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正会員 ○益尾 潔 1)
RC 基礎梁 高強度せん断補強筋 フック付き重ね継手
せん断耐力 せん断ひび割れ せん断補強筋ひずみ
1. はじめに
(注)図中の Bi は基礎梁主筋,Hi はせん断補強筋のひずみ測定位置
RC 基礎梁の場合,通常,断面寸法およびせん断補強筋 コンクリート 反力部(断面:400×1450)
打設方向
2-K 10@250(K H 685) 梁主筋:3+ 2-D 25
寸法が大きく,RC 配筋指針 1)によると,SD490 以下のせん (鋼種:SD 390)
150
B1 B1
530
H1 H2 H3
1000
H3 H2 H1
1450
685N/mm2 級以上の高強度せん断補強筋の場合,フック付き H4 H5 H6
470
重ね継手を配置した RC 基礎梁の実験は見当たらない。 PL -12 B2 B2 PL -12
300
20 20
【F G 685-∞】 【F G685-50】
これらより,本実験では,785N/mm2 級および 685N/mm2 250 1125 1500 1125 250
4250
級高強度せん断補強筋を用いたフック付き重ね継手を有
【F G685-∞、F G685-50】
する RC 基礎梁のせん断性状を確認した。 コンクリート
2-K 10@250(K H 685) 打設方向 梁主筋:3+ 2-D 25
(鋼種:SD 390)
150
2. 試験体および実験因子 B1 B1
280 220
1000
反力部左右の供試部 1,2 の順で加力することとし,試験
1450
220 280
H6 H5 H4 H4 H5 H6
体各部諸元は,荒川 mean 式のせん断余裕度 Qsu/Qfu を 0.8
程度として決定した。すなわち,基礎梁供試部のせん断 PL -12 B2 B2 PL -12
300
20 20
【F G685-45】 【F G685-40】
スパン比 a/D=1.125,基礎梁断面寸法 250mm×1000mm,上 250 1125 1500 1125 250
4250
下 主 筋 3+2-D25(SD390) , せ ん 断 補 強 筋 2-K10@250mm 【F G685-45、F G685-40】
(pw=0.23%)とし,重ね継手末端は 135°フック,重ね継手 (a) 基礎梁供試部の配筋詳細
B1 B1 B1 B1
70 50
70 50
70 50
70 50
位置は基礎梁せいの中央とした。pw はせん断補強筋比を
示す。
実験因子は,表 1 に示す 表 1 実験計画 H1~H3 H1~H3
500(= 50d)
450(= 45d)
400(= 40d)
H1~H3
H1
1000
1000
1000
1000
760
760
760
760
~
ように,せん断補強筋鋼種 横補強筋 H3
試験体 H4~H6 H4~H6 H4~H6
鋼種 重ね長さ
(785N/mm2 級 ,685N/mm2 級 ) FG785-∞ -※
785 B2 B2 B2 B2
と重ね長さであり,重ね長
50 70
50 70
50 70
50 70
FG785-55 55d
N/mm 2
FG785-50 50d 50 75 50 75 50 75 50 75
さは RC 配筋指針に準じた FG785-45
級
45d
75 50 75 50 75 50 75 50
250 250 250 250
必要重ね長さ比 l/d の計算 FG685-∞ -※
685 【F G685-∞】 【F G 685-50】 【F G685-45】 【F G685-40】
FG685-50 50d
結果を基に設定した。供試 N/mm 2 (b) 基礎梁断面配筋詳細 (寸法単位:mm)
FG685-45 45d
級 図 1 代表的試験体の形状寸法および配筋
部数は各鋼種 4 体,計 8 体 FG685-40 40d
※:重ね継ぎなし
であり,材料試験結果を表 3. 実験方法
d:横補強筋呼び名の値
2 に示す。 コンクリートの目標圧縮強度24N/mm 2 本実験では,図 2 に示すように,試験体中央の反力部
左右の供試部 1,2 に,それぞれ油圧ジャッキを用いて加
表2 材料強度試験結果 力した。載荷履歴は,目標部材角 R=(5,10,20)×10-3rad.
(a) コンクリート の 1 サイクルずつの正負繰返し載荷後,正加力方向への
σB ε co Ec σt
試験体
(N/mm )
2 -3
(×10 ) (kN/mm )
2 2
(N/mm )
単調載荷とした。
FG785 29.8 2.11 24.5 2.85 4. 実験結果
FG685 27.7 2.04 24.9 2.68
σ B :実圧縮強度(各6本の平均値)
4.1 荷重-変形性状および破壊形式
ε co :σ B 時ひずみ,E c :ヤング係数,σ t :割裂強度 代表的試験体のせん断力 Qg-部材角 R 関係を図 3,補強
(b) 鉄筋 筋鋼種別の Qg/Qfu-R 関係正加力時包絡線を図 4,代表的
呼び σy σu 伸び
鋼種
名 2
(N/mm )
2
(N/mm ) (%)
試験体の R=10×10-3rad 時ひび割れ状況を写真 1 に示す。
SD390 D25 440 615 22 図 3 中には,最大耐力 Qmax,限界部材角 R80 および主な
785N級 K10 827 1028 15
発生現象を示した。R80 は Qmax の 80%低下時限界部材角実
685N級 K10 784 936 17
σ y :降伏点,σ u :引張強さ 験値,Qfu は平面保持仮定による曲げ終局耐力時せん断力
である。
Shear Behavior of R/C Footing Beams with Hook Lap Splices MASUO Kiyoshi
Using 785 and 685 N/mm2 Class Shear Reinforcements
― 455 ―
1.2 Q g / Q fu 1.2 Q g / Q fu
A 押2000k N 引1000k N 押2000k N 引1000k N F G685-45
油圧ジャッキ 油圧ジャッキ F G785-50
1.0 1.0
▽Q su / Q fu ▽Q su / Q fu
±1000k N ±1000k N 0.8 0.8
ロードセル ロードセル F G785-∞ F G685-∞
0.6 0.6
F G785-55
加力板幅 加力板幅
200m m 200m m 0.4 0.4
ローラー支承 ピン支承 F G785-45 F G685-40
150
200 200 0.2 0.2 F G685-50
D T1(2) D T 1(2) R (×10 -3 r ad) R (×10 -3 r ad)
0.0 0.0
1000
0 10 20 30 40 0 10 20 30 40
1450
D T3(4) D T3(4)
供試部2 反力部 供試部1 2 2
(a)785N/mm 級 (b) 685N/mm 級
300
載荷床
1250 1250 1250
図 4 補強筋鋼種別の Qg/Qfu-R 関係正加力時包絡線
250 1125 1500 1125 250 (寸法単位:m m )
A
4250
①曲げひび割れ,②せん断ひび割れ,③付着割裂ひび割れ
図 2 実験装置
各試験体ともに,R=5.0~6.0×10-3rad.時に基礎梁主筋 ①
①
③
が引張降伏(BTY)し,R=7~10×10-3rad.時に最大耐力に達 ③
②
し,その後,加力点から材端部曲げ圧縮部に向かうせん
断ひび割れ幅が急増した(写真 1)。最大耐力後,FG685-∞ ②
を除く試験体では,基礎梁主筋の塑性ひずみが進展し,
FG685-∞の基礎梁主筋は R=6.0×10-3rad.時に降伏ひずみ 【FG685 -∞】 【FG685 -50 】
= 8.8 ×10 -3 r a d
および重ね長さによる有意な差異は認められなかった。
-7 50 -7 50
-Q m a x H TY
【F G685-45】
-Q m a x
H TY
【F G685-40】
5. まとめ
(=-814k N) -1 00 0 (=-795k N) -1 00 0
― 456 ―