論 文

ニ ュ ー ラル ネ ッ トを用 い た プ ロペ ラ形 風 車 発 電
システ ムの モデ リング

正 員 当宮 辰 美(阿 南高専) 学生員 坂 口 英 司(阿 南高 専)

正員 田中 達 治(阿 南高専) 正員 鈴木 茂 行(徳 島大 学)

Modeling of Wind Power Generating System with a Propeller Type Windmill by Neural Networks
TatsumiToumiya,EijiSakaguchiandTatsujiTanaka(Aran Collegeof Technology)
TakayukiSuzuki(The UniversityofTokushima)

One of the expected sources of natural energy for the future is wind energy, which has been actively studied as a substitute
sources of energy for the world. Not only about wind energy, natural energies of ocean, sun, etc. are clean and safe, but fluctuation
of properties are large and has poor reproducibility, so that most important subject is to find out methods to take out those energies
effectively. To simulate and control windmill power system by control sequence, we need to obtain the accurate model of the wind
power generating system previously.
It is well-known that neural networks are useful for many problems in nonlinear system because of the ability of learning and
nonlinear representation. We apply the neural network method to model a small-scale windmill power system which has a propeller
type windmill with a dc generator. We manifested the validity of the proposed method by simulation results from both the simulated
results for sinusoidal change of wind speed and natural wind speed by random sequence. Finally, the simulation results are illus
trated to show the effectiveness of the modeling method used here for field data of wind speed and windmill speed.

キ ー ワ ー ド:モ デ リ ング 、 風 力 発 電 、 プ ロペ ラ 形 風 車 、 ニ ュー ラル ネ ッ ト

1,は じめ に
自然 エ ネ ル ギ ー の 有 効 利 用 と い う 観 点 か ら 、 風 エ ネ ル
ギ ー を利 用 した 風 力 発 電 設 備 は,利 用 経 験 の 長 い ヨー ロ ッ
パ や ア メ リ カ に お い て は 大 型 化 の 傾 向 に あ る(1)。一 方 、 日
本 で の 利 用 は 、 各 地 の 電 力会 社 に お い て 数 酉kW規 模 の発
電 設 備 で 実 用 化 され る に 至 っ て お り(2)、ま た 、 離 島 な ど の
遠 隔 地 に お い て 、 小 規 模 風 力 発 電 シス テ ムや 太 陽 光 や
デ ィ ー ゼ ル 発 電 機 と風 力 発 電 を組 み 合 わ せ た ハ イ ブ リ ッ ド
発 電 利 用 も報 告 さ れ て い る(3)∼(6)。
風 エ ネ ル ギ ー は 、 ク リー ンで 再 生 可 能 な エ ネ ル ギ ー で あ
る と い う長 所 が あ る反 面 、 他 の 自然 エ ネ ル ギ ー と比 べ 、 エ
ネ ル ギ ー 密 度 が 低 く か つ 時 間 ・空 間 に よ り大 き く変 動 す る
最 大 の 欠 点 が あ る 。 そ こ で 、 効 率 よ く風 エ ネ ル ギ ー を 抽 出
し よ う とす る と 、 シ ス テ ム の 解 析 や 出 力 制 御 法 の 検 討 の た
め には 、発電 システ ムの 正確 なモデ ルが必 要 とな る。そ の
た め 、 従 来 か ら筆 者 らの 研 究 室 に お い て は 、 小 規 模 風 力 発
電 シ ス テ ム を 利 用 し た 発 電 シ ス テ ム の モ デ リ ン グや 各 種 出
力 制 御 法 の 検 討 を 行 っ て い る(7)(8)。
風 力発 電で は、入 力で ある風 速が 風車 に入 力され 風車 に
よ りエ ネ ル ギ ー が 伝 達 さ れ る た め 、 風 速 に 対 す る 風 車 速 度
の 関 係 は 非 線 形 性 が 強 い こ と を 確 認 して い る 。 これ は 、風
エ ネ ル ギ ー 変 換 効 率 の 主 体 は風 車 特 性(風 車 出 力 係 数 と風
車 トル ク 係 数)で 一 般 的 に 評 価 さ れ る が 、 こ の 風 車 トル ク
係 数Ct(λ)の 周 速 比(λ)に 対 す る 正 確 な 値 を 得 る こ とは
困 難 で あ る。 こ の た め 、 文 献(9)に 示 した よ う に 、 風 速 と
風 車 速 度 を 計 測 し、 そ の デ ー タ を 使 用 して 指 数 加 重 形 逐 次
パ ラ メ ー タ 推 定 に よ りそ の 特 性 を決 定 す る 方 法 を 開 発 し有
効 な 結 果 を 得 て い る 。 し か し 、 こ の 方 法 は 、 対 象 とす る 風
車 の慣 性 モ ー メ ン ト と発 電 機 の 諸 定 数 の 値 が 既 知 で あ る 必
要が ある。
と こ ろ で 、 ニ ュー ラル ネ ッ トは 、 非 線 形 な シ ス テ ム 特 性
を 記 述 す る の に 有 効 で あ る こ とが 知 られ て い る 。 そ こ で 、
今 回 、 ニ ュ ー ラ ル ネ ッ トを 利 用 して 、 プ ロ ペ ラ 形 風 車 発 電
シス テ ム のモ デ ル化 を検 討 す る 。 この方 法 は 、風 車慣 性
モ ー メ ン トな ど の風 車 特 性 や 発 電 機 の 諸 定 数 を 知 る 必 要 が
な くモ デ ル 化 が 行 え る の が 特 徴 で あ る 、 一 度 モ デ ル 化 され
る と、 対 象 風 車 発 電 シ ス テ ム に 対 して 、 どの 程 度 の 強 風 時
に風 車 回 転 数 お よ び 出 力 電 流 が 限 界 に な る の か 、 ま た 出 力
制 御 を検 討 す る 際 の カ ッ トイ ン風 速 や カ ッ トア ウ ト風 速 は
ど の 程 度 な の か 、 更 に 突 風 時 に 風 車 が ど の 様 な 応 答 を示 す
か な ど 、 実 機 で 実 験 す る こ と な く事 前 の シ ミ ュ レー シ ョ ン
によ り、使用 の 際 の基 礎 デー タを得 る こ とが可 能 とな る。
本 論文 では 、まず 、風 車発 電 シス テム の基 本 方程 式 の概
略 を説 明 し、 次 に 、 ニ ュ ー ラ ル ネ ッ トの 構 成 方 法 に つ い て

794 T. IEE Japan, Vol. 118-B, No. 7/8, '98

 NNの 風 車 発 電 シス テム モ デ リング

説 明 す る 。 そ し て 、 正 弦 波 状 風 速 や 計 算 機 内 で 発 生 させ た
自 然 風 を 使 用 して 、 ニ ュー ラ ル ネ ッ トに よ る モ デ リ ン グ の
有 効 性 を 検 討 し、 最 後 に実 測 した 風 速 、風 車 回 転 数 の デ ー
タ に よ り 、 こ こ で 提 案 す る ニ ュ ー ラ ル ネ ッ トに よ る 風 車 発
電 シス テム の モデ ル化 の有 効性 を確認 す る。

2.風 車 発 電 シ ス テ ム

<2.1>対 象 風 車 発 電 シ ステ ム 風 車 には 、 プ ロペ
ラ形 や ダ リ ウ ス 形 風 車 な ど多 く の 風 車 タ イ プ が あ る が(10)、
本 研 究 で は ニ ュー ラル ネ ッ トに よ る モ デ ル 化 の 妥 当 性 を 確
認 す る た め に 、 現 在 ま で 我 々 が 実 験 に使 用 し特 性 の 分 か っ
て い る 、 研 究 室 レベ ル で 熱 源 な ど に利 用 可 能 な 多 翼 形 風 車 図2 供試風車 の風車 トル ク係 数 と風車 出力係数
小 規 模 風 力 発 電 シス テ ム を 対 象 とす る(11)。そ の 風 箪 発 電 シ Fig.2. Torque and power coefficients of tested windmill.

ス テ ム 構 成 を 図1に 示 す 。 図 に 示 す よ う に 小 型 プ ロペ ラ 形
風 車 に 直 流 発 電 機 を カ ッ プ リ ン グ し、 発 電機 に は バ ッ テ ム の 方 程 式 を導 出 す る 。 そ こで 、 風 車 入 力 トル クTinは エ

リーや 抵 抗 な どが負 荷 として接 続 され る。 ネ ル ギ ー フ ロー に 着 自 して 考 え る と、 風 車 か ら 実 際 に 取 り

<2.2>発 電 システム基本方 程式 プ ロペ ラ形 風 出 せ た エ ネ ル ギ ー と取 り出 せ な か った エ ネ ル ギ ー の 和 とな

車 を 想 定 した 場 合 、 風 の 持 つ エ ネ ル ギ ーPinお よび風 車入 り 、 トル ク 式 で 表 わ す と 式(5)と な る 。

力 トル クTinは 風 速 をVwと す る と 、 そ れ ぞ れ 式(1)、(2)

Tin=Tw+Tf (5)
で 表 きれ る。
こ こに, Tw:風 車 出 力 トル ク 、Tf;風 車 損 失 トル ク
_??_
(1) そ こで 、 図1に 示 した 対 象 発 電 シ ス テ ム の 負 荷 と し て 、
熱 源 用 抵 抗 負 荷 を接 続 した 最 終 シ ス テ ム 方 程 式 は 式(6)と
_??_
(2) な る 。(導 出 お よ び 記 号 は 付 録 参 照)

こ こ に 、 ρ:空 気 密 度 、R:風 車 半 径 、Vw:風 速

ま た 、 一 般 的 に風 車 特 性 を 表 す 指 標 と して は.風 車 出 力
孫 数Cp(λ)と 風 車 ドル ク 係 数Ct(λ)(λ は 用 速 比 で λ=
RN/Vwた だ し 、N:風 車 速 度)が 用 い られ 、 本 研 究 で 使
用 す る 風 車 の 風 車 トル ク 係 数 と 嵐 車 出 力 係 数 を 図2に 示
す 。 そ こで 、 風 車 か ら取 り出 せ る 風 車 出 力 エ ネ ル ギ ーPw
_??_(6)
と風 車 出 力 トル クTwは 、Cp(λ)とCt(λ)を 用 いて表 す
と 式(3)、(4)と な る 。

Pw=Cp(ă)Pin (3)
そ こ で 、 風 車 発 電 シ ス テ ム の 特 性 を 、風 速 と風 車 速 度 だ

Tw=Ct(ă)Tin
ここで は風 速 の激 しい変 動 に対応 した 比較的 高速 の制御
を 目的 とす るた め、そ の動特 性 を考慮 した風 力発 電 システ
(4) け の 計 測 に よ り、 ニ ュ ー ラ ル ネ ッ トに よ る風 車 発 電 シ ス テ
ム の モ デ ル 化 を シ ミ ュ レー シ ョ ン に よ り検 討 す る 。 上 記 の
式(6)を 使 用 し て シ ミ ュ レー シ ョ ン を 行 う た め に 必 要 な 発
電 シス テ ム の パ ラ メ ー タ を 表1に 示す。

3、 ニ ュ ー ラル ネ ッ トに よ る モ デ ル 化

<3.1>ニ ュ ー ラ ル ネ ッ トの 方 法 と ころで 、
二 ユー ラ ル ネ ッ ト(以 下 、NNと 示す 〉 の構 成単 位 で ある
ニ ュ ー ロ ン の非 線 形 性 を 活 用 す る こ と に よ って 、 非 線 形 性

シ ス テ ム の モ デ ル 化 に対 し て 有 効 で あ る こ と が 報 告 さ れ て
い る(12)。NNは 図3に 示 す よ うな ニ ュ ー ロ ン(ユ ニ ッ ト)
の集 ま り に よ っ て 構 成 さ れ て い る 。 形 式 ニ ュ ー ロ ンで は 、
入 力 信 号x1,x2,…xnに 対 して 、膜 電 位 の 変 化 量uが 、式(7)
で 示 す 入 力 の 重 み 付 き 和 で 表 さ れ る.

図1 風 車発電 システム構成 図 _??_

(7)
Fig. 1. Configuration of windmill power generating system. ま た 、 出 力 値Zはuの 関 数 で あ り 、 式(8)の よ う に表 さ

電 学 論B, 118巻7/8号,平 成10年 795

 表1 供試風車 発電 シス テムの諸定数
Table. l. Constants of tested windmill power generating system.

図4 NNに よ る 風 車 発 電 シス テ ム の モ デ ル 化
Fig. 4. Modeling of windmill power generating system by NN.

れ る。

z=f(u-h) (8)
これ らの ニ ュ ー ロ ン を 多 数 結 合 してNNを 構 成 し、結 合
係 数Wjiを 調 整 す る こ と に よ り 、 非 線 形 性 を有 す る シ ス テ
ム に 対 し て も 柔 軟 性 の あ る情 報 処 理 が 可 能 と な る(13)。
<3.2>ニ ュ ー ラル ネ ッ トに よ る モ デ ル 化 図1
に示 す よ う に 風 車 に 増 速 ギ ア を 介 し て カ ッ プ リ ン グ さ れ た
発 電 機 を 含 め た 発 電 シ ス テ ム をNNで 構 成 す る こ とを考 図5 NNの 構造
え 、 そ の 構 成 概 要 を 図4に 示 し た 。NNの 構 成 は 、 図5に Fig. 5. Structure of the NN.

示 す3層 の 階 層 構 造 とす る 。 入 力 層 は 、12ユ ニ ッ トと し 、 トの 出 力 と し て 過 去 の 時 点 の 回 転 数 に つ い て は 、 図6に 示

NNへ の入 力 は大別 して風速 に関す る情報 、風車 速度 に関 し た 各 ス テ ッ プ 状 風 速 時 の 風 車 速 度 の 立 ち 上 が り特 性 を 参

す る 情 報 な らび に 実 発 電 プ ラ ン トと ネ ッ トの 出 力 回 転 数 と 考 に し た 。 こ の 図 よ り 、 対 象 とす る 発 電 シ ス テ ム の 立 ち 上
の 誤 差 で 構 成 さ れ る 。 風 速 に つ い て は 、現 サ ン プ ル 時 の 風 が り時 間 は 、風 速 の 大 き さ に よ り変 化 し風 速4m/sで 約20

速 とそ の 加 速 度 、 お よ び4秒 ま で さ か の ぼ った 各 秒 に お け 秒 程 度 で あ る 。 こ の た め 、 風 車 回 転 数 に つ い て は ネ ッ ト構
る過 去 の 風 速 デ ー タ で あ る 。 ネ ッ トか らの 出 力 で あ る 風 車 成 に 有 効 に 働 く と 考 え 、過 去15秒 まで さか の ぼ った値 を

速 度 に つ い て は 、 現 サ ン プ ル 時 の風 車 速 度 と風 車 加 速 度 な 使 用 した 。
一 方 、 中 間 層 の ユ ニ ッ ト数 は 、風 車 発 電 シ ス テ ム の 構 造
らび に 過 去15秒 前 ま で さ か の ぼ っ た5秒 間 隔 で の回転 数
デ ー タ で あ る 。 さ ら に 、 実 プ ラ ン トの 出 力 回 転 数 と ネ ッ ト を 考 慮 して 、 試 行 錯 誤 的 に 決 定 し10ユ ニ ッ ト と設 定 した 。
の 出 力 回 転 数 と の 誤 差 で あ り、 これ ら の 値 を シス テ ム の入 な お 、 こ こ で 使 用 し たNNに お け る 入 出 力 関 数f(x)は 、 入

出 力 特 性 を 反 映 させ る情 報 量 と して 選 択 し た 。 特 に 、 ネ ッ 力 層 に お い て は 、 式(9)で 表 示 さ れ る 線 形 関 数 を 、 中 間 層
と出 力 層 に お い て は 、式(10)で 示 され る シ グ モ イ ド関 数 を

用 いた。

f(x)=x(9)

(10)
ε:シ
グ モイド 関 数 の 傾 き
図3 ニ ュ ー ロ ン の数 学 モ デ ル
また、 ニ ュー ロン を結合 す る入 力層 と中間 層 との 間 の重
Fig 3. Mathematical Neuron model.
Xk:入 力 信 号 の 強 さ(k=1,2,… …,n) みwji、 中間 層 と出力 層 との 重 みwkjの 学 習 は、 勾配 法 に
u:膜 電位 の変化 量 基づ くBP法 で あ り、BP学 習法 は結合 荷重 の修 正 の 時期 に
wk:入 力 信 号 に 対 す る 重 み(結 合 荷 重) よって 逐次修 正 法 と一括修 正 法 に分 類 され るが 、今 回 は逐
h:し きい値 次修 正 法 を適用 した 。加 えて 、学 習 の高速 化 を図 るた めに
z:出 力値 慣性 項 を導 入た 逐次 修正 法+慣 性 項 に よる学 習 法 を採 用 し

796 T. IEE Japan, Vol. 118-B, No. 7/8', '98

 NNの 風 車発 電 シス テム モ デ リング

図6 供 試 風 車 発 電 シス テ ム の ス テ ッ プ応 答 特 性
Fig. 6. Step response characteristics of the tested windmill power

generating system.

図8 正 弦 波 状 風 速 時 の5回 目の学習結果
Fig. 8. Simulation results for sinusoidal wind speed at 5th stage of

learning.

図7 正弦 波状入 力風 速 と風車速度特 性
Fig. 7. Sinusoidal change of wind speed and windmill speed charac
teristics.

た 。 こ の 手 法 で は 、 ま ず 、 あ る入 力パ タ ー ン をNNに 提示 図9 学 習 回 数5回 目の結合荷重 の変化

Fig. 9. Responses of weight in the 5th stage of learning.
し 、 そ れ に 対 す る 出 力 結 果 を得 、 次 に 、 出 力 結 果 と 目 標 値
で あ る 教師 信 号 との 誤差 を逆 伝播 しなが ら、 各層 の 各ユ 状 態 で あ る こ とが わ か る 。 図10は 学 習 回 数100回 目の結
ニ ッ トに お け る誤 差 を 求 め る 。 さ らに 、 そ の 誤 差 と 、 前 回 果 で あ る 。 上 図 よ り教 師 値 と ネ ッ ト出 力 は 回 転 数 の 高 い 所
の 結合荷 重 の修 正量 を も とに結合荷 重 の修正 を行 い、 これ と低 い所 に少 しの 誤 差 が 認 め られ る が 、 ほ ぼ 一 致 し て い る
ら の 処 理 を 誤 差 が 小 さ く な る ま で 繰 り返 し 、 以 上 の 処 理 を の が 確 認 で き 、 下 図 の 誤 差 の 図 は そ の こ と を 表 して い る 。

全 入 力 パ タ ー ン に 対 し て 行 う方 法 で あ る(14)。 図11は そ の 時 の 結 合 荷 重 の 変 化 の 図 で あ る 。 これ よ り、
結 合 荷 重 の変 化 は ほ と ん ど な く 、 学 習 が ほ ぼ 終 了 して い る
4.シ ミ ュ レー シ ョ ン結果
と判 断 され る 。 図12は 学 習 回 数100回 目 ま で の2乗 平均
<4.1>正 弦波状風速時の特性 穏 や か に風 速 が 変
誤 差 特 性 を 示 し て い る 。 こ の 図 よ り学 習 回 数20回 まで に
化 す る 場 舎 を 想 定 し て 正 弦 波 状(オ フセ ッ ト風 速5m/s、 振 は ほぼ学習 が行わ れ 、それ以 上 の学 習で は細 かな変 動 の修
幅8m/s、 周 波 数0.01Hz)の 緩 や か な風速 が 入 った場 合 正 が 行 わ れ て い る と考 え られ る 。 そ こで 、 学 習 終 了 後 の 結
につ いて検 討 した。 まず 、無負 荷時 で のモデ ル化 の検 討の
合 荷 重 を 固 定 して 、別 の 正 弦 波 状 入 力 を 入 れ て 学 習 さ れ た
た め 、 図7に 入 力 し た 正 弦 波 状 の 風 速 とそ の 時 の 真 値(教 ネ ッ トの 妥 当 性 を 調 べ た 。 こ の 時 の 風 速 は オ フ セ ッ ト風 速
師 値)で あ る 風 車 速 度 を示 し た 。 この 図 よ り、 風 車 速 度 が 4m/s、 振 幅6m/s、 周 波 数0.015Hzと し、 そ の 結 果 を 図
40rad/secか ら ほ ぼ0回 転 ま で 減 少 して い る 。 図8は 、こ 13に 示 す 。 こ れ よ り、 別 の 正 弦 波 状 の 風 速 を 入 れ て も 、
の 時 の 学 習5回 目の結 果で あ る。上 図で破 線 は教師 値 を示 ほ ぼ 回 転 数 は 一 致 し学 習 ネ ッ トの 妥 当性 が 確 認 で き る。 な
し、 実 線 は こ の 時 の 学 習 ネ ッ ト出 力 回 転 数 で あ る 。 学 習 回 お 、別 の 風 を入 力 す る 場 合 に は 、 図4のNNへ の入 力で あ
数 が5回 と 少 な い た め 教 師 値 と ネ ッ ト出 力 の 値 は か な り異 る 誤 差eは 、 発 電 シ ス テ ム 特 性 がNNに 構成 されて いるの
な り、 そ の 誤 差 が 下 図 の 誤 差 の 図 で あ る 。 図9は その時 の で 零 と して シ ミ ュ レー シ ョ ン を行 っ て い る 。
中 間 層 か ら 出 力 層 へ の 結 合 荷 重 の 変 化 を 示 して い る 。 この 次 に 、負 荷 時 で の モ デ ル 化 の検 討 と して 、発 電 機 に抵 抗
図 よ りそ れ ぞ れ の 結 合 荷 重 は 大 き く変 動 し学 習 過 程 が 進 行 負 荷RL=4Ω を 接 続 した 時 の 特 性 を 図14に 示 した。 図 中

電 学 論B, 118巻7/8号,平 成10年 797

 図10 正 弦 波 状 風 速 時 の100回 目 の 学習 結 果 図13 別 の正弦波状 風速入 力時 の特性
Fig. 10. Simulation results for sinusoidal wind speed at 100th stage Fig. 13. Simulation results for another sinusoidal wind speed.

of learning.

図11 学 習 回 数100回 目の 結 合 荷 重 の 変 化 図14 負 荷時の正 弦波状風速 に対 する特性

Fig. 11. Responses of weight in the 100th stage of learning. (a) 学 習 結 果 、(b) 負 荷 電 流 、(c) 別 風 速 時 の 特 性
Fig. 14. Simulation results for sinusoidal wind speed with resistive
load. (a)Lcarning result of windmill speed. (b) Generator current.
(c)Simulation results for another wind speed.

<4.2>シ ミュ レー ト した 自然 風 時 の 特 性 次 に、
乱 数 とバ タ ー ワー ス フ ィ ル タ ー を 使 用 し て 発 生 させ た 自 然
風 に 対 して 検 討 を加 え た 。 図15は 、 無 負 荷 時 に お いて 振
幅6m/sec、 オ フ セ ッ ト風 速4mfs、 カ ッ トオ フ 周 波 数02Hz
の ラ ン ダ ム 風 速 に オ フ セ ッ ト風 速 一1mfs、 振 幅5mfs、 周
波 数0。01Hzの ゆ っ く り と した 正 弦 波 風 速 を 加 え た 時 の70
回 目 の 学 習 結 果 で あ る 。 こ の 図 よ り、 風 車 回 転 数 の 立 ち 上
が り にお いて 少 しの 誤 差 が 認 め られ る が 、 教 師 値 と ネ ッ ト
図12 2乗 平均 誤 差 特 性 出 力 回 転 数 と は よ く 一致 し、 自 然 風 に お い て もNNに よる
Fig. 12. Characteristics of mean square error. モ デル 化 が行 えて いる こ とがわ か る 。
次 に 、 正弦 波 状 風 速 の 場 合 と 同 様 、学 習 後 の 結 合 荷 重 を
(a)は 図7と 同 じ風 速 入 力 時 の 教 師 回 転 数 と学 習 回 数10
0回 の ネ ッ ト出 力 回 転 数 で あ る 。 こ の 図 よ り 、 負 荷 時 で も 固 定 して 別 の 自然 風 風 速 を 入 れ た 時 の 結 果 を 図16に 示 し
た 。 こ の 時 の 風 速 は 前 述 の 重 畳 す る 正 弦 波 の 周 波 数 を2倍
両 者 は 良 く 一 致 して い る 。 同 図(b)は 、 そ の 時 の 負 荷 電 流
と して い る 。 こ の 図 よ り前 述 の 場 合 と 同 様 、 風 車 速 度 の 立
の 変 化 を 示 し、 回 転 数 に 対 応 し た 電 流 の 変 化 が 確 認 で き
る 。 同 図(c)は 、 学 習 後 の 別 正 弦 波 状 風 速 を 入 力 した 時 の ち 上 が りにお いて誤 差 が 少 し認 め られ る が ほ ぼ 教 師値 と
ネ ッ ト出 力 回 転 数 は 一致 して お り、NNに よ るモ デ ル化 の
結 果 で あ り、 この 図 よ り負 荷 時 に お い て もNNに よ るモデ
ル化 が 行 え て い る。 有 効性 が確 認 で きる 。

798 T. IEE Japan, Vol. 118-B, No. 7/8, '98

 NNの 風車 発 電 シス テム モ デ リン グ

図18 自然 実 測 風,速と風 車 速 度
図15 自 然風 風 速 時 の70回 目 の学 習 結 果
Fig. 18. Natural wind speed and windmill speed of field data.
Fig. 15. Simulation results for natural wind speed at 70th stage of
learning.
さ ら に 、正 弦 波 状 風 速 を加 え た 時 と 同 じ 条 件 で 、負 荷 時
に お け る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 を 図17に 示 した 。 図(a)
は 、 そ の時 の 教 師 風 車 回 転 数 と 学 習 回 数100回 時のネッ ト
出 力 回 転 数 で あ る 。 この 図 よ り、 負 荷 時 で も 両 者 は ほ ぼ 一
致 して お り、 そ の 時 の 負 荷 電 流 の 変 化 を 表 す 図(b)は 、回
転 数 の変化 に対応 した電流 が 流れ て い るの が確 認 で き る。
ま た 、 図(c)は 学 習 後 に 別 自 然 風 風 速 を 入 力 し た 時 の 結 果
で あ り、 自然 風 入 力 時 に お け る 負 荷 が か か っ た 状 態 で も 、
ほ ぼNNに よるモ デル 化が行 えて いる。
<4.3>実 測 デ ー タ で の特 性 供 試 風 車 発 電 シス テ
ム を本 校 屋 上 に設 置 し 、 比 較 的 風 速 が 大 き い 日 に 風 速 と 風
車 速 度 を計 測 し た デ ー タ に対 し て 、 提 案 す る モ デ ル 化 の 有
効 性 を 検 討 した 。 な お 、 計 測 に関 して は 、風 車 受 風 面 の 風
速 を正 確 に 計 る た め 、 風 向 の 変 化 が 影 響 しな い よ う に風 速
計 と風 車 を 風 向 に 対 して 固 定 し て 測 定 を 行 っ た 。 図18
図16 別 の 自然 風 風 速 時 の 特 性 は 、 そ の時 の 風 速 と風 車 速 度 の 変 化 特 性 で あ る。 こ の デ ー
Fig. 16. Simulation results for another natural wind speed. タ を 使 用 して70回 学 習 した 結 果 を 図19に 示 す 。 この 図
よ り、 教 師 値 とネ ッ ト出 力 回 転 数 は よ く一 致 して お り 、 実
測 デ ー タ を 使 用 し て もNNに よる モデル 化 が可能 で あ る こ
とが わか る。
次 に 、 先 ほ ど と 同 様 、 学 習 後 の 結 合 荷 重 を 固 定 して 別 の
実 測 し た 風 速 と風 車 速 度 の デ ー タ に対 して ネ ッ トの 有 効 性
を 検 討 した 結 果 を 図20に 示 し た 。同 図(a)よ り、実 測 デ ー
タ を使 用 して も 、 計 測 風 車 回 転 数 に対 し て ネ ッ トの 出 力 は
良 く 一 致 し、NNに よ るモデ ル化 が行 え て いる のが確 認 で
き る 。 一 方 、 図20(b)は 、 また 別 の 計 測 デ ー タ を 使 用 し
た 時 の 結 果 で あ る 。 この 図 は 、 教 師 値 で あ る 計 測 風 車 回 転
数 に対 して ネ ッ トの 出 力 は 、変 化 の 傾 向 は よ く似 て い る も
の の そ の値 につ いて は 若 干 の 誤 差 が 認 め ら れ る 。 そ の 原 因
と し て 、 この 計 測 風 速 お よ び 風 車 回 転 数 デ ー タ で は 、 風 向
が 大 き く 変 動 した た め 、 計 測 した 風 速 の 値 が 風 車 回 転 トル
ク を 発 生 さ せ る 風 車 受 風 面 の 正 確 な 風 速 と 良 く一 致 して い
図17 負荷 時の 自然風 風速時 の特 性
な い こ と に よ る も の と考 え られ る 。 この た め 、 実 際 の 風 力
(a) 学 習 結 果 、(b) 負 荷 電 流、(c) 別 風 速 時 の 特 性
発 電 プ ラ ン トに お い て 本 モ デ ル 化 手 法 を 使 用 す る 場 合 に
Fig. 17. Simulation results for natural wind speed with resistive load.
は 、 風 速 計 測 は な る べ く風 車 に 近 づ け 風 車 受 風 面 の 正 確 な
(a) Learning result of windmill speed. (b) Generator current.
風 速 デ ー タ を 計 測 す る 必 要 が あ る と 考 え られ る 。
(c)Simulation results for another wind speed.

電 学 論B, 118巻7/8号,平 成10年 799

 計測 デー タ に対 して適用 した結果 、 シ ミュ レー シ ヨンデ ー
タ と 同 様 ほ ぼ 満 足 の い く結 果 を得 た 。 し か し 、 風 向 が 大 き
く変 動 す る 場 合 の 風 速 、 回 転 数 デ ー タ に 関 して は 、 注 意 を
要 す る こ とが 判 明 した 。 今 後 、風 向 変 動 も 考 慮 した モ デ ル
化 の検 討 と 、 こ の モ デ ル 化 の 手 法 を使 用 し た 効 率 的 エ ネ ル
ギ ー 抽 出制 御 法 の 開 発 を 検 討 す る 予 定 で あ る 。 な お 、 本 研
究 は 、 平 成8∼9年 度 文 部 省 科 学研 究 費補 助 金 基 盤 研 究
(C) (No. 08650358)の 一 部 と して行 った もので あ る。
(平威9年10月28日 受 付 、 同10年2月24日 再 受 付)

参 考文献

(1) 牛 山 泉:「 世 界 のMW級 風 力 発 電 装 置 に つ い て 」、 日

本 風 力 エ ネ ル ギ ー 協 会 誌; Vol. 20, No. 2, pp. 14-18, 1996.

図19 自然実測風速時 の学習結果 とその誤差
Fig. 19. Learning results for natural wind of field data. (2) 土屋 敬 一 、松 坂 知行 、山田 佐佳 、佐久 間 正、

猪股 登:「 風 力 発 電 シ ス テ ム の 運 転 特 性 シ ミ ュ レ ー

シ ョ ン ー 竜 飛 ウ イ ン ドパ ー ク に お け る 場 合 一 」、 電 気 学

会 論 文 誌B、Vb1. 113-B, No. 7, pp. 752-759, 1993.

(3) 金 子 、 見 目 、 榊 原:離 島 型 電 力 負 荷 に 適 し た 太 陽 光.
風 力 ハ イ ブ リ ッ ド発 電 シ ス テ ム の 構 成 と 自 然 エ ネ ル

ギ ー 浸 透 、 電 気 学 会 誌 、Vbl. 112-D, No. 3, pp, 270-

276, 1992.

(4) 清 水 、 森 沢:風 力 発 電 とデ ィー ゼ ル 発 電 機 に よ るハ イ
ブ リ ッ ド シ ス テ ム の 研 究 開 発,日 本風 力エ ネル ギー協

会 誌, Vol. 14, No. 1, pp. 17-20, 1990.

(5) 森 本 、 見 目 、 中 川 、 榊 原:独 立 型 太 陽 光 ・風 力 発 電 シ
ス テ ム の 適 応 型 フ ァ ジ ィ 制 御 、 電 気 学 会 誌 、Vol. 116-

B, No. 8, pp. 993-1000, 1996.

図20 別 自然実測風 速時の特性 (6) 牛 山 ・大 津:「 世 界 と 日 本 の 小 型 風 車 の 動 向 」,第18回

風 力 エ ネ ル ギ ー 利 用 シ ン ポ ジ ウ ム, pp. 67-78, 1996.
(a) 風 向 変 化 が 小 さ い 時 (b) 風 向 が 大 き く変 化 の 時
Fig. 20. Simulation results for another natural wind field data. (7) T. Toumiya, T. Suzuki, T. Sakakibara: Blade-pitch
(a)small direction change. (b)large wind direction change. angle-controllable windmill simulator, International
Journal of Energy Research, Vol. 17, pp. 89-104,
5.む すび 1993.
(8) 田 中 、 当 宮 、 鈴 木:フ ァ ジ ィ 制 御 に よ る バ ッ テ リー 負
各種 風 車 の中で も、プ ロペ ラ形風車 発電 シス テム は入 力
荷 風 力 発 電 シ ス テ ム の 出 力 綱 御 、 電 気 学 会 論 文 誌B、
で あ る風 速 に対 し、風 車 回転速 度 は非線形 特性 を示す こと
Vol. 115-B, pp. 692-697, 1995.
が 知 られて い る。 このた め、風 エ ネルギ ー を効 率 よ く取 り
(9) 当 宮 、 松 尾 、 鈴 木:「 プ ロペ ラ 形 風 車 の 風 車 損 失 係 数
出す た め の制御 法 の開発 や強風 時 にお ける風 車速度 の挙 動
(風 車 トル ク 係 数)推 定 法 」、 電 気 学 会 誌B、Vol. 111,
の検 討 に は、発 電 システ ムの モデ ル化が 必要 とな る。本稿
No. 6, PP. 661-669, 1991.
で は 、プ ロペ ラ形風 車 に直流発 電機 を接続 した小規模 風 力
(10) Dr. Dale E. Berg:「 垂 直 軸 風 車 一 従 来 技 術 の 現 状 」,第
発電 システ ム を対象 に、 ニュー ラル ネ ッ トを用 いた モデル
18回 風 力 エ ネ ル ギ ー 利 用 シ ン ポ ジ ウ ム, pp29-38, 1996,
化 に つ いて シ ミュ レー シ ョンに よ り検 討 した 。
そ の結 果 、緩や か に変動 す る正弦波 状風 速お よび シミュ (11) 鈴 木 、 鎌 野 、 原 田:多 翼 形 風 車 発 電 シス テ ム の 特 性 、電

気 学 会 誌B、Vol. 108, No. 9, pp. 415-422, 1988.

レー トした 自然 風 に対 して も、本稿 で提案 したニ ュー ラル
(12) 野 田 、 鎌 野 、 鈴 木 、 安 野 、 原 田1ニ ュー ロ サ ー ボ コ ン ト
ネ ッ トによ るモ デル 化の 有効性 を確 認 し、非線 形要 素 を含
ロー ラ を 用 い た非 線 形 多 軸 シ ス テ ム の 高 速 同期 制 御 、電
む 風 車 発 電 シス テ ム の モ デル 化 が 可能 とな った 。 な お 、
ニ ュー ラル ネ ッ トの 構成 につ いて は、 ネ ッ ト入力 と して風 気 学 会 誌D、Vol. 115, No. 11, pp. 1365-1372, 1995.

(13) 松 葉 育 雄:ニ ュ ー ラ ル シ ス テ ム に よ る 情 報 処 理,昭 昇

速 に関す る情 報 、ネ ッ ト出力 で ある風車 速度 に関す る情 報
堂, pp. 121-145, 1993.
と実 際 の風車 速度 とネ ッ トか らの風 車速 度 との誤差 で 構成
して いる。 (14) 安 居 ・長 橋 ・高 橋:ニ ュ ー ラ ル プ ロ グ ラ ム,昭 晃 堂, pp. 1
57, 1993.
さ らに 、 この手法 を実 際 の風 車発 電 シス テム を使 用 した

800 T. IEE Japan, Vol. 118-B, No, 7,18, 198

 NNの 風車 発 電 シ ス テム モ デ リング

付 録
(6)式 の導 出
発 電 機 へ の 入 力 トル ク をTgと す る と 、 風 車 出 力 トル ク
式 は 式(付1)と な る。

_??_ (付1) _??_

(付8)

こ こ に 、Jw:風 車 慣性 モ ー メ ン ト

ま た,風 車 か ら取 り出 せ な か っ た 損 失 トル クTfはVwと
Nの 関 数 とな り 、 風 車 損 失 トル ク 係 数Kf0∼Kf2を 用 いて この 様 に 、 風 速 お よ び 風 車 特 性 を表 す 風 車 慣 性 モ ー メ ン
式(付2)で 近 似 で き る こ と を 確 認 し て い る(9).(11)。 トや 風 車 損 失 係 数 、 さ らに 、 発 電 機 の 各 パ ラ メー タ が 事 前
に既 知 で あ る と式(付8)に よ り シ ミ ュ レー シ ョ ン が 可 能 と
Tf=Kf0VW2+Kf1VWN+Kf2N2 (付2)
なる。
次 に、 負荷側 と して の直流 発電機 へ の入 力 トル ク を考 え
る。 一般 に 、風車発 電 シス テム にお いては 、発電機 の回転 当宮 辰美 (正 員)1951年6月16日 生 ま れ 。1976
数 を高 め るた め に増速 機 が用 い られ、 そ の増速 比 をGrと 年3月 徳 島大 学 大学 院 工学 研 究科 電 気
す る と、風 車速 度Nと 発 電機 速度Ngと の関係 は式(付3) 工 学専 攻修 士 課程 修 了。 同年 阿南 工業
とな る。 高 等 専 門 学 校 電 気 工 学 科 助 手 、1991年
4月 同 校 助 教 授 、1997年4月 同校 教 授 。
Ng=GrN (付3)
現 在 、電気 機 器制 御 法及 び風 力エ ネル
従 っ て 、(付3)式 の増 速 比 を使 用 した 発 電 機 の トル ク方
ギ ー 利 用 の 制 御 法 の 研 究 に 従 事 。 シス
程 式 は 式(付4)と な る。
テ ム 制 御 情 報 学 会 会 員 、 日本 風 力 エ ネ
ル ギー 協 会会 員 。 医博 、工 博 。

_??_
(付4) 坂口 英司 (学生 員)1976年4月25日 生 まれ 。
1997年3月 阿 南 工 業高 等 専 門 学 校 電
こ こ に 、Jg:負 荷 発 電 機 慣 性 モ ー メ ン ト、Fvg:負 荷 気 工学 科 卒業 。同年 阿 南 工業 高等 専 門
発 電 機 の 粘 性 摩 擦 係 数 、Tcg:負 荷 発 電 機 ク ー ロ ン摩 擦 ト 学 校専 攻 科電 気 制御 情報 工 学 専攻 、現
ル ク 、TL:発 電 機 出 力 トル ク 在 に至 る。ニ ュー ラル ネ ッ トによ る風
一 方 、 発 電 機 出 力 トル ク は 、 図1に 示 した よ う に 、 発 電 力発電 シス テム の モデ ル化 に関す る研
機 に抵 抗 負 荷 が 接 続 され た 発 電 モ デ ル を 考 え る と発 電 機 負 究 に従 事 。
荷 トル ク は 式(付5)と な る。

TL=KtI0 (付5)
田中 達治 (正 員)1959年10月4日 生 ま れ 。1984
こ こに 、Kt:発 電 機 トル ク係 数 、Ia:電 機 子電 流
年3月 長 岡技 術 科 学大 学大 学 院 工 学研
そ して 、 発 電 機 の 電 圧 方 程 式 は 式(付6)と な る。
究 科電 気 電子 システ ム 工学 専攻 修 士課
KvNg=KvGrN 程 修 了 。 日立 シ ス テ ム エ ン ジ ニ ア リ ン
(付6) グ(株)を 経 て 、1991年5月 よ り阿 南
=R
aIa+Vb+RLIa
工 業 高 等 専 門 学 校 助 手 、1997年4月 同
こ こに 、Kv:誘 導 起 電 力 定 数 、Ra:電 機 子 抵 抗 、Vb:
校 助教 授。 現在 、風 力発電 シス テム の
ブ ラ シ 電 圧 降 下 、RL:負 荷 抵抗
制 御法 の研 究 に従 事 。電子 情 報 通信 学
な お 、 式(付6)に お い て 電 機 子 反 作 用 は 無 視 して い る 。
会 会員 。
そ こ で 、 電 機 子 電 流 を 式(付6)か ら求 め る と式(付7)と な
る。
鈴木 茂行 (正 員)1939年3月14日 生 ま れ 。1966
年3月 徳 島 大学 大 学 院工 学研 究 科 電 気
_??_
(付7) 工学 専攻 修 士課 程修 了。 同年 同大 学 助
手 、1982年10月 同大 学校 教 授 。現在 、
した が っ て 、 式(付5)に 式(付7)を 代 入 し たTLを 式(
風 力工 ネル ギ ー の利 用 、各種 電 動機 の
付4)に 代 入 し、 そ のTgを 式(付1)に 代 入 す る 。そ して 、式
速 度 ・位 置 制 御 法 の 研 究 に従 事 。 電 子
(5)に 、式(2)、 式(付1)、 式(付2)を 代 入 す る と 式(付8)を
情 報 通 信 学 会 、 計 測 自動 制 御 学 会 、 日
得 る。
本風 工学 会 会 員 。 工博 。

電 学 論B, 118巻7/8号,平 成10年 801