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インフラ開発・防災のための建設技術セミナー in インドネシア 講演シナリオ

<司会から中岡防災監によるご講演のアナウンス>

【スライド1】
・1ページをお開きください。ページ番号は右下に記載しています。
・まず、簡単に高知県のご紹介をします。高知県は、日本の県の一つで四国の太平洋側に位置して
います。人口約72万人で経済規模自体は大きくない県ですが、北は四国山脈、南は太平洋に挟
まれた自然豊かな所です。また、海・山・川の幸に恵まれ、食べ物が非常においしい所でもあります。
・日本大手の旅行会社が実施した調査の1つである「地元ならではのおいしい食べ物が多かったランキ
ング」では、8 年間で 6 度全国1位となっています。

※「・」ごとに区切って、逐次通訳を入れる

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【スライド2】
・2ページをお開きください。
・上のグラフはインドネシアの自然災害の発生動向を示したグラフです。インドネシアでは雨期の長期化
による洪水やつむじ風など、風水害の発生件数を中心に増加傾向にあります。
・同様に、高知県は台風や集中豪雨といった風水害が多い県です。左下のグラフは、高知県の年間
平均降水量を日本平均とインドネシアの平均とで比較したものです。ご覧のとおり高知県はインドネシ
アの降水量の約 94%に匹敵し、非常に雨が多い地域といえます。
・右下のグラフは、1951 年から 2017 年 8 月までの間に台風が高知県に上陸した数を示したもので
すが、高知県には、日本で2番目に多い 26 個の台風が上陸しています。

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【スライド3】
・3ページをお開きください。
・右上の写真は、1972 年に高知県の中央地域での集中豪雨によって発生した土砂災害です。最初
に発生した土砂災害により、生き埋めとなった消防団員1名の救出活動中にさらに大規模な山崩れ
が発生し、救助活動中の消防署員、消防団員、町職員、住民等が巻き込まれ 60 名が亡くなるとい
う 2 次災害が発生しました。
・左上の写真は、1975 年の台風第 5 号による災害で、激しい雨により河川は大洪水となるとともに、
山崩れや土石流が続発して大災害となりました。左下の写真は、1998 年 9 月の高知豪雨で、市街
地の大部分が浸水しました。
・21 世紀になってからも、度々豪雨が発生しています。しかし、これまで行ってきました河川改修によ
り、洪水は堤防を越えることはなく、氾濫被害は発生しませんでした。

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【スライド4】
・4ページをお開きください。
・高知県は台風や集中豪雨が多い地域であるため、洪水による氾濫を防ぐために、堤防の嵩上げや
河川の川幅を広げるなどの改修を行っています。また、下流域の市街地を洪水の被害から守るため、
上流部で降った雨をダムにためて放水量の調整を行っています。そして、土砂災害を防ぐために、人家
の裏側に擁壁を設置するなど、法面対策を行っています。
・河川整備の結果、同程度の降雨があった場合でも再度の氾濫被害の可能性は低くなっており、21
世紀に入ってから発生した台風や集中豪雨においても河川の氾濫被害は起こっておりません。
・ソフト面での対策として、土砂災害に関する啓発冊子や危険個所のマップを作成し、県内の全世帯
(32 万戸)への配付や学習会の開催、避難訓練を各地で実施しています。

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【スライド 5】
・5 ページをお開きください。
・高知県とインドネシアでは、地震の脅威にさらされている点においても共通しています。高知県では
1600 年代以降、マグニチュード 8 から 9 クラスの地震が 4 回発生しています。1946 年に発生した
昭和南海地震では、4~6 メートルの津波が押し寄せ、大きな揺れと津波により 679 人が死亡・行方
不明、1,836 人が負傷したほか、4,846 戸の家屋が全壊、流失するなど甚大な被害が発生しまし
た。

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【スライド 6】
・6 ページをお開きください。
・高知県の南の沖には、大陸側のユーラシアプレートの下に海側のフィリピン海プレートがもぐり込むこと
によりできた、水深 4,000m以上の深い溝があります。これが「南海トラフ」です。この「南海トラフ」を発
生源とする地震が今後30年以内に70%から80%の確率で起こると言われています。

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【スライド7】
・7ページをお開きください。
・これは南海トラフ地震が発災した際の最悪のケースの被害想定です。想定死者数は全国で約 32
万人。これは 2011 年3月に起こった東日本大震災の 16 倍に上る数字です。高知県では、県内各
地で震度7を観測するとともに、全国で最も高い津波高 34 メートルが想定されています。
・注目していただきたいのは、この南海トラフ地震により全国民の 53 パーセントが居住する地域が被災
をするということです。このため、私たちは、国内の他の地域からの支援がないことも想定して地震対策
を進めています。

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【スライド 8】
・8 ページをお開きください。
・高知県が独自に行った南海トラフ地震が発生した際の被害想定では、高知県だけで死者数約
42,000 人となっています。
・南海トラフ地震による被害を最小限にするため高知県では、南海トラフ地震対策のトータルプランと
なる行動計画を策定し様々な取り組みを進めてきました。これまでの取り組みによる減災効果を試算
すると、現在の想定死者数は約 13,000 人まで減少しました。
・今後も、地震の揺れから命を守るための重要な対策となる住宅の耐震化を加速化させるとともに、
津波から早期に避難する意識をより一層高めることで、死者数を限りなくゼロに近づけていきたいと考
えています。

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【スライド 9】
・9 ページをお開きください。
・これは、高知県が実施する南海トラフ地震対策を分類した表です。高知県では、国内外の被災地
の皆様から学ばさせていただき、地震対策を「命を守る」、「命をつなぐ」、「生活を立ち上げる」と3分
野に分類し、それぞれの対策を進めています。

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【スライド 10】
・10 ページをお開きください
・「命を守る」対策の具体例を紹介します。東日本大震災の教訓として、津波から逃げ遅れたことによ
り多くの死者・行方不明者が発生したことが挙げられます。そこで、高知県では市町村の財政負担を
実質ゼロにする仕組みを作り、津波から逃げるための対策を最優先で取り組んできました。
・現在、避難路・避難場所 1,445 箇所、津波避難タワー115 基、津波避難シェルター1基の建設
計画を立て、概ね完成しています。避難路、避難スペースを概ね確保できたことにより、津波からどこに
避難すればいいかが明確になり、住民の方の早期避難に関する意識も確実に高まっています。

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【スライド 11】
・11 ページをお開きください。
・次に、防災・減災対策と経済の活性化を連動させた取組みである「防災関連産業の振興」について
ご紹介いたします。
・高知県には、台風や集中豪雨などの自然災害と戦ってきた経験があり、これらの経験から得た知見
を生かし、「メイド・イン高知」の新しい製品・技術を作り出している企業が存在します。
・県内企業が生み出す防災関連製品・技術を県内外で活用されることで、県経済が活性化され、さ
らに製品の開発が進む。そこから更に災害への対策が進んでいく。そういったプラスのスパイラルが生まれ
るよう官民共働で「防災関連産業の振興」の取り組みを STEP1 から 4 の段階に分け進めています。
・まず STEP1の「交流」では、メーカーと自治体、防災関連商社などが情報交換する場を提供し、メ
ーカーの技術とバイヤーのニーズの共有を図っています。STEP2の「地産」では、専門アドバイザーの派
遣や、試作開発の助成金などにより、企業が新たな製品をつくりだす取り組みをサポートしています。
STEP3「地消」では、自治体が優先的に新製品を購入できる制度の普及や様々な防災イベントで
製品を PR し、地元での消費を促進する取り組みを行っています。最後に STEP4「外商」では、日本
国内の大きな展示会で PR したり、今回のセミナーのように、海外での PR を行っています。
・また、学識経験者や専門家が製品の品質や安全性を審査する「高知県防災関連製品認定制度」
を設け、認定を受けた製品・技術のみ、本日お配りしている「高知防災モノづくり SELECT BOOK」に
掲載して、ご紹介しています。

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【スライド 12】
・12 ページをお開きください。
・高知県が取り組む「防災関連産業の振興」は、2015 年に国連で採択された「持続可能な開発目
標(SDGs(エスディージーズ))」との高い親和性があります。
・SDGsは、政府、企業、大学・研究機関など、あらゆる組織等の目標として、17 のゴールで構成
されています。後ほど技術紹介を行う4社は、これらのゴールのうち、9番目の「産業と技術革新の基
盤をつくろう」、11 番目の「住み続けられるまちづくりを」、13 番目の「気候変動に具体的な対策を」の
3つに合致した事業を実施しています。
・高知県では、SDGsの達成に寄与すべく、4社を含む防災関連産業の振興に取り組んでまいり
ます。

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【スライド 13】【スライド 14】
・13 ページから 14 ページは、このあと、防災関連の製品・技術を発表する 4 社の概要です。詳細は、
後ほど行われる4社の発表をお聞きください。

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【スライド 15】
・15 ページをお開きください。
・この他にも高知県の防災関連製品・技術の一部を“備える”、“逃げる”、“生きる”の3つのシーンに
分けて紹介しております。津波避難用階段、地震の揺れを感知して鍵を解除する装置、避難者のた
めの食品やトイレなど幅広くございます。これらの製品・技術については、本日お配りしている、「高知防
災モノづくり SELECT BOOK」に掲載していますので、ご覧ください。
・もしカタログをご覧いただいて、ご関心のあるものがございましたら、高知県スタッフにご相談ください。

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【スライド 16】
・本日は、初めてインドネシアで高知県の防災に関するセミナーを開催させていただきました。ぜひ、高
知県の製品・技術をインドネシアでもご活用いただきますよう、よろしくお願いいたします。ご清聴いただ
き、誠にありがとうございました。

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