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大学日本語專攻生八級能力試験問題(2015)

(総合問題)

(試験時間:聴解を除いて 90 分間)

注意:回答はすべて解答用紙に書くこと。

一、聴解(2 点×10=20 点)

二、次の文の下線をつけた部分はどれに当たるか、それぞれ A.B.C.D の中から一つ


選んで、解答用紙のその番号に印をつけなさい。
(1 点×10=10 点)
11、彼は大ざっぱですが、奥さんは几帳面です。
A.くちょうめん B.きじょうめん C.きちょうめん D.いくちょうめん

12、浜辺の砂で彫刻を作ってみた。
A.はまへん B.はまべ C.ひんへん D.びんべ

13、人質が解放されたニュースが流れた。
A.ひとじち B.じんしつ C.ひとしつ D.じんじち

14、ベテランの店員は手際よく商品を包装した。
A.てさい B.しゅさい C.てぎわ D.しゅぎわ

15、航空事故の分析は専門家に委ねられた。
A.あま B.いだ C.まか D.ゆだ

16、彼女は口うるさいので、若い人からけいえんされている。
A.軽遠 B.敬遠 C.軽嫌 D.敬嫌

17、彼は被害もうそうだと言われている。
A.妄想 B.狂想 C.瞑想 D.盲想

18、早くもその夏、彼は大きなてがらをたてました。
A.高良 B.田柄 C.手柄 D.手殻
19、努力をおしまず、毎日勉学に励んでいる。
A.押 B.海 C.慎 D.惜

20、日光東照宮にたてまつる貢ぎ物。
A.奉 B.捧 C.祭 D.祀

三、次の各文の下線をつけたところの意味に合うものをそれぞれ A.B.C.D の中から


一つ選んで、解答用紙のその番号に印をつけなさい。(1 点×10=10 点)
21、その要求に対する私の対応が彼らを仰天させもし、落胆させた。
A.非常に悩むこと B.非常に喜ぶこと C.非常に困ること D.非常に驚くこと

22、このところ県内外からわざわざ視察研修に来てくださるケースもめっぽう増えてき
た。
A.程度がはなはだしいさま B.想像を超えているさま
C.程度がいつもと同様なさま D.いつまでも続けるさま

23、二本の滑走路が、茶褐色の空地のなかに白く伸びている。その周りは暗緑色のジャン
グルである。
A.大木 B.樹木 C.密林 D.竹林

24、誰もが B 氏の話が出ると苦々しい顔つきになって、
「あの人は口先だけだよ」と吐き
捨てるように言う。
A.きわめて苦い B.きわめて不愉快だ
C.何とも言えない D.心から喜んでいる

25、あの申し出を断わったということが、そもそも彼の恨みを買ったのだろう。
A.恨みを受けられる B.誰かを恨む
C.人から恨まれる D.他人を恨む

26、選ばれた方式は、他の鉄道のものほど手の込んだものではなかった。
A.手間が掛かって、値段が高い B.平凡だが手間がかかっている
C.手間が掛からず、値段が高い D.精巧で、手間がかかっている

27、相手がプロの棋士じゃ戦っても相撲にならない。
A.勝とうとしてもなかなか勝てない B.力量が違いすぎて勝負にならない
C.勝っても負けても全然気にしない D.何らかの原因で事が順調に進まない

28、どちらに決まってもいいように、両方に関係をつけておく。
A.二股をかける B.二股で踏む C.両手使い D.両両相まって

29、最善の策を見いだそうと、あれこれ考え抜く。
A.知恵を付ける B.見当をつける C.知恵を絞る D.見当がつく

30、一生に一度しかめぐり会える機会がないものと心得て、何かとの出会いを大切にすべ
きである。
A.一世一代 B.一期一会 C.一心不乱 D.一枚看板

四、次の文の___に適する言葉はどれか、それぞれ A.B.C.D の中から最も適当な


ものを一つ選んで、解答用紙のその番号に印をつけなさい。
(1 点×20=20 点)
31、聞かないほうがいいとは分かっていたが、私は___。
A.聞かずにはいられなかった B.聞かずにはすまなかった
C.聞かずにはおもわなかった D.聞かずにはおかなかった

32、誰もが嫌がるようなつらい仕事ばかりをどんどんやらされては___。
A.しょうがない B.たまらない
C.とんでもない D.はばからない

33、止めてはいけないところに無断駐車するなんてまったく___。
A.いかがのことだ B.禁じえないことだ
C.べからざることだ D.もってのほかだ

34、会議の直前で発表用の USB を無くしたなんて、いかにも彼の___ことだ。


A.やりたい B.やるべき C.やるらしい D.やりそうな

35、たくさんの子供の命を救った彼の勇敢な行為は、いくら褒めても___。
A.ほめやみません B.ほめたりません
C.ほめられません D.ほめやりません
36、両親や妻に嘘をつき、周りの同僚や上司を騙し込み、自分の良心を欺いて___出世
しようなんて、畜生にも劣る振る舞いではないか。
A.さえ B.ばかり C.ほど D.まで

37、努力して合格できなかったなら___、最初から諦めるなんて情けないと思わないか。
A.まだしも B.いえども C.つけても D.とはいえ

38、百年もの歴史のあるあの会社は今日を___解散することになります。
A.かぎりに B.きりに C.のみに D.ばかりに

39、先日友人からちょっと面白いものをもらったのです。先生にもごらんに___。
A.あげましょう B.いたしましょう
C.いれましょう D.なりましょう

40、チャレンジ精神が旺盛な彼のような若者こそ、我が社にとっては欠く___人材なの
だ。
A.にあたらざる B.べからざる
C.までもない D.わけがない

(メールで)山下です。先日お話があったスピーチの件ですが、ぜひ私に___。
41、
A.やっていただけないでしょうか
B.やってもよろしいでしょうか
C.やらせていただけないでしょうか
D.やらせてあげないでしょうか

42、(電話で)
「もしもし、藤井___のお宅でしょうか。こちら山田電気と申しますが、
…」
A.かた B.どの C.くん D.さま

43、(電話で)「先日ご注文___品物の件について、お電話いたしました。

A.うけたまわりました B.さしあげました
C.ぞんじあげました D.もうしあげました

44、(電話で)
「あ、林君、あのね、講師の山下先生が場所がわからないって、そうそう、
だから君、すぐ駅まで迎えに行って、そして会場まで案内して___。」
A.やってください B.いただいてください
C.あげてください D.もらってください

45、「ぜひ一度会長に___のですが、ご都合はいかがでしょうか。」
A.お目に掛けたい B.お目にかかりたい
C.拝見いたしたい D.拝見いただきたい

46、「この幣の散る法にご船速やかに漕がしめ給へ。
」の下線部の現代語訳は___だ。
A.漕いでください B.漕がせてしまいなさい
C.漕いで見なさい D.漕がせてください

47、「毎度得失なくこの一矢に定むべしと思へ。」の下線部の現代語訳は___だ。
A.この一本の矢で絶対決めてやる
B.この一本の矢で絶対決めるだろう
C.この一本の矢で絶対決めるはずだ
D.この一本の矢で絶対決めるべきである

48、「月な見給ひそ。
」の現代語訳は___だ。
A.月をご覧になってください B.月をみてあげるぞ
C.月をご覧にならないでください D.月を見てあげないぞ

49、「大進生昌が家に、宮の出でさせたまふに」の下線部の現代語訳は___だ。
A.大進生昌の家に、中宮でご退出あそばす
B.大進生昌の家に、中宮がご退出あそばす
C.大進生昌の家に、中宮のところをご退出あそばす
D.大進生昌の家に、中宮のところをご退出あそばす

50、「うつくしきもの。瓜にかきたるちごの顔」の下線部の現代語訳は___だ。
A.美しいもの B.麗しいもの
C.きれいなもの D.かわいらしいもの

五、次の各問の答えとして適するものをそれぞれ A.B.C.D の中から一つ選んで、解


答用紙のその番号に印をつけなさい。(1×10=10 点)
51、『源氏物語』より後に成立した作品はどれか。
A.竹取物語 B.伊勢物語 C.落窪物語 D.堤中納言物語

52、自然主義の系列に入る作品はどれか。
A.舞姫 B.羅生門 C.田舎教師 D.たけくらべ

53、近松の人形浄瑠璃論について、文学史上における呼称は次のどれか。
A.虚実皮膜論 B.皮膜虚実論
C.浄瑠璃虚実論 D.浄瑠璃皮膜論

54、与謝野晶子の作品はどれか。
A.東西南北 B.みだれ髪
C.一握の砂 D.歌よみに与ふる書

55、大江健三郎が書いた作品はどれか。
A.パニック B.ノルウェイの森
C.キッチン D.万延元年のフットボール

56、江戸時代を通じて、百姓一揆が最も多く発生したのは、日本のどの地域だったか。
A.東北地方 B.関東地方 C.近畿地方 D.九州地方

57、日本のいわゆる王朝時代はどれに当たるか。
A.院政時代 B.摂関時代 C.平安時代 D.大和王朝時代

58、米、中、英が日本との戦争終結条件を定め、1945 年 7 月に発表したのはなにか。
A.京都宣言 B.東京宣言
C.ポツダム宣言 D.ワシントン宣言

59、東日本大震災の震災地にある日本三景の一つはどれか。
A.天橋立 B.熱海 C.宮島 D.松島

60、枯山水の庭園でもっとも有名なのはどれか。
A.清水寺 B.竜安寺 C.金閣寺 D.銀閣寺
六、読解問題
問題一、次の各文の内容と最も一致しているものをそれぞれ A.B.C.D の中から一つ
選んで、解答用紙のその番号に印をつけなさい。
(1×10=10 点)
61、ある芸ごとの名人の言だということだが、つぎのようなことばをきいたことがある。
「芸ごとのコツというものは、師匠から教えてもらうものではない。ぬすむものだ」とい
うのである。教える側よりも習う側に、それだけの積極的意欲がなくては、なにごとも上
達するものではない、という意味であろう。芸ごとと学問では、事情のちがうところもあ
るが、学ぶ側の積極的意欲が根本だという点では、まったく同じだと、私は考えている。
受け身では学問はできない。学問は自分がするものであって、だれかに教えてもらうもの
ではない。そういうことを考えると、いまの学校の制度は、学問や芸ごとを学ぶには、か
ならずしも適当な施設とはいいにくい。
A.芸ごとの師匠ではないのだから、教師はもっと積極的に教えるべきだ。
B.学生に積極的意欲を持たせるために、学校の設備を充実させるべきだ。
C.今の学校制度では、学生は積極的に学ぶよりむしろ受け身になっている。
D.芸ごとも学問も根本は同じだから、学校では芸ごとも教えたほうがいい。

62、「人が幸せになると、自分もうれしい気持ちになるんです」という人がいる。そこに
は動かぬ矛盾が存在する。人を幸せにしたいなんてかっこいいことを言っておきなが
ら、実際は自分がうれしいからそうしているだけなんじゃないか。自分の自己満足のた
めに人を利用しているのではないか。これは利他主義の皮をかぶった利己主義だ。だか
ら、私は究極の利己主義者になろうと思う。実は利己主義は好き勝手に振舞えばいいよ
うに見えて、結構難しい。その時その時に応じて、目先の利益ではなく、後々の事も考
えながらどうするのが自分にとって最善かと考えないといけないのだ。自分にとってマ
イナスの結果を招きたくなければ、人に迷惑はそうそうかけられないのだ。自分のやり
たいようにやって、それでいて人の迷惑にもならない。それこそ私が目指すところの利
己主義なのである。
A.筆者が理想とする「利己主義」とは、短期の利益ではなく、長い目で自分の利益
を考えるものだ。
B.筆者の理想とする「利己主義」とは、人の迷惑を顧みず、自分の思うままに生き
ようとするものだ。
C.筆者が理想とする「利己主義」とは、人を幸せにしたいと願うことで自分も他人
も幸せにするものだ。
D.筆者が理想とする「利己主義」とは、自分のことしか考えず、人とかかわらない
ように生きるものだ。

63、家庭で使う水は風呂やシャワーが一番多いと考えがちだが、実はトイレが 28%で一
番多い。水は作ったり送ったりするときに二酸化炭素を排出している。だから節水型ト
イレを世界中で使用したら、水を 2 億トン減らせる上に、12 万トンの二酸化炭素が削減
できるそうだ。現在トイレの水の使用量はアメリカ、ヨーロッパなどでは 1 回 6 リット
ルが基準だそうだ。以前は 13 リットルだったから随分節約できている。この数値は限界
かもしれないが、今も競争が続けられている。
A.水を使わないトイレの開発を競争している。
B.トイレを流す水の削減を競争している。
C.お風呂を洗う水の削減を競争している。
D.二酸化炭素の削減を競争している。

64、私企業の主導的原理である「自己利益の追求」に衝き働かされて馬車馬のようにさ
んざん働いた親の世代を見て、今の若者は「彼らは結局のところ幸せだったのか」と問
い直し、そうした生き方を考え直そうとしている面が確実にある。「不況の中の豊かさ」
とも言える不思議な環境を享受する、ある意味で幸運な時代に生きているからこそ、若
者は「何らかの活動を通じて自分なりに何か生きがいを見つけたい」
「人とつながること
によって喜びや充実感をともに感じたい」「だれかの役に立つことによって自分自身の居
場所を見つけたい」という願望を実現できる可能性を感じとっている。こういう意識が
若者を、広い意味のボランタリーな活動に向かわせているのだ。
A.自分の願望が実現できるかどうかを感じ取ろうとする意識が、若者をボランタリ
ーな活動に向かわせている。
B.自分の居場所や生きがいが見つけられるかもしれないという意識が、若者をボラ
ンタリーな活動に向かわせている。
C.馬車馬のように働くのではなく、もっと楽に生きたいという意識が、若者をボラ
ンタリーな活動に向かわせている。
D.「不況の中の豊かさ」とも言える幸運な時代を生きているという意識が、若者を
ボランタリーな活動に向かわせている。

65、「ふつう」ではない働き方を特権視するのは、若者ばかりではない。フリーターの親
のなかには、つまらない就職をするくらいなら、フリーターのほうがましだと考え人々
が存在する。バブル崩壊以降、親(大人)自身が、これまで自分たちが築いてきた社会
に対する自信を失ってしまった。そうした親たちは、子どもに対して「ふつうの就職を
しろ」といえなくなってしまった。それどころか、
「自分は会社に縛られる生き方をして
きたが、せめて子どもには自由な生き方を見つけてほしい」と願っている節がある。
A.自由な生き方とは、会社に縛られない生き方をするという意味だ。
B.自由な生き方とは、就職しないで親に支えてもらうという意味だ。
C.自由な生き方とは、親の会社に就職して自由に働くという意味だ。
D.自由な生き方とは、「ふつう」の働き方をするという意味だ。

66、テレビのインタビューなどで、アナウンサーが僻地に出かけてゆき、そこで生活し
ている人々にものをたずねたりしているのを見ているとき、僕はしばしば感動する。ふ
だんは意識にものぼらない無数の未知の人々の生活が、たとえば毎日青函連絡船で本州
と北海道のあいだを往復しながら行商している担ぎ屋のおばさんたちの、屈託なさそう
なおしゃべりやインタビューでの受け答え−−−−じつは彼女たちも、戦争で夫を失ったよ
うな人々なのだが−−−−を通じて、突然潮のような実感をともなって肌身に感じられてく
るのだ。テレビの映像は、今まで決してすくい上げられることのなかったそういう無数
の庶民の生活的な表情をすくい上げるとき、最もすぐれてテレビ的であるように思われ
る。
A.テレビの良い点は、人の行けない僻地でもアナウンサーがインタビューできるこ
とだ。
B.テレビの良い点は、たとえば、戦争で夫を失った女性の話が実感を持って語られ
たりすることだ。
C.テレビの良い点は、北海道の行ったことのない場所でも行っているかのように実
感できることだ。
D.テレビの良い点は、ふだん見落とされているような庶民の生活感情を映し出すと
きがあることだ。

67、3 月 3 日は「ひな祭り」またの名は「桃の節句」といって、女の子の健やかな成長
を祝う日です。実はこの時期日本ではまだ桃の花は咲いていません。しかし日本人が旧
暦で暮らしていたころにはたしかに桃の花が咲いていたのです。このように最近は日本
の行事は本来の季節とかけ離れるきらいがあります。お正月もこれから寒くなるという
のに初春とか新春などというのですから変です。でも旧暦では寒い冬が終わってこれか
ら春がやってくる喜びを表すのに相応しい時期に当たっていました。長い鎖国の時代が
終わって西洋文明が入ってきて 1873 年に日本政府は旧暦を改め現在使用している新暦に
移行しました。その結果このような不都合が生じるようになったのです。
A.旧暦に戻すべきだと筆者は主張している。
B.行事は旧暦でするべきだと筆者は主張している。
C.新暦に移行するべきではなかったと筆者は述べている。
D.行事の季節感は旧暦と合っていると筆者は述べている。

68、日本人は昔から言葉遊びが好きだ。詩の形式の一つである短歌ではよく 1 つの言葉
に 2 つ以上の意味を持たせる掛詞という技法が使われる。掛詞は表面上の意味の他に隠
された意味を持たせる方法である。
「花の色はうつりにけりな、いたづらにわが身世にふ
るながめせしまに」という小野小町の有名な短歌がある。この歌の「ながめ」には「長
雨」と「眺め」
、また「ふる」には「降る」と「経る」の意味がある。だからそれぞれ前
者の意味で訳すと「美しい花の色はいつの間にか色がさめてしまった。長雨が降ってい
た間に」となり、後者なら「私の顔立ちもいいときは過ぎてしまった。つまらないこと
をあれこれ考えている間に」となる。掛詞も同音異義語があるからこそできるのだ。
A.掛詞とは日本の古い歌を作るときに使われた違う意味を持つ言葉の使い方だ。
B.掛詞とは同音異義語を使って隠れた意味を持たせる言葉の技法だ。
C.掛詞とは同じ意味の違った言い方の言葉だ。
D.掛詞とは 2 つ以上の意味を持っている歌だ。

69、物体は激しく動けば、それだけ摩擦が大きくなる。人間だって、激しく動くと熱を
持つのだ。端から見れば、輝いている人間のことが、きっと羨ましく見えるのだろう。
だけど、輝いている本人は熱くてたまらないのだ。星だって、何千光年という遠くの地
球から見れば、美しく輝く存在だ。
「いいなあ、あの星みたいに輝きたい」人はそういう
かもしれないけれど、その星はたまったもんじゃない。何億度という熱で燃えている。
しかも、燃え尽きるまで、そうやって輝いてなくちゃいけない。これは真面目に、けっ
こう辛いことなのだ。カッコつけているわけじゃない。自分がそうなってみて、実感と
してそう感じる。
A.人間も物体と同じで、激しい運動をすれば摩擦で体が熱くなる。
B.人は星のように輝いてはじめて、生きることへの情熱が実感できる。
C.人は成功した人間を羨むが、本人は辛く苦しい思いをし続けている。
D.輝いて見える星のように、人もいずれは燃え尽きてしまう運命にある。

70、「フランス料理」という通常のカタカナ表記では特別の語感は生じないが、漢字で
「仏蘭西料理」と書くと、漢字の重々しい雰囲気で高級そうな感じになる。店の看板が
「仏蘭西料理」となっていると、値段が心配になって店の前で財布の中身を調べたくな
るような高級感が漂う。あえてその表記を使った店主の気概も感じられるような気がす
る。「カレーライス」でも「カレー」でもなく、特に「カリー」という表記を打ち出した
看板にも、どこにでもあるカレーとは違う本場の味を主張している雰囲気があり、客の
ほうも店主の自負を感じるかもしれない。
A.店の看板の表記を変えると、店主の調理技術の高さを保証する効果がある。
B.店の看板の表記を変えると、本場の食材を使っていることを示す効果がある。
C.店の看板の表記を変えると、他の店と一味違いそうだと感じさせる効果がある。
D.店の看板の表記を変えると、重々しい雰囲気の店だという印象を与える効果があ
る。

問題二、次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。(1 点×10=10 点)
現代の都市生活者の存在感情の底にあまねく静かに浸透してきているように思われる
「寂しさ」
、①それが、いま、だれかと「つながっていたい」というひりひりした疼きと
なって現象しているのではないだろうか。電車のなかで互いに別の世界の住人であるか
のように無関心で隣り合っていながら、指を器用に動かして次から次へとメールを打つ
シーンには、②このような気持ちが痛いくらいに感じられてならない。
人がおそらく最初に求めるのは、③自分が、あるいはその存在が「肯定されて」ある
という感情だろう。
緊密に、そして大規模にシステム化された都市社会というのは、「資格」が問われる社
会である。人々の生活の細部まで支えているシステムを維持するために、④それにふさ
わしい行動の能力が求められる。システムが複雑化するというのは、そういう行動能力
に複雑なプロセスが要るということでもある。今日では幼稚園に通う前から教育は始ま
り、そこから最低でも十数年教育は続くというのが、まさにその能力育成の必要性に応
じた結果にほかならない。
「資格」が問われるというのは、もしこれができれば、次にこれができる……という
ことだ。⑤そこでは何をするにしても条件が問われる。そして条件を満たしていなけれ
ば「不要」の烙印を押される。だから、自分の子供が将来こういう惨めなことにならな
いように、親たちはずいぶん幼いころから教育をうけさせる。「これをちゃんとやらなか
ったらこんどの日曜日に遊園地に連れていってあげませんよ。」から「こんな点数をとる
のはおれの子じゃない。
」までいろんな脅迫の言葉を向けながら、だ。
「もし〜でなけれ
ば」という条件のもとで、自分の存在が認められたり認められなかったりするという経
験を、子どもはこうして繰り返してゆくことになる。自分の存在は人に認められるか認
められないかで、あったりなかったりする、そういうものなのだ、という感情を募らせ
てゆくのだ。これを言いかえれば、自分というものに「なる」途上にいる子どもたちに
とっては、⑥自分が「いる」に値するものであるか否かの問いを、ほとんどポジティブ
な答えがないままに、恒常的に自分に向けるようになるということである。
このような鬱屈した気分の中で、子どもたちは何もできなくても自分の存在を⑦それ
として受け入れてくれるような、そういう愛情にひどく渇くようになるのだろう。つま
り、何の条件も付けないで「このままの」自分を認めてくれる他者の存在に渇くという
ことだ。「できない」子どもだけではない。「できる」子どもも、あるいは「できる」子
どものほうがと言ったほうがいいかもしれないが、上手に「条件」を満たすさなかに、
もしこれを満たせなかったらという不安を感じ、かつ⑧それをかろうじて上手に克服し
ている自分を「偽りの」自分として否定する、そういう感情を内に深く抱え込んでいる
はずだ。
だから、子どもたちや十代の人たちは、自分を自分として「このままで」肯定してく
れる友だちや恋人を、これまでのどの時代よりも強く求めるようになっているらしい。
自分を肯定できるかどうか、そのこと自体に大きな不安を感じているのが、今の子供た
ちではないかと思われてならない。したがって、今の子どもたちの「誰かとつながって
いたい」という気持ちの裏面には、⑨こうした他者への遮断認識が深くあることを見逃
してはならないように思う。
(紀伊国屋書店刊 鷲田清一著『感覚の幽い風景』による、一部書き換えあり)
注:ポジティブ/積極的。
71、①それが、いま、だれかと「つながっていたい」というひりひりした疼きとなって
現象しているとはどんなことを指しているのか。
A.今すぐ、だれかとつながりを持たないと寂しくて心が痛くなるということ
B.現代の都市生活者が存在感情が寂しくいつでもだれかと連絡を持ちたいこと
C.寂しい気持ちが心を痛めると、だれかとすぐにつながりを持ちたくなること
D.寂しい気持ちが常に他人とのつながりを持ちたいという切なる渇望となること

72、②このような気持ちとは、どんな気持ちなのか。
A.矛盾している気持ち B.両立させようとする気持ち
C.侘びしく感じる気持ち D.別世界にいるような気持ち

73、③自分が、あるいはその存在が「肯定されて」あるという感情とはどんな感情なの
か。
A.自分が人々に肯定されて存在価値があるという感情
B.いま、だれかとメールでつながっているという感情
C.自分が肯定されて存在を実感しているという感情
D.自分を肯定してくれることを最初に求める感情

74、④それにふさわしい行動の能力とはどんな能力のことか。
A.大規模にシステム化する能力 B.必要な資格を取りそろえる能力
C.システムを維持に必要な能力 D.人々の生活の細部を支える能力

75、⑤そこはどこを指しているのか。
A.簡単なシステムを持つ都市社会 B.複雑なシステムを持つ都市社会
C.気持ち感情を重んじる都市社会 D.教育機関が非常に長い都市社会

76、⑥自分が「いる」に値するものであるか否かの問いを、ほとんどポジティブな答え
がないままに、恒常的に自分に向けるようになるとは、どんなことを言っているのか。
A.自分の存在価値が他者によって決められるものだから、常に存在価値の有無とい
う問いにさらされているということ
B.自分の存在価値があるか否かという問いは全く答えようがないものだが、それに
常に脅かされているということ
C.この社会に存在して良いか悪いかという心配を常に持っているが、それに対する
答えが得られないということ
D.自分の存在価値という問いが常に自分に向けているが、それに対する答えは得ら
れるはずがないということ

77、⑦それとして受け入れてくれるにある「それ」とは何を指しているのか。
A.「できない」子ども B.肯定してくれる人
C.「できる」子ども D.このままの自分

78、⑧それをかろうじて上手に克服している自分を「偽りの」自分として否定するとあ
るが、なぜそう思うのか。
A.上手に「条件」を満たすことに自信がなく、いつも不安に思っているから。
B.なんとかしてそれを克服した自分は実は本来の自分ではないと思っているから。
C.何もできないと思ったのに上手にそれを克服したので信じないと思っているか
ら。
D.上手に「条件」を満たしても、このままの自分を認めてくれないと思っているか
ら。
79、⑨こうした他者への遮断認識とはどういう意味か。
A.条件を満たせず「不要」の烙印を押された人とはつながりを持ちたくない意識
B.資格社会にふさわしい行動能力を持たない人とは関係を持ちたくないという意識
C.無条件に自分の存在を認めてくれない人とはつながりを持ちなくないという意識
D.「ありのまま」の自分を認めてくれない人とはつながりを持ちなくないという意

80、作者の最も主張したいのはどれか。
A.だれかと「つながっていたい」と強く求めていながら、無視されるのを恐れて、
自己防衛的に他人とのつながりを断ち切るという矛盾した感情を抱える子どもが
多い。自分をそれとして認めてくれる人に渇くのはまさにその表れの一つだ。
B.自分の存在が認められるか否かは、社会が自分を必要とするか否かにかかってい
る。社会にとって必要であるがために自分の存在価値があると感じる子どもは、
一方、
「このまま」の自分を認めてくれる人を強く求めている。
C.現代の都市生活者の存在感情の底にあまねく浸透している「寂しさ」は、人がい
つでも、だれかと「つながっていたい」と望みながらも、条件を満たせず、資格
がないために、それができないというようなものである。
D.「できない」子どもよりも「できる」子どものほうが、上手に「条件」を満たす
さなかにも、もしこれを満たせなかったらという不安を強く感じ、かつ「偽り」
の自分を否定して本来の自分に戻りたいと望んでいる。

七、次の文章の(81)〜(90)にはどんな語が入るか、後の A.B.C.D から一番適当な


ものを一つ選んで、解答用紙のその番号に印をつけなさい。
(1 点×10=10 点)
教養とは
もう「」をつけるのはやめよう。
教養という言葉は大変に難しい言葉である。
( 81 )、難しい言葉のわりには、私たちは実に気楽に教養という言葉を使う。「あの人
は教養がある」、
「幅広い教養」、
「教養が邪魔する」など。そして、本当に多くの人が教
養について語ろうとするが、
( 82 )多くの人は「
『教養』
」(内側の二重かぎかっこは引
用文中のかぎかっこなので二重になっている。通常の文章中であれば、単に一重のかぎ
かっことして使われているものである)について語る結果となってしまう。
教養というものを揶揄する文脈で使うため、
( 83 )、独自定義の教養について語るた
めなど、人により目的もさまざまであるが、結局のところ、かぎかっこがついているも
のを見る限りは、真面目に「教養って何なの?」という問いに答えるものとはなっていな
い。
( 84 )、まず教養とは何かということを正しく理解することからはじめたいと思う。
( 85 )、教養を身につける意義を理解し、教養を身につけるためにはどうしたらよいか
を考えて、もう教養に「」をつけることから卒業してほしいと思う。
「幅広い教養」とは?
教養について考えるときに、真っ先に浮かんでくるのがこの言葉だろう。
「幅広い教
養」!
しかし、誰でも疑問に思うように、この場合の教養の意味は知識とほとんど変わりが
( 86 )
ない。 、「幅広い教養」というのは広く浅い知識とも言いかえられそうである。そ
んなものが教養なのだろうか?
結論から言うと「幅広い教養」というのは、あまり正しい言葉とはいえないものであ
( 87 )、実際問題として、教養のある人というのは、沢山の知識を持っていること
る。
が多く、その逆もだいたい成り立つことが多いので、「幅広い教養」という言い方がそれ
なりに不自然に感じられず、よく使われるのかもしれない。
この背景を考えてみると、以前は現在のように、インターネットで知識が簡単に得ら
れるような時代とは( 88 )、知識を得るのにも分厚い本を読まなければならなかった
( 89)、
り、何年も人に教わったりと、それなりの時間と手間がかかった時代もあった。
その時間と手間をかけている間に、教養が身についていったのかもしれない。そういう
意味で、
( 90 )「幅広い教養」という言葉がそれなりに通じていたのかもしれない。
しかし、知識と教養は本来的には違うものである。
81、A.それが B.ところで C.しかし D.しかも
82、A.なにより B.なぜか C.なぜなら D.なにか
83、A.たしかに B.なにしろ C.とにかく D.あるいは
84、A.そこで B.そのうえ C.それに D.それから
85、A.そこで B.そして C.それも D.それで
86、A.それならば B.それのみでは C.そればかりか D.それどころか
87、A.ただ B.だが C.また D.まだ
88、A.同じ B.違って C.反対に D.似て
89、A.実に B.実情 C.実は D.実際
90、A.とりあえず B.とはいうものの C.とりたてて D.とりもなおさず

八、次の中国語を日本語に訳し、その訳文を解答用紙に書きなさい。
(20 点)
千代拿着三吉的换洗衣服一阵小跑到了车站,跳上了等在那里的电车。一股鱼腥味扑面
而来。
“快跑!”一个小鱼贩子模样的老太太说了一句。也不知道她是对司机说的,还是说
给自己听的,千代心里琢磨不定,偷偷看了看坐在正对面的老太太。老太太狠狠瞪了她一
眼。千代赶紧把视线移向窗外的景致。
她心里寻思,今后究竟怎么生活下去。负债累累,又没有任何收入的来源。看来只有自
己去工作这一条路了。然而,生活费用再加上丈夫的住院费,需要一大笔钱。她百感交
集,既感到本人不过四十五岁,又觉得自己都已老矣,居然已有四十五了。现在她真是走
投无路,万般无奈。

(30 点)
九、次の要領で解答用紙に作文をしなさい。
題目:一つの決定
注意事項:1、文体は、手紙文を除いて一律常体にすること。
2、文章は、450 字以上、500 字以内におさめること。
(句読点も一字とする。もし 450 字未満、または 500 字をオーバーし
た場合は減点になる。)
3、作文用紙には本文だけを書き、題目は書かないこと。

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