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巻 頭 言 Foreword

こ れ か らの 「粉 づ く り」 と は?
Powder Preparation for Future Powder Technology!

鈴木 久男
Hisao Suzuki

い わ ゆ る 「ナ ノ」 が 研 究 対 象 とな って 久 しい が,粉 体 で に1円 を下 回 って い る)。 一 昨 年 の技 術 討 論 会 の段 階


工 学 会 に お い て も最近 で は 「ナ ノ」 や 「ユ ビキ タ ス」 と で は,MLCCの 膜 厚 は1μmを 目指 して い た 訳 で あ る
い うキ ー ワ ー ドは 日常 化 しつ つ あ る。 す な わ ち,ナ ノ フ が,最 近 で は す で に ナ ノ薄 膜 が タ ー ゲ ッ トと な って い
ァイ バ ー や ナ ノロ ッ ドあ る い はナ ノ ワイ ヤ ー や ナ ノ ドッ る。 具 体 的 に は500nmが こ こ数 年 以 内 の 目標 で あ る
トな ど の ナ ノ粒 子 を創 製 す る技 術 や 研究 は す で に 当 た り が,こ の た め に は チ タ ン酸 バ リウム ナ ノ粒 子 の サ イ ズ は
前 の こ とに な りつつ あ り,如 何 に役 に立 つ ナ ノ粒 子 を つ 100nm前 後 が 不 可 欠 で あ る。 こ の 様 な結 晶 性 あ る い は
くる か と言 うこ とが 重 要 に な りつ つ あ る 。 イ ンパ ク トフ 機 能性 が 高 い ナ ノ粒 子(場 合 によ って は コア シ ェル構 造
ァ クタ ー の高 い雑 誌 を 目指 した り,多 くの 外部 資 金 を獲 を 持 った 原料 ナ ノ粒 子)を 安 価 に つ くる に は,「 晶析 」
得 して世 の 中 の 注 目 を集 め る こ とだ けが 良 い研 究 で あ る と 「結 晶析 出」 の融 合 が 不 可 欠 で は な い だ ろ うか 。一 方
か の よ うな風 潮 が蔓 延 す る 中 で,今 後 を 見 据 え た確 か な で,今 後 実 用 化 が望 まれ るMEMSデ バイスにお いては
技 術 を確 立 して行 くこ と は ます ます 大 き な 意 味 を持 つ よ あ る程 度 の変 位 量 と トル クを 実現 す る た め に,数 μmの
うに な って き た と感 じて い る。 その 一 方 で,一 部 の大 学 膜 厚 を持 つ圧 電 体 膜 の 安 価 な 作 製方 法 の 開 発 も望 まれ る
以 外 で は前 述 の傾 向 を反 映 して地 道 な基 礎研 究 を続 け る で あ ろ う。 こ の様 な メ ソ膜 に お い て は,シ リ コ ン ウ エ
こと に大 き な 困難 を伴 う よ う にな って き た こ と も事 実 で ハ ー上 に 低温 形 成 しな けれ ば な らな い と言 う制 約 は あ る
あ り,ア カ ウ ンタ ビ リテ ィー を考 慮 した 短 期 的 に 成果 が もの の,作 製 後 の粒 径 は あ る程 度 大 きな 方 が よ い(結 晶
見込 め る研 究 も同時 に 目指 さ な い限 り,基 盤技 術 に関 す 性 や 機 能 性 の た め)。 す な わ ち,粉 体 材料 創 製 の 新 しい
る 長期 的 な研 究 を続 け る こ と は難 しい時 代 とな って しま パ ラダ イ ム を提 案 し,比 較 的 大 きな 粒子 を 低 温 で緻 密 化
った。 そ ん な 中 で,粉 体 づ く りに関 して も う一 度 基 礎 に す る新 規 手法 を 見 出す こ とが で きれ ば,革 新 的 な 材料 創
立 ち返 り,プ ロセ ッ シ ング の重 要 性 を 再 度 見直 す た め の 製 の 開 発 に繋 が る もの と期 待 され る。 この 様 な 夢 を持 ち
討 論 会 を 開催 で き る機 会 に恵 まれ た こ とは,今 後 の粉 体 つ つ,粉 体工 学 の研 究 に 日 々勤 しむ こ とで 豊 か な 研究 生
工 学 に と って も大 き な意 味 を持 つ もの と考 え られ る。 連 活 が 実現 で き る こ と は,わ れ われ の 本懐 で はな い だ ろ う
載講座 「粉 体 ナ ノ テ クノ ロ ジ ー」 もす で に 第3章 が開 始 か 。 例 え ば,ナ ノ粒 子 の 表 面 状 態 を 自由 に制 御 で き れ
され,技 術 討 論 会 に お い て も最 近 で はナ ノテ ク ノ ロ ジー ば,上 述 の よ うな革 新 的 な プ ロセ スの 開 発 が 可 能 か も知
を強 く意 識 した 内容 が 多 くな って い る。 そ して,第42回 れ な い 。 そ こで第42回 技 術 討 論 会 で は,ナ ノ粒 子 の 表 面
を迎 え る本 年 は,粉 づ く りの原 点 と も言 え る 「ビル ドア 修 飾 に造 詣 の深 い名 古 屋 工 業 大 学 の 藤 先 生 や プ ラ ズマ プ
ップ プ ロセ ス に よ る粉 体 材 料 の高 機 能 化 」 に つ い て議 論 ロセ ス で 高 機 能 ナ ノ粒 子 の 創 製 を ご研 究 さ れ て い る 物
す る。 粉 づ く りに対 す る考 え方 は,学 会 と産業 界 で少 し 質 ・材料 研究 機 構 の石 垣 先 生 に結 晶 析 出 の 立場 か ら ご講
趣 が異 な る よ うに思 え る。 す なわ ち,産 業 界 で は如 何 に 演 頂 く と と もに,晶 析 の立 場 か ら山 崎康 夫 様 に 招 待講 演
効 率 よ く再現 性 の あ る粉 づ く りを す るか とい う 「晶析 」 と解説 記 事 を お願 い した。 ま た,有 機 系 ナ ノ粒 子 の析 出
と言 う考 え方 が あ り,一 方 で は化 学 的 あ るい は物 理 的 な に関 して も講 演 を依 頼 す る予 定 で あ る。 さ らに,今 年 度
要 因 を考 慮 した 気相 あ る い は液 相 か らの 析 出反 応 を考 え か ら募 集 が 開始 さ れ た文 部 科 学 省 と経済 産 業省 の連 携 プ
る 「結 晶析 出」 が あ る。 ど ち ら も粉 体工 学 会 に と って重 ロジェク ト 「 元 素 戦 略 」(平 成19年 度 の 予 算 は15億 円 で
要 な考 え 方 で あ り,今 後 は こ れ らの 融 合 を 図 って よ り良 採 択 課 題 数 は十 数 件 と の こ と)に お い て は,希 少 元素 を
い粉 づ く りを 目指 した ナ ノ材 料 プ ロセ ッ シ ン グが重 要 に 代 替 す るプ ロセ ッシ ングを 開 発 して 日本 の 先端 材 料 開発
な って くる と思 わ れ る。 具 体 例 と して 良 く用 い られ る. を推進 しよ う と言 う意 図 が 窺 え,資 源 回 収 もそ の 一端 を
携 帯 電 話 な どに 多数 実 装 さ れ て い る積 層 セ ラ ミッ クコ ン 担 う こ と とな る と思 わ れ る。 す な わ ち,新 規 ナ ノ粒子 の
デ ン サ ー(MLCC)の1層 当 た りの 膜 厚 を 考 え て も, 開 発(元 素戦 略 の立 場 か らは ク ラ ー ク数16ま で の 元素 を
高 性 能 な ナ ノ粒 子 を如 何 に効 率 よ く 「つ くる」 こ とが重 用 い る必 要 が あ る 。)と 持 続 性 の あ る 材 料 リサ イ クル は
要 で あ る か は 明 らか で あ る(高 性 能MLCCの 単価 はす 粉 体 工 学 会 に 関係 す る研 究 者 に と って も重 要 な 研 究 指 針
とな る と思 わ れ,今 後 は こ の様 な 方 向 に も視 線 を 向 け つ
つ 研 究 を 進 め るこ と が肝 要 か も知 れ ない 。
<著 者 紹 介>
な お,第42回 技 術 討 論 会 は,6月19日 と20日 の 両 日,
昭 和57年 名古 屋 大 学 大学 院工 学 研 究 科博 士 前 期 課 程 応 用化 学 専 攻
例 年 同 様 ア ル カ デ ィア 市 ヶ谷(私 学 会 館;東 京 お茶 の
修了
昭 和57年 トヨ タ学 園 豊 田工 業 大 学 助 手,講 師,助 教 授 を経 て, 水)で 開 催 が 予定 さ れ て い る。 多 くの 会 員 諸 氏 の ご参 加
平 成6年 静 岡大 学 助 教 授,平 成17年 同 大学 教 授 か ら現在 に至 る。 をお 願 い す る次 第 で あ る。
専 門=無 機 材 料 科 学

Vol.44 No.5 (2007) (3) 335

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