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イントロダクション CEOメッセージ 経営ビジョン達成に向けた戦略 経営ビジョン達成のための基盤 財務・非財務データ

83 Nomura Holdings, Inc. Nomura Report 2022 84


財務レビュー

振り返りと分析 2022年3月期 価の上昇と国内企業業績の改善を背景に、2021 年 9 3セグメントの業績 4%減の1兆1,790億円、税引前当期純利益は同17%


月には日経平均株価がバブル崩壊後の高値を更新し  当社は2021 年 4月1日付で、
アセット・マネジメント 減の2,052億円でした。ホールセール部門はアドバイ
経営環境 ましたが、その後は金利上昇懸念などを背景とした世 部門およびマーチャント・バンキング部門を廃止し、 ザリーが好調でインベストメント・バンキングが増収と
 2022 年 3月期の世界経済は、新型コロナウイルス 界的な株価調整に押され、軟調な推移となりました。 インベストメント・マネジメント部門を新設しました。 なったほか、エクイティも米国顧客取引に関する損失
感染再燃に伴う減速を繰り返しつつも、
ワクチン接種 これに伴い、2021 年 3月期の数値を、営業部門、イン が減少しました。営業部門やインベストメント・マネジ
において先行した米欧諸国を中心に経済活動の再開 連結業績サマリー ベストメント・マネジメント部門、ホールセール部門の メント部門は残高拡大の取り組みが進 し、安定収益
が進みました。経済の回復過程における繰越需要の  このように当社を取り巻く環境が大きく変動するな 区分で組み替えて表示しています。 は拡大したものの、
マーケット環境の悪化を背景にフ
拡大は、主に新興国・地域における生産や物流の停滞 かで、当期は、米州における世界金融危機以前の取引  2022年3月期の3セグメント合計の収益は前年比 ロー収入が減少、
また投資損益が悪化しました。
と相まって供給制約を深刻化させ、物価上昇の加速 事案について会計上の処理がほぼ終了し、経営リソー
を招きました。物価上昇の加速が長期化するにつれ、 スを成長分野へ振り向ける大きな転換点となりまし
主要先進国・地域中央銀行の金融引き締めの開始前 た。
また、安定収益の拡大や収益源の多様化によって、
倒しや政策金利の引き上げ幅拡大に対する思惑を強 グローバルに持続的な利益を確保できる体制を整え
めることにつながり、市場金利の上昇懸念が高まりま るべく、取り組んできました。
3セグメントの収益(金融費用控除後)
した。世界の株式市場が上昇基調をたどる一方で、  当期の収益合計(金融費用控除後)は前年比 3 % (10億円) 営業部門  インベストメント・マネジメント部門※  ホールセール部門

インフレ長期化や金利上昇に対する懸念の高まりを 減の1 兆 3 , 639 億円、金融費用以外の費用は同 3 % 1,500

背景に、幾度となく調整を繰り返しました。 減の1 兆 1 , 373 億円となりました。税引前当期純利益 1,357.5 1,358.7


1,251.3 1,255.6
 日本は、実体経済の停滞や世界的なインフレの加 は2 , 266 億 円、当社 株 主に帰 属する当期 純 利 益は 1,213.1 1,194.9 1,179.0
1,111.7
速、原燃料市況高騰に伴う輸入原材料価格上昇など 1 , 430 億円、ROEは5 . 1 % 、EPS(希薄化後 1 株当た 1,077.6
1,000 971.1 992.7
のコスト増加にもかかわらず、主要企業の業績は底堅 り当 社 株 主 に帰 属する当 期 純 利 益 )は45 . 23 円と
い拡大を維持しました。株式市場は、グローバルな株 なっています。 703.1

500
(単位:10億円) 2021年3月期 2022年3月期 前年比 コメント
148.0
委託・投信募集手数料 376.9 332.3 -11.8% 株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が減少

投資銀行業務手数料 108.7 149.6 37.7% アドバイザリー・ビジネスが収益増加に貢献 328.0

0
アセットマネジメント業務手数料 230.0 270.0 17.4% ストック収入の増加、
運用資産残高の拡大に伴う手数料の増加等
2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 3月期
米国顧客取引に起因する損失が減少
トレーディング損益 310.0 368.8 19.0%
(2021年3月期:2,042億円、2022年3月期:440億円)

プライベートエクイティ・デット投資関連損益 12.7 30.8 141.6% 3セグメントの税引前当期純利益(損失)


(10億円) 営業部門  インベストメント・マネジメント部門※  ホールセール部門
金融収益 356.5 284.2 -20.3% 400

投資持分証券関連損益 14.1 5.4 -61.2% 330.9


300
その他 アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益等が減少 276.1 278.6
208.3 152.8 -26.6% 269.9
230.9
収益合計 1,617.2 1,594.0 -1.4% 200 193.5
205.2
179.7 170.4
74.5
金融費用 215.4 230.1 6.8%
100
46.0
収益合計(金融費用控除後) 1,401.9 1,363.9 -2.7% 71.5

人件費が増加する一方、米国顧客取引に起因する貸倒引当金は 0
59.2
金融費用以外の費用 1,171.2 1,137.3 -2.9%
減少。前年計上した関連会社株式の減損損失も剥落 -27.7

税引前当期純利益(損失) 230.7 226.6 -1.8%


-100

当社株主に帰属する当期純利益(損失) 153.1 143.0 -6.6%


-200
金融収益から金融費用を差し引いた純金融収益は、 トレーディング資産およびレポ・リバースレポ取引を含む総資産・負債の水準と構成、 ならびに、金利の期 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 3月期
間構造とボラティリティに左右され、 トレーディング業務と不可分な一つの要素です。 なお、
アメリカン・センチュリー・インベストメンツからの配当金も金融収
益に含まれます。
※ 2021年4月1日付でアセット・マネジメント部門およびマーチャント・バンキング部門を廃止し、 インベストメント・マネジメント部門を新設。
これに伴い、2022年3月期の開示様式に合わ
2022年3月期においては、金融収益は前年比20%減少、また、金融費用は前年比7%増加し、その結果、2022年3月期の純金融収益は2021年3月期から減 せて2021年3月期の数字を組み替えて表示。2020年3月期以前は、旧アセット・マネジメント部門の業績を表示
少しました。
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財務レビュー

強 み 強 み
Retail Division

Investment Management Division


部門傘下の会社が有する運用に関する
国内証券最大の顧客基盤
高度な専門性

高度なコンサルティングの能力と パブリック市場とプライベート市場での
それを支えるプラットフォーム 多様な投資ビジネスの経験

野村の総合力を活かした 部門内での柔軟な資本政策による成長強化と
商品・サービス供給力 野村グループの総合力

営業部門長 杉山 剛 インベストメント・マネジメント部門長 南村 芳寛
営業部門

事業展開 事業展開

資産運用や事業承継など、お客様の全資産に対する包括的なコンサルティングを提供 伝統的資産からオルタナティブ資産まで、お客様の運用ニーズに応じた商品・サービスを提供
投資対象 プロダクト 投資家
2022年3月末 お客様一人ひとりに合った質の高いサービスの提供体制 公募投資信託
900万口座以上 株式 個人投資家

伝統的資産

本社・支店 私募投資信託

金融商品の提案のほか、
コンタクトセンター
野村證券 ETF
不動産や事業承継など 非対面による (上場投資信託) 運用資産残高
口座数※1
債券 機関投資家
535万 多様なニーズに対応する 資産コンサルティング 投資一任 67.9兆円
顧客資産残高 金融サービス
122.1兆円 ファンドラップ

オルタナティブ資産
オルタナティブ
職域※2 プライベート
海外投資家 運用資産残高
デジタル アセット 非上場企業に投資する
120万+ 事業パートナー 投資法人 8,390億円
デジタルの活用による
+ (地域金融機関、LINE証券) お客様への最適なアプローチ、 ファンド
新たな リアル (プライベートエクイティ/デット) 自己運用
アプリによるサービス提供
お客様層 アセット 航空機リース 共同投資

インベストメント・マネジメント 部 門
2022年 3月期の振り返り 業績推移(10 億円) 2022年 3月期の振り返り 業績推移(10 億円)
業 績 収益合計(金融費用控除後) 業 績 収益合計(金融費用控除後)
先行き不透明感からお客様の投資マインドが低下し、株式 税引前当期純利益 収 益は前 年比 9 % 減の 1 , 480 億円、税引前当期 純 利 益は 税引前当期純利益
1 1
取引や投信買付が減少 400 前年比 21 % 減の 715 億円 200

368.8
収益は3, 280 億円と前年比11%の減収、税引前当期純利益 4 四 半 期 連 続で資 金が流 入し、運用資 産 残 高が高 水 準を
2 2
は592億円、前年比 36%の減益 328.0 維持したことにより、安定収益である事業収益が増加 163.2
300 150
一方、投資信託および投資一任契約の純増を伴ってストック 野村キャピタル・パートナーズの投資先企業の新規上場に 148.0
3 3
資産が拡大、2022年 3月末の残高は19.6兆円に増加 伴い 評 価 益・売 却 益を計 上したものの、アメリカン・セン
チュリー・インベストメンツ関連損益が減少したことにより、
また、
コスト・コントロールにより費用も抑えられ、
ストック収入 投資損益は前期比で減少
4
費用カバー率は49%まで上昇 200 100
取り組み
取り組み
野村アセットマネジメントで地域金融機関と連携した
「志プロ
パートナー※3をお客様の属性に応じた領域ごとに配置 ∼一人 1 91.0
1 ジェクト」
を通じて資産運用業を通じた地方創生に貢献 71.5
ひとりにカスタマイズされたサービスの提供体制を構築
100 92.3 50
スパークス・グループとの合弁で野村スパークス・インベスト
コンタクトセンターによるリモート・コンサルティングの体制 2 メントを新設し、非上場企業へ投資する投資法人の運用を
2
強化 59.2 開始

3 地域金融機関との提携やLINE証券を通じた顧客基盤の拡大 0 事業承継のための投資に特化したジャパン・サーチファンド・ 0
3
2021年3月期 2022年3月期 プラットフォームを設立し、初回投資家募集を実施 2021年3月期 2022年3月期
※1 残あり顧客口座数 ※2 持株会会員数、企業型DC加入者数
※3 当社では、最も信頼できるパートナーとしてお客様に選ばれる金融サービスグループでありたいとの思いから、営業担当者を
「パートナー」
と呼んでいる
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財務レビュー

強 み 連結自己資本規制比率
Wholesale Division
 2022 年 3月 末 の 連 結 普 通 株 式 等 Tier1比 率 は ゲットを11% 以上と掲げており、十分な資本水準を
日本における
17.22%と、2021年3月末の15.81%から上昇しまし 維持しています。
また連結レバレッジ比率は5.98%と、
業界トップクラスのプレゼンス
た。
当社は中期的な連結普通株式等Tier1比率のター 2021年3月末の5.63%から上昇しました。

海外は競争優位性のある分野で 連結自己資本規制比率
プレゼンスを確立 (単位:10 億円) 2021年3月末 2022年3月末 前年比

普通株式等 Tier 1資本の額 2,522 2,726 204


サステナビリティ分野での専門性を活かした
自己資本 Tier1資本の額 2,841 3,103 263
サービスおよびプロダクトの提供
総自己資本の額 2,845 3,103 258

信用リスク・アセットの額 8,551 8,301 -250


ホールセール部門長  Steven Ashley
マーケット・リスク相当額を8%で除して得た値 4,952 4,899 -53
リスク・アセット
事業展開 オペレーショナル・リスク相当額を8%で除して得た値 2,449 2,630 181

リスク・アセット合計 15,951 15,830 -121


グローバル・マーケッツは市場への流動性供給、
インベストメント・バンキングは資金調達やM&A等アドバイザリー業務を提供し、
連結普通株式等 Tier 1比率 15.81% 17.22% 1.41%
資金や資本の出し手と取り手をつなぐ
ホ ー ルセ ー ル 部 門

収益の約7割は、海外拠点で獲得 連結 Tier 1比率 17.80% 19.60% 1.80%


インベストメント・
バンキング 国内
連結総自己資本規制比率 17.83% 19.60% 1.77%
インベストメント・バンキング
21% 28% 連結自己資本比率
資金・資本調達や買収・合併等のサポート リスク・アセットベース外部TLAC比率 23.06% 30.72% 7.66%
収益内訳
総エクスポージャーベース外部TLAC比率 8.24% 10.30% 2.06%
発行市場 金融資本市場 流通市場 (2022年3月期)

資金調達 ファイナンス 投資
海外 連結レバレッジ比率 5.63% 5.98% 0.35%
事業会社等・ 株式、 グローバル・
政府系機関等
発行
社債・証券化商品・
リターン
投資家 72% マーケッツ
ローン等

79%
為替・金利ヘッジ 為替・金利ヘッジ 株主還元
 当社は、株主の皆様への利益還元について、株主 50百万株、上限300億円とする自己株式取得枠を設
グローバル・マーケッツ
価値の持続的な向上および配当を通じて実施してい 定しましたが、50百万株、247億円で終了しました。
くことを基本と考えています。配当については、半期毎
2022年 3月期の振り返り 業績推移(10 億円)
の連結業績を基準として、連結配当性向 30%を重要
業 績
収益合計(金融費用控除後)
収益は、前年比2%増の7,031億円、税引前当期純利益は16% な指 標の一つとします。各 期の配当額については、
1 税引前当期純利益 株主還元実績
増の745億円。経費率は前年比2%低下の89% 800 バーゼル規制強化をはじめとする国内外の規制環境 (10億円) 配当額  自己株式取得額  5割還元水準  総還元性向※1 (%)

市場が大きく変動する中、グローバル・マーケッツでは地域・ の動向、連結業績をあわせて総合的に勘案し、決定し 400 98% 100


2 703.1
プロダクトの分散により、堅調な収益水準を維持 691.4
ます。また自己株式取得による株主還元分を含めた
92%
インベストメント・バンキングは、海外のアドバイザリー収益 600
総還元性向を50% 以上とすることを、株主還元上の 300 74% 76%
75
3 が伸長。特にノムラ・グリーンテックを中心にサステナビリ
ティ案件が拡大 めどとします。
70%
取り組み
 上記の剰余金の配当等の決定に関する方針を踏 214
400 200 50
1 提供する商品やサービスの強化・拡充による収益源の多様化 まえ、2021 年 9月30日を基準日とする配当金は1 株 178 167
サステナビリティ分野での取り組みを米国以外の地域にも 当たり8円、2022 年 3月31日を基準日とする配当金 107 131
150
2 98
展開 につきましては1 株当たり14円をお支払いしました。 100
120
110 109
107 25
200 64

3 アジア富裕層向けビジネスも陣容拡大に向け順調に進 これにより年間の配当金額は1 株当たり22 円となり 77 72


107

64.3
ます。また、2021 年 10月に設定した上限 80 百万株、 71 69 20 64 67
74.5 0 20 0

0 上 限 500 億 円とする自己 株 式 取 得 は、80 百 万 株、 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 3月期

2021年3月期 2022年3月期 396億円で終了しました。2022年4月に、新たに上限 ※1 総還元性向には株式報酬として交付する株式への充当分を含む

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