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Wilson’s Theorem

2022 年 7 月 31 日

1 Wilson’s Theorem
まず初めに、初等整数論における素数に関する代表的な定理である「Wilson’s Theorem」について初等的
な証明を行う。この「Wilson’s Theorem」は一般に逆も成り立つが今回は十分条件のみを証明したいと思い
ます。

Wilson’s Theorem 

p が素数ならば(p − 1)! ≡ −1 (mod p)が成り立ち、その逆も成り立つ。


 

(proof)素数 p について次の(A)が成り立つことを示す。

(p − 1)p ≡(p − 1)
!(mod p) ・・・(A)

(A)を示すにあたって、(p − 1)
p
−(p − 1)! を p で割った余りを r とおき、r ̸= 0 と仮定すると次の式が成
り立つ。(0 < r < p)

(p − 1)
p
≡(p − 1)! + r(mod p)

二項定理より(p − 1)
p
を展開すると、


p
(p − 1)p = p Ci pp−i( − 1)i (1)
i=1

p−1
= p Ci pp−i( − 1)i − 1 (2)
i=1

となるので、(p − 1)p ≡ −1(mod p)が成り立つので、(B)は以下のようにかける。

(p − 1)
! + r ≡(p − 1)p(mod p) (3)
≡ −1(mod p) (4)
(p − 1)
! + r + 1 ≡ 0(mod p) (5)
×
(r + 1){(p − 1) ! + 1}≡ 0(mod p) (6)

1
ここで、 (p − 1)
×
!=(p − 1)×・・・×(r + 2)× r ×・・・× 2 × 1 とする。
(5)より(p − 1)
(r + 1)が p の倍数であるとすると、 ! が p の倍数となり矛盾する。よって、
{(p − 1)
×
! + 1}
が p の倍数となるので、次が成り立つ。

×
(p − 1) ! ≡ −1(mod p) (7)
≡ (p − 1)(mod p)
p
(8)
≡(p − 1)! + r(mod p) (9)
×
{(p − 1) !}(1 − r)≡ r(mod p) (10)
−(1 − r)≡ r(mod p) (11)
−1 ≡ 0(mod p) (12)
(13)

これは矛盾する。よって、r = 0 より(A)が成り立つ。さらに、フェルマーの小定理より、

(p − 1)
! ≡(p − 1)(
p
mod p) (14)
≡ p − 1(mod p) (15)
(p − 1)
! ≡ −1(mod p) (16)

したがって、Wilson’s Theorem は成り立つ。

2 Wilson’s Theorem と素数判定


「Wilson’s   Theorem」は、同値条件となっているので素数判定法としても使えるが判定する p が大きく
なるにつれ、(p − 1)
! の計算量が膨大になるためあまり実用化はされていない。しかし、今回の証明でも見た
通り(p − 1)p と(p − 1)! の余りが一致していることを用いれば、今回は明らかに(p − 1)
p
が大きいが、より
少ない計算で素数が判定できる方法が見つかるかもしれません。

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