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イソライトグループ安全衛生+環境通信

Vol.
50
2023.2.20

労働災害発生状況 2

特集
化学物質の自律管理 3
大気汚染 5

職場の安全活動紹介 6
こんな事故がありました 10
危険予知トレーニング 14

-1-
労働災害発生状況

2023年1月度災害:なし

事業所別内訳

音羽 七尾 神崎 技術研究所 建材 ICF IIF IER SIE

前月度 累計 前月度 累計 前月度 累計 前月度 累計 前月度 累計 前月度 累計 前月度 累計 前月度 累計 前月度 累計

休業 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

不休業 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

微細 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

重大ヒヤリ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

その他
ヒヤリハット1件
・音羽工場 製造室
パネルヒーター成形時、脱型のために金型を引き寄せた際にアームが回転し、金型とアーム部で指を挟んだ。
(1/31)

アーム
アームにハンドルを取り付け、
可動部に指が入らないようにした

-2-
化学物質の自律管理

化学物質に関する法律が改正され、化学物質の管理方法が大きく変わります。
今までは、管理しなければならない物質と管理方法を国が定め、会社はそれを守っていれば
よかったのですが、これからは会社自身が管理方法を判断することになります。

化学物質の自律管理
化学物質は現在数万種類あり、毎年1000種類以上のペースで増えています。
その中には危険性や有害性が分かっていないものが数多くあります。
国で規制している物質は全体のごく一部でしかなく、化学物質による労働災害の
大半は規制されていない物質によって起きています。
また、国が全ての化学物質の危険性を確認するのは困難でもあることから、今回の法改正と
なりました。
現在の化学物質規制の仕組み

見直し後の化学物質規制の仕組み

※RCFは引き続き特化則の対応が必要です
-3- 厚生労働省「化学物質規制の見直しについて」より
法改正の背景
改正のきっかけとなったのが、2012年に発覚した胆管がん事件です。
これは、ある印刷会社で働いていた若い労働者16人が次々と胆管がんに罹り、内9人が
死亡したという大きな労働災害です。
原因は、印刷機のインクを拭く洗浄液に含まれていたジクロロプロパンという化学物質で、
この事件が起きるまでは特に危険とされていないものでした。
これを受けて化学物質の管理方法が見直され、従来の法令準拠型から欧米などと同じ
自律管理型に舵が切られました。(自律:自分で決めたルールに従って行動すること)

これからの化学物質管理
国が化学物質の危険性・有害性を確認し、それぞれの物質の管理基準を定めますが、
基準を達成するための管理方法は各会社に任せられます。
これはリスクアセスメントに基づいた仕組みであるため、SDSの入手が重要になってきます。
(リスクアセスメントは次回取り上げます)

一部の制度は2022年から始まっており、2023年4月1日から本格的に動き出します。
まだ改正の詳細が決まっていない項目もありますが、分かり次第別途ご案内します。

法改正のスケジュール

-4-
大気汚染

大気汚染はとても古くからある公害です。歴史上最も古いものは14世紀のイギリスで起こり、
日本では明治時代から始まりました。
大気汚染とは、大気中に微粒子や有害物質が増え、空気が汚れてしまうことです。
汚れた空気は人の健康に悪影響があり、光化学スモッグやPM2.5は目の痛みや
肺の疾患を引き起こします。最も有名なのは四日市ぜんそくです。
また、環境に対しても悪影響があり、酸性雨や地球温暖化の原因になります。

大気汚染の原因
大気汚染の原因物質は、工場・自動車・火力発電所などの排出ガス、スプレーや塗料に
含まれる揮発性有機化合物、砂漠の砂、火山の噴火など多種多様ですが、
最も大きな原因は工場や自動車から出る煙です。
ばい煙:物の燃焼に伴い発生する以下の物質
・硫黄酸化物(SOx)
大気汚染物質を含んだ煙は「ばい煙」と呼ばれ、 ・ばいじん(いわゆるスス)
・有害物質
このばい煙は大気汚染防止法で規制を受けているため、 -カドミウム及びその化合物
-塩素及び塩化水素
排出基準を守る必要があります。 -ふっ素、ふっ化水素及びふっ化けい素
-鉛及びその化合物
-窒素酸化物(NOx)

イソライトとの関わり
ばい煙を発生させる施設のうち、一定規模以上のものを「ばい煙発生施設」と呼びます。
これはイソライトの各工場にもあります。 水(H2O)

・音羽工場のNo.4溶融炉
・七尾工場の3号プラント焼成炉、乾燥炉 硫黄酸化物(SOx)
・神崎工場のSEF溶融炉 硫酸(H2SO4)

大気汚染と最も関わりがあるのは七尾工場です。
七尾工場で製造しているCGは珪藻土を原料としていますが、珪藻土には硫黄分が含まれて
います。製造工程中の焼成によって硫黄酸化物(SOx)が発生するため、
そのまま排出すると酸性雨の原因になってしまいます。
これを防ぐために、排煙脱硫装置を取り付けて硫黄分を除去しています。
(音羽工場、神崎工場はファイバー製造時のばいじんが対象)
CG

一見関係ないように思えますが、イソライトも大気汚染と関係があり、それぞれの工場で
空気を汚さないための対策を行っています。

-5-
職場の安全活動紹介
イソライト建材の安全活動
今回は、イソライト建材の安全活動を5件、5S活動を3件ご紹介します。

PNCクランプ部の挟まれ防止
どんな危険がありましたか?
木材をNCにセットする際、クランプ部に手を添えますが、クランプに指が挟まれる
危険がありました。
どんな対策をしましたか?
クランプ部に手が入らないように、アクリル板をクランプ上部に貼りました。
対策の結果どうなりましたか?
クランプ部に手を置くとアクリル板に当たるので、うっかり挟まれることが低減しました。
工夫したことはありますか?
透明なアクリル板を使うことで、クランプの位置が分かるようにしました。

クランプ
上から見た写真

アクリル板

-6-
化粧貼り工程、糊付け機への巻き込まれ防止
どんな危険がありましたか?
清掃時や異物混入時に、稼働中のロールに指が巻き込まれる危険がありました。
どんな対策をしましたか?
ロール上部に安全カバーを設置し、稼働中の設備に手を出せないようにしました。
対策の結果どうなりましたか?
安全カバーを取り付けたままの清掃を標準化し、巻き込まれ防止としています。

安全カバー

食堂横の側溝のつまずき防止
どんな危険がありましたか?
食堂横の側溝蓋が劣化し、踏み外しやつまずきの危険がありました。
どんな対策をしましたか?
側溝蓋を更新しました。
対策の結果どうなりましたか?
つまずきのリスクが低減しました。
工夫したことはありますか?
耐候性の高い接着剤を使用しました。

-7-
C棟塗装場のつまずき防止
どんな危険がありましたか?
作業場の床面に段差があり、つまずきや転倒の危険がありました。
どんな対策をしましたか?
床面を補修しました。
対策の結果どうなりましたか?
段差がなくなり、つまずきリスクが低減できました。

事務所、神棚の落下防止
どんな危険がありましたか?
地震発生時、神棚の榊立(さかきたて)が落下する危険がありました。
どんな対策をしましたか?
榊立に木箱を設置しました。
対策の結果どうなりましたか?
落下リスクが低減しました。

木箱

-8-
イソライト建材の5S活動
場所はどこですか?
食堂

Before After
実施したこと、工夫したこと
棚上部の不要物を撤去し、従業員への周知を行いました。

実施したこと、工夫したこと
ロッカー上部に不要物が置かれていました。不要物を撤去し、物を置かないことを従業員に周知しました。

実施したこと、工夫したこと
掃除用具置き場に衝立がありました。掃除用具の置き場が窮屈であり、つまずきの危険もあったため、
衝立を撤去しました。

次回は神崎工場をご紹介します。

-9-
こんな事故がありました

直近5年間の2月の災害事例(2018~2022年):7件

事業所 発生日 事故の型 災害区分


音羽工場 2018年2月3日 切傷 休業
音羽工場 2019年2月11日 無理な動作 微細
イソライト建材 2019年2月15日 激突 微細
音羽工場 2020年2月17日 切傷 不休業
七尾工場 2020年2月27日 転倒 休業
イソライト建材 2022年2月10日 切傷 不休業
IIF 2022年2月24日 転落 休業

①丸鋸で指を切断した(請負業者) 丸鋸のカバー

災害区分 休業災害(休業2~3週間)

発生日 2018年2月3日

傷病 右手薬指切断、中指切創
端材
発生場所 音羽工場 工業炉作業棟

作業内容 シリカボード加工 カバーの裏から手が入る

外注先の作業者2人(ボード加工者とワーク準備者)がシリカボードを加工し
発生状況 ていた。ワーク準備者が加工台に残った端材を取ろうとカバーの裏から手を
伸ばした時に、回転している丸鋸に右手が当たり、指を切断した。
丸鋸の刃に付いていたカバーは、前方はガードできるが裏からは手が入る構造
原因 だった。刃に直接手を近づけるという、本来禁止されている行為をした。
加工場が散らかっており、端材を取るためには刃に近づく必要があった。
端材を設備後方から取れるように、整理整頓して動線を決める。
対策 後方から端材を取るために集塵カバーの一部を透明なシートにし、加工者の
作業が見えるようにする。作業標準を作成して教育する。

-10-
②ボードの開梱作業で肉離れ

災害区分 微細災害

発生日 2019年2月11日

傷病 肩の肉離れ

発生場所 音羽工場 CF加工

作業内容 加工用ボードの開梱

加工用のボードを準備するため、段ボールに入った製品を箱から出していた。
パレットに積まれたボードを作業台に置いて開梱する作業で、背より少し高い
発生状況
位置(170cm位)から14kgのケースを高さ80cmの作業台に下ろしていた時、
背中にビリビリと痛みが走った。
週末の冷え込みが厳しく、かつ休み明けの月曜日だったことで体が固かった。
原因
段ボールケースの手前側を持っており、背中への負担があった。
負担のかかりにくい持ち方について指導、注意喚起する。
対策
(重心に近い位置を持つ)

③安全カバーで頭を打った

災害区分 微細災害
安全カバー
発生日 2019年2月15日

傷病 頭部打撲 裂傷

発生場所 イソライト建材 前工程

作業内容 モルダー加工機前の床の清掃

モルダー加工機の安全カバー(ガルウイングタイプ)を上げ、半開きにした
発生状況 状態でかがんで床を清掃していた。清掃が終わって、かがんでいた体を起こし
た時、頭が安全カバーの角に当たった。

安全カバーが半開きになっていた。
原因
頭上を確認しないで体を起こした。KY不足。

カバーの角にクッション保護材を付けた。
対策 装置内部の清掃・点検時以外は「安全カバーを閉める」を定着する。
ヘルメット着用を検討する。

-11-
④運搬台車から落下した鋼板で手を切った

災害区分 不休業災害

発生日 2020年2月17日

傷病 右手人差し指 根元の切り傷

発生場所 音羽工場 鉄工場

作業内容 スリーブ金型の製作 鋼板(プラダンで再現) 運搬台車

金型製作作業で、鋼板の切り出しと曲げ加工は耐切創手袋を、溶接作業は皮手袋
を着用していた。一連の作業が終わり、次のパーツに使う鋼材を切り出す際、
発生状況
皮手袋のままだった。残った鋼板を棚に戻すため、運搬台車に載せて向きを変え
た際、勢い余って鋼板が落下した。その時、鋼材側面のバリで人差し指を切った。

耐切創手袋に替えず、皮手袋を着用した。(着用ルールが曖昧であった)
原因
手を添える場所に問題があり、勢いよく鋼板が動いた。

鋼板ハンドリング時は、耐切創手袋を着用とする。(皮手袋は溶接時のみ)
対策 鋼板を運搬台車で倒す時は、側面でなく面部分を押さえる方法にする。
運搬台車に載せた鋼板がずれないよう、台車を改良する。

⑤ダイカット刃型の持運び時に転倒

災害区分 休業災害 ダイカット刃型

発生日 2020年2月27日

傷病 右手指神経動脈損傷、左手挫滅創

発生場所 七尾工場 セラミックファイバー加工場

作業内容 ダイカット刃型の片付け 空パレット

ダイカット機でペーパーのリング加工をしていた。
別の作業者がそのすぐ後ろに空パレットを置いて行った。
発生状況 加工が終わって梱包作業を開始し、手袋の汚れが製品に付かないよう耐切創手
袋を外した。梱包が終わり、ダイカット刃型を持って片付けようとした時、
すぐ後ろに置いてあったパレットにつまづいて倒れ、刃型の上に両手を付いた。
ダイカットの作業エリア内に空パレットを置いた。
原因 ダイカット刃型の運搬ルールが決まっておらず、足元が見えない状態で運んだ。
ダイカット刃型を運ぶ際に耐切創手袋を着けていなかった。
ダイカット刃型の持ち運び、保管時には防護カバーを付け、刃がむき出しに
対策
ならないようにする。作業エリアのレイアウトを変更する。

-12-
⑥トゲが刺さった

災害区分 不休業災害

発生日 2022年2月10日

発生場所 イソライト建材
単板
傷病 左手人差し指棘刺創

作業内容 単板の運搬

単板の長さを丸鋸で切るため、25枚重ねの単板(長さ4m×巾110mm×厚20mm)
を両手でU時に折り曲げて運んだ。単板を降ろした時、添えていた左手の人差し
指の付け根にトゲが刺さった。皮膚から出た部分を自分で抜いた。
発生状況
当日は痛みを感じなかったが、後日多少の腫れと違和感を感じ、皮膚科を受診。
すでに傷口が塞がっていたため、病院で切開処置し、皮下に残っていたトゲを
取った。
素手を単板の側面に滑らせた。(手袋着用のルールなし)
原因
置いた時の反動で単板が動いた。
単板加工工程の安全保護具として、耐切創用手袋を着用する。
対策 指先は、木材の枚数確認、木材面の品質判断を行う必要があり、刺創リスクが
低いことから、小指以外の第一関節部分をカットして使用する。

⑦乾燥炉内のプラットフォームから転落

災害区分 休業災害

発生日 2022年2月24日

傷病 IIF 乾燥炉2号ライン
プラットフォーム

発生場所 右足小指のヒビ
800mm

作業内容 乾燥台車の番号確認

乾燥台車の入庫記録と台車番号がずれていることに気づき、乾燥炉内に入った。
暗い炉内を照明を持たずにプラットフォームを歩いていたところ、乾燥ファン下
発生状況
のプラットフォームが途切れている箇所に落ちた。
被災時には痛みをあまり感じなかったが、帰宅してから痛くなり、病院を受診。
乾燥炉内への立入りは初めてで、プラットフォームが通路でないことを知らな
原因 かった。危険個所の表示がなかった。照明を持たずに1人で行動した。
乾燥炉へ入る場合の安全教育は、焼成班だけにしていた。
立入禁止箇所ではあるが、乾燥ファン下の穴をカバーする。
進入禁止の標識を表示する。
対策
プラットフォームへの進入禁止を成形班に教育する。
操作手順書を見直し、成形班と焼成班に教育する。

-13-
危険予知トレーニング

SEF工程 RHK
状況
・RHKのローラーの回転が止まり、焼成炉内
の製品が送られなくなった。
・ローラーの状態を確認するために、革手袋
をはめてローラーを引き抜いた。
・引き抜いたローラーの温度が200~300℃
と高温のため、左手中指と右手人差し指を
ローラー
火傷した。
・持った時にローラーが熱かったが、
革手袋を着けていたから大丈夫と思った。
ローラーハースキルン(RHK)
セラミックローラーによって製品を搬送する連続式焼成炉 ※牛革手袋の耐熱温度は約120℃
2013年 ITMの微細災害より

✍ どこに問題がありますか?
ヒント:設備、機械、工具、保護具、作業方法、作業環境、連携ミス、思い違い、知らない

✍ この事故を防ぐためには、どんな対策が必要だと思いますか?

✍ あなたの職場にも同じような作業がありますか?
・ある ・ない ・見たことがある(どこで?: )

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