 8 8 8 8 8

D25
h8 9 ~ 9 9 9
-
ct 戸

450X850
7 8 8 8 8
. 8

8 9rh
.9 9r 、9
F L
-
-門 p rv 、 ,
.
.
7 7 7 7 7 7 450X900

3 コ 。 〉 、
Y2,
Y3通り

主筋 Gl G2 Gl
4 5 5 bXD
3 3 3 450X950

4 4 4 4
3 3 3 450X850
3
4 4 4 4
3 3 3 3 450X8
50
D251
5 4 5
3 3 3 450X850

5 4 4 5
3 3 3 3 450X850

4 4 4 4
3 3 3 450X900
3

X1,
X7通り

G3 G4 G3
4 bXD
3 t 450X950

4 5 4 ~f‘ 5 1r 450X8
50
3 3 3 3 3 3

4 5 4 4J 5 4
3 450X850
3 3 3 3 3
D25
4 5 4 4
_r ~ 4
3 3 3 3 3 3 450X850

5 4 4 kJ)
J" 4
'
"34
. 3 3 450X850
3 3 3

4 5 4 4 ~ 4
.r
3 3 3 3 3 3 450X900


X
2,X
6通り
-228- 付 録 l

G5 G2 Gs
4 6 6 bXD
3 3 3 450X950

5 5 5 5
3 3 450X850
3 3

5 5 5 5
3 3 3 3 450X850
D251
5 5 5
3 3 3 450X850

5 5 5 5
3 3 3 3 450X850

5 5 5 5
3 450X900
3 3 3

X3,X4,X5通り

(
3) 壁リスト

階 SWl S羽T2
DI0@200ダ、ブ、ノレ D13@200ダブ、ノレ
設 計 例 1 -229一

94 降伏機構保証設計

降伏機構保証設計では,ヒンジ部分の曲げ上隈強度に基づいて,静的非線形解析により,降伏機
構形成時の応力を求め,ヒンジ部のせん断設計,非ヒンジ部の曲げ,せん断設計および接合部の設

計を行う.

4
.1 ヒンジ部材の上限強度
4
.1.1 算定式
柱,梁および壁のヒンジ部の曲げ上限強度は,以下の材料の上限強度を用いて算出する.
2
SD35 σyu =4375 (kg/
cm)
2
SD3
0A s σyu, σW j
哨 =3900 (kg/
cm)
曲げ強度式は 3
.4に示す終局強度式を用いた.
4
.1.2 柱の上限強度
柱の上限強度算定時に算定する方向の直交方向の軸力の 50%を考慮する.

Nx=NL十 Nux+0.5Nuy
Ny=NL十 Nuy+0.5Nux
ただし,最上階柱頭ヒンジ部の上限強度を求める場合,最上階の梁が降伏していないため,柱に対

する梁の付加軸力を求めることができない.

そこで,上限強度時の信頼強度に対する強度上昇分を想定し,地震時応力の係数倍として,梁の

せん断力を求め,柱の付加軸力とする.
なお,本設計例では係数倍として材料強度上昇率を1.2
5倍,スラブ効果による上昇率を1.1
倍程

度として1.3
5倍とした.

Nux=1
.35N
EX
Nuy=1.35NEY
柱断面の上限強度を表 4.H
こ示す.

4
.1.3 梁の上限強度
梁断面の上限強度を表4
.2v
こ示す.
スラブ効果は信頼強度算定時の 2倍の協力幅を考慮する.

例えば ,X 方向については
2
片側スラブ筋として l一 D13, 5-010とし sat 4.82cm を見込む.

4
.1.4 壁の上限強度
壁の上限強度算定時の軸力は,柱と同様に直交方向の 50%を考慮する.
2
X
l通り SWl (αω=50.05cm)
N ニ 283.6X2-0.7-240.7X2XO.5=325.8t
5
Mu ニ (60.84X3500X1
.25X800+0.5X5
0 .30x800) X1
.05X3OOOx1 0-十 O
.5X3
25.
8
-230- 付 録 l

X8.0=42
13.
4t.m
2
X4通り SW2 (a 即 二 88.90cm)
N =418.9x2十 6.7=844.5t
Mu (60.84x3500x1
.25X800+0.5x88.90x3OOox1
.30x800) x1
Q-s+0.5x844.5

X8.0=68
94.
2t.m
2
7通り SWI (aw=50.05cm)
X
N =2
83.
6x2-1.2+2
42.1x 2x0
.5=8
08.
1t
Mu ニ (60.84x3500x1.25X800+0.5x5
0.0
5x3OOox1
.30x8
00) x1
Q-s+0.5x808.1

x8
.0=61
42.
6t.
m
設 計 例 1 -231-

表4
.1

上限強度
符号 位置 Ag NL Nux Nuy/2 N
λI
/u
SC
3 Yj-X2 6
0.8
4 4
5.0 -
0.4 -8.
0/2 40.6 7
6.6
S
C5

"
Yj-X3
Yj-X4
"
"
4
3
4
3
.
.
6
8 。
0.2 -
24.
1

"
/2 31
31
.8
.8
7
3

"
.5

Yj-XS 43.6 -0
.2 31.4 73.3
" Yj-X6
" 45.0 0.
4 -
8
"
.0
/2 41.4 76.9
S
C
l
C
3
l Yj-Xl 9
1
"
.2
6 17
2.7 -
206
.8 -97.4
/2 -
82.8 91.5
l
C3 Yj-X2 6
0.8
4 2
42.8 -7
.9 -
111.4
/2 17
9.2 1
38.4
l
C

"
5 Yj-X3
Yj-X4
"
"
2
4
2
4
0
0
.
.
6
7 。0.
6 12
3
"
.4
/2 1
3
7
7
9
9
.
.
5
0
1
3
1
3
8
8
.
.
5
4
yj-XS 2
40.6 -0.6 17
8.3 1
38.1
" Yj-X6
" 2
42.8 1.9 -
1
"
11
.4/
2 18
9.0 1
41.7
l
C
l
C
3
l Yj-X7 9
1
"
.2
6 1
72.7 2
12.8 -
97.
4/2 3
36.8 2
30.6

表4
.2

梁断面 上 F
艮 強 度
BxD (
d) 主 筋 スラブ無 片側スラプ 両側スラプ
3-D22 35.3 48.3 61.3
4 46.9 59.9 72.9
5
" 58.6 71.6 84.6
0x
4 85 6
" 70.4 83.4 96.4
(
77) 7
" 82.1 95.1 1
08.1
8
" 93.9 1
06.9 1
19.9
9
" 1
05.6 1
18.6 1
31.6
3-D25
" 46.1 59.1 72.1
4 61.5 74.5 87.5
5
" 76.9 89.9 1
02.9
45
x85 6
" 92.3 1
05.3 1
18.3
(
77) 7
" 1
07.6 1
20.6 1
33.6
8
" 1
23.0 1
36.0 1
49.0
9
" 1
38.4 1
51.4 1
64.4
3-D25
" 49.1 63.0 76.9
4 65.5 79.4 93.3
5
" 81.9 95.8 1
09.7
5x
4 90 6
" 98.3 1
12.2 1
26.1
(
82) 7
" 1
14.6 1
28.5 1
42.4
8
" 1
31.0 1
44.9 1
58.8
9
" 1
47.3 1
61.2 1
75.1
"
-232- 付 録 l

4.2 仮想仕事法による終局耐力の算定
4
.2.
1 設計方針
F
X方 向 一 一 フ レ ー ム 構 造
F3
各階の柱の負担せん断力が,外力分布と F2

等しくなるように柱のモーメントを分配する.

Y方向一一一耐震壁フレーム構造

以下に示すフローに従って算定する.

-
--
,、
--

R
仮想仕事法による架構全体の


① ①

--no
寸1 1
f
終局耐力の計算 C
Qr)

JJIl
│h

解す力
析る分
時布と
は同線
じ形と


el
--
L L
:Myθ=αL
:PiH;8

② フレーム部分の応力の算出 ②
各階の柱の負担せん断力が線
形解析時の負担せん断力分布
に等しくなるように梁ヒンジ
部のモーメントを分配する.
C
QF)

線形解析 ヒンジ M 終局応力

I
:
σF/QFi・ ゐi十 ZMCi
hi=;n.

③ ③

lQr

Qwニ Qr-QF Q

ーーーーー寸

iQwj=β
ω,j
'iQ
w

lQ
ω β W}・
lQw
+
比一向
均一川
一一
一Z


ρ
μ

図4
.1 終局耐力の算定フロー
設計例 -233

4.2.2 耐力算定上の仮定

フレーム構造については,柱・梁の剛域効果を無視し,梁ヒンジの回転角は,最下層柱脚の回転
角。と同ーとする.耐震壁フレーム構造は,壁の曲げ降伏後の変形を圧縮側柱芯を中心とする回転
変形とし,幾何学的関係より境界梁の回転角。'を算定する.

⑪ ③ ③ ③
フレーム構造

③ ③ ③ ③

図4
.2 仮想変形角
-234- 付 録 l

4
.2.
3 終局耐力
応力は架構の対称性を考慮、し図 4
.3に示すような 2方向の地震力を設定した.各々の軸力を求め,
圧縮側,引張側を考慮、し,各フレームの応力を求めた.
算定結果の例を図4.4,4.5に示す.


v
f
l



⑧③⑧ ③③

図4
.3 地震力の方向

1
3.
7 1
4.
7 4
1.
1 4
1.
1 1
4.
7 1
6.0


..
.
4
i

4
0.
4 v 8
744
. 5
.9 ド 8
4.
742
.2 8
4.
742.
4 F 8
45 4
. 2.
4 8
7.
741
.6 5
4.
5

十~14 .4 ト3
2.
6 ャ3
2.
6 ド3
2.
6 字3
十 2
.5 ド3
2.
7 2
1.0

0 2~.0 2~.8 7 26.8244.8927l


1
0. 93
.5 26718927 29. 4 半 92
.7, 27418927 2
. 9.
2 92. •9.
0
1 5
6.
2 73
.7
!

6
8.
7 1
23
.0 5
6.
2 1
19
.5 5
6.
2 1
19
.5 56.
2 1
19
.7 5
6.
2 1
22.

い2
2.
9 .2~ い5
1 L 2.
0 0
.6 ト
.
.
,.5
. 2
.0 0
.61
L い5
2.
0 1
.
3
↑ ド5
2.
24 4
08~叶 3
. 3.
6

同 3r i
08.
7 0111087 62511 1
087 6
2.
5 斗
3.
1 1
08.
7 6311 1
087 60611 1
087 3
.1
9

1
4 4 9
5. 5.
7 41
1.9 9
5.
7 41
1.9 9
5.
7 1
4 1 9
2. 5.
7 1
43.
8 9
5.
7 6.8
4

21 い6 6~ .い6 ot~ 同 7 ιい6


ト2
9.
9 1
. L 7.
7 0
. 7.
7 .7 0
.61 7.
7 1
.
31.ド 6
7.
9 74.9~ 叶 4
3.
8

竿即

3 0 5 1 9 m 凶1.6 1
95.0 4~.9 1
3t. 9
2 5.0 4p 1
38
.2 9
4.
8 4p 1
38
.2 9
3.
9 4p 1
38.
2J:
88.
5

1
08
.7 1
70
.6 12
5.
2 1
6 4 1
8. 2
5.
2 1
6 4 1
8. 25
.2 1
68
.6 1
25
.2 1
695 1
. 25
.2 49.
7

十~35.3 ヤ8
0.
0 い8
0.
0 ド8
0.
0 7
ト80
.0 い80.3 5
1.
7
的FBK

4 4 4p 1
5. 53
.,6 1
0 4 4~.0 1
9. 547 1
. .6 4~.0 1
11 54.
7 1
116 4~.0 1
. 54
.7 ・
1l
l '0 1
4 4
. r 54.
7 川 1
101547 3.
2
i
rl09
.9 1
835 1
. 39.
3 1
8 4 1
2. 39
.3 1
82.
4 1
39.
3 1
82.
6 13
9.
3 1
82.
4 1
39.
3 2
3.
5
ト3
9.
0 6
.91-い8
8.
4 0
.6↓い8
8.
4
4 o
t
-い88.4 0.61~ ヤ 8
8.
4 1.3 1~い8
8.
7 167.8~ ~ 5 7
.1
7
3.0 4~.2 1
65
.Q 1
2 1 5~.4 1
8. 663 1
. 29
.2 5~ .4 1
66.
3 1
29
.2 斗5~.4 166
.3 1 2
90 5~ .4 1
. 66 3ト1
. ]
0.3 4p 1 4
8. ,6 7
7
.7
1
18.
4 1
72.
9 1
36.
0 1
7 1 1
3. 36
.0 1
7 1 1
3. 36.
0 1
73
.3 1
36
.0 1
70
.7 1
34
.7 -
29.
1
1
ト4.0 p
.9
3.
0 い9
3.
1 い9
3.
0 い9
3.
0 い9
3.
3 6
0.
1


1.5 込 些 民 生5 1
38.
4 1
38.
1 1
41.
7 3
0.
6

L6000-L,,-L,,-L,,-L"~6ω。」
⑧ @ @ @ @ ⑧ @

図4
.4 Yl通り降伏機構形成時応力
nL
RU
﹃u
設計例 l

子~

r
十~
ドL
作3F

[一一③
~
@ ③ ③

図4
.5 X
l通り降伏機構形成時応力

4
.3 設計用応力の算定
降伏機構保証設計用応力は仮想仕事法により求めた降伏機構形成時応力を次の要因を考慮して割

増して求める.
(


1Ei
‘白

動的な効果
,,

(
2
) 2方向地震力の同時性
4
.3.
1 動的な効果による割増し
(本文 4
.4.
3より)
.0+(
ωci=l L1ωi/ゆ
。〉・ (sc
hi
/sc
D
.0+(
ω i=1 L
山1ωi/件
。〉・ (sw
hi/s削

, i
A ωiは 層の高次モード係数で下式による.

A ωz =0.25 iニ 1のとき〉
(

=0.20 (2 豆 i~玉 n/2 のとき〉

=0.20+0.10 (i-n/2) i>n/2のとき〉


C
) X方向
1

降伏機構形成時の l階層せん断力 Q1=2480.5tおよび建物重量 LWi=7437.5tより 1階の層せん断


力係数は
ClO=Q1/LWi=O.3
33
したがって構造物強度上昇係数は
。 =C1
件 0/0.25=1
.33
X方向の動的割増し係数を表 4
.3に示す.
-236一 付 録 1

表4
.3

階 A ωi 4ωi/ゆ
。 schi/sci α
)Cl

6 0.50 0.
38 1
.0 1
.38
5 0.40 0.
30 1
.0 1
.30
4 0.30 0.
23 1
.0 1
.23
3 0.20 0.
15 1
.0 1
.15
2 0.20 0.
15 1
.0 1
.15
0.25 0.
19 1
.0 1
.19

2
) Y方向

高次モードによるせん断力負担率戸 chi, swhiを算定するために逆対称モーメントを受ける部材の


剛性を以下の式で、求めた.

なお,ヒンジ部柱の曲げ剛性および耐震壁のせん断剛性は,線形解析用の数値を用いた.
y方向
Q一
K

+
一RU
一m
之O
-S




O

ðo=~皇~_ 2
(1+
ν 〉κQh

S- -
sGA G=_, _E
2(1 +
ν 〉

κ =1
.O(壁 )
1
.2(柱〉
schi, s hiの算定結果を表 4
山 .4v
こ示す.

表4
.4

柱 壁

K/E 本 数 (n
) noK/E sch
i K/E 枚 数 (
η) noK/E 戸whi
6 0
.47
42 18 8.53
5 0
.13
2 1
1.2
41 5 5
6.2
05 0
.868
5 0
.65
40 11
.772 0
.17
3 0.
827
4 0
.83
33
" 1
5.0 0
.20
5 1
1
"
.66
3
" 5
8
"
.31
6 0
.795
3
" 0
.19
3 1
2.52
0
" 6
2.60
2 0.
807
2
" " " 0
.19
4 1
2.4
32
" 6
2.1
58 0
.806
0
.60
64
1
"
1

1
0.
"
9
16 0
.23
5 7.1
21
" 3
5.6
05 0.
765
" 1
1

ClOニ 0.474より れ =ClO/0.25=1.895である.


y方向の動的割増し係数を表 4
.5v
こ示す.

表4
.5

階 A ωi A ωi/ゆ
。 schi/sci swhi/sωi α
)Cl α)Wl

6 0.50 0
.264 0
.232 2.
014 1.
061 1
.531
5 0.40 0
.21
1 0
.663 1
.119 1.14
0 1
.236
4 0.30 0
.15
8 0
.795 1.
071 1.12
6 1
.170
3 0.20 0
.106 0
.928 1
.019 1.0
98 1
.108
2 0.20 0
.106 1.
577 0.
919 1.16
6 1
.097
0.
2 5 0
.13
2 0
.794 1.0
87 1,10
5 1
.143
設 計 例 1 -237-

4.3.2 2方向地震力の同時性による割増しと組合せ係数表
柱の設計用モーメントおよびせん断力については 2方向安全係数 ψ
2(=0.10)を ωci
Vこ加えた係

数で割増しを行う.組合せた結果を表4.6に示す.

表4
.6

階 ωcix+ゆ2 ωc
iy十 φ 2
6 1
.48 1
.16
5 1
.40 1
.24
4 1
.33 1
.23
3 1
.25 1
.20
2 1
.25 1
.27
1
.29 1
.21

4.3.3 降伏機構保証設計用応力
4
.2に示した仮想仕事法で求めた降伏機構形成時応力〈節点モーメント)よりフェイスモーメン

トを算出し, 4
.3 1 4.3.2で、求めた動的増幅係数 ωωωω と 2方向地震力に対する安全係数 ψ
., 2で割
増した図4.6,図4.7に示す.
( )は軸力を, C Jはせん断力を示す.
なお,設計用応力は長期応力と組合わせており,また直交方向架構の降伏機構時の軸力の 50%を
算入している.

3
4.3〉 (
26
.2
) (
24
.9
) o 6
7.
5
-
)
(
Fhu

(
34
.6
) (
35
.0
)

J

15
( .
1
)

5
.8 1
8.
9 "
'-
22
.9 ,
.l
.
,.
22.
9 2
2.
8 1
9.
1 4
.9
!

6
8.
6 (
35
.3
)141
.
3 (
32
.8
)13
6.
4 1
36.
4 1
36
.6 1
39
.9 8
3.
2
)
(

(
72
.8
)
AHU

(
32
.1
) (
7.8
2 )

t

(川│
-

1
6.
5 ,
.
l
.
..
.51
.
7 F ド5
6.
6 円 5
6.
6 L
.

.56
.3 5
3.
8 1
.4
nMU
nkun

1
50
4.
7
唱EA
- - 、﹄/

(
42.
4
)15
5.
1 (
42.
)1
1 0.
54 1
50.
4 2 1
52
.8 1
27
.9
(E4
,h
a

(
90
.0
) (
90
.0
)

n

(
39.
8J
-
u玄

2
3.
7 ,
.
l
.,
.8
3.
5 ,
.
j
.
,88
.0 ,
1
,.8
8.
0 8
7.
8 8
6.
5 9
3.
0
nfam4U
n
AHU
u
--a
e

(
52
.5
)17
0.
8 (
52
.2
)16
8.0 1
68
.0 1
68
.3 1
69
.3 3
4.
6
u


(q‘υ

、i・
Aせ

(
44
.1) 10
( 0
.0
) (
100
.0) (川 2
)
J

j
' e

3
8.
0 し9
4.
3 円L9
7.0 9
7.
0 ,
.
j
.,9
6.
8 9
6.
9 1
36.
5
o
Aud
Fhdqd
w

81
1 .
3 1
80
.9
u

(
55.
4
)12.
84 (
55. 81
) 1
1 .O 81
1.0
、lJ
-amBEBEE--
(Fhd
n

(
11
0.
5) (
110
.5)
t

(
48
.8
)
-

ト6
9.
4 1
10.
4 1
11
.8 11
1.8 11
1.5 1
13
.0 1
90.
0
(
55
.9
)16
9.
1 (
58
.8
)16
9.2 1
69
.4 1
66
.0 -
2.7

(
43
.6
) 10
( 6
.0
) 10
( 6.
1
)

コ ち

③ ③ ⑧ ③ ③ ③ ③
[注] 図4
.6の柱せん断力は,図 4
.4に示す応力に表 4
.6の割増し係数を乗じた値を示しである.ただし, 1階お
よび 6階については柱ヒンジのため,その値が異なっている.

図4
.6 Y
l通り降伏機構保証設計用応力
-238一 付 録 l

-32.3コ (
38.
6) -503.
4 (
32.
8) 1
04.
7t
(
3.5 18
) ( .
9) (
90 刈(118.0) (39. 1)~ (
61.0
)
-4.4 1
30.
6 -70.3
-11
.9 (
30.7
) -427.0 (
30.
3) -20.5
(
2.4
) (
13.
5) (1 5 1. 3)~ (
260
.5) (
39.1
)
1
8.7 -484.9 -88.2
(
30.
8) 1
52.
5 (
30.
4) 1
0.6
18
(1刈 ( .
4) (204.5)~ (
322
.7) 51
( .4
)
-40.3 -1281
.6 1
31.
9
nL
n

LanBBl
L,

(
30.
8) 9
22.
9 (
32.
3) 1
7.0
)L
(

叫 (47.4)
QJ

16
( .
8) (
246
.1f(
) 3
85.
5) (
120

t-61
.0 -2272.0 L、 -148.3
(
30.
8) 1
961
.2 (
32.
3) 2
9
.8
9
17
( .
9)1(
6.8
) (
285
.11(467.1)
) (凶刈 (
31.
5)
~52.1 -3607.7 -114.7
(
32.
2) 3
438
.3 31
( .6
) 1
4 間
(
34.
4) (
325
.6)↓(
411
.3) 16
( 7
.3)↓(
73.7
)

@ ② ⑧ ⑪

図4
.7 X1通り降伏機構保証設計用応力

4
.4 ヒンジ部材の軸力の検定
柱および耐震壁の降伏ヒンジ領域では設計用軸力は次の制限を満足するようにする.

4
.4.
1 柱の軸力制限
(本文 5
.5(1)より〉
-k2・Ag ・ σy豆Nc
五k
三 l・Ac・σB

l =1/3 (圧縮軸力〉
k
=2/3 (拘束筋を考慮、〉
ん ニ 3/4 (引張軸力〉
検定結果を表 4.7に示す.
設計例 -239-

表4
.7
2
(cm) (cm) (t) (t) (t) (t)
符号
BxD Ag -
k2.
Ag'σy Nc k
rAc
'σB Nc
l
C1 85x85 .3
91 2
39.
7 -82.8 5
78 4
35.
0

l
C2 85x85 6
0.8 -159.6 5
78(
115
6) 7
67.
9 *
l
C3 85x85 6
0.8 -159.6 5
78 2
98.
2

l
C4 85x85 6
0.8 -159.6 5
78 3
61.
0

l
CS 85x85 6
0.8 -159.6 5
78 2
99.
4

l
C6 85x85 6
0.8 -159.6 57
8(11
56) 6
41
( )内は kl=%の場合を示す.
.4 *
*印は拘束筋が必要となる.

4.4.2 壁の軸力制限
(本文 5
.5(
2)より〉
Nmax=k3・Acore ・σB - A山
・ σ
ωyu
1階 l,X7通り
X 壁配筋 DI0@200ダ ブ ル (50.05cm2)
2
Nm
ax= (2/3X77X240-50.05X3000X1
.3) xl
0 O-3= 7
53.
4to
n
2 3
Nmax= 0.0X77X240-50.0
5X3000X1
.3) X1
0 0-=1227.7
ton
2
L 通り 壁配筋 D13@200ダ ブ ル (88.90cm)
2
N
max二 (2/3X7
7X240-88.90x3000x1
.3) X1
0 0-3二 6
01.
9to
n
2
a
Nmx= 0.0X7
7X240-88.90x3000x1
.3) X1
0 0-3ニ 1076.2ton
検定結果を表 4
.8に示す.

表4
.8
N(
ton
) Nmax (k=%) Nm
ax(
k=1
.0)
Xl 3
25.
6 7
53.
4 1
227
.7 O.K
X4 8
44.
5 6
01.
9 1
076
.2 特別ヒンジ
X7 8
07.
9 7
53.
4 1
227
.7
"

4.5 柱・梁のせん断設計
せん断力に対する設計では,全部材のせん断信頼強度が降伏機構保証設計用せん断力を上回るよ

うにするとともに,降伏ヒンジを計画する部材では塑性変形能力が保証変形を上回るように設計す

る.
-240 付 録 1

4
.5.
1 設計用せん断力およびせん断強度式
大梁 QD=Qp CQp:降伏機構保証設計用せん断力)
柱 QD= ω
C ci+ψ2
) Qp

ω ci十 ψ2) は4
ここで ( .3.
2により求めた値とする.
せん断強度式(本文 6
.3より)
Vu=b .j
t .ん ・ σωy ・c
otゆ +t
an()・ C1ーの .b.D .ν. oB/2

ここで t
a (=
n) ,
J(L / D)2+1-L/D
P一B

σ一
1
・ノ一σ

2一
,のア一.
+

O一
C一
/4¥

--
tE

Y

-
QU﹁

山一



ν =0.7-σB/200

ν ,c
otゆ, sを求める時用いる coけ は 下 表 に よ る .

部材種類 ν c
otゆ 3

.0<R p<0.02の時
O<R
p豆 0.05の
2
.0ー 50
R p

ヒンジ部材の 0.02<R
pの時 .2
.0
.0-15R
1 p 打 un
ヒンジ部 1.0 mm ・jt/ (D.t
an)
()
0.05<R
pの時
.jt/ (D.tan(
)) -Jν ・σB /c
P・ σW
山 y)-1.0
0
.25
Rp
jν・σB /c
'
. Pw .0
'σ y)-1

同 上
ヒンジ部材
同 上 min ・jt/(D.tanθ〉 ただし Pw'σwyはヒンジ部の値を
の非ヒンジ部
.
Jν・σB /c
Pw.σ仰)-1.0 使用する.

非ヒンジ部材 。
ν 同 上 同 上

4
.5.
2 隆伏ヒンジの発生する部材の保証変形角
保証変形角 C
Rp) 大梁 1/50
柱 1/67
4
.5.
3 大梁のせん断設計
X方向 YI通り 2階の Gsを例として示す.
bxD=4
5x90cm d=82cm 1t=74.0cm
端部 降伏ヒンジが発生する部材として設計する.
設 計 例 1 -241

QLニ 8
.7t
on Qp=47.2ton QD=55.9ton
2 2
σB=240kg/cm σ y=3000kg/cm
山 Rp=1/50=0.02
lo=515cm Pw=0.564% (
ST.D13-2-@100)

=パ一一
J¥ 9
- 0)1+
I(5
1
1一一
,~ 9
5


,. 2
0=0.0867
5
15

ν0=0.7-240/2000=0.58
ν 1.0-15X1/50) xO,58=0.406
(
c
otゆ=2.0-50X1/50=1
.0

74
.0
9
.48
4 .
¥co
tゆ=1.0
90XO
.08
67

二 I~ 0 .406X2
~~.~:~~~:
4
0 1 .0=2.18 戸算定用 .
¥ctゆ=20
o
O.0 0 56 4X3000

=2.0

s=il十 2
.02
) XO
.00
564X3
000
=0.868
O
.406X2
40

Vu =45X74.0XO.00564x3000X1
.0+0.0867X (1-0.868) X45x90XO.406x240/2
=56.9t>QD=55.9
t (OK)
中央部
Pω=0.282% (
ST.D13-2-@200)
t
an)
(=0
.08
67
ν=0.406
c
otゆ=2.0 i

=71.75/(90x0
.08
67)=9.19 I.¥cotゆ=2.0
=~ 0
.40
6x240/(0
.00
282x3
000)-1
.0=3
.24 I

戸=0.868
Vu 二 4
5x7
4,0xO
.00
282x3
000x2
.0十 0
.08
67x (1-0
.86
8)x4
5x9
0x0
.40
6x240/2
=56,9t>QDニ 5
5.9
t (OK)
4
.5,4 柱のせん断設計
X方向 Yl-X2通り 2階の C
3を例として示す.
bxD=80x80cm d=72,Ocm jt=64.0cm
降伏ヒンジが発生しない部材として設計する.

QL=0t Qp=1
10.5
t QD=1
13.9
t
2
σ B=240kg/cm2 σ wy=3OOOkg/cm Rp=1/67
ho=265cm P =0.2117% (HoopD13-2-@150)

一2
42 付 録 l

t
ane= 等f+1一
J( 等=0
ν=0.7-240/2000ニ 0
.58
c
otゆ =2.0
=64.0/ (80XO.148) =5.41 :
.co
tゆ=2.0

0
.58X24
0
-1=3.69
0
.0031
75X300
0

2
戸 { (1+2.0) XO.002117X3000} / (0.58X240) =0.228
Vu=80X6
4.OXO
.002117X3000X2
.0+0.148X (1-0.228) X80x80x0
.58X240/2
=1l5.9t>QD=1
l0.
5t (OK)

4
.6 壁のせん断設計
4
.6.
1 せん断強度式
(本文 6
.4より〉
Vu=tw・l
wb• h ・ σ sy ・ cot ゆ +tanθ ・( 1ーの .
tw• l
wa・ν ・σ8/2
t
ane=
-1(hw/lwa)2+1ー ん/lwa ,

2
戸 ( 1+cot ゆ)PS・σSy/ (ν ・σ8)
c
otゆ=1.0
ここで lwa=ん,+Dc十 .
ll
L w
a
l
wb=
lw'+Dc十 .
ll
L w
b
ll
.
L w
a=Ace/tw (
Ace豆t
w・D
c)
(Dc+J Ace.Dc/tω) /2 ω・D
(Ace>t c)
ll
.
L ω=Ace/tw (Ace~五 tw ・ Dc)

=Dc (Ace>tw.D
c)

A
ce =Ac-N
cc/ σB
ただし Nc
cニ Nw ん
/ 2+Mwt/
降伏ヒンジ領域
νν 。 Ruく 0
.00
5 ・ ν0=0.7-σB/2000)
(
¥

0.2-40Ru 。 0
.00
5豆Ruく 0
.02
= 0 . 4 ν 0 . 0 2豆Ru
降伏ヒンジ領域以外
ν二二 ν 。
4
.6.
2 Xl通り SWlのせん断設計
l階を例として以下に示す.
設 計 例 1 -243-


国﹁
口 口三 自
己筋 Dl
O@200(ダブル)
九 =0.358%

8
000

ん=800cm, hwニ 380cm, 九 二 20cm


2 2
Dc=85cm,Ac=85=7225cm
2 2
σBニ 240kg/
cm,Ps=0.358%, σsy=3000kg/cm
Nw=325.6ton,MwT=3438.3ton,Ruニ 1/75=0.0133

等価壁長さ んa,l
wbの算出

{375.6X1
03 .3438.3X1
ω/σ B=7225一 vlv.V".1.V+V ":t VV~~;'
Ace=Ac-(N/2+MwT/
0 5¥/240=4756
.1. V 1
2 8
00

Ace>tw.Dc=17
00より (
Ace壬 3 ・九・ Dcニ 5
100
)

14756X85
Ll lwa 二 (Dc+~ A
ce'Dc/tw) /2= (85+ I

.
.
j
v~~' U
"%1
20
v)/2 ニ 1
13.
6cm
L
llw
b 二 (Dc=85cm)

"
.lw
a=〆
l十 Dc+L
llωa=800+113.6=9
13.6cm
ω llwb=80
lb=ん'+Dc+L 0十 85.0=885.0cm
t
a t=~ (hw/lwa)2+1 -hw/lwa=J(
n9 認証/913.6)2十 1-380/913.6=0.667
c
otゆ=1.0
)・ν。 0.2-40xO


ν 0.2-40Ru .01
33)・(0.7-240/2000) ニ 0
.38
7
2
(1+coeゆ〉・ PS・σS
y/(
ν ・σB
) (1+1.0) XO.00358x3000/ (
0.3
87x
240
)
=0.231
Vu =tw.l
wb• P y.c
s・σs o t ・ (1ーの
tゆ+tan9 .
tw・ル・ ν ・σB/2

ニ (20x885.0XO
.00
358x3000x1
.0+0.667X (1-0.231
) x2
0x9
13.6x0.387x240/
2) X 1
0-3

625.3t>QD=411
.3t (OK)
各階の算定結果を表 4.9~こ示す
-244一 付 録 l

表4
.9

lw hw tw σB σsy Nw Ru ν Ace lwb c


otr
t P Vt Vu QD 判定
SWl
Ps
6F
Dc
8
00 3
50
Ac
1
8 210
M山 T
9
0.2 。 0
.59
50 4
050 8
75
lwa
0 1
. .00
0
tan8
0 0
.19
07 1
8
Va
7.
7 7
50.
0 1
180 O.K
.
(
DlO@200ダブツレ)
5F
5 5
7
8
00
625
' 3
50 1
8
0
.
2
1
3
0
7 3
9 000 5
0
51
1
3 0
.3
.00
0

0
0
.59
50 4
050 8
75
9
02.
5 0
0 1
. .0
.
0
0
68
47
0 0
.19
07
5
6
1
8
2
7
.
4
.
7 7
50.
0 2
605 O.K
.


(
DlO@200ダブ、ル) 7
5 5
625 0
.39
7 3
000 4
27 0
.00
00 9
025 0
. .68
47 5
62.
4
4F 8
00 3
50 1
8 2
10 2
04.
5 0
.59
50 4
320 8
800 1
. .00
00 0
.19
07 1
88.
7 7
569 3
. 227 O.K
.


(
DlO@200ダブ、 J〉
レ 5 6
7 400 0
.39
7 3
000 1
53 0
.00
00 9
093 0
. .68
66 5
68.
2
3F 8
00 3
50 2
0 240 2
46.
1 0
.58
00 4
800 8
800 1
. .00
00 0
.15
41 1
88.
8 9
23.
9 3
855 O
. .K
(DlO@200ダブル) 0 6
8 400 0
.35
8 3
000 9
23 0
.00
00 9
09.
3 0
.68
66 7
35.
1
2F (ヒンジ) 8
00 3
50 2
0 240 2
85.
1 l 0
.38
67 4
785 8
800 1
. .00
00 0
.23
11 1
88.
8 6
34.
3 4
671 O.K
.
(DlO@200ダ、ブ、ル〕 8
0 6
400 0
.35
8 3
000 1
961 0
.01
33 9
09.
2 0
.68
66 4
45.
5
1F (ヒンジ) 8
00 3
80 2
0 240 3
256 1
. 0
.38
67 4
756 8
850 1
. .00
00 0
.23
11 1
90.
1 6
25. 11
3 4 .3 O.K
(
DlO@200ダプFノ
レ) 5 7
8 225 0
.35
813
000 3
438 0
.01
33 9
13.
6 0
.66
71 4
35.
2

4.7 付着強度の検討
柱・梁主筋の付着応力度が降伏機構保証設計用応力における付着応力度を上回ることを確認す

る.

1) 本文6
.5.
1より
設計用付着応力度 τbは下式による.

(
i) 両端ヒンジ部材

τbニ τf A σ=2σ yu

(
j
j) 一端のみヒンジ部材


下 τb=τb=min (
τ j, τt
) A σ=σ yu十 σy

(
i
i
i) 非ヒンジ部材


仁 τ j, τt
τb=min ( ) A σ=2σy

ここで, τj=db.LIσ/{4 (Lーの}

τt=b .P 叫

Pwtは設計用せん断力よりアーチ作用のせん断強度を差ヲ│し、た値に必要とされる補強筋比

2) 付着強度て仰は本文 6
.5.
2より下式による.
rb
u 1.2+5 ・ん '.+)Fa;
=(
Ub

ただし,梁上端筋は 0
.8τ buとする.
Pw' はヒンジ領域外での断面外周に配筋されたせん断補強筋比.
設計例 1 -245-

4
.7.
1 梁の検討
X方向 Y
l通り 2階の G
sを例として示す.
両端ヒンジ部材として検討する.

bxD=45x90cmd=82cmL=515cm
db=2.5cm σB=240kg/cmぺ
P
ω 〆=0.282%
4σ=2 ・ σyu=2x1
.25x3
500
2
=8750kg/
cm
て b=τj=2.5x8750/{4x(
515
-82
)}
2
二 12.6kg/cm
.2+5 p
九 百1 ・〆
・与)r
a;
45 庁
=0.2+5xO.00282X一
2一
.).
5
/ x
.吋 】2
4
一0 V

二 2
2.5
上端筋の場合は
2
τb
uニ 0
.8x2
2.5ニ 18.0kg/cm
.¥τbく τbu (OK)

4
.7.
2 柱の検討
X方向 Y
l通り・ X
2通 2階の C
3を例として示す.
非ヒンジ部材として検討する.
bxD=80X80cmd=72cmL=265cm
~IL db=2.5cm σB=240kg/cm2
P〆=0.211%

伏ヒン
マ σωy 3000kg/cm2

Pwt 二
013.9-50.9)/ (80x64X3000x

J 2
.0) =0.205%
A σ=2 ・σy=2x3500ニ 7000kg/cm2
c
otゆ=2.0 Lψ =9X8.0=72cm

ilr

τj=2.5X7000/{4x(265-72)} =22.7
τtニ 8
0x0
.00
205x3
000x2
.0/72
2

口1
=13.7kg/cm
τb=min ( ) =13.7kg/cm2
τ j, T t
80
~d~ τbu=0.2+5XO.00211x一 )x♂布
=23.8kg/cm2
2
.5

τbく τb
u (OK)
-246 付 録 l

4
.8 柱の非ヒンジ部の曲げ設計
柱の非ヒンジ部については, 4
.3.
3で、求めた降伏機構保証設計用応力に対して,破壊を起こさな
いように,信頼強度を確保する.

強度式については, 3
.4に示した終局強度式とし,材料強度は信頼強度を用いる.なお,設計にあ
たっては,直交方向の軸力の 50%を考慮する.

4
.8.
1 壁付柱の軸力の算定
壁付柱の Z 方向の曲げ設計に用いる直交方向の軸力は,耐震壁に生ずる曲げモーメントより柱筋

および壁筋が軸力を負担するものとし,以下のように算定する.

加力方向




Mw:各階の壁の曲げモーメント'
N:軸 力
aw :壁筋の断面積
a
t:柱筋の断面積
ん:壁の長さ

図4
.8こ示す応力状態に対して壁の終局曲げモーメント M
v ωは
Mw=at・σs・ん +
0.5
αω ・σw w+0.
s• l 5Nl
w
軸力による項を移項し
t・σs・
a ん +0.5aω・σw
s・ω
1= M
w-0.5Nl
w
柱筋と壁筋の平均応力度を σ とすると

・ σs.lw+O.5
ぬ aw• σ 山S ・ 1ω ニ σ ・ lw (
at十0.5ω=σ/.a
t w十戸主)
fl
¥ 乙
・ α]; /

引張側側柱の軸力 NEニ σs.a


tより

NE =σ
F.= (J
s • at=M
/. a
t 0・5Nl、w
山 一

lん十字f 竺 i
L'atJ
これにより求めた軸力 NEの50%を直交方向の軸力として考慮するので,

NF.'=主
互 Mw-0.5Nlw
2 い廿)
となる.
設計例 -247-

ただし,非ヒンジ領域の壁筋については, 50%のみ引張側と考え,

v 今と考える
ゆえに,

ヒンジ領域の軸力(1, 2階)

N,
/ 二 Mw-0.5N

凸 (lw+詑)
2
非ヒンジ領域の軸力 (3"-'6階)
ι
M 7パ 六 ・ の

川一ん一 M
サ一十力
一山一ん軸
凡定縮図
z

W
一一一;る惟り

l
一j

向一L
す侭よ
算圧右



+
J
R

c
= '(at+す
σs ) J -
r-
イal
t仇

ただし, σE =主E二
at
算定結果を表 4 .
10に示す.表中の-印は M山く 0.5N
んとなる場合を示している.
-248一 付 録 l

表4
.10
(
t.m) (
t) (cm2) (cm2) (
t) (t/cm2) (
t)
通り 階
Mw N α
t α山 N'E σ 二 N'E/ αt C

X
l 6 8
5.3 01
1 .6

5 3
92.
3 1
92.
2

4 1
095
.6 2
84.
2

3 2
050
.5 3
77.
0 111.5 51
.1 3
0.4 3
0.4
(
22 -
D 2
5)
2 3
288
.7 4
70.
2 111.5 2
34.
7 4
2.9 0
.37 8
5.2
(
22 -
D 2
5)
4
213
.4 5
67.
0 60.8 5
0.8 8
5.8 1
.41 21
1 .6
l2
( -
D 2
5)

X
3 6 4
.8 2
42.
8

5 7
98.
2 3
58.
8

4 1
936
.2 4
76.
4 15
2.1 51
.1 1
.8 1
.8
(
30-D2
5)
3 3
459
.2 5
95.
0 15
2.1 51
.1 6
2.2 6
2.2
(
30-D2
5)
2 5
413
.9 7
14.
0 15
2.1 71
.3 1
29.
5 0
.85 1
59.
9
(
30-D2
5)
6
894
.2 8
37.
4 6
0.8 9
0.8 1
26.
9 2
.09 2
22.
0
l2
( -D2
5)

4
.8.
2 柱の信頼強度設計
l通り -Yl通りの 3階の C
X方向 X lを例として示す.
2
BxD=80X80cm Fc=240kg/cm

NL= 1
14.
2t
NE=-115.7
t
NE'=-65.6/2=-32.8t←一直交方向軸力の 50%
NM=NL十 NE十 NE'=-34.3t

問 Mu=79.0tm
O>N逗 Nmin (=354.9
t) より
Mu =0.5ag σyglD十 0.5NglD
=0.
5x2
0x5
.07x3
.5xO
.63x0.
8-0.
5x3
4.3xO
.63xO
.8
ニ 89.4-8.6
=80.8t .m>reqAイ=79.0t .m (OK)
設 計 例 1 -249-

C1 ・C
2の X方向の算定結果を表 4
.11に示す.

表4
.11

BxD NL NE N
E' NM reqMu 必要鉄筋 (
n)
符号 階 通 り
(
cm) (
t) (
t) (
t) (
t) (
t'm
) ( )内直交方向

l 61Xl-Yj 75X75 2
C 9.7- 1
3.7- 9
.7 6
.35
0.8 4-D25
(4)
5 I
! 5
7.4-4
0.7一 1
7.4- 0
.76
8.6 6-D25
(5)
4 80X80 2
5.7-7
4.8-
251-14.2 81
. .8 6-D25
(6)
3 I
! 1
14.
2-1
157-32.8-34.3 7
. 9.0 6-D25
(6)
2 I
! 1
428-
. 1
596-40.5-57.3 6
. 9.4 6-D25
(6)
85x851
72.
7-2
068-48.7-82.8 3
. 4.8 4-D25
(4)

2 61Xj
C -Y2 75X75 5
0.8-1
9.5 3
6.35
0.8 4-D25
(4)
5 I
! 9
6.1-4
4.0 5
2.16
6.8 4-D25
(4)
4 80X801
421-8
. 2.8 5
9.27
7.9 5-D25
(4)
3 I
! 1
88.
5-1
321 -30.4 2
. 6.09
3.0 6-D25
(6)
2 I
! 2
35.
1-1
844-42.9 7
. .89
0.5 6-D25
(6)
85x852
83.
5-2
407-85.8-
. 4308
. 4
.5 7-D25

(6)

4.9 壁の非ヒンジ部の曲げ設計
3
.4の終局強度式を用いて曲げ信頼強度を算定する.
算定結果を表 4
.12に示す.
-250一 付 録 l

表4
.12

通り
階 己
自 筋 l
w a
t σy a
叫 び 山y N ル1
u MD 判定
(壁符号)
6 D10@200ダブ、ノレ 8
00 9
1. 26 3
500 51.4
8 3
00 0 90.2 3
533
.8 5
03.4 O
.K.
12
1. 6
8
" 51
1 .3 4
630
.0 4
84.9 O
.K.
5
4
" "
70. 9
8 5
"
0.0
5
" 2
04.5 3
406
.0 181
2 .9 O
.K.
X1
3
" "
10
1. 40
" " 24
6.1 4
424.
2 22
72.0 O
.K.
(SW1)
2
" " " " " 28
5.1 4
580.
2 3
607.7 O
.K.
" " 1
1
" " " 3
25.6 4
742.
2 3
438.3 O
.K.
6
"
D10@200ダブ、ノレ 8
0
" "
0 60. 84 3
50
" " "
0 51.4
8 3
00 0 24
9.9 3
320
.8 6
23.3 O
.K.
5 1
62. 24 3
65.9 6
624
.0 9
86.6 O
.K.
" "
1
52. 1
0 5
" " "
0.0
5 4
83.5 6
793
.4 2
265.4 O
.K.
X
4
4
3
" "
1
72. 3
8
" " 6
02.1 7
835.
6 38
32.8 O
.K.
(SW2)
2 D10,
"
13@100ダ、ブ、ノレ
" 1
4
" " "
0.5
8 7
21.1 9
398
.0 5
939.0 O
.K.
D13@200ダブ、ノレ
" " 8
"
8.9
0
" 8
44.5 9
271.
4 5
780.3 O
.K.
" " " "
6 D10@200夕、、ブ、ノレ 8
0 0 91.2 6 3
500 51.4
8 3
00 0 12
3.3 3
666
.2 5
03.7 O
.K.
5 1
21. 6
8 2
43.4 4
998.
4 9
10.6 O
.K.
4
" "
70. 9
8 5
"
0.0
5
" " 37
4.2 4
084
.8 2
050.4 O
.K.
X7
3
" "
1
01. 4
0
" " 5
14.4 5
497.
4 3
437.2 O
.K.
(SWl)
2
" " " "
1
1

65
8.0 6
071
.8 5
295.1 O
.K.
" fI
" " " " 8
07.9 6
671.
4 5
196.4 O
.K.
l
" " " " " "

4
.10 接合部の設計
4
.10
.1 せん断力に対する設計
柱・梁接合部のせん断信頼強度 Vjuが降伏機構保証設計用せん断力 Vjを上回るように設計す

る.

1) C
解説 7.2より)梁降伏型接合部のせん断力 Vjは下式による.
zん1
u Mb+Mb'

~一一τF VJ
j= 'ZMu-V
=一一ァ
K
T'=C -rl.. l'..,¥
Vc 2.

1¥7
-
LM
."b,ァ
u+ー
D'
.M
'b
-
u 1
')/Clc+lc')
C

唱‘一一ー・~
日 T
'

M
b'
h
L


設計例 l

u
2) (本文 7.2.2より)接合部のせん断強度 Vjuは下式による.
Vju=κ ・σB• b
j• Dj

κ
=10.3 … … 十 型
-L0.18・
…・ ト型

(h D
c¥. .(b2 D

bj=bb十 mini771+mini7Z)

Di=1~c 一十型
J -LDc-
10c
m'"… ト 型

3) Y
l通り柱のせん断 Vcの算定結果を表 4.13に示す.

表4
.13

Mb L l /L'Mb M
b' L' l'jL
"M'b l
c Vc
通り 階


ーーーーーーーーー
R
t.m) (m) (m) (
( t.m) (t.m) (m) (m) (
3
5.3 6
.0
t.m)
5
.25 40.
3 。
(m)
3
.5
(m) (
t
2
)
3
.0
6 5
8.6 6
.0 5
.25 67.
0
3
.5 3
.5 19
.1
X
l 5 8
2.1 6
.0 5
.25 93.
8
3
.5 3
.5 26
.8
4 9
2.3 6
.0 5
.2 106.
5
3
.5 3
.5 30
.4
ト 3 9
2.3 6
.0 5
.2 106.
5
3
.5 3
.52
5 30
.3
2 9
8.3 6
.0 5
.15 1
14.
5
3
.525 4
.25 29
.5


R 76.6 3
.5 2.
65 1
01.2 6
.0 6
.0 16
.9
ーーーーーーー--

6 83.4 6.
0 5.
25 95.3 46.9 6
.0 5
.25 53.
6 3
.5 3
.5 42
.5
X
2 5 95.
1 6.0 5
.25 1
08.7 82.
1 6
.0 5
.25 938 3
. .5 3
.5 57
.9
4 1
20.6 6
.0 5
.2 1
39.2 1
07.
6 6
.0 5
.2 124.
2 3
.5 3
.5 75
.3
十 3 1
36.0 6
.0 5
.2 1
56.9 1
07.
6 6
.0 5
.2 124.
2 3
.5 3
.525 80
.0


2
R
1
4
4
4
8
.
.
9 6
.
5 6
.
0
0
5
.
5
.
1
2
5
5
1
6
5
8
5
.
.
8 1
4
14.
6 6
.0 5
.15 1
33.
5 3
.
3
.
5
5
25 4
.25
。 7
3
7
.8
.7
1
6 83.4 6
.0 5
.25 95.3 3
.5 3
.5 27
.2
X
7 5 95.
1 6.0 5
.2 1
09.7 3
.5 3
.5 31
.3
4 1
20.6 6
.0 5
.2 1
39.2 3
.5 3
.5 39
.8
イ 3 1
36.
0 6.0 5
.2 1
56.9 3
.5 3
.525 44
.7
2 1
28.
5 I6
.0 5
.15 1
49.7 3.
525 4
.25 38
.5
-252一 付 録 l

4) Y1通り接合部のせん断力の検討結果を表 4
.14に示す.

表4
.14
σB
Mb M
b' Vc J Vj Dj κ bj V
ju
通り 階 (kg 判定
t.m) (
( t.m) (t
) (cm) (t
) (
cm) (cm) 2 (t)


R 35.3 67
.。
3 75 5 2.
4 65 0
.1 8 5
7. 5
/cm)
2
10 1
41.3 OK
6 58.6 19
.1 67.
9 65
26
.8
1
/
" " " 15"
6
0. 0 8.
8
Xl 5 82.
1
" 95
.1 70
" "
4 92.
3 30.
4 106.
6 70 6
2.2
45
0 1
89.
0
" "
卜 3 92.3 30.
3 1
1 106.
7 70 1/
"
" " 210
寸ー
2 9
R 7
8
6
.
.
8
3 2
1。
9
.
6
5 7
.
9
1
5
8
.
.
7
6
5 1
2
5 1
0
1
7
4
.
.
5 7
1
5
8
5 0
.1
"
8
6
5
5
7
.
.
"
2
1
0
5
0 1
84
.
6
.
7
OK
OK※
6 83.4 46.9 42
.5 6
7.3 7
5 150.
9 7
5 0
.3 0 2
71.7
1 8 2.
1 5 7.
9 205
.1 8 6
0
1
1

. 0
" 3
02.4
X2 5 95. 1
1 0
" "
4 1
20.
6 1
07.
6 75
.3 263
.4 8
0 6
2. 5 2
40 3
60.0
3 1
36.
0 1
07.
6 80
.0
1
/

281
. 6 8
0
"
十 1
/ 1
1
" " "
1
2 1
R
4
4
4
8
9 1
.
.
5
14.
6 7 7
.8 7
1
6
7
.
.。
7
3
5 2
7
5
8
4
3
7
.
.
9 8
8
5
6
5 0
.1
"
8
6
5
5
7
.
.
0
5
"
2
10
3
9
1
7
41
.8
.3
OK
OK
6 83.
4 27
.2 96.
6 65
31
.3
" 109.
9 7
" " " 15"
6
0. 0 8.
8
X7 5 95.
1
" 0
" "
4 1
20.
6 39
.8 139.
2 70 6
2.2
45
0 1
89.
0
3 1
36.
0 44
.7
" 157.
2 7
0
"

2 1
28.
5 38
.5 7
1.7 5 1
" 40
.6 75
" " " 21"
6
5. 0 OK
※柱頭ヒンジとなるため,鉛直せん断力 ( Vju) により検討している.
" " 0.6

4.10.2 横補強筋の検討
本文 7
.2.
3より接合部の横補強比 t
jhは 0
.00
2以上かつ次式を満足するものとする.
t
jh孟 0.003Vj/Vju

表4
.15に Y
I通り接合部の検討結果を示す.
設 計 例 1 -253-

表4
.15
Vj Vju P
jh 設 計P
jh bc
通り 階 日
西 筋
(
t) (
t) (%) (%) (
cm)

「 R 12
9.3 1
63.1 0
.23 0
.23 75
.0 D13-2-@100※
ー------ーーーーー
6 15
0.9 2
71.7 0
.17 0
.20 D13-2-@150
X
2 5 2
05.1 3
02.4 0
.20 0
.20
"
8
0.0 1
1

4 2
63.4 3
60.0 0
.22 0
.22 1
1 D13-2-@100
十 3 2
81.6 0
.23 0
.23
2 2
83.9 3
9
"
7.8 0
.21 0
.23
"
8
5.0
"
寸 R 47.8 1
41.3 0
.10 0
.20 7
5.0
"
D13-2-@150
ーーー一ー一ー ー--・ーー喧
6 96.6 0
.20 0
.20
X
7 5 1
09.9 1
5
"
8.
8 0
.21 0
.21
"
8
0.0
1
1

1
1

4 1
39.2 1
89.
0 0
.22 0
.22 D13-2-@100
イ 3 1
57.2 0
.25 0
.25
"
2 1
40.6 2
1
"
0.
6 0
.20 0
.25 8
5
"
.0
1
1

ρ に換算して横補強筋を算定している.
※鉛直せん断力 (Vju) を水平せん断力 (V
"
85
Vihニ 1
141x一 一 二 1
. 29.
3t
75
hニ 0
Vj ・.18x2
10x57
.5x75=1
63.
1t

4
.10
.3 通し配筋の検討
(本文 7
.3.
3より〉
接合部両端に降伏ヒンジを計画する梁の主筋を接合部内に通し配筋する場合繰り返し荷重によっ

て顕著な剛性低下やスリップ性状を生じないように,下式により主筋径と柱せいの関係を定める.

また接合部両端に降伏ヒンジを計画している柱がないため柱の主筋径と梁せいに関しては検討しな

(解説 7
.3.
3より〉

Dc¥ σ y
b==μ r
d ;I;

2
σBニ 210kg/cm のとき r;I;=14.5 D
cニ 75cm
2
σB=240kg/
cm のとき r;I;=15.5 Dc=85cm
梁主筋 .25X3500=4375kg/cm2
3035 σy=1
μ=10.0
主 筋 径 022の場合

cr
五 μD
db二 ;I;/σy=10.0X75X14.5/4375=2.4cm (OK)
主 筋 径 025の場合

b豆 10.0X80X15.5/4375=2.8cm (OK)
d
-254一 付 録

95 部材リスト

略伏図

C
s Cs I
C3 I
C1
G7 G7

。 d
j
!
l d
l
l :ç5~1| 。
C2 出C4 此C6 C
6 ~ 且C4 I
I1
C2
③~I -t Gs f G9 百 G9
T
I G9 G9 i
i
r Gs
cEi~f~=====cE 長

コ =
==
==
r守ま
ー =
===
=c3

③1
- 1 凪
明T
C2
Gs
C
4
G9
mC6

G9
C
6

G9
C
6
G9
1
:C4
Gs

u>

u>
剖!│ C
5
4!

C
3

Y
6
0
0
0 " " I
!
" 6:~JL
Lx③ ③ ③ ③ ③ ③ ③
Y
Lx

ι
n
柱断面表

詐亡 N?

ぎ @ @ @ @ @

L750~
口 E 口 750~
口 E 口 E 口 E 口
~750~ L750~ ~750~ ト750~

E E L
キ主頭

主筋 1
2-D25 1
2-D25 1
2-D2
5 1
2-D2
5 1
2-D2
5 1
2-D2
5
HOOP HOOP口Dl3
-15
0ct
c HOOPロD1
3-15
0ct
c
. HOOP口Dl3
-15
0ct
c
. HOOPロDl3
-15
0ct
c HOOPロD1
3-10
0ct
c
. HOOPロDl3
-15
0ct
c


E口 上
口 向上

工口 L 750J
E 口 同上

柱脚

主筋 1
6-D2
5 18-D25 14-
D25 18-
D25
HOOP HOOP口Dl3
-15
0ct
c
. l3
HOOP0 D -
150c
t
c. HOOPロD1
3-1
50c
t
c. HOOPoD
13-
100c
t
c.

5
E 口 上
口 土
日 「
日 土
日 [

~750~ ~750~ ~750~ t-750~ ~750~

主筋 20-
D25 24-D25 30-
D25 3
0-D25 30-
D25 32-
D25
HOOP HOOPロD1
3-1
50c
tc HOOP0 D
13-
150c
t
c. HOOPロD1
3-1
50c
t
c. HOOPロD1
3-15
0ct
c
. HOOPロD
13-
150c
t
c. HOOPロD1
3-1
50c
t
c.

E
日 上
口 E口 工
口 i
L。 O~
口 上

剛 沖 洋 品 川- H

~-80o-1
L800J o
-1 L80

lN 印 印l
主筋 2
2-D
25. 20-D25 3
0-D2
5 3
0-D2
5 3
0-D2
5 30
"'"D2
5
HOOP HOOPロDl3-
150c
t
c. HOOPロDl3 -
150c
t
c. HOOPロDl3
-15
0ct
c
. HOOPロDl3
-15
0ct
c
. HOOPロDl3
-15
0ct
c
. HOOP0 D
13-1
00c
tc

lN印 ∞ │
柱断面表
Y
t一
一ーX

を @ @ @ @ @

44
3


子回 L800J 子口
ι E口



L
E口 L 工
口 ~8ι
~800~ E口

主筋 26
-D25 20
-D25 30-
D25 30-D25 3
0-D2
5 34-D25
HOOP HOOPロD1
3-1
50c
t
c. HOOPロD1
3-1
50c
t
c. HOOPロD1
3-1
50c
t
c. HOOPロD13-
100c
tc HOOP口Dl3
-15
0ct
c
. HOOPロD13-
100c
t
c.


E口 [回 向上


工L


向上
i日
L800J
L800~
主筋 22-D25 20
4-D25
口 26-
D25 3
百4-D25
HOOP HOOPロD 1
3-1
50c
tc HOOP4
OD 1
3-1
00c
t
c. HOOPロD1
3-1
00c
t
c. HOOP4DDl3-
100c
t
c.

[
口 [ ~85~ 回 E
上 目 仁田 上 回
l

柱顕 l850~ 日 ~850-J ~850~ ト85~~ ト850~


主筋 22-D25 22-D25 30-
D25 26-D25 30-D25 P
34
4
2-D25
HOOP HOOP口D 1
3-1
00c
tc
. HOOP4~ D
13-
100c
t
c. HOOP3ロD1
3-1
00c
t
c. HOOP4口Dl3-
100c
t
c. HOOP3ロDl3-
100c
t
c. ODl3
HOOP4 -
100c
t
c.

;
r

1

柱脚


日」
田 上
回 日 E
〔 L
日850~ i
日 [田 L850J
l850J
主筋 18
-D25 1
2
ロ-D25 12-
D25 12-
D25 1
2-D2
5 戸
12
-町
D25
l
HQOP HOOPoD1
3-1
00c
tc. HOOP4
DD13
-10
0ct
c. HOOP3口Dl3
-10
0ct
c
. HOOP4ロD
13-
100c
t
c. 0Dl3
HOOP3 -10
0ct
C
. HOOP4DD
13-
100
ctc
.
印 -N
梁断面表

u
nw仰 C M ?
@ @ @ @ @
I~

外端 中央 内端 端部 中央 外端 中央 内端 端部 中央 外端 中央 内端 外端 中央 内端


[日日日 [
D日[0日
日[TD[
I D日日 i
~450J
日日日
しJ

上端筋 8-D25 4-D25 5-D25 4-D25 4-D25 7-D25 4-D25 6-0
"2 5-D25 3-D25 8-D25 4-D25 6-D25 3-D22 3-D22 5-D22
下端筋 3-D25 4-D25 3-D25 4-D25 4-D25 3-D25 4-D25 4-D25 3-D25 4-D25 3-D25 4-D25 5-D25 3-D22 3-D22 5-D22
ST 150 0D
13-250c
tc; -150: ロD13
-25
0c t
c: 2
00 0D
13-
250c
tc -200 oDl3
-25
0ctc -200 ロD
1 3
-250c
tc
. -200 nD
IO-
150c
tc

DI日 [DD[8i
I D口[uDu[
l百 [ UU 日

し o
t 5J
4-D25 3-D25 4-D25 4-D25 4-D25 4-D25 3-D25 5-D25 4-D25 3-D25 5-D25 3-D25 シD25 6-D22 3-D22 6D22


3-D25 3-D25 3-D25 4-D25 A -D25


・ 3-D25 4-D25 3-D25 3-D25 3-D25 3-D25 4-D25 3-D25 5-D22 3-D22 4-D22

[
ur日
ST -200 0D
l3-25
0ct
c. -200 ロDl3
-25
0ctc
. -150 ロD
13-2
50c
tc. 150 -150 0D
l3-
250c
tc
. 1
50 ロD
13-
250c
tc
. 1 50 -100 ロD
IO-150c
tc 100

5
向上 向上 向上 向上 同上

7-D22 4-D22 7D22司


下盤端
革筋 7-D22 4-D22 7-D2?
S
T. 150 ロD
13-2
50ct
c. 150

4
[百百日 向上 向上 向上 向上 U町E
[

剛向型車日

上端筋 5-D25 3-D25 -D25


4 : 7-D25 4-D25 7-D25
下端筋 3-D25 3-D25 士
-茄2τ
D 5 6-D25 4-D25 7-D25

-
S
T. -200 ロD
13-2
50c
tc -100 ロDl3
-200c
tc
. -100

N
旬、吋│
lN日 ∞ │ ヰ
梁断面表


│ 外端
@
中央 内端 端部
@
中央 外端
@
中央 内端 端部
@
中央 外端
@
中央 内端 外端

中央 内端

3
U日日 E
日日 日 [DD[
i 日日 [日 日日 [0日日 論

~450~

L50J ↓ ↓4
50J L50J 4
50J t50J

上端筋 5-D25 3-D25 4-D25 4-D25 4-D25 4-D25 3-D25 5-D25 4-D25 3-D25 5-D25 3-D25 5-D25 8-D25 4-D25 8-D25
下端筋 3-D25 3-D25 3-D25 4-D25 4-D25 3-D25 4-D25 3-D25 3-D25 3-D25 3-D25 4-D25 3-D25 6-D25 4-D25 7-D25
ST -200 oD
l3-250
ctc
. -200 ロDl3
-25
0ct
c -150 口 D
13-2
50ct
c. -150 -150 ロD
1 3
-250c
tc
. -150 ロDl3-2
50c
tc -150 -100 0 D
l3-2
00c
tc
. -100

r
i
2


[ 日日日 1
0日日 [D日 E 日日 [u日目 [
日日日
L50J L50J L50J t450J
上端筋 4-D25 3-D25 4-D25 4-D25 4-D25 4-D25 3-D25 5-D25 4-D25 3-D25 5-D25 3-D25 5-D25 7-D25 4-D25 8-D25
下端筋 3-D25 3-D25 3-D25 4-D25 4-D25 3-D25 4-D25 3-D25 3-D25 3-D25 3-D25 4-D25 シD25 6-D25 4-D25 7-D25
ST -200 oD
13 -
250c
tc -200 。D13
-25
0ct
c 10 ロD
5 13-2
50ct
c. 150 200 ロD
13-
250c
tc 1
50 ロD
13-25
0ct
c. 150 10 0D
0 13-200c
tc 100
梁断面表 梁断面表


l 端部
@
中央 外端

中央 内端 端部
@
中央 次
[ 端部
@
中央 外端

中央 内端 端部
@
中央

P
[
ll日 [
l
D DE
rIU[ 階
3

0口[OrrD[D日
[
~400j ~450~ l5~

l
400
j l50J

5-D22 3-D22 3-D22 3-D22 6-D22 6-D22 3-D22 8D25 4-D25 8-D25 5-D25 9-D25 9-D25 5-D25

5-D22 3-D22 3-D22 3-D22 6-D22 6-D22 3-D2


- 2 7
S
上T

端冨筋
. 7-D25 4-D25 7-D25 4-D25 8-D25 8-D25 4-D25
-100 ロDlO-1
50ct
c -100 0 D
10-150c
tc -100 100 ロDlO
-10c
5 t
c -100 0D
1 3
-200c
tc -100 oDl3
-20c
0 t
c. -100 -100 ロD
1 3
-200c
tc


6
[
0日 i
UilU[
UU ~400j ~40J

2

t T[
UDI
日日 [ I
T日
L50J

上端筋 6-D22 3-D22 6-D22 3-D22 6-D22 6-D22 3-D22 上端筋 8-D25 4-D25 8-D25 5-D25 9-D25 9-D25 5-D25
下端筋 4-D22 2-D22 5-D22 3-D22 5-D22 5-D22 3-D22 下端筋 子 D25 4-D25 7-D25 4-D25 7-D25 7-D25 4-D25
ST -100 ロD
10-
150c
tc 10
0 ロD
10-150c
tc -100 一1 00 0D
10-1
50ct
c ST -100 0D
1 3
-200c
tc
.) 一
, 一 10
0 ロD
13-2
00c
tc. -100 -100 ロD
13-
200c
tc

F
5
TI[日百 U[Dr
[
I
~400j ~400J

上端 i
l
i 7-D22 4-D22 7-D22 4-D22 8-D22 8-D22 4-D22
下端筋 7-D22 4-D22 7-022 4-022 8-022 8-D22 4-022
"
ST -150 ロD
13-20c
5 t
c -100 ロDl3
-20c
0 t
c. -100 -100 ロD
13-20c
0 t
c

1
[

4
0口[000[
[ 0II
~450J し

時叫↓
50J

s
-
7-025 4-D25 7-025 4-025 8-025 8-025 4-025
t

H
下南
端冨
筋 7-D25 4-025 7-D25 4-025 8-025 8-025 4-025
ST 10
0 ロDl3-2
00ct
c -100 ロD
13-2
00c
tc. -100 100 0D
13-
200c
tc
.

-Nmcl
-260一 付 録 l

5
.3 壁リスト

S W1 S W2

厚さ (cm) 自
己 筋 厚さ (cm) 自
己 筋
6 1
8 D10 @200夕、、プル 1
8 D10 @200ダ プ ル
5 1
8 D10 @200ダ、ブ、ノレ 1
8 D10 @200ダ、ブ、ノレ
4 1
8 D10 @200夕、、プル 1
8 D10 @200夕、、プル
3 2
0 D10 @200ダ ブ ル 2
0 D10 @200ダ ブ ル
2 2
0 D10 @200ダ ブ ル 2
0 D1 13@100ダブ、ノレ
0,
2
0 D10 @200ダ ブ ル 2
0 D13 @200ダ ブ ル
PO
tEL
L

設計例 2 (
12階建)
目 次
S1 一般事項
.1 建物概要 …・・…一……・……・・ー…・……・・…・・・ー…・……・……・・…・・・…・・…・…………・・・…・…・…・・・……
1 2
63
.2 設計方針 ・……・・・…・ぃ・……………・・・・ ….............一……・…一………・・・・……・・……・…・一……・・・・…
1 υ 2
63
.3 使用材料 .
1 .
・ ・....…・・・・…………....一…-一・…・・…・・・・…一一・・…一………・・…一..………・・……・・・…....…
H 2
64
.4 荷重 …・…一…・・・ ・・-…・………・………・・…….........・ ・-……・・…ー…・・・・・・・・・………・・・・……一…・・一一
1 H H H 2
65
.5 伏図・軸組図………一・………・…...一…………・………ー…・…ー…...・ ・...…・・………・・…….........一…
1 H 2
65

S2 準備計算
2
.1 部材剛性 .・ ・..…・…・…………・…….....・ ・..……………・……・・……・…・・・…ー………・・…・………ー 2
.
.
. H H 67
2
.2 柱軸力 ・………・・…一……・・……ー・・…・………….......……… ・・....…・…………・・・・…・…・……・….. 2
H H 67
2
.3 地震荷重 ………・…・・…・…・……・・・・・・………・ー…・…・・……・・ー・……・一一一…・・……・…・・…....・ ・…・・… 2
68 H

S3 降伏機構設計
3
.1 鉛
直時応
力算定
・….
...
...
....
....
....
....
....
....
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
....
....
....
....
....
....
...
...
...
...
...
...2
. 6
9
3
.2 地
震時応
力算定
…・…
...
....
....
....
.....
....
....
....
...
...
...
...
...
...
...
...
....
....
....
.....
....
....
....
...
...
...
...
...2
. 6
9
3
.3 層間変形角 ・…….....・ ・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・
H・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・ 2
73
3
.4 設計用応力 ・…・・・………・…・…・・・………………・…・・一..・・・…・・・ー………・・・………........一………一-…・. 2 74
3
.5 ヒンジ部の断面算定-…・・・…一-一・…ー・ー……………・……ー…・…・・・……・・・・・………....…………一-一一. 277
3
.6 ヒンジ部の配筋リスト ・・・…・・・・・・・…・・………・・・……・……ー……・ー……・……………・・・…・・………・….. 2
81

S4 降伏機構保証設計
4
.1 ヒンジ上限強度 ・ー・・・・…・・・・・……・・・・…・…・………・…・・…・……ー………・・・・・・…………・……ー・…........ 2
83
4
.2 終局耐力の算定…………………………………………………………………...・ ・..………………・… 2 90 H

4
.3 設計用応力の割増し係数…………...・ ・・ ・
.
..
.・ ・-……………………...・ ・..………・……………一 3
. H H H H 01 H

4
.4 ヒンジ部材の軸力制限 ・一……・……・・・・・・…・・・・・・…......一一…・…………・・・・ぃ……一・…・・・・…ぃ・…・・・….. 3
02
4
.5 非ヒンジ部の曲げ設計 .
...
.…・
・…・
・・・
・・・
・・・
・…・
…一…
一・・
・・・
…・・
・・・
・・・
・……
・・・
・・・
・・・
・・・
・・…
・・・
・……
…・・
・….3
. 0
4
4
.6 せん断設計 ………・…一-…一..........一…・・・・……・・・…・・…・・・・・・・・・…・…・・・……………・・・…………一…… 3
12
4
.7 付着に対する設計 ……・…・・……・・・・・・…・・・…・…・・・・・・・・…・・・・…………...........・ ・…・・・……・・・……….. 3
H 17
4
.8 柱・梁接合部の設計……………………………...・ ・..……………………...・ ・..……・……………….. 3
H 20 H

S5 ヒンジ変更部の検討
5
.1 ヒンジ変更位置・……一-一・.........…一.......一…・・・・ー…….....................……・・・…・・・・…................. 3
22
5
.2 軸力に対する検討 …・・・・・・・・・…・ー・….........一…・・・・ー・…....一・・・…...............….....一・・…………・ー….. 3
22
5
.3 せん断強度の検討………………・………………………………………………………………………….. 3
23

S6 部材リスト
6
.1 配筋量の決定 …-・・・・・・・・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…・・・…・・・…・・-一・・・・・…一一…・・・…・・・・……・・…・…................. 3
24
6
.2 基準階伏図 ・
……・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・……
…..
..・ ・-…………・・…・……一 3
H26
6
.3 壁リ ス ト …
・ー・
・・・
一…・
・・・
・・・
一一.
...
...
.一一
一一…
...
…・・
・・・
・….
...
...
...
...
...
...
一…・
・・・
・・…
..一
・・・
…・・
・…・
・・・
….3
26
6
.4 柱リスト ・
・・・
・・…
・・・
・ー・
・・・
…..
...
...
...
...
...
…..
...
..一
…一.
...
...
...
...
...
...
...
...
…・・
・・…
・・・
・・・
…・ 一
…..
...
...3
. 2
7
6
.5 梁リスト ・
ぃ・・
一一…
...
...
...
...
...
...
...
...
...
.……
一..
...
...
...
...
...
...
...
...
..一
一..
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
...
..3
30
p
qu
o

臼n
91 一般事項

.1 建 物 概 要
1
1
.1.1 対象とする建物は鉄筋コンクリート造 1
2階建て事務所建物である .X方向 6スパン, Y方向
3スパンのほぼ均等スパンのラーメン構造で Y方向に 5枚の無関口連層耐震壁を配している.
建設地は東京都内で,地盤は良質の硬い関東ロームが表層にあり,地盤種別を第 2種地盤と想定

する.

1
.1.2 仕上げ概要
屋 根 床スラブ厚さ 15cm
アスフアルト防水の上,モルタル目仕切り仕上げ、

一般階 床スラブ厚さ 15cm


アスフアルトタイル張り

各階天井 吸音テックス張り

一般外壁 プレキャストコンクリートパネル

間仕切り 軽量鉄骨下地ボード張り

1
.1.3 建物規模
階 数 2階 塔 屋 l階
地上 1

局 さ 最高部 46.9m
軒高 42.9m
2
建築面積 936.0m
2
延床面積 13
1 01
.Om

.2 設 計 方 針
1
1
.2.1 設計目標
構造物の各部が鉛直荷重に対して適当な強度と使用性を有するとともに,大地震時に,設定した

全体降伏機構およびその強度と適当な靭性を確保することを目標とする. c
なお,長期(鉛直)荷
重に対しては従来通り許容応力度設計を行っているが,本例ではその例示を省略した.J

.2
1 .2 降伏機構の設定
構造物の 2階以上の梁端および 1階柱脚と最上階柱頭の曲げ降伏による全体降伏形を原則とする
が,引張側外端柱については,柱降伏タイプも許容する.連層壁は l階壁脚での曲げ降伏を設定す

る.

〔また,本例では地中梁は十分に強剛であると仮定し,検討を省略した .
J
264- 付 録 l


Y1,Y2,Y3,Y4通り X2,X6通り ,X1通り
X,J X3,X4,Xs

図1
.2.
1 ヒンジ想定位置

.3 使 用 材 料
1
1
.3.1 コンクリート

普通コンクリート

cCkg/cm2)
F 使用部位(軸組図参照)
27
0 IR階から 9階柱壁まで
30
0 I9階床から 5階柱壁まで
3
60 I5階床から l階柱壁まで
コンクリート圧縮強度 (
σB) は設計基準強度
CF
c) とする.

.3
1 .2 鉄筋

信頼強度 上限強度
材 種 備 考
C
t/cm2) Ct/cm2)
SO40 4
.0 5
.0 029以上(柱・梁主筋〉
S030A 3
.0 3
.9 016以下(スラプ・壁・ 013以下
のフープ)
SO3
5 016 C
3.5 フープ〉
異 形 PC鋼 棒 回13* Cスターラップ〉
1
3.0
本せん断補強にのみ使用.一般鋼棒(ゆ 1
3,01
3) と区別するため U13と呼ぶ.
設 計 例 2 -265-

.4 荷
1 重
1
.4.1 荷重表

2
(kg/m)
屋 根 事 務 室
床用 架構用 地震用 床用 架構用 地震用
D.L. 770 770 770 560 56
0 560
L.L. 300 180 80 300 180 80
T.L. 1070 950 850 860 7
40 640

1
.4.2 その他

),外壁(外周梁に1.0t/m) とする.また,柱・大梁・小梁・壁の自重は別途
ペント荷重 (300t
計算するものとし,荷重表には含まない.

.5 伏図・軸組図
1
1
.5.1 基準階伏図

C1G6 C3 G7 Cs G7 CsG7 Cs G7 C3 G6 Cl

Bl Bl Bl Bl Bl Bl


σ
。 Bl0 Bl <
3 Bl0 B10:
1 B10:
1 Bl 0

C2 Gs C4G9 C6G9 C6G9 C6G9 C4Gs C2


③- t

Bl Bl Bl Bl Bl Bl

三 o

E E2ZPB10
C 司
. -p3B1 0 ~
Bl0 U B 0
Bl C
E ~空宇 Bl0 E

ぴZ
ー cq 喫F

l コ
D
司 00

C2Gs C4 G9 C6 G9 C6 G9 C6 G9 C4 Gs C2

Bl Bl Bl Bl Bl Bl
C
CD
C
D

〈 Bl0 Bl0p Bl 0 Bl <
3 Bl 0 Bl0

C1G6 C3 G7 Cs G7 ~Cs G7 c
sG7 lC3G6 C1

F

ト-6000~トー-11 1
1 円 1一
1 一
一一一 ト-6000-
一--x
一 36000
⑧ ⑧ ⑧ ⑧ ⑧ ⑧ ③
-266- 付 録

1
.5.2 部材断面

m
m
階 柱 梁 壁
R 550x 90
0
12 850x 850 5 50x 90
0 18
0
1
1 850x 850 5 50x 90
0 1
80
10 900x 9 0
0 550x 9 0
0 2
00 小梁 300x600
9 900x 900 5 50x 90
0 2
00 スラフ t=150
8 950X 950 600x 9 0
0 2
50
7 950X 950 600X 9 0
0 2
50
6 1000X1 0
00 600X 9 0
0 3
00
5 1000X1 0
00 600X 9 00 3
00
4 1050X1 0
50 6 00X10
00 3
50
3 1050X1 0
50 6 00X10
00 3
50
2 1100X1 1
00 600X1 2
00 4
00
1 1100X1100 800X2 5
00 4
00
使用主筋径 柱... .0
29 (芯鉄筋 0 3
8)
梁・... 0
32

1
.5.3 軸組図

R
cc

1
2

仁仁﹂L

8
CO

5
LL

4
o-
-

G
.L1

③ ③ ③ ③
X3軸総図
設 計 例 2 -267-

32 準備計算

2
.1 部材剛性
各種部材の問。 性については以下のように仮定する.
J

曲げ剛性低下率 せん断剛性低下率 軸剛性低下率


l階 0
.7 1
.0 1
.0

その他 1
.0 1
.0 1
.0
梁 各階 0
.5 1
.0 1
.0
l階 0
.5 0
.5 1
.0

こまコ 2階 0
.7 0
.5 1
.0
その他 1
.0 0
.5 1
.0

スラブの有効幅については略算値を用いた.

片側スラブ付 伸二1.5
両側スラブ付 ゆ=2.0

2
.2 柱軸力

、、,,,,

〆'
irL

t

階 C1 C2 C3 C4 Cs C6
1
2 29.5 45.7 44
.5 67
.4 43
.5 119.
2
1
1 60.4 91
.6 8
6.9 126
.0 8
5.8 182
.5
1
0 91.1 137.7 129
.3 185
.0 127
.8 246
.2
9 121.8 184.
1 171
.7 243
.9 16
9.8 310
.0
8 153.4 232.2 21
5.2 30
4.1 2
13.0 375
.8
7 185.5 2
81.3 2
59.1 36
4.7 2
56.6 442
.5
6 218.0 331
.1 30
3.4 42
5.5 3
00.6 50
9.8
5 250.8 3
81.9 3
48.0 48
6.5 3
45.0 57
8.1
4 2
8 4.1 4
3 3
.5 3
92.9 54
7.9 3
89.7 6
47.1
3 3
1 9.1 4
8 7.
9 4
40.0 6
11.9 4
36.5 71
9.2
2 3
5 5.2 5
4 3
.6 4
88.0 6
76.6 4
84.3 79
2.7
3
9 3.7 6
0 4
.2 5
39.4 7
46.6 5
35.2 8
72.0
2
68 付 録 l

2.3 地 震 荷 重
2
.3.
1 設計用層せん断力係数
〈本文 4
.3.
1より〉
C
IX,Yニ Z '
Rt・CBX,Y
建物高さ H=42.9(m)
1次固有周期 T=O.02H=0.858(sec)

r
地盤周期 Tc=0.6(sec)
Rt=1-0.
2( J
c-1 =0.
963
Z=1
.0
CBx=0.25 (X方向〉
CBY=0.30 (Y方向〉
CIX=1
.OX0
.93xO
6 .25=0.241一一→ 0
.25としずこ.
.0x0
CIY=1 .93xO
6 .30=0.289
一一→ 0
.30とLt
こ.

2.3.2 設計用地震力
最上階の集中荷重はフレーム (X) 方向のみ考慮する.

Q1ニ C1X'LWi=0.25X16677.9=4169.5 (
t)

Ptニ 0
.1・T.Q1=0.lXO.858X4169.5ニ 357.7 (
t)

構造用 X 方向 Y 方向

ん Ll
1

階 階高 Fi Qi C
i Fi Q
i Ci
(
t) (
t)
(m) (t
) (t
) (t
) (
t)
1
2 3.5 1
650.0 16
50.0 1
057.
2 105
7.2 0
.64 9
10.9 9
10.9 0
.55
1
1 3.5 1
269.2 2919.2 493
.8 155
1.0 0
.53 6
43.5 15
54.4 0
.53
1
0 3.5 12
71.4 4190.6 450
.2 2
001.2 0
.48 5
87.4 2
141.8 0
.51
9 3.5 1
273.7 5464.3 406
.6 2
407.8 0
.44 5
31.1 2
672.9 0.
49
8 3.5 1
313.4 6777.7 373.
4 2
781.2 0
.41 4
88.5 3
161.4 0
.47
7 3.5 1
328.7 8106.4 331
.4 3
112.5 0
.38 4
34.3 3
595.7 0
.44
6 3.5 1
342.1 9448.5 287
.8 3
400.4 0
.36 3
78.3 3
974.0 0
.42
5 3.5 1
357.9 10
806.4 243
.8 3
644.2 0
.34 3
21.5 4
295.5 0
.40
4 3.5
5 1
371.7 1
2178.
1 198.
4 3
842.6 0
.32 2
63.0 4
558.5 0
.37
3 3.6
0 1
440.8 1
3619.0 158
.1 4
000.7 0
.29 2
11.4 4
769.9 0
.35
2 3.7
0 1
470.9 1
5089.
8 108
.6 4
109.3 0
.27 1
47.6 4
917.5 0
.33
4
.65* 1
588.1 1
6677.9 60
.2 4
169.5 0
.25 85.9 5
003.4 0
.30
[注] *地中梁心までの階高を示す.
設 計 例 2 -269一

g3 降伏機構設計

降伏機構設計では,設定した降伏ヒンジの保有強度が設計用応力を上回るように設計する.降伏

ヒンジの設計用応力は,係数倍*した鉛直荷重と必要保有水平耐力に相当する水平荷重(前章に示
す各階の設計用層せん断力係数)の組み合せに対して,線形解析で、求めた応、力を基本とする.

[注] *本例では荷重係数を1.0として計算した.

3
.1 鉛直時応力算定
図 3. 1. 1~ 図 3. 1. 3 に応力図を示す.

3
.2 地震時応力算定
図 3.2.1~ 図 3.2.3 に応力図を示す.
n
qL
u
i

付 録

町了。目的千レ﹁﹂﹁レ﹁レ﹁レ﹁h
1
1.6 1
0:5 1
3.3 1
1.8
1
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1 -466.8 -465.2 -465.6 仁 122.8 之~土

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5.4 L
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- 3
3.5
'77
.7 レ2
32.
8 1
6.7 -27.6

6000 6000 6000 9000 8000

図3
.22 Y
. 2通り(水平〉 図3
.23 X
. l通り(水平)
設 計 例 2 -273一

3
.3 層間変形角

(本文 4
.3.
4より〉


階高
(m)
Q
X
K
3
方 向
。 R Q
Y
K
方 向
5 R
(
t) x1
( 0t /
cm) (cm) (
t) x1
( 03t
/cm
) (cm)
1
2 3
.5 105
7.2 1
.63 0
.64
8 1/540 9
10.9 1.5
7 0
.58
0 1/603
1
1 3
.5 155
1.0 1
.68 0
.92
3 1/379 1
554.
9 2.0
9 0
.74
4 1/470
1
0 3
.5 2
001.2 2
.01 0
.99
6 1/351 2
141.
8 2.6
2 0
.81
7 1/428
9 3
.5 24
07.8 2
.16 1
.11
5 1/314 2
672.9 3.09 0
.86
5 1/405
8 3
.5 2
781.2 2
.34 1
.18
9 1/294 3
161.
4 3.6
7 0
.86
1 1/406
7 3
.5 31
12.5 2
.40 1
.29
6 1/270 3
595.
7 4.14 0
.86
8 1/403
6 3
.5 3
400.4 2
.55 1
.33
3 1/263 3
974.
0 4.8
2 0
.82
4 1/425
5 3
.5 3
644.2 2
.70 1
.35
0 1/259 4
295.
5 5.4
7 0
.79
2 1/442
4 3
.55 3
842.6 3
.15 1
.22
0 1/291 4
558.
5 6.5
5 0
.69
6 1/510
3 3
.6 4
000.7 3
.25 1
.23
1 1/292 4
769.
9 7.6
2 0
.62
6 1/575
2 3
.7 4
109.3 3
.79 1
.084 1/341 4
917.
5 9.69 0
.507 1/730
4
.65 4
169.5 3
.87 1
.07
7 1/432 5
003.
4 1
2.7 0
.394 1/1180

設計用地震力による建物の層間変形角の制限値は 1/200とするが,本例では略算的に求めた塑
性剛性を用いているため,外力の重心位置における変位を基礎からの変形角に換算した値が,制限

値を 1 /1
.5倍 し た 変 形 角 (1/300) 以内であることを確認する(解説 4
.3.
4より).

X方向について
外力の重心位置 31
.77 (m)
8階床までの高さ 2
9.5 (m)

8階の変形量 1
.11
5 (cm)

8階床までの捷み 9
.78 (cm)

重心位置での援み
δ 9.78+1
二 .115X (
31.77-29.5) /3.5=10.5 (cm)
重心位置での変形角

R=10.5/3177=1/302 可
-274- 付 録 1

3
.4 設計用応力

R 4l
.5

2
4.9 6
8.8 67.
4

1
2 6
5.6 9
0.0 7
0.1
5
2.1 7
0.8 4
5.8

1
1 9
3.0 1
15.
2 99.
4
8
2.2 9
5.8 7
2.8

1
0 1
17.
8 1
39.
7
1
09.
1 1
20.
3 9
7.6

9 1
40.
4 8
3.8
1
33.
2 6
4.0 1
19.
8

8 1
59.
0 1
80.
2
5l
1 .1 1
60.
4 1
38.
6

7 1
74.
3 1
93.
3 1
84.
31
1
66.
3 1
73.
7 1
53.
9

6 1
84.
8 20l
.4 1
94.
6
1
76.
4 8l
1 .8 1
64.
6

5 193.
4 2
08.
5 2
02.
9
1
84.
7 1
88.
9 1
73.
2

4 2l
2 .8 2
36.
7 2
34.
9
2
16.
3 2
16.
5 2
00.
8

3 2
06.
9 2
18.
9 2
15.
1
1
96.
1 1
98.
7 1
86.
3

2 2
90.
3 2
63.
9 3
17.
6
299.0 2
42.
1 2
67.
5

•2
22.
4 2
57.
4 2
56.
8 2
27.
4
J!

⑧ ③ ⑧ ③

図3
.4.
1 Yt通り (X方向)
[注] 3
.,l 3.2で示した長期および地震時の応力を組み合せ,ヒンジ部の曲げ設計用応力とする.なお,地震時

はフェイスモーメントを採用している
設 計 例 2 -275ー

R 4
3.1
((
2
5.7 7
5.1 7
3.3

1
2 7
2.0 1
06.
5 7
9.2
61
.0 8
6.7 51
.2

1
05.
1 1
36.
9 1
15.
5
1
1
9
8.3 1
16.
7 8
3.9

1
34.
7 1
66.
2 48.
l 4
1
0
31
1 .0 1
46.
2 1
13.
5

9
1
63.
0 1
95.
8 1
78.
9
61
1 .1 1
75.
4 41
1 .6

1
85.
8 2
16.
6 2
02.
1
8
1
84.
1 1
96.
2 1
64.
4

7 2
06.
0 2
33.
9 2
22.
4
2
04.
2 2
13.
5 1
84.
8

2
20.
4 2
44.
9 2
36.
4
6
2
18.
0 2
24.
5 1
99.
2

31
2 .9 2
54.
2 2
47.
7
5
2
29.
3 2
33.
8 2
10.
9

2
64.
1 2
86.
6 2
85.
3
4
2
66.
5 2
65.
6 2
42.
3

2
50.
4 2
67.
9 2
64.
6
2
45.
2 2
47.
1 2
28.
8

3
04.
5 3
06.
9 3
46.
0
2
3
27.
6 2
84.
3 2
80.
5

ー2
39.
6 2
60.
4 2
59.
6 2
44.
4
1
1

③ ③ ⑧ ③

図3
.42 Y
. 2通り (X方向)
-276 付 録 l

ι
R 21
1 .4 1
05.
3
5
3.7

1
2 1
22.
9 1
21.
5
6
8.7

1
1 1
26.
0 1
23.
1
7
2.3

1
0 1
34.
1 31
1 .4
8
0.2

9 1
43.
7 41
1 .1
8
8.7

8 1
43.
3 41
1 .0
8
8.2

7 1
39.
2 1
37.
1
8
4.1

6 1
33.
6 31
1 .7
7
8.5

5 31
1 .7 1
30.
0
7
6.6

1
49.
9 1
47.
9
9
3.3

1
30.
9 1
29.
5
3
7
4.1

2 1
50.
4 1
46.
3
91
.1

1 7
2.4 9
0.0

② ②

図3
.4.
3 X1通り (Y方向)
設計例 2 -277-

3
.5 ヒンジ部の断面算定
3
.5.
1 梁
Muニ 0
.9C
a
t・σy十 αs・σSy) d
2
as スラブ筋量 片側の時 9
.9 Ccm)
*
2
(協力幅内〉 両側の時 1
9.8 Ccm)
2
σsy スラプ筋信頼強度 CSD3
0A) 3
.0 Ct/cm)
2
σy 梁主筋信頼強度 CSD4
0) 4
.0 Ct/cm)
d 圧縮縁から引張主筋の重心までのせい.
[注]牢スラブ配筋 D10+D13-@200ダブル
スラブ協力幅(片側) 1
.0m以内のスラプ筋を
2
5一 D13, 5一 D10としぬ =9.9 Ccm) とした.

3
.5.
2 柱
直交筋を考慮した次式によった.

Nm
ax孟N>Nbのとき,
i (Nmax-N
Mu={0
.5ag σy'gl.D+O削 1+gl)C3.6-叫 D
2 c~ .I
.F
J ¥Nmax-Nb
Nb~N 孟 O のとき,

Mu ¥1
=0.5α s σ y ω +0.5ND(~
7;
-b:
1
:
D'
Fc) i
O>Nミ Nm
i
n
1
λu=0.5ag ' ぴ J .D+
y• g .5N.gl・D
O
2
σy • 柱主筋の信頼強度 CSD 4
0) 4
.0 Ct/cm)
2
F
c:コンクリート設計基準強度 12
( 階
〉 2
70 Ckg/cm)
2
C1階〉 3
60 Ckg/
cm)
-278一 付 録 l

柱ヒンジ部の断面算定

符号 階
NL
(
t)


NE
(t)
cNs
(t)
rNs
(t) (
t
M
.m)
j
fJ
B(
n

-D
29)
C
l 3
93.
7
X
Y
7
3
1
8
0
9
.
.
6
4
1
1
7
1
0
2
.
3
.
3
1
-324.9
84.3
22
9
7
.
0
.
4
0 回 (
44)

C2 6
04.
2
X
(Y)
8
58.4 1
462
.6
(壁付〉
-254.2 244
.4
回 ω4)(1)

C3
1
2 4
4.5
X
(Y)
6
.6 51
.1
(非ヒンジ)
3
7.9 6
8.0

(1 0
)
'2
)

5
39.
4
X
Y
5
2
7
5
8
.
.
0
8
5
8
1
9
4
8
.
.
4
2
4
8
2
6
4
0
.
.
6
4 2
57
9
5
.
.
4
9 ロ
(1 6
)

C
4
1
2 6
7.4
X
Y
9
1
.2
.7
7
6
6
9
.
.
8
1
5
6
8
5
.
2
.
7
7
7
4
7
.
.
2
6 口
(1 0
)

7
46.
6
X
Y
7
5
5
4
.
.
1
3
8
2
8
0
1
0
.
.
7
9
6
7
6
9
1
2
.
5
.
3
2
6
9
0
3
.
.
4
3 ロ
(1 6
)

C
s
1
2 4
3.5
X
(Y)
0.0 43.5
(非ヒンジ)
43.
5 84.0

(1 0
)

5
35.
2
X
Y 3
8
0
6
.
0
.
5
5
3
9
2
5
1
.
.
2
7
5
3
1
4
5
8
.
2
.
7
2
5
8
6
3
.
.
1
9 ロ
(1 6
)

1
2 1
19.
2
X
(Y)
0.
0 11
9.
(壁付)
2 1
19.
2 9
7.6
ロω

(1
C
s
X 0
.0 8
72.
0 8
72.
0 2
59.
6
8
72.
0
(Y) (壁付) 6
)
[注] (
1
) Y方向に壁付柱ではあるが, Y方向に主筋を配置することにより X方向に必要な主筋
量を減少させ,レイアウト可能なリストとした.
(
2
) C3 CS柱は最小配筋 (Pgミ0.8%) で決定した.
",

3.5.3 耐震壁
Muニ a ん +0.52
t・σy・ .
:(α
ω ・σW
y)・lw+0.5N• l
w
2
ここで ,a
t 引張側柱の主筋全断面積 Ccm)
2
σy 引張側柱の主筋信頼強度 Ckg/cm)
2
伽 :壁たて筋の断面積 (cm)

σ町:壁たて筋の信頼強度 Ckg/cm2)
ん :壁の長さ (cm)

X4/Y2-Y3間壁について検討する.
2
t =102.7 Ccm) (
a C6柱 1
6-D
29)
2
σy 4
.0 (t/cm)

ん 8.0 Cm)
2
αω=113.2 (cm) (D13+D16-@200夕、、ブ、ル)

九 y - 3
.0(
t/ cm2
)

N =872.0+872.0=1744.0 (
t)

Mu こCl02.7X4.0十 0.5x113.2x3.0十 0.5X1744.0) X8.0


=11620.8 (t.m) >設計モーメント Mw=7993.8 Ct.m) 可
設 計 例 2 -279-

3
.5.
4 再配分設計応力の検討
Y
zフレーム 5, 6階について例示する.

⑧ ⑬ ⑬ ⑬ ⑧
(
231
.3) (
278
.2) (
278
.2) (
278
.2) (
231.
3)
220
.4 244
.9 244
.9 244
.9 236.
4
6F
2
18.
0 224
.5 224
.5 224
.5 1
99.
2
18
( 7
.5) (
211
.0) (
2 .0
1l ) (
211
.0) 18
( 7
.5)
⑧ ⑨ ⑨ ⑨ ⑧
⑨ ⑬ ⑬ ぐ ⑪ ⑧
(
254
.8) (
278
.2) (
278
.2) (
278
.2) (
231
.3)
231
.9 254
.2 254
.2 254
.2 247
.7
5F
2
29.
3 233.
8 233
.8 233.
8
18
(⑧7
.5
) (
234.
4) (
234
.4) (
234.
4)
⑬ ⑬ ⑬ ⑧

③ ③ ⑧ ⑧ ③ ③

ヒンジ部設計用モーメント(長期+地震時フェイスモーメント〉

( )内は仮定した鉄筋本数に対応する曲げ信頼強度を示す.

0内は仮定した鉄筋本数 Cn-D32) を示す.


(
1
) 層モーメントの確認
6階

D=218.0+220.4+ (224.5+244.9) x4十 199.2+236.4=2751.6 (


sM t.m)

sMu=187.5+231
.3+ (
211
.0+278.2
) x 4+187.5+231
.3=2794.4 (
t.m)

S
MDく sM
u より可
5階
SMD=229.3+231
.9+ (
233
.8+
254
.2) x4+210.9十 247.7=2871
.8 (t.m)
sM
u=1
87.
5十 2
54.
8十 (
234
.4十 2
78.
2) x4+187.5+231
.3=2911
.5(
t.m)

Dく S
sM Aんより可
(
2) 再配分量の検討

再配分させるモーメント (
LJM
) は線形解析時における地震時曲げモーメント (
ME)の20%
以内とする.

6階 X
l通り(下端〉
LJM=218.0-187.5=30.5 (t.m)
ME 2
27.2 (
二 t.m) (フェイスモーメント)

LJM/MEニ 30.5/227.2x100=1
3.4 (%) <20 (%)可
再配分させた部位についての検討結果を次表に示すが,いずれも LJM/MEく 2
0 (%) (本
文4
.3.
3より〉であり可.
-280一 付 録 l

MD Mu lM
L ME lM/ME
L
階 位置
(t'm) (t'm) (t'm) (t'm) (
%)
X1 下端 2
18.
0 1
87.
5 3
0.5 2
27.
2 1
3.4
Xz 下端 2
24.
5 2
11.
0 3
3.5 2
34.
7 1
4.3
6
X6 下端 19
9.2 1
87.5 11
.7 2
09.
8 5.6
X7 上端 2
36.4 31
2 .3 5
.1 2
27.
2 2.2
X1 下端 2
29.3 1
87.5 41
.8 2
38.
5 1
7.5
5 Xs 下端 2
10.9 1
87.5 23
.4 2
53.
2 9.2
X7 上端 2
47.7 31
2 .3 16
.4 2
75.
9 5.9
設計例 2 -281-

3
.6 ヒンジ部分の配筋リスト
3.6.1 X方向大梁(主筋径 D32)

3 3
R
2 2

1
2 3 3 3 3 3 3 3 3
2 2 3 3 2 2 3 3

1
1 3 4 4 4 3 4 5 5
3 3 4 4 3 3 4 4

1
0 4 5 5 5 4 5 6 6
4 5 5 5 4 4 6 6

9 5 6 7 7 6 6 7 7
5 5 7 7 6 6 7 7

8 6 6 7 7 7 7 8 8
6 6 7 7 7 7 7 7

7 6 6 8 8 7 7 9 9
6 6 8 8 7 7 9 9

6 7 7 8 8 8 8 10 10
7 7 8 8 8 8 9 9

5 8 8 8 8 8 9 10 10
8 8 8 8 8 8 10 10

4 8 8 8 8 9 9 9 9
8 8 8 8 9 9 9 9

3 8 8 8 8 9 9 9 9
8 8 8 8 9 9 9 9

2 7 8 9 9 9 9 9 9
7 8 8 8 9 9 9 9

lC1 LC3 .
.
.
LCs L
C2 ~4 ~C6

③ G6
⑧ G7
⑧ ③ ③ G9 ③
G8

Y
l通 り 梁 Y2通 り 梁

[注] 梁の最大主筋量の検討

梁の主筋比は,スラブ筋も含めて 2.5%以下(本文 5
.6.
1より)とする.スラブ筋は降伏機構設計時の 2倍
2
cs=39.6cm)
の協力幅とした. α
2
9階 5
5x9
0 C7-D32) αt= 9
5.2 Ccm) Pt=2.11 C%)
2
5階 60x90 C
lO-D32) ぬ=119.0 Ccm) Pt
=2.42 C%)
2
3階 60x1
00 C9-D32) 11
αt=1 .1 Ccm) Pt
=2.01 C%)
2
2階 60x1
20 C9-D32) 11
αt=1 .1 Ccm) =1
Pt .6
5 (%)
し、ずれも 2.5%以下であり可.
-282一 付 録 l

3
.6.
2 Y方向大梁(主筋径 D
32)

R 3
2

1
2 3 3 3 3
2 2 2 2

1
1 3 3 3 3
2 2 2 2

1
0 3 3 3 3
3 3 3 3

9 4 4 4 4
3 3 3 3

8 4 4 4 4
3 3 3 3

7 4 4 4 4
3 3 3 3

6 4 4 4 4
3 3 3 3

5 4 4 4 4
3 3 3 3

4 4 4 4 4
3 3 3 3

3 4 4 4 4
3 3 3 3

2 3 3 3 3
3 3 3 3

C
3 ~ C4 C4

⑪ G3
③ ③
G4

X
l通り梁 X
2通り梁 X
4通り梁

3
.6.
3 柱(主筋径 D
29)

階 C1 C2 C3,4,5,6


Y
1

1
2
)

1
0凶

1 1
112
221
21 44D29 1
l1
12
12
21M
144-D四
口 16-D四
設計例 2 -283-

94 降伏機構保証設計

降伏ヒンジ以外の断面および部材の強度が,設計用応力を上回るように計画する.設計用応力は

仮定した降伏ヒンジが上限強度に達して降伏機構が形成される時を基本とし,これがさらに動的な

地震応答で変動することを考慮して,当初に設定した全体降伏機構となるように,また部材の靭性

能力が得られるように設計する.

4
.1 ヒンジ上限強度
.1
4 .1 壁の上限強度
3.5.3に示す壁耐力式を使用する.

4・~ a μ .
.
.
.
.
~

- α Mw 山

位置
(t) (t) (t)(cm2) (cm2
(t)) (t'm)
X1/ Y2
-Y3 1
2084 -17.0 -1224.0 -32.6 3
. 28.1(1) 1
13.
2 165
25.4
X4/Y2-Y3 1
744
.0 -33.7 0.0 171
0.3 1
02.
7(
2) 1 13.
2 14
481.0
X7/ Y2
-Y3 1
208
.4 -17.0 12
25.9 24
17.3 3
28.1 1
13.
2 2
6325.0

[注]
2
(
1) 柱主筋4
4-D
29+4
-D8*(
3 328
.1cm) *
4.
4 ヒンジ部材の軸力制限の検討結果より.
2
(
2
) 柱主筋 1
6-D
29 002.7cm)

.1
4 .2 梁の上限強度
3
.5.
1に示す耐力式を使用する.なお,スラブ協力幅を降伏機構設計時の 2倍とし,鉄筋は上限強

度を使用した.

.1
4 .3 柱の上限強度
曲げ耐力算定式は直交筋を考慮した 3.5.2に示す式によった.

(
1) 1
2階 柱 頭


位置 符号 NL NE NE,(l) Ns Mu

1
.5-9.2 36.8 1
20.
0
X2/Y1 C
3 4
4.5 X
-22.3 1.2 3
1 3.4 1
13.
0
1
.5 0
.0 68.9 1
35.
0
X
-22.3-2.0 43.1 1
25.
0
X2/Y2 C
4 6
7.4
0.0 0
.8 68.2 94.
0
Y
-3.9 1.2 5
1 2.3 90.
0
0
.0 14
.0 57.5 1
25.0
X4
/Yl C
5 4
3.5 X
.8 21
21 .7 1
11.
0
0
.0 3 0
.0 1
49.2 1
52.0
X4/Y2 C
6 1
19.
2 X

ーー一
-32.8 86.4 1
40.
0

) Xまたは Y方向に考慮すべき直交方向の上限強度時軸力の 50%を示す.


[注] (
1
-284 付 録 l

なお, C
6柱については直交壁 (
X4/
Y2-
Y3)からの軸力を下記により推定した.
(
i) 1
2階壁脚における壁モーメント (12Mw)

12M= (Mu/H) xh=1200.0 (t'm)

.1
Mu:4 .1より 14
481
.0(
t.m)

H:構造用高さ 4
2.2
5 (m)

h:1
2階階高 3
.5 (m)

(
i
i) C
6柱に考慮する 2方向地震力による壁からの軸力
圧縮 NE' = [
1200.0/(2x8)-15.5J xO.5=30.0 (
t)

引張 NE' ー 1200.0/(3x 8)ー 1


5.5
J xO.5=-32.8 (
t)
設 計 例 2 -285-

(
2) 1階注脚

(
1) (
2
) (
3
) (
4
)
位置 符号 NL 方向 NE NE' Ns Mu
(t
) (
t) (t
) (t'm)
-992.6 -238.6 -837.5 20
0
2
30.1 -368.8 37
5
X
9
92.
6 -238.6 114
7.7 950
2
30.1 161
6.4 1050
X
l/Y
l C1 3
93.
7
-477.2 -496.3 -579.8 29
0
4
96.3 4
12.8 70
5
Y
4
60.
2 -496.3 35
7.6 67
0
4
96.3 135
0.2 101
5
-1224.0 -352.7 -972.5 16
0
C
z 50
7.9 -111.9 45
5
Xl/YZ 6
04.
2 X
(壁付) 1
225
.9 -556.9 127
3.2 99
0
8
14.2 264
4.3 10
( 5
2)
-8
7.3 -233.3 21
8.8 30
0
2
35.2 68
7.3 49
2
X
8
6.4 -233.3 39
2.5 37
5
23
5.2 86
1.0 56
0
XZ
/Y1 C
3 5
39.
4
-466.5 -4 3.7 2
9.2 20
0
43.2 11
6.1 24
5
Y
4
70.
4 -4 3.7 96
6.1 59
3
4
3.2 1053
.0 62
0
-101
.1 -3 2.0 61
3.5 47
5
3
0.1 67
5.0 49
0
X
9
7.0 -3 2.0 81
1.6 54
5
3
0.1 87
3.7 56
0
Xz/Yz C4 7
46.
6
-6
4.0 -5 0.6 63
2.0 48
0
4
8.5 31
7 .1 51
5
Y
6
0.1 -5 0.6 75
6.1 52
5
48.5 85
5.2 56
0
0
.0 一311.3 22
3.9 30
0
29
4.4 82
9.6 55
0
X
0
.0 -311.3 22
3.9 30
0
29
4.4 82
9.6 55
0
X4/Yl C
5 5
35.
2
6
22.
5 0
.0 -8 7.3 15
5
Y
5
88.
8 0
.0 1
124
.0 6
40

0
.0 -318.5 5
53.
5 4
45
C
6
X4/YZ 8
72.
0 X
(壁付〉 0
.0 4
35.
0 1
307
.0 6
85

[注] (
) 面内軸力を示す.
1
(
2
) 直交軸力の 50%を示す.
壁付柱の壁からの直交軸力 (NE') は次式で算出した.
(
圧 CNE' 叫/ (2 ・ん)土(境界梁付加軸力 )
[(M J XO.5

(1) TNE' 一 (Mw/ (3 ・ん)土(境界梁付加軸力 )
J xO.5
-286一 付 録 l

(
Cz柱)
Xl/YZ:rNE' = [-16525.4/ (3x8) -17.0J xO.5=-352.7 (
t)
Xl/Y3:CNE' = [ 16525.4/ (2x8) -17.0J xO.5= 5
07.
9(t
)
X7/Yz:rNE' [-26325.0/ (3x8) -17.0J xO.5=-556.9 (
t)
X7/Y3:cNE' = [ 26325.0/ (2X8) -17.0J xO.5= 8
14.
2(t
)
(C6柱

X4/YZ:rNE' = [-14481
.0/ (3x8) -33.7
] XO.5=-318.5 (
t)
E' = [ 1
X4/Y3 :cN 4481
.0/ (2x8) -3
3.7
] xO
.5= 4
35.0(
t)
(
3) 上段より NSl=NL-NE-NE'
Nsz=NL-NE+NE'
NS3=NL十 NE-NE'
NS4=NL十 NE+NE'
(
4) ()内数値はN=Nb時の最大モーメントを示す.
設 計 例 2 -287-

4
.1.4 上限強度一覧

G6 G7 G
7 G6
R 80
.8 1
74
.6
8
2.
9 (
27
.3
) 1
46
.0 (
24
.3
) 1
43
.5 (
24
.3
)¥ (
38
.8
)
1
(3
8.
8)

.
(
-27
.3) (
3.
0) (
0.
0) (
-15.
4
)
1
2 1
65
.0 1
67.
4 1
65.
0
7
56 (
. 40.
1
) 1
07.
4(4
5.
8) 1
07
.4 75
'.
6 (0.
4 1
)
(
-67.
4
) (
-2.7
) (
-9.7
) 1
(78
.9)
2
00.
6 2
03
.2 1
68
.7
1
1 .
.
.
.
..
.
.
.
i
l1
.3 (
52
.0
) 1
43
.2(
5.7
7l 1
43
.2 1
08
.7 (
46
.2
)
ー1
〔 1
9.
4) (
-8.
5) 0
.7) 1
12
( 5
.2
)
2
35.
1 2
37
.7 2
05.
8
1
0
1
45
.8 (
63
.5
) 1
77
.6 (
69
.2
) 1
77
.6 ・
-175.1 (63.5)
(
-18
2.8
) (
-14
.2) (
7.
5) !
(問6
)
2
71.
8 3
05
.7 2
39
.7
9 .
.-
1
82
.5 (
75
.7
) 2
45
.6 (
91
.9
) 2
45
.6 1
79
.7 (
69
.9
)
1
(2
58
.5
)

.
(
-25
8.6
) (
-30.
4
) (
29
.5
)
2
74.
5 3
05
.7 3
05
.7I 2
74.
5
8
2
14
.5 (
81
.5
) 2
45
.6 (
91
.9
) 2
45.
6 2
14
.5 (
81
.5
)
(
-34
0.1
) (
-40
.8) (
39
.9
) !
(測 0
)
7 2
77.
0 3
39
.9 2
77
.0
.-re
2
17
.0 (
82
.3
) 2
79
. 10
9 ( 3
.3
) 2
79
.9 2
17
.0 (
82
.3
)
(
-42
2.4
) (
-61
.7
) (
60
.8
) 1
(42
2.4
)
6 3
08.
4 3
39
.9 339.~ I 3
08
.4
2
48.
4 (
92
.8
) 2
79
.9 (
10
3.
3) 2
79
.9 2
48
.4 (
92
.8
)
(
I
日 2
)

.
(
-51
5.2
) (
-72
.2) 71
(.3
)
5 3
43.
0 3
43
.0 制
2J 3
43
.0
2
83
.0 (
104
.3
) 2
83
.0 (
10
4.
3) 2
83
.0 2
83
.0(
104
.3
)

-
(
-61
9.5
) (
-72
.2) (
71
.3
) !
(仰5
)
4 3
85.
6 3
85
.6 3
85.
6
3
18.
4 (
11
7.
3) 3
18
.4 (
11
7.
3) 3
18
.4 3
18
.4(
11
7.
3)

-
(
-73
6.8
) (
-72
.2) 71
(.3
) !
(市8
)
3 3
89
.2 3
89
.2 3
89
.2
3
22
.0(
11
8.
5) 3
22
.0 (
11
8.
5) 3
22.
0 3
22
.00
18.
5)
(
-85
5.4
) (
-72
.2) (
71
.3
) !
(
8日4
)
2 4
70.
9 5
16
.1 516.~ I 4
34.
0
3
52
.5(
13
7.
2) 3
97
.7(
152
.3
) 3
97.
7 3
89.
4(13
7.
2)

(
-99
2.6
) (
-87
.3) (
0.
0) (
86.
4
)

2
00<
37
5> 3
00<
49
2> 3
00<
55
0>、 3
75<
56
0> +
950<
105
0>
⑧ ⑧ C5 @
C C3
⑧ ⑧ 3 C1

│11

( )内はせん断力
( )内は軸力 く 〉内は Y
4フレーム柱脚モーメントを示す.

図4
.l.1 Y
lくY4) フ レ ー ム ヒ ン ジ 部 上 限 強 度
-288一 付 録 l

G8 Gg Gg G8
R 2
39
.6
8
78 (
. 30.
4
) 1
57.
l (
28
.9
) 1
82
.0 (
28
.9
)(¥ 1
44
.3 (
49.
l
)

︺'aA
a刈官
nwd
j
〆 L


(
-30
.4) (
1.
5) (
0.
0) (
-22
.3)
1
2 2
29.
9 2
32.
4 2
32
.4 2
29
.9
8
0. 51
6 (.8
) 1
12
.3 (
57
.4
) 1
12
.3 80
.6 (51
.8
)
(
-82
.2) (
-4.
2) (
-16
.6) 10
( 0
.9
)
1
1 2
65.
9 3
00
.4 3
00.
4 2
34
.1
1
16
.6 (
63
.8
) 51
1.1 (
75
.2
) 1
51
.1 1
14
.0(
58
.0
)


nxu
nu
r


(
-15
.7) •

唱EA
ft

14E
(
-14
5.9
) (
0.
6)

υ

,d

1
0 3
00
.4 3
37.
5 3
37
.5 2
68
.5
51
1.1 (
75
.2
) 2
17
.4 (
92
.5
) 2
17
.4 1
48
.5
' (
69
.5
)


q

A,
AMU
Ar臼
(
-221
.2
)

h'B
(
-32
.9) (
23
.6
)


-


9
3
40.
2 3
71.
3 71
3 .
3 3
40
.2
2
20
.2 (
93
.4
) 51
2 .
3(10
3.
8) 2
51.
3 2
20
.2 (
93.
4
)


(4d

nxu


/
(
-43
.3) (
34
.0
)

噌E
(
-31
4.6
)



8 71
3.3 4
00.
0 4
.
00.
0 3
71.
3
51
2 .
3 (
10
3.
8) 2
53.
8 (
109
.0
) 2
53
.8 51
2 .
3(10
3.
8)
(
-41
8.3
) (
-48
.5) (
39
.2
) (
42
5.
6)
7 3
74.
5 4
37
.4 4
37.
4 3
74
.5
2
54
.4 (
104
.8
) 3
17.
3(12
5.
8) 3
17
.3 2
54.
4(10
4.
8)

︺aAヨ
ハHv
n4d

Il
phJV
(
-52
3. (
-69
.4)


l
) (
60.
l
)
6 4
05.
9 4
66
.2 4
66
.2 4
05
.9
2
85
.9 (
11
5.
3) 3
199 (
. 13
1.0
) 3
19
.9 2
85
.9(
115
.3
)

、tpJ
〆s、

Ed
n
a
phυ


(
-68.
3 4
) (
-85
.2)

nz
(
75
.9
)

t
l

3 4
38.
4 4
73
.0 4
73.
0 4
09.
4
2
92. 12
l ( 1
.8
) 3
52
.9(
137
.6
) 3
52
.9 2
89
.4(
116
.5
)

︹nrt

、fhJ

pnv
nJ

1i
(
-76
0.2
) .U
01 (
97
.0
)

-
(
-1
4 4
96
.0
' 4
96
.0 4
96
.0 4
96.
0
61
3 .
6 (
142
.9
) 61
3 .
6(14
2.
9) 61
3 .
6 61
3 .
6(14
2.
9)
︹nud

)
Ed
1i
nHU

01
.1
) (
97
.0
)
-

(
-90
3.l
) (
-1
3 5
00.
3 5
00
.3 5
00
.3 5
00
.3
3
66
.0 (
144
.4
) 3
66
.0(
144.
4
) 3
66
.0 3
66
.0 (
144
.4
)

︹'aA
nwd
AHU

F吋
p

(
-10
47.
5
)

(
-101
.1
) (
97
.0
)
斗-

2 6
10.
9 6
10
.9 6
10
.9 6
10
.9
4
48
.0 (
17
6.
5) 4
48.
0(17
6.5
). 4
48
.0 4
48
.0(
176
.5
)

.︹


n
n
r
phd

A叫u

(
97
.0
)
F

14h''
h

(
-12
24.
0) (
-101
.1
) (
0.
0) •
M
u
A

1
6 45
0< 5
> 4
75<
49
0> 4
45<
68
5>) 5
45<5
60> 9
90<
10
52
>
C

C4 Cz
A-

⑧ ⑧ ⑧ ⑧ ⑧

く 〉内は Y3フレーム柱腕l
モーメントを示す.

図4
.1.
2 Y2 <Y3) フレームヒンジ部上限強度
設 計 例 2 -289-

G1 G2 Gl
R 1
89
.5 3
05.
1 1
60
.2
7
0.
9 (
28
.9
) 1
00
.2 (
28
.9
)
(
-28
.9) 1
(2
8.
9)
1
2 1
91
.0 1
92
.6
01
1 .
7 (
32
.5
) 1
32
.5 (
36.
1
)
(
-61
.5
) 1(
65.
1
)
1
1 2
22
.9 l
号1
.9
10
4.3 (
36
.3
) 1
02
.6 (
32
.7
)
(
~97.8) 1(
97
.8
)
1
0 2
24
.5 1
936

1
35
.2 (
40
.0
) 1
33
.6 (
36
.3
)
(
-13
7.8
) 1
(1
34.
1)
2
25
.6 2
25.
6
9
1
36
.3 (
40
.2
) 1
36
.3 (
40
.2
)
(
-17
8.0
) 1
(1
74
.3
)
8 2
25
.6 2
25
.6
1
36
.3 (
40
.2
) 1
36
.3 (
40
.2
)
(
-21
8.2
) 1
(2
14
.6
)
7 2
26
.8 2
26
.8
1
37
.4 (
40
.5
) 1
37
.4 (
40
.5
)
(
-25
8.7
) 1
(2
55
.0
)
6 2
26.
8 2
26.
8
1
37
.4 (
40
.5
) 1
37
.4 (
40
.5
)
(
-29.
9 1
) 1
(2
95
.5
)
5 2
27.
9 2
27
.9
1
38
.6 (
40
.7
) 1
38
.6 (
40
.7)
(
-33
9.8
) 1
(3
36
.2
)
4 2
55.
5 2
20
.5
1
55
.5 (
45
.7) 1
53
.3 (
41.
5
)
(
-38
5.5
) 1
(3
77
.7
)
3 2
56.
8 21
2 .
6
1
56
.8 (
46
.0
) 1
54
.5 (
41
.8
)
(
-431
.5
) I(ω5)
2
66.
7 2
23
.9
2
1
45
.2 (
45
.8
) 1
42.
4 (
40
.7)

(
-47
7
.2) 1
(4
602
)

2
90<
705
> 十6
70<
10
15
>
C1 C
2 C
l
③ ③

く 〉内は X7
フレーム柱脚モーメントを示す.
(壁)

図4.1.3 X1 く
X7) フ レ ー ム ヒ ン ジ 部 上 限 強 度
-290一 付 録 l

4
.2 終局耐力の算定
4
.2.
1 耐力算定上の仮定
(
1) 前章で算出したヒンジ部の曲げ上限強度を非ヒンジ部ヘ分配し,非ヒンジ部の設計用応力

(曲げ・せん断〉を算出する.

(
2) x方向(フレーム構造〉の基本方針
(
i 2階までの柱を l本ずつ〉ごとに層モーメント分割法を適用し,各階
) 各 通 り 軸 (1階から 1
の設計用応力を算出する.

(
i
i) 外力モードは震度逆三角形分布とする.頂部に集中荷重を含む X方向線形解析時のモード

とは異なる.

(
3) Y方向(壁フレーム構造〉の基本方針

(
i) X方向と同様に各通り軸ごとに層モーメント分割法を適用し,各階柱の設計用応力を算出

する.

(
日) 壁設計用応力を算出するために, r
壁+フレーム」の架構全体の終局耐力を仮想仕事法に
より,まず算出する.

次に, (
i)で求めた柱の負担せん断力の総和を差し引くことにより,壁負担せん断力を算出

する.


。 各壁へのせん断力の分配は,その壁に取り付く部材のヒンジ部の曲げ上限強度の総和比に
応じて行う.

4.2.2 終局耐力一覧
X,Y方向の終局耐力を下表にまとめて示す.

(t)

X
X方向 Y方向
全体耐力 全体耐力 全体耐力 フレーム フレーム 壁

(仮想仕事)I(層モーメント分割) (仮想仕事〉 (仮想仕事) (層モーメント分割〉
1
2 1140
.7 1532
.4 11
93.
1 360
.8 684.
6 508.
5
1
1 1946
.5 261
5.3 20
36.0 616
.0 1
168.
5 867.
5
1
0 268
2.0 298
4.9 28
05.4 848
.5 1162
.8 16
42.
6
9 334
7.1 346
5.4 35
01.0 1
058.
9 1
194.
2 2
306.
8
8 395
8.8 39
59.9 4
140.
8 1252
.5 1256.
9 2
888.
3
7 450
2.6 43
31.2 47
09.7 1
427.
7 1
289.
5 3
420.
2
6 49
76.3 46
24.6 5
205.
2 1574
.6 1304
.8 3
900.
4
5 537
8.9 49
34.3 5
626.3 1702
.0 1
342.
5 4
283.
8
4 57
08.3 5
174.6 5
970.
8 1806
.3 1401
.5 4
569.
3
3 597
3.0 55
24.2 6
247.
7 1889
.7 1539
.1 4
708.
6
2 61
57.8 5
850.0 6
441.
0 1948
.3 1753
.2 4
687.
8
62
65.4 7
103.5 6
553.
0 1982
.5 2407
.2 4
145.
8

[注] *全壁の負担せん断力 (LQ山〉を示す.


全体耐力から,フレーム設計用せん断力(層モーメント分割法)を差し 5
1し、たせん断力とした.
設 計 例 2 -291-

←一一→層モーメント分割法
・ー一一→仮想仕事法

-
Eム 唱 ' ム
i
寸 AHVQd

8 8
7 7
階 階 6
6
432

4
3

) x方向終局耐力(t)
0 (
ii
) Y方向終局耐力(t)

4
.2.
3 フレーム応力の算出
l,C2の結果を,図 4
各柱ごとに層モーメント分割法*を適用し,柱応力を算出する. C .2.
1"-
'図

4
.2.
6の柱応力図に示す. (なお, CIA,,-, CID,C2A"-'C2Dは,柱符号ではなく,軸力が異なる状態を示す
ものである. 4
.5章参照.)
注J
[ *フレームを対象とした代表的な実用算定方法として,以下の 3法があげられる.
(
i) 節点モーメント分割法

(
日) 層モーメント分割法
(
出) 仮想仕事法

(
i),(ロ)は塑性解析の下界定理の概念に基づく「塑性モーメント分配法Jを基本とする算定法

であり, (
i
i
i)は上界定理の概念に基づく「機構法Jを用いた算定法である.本例ではこのうちフ

レームについては(
i
i)の層モーメント分割法(日本建築学会「建築耐震設計における保有耐力と

変形性能 J(昭和 5
6年 6月 1日 p.p7
8,7
9より))により架構の終局耐力を算出することにした.
Qd
nノ

円ノ“



RF
8
2.9(
73.
1)
o
o
U勺
C可
(
21.
7)

12F
2.
8 5(
65.
8)


11F
6
4.1

(
37.
3)
10F
7
9.2

(
46.7
) (
46.
8)

9F
8.
9 1(
72.9
) 9
7.6

(
55.
9)
8F
1
17.
1(8
8.4
) 1
16.
0(8
7.2
)

(
63.
8)
cmNN申

7F
1
10.
9

(
69.
6)
6F
101
( .2)1
32.
5 1
15.
9 10
( 5
.8)1
37.
4 1
11.0
。。凶的

(
76.
1) (
77.6
)
5F
11
( 6
.3)1
50.
5 1
32.
5 12
( 5
.8)1
60.
7 1
22.
3
。出目的

(
83.
6) (
86.
6)
4F
12
( 2.
4)1
64.
2 1
54.
2 141
( .8)1
85.
1 1
33.
3
。。∞的

(
90.
1) (
96.
2)

3F
12
( 5
.2)1
70.
2 1
51.8 16
( 9
.6)2
12.
9 1
09.
1
。。ド的

(
92.
8) 10
( 4
.7)
2F 61
1 .
1(9
7.4
)
13
( 5
.7)1
91.4 (
215.
4)2
78.
2 7
4.3(-190.0)
。。司的

10
( 6
.2) 13
( 2
.2)
1F
2
00.
0 3
75.
0

Y1/X1(C1
A)柱 (X方向) Y4/X1(
CIB)柱 (
X方向)

r7心モーメント()
1()
/
1 ()内は,せん断力 (
t
)
一 ()内 l
i,フェースモーメント (
tm)

図4
.2.
1 柱応力図(1)
設 計 例 2 -293-

RF
V 口4.60日 3
)
17174.6056.3)

(
40.7
)
12F
1
97.
111
65.
8) -32.1h 1
97.
1(16
5.8
)

(
69.
5) (
69.
5)
11F
… l122.7(96.1) 6.
4 1 1
22.
6(9
6.0
)

(
59.1
) (
59.1
)
10F
84.0~ 121.8(附〕

J
8
4.2 1
21.6(
92.
4)

(
64.
8) (
64.
9)

9F ー
ー 1
/ 凶 6(
101
.3)

出 (
74.
2) 〕
8F
内 ,
4
8 1
49.
7(1
12.
4) 1
2 4L
5. h149.1(111
.8)

(
82.
8) (
83.
0)

~I 十L 1
37.
0

(
90.
3)
1411〕1
〔 18
42
10
3LA
件 J

十7
(
づ(
11
9
13
2
00
5
61
8
4
7)
1)
6F
(
138
.6)1
79.
2 1
29.
2

…1
(
100
.3)
5F
17 2
.0J白 757118

(
114
.2) (
115
.9)
4F
22
(
盟甜6
ω

削9削 … (
238
.0)2
95.
9

(
133
.9) /I(137.3)
(
336
.1)4
04.
7ムー-,1-15.5
3一
一F 〔
313
413
484
oム0一
:
l一

L一
-ァ-
-4 89
4
/ I(167.7)

2F
一(4
89.
9) 586.4~ -152.
4(-293.2) 日5

(
249.
4)

L950.0/ 1
050
.0

Y
I/X7(
Ct
cl柱 (
X方向) Y4/X7(
CID)柱 (
X方向)

l(~ モメ川( )
内L
) J:,せん断力 (
t)
()内は,フェースモーメント (
tm)

図4
.2.
2 柱応力図 (
2
)
2
94一 付 録 l

RF 1
602(
. 141
.7)

(
21.0
) (
41.
1)

12F h 99.
1(8
2.9
) 2
090(
. 1
77.5
)
凸 h -16.
4

(
35.
9) (
70.1
)
l
1F 1
555(
. 12
7.6
)
3
6.4

(
35.
6)
10F
仰や山(1削

(
38.
3)
9F L 9
0.7(
72.
3) 刷物山〔山〕
(
40.
8)
8F 5
2.0(84.3(
65.
9) 8
5.8 ¥
7 1
39.
8(叩9.
4)

(
40.
9)

~I Y- 5
8.8 7
8

(
.

41
6(
59

.5)
.
9)

(
68.
5)
6F 6
6.5 7
0.9

(
42.
8)
5F
(
98 )1
.7 3
0.5

(
44.
9)
4F
〔 問 9977558 0
29.
0)1
66.
1

(
49.7
) /
1 (
82.
4)
3F
四 5
)勺 3
3.5 (
200
.9)2
421ム
. -
A-20.5
(
56.
5) / I(98.9)
2F

臼旧
1
4山

口山


η
7山


〕…



17 1 (
327
.0)3
863~-162 .4 (-461
. .0)

(
76.
4)
/ I(149.3)
1F
2
90.
0 6
70.
0

F
X
1/Y
1(C1
A)柱(
Y方向) X1
/Y4(
CIB)柱 (
Y方向)

心モメント()

()内は,せん断力 (
t)
()内は,フェースモーメント (
tm)

図4
.2.
3 柱応力図 (
3
)
設 計 例 2 -295-

RF
I i1
602(
. 141
.7)

(
21.0)

12F
2
.7 h99.0(82.8) -16.3 ド
--
"7208.9(
177.
4)

11F
(
35.
9)

l77.7(
61.6
) 3
6.64
-
ど (
70
, 155.3(
127
.3)

(
35.7
)
L(622
10F
~ 87.8(70.5) 6
2.44
-
-t131
.2(1
03.
3)

ミl
L(619)
9F 44
-
--
t140.2(110.9)
1
68h 8
. 9.5(
71.0
) 8
S.

(
41.2
) (
65.
2)
8F
j削 (
63.
0) 8
8.0 1
376(
. 10
6.9
)

~I -
r
-
(
41.
7) (
68.
3)

!
01
1 .
4 1
25.
4(9
3.9
)

(
43.
2) (
69.
9)
6F
(
58.
6)7
8.0l
-
tJ59.
4
CC
2U
3D

Fコ

5F
(
117
.2)1
50.
4
820〕1
〔 409
229
LL
t+
7357
(
52.
1) /
1 (80.2)
4F
(
123
.2)1
492y
. r6.3 (
167
.1)2
07.
2

(
64.
1)
3F
(
192
.6)2
24.
6 -67.8 (
279
.2)3
26.
3

(
84.7
)
/ 1(122.3)

2F
一一 (
330
.5)3
81.3 -236.
1(-511
.9) (
484
.0)5
57.4ムブ--i-333.5(
一73
4.4
)

(
137
.9)
/ I(200.5)
1F
7
05.
0 1
015
.0

y
X1/Y1(Cd柱 (
Y方向) X7/Y4(
ClD)柱 (
Y方向)

川 ()

()内は,せん断力(t)
()内は,フェースモーメント (
tm)

図4
.2.
4 柱応力図 (
4
)
-296- 付 録 1

J
M

12F

11F

10F
(
58.
9)7
7.1
斗i 7
4.0
58511744

(
51.5
)

9F
(
82.
5)1
057Y
. -
r1l4.5(85.7) (
83.
4)1
066Lト7
. 113
.6(
84.
6)

ι
(
64.
4)

8F … 1
/ 凶 50
08.
0) 山 附 〔 附

(
75.
0)

~I 十 7F 1
19.
1 1
35.
3 間~ 131.4
(
79.
8)
6F
10
( 8
.2)1
44.
1 1
41.8 11
( 5
.8)152.3
十1
マl
(
(1
88
3
18
33
1
6)

(
85.
8)
5F


〔削1587m 0
35.
8)1
75.
5ι→
1116.6

(
91.
7) /
1 (
96.
8)
4F
04
4
胡6 078.8)2
27.
2L - →
づ 134.4

7m
(
99.
5) /
1 (
109
.7)
3F
c
l拍 9
)1国 0
94.
8)2
60.
6ιーわ 1
05.
4


(
104
.1) /I(124.
1)
2F
(
279.
4)3
53.
9ム一一 n 94.1
1
17.7
) / I(16l
.5)
lF
1
60.
0 (
228
.9)4
55.
0

Y
2/X
l(C
2 柱(
A) X方向) Y3/
Xl(
C2)柱 (
B X方向)

f
川 (1

()内は,せん断力 (
t)
(1
内は,フェースモーメント (
tm)

図4
.25 柱応力図 (
. 5
)
設 計 例 2 -297-

RF
「 (
56.
0)
96〔
2144〕
2
3

(
5
9

6
.
6(

.
0)
2
14.
4)

12F
1
3.7~2
73.
6(2
30.
6) -43.7 2
73.
6(2
30.
1J

(
95.
5) (
95.
5)
11F
D
.7 ~ 173.4037.0J 6
0.7 1
73.
4(13
7.0
)

81
( .
0) L(810)

t
10F _
11 1
586(
. 1
l9.
2J 1
100L
. f
-
-t158.5(1l9
.1J

9F _
.
_-1
/ 1
92.
3047.2J
十寸
1480LL (
7
1(
8
29
1
71
2
02
0
62
1
)4
[
1〔
11
46
71
0〕
9
(
100
.3)

f
8F A 2
12.
5062.3J 1
5924
. --7212.1(161
.9J

~I 十L 7
17 J
.9ム ー
(っ(1966

1
18.
6)
2
12
70
80

1
ム+十寸 (
1
95
.
11
8
.6)
1
18.
8)
6F
(
164
.9J2
183L
. -
..
.f
--
J18
7.6 (
166
.5)2
200L-h1
. 85.
9

A (1矧 n .
% (
12.7
8 )

5F
(
206
.612
645ムー十-, 1
. 44.
9
[
203
.3J2
609ム
. /
/lい
ー ゥ1
十( 4
8.5
41
1 .0) /I (142.1)
4F
(
281
.7J352.2~ 1
43.
8 (
288
.6J3
59.
6

1
63.
6) /1 (
165
.8)

一一
3F一 (363.
4J4
45.
2 5
5.1 (
377
.5)460.4ムーーーイ7 3
9.9

2F(
548
.6)665.
4
(
19

-54.5
.7
4 )

(
576
.9J6
96.

2<'
j(19
7 I-85.3

(
275
.1) /' 1 (284.3)
1F
990
.0 (
568
.7J1
052
.0
(
522
.3

F
Y
2/X7
(C)柱 (
2
C X方向) Y3/
X7(
C叫柱(
X方向)

川 ()

()内は,せん断力 (
t)
()内は,フェースモーメント (
tmJ

図4
.2.
6 柱応力図 (
6
)
2
98一 付 録 l

4
.2.
4 壁応力の算出
4.2.2で、求めた全壁の負担せん断力 (LQw)を各壁に分配する.分配は,その壁にとりつくヒンジ
部の曲げ上限強度の総和比 (α) *に応じて行った.各壁の負担せん断力およびモーメントを下表

に示す.
応力図は,図 4
.2.
7""図4.2.9に示す.

X1/Y2-Y3 (1枚
〉 X4/Y2ーも (3枚) X7/Y2ー も (1枚)
:Qw
2
階 Qw TMw (
t'm
) Qw TMw (
t'm
) Qw BMw(t
'm)
(
t
)
(
t) TMw (
t) BMw (
t) BMw
520.9 67
4.3 5
20.9
1
2 5
08.
5 9
3.5 9
4.8 1
30.
7
-1 93.
8 -3 4
2.5 -6 3.6
791.
7 11
1l.2 66
1.5
1
1 8
67.
5 1
59.
4 1
6l.7 2
22.
9
-2 33.
7 -545.1 11
8.6
8
3 5.
2 133
4.7 4
82.9
1
0 1
642
.6 3
0l.9 3
06.
2 4
22.
0
221.
4 -2 6
2.9 9
94.3
441.9 111
3.8 -3 31.0
9 2
306
.8 4
24.
0 4
30.
1 5
92.
7
1041
.9 39
1.5 24
05.4
-3 58.
4 5
26.1 - 1 7
21.9
8 2
888
.3 5
30.
0 5
37.
7 7
41.
0
22
1 3.
5 135
5.7 43
15.3
- 1 530.
0 -4 38.1 -3 6
31.8
7 3
420
.2 6
28.
6 6
37.
7 8
78.
8
37
3 0
.0 26
69.9 6
707.5
-3 0
41.8 - 1 74
6.5 -6 0
19.3
6 3
900
.4 7
16.
8 7
27.
2 1
002
.2
55
5 0
.7 42
91.6 952
6.9
-4 8
6 2
.5 -3 3
68.2 -8 838.7
5 4
283
.8 7
87.
3 7
98.
7 1
100
.7
76
1 8
.0 61
63.5 126
91.0
-6 9
2 5
.9 -5 2
34.2 -11998.9
4 4
569
.3 8
39.
8 8
51.
9 1
174
.0
99
0 7
.0 82
58.4 161
66.7
-9 1
4 9
.5 -7 3
38.6 -15409.1
3 4
708
.6 8
65.
4 8
77.
9 1
209
.8
122
6 4
.7 104
98.9 197
64.4
-11502.2 -9 5
72.8 -19001.9
2 4
687
.6 8
61.
5 8
74.
0 1
204
.5
146
8 9.
9 128
06.5 234
58.4
-13934.8 -11853.0 -22703.3
l 4
145
.8 7
61.
9 7
72.
9 1
065
.2
165
2 5
.4 144
81.0 26
325.0

[注] *壁重心位置(ん/2) における心モーメントの総和とする.


2
:
1
¥イ=24619.7+24975.2X3+34419.3=133964.6 C
t.m
)
Xl/Y2ーも壁 :M =0.184
α=24619.7/2
X4/Y2-Y3壁 α=24975.2/2
:M=0.186
X7/Y2ーも壁 α=34419.3/2
:M=O.258
設 計 例 2 -299-

13
( 0
.7) (
0)
-
63.
6

(
22
2.
9) (
3.
6)
1
18
.6

(
42
2.
0) (
0)

-
331
(
59
2.7
)

山:17~
-
17 川
(
741
.0
)

〔川 気

1 4

(
87
8.
8)
6
707
.5

10
( 0
2.2
)
9
526
.9

11
( 0
0.7
)

12
( 1
95
.7) I1
2691
.0
-
119
98.
91
(
117
4.0
)
15
( 5
79
.7)
-
154
09.
11
12
( 0
9.8
)

(-7.8)
19
( 1
59.
5J I1
974.
6 4
-
1901
0 .9
12
( 0
4.5
)
(
227
35.7
) 2
348.
5 4
(
-22
064.
2 J -
227
03.
3 10
1( 6
5.2
)
2
632
5.3

¥ /¥ /
壁心モーメント 左右境界梁から
の軸力
( )内はせん断力
(J
内はフェイスモーメントを示す.

図4
.27 X7/Y2ーも壁応力
.
-300- 付 録 l

(9
3.
5) (
0) 1
1
-
193.
8

(
720
.0 15
) 1( 9.
4
)
1
1
-
233
.7

(
301
.9
) (
0)
2
21
.4

(
424
.0)
(
851.1)外山

(
530
.0)
(川

H

(
628
.6)
〔 川J 3
730
.0

(
716
.8) 7
.2
)
5
550
.7 (
394.
6 4
)/ 14
291
.6

(
787
.3)
7
618
.0
is804.1
804
.1
l1行1
1I6
犯7)
63.
5

(
948
7.) I9
1 9
(
8
0
3
7
9
.
.
0
8) メ 7
832
.5
│(8519)
1 18 28.
5 4
-91
49.
51
(
865
.4) (
877
.9)
(
100
60.
0) 1
049
8.9
11
( 8
32
-.
01
〕1
502
.2│
112
264
.7
-
957
2.8
(
861
.5
) (
874
.0)
14
( 1
73.
0) 1
468
9.9 (
122
82.
1
) 1
280
6.5
(
-13
477
.7) -
139
34.
81(
761
.9
) (
-11
389
.3)-
118
53.
0
761
.9 (
77
2.
9)
1
6525
.4 1
44
81
.0

図4
.2.
8 Xl/YZーも壁応力 図4
.2.
9 X4/Y2ーも壁応力
設 計 例 2 -301-

4
.3 設計用応力の割増し係数
4.3.1 動的増幅係数

(本文 4.4.3より〉

(
1) (
2
) (
2
) (
3
) (
3
)
方向 階 ゅ
。 Aω
z 戸
口 戸
山Z 戸chi ω
Phi α
>ci α
Jt

1
2 0.80 1
.0 1
.0 1
.53
1
1 0.70 1
.0 1
.0 1
.47
1
0 0.60 1
.0 1
.0 1
.40
9 0.50 1
.0 1
.0 1
.33
8 0.40 1
.0 1
.0 1
.27
7 0.30 1
.0 1
.0 1
.20
X 0.50)
6 0.20 1
.0 1
.0 1
.13
5 0.20 1
.0 1
.0 1
.13
4 0.20 1
.0 1
.0 1
.13
3 0.20 1
.0 1
.0 1
.13
2 0.20 1
.0 1
.0 1
.13
0.25 1
.0 1
.0 .1
1 7
1
2 0.80 0.40 0.60 0.10 1
.0 1
.13 1
.85
1
1 0.70 0.35 0.65 0.10 1
.0 1
.13 1
.69
1
0 0.60 0.35 0.65 0.10 1
.0 .1
1 1 1
.59
9 0.50 0.30 0.70 0.10 1
.0 .1
1 1 1
.45
8 0.40 0.30 0.70 0.10 1
.0 1
.08 1
.36
7 0.30 0.25 0.75 0.10 1
.0 1
.08 1
.25
Y 0.57
)
6 0.20 0.20 0.80 0.10 1
.0 1
.06 1
.16
5 0.20 0.20 0.80 0.10 1
.0 1
.06 1
.16
4 0.20 0.20 0.80 0.10 1
.0 1
.06 1
.16
3 0.20 0.20 0.80 0.10 1
.0 1
.06 1
.16
2 0.20 0.15 0.85 0.10 1
.0 1
.08 1
.15
0.25 0.15 0.85 0.10 1
.0 .1
1 1 1
.19

[
注](
1) 仮想仕事法による終局耐力より

X方向 ClOニ 0
.37
6 cbo=0.376/0.25=1
.50

Y方向 ClO二 0
.39
3 b0=0.393/0.25=1
c .57

(
2) 降伏機構設計時におけるフレームおよび壁のせん断力負担率を示す.

) 各層ごとに上下固定とした時の柱および壁の剛性和の比を示す.本例では戸山 ξ 0
(
3 .98, schi今 0.02と

なるが安全側に評価して表中の値を採用した

4.3.2 2方向入力割増し係数

(本文 4.4.4より〉
2方向安全係数 (ψ2) および動的増幅係数(前項〉の組合せを下表に示す.
、 部材
柱 酔
=士三
応力
曲げ・せん断│ ωci十 ψ ω 削

軸力 │ 士0.5N E' I 士0.5N/


[注] NE' 直交フレームからの軸力で上限強度時を使用
れ :0
.1とする.
-
302 付 録 1

4.3.3 各 階 割 増 し 係 数 一 覧 (ψ1)

X方向 Y方向

柱 陣
=
士コ 柱 酔
ニ玄エ

1
2 1
.63 1
.23 1
.85
1
1 1
.57 1
.23 1
.69
1
0 1
.50 1
.21 1
.59
9 1
.43 1
.21 1
.45
8 1
.37 1
.18 1
.36
7 1
.30 1
.18 1
.25
6 1
.23 1
.16 1
.16
5 1
.23 1
.16 1
.16
4 1
.23 1
.16 1
.16
3 1
.23 1
.16 1
.16
2 1
.23 1
.18 1
.15
1
.27 1
.21 1
.19

4
.4 ヒンジ部材の軸力制限
4.4.1 柱 の 検 討
(本文 5.5より)
(1階柱〉

(
1) (
1
) (
2
) (
2
) (
3)
│符号 断面 NL │方向
位置 2 -K2Agσy
(cm,cm)
KIAcσB
(
t)
N
SI NS4 判定
(t
) (
t) (
t) (
t)
2904.
0 特別
110X1 1
0 X -837.5 1
616
.4
X1/YI (Kt=%) ヒンジ
C1 44-D29 -847.4 3
93.7
(隅柱) 1452.
0
αg=282.5 Y 5
79.
8 1
350
.2 可
(KI=~)

10x1
1 10 X 2
23.
9 8
29.
6 可
X4/ Y1 145
2.0
Cs 16-D29 -308.1 5
35.
2
(外柱) (K1=始)
αg=102.7 Y 8
7.3 1
124
.0 可

10x1
1 10 X 5
53.
5 1
307
.0 可
X4/ Y2 1
452
.0
C6 16-D29 -308.1 8
72.
0
(壁付帯柱) (Kl=~)
αg=102.7 Y

110x1 1
0 特別
X -972.5 2
644
.3
X1
/Y2 44-D29 2
904.
0 ヒンジ
C2 -984.3 6
042f
. -
(壁付帯柱) 4-D38 (Kl=%)
Y
」 ag=328.1 」 」 」
[注]
(
1) σB=360kg/ cm2, (Jy=4 .0t/cm2とする.
(
2
) 4.1
.3(
2)1階柱脚の曲げ上限強度算出表中の Nsより最小値を NS 1,最大値を NS 4とした.
(
3
) -K2・Ag'(Jy<Nst, 4~五 KIA , σB の判定結果を示す.特別ヒンジとは V3 Ac σ B<N s4 三三 %Ac σB の範囲にあるも
のを示す.また, 6 .1.1( 注 4) に示すように 20cm間隔以下に主筋を拘束することが必要となる.
また, 1階 C2柱で、は引張軸力が大きいため芯鉄筋 ( 4
-D3
8)を追加したが,芯鉄筋による曲げ強度の
上昇は無視し以降の設計を続行している
設 計 例 2 -303-

4
.4.
2 壁の検討
〈本文 5
.5より〉
圧縮軸力の大きい X7/Y2-Y
3壁 (1階)について例示する.
降伏機構保証設計時軸力 (
Nw)
N
ω =NL+NE+NE'
NL 壁に作用する長期軸力

NE 境界梁からの軸力(上限強度時〉

N
E' 直交梁からの軸力〈上限強度時) XO.5

L
:QE2

NL=NLl十 NL2
NE= 1 LQE1-LQE21
NE'= (LQE1'十 LQE2') X O
.5

NL=604.2+604.2=1208.4 (
t)

NE= 1-477.2+460.21 = 1
7.0(
t)

NE'= 0225.9+1225.9) XO.5=1225.9 (


t)

Nw=1208.4+17.0+1225.9=2451
.3 (
t)
4
K
3(1)=1
.0,A
cor
e 0 (cm2)
= 010-10/ニ1.0X1
Aw}2)=113.2 (cm2), σ yu=3.0X1
即 .3=3.9 (t/cm2)
3 4
K
3・A
cor
e・σB-Aw ωyu=1
s・σ .0X1
.0X1
0X3
60X1
0--113.2X3
.9
=3158.5 (
t) >N
ω=2451
.3 (
t) 可(特別ヒンジ)

[注]
) 拘束筋を配置することを前提にん=1.0とする
(
1
なお K3ニ 2/3の時,軸力制限は 1958.5 (
t) となり,不可である.
(
2
) 壁筋 D13+D16一 @200夕、、ブ、ル (Pw=0.41%)
2
A Sニ 0.41X10-X40X (
山 800
-11
0) =113.2 (cm2)
-304一 付 録 l

4
.5 非ヒンジ部の曲げ設計
4
.5.
1 柱の設計
(
1
) 断面算定式
3
.5.
2に示す式による.
(
2
) 設計用軸力 (Ns)
NL 長期軸力

NE 上限強度時面内方向の軸力
Q,
NE' 上限強度時面外方向の軸力 (50%)
ρ

Ns 設計用軸力.下図に示す C
¥柱を例に, X方向設計時に Y方向(面外方向〉からの作用
軸力の組み合せを下記に示す.

③ CIB 《 (
C1D
y"

C2B C2D
X加 カ 方 与
C2A C2C C
A'
"'
-'CID,C2
A'
"'
-
'C2
Dは,
柱符号ではなく,軸力が
異なる状態を示すもので
Y1

C1C
ある.

合 ③

Y加力方向

X¥/Y¥柱 :N
s¥ NL-NE-NE' (C¥A)

X¥/Y4柱 :NS2=NL-NE+NE' (C¥B)


X7/Y¥柱:NS3=NL+NE-NE' (
C¥C
)
X7/Y4柱 :NS4 NL+NE+NE' (C¥O)

表中 Nsの欄は上段より ,N
s¥"
--'
Ns4を示す.
なお ,NE'の計算において壁からの軸力は次式により算出した.
圧縮 NE' (Mw/2l
山±境界梁からの付加軸力) XO.5
引張り NE' (-Mw/3lw土境界梁からの付加軸力) X0
.5
ここで Mω:壁モーメント
ん :壁スパン (8.0m)
(
3) 設計用モーメント (MD)
MDニ ML十 o
¥・ME
ML:長期モーメント
ME:上限強度時フェイスモーメント
ψ 動的割増し係数

(
4) 配筋本数の制限

(
i) かぶり・主筋間隔より,配筋可能な一段筋の本数を次のように決めた. (主筋心までの寸
設 計 例 2 -305-

法7.5cm, ピ ッ チ 8cm)
B= 8
50 N = (85-15) / 8+ 1= 9.8-
→ 9本

B= 9
00 N = (90-15) / 8十 1=1
0.4
一→1
0本
B= 9
50 N = (95-15) / 8 +1=11
.0一→1
0本
B=1000 Nニ(100-15)/8+1=11
.6一→1
1本
B=1050 105-15) / 8 +1=12.3-
N=( →12

B=1100 11
N=( 0-15) / 8 +1=12.9
一→1
2本
(
i
i) もっとも条件の厳しい設計用軸力 (NSl~Ns4) と設計モーメント (MD) の組合せに対し,

決定した配筋を表中に示す.


← l口[ 表中の主筋本数の表現を左図に示す.

(
出) 決定した配筋と設計用軸力 (NSl~Ns4) の組合せから求めた曲げ信頼強度を表中の Mu 欄

に記し ,Mu>MDであることを確認した.
(
5) ヒンジ位置の変更

外端柱などでヒンジが生ずる部分については,レイアウト可能な配筋で Muを算出しである.
この部分については,軸力の制限やせん断補強などあらたにヒンジ部としての検討を S5で
行っている.
-
306 付 録 l

理1
NL 方 NE NE' Ns ME MD Mu
符号 階 ψ
I
(
t) 向 (
t) (
t) (
t) (t'm) (t'm) (t'm)

C1 ~ 27.3 - 14.
5 - 12.3 73.1 11
9.2 1
20.
7
14.
5 1
6.7 73.1 11
9.2
X 1
.63 85
0
38.8 - 14.
5 53.8 1
56.3 2
54.8
8
14.
5 82.8 1
56.3 2
54.8 2
56.
5
1
2 2
9.5 1
10 1 01
28.9 - 13.
7 - 13.1 61.5 75.6 1
15.
0 8
19.
4 20.0 61.5 75.6 (
32)
Y 1
.23
28.9 - 13.
7 44.7 1
41.7 1
74.3
19.
4 77.8 1
41.7 17
4.3 2
40
- 6 7.4 - 30.
8 - 37.8 65.8 10
3.3 1
10.
6
32.
6 25.6 65.8 10
3.3
X 1
.57
78.9 30.
8 1
08.5 1
65.8 2
60.3


32.
6 1
71.9 1
65.8 2
60.3 2
61.6
1
1 6
0.4
- 6 1.
5 - 3 3.
7 - 34.8 82.9 1
02.0 10
8.1
39.
5 38.4 82.8 1
01.8
Y 1
.23
65
.1 - 3 3.
7 91.8 1
77.5 2
18.3
39.
5 1
65.0 1
77.4 2
18.2 2
40
-1 19.4 - 48.
9 - 77.2 49.8 74.7 1
15.
0
48.
9 20.6 50.0 75.0


X 1
.50
1252 - 4
. 8.
9 1
67.4 96.1 14
4.2
48.
9 265.2 96.0 14
4.0 2
35
1
0 9
1.1
- 9 7
.8 - 5 9
.7 - 66.4 61.9 74.9 1
10.
0
62
.6 55.9 61.6 74.5
Y 1
.21
97
.8 - 5 9
.7 1
29.2 1
27.6 15
4.4
62
.6 251.5 1
27.3 15
4.0
- 182
.8 - 6 8
.9 -129.9 63.4 9
0.7 9
7.0
6
7.1 6.1 63.8 9
1.2
X 1
.43


1886 - 6
. 8
.9 241.5 92.6 13
2.4
6
7.1 377.5 92.4 1
32.1
9 1
21.
8
-1 37
.8 - 9 1
.4 -107.4 71.1 86.0 9
6.0
94
.3 78.3 70.5 85.3
Y 1
.21
13
4.1 - 9 1
.4 164.5 1
03.8 12
5.6
9
4.3 350.2 1
03.3 12
5.0
-2 58
.6 - 89.0 -194.2 72.9 9
9.9 1
20.
0
8
7.2 - 18.0 73.3 10
0.4
X
一5 5 一

1
.37
25
8.5 - 89.0 322.9 1
01.3 13
8.8
-で}ノ
園口

回目円
-m

8
7.2 499.1 1
00.9 13
8.2
δ

8 1
53.
4
u-

-1 7
8.0 - 12
9.3 -153.9 72.3 85.3 1
12.
0
n、

,Fth

129
.3 104.7 71.0 83.8
Y 1
.18
174
.3 -1 2
9.3 198.4 1
12.0 13
2.2
12
9.3 457.0 1
10.9 13
0.9
-340.1 - 10
9.1 -263.7 88.4 11
4.9 1
48.
0
10
7.3 - 47.3 87.2 11
3.4
X 1
.30


3
40.0 - 10
9.1 416.4 1
12.4 14
6.1
10
7.3 632.8 1
11.8 14
5.3
7 1
85.
5
-218.2 -1 7
0.1 -202.8 65.9 7
7.8 1
58.
0
17
0.0 137.3 63.0 7
4.3
Y 1
.18
2
14.6 - 17
0.1 230.0 1
09.4 12
9.1
17
0.0 570.1 1
06.9 12
6.1
設計例 2 -307-

医1
NL 方 NE NE' Ns A
イE Mn Mu
符号 階 ψ
l
(
t) 向 (
t) (
t) (
t) (t'm) (t'm) (t'm)

CJ -422
.4 -1 2
9.4 -333.8 1
01.2 1
24.5 1
38.
4
127
.5 - 76.9 1
05.8 13
0.1
X 1
.23


422
.4 -1 29
.4 11
5 .0 1
38.6 1
70.5
12
7.5 7
67.9 41
1 .1 17
3.6
6 2
18.
0
-258
.7 -211.2 -251.9 59.9 69.5 1
50.
0
11
2 .2 17
0.5 58.6 6
8.0
Y 1
.16
25
5.0 -211.2 61
2 .8 99.1 11
5.0
11
2 .2 6
84.2 93.9 10
8.9
-51
5.2 -1 49
.6 -414.0 1
16.3 14
3.0 1
57.
0
14
9.8 -1 1
4.6 1
25.8 15
4.7
X 1
.23
51
5.2 - 14
9.6 6
16.4 1
76.6 2
17.2

=δnδ

﹃司

-寸

-唱
14
9.8 9
15.8 1
82.0 2
24.6

14-
SA-
5 2
50.
8

44-
EAF
-29
9.1 -2 5
7.6 -305.9 59.6 6
9.1 1
68.
0


25
7.6 2
09.3 82.0 9
5.1
Y 1
.16
29
5.5 -2 5
7.6 2
88.7 98.7 11
4.5
25
7.6 8
03.9 1
17.2 13
6.0
-61
9.5 - 169
.9 -505.3 1
22.4 15
0.6 1
65.
0
16
8.1 - 16
7.3 41
1 .8 174
.4
X 1
.23

-
自-、、,〆

61
9.5 -1 69
.9 7
33.7 2
26.9 2
79.1

-qL
-qLE

99

-噌

16
8.1 107
1.7 2
38.0 29
2.7

11よ ﹃

ti-
4 2
84.
1
-33
9.8 -309.8 -365.5 77.3 89.7 1
95.
0




/t¥
30
9.8 2
54.1 12
3.2 142
.9
Y 1
.16
33
6.2 -309.8 3
10.5 1
29.0 14
9.6


30
9.8 9
30.1 16
7.1 19
3.8
-7
36.8 -1 9
2.8 -610.5 12
5.2 15
4.0 1
65.
0
188
.9 -228.8 16
9.8 20
8.9 2
90.
0
X 1
.23
7
36.8 -1 9
2.8 8
63.1 3
13.4 38
5.5
188
.9 124
4.8 3
36.1 41
3.4
3 3
19.
1
-38
5.5 -3 6
8.4 -434.8 9
8.5 114
.3 2
10.
0
36
8.4 30
2.0 19
2.6 22
3.4
Y 1
.16
3
77.7 -368.4 3
28.4 2
00.9 23
3.4
36
8.4 106
5.2 - 3
3.9 - 3 9
.3
-8
55.4 -215.8 -716.0 13
5.7 166
.9 1
80.
0
20
9.8 -2 9
0.4 2
15.4 264
.9 3
35.
0
X 1
.23
8
55.4 -215.8 9
94.8 4
89.9 40
2.2
-141i-
-A

-円ノ白内ノ臼-

-噌

20
9.8 142
0.4 53
5.3 658
.4 9
60.
0
2 3
55.
2
Ei-
斗&-

31
-4 .5 - 4
27.7 -504.0 41
1 .7 167
.7 2
55.
0
42
7.7 35
1.4 33
0.5 390
.0 6
10.
0
Y 1
.18
4
19.5 -4 2
7.7 3
47.0 3
27.0 385
.9
4
27.7 120
2.4 48
4.0 571
.0 9
10.
0
-9
92.6 2
38.6 -837.5 9
7.4 123
.7 1
35.
0
2
30.1 -368.8 - 19
0.9 -2 42
.4
X 1
.27
9
92.6 -238.6 114
7.7 - 21
6 .2 -7 8
8.9 9
00.
0
1 1
2 1
" 2
30.1 161
6.4 - 7
00.1 -8 8
9.1 9
85.
0 1
1
4 1 41
柱 3
93.
7
-4
77.2 -496.3 -579.8 - 18
3.1 一 221
.6 2
30.
0 1
2

4
96.3 4
12.8 - 51
1.9 -6 19.
4 6
350 (
. 4
8)
¥d

Y 1
.21
4
60.2 -496.3 3
57.6 - 61
4 .0 -5 5
7.8
4
96.3 135
0.2 - 73
4.4 -8 88
.6 9
45.
0
一ーーー司 L 一
-
308 付 録 l


?
NL 方 NE N
E' Ns ME MD Mu
符号 階 ψ
l
(
t) 向 (
t) (
t) (
t) (t'm) (t'm) (t'm)

C2 -3
0.4 0
.0 1
5.3 77.3 12
6.0 1
47.
0

1
2 4
5.7 X
4
9.1 0
.0
1
9
4
9
4
5
.
.
.
3
8
8
1
.63
7
2
1
2
1
7
4
4
.
.
.
3
4
4
1
3
4
3
4
2
6
9
9
.
.
.
0
5
5
18
(
(
4
0
4
.
0


) 回
-8
2.2 0
.0 9
.4 69.1 10
8.5 2
20.
0
9
.4 69.1 10
8.5
1
1 .6 X
91 1
.57 4
(
42〉
14
1
1
00.
9 0
.0 19
2.5 2
30.6 3
62.0 (
370
.0) H
1 1

192
.5 2
30.1 3
61.3
- 1
45.
9 0
.0 -8 .2 58.5 87.8 9
0.0

0 1
1 377 X
.
1
58.
9 0
.0
-8
2
9
2
6
9
6
.
.
.
2
6
6
1
.50
5
1
1
8
3
7
3
7
.
.
.
9
6
0
8
2
0
2
0
8
6
5
.
.
.
4
4
5
2
10.
0 回
21
-2 .2 0.0 - 37.1 82.5 11
8.0 1
40.
0

9 1
841 X
.
2
28.
4 - 4
6
0
8
2
.
.
.
8
0
6
-3
3
4
7
6
3
7
5
.
.
.
1
9
3
1
.43
8
1
1
3
1
9
1
9
.
.
.
4
2
1
1
1
1
1
7
0
7
9
.
.
0
.
3
5
3
2
9
3
1
0
5
.
0
.
0


一 3
14.
6 - 4 3.2 - 12
5.6 85.7 11
7.4 1
35.
0
59.7 -22.7 84.6 115
.9
8 2
322 X
. 1
.37
3
21.
8 -8 5.0 4
69.0 14
7.2 2
01.7 3
65.
0
126.4 68
0.4 14
7.0 01
2 .4 4
25.
0
-4
18.
3 -7 3.
8 -210.8 10
8.0 14
0.4 1
50.
0

81
7 2 .3 X
4
25.
6
1
- 1
1
0
3
9
5
3
5
.
7
.
5
.
3
- 31
5
9
0
7
3
2
.3
.
.
4
2
1
.30
1
1
0
6
6
2
61
1
.
.
0
3
.9
1
2
1
2
3
7
1
1
0
.
.
.
8
0
5
4
3
6
0
5
0
.
0
.
0

- 5
23.
1 - 110.9 一302.9 10
8.2 13
3.1 1
45.
0

31
6 3 .1 X
5
30.
4
61
1
- 1
81
2
.4
91
.1
.6
-3

1
6
7
1
4
0
0
3
.
.
.
6
4
1
1
.23
1
1
1
1
5
6
4
6
6
.
.
.
8
9
5
1
2
2
4
2
0
2
0
4
.
.
.
4
8
8 5
9
510
.
5→ 6
6
0
0

-6
38.
4 - 153.
3 -409.8 11
9.8 147
.4 180
.0

5 3
819 X
.
6
45.
7 -2
2
5
3
7
25
6
.
9
.
.
0
1
1
-3

1
7
4
1
7
1
0
6
.
.
.
5
5
7
1
.23
1
2
0
2
0
3
5
3
6
.
.
.
8
3
6
1
2
2
6
5
0
5
4
7
.
.
.
0
1
1 5
9
600
.
0→ 6
6
0
0

-7
60.
2 - 199.6 -5 2
6.3 14
6.2 179
.8 265
.0
294.
5 -3 2.2 17
8.8 219
.9 15
4 4
335 X
. 1
.23 の引1
7
62.
1 -3 26.6 8
69.0 81
2 .7 346
.5 805
.0lH
1
15
(
5Z
2
484.9 168
0.5 2
88.6 35
5.0 8
80→ 9
30
- 9
03.
1 -2 50.
5 - 66
5.7 138
.9 170
.8 210
.0

3 4
879 X
.
9
05.
1 -4
3
6
0
5
9
5
.
3
.
4
.
8
1
7
- 4

1
9
9
9
8
9
8
7
.
.
.
4
9
7
1
.23
1
3
3
7
9
4
6
3
7
.
.
.
8
4
5
2
4
4
3
4
1
5
9
.
7
.
.
6
0
1 8
0
840
.
0→ 9
3
0
0

-1047.5 -301.3 -805.2 145
.3 178
.7 194
.8

2 5
436 X
.
1
049
.5 -4
4
3

7
0
7
6
9
4
.
.
.
5
9
7
- 6
1
2
1
2
9
7
1
3
7
.
.
.
0
4
6
1
.23
2
7
5
5
9
4
8
7
6
.
.
.
4
6
9
3
6
7
4
7
0
3
.
4
.
9
.
7
8
6
4
9
8
5
2
5
0
.
0
.
0
.
0
0
0

l -1224.0 -28 9.3 - 90
9.1 169
.7 215
.5 (
60本

"


6
042 X
.
1
225
.9 -4
4
1
6
6
8
2
.
8
1
.
7
.2
0Lー2
5
1
2
0
3
11
7
6
.1
.
1
.
1
9
1
.27
2
5
5
2
8
2
2
6
8
.
.
.
9
3
7
2
6
7
9
6
2
0
.
3
2
7
.
3
.
2 7
3
3
9
2
1
5
.
0
0→ 9
0
.
5
0
0 回
[ 注 階 柱 頭 は6
0-D
29必要であるが,ヒンジの発生を許容し, 4
4-D
29とした.ただし,柱脚と同様に芯鉄
筋4
-D3
8を配置する.
設 計 例 2 -309-

[注] 参考比較のために,本指針の主旨から精算式を用いて柱の断面設計を行った.その結果と,
略算式を用いた時の断面比較を下表に示す.

C1 C
2

略算式一一ー精算式 略算式一一+精算式

12
回 一回
(32) (28)
口→回
1
1
ロ一回
(28)
回 一一→, l2
(
H13剖1
21

10
口 一回 (
16)
回 →日 (
16)

9
口(
18)

ーーー
ヨー

(
16)
回 (22)
ーー-.
ロ (1
6)

8
口(22)

一一・
ヨー
口 口 →旧
(24)

7
ロ一回
(28)
回 一回
6

ロ一回
(30) (24)
回(28)

ロ (24)

5
回(34)

一ーヲ


(28)
回 一回
(
38) (28)

4
同 一回
(38) (34)
回 一回
(50) (40)

3
回 一回
(42) (38)
回 (50)
ーーー--
ロ (40)

2
回(48)
ー~

(44)
回 一回
(52) (48)


9
J
i
)
山(48)

一一・
ヲ'

(46)

ヒ ン ジ 部 材 (44)
ーーーーーさ~

ヒンジ部材 (44)

-310- 付 録 I

4
.5.
2 梁の設計
(
1) 設計用曲げモーメント

MD=ML土 ME
ME:上限強度時梁端モーメント(フェイス〉
(
2
) 断面算定
3
.5.
1に示す耐力式を使用する.なお,梁主筋強度は,信頼強度を用いる.
(
3) 配筋量の算出

断面 ML んI
E Mn a
t (
1) 配筋
位置 2
(
cm) t.m)
( t.m)
( t.m)
( (cm) (
n-D
32)
Y2/X2-X3 98
.6 11
1 .0 2
2.8 3
55x90 1
2.4
(
G9) -50.3 -37.9 1
2.8 2
X2/Y1-Y2 80
.7 12
3.8 2
7.1 4
55x90 4
3.1
(
G3) -69.3 -26.2 8.9 2
X2
/Y2-Y3 81
.5 11
5.3 2
4.2 4
55x90 3
3.8
(
G4) L 一一
-50.1 -16.3 5.5 2
[注] (
1) スラブ負担分を差しヲ│し、た必要主筋断面積(上端用)

4
.5.
3 壁の設計
(
1
) 設計用曲げモーメント (
MD)
MD=ψ
1・Mw
Mω:壁頭・脚のうちいずれか大きいほうのフェイスモーメント
ψ 壁の動的割増し係数

(
2
) 断面算定
3
.5.
3に示す条件に準ずる.ただし 1
"'-
'3階についてはヒンジ領域であるため,曲げ上限強
度が設計用曲げモーメント(この場合, 1=1
ψ .0) を上回ることを確認する.

(
3) 配筋量の算出

(
i) 各壁板の配筋を次のように仮定する.

Pw aw
t=180 DI0-@200ダ ブ ル (
0.4%
, .1cm)
51
2

2
00 DI0-@200ダ ブ ル .1cm)
(0.36%, 51
2

DI0+D13-@200ダ、ブル 2
(0.40%, 70.5cm)
2
50
3
00 D13-@200夕、、ブル 2
(0.42%, 88.2cm)
D13+D16-@200ダ、ブル 2
(0.47%,113.2cm)
3
50
4
00 D13+D16-@200ダ ブ ル (0.41%,1
13.2cm)
2

(
i
i) 3
.5.
3に示す壁曲げ強度式より,片側の付帯柱に必要な主筋断面積〈α
g) を算出する.
設 計 例 2 -311-

下表に,必要な主筋断面積 α
(g) を示す.当主筋断面積は,いずれも 4
.5.
1柱の設計で算出し

た数値量を満足している.

NL NE N
E' Ns α
叫 Mw Mn ag
符号 階
(
t) (
t) (
t) (
t)
2
(cm)
ゆl
(t'm) (t'm) (cm)
2
1
2 0
.0 - 3 0.4
1
1 3.6 - 8 2.2
1
0 275.4 0.0 -1 45.9 12
9.5 51.1 1.59 699
.4 111
2.1 0.6
9 368.2 -3 .7 -2 21.2 14
3.3 51.1 1.45 851
.1 123
4.1 1.5
8 464.4 -3 .7 -3 14.6 14
6.1 70.5 1.36 1975.
0 268
6.0 39.2
X1/Y2-Y3
7 562.6 -3 .6 -4 18.3 14
0.7 70.5 1.25 3447
.1 430
8.9 90.6
6 662.2 -3 .7 -5 23.1 13
5.4 88.2 1.16 5228
.1 606
4.6 1
39.5
(C
2)
5 763.8 -3 .6 -6 38.4 1
21.8 88.2 1.16 7263.7 842
5.9 2
15.0
4 867.0 -3 .6 -7 60.2 10
3.2 1
13.2 1.16 9487
.1 1
100
5.0 2
88.6
3 975.8 -7 .8 -9 03.1 6
4.9 1
13.2 0.0) 1
1832.
0 1
183
2.0 2
45.2
2 1
087.2 -12.0 -1047.5 2
7.7 1
13.2 0.0) 1
4173.
0 1
417
3.0 3
13.0
12
08.4 -17.0 -1224.0 -32.6 1
13.2 0.0) 1
3477.
7 1
3477
.7 2
96.1
1
2 238.4 -15.5 0.0 22
2.9
1
1 365.0 -15.5 0.0 3
49.5
1
0 492.4 -19.1 0.0 4
73.3
9 620.0 -15.4 0.0 60
4.6
8 751.6 -19.1 0.0 73
2.5
X4/Y2-Y3
7 885.0 -22.7 0.0 8
62.3
6 1
019.6 -26.4 0.0 99
3.2 88.2 1.16 3964.
4 4598.
7 13.
5
(
C6)
5 1
156.2 -30.0 0.0 112
6.2 88.2 1.16 5804
.1 6732
.8 36.
5
4 1
294.2 -33.8 0.0 126
0.4 1
13.2 1.16 7832
.5 9085
.7 83.
9
3 1
438.4 -33.8 0.0 140
4.6 1
13.2 0.0) 1
0060
.0 1
0060
.1 66.
9
2 1
585.4 -33.7 0.0 15
51.7 1
13.2 0.0) 1
2282
.1 1
2282
.1 1
07.
7
1
744.0 -33.7 0.0 171
0.3 1
13.2 0.0) 1
1389.
3 1
1389.
3 69.
6
1
2 91.4 0.0 49.1 14
0.5 51.1 1.85 462
.1 854
.9
1
1 183.2 3.6 10
0.9 28
7.7 51.1 1.69 561.
2 948.
4
1
0 275.4 0
.0 15
8.9 43
4.3 51.1 1.59 804.4 1
279.
0
9 368.2 -3 .7 2
28.4 59
2.9 51.1 1.45 2138.7 3101
.1 3.
6
8 464.4 -3 .7 3
21.8 78
2.5 70.5 1.36 3981
.9 5415.
4 45.
0
X7/Y2
-Y3
7 562.6 -3 .6 4
25.6 98
4.6 70.5 1.25 6312.
0 7890
.0 97.
1
6 662.2 -3 .7 5
30.4 1188
.9 88.2 1.16 9075.9 10
528.
0 1
47.3
(C2
)
5 763.8 -3 .6 6
45.7 1405
.9 88.2 1.16 12
195.7 14
147.
0 2
33.
3
4 867.0 -3 .6 7
62.1 162
5.5 1
13.2 1.16 15
579.
7 18
072.
5 3
19.
1
3 975.8 -7 .8 9
05.1 187
3.1 1
13.2 0.0) 1
9159.
5 1
9159.
5 2
47.
5
2 1
087.2 -12.0 104
9.5 212
4.7 11
3.2 0.0) 2
2735.7 2
2735.
7 3
11.
8
1
208.4 -17.0 122
5.9 241
7.3 11
3.2 0.0) 2
2064.
2 2
2064.
2 2
65.7
-312一 付 録 l

4
.6 せん断設計
4
.6.
1 柱の設計
(本文 6
.3より〉
s柱(ヒンジを有する部材) x
l階 C 方向について検討する.

(
1) せん断強度 (V
u)

L/D=2.8/1
.1=2.55,jt=95 (cm),Rp= 1/67とする.

ν =0.7-360/2000=0.52

ν二 0.0-15X1/67) xO
.52=0.40
t
a (=
n) ,
J2.552十 1
.0-2.55=0.19
ここで補強筋量を D16-5一@100 (P =0.905%) とする.

2
ωy=3.5 (t/cm)
σ (SD3
5の信頼強度〉
ω ・σW
P y=O.9
05X1
0-X3
.5x1
2
0=31
.68
3
1 よって
2
1
/2・ν ・σ8=0.5XO
.4x360=72 ん・ σ町 =31
.68 (kg/cm)
ヒンジ部材のヒンジ領域について検討する.

c
otゆ=2.0
、 Icotゆ=1.88
c
otゆニ 95.0/(
110x0
.19
) =4.311c
otゆ=1.2
5
I (s算定用 cotゆ

c
otゆ= ,
J(0.4x360/31
.68)-1
.0=1 8~ (トラス効果¥ J
.8
I¥算定用 cotゆ/
c
otゆ=2.0-50X1/67 =1.2
5J
2
s= 0.0+1
.88) X31
.68/ (0.40x360) =1.0
Vu= (110X95.0x31
.68x1
.25+0.19x (1-1
.0) x1102xO.4x360/2) XlQ-3
=413.8十 0=413.8 (
t)

(
2) 設計用せん断力 (
V)
ψ1・V=1.27X323.9=411
.4 (
t)

Vu>ψ).Vより可.
次表に各階柱のせん断耐力(非ヒンジ〉を示す. ( )内 Vuは,ヒンジ部材のヒンジ領域の値

を示す.せん断補強筋は D13 (SD3


0A) を 使 用 す る ( た だ し 1階は, D16 (SD3
5) によ
る.)
設 計 例 2 -313-

(Rp=1/67)

013-2-@100 013-3-@100 013-4-@100


BxD Fc
2 <016-3-@100> <016-4-@100> く016-5-@100>
(cm) (kg/cm)
PW(%) Vu(t) PW(%) Vu(t) PW(%) Vu(t)
85X85 0
04.2) 0
22.2) 0
40.3)
2
70 0
.29
9 0
.44
8 0
.59
8
02
--
--
--
11) 161
.1 197
.6 234
.4
90x90
2
70 0
.28
2 1
81.7 0
.42
3 2
20.
6 0
.56
4 2
59.
6
00
--
--
-
-9)
95X95
3
00 0
.26
7 2
13.
9 0
.40
1 2
55.
2 0
.53
5 2
96.
4
(8--
-7 )
100X100
3
00 0
.25
4 2
39.
7 0
.38
1 2
83.
0 0
.50
8 3
26.
3
(6--
-5 )
105X105
3
60 0
.24
2 2
91.2 0
.36
3 3
36.
6 0
.48
4 3
81.9
(4--
-3 )
110X110
3
60 0
.23
1 3
24.
4 0
.34
6 3
71.
6 0
.46
2 4
19.
1
(2)
110X110
3
60 <0.543> (
305
.6) <0.724> (
352
.1) く0
.90
5> (
413
.8)
(1)

各階でもっともせん断力の大きい柱について検討する.ただし 1階については,各柱ごと
に検討する.

X方向 Y方向

V I ψI.V
ψ Vu(l) 配筋 (
2
)
V l ψI.V
ψ Vu(l) 配筋 (
2)

1
2 7.8
1 .6
1 3 117.
0 0 22
.2) 013-3- 53.4.2
1 3 65.
7 0
04.2) 013-2-
1
1 12
2.6 .5
1 7 192.
5 1 97.6 013-3- 91.2.2
1 3 1
12.
2 161
.1 013-2-
1
0 14
6.1 .5
1 0 219.
2 2 20.6 013-3- 98.5.2
1 1 1
19.
2 1 .7
81 013-2-
9 16
9.4 .4
1 3 242.
4 2 59.6 013-4- 1
00.8.2
1 1 1
22.
0 181
.7 013-2-
8 18
9.1 .3
1 7 259
.1 2 96.4 013-4ー 1
06.6.1
1 8 1
25.
8 213
.9 013-2-
7 20
4.1 .3
1 0 265.
3 2 96.4 013-4- 1
09.5.1
1 8 1
29.
2 213
.9 013-2-
6 22
0.9 .2
1 3 271.
7 2 83.0 013-3- 1
10.6.1
1 6 1
28.
3 239
.7 013-3-
5 23
6.6 .2
1 3 291.
0 3 26.3 013-4- 1
13.5.1
1 6 1
31.
7 239
.7 013-2-
4 2
45.1 .2
1 3 301
.5 3 36.6 013-3- 1
17.8.1
1 6 1
36.
6 291
.2 013-2-
3 2
56.1 .2
1 3 315
.0 3 36.6 013-3- 1
28.2.1
1 6 1
48.
7 291
.2 013-2-
2 2
67.2 .2
1 3 328
.6 3 71.6 013-3- 1
41.5.1
1 8 1
67.
0 324
.4 013-2-
1C1 2
49.4 .2
1 7 316
.7 ( 352
.1) 016-4- 2
00.5.2
1 1 2
42.
6 (
259
.2) 016-2ー
1C2 2
84.3 .2
1 7 361
.1 ( 413.
8) 016-5- .2
1 1 (壁付)
1C3 2
70.9 .2
1 7 344
.0 ( 352
.1) 016-4- 1
60.
0 1
.21 1
93.6 (
259
.2) 016-2-
C4
1 3
05.4 .2
1 7 387
.9 ( 413.
8) 016-5- 1
83.
3 1
.21 2
21.8 (
259
.2) 016-2-
1C5 2
70.7 .2
1 7 343
.8 ( 352
.1) 016-4- 1
72.
2 1
.21 2
08.4 (
259
.2) 016-2-
1C6 3
23.9 .2
1 7 411.4μ413.8) 016-5- .2
1 1 (壁付)
[注] (
1) ( )内は,ヒンジ領域のせん断強度を示す
(
2)フープ筋の間隔は,すべて 1
0cmとする(一 @
lOO
)
-314 付 録 l

4
.6.
2 梁の設計
(本文 6
.3より)
2階 G9梁について検討する.
(
1
) せん断強度 (
Vu)
BxD=60X1
20 (cm) L=6.0-1
.1=4.9 (m)
L/D=4.9/1
.2=4.08,j
tニ 1
00 (cm),Rpニ 1/50とする.
ν0=0.7-360/2000=0.52
ν= (1-15X1/50) XO.52=0.364
t
an()二 -
J4.082+1-4.08=0.12
ここで補強筋量を U13-3-@150 (P =0.423%) とする. 卸

2
σ山 y=13.0 (t/cm) l
2
25σB=25X360=9.0 (t/cm) J よって σ仰 =9.0 (t/
2
cm)
P山 ・ σ y=0.
叩 42 0-2X6.
3X1 03=2
0X1 5.4l
2 ・ ν・ σB=0.5XO.364x360 =66.5J
2
1
/ よって Pw・σwy=25.4 (kg/cm)
ヒンジ部材のヒンジ領域について検討する.

c
ot<
p=2.0 1c
otゆ=1.5
6
c
otゆ=100/ (
120XO
.12
) =6.
941 ~ (戸算定用 c
otゆ)
ゅ =I
I~~.~~~
3
8
.
j.0
7
制 'r::;~~
x36~-11=1
.
.56 ~ I
Ic
otゆ=1.0
c
otゆ=2.0-50x 1/50=1
.0 (トラス効果算定用 c
ot引
2
(1十1.5
戸= { 6) X38.07
}/ (0.364X360) =1.0
3
Vu= (60X100X38.07X1
.0+0.12X (1-1
.0) x60x120X66.52) xl
O-
=2
28.
4+ 0=2
28.
4(t
)
(
2) 設計用せん断力 (V)

V=VL+VE=186.5 (
t)

VL:長期せん断力
VE:上限強度時せん断力
Vu>Vより可 (U13-3-@150)
次表に各階梁の検討結果を示す.

各階梁のヒンジ部せん断強度 (Vu) を示す.なお Vuの上段,中段,下段については,次の


ように示す.

上段 -x方向梁,スパン J 600cm (Rp=1/50)


中段 -y方向梁,スパン l=800cm (Rp= 1/50)


下段 -y方向梁,スパン f
ニ 900cm (
Rp=1/40)
設 計 例 2 -315-

U13-2-@200 U13-2-@150 U13-3-@200 U13-3-@150 U13-4-@150


BxD Fc
2 Pw Vu Pw Vu Pw Vu Pw Vu Pw Vu
(cm) (kg/cm)
(%) (
t) (%) (t
) (%) (t
) (%) (t
) (%) (
t)
66
.2 80
.7 89
.9 120
.1 1
6 0
.1
55X90
2
70 0.23
1 6 4
.5 0.30
8 8 0
.5 0.3
46 8 9
.9 0.4
62 0
. 6
16
(
R"-
'10
)
62
.4 80
.4 89
.9
7
3.0 88
.9 99
.9 133
.4 1
7 7
.9
55x90
3
00 0.23
1 7 .2 0
1 .30
8 8 8
.9 0.3
46 9 9
.9 0.4
62 0
. 6
16
(9)
6
9.0 88
.9 99
.9
7
5.4 9.2
1 100
.2 133
.3 1
7 7
.7
60x90
3
00 0.21
2 7 3.0 0.28
2 9 0
.5 0.3
18 1 00
.2 0.4
23 0
. 5
64
(
8"-
'6)
7
0.3 8
8.8 100
.2
88.8 107
.6 120
.2 159
.9 2
13.2
60x90
3
60 0.21
2 8 6.3 0.28
2 1 07
.3 0.3
18 1 20
.2 0.4
23 0
. 5
64
(5)
83.4 106
.6 120
.2
10
2.3 12
3.1 137
.4 182
.7 2
43.7
60x10
0
3
60 0.21
2 9 9.2 0.28
2 1 22
.7 0.3
18 1 37
.4 0.4
23 0
. 5
64
(
4"-'3
)
9
5.6 121
.8 137
.4
1
30.0 15
4.1 1
71.7 228
.4 3
04.6
6
0x120
3
60 0.21
2 125.6 0.28
2 1 53
.6 0.3
18 171.7 0.4
23 0
. 5
64
(2)
1
20.4 15
2.3 1
71.7

各方向で条件の厳しい梁について検討する.
X方向 .
..
..
..
..
G9 上段Vuより引用
Y方
向・・
・・・
・・.
.G4 ;中段 Vu より引用
Y方向……… Gs (境界梁)下段 Vuより引用

BxD G
g (Rp=1/50) G
4 (Rp=1/50) s (Rp=1
G /40)

(cm) V Vu 配筋 V Vu 配筋 V Vu 配筋
R 55x90 59.1 66.
2 U13-2-@2004
2.3 6
4.5 U13-2-@20063
.
.5 8
. 0.4 U13-2-@150
2 55x9
1 0 67.4 807 U13-2-@1505
. 7.3 6
4.5 U13-2-@20063.
5 80.4 U13-2-@150
1
1 55x90 85.2 1
20.
1 U13-3-@1505
7.5 6
4.5 U13-2-@20067.4 8
0.4 U13-2-@150
0 55x9
1 0 1
02.5 1
201 U13-3-@1506
. .7
1 6
4.5 U13-2-@2007.0 8
1 0.4 U13-2-@150
9 55x90 1
13.8 1
33.
4 U13-3-@1506
6.1 7.2 U13-2-@2007
1 4.9 8
8.9 U13-2-@150
8 60x90 1
19.0 1
333 U13-3-@1506
. 6.1 7
3.0 U13-2-@20074.9 8
8.8 U13-2-@150
7 60x90 1
35.8 1
777 U13-4-@1506
. 6.4 7
3.0 U13-2-@20075.
3 88.8 U13-2-@150
6 60x90 1
41.0 1
77.
7 U13-4-@1506
6.4 7
3.0 U13-2-@20075.
3 88.8 U13-2-@150
5 60x90 1
41.0 1
599 U13-3-@1506
. 6.8 8
6.3 U13-2-@20075.
6 83.4 U13-2-@200
4 6
0x1 0
0 1
47.6 1
827 U13-3-@1507
. 2.4 9
9.2 U13-2-@20074.
1 95.6 U13-2-@200
3 6
0x1 0
0 1
54.4 1
827 U13-3-@1507
. 2.8 9
9.2 U13-2-@20074.
5 95.6 U13-2-@200
2 6
0x1 2
0 1
86.5 2
28.
4 U13-3-@1507
8.412
5.6 U13-2-@20076.
1 12
0.4 U13-2-@200
〔注] V:設計せん断力(長期せん断力+上限強度で設計した時のせん断力〉
-316一 付 録 l

4
.6.
3 壁の設計
(本文 6
.4より〉
X7通り 2階壁(ヒンジ領域)
(
1) せん断強度 (
Vu)

Ru=1/75, ν0=0.7-360/2000=0.52,c
otゆ=1.0

Nw = 21
24.
7(t
) (
4.5
.3表中 Nsの値より〉

MwT=190
01.9 (
t'm
) (4.
2.4壁応力表より〉
3
Ace=1102一 (2124.7/2+19001 .1(cm2
.9/8.0) X10/360=2551 )
A
ceく t
w• Dc
=40x110=44
00 (cmろであるから,
L 1lwb=25
1lwa=L 51.1/40=63.8 (cm)
ω=690十 110+63.8=863.8(cm)
Ja=l

t
a (=
n) -
J(370/863.8)2+1-370/863.8=0.66
ν C
1.2-40X1/75) xO.52ニ 0.35
ここで, D13+D16-@200ダ ブ ル (
PSニ 0.41%) とする.
2 3
PS ・ σsy=0.41X10-X3.0X10=12.3 l
│ よって PS ・ σs
y=1
2.3
1
/2・ν ・σB=0.
5xO
.35x3
60 =6
3.0J
2
戸 (1+1.0) X12.3/ (0.35x360) =0.195
Vuニ C
40x8
63.
8x1
2.3x1
.0十 0.66X (1-0.195) x40X863.8x63.0J XlQ-
3
=425.0+1156.5=1581
.5 (
t)
(
2) 設計用せん断力 ψ
( l' V)
ψ
1・V=1
.15X1204.5=1385.2 (
t)

ψ 動的割増し係数 (
4.3
.3より〉
V 降伏機構保証設計時せん断力 (
4.2
.4より〉
Vu>ψ
l・V より可
次表に X7/Y2-Y3壁各階の検討結果を示す. 1階から 3階まではヒンジ領域, 4階から 1
2階
までは非ヒンジ領域とする.なお ,Ru=1/75とする.
設 計 例 2 -317-

σB
tw 配筋 V ψIV VUT VUA Vu 判定
階 (
ckm
g
z/
〉 ゆl
(cm) (Ps%) (
t) (
t) (
t) (
t) (
t) VD<VU

1
2 DI0-@200 1
30.
7 1
.85 2
41.
8 91
1 .2 7
29.
6 9
20.
8 OK
一 1
8 ダブル 2
70
1
1 (0.40%) 2
229 1
. .69 3
76.
7 91
1 .2 7
29.
6 9
20.
8 OK

1
0 DI0-@200 4
22.
0 1
.59 6
71.
0 1
92.
2 8
34.
3 1
026
.5 OK
2
0 ダブル 2
70
9 (0.36%) 5
92.
7 1
.45 8
59.
4 1
92.
2 8
34.
3 1
026
.5 OK

8 DI0+D13-@200 7
41.
0 1
.36 1
007
.8 2
68.
5 1
133
.0 1
401
.5 OK
2
5 ダブル 3
00
7 (0.40%) 8
78.
8 1
.25 1
098
.5 2
68.
5 1
121
.6 1
390
.1 OK

6 D13-@200 1
002
.2 1
.16 1
162
.6 3
40.
2 1
325
.8 1
660
.0 OK
3
0 ダブル 3
00
5 (0.42%) 1
100
.7 1
.16 1
276
.8 3
40.
2 1
305
.8 1
646
.0 OK

4 D13+D16-@200 1
174
.0 1
.16 1
3 .8 446.6 1
61 733
.4 2
180
.0 OK
一 3
5 ダブル 3
60
3 (0.47%) 1
209
.8 1
.16 1
403
.4 4
38.
1 1
013
.6 1
451
.7 OK

2 D13十 D16-@200 1
204
.5 1
.15 1
385
.2 4
25.
0 1
156
.5 1
581
.5 OK
4
0 ダブル 3
60
l (0.41%) 1
065
.2 1
.15 1
267
.6 4
04.
2 1
103
.1 1
507
.3 OK

4
.7 付着に対する設計
4.7.1 一端ヒンジ柱

(本文 6.5より〉

1階 C1柱 (X方向)について検討する.また,当該柱はヒンジ部材の軸力制限 (
4..1)の検討の
4

結果,特別ヒンジと判定され,主筋間隔 20cm以内ごとに副帯筋で拘束することになった部材でも

ある.したがって,柱のせん断設計 (
4..1)で必要とされる補強筋量 (D16-4-@100) をやや上
6
回る拘束筋 (D13-7-@100) *が配置されるものとして,以下の検討を行う.

(
1) 設計用付着応力度(一端ヒンジ部材)

τf =db.L
1σ/{4
: (L-d)}
3
{4x (280-102)} =36.6 (kg/cm)
2
ニ 2.9X9.0X10/

d
b 主 筋 径 の2
9)

Aσ:4.0+5.0ニ 9.0 (t/cm) 2

L 内法高さ

d 柱有効せい 110-8=1
02 (cm)

Tt / (Lゆ
=Vt ・jt
)
-318一 付 録 1

3 2
二 2
89.
3x1
0/ 008x9
0) =2
9.8 (kg/
cm)
2
.¥τ=1τ f, て t 1min=29.8 (kg/cm)
(
2
) 付着強度(本文 (
6.5
.2) より)
u= (
τb 1.2+5 ・Pw' ・b/db) r
;;
;
2
(
1 .0(kg/cm2)
.2+5XO.23x10- x110/2.9) 花 面 =31
τb
u>τより可 (D13-7-@100) となるが, (
3
)で解説式による詳細検討を例示することに
する.

[注]*柱主筋の中心間隔を 8cmとしているため, 1本おきごとに副帯筋で主筋を拘束すること

になる.なお,補強筋量がかなり多くなるためここで D13に変更した.
2
4一 D16(
7.96cm), 7一 D13 (8.89cm2)
(
3) 付着強度(解説式〉

τbu=τc
o十 τs
t
(
i) τc
o (コンクリート負担強度〉
τ (
0.4
bi+
0.5
) r
;;
;
(0.4x2.2+0.5)花 函 =26.2(kg/cm2)
ここで、

i =1b
b c i1minニ (
i,b
s 6.8,2
.2) min=2.2
b
ci = ( 2 n.dc-db) /db (コーナ一割裂)

b
s
i (b-Ldb) /Ldb (全割裂〉
dc コンクリート外縁から主筋中心までの寸法 8
.0 (cm)
d
b コーナ一部主筋径 (
D29
) 2
.9 (cm)
Ldb:主筋見付幅 02-D29) 3
4.8 (cm)
b 柱幅 1
10.
0 (cm)
(
i
i) τt
s (せん断補強筋負担強度)
上記(
i でb
)、 c
i>んで、あるから全割裂式を適用する.下図は l階 C
I柱の帯筋配置を示したも

のである.
x
方A

lli--v

.:コーナ一筋
①:副帯筋のかかる主筋本数 CNs=5本)
0: 11 のかからない " CNu=5本)
帯筋
Nr:引張側全主筋本数 CNr=12本

Nu~玉 NT/2 であるから, τ st は次式を使用する.

τ
5
(20 r-, /Nu,,
'
'
l
" Nsi
'
t = 百十 5x市 +15x耳 )'
I
P
w' .b・庁 B /"Zd
b

(20 c,
/5 5 i """,,, -2
ニ(五十 5x五十 15X五)
I
O-<xll0x花 百/2.9
xO.23xl
I 1r" ,,1"¥

=16.6 (kg/cm2)
設 計 例 2 -319-

2
(
i),(
i
i)より, τb
u=2
6.2十 16.6=42.8 (kg/cm)
(
4) 判定

τb
u>τ/=29.8 (kg/cmろより可.
4
.7.
2 非ヒンジ柱
柱のせん断設計 (
4.6
.1)で算出した帯筋量に基づき,付着に対して,厳しい条件と思われる 9階
柱 (
C6) の X方向について以下に示す.

(
1) 設計用付着応力度(非ヒンジ部材〉

て/ lσ/{4 ・ (L-D)}
=dbL
=2 03/ {4x (
.9x 8x1 260-8
2)} =3
2.6 (kg/cm2)
τt =V
t'/ (~ψ ・ jt)
3 2
=195.9X10/ (90x70) =31
.1(kg/cm)
2
τ=1τ/, τt 1min=31.1 (kg/cm)
(
2) 付着強度(解説式〉

o= (
τc 0.4・bi+0.5) Ja;
)花 7
0=22.0 (kg/cm) 2
(0.4x2.1
O十0
.5
せん断補強筋 D13-4-@100より ,NT=10,Ns=2,Nu
= 6,Nu>NT/2となるので, τt
s式
は次式を用いる.

τt
s =5 ・p〆
・ bJa;/db
=5xo
.28x10-2X90x花 70/2.9=7.1 (kg/cm2)
2 2
.
¥τb
uニ τc
o+τs
t=2
9.1 (kg/cm) く τ=31
.1(kg/
cm) 不可

ここで, τ>τ b
uとなるため,副帯筋を増し検討を行った結果を表に示す. う一定
/

-

m一
K﹁
FO-

補強筋
τ<T bu
D13-4-@lOO

D13-5-@lOO
[注] ( )内数値は ,Nu=NT/ 2であるから前章 (
3)(
i
i)式を使用した.

4
.7.
3 柱せん断補強筋の変更
4
.6.
1柱のせん断設計で算出された補強筋量に対し,各柱の付着強度の検討を行ったが,その結
果次の個所に変更が生じた.

9階 C6 (X方向) D13-4ー @100-


→ D13-5-@100
-320一 付 録 l

4.7.4 梁の設計
4.6.2梁のせん断設計で算出されたせん断補強筋量に対し,付着強度を確認する.付着強度は本

文式で算出するが,不足する梁についてはさらに解説式で検討する.

本文式 解説式 判定
方向 階 補強筋 T
f
0
.8T bu T co Ts
t 0
.8T bu て f<0.8T bu
R U13-2-@200 12.6 1
8.4 可
1
2 U13-2-@200 12.6 1
/ 可
1
1 U13-2-@200 12.7 1
/ 可
1
0 U13-2-@200 12.7 1
8.4 可
9 U13-2-@200 12.8 1
9.4 可
Y
8 U13-2-@200 12.
8 1
/ 可
7 U13-2-@200 12.9 1
/ 可
(G4)
6 U13-2-@200 12.9 19
.4 可
5 U13-2-@200 13.
1 21
.2 可
4 U13-2-@200 13.3 1
/ 可
3 U13-2-@200 13.4 1
/ 可
2 U13-2-@200 13.
8 21
.2 可
R U13-2-@200 18.5 18
.4 3
9.1 5
.4 4
4.5 (
可〕
ーーー---ーー-ーーーー・・ー --ーー.ーー,ーーー血ーー ー,・ーーー-.骨ーーーーーー

1
2 U13-2-@150 18.
5 19
.2 可
1
1 U13-3-@150 18.7 19
.2 可
1
0 U13-3-@150 18.7 19
.2 可
9 U13-3-@150 18.9 20
.3 可
X
8 U13-3-@150 18.9 1
/ 可
7 U13-4-@150 19
.1 1
/ 可
(G
g)
6 U13-4-@150 19.
1 2
0.3 可
5 U13-4-@150 19.
4 2
2.2 可
4 U13-4-@150 19.9 1
/ 可
3 U13-4-@150 20
.1 1
/ 可
2 U13-3-@150 21
.2 2
2.2 可

[注] G
g R,1
2階 上端筋 3-D32より ,b
i二 (55-3X3.2)/ (3X
3.2
) =4.7
2
τco二 (0.4X4.7+0.5) 花 有 =39.1 (kg/cm)
O
=(
¥23+5X~+15X
n . .
3. .
~.
旦3)
ì x0.231X10-2X5
~~.
5x花子百/3.2
2
=5.4 (kg/cm)

4
.8 柱梁接合部の設計
4.8.1 せん断強度の検討

(本文7.2より〉

十字形接合部 (X2/Y22階接合部 X方向〉


柱せい bc=Dc=1
10 (cm)
梁幅 bb=60 (cm)
bl=b2= (
bc-
bb) / 2=25.0 (cm)
bj=60+12.5+12.5=85.0 (cm)
設 計 例 2 -321-

Dj=1
10 (cm) (通し筋とするため柱せいに同じ〉
(
1) 接合部のせん断強度 (
Vju
)

Vju=0.3X360X85.0X110.0XlQ-3=1009.8 (
t)

(
2) 設計用せん断力 (
Vj)

梁の曲げ上限強度 Mbl=610.9 (
t'm
)
Mb2=448.0 ( t'm
)
(6.0. ~.~~, 6.0....~ ~\
Vc = 2
1¥一
4.一
9.X
.610.9+4
,一.一
9.
~ ~ ~
x4
.4
~
8.
.0J1/(3.4+3
.7)
~ ~~ ~

=365.2 (
t)

T =610.9/ (0.9xl
.12
) =606.1 (
t)

T' =448.0/ (0.9xl


.12
)ニ 4
44.
4(t
)

Vj =606.1+444.4-365.2=685.3 (
t)

Vju>Vj よって可.

(
3) 横補強筋

Pjh孟 0.003x685.3/1009.8=0.20 (%)とする。


4
.8.
2 通し配筋の検討
(本文 7
.3.
3より〉
D孟 (
J
:-
-)d
¥μ ・吋 σB /
b

2
σ 上限強度 (5.0t/cm)

σB コンクリート強度
d
b 通し鉄筋経 (
D32
)
μ :1
2.5を適用した.
本例における必要柱せい (
Dc) と設計断面 (
D) を下表に示す.

σB D Dc
階 z
(kg/cm) (cm) (cm)
1
1"-
'12 2
70 85 7
8
9"
-'10 2
70 90 7
8
7"-
'8 3
00 95 7
4
5"-
'6 3
00 1
00 7
4
3"-
'4 3
60 1
05 6
8
1"-
'2 3
60 1
10 6
8
D>Dcより,いずれも可

[注] *通し配筋による柱せいの検討は設計応力とは無関係であるから,部材断面を仮定する時に同時にチエツ

クしておくとよい.
3
22 付 録 l

95 ヒンジ変更部の検討

5
.1 ヒンジ変更位置
左から右へ X方向に加力し,その時直交加力方向を手前から上への状態とすると, C
2C,C
2D柱で、

は1
2階柱頭にヒンジが生じ, C2A柱で、は l階柱頭にヒンジが生ずる.

R
1
2
1
1

1
0

6
5

ム ム
L

(ヒンジ想定位置) ¥
CZc.C2
D CZA

C2B
X加力方向 CZD CZ
A- C2Dは柱符号てもなく
一~ 軸力が異なる状態を示す
CZ
A Czc ものである.

L
x A

直交加カ方向

5
.2 軸力に対する検討

位置 符号 断面 -K2Agσy K
1AcσB NL 方向 1
NS N
S2 判定

X7/Y2 85X85 6
50.
3
1
2C2 4
5.7 X 1
5.3 9
4.8 可
X7/Y3 18-D29 (
K1=Y
3)
11
0x1 1
0
X1/Y2 1
C2 44-D29 4
.4.
1に示す 1
C2柱脚に準ずる (特別ヒンジ) *
4-D38
[注] *
6.1
.1(
注 4) に示す主筋拘束の規定を適用する.
設 計 例 2 -323-

5
.3 せん断強度の検討
ヒンジが変更となることにより上限強度時の柱せん断力は減少するが,ここでは安全側に判断し

て上限強度時せん断力 (ψ1・V) を低減させずに用いた. (


4.2
.5設計用応力のまとめより〉
また,せん断強度は, 4
.6.
1に示すヒンジ部材のヒンジ領域の耐力 (
Vu) を引用した.

階 せん断補強筋

1
2 D13-2-@100
1
177 I1
. 495 I4
. 138 I
. D16-5-@10Q*
[注] * 4.
6.1に示すように柱頭にヒンジが発生しないときの設計せん断力が
大きいため, D16
ー5一@
100が必要.
-324- 付 録 l

96 部材リスト

6
.1 配筋量の決定
.1
6 .1 配 筋 規 定
(本文 9章より)
当指針における各規定を下表にまとめて示す.計算上必要な配筋量に対し,各規定を適用し配筋

ディテーノレを決定する.

主 筋 せん断補強筋(剖
部位 断面規定
主筋径 最大 P t 最小 P S ヒンジ部 非ヒンジ部
B孟 25cm 019以上 .2.5%以下 0.2%以上 .20cm以下 .30cm以下
かつ (スラプ筋合む) .8ゆかっ .10ゆかっ

ヒンジ部 .rcミ0.5 ~D 以下 ~D 以下
B孟 0.25
D
D孟 40cm 019以上 .0.2%以上 15cm以下 20cm以下
かつ -壁ヒンジ部 かつ かつ

ヒンジ部 の付帯柱 6ゆ以下臼) 8ゆ以下
D
I/D
2孟 3 (
1) 0.3%以上
孟 15cm
t .010以上 .0.25%以上
かつ -縦横等量 -縦横筋の

t~ -ヒンジ部は ピッチ
h
o/2
0(2
l ダブ、ル配筋 30cm以下
0.2%以上 20cm以下

メL
かつ
部 8ゆ以下
[注]
) 柱せいの大きいほうを D
(
1 lと表現した.
(
2
) んは壁の内法高さを示す.
(
3
) せん断補強筋径 13mm以上を使用した場合の規定値を示す.なお,表中のゆは主筋径を示す.
) 柱・付帯柱で特別ヒンジとなるものについては主筋間隔 20cm以内ごとに主筋を拘束する。

設計例 2 -325一

6
.1.2 柱補強筋量のまとめ

各柱の必要補強筋本数 CD13-m -@100または D16-m-@lOQ) を示す.


C
l C2 C3 C4 C5 C6

X IY X Y X Y X Y X Y X Y

1
2 3 2 3 2 3 2 3 2 3 2 3 2
1
1 " "
3
" " 3
" 3 3 3 1
/ 3
1
0 3
" " " 3
" " 3 3 4 1
/ 3
9 4
" " " 4
" " " 4 4 1
/ 5
8
" " " " " " " " " 4
"
1
/

7
" " " " " " " " " " " "
6
" " " " 4 " " " " " "
" " 4
5 4
" 4
" " " 4 " 4 "
4 3
" 4 2 3
" 3
" 3
" 3 2
7
3
2
3
3
"
2 7
7
7
3
3
"
2
3
3
"
2
3
3
"
2
3
3
3
3
7 7 7 7 (4) (2) L(52 (2) (4) (2) (5) (3)
[注] ( )内は D16-m-@100を示す.

上表は,せん断補強筋 (
4.6
.1),付着より決まる補強筋 (
4.7
.3),ヒンジ変更部せん断耐力の検討 (
5.3
)お

よび配筋規定 (
6.1.1)のすべてを満足させるとともに,上下階の本数バランスを考慮し多少修正した結果をま

とめたものである.以下に本数を決定した要因をまとめた.

(
i) l
Cl"…………*柱特別ヒンジのため X.y
' 方向とも主筋を拘束.

(
i
i) 1~3C2…………*壁特別ヒンジのため付帯柱の X ・ Y 方向主筋を拘束.なお,本例では壁のヒンジ領域を

1~3 階( 3層〉としている.

(
i
i
i) S
C6…
…..
..・ ・-付着による.
H

吟 2~3C6 ・ H ・ H ・..…壁ヒンジ領域における付帯柱の最小補強筋比 (0.3%) .


i
(

(
v) 4
C2…………・・・上下階パランスよりD13-3-@100を D13-4-@100とした.

[注] *ICl柱の横補強筋の算定は,下図に示す過程による.なお, 1~3C2 についても同様である.

せん断設計 付着の検討 軸力制限(構造規定)

'U 暗 U 巳J
' J

E
p c
r

p
CCHH



:
5
[
E
口 口 白, n

1
100 2
00以内
ト寸
44-
D 29 44-
D2 9 44-
D29
Dl6-3x2-@100 Dl6-
3x2 -@100 Dl3
-7x7-@100
(Dl3
- 4x2-@100) (Dl3-4x2-@1
00)
(柱特別ヒン川め'主叩
ごとに'主筋を拘束する /

図6.1.1 横補強筋の決定 (IC1柱)


-326一 付 録 l

6
.2 基準階伏図

LC1 G6 LC3 G7 Cs G7 C
s G7 C
s G7 C3G6 C1

Bl Bl Bl Bl Bl Bl

o'l
。 B1 0 Bl 0 Bl 0 Bl s
c Bl
o


Bl

Cz G8 C4 Gg C
6 Gg l
L
C6 Gg :
l
C6 Gg U

.C4Gs !
ICz

Bl Bl Bl Bl Bl Bl
C
〈D



D
。ぎ Bl c
5 Bl 0 医Bl c
3 ま Bl c
3 ぎ Bl c
5 Bl C
.
E υ
正コ

C
z G8 4 Gg
C C6 Gg C6 Gg C
6 G9 C4 G8 C
z

Bl Bl Bl Bl Bl Bl
己D
C
〈D
D 。 Bl 0 Bl
。 Bl 0 Bl 0 Bl 0 Bl 0!
1

C
l G6 C3 G7 CsG7 CsG7 Cs G7 C3 G6 C1

Y

し ト-


6000


-
.
11


"

"

6
0
00
--
-
--
--

6
.3 壁リスト

(
SD3
0A)
壁厚
階 配筋(縦横とも)
(mm)
1
2,11 1
80 D10ー @200ダブ、ノレ
1
0, 9 2
00 D10-@200ダ ブ ル
8, 7 2
50 D10十 D13-@200ダ、ブル
6, 5 3
00 D13-@200夕、、プル
4, 3 3
50 D13+D16-@200ダ ブ ル
2, 1 4
00 D13+D16-@200ダ、ブ、ノレ


符号 Cl C2 C3 C4 C5 C6

h

日H 日1 日1 日

常亡 N?
1
2



E

口i 斗
比~
同 u1 日
l イ
w 8
50

下町 32-D29 18-D29 10-D29 10-D29 10-D29 10-D29


,'・

1 )
今Ij
)j D13-3x2ー @100 D13-3x2ー @100 D13-3X2一 @100 D13-3X2ー @100 D13-3X2ー @100 D13-3x2-@100

12



開H

〕ι
l
1 日1 山1 日
υ
」旦
l 斗

日1 日1
8
50 8
50

主筋 32-D29 18-D29 20-D29 10-D29 20-D29 10-D29



背 筋 D13-3x2-@100 D13-3x2ー @100 D13-3x2ー @100 D13-3
.X2ー @100 D13-3x2ー @100 D13-3X2ー @100

1
1
日 1 日イ 日 1 日1 日1 日1
同ι w
F

L~ 8
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J D13-3X2-@100 D13-3X2-@100 D13-3X2ー @100 D13-3X2-@100 D13-3X2-@100 D13-3X2ー @100

日i 山1 日1 日1 日1 日i

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j D13-3x2-0
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0 D13-3X2ー @100 D13-3X2-@100 D13-3x2-<
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18-D29 18-D29 32-D29 38-D29 32-D29 40-D29



主 扇

D13-4X2-(
Q10
0 D13-4X2ー @100 D13-4X2ー @100 D13-4x2一也 1
00 D13-4X2-@100 D13-5x2ー @100


8

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50
イ 日l 日1
口1 日1 日1日 9
50 9
50 9
50 9
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50

主稿 22-D29 20-D29 40-D29 34-D29 40-D29 30-D29


帯筋 D13-4X2-@100 D13-4x2-@100 D13-4X2ー @100 D13-4X2ー @100 D13-4X2ー @100 D13-4X2-@100


7
目1 口! 日1日j 巴J 日}
9
50 9
50 9
50 9
50 9
50 9
50

28-D29 26-D29 32-D29 28-D29 36-D29 26-D29


言語 D13-4X2-@100 D13-4X2-@100 D13-4x2ー @100 D13-4X2ー @100 D13-4X2ー @100 D13-4X2-@100

階 日T 日1日T 日1日1日1
1
000 1
000 1
000
28-D29
1
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26-D29
1
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32-D29
1
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22-D29
30-D29 28-D29

王 百

D13-4X2ー @100 D13-4X2ー @100 D13-4X2-@100 D13-4X2ー @100 D13-4X2-@100 D13-4x2ー @100

Y
5
階 口? 1
000
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日i日i日! 日?
1
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王 筋


人一 34-D29 38-D29 28-D29 26-D29 30-D29 22-D29
D13-4X2-@100 D13-4X2-@100 D13-4X2ー @100 D13-4X2-@100 D13-4X2ー @100 D13-4X2-@100
X
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ー Cl C2 C3 C4 Cs C6

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4

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38-D29
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1
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30-D29 22-D29
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2
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T D13-3x2ー @100 D13-7x7ー @100 D13-3x2-@100 D13-3X2ー @100 D13-3X2-@100 D13-3X3-@100

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38-D29 22-D29

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D13-7X7ー @100 D13-7x7-@100 D16-3x2ー @100 D16-3x2ー @100 D16-5x3-@100


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0ー → む

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100 D16-5x2-(g1
00 D16-4X2ー(g1
00 D16-5X3一 向 1
00
X
∞・印
符号 G3 G4 G5 Gs G9 ζAJ

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位置 外端i 中央 内端 両端 中央 外端 中央 内端 外 ~'Mj 両端; Cコ
中央 内端 中央



日1日目 日
日[J 1日 日1



日 j日日 日

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i
叫J 出叫 同
旦」 同叫 国ι
l
上端筋 3-D32 2-D32 4-D32 4-D32 2-D32 3-D32 3-D32 5-D32 3-D32 2-D32 3-D32 3-D32 2~D32
下端筋 2-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 2-D32 3-D32 2-D32 2-D32 3-D32
肋筋 U13-2ー @200 U13-2ー @200 U13-2-@150 U13-2ー @200 U13-2ー @200
腹筋 2x2一 D10 2X2-D10 2X2一 D1
0 2X2-D10 2x2-D10

1
2


同叫
日l日
日1日 日日1日日 日1日 日1 同叫 同叫 同叫 同叫
上端筋 3-D32 2-D32 3-D32 3-D32 2-D32 4-D32 3-D32 5-D32 3-D32 2-D32 3-D32 3-D32 2-D32
下端筋 2-D32 3-D32 2-D32 2-D32 3-D32 3-D32 3-D32 4-D32 2-D32 3-D32 2-D32 3-D32 3-D32
肋筋 U13-2-@200 U13-2-@200 U13-2ー @1
50 U13-2ニ
ー@ 200 U13-2ー @200
腹筋 2x2一 D10 2X2一 D10 2x2-D10 2x2-D10 2X2-D10

1
1
F
皆 日
日目l日
同リ
日i日

U
日7日日 日1日 日1 同
旦」 同 同じ 同U
上端筋 3-D32 2-D32 3-D32 3-D32 2-D32 4-D32 3-D32 5-D32 3-D32 2-D32 4-D32 5-D32 3-D32
下端筋 2-D32 3-D32 2-D32 2-D32 3-D32 4-D32 3-D32 4-D32 3-D32 3-D32 3-D32 4-D32 3-D32
肋筋 U13-2ー @200 U13-2ー @200 U13-2ー @150 U13-2-@150 U13-2-@150
腹筋 2-2-DIO 2x2-D10 2x2-D10 2x2-D10 2x2一 DIO

1
0

階 日



日1日

日1日
日日1目目 日1日目1 山叫 同叫 民叫
上端筋 3-D32 2-D32 3-D32 3-D32 2-D32 5-D32 3-D32 5-D32 4-D32 3-D32 5-D32 6-D32 4-D32
下端筋 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 4-D32 3-D32 5-D32 4-D32 3-D32 3-D32 6-D32 4-D32
肋筋 U13-2-@200 U13-2-@200 U13-2-@150 U13-3-@150 U13-3-@150
腹筋 2x2一 DI0 2x2-DI0 2X2-DI0 2X2-DI0 2x2-D10
符号 G3 G4 Gs G8 G9
位置 外端 中央 内端 両端 中央 外端 中央 内端 外立1
M 中央 内端 両端 中央


9
日日日i日

E
1日
日目礼 目 日 日1目 目1比」
旦 μ叫 旦J
比 国
立」
上端筋 4-D32 2-D32 4-D32 4-D32 2-D32 5-D32 3-D32 6-D32 6-D32 3-D32 6-D32 7-D32 4-D32
下端筋 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 5-D32 3-D32 5-D32 6-D32 3-D32 6-D32 7-D32 4-D32
肋筋 U13-2ー c
g20
0 U13-2ー @200 U13-2ー @150 U13-3ー @150 U13-3ー @150
腹筋 2x2-D10 2x2-DIO 2x2一 D10 2x2-D10 2x2-D10

階 目1日
日日目 日 υ
E
日日j日 回 回1回 日1は
旦」 」
立 μ旦
」 μ皇


上端筋 4-D32 2-'D32 4-D32 4-D32 2-D32 5-D32 3-D32 6-D32 7-D32 4-D32 7-D32 8-D32 4-D32
下端筋 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 5-D32 3-D32 5-D32 7-D32 4-D32 7-D32 7-D32 4-D32
肋筋 U13-2ー @200 U13-2ー @200 U13-2ー @1
50 U13-3ー @150 U13-3ー @150
腹筋 2X2-D10 2x2-D10 2x2-D10 2x2-D10 2X2-D10

i日

日日!日日
同U
1


日日
目 1国 目 回1国 日1 凶叫 凶Qj 比
旦」
上端筋 4-D32 2-D32 4-D32 4-D32 2-D32 5-D32 3-D32 6-D32 7-D32 4-D32 7-D32 9-D32 4-D32
下端筋 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 5-D32 3-D32 5-D32 7-D32 4-D32 7-D32 g-D32 4-D32
肋筋 U13-2ー @200 U13-2ー @200 U13-2ー @150 U13-4ー @150 U13-3ー @150 U13-4-@150 U13-4ー c
g15
0 U13-3ー c
g15
0
腹筋 2x2-D10 2x2-D10 2X2
--'D10 2x2-D10 2X2-D10

口日目j日日!日 口
日 1国 日 同1国 目1

部 川 十 市 当- N
6


凶叫 υ 凶旦j 処j 凶
QQj は
旦」
4-D32 2-D32 4-D32 4-D32 2-D32 5-D32 3-D32 6-D32 8-D32 4-D32 8-D32 10-D32 5-D32
上下過端
筋直 4-D32 5-D32
3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 5-D32 3-D32 5-D32 8-D32 8-D32 9-D32 む

uコ
U13-2ー @200 U13-2一 @150 U13-4一 @150 U13-3ー @150 U13-4-@150 U13-4ー @150 U13-3-@150

ーー品
肋筒 U13-2ー @200
腹筋 2X2-DI0 2x2一 D10 2X2一 D10 2X2一 D10 2x2-DI0
符号 G3 G4 G5 G8 Gg

CA
f
立置 外立l
j
l
i 中央 内端 両端 中央 外端 中央 内端 外端 中央 内端 両端 中央 w
hコ

日日日i日
日1日日日!日 目 日1日 目i


5
階 長

凶叫 凶
旦」 μQ
Qj 凶~
上端筋 4-D32 2-D32 4-D3 2 4-D32 2-D32 5-D32 3-D32 6-D32 8-D32 4-D32 9-D32 10-D32 5-D32
下端筋 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 5-D32 3-D32 5-D32 8-D32 4-D32 8-D32 10-D32 5-D32
肋筋 U13-2ー @200 U13-2-@200 U13-2-@200 U13-3-@150 U13-3ー(!1'1
50
腹筋 2x2-DI0 2X2-DI0 2x2-DI0 2X2-DI0 2x2一 D10

階 目1
日日日?日 日
日日l日目日1日目1 凶~ は旦J は旦」
上端筋 4-D32 2~D32 4-D32 4-D32 2-D32 5-D32 3-D32 5-D32 9-D32 5-D32 9-D32 9-D32 5-D32
下端筋 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 4-D32 3-D32 4-D32 9-D32 5-D32 9-D32 9-D32 5-D32
肋筋 U13-2ー @200 U13-2-@200 U13-2-@200 U13-3-@150 U13-3-@150
腹筋 2x2一 D1 0 2x2-D10 2X2-D10 2X2-DI0 2x2一 D10

階 日
日日1

日旦」
日1
日日日1
日山 回1日目1 山ι」
と端筋 4-D32 2-D32 4-D32 4-D32 2-D32 5-D32 3-D32 5-D32 9-D32 5-D32 9-D32 9-D32 5-D32
下端筋 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 4-D32 3-D32 4-D32 9-D32 5-D32 9-D32 9-D32 5-D32
肋筋 U13-2ー @200 U13-2ー @200 U13-~-' @200 U13-3-@150 U13-3ー @150
腹筋 2x2一 D10 2x2-D10 2X2-D10 2x2-D10 2x2一 D10

h
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2

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出筋



旦旦」
目日
日j日 日 1日目j
目j目目目
3-D32 3-D32 3-D32
はQQj
3-D32 3-D32
は旦」
4-D32 3-D32 4-D32
比旦」
9-D32 5-D32 9-D32
はQQj
9-D32 5-D32
下品l
i
lJ
}) 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 3-D32 9-D32 5-D32 9-D32 9-D32 5-D32
!的筋 Ul3-2ー@、 2
00 U13-2-@200 U13-2-(g2
00 U13-3ー(g2
00 U13-3ω150
!民間 3x2一 D10 3x2-D10 3X2一 DI0 3x2-Dl O 3x2-D10
付 録 2
qu
qu
qu
計算例

断面設計に用いる終局強度の計算は,断面力の釣合いとひずみの適合条件を考慮、した塑性曲
げ理論に基づいて行うことを原則とする.ここでは, 5章に示す方法を用いた計算例を, T形
梁および柱について示す.

図 lの T形梁についてスラブが引張側となる場合の曲げ信頼強度を計算する.

│日1>---
60

D25

(単位:cm)

ε
c

図 1 計算例(梁)

1)手順
最初に断面のひずみ分布を適当に仮定して断面力を算出し,断面力の釣合条件から中立軸位置を

決定する.次に決定された中立軸を基にして,鉄筋に対して仮定したひずみと断面力との聞の適否
を検定する.仮定に矛盾があれば断面力を修正して中立軸位置を計算しなおす.仮定に矛盾がなけ

れば,断面力を用いて抵抗モーメント(曲げ終局強度〉を計算する.

2) 使用材料
2 3
梁主筋 :SD3
5 (
σ y=3.5t/cm, εy=1
.67X10-)
2 3
スラブ筋 :SD3
0 (
σ y=3.0t/cm, εy=1
.43X10-)
2
コンクリート : σ Bニ 300kg/cm,
長 1ニ 0.85-0.05(300-280)/70=0.836,
企2=kl/2=0.418,わ =0.85
3) 断面内のひずみ

圧縮縁のひずみ :
ε c=0.0
03,
圧縮鉄筋のひずみ :ε s
c- εc(X
n-dc)/Xn 0
.00
3 (Xn-5.0)/Xn

εt
引張鉄筋のひずみ : s- εc(d-Xn)/Xn=O.003(65-Xn
)/Xn
-334 付 録 2

スラプ筋のひずみ eω=ε c(d


s-Xn)/Xn=0.0
03(
62.
5-Xn)/Xn
4
) 中立軸位置の決定
引張側の鉄筋は降伏しているが,圧縮鉄筋は弾性範囲にあるものと仮定する.
鉄筋およびコンクリートの断面力(単位:k
g)は

3
コンクリート圧縮合力:Cc=kl・k
3 Xn=0.836x0
'σB'b. .85x3
00x40Xn=8.527X1
0Xn
6
圧縮鉄筋の合力 :Csc=Asc'E c=20.28x2
s・εs .1x1
0X0
.00
3 (X
n-5.0)/Xn
3
=127.764X10 (X
n-5.0)/X
n
3
引張鉄筋の合力 :Tst=As・σyニ 2
t 0.2
8x3500=70.98X1
0
3
スラブ筋の合力 :Ts
t=A
s sst・σs 8x3
y=5.6 000ニ 1
7.0
4X1
0
断面力の釣合い (Cc+Cs
c-Tt
s-T岬 =0) より,
8.527X
n十 1
27.
76 n-5.0)/Xn一70.98-17.04=0
4 (X
上式を解いて ,Xn=6.6
33 (cm) となる.
仮定した鉄筋のひずみと応力度との聞の関係を検定する.

εst=0.003(65-6.633)/6.633=0.0264 >e y よって降伏〉


ε =0.003(62.5-6.633)/6.633=0.0253 >ε y
岬 よって降伏〉

εs
c=0.0
03(6.633-5.0)/6.633=0.00074 く り (よって弾性〉
よって,仮定したひずみと断面力との間には矛盾はないので ,Xn=6.633cmとする.
5) 抵抗モーメントの計算

断面力の中立軸に関するモーメントとして計算する.

Mu=T
s (d-X n )
t 十~(~-~)+~(~-~)+~(~-~.~

={
70.9
8(65-6.633)+1
7.0
4(6
2.5-6.6
33)+1
27.
764(6.633-5.0)
3 5
十8
.58x(6.633-0.418x6
6 .63
3)}X1
0 =53.37X1
0 (
kg・cm)=53.37tm
比較のために略算式 Mu=0.9ん・ σy'dによって計算すると,
Mu=0.9 (A
ts・ σy.d+A
sst・ σs
y.ds
)
=0.9 (
20.
28x3
.5xO
.65+5.68x3
.OXO
.62
5)=51
.11
tm
となり,この場合,略算値は精算値より約 4%小さい.
qu
nu
h
戸 u
︿
計算例 2

図 lの正方形断面柱の中心に圧縮軸力 N=288tが作用している場合の曲げ上限強度を計算する.

es
t1

(単位 :cm)

図 1 計算例(柱)

1)使用材料
2 3
鉄筋 :SD3
5(σ y =1
.25x35
00=43
7 8x1
5kg/cm, εy =2.0 0-)
2
σ B =300kg/
コンクリート : 長 1=0.85-0.05(300-280)/70ニ 0
cm, .83
6,
2=0.84/2=0.418,わ =0.85
k
2) 断面内のひずみ

圧縮縁のひずみ 8c=0.0
03
圧縮鉄筋のひずみ ε
:sc
l=0.003(X
n-6.5)/Xn
中段筋のひずみ :εω =0.003(X
n一22)/X
η

ε dニ 0
.00
3(38-Xn)/X
n
引張鉄筋のひずみ :
εst
l=0.003(53.5-Xn)/X
n
3) 中立軸位置の決定

εs
c
lは圧縮降伏, εs
t
lお よ び εs
t
2は引張降伏し 8 s
c
2は強性範囲にあるものと仮定する.
3
コンクリートの圧縮合力:Cc=0.836XO.85X60X300Xnニ 12.791X10Xn(以下,単位は kg)
3
鉄筋の合力 :Cs
lニ 32.10X4375=140.438X10
c (圧縮降伏を仮定〉
-336一 付 録 2

6
Csc2=12.84xO
.003X2
.1x1
0 (X
n-22)/X
n
3
=80.892X1
0 (Xn-22)/Xn 弾性範囲)
3
Tst2=1
2.8
4x4374=56.162X1
0 (引張降伏を仮定〉
3
Tstlニ 3
2.1
0x4375=1
40.
438X1
0 (引張降伏を仮定)

断面力と軸力の釣合い (Cc+Cscl+Csc2- t2- Tstl=


Ts N) より,
3
l2.791Xn十 1
{ 40.
438十 80.892(Xn-22)/Xn-56.612-140.438-288}1
0= 0
上式を解いて ,Xn=25.9
74(cm) となる.
仮定した鉄筋のひずみと応力度との聞の関係を検定する.

εscl=0.003(25.974-6.5)/25.974=0.0022> 勺 (圧縮降伏,仮定と一致)

εsc2=0.003(25.974-22)/25.974=0.00046く εy (弾性範囲,仮定と一致〉
εst2=0.0
03(38-25.974)/25.974=0.00139く εy (弾性範囲,仮定と矛盾〉

es
tl=0.003(53.5-25.974)/25.974=0.0032> 勺 (引張降伏,仮定と一致〉
ε叫に対応する断面力を弾性応力に修正して,再度釣合式をたてると,
3
{12.791X
n十 1
40.438+80.892(X n-80.892(38-Xn)/Xn-140.438-2
n-22)/X 88}1
0=0
上式を解いて, Xπ=2
5.0
28 (cm) となる.鉄筋のひずみと応力度との聞の関係を検定すると,
εscl=0.003(25.028-6.5)/25.028=0.0022>εy
es
c2 =0.0
03(25.028-22)/25.028=0.00036く εy
εst2=0.0
03(38-25.028)/25.028ニ 0
.00
155く εy
es
tl=0.003(53.5-25.028)/25.028=0.0034>εy
となり,仮定したひず、みと断面応力との聞の関係は一致する.よって ,Xn=25.028cmとする.
4
)抵抗モーメントの計算
圧縮縁における外力のモーメントと断面応力のそーメントの釣合いから,
M - N-D/2=Tstl ・d+T st2 • dst2- Csc2 • dsc2- Cscl -dc一 Cc ・長2 ・Xn

uとおいて,
M=M
3 6 6
Mu= {
140
.43
8x1
0 x5
3.5+0.0
014
8x2
.1x1
0x1
2.8
4x38-0.0
003
5x2
.1x1
0x1
2.8
4
0 Xo
.418x25.028+288x103X30}
3 3
x2
2-1
40.4
38x1
0 X6
.5-1
2.7
91x2
4.9x1
5
=132.17x10 (
kg・cm) =132.17tm
となる.

比較のために,鉄筋はすべて降伏しているものと仮定して下式によって略算すると,
Muニ
エ gl • A
t.σy.D十 0.5N.D (1-N/bD.σB)
=32.10x4
.37
5x4
7+1
2.8
4x4
.37
5x16+0.5x2
88x6
0(1-288x1
03/60x6
0x3
00)
2
=(
66.0+9.0十 6
3.4
)X1
0=1
3840tcm=1
38.4tm
となり,この場合には p 略算値が精算値より約 8%高い値となっている.
また,軸力状態が異なる場合については p 図 2による.
計算例 2 -337-

N(t)

N
│¥
¥

卜¥

¥
¥ ト¥ 精算式
0
00

ト J /イ国1各算式
\~\
¥
h


5
00 l~

2
88)
~~
~

b

O
5
0 レ
/L レ


/'
/100 g

q コ-
一ー

吋 c
cF
γ4
c
Mu(tm)

t
a
f1
そ陸z
u


図 2 柱曲げ強度の精算式と略算式による図表
付 表 -339-

付表 鉄鋼 J
ISの記号変更(鉄鋼 JISの SI単位化に伴い、 1991年 l月より次のように記号が変わります)
規格 新記号 旧記号 規格│ 新記号 旧記号 規格 新記号 旧記号

SS330 SS34 SMA400AW SMA41AW SH5


90P SH60P
G3
129
SS41 SMA400AP SMA41AP SH5
90S SH60S
G3
101 SS400
SS490 SS50 SMA400B W SMA41B W
SS540 SS55 SMA400BP SMA41BP SPFH49
0 SPFH50
SMA400CW SMA41CW SPFH54
0 SPFH55
SMA400CP SMA41CP G3
134 SPFH59
0 SPFH60
SB410 SB42 SMA490AW SMA50AW SPFH540Y SPFH55Y

G3
10
SB450
3 SB480
SB46
SB49
G3
11 I
4 SMA490AP SMA50AP SPFH59
0Y SPFH60Y
SMA490BW SMA50BW
SB450M SB46M SMA490BP SMA50BP SPFC340 SPFC35
SB480M SB49M SMA490C W SMA50CW SPFC370 SPFC38
SMA490CP SMA50CP SPFC390 SPFC40
SV3
30 SV34 SMA570W SMA58W SPFC440 SPFC45
G3
104 SMA570P SMA58P SPFC490 SPFC50
SV4
00 SV41
SPFC540 SPFC55
SPV235 SPV24 G3
135 SPFC590 SPFC60
SBC3
00 SBC31 SPV315 SPV32 SPFC490Y SPFC50Y
G3
105 SBC4
90 SBC50 G3115│SPV355 SPV36 SPFC540Y SPFC55 Y
SBC6
90 SBC70 SPV410 SPV42 SPFC590Y SPFC60 Y
SPV450 SPV46 SPFC780Y SPFC80 Y
SM400A SM41A SPV490 SPV50 SPFC980Y SPFC10
0Y
SM400B SM41B SPFC340H SPFC35 H
SG255 SG26
SM400C SM41C
SM490A SM50A G3
116 I
~~ ~?~
SG3 25
SG30
SG33
SF34
0A SF35A
SM490B SM50B SF390A SF40A
SG365 SG37 SF44
0A SF45A
G3
106 SM490C SM50C
SM490YA SM50YA SF490A SF50A
SRR235 SRR24
SM490YB SM50YB G3
201 SF540A SF55A
SRR295 SRR30
SM520B SM53B SF54
0B SF55B
G3
117
1SDR2 35 SDR24
SM520C SM53C SF59
0A SF60A
SDR295 SDR30
SM570 SM58 SF59
0B SF60B
SDR345 SDR35
SF64
0B SF65B
SBPR78
5/9
30 SBPR8
0/95 SGV4
10 SGV4
2
SBPR78
5/1
030 SBPR8
0/10
5 G3
11 I
8 SGV4
50 SGV4
6 SFCM590S
SFCM5 90R
SFCM60S
SFCM60 R
SBPR93
0/1
080 SBPR9
5/11
0 SGV4
80 SGV4
9
SFCM590D SFCM60D
SBPR9
30/18
1 0 SBPR9
5/12
0
G31231SGD290-D SGD30-D SFCM640S SFCM65S
G3
109 SBPR10
80/
123
0 SBPR1
10/1
25
SGD400-D SGD41-D SFCM6 40R SFCM65 R
SBPR10
80/
132
0 SBPR1
10 35
/l
SFCM640D SFCM65 D
SBPD93
0/1
080 SBPD9
5/11
0
SEV2
45 SEV25 SFCM6 90S SFCM70S
SBP
D10
80/122
0 SBPD1
10/1
25
G3
1241SEV2
95 SEV30 SFCM6 90R SFCM70R
SBP
D12
75/142
0 SBPDl
30/1
45
SEV3
45 SEV35 SFCM690D SFCM70D
SFCM7 40S SFCM75S
SRB33
0 SRB34 SLA235A SLA24A SFCM7 40R SFCM75R
G3111 SRB3
80 SRB39 SLA235B SLA24B SFCM7 40D SFCM75D
SRB4
80 SRB49 G3126│SLA325A SLA33A SFCM7 80S SFCM80S
SLA325B SLA33B G3
221 SFCM7 80R SFCM80R
SLA360 SLA37 SFCM7 80D SFCM80 D
SR235 SR24 SLA410 SLA42 SFCM8 30S SFCM85S
SR295 SR30
SFCM8 30R SFCM85R
SD295A SD30A SL2N2
55 SL2N2
6 SFCM830D SFCM85D
G3112 SD295B SD30B SL3N2
55 SL3N2
6 SFCM8 80S SFCM90S
SD345 SD35 SL3N2
75 SL3N2
8 SFCM8 80R SFCM90R
SD390 SD40 G3
1271SL3N4
40 SL3N4
5 SFCM8 80D SFCM90 D
SD490 SD50 SL5N5
90 SL5N6
0 SFCM9 30S SFCM95S
SL9N5
20 SL9N5
3 SFC恥1930R SFCM95R
SAPH3
10 SAPH3
2 SL9N5
90 SL9N6
0 SFCM930D SFCM95 D
SAPH3
70 SAPH3
8 SFCM9 80S SFCM100S
G3113 SHY6
85 SHY70
SAPH4
0
SAPH4
4
0
0
SAPH4
1
SAPH4
5 G3
12 I
8 SHY6
85N SHY70N
SFCM9
SFCM9
8
8
0R
0D
SFCM1
SFCM1
0
0
0R
0D
L一一一一一一一一一一 ー一一一一一一一一
SHY6
85NS SHY20NS
qd

A斗
U
A

規格 新記号 旧記号 規格 新記号 旧記号 規格 新記号 旧記号


SFNCM690S SFNCM70S G3454 STPG370 STPG38 SC360 SC37
SFNCM690R SFNCM70R STPG410 STPG42 G5
101 SC410 SC42
SFNCM690 D SFNCM70D SC450 SC46
SFNCM740S SFNCM75S STS3
70 STS38 SC480 SC49
SFNCM740R SFNCM75R G3
455 STS4
10 STS42
SFNCM740D SFNCM75D STS4
80 STS49 SCW410 SCW42
SFNCM780S SFNCM80 S SCW450 SCW46
SFNCM780R SFNCM80 R STPT3
70 STPT3
8 G5
102 SC羽T4
80 SCW49
SFNCM780 D SFNCM80 D G3456 STPT4
10 STPT4
2 SCW550 SCW56
SFNCM830S SFNCM85 S STPT4
80 STPT4
9 SCW620 SCW63
SFNCM830R SFNCM85 R
SFNCM830 D SFNCM85D G3457 STPY4
00 STPY4
1 SCW410-CF SCW42-CF
SFNCM880S SFNCM90 S G5201 SCW480-CF SCW49-CF
G3
222 SFNCM880 R SFNCM90 R STPL380 STPL39 SCW490-CF SCW50-CF
SFNCM880 D SFNCM90D SCW520-CF SCW53-CF
G3
460 STPL450 STPL46
SFNCM930S SFNCM95 S STPL690 STPL70
SFNCM930 R SFNCM95 R FC100 FC10
SFNCM930 D SFNCM95 D FC150 FC15
STB3
40 STB35
SFNCM980 S SFNCM10
0S G5501 FC200 FC20
G3
461 STB4
10 STB42
SFNCM980 R SFNCM10
0R FC250 FC25
STB5
10 STB52
SFNCM980D SFNCM100D FC300 FC30
SFNCM1 0
30S SFNCM10
5S FC350 FC35
STBL380 STBL39
SFNCM1 0
30R SFNCM10
5R
G3
464 STBL450 STBL46
SFNCM1 030
D SFNCM105D FCD370 FCD37
STBL690 STBL70
SFNCM1 08
0S SFNCM110S I FCD400 FCD40
SFNCM1 08
0R SFNCM11
0R FCD450 FCD45
ST恥1-C5
40 STM-3ee
SFNCM1 080
D SFNCM110D G5502 FCD500 FCD50
STM-C640 STM-C65
FCD600 FCD60
G3223 SFT5
90 SFT60 G3
465 STM-R5 9
0 STM-R60
FCD700 FCD70
STM-R6 9
0 STM-R70
FCD800 FCD80
STM-R7 8
0 STM-R80
SGH3
40 SGH35
STM-R8 3
0 STM-R85
SGH4
00 SGH41 FCMB270 FCMB28
SGH4
40 SGH45 G5
702 FCMB310 FCMB32
SGH4
90 SGH50 G3466 STKR4
00 STKR41 FCMB340 FCMB35
SGH5
40 SGH55 STKR4
90 STKR50 FC恥1B3
60 FCMB37
G3
302 SGC34
0 SGC35
SGC40
0 SGC41 G3
467 STF4
10 STF42 FCMW330 FCMW34
SGC44
0 SGC45 FCM羽T3
70 FCMW38
SGC49
0 SGC50 STAl¥位99GA STA
l¥130GA G5
703 FCMW440 FCMW45
SGC57
0 SGC58 STAI 位90GB
¥ STAM30GB FCMW490 FCMW50
STAM340G STA酌135G FCMW540 FCMW55
CGC3
40 CGC35 STAM390G STAM40G
CGC4
00 CGC41 STAM440G STAM45G FCMP440 FCMP45
G3
312 CGC4
40 CGC45 G3
472 STAM440H STAM45H FCMP490 FCMP50
CGC4
90 CGC50 STAM470G STAM48G G5
704 FC恥1P5
40 FCMP55
CGC5
70 CGC58 STAM470H STAM48H FCMP590 FCMP60
STAM500G STAM51G FCMP690 FCMP70
G3
350 SSC4
00 SSC4
1 STAM500H STAM51H
STAM540H STAM55H
A5
525 SKK4
00 SKK41
G3
353 SWH4
00 SWH41
SKK4
90 SKK50
SWH4
00L SWH41L STC3
70 STC38
STC4
40 STC45 SHK40
0 SHK41
STW290 ST羽T3
0
STC5
10A STC52A A5
526 SHK400M SHK41M
G3
443 STW370 STW38
G3
473 STC5
10B STC52B SHK49
0M SHK50M
STW400 STW41
STC5
40 STC55
STC5
90A STC60A
STK2
90 STK30 A5
528 SY2
95 SY3
0
STK4
00 STK41 STC5
90B STC60B SY3
90 SY4
0
G3
444 STK5
00 STK51
STK4
90 STK50 G3
474 STKT5
40 STKT55 A5
530 SKY4
00 SKY41
STK5
40 STK55 STKT5
90 STKT60 SKY4
90 SKY50

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