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ゼミ 発表原稿

- [ ] 11 【社会方言】
次に社会方言について取り上げていきます。
社会方言とは話し手の職業、社会的階級、年齢などの社会的な変数にもとづいた言語バリエー
ションのことをいいます。

- [ ] 12 【発音のバリエーション】
発音のバリエーションとして 2 つの例を上げます
一つは h 音の発音です。
house という単語を発音する際、最初の/h/の音を発音する「ハウス」と読むもいれば、h 音を発音し
ない「アウス」と読む人もいます。71 ページのデータはイギリスのウェスト・ヨークシャーという町で
採取されたもので、/h/を発音しないで落としてしまう割合を示しています。
社会階級は職業、教育、年収をもとに 5 つのグループに分けられていて、1 番下の 5 グループでは
96%の人が h を発音しないことがわかります。社会階級が下がるほど割合が大きくなっていること
から下流階級の人であるほど h を発音しないと言えます。

二つ目に eating や sleeping などに見られる ing 形の発音についてのバリエーションです。 ing 形は


2 つの発音があり、 「ing」と「in」で読み方が分かれます。72 ページの表は、ニューヨークで採取さ
れたもので、「in」と発音される割合を社会階級ごとに示しています。こちらも社会階級が低い 4 グ
ループでは 75%でほとんどが「in」と発音する傾向があることがわかります。どちらで発音するかは、
社会階級と相関関係にあること、そして社会方言の存在自体が結果から証明されています。

- [ ] 13 【三単現の s】
次に文法のバリエーションと社会方言の関係の例として三単現の s に着目します。74 ページのデト
ロイトの調査結果より、社会階級が低い者ほど三単現の s 落としていることがわかります。4 グルー
プの下流階級のうち 71%が三単現の s を落としています。このように言語のバリエーションは発音
も文法も社会階級にはっきりとした相関関係があることはわかります。

社会階級は職業や教育、年収以外にも人種や性別、年齢などの違いによるバリエーションも社会
方言の一つであると考えられます。
日本でも外国人労働者や海外留学生が増えているので、日本に長期滞在する外国人が話す日本
語も社会方言の一種として確立されるといえます。

- [ ] 14 【マッチトガイズ・テクニック】
次に標準の言語と社会方言の評価の違いについて着目していきます。社会階級の高い白人が話
す標準英語とスペイン系アメリカ人が話すスペイン語訛りの英語では聞き手がどのように評価され
るのでしょうか。
これを調べるために話し手の声の質で結果が左右されないようにマッチトガイズ・テクニックという
質人の話し手が 2 つの言語を話すという方法を用いてそれぞれテープに吹き込みます。そして同一
人物が話していることを知らない被験者にどちらが優秀か尋ねました。
この方法で調べた結果、★★

白人のアメリカ被験者は①の標準英語の話し方の方が②のスペイン語訛りの話し手よりも能力の
ある優秀な人であると評価しました。
標準的なバリエーションが非標準的なバリエーションよりも高い評価をつけられるという傾向に表
れることがわかります。

スペイン語訛りの英語と言われてもどんな感じの英語かわからないと思うので、ここでスペイン英
語の動画を少しだけ流します。いろんな言語の動画を上げているだいじろーさんという YouTuber
の方の動画で、インタビューでスペイン英語を話しているのがサッカーの元スペイン代表のフェルナ
ンド・トーレスです。

0:00〜0:28
1:09〜2:19

この動画以外でもさまざまな国の英語の特徴や発音の違いについて取り上げているので気になる
方は調べてみてください。

- [ ] 15 【逆収入の法則】
ここでちょっと話が逸れますが、みなさんは街中で日本語がカタコトな外国人と日本語がペラペラ
な外国人に話しかけられた時、どちらに「日本語がお上手ですね」と言いますか?

手を挙げてもらう

日本語がカタコトな外国人に対して「日本語がお上手ですね」と声をかける方の方が多いのでは
ないかと思います。もちろん理由は人それぞれだと思いますが、実はこの結果は日本人研究家のミ
ラーという学者が唱えた「逆収入の法則」というものが関係しています。外国人が日本語を上手に
なればなるほど日本語を侵略されたような危機感を感じるため、日本語がペラペラな外国人に対
して冷たくするという日本語の上達と日本人の対応が反比例である説が考えられているのです。
- [ ] 16【黒人英語】
次に黒人英語について取り上げていきます。
黒人英語はアメリカの黒人が話す特徴的な英語でピジン言語の一つと言われています。

- [ ] 17【黒人英語の特徴】
発音と文法で一部標準英語と異なる特徴があります。
・that が dat

・r や l の省略

・子音の省略などがあります。

- [ ] 18【be 動詞の規則性】
be 動詞の規則性では習慣的な状態を表す時に使う bees と be、一時的な状態の時には動詞の省
略で使い分けします。

ここのコーヒーはいつも冷めているとき
習慣的繰り返しの
ア The coffee bees cold.

今日のコーヒーは冷たい(今日だけ)というとき
一時的、たまたま
イ The coffee cold.

未来の表現を表すとき
will を使う場合と be を使う場合がります。

未来と習慣の be の区別の仕方が未来を示す latter や tomorrow などの単語が鍵となります。

過去の表現を表すとき

主語が複数形のときも be 動詞は was を用います。


完了した過去の行為では have が落とされ、been のみを用いて表します。

be 動詞のバリエーションは黒人または社会階級の低い人たちの中で頻繁に見られます。

be 動詞の規則以外にも多重否定も黒人英語の特徴の一つです。

He didn’t give me no food.という例文のように否定形が頻繁に使われている特徴は、割合として黒


人の方が多いことから多重否定は社会方言としての黒人英語の特徴と言えます。

- [ ] 19【映画】
ここで黒人英語を使用した作品について紹介します。 2016 年に公開されたムーンライトという作品
で第 89 回アカデミー賞でノミネートしていた「ラ・ラ・ランド」を破ってアカデミー作品賞を獲得した
作品です。

マイアミの貧困地域、いじめや育児放棄などを経験してきた同性愛者の黒人、シャロンの心情を描
いた物語で小学生・高校生・成人後と 3 つの時代に分けて 3 人の俳優で演じられています。

予告の黒人英語に着目していただきたいと思います。レジュメに予告のセリフが載ってるので標準
英語とは違うところを確認しながら見てください。

動画

- [ ] 20【セリフの黒人英語】
① の文では
what ya’looking at me like that for?

ya は you のスラング表現で友達同士の会話でくだけた表現になります。
looking の発音が社会方言で説明した ing の発音が in になっています

② の Who is you シャロンのところも黒人英語の be 動詞の規則で are が is で使われているところが


あります。

- [ ] 21【セリフの黒人英語】
③ の gotta は「have to」や「got to」(〜しなければならない)のスラングで gonna は「going to」(〜する
つもりだ)のスラング表現です。
Can’t let nobody make that decision for you…
の Can’t と nobody のところが多重否定になっています。

- [ ] 22【セリフの黒人英語】
④ の ain‘t は haven’t として使われていて be 動詞の否定形の他に have/has の完了形の否定文に
も使われる黒人英語が用いられています。

- [ ] 23【文化の盗用】
ここまで社会方言と黒人英語について取り上げていましたが、一つ疑問に思ったことがありました。
前回のプレゼン発表で紹介されていた動画の中に日本人がスワヒリ語を話した時の現地の反応
について紹介していましたが、これが黒人英語だったらと考えた時に同じように仲間として引き入
れてくれたり喜んでくれる人はいないのではないかと感じました。言語ではないのですが、 2 年前の
CNN のニュースでジャスティンビーバーのドレッドヘアに対する批判の声が上がったという記事が
ありました。ドレッドヘアは黒人の髪型であるため文化の盗用であるという批判が多かったことから
話題となったと考えられます。日本では文化の盗用という言葉自体あまり聞いたことがないと思わ
れますが、日本の着物を外国人が着て SNS に上げると文化の盗用であると外国人側で批判され
てしまうというのがあります。
黒人英語を含め、黒人文化を楽しんでいいのかについて意見を述べた動画を紹介します。

黒人英語はあくまでも社会方言の一種であって全ての黒人が使うわけではないのですが、黒人は
社会的地位が低い歴史とマイノリティな人種であることから言語や文化に対する同族意識が強い
ため、人種の異なる人たちが使うことに抵抗を感じている人もいるということ感じました。お互いを
理解して対等な関係を築いていくことが現在の課題でもあると思います。

- [ ] 【文献】

井上いっぺいさんの論文で
第一節〜第三節までで取り上げられたラボフの実験内容が記載されていて、アメリカの人種問題
と言語問題を結びつけている論文です

この論文で lippy ー green はディズニーのアニメ映画で標準的ではないアクセントは悪役や身分の


低いキャラクターにあてられ、主人公にはヨーロッパ系でない場合も含めて主流のアクセントが与
えられていると論じているとあるが、言語によって配役も異なるという事実が印象に残りました。
泉山まなみさんの「エボニクスの英語」では、
R&Bやラップ、ヒップ・ホップを長年聞き取って訳してきた著者が教える黒人英語の特徴を文化や
音楽、テレビ CM などを用いて紹介した本。2005 年に出版された本で、現代の若者言葉とスラング
表現について書いている。様々なスラング表現の中でも動物を用いたスラング表現が日本とは違っ
て面白いです。

P125〜126

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