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JP 2021-156289 A 2021.10.

(57)【要約】   (修正有)
【課題】風力タービンブレードの部分、および一般に他
の構成要素を取り扱う方法およびツールを提供する。
【解決手段】ツール(10)は、構成要素の第1の表面
を受け入れるための第1のクランプ座(12)と、第2
の表面を受け入れるための第2のクランプ座(14,1
6)とを備え、第2の表面は第1の表面の反対側にある
。ツール(10)は、構成要素を所定のクランプ力でク
ランプするために第1のクランプ座(12)を移動させ
るためのアクチュエータ(45)と、アクチュエータ(
45)を駆動するための電気モータ(40)とをさらに
備える。ツールは、所定のクランプ力を提供するために
電気モータ(40)の電流を制御する制御装置をさらに
備える。構成要素をクランプするためのアクチュエータ
(45)を駆動する電気モータ(40)の電流レベルを
決定するための方法、およびツール(10)におけるク
ランプ力を制御するための方法も提供される。
【選択図】図3
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
 構成要素を取り扱うためのツール(10)であって、
 前記構成要素の第1の表面を受け入れるための第1のクランプ座(12)と、
 前記構成要素の第2の表面を受け入れるための第2のクランプ座(14、16)であっ
て、前記第2の表面は前記第1の表面の反対側にある、第2のクランプ座(14、16)
と、
 前記第1のクランプ座(12)と前記第2のクランプ座(14、16)との間に前記構
成要素を所定のクランプ力でクランプするために前記第1のクランプ座(12)を前記第
2のクランプ座(14,16)に対して移動させるためのアクチュエータ(45)と、 10
 前記アクチュエータ(45)を駆動するための電気モータ(40)と、
 前記電気モータ(40)における電流を決定し、前記決定された電流に基づいて前記所
定のクランプ力を提供するように前記電気モータ(40)を制御するように構成された制
御装置と
 を備える、ツール(10)。
【請求項2】
 前記制御装置が、前記ツール(10)内の内部摩擦に起因する前記電気モータ(40)
における電流を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のツール(10)

【請求項3】 20
 前記制御装置が、前記構成要素の不在下で前記電気モータ(40)を動作させることに
よって、前記ツール(10)内の内部摩擦に起因する前記電気モータ(40)における前
記電流を決定するように構成されている、請求項2に記載のツール(10)。
【請求項4】
 前記第1のクランプ座(12)を移動させるための前記アクチュエータ(45)は、ナ
ットに配置されたねじ付きスピンドルである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のツ
ール(10)。
【請求項5】
 風力タービンブレードの部分の前記第2の表面を受け入れるための第3のクランプ座(
16)を備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のツール(10)。 30
【請求項6】
 フレーム(18)をさらに備え、前記フレーム(18)が、前記ツール(10)を持ち
上げるための1つまたは複数の吊り具(31,32,33)を含む、請求項1乃至5のい
ずれか1項に記載のツール(10)。
【請求項7】
 前記吊り具(31,32,33)のうちの少なくとも1つ(33)は、前記フレーム(
18)に対して可動であり、任意選択で、前記可動な吊り具(33)の位置を制御するた
めの吊り具アクチュエータ(36)を備える、請求項6に記載のツール(10)。
【請求項8】
 前記フレーム(18)は、 40
 前記第1のクランプ座(12)および前記第2のクランプ座(14、16)のうちの一
方を支えるベース(20)と、
 前記吊り具(31,32,33)を支える上部フレーム(21)と
 を備える、請求項6に記載のツール(10)。
【請求項9】
 前記上部フレーム(21)は、前記ベース(20)に対して回転可能に取り付けられた
支持ビーム(26)と、前記支持ビーム(26)に取り付けられ、前記吊り具(31,3
2,33)を支える1つまたは複数のアーム(22,24)とを含む、請求項8に記載の
ツール(10)。
【請求項10】 50
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 前記フレーム(18)の前記ベース(20)に対する前記支持ビーム(26)の向きを
制御するための上部フレームアクチュエータ(54)をさらに備える、請求項9に記載の
ツール(10)。
【請求項11】
 前記ツール(10)が、風力タービンブレードの部分を取り扱うように構成されており
、任意選択で、風力タービンブレード先端を取り扱うように構成されている、請求項1乃
至10のいずれか1項に記載のツール(10)。
【請求項12】
 ツール(10)におけるクランプ力を制御するための方法であって、
 第1のクランプ座(12)と第2のクランプ座(14)との間に構成要素をクランプす 10
るために、前記第1のクランプ座(12)を前記第2のクランプ座(14)に対して駆動
するように、電気モータ(40)を動作させることと、
 前記電気モータ(40)における電流を測定することと、
 所定のクランプ力に対応する所望の電気トルクレベルに達するように前記電気モータ(
40)を動作させることと
 を含み、
 前記所望の電気トルクレベルは、空の電流レベルに基づいて決定され、前記空の電流レ
ベルは、前記構成要素の不在下で前記第1のクランプ座(12)を第2のクランプ座(1
4)に対して駆動するように前記電気モータ(40)を動作させるのに必要とされる電流
レベルである、方法。 20
【請求項13】
 前記空の電流レベルが、前記構成要素をクランプするために前記電気モータ(40)を
動作させる前の試験において決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
 前記試験が、前記構成要素をクランプする動作ごとの前に実行される、請求項12に記
載の方法。
【請求項15】
 前記空の電流レベルが所定の閾値(Ithreshold)を上回る場合には、前記電
気モータ(40)の動作が阻止される、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の方法
。 30
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
 本開示は、構成要素を取り扱うためのツールに関し、構成要素はツールにクランプされ
る。より詳細には、本開示は、風力タービンブレード部、および特に風力タービンブレー
ド先端を取り扱うためのツールに関する。本開示はさらに、ツールにおけるクランプ力を
制御するための方法、および構成要素をクランプするためのアクチュエータを駆動する電
気モータにおける所望の電流レベルを決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】 40
 現代の風力タービンは、送電網に電気を供給するために一般的に使用されている。この
種の風力タービンは、一般に、タワーと、タワー上に配置されたロータとを備える。典型
的にはハブおよび複数のブレードを備えるロータは、ブレードへの風の影響下で回転する
ようになっている。前記回転は、通常、ロータシャフトを介して発電機に直接またはギヤ
ボックスを使用して伝達されるトルクを生成する。このようにして、発電機は、送電網に
供給することができる電気を生成する。
【0003】
 長年にわたり、当該分野では、風力タービンのサイズを大きくする傾向にある。ハブの
高さおよびブレードの長さの双方が、長年にわたって著しく増大してきている。今日では
、長さ70メートルを超える、さらには80メートルを超える、さらには100メートル 50
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を超えるブレードが風力タービンに採用されている。
【0004】
 このような長さのブレードは、製造および輸送が困難である。特に輸送の目的で、ブレ
ード部、根元部および先端部を別々に製造することが知られている。根元部と先端部とは
別々にウィンドパークの現場に輸送され得る。次いで、根元部と先端部とは設置直前にそ
の場で接合され得る。ブレード部は、より容易な組み立てを可能にするために、互いに組
み合うことができる特定の要素(例えば、雄−雌カップリング)を有し得る。例えば、先
端部および根元部の一方は、他方の部分の適切な受け部(receptacle)に挿入
され得る細長いピンを有し得る。スパーの一部分がその端縁を超えて突出している部分を
設けることが知られている。スパーの突出部分は、次に他方の部分に受け入れられて接合 10
されることができる。ブレードの組み立て後、ブレードは、直立している風力タービンの
ハブに向かって引き上げられ得る。
【0005】
 例えば、約77メートルの長さを有するブレードは、約65メートルの根元部と、約1
2メートルの長さを有する先端部とに分割され得る。このようなブレード先端部の重量は
、約1,000kgである場合がある。当然ながら、根元部および先端部の正確な寸法は
、異なるブレードによって変化するであろう。一般に、先端部の長さは、5∼20メート
ルであり得る。また、そのような先端部は、例えば、約500∼2,000kgの重量を
有し得る。
【0006】 20
 先端部が根元部に接合される場合、根元部は支持ラックに、保持されるか、または少な
くとも部分的に支持され得る。先端部は、先端部を根元部に近接させるために持ち上げら
れる。これらの部分が適切に接合されるためには、先端部は正しく向きを合わせられなけ
ればならない。
【0007】
 このような動作のために、油圧クランプを有する持ち上げツール(lifting t
ool)が当技術分野で知られている。しかしながら、先端部を持ち上げ、操作し、向き
を合わせるためには、油圧機構が複雑で高価になりすぎる可能性がある。
【0008】
 本開示の例は、風力タービンブレードの部分、および一般に他の構成要素を取り扱う方 30
法およびツールを提供する。本明細書に記載の問題は、主に風力タービンブレード、特に
風力タービンブレードの先端の取り扱いに関するが、異なる分野にも同様の課題が存在す
る。
【発明の概要】
【0009】
 本開示の第1の態様では、構成要素を取り扱うためのツールが提供される。ツールは、
構成要素の第1の表面を受け入れるための第1のクランプ座と、構成要素の第2の表面を
受け入れるための第2のクランプ座であって、第2の表面は第1の表面の反対側にある、
第2のクランプ座と、第1のクランプ座と第2のクランプ座との間に構成要素を所定のク
ランプ力でクランプするために第1のクランプ座を第2のクランプ座に対して移動させる 40
ためのアクチュエータとを備える。ツールは、アクチュエータを駆動するための電気モー
タと、電気モータにおける電流を決定することによって電気モータを制御し、決定された
電流に基づいて所定のクランプ力を提供するように電気モータを制御するように構成され
た制御装置とをさらに備える。
【0010】
 この態様によれば、油圧機構ではなく電気モータによって駆動される、構成要素を取り
扱うためのツールが提供される。これにより、ツールがあまり複雑でなくなり、より安価
となる。油圧機構ではなく電気モータまたは駆動装置を使用する場合の課題は、構成要素
に加えられている正確なクランプ力を決定することが困難である可能性があることである
。適切な動作のためには、この力は正確に制御される必要がある。力が高すぎると、構成 50
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要素が損傷する可能性がある。力が低すぎると、効果的なクランプが行われないことがあ
り、構成要素が移動または脱落する可能性がある。
【0011】
 この態様によれば、実際に加えられているクランプ力を決定するために、電気モータに
おける電流が測定される。例えば、アクチュエータの位置または電気モータの速度に基づ
く他の制御を使用するのとは対照的に、このようにしてクランプ力を正確に制御できるこ
とが判明した。
【0012】
 別の態様では、ツールにおけるクランプ力を制御するための方法が提供される。本方法
は、第1のクランプ座と第2のクランプ座との間に構成要素をクランプするために、第1 10
のクランプ座を第2のクランプ座に対して駆動するように電気モータを動作させることと
、電気モータにおける電流を測定することとを含む。本方法は、所定のクランプ力に対応
する所望のトルクレベルに達するように電気モータを動作させることをさらに含む。所望
のトルクレベルは、空の電流レベルに基づいて決定され、空の電流レベルは、構成要素の
不在下で第1のクランプ座を第2のクランプ座に対して駆動するように電気モータを動作
させるのに必要とされる電流レベルである。
【0013】
 この態様によれば、ツール内の変化する内部損失を考慮に入れることができる、クラン
プ力を制御するための方法が提供される。ツールが使用されるにつれて、ツール内の内部
摩擦は変化し得る。例えば、部品が摩耗する可能性があり、またツールの寿命の間に潤滑 20
が効果的でなくなる可能性がある。ツールの寿命を通じて、クランプ座が受ける内部摩擦
は変化し得る。構成要素に加えられる実際のクランプ力を精密に制御するために、本方法
は、構成要素なしでクランプを動作させるのに必要とされる電流レベルが決定されること
を予見する。構成要素の不在下では、測定される電流は、通常動作における内部損失を克
服するために必要とされる電気トルク、すなわち内部損失を克服するために必要な力(電
流)、に実質的に対応する。このようにして、内部損失がツールの寿命を通じて変化する
場合でも、望ましいクランプ力が加えられることが可能である。
【0014】
 またさらなる態様では、構成要素をクランプするためのアクチュエータを駆動する電気
モータにおける所望の電流レベルを決定するための方法が提供される。本方法は、所定の 30
保持力を提供するために必要なクランプ電流を決定することを含む。本方法は、電気モー
タを試験において動作させることであって、試験は、構成要素の不在下でアクチュエータ
を駆動することを含む、動作させることと、試験において電流レベルを測定することによ
って、内部損失電流を決定することとを含む。次いで、クランプ電流を内部損失電流に加
算することによって、所望の電流レベルが決定される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】風力タービンの一例の斜視図である。
【図2】図1の風力タービンのナセルの一例の簡略化された内部図である。
【図3】風力タービンブレードの部分をクランプするためのツールの一例の等角図である 40

【図4】図3のツールの背面図である。
【図5】図3のツールの側面図である。
【図6】クランプツールおよびクランプツールの電気モータの試験の一例の態様を示す図
である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
 ここで、本発明の実施形態を詳細に参照するが、その1つまたは複数の例は図面に示さ
れている。各例は、本発明を説明するものとして提示されており、本発明を限定するもの
ではない。実際、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明において様々な 50
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修正および変更が行われ得ることは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の
一部として図示または記載する特徴を別の実施形態と共に用いて、さらに別の実施形態を
得ることができる。よって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範
囲に入るそのような修正および変更を包含することが意図される。
【0017】
 図1は、風力タービン160の一例の斜視図を示している。図示するように、風力ター
ビン160は、支持面150から延在するタワー170と、タワー170に取り付けられ
たナセル161と、ナセル161に結合されたロータ115とを含む。ロータ115は、
回転可能なハブ110と、ハブ110に結合され、ハブ110から外側に延在する少なく
とも1つのロータブレード120とを含む。例えば、図示の実施形態では、ロータ115 10
は、3つのロータブレード120を含む。しかしながら、代替実施形態では、ロータ11
5は、3つより多いか、または少ないロータブレード120を含んでもよい。各ロータブ
レード120は、ロータ115の回転を容易にし、風から運動エネルギーが使用可能な機
械的エネルギー、続いて電気エネルギーに変換され得るように、ハブ110の周りに間隔
を置いて配置され得る。例えば、ハブ110は、ナセル161内に配置された発電機16
2(図2)に回転可能に結合されて、電気エネルギーの生成を可能にし得る。
【0018】
 図2は、図1の風力タービン160のナセル161の一例の簡略化された内部図を示し
ている。図示のように、発電機162は、ナセル161内に配置され得る。一般に、発電
機162は、ロータ115によって生成された回転エネルギーから電力を生成するために 20
、風力タービン160のロータ115に結合され得る。例えば、ロータ115は、ハブ1
10と共に回転するためにハブ110に結合された主ロータシャフト163を含むことが
できる。次に、発電機162は、ロータシャフト163の回転が発電機162を駆動する
ように、ロータシャフト163に結合され得る。例えば、図示の実施形態では、発電機1
62は、ギヤボックス164を介してロータシャフト163に回転可能に結合された発電
機シャフト166を含む。
【0019】
 ロータシャフト163、ギヤボックス164、および発電機162は、一般に、風力タ
ービンタワー170の頂部に配置された支持フレームまたはベッドプレート165によっ
てナセル161内に支持され得ることを理解されたい。 30
【0020】
 ナセル161は、ナセル161がヨー軸YAの周りを回転することができるように、ヨ
ーシステム130によってタワー170に回転可能に結合されている。ヨーシステム13
0は、他方に対して回転するように構成された2つの軸受構成要素を有するヨー軸受を備
える。タワー170が軸受構成要素の一方に結合され、ナセル161のベッドプレートま
たは支持フレーム165が他方の軸受構成要素に結合される。ヨーシステム130は、環
状ギヤ131と、モータ133を有する複数のヨー駆動装置132と、ギヤボックス13
4と、軸受構成要素の一方を他方に対して回転させるように環状ギヤ131と噛み合うた
めのピニオン135とを備える。
【0021】 40
 ブレード120は、ブレード120とハブ110との間にピッチ軸受100を介してハ
ブ110に結合される。ピッチ軸受100は、内側リングと外側リングとを備える。風力
タービンブレードは、内側軸受リングまたは外側軸受リングのいずれかに取り付けられる
ことができ、ハブは他方に接続される。ブレード120は、ピッチシステム107が作動
されると、ハブ110に対して相対回転運動を行うことができる。したがって、内側軸受
リングは、外側軸受リングに対して回転運動を行うことができる。図2のピッチシステム
107は、風力タービンブレードをピッチ軸PAの周りで回転させるために内側軸受リン
グに設けられた環状ギヤ109と噛み合うピニオン108を備える。
【0022】
 図3は、風力タービンブレードの部分をクランプするためのツールの一例の等角図を示 50
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している。図4は、図3の同じツールの背面図を示している。理解を容易にするために、
いくつかの部品が図から除外されている。また、図5は図3のツールの側面図を示してい
る。
【0023】
 図3は、構成要素を取り扱うためのツール10を提供し、このツールは、構成要素の第
1の表面を受け入れるための第1のクランプ座12と、構成要素の第2の表面を受け入れ
るための第2のクランプ座14とを備え、第2の表面は第1の表面の反対側にある。
【0024】
 ツール10は、第1のクランプ座12と第2のクランプ座14との間に構成要素を所定
のクランプ力でクランプするために第1のクランプ座12を第2のクランプ座14に対し 10
て移動させるためのアクチュエータ45をさらに備える。ツールはまた、アクチュエータ
45を駆動するための電気モータ40と、電気モータ40における電流を決定することに
よって電気モータ40を制御し、決定された電流に基づいて所定のクランプ力を提供する
ように電気モータ40を制御するように構成された制御装置とを含む。
【0025】
 モータにおける電流または電流レベルを測定することにより、効果的なクランプ力を決
定することができる。モータにおける電流のレベルは、電気モータを駆動するために必要
とされる電気トルクのレベル、よってクランプ座を駆動するために必要とされる電気トル
クのレベルを示した。クランプ力は、モータにおける電気トルクを適切に制御することに
よって、制御され得る。 20
【0026】
 この特定の例では、ツール10は、風力タービンブレードの部分の第2の表面を受け入
れるための第3のクランプ座16を備え得る。図示されていない例では、第4のクランプ
座が設けられてもよい。第4のクランプ座は、同様にアクチュエータによって駆動されて
もよく、第1のクランプ座と同じ表面と接触するように構成されてもよい。また、この特
定の例では、ツール10は、風力タービンブレードの部分、特に風力タービンブレード先
端を取り扱うように構成され得る。
【0027】
 この特定の例では、風力タービンブレード部の負圧面が、第1のクランプ座12によっ
て係合され得る。風力タービンブレード部の正圧面は、第2のクランプ座14および第3 30
のクランプ座16によって係合され得る。風力タービンブレード部をクランプ座の間にク
ランプすることによって、この部分を操作することができる。ブレード部を用いる他の例
では、第1のクランプ座は代わりに正圧面に係合してもよく、第2のクランプ座(および
任意選択で第3のクランプ座)は負圧面に係合してもよい。
【0028】
 ブレードの先端部を根元部に取り付ける動作において、ツール10はクレーンによって
持ち上げられ得る。先端部はツールによってクランプされることができ、ツール(および
それと共に先端部)が根元部に近接させられ得る。よって、組み立てプロセス中に、先端
部はツールにしっかりと支持され得る。風力タービンブレード先端が損傷する可能性があ
るため、クランプ力は高すぎてはならない。同時に、クランプ力は、ブレード先端が効果 40
的にクランプされ、確実にツールから脱落することがないようにするために、十分に高く
なければならない。
【0029】
 いくつかの例では、制御装置は、ツール10における内部摩擦に起因する電気モータ4
0における電流を決定するように構成され得る。ツール10における内部摩擦を決定する
ことにより、クランプ力をより正確に制御することができる。
【0030】
 いくつかの例では、ツール内の内部摩擦に起因する電気モータにおける電流は、構成要
素(この例では、風力タービンブレード先端)の不在下で電気モータを動作させることに
よって決定され得る。構成要素の不在下では、モータにおける電流は、ツールにおける抵 50
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抗および摩擦を克服するのに必要な電流に実質的に対応する。通常動作において、クラン
プ座が受ける抵抗の一部(よって、モータにおいて測定される電流の一部)は、構成要素
を実際にクランプすることによるものではなく、むしろツールの内部損失によるものであ
る。したがって、風力タービンブレードに加えられるクランプ力を非常に精密に制御する
ために、内部損失に起因する電流を測定された電流から差し引いて、加えられたクランプ
力の表示を得ることができる。
【0031】
 具体的に開示された例では、第1のクランプ座12を移動させるためのアクチュエータ
は、ナットに配置されたねじ付きスピンドル45である。ねじ付きスピンドル45を回転
させることにより、ねじ付きスピンドル45はハウジング49から突出したり、またはハ 10
ウジング49内に後退したりすることができる。よって、クランプ座12の位置は、ねじ
付きスピンドルを駆動することによって決定することができる。スピンドル45を駆動す
ることによって、第2のクランプ座14および第3のクランプ座16に対する第1のクラ
ンプ座12の相対位置を制御することができる。
【0032】
 スピンドルは、本明細書では、作動時に回転する軸として機能するロッドまたはピンと
見なされ得る。ナットは、本明細書では、ねじ穴を有する構成要素と見なされ得る。
【0033】
 図1の特定の例では、上側のクランプ座12は駆動されるが、下側のクランプ座14お
よび16は所定の位置に固定されたままである。しかしながら、他の例では、これは逆で 20
あり得ることは明らかである。他の例では、一方のクランプ座の他方に対する位置を制御
するための他の機構が変更されてもよいことも明らかである。
【0034】
 いくつかの例では、ツール10は、ツールを持ち上げるための1つまたは複数の吊り具
31、32および33を含むフレーム18を備えることができる。吊り具31、32、3
3は、クレーンで持ち上げられるように構成され得る。吊り具は、クレーンラインに取り
付けられたフックに取り付けるためのシャックル、フック、アイレット、または任意の他
の締結具を備えてもよい。図1のこの特定の例では、吊り具31、32はアイレットであ
り、吊り具33はシャフトである。
【0035】 30
 いくつかの例では、吊り具のうちの少なくとも1つは、フレームに対して可動である。
この特定の例では、吊り具33は、可動スライド34上のシャフトとすることができる。
可動スライド34は、フレーム18の上部21の長手方向ビーム22に沿って案内され得
る。
【0036】
 ツール10は、可動な吊り具33の位置を制御するための吊り具アクチュエータ36を
さらに備え得る。この例では、モータ38を作動させることによって、スライド34を前
後に駆動することができる。適切な伝動装置を介したモータ38が、ねじ付きスピンドル
36を駆動し得る。ねじ付きスピンドル36は、スライド34のナットに回転可能に取り
付けられ得る。スピンドル36を回転させることによって、ビーム22に対するスライド 40
34の位置が変更され得る。
【0037】
 1つまたは複数の吊り具の位置を変更および制御できることは、吊り具の位置を重心に
対して適応させる効果を有し得る。風力タービンブレードの先端を内部に有さない状態で
ツールが持ち上げられる場合には、風力タービンブレードの先端が内部に支えられている
場合とは異なる位置に重心がくることになる。重心は、長手方向(この場合、長手方向ビ
ーム22に平行と定義される)および横方向(この場合、横方向ビーム24に平行と定義
され、ツールに取り付けられたときに風力タービンブレード先端の長さと実質的に一致す
る)の双方において変化するであろう。吊り具33の長手方向位置は、様々な状況に適応
し、確実にツールが望ましい、例えば実質的に水平な位置に保持され得るようにするため 50
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に、変更され得る。必要となり得る吊り具33の相対変位は、異なるサイズを有する異な
るブレードによって変化するであろう。
【0038】
 フレームに対して吊り具の位置を調整する動作は、いくつかの例では、構成要素が辛う
じて持ち上げられたとき、すなわち地表面のすぐ上で実行され得る。構成要素を有したツ
ールは慎重に持ち上げられることができ、持ち上げが行われる際、ツールは横方向軸の周
りを回転する傾向がある。吊り具33の位置を調整することにより、そのような回転を制
御して打ち消すことができる。他の例では、1つまたは複数の吊り具の位置の調整は、例
えば動作高さまで持ち上げた後、またはツールがまだ地面に配置されているときに実行さ
れてもよい。 10
【0039】
 動作中、ブレード先端のブレード根元へのより容易な組み立てのために、横方向軸の周
りでいくらかの前方または後方への回転(「傾斜」)が望ましいか、または必要とされる
場合がある。スリング固定具70は、フレーム18の後部に設けられ得る。スリングを開
口部に通すことができ、スリングを上方に引っ張るか、またはスリングを下方に解放する
ことによって、傾斜の正確な制御が提供され得る。これに代わって、または加えて、ツー
ルの反対側、すなわち前面またはその近くに配置されたシャックル73、75に、スリン
グまたはケーブルが取り付けられてもよい。
【0040】
 加えて、またはこれに代わって、構成要素のピッチング(すなわち、その長手方向軸の 20
周りの回転)は、クレーンから吊り下げられたチェーンホイストを提供することによって
行われてもよく、チェーンホイストのケーブルは、フレームの上部の2つの異なる地点に
取り付けられ得る。任意選択で、ブレード部の場合、第1の地点は、使用時にブレード部
の前縁に向かって、または前縁の前に配置されてもよく、第2の地点は、後縁に向かって
、または後縁の後ろに配置されてもよい。チェーンホイストを操作することにより、ブレ
ードのピッチ角を変更することができる。
【0041】
 ピッチングを提供するためのさらなる代替または追加の選択肢は、構成要素がツール内
に保持される際に、1つまたは複数の吊り具を能動的に移動させることによって提供され
る。この特定の例では、吊り具33は、先に説明したようにアクチュエータ36によって 30
直線的に移動され得る。吊り具を移動させることにより、ツール(およびその内部の構成
要素)は新しい平衡状態に回転する。
【0042】
 フレーム18は、第1のクランプ座および第2のクランプ座のうちの一方を支えるベー
ス20と、吊り具を支える上部フレーム21とを備え得る。ツールは、第1のクランプ座
および第2のクランプ座のうちの他方を支える中間フレーム19をさらに備え得る。中間
フレームは、平行なアーム23を備え得る。複数の横方向ビーム63、65、67、およ
び69(特に図4および図5に見ることができる)は、ツールの一方の側から他方の側に
延在し、十分な強度および剛性を提供することができる。アーム23の間に延在する横方
向ビーム65は、対応するアクチュエータおよび駆動システムを有するクランプ座のうち 40
の1つを支えることができる。
【0043】
 上部フレーム21は、ベース20に対して回転可能に取り付けられた支持ビーム26と
、支持ビーム26に取り付けられ、吊り具を支える1つまたは複数のアーム22、24と
を含み得る。ツールは、フレームのベース20に対する支持ビーム26の向きを制御する
ための上部フレームアクチュエータ54をさらに備え得る。
【0044】
 支持ビーム26は、実質的に垂直であってもよく、支持ビーム26がベース20に対し
て実質的に水平な軸の周りを回転することができるように、スイベル58(特に図4で見
ることができる)に取り付けられ得る。モータ50は、適切な伝動装置(歯車装置)52 50
(10) JP 2021-156289 A 2021.10.7

を介してスピンドル54を駆動することができる。スピンドル54は、垂直な支持ビーム
26に取り付けられたナット60にねじ込み式に取り付けられている。モータを駆動する
ことにより、伝動装置52に対するナット60の距離を変化させることができる。この距
離を変化させることにより、垂直位(vertical)に対する支持ビーム26の向き
を変化させることができる。よって、ベース20と上部フレーム21との間の相対的な向
きを変化させることができ、よって、記載された構成は、確実にブレード先端が必要に応
じて適切な向きに保持され得るようにすることができる。また、異なるサイズのブレード
およびブレード先端が使用される場合に、垂直な支持ビーム26の制御により、必要に応
じて回転が可能となる。
【0045】 10
 また、ツールの向きの制御のこの態様では、これに代わって、または加えて、クレーン
から吊り下げられたチェーンホイストが使用されてもよい。チェーンホイストから様々な
取り付け地点までのラインを能動的に制御することによって、ツールの向きの制御を高め
ることができる。
【0046】
 いくつかの例では、クランプ座12、14、および16のうちの1つまたは複数は、ツ
ールに取り外し可能に取り付けられ得る。異なるブレードに適応するために、クランプ座
の様々なキットを提供することができる。例えば、長さ、幅、および内側の曲率(int
ernal curvature)を異なるキットで変更して、風力タービンブレード部
の正圧面および/または負圧面の異なる曲率に適応するようにしてもよい。 20
【0047】
 いくつかの例では、クランプ座12、14、16は、取り扱われている構成要素の表面
への損傷を回避し、また構成要素を効果的に保持するのに十分な摩擦を提供するためにパ
ッドを有してもよい。パッドは、例えばポリウレタンで作製されていてもよい。
【0048】
 図3の特定の例では、上側または第1のクランプ座12は、スピンドル45によって駆
動されるベースプレート53に対して、2つの垂直な軸57および59の周りを回転可能
である。よって、クランプ座12は、持ち上げられる構成要素の小さな変動、またはクラ
ンプが行われる構成要素の部分の小さな変動に適応することができる。クランプ座12の
任意の回転または動きが適切に吸収されるように、クランプ座12に張力を提供するため 30
に、ばね55または代替の弾性要素を設けることができる。
【0049】
 この特定の例における第1のクランプ座12のベースプレート53は、クランプ座12
の変位がより正確になり、また剪断荷重が吸収され得るように、例えば、二つの垂直な直
線ガイド46および48などの直線ガイドで案内され得る。このようなガイドはまた、ベ
ースプレート53およびクランプ座全体の自由回転を防止することができる。
【0050】
 ベース20は、ツールの内側に配置されると構成要素の損傷を回避するための適切な衝
撃吸収性(例えば、保護パッド)を有したバンパー13をさらに備えてもよいことが分か
る。バンパー13はまた、ツール内に構成要素を正しく配置するための基準としても機能 40
し得る。
【0051】
 図4の背面図から、ベース20は、フォークリフトのフォークを受け入れるためのスリ
ーブ21をさらに備えてもよいことが分かる。よって、ツール20は、必要に応じて容易
に運搬および移動され得る。ローラ15は、持ち上げられる構成要素および他の近くの物
体への損傷を回避するためにツールの前面に設けられ得る。例えば、風力タービンブレー
ド先端は、フレーム内において互いに積み重ねられてもよく、フレームから次々に持ち上
げられてもよい。ブレード先端に接近する操作において、ローラまたはホイール15は、
衝撃吸収のためのバンパーとして機能し、ブレード先端への損傷を回避することができる
。 50
(11) JP 2021-156289 A 2021.10.7

【0052】
 一態様では、ツールにおけるクランプ力を制御するための方法が提供される。この方法
は、例えば図6を参照しながら説明することができる。
【0053】
 ツールにおけるクランプ力を制御するために、電気モータ40は、構成要素を第1のク
ランプ座12と第2のクランプ座14,16との間にクランプするために、第1のクラン
プ座12を第2のクランプ座14,16に対して駆動するように動作され得る。動作中、
電気モータ40における電流が測定され得、電気モータ40は、所定のクランプ力に対応
する所望の電流レベルに達するように動作され得る。所望の電流レベルは、空の電流レベ
ルに基づいて決定され、空の電流レベルは、構成要素の不在下で第1のクランプ座を第2 10
のクランプ座に対して駆動するように電気モータを動作させるのに必要とされる電流レベ
ルである。
【0054】
 空の電流レベルは、構成要素をクランプするために電気モータを動作させる前の試験に
おいて決定され得る。任意選択で、この試験は、構成要素をクランプする動作ごとの前に
行われてもよい。
【0055】
 定期的に、例えば1年に1回、実行され得るツールの較正では、公称電流(すなわち、
電気モータの通常動作における最大電流)、ならびに所望のクランプ力に対応するモータ
における電流レベルが決定され得る。 20
【0056】
 ツールの動作ごとの前に、試験がツールから実行されてもよく、第1のクランプ座は、
間に構成要素が取り付けられることなく、第2のクランプ座に向かって駆動される。文中
のモータにおいて測定される電流は、クランプ座を単に変位させるために必要な駆動エネ
ルギーおよびトルクに対応するであろう。この試験で必要とされるトルクまたは電流のレ
ベルは、ツールにおける内部損失および内部摩擦の変化により変化し得る。そのような内
部摩擦および内部損失は、電気モータにおいて、電気モータとアクチュエータとの間の伝
動装置において、また、例えばアクチュエータにおいても、発生する可能性がある。図示
の例では、アクチュエータはスピンドルである。モータによって駆動されるスピンドル、
およびスピンドルとナットとの間の双方で、損失が発生する。これらの損失は、特に構成 30
要素の摩耗および亀裂(tear)の結果として変化する。
【0057】
 空の電流レベル(ツールが空であるときの電流のレベル)を決定するための試験は、各
瞬間での内部損失を確実に決定することができる。内部摩擦および損失が高すぎる場合に
は、電気モータが十分なクランプ力を提供できない可能性がある。例えば、公称電流から
空の電流レベルを引いたものが、クランプ力に必要な電流レベルよりも低い場合には、ツ
ールの動作が阻止され得る。
【0058】
 動作を阻止するための閾値(Ithreshold)は、以下の式:Ithresho
ld=Inom−Iclampによって提供され得る。式中、Inomは、電気モータの 40
公称電流であり、Iclampは、所定のクランプ力を提供するために必要な電流のレベ
ルである。
【0059】
 ツールの動作が阻止されない(すなわち、十分なクランプ力が提供され得る)場合には
、空の電流レベルを考慮して、各動作について、所定のクランプ力に対応する所望の電流
レベルを決定することができる。
【0060】
 図6を参照すると、I0は、ツールの寿命の初期における空の電流レベルに対応し得る
。ツールが使用され、構成要素が摩耗するにつれて、空の電流レベルは増大し得る。任意
の時点において、公称電流InomとIemptyとの間のマージンは、十分なクランプ 50
(12) JP 2021-156289 A 2021.10.7

力を提供するためのモータのマージンである。このマージンは、t=0で最も高くなり得
る。したがって、この時点で最大クランプ力が提供され得る。IemptyがIthre
sholdのレベルに達すると、モータはもはやIclampを提供することができず、

動作が阻止され得る。この場合、ツールはその寿命の終わりにある可能性があるか、また
は内部損失を低減するために何らかの修理または保守を必要とする可能性がある。
【0061】
 本明細書では、構成要素をクランプするためのアクチュエータを駆動する電気モータに
おける所望の電流レベルを決定するための方法が示されている。本方法は、所定の保持力
を提供するために必要なクランプ電流を決定することを含み得る。そのようなクランプ電
流は、例えば、ツールの較正において決定され得る。 10
【0062】
 本方法は、電気モータを試験において動作させることであって、試験は、構成要素の不
在下でアクチュエータを駆動することを含む、動作させることと、試験において電流レベ
ルを測定することによって、内部損失電流を決定することとを含み得る。次に、クランプ
電流を内部損失電流に加算することによって、(通常動作における)所望の電流レベルが
決定され得る。
【0063】
 本開示はまた、本明細書に開示される例のいずれかによるツールを使用して、構成要素
、特に風力タービンブレード部を取り扱う方法に関する。取り扱うことは、本明細書では
、保持すること、および/または移動すること、および/または向きを合わせること、お 20
よび/または持ち上げることを含み得る。
【0064】
 本開示はさらに、風力タービンブレードを組み立てる方法にも関し、本方法は、任意選
択でラック上に、ブレード根元部を配置することを含む。次いで、本方法は、本明細書に
開示される例のいずれかによるツールを使用して、風力タービンブレード先端を持ち上げ
て保持することを含み得る。本方法は、ブレード先端部がそのようなツール内に保持され
ている間に、ブレード先端部をブレード根元部に近接させることをさらに含み得る。本方
法は、次いで、ブレード先端部をブレード根元部に接合することを含み得る。いくつかの
例では、ブレード先端部およびブレード根元部は、ブレード先端部およびブレード根元部
を接合するための雄コネクタおよび雌コネクタを備えてもよい。いくつかの例では、本方 30
法は、接合する前に、ブレード先端部をブレード根元部に対して回転させることを含んで
もよい。回転は、ブレードの長手方向軸(すなわち、「ピッチング」)、または横方向軸
、または実質的に垂直な軸の周りで行われ得る。回転は、本明細書に開示される例のいず
れかに従って実行されてもよく、ブレード根元部に接近する前、接近している間、または
接近した後に実行されてもよい。持ち上げることは、クレーンによって持ち上げることを
含んでもよい。
【0065】
 本開示はまた、風力タービンブレード部を取り扱うためのキットに関する。キットは、
本明細書に開示される例のいずれかによるツールと、ツール上に取り外し可能に取り付け
るためのクランプ座の1つまたは複数の組とを備え得る。クランプ座の組は、少なくとも 40
、第1のブレード表面をクランプするための第1のクランプ座と、第2の反対側のブレー
ド表面をクランプするための第2のクランプ座とを含み得る。クランプ座の組はまた、本
明細書で先に開示されたような第3のクランプ座を含み得る。第1のクランプ座および第
2のクランプ座は、特定の風力タービンブレードの先端部をクランプするように構成され
得る。キットは、異なる風力タービンブレードの先端部をクランプするように構成された
クランプ座の組をさらに備えてもよい。ツールに取り付けられたクランプ座は、異なるブ
レード(先端)が取り扱われるときにはいつでも、他のクランプ座によって置き換えられ
得る。
【0066】
 完全を期すために、本開示の様々な態様を以下の番号付きの条項に記載する。 50
(13) JP 2021-156289 A 2021.10.7

【0067】
 条項1.構成要素を取り扱うためのツールであって、
 構成要素の第1の表面を受け入れるための第1のクランプ座と、
 構成要素の第2の表面を受け入れるための第2のクランプ座であって、第2の表面は第
1の表面の反対側にある、第2のクランプ座と、
 第1のクランプ座と第2のクランプ座との間に構成要素を所定のクランプ力でクランプ
するために第1のクランプ座を第2のクランプ座に対して移動させるためのアクチュエー
タと、
 アクチュエータを駆動するための電気モータと、
 電気モータにおける電流を決定し、決定された電流に基づいて所定のクランプ力を提供 10
するように電気モータを制御するように構成された制御装置と
 を備える、ツール。
【0068】
 条項2.制御装置は、ツール内の内部摩擦に起因する電気モータにおける電流を決定す
るようにさらに構成されている、条項1に記載のツール。
【0069】
 条項3.制御装置は、構成要素の不在下で電気モータを動作させることによって、ツー
ル内の内部摩擦に起因する電気モータにおける電流を決定するように構成されている、条
項2に記載のツール。
【0070】 20
 条項4.第1のクランプ座を移動させるためのアクチュエータが、ナットに配置された
ねじ付きスピンドルである、条項1乃至3のいずれか1項に記載のツール。
【0071】
 条項5.風力タービンブレードの部分の第2の表面を受け入れるための第3のクランプ
座を備える、条項1乃至4のいずれか1項に記載のツール。
【0072】
 条項6.フレームをさらに備え、フレームは、ツールを持ち上げるための1つまたは複
数の吊り具を含む、条項1乃至5のいずれか1項に記載のツール。
【0073】
 条項7.吊り具の少なくとも1つは、フレームに対して可動である、条項6に記載のツ 30
ール。
【0074】
 条項8.可動な吊り具の位置を制御するための吊り具アクチュエータをさらに備える、
条項7に記載のツール。
【0075】
 条項9.フレームが、
 第1のクランプ座および第2のクランプ座のうちの一方を支えるベースと、
 吊り具を支える上部フレームと
 を備える、条項6乃至8のいずれか1項に記載のツール。
【0076】 40
 条項10.第1のクランプ座および第2のクランプ座のうちの他方を支える中間フレー
ムをさらに備える、条項9に記載のツール。
【0077】
 条項11.上部フレームは、ベースに対して回転可能に取り付けられた支持ビームと、
支持ビームに取り付けられ、吊り具を支える1つまたは複数のアームとを含む、条項10
に記載のツール。
【0078】
 条項12.フレームのベースに対する支持ビームの向きを制御するための上部フレーム
アクチュエータをさらに備える、条項11に記載のツール。
【0079】 50
(14) JP 2021-156289 A 2021.10.7

 条項13.ツールは、風力タービンブレードの部分を取り扱うために構成されており、
任意選択で、風力タービンブレード先端を取り扱うように構成されている、条項1乃至1
2のいずれか1項に記載のツール。
【0080】
 条項14.ツールにおけるクランプ力を制御するための方法であって、
 第1のクランプ座と第2のクランプ座との間に構成要素をクランプするために、第1の
クランプ座を第2のクランプ座に対して駆動するように電気モータを動作させることと、
 電気モータにおける電流を測定することと、
 所定のクランプ力に対応する所望の電気トルクレベルに達するように電気モータを動作
させることと 10
 を含み、
 所望の電気トルクレベルは、空の電流レベルに基づいて決定され、空の電流レベルは、
構成要素の不在下で第1のクランプ座を第2のクランプ座に対して駆動するように電気モ
ータを動作させるのに必要とされる電流レベルである、方法。
【0081】
 条項15.空の電流レベルは、構成要素をクランプするために電気モータを動作させる
前の試験において決定される、条項14に記載の方法。
【0082】
 条項16.試験は、構成要素をクランプする動作ごとの前に実行される、条項15に記
載の方法。 20
【0083】
 条項17.空の電流レベルが所定の閾値を上回る場合には、電気モータの動作が阻止さ
れる、条項14乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【0084】
 条項18.所定の閾値Ithresholdは、以下の式:Ithreshold=I
nom−Iclampによって決定され、式中、Inomは電気モータの公称電流であり

、Iclampは所定のクランプ力を提供するために必要な電流のレベルである、条項1
7に記載の方法。
【0085】
 条項19.構成要素をクランプするためのアクチュエータを駆動する電気モータにおけ 30
る所望の電流レベルを決定するための方法であって、
 所定の保持力を提供するために必要なクランプ電流を決定することと、
 電気モータを試験において動作させることであって、試験は、構成要素の不在下でアク
チュエータを駆動することを含む、動作させることと、
 試験において電流レベルを測定することによって、内部損失電流を決定することと、
 クランプ電流を内部損失電流に加算することによって、所望の電流レベルを決定するこ
とと
 を含む、方法。
【0086】
 条項20.クランプ電流が較正段階で決定される、条項19に記載の方法。 40
【0087】
 条項21.構成要素、特に風力タービンブレード部、を取り扱うための方法であって、
 構成要素をクランプするために条項1乃至条項13のいずれか1項に記載のツールを使
用することを含む、方法。
【0088】
 条項22.構成要素を持ち上げて移動させることをさらに含む、条項21に記載の方法

【0089】
 条項23.構成要素を1つまたは複数の回転軸の周りで回転させることをさらに含む、
条項21または22に記載の方法。 50
(15) JP 2021-156289 A 2021.10.7

【0090】
 条項24.構成要素が風力タービンブレード先端部であり、1つまたは複数の回転軸の
周りで回転させることが、風力タービンブレード先端部を風力タービンブレード先端部の
長手方向軸線の周りで回転させること、および/または風力タービンブレード先端部を長
手方向軸線に対して垂直な軸線の周りで回転させることを含む、条項23に記載の方法。
【0091】
 条項25.風力タービンブレードを組み立てる方法であって、
 任意選択でラック上に、ブレード根元部を配置することと、
 条項1乃至条項13のいずれか1項に記載のツールを使用して、風力タービンブレード
先端部を持ち上げて保持することと、 10
 風力タービンブレード先端部をブレード根元部に近接させることと、
 ブレード先端部をブレード根元部に接合することと
 を含む、方法。
【0092】
 条項26.ブレード先端部およびブレード根元部は、ブレード先端部およびブレード根
元部を接合するための雄コネクタおよび雌コネクタを備える、条項25に記載の方法。
【0093】
 条項27.接合の前に、ブレード先端部をブレード根元部に対して回転させることを含
む、条項25または26に記載の方法。
【0094】 20
 条項28.持ち上げることがクレーンで持ち上げることを含む、条項25乃至27のい
ずれか1項に記載の方法。
【0095】
 条項29.風力タービンブレード部、特に風力タービンブレード先端部、を取り扱うた
めのキットであって、キットは、
 条項1乃至条項13のいずれか1項に記載のツールと、
 取り外し可能なクランプ座の1つまたは複数の組と
 を備える、キット。
【0096】
 本明細書は、例を用いて、好ましい実施形態を含む本発明を開示し、また、当業者が、 30
任意の装置またはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含
めて、本発明を実施することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲
によって定義され、当業者が想到する他の例を含むことができる。そのような他の例は、
特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言
との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図し
ている。当業者であれば、上述の種々の実施形態からの態様ならびに各々のそのような態
様についての他の公知の均等物を混ぜ合わせて適合させることで、本出願の原理に従った
さらなる実施形態および技術を構築することができる。図面に関連する参照符号が特許請
求の範囲の括弧内に配置されている場合、それらの参照符号は単に特許請求の範囲の明瞭
性を高めるためのものであり、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない 40

【符号の説明】
【0097】
10 ツール
12、14、16 クランプ座
13 バンパー
15 ホイール、ローラ
18 フレーム
19 中間フレーム
20 ベース 50
(16) JP 2021-156289 A 2021.10.7

21 スリーブ
21 上部フレーム
22 長手方向ビーム
23、24 アーム
24、63、65、67、69 横方向ビーム
26 支持ビーム
31、32、33 吊り具
34 可動スライド
36、45 アクチュエータ、ねじ付きスピンドル
38、50、133 モータ 10
40 電気モータ
46、48 直線ガイド
49 ハウジング
52 伝動装置
53 ベースプレート
54 上部フレームアクチュエータ、スピンドル
55 ばね
57、59 垂直な軸
58 スイベル
60 ナット 20
70 スリング固定具
73、75 シャックル
100 ピッチ軸受
107 ピッチシステム
109、131 環状ギヤ
108 ピニオン
110 ハブ
115 ロータ
120 ロータブレード
130 ヨーシステム 30
132 ヨー駆動装置
134、164 ギヤボックス
135 ピニオン
150 支持面
160 風力タービン
161 ナセル
162 発電機
163 ロータシャフト
165 ベッドプレート
165 支持フレーム 40
166 発電機シャフト
170 風力タービンタワー
PA ピッチ軸
YA ヨー軸
(17) JP 2021-156289 A 2021.10.7

【図1】 【図2】

【図3】 【図4】
(18) JP 2021-156289 A 2021.10.7

【図5】 【図6】
(19) JP 2021-156289 A 2021.10.7

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フロントページの続き

(72)発明者 ジョン・カール・ベル
      アメリカ合衆国 テキサス州 77041 ヒューストン クレイ・ロード 11330 ウエス
      ト・ウェイ・プラザ
(72)発明者 ウルリッチ・ニューマン
      アメリカ合衆国 サウスカロライナ州 29615 グリーンヴィル ガーリングトン・ロード 
      300
(72)発明者 ラッセ・ヴァックトヴォル・ニールセン
      デンマーク 6715 エスビヤー リンフィヨルドスヴジ 13
Fターム(参考) 3F004 AA02 AB10 AC01 AG06
        3H178 AA03 AA40 AA43 BB73 BB77 BB79 CC02
(20) JP 2021-156289 A 2021.10.7

【外国語明細書】
2021156289000001.pdf

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