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▶新しい概念 軟骨下脆弱性骨折 からみえてきたこと

特集
臨整外 55:31∼40,2020

軟骨下脆弱性骨折

特発性膝骨壊死との関連

王寺享弘

Spontaneous Osteonecrosis of the Knee

Toshihiro OHDERA

Key words:膝骨壊死(osteonecrosis of the knee),脆弱性骨折(insufficiency fracture),内側半月板後角断裂


(medial meniscus posterior root tear)

膝関節の特発性骨壊死(spontaneous osteonecrosis:SON)は,部位別に大腿骨内側顆,脛骨内側顆,外
側コンパートメントの病変(大腿骨と脛骨を含む)に分けられる.その病態は骨脆弱性を基盤とした軟骨下脆弱
性骨折と考えられている.このうち日常診療で遭遇することの多い大腿骨内側 SON では,内側半月板の後角
損傷が先行する病変であるとの報告が多い.小走りや階段の踏み外しの際,ブチっとした轢音を膝関節内に感
じ,膝窩部を中心に激痛が走り当日は歩行が困難になるなどの症状があれば,MRI 検査で後角損傷に特徴的な
画像所見を確認し,SON へ伸展することを防ぐために適切な治療をしなければならない.

膝関節の SON は 1968 年に初めて Ahlbäck


はじめに ら2) により報告されたが,大腿骨内側顆に多い,
高齢女性に多い,夜間痛が特徴的などと指摘され
超高齢社会を迎えたわが国では,荷重関節を中 た.しかし,レントゲンが初めて X 線を発見し
心 に 軟 骨 下 脆 弱 性 骨 折 (subchondral insuffi- た 1885 年からかなり経過してからであり,なぜ
ciency fracture:SIF)による障害がクローズアッ 膝関節の特徴的な陥没病変を診断するのに時間が
プされてきている.この中で膝関節では,これま かかったのか不思議である.
で 特 発 性 骨 壊 死 (spontaneous osteonecrosis: さらに Lotke ら3) は SON を①大腿骨内側顆,
SON)と呼称されていた疾患は,発生機序として ②脛骨内側顆,③外側コンパートメントの病変
大腿骨の関節近辺の微細血管の塞栓説や,軟骨下 (大腿骨と脛骨を含む)に分けて検討している.脛
骨の骨折から関節液が流入し骨髄圧が高まり,阻 骨顆部の骨壊死(osteonecrosis:ON)は 1976 年
血性の壊死を来すと考えられてきた.しかし現在 に Dangeljan の報告が最初であり,Lotke ら4) が
では本疾患は,軟骨下骨に生じた脆弱性骨折が本 まとまった報告をしている.また大腿骨外側顆の
©IGAKU-SHOIN Ltd, 2020

態であり,病理検査で散発的にみられる壊死は骨 ON は必ずしも女性に多いわけではなく,骨粗鬆
折により二次的に生じるものであるという考えが 症のない中年にも起こり,外反アライメントであ
1)
一般的になりつつある . ると進行しやすいとされている5).一般的には


福岡整形外科病院〔〒815-0063 福岡県福岡市南区柳河内 2-10-50〕Fukuoka Orthopaedic Hospital
*利益相反:なし

0557-0433/20/紙:¥800/電子:¥1200/論文/JCOPY 臨整外 55 巻 1 号・2020 年 1 月 31


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SON は大腿骨内側顆の疾患を指しているが,こ かる大腿骨内側顆に軽微な外力が加わり,一次的
れに対して脛骨内側顆や外側コンパートメントの に SIF が生じ,そこから SON に進展していくと
病変は大腿骨内側顆と臨床経過や病像が異なるこ いう考えが一般的になっている(図 1).
と か ら,osteonecrosis-like syndrom と 呼 ば れ これに対して最近では,内側半月板(medial
ることもある. meniscus:MM)の後角損傷が SON の原因であ
本 稿 で は,大 腿 骨 内 側 顆 の SON を 中 心 に, り,後角部の剥離損傷で MM の hoop 機構が破
SIF との関連において臨床所見,病態と病因およ 綻し,内側コンパートメント圧の上昇を来し,
び治療法につき述べる. MRI において BME が出現する.その結果,骨強
度 が 低 下 し た 大 腿 骨 顆 部 が insufficiency frac-
▶大腿骨内側顆骨壊死 ture を来し,SON が発生するという報告が多く
なされている7-9) (図 2).Marzo ら10) は死体標本
1.臨床所見 の実験で,後角の剥離損傷を起こすと大腿脛骨関
大腿骨内側顆の SON は変形性関節症(osteo- 節の接触面積は 20%減少し,接触圧は 32%増加
arthritis:OA)と異なり,安静時痛や夜間痛がみ すると述べている.
られるのが特徴的であり,多くは膝を捻るなどの 一次的に発症する SON と MM 後角損傷に続
軽度の外傷歴がある.しかし誘因がないこともあ 発する SON は,多くは小走りしたときや階段を
り,必ずしも急性発症とは限らず,安静時痛がな 踏み外したなどの軽微な外傷を契機としているこ
い症例もあり,膝 OA との鑑別が必要となる. とが多いが,両者には特徴的な違いもみられる.
また局所所見として SON では関節裂隙だけでは MM 後 角 損 傷 が 初 発 病 変 で あ る 場 合 に は,ブ
なく,大腿骨顆部にも圧痛を認めることも多い. チっとした轢音を膝関節内に感じたり11),膝窩部
また SON の特徴的な X 線変化は,発症からす を中心に激痛が走り,当日は歩行が困難になるこ
ぐには認めないことがあり,初診時に OA とし とも多い.このため下腿部の肉ばなれや坐骨神経
て治療するも軽快せず,数カ月して別の医療機関 痛と診断されることもある.さらに骨脆弱性がな
で進行した SON と診断されることも少なくな い中年女性に SON が発症したときは,やはり後
い.このため OA として治療を行っても症状が 角損傷が先行する原因と考えたほうがよいと思わ
なかなか改善しないときは,必ず再度 X 線を撮 れる.また MM 後角部は膝の前後方向の安定性
るか MRI 検査をしたほうがよい.典型的な SON にも関わっており,後角断裂後に前方引き出しテ
の MRI 所見は,T1 強調画像で壊死部は低信号を ストが陽性になる症例がみられることがある12)
呈するが,大腿骨顆部では広範囲の信号異常がみ (図 3).
られ,T2 強調画像では低信号,T2* 強調画像で 大腿骨骨頭において初めて SIF という概念が
は高信号ないし一部低信号,STIR 画像では高信 提唱されたが,なぜ大腿骨骨頭の軟骨直下に発症
号を呈する bone marrow edema pattern(BME) するかは明らかではない.これに対して膝関節で
を認める.しかし発症超早期には MRI でも検出 は半月板病変が先行する原因であるとの報告は多
されない.時間的なずれ(a window of time)とさ い.Robertson ら7) は SON 30 例を MRI で ret-
れる症例もあり注意を要する6).骨シンチグラ rospective に検討したところ,24 例 80%に MM
フィはごく早期の段階でも有用であるが,大腿骨 後角損傷が認められたと述べている.ただしこれ
と脛骨に同時に集積像があるときは OA の可能 が SON の原因あるいは結果であるかは明らかで
性が高い. ないとしている.本山ら9) は 101 例の SON の関
節鏡所見を検討し,99 例に MM 損傷を合併して
2.病態および病因 おり,50 例 49.5%に後角損傷を合併していたと
原因として骨脆弱性を基盤とし,内反アライメ し,次いで中後節移行部の横断裂も多かったと報
ントを有する高齢女性で,荷重ストレスが多くか 告 し て い る.後 角 以 外 の 部 位 で の 横 断 裂 で も

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a

図1 大腿骨内側顆特発性骨壊死
(75 歳女性)
5 カ月前から明らかな誘因なく発症し
た.MM 後節には損傷を認めるが,
後角の損傷はない.
a:MRI で MM 後節断裂はみられる
が,vertical linear defect 像 は
認めない(↑).
b:T2* 強調画像では高信号ないし一
部低信号,STIR 画像では高信号

を呈する BME を認める. T2 強調画像 STIR 画像

MM の hoop 機能は低下するが,後角損傷の完全 信号変化の発生機序として,中高年者では骨粗鬆


断裂例では,3 mm 以上の MM の内側への逸脱 症,軟骨病変,アライメント異常がもともと存在
がみられるとの報告もあり,このことから後角損 し,半月板切除による荷重ストレスの増大が骨軟
傷が SON に先行する最大原因と考えられる. 骨に負荷の増加を来し出現したものと考えられ
13)
Brahme ら は 1991 年に膝関節半月板切除後 る.この病変の多くは可逆的であるが,術後愁訴
に MRI 上骨髄内に信号変化が出現し,術後の と関係が示唆されており,骨軟骨に生じたひずみ
ON として報告した.その後,半月板切除後の の増加は半月板切除後に発生する OA 変化に関
ON としての報告が散見されたが,MRI 上 T1 強 連している可能性もある.さらに軟骨下骨の mi-
調で低信号,T2 強調で低信号に取り囲まれた高 crofracture を生じ骨陥没へと進展する例もみら
信号があれば壊死の根拠としており,必ずしも病 れ,SON と同様の所見を呈する(図 4).自験例
理組織検査で壊死を証明したわけではない.現在 では 40 歳以上の中高年者で半月板切除を行った
ではこの病態は単に MRI 上の骨髄内の信号変化 54 例中 17 例 31%に,術後 MRI で骨髄内信号異
であり,ON の正確な表現でないとされている. 常 を 認 め,う ち 3 例 が 骨 陥 没 病 変 へ と 進 展 し

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a

鏡視所見

単純 X 線 STIR 画像

図2 内側半月板の後角損傷が先行原
因と思われる特発性骨壊死
(81 歳男性)
a:単純 X 線では異常を認めないが,
STIR 像では広範囲の BME がみ
られる.
b:6 カ月後典型的な SON 像を認め
る.

た14). 173 膝 67%(男性 10 膝,女性 163 膝,平均年齢


この骨髄内の BME 病変が SON に先行するも 68.6 歳)に BME がみられたと報告し,出現部位
のか,あるいは ON 後に発生するものか,現時 は大腿骨側 53 膝,脛骨側 26 膝,大腿骨+脛骨側
点でははっきりした結論はない.しかし前述した 94 膝であったと述べている.また矢状面からの
ように半月板切除後に生じる BME の多くは可逆 検討で大腿骨側では 88%と大多数が中央にみら
的であり,経過とともに髄内の信号異常は縮小消 れるが,脛骨側では中央部が 60%前後と多いも
退していくことが多い.なかには SON にまで進 のの前後にも分散しており,その理由として後角
展する症例もみられ,BME が先行する病変とし 断裂による脛骨の動揺性が原因でないかと推察し
て出現し,その結果 SON が発症するという機序 ている.
15)
はあり得ると思われる.松田ら は手術的治療 これらの症例では,MRI で SON や BME の有
を 行 っ た MM 後 角 断 裂 257 膝 の う ち,術 前 に 無や程度を把握するだけではなく,必ず MM 後

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a

図3 内側半月板後角損傷による前方
動揺性(84 歳女性)
後角部は膝の前後方向の安定性にも
関わっており,断裂後に前方引き出し
テストが陽性になる症例がみられる.
a:前 後 像 で vertical linear defect
(↑) や,矢 状 面 の white menis-
cus sign(↑↑)を認める.
b:MRI で前十字靱帯は正常である
が,前方引き出しテストが陽性で
ある.

角を観察することは重要である.丹念に画像を 5 段階に分けられる.ON の横径比が 50%以上,


チェックしないと,後角損傷に特徴的な前後像の 壊死面積が 500 mm2 以上,さらに stage Ⅳ以上
vertical linear defect や,矢状面の white menis- の病期であれば保存治療の限界であり,骨切りや
cus sign を見落とす危険性がある.最近,MM 人工関節(単顆置換や全置換術)などを選択する.
後角損傷に対する外科的治療が積極的に行われ, また病変が小さくてもアライメントが内反であれ
術後成績も報告されてきている16,17).受傷瞬間の ば,自然軽快は期待しにくいとされ,早期の骨切
特定が可能であり,早期の治療介入により後角断 りが勧められる.
裂が修復され hoop 機構が再建できれば,SON しかし,X 線前後像で ON の大きさが 10 mm
の発生を防止できるからである(図 5). 以下と小さく,stage Ⅲまでであれば,保存治療
での自然治癒が期待できる.内側コンパートメン
3.治療方針 トの SON であれば,足底板を装着して松葉杖歩
SON の予後を決める因子として,①壊死の範 行で荷重制限をする.関節内にはヒアルロン酸の
囲,②病期の進行度,それに③下肢アライメント 注入を定期的に行い,少なくとも 3∼6 カ月の経
を考慮する必要がある.また病変の深さが予後に 過をみて,症状と画像所見から保存治療で可能か
影響するとの報告もある.病期分類では Aglietti を判断する.
の分類として stage Ⅰ(正常),stage Ⅱ(荷重部 また半月板切除後に発症する ON に対しては,
の平坦化),stage Ⅲ(骨透亮像),stage Ⅳ(軟骨 術後に症状の把握や活動性の許可などに細かな対
下骨の陥没)および stage Ⅴ(2 次性 OA 変化)の 応が必要であり,MM 切除後であれば足底板を

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a

内側半月板後角断裂 部分切除後

図4 半月板切除後の骨壊死
(73 歳男性)
a:術前 X 線は異常ないが,MRI で
BME がみられる.
b:MM 後角の部分切除を行った.
c :2 カ月後,脛骨内側顆のやや内側
よりに陥没病変を認める(○).

使用し,術後水腫に対してヒアルロン酸注入を基 する.しかし大切なことは術前に,半月板切除後
本として,安易にステロイド関節注射はしない. にはこのような病態が生じる可能性があると説明
また愁訴が長期間続き増悪傾向であれば,早期に することである.
MRI を撮像して髄内信号変化の有無をチェック

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a

後角部縫合直後
(pull out 法) 術後 1 年

術前 術後

図5 内側半月板後角損傷に対する修
復術(60 歳,女性)
後角断裂が修復され,hoop 機構が再
建できれば,SON の発生を防止でき
る.
a:術後 1 年の再鏡視で,後角部は完
全に癒合している.
b:術前の vertical linear defect も
消失している(○).
c :半月板の内側偏位率も 50%から
36%と改善している. 術前 術後

(図 6).脛骨近位端は血行がよく,虚血が起こる
▶脛骨内側顆壊死 とは考えにくいが,この部位は骨折が起こりやす
く,Charcot 関節やステロイド関節症などと鑑別
脛骨内側顆の SON の病変部位は,大腿骨内側 を要する.また臨床所見として関節裂隙よりも遠
顆骨と異なり脛骨内側顆の中心よりも内側よりに 位の脛骨顆部に圧痛があり,この部位の不顕性骨
みられることが多い.これは荷重時脛骨の外方へ 折や鵞足炎などと区別しなければならない.
の thrust により,脛骨内側顆の中心より内側に
多く荷重ストレスが加わるためとされている

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図6 脛骨内側顆特発性骨壊死
(77 歳女性)
大腿骨内側顆骨と異なり,ON の部位は脛
骨内側顆の中心よりも内側よりにみられる
ことが多い.

a c

図 7 大腿骨外側顆特発性骨壊死(76 歳男性)
大腿骨内側顆にみられる calcified plate を伴った sclerotic halo のような典型的な X 線所見は少なく,進行すれば外側
顆荷重部に囊胞状の変化を示すことが多い.
a:術前 X 線と MRI b:術中所見と病理所見で骨壊死像を認める c:術後 12 年 X 線

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a


単純 X 線 T2 強調画像

術後 3 年
図 8 大腿骨外側顆特発性骨壊死に対する創爬,骨移植術(67 歳男性)
a:大腿骨外側顆に囊胞性の病変を認める.
b:術後 3 年経過しているが,良好な修復像がみられ,術中の採取標本では骨壊死像を認めた.

ことが影響している可能性がある.また画像上も
▶大腿骨外側顆骨壊死 内側顆 SON にみられる calcified plate を伴った
sclerotic halo のような典型的な X 線所見は稀で
大腿骨外側顆の SON の頻度は少なく,高齢の あり,進行すれば外側顆荷重部に囊胞状の変化を
女性に多い内側顆 SON と比べ性差はなく,骨粗 示すことが多く(図 7),アライメントが外反であ
3)
鬆がない中高年の男性にもみられる.Lotke ら れば,症状が増悪することが多い5).
は外側病変は 20 例中 1 例のみであり非常に稀と 治療方法としては,外反アライメントであれば
18)
強調しており,Aglietti ら も 105 例の骨壊死の 進行する可能性があることを念頭に置きながら,
うち大腿骨外側顆は 1 例のみであり,al-Rowaih まずはヒアルロン酸の関節内注射などの保存治療
ら19) も 40 例中 3 例のみが大腿骨外側顆であった を行うが,症状が持続する場合や画像所見が進行
としている.その理由としては,内側顆 SON と する場合は手術を考慮する.術式としては,骨軟
異なり,痛みがそれほど強くなく,夜間痛もない 骨病変が正常もしくは軽度の場合は搔爬・骨移植

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術を,軟骨病変や骨破壊があれば骨切り術や外側 Sports Med 2015 ; 43(4) : 912-20.
単顆置換術を行う.搔爬・骨移植術を行った自験 9) 本山達男,田村裕昭,川嶌眞人.膝特発性骨壊
死と内側半月板損傷との関連.JOSKAS 2015;
例 2 例の術後経過は良好であり,術中採取した病
40(3):841-6.
理所見では 1 例は骨壊死を認め,もう 1 例では壊
10) Marzo JM, Gurske-DePerio J. Effects of medial
死像はみられなかった20)(図 8). meniscus posterior horn avulsion and repair on
tibiofemoral contact area and peak contact
おわりに pressure with clinical implications. Am J Sports
Med 2009 ; 37(1) : 124-9.
11) Bae JH, Paik NH, Park GW, et al. Predictive
膝関節にみられる大腿骨内側顆の SON の病態
value of painful popping for a posterior root
は,SIF により生じると思われるが,多くの症例
tear of the medial meniscus in middle-aged to
では MM 後節の横断裂や後角の損傷による hoop older Asian patients. Arthroscopy 2013 ; 29(3) :
機構の破綻が先行する原因と考えられる.特に後 545-9.
角損傷は SON の大多数の要因であり,発症機転 12) Allaire R, Muriuki M, Gilbertson L, et al.
や MRI 画像から後角損傷と診断されれば,ON Biomechanical consequences of a tear of the
posterior root of the medial meniscus : similar
への進行を防ぐために早期に適切な治療をしなけ
to total meniscectomy. J Bone Joint Surg Am
ればならない.
2008 ; 90(9) : 1922-31.
13) Brahme SK, Fox JM, Ferkel RD, et al. Osteo-
necrosis of the knee after arthroscopic sur-
文 献
gery : diagnosis with MR imaging. Radiology
1) Yamamoto T, Bullough PG. Spontaneous 1991 ; 178(3) : 851-3.
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chondral insufficiency fracture. J Bone Joint の膝半月板切除後の MRI.骨髄内信号強度の変
Surg Am 2000 ; 82(6) : 858-66. 化について.関節鏡 2002;27(1):19-23.
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