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これからビジネスプランをつくってみようの基礎編の講義を始めます。テーマはアイデア発想法です。ここではアイデ

アを生み出したり、おぼろげなアイデアを発展させたりする方法について学びます。新しくビジネスを始める以上、
今までのビジネスにはなかった要素を取り入れる必要があります。 講義回数は今回を含めて合計 6 回で、
それぞれの内容はスライドのとおりです。さて 1 回目のテーマは悩みや困っていることがビジネスの始まりですが、ま
ずはこれからのビジネスプランを作成しようとしている高校生の皆さんによいビジネスプランとはどういうものかを考
えていただきたいと思います。これについては特に定まった説があるわけではないのですが、私は三つの条件があ
ると思っています。第 1 は独創的な発想が含まれていること、第 2 はビジネスとして成り立つこと。つまり、収支
が合うこと。そして、第 3 は第三者、つまりビジネスプランを書いた人以外の人たちから共感が得られることです。
さらに、その前提としてはビジネスによって解決しようとしている課題や問題が本当に解決してもらいたい課題や
問題であることも必要です。ビジネスプランの学習効果についても少しふれておきたいと思います。国の文部科
学省では現在学力の三要素をとても重視してます。つまり、単に覚える学習ではなく覚えた知識を実際に使っ
たり応用したりする学習。さらには、そうした学びをチームの中で協働しながら主体的に取り組める能力を高める
学習が

大切であるといっています。そして

それにはビジネスプランの作成は最適な取り組みです

ビジネスプランを作成するためには

ある程度の知識が求められます

例えば、価格を決めるときのルールのようなものです

しかし、実際に自分たちが考えた

商品やサービスの価格を決定するためには

知識として持っているルールを

具体的な事例に落とし込んで考える必要があります

また原価を上回る価格をつけるという

ルールを知っていることと

自分たちの商品やサービスの原価を

実際に調べることは全く違う活動です
さらに、実際に調べていくためには

主体的に動いて情報を集めなければなりません

そのようなことを友達と協力しながら

進めることができる能力はまた別のものになります

ですから、ビジネスプランを作成していく中で

学力の三要素すべてを同時に伸ばすことができる

そのぐらいの意識を強く持って取り組んでください

皆さんの中には、既にこんなビジネスを始めたいと

具体的なアイデアを持っている人も

いるかもしれませんが、その一方で

ビジネスプランを作成するといってもいったい

どのようなビジネスを始めていいのか

わからないといった人も多いのではないでしょうか

しかし、ビジネスのアイデアを出すことは

それほど難しいことではありません

一言で言えば、困ったことを見つけてくればよいのです

困ったこと。困っていることの解決が

ビジネスになるからです。スライドでは、困ったこと

つまり課題や問題の発見を三つに分けて説明しています

第 1 は、自分自身が困っていること

第 2 は、自分自身の経験や体験を通して

知っているところの、自分以外の人が困っていること

そして第 3 は、自分自身の経験や体験はないけれども
自分以外の人が困っていることです

イメージとしては第 1 は文字どおり

自分が困っていること

第 2 は例えば自分の家族、親戚、友人が困っていること

第 3 は社会全体で困っていると考えるとよいでしょう

アイデアを生み出すための方法は

2 回目以降で詳しくお話ししますが

ここでは一つだけふれておきたいと思います

それは、最初から解決することをあきらめないことです

特に長い間困った状態に置かれると

そもそもそのことが困ったことなのか

困ってないことなのかという認識もできなくなります

今は個人で海外に行くときに

安い航空チケットを見つけて出発するのが

当たり前になってきましたが

皆さんのお父さんやお母さんが学生時代の頃は

個人の海外旅行は団体旅行に比べて

格段に高かった時代でした

そのようなときも個人旅行はぜいたくな旅行だから

高くて当然と思われて、困ったこと

そして解決したいこととは

多くの人に認識されていなかったのです

それを解決したい課題として強く認識した人が
エイチ・アイ・エスという、今や

日本有数規模の旅行会社に成長した企業の創業者です

それでは、ここで一つ事例を見ていきたいと思います

これは青森県にある板柳町という町の話です

板柳町という町では、昭和 40 年代後半以降

8 年連続でリンゴの価格が暴落するという事態に直面し

この間、リンゴ一箱の相場が 3500 円から

1500 円ぐらいまで低下したそうです

原因はグレープフルーツなどの海外からの果物が

数多く輸入されるようになったということですが

いずれにしても、今までのやり方では

リンゴ農家の経済が成り立たなくなってしまいました

そこで、当時の町役場に勤めていた

若い人たちを中心とするグループが考えたことは

1 本 1000 円で売れるようなリンゴジュースを作れば

町の農家は救われるということでした

つまり、すべてのリンゴを生で売り

かつ味も見栄えもよくしようとすると

人手が足りないけれども、作っている半分のリンゴを

生で売って、かつ見栄えのよいものにする

しかし、あとの半分は味については完璧ですが

見栄えについてはこだわらない

見栄えにこだわらないぶんだけ
人手をはぶくことができるからです

そして、見栄えのよくないものは加工用のリンゴに回す

しかし、ここで今までどおり加工用にしてしまうと

一箱、一箱は 20 キログラムありますが

その一箱が 100 円とか 200 円ぐらいで取引されて

農家の収入はよくなりません

でも、もし一箱 2000 円で引き取ることができれば

農家の収入は保証されます。ですから、問題はつまり

課題解決の鍵は、1 本 1000 円のジュースを

売ることができるかどうかにかかってるわけです

ちなみに、一箱 20 キログラムのリンゴから

20 本のジュースができるので

2000 円で引き取っても売り上げは 2 万円となり

リンゴをその価格で買い取ったところでも

赤字にはならなくて済むわけです

しかしスーパーマーケットに行けば

150 円や 200 円で売ってるものを

誰が 1000 円も出して買うのかと誰もが反対しました

でも、結果は大成功でした

最初の年に 3 万本以上売り上げ

今では毎年 200 万本以上の売り上げがあります

それでは、ほとんどの人が反対した

このプロジェクトが成功したのはなぜでしょうか
反対派は自分で買って飲むことを考えていたのに対して

推進派は、贈り物用で買われることを想定していました

贈り物としてなら、たとえ 3 本入りにして

3000 円としてもそれほど高くない

しかも、自分では買わないものですから

もらうとうれしいわけです

このようなことも輸入果物が入ってきたのだから

農家の経営は苦しくなっても当たり前として考えると

そもそも解決すべき問題としては認識されません

最後のスライドはまとめです

この講義では、それぞれの講義のあとに

まとめとしてスライド 1 枚で講義内容を

簡単に整理してますので

頭の整理などにぜひ活用してみてください

それでは第 1 回目の講義をこれで終わります

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