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技 術 資 料

ライナープレート
円形・小判形・矩形・深礎
集水井・トンネル
ライナープレート立坑
円形・小判形・矩形

目    次

1. まえがき .............................................................................................. 2
2. ライナープレートの特長 ................................................................... 3
3. 部材仕様 .............................................................................................. 4
3-1 ライナープレート ..................................................................... 4
3-2 ボルト、ナット、ワッシャー ................................................. 8
3-3 表面処理 ..................................................................................... 8
3-4 補強リングおよび支保材 ......................................................... 9
4. 推進工法用ライナープレート立坑 ................................................. 10
4-1 概要および用語 ....................................................................... 10
4-2 設計 ........................................................................................... 12
4-2-1 ライナープレート立坑の設計手順 ................................ 12
4-2-2 設計条件の決定 ................................................................ 13
4-2-3 ライナープレート立坑断面形状の決定 ........................ 13
4-2-4 設計荷重 ............................................................................ 15
4-2-5 許容応力度 ........................................................................ 16
4-2-6 ライナープレート立坑の設計計算式 ............................ 17
4-3 施工 ........................................................................................... 35
4-3-1 施工順序 ............................................................................ 35
4-3-2 掘削・排水 ........................................................................ 37
4-3-3 組立 .................................................................................... 37
4-3-4 裏込め注入 ........................................................................ 39
4-3-5 路面覆工 ............................................................................ 39
4-3-6 解体および埋戻し ............................................................ 40
付図1. 円形立坑リング位置図 ........................................................ 41
付図2. 補強リング継手詳細図 ........................................................ 45
付図3-1. ライナープレート円形構成表 ............................................ 49
付表-1. 円形立坑の標準寸法 ............................................................ 51
付図3-2. ライナープレート小判形構成表 ........................................ 52
付表-2. 小判形立坑の標準寸法 ........................................................ 54
付図3-3. ライナープレート矩形構成表 ............................................ 55
付表-3. 矩形立坑の標準寸法 ............................................................ 56

−1−
1. まえがき
 当社のライナープレートは、薄鋼板に波付けしたセクションより作られているため、
運搬が容易で組立が簡単です。これらのすぐれた特長を活かし、工事の簡素化、迅速化
に貢献し、好評を得ております。
 また、当社のライナープレート商品はハイレベルのホットストリップ商品を材料とし
て、合理化した製造工程により生産されるため、安定した品質が確保され、需要家の皆
様にご信頼いただいております。
 今後ともいっそう当社のライナープレート商品をご愛用くださいますようお願い申し
あげます。

−2−
2. ライナープレートの特長
ライナープレートは波付けされた薄鋼板の四辺に組立用のフランジを設けたもので、以下

に述べる優れた特長を有するため立坑のみでなく、トンネル覆工材など種々な用途に使用さ

れています。
ライナープレートセクション

(1)軽量で施工性に優れています。
ライナープレートセクションは、軽量でかつボルト接合であるため、人力での運搬・組

立が容易にできます。また積み重ねができるため狭隘なストックヤードでの保管も可能で

す。
(2)断面性能が優れています。

ライナープレートは、波付けされているために断面性能が高く、同厚の平鋼板に比べは

るかに大きな強度を有しています。
(3)内側からの組立が可能です。

コルゲートパイプの場合には、下の図のように各セクションの継手が重ね合わせのため、

パイプを組み立てる時パイプ外側にも作業スペースが必要となりますが、ライナープレー
トの場合には、内側のみでボルト接合ができますので外側に作業スペースを必要としませ

ん。したがって、地山に近接して組立ができ、余掘がすくなくてすみます。

このように、立坑の内側からだけで組立られることがライナープレートの最も大きな特
長です。

ライナープレートの場合 コルゲートパイプの場合

(4)低騒音・低振動工法です。

大型機械を使用せず人力で掘削・組立を行うので騒音・振動の発生がありません。
(5)再使用が可能です。

剛性が高く、耐久性に優れ、ボルト接合であるので再使用が可能です。

−3−
3. 部材仕様
3−1 ライナープレート
3−1−1 使用鋼板

ライナープレートに使用する鋼板の材質はJIS G 3101(一般構造用圧延鋼材)に規定
されているSS330を使用しています。

ライナープレート使用鋼板の材質

化学成分
(%) 機   械   的   性   質

引 張 強 さ
P S 伸    び 曲げ角度
(N/mm2)

板厚t≦5mm 26%以上
0.050以下 0.050以下 330∼430 180°
5mm<板厚t≦16mm 21%以上

3−1−2 断面形状

ライナープレートセクションの断面形状を下に示します。

(単位mm)

3−1−3 使用板厚および断面性能
ライナープレートセクションの使用板厚および断面性能を表に示します。

使用板厚および断面性能

1枚当たり 1m当たり
板 厚 弧 の L
中心角 断面二次 断面二次
断面積 断面係数 断面積 断面係数
モーメント モーメント
(mm)
t θ (mm) (cm2)
A Z(cm3) (cm
I 4
) (cm2/m) Z
A (cm3/m) (cm
I 4
/m)

2.7 109°30′ 33.9 19.88 23.0 70.5 39.76 46.0 141

3.2 110°14′ 33.1 23.56 27.2 83.8 47.12 54.4 168

4.0 111°26′ 31.8 29.43 33.7 105 58.86 67.4 210

4.5 112°14′ 31.0 33.11 37.9 119 66.22 75.8 238

5.3 113°36′ 29.6 38.97 44.4 140 77.94 88.8 280

6.0 114°52′ 28.3 44.10 50.0 160 88.20 100 320

7.0 116°50′ 26.4 51.43 58.1 188 102.9 116 376

−4−
3−1−4 ライナープレートセクションの形状・寸法および種類

推進工法用立坑に用いられるライナープレートセクションには、下の図に示したよう

なS形・C形・J形・L形があります。又 a フランジには157mm
(π/20m)
ピッチボル
ト孔があけられており、ボルト孔数が n 個のセクションをP−nセクションとよび、一

般にP−10・P−8・P−6セクションが使用されます。

なお、各セクションの幅はすべて500mmです。7ページに円弧形のP−10・P−8・P−
6セクションの形状・寸法を示します。

用     語
ライナープレートセクション q ライナープレート

波付けされた薄鋼板の四辺にフ

ランジを設けたライナープレート
セクションにより構成される構造

物の一般名称で、亜鉛メッキを施

したものと、黒皮品があります。
w ライナープレートセクション

ライナープレート立坑を構成す

るライナープレートのユニット
で、形状により、S形・C形・J

形・L形の各セクションに分類さ
ライナープレートセクションの形状
れます。また円周方向フランジ
(a
S形
フランジ)
のボルト孔数が n 個であ

るセクションをP−nセクションと

いい、一般にP−10・P−8・P−6
C形
セクションを用います。

e 円周方向フランジ( a フランジ)

ライナープレートのセクション
を立坑深さ方向に連結するために
J形
円周方向に配列されたもので、ボ

ルト孔のピッチは157mmです。

L形

−5−
t 径(直径・長径・短径) r 軸方向フランジ(bフランジ)

円周方向フランジと直角方向の

もので立坑の断面を構成するため
使用される。フランジ鋼板は溶接

により取り付けられており、ボル

D) 距離) ト孔4ケ・水抜き孔3ケがあけら



中 心間
ト れております。鋼板はライナープ
ボル
周方向 レート本体より厚いものを使用し
(円
ています。
t 径(直径・長径・短径)

円周方向フランジのボルト孔中

心位置で測った寸法をいいます。
y 円形立坑

C形セクションのみで組立られ

た円形の断面を有する立坑です。
短径(S)

u 小判形立坑

C形・J形・L形のセクション

を組み合わせた小判形の断面を有
する立坑です。
長径(L)
i 矩形立坑

S形とL形コーナーセクション
で組み合わせた矩形の断面を有す

る立坑です。
短径(S)

長径(L)

−6−
C形・P−10・P−8・P−6セクションの形状・寸法

P−10セクション

P−8セクション P−6セクション

3−1−5 ライナープレートセクション構成
(1)円形立坑

各セクションは、単位直径
(1m)
につき円周方向のボルトピッチ数が20になるように、

1ピッチが157mm
(π/20m)で円周方向ボルト孔があけられています。
セクションの組み合わせは、各セクションのボルトピッチ数の総和が等しくなるよう

にセクションと枚数を選びます。

(例)直径 3m の場合
円周方向の必要ボルトピッチ数=3×20=60ピッチ

P−10セクションを6枚使用すれば

   10×6=60ピッチ

−7−
3−2 ボルト、ナット、ワッシャー
組立用ボルト,ナットはM16を使用します。また、プレートの間にH形鋼などの補強

材を挿入するときも、互換性をもたせるために同じM16を使用します。ボルトの材質は
原則としてJIS B 1180の強度区分4.6および8.8、または同等以上のものを使用します。

ボルト、ナット、ワッシャーの形状・寸法

使用ボルト長さおよび材質

ライナプレート板厚(mm) L
(mm) 強度 質量
(kg/組)

2.7、3.2 30 0.137

4.6
体 4.0、4.5 35 0.144
用 5.3、6.0、7.0 45 8.8 0.158

補強リング取付用 45 8.8 0.158

(注)質量は、ボルト・ナット・ワッシャーを含む、1本当たりを示します。

また補強リングの継手用ボルトは、補強リングの部材により、

H−100×100 ..................................................................................................... M16(8.8)


H−125×125,H−150×150 ......................................................................... M20(8.8)

を使用します。

3−3 表面処理
加工された鋼板は、両面1m2当たり900g以上で溶融亜鉛めっきを施しております。ま
た、ご要望により亜鉛めっきした鋼板にさらに瀝青質
(アスファルト系等)
塗料等で塗装

することもできます。

−8−
3−4 補強リングおよび支保材
補強リングおよび縦梁・腹起し・切梁等の支保材は広幅H形鋼が用いられ、その材質は

JIS G 3101
(一般構造用圧延鋼材)
に規定されるSS400あるいはこれと同等品を使用します。
下表に補強リング・支保材の材質を示します。

補強リング・支保材の材質

化学成分
(%) 機   械   的   性   質

引張強さ 降伏点又は耐力 伸  び


P S 曲げ角度
(N/mm2) (N/mm2) (%)

厚さ16mm以下 245以上 厚さ5mm超16mm以下 17以上


0.050以下 0.050以下 400∼500 180°
厚さ40mm以下 235以上 厚さ16mm超50mm以下 21以上

通常用いられるH形鋼のサイズとH形鋼の寸法および断面性能を下に示します。

H形鋼のサイズ
用 途 通常サイズ
(mm)

補強リング H−100×100∼H−175×175

  縦 梁
支 H−100×100∼H−400×400


  腹起し H−100×100∼H−400×400

  切 梁 H−100×100∼H−400×400

H形鋼寸法および断面性能

標準断面寸法(mm) 単位 断面ニ次 断面ニ次半径 断面係数


断面積 モーメント(cm4) (cm) (cm3)
質量
(cm2)
呼称寸法 H×B t1 t2 r (kg/m) Ix Iy ix iy Zx Zy
100×100 100×100 6 8 8 21.59 16.9 378 134 4.18 2.49 75.6 26.7

125×125 125×125 6.5 9 8 30.00 23.6 839 293 5.29 3.13 134 46.9

150×150 150×150 7 10 8 39.65 31.1 1,620 563 6.40 3.77 216 75.1

175×175 175×175 7.5 11 13 51.42 40.4 2,900 984 7.50 4.37 331 112

200×200 200×200 8 12 13 63.53 49.9 4,720 1,600 8.62 5.02 472 160

250×250 250×250 9 14 13 91.43 71.8 10,700 3,650 10.8 6.32 860 292

300×300 300×300 10 15 13 118.4 93.0 20,200 6,750 13.1 7.55 1,350 450

350×350 350×350 12 19 13 171.9 135 39,800 13,600 15.2 8.89 2,280 776

400×400 400×400 13 21 22 218.7 172 66,600 22,400 17.5 10.1 3,330 1,120

円形立坑、補強リング適用サイズ

呼称径(φ) 補強リングサイズ

φ2000以上φ2500未満 H−100×100×6×8

φ2500以上φ5500未満 H−125×125×6.5×9

φ5500以上φ8000未満 H−150×150×7×10

φ8000以上  H−175×175×7.5×11

−9−
4. 推進工法用ライナープレート立坑
4−1 概要および用語
推進工法用立坑は市街地の人家の密集した地域でせまい道路や空地に設けられることが多

く、このような条件下では前述のライナープレートのもつ特長を充分に発揮できるので、最
近はライナープレートを立坑に使用する例が増大しています。

推進工法用立坑には発進立坑と到達立坑とがあります。発進立坑は、推進管を発進する側

に設ける立坑で、用地上の制約や作業空間等により小判形の立坑が多く使用されています。
また到達立坑は、推進管到達位置に設けられ、推進管および刃口の到達・回収のために使用

されるほか、次の発進立坑として利用される場合があり、一般に円形立坑が用いられます。

以下にライナープレート円形立坑および小判形立坑の概略構造と用語の説明をいたします。

ライナープレート立坑

ライナープレート円形立坑
(到達立坑) ライナープレート小判形立坑(発進立坑)

−10−
 用 語

q 補強リング

立坑壁の剛性を増すために適当な深さごとにライナープレートの円周方向フランジ間に

挿入される部材で、通常H形鋼が用いられます。

w 縦   梁

小判形立坑において縦方向
(深さ方向)
に用いられる支保材で、立坑壁に作用する土圧を

腹起しおよび切梁に伝えます。

e 腹 起 し

立坑壁の変形を防ぐための横架材で、縦梁に働く反力を切梁に伝えます。

r 切   梁

立坑壁を支える縦梁相互、または腹起し相互の間に入れる圧縮部材をいいます。

t 支 保 材

小判形立坑における壁体を支保する部材で、縦梁・腹起し・切梁の総称です。

y 支 圧 壁

管を推進するときの推進反力を受けるために立坑内部に設けられる壁体で、通常コンク

リートにより築造されます。

u 壁   体

立坑の土留壁となる部材の総称で、補強リングが使用される場合は補強リングも含めま

す。

−11−
4−2 設 計
ライナープレート立坑には前述のように円形・小判形・矩形があります。

4−2−1 ライナープレート立坑の設計手順

下の図にライナープレート立坑の設計手順を示します。

−12−
4−2−2 設計条件の決定

立坑設置場所の土質調査結果より土質条件および、水圧を考慮する場合は地下水位を

決定します。
なお、立坑周囲の状況および施工法より上載荷重を決定します。

4−2−3 ライナープレート立坑断面形状の決定
立坑断面形状は次の要素を考慮して決定します。

発進立坑の場合

q 設置場所の制約
w 推進管の大きさ

e 支圧壁・推進器具の配置とスペース

r 作業スペース
t 推進後立坑内に築造する構造物

到達立坑の場合

q 設置場所の制約
w 推進管の大きさ

e 羽口の回収作業スペース

r 立坑に設ける構造物
なお、立坑断面形状には円形、小判形および矩形がありますが、おのおのの特長を下

表に示します。

円形 小判形 矩形

○ 構造として安定してお ○ 設置場所の制約で推進方 ○ 鋼矢板工法と同じ掘削断


り、小判形に対し立坑壁 向に対し直角方向の幅が 面がとれます。
の部材は小さく、支保工 せまい場合に最適です。 ○ 支保材が不要です。
も不要です。 ○ 長径と同一直径の円形に ○ 補強リングの部材が大き
○ 推進方向および到達方向 比べて掘削量が少なくな く、また、本数も多いた
は任意にとれます。 ります。 め施工はしにくくなりま
○ 小判形に対し組立・施工 ○ 支保材が必要なので施工 す。
が簡単です。 が複雑になります。

−13−
さらに小判形立坑には、つぎのような2つのタイプがあります。

A.補強リングタイプ B.支保工タイプ

1. 補強リングを使用するので壁の剛性 1. 壁材はライナープレートだけで、通
が大きくなり、通常の縦梁は4本で 常縦梁は6∼14本と腹起しを使用し
両 すみます。 ます。

イ 2. 壁材の組立は補強リングを使用する 2. 壁材の組立は簡単ですが、縦梁、腹
プ ので若干複雑になりますが、支保材 起しを使用するため施工手順が幾分

比 の組立が簡単です。 複雑となります。
較 3. 直線部が長くなりますと、縦梁4本 3. 腹起しが必要となるので、投入口が
では強度的にもたなくなる場合があ 幾分せまくなります。
ります。

小判形立坑の壁体部材は発生する断面力および円弧部の座屈により決定され、断面力
は縦梁間隔rによって支配されます。壁体部材断面のおおよその目安としては、深さ

6.5m程度の立坑で縦梁間隔r≦1.0m程度であれば、壁体部材はライナープレートだけで

十分です。それ以上になれば補強リングを使用するか縦梁本数を増す必要があります。
また、円弧部の座屈に対しては、縦梁間隔に関係なく短径Dが4.0m以上で立坑深さが

6.0m程度になると補強リングが必要となります。従って、直線部が長く縦梁をあまり多

く使用できない場合や、短径が4.0m以上で深い立坑の場合には、上記A,Bタイプを併
用することもあります。

−14−
4−2−4 設計荷重

a.土  圧

立坑に作用する土圧について種々の計算式が提案されていますが、土の水平アーチ作
用効果などにより実際の様相を決定することは困難なので、ここでは今までの施工実

績、計算の便を考慮して道路橋示方書・同解説「IV 下部構造編(ケーソン基礎の設計)」

11・7・1に規定された土圧式を準用するものとします。
下図に各土圧式による比較を示します。

(γm・h+q)
P=K

ここに
P ;土圧強度(kN/m2)

K ;土圧係数

 砂質土、粘性土にかかわらず、K=0.5とします。
γm ;各土層の平均湿潤単位重量(kN/m3)

h ;地表からの深さ(m)

q ;上載荷重(kN/m2)
h=15m以深では土圧の増加はないものとします。

立坑土圧の比較図
γm =20 kN/m2
φ =30°
C =0 kN/m2
q =0 kN/m2

−15−
b.水  圧

ライナープレート立坑では、ライナープレートが水密構造でないことや掘削に伴う排

水により、一般に水圧は作用しないものと考えます。ただし、水密構造とした場合は、
水圧を考慮することもあります。

Pω=γω・hω

ここに
Pω ;水圧強度(kN/m2)
γω ;水の単位重量(kN/m3)

hω ;地下水位よりの深さ(m)
c.上載荷重

仮設構造物の範囲外に原則として10 kN/m2の上載荷重を考慮します。ただし、自動

車・建設用重機および建築物等が特に土留めに近接し、かつ明らかに10 kN/m2では危険
側と考えられるときは、別途適切な値を決定します。

d.許容たわみ量

壁体のたわみが大きいと背面の地山がゆるむおそれがあるので、許容たわみ量は慎重
に決定する必要があります。

4−2−5 許容応力度

立坑を構成する部材の許容応力度は下表に示す値を用います。なお、立坑を永久構造

物に使用する場合には下表の値を2/3を用います。

立坑部材の許容応力度
単位:N/mm2

鋼 種 ライナープレート
( σLa) 支保工・補強リング
( σHa)
ボルト
応力の種類 SS330 SS400

引 張 応 力 度 180 210



1)λ≦18の時 1)λ≦18の時

圧縮応力度 210×
(180/210) 210

λ:細長比 λ:r/i 2)18<λ≦92の時 2)18<λ≦92の時

r:有効座屈長 {210−1.23(λ−18)×(180/210) 210−1.23
(λ−18)

i:断面二次半径 3)92<λの時 3)92<λの時

(6700+λ2)}×
{1800000/ (180/210) (6700+λ2)
1800000/

4.6 135
せ ん 断 応 力 度 105 120
8.8 300

−16−
4−2−6 ライナープレート立坑の設計計算式

4 − 2 − 6 − 1 円形立坑の横断面の設計

推進工法における発進・到達用立坑、深礎工法用立坑、集水井等のうち円形断面を
もつ立坑に共通な設計は、それに作用する土圧に対して行います。その主なものは

座屈に対する検討と発生する応力度に対する検討です。これらの検討では、次に示

すように立坑を水平方向に切断した断面を剛性一様なリングにモデル化し、それに
等分布荷重が作用するものとして設計を行います。土圧は深さ方向にその大きさが

増加するのが一般的ですが、立坑の最も深い位置の水平土圧を等分布荷重として立

坑に作用させるのがよいでしょう。
なお、立坑の深さが15.0m以上になる場合は等分布荷重としては、15.0m位置の水

平土圧を用います。

ライナープレート円形立坑に作用させる等分布荷重

1)座屈に対する検討

 a)許容座屈荷重

  q ライナープレートのみの場合
ライナープレート立坑の許容座屈荷重qaは次式により算出します。

ここに

qa :ライナープレート立坑の許容座屈荷重(kN/m2)
E :ライナープレートの弾性係数(kN/m2)
IL :ライナープレートの断面二次モーメント(m4/m)
r :ライナープレート円形立坑の半径(m)

−17−
  w 補強リングを用いる場合

ライナープレート立坑の許容座屈荷重qaは次式により算出します。

ここに
qa :ライナープレート立坑の許容座屈荷重(kN/m2)
E :ライナープレートの弾性係数(kN/m2)
IL :ライナープレートの断面二次モーメント(m4/m)
IH :補強リングの断面二次モーメント(m4)
λH :補強リングの間隔
(m)

r :ライナープレート円形立坑の半径(m)
 b)座屈に対する照査

座屈に対する照査は次式で行います。

ph ≦ qa

ここに

ph :ライナープレートに作用する土圧強度(kN/m2)
qa :ライナープレート立坑の許容座屈荷重(kN/m2)
2)元たわみを考慮した検討

組立誤差などによって、ライナープレートは必ずしも真円とはならず、次に示す
ように楕円形状になります。このため、ライナープレートは半径方向の元たわみを

考慮したリングとして検討を行なう必要があります。元たわみの影響は立坑の半径

が大きくなるほど顕著になり、ライナープレート円形立坑の設計検討に用いる元た
わみの大きさは半径の1%と仮定します。なお、立坑の直径が3.5m未満の場合には

この検討を省略する場合もあります。

元たわみを有する円形リングの楕円化の状態

−18−
 a)断面力の算定

元たわみδ0を有するリングに等分布荷重が作用した場合の最大曲げモーメントMmax

と、軸力Nは次式で与えられます。

ここに

Mmax :最大曲げモーメント(kN・m/m)
N :軸力
(kN/m)

ph (kN/m2)
:等分布荷重

δ0 (δ0=0.01・r)
:元たわみ(m)
qk (kN/m2)
:一様円環の限界座屈荷重 (qk=1.5×qa)

r :ライナープレート円形立坑の半径(m)

 b)応力度の照査
  q ライナープレートのみの場合

ライナープレートの応力度の照査は次式により行います。

ここに
σL :ライナープレートに生じる応力度(N/mm2)

(N/mm2)
σLa :ライナープレートの許容応力度

N :軸力
(N/m)
Mmax :最大曲げモーメント(N・mm/m)
AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)

ZL :ライナープレートの断面係数(mm3/m)
  w 補強リングを用いる場合

ライナープレート円形立坑に発生する曲げモーメントと軸力は、それぞれのラ

イナープレートおよび補強リングの曲げ剛性、軸剛性に比例して、分担されるも
のと考えます。

この場合ライナープレートと補強リングとの断面力の分担率は次に示すとおり

です。

−19−
ライナープレートと補強リングとの断面力の分担率

ここに
AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)
AH :補強リングの断面積(mm2)
IL :ライナープレートの断面二次モーメント(mm4/m)
IH :補強リングの断面二次モーメント(mm4)
λH :補強リングの間隔
(m)

応力度の照査はそれぞれ次式により行います。
〔ライナープレート〕

〔補強リング〕

ここに

σL (N/mm2)
:ライナープレートの発生応力度
σH (N/mm2)
:補強リングの発生応力度

σLa :ライナープレートの許容曲げ応力度(N/mm2)

(N/mm2)
σHa :補強リングの許容応力度
N :軸力
(N/m)

Mmax :最大曲げモーメント(N・mm/m)
AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)
AH :補強リングの断面積(mm2)

ZL :ライナープレートの断面係数(mm3/m)

ZH :補強リングの断面係数(mm3)
αL :ライナープレートの軸力の分担率

αH :補強リングの軸力の分担率

βL :ライナープレートの曲げモーメントの分担率
βH :補強リングの曲げモーメントの分担率

λH :補強リングの間隔
(m)

−20−
4 − 2 − 6 − 2 小判形立坑の横断面の設計

1)半円部の座屈に対する検討

 a)許容座屈荷重
  q ライナープレートのみの場合

ライナープレート立坑の許容座屈荷重qaは次式により算出します。

ここに
qa :ライナープレート立坑の許容座屈荷重(kN/m2)
E :ライナープレートの弾性係数(kN/m2)
IL :ライナープレートの断面二次モーメント(m4/m)
r :ライナープレート小判形立坑の半径(m)

  w 補強リングを用いる場合

ライナープレート立坑の許容座屈荷重qaは次式により算出します。

ここに

qa :ライナープレート立坑の許容座屈荷重(kN/m2)
E :ライナープレートの弾性係数(kN/m2)
IL :ライナープレートの断面二次モーメント(m4/m)
IH :補強リングの断面二次モーメント(m4)
λH :補強リングの間隔
(m)

r :ライナープレート小判形立坑の半径(m)

 b)座屈に対する照査
座屈に対する照査は次式で行います。

ph ≦ qa

ここに

ph :ライナープレートに作用する土圧強度(kN/m2)
qa :ライナープレート立坑の許容座屈荷重(kN/m2)

−21−
2)応力度に対する検討

ライナープレート小判形立坑に等分布荷重が作用するものとして、発生する応力

度の照査を行ないます。また、半円部は座屈に対する検討も行ないますが、それに
用いる荷重はライナープレート円形立坑の場合と同じ水平土圧です。ライナープ

レート小判形立坑の場合は、支保工タイプ、補強リングタイプともに、その直線部

の座屈を考慮した設計とします。また、断面力の算定にあたっては、この支保部材
の位置を図−4.1に示すような支点と考えます。したがって、ライナープレート小判

形立坑は半円部をもつラーメンにモデル化して構造計算を行います。

図−4.1 ライナープレート小判形立坑の構造モデル

−22−
 a)断面力の算定

たわみ角法を用いた場合の断面力の算定式を次に示します。

小判形立坑の断面力算定式

−23−
−24−
 b)応力度の照査

  q ライナープレートのみの場合

ライナープレートの応力度の照査は次式により行います。

ここに

N :軸力
(N/m)

Mmax :最大曲げモーメント(N・mm/m)
AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)

ZL :ライナープレートの断面係数(mm3/m)

σLa :ライナープレートの許容曲げ応力度(N/mm2)
σLNa :ライナープレートの細長比を考慮した許容圧縮応力度(N/mm2)

  w 補強リングを用いる場合

ライナープレート小判形立坑に発生する曲げモーメントと軸力は、それぞれの
ライナープレートおよび補強リングの曲げ剛性、軸剛性に比例して、分担される

ものと考えます。

この場合ライナープレートと補強リングとの断面力の分担率は下表に示すとお
りです。

ライナープレートと補強リングとの断面力の分担率

ここに

AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)
AH :補強リングの断面積(mm2)
IL :ライナープレートの断面二次モーメント(mm4/m)
IH :補強リングの断面二次モーメント(mm4)
λH :補強リングの間隔
(m)
応力度の照査はそれぞれ次式により行います。

〔ライナープレート〕

−25−
〔補強リング〕

ここに

N :軸力
(N/m)
Mmax :最大曲げモーメント(N・mm/m)
AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)

AH :補強リングの断面積(mm2)
ZL :ライナープレートの断面係数(mm3/m)

ZH :補強リングの断面係数(mm3)

σLa :ライナープレートの許容曲げ応力度(N/mm2)
σLNa :ライナープレートの細長比を考慮した許容圧縮応力度(N/mm2)

σHa :補強リングの許容曲げ応力度(N/mm2)

σHNa :補強リングの細長比を考慮した許容圧縮応力度(N/mm2)
αL :ライナープレートの軸力の分担率

αH :補強リングの軸力の分担率

βL :ライナープレートの曲げモーメントの分担率
βH :補強リングの曲げモーメントの分担率

λH :補強リングの間隔
(m)

4 − 2 − 6 − 3 矩形立坑の横断面の設計

ライナープレート矩形立坑の周囲に、等分布荷重が作用するものとして発生する応

力度の照査を行います。作用させる等分布荷重はライナープレート円形立坑の場合
と同じです。

ライナープレート矩形立坑は次に示すようにラーメン構造にモデル化して計算を行

ないます。
矩形立坑の構造モデル

−26−
 a)断面力の算定

4方向から等分布荷重を受けるラーメン構造の場合、上図に示すA,B,C各点に

発生する各々の曲げモーメントMA,MB,MCおよびその間の軸力NBA,NBCは次式で
示されます。

ここに、SおよびLはそれぞれの短辺および長辺の長さで、

 b)応力度の照査

  q ライナープレートのみの場合
ライナープレートの応力度の照査は、次式により行います。

ここに

N :軸力
(N/m)
Mmax :最大曲げモーメント(N・mm/m)
AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)

ZL :ライナープレートの断面係数(mm3/m)
σLa :ライナープレートの許容曲げ応力度(N/mm2)

σLna :ライナープレートの細長比を考慮した許容圧縮応力度(N/mm2)

  w 補強リングを用いる場合
ライナープレート小判形立坑に発生する曲げモーメントと軸力は、それぞれラ

イナープレートおよび補強リングの曲げ剛性、軸剛性に比例して分担されるもの

と考えます。
この場合ライナープレートと補強リングとの断面力の分担率は次表に示すとお

りです。

−27−
ライナープレートと補強リングとの断面力の分担率

ここに
AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)
AH :補強リングの断面積(mm2)
IL :ライナープレートの断面二次モーメント(mm4/m)
IH :補強リングの断面二次モーメント(mm4)
λH :補強リングの間隔
(m)

応力度の照査はそれぞれ次式により行います。
〔ライナープレート〕

〔補強リング〕

ここに

N :軸力
(N/m)
Mmax :最大曲げモーメント(N・mm/m)
AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)

AH :補強リングの断面積(mm2)
ZL :ライナープレートの断面係数(mm3/m)

ZH :補強リングの断面係数(mm3)

σLa :ライナープレートの許容曲げ応力度(N/mm2)
σLNa :ライナープレートの細長比を考慮した許容圧縮応力度(N/mm2)

σHa :補強リングの許容曲げ応力度(N/mm2)

σHNa :補強リングの細長比を考慮した許容圧縮応力度(N/mm2)
αL :ライナープレートの軸力分担率

αH :補強リングの軸力分担率

βL :ライナープレートの曲げモーメントの分担率
βH :補強リングの曲げモーメントの分担率

λH :補強リングの間隔
(m)

−28−
c)補強リングの設計

  q たわみの照査

補強リングのたわみ量は、次式により与えられます。

ここに

δH :補強リングのたわみ量(mm)
βH :補強リングの曲げモーメント分担率

MB :B点における材端モーメント(N・mm/mm)
E :補強リングの弾性係数(N/mm2)
ph :ライナープレートに作用する土圧強度(N/mm2)
IH :補強リングの断面二次モーメント(mm4)
L :長辺の長さ
(mm)
λH :補強リングの間隔
(m)

ここで、補強リングの許容たわみ量をL/200とし、たわみ量は次式により照査

します。

なお、この条件が満たされない場合には切梁等の支保部材の検討が必要となり
ます。

  w 補強リングの継手の設計

補強リングの継手は一般には、曲げモーメントが0となる点の近傍に設けるの
が望ましいです。しかしスパンの割付け上、必ずしもそのような位置に継手を設

けることが困難な場合も多く、とくに短辺では顕著です。このような場合には、

継手ボルトおよび継手板についての検討が必要となります。
i) 継手ボルトの設計

継手の概要図

Qm

−29−
継手ボルトに作用するせん断力QtBは、

Q Q

ここに

QtB :継手ボルトに作用するせん断力(kN/m)
NT :継手位置での軸力
(kN/m)
Qm :曲げモーメントによる換算せん断力(kN/m)

MT :継手位置での曲げモーメント(kN・m/m)

Mmax :部材端モーメント(kN・m/m)
ph (kN/m2)
:ライナープレートに作用する土圧強度

L (短辺:S,長辺:L)
:継手を設置する辺の長さ (m)
χ :部材端から継手までの距離(m)

H :H形鋼の高さ(m)

また、A点とB点との間に発生するせん断力QABおよびB点とC点との間に発生す
るせん断力QBCは次のとおりとなります。

ボルトに作用するせん断力応力度τBの照査は、次式のより行います。

ここに

τB (N/mm2)
:ボルトに作用するせん断応力度
τa :ボルト(8.8)の許容せん断応力度(N/mm2)

QBmax :最大せん断力(QAB,QBCのうち大きい方)
(N)

n :ボルトの使用本数
(本)
AB :ボルトの断面積(mm2)

−30−
継手板の有効断面

ii) 継手板の設計

継手板は右図に示すように、ボルト孔を
控除した断面で曲げ応力度を算定し、照査

します。

継手板の有効断面積Apおよび中立軸に関
する有効断面係数Zpは、それぞれ次式で与

えられます。

曲げ応力度σpの照査は、次式により与えられます。

ここに
σp :継手板に生じる応力度(N/mm2)

(N/mm2)
σHa:継手板の許容曲げ応力度

NT :継手位置での軸力(N/m)
MT :継手位置での曲げモーメント(N・mm/m)
AP :継手板の断面積(mm2/m)
ZP :中心軸に関する継手板の断面係数(mm3/m)
αH :補強リングの軸力分担率

βH :補強リングの曲げモーメント分担率

−31−
4 − 2 − 6 − 4 支保材の検討

1)縦梁の検討

 a)断面力の算定
縦梁は腹起しまたは切梁に支持された下図に示すような単純梁にモデル化します。

これにライナープレートの縦梁の位置に生じる反力の中で最も大きいものを荷重と

して作用させ、発生する断面力を算定します。
縦梁の構造モデル

支点反力は、

ここに

R1 :立坑最深部での支点反力(kN)
R2 :深度(H−h)での支点反力(kN)
P1 :立坑最深部での縦梁設置位置に生じ
る反力のうちの最大値(kN/m)

P2 :深度(H−h)
における縦梁設置位置に
生じる反力のうちの最大値(kN/m)

h :腹起しの間隔または切梁の間隔(m)
曲げモーメントは次式で与えられます。

また、曲げモーメントの極値が生じる位置χ0は、次式のとおりです。

−32−
 b)応力度の照査

縦梁の応力度は次式により照査する。

ここに
(N/mm2)
σS1 :縦梁の最大応力度

(N/mm2)
σSa :縦梁の許容応力度

Mmax :最大曲げモーメント(N・mm/m)
ZS 1 :縦梁の断面係数(mm3/m)

2)腹起しの検討

 a)断面力の算定
腹起しは次図に示すように切梁で支持された単純梁にモデル化し、これが縦梁の反

力を受けるものとしてその断面力を算定します。

支点反力は、
RA=RB=Ra+Rb
曲げモーメントは、

(0≦χ≦λ)
の時
M=(RA−Ra)・χ=Rb・χ
3
(λ≦χ≦ λ)の時
2
M=(RA−Ra)・χ−R(
b
χ−λ)
=Rb・λ

ここに
χ :支点からの距離(m)

RA,RB :腹起しからの切梁反力(kN)
Ra :図における1点での縦梁反力(kN)
Rb :図における2点での縦梁反力(kN)
 b)応力度の照査

腹起しの応力度は次式により照査します。

−33−
ここに

σS 2 :腹起しの最大応力度(N/mm2)

σSa :腹起しの許容応力度(N/mm2)
Mmax :最大曲げモーメント(N・mm/m)
ZS 2 :腹起しの断面係数(mm3/m)
腹起しの構造モデル

3)切梁の検討

 a)断面力の算定

(RA,RB)を受ける柱として算出し
切梁に生じる断面力は、圧縮力として支点反力
ます。

N=RA=RB

 b)応力度の照査

切梁の応力度は次式により照査します。

ここに

(N/mm2)
σS 3:切梁の最大応力度

σSb :切梁の細長比を考慮した許容圧縮応力度(N/mm2)
N :切梁に生じる断面力(N/m)
A :切梁の断面積(mm2/m)

−34−
4−3 施 工
4−3−1 施工順序

ライナープレート小判形立坑の施工順序を以下に示します。
(1) (1) 施工位置に立坑より2 0 0 ∼
300mm程度大きめに、地盤条

件により深さ0.5∼1.5mを掘削

します。そこにライナープレー
トを1∼3リング組立ます。こ

の際、最初の1∼3リングが全

体の立坑形状及び垂直度の基準となるため、形状寸法を確認するとともにライナープレー

ト天端面の水平を確認し、慎重に組立を行う事が必要です。

またライナープレートの接続は縦方向の継手が重ならないよう互い違いに組立ます。

ボルト又はワイヤーロープ等

(2) 最初の1∼3リングの組立完了後周囲を注意深く埋戻し締固めを行ないます。

次に立坑の正確な形状を保持するため図のようなH形鋼・角材等により井桁を組み、
ライナープレートとボルトまたはワイヤーロープ等で固定します。

尚、井桁を用いず立坑天端の周囲に巾0.5m×深さ0.5m程度の押えコンクリートを打設

する場合もあります。
(3)(4)

(3) 立坑内部を深さ約0.5m掘削しライナープレートを組立ます。
(4)(3)
の作業をくりかえし、所定の支保材を取り付けられる深さ
(3∼4m)
まで、仮支保

材を用いライナープレート壁を補強しながら掘削しライナープレートの組立を行います。

−35−
(5)(6)

(5) 所定の支保材を取付ける位置までライナープレートの組立が完了したら、ただちに正

規の支保材を取付けます。
(6)(3)
(4)
(5)の作業をくりかえし所定の深さまで施工を行ない立坑の組立を完了します。

(7) 所定の位置まで組立が

完了すれば、裏込めの注
入を行ないます。

(8) 反力壁の設置
(9) 解体・埋戻し

(8) 立坑内の所定位置に支圧壁を築造するとともに、推進台および、推進管を発進するた

めの発進孔を設けます。
(9) 推進工事あるいは、構造物築造工事が完了すれば、ライナープレート壁を撤去し埋戻

しを行います。

−36−
4−3−2 掘削・排水

ライナープレート立坑の掘削は、通常手掘りで行なわれますが、立坑断面が大きな場

合には、クラムシェルバケット等を使用して掘削することもあります。しかしこの場合
にもライナープレート壁付近は手掘りで行ないます。

掘削はライナープレートと地山との間隙を出来るだけ少なくするよう留意下さい。余

掘を少なくする事が安全性・経済性からも重要です。
掘削した土砂は通常バケットにより地上へ揚土されますが、揚土中のバケット・土砂

の落下は重大事故に結びつくおそれがありますので、これに使用するバケットは、転

倒・落下のおそれがないものを使用する必要があります。
立坑内の地下水は、通常図のように掘削下面に木枠または土のうにより釜場をつくり

ポンプにて排水します。しかし

細砂層で地下水量が多い場合

は、釜場排水のみでは湧水に流
速がつき土粒子が流出して土留

壁の崩壊をまねくおそれがあり

ますので、立坑周辺にウェルポ
イント・ディープウェル等を設

置して地下水位を低下させる

か、薬剤注入で崩壊を防ぐ必要
があります。

4−3−3 組 立

ライナープレートの組立にはつぎのような機械器具が使用されます。

}
平スパナ(またはモンキーレンチ)
M16用 2個以上
ラチェットレンチ

シ  ノ

手ハンマー
なお、補強リングを使用する場合には、さらに、

平スパナ,ラチェットレンチ   M20 2個以上

が必要です。
その他ボルトの締付にインパクトレンチ、補強リングの組立にロープ、滑車、ターン

バックル、チェンブロックを用いる事があります。

ライナープレートは、上下・円周方向ともすき間のないよう十分締付けることが必要
です。

−37−
補強リングは、立坑円周上にセットしライナープレートとの接続は下図のように行い

ます。

なお、補強リングは通常4∼6分割されていますので、これの継手部も十分締付ける
必要があります。

円形立坑は、円周を組立ればそれで外力に抵抗できますが、小判形の場合は、直線部
を有するため所定の支保材を設置するまでに図のように内方へ変形し、ライナープレー

トの組立が困難になるとともに危険なので、仮支保材を必ず設ける必要があります。

−38−
4−3−4 裏込め注入

ライナープレート立坑組立完了後、地山の緩みを防止するとともにライナープレート

壁の安定や漏水を防止するため、ライナープレートと地山との間隙に裏込め注入を行な
います。

裏込め注入は、ライナープレートに設置されている図のようなグラウトホールより、

適当な圧力で壁体に変形を起さないよう注意しながら注入します。裏込め材料は各種あ
りますが、最近は作業性が良く比較的経済的なエアーモルタルが多く使用されていま

す。なお支圧壁の後方は特に入念に行う必要があります。

60

×60L
2″

なお、グラウトホールの取り付け個数はグラウト材料により異なり、一般に5m 2∼
10m2に1ヶ所程度設ける例が多いようです。また、グラウトを行なった後ライナープ

レートを取りはずす場合には、ライナープレート組立時にはく離材を塗布すると脱型作

業が簡単にできます。

4−3−5 路面覆工

立坑上面に交通のため覆工を行うことがあります。
覆工は、図のようにライナープレートより1.0m以上はなして角材またはH形鋼で受台

を設け、それに通過車輌
に十分耐えられるH形鋼

の桁を渡し覆工板をかけ

るのが普通です。この
時、上載荷重により桁が

沈下してライナープレー

ト天端に当る事のないよ
うに十分堅固な受台を設

ける必要があります。

−39−
4−3−6 解体および埋戻し

推進工事あるいは構造物築造工事が完了すればライナープレートを解体します。

まず仮の支保材を取り付けて下段支保材をはずし、ライナープレート下端より1∼2リ
ングを解体し、ただちに解体した分の埋戻しを行います。

埋戻しは、将来地表の沈下等が起らないように砂等の良質材料を用い、均等に十分締

固める必要があります。
この作業をくりかえし解体・埋戻しを完了させます。

−40−
付図 1 − 1 円形立坑リング位置図

−41−
(注)φ 3500 未満は元たわみを考慮した検討を省略しています。
付図 1 − 2

−42−
付図 1 − 3

−43−
(注)φ 3500 未満は元たわみを考慮した検討を省略しています。
付図 1 − 4

−44−
付図 2 − 1 補強リング H-100 用継手部詳細図

−45−
付図 2 − 2 補強リング H-125 用継手部詳細図

−46−
付図 2 − 3 補強リング H-150 用継手部詳細図

−47−
付図 2 − 4 補強リング H-175 用継手部詳細図

−48−
付図 3 − 1 ライナープレート円形構成表

−49−
−50−
付表−1 円形立坑の標準寸法

標準セクション構成 標準補強リング構成
直 径 (1リング当り) 標準補強 (1リング当り)
D
(mm) リングサイズ
P−6 P−8 P−10 標準長さ(mm) 本数 質量
(kg)

1200 4 − − − − − −

1500 5 − − − − − −

1700 3 2 − − − − −

1800 2 3 − − − − −

2000 − − 4 H-100 1564.0 4 106

2500 − − 5 H-125 1956.5 4 185

3000 − − 6 H-125 2349.0 4 222

3200 − 8 − H-125 2506.0 4 237

3500 − − 7 H-125 2741.5 4 259

3600 − 9 − H-125 2820.0 4 266

4000 − − 8 H-125 3134.0 4 296

4500 − − 9 H-125 3526.5 4 333

5000 − − 10 H-125 3134.0 5 370

5500 − − 11 H-150 3448.0 5 536

6000 − − 12 H-150 3134.0 6 585

3291.0 4
6500 − − 13 H-150 634
3605.0 2

7000 − − 14 H-150 3134.0 7 557

3134.0 2
7500 − − 15 H-150 731
3448.0 5

8000 − − 16 H-175 3134.0 8 1013

3291.0 4
8500 − − 17 H-175 1076
3369.5 4

9000 − − 18 H-175 3134.0 9 1139

3134.0 4
9500 − − 19 H-175 1203
3448.0 5

10000 − − 20 H-175 3134.0 10 1266

−51−
付図 3 − 2 ライナープレート小判形構成表

−52−
−53−
付表−2 小判形立坑の標準寸法

標準セクション
小判形立坑標準寸法 
(mm) 総  P  数
構   成(枚)

半円部曲げ
短径D 長径L 直線部 半円部 直線部 ΣP P−6 P−8 P−10
半 径 γ

1 2500 5326 1250 2826 50 18 86 2 7

2 2500 5640 1250 3140 50 20 90 9

3 2500 5797 1250 3297 50 21 92 4 6

4 3000 5512 1500 2512 60 16 92 4 6

5 3000 5826 1500 2826 60 18 99 2 8

6 3000 6140 1500 3140 60 20 100 10

7 3000 6297 1500 3140 60 21 102 4 7

8 3200 6026 1600 2826 64 18 100 10 2

9 3200 6340 1600 3140 64 20 104 13

10 3500 6326 1750 2826 70 18 106 2 9

11 3500 6640 1750 3140 70 20 110 11

12 3600 6426 1800 2826 72 18 108 11 2

13 3600 6740 1800 3140 72 20 112 14

14 4000 6355 2000 2355 80 15 110 11

15 4000 6826 2000 2826 80 18 116 2 10

16 4000 7140 2000 3140 80 20 120 12

17 4200 6712 2100 2512 84 16 116 7 6

18 4500 6855 2250 2355 90 15 120 12

19 4500 7326 2250 2826 90 18 126 2 11

20 5000 8297 2500 3297 100 21 142 4 11

−54−
付図 3 − 3 ライナープレート矩形構成表

−55−
付表−3 矩形立坑の標準寸法

矩形立坑寸法 標準セクション構成 コーナー


短辺
(S)・ ピッチ (1辺当り) セクション
長辺(L) n又はa
(mm) P−5 P−6 P−7 P−8 P−9 P−10 661+347
1793 5 1 − − − − −
1950 6 − 1 − − − −
2107 7 − − 1 − − −
2264 8 − − − 1 − −
2421 9 − − − − 1 −
2578 10 − − − − − 1
2735 11 1 1 − − − −
2892 12 − 2 − − − −
3049 13 1 − − 1 − −
3206 14 − 1 − 1 − −
3363 15 1 − − − − 1
3520 16 − − − 2 − −
3677 17 − − 1 − − 1
3834 18 − − − 1 − 1
3991 19 − − − − 1 1
4148 20 − − − − − 2
4305 21 − − 3 − − −
4462 22 − 2 − − − 1
4619 23 − 1 1 − − 1
4776 24 − − − 3 − −
4933 25 1 − − − − 2 1008
5090 26 − − − 2 − 1
5247 27 − − 1 − − 2
5404 28 − − − 1 − 2
5561 29 − − − − 1 2
5718 30 − − − − − 3
5875 31 − − 3 − − 1
6032 32 − − − 4 − −
6189 33 − 1 1 − − 2
6346 34 − − − 3 − 1
6503 35 1 − − − − 3
6660 36 − − − 2 − 2
6817 37 − − 1 − − 3
6974 38 − − − 1 − 3
7131 39 − − − − 1 3
7288 40 − − − − − 4
7445 41 − − 3 − − 2
7602 42 − − − 4 − 1
7759 43 − 1 1 − − 3
7916 44 − − − 3 − 2
8073 45 1 − − − − 4

(注) 1. 上表サイズでS形セクションの構成を変更する場合があります。
2. 上表サイズ以外については御相談下さい。

−56−
開口ライナー

目    次

1. 概  説 ............................................................................................ 58

2. 特  長 ............................................................................................ 59
3. 用  途 ............................................................................................ 60

4. 商  品 ............................................................................................ 60

〔1〕 使用鋼板 ................................................................................ 60


〔2〕 波 形 .................................................................................... 60

〔3〕 板厚および断面性能 ............................................................ 60

〔4〕 セクションの形状および寸法 ............................................ 61


〔5〕 表面処理 ................................................................................ 61

〔6〕 組立付属品 ............................................................................ 61

5. 設  計 ............................................................................................ 61
6. 標準設計(仮設)................................................................................. 62

−57−
1. 概 説
近年、山岳部での橋梁基礎の建設や、送電鉄塔の建設、また市街地における、せまい場所

での各種基礎建設において、大型機械を使用せず、低騒音、低振動で、かつ狭隘な場所でも

施工できるライナープレート深礎工法が多く用いれらています。
この深礎工法において、ライナープレートは、掘削時の孔壁の崩壊防止、地山の緩み防止

のための土留材として使用されています。この時、ライナープレートと地山との間に空隙を

生じさせないことが理想ですが、作業上若干の空隙が生じます。深礎杭に鉛直力や水平力が
作用したとき、鉛直および水平方向の支持力を確保するため、従来この空隙には、モルタル

注入が行われてきました。しかしながらこのモルタル注入の問題点として、

(1) モルタル注入施工が面倒で、工期も長
くなる。 開口ライナーを使用し
た場合
(2) モルタルが空隙を完全に充填したかど

うか確認が困難である。
(3) モルタル強度が支持層付近で地盤強度

を下回ることがある。

などがあげられます。
これらの問題を一挙に解決した深礎工法用

ライナープレート
「開口ライナー」
をここにご

紹介いたします。

−58−
2. 特 長
「開口ライナー」
は、従来のライナープレートに、さらに次のような特長を加えたものです。

(1)裏込めモルタル注入が不要で、工期の短縮が可能です。

「開口ライナー」
に設けられた開口部から、深礎杭の本体コンクリート打設時にコンクリー
トが流出し、ライナープレートと地山との空隙を完全に充填します。したがって、モルタ

ル注入が不要です。

(2)裏込め充填作業が確実で、施工管理が容易です。
深礎杭の本体コンクリート打設時に、ライナープレートと地山との空隙のコンクリート

充填状況が確認できますので、充填作業が確実で、施工管理が容易です。

(3)地山からの土石の侵入がありません。
「開口ライナー」
の開口部は、右の図のように地山側か

らの土石が坑内に入らないような位置に設けてありま

すので、坑内作業の安全を確保します。
(4)商品使用が多様で、従来のライナープレートと組み

合わせて使用できます。

「開口ライナー」
は従来のライナープレートに開口部は
を設けたものです。したがって商品仕様が多様で、深

礎杭の形状に応じ適切な商品を選定することができま

す。また従来のライナープレートと組み合わせて組み
立てることも可能です。

セクション寸法 ................... P−6、P−8、P−10

〔 板     厚 ................... 2.7mm、3.2mm、4.0mm


曲 げ 半 径 ................... 750mm∼2,500mm
(50mmピッチ)

−59−
3. 用 途
(1) 深 礎 杭

○ 道路、鉄道用橋梁の橋台および橋脚基礎

○ 送電鉄塔の基礎
○ 地すべり抑止杭

○ その他、土木、建築構造物の基礎

(2) 地質調査用立坑
(3) 推進工法用立坑の反力壁部

(4) その他

4. 商 品
〔1〕使用鋼板
「開口ライナー」の鋼板は、JIS G 3101のSS330を使用しています。

〔2〕波  形
「開口ライナー」の波形は、従来のライナープレートと同様で下図に示します。

(単位mm)

〔3〕板厚および断面性能
使用板厚、波形寸法および断面性能を下表に示します。
1枚当たり 1m当たり
板 厚 L 弧 の
中心角 断面二次 断面二次
断面積 断面係数 断面積 断面係数
モーメント モーメント
(mm)
t (mm) θ (cm2)
A Z(cm3) (cm
I 4
) (cm2)
A Z(cm3) (cm
I 4

2.7 33.9 109°


30′ 17.48 20.1 62.4 34.96 40.2 124.8

3.2 33.1 110°


14′ 20.71 23.7 74.1 41.42 47.4 148.2

4.0 31.8 111°


26′ 25.87 29.5 93.0 51.74 59.0 186.0

(注)断面性能は、開口部面積を考慮した値です。

−60−
〔4〕セクションの形状および寸法

「開口ライナー」のセクションの形状、寸法を下図に示します。

P − 10 セクション P − 8 セクション

P − 6 セクション

〔5〕表面処理
「開口ライナー」
は、通常、仮設材および

残置材として、使用されるため、表面処理

を施していない、黒皮品が用いられます。
耐食性を必要とする場合には、亜鉛めっき

を施します。

なお、亜鉛めっきは、JIS H 8641(溶融
亜鉛めっき)の2種45(付着量、両面900g/

m2以上)
の規定によります。

〔6〕組立付属品

ボルト、ナット、ワッシャー

組立用ボルトナットは、JIS B 1180の強度
区分4.6と8.8のM16を使用します。

5. 設 計
深礎杭に
「開口ライナー」
を用いた場合の土留壁としての設計方法は、従来のライナープレー

トを用いた場合とまったく同じです。

−61−
6. 標準設計(仮設)

−62−
(注)φ 3500 未満は元たわみを考慮した検討を省略しています。
−63−
(注)φ 3500 未満は元たわみを考慮した検討を省略しています。
集水井

目    次

1. 適 用 ................................................................................................. 66

2. 集水井の計画 ..................................................................................... 67
2.1 設置の目的 ............................................................................... 67

2.2 施工条件 ................................................................................... 67

2.3 設置位置 ................................................................................... 68


3. 主要部材 ............................................................................................ 69

3.1 各部の名称 ............................................................................... 69

3.2 ライナープレート ................................................................... 69


3.3 H形鋼 ....................................................................................... 71

3.4 防食 ........................................................................................... 72

4. 本体の設計 ......................................................................................... 73
4-1 設計の基本的考え方 ............................................................... 73

4-2 設計土圧 ................................................................................... 74

4-3 許容応力度および弾性係数 ................................................... 76


4-4 横断面の設計 ........................................................................... 76

4-5 設計計算例 ............................................................................... 80

5. 標準構造図 ......................................................................................... 88
付図5-1 φ3500集水井天蓋詳細図 ................................................ 90

付図5-2 φ3500集水井構造詳細図 ................................................ 92

付図5-3 φ3500集水井らせん梯子 ................................................ 94

−65−
1. 適 用
本資料は、地すべり対策工事に使用するライナープレート集水井の設計に適用します。
この場合、一般に偏土圧が作用することが多いので設計上それを考慮します。ただし、地すべりの影
響を受けない位置に設置する集水井は、通常立坑としての設計を適用します。

集水井の断面と深さは、概ね次の範囲とします。
直  径:D=3.0∼ 4.0m
深  さ:H=3.0∼30.0m

直径は集水井内部のボーリング作用を考慮して上記の範囲内とするものが多いが、標準直径としては
D=3.5mと考えてください。
深さは、地下水調査結果に基づく集水ボーリング位置によって定まります。

底 板

−66−
2. 集水井の計画
2.1 設置の目的
集水井工は、深層地下水の排除、間隙水圧の低下を目的として、地すべりに直接影響する水を、最も
効果的な位置で抜くように計画しなければなりません。
この集水井工および表面排水工は、地すべり対策の内では間接的なものに類するものであるから、重
要施設がある場合など地すべり地域の状況に応じては、直接抑止工など他の適切な工法と組合わせて総
合的な対策として進めてゆく必要があります。
ライナープレート集水井は、施工性、経済性などから、この目的に最も適した構造物です。施工に伴
なって地層やすべり面が観察でき、また地下水を排水しながら掘削できるなどの利点があるが、軽量、
組立式であるためどの様な所でも構築できるのが最大の特長です。

2.2 施工条件
ライナープレート集水井は、人力掘削、ポンプ排水を前提として構築するものですから、次の事項に
留意して施工に当る必要があります。
1) 施工時期は、変動量調査に基づき安定している期間を選定する。
2) ボーリングデーターや過去の施工結果にもとづき掘削の難易を判断し、土砂の崩壊、流入などに
ついて問題がある場合は先行土留の方法や設置位置の変更について検討する。
3) 地盤の成層状態、土質、地下水の流動状況、掘削深さなどの施工条件を考慮して、適切な排水方
法を選択する。水中ポンプによる水替えでは、掘削可能な湧水量は200r/min程度が限度とされ
ている。
4) 掘削に当っては、ライナープレートの真円度、鉛直性を確認しながらすすめ、余掘りはできる限
り少なくするように施工する。
5) 有害ガス、落下物などに対して安全なように坑内作業の保安に努める。
なお、掘削作業に危険が伴なうと考えられるときや、集水井の基数が多数になったり、掘削深度が非
常に深くなるなどのときには、基盤岩中に構築するボーリング室付ライナープレート集水トンネルを計
画した方が得策となる場合があります。
このライナープレート集水トンネルの施工例を模式的に示したものが下図です。

−67−
2.3 設置位置

集水井は、地すべり区域に供給される水を排除するのが主目的ですので、多くは各地すべりブロック
の頭部付近に配置されます。
また、流動型の地すべりでは、崩積土全体に地下水が滞水しているため、集水孔による自然集水にも
期待した配置とすることも多いが、安定した地盤からボーリング集水することを第一と考えるべきで
す。集水効果によるすべり面のセン断強度の増加が十分でないため地すべり移動を生じた場合には、ラ
イナープレート集水井が曲げ変形やセン断破壊に至ることも考えられますので、なるべく堅固な地盤を
選定し、地すべりブロックの周辺から集水するような配置とすることが望まれます。
一基の集水井でボーリング集水できる範囲は半径50m程度ですから、ブロックの大きさに応じて数基
の集水井を適宜配置することになります。集水した水は排水ボーリングなどによって自然流下させた方
が有利ですので、排水勾配も考慮しておく必要があります。

−68−
3. 主要部材
3.1 各部の名称

1. ライナープレート
2. 補強リング
3. バーチカルスチフナー
4. 蓋
(エキスパンドメタル)
5. タラップ
6. 集水孔
7. 集水管(塩ビ48φ程度)
8. ラテラルストラット

標準使用部材

ライナープレート 板厚2.7mm

補強リング H−125×125×6.5×9

バーチカルスチフナー H−175×175×7.5×11

蓋 エキスバンド38×100×4.5程度 L−75×75×6

タラップ L−50×50×4

集水孔 φ=30、50、60、100mm

ラテラルストラット(必要に応じて使用する) H−175×175×7.5×11

3.2 ライナープレート
1) 波 形

(単位mm)

−69−
2) 使用板厚および断面性能

1枚当たり 1m当たり
板 厚 弧 の L
中心角 断面二次 断面二次
断面積 断面係数 断面積 断面係数
モーメント モーメント
(mm)
t θ (mm) (cm2)
A (cm3)
Z (cm
I 4
) (cm2/m) Z(cm3/m) (cm
A I 4
/m)

2.7 109°30′ 33.9 19.88 23.0 70.5 39.76 46.0 141

3.2 110°14′ 33.1 23.56 27.2 83.8 47.12 54.4 168

4.0 111°26′ 31.8 29.43 33.7 105 58.86 67.4 210

4.5 112°14′ 31.0 33.11 37.9 119 66.22 75.8 238

5.3 113°36′ 29.6 38.97 44.4 140 77.94 88.8 280

6.0 114°52′ 28.3 44.10 50.0 160 88.20 100 320

7.0 116°50′ 26.4 51.43 58.1 188 102.9 116 376

3) プレート構成
10 P−1
0
ライナープレートは、円周P数
(ΣP)
によって、P−10また P−

10
はP−8、P−6セクションの使用枚数を決め、円形に組合
わせます。 P−

直径とP数の関係は次式のとおりです。
ΣP=20×D
ただしD=直径
(m)
P;ボルト孔ピッチ数(1P=157mm)

P−10セクション

P−10

P−10

P−10

P−8セクション P−6セクション

−70−
質量表(亜鉛メッキ品) 商品1m当り
(kg/m)
ライナープレート板厚 ボルト質量
組立ボルト
直 径 (mm) (kg/m)
本 数
D
(mm)
2.7 3.2 4.0 4.5 5.3 6.0 7.0 (本/m) M16×30 M16×35 M16×45

3000 325 384 474 533 623 704 827 168 23.0 24.2 26.5

3500 379 448 553 622 727 822 965 196 26.9 28.2 31.0

4000 434 512 632 710 830 939 1,102 224 30.7 32.3 35.4

3.3 H形鋼
断面性能

標準断面寸法 断面ニ次モーメント 断面ニ次半径 断面係数


呼称寸法 (mm) 断 面 積 単位質量 (mm4)
×104 (mm)
×10 (mm3)
×103
(高さ×辺) (mm2)
×102 (kg/m)
H×B t1 t2 r Ix Iy ix iy Zx Zy

125×125 125×125 6.5 9 8 30.00 23.6 839 293 5.29 3.13 134 46.9

150×150 150×150 7 10 8 39.65 31.1 1,620 563 6.40 3.77 216 75.1

175×175 175×175 7.5 11 13 51.42 40.4 2,900 984 7.50 4.37 331 112

200×200 200×200 8 12 13 63.53 49.9 4,720 1,600 8.62 5.02 472 160

補強リング
(φ3500)
詳細図

−71−
補強リング質量表
(1リング当り) (kg/リング)

質   量 (kg/基)
直 径 分割数 部材長 継手板 継  手
(mm) r
(mm) 枚 数 ボルト数 H形鋼 継手板 ボルト 合 計

3000 4 2349 8 64 222 29.2 17.6 269

3500 4 2741.5 8 64 259 29.2 17.6 306

4000 4 3134 8 64 296 29.2 17.6 343

3.4 防 食
ライナープレート集水井は、できるだけ長期間耐用させるため、通常、溶融亜鉛めっきによる防食対
策をとっております。
なお、腐食の程度は、土壌比抵抗やPH値などの諸因子で異なり、予想以上の速度で進行する場合があ
ります。したがって、構造的に危険と判断される時には、玉石詰めを行って集水機能は維持させるなど
の対策をとるのが良い方法といえます。

−72−
4. 本体の設計
4 − 1 設計の基本的考え方
i) 設計法の区分
ライナープレート集水井の設計方法は、その設置条件により、次の2タイプに分けて考えられます。

区分 設計方法 適     用

地すべりの影響を全く受けない区域に設置するとき。
(A) 均等土圧のみを考える
集水ボーリング後、玉石で埋戻して使用するとき。

地すべりブロックの微少変動区域に設置するとき、および
(B) 偏土圧を考慮する
その懸念がある場合

(B)
は(A)
の状態に、偏土圧による影響を加算して求めるものです。地すべりの形態は様々であるが、
地すべりブロックの周辺の区域でも引張や圧縮の地盤変動があると思われるので、一般的には
(B)
の設
計方法をとります。
しかし現在の斜面が安定していて、さらに安全率を高める目的で集水井を設置する場合などにおいて
は(A)の設計方法を適用してもさしつかえありません。

ii)バーチカルスチフナーとラテラルストラットの計算
バーチカルスチフナーは一般に4本
(必要に応じて8本まで取付け可能)
使用しますが、集水井の縦方
向の挙動、荷重分布、地盤反力などについて、不明な点が多く、計算法も確立していないため、施工地
点の状況や過去の変形事例により、バーチカルスチフナーおよびラテラルストラットの必要性を判断せ
ざるを得ません。
したがって、これらの計算は、構造計算から除
外し経験的に定めるものとします。
なお、バーチカルスチフナーの特性は、Hリン
グにUボルトで取付、微少な変位に対してなじむ
構造とするのが通例で、それ以上の大きな変動に
対して右図のような破壊を最小限度に留めるのに
役立つと考えられています。

−73−
4 − 2 設計土圧
4−2−1 通常の土圧
集水井のような立坑に作用する土圧の算定には、
「道路橋示方書IV 下部構造編」
(以下道示と
略称する)による静止土圧の式、ランキンの式、テルツァギの式等が用いられます。
また、ライナープレートは水密構造でないことから、水圧は一般的に作用しないものと考え
られます。
1)沖積地盤の場合(ランキンの式)

ここに
ph :土圧強度(kN/m2)
Kh :側方土圧係数
γt :土の単位重量(kN/m3)
h :地表面からの深度(m)
q :上載荷重(kN/m2)
φ :土のせん断抵抗角(°)
c :土の粘着力(kN/m2) ランキンの土圧分布

2)沖積地盤の場合(テルツァギの式)

テルツァギの土圧分布

−74−
ここに
P :集水井に加わる土圧合力(kN/m)
ph :土圧強度(kN/m2)
h0 :集水井の深度(m)
h :地表面からの深度(m)
m :Pの作用深さh′のh0に対する割合(砂質地盤の場合:m=0.55)
γt :土の単位重量(kN/m3)
φ :土のせん断抵抗角(°)
c :土の粘着力(kN/m2)

3)cおよびφが明確でない場合
cおよびφが明確でない場合には
「道示」
に示されているケーソンの側面に作用する土圧式を準
用します。この場合、ケーソンの側面に作用する土圧は多くの実測データから砂質土、粘性土
の区別なく静止土圧係数K0=0.5を用いて算定してよいとされています。また地表面から15m以
深については、15mの位置における土圧強度と同じ値(一定)を用いることとしています。

ph=Kh・(γt・h+q) h≦15.0m
ph=p0 h>15.0m

ここに
ph :土圧強度(kN/m2)
Kh :側方土圧係数(Kh=K0=0.5)
γt :土の単位重量(kN/m3)
h :地表面からの深度(m)
q :上載荷重の地表面の荷重強度(kN/m)
p0 :h=15.0mにおける土圧強度(kN/m2)

道路橋示方書の土圧分布

4−2−2 偏土圧
運動中の地すべり地内に設置される集水井には均等な土圧は作用せず、より複雑な土圧が作
用します。しかし地すべりの土塊内の内部応力は現状では明らかにされておらず、これを算定
することは困難です。集水井の主目的は地下水の排除にあり、設置位置も変動の少ない条件下
で集水して徐々に地すべりを抑制していくのが望ましいことから、本技術資料では集水井には
とくに偏土圧は考慮せずに均等な土圧が作用するものと仮定して設計を行うこととします。
しかし、地すべりブロックのごく近傍に集水井を設置せざるを得ない場合には、地すべりに
起因した偏土圧が作用することが予想されるため、4.2.1に示した均等な土圧に加えて適切な偏
土圧を作用させて集水井の安全性を照査する必要があります。この場合に偏土圧は集水井の深
さ方向の全長にわたり作用するものと仮定し、その大きさは経験的に100∼200kN/m2程度を考
えます。

−75−
4 − 3 許容応力度および弾性係数
ライナープレートおよび補強部材の許容応力度は次のとおりとします。なお、集水井は永久
構造物のため「道示」に示される長期の許容応力度の値を用います。

q ライナープレート
JIS G 3101 SS330 許容曲げ応力度 : σLa=120N/mm2

w 補強部材(H形鋼)
JIS G 3101 SS400 許容曲げ応力度 : σHa=σSa=140N/mm2
許容圧縮応力度 :
λ≦18 σHNa=σSb=140N/mm2
18<λ≦92 σHNa=σSb=140−0.82(λ−18)N/mm2
1200000
92<λ σHNa=σSb= N/mm2
6700+λ2

ここに
λk
λ :細長比 λ=
iH
λk :座屈長(mm)
iH :補強部材の断面二次半径(mm)
添字H、Sはそれぞれ補強リング、支保部材を示します。
また、ライナープレートおよび補強部材の弾性係数は
「道示」
に示される以下の値を用います。
弾性係数     :E=200kN/mm2

4 − 4 横断面の設計
集水井の水平断面に土圧が等分布に作用するものと考え、座屈に対する照査と発生する応力
度に対する照査を行います。これらの検討では、集水井の水平断面を曲げ剛性が一様な円環に
モデル化して行うのが一般的です。
1)座屈に対する設計
a)許容座屈荷重
q ライナープレートのみの場合
集水井の許容座屈荷重qaは次式によります。

ここに
qa :集水井の許容座屈荷重(kN/m2)
E :ライナープレートの弾性係数(kN/m2)
IL :ライナープレートの断面二次モーメント(m4/m)
r :集水井の半径(m)

−76−
w 補強リングを用いる場合
集水井の許容座屈荷重qaは次式によります。

ここに
qa :集水井の許容座屈荷重(kN/m2)
E :ライナープレートの弾性係数(kN/m2)
IL :ライナープレートの断面二次モーメント(m4/m)
IH :補強リングの断面二次モーメント(m4)
λH:補強リングの間隔(m)
r :集水井の半径(m)

円形リングに作用させる等分布荷重

b)座屈に対する照査
集水井の座屈に対する照査は次式により行います。

ph ≦ qa

ここに
ph :ライナープレートに作用する土圧強度(kN/m2)
qa :集水井の許容座屈荷重(kN/m2)
2)元たわみを考慮した場合の設計応力度の照査
ライナープレートは、0.5m∼1.0mの先掘りを行いながら組立てを行うため、若干の余掘りが
必要であること、数枚のライナープレートをボルト接合によって円筒形に組み立てるため組立
て誤差があることなどにより、多少楕円形状になることがあります。このため、ライナープ
レートは半円方向の元たわみを考慮した円環としての検討を行う必要があります。
元たわみの量は一概に設定できませんが、本技術資料では安全側をみて円環の半径1.0%と仮
定して検討することとしました。
a)断面力の算定
真円に対して元たわみδ0を有する円環に等分布荷重が作用した場合の最大曲げモーメント
Mmaxと軸力N次式で与えられます。

−77−
ここに
Mmax :最大曲げモーメント(kN・m/m)
N :軸力(kN/m)
ph :等分布荷重(kN/m2)
δ0 :元たわみ(m)
(δ0=0.01・r)
qk (kN/m2)
:一様円環の限界座屈荷重 (qk=1.5・qa)
r :ライナープレート円形立坑の半径(m)

元たわみを有する円形リングの楕円化の状態

b)応力度の照査
q ライナープレートのみの場合
ライナープレートの応力度の照査は次式により行います。

ここに
σL :ライナープレートに生じる応力度(N/mm2)
σLa :ライナープレートの許容応力度(N/mm2)
N :軸力(N/m)
Mmax :最大曲げモーメント(N・mm/m)
AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)
ZL :ライナープレートの断面係数(mm3/m)
w 補強リングを用いる場合
リングに発生する曲げモーメントと軸力は、それぞれライナープレートおよび補強リングの
曲げ剛性、軸剛性に比例して分担するものと考えて応力度の照査を行います。ライナープレー
トと補強リングとの断面力の分担率は次に示すとおりです。

ライナープレートと補強リングとの断面力の分担率

−78−
ここに
AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)
AH :補強リングの断面積(mm2)
IL :ライナープレートの断面二次モーメント(mm4/m)
IH :補強リングの断面二次モーメント(mm4)
λH:補強リングの間隔(m)
応力度の照査はそれぞれに次式により行います。
〔ライナープレート〕

〔補強リング〕

ここに
σL :ライナープレートの発生応力度(N/mm2)
σH :補強リングの発生応力度(N/mm2)
σLa :ライナープレートの許容応力度(N/mm2)
σHa :補強リングの許容応力度(N/mm2)
N :軸力(N/m)
Mmax :曲げモーメント(N・mm/m)
AL :ライナープレートの断面積(mm2/m)
AH :補強リングの断面積(mm2)
ZL :ライナープレートの断面係数(mm3/m)
ZH :補強リングの断面係数(mm3)
αL :ライナープレートの軸力の分担率
αH :補強リングの軸力の分担率
βL :ライナープレートの曲げモーメントの分担率
βH :補強リングの曲げモーメントの分担率
λH :補強リングの間隔(m)

−79−
4 − 5 設計計算例
4−5−1 通常の土圧が作用する場合
(常数が解らない場合)
1)設計条件
q 形状:ライナープレートを用いた集水井
w 形状寸法:
直径:D=3.50m
深度:H1=15.0m
e 土質条件:
土質 :砂質土
土の単位重量 :γt=18.0kN/m3
側方土圧係数 :Kh=K0=0.5
r 上載荷重: 設計図概要
q=0.0kN/m2
t 許容応力度および弾性係数:(長期)
〔ライナープレート〕
(SS330)
許容曲げ応力度 :σLa=120N/mm2
〔補強部材〕
(SS400)
許容曲げ応力度 :σHa=σSa=140N/mm2
弾性係数 :E=200kN/mm2
y その他:
水圧は考慮しません。
地震時の検討は行いません。
集水孔による断面欠損(断面積、断面二次モーメント、断面係数)は2割とします。
2)横断面の設計
q 土圧強度の算出
地すべりブロックの安定した斜面等に集水井を設置する場合の土圧を対象とします。土圧の
計算は
「道示IV 下部構造編」
の計算式によります。すなわち土圧は15mまでは深度に比例し、
これ以上では一定とします。円周方向の土圧分布は等分布とします。
i) 深度h=6.0m位置の土圧強度
ph =Kh・(γt・h+q)
  =0.5×(18.0×6.0+0.0)=54.0kN/m2
ii)深度h=15.0m位置の土圧強度
ph =Kh・(γt・h+q)
  =0.5×(18.0×15.0+0.0)=135.0kN/m2

w 断面の仮定
使用するライナープレートと補強リングを次のように仮定します。
〔ライナープレート〕

板 厚 断面積 断面係数 断面二次モーメント


2 3 4
(mm)
t A(mm
L /m) Z(mm
L /m) I(mm
L /m)
2.7 3.181×103 3.680×104 1.128×106

−80−
〔補強リング〕

H形鋼 断面積 断面係数 断面二次モーメント


2 3 4
(呼称寸法) A(mm
H ) Z(mm
H ) I(mm
H )
H-125×125 3.00×103 13.4×104 8.39×106

また、軸力および曲げモーメントの分担率は下表より定めます。

λHは補強リングの間隔を示します。

いま、地表からh=6.0mまでのライナープレート(t=2.7m)のみを使用するものと仮定しま
す。したがってこの間の断面力の分担率は、

αL=1.000、αH=0.000、βL==1.000、βH=0.000

また、h=6.0mからh=15.0mまではライナープレート
(t=2.7m)
に加えて補強リングH-125×
125を2.0m間隔で使用するものと仮定します。したがってこの間の断面力の分担率は、

αL=0.680、αH=0.320、βL==0.212、βH=0.788

e 座屈に対する照査
i) h=6.0地点
許容座屈荷重qaは、

したがって座屈に対する照査は以下のとおりです。

Ph=54.0kN/m2≦<qa=84.2kN/m2

ii) h=15.0地点(λH=2.0m)
許容座屈荷重qaは、

したがって座屈に対する照査は以下のとおりです。

Ph=135.0kN/m2≦<qa=397.3kN/m2

−81−
r 元たわみを考慮した場合の応力度の照査
発生する軸力は、

N=ph・r

また半径方向δ0=0.01rの元たわみにより発生する曲げモーメントは、

 ここに

となり、ライナープレートと補強リングに発生する最大応力度を軸力と曲げモーメントの分
担率により求め次式により照査します。
〔ライナープレート〕

〔補強リング〕

i) h=6.0地点

ii) h=15.0地点(λH=2.0m)

−82−
4−5−2 偏土圧が作用する場合
集水井は土塊の移動、すなわち地すべり圧に抵抗するものではありませんが、地すべり地内
の特殊条件から何らかの偏土圧を考慮して設計する必要がある場合もあります。偏土圧を考慮
する場合の設計例をスパングラーの式を用いた場合と弾性理論式を用いた場合とに分けて以下
に示します。なお、ここに示す検討例は、集水井の直径、集水井の深さ、その他荷重条件など
に関しては4.5.1の設計例と同一条件とします。
4−5−2−1 スパングラーの式を用いた場合
立坑はライナープレート板厚t=2.7mmを使用し、深度2.0mまでは、補強リングH-125×125を
2.0m間隔に取付、深度6.5mまでは、補強リングH-125×125を1.5m間隔に取り付け、それ以深に
ついては補強リングH-125×125を1.0m間隔に取り付けるものと仮定します。
q 軸力と曲げモーメントの算定
発生する軸力Nは、

N=pH・r

またライナープレートは施工中に組立誤差等で楕円形状になる場合があり、この時に外圧が
作用すると曲げモーメントが発生します。
元たわみ量をδ0とし、さらに偏土圧による偏平量をスパングラーの式で求めて、チモシェン
コの理論から、発生する最大曲げモーメントMを求めると、

ここに

δ :たわみ量

(=0.01・r)
δ0 :元たわみ量(m)
Δ :偏平量(m)

Fd :クリープ係数(=1.5)
Fk :据付角係数(=0.1)
kh :地盤反力係数(=7.4×103kN/m3)
EI :立坑壁の曲げ剛性(kN・m2/m)
r :立坑の半径(m)
qk :限界座屈荷重(kN/m2)

p0 :偏土圧(=100kN/m2と仮定した場合)
下表はh=2.0m、h=6.5mおよびh=15.0mにおける土圧強度ph、発生する軸力N、曲げモーメ
ントMmaxの計算結果を示したものです。

h(m) p(kN/m)
h N(kN/m) Mmax(kN・m/m)
2.0 118.0 206.50 11.34
6.5 158.5 277.38 15.01
15.0 235.0 411.25 21.33

−83−
w 応力度の照査
ライナープレートと補強リングに発生する最大応力度を軸力と曲げモーメントの分担率によ
り求め次式により照査します。
〔ライナープレート〕

〔補強リング〕

i) h=2.0地点(λH=2.0m)

ii) h=6.5地点(λH=1.5m)

iii)h=15.0地点(λH=1.0m)

−84−
4−5−2−2 弾性理論式を用いた場合
立坑は、深度5.0mまでは板厚t=2.7mmのライナープレートのみを使用し、深度13.0mまで補
強リングH-125×125を2.0m間隔に取付、それ以深については補強リングH-125×125を1.5m間隔
に取り付けるものと仮定します。
q 軸力と曲げモーメントの算定
集水井近傍に地すべりが生じた場合の集水井に作用する土圧分布を下図のように仮定します。

地すべり土圧

最大曲げモーメント:

最大軸力:N=ps・r
ここに
ps :地すべりに伴う土圧強度
K′:受働土圧の定数(=0.85と仮定します)
ここで、地すべりに伴う土圧強度psは、静止土圧強度phにほぼ等しいと仮定し、ライナープ
レートおよび補強リングの設計を行います。下表はh=5.0m、h=13.0mおよびh=15.0mにお
ける土圧強度ph、発生する軸力N、曲げモーメントMmaxの計算結果を示したものです。

h(m) ps=p(kN/m)
h N(kN/m) Mmax(kN・m/m)
5.0 45.0 78.75 5.17
13.0 117.0 204.75 13.44
15.0 135.0 236.25 15.50

−85−
w 応力度の照査
ここでは、短期許容応力度に対する照査を行います。
i) h=5.0地点

ii) h=13.0地点(λH=2.0m)

iii)h=15.0地点(λH=1.5m)

−86−
以上の計算をもとに、偏土圧をスパングラーの式で考慮した場合の断面図および平面図の例
を次に示します。

断面図および平面図の例

−87−
5. 標準構造図
集水井の直径 3.50m
集水井の深さ 10.0m

φ 3500 ライナープレート集水井一般図
の形状の場合の構造図を以下に示します。

1. ライナープレート集水井一般図
2. 集水井天蓋詳細図 断面図及び側面図
3. 集水井構造詳細図
4. 集水井らせん梯子詳細図

平面図

−88−
内面展開図

タラップ配置図

−89−
付図 5 − 1 φ 3500 集水井天蓋詳細図

φ 3500 集水井天蓋詳細図
天蓋(2分割品)

a − a 矢視 b − b 矢視

−90−
昇降口詳細図

c − c 矢視 取手詳細図

−91−
付図 5 − 2 φ 3500 集水井構造詳細図

φ 3500 集水井構造詳細図
補強リング詳細図

補強リング継手詳細図 バーチカルスチフナー取付詳細図

−92−
バーチカルスチフナー継手詳細図

ライナープレート詳細図

軸方向継手詳細図(矢視)

−93−
付図 5 − 3 φ 3500 集水井らせん梯子

φ 3500 集水井らせん梯子

T − A 型タラップ T − B 型タラップ

T − C 型タラップ T − D 型タラップ

−94−
《長崎県仕様》

T − A 型タラップ T − B 型タラップ

T − C 型タラップ T − D 型タラップ

−95−
《長崎県仕様》

突出し手摺

タラップ取付詳細図(共通)

ライナープレート部 補強リング部

−96−
トンネル

目    次

概 説 ..................................................................................................... 98

施 工 ..................................................................................................... 99
1. 特殊加工 ....................................................................................... 99

2. 補強材を用いる場合 ................................................................. 100

3. アーチの基礎 ............................................................................. 101


4. 水平坑の施工法 ......................................................................... 103

5. 裏ごめ ......................................................................................... 104

設 計 ................................................................................................... 106


1. トンネルに加わる地圧 ............................................................. 106

2. 立坑に加わる地圧 ..................................................................... 107

3. 構造計算式 ................................................................................. 108


組立歩掛り ........................................................................................... 111

質量表

1. 質 量 ......................................................................................... 112


2. 円 形 ......................................................................................... 112

3. 小判形 ......................................................................................... 114

−97−
概 説
山岳トンネルでのライナープレートの使用は、上部の荷重
(岩盤荷重、土荷重)
を受け持つ物として、
円形、馬蹄形で使用されます。また既設トンネルの巻き立ての型枠代わりとして使用されます。ライ
ナープレートの特長である、フランジボルト締め構造はまさにこの工事に適正な商品として広く使用さ
れています。

馬蹄形の組み合わせ
馬蹄形の場合には必要ボルトピッチ数は半円アーチと直線部の和になり、Sm×20/2+2Lmm/157で求
まります。したがって、その必要ボルトピッチ数に等しくなるようにセクションP数と枚数を選びます。

(例)

左図において、S=4000mm
L=1570mmの場合セクション構成は
2×1570
必要ボルトピッチ数=4.0×10+
157
=60ピッチ
Aリング
 セクション P−10…6枚
Bリング
 セクション P−10…5枚 P−5…2枚
セクションのボルトピッチ総数は
 Aリング 10×6=60ピッチ
 Bリング 10×5+5×2=60ピッチ
となり、必要ボルトピッチ数と等しい2組のリングを下図のように交互に組立ます。

P− P−10
10 10
P−
10

P−
P−

10
10

P−
P−

10

P−5 P−10

P−10
P−10
P−10

P−5

−98−
施 工
1. 特殊加工

当社では、つぎのような特殊加工を行っております。

1) 曲管加工

2) アーチ断面の屈曲加工

※ 縦断・平面曲りがある場合はアーチはネジレますので注意して下さい。

3) グラウトホール加工
60

L
2″×60

−99−
2. 補強材を用いる場合

ライナープレートには波付けを施してありますから、同じ板厚の平鋼板よりもはるかに大きな強度を
有しておりますが、ライナープレートに加わる外力の大きさによってはライナープレートだけでは耐え
きれない場合があります。このような場合には、主としてH形鋼
(または等辺山形鋼)
が補強材として用
いられます。

トンネル工事では下図のように内側に支保工を建込み、これとライナープレートとの間をくさびで締
めつける方法もあります。

−100−
3. アーチの基礎

通常馬蹄形アーチの脚部には鉛直力や水平力が作用します。その力を基礎に伝達させるため、また地
盤の不整に対抗させるためにベース材を使用することが通常です。
当社では、ベース材として施工に便利な下図のようなベースチャンネルを用意しております。

ベースチャンネル

ベースチャンネルには長さにより、500, 1000, 1500, 2000と4種類あります。現場条件に応じて選定し


てください。

−101−
ベースチャンネルは設置条件によりつぎのような使用方法があります。

比較的小断面トンネル用 水路トンネル用

比較的大断面トンネル用

その他、ベース材としてつぎのようなものが使用されています。

−102−
4. 水平坑の施工法

(1)コルゲートパイプと同じ施工ができる場合

この場合にはコルゲートパイプとまったく同様な施工を行います。したがって、裏ごめの施工もコル
ゲートパイプと同様に良質土砂により十分締固めます。なお、コルゲートパイプの施工法については、
当社の技術資料「JFEコルゲート商品コルゲートパイプ、コルゲートフリューム」を参照して下さい。

(2)トンネル工事で地盤が良質の場合、下図の順序で建込みます。

(3)トンネル工事で地盤があまりよくない場合

次ページの図に示すようにクラウンの部分を掘削し、慎重に内面を仕上げクラウンのプレートを正確
に建込み、つぎに両側を切りひろげて隣りのプレートを建込みます。地圧が加わるような場合はトレン
チ・ジャッキ
(またはストラット)
で支持します。このようにして少なくとも3リング以上を組み立てま
すが、各リングの間はまだボルト締めしていないままの状態です。
つぎに切拡げを行ってスプリング・ラインのところまで掘削し、プレートを建込み各リングをボルト
締めします。スプリング・ラインのところではウォール・プレート
(少なくとも3リング以上の長さ)

敷設して、これにライナープレートの下端をとりつけます。

−103−
○番号は施工順序を示します

5. 裏ごめ

トンネルの支保工または覆工にライナープレートを用いるときは、トンネル断面の掘削を最小限にと
どめることと同時に、裏ごめの施工を十分に行って地盤のゆるみを小さくし、偏圧の発生を防ぐことが
必要です。余掘量が大きくて裏ごめの施工が十分でないときは、過大な地圧や偏圧のため、トンネルの
強度に著しい悪影響をおよぼしますから、とくに注意しなければなりません。場合によってはグラウト
することも必要となります。

(1)プレート巻立てと同時に行う裏ごめ

プレートを建込みながら、下の写真のように裏ごめします。裏ごめ材料には、掘削地山の岩質が良け
れば
“ずり”
を用いる方が経済的です。
“ずり”
を用いた場合はあとからグラウトする方が安全です。ただ
し一般的な場合は余掘をできるだけ少なくして巻立てながら、裏ごめはせず、ライナープレートにグラ
ウト用の孔をあけておき、そこからグラウトします。

−104−
(2)プレート巻立て後の裏ごめ

圧さく空気によって豆砂利や砂をライナープレートの裏側に吹込みます。シールド工法の場合には、
シールドの尾部の内側でプレートを組立た直後と、シールドが前進してシールドの尾部による空隙が生
じた直後との2回に分けて裏ごめを行う方が、良好な結果を得ることができます。

(3)グラウト

“ずり”
を用いて裏ごめする方法だけではどうしても不十分な場合には、適当な圧力でモルタル注入を
行えば申し分ありません。
最近では充填率が高く作業性、経済性に富むプレホーミング式エアーモルタルが多く使用されており
ます。
裏ごめ材料が豆砂利のときはセメントペーストをグラウトします。

グラウト

L
2″×60

グラウト作業

−105−
設 計
1. トンネルに加わる地圧

トンネルに加わる地圧については種々の説がありますので、ここでは代表的なものを以下列挙します。

(1)岩石トンネル

a. トンネル標準示方書による地圧
土木学会編
「トンネル標準示方書」
(山岳工法編第6編)
には、トンネルに作用する土荷重のゆるみ高さ
としてトンネル断面によりつぎのような値が示されています。

内空断面の幅 土圧があると推定される場合 土圧が大きいと推定される場合


(m) (m) (m)
3 1.0 2.0

5 2.5 5.0

10 3.0 6.0

b. Terzaghiのトンネルに加わる岩石荷重
Rock Tunneling With Steel Support
(RV.Proctor.T.L White共著)ではトンネルの高さをHt、幅をBとし
たときの岩石荷重を地山のゆるみ高さHpであらわしてあります。したがって、岩石の単位重量にHpを
乗ずれば地圧を計算することができます。

岩 石 の 状 態 土荷重の高さ Hp 
(m) 備      考

落石または肌落ちがある場合のみ支
1. 堅硬な岩質の場合 0 保工を要する

堅硬な岩質で層状または片状の
2. 0∼0.5B
場合
場所により不規則な荷重が加わる
大塊状で普通程度の結合してい
3. 0∼0.25B
る場合

4. 中程度の塊状で薄い層状の場合 0.25B∼0.35(B+Ht) 制圧なし

小塊状で薄い層をなしている場 制圧なし、または弱い側圧が作用す
5. (0.35∼1.10)
(B+Ht)
合 る
かなりの側圧がある場合、また湧水
完全な破片であるが化学的には 1.10
(B+Ht)
6. のある場合はインバート・ストラッ
変質していない場合 トを入れるか円形支保工とする
膨張性岩石で普通程度の深さの (1.10∼2.10)
(B+Ht)
7. 強い側圧が加わる
トンネルのとき
インバート・ストラットを用いるか
膨張性岩石で非常に深いトンネ (2.10∼4.50)
(B+Ht) 円形支保工とする
8.
ルのとき

9. ひどく膨張する岩石の場合 (B+Ht)
にかかわらず80以上 円形支保工を要する

(備考)この表はトンネルが地下水面下にあるときの値であって、もしトンネルがつねに地下水面上にあるときは4、
5、6に対しては1/2とすることができます。

−106−
(2)土砂トンネル

a. 砂質土の場合
i) 比較的浅いトンネル

ただし
ここに Pv :鉛直土圧(kN/m2)
Bt :トンネルの幅(m)
Ht :トンネルの高さ(m)
D :トンネルの土かぶり(m)
μ :tanφ
φ :地盤の内部摩擦角
K :土圧係数
γ :地盤の単位重量(kN/m3)

ii)土かぶりの大きいトンネル
ただし
D1 :トンネル天井から破壊領域上端までの
高さ(m)
D2 :地表面から破壊領域上端までの深さ
(m)
b. 粘性土の場合
i) 土かぶりの浅いトンネル
ただし  C:土の粘着力(kN/m2)

ii)土かぶりの大きいトンネル

2. 立坑に加わる地圧
(1)Rankineの土圧公式 Pt :水平土圧(kN/m2)
γ :土砂の単位重量(kN/m3)
Pt=KA・γ・H
H :地表面よりの深さ(m)
KA :主働土圧係数
 砂質土の場合

 ただしφ:土の内部摩擦角
 粘性土の場合

 ただし C:土の粘着力(kN/m2)

−107−
3. 構造計算式
ライナープレートトンネルや立坑の板厚を正確に決定することは非常に困難な問題です。これはトン
ネルや立坑に加わる地圧の算出方法に定説がないことによります。ことにライナープレートは板厚が薄
く柔軟性に富むため変形しやすく、このためライナープレートに加わる地圧は、覆工コンクリートのよ
うな剛性の大きい構造物に加わる地圧以上に不明確なため問題の解決が困難です。しかし欧米および国
内における長年にわたる経験によれば、以下に述べるような方法により、座屈、変形、発生応力等につ
いて検討しておけば十分安全であることが認められていますので、ここでこれらの方法について紹介し
ます。

(1)弾性理論による計算式

a. 円  形

b. 2ヒンジ半円アーチ

−108−
c. 直線部分を有する馬蹄形2ヒンジアーチ

−109−
(2)円環座屈の計算
(立坑)

ただし
qa :許容外圧(kN/m2)
r :立坑半径
(m)
E :ヤング率=2.0×108kN/m2
I :ライナープレート深さ1m当りの
 断面2次モーメント(m4)
q :立坑外圧(kN/m)
また次式により許容圧縮応力のチェックを行い
ます。

ただし
(N/mm2)
σa :圧縮応力度
(N/mm2)
σca :許容圧縮応力度
A :ライナープレート断面積(mm2/m)

(3)フレキシブル・パイプとしての
たわみ量の計算
M.G.Spanglerの式

ただし
Δ :最大水平たわみ量(m)
Fk :基床係数(=0.1)
W :パイプの単位面積当たりの荷重(kN/m2)
E ′:土の弾性係数(E ′=k・r)
 一般に100∼200(kN/m2)
Fd :土のクリープ係数(1.25∼1.5)
E :鋼のヤング係数(kN/m2)
(m4/m)
I :パイプ壁体の断面2次モーメント
r :パイプ半径(m)

−110−
組立歩掛り
ライナープレートの組立歩掛りは現場の条件、設置場所の状態、その他の事情により変動しますが、
掘削完了後、ライナープレートを組み立てるだけの歩掛りは、おおむねつぎの諸表に示すとおりです。

円形トンネル (組立工 人/10m)

直   径 板     厚 
(mm)
(mm) 2.7   3.2 4.0   4.5 5.3  6.0  7.0

2000 18.7 24.3 28.0

2500 23.4 30.4 35.0

3000 28.0 36.4 42.0

3500 40.9 53.1 61.3

4000 46.7 60.7 70.0

4500 52.5 68.3 78.8

5000 58.4 75.9 87.5

円形立坑 (組立工 人/10m)

直   径 板     厚 
(mm)
(mm) 2.7   3.2 4.0   4.5 5.3  6.0  7.0

2000 16.4 21.3 24.5

2500 20.5 26.6 30.7

3000 24.5 31.9 36.8

3500 28.6 37.2 42.9

4000 32.7 42.5 49.0

4500 36.8 47.8 55.2

5000 40.9 53.1 61.3

(注)
(1) この歩掛表は掘削完了後、ライナープレートの組立だけの歩掛りです。
(2) 構成は、P−10を標準とします。
(3) 補強リング付の場合には
(3割×1/リング間隔
(m)
)を割増しとします。
(4) パッキングを使用する場合は5割増しとします。
(5) 上表組立歩掛りには小運搬は含みません。

−111−
質 量 表
(900g/m2)
ライナープレートの代表的なセクションの黒皮質量および亜鉛めっき付 質量を示します。

1. 質  量
(kg/枚)

セクション 板   厚 (mm)

仕 様 P−n 2.7 3.2 4.0 4.5 5.3 6.0 7.0

P−6 16.2 19.2 23.8 26.9 31.6 35.8 42.3

黒皮品 P−8 21.1 25.0 31.1 35.1 41.2 46.7 55.0

P−10 26.0 30.9 38.4 43.3 50.9 57.6 67.8

P−6 16.8 19.9 24.5 27.6 32.2 36.5 43.0

めっき品 P−8 22.0 25.9 32.0 36.0 42.1 47.6 55.9

P−10 27.1 32.0 39.5 44.4 51.9 58.7 68.9

2. 円  形

円形の標準セクション構成のときのボルトナット質量とプレート質量を示します。なおセクション構
成を変えるときは、本表を適用できません。

標準セクション構成およびボルト・ナット質量表

標準セクション構成 組立ボルト ボルト質量


直 径 (1m当り) (kg/m)
D
(mm) 本 数
P−6 P−10 (本/m) M16×30 M16×35 M16×45

1500 10 − 100 13.7 14.4 15.8

2000 − 8 112 15.3 16.1 17.7

2500 − 10 140 19.2 20.2 22.1

3000 − 12 168 23.0 24.2 26.5

3500 − 14 196 26.9 28.2 31.0

4000 − 16 224 30.7 32.3 35.4

4500 − 18 252 34.5 36.3 39.8

5000 − 20 280 38.4 40.3 44.2

5500 − 22 308 42.2 44.4 48.7

6000 − 24 336 46.0 48.4 53.1

6500 − 26 364 49.9 52.4 57.5

−112−
ライナープレート質量表(円形)

黒皮品 製品1m当り
(kg/m)

直 径 ライナープレート板厚
(mm)
D
(mm) 2.7 3.2 4.0 4.5 5.3 6.0 7.0

1500 162 192 238 269 316 − −

2000 208 247 307 346 407 461 542

2500 260 309 384 433 509 576 678

3000 312 371 461 520 611 691 814

3500 364 433 538 606 713 806 949

4000 416 494 614 693 814 922 1,085

4500 468 556 691 779 916 1,037 1,220

5000 520 618 768 866 1,018 1,152 1,356

5500 572 680 845 953 1,120 1,267 1,492

6000 624 742 922 1,039 1,222 1,382 1,627

6500 676 803 998 1,126 1,323 1,498 1,763

めっき品 製品1m当り
(kg/m)

直 径 ライナープレート板厚
(mm)
D
(mm) 2.7 3.2 4.0 4.5 5.3 6.0 7.0

1500 168 199 245 276 322 − −

2000 217 256 316 355 415 470 551

2500 271 320 395 444 519 587 689

3000 325 384 474 533 623 704 827

3500 379 448 553 622 727 822 956

4000 434 512 623 710 830 939 1,102

4500 488 576 711 799 934 1,057 1,240

5000 542 640 790 888 1,038 1,174 1,378

5500 596 704 869 977 1,142 1,291 1,516

6000 650 768 948 1,066 1,246 1,409 1,645

6500 705 832 1,027 1,154 1,349 1,526 1,791

−113−
3. 小 判 形

小判形の標準セクション構成のボルトナット質量とプレート質量を示します。なおセクション構成を
変えるときは、本表を適用できません。

標準セクション構成およびボルト・ナット質量表
小判形立坑寸法 標準セクション構成 ボルト質量
組立ボルト
短 径 短 径 (1m当り) 本 数 (kg/m)
S
(mm) L
(m) P−6 P−8 P−10 (本/m) M16×30 M16×35 M16×45
2500 5797 − 8 12 264 36.2 38.0 41.7
3000 5512 2 4 14 264 36.2 38.0 41.7

3000 5826 − 4 16 272 37.3 39.2 43.0


3000 6297 − 8 14 292 40.0 42.0 46.1
3200 6026 − 20 4 296 40.6 42.6 46.8

3200 6340 − 26 − 312 42.7 44.9 49.3


3500 6326 − 4 18 300 41.1 43.2 47.4
3500 6640 − − 22 308 42.2 44.4 48.7

3600 6426 − 22 4 320 43.8 46.1 50.6


3600 6740 − 28 − 336 46.0 48.4 53.1
4000 6355 − − 22 308 42.2 44.4 48.7

4000 6826 − 4 20 328 44.9 47.2 51.8


4000 7140 − − 24 336 46.0 48.4 53.1
4200 6712 − 14 12 336 46.0 48.4 53.1

4500 6855 − − 24 336 46.0 48.4 53.1

ライナープレート質量表(小判形)
黒皮品 製品1m当り
(kg/m)

小判形立坑寸法 ライナープレート板厚
(mm)
短 径 短 径
2.7 3.2 4.0 4.5 5.3 6.0 7.0
S
(mm) L
(m)

2500 5797 481 571 710 800 940 1,065 1,254


3000 5512 481 571 710 800 941 1,065 1,254
3000 5826 500 594 739 833 979 1,108 1,305

3000 6297 533 633 786 887 1,042 1,180 1,389


3200 6026 526 624 776 875 1,028 1,164 1,371
3200 6340 549 650 809 913 1,071 1,214 1,430

3500 6326 552 656 816 920 1,081 1,224 1,440


3500 6640 572 680 845 953 1,120 1,267 1,492
3600 6426 568 674 838 945 1,110 1,258 1,481

3600 6740 591 700 871 983 1,154 1,308 1,540

4000 6355 572 680 845 953 1,120 1,267 1,492

4000 6826 604 718 892 1,006 1,183 1,339 1,576


4000 7140 624 742 922 1,039 1,222 1,382 1,627
4200 6712 607 721 896 1,011 1,188 1,345 1,584

4500 6855 624 742 922 1,039 1,222 1,382 1,627

−114−
−より安全な御使用を願って−
本技術資料に掲載されている内容は情報提供を目的とした
もので、誤った使用または不適切な使用等によって生じた
損害につきましては責任を負いかねますのでご了承下さい。
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最新情報につきましては、各担当部署にお問合わせ下さい。
技 術 資 料 ライナープレート

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