You are on page 1of 1

大腿骨頸部骨折後に人工骨頭置換術を行い

痛みに対する不安感が残存した症例への振動刺激の効果

【はじめに】
今回,転倒により大腿骨頸部骨折後に人工骨頭置換術の手術を行った症例を経験した.本症
例は術後に術創部に強い痛みを呈した症例である.Bipolar Hip Arthroplasty(以下,BHA)の後方
侵入による手術では梨状筋や中殿筋などの筋を切離・縫合する.その術部の痛みが生じ股関節の
運動全般に不安感が生じ他動運動に対し,不随意的な収縮が行われリハビリ介入の阻害因子と
なっている。本症例は痛みの不安感などもあり効率的な可動域訓練を行えておらず,靴下の着脱
が困難な状況となっている.そのため,痛みの不安感の改善が求められている.
術後の痛み強度や不安が慢性疼痛疾患の1つである複合性局所疼痛症候群( CRPS)の発症リ
スクとされている.そのため,痛みのみならず情動的側面に対するアプローチが必要とされている.
一般的に痛みは島皮質や帯状回に影響を及ぼすと報告されている.その治療法の一つとして振動
刺激が挙げられ,先に記述した部位への影響が示されている.腱に振動刺激を与えることで筋紡
錘が興奮し伸長されている錯覚が起こり,感覚運動野が賦活すると言われている.そのため,痛み
の情動的側面が惹起されることなく治療が可能である.また,痛みと関連のある島皮質や帯状回
は情動的側面との関連も強いことから振動刺激により,運動が可能になることで二次的に不安感
も改善すると考えられる.

【基本情報】
•80 代 女性
右大腿骨頸部骨折(人工骨頭術後、後方アプローチ)
•既往
糖尿病、高血圧、心房細動、強皮症、白内障

【方法】
デザイン:症例報告
振動刺激:80Hz,休止 10 秒,刺激 30 秒を 10 分実施する。
可動域訓練:股関節外旋 30 秒×3 セット

【アウトカム】
関節可動域:自動運動および他動運動
不安感・恐怖感:PASS,Tampa Scale for Kinesiophobia
靴下の着脱:WOMAC の一部を抜粋

You might also like