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高レベル放射性廃棄物の処分場の問題点

高レベル放射性廃棄物の処分場の問題 高レベル放射性廃棄物　きっと、多くのみな 原子力発電所では核分裂のエネルギー

を考えてみましょう。 さんにとって馴染みのない言葉でしょう。 を利用して電気を起こしています。燃料
であるウランは核分裂によって、別の原
子核に姿を変えます。

核分裂によってできた放射性元素の多く 原発で使い終わった「使用済み核燃料」は、 日本では、使用済み核燃料を青森県

は、強い放射線を出す性質を持っていま この死の灰のかたまりです。よって、「使用済 六ヶ所村にある再処理工場に運んで、
す。人体を通り抜けて、細胞や遺伝子の み核燃料」のまま処分する計画の国では、こ 中に含まれているプルトニウムとウラン
機能を破壊します。このことから、これら れが高レベル放射性廃棄物にあたります。 を回収する計画になっています。
の放射性元素をまとめて「死の灰」と呼ん
でいます。

その後、廃液の形で残った死の灰をガラ 高さ約１．３ｍ、外径約40センチのガラス固 法制度を審議した高レベル処分問題懇

スと一緒に固め、キャニスターと呼ばれる 化体一本には広島原爆約３０発分の死の灰 談会の席上で、当事の電気事業連合会
ステンレス製の容器に詰める作業を行い が詰まっています。 会長であった荒木浩東電社長は「原子
ます。こうしてできたガラス固化体が、日 力を始めた当初は、（高レベル廃棄物
本でいう高レベル放射性廃棄物です。 は）一生使っても豆粒一つぐらいと思っ
ていた。」「電気事業者でありながら、こ
んなに大変な問題であることを初めて
知った。」と本音を漏らしています。

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ガラス固化体は放射能による高い熱を この写真は青森県六ケ所村に運び込まれる ガラス固化体には果てしなく長い寿命の

持っています。処分までの３０年～５０年 高レベル廃棄物の輸送です。輸送容器に雨 放射能が入っています。そのため、アメ
間、青森県六ケ所村で一時貯蔵して冷却 がかかり、湯煙が上がっています。 リカ環境保護庁は、放射能規制を１００
する計画ですが、５０年では十分に冷却 万年間行うとしています。埋め捨てにで
できないおそれもあります。 きるような代物ではないのです。

また、ガラス固化体は、被曝すればわず このためガラス固化体の取り扱いは全て遠
か数十秒で致死量に相当する強烈な放 隔操作でしか行えません。この図は、冷却の
射線を発しています。製造直後の場合、 ための六ヶ所村の一時貯蔵施設です。
20秒で100％死亡に相当すると資源エネ
ルギー庁も説明しています。

このように危険な高レベル廃棄物を この理由は、発生量の予測と、4万本規模の このような莫大な量のプルトニウム需要

３００ｍより深い地層に埋め捨て処分する 処分場を作ると1本あたりの処分費用が最小 などあるはずがなく、軍事的緊張を招か
計画が進んでいます。１ヶ所の処分場に になると試算からです。しかし、ガラス固化体 ないためには再処理を見直すしかあり
はガラス固化体を４万本も埋める計画で が４万本発生する規模で再処理すれば、プ ません。再処理を前提とする地層処分
す。 ルトニウムは400～ 450トンも抽出されます。 の方針は、その前提条件が崩れている
これは核爆弾５万発分以上に相当します。 のです。

これまですでに高レベル廃棄物は２万本 世界的にも再処理を行う国は限られており、 高レベル廃棄物はオーバーパックと呼

近く発生していますが、ガラス固化体に アメリカ、カナダ、スウェーデンなどは使用済 ばれる鉄製容器に封入され、粘土など
なったものはそのうちのわずかにすぎ み燃料の形態で地層に埋める計画が進めら の緩衝材に包まれて埋設される計画で
ず、再処理前の使用済み核燃料の段階 れています。 す。２重、３重のようですが、キャニス
のものがほとんどです。 ターやオーバーパックなどの「人工バリ
ア」は地下水の中でやがて腐食し、長期
間放射能を封じ込めることはできませ
ん。

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放射能が漏れだすことを前提に、天然バ 地層処分を可能とした核燃サイクル機構（現 地表にやがて放射能が漏れだしてきて

リアと位置づけた地層が汚染した地下水 在の原子力研究開発機構）の技術レポート 被曝することは前提です。被曝基準を下
の地表への到達を遅らせるという考え方 では、例えば汚染した地下水が地表に上昇 回るかどうかは断層の位置などの条件
で地層処分は計画されています。 する断層は、漏れだした地点から１００ｍ以 が違えばいくらでも変わりうるのです。
上離れた所にしかないとの都合のいい条件
で計算が行われています。

処分実施主体である原子力発電環境整 この図は、1980年から1996年までの、マグニ 日本列島の近くでは太平洋プレートや

備機構が原子力安全委員会に提出した チュードが４以上で深さが100kmより浅い地 フィリピン海プレートが陸側のプレートの
資料でも、地層処分の安全性の確認は 震の震源分布を示しています。日本列島は 下にもぐりこんでおり、地震が多発する
様々な想定に基づくものと説明していま 赤い帯の下で見えません。 要因となっています。
す。

政府の地震調査研究推進本部も今後30 地層処分では、地下は地上よりも揺れずに
年以内に震度６弱以上の揺れに見舞わ 安全と言われますが、問題は50年以上続く
れる確率を公表しています。 操業期間です。私たちの生活圏に一番近づ
く輸送中の高レベル廃棄物が地震や津波に
襲われたら。大惨事に至らないという保証は
ありません。

高レベル廃棄物の処分方法を定めてい 法律に基づき定められた最終処分計画に処 処分場は文献調査、概要調査、精密調

る法律では処分の実施を原環機構が、資 分地選定のスケジュールが示されています。 査の３段階で選定するとされています。
金管理を原環センターが行うとされ、総額 推進派は、このスケジュールを維持するため 概要調査地区は処分場候補地、精密調
約三兆円とされる処分費用の積立が行 には、今後１、２年間が正念場とあせってい 査地区は処分場予定地にあたります。
われています。処分費用は、電力会社が ます。

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拠出しており、電気料金に上乗せされて
私たち消費者が支払わされています。

原環機構は、この最初の文献調査を行う 国が支援策として打ち出したのが、広報活動 総理大臣答弁書では、処分場を受け入

市町村の公募を２００２年１２月から行っ の強化と交付金の増額です。公募に応じて れる意思なしに調査のみを受け入れて
ています。全国の市町村にこのような資 調査が開始された段階から市町村に交付さ いるような場合に交付金を交付すること
料が配布されています。 れる金額は２億１千万円から今年度に１０億 は適切ではないとされています。交付金
円に増額されました。また、都道府県向けの を一度受けとると物心両面で縛られて
交付金も用意されました。 処分場の立地から逃れられなくなるおそ
れがあります。

仮に自治体に交付金が入っても、市民に 公募開始から4年余り。交付金目的で応募を 他の地域でも今後も予断を許さないとこ

は直接のメリットはありません。原環機構 検討する市町村がありましたが、これまでは ろがあります。NPO法人が誘致活動を
は公募にあたり地域経済への波及効果 反対の声で応募を許さないできました。しか 行うなど草の根型の誘致を目指す動き
を強調していますが、地元の農林水産業 し、高知県東洋町長が、今年1月、町民や議 もあり要注意です。
は風評被害で大きな打撃を受けることに 会の反対の声を無視して応募を強行しまし
なるでしょう。 た。

また、地層処分の研究開発は日本原子 原子力研究開発機構の前身である旧動燃 原環機構の資料では、処分地選定の手

力研究開発機構が担っています。北海道 事業団は、かつて処分場選定のために全国 続に地域住民の参加機会が多くあるよ
幌延町と岐阜県瑞浪市に深地層研究所 の地層調査を当該自治体にも秘密のうちに うに説明されています。しかし、これらの
を有し、実際の処分場と同様の坑道建設 行ってきた前科があります。これらの地域で 手続は、法律に定めのあるものではなく
を進めています。研究所が処分場に転用 水面下の工作が進められている可能性もあ 実施される保証はありません。
されないか監視が必要です。 ります。

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法律に定めのある住民参加の機会は、 国は「自治体の同意がなければ事業を進め しかし、あくまで「尊重」であり、「同意」で

文献調査、概要調査、精密調査の各段 ない」と説明会等で強調しています。概要調 はありません。知事等の意見が玉虫色
階で１度きりの意見書提出だけです。意 査地区が選ばれると、国は最終処分計画に であれば手続きは進行してしまいます。
見は、報告書に対する技術的な内容の 地区名を書き込む変更を閣議決定しなけれ 意見が明確な反対の場合でも、「事業
場合のみ参考にされ、「地層処分反対」な ばなりませんが、それに先立ち知事と立地市 が進まない」だけで計画が撤回されるわ
どの意見は無視されます。本来あるべき 町村長の意見を聞き、「尊重」しなければな けではなく、地元工作が続けられます。
は、意思決定への参加のはずです。 らないと法律に書かれているからです。

それでも反対だったらどうなるかは国会で このように、高レベル放射性廃棄物はと
大臣が答えています。「最終的には国が ても危険であり、簡単に埋め捨てにして
決定するものだ、そういう規定でありま しまえるものではありません。誰もがイ
す。」一度、公募に応じれば簡単にキャン ヤがる処分場をお金の力で押しつける
セルできません。 というやり方も問題です。

廃棄物の行き場がない原発は「トイレなき 公害問題では、排水・排ガス処理という対症
マンション」とも呼ばれてきました。いま、 療法から、水銀などの原因物質を使わない
問題なのは原子力利用を拡大するため 製造法への転換と対策を進化させてきまし
に、「トイレのことはなんとかなる」という姿 た。これを原子力に当てはめると、危険な廃
勢を取り続けていることです。私たちは 棄物を生み出す原発の廃止になります。原
「簡単には解決しない」現実と向き合うこ 子力政策の転換を求め、ともに声をあげて
とを提案します。 いきましょう。

上記をパワーポイントのスライドショーにしています。
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