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THE WIZ ジャズワークショップ

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Someday My Prince Will Come

基本データ

作曲年
1937年
作曲
Frank E. Churchill (1901-1942)
作詞
Larry Morey (1905-1971)

参考⾳源

Dave Brubeck / Dave Digs Disney (1957)


ブルーベックのディズニー集。キーはF。
Bill Evans / Portrait In Jazz (1959)
ビル・エヴァンスによる初録⾳で、以来、⽣涯にわたってこの曲をレパートリーにすることにな
る。キーはB♭。
Miles Davis / Someday My Prince Will Come (1961)
マイルス・デイヴィスのアルバム。ウィントン・ケリーのイントロも印象的。キーはB♭。

曲⽬解説

1937年、ウォルト・ディズニー初の⻑編アニメーション『⽩雪姫』のために書かれた。
メロディとコード

以下、キーをB♭として解説する。

2⼩節⽬

D7で演奏することが多いが、Brubeck(1957)はE7(正確にはF♭7と書くべきなのか?)で演奏してい
る。ビル・エヴァンスも以降の演奏では後半(18⼩節⽬)を中⼼にE7を好んだ。

E7はサブドミナント・メジャーE♭maj7へのセカンダリ・ドミナント(B♭7)のトライトーン代理と
解される。

では、D7はどう説明したらよいのらろうか。私は実践家だから、理論家がどのように説明するかを
知りたい。

確かに、Imaj7 III7 IVmaj7 という進⾏はOn The Sunny Side Of The Streetの冒頭などたまに⾒かける


進⾏で、しかも、この場合のIII7は♯5/♭13が好まれる。実際、Someday My Prince Will Comeのメ
ロディがまさにこの⾳である。

こんにち、このIII7はIII7altのように演奏することもできるから♭13と書いてもよいが、On The
Sunny Side Of The Streetが書かれた1930年にはまだオルタードは⼀般的ではないと考えられるか
ら、もともとよりプリミティブなIII7♯5であったと推測してもよいのではないか。

もし仮にそうだとするならば、III7♯5は、IVmaj7へのセカンダリ・ドミナントであるI7を♯5したも
のとよく似ている。すなわち増三和⾳を共有している。案外このあたりがヒントになるのかもしれな
い。どなたかご教⽰ください。

ちなみに、III7-IVmaj7 を VII7-Imaj7との関係で説明しているのを⽿にしたことがあるが、私はそれ
は誤りだと思う。

VII7-Imaj7は、There Will Never Be Another Youの28-29⼩節⽬、I Remember Youの2-3⼩節⽬、Like


Someone In Loveの6-7⼩節⽬などのスタンダード・ナンバーをこんにちジャズ・ミュージシャンが演
奏するときに好んで使う進⾏であるが、このときVII7はほとんどの場合、半⾳・全⾳ディミニッシ
ュ・スケール(いわゆるコンディミ)となる。なぜならば、原曲にあたると、ほぼ例外なくVIIの箇
所がIdimまたはその転回形になっていたり、もしくは、II7 ♯IIdim I/IIIのような進⾏の♯IIdimであ
る。これらのディミニッシュ・コードは全⾳・半⾳ディミニッシュ・スケールをもとにしているが、
これがVII7の半⾳・全⾳ディミニッシュと実質的に同じスケールなのである。

ところがIII7-IVmaj7の進⾏のときの、III7のスケールは半⾳-全⾳ディミニッシュ・スケールではない
し、III7を何らかのディミニッシュ・コードとの関係性でうまく説明できないように思われる。これ
が、私が誤りだと思う理由である。

5-8⼩節⽬

Cm7 G7 Cm7 F7のように演奏することが多いだろうか。ただし、Brubeck(1957)は、Cm7 Cm7/B♭


F7/A F7のような感じ(4⼩節⽬はG7/D)。
6⼩節⽬についてエバンスはトライトーン代理のD♭7を好む傾向があるようだ。

7⼩節⽬についてはCm7もよいが、C7も好きだ。好みの問題だけれども、リズム・セクションの⼈間
は、どちらも選択肢として想定できるプレイヤーのほうが優秀だと思う。晩年のエバンスの録⾳はこ
っちの傾向。

16⼩節⽬

ビル・エヴァンスはG♭m7 C♭7 としていることがあるが、ドミナントF7のトライトーン代理にリ


レイティブ・マイナー・セブンスを前置したもの。

25-26⼩節⽬

Evans (1959)やDavis (1961)をはじめ、B♭maj7 B♭7という録⾳が多かった。しかし、エヴァンスの


晩年は、Fm7 B♭7 と好みが変わったようだ。

エヴァンスに限らず、キャリアのなかでキーやテンポやコードを変えて録⾳したミュージシャンは少
なくない。

28⼩節⽬

Edimのことがおおい。この場合、次のコードがB♭maj7 であれDm7 であれ、ベースはFを弾くこと


が多い。

この⼩節の別の選択肢としえは、Em7(♭5) A7 またはEm7 A7としてしまうこと。この場合でもB♭


に進むことができる。A7はVII7だから2⼩節⽬の説明を読むとつながるだろう。

29-32⼩節⽬

ふつうの曲のようにトニックに落ち着いてターンアラウンドするなら、B♭maj7 G7 | Cm7 F7 |
B♭maj7 G7 | Cm7 F7 | のようになる。Evans(1959)のほか、Jim HallのWal Newというこの曲のコ
ントラファクト(いわゆるメロディを載せ替えたもの。ただしハーモニーも⼀部変えてある)が、こ
のようにしている。ただし、忙しくなるので、このように演奏している録⾳はとても少ない(Evans
もキャリアの後半ではやっていない)。

Davis(1961)の Dm7(/F) | G7 | Cm7 | F7 | が事実上の標準かも知れないが、Brubeck (1957) はDm7 |


D♭7 | G♭maj7 | C♭7 | もなかなか⾯⽩い響きになる。

いずれもトニックにいかないので終⽌感がないが、メロディそのものも主⾳(階名ド)に落ち着かな
いので、むしろそのほうが曲にはあっているともいえる。

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