You are on page 1of 4

被験者内計画

実験計画 Within-Subjects Design


Experimental Design • 反復測定計画(repeated measure design)とも呼ばれる。

独立変数
要因2
水準1 水準2
• 被験者の割り振り 水準1 水準2
• 独立変数の数、レベルの数 S1 S1
要 水準1 S1,S2,S3,S4,S5 S1,S2,S3,S4,S5
S2 S2
• 従属変数の数 S3 S3 因
水準2 S1,S2,S3,S4,S5 S1,S2,S3,S4,S5
S4 S4 1
S5 S5
※Sは被験者(実験参加者)

被験者内計画の特徴 被験者間計画
Between-Subjects Design
• 各被験者が全試行に参加する。
• 利点 独立被験者計画(independent subject design)とも呼ばれる。
– 被験者が少なくてすむ。
– 同じ被験者が全条件に参加するので、条件間の差が個人差による可 独立変数 要因2
能性が小さい。 水準1 水準2
水準1 水準2
• 欠点
S1 S11
– 試行数が多い(拘束時間が長い)。 要 水準1 S1,S2,S3,S4,S5 S11,S12,S13,S14,S15
S2 S12
• 総試行数=被験者×条件数×繰り返し数 因
: : 水準2 S6,S7,S8,S9,S10 S16,S17,S18,S19,S20
– ある条件を一回でも経験すると、ナイーブな被験者でなくなる。 1
: :
– 練習効果が生じる恐れがある。カウンターバランスが必要となる。 S10 S20
※Sは被験者(実験参加者)

被験者間計画の特徴 ブロック別ランダム化
• 各被験者が1つの条件だけに参加する。
• 利点と欠点 ランダムな割り付け
– 被験者は多くなるが、拘束時間は短くなる。
– 条件間の被験者の個人差が大きい可能性がある。
条件1 S1 S6
• 被験者は条件にランダムに割り振る。
– ランダムな割り振り:どの被験者も各条件に割り振られる確率が等しい手続きで 条件2 S2 S7
割り振られる。
• 各条件への被験者の割り振りはブロック別ランダム化(block
条件3 S3 S8 ・・・
randomization)でなされることが好ましい。 条件4 S4 S9
– 実験室前に被験者が列をなして並んでいると想定し、実験条件数に合わせて被験
者をブロックにして、各ブロック内で被験者をランダムに条件に割り振る。5条 条件5 S5 S10
件ならば、順番に5名ずつをブロックとし、各ブロック内でランダムに被験者を
条件に割り当てる。 ブロック ブロック

1
被験者対応計画 被験者対応計画の特徴
• 被験者数が多い場合には、意図的に被験者を釣り合わせなくとも、条件
Matched-Subjects Design 間で被験者の質はほぼ同じになるであろう。しかし、ランダム・プロセ
スに頼るため、個人差が混入しやすい。
• 被験者間計画と基本は同じ。
独立変数 • そこで、被験者をある基準でほぼ同程度になるように組み合わせて、条
• 条件間の個人差が大きくなる 件間の個人差を小さくする。
水準1 水準2 可能性を取り除く方法として、 • その場合、以下の2点を知っている必要がある。
なんらかの基準に照らして条 (1)釣り合わせるべき被験者の特性
S1a S6a 件間で被験者の質(性別、年
S2b S7b (2)釣り合わせるべき特性の各被験者の得点
齢、学歴、病歴・・・)を釣
S3c S8c ・釣り合わせる特性は実験に依存する。従属変数に影響を与えうる特性について対応
り合わせて実験する。 づけする必要がある。例)性別、年齢、知能、訓練の有無など
S4d S9d
・対応づけのために予備実験が必要となる場合がある。その結果、
S5e S10e ※添え字の同じ英小文字が対応づけを表す。
例えば、S1a と S6a が対応する。 ・時間と費用がかかる。
・予備実験が被験者に実験の経験を事前に与えてしまう。
・対応づけがうまくできない場合もでてくる。

混合計画 Mixed Design 操作する独立変数(要因)の数


 被験者内計画と被験者間計画が組み合わされた実験計画 • 大部分の実験研究では、2つ以上の独立変数を同時に操作している。
 独立変数の1つ(それ以上)が被験者内計画で、もう1つ(それ以上)が被験 • 典型的には2~4個
者間計画である実験。 • 複数の独立変数が使用される理由
 時間経過や学習に関する変数の効果に興味がある場合に使用される。ある – 効率:個別に行うよりも同時に行う方が効率的
いは変数の1つが被験者変数である場合にも使用される。 – 実験統制の側面:一度の場合には温度・湿度、学期などが制御しやすい。
– 精度の向上と一般化:学習法の検討を数学で行い、その結果を他の教科(国語、
2×2の混合計画 要因2 英語、理科)に一般化することができるか不明。であれば、教科という変数を最
初から加えておいた方がよい。
水準 a 水準b – 交互作用(interaction)が研究できる。
要 要因1は被験者間、
水準1 S1,S2,S3,S4,S5 S1,S2,S3,S4,S5 • 独立変数を増やすことの欠点
因 要因2は被験者内
– 時間や労力、費用がかかる。
1 水準2 S6,S7,S8,S9,S10 S6,S7,S8,S9,S10 – 解釈の困難度が増す。

交互作用 Interaction 水準(level)数


2水準と3水準の対比
• 水準 = 群・条件
• 2つ以上の要因の組み合わせ効果がそれぞれ単独の効果の加算以上の • 2水準の実験:実験群 vs 統制群
効果をもって作用すること(多項目心理学辞典:教育出版)
– 長所:
• 例)調味料の味に対する効果
• 独立変数が有意な効果を持つかどうかすぐ知ることができる。
– 独立変数:調味料(マヨネーズの有無)と材料(肉とアイスクリーム)
• 結果は分析しやすく、かつ解釈しやすい。
– 従属変数:味の良さの評定
• 応用研究では2水準以上必要としないことがある。
– 欠点:

の アイスクリーム • 2水準なので、結果は直線になるが、正しい関数関係は不明。2点を通る放物
良 線が正しいかもしれない。
肉 • 関数関係が不明なので、外挿も内挿もしてはいけない。

– 解決法:
• 水準数を多くすると関数関係が推測できるので、外挿や内挿しやすくなる。
有 無
• ただし、実験の規模が大きくなるので、時間と労力が必要になる。
マヨネーズ

2
水準の範囲 平均の問題
• 水準の適切な範囲を決めるためには、予備実験が大切。 • 機械的にデータの平均を取ってはいけない
• 水準の範囲や間隔の取り方によって、本来あるはずの効 – 単純に平均すると、データが本来もっている重要な意味や個人
果が検出されないこともある。 差が無視されることがある。
– 天井効果(Ceiling effect)や 床効果(floor effect) に注意
– 平均を取る前に、生データの吟味が重要。
水準の間隔

天井効果 この例では、平均すると2つの
反 グループの区別が失われる。
この範囲を 応
選ぶこと
床効果

A1 A2 A3 刺激強度

従属変数の数
剰余変数の制御
• 普通は1つ。ただし、伝統的なものに限らない。
– 例)オペラント条件づけ実験:
• 従属変数:ネズミのレバー押し回数、ハトのキーつつき回数 実験の基本
• これ以外にも、レバー押しやキーつつきの強さや時間なども測定可能
「An experiment occurs when a particular
• 複数の場合の利点
– 一度に多くの情報が得られる。 comparison is produced while other aspects of the
• 例)反応時間と正確さのトレードオフ:反応時間と正答率の両者の測定が推奨される。 situation are held constant.」
• 複数の場合の欠点
– 分析が困難になる。 多変量解析
– 説明(解釈)が複雑になる。 制御の仕方
– 複数の測度が同じ心的概念を測定しているかどうか不明の場合もある。別の側面
を測定している可能性がある。 除去、恒常、均衡化、確率化、相殺化
– 同時に多く反応をとると、課題の性質が変わることもありうる。

除去 Elimination 恒常性 Constancy


• 不必要な刺激の除去 → 暗室、防音室 • 一定に保つ。
• 過去経験、知識の除去 → 無意味綴り、無作為図形 • 刺激
• 奥行き手がかりの除去 → 単眼観察、還元衝立 – 形、大きさ、輝度、提示時間など
• 実験室の状態
• 除去しすぎると現実世界との遊離が生じ、あまりにも人工的、実
験室的、抽象的になってしまう。 • 教示
• 除去できない変数が多くある。特に被験者変数は除去しにくい。 – 教示を録音して聴かせる。
• 除去だけでは実験の統制はできない。 – 紙に書いて読んでもらう。
→ 実験者の微妙な態度の変化の影響をなくすため

3
均衡化 Balancing 無作為抽出 Random Sampling
確率化 Randomization 無作為割り当て Random Assignment
• 被験者間計画での被験者の割り振り方 • 無作為抽出
– 実験開始に先立ち、被験者の成績(練習)をほぼ等しくする。
– 大きな母集団から被験者を選択する。
• 複数の実験者、評定者、装置の場合
– 被験者を母集団の代表的となるようにする。
– 全ての条件で使用するようにする。
例)実験者2名の場合、各実験者が実験群と統制群の半数の被験者を扱う。 – その被験者の実験結果をその母集団に一般化できるようにする。
• 被験者内計画での条件の順番 • 無作為割り当て
– 実験条件の順番をランダムにする。 – 選択した被験者を実験条件に無作為に割り当てる。
• 被験者間計画での被験者の割り振り方 – 実験条件の被験者群を等化する。
– 被験者をランダムに割り振る(ブロック別ランダム化)。 – 何らかのバイアスの存在の疑いをなくす。
– 乱数表、サイコロ、トランプなどを利用する。

系列の順番
相殺 Counterbalancing
• 極限法での上昇・下降系列の順番
– 被験者内カウンターバランス
• 被験者内計画では、各被験者が一つ以上の条件(あるいは試行)を受
– ABBA法 A:上昇系列 B:下降系列
けるので、順番が問題となる。
– ABBABAAB法
• 条件(試行)を繰り返すと、成績は練習の結果、次第に上昇するかも
しれないし(練習効果)、あるいは疲労の結果、低下するかもしれな • カウンターバランスのパターン
い。従って、条件(試行)の系列上で、これらの要因が等しくなるよ – 群内カウンターバランス
うに分布させる必要がある。 – 条件が2つ 2!=2 AB, BA
• 被験者内カウンターバランス Intrasubject Counterbalancing – 条件が3つ 3!=6 ABC, ACB, BCA, BAC, CAB, CBA
• 群内カウンターバランス Intragroup Counterbalancing – 条件が4つ 4!=24 ABCD, ABDC, ACDB, ACBD,・・・
– 完全なカウンターバランス
• 可能性のある全ての提示順序が確実に出現する。
• 条件の数が多くなると、完全なカウンターバランスは困難になる。
– 不完全なカウンターバランス

ラテン方格 Balanced Latin Square Design


• 不完全なカウンターバランス
• 試行ブロックによるカウンターバランス

基本配列 例)4種の刺激(単語、文字、数字、
図形)の記憶範囲の比較
試行ブロック
各刺激ごとに10試行、計40試行
1 2 3 4
1 A B C D 被験者は条件数(例では刺激の種類)
被 2 B C DA のn倍でなければならない。各行各列

者 3 C D A B には各条件が1度ずつ現れる。しかし、
4 D A B C Aの次はB、Bの次はCと順序は規則
的になっている。
※記号が実験条件を示す。

You might also like