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1

はじめましてを言う時って
キュンってなりますよね
2
人と人が出会うのは
素敵な奇跡
3
だからその瞬間を宝物にして
とっておきたくなっちゃうんですね
4
恥ずかしいセリフ 禁止!
5
ええー
6
窓 いつ開けたっけ
7
アリア社長
8
おはようございます
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頬をなでる 優しい風
10
PRESENTED IN JAPANESE BY
ඞSUS SUBSඞ
TIPS: ko-fi.com/jpsubs
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波音に 揺られて
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体の中 ほどけてゆくよ
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目を閉じて 見えてくる
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風の行く道が
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あらあら 何
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さあ 漕ぎ出そう 光る波へ
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色んな音が聞こえてくると
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一日が動き出した感じがしますね
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本当ね
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笑顔が すぐ こぼれる
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はい!
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ねえ 伝えよう このときめき
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風にのって あなたのもとへ
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行くわ ウンディーネ
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お願い 灯里ちゃん
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はい
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気をつけて
いってらっしゃい
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いってきます
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はい アリアカンパニーです
お電話…
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はい お電話ありがとうございま…
31
おい
32
…暁さん
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人がせっかくアリシアさんの
ボイスメッセージを
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聞くために電話したっていうのに
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なぜ邪魔をするもみ子よ
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もみ子じゃありません
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いや もみ子だ
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そのもみあげがある以上
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だからもみあげじゃありません
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ゴンドラの予約でしたら私がお伺…
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俺様は忙しいのだ
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もみ子と話している暇はない
じゃ
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その 素敵な奇跡を…
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ここネオ・ヴェネツィアでは
そろそろ春も終わりです
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私が初めてアクアについた日から
早いもので二十ヶ月
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アクアの暦だと
あと四ヶ月ほどで丸一年
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二度目の夏がもうすぐ
そこまで来ています
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心配ないです
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ア・カ・リ
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鳥が巣立つ時って
こんあ気持ちなのかなぁ
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ここがアクア
この街がネオ・ヴェネツィア
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新天地
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思ってた通りというか
それ以上 一目惚れ
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この街でなってみせましょう
一人前のウンディーネに
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はい お電話ありがとうございます
アリアカンパニーです
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あの アリシアさんのゴンドラに
乗りたいんですけど
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今日はちょっと…
申し訳ありませんが…
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どうしても乗りたいんです
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予約がいっぱいで
ごめんなさい
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そうですか…
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じゃあ 他の人でもいいです
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それが私しかいなくて…
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じゃあ あなたでいいです
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私はまだ半人前なので 一人で
お客さんを乗せられないんです
65
そうですか
どうも
66
あの
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私が一人前なら…
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でもアリシアさんでなくちゃ
お客さんは納得しないかも
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あぁ 社長
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それじゃ 練習に行きましょうか
71
あぁ えっと
72
はい
73
え?
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練習 行くんですよね
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あ はい まあ
76
じゃあ 早く行きましょう
77
はい
78
でも 私は半人前なので
お客さんは…
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分かってます
80
今からお友達です
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えぇ?
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お客さんじゃないですから
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叫びますよ
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なんて
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人さらい 誰か 助けて
って叫びます
86
友達
87
はい
88
えっと これが私が考えた
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ゴンドラを揺らさないように
漕ぐ練習で…
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揺れまくってますけど
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ゴンドラ好きなの?
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そうでもないみたい
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遅いし
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そう
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あれ? この子
さっき電話をくれた
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もしかしてマンホームから来たの?
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そうです
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やっぱり
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私も前マンホームに住んでたの
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一人で…
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あ そんなわけないか
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お父さんとお母さんと
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ネオ・ヴェネツィアはどう
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不便です
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あぁ マンホームに比べたら
不便だよね
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車がないからほとんど歩きだし
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料理も自分で材料買って作るし
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このゴンドラの手入れも
自分でやるんだよ
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大変ですね
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でも 私はそんな風に全部自分で
できるのが嬉しい
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マンホームじゃできないでしょう?
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名前聞いてもいい?
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私は水無灯里
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アイ
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アイちゃん
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どうして私のゴンドラに
乗ってたの?
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取り調べですか?
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あ いえ
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やっぱり 聞いてたのと違うな
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藍華ちゃん!
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えっと 藍華ちゃん この子は
お客さんじゃなくてお友達で
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アイちゃんっていうんだけど
マンホームから来てて…
123
ただ乗りじゃないのよ
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えっ そう とも言うかな
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ほら 早く降りなさいよ
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二人はどっちが上手なんですか
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それはどっちかってーと
あたし?
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じゃあ あなたが漕いでください
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はぁ 何であたしが?
130
友達だから
131
違うから
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あの 藍華ちゃんいいんじゃない?
友達ってことで
133
は? ちょっと待って
どう言うことよ
134
だってせっかくお知り合いに
なれたんだから
135
ね?
136
そうだ 藍華ちゃん
アリシアさんを見に行こうよ
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藍華ちゃんは本当に
アリシアさんラブだね
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イエス!
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やっぱり揺れまくってます
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正確な時間と楽しいトークが
姫屋のモットーでございますので
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ここアクアがテラフォーミングされ
人々が住むようになって約百五十年
142
今日では水の星として
親しまれております
143
ネオ・ヴェネツィアはかつてマン
ホームにあった街ヴェネツィア…
144
何急に?
145
あぁ ガイドがあったほうが
楽しいかな〜って
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手がガチガチじゃん
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第一ただ乗り犯にそこまで
サービスすることないでしょうよ
148
でも せっかく来たんだし
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やっぱりネオ・ヴェネツィアを好きに
なって帰ってほしいな〜って思うから
150
このまちがすきですか
151
うん 大好き
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最初はカッコいい
ウンディーネに憧れて来て
153
ただそれだけだったけど 今は
アクアとネオ・ヴェネツィアが好き
154
不便さもゆっくりした時間も全部
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この街って奇跡でできてるんだよね
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奇跡…
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そう 水も空気もなかったこの星に
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街を作ろうとした人たちのたくさん
の思いが集まって生まれた
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素敵な奇跡
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私たちが出会ったのも
奇跡の一つかも
161
恥ずかしいセリフ 禁止!
162
ええー
163
ジャガバター屋さんだ
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ジャガバター?
165
食べていく?
166
別に…
167
家でも食べたことありますけど
好きじゃないし
168
そう?
169
マンホームで食べるのと
全然違うよ
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やっぱ食べようかな
171
うん!
172
あんた お金持ってんの
173
持ってますよ
174
なんだかな お金持ってんのに
ただ乗りって タチ悪くない
175
でも私たちがお金もらう
わけにもいかないし
176
食べないの
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ジャガイモが大きい
178
そう?
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マンホームだと カットして
売られてるのが普通だから
180
食べにくそう
181
ごちそうさまでした
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はいはい どうも
183
おいしかったです
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え そうかい ありがとう
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それじゃ 出発しますか
186
社長 出発ですよ
187
あれ?
188
アリア社長?
189
いないね
190
あの あれって
191
社長!
192
急がなきゃ
193
うん!
194
上手な人が漕いだほうが
いいんじゃないですか?
195
大丈夫よ
灯里には奥の手があるんだから
196
思い切りやんなさいよ
灯里!
197
それでは いかせてもらいます!
198
灯里はマンホームでは間違えて
逆に漕ぐ練習をしてたからね
199
逆漕ぎなら無敵なのよ
200
そんなことして大丈…
201
いきます!
202
オーケー そのまま真っ直ぐ行って
203
少し左に
204
はい!
205
速い
206
アリア社長!
207
すごい すごい!
208
カッコよかった
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突然予定外の行動をとってしまい
申し訳ありませんでした
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アリシアさん
211
ありがとうございます
アリシアさん
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あらあら 藍華ちゃんも一緒
213
えっと
214
この子はアイちゃんっていいます
その 友達の
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あらあら
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それじゃ 私ともお友達ね
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はい
218
じゃあ またね アイちゃん
219
はい
220
アリシアさん 素敵だった
221
本当よね
222
アイちゃん アリシアさんに
会いたかったんでしょう
223
よかったね
224
知ってたんですか
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朝電話くれたのアイちゃんでしょう
226
アリシアさんのゴンドラ
乗りたいって
227
あたしね ここへ来る前はアクアも
ネオ・ヴェネツィアも嫌いだったの
228
前にお姉ちゃんが新婚旅行で来てね
229
年離れてるんだ
230
そう だからいつも私のこと
子供扱いするんだけど
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旅行から帰ったら
アクアの話ばっかり聞かされて
232
私 お姉ちゃんは好きだけど
自慢しいなところはちょっと嫌い
233
だからなんとなくアクアも
ネオ・ヴェネツィアも嫌いになった
234
分からなくもないわね
235
にしても じゃあ 何で来たの
236
実際に来たら好きになるかな〜って
思ってお父さんとお母さんに頼んで
237
でも連れて行ってもらったところは
どこもつまらなくて
238
他のゴンドラも乗ったけど
ふーんって感じだったし
239
やっぱりお姉ちゃんが
一番自慢してた
240
アリシアさんのゴンドラに
乗らなきゃって思ったけど
241
でもダメで
242
それで灯里のゴンドラにね
243
ごめんなさい
244
でも今日乗せてもらって
よかったです
245
ジャガバターおいしかったし
逆漕ぎも楽しかったし
246
帰ったらお姉ちゃんに
自慢のお返しをしてやります
247
お姉さん 自慢してた
わけじゃないと思う
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アイちゃんに教えたかったん
じゃないかな アクアのこと
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だってほら 自分が好きになった
物の話ってしたくなるでしょ
250
特に好きな人には
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そうか そうですね
252
私は今 お姉ちゃんに今日のこと
話したいって思ってる
253
そういうことなんですね
254
なんだかお姉ちゃんのアクア話が
聞きたくなってきた
255
灯里さんたちのおかげで
256
いつもの間にか私もこの街が
好きになっちゃったみたいです
257
嫌いが好きに変わるってのも
奇跡かもね
258
恥ずかしいセリフ 禁止!
自分!
259
本当にご迷惑をおかけしました
260
なんとお詫びしていいか
261
いえ 全然構いませんよ
私も楽しかったですし
262
それより 本当に今日ここを
発たれるんですか
263
ええ
264
明日のお昼休みアリシアさんに
頼んでみようと思ったんだけど
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もし今度また来た時には
私が絶対何とかするから
266
メールしてね
267
いいです もう
268
え? 本当に約束するから
269
本当にいいです だって私
270
次に来た時はまた灯里さんの
ゴンドラに乗りたいから
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本当? アイちゃん
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うん だから 早く一人前の
ウンディーネになってね
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頑張ります
274
そうだ
275
あとこれ アリシアさんに
276
はい
277
あらあら この二人なら覚えてるわ
278
ゴンドラの上でケンカ
始めちゃった新婚さん
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旅行で初めてお互いの知らない
嫌な部分を知って戸惑ってたのね
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仲直りできたんですね
281
ええ あの時は大変だったけど
282
幸せそう
283
よかった
284
嫌いなところ好きになるには
少し努力が必要だけど
285
もしそれができたら
好きな人は大切な人になる
286
大切な人…
287
その奇跡は努力で起こすことが
できるんですね
288
そうね
289
アイちゃんに奇跡を起こしたのは
アイちゃん自身かもね
290
はい お姉さんの事
もっともっと好きになりたい
291
アイちゃんが生んだ奇跡なのかも
292
手のひらの上に そっとのせた
293
やさしさを あたためて そっと
294
口ずさんだ 秘密のメロディー
295
歌ってよ 行くあてもないけど
296
でも 降り出した雨も
297
気にしない ずっとそばにいるから
298
いくつもの虹 越えて行けるよ
299
ふたりで オーバー ザ レインボー
300
小さな光 星に願いを
301
叶えてよ きっと 青い鳥
302
胸いっぱいの愛を 集めてよ
きっとレインボー
303
心にはいつも愛を 越えてくわ
きっとレインボー
304
アリシアさん
今日も素敵な一日でした
305
あらあら 灯里ちゃんに素敵
じゃない日なんてあるのかしらね
306
えへへ
307
次回
「その 特別な日に…」
308
素敵なひと時を
ご一緒しましょう

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