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LNG 移送アーム及びマニフォールドドレイニング・パージング・切り離し手順

序文

この提言は、この作業を安全に行うことにおいて本船及び桟橋側オ

ペレータの間にいくつかの混乱と誤解が見受けられるというメンバーの

報告に基づいて作成された。

この提言は主に固定式移送アームを採用している基地に関して言及

している (基本的な原則は 2 船間移送に使用されるホースシステム

にも適用されるが、細部に関しては違いがあるであろう)。

主目的

この主目的は、液放出のリスクを取り除き、大気へのカーゴベーパーの
放出を絶対最小限に抑える方法で、金属アームを切離すためのもの
である。この操作を安全にそして迅速に実施するためには、緻密な手
順が定まっており、船側スタッフと基地側スタッフ間のコミュニケーショ
ンが良好であることが必要不可欠であり、作業の安全に対しては両
者ともに責任がある。

この作業はいくつかの論理的なステップがある。

1. マニホールドからタンクまでのドレンシステムのラインアップ。
2. マニホールド接続部両側の液及びベーパーバルブの仕切り。
3. マニホールド接続部及び移送アームからの液の排除。
4. 接続部可燃性ガスのパージ。
5. (可燃性ガス濃度が)目標となる状態に達したかどうかの確認。
6. マニホールドの切離し。
1. ドレンシステム

ほとんどの LNG 船のマニホールドドレンはスプレーヘッダーを介してカー


ゴタンクに至る。 一つのタンクのスプレーバルブが開となっており、そ
してタンクに至る関係する全てのバルブが開となっていることを確認す
る。この段階では、全てのマニホールドドレンバルブは閉としておく。

2. マニホールド接続部両側の液及びベーパーバルブの

分離。

陸側においては、移送アーム直下のバルブを閉とすることを意味し、
船側においてはマニホールドフランジ内側の最初のバルブ --ほとんど
の場合 ESD バルブ-- を閉とすることを意味する。最近の大多数の
LNG 船では各液ラインには二重閉止弁が装備されており、これら両
方のバルブを閉とする。そして上記 1.で述べたマニホールドドレンシス
テムに至るバルブは開とする。

3. 液の除去

これは通常、陸側からの窒素ガスを用いて一連の段階の一つとして
行われる。窒素ガスの圧力を用いて移送アームの頂部から陸側に陸
側の液を押し、船側においては船のドレンシステムからカーゴタンクへ
戻される。終了は移送アーム/マニホールドの圧力が急激に落ちること
で示され、また、ドレンシステム内の流れの音が、液体からガス体へ変
化する。この手順においては、この段階ではドレン及びベントからの大
気への開放はすべきではないとしている。

注:残液が無くなったかドレンバルブを開けて確認することを勧
めていることがあると報告されているが、これは危険を招く可能
性があり、不必要でもあるのでこの段階ではすべきではない。

本船のマニホールドバルブと二重閉止弁(設置されている場合)の間
の液抜きは、液の自然昇温(気化)によりそのスペースが昇圧されその
液がドレンシステムに送り込まれることによって成し遂げられる。
4. 可燃性ベーパーのパージ

最も多く用いられている手順は、全てのバルブを閉鎖してその区域を
窒素ガスで 4~5Bar に加圧して、そして船側ラインに通じるドレンバ
ルブを開けてカーゴタンクに戻す方法である。

5. 確認

これは安全な切離しを確実にするための重要な側面である。マニホー
ルド付近のベントを開けて窒素ガス中のメタン分を計測できる校正さ
れたメーターを用いてベーパーを検査する。切り離時の安全を確保す
るために達成されるべきベーパーと窒素ガスの混合割合は、標準的
な目標レベルで窒素ガス中 2%vol である。最終チェックとして、ドレ
ンコックをドリップトレイに極短時間微開して、ラインの底部に液が残
っていないことを確認する。

両方のテストで安全な状態であることが示されたなら、カーゴタンクに
通じているドレンラインを閉鎖して(逆流の防止)、ドリップトレイへのド
レン及びベントを開放し、切離しのためにマニホールド接続部を完全
に落圧する。この部分における炭化水素分の上昇の阻止あるいは
減少させるのに、この部分に約 0.5bar の圧力を残す場合もある。も
しこれが採用されていたら、切離しを開始する前に全てのラインは落
圧されなければならない。

6. マニホールドの切離し

上記の確認が終わりそしてアームが完全に落圧されたなら、バルブシ
ートからのごく少量の漏れがある場合に備えてドレンバルブを開のまま
としておく。切離し前に炭化水素分が 2%vol 以下であることが確実
であることを最終確認する。

切離しは全てのアームが十分にパージされるまで開始されるべきでは
ない、違うアームを誤って選択して切離してしまったケースがあった(過
去に実際にあった)。

マニホールドのメクラ蓋を速やかに取り付け、ドレンとベント弁を閉止
する。
7. 総括

マニホールド域内のスタッフは、必要不可欠の人員のみに制限される
べきである。本書に記述される操作に従事するもしくは付近で作業
する全てのスタッフは適切な個人用保護具(PPE)を着用しなければ
ならない。ガス検知器は作動良好で正しく校正されていなければな
らない。使用する工具―例えばスパナ等-は、その仕事に適したサイ
ズで、清潔で良好な状態でなければならない。

注:いまだにノンスパークの手工具(例えばスパナなど)を時折見
かけることがある。これらは主として非鉄金属合金により作られ
ており、最新版の ISGOTT(第 5 版・2006 年出版)の 4.5.2
章において、使うべきではないとしている。SIGTTO はこれを支
持している。

付録 1 手順不遵守による2つの事故例の概要記述

付録 2 ある SIGTTO メンバーによる手順詳細の例を提示してい
る。これは各段階における詳細を示すための単なる例示であり、全て
のマニホールドやドレンシステムがこれと同じ構成ではないことに留意し
てもらいたい。従い、適切でない場合もあるため他の誰かのものをコピ
ーするのではなく、各船・基地に見合った手順書をご自身で作成する
ことを我々は強く推奨する。
重要なのはその手順が明確にされており、船陸間で合意されている
ということである。このメンバーの場合文書化された手順書があり、そ
れには変更に関する合意欄もあり、特にその作業において船陸でサ
インを取り交わすようになっている。

ガス検知器を使用した確認は必須である。昇圧/降圧を繰り返す回
数や時間を決めるのに有効な指標となり、検知器でテストする原則
を忠実に遵守すべきである。一度もしくは数度流しただけでの判断で
は、船または陸側のカーゴシステムにあるバルブの漏洩は検知できず、
安全ではない状態での切り離し作業につながってしまう。

いくつかのガス検知器では、濃度が低い場合自動的に VOL%
から LFL%に切り替わってしまう。使用に際しては、そのメーター
が何を読んでいるのかよく確かめなければならない。

作業は連続して行われであろう、すなわち、1 本ごとに全てのステップ
が完了してから次にかかるかもしくは並行して行われる。どちらの方法
を選択するかを決めるカギとなる要素は、陸側装置の窒素供給能
力にかかっている。
添付 1

事象 1

本事象は積荷役の終わりにマニホールドをドレイニング及びパージ

ングしている際に発生した。気象条件は乾燥しておりとても穏やか

な状態であった(風は無い状態)。大気と繋がっているベント弁

とマニホールドのドレン弁を開けた状態でパージングが進められてい

た。窒素の供給に問題があり、作業の進捗が通常よりも遅れてい

た(出港遅延を避けるために作業を完了させなければならないと

いうプレッシャーもあったのかもしれない)。船員の一人がガス検知

器でガス濃度を確認するためにベント弁に近づいたときに、ガス雲

が発火した。炎は非常に短時間継続し、突発的な火災に過ぎ

ず、固定していた陸側のモニターを作動させる前にほとんど燃え尽

きた。しかしながら、火災に巻き込まれた乗組員が重度の火傷を

負った。

徹底的な調査を行ったにも関わらず、発火源は明確には特定さ
れていない。解明できない欠陥がガス検知器にあるのかもしれない
し、もしくは静電気が発火の原因なのかもしれない。別の可能性と
しては、落下物によって発生した火花が発火の原因なのかもしれ
ない。いずれの仮説を裏付けるような証拠は見つかっていない。
事象 2

事務局は最近別の事象についても認識している。カーゴの揚荷役
後のドレイニングとパージングの作業中、LNG とベーパーが放出され
るという事象が発生した。放出された LNG に 2 人が接触し、また
数名はベーパーが放出された辺りに位置していた。幸いにも、誰も
負傷することなく、またベーパーが発火することもなかった。

LNG 及びベーパー放出の直接の原因は以下の通りと特定され
た。

 船側の ESD 弁と二重閉止弁との間の配管のドレイニ


ングができていなかった。

 メタン含有量が合意値の体積百分率を上回った際
に、ハードアームのベント弁を閉じることができなかった。

 ハードアームのベント弁を開けた状態で ESD 弁を開い


た。

LNG 及びベーパー放出の根本的原因は以下の通りと特定され
た。

 確立された手順に準拠しなかった。

 適切な手順が策定されていなかった。

 作業を行っている船員の力量に問題があった。

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