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《考察》解答例

① この方法によって分子量を求めるには,物質の沸点や,気体になったときの密度(気体の密度)
について,どのような制限があるか。空欄を埋めよ。
沸点は( 100 )℃以下,密度は( 空気 )より大きい物質(分子量は( 28.8 )以上)

② 実験⑴で,フラスコ内の空気の質量を求めよ。 ※必要な計算は裏面を利用すること。
室温 20.0℃,V=0.250 L,p=1010 hPa とすると,pV=nRT より
1010×102×0.250=(x/28.8)×8.31×103×(273+20.0) x=0.299 g
③ 実験⑸で,温度を上げていくと,フラスコ内の空気はどうなるか。
小さい穴から出ていく。
解説 2つの理由で空気は押し出されていく。1つは空気の熱膨張,もう1つは,空気より密度が大きい
シクロヘキサンの蒸気圧のためである。つまり,温度の上昇とともにフラスコ内の圧力は徐々に大気圧
より大きくなり,その圧力差によって,大気中に気体が押し出される。最初は密度が小さい空気が,次
にシクロヘキサンの気体が順に放出され,温度の上昇が止まるまで続く。
④ 実験⑹で,温度を読んだとき,フラスコ内に存在している気体は何か。
シクロヘキサン。
解説 密度(分子量)の小さい空気は完全に押し出されて,シクロヘキサンの気体(蒸気)だけになっている。
⑤ 実験⑺で,放冷しているとき,フラスコ内はどのように変化していくか。
シクロヘキサンが凝縮するとともに,空気が入ってくるので,フラスコ内の質量は増えていく。
解説 温度が下がると同時に,シクロヘキサンの気体はシャルルの法則に従って収縮し,その分だけ空気
が入ってくる。そのため,フラスコ内は混合気体となる。そして,フラスコ内が 81℃(沸点)まで下がる
と,シクロヘキサンは凝縮し始め,以後室温に達するまで気液平衡の状態となる。そのため,フラスコ
内のシクロヘキサンの分圧は,その蒸気圧と常に同じ値になる。蒸気圧は,蒸気圧曲線に沿って温度と
ともに減少していくので,シクロヘキサンの分圧も同様に減少していく。その気体が減少した分と空気
が収縮した分だけ,さらに空気が入ってくる。やがて,フラスコ内が 20.0℃に達すると室温と同じにな
るため,フラスコ内の圧力は一定になり空気の流入も止まる。このとき,フラスコ内のシクロヘキサン
の分圧は,20.0℃でのシクロヘキサンの蒸気圧 10.3 kPa と等しくなっていて,それ以上変化しなくなる。
通常は,この状態で質量 m2 を測定する。
⑥ 実験⑺で,十分に放冷せずに質量をはかったとすると,M は上の値と比べてどうなるか。
小さくなる。
解説 空気が入っていないため,その分だけ m2 は小さくなる。よって,M も小さくなる。
⑦ 実験⑻で,質量をはかるとき,フラスコ内の温度は実験⑴と同じでなければならない。なぜか。
フラスコ内の温度が室温より高いと,浮力を受けて実際の質量より小さく測定されるから。
解説 実際にフラスコ内の温度が室温より高い状態で質量を測定すると,フラスコ内に徐々に空気が流入
してくるため,測定中に質量が増えていき,測定困難になる。
⑧ 実験⑻で,フラスコ内には,どのような物質がどのような状態で存在しているか。
シクロヘキサンの液体,及び,空気とシクロヘキサンの混合気体。
⑨ ⑧で,シクロヘキサンの蒸気の質量を 20℃で求めよ。蒸気圧 : 10.3 kPa (20℃)
室温 20.0℃,V=0.250 L,シクロヘキサンの分圧 p=10.3 kPa として,pV=nRT より
10.3×103×0.250=(x/84)×8.31×103×(273+20.0) x=0.0888 g
解説 m1 と m2 は,たとえ室温で測定したとしても,フラスコ内の空気の量は同じではない。m2 は,空気
とシクロヘキサンの混合気体での測定値である。ここで,フラスコ内のシクロヘキサンの液体の体積は
無視できるとして,蒸気(気体)の体積は,全体積を分圧の比で分ければよいので,0.250×10.3/101.0
=0.0255 L となる。この体積と同じ体積の空気の質量の分だけ m2 は浮力を受ける。その空気の質量
は,1010×102×0.0255=(x/28.8)×8.31×103×(273+20.0) x=0.0305 g となる。よって,測定した m2
は,室温で測定したとしても,実際の質量より 0.0305 g だけ小さく測定されるので,その分を補正す
る必要がある。そこで,測定した m2 の代わりに,補正した値 m2+0.0305 を用いて計算するとよい。

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